ガバナンス時代における政策手法に関する考察

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特
集
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ガバナンス時代における政策手法に関する考察
ИЙ越境する政策手法ИЙ
風間 規男
▍ 要 約
国民国家が出現して以来,政府は,公共政策の形成・実施において圧倒的なプレゼンスを示し
てきた。「市場の失敗」に対応するための政策手法の中心が「規制」であり,規制には「強制力」
が必要とされることから,その能力を独占する政府のみが公共政策の正統な担い手として想定さ
れたからである。その結果,政策の影響範囲も原則として国境の中にとどまるものと考えられた。
しかし,政府の規制では対処しきれない問題群が発生し,「政府の失敗」を引き起こしている。
1990 年代以降,EU とその加盟国は,規制手法に内在する課題を克服し,錯綜した政策過程に対
応するため,環境政策分野において,環境税,エコラベル,環境監査,自主協定などの「新しい
政策手法」を開発してきた。また,雇用政策分野においては「開放型調整手法」が導入され,強
制に頼らない新しい発想に基づく政策手法として適用範囲を広げつつある。これらのプロセスに
おいて,政府,欧州委員会,専門家集団,NGO,多国籍企業など,官民のアクターの間で,国
境を越えた「政策移転」が起こっている。
本稿では,政策ネットワーク論の枠組みに基づいて,「ガバナンス」が言われる状況において
は,政府が「対象集団に働きかけて行動を変更させる」という二者間での一方向的な関係を前提
とした政策手法には限界があり,アクター間の関係性に及ぼすインパクトを考えた政策手法の開
発・選択が求められることを指摘する。そのうえで,政策手法がそれぞれの社会のガバナンスに
有効な形で導入され,政策価値が学習を通じて共有されていくためには,政府がネットワーク戦
略を意識的に展開して必要があると結論づける。
キーワード:ガバナンス,新しい環境政策手法,開放型調整手法(OMC),政策移転,政策ネッ
トワーク
近代国家が成立して以降,政策手法は,政府
(ガバメント)にほぼ独占され,国家の中に,い
1. は じ め に
わば閉じ込められてきた。主権国家体制に基礎を
置く国際社会において,通常,政策の効果の及ぶ
範囲は国内に限定される。ある国家の政策意図は,
国家間の条約や協定,あるいは国際機関の枠組み
国や自治体の政策担当者から,政策の開発にい
を通じて限定的に実現されていくにすぎないと考
き詰まりを感じているという声をよく耳にするよ
えられてきた。一方,政策の形成・実施の主体と
うになった。従来と同じ発想で政策を形成しても
して想定されてきたのは,常に政府を構成する官
期待された成果をあげるのは難しいという感覚が, 僚及び政治家であった。結論を先取りしていえば,
政策担当者の間で共有されつつあるようにみえる。 現在起こっているのは,国家及び政府からの政策
この感覚は,おそらく「ガバナンス」という言葉
手法の解放であり,ガバナンスの時代においては,
で表現される新しい状況と深く関連している。そ
政策手法についても,時代に合った新しいアプロ
の関連を政策手法(policy instrument)の観点
ーチが求められている。本稿では,ヨーロッパに
から解きほぐしていくのが本稿の目的である。
おける「新しい環境政策手法」の開発などを手が
16
特集:越境するガバナンスと公共政策
かりに⑴,規制を中心とした政府の政策手法が新
策・制度保障として「市民合意」が得られること
しい政策手法に展開しつつ,国家の枠を越境して
を挙げている。公共政策において政府レベルで構
いくプロセスを描いてみたい。
想されるのが政府政策である。政府政策は,自治
体,国,国際機構という 3 つの政府レベルの基本
法に基づく「手続」を経た公認の「正統政策」と
2. 政府(government)
における政策手法
して存在する。この点から,松下もまた政府政策
に主眼を置いていることがわかる。公共政策が制
度(政府という装置)と結びつきなら,正統性を
確保して実現されていくからである。
2.1. 政策と行政
以上のように,もっぱら政府が公共政策の担い
欧米の研究者の多くは,公共政策というものを
手であり,政策の公共性も政府という装置を通じ
「政府の行動」と捉えている。たとえば,トマ
