イ ン ド ネシ ア 国内市場と 食品産業の可能性 -イ ン ド ネシ ア 投資環境視察ミ ッ ショ ン 報告国際機関日本ア セアン セン タ ーは、 駐日イ ン ド ネシア 大使館、 イ ン ド ネシ ア 投資調整庁(BKPM) 日本事務所と 共催で、 2010 年 2 月 22 日から 2 月 27 日ま でイ ン ド ネシ アへ投資環境視察ミ ッ シ ョ ン を 派遣いたし まし た。 ASEAN 地域が、 近年、 販売拠点と し ても 注目を 集める 中、 世界第4 位の人口と 巨大な国内市場を 持つイ ン ド ネシ ア の 食品産業に焦点を 当て、 最新の投資環境を 視察する と 共に、 ビ ジ ネスチャ ン スを 探り ま し た。 1. 最新の投資環境 2 月 23 日 ジ ャ カ ルタ 投資関係機関 訪問 イ ン ド ネシア 投資調整庁(BKPM)よ り 、 外資・ 国内投資家の平等な取り 扱いや、 最低資本金の 制限がないこ と 、 ま たワン スト ッ プ サービ スによ り 申請手続き のスピ ード 化が図ら れ、 バタ ム島 では完全電子化が進んでいる こ と など 、 最新の投資環境や投資手続き について説明を 受けま し た。 日本から の直接投資は、 2004-2009 年では約 58 億米ド ルで第三位と なっ ており 、 イ ン ド ネシア では、 食品を はじ め、 イ ン フ ラ 、 エ ネルギー関連分野への投資が期待さ れています。 と り わけ GDP の 29.8%を 占める 食品・ 飲料分野は、 毎年 10%ずつ増加し ています。 イ ン ド ネシア 食品飲料協会によ る と 、イ ン ド ネシ アでは、家内工業も 含めて約 120 万件の食品・ 飲料製造業者があり 、 家庭の消費における 加工食品の比率は 2009 年には 25%に達し ていま す。 (2002 年は 17%) ま た今後は、 日用品や乾麺、 油など のハラ ル食品の分野において期待が持たれ ていま す。 JETRO ジ ャ カ ルタ 事務所によ る と 、イ ン ド ネシア の中間所得層は 2,300 万世帯まで拡大し てお り 、 二輪車では日本よ り 高い 10-15 万円程度の価格帯が売れ筋、 ま たテレ ビ や冷蔵庫も 普及し つ つある と のこ と です。 大き なスピ ーカ ーで良質の音を 楽し める テ レ ビ など 、 イ ン ド ネシ アのマー ケッ ト ニーズに合わせた商品が人気で、 こ れら の製品の普及率は今後急増する と の見通し が示さ れま し た。 日本製品への信頼に基づいた親日的なマーケッ ト は大き なメ リ ッ ト と なっ ており 、 同 日に開催さ れた「日本食普及セミ ナー」においても 、 日本食の人気ぶり がう かがえま し た。 2. 食品工場視察 2 月 24 日 PT. Amerta Indah Otsuka (飲料製造) 水質の良いスカ ブ ミ に工場を も つ PT. Amerta Indah Otsuka は、 イ ン ド ネシア の国内市場において、 2002 年以降、 毎年 30% 以上の成長を 続けていま す。 同社製品のポカ リ ス エ ッ ト は、 イ スラ ムの断食月後やデン グ熱時の水分補給など 、 イ ン ド ネ シ ア の習慣や生活シ ーン に合わせたマーケテ ィ ン グを 行い、 イ ン ド ネシア 国内のシ ェ ア を 大き く 伸ばし ま し た。 ま た同社 製品の 1%は、 シン ガポール、 タ イ 、 マレ ーシ ア 、 フ ィ リ ピ ン や、 サウジ ア ラ ビ ア 、 エジ プ ト など の回教国を 含む各地へ 輸出さ れていま す。 2 月 25 日 PT. Kalbe Morinaga (粉ミ ルク 製造) 年間 4~500 万人の新生児が生まれる イ ン ド ネシ アには、 世界中の粉ミ ルク メ ーカ ーが進出し ており 、 月齢別から 、 ビ タ ミ ン・ DHE 入り の富裕層向けま でタ イ プ も 様々です。 輸出から スタ ート し 、 2007 年よ り 現地での製造を 開始し た同社は、 イ ン ド ネシ ア の製薬大手カ ルベ・ フ ァ ルマ社と 森永乳業の共同出資で粉ミ ルク を 製造し ています。 日本において高い品質管理と 、 ハラ ル認証を 受けた製品は、 ハラ ル認証マーク ついた同社製品 (左下) 大手スーパーマーケッ ト だけでなく 薬局でも 販売さ れていま す。 