て確認されるという前提で議論が展開されること
ス・ダイは,公共政策を「政府の作為・不作為を
が多い。
含むあらゆる行動」(Dye 1975),コクランらは,
「政府の行動及びその行動を決定する意図」
2.2. 政府と直接規制
(Cockran et al 1999)と定義している。もちろ
政府が政策手法をある意味独占すると想定され
ん,政府の行動の意図が認識可能な形で表現され
るのは,公共経済学などで,政府による介入(規
る法律・計画・施政方針演説などを無視するわけ
制)の必要性が「市場の失敗」から導き出されて
ではない。しかし,それら政策の表示文書(西尾
きたことと関連している。経済学によると,規制
1993:67)は,関心の表明にとどまり,そのとお
とは「経済主体の行動を一定の規律をもって制限
り行動しない場合があるので,政府が実際に行っ
する行為」であり,その主体が司法・立法・行政
たことを政策分析の起点にすべきだという考え方
機関である場合,公的規制という(植草 2000)。
が根強い(Sharkansky 1982:7 11)。
公的規制は,公共財の存在,外部不経済,自然独
ここで政策の定義をめぐる議論に拘泥するつも
占,不完全競争,情報の偏在,事業リスクの存在
りはないが,公共政策の主体が政府であるという
といった「市場の失敗」を是正・補正する目的で
前提で議論が展開されている点に注目する必要が
行われる。経済学において「規制」という言葉は,
ある。ここに 2 つの論点が隠されている。
政府による市場・社会への介入全般を意味する場
第 1 に,政府の行動は,主に官僚制の行動とし
合が多いが,政策手法の類型化作業においては,
て現れるという点である。政府の行動は,あらゆ
その中でいわゆる「直接統制」を意味する。直接
るチャンネルを通じて国民に表現されるが,政治
統制とは,法的な根拠を前提に,何らかのルール
的リーダーのパフォーマンスと並んで,最も目立
や基準を設け,ターゲット集団を監視し,逸脱行
つのは政策の実施主体である官僚制の日常的な行
動を発見したときには制裁を加えることで,ルー
動であろう。したがって,「政策」と「行政」と
ルや基準を強制的に守らせる手法をいう。通常,
いう 2 つの言葉は,並べると全く別の意味内容を
規制という言葉に,「指揮命令的(command
示しているように見えるが,たとえば,福祉政策
and control)」「立法に基づく(legislative)」
と福祉行政,環境政策と環境行政というように,
「ヒエラルキー的(hierarchical)」といった形容
行政文書や研究者の論文においてしばしば交換可
能な形で用いられる。
第 2 に,ここには,政府が担うことで政策が
詞を付すことで,その内容がより明確に示される。
直接規制が可能なのは,近代国家では,規制に
不可欠とされる資源が政府に集められているから
「公共性」を帯びるという発想が含まれている。
である。近代国家の最も重要な構成要素である
松下圭一(1993:10)は,政策が公共政策である
「代議制」と「官僚制」を通じて,政府はそのよ
ための条件として,①個人の解決能力をこえる
うな資源を調達している。たとえば,法的権限は,
「問題領域」をめぐって,②資源の集中効果を発
規制が私的な目的ではなく公的な目的を実現する
揮できる「解決手法」があり,③ミニマムの政
ために,しかも一定の基準・手続に基づいて行わ
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風間:ガバナンス時代における政策手法に関する考察
れることを保障するものであり,それは議会の立
の責任を全面的に負うという形ではなく,ガバナ
法を通じて調達される。ターゲット集団のルール
ンスでは,様々な主体が相互作用する問題解決の
からの逸脱を監視し,制裁を加えるのに必要な組
ための関係性の構築が目指される。
織資源は,官僚制によって調達される。近代国家
このようにして,規制という政策手法が政府を
における政府のイメージは「強制」であり,強制
象徴しているように,ガバナンスを象徴する新し
を正当づけ実現する資源がこの 2 つのシステムを
い政策手法の模索が始められることになる(Jor-
通じて政府に集められている。経済学では,その
dan et al 2003b:478)。
ような政府による強制の必要を「市場の失敗」か
ら説明するのである。以上のように,規制は,近
代国家の属性と不可分に結びついており,歴史的