2 月 25 日 PT. Indobiskuit Mandiri (ビ スケッ ト 製造) 世界的な食品グループ Indo Food のビ スケッ ト を 製造する PT. Indobiskuit Mandiri は、 英国と の 合弁会社と し て 1993 年にスタ ート し 、 2009 年には年商 700 億ルピ ア に達し ていま す。 同社の ビ スケッ ト は、 「ワルン 」と 呼ばれる イ ン ド ネシア なら ではの小売店でも 販売し やすいよ う 、 9 グラ ム 500 ルピ アの小分けさ れたサイ ズよ り 製造さ れています。 3. 農場視察 2 月 24 日 PT. Transplants Indonesia (菊の苗栽培) イ ン ド ネシ ア 有数の米の生産地と し て知ら れる チア ン ジ ュ ールでは、 菊の苗を 生産し 、 日本へ輸出する 農場を 視察し ま し た。 台風シ ーズン のリ スク 回避と し て、 沖縄県 花卉園芸農業協同組合が 1996 年に設立し た同社は、 年間 約 2,500 万本の電照菊を 栽培し ています。 保冷車と 空輸に よ り 搬送さ れた苗は、 沖縄で切花になり 、 日本全国へと 出荷さ れていま す。 彼岸のピ ーク 時には、 全国の 7~8 割 を 供給する 沖縄の菊の 3 分の 1 は、イ ン ド ネシ ア 産の苗が 使われていま す。 最盛期には近隣の村よ り 百数十名のパート タ イ マーを 雇っ ており 、 地域の現金 収入の増加と 、 就学率の向上につながっ ています。 4. 工業団地視察 2 月 25 日 Kota Bukit Indah 西ジ ャ ワ州にある 同工業団地は、 ジ ャ カ ルタ と バン ド ン を 結ぶ高速道路のイ ン タ ーチェ ン ジ に面し ています。 イ ン ド 大成と サラ ナ・ブ キッ ト ・イ ン ダの共同開発によ る 2000ha に は、 分譲と レ ン タ ル工場の他、 住宅、 学校、 24 時間体制の診 療所、 銀行、 ホテ ル等の設備があり ま す。 分譲タ イ プ の土地 代は、 50 米ド ル/㎡、 建設費はおよ そ 3~400 万ルピ ア と のこ と です。 レ ン タ ル工場は、 1,000~7,600 ㎡と 様々なタ イ プ が あり 、 賃料は月 3~4 米ド ル/㎡で、 進出の規模に応じ て選ば れていま す。 タ ン ジュ ン プ リ オク 港までは 95km、 将来的に は鉄道輸送も 計画さ れています。 5. 食品流通現場視察 2 月 26 日 Papaya, Plaza Senayan ジ ャ カ ルタ には現在 70 以上のシ ョ ッ ピ ン グモ ールがあり 、 日本食も 並ぶフ ード コ ート は、 週末の家族連れや若者で 大変 な賑わいです。日系と イ ン ド ネシア の富裕層向け計 3 つの食品 流通現場の視察では、いずれも ハラ ル食品のコ ーナーは設けら れており ませんでし たが、認証マーク によ り 商品が選ばれてい る よ う です。 ま た近年は、 若い世代を 中心に日本食がブ ームと なり 、 日系のスーパーマーケッ ト チェ ーン Papaya でも 、 イ ン ド ネシ ア 人の顧客数、 顧客単価と も に増加傾向にあり ま す。 その一方、 一部の海外から の輸入食品に化学物質メ ラ ミ ン が混入さ れていた事件によ り 、 政府が 全ての輸入食品の登録を 厳し く し た結果、 日本から 5 千種類のア イ テ ムを 輸入する 同スーパーも 2008 年には余波を 受けま し た。 同社ではプ ラ イ ベート ・ ブ ラ ン ド 等で対応を 進めていま す。 6. 最後に 2008 年の世界経済危機後も 、 GDP4 %以上の経済成長を 遂げる イ ン ド ネシ ア は、 ユド ヨ ノ 大統領 の再選によ り 政局も 安定し 、 中国、 イ ン ド に次ぐ G20 と し ても 今後、 ま すま すの経済成長が期待 さ れています。 イ ン ド ネシ ア国内市場で成功を 収める 企業は、 いずれも イ ン ド ネシ ア 人のニーズを 的確につかみ、 販路の特徴を 活かし たマーケティ ン グで成功し ていま す。 一部、都市部の交通渋滞等、イ ン フ ラ に課題は見ら れる も のの、2 億 3 千万人の巨大な国内市場、 若く 低廉な労働力、 そし て豊富な天然資源は、 投資環境と し て魅力と なっ ています。 今回の訪問先、 及びイ ン ド ネ シ ア への投資に関する お 問い 合わせ等あ り ま し た ら 、 お気軽に 日本ア セアン セン タ ーま でご連絡く ださ い。
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