には,国家内部の制度化された政治過程を通じて,
3. EU における新しい環境政策手法
国内に発生する「市場の失敗」に対応するメカニ
ズムとして存在してきた(Lipschutz 2005:45)。
3.1. EU における環境政策の流れ
2.3 ガバナンスと新しい政策手法
本節では,主に EU における環境政策を手がか
政府の性格は,ガバナンス概念と対比させると
りに,新しい政策手法が出現してきたプロセスを
より鮮明になる。ガバナンス概念は多義的である
見ていく。これまで,環境分野において,政策手
が,社会科学者がこの概念を使用するときには,
法を類型化しようという試みが続けられてきた。
政府に対する問題意識が表明されていることが多
たとえば,日本の第 2 次環境基本計画では,規制
い。それが最も明確に現れているのは,グローバ
的な手法を直接規制的手法と枠組規制的手法に分
ルガバナンス論であろう。ローズノーとチャンピ
け,それ以外に経済的手法・自主的取組手法・情
ールが編纂した『政府なきガバナンス(Gover-
報的手法・手続的手法といった手法を提示してい
nance without Government)』という本のタイ
る。欧米で最も一般的なのは,経済的手法,自主
トルに象徴的にあらわれているように,グローバ
協定手法,情報的手法という分類であろう(Jor-
ルガバナンス論者は,政府ではない方法の存在と
dan et al 2003a:8 12)。
魅力に注目している。この本に寄せた論文の中で,
経済的手法は,市場ベース(market based)
ローズノーは,両者の関係を次のように説明する。 手法,インセンティブ手法とも言われている。
政府が,「公的な権限や適正に形成された政策が
OECD の定義によると,「経済主体の選択可能な
確実に実施されるための警察権力を背景にした活
行動の費用と便益に影響を及ぼすことで,当該経
動」を示しているのに対して,ガバナンスは,
済主体が環境の保全上より望ましい行動を選択す
「目標の共有に支えられた活動」を意味し,その
るように誘導する手法」であり,欧州環境庁の報
目標は,合法的・公式的にあらかじめ規定された
告書では,排出権取引,環境税・課徴金,環境補
責任関係から導きだされるものとは限らないし,
助金・インセンティブ,責任と補償のスキームが
抵抗を抑え込み遵守行動を獲得するために必ずし
掲げられている(EEA 2006)。自主協定手法と
も警察権力に依存しない(Rosenau 1992:4)。
は,政府と企業の間,業界内部において締結され
ここに,強制によらない自発性のイメージが打ち
る協定による自主規制の手法である。情報的手法
出されている。
には,エコラベル,環境影響評価や環境監査の結
もうひとつガバナンスが使用されるときに共有
果の公表,環境 PR,環境教育などが含まれる⑵。
されているのは,権力の所在が分散しているとい
このような新しい政策手法は,1980 年代の後
うイメージである。現代の社会において,国家や
半から今世紀にかけて先進国において飛躍的に導
自治体は,目の前に存在する問題を解決するのに
入された⑶ 。たとえば,1987 年から 97 年までに
必要な資源を十分集めておらず,その資源は,国
OECD 諸国に導入された環境税の数は,30 から
内外の官民の様々なアクターに分散しているとい
110 に増加した(Jordan et al
う現状認識が前提となっている。政府が問題解決
ような環境分野における新しい政策手法拡大の動
18
2003a:3)。この
特集:越境するガバナンスと公共政策
力源になっているのは,明らかに EU 及びその中
さに加えて,本稿では政策手法との関係から次の
の一部加盟国である。
2 点を強調しておく。
EC・EU における環境問題への取組みは,1987
年の単一欧州議定書に規定されるまで,基本条約
3.2. 導入の背景Ⅰ:規制手法の限界の認識
上の根拠を持たなかった。72 年のパリ首脳会議
新しい環境政策手法が発展した大きな理由のひ
の最終宣言を受けて,当時の加盟国の環境担当大
とつに,環境経済学者たちが,費用対効果の面か
臣が集まり,閣僚理事会が開催され,環境政策が
ら,規制手法に対する環境税や排出権取引などの
EC の政策過程の中に事実上制度化された。EC・
優位性を主張し(Baily 2003:2),その学術的な
EU の環境政策の基本方針は,現在 6 次を数える
メッセージが政治エリートたちに魅力的に映った
「環境行動計画」に示されており,この計画を追
ことがある(Jordan et al
2003a:15)。たとえ
うことで,環境政策の変遷をほぼ把握することが
ば,規制は,あらかじめ「ここまでなら制裁を行
できる⑷。
わない」という介入の限界を対象に示すことにも
政策手法の観点から見たとき,大きな転換点と
なるので,技術革新を生みにくいという指摘がな
な っ た の は , 第 5 次 環 境 行 動 計 画 ( 1992 年 〜
されてきた(Guy Peters and van Nispen 1998)。
1999 年)である。この計画では,これまでの行
基準の設定が外部不経済の市場関係への内在化に
動計画が立法的な措置,すなわち規制手法に依存
結び付くのは稀な点,問題の認識から基準の設定
してきたことを反省し,環境悪化の傾向に歯止め
までにタイムラグがあり迅速な対応を求められる
をかけ,社会のすべてのセクターの参加を得て責
問題にはそぐわない点も挙げられた。
任を共有するためには,手法の広範なミックスが
特に,実施場面において,政策が対象とする環
必要であるとうたっている。政策手法は,①立法
境問題の性格が大きく変化し,規制手法では十分
的な手法,②市場ベースの手法,③水平的な支援
な成果をあげることが難しい事例が数多く報告さ
手法(統計データの収集,科学研究,技術開発),
れるようになった。たとえば,監視対象の汚染源
④財政的な支援手法という 4 つのカテゴリーに分
に変化が起こった。製造業が規制を遵守するため
けられている。特に,環境にやさしい経済行動に
に投資を行うという議論が成立するのは,規制機
向けてインセンティブを創出する手段として,経
関が監視する企業数が限定されている場合である
済的・財政的手法は,アプローチの体系において
(Rejeski and Salzman 2002)。しかし,中小事
重要な役割を占めることになる(Baily 2003:
業所や家庭が発生源となる構造的な汚染問題が環
16)。1994 年には「容器包装廃棄物指令」が公布
境政策の対象になると,対象を特定し監視するこ
され,立法的な手段に加えて,自主協定や市場ベ
とが困難になり,規制を受ける側に遵守能力や知
ースの手法を実施戦略の一部として活用すること
識が欠ける場合も出てきた。対象が多様化し,汚
が認められ,加盟国は,課徴金,排出権取引,自
染原因と被害の因果関係が複雑化するにしたがっ
主協定といった方策を模索することになる。
て,規制手法の効果は薄れていかざるをえない。
第 6 次環境行動計画(2000〜2010 年)におい
また,EU の第 5 次環境行動計画では,規制中心
ても,環境目的を実現する戦略的アプローチとし
の手法が市場のコスト意識を環境保護につなげる
て,市場の活用が重視されている。環境税,技術
ことができず,経営者や消費者のマインドをつか
開発支援,情報・教育などとともに,ビジネスと
むことに失敗したと分析されている。規制手法は,
のパートナーシップが強調され,環境管理監査ス
規制を行う側と規制を受ける側を明確に分離する
キーム(EMAS),規制遵守支援,中小企業支援,
とともに,その二者関係以外の主体からは当事者
自主的な環境協定の活用,そして制裁だけではな
意識を奪ってしまう。地球温暖化のように構造的
く報償の仕組みの創設などがうたわれている。
に発生する環境問題の解決には,この当事者意識
以上のように,ヨーロッパでは,新しい環境政
策手法が開発され,EU と加盟国を通じて実験が
と責任の共有が重要であり,規制手法を突き詰め
ても限界があるという認識が強まった。
続けられている。その背景については様々な観点
1980 年代後半,先進国では,多くの政策分野
から分析されているが,欧州市民の環境意識の高
において「市場の失敗」に対して「政府の失敗」
19
風間:ガバナンス時代における政策手法に関する考察
が言われ,規制緩和が進められるようになったこ
々なアクター,民間企業・NGO・専門家集団な
とも,政策形成者がより柔軟な環境政策手法に惹
どが EU の政策形成過程により深く関わることを
きつけられた一因である。経済がグローバル化す
望むようになった。EU レベルの政策過程が制度
る中で,環境規制に伴う生産コストの増大が域内
的に複雑化したのに加えて,公開性・透明性とい
企業の国際競争力を弱め,経済成長を鈍化させ,
った民主的な要請に応えるため,交渉過程に公
失業の原因になると考えられ,優良企業が規制の
式・非公式な形で多くのアクターの参加を認める
強い国から工場を移してしまうという論理が信じ
ようになっていった。しかし,ヨーロッパをひと
られた⑸。1995
年専門家集団が欧州委員会に提出
つの到達目標・一律の基準の下に規制しようとす
した「モリトール報告」は,過剰な環境規制によ
ると,利益の対立は先鋭化の一途をたどる。この
って,ヨーロッパの競争力が脅威に晒される可能
ようにして,「ハードロー」といわれる指令によ
性があると警告し共感を集めた。
る規制には,それが現実化するための取引コスト
が大きくかかることが問題となっていた。環境規
3.3. 導入の背景Ⅱ:マルチレベルガバナンス
新しい環境政策手法は,環境経済学者を中心に
導入の必要性と有効性が主張され,制度が設計さ
制に関する EU 法令自体も複雑化し,その単純化
(simplification)が常に課題として取り上げら
れてきた。
れてきた,しかし,費用対効果の比較による合理
以上のような政治状況の中で,よりソフトな環
的な判断が働いて導入されてきたというよりも,
境政策手法に期待が集まった。欧州委員会は,政
政治的な状況が背景にあることが知られている。
策形成に伴う取引コストを削減することで,加盟
EU の諸機関と加盟国の間の複雑な権限関係の下
国間・関係者間の合意形成を容易にし,政策目標
で展開される政策過程は,マルチレベルガバナン
を達成する有効な手段として,新しい政策手法に
スと表現されるが,環境政策の「政治化」を不可
期待した。一方,加盟国にとって,新しい政策手
避なものとしている(Baily 2003:7)。すなわち, 法は,目標実現のための手段選択の幅を広げ,
政策手法の選択は,技術的な検討の結果ではなく, EU レベルで設定されたターゲット目標の実現に
競合する利益や優先順位をめぐる無数のアクター
向けて,国内の産業界などとの間で合意を図りや
の政治プロセスの結果として理解されるようにな
すい条件を作るものであった。ヨーロッパでは,
る(Hatch 2005:9)。
EU・加盟国・地方政府の間での相互調整,それ
EU は,通常「指令」という方式で環境政策を
ぞれのレベルにおける多様な民間アクターを巻き
展開してきた。これは,EU のひとつの立法形式
込んでの政策過程=マルチレベルガバナンスが展
で,共同体で決定された指令は,加盟国の市民や
開されている。そのような複雑かつ流動するネッ
企業に直接効力を持つのではなく,その内容を各
トワーク的な関係の中で,指令を通じた規制手法
国が法制化することで,ヨーロッパ全体に政策意
よりも適した政策手法が模索されてきたのである。
図が実現されていく方式である。加盟国の事情に
あった立法措置を探ることが可能で,場合によっ
ては指令よりも厳しい水準の規制を行うことも許
されている。一方で,指令には遵守義務があり,
4. ガバナンスにおける
新しい政策手法の役割
各国政府が義務を怠ると欧州委員会が欧州司法裁
判所に提訴する手続が用意されており,強制的な
要素も含んでいる。各国に立法措置が委ねられて
いるといっても,初期の環境関係の指令を見ると,
4.1. コンテクスト志向手法ИЙ開放型政策調整
システムИЙ
直接規制による措置を採用するしかない形で基準
環境分野に限らず規制手法以外の政策手法が政
やターゲット目標が示されたものが多く,「指令
策の現場に広がるにつれて,学問の世界では,類
を通じた規制」を展開しようとしたといえる。
型化作業が盛んに行われた。「政府による規制」
しかし,環境政策が EU の政策において重要な
か「市場を活用した経済的手法」かという二分論
位置を占めるに従って,ヨーロッパで活動する様
から次第に多様化していき,様々なタイプの政策
20
特集:越境するガバナンスと公共政策
手法をいくつかのセルに分類する努力が進められ
実験され,それらの国が EU の政策過程に働きか
た(Birkland 2005)。しかし,さらに議論が深
け,政策手法は「ヨーロッパ化」している。EU
まるにつれて,ある政策手法がどのタイプに属す
において,新しい政策手法は,指令の中にビルト
るかが問題なのではなく,それが適用される社会
インされる場合もあるし,立法形式が回避される
的・政治的文脈が重要であると認識されるように
場合もあるが,いずれにしても各国の政策現場に
なった(Linder and Guy Peters 1998:39 40)。
広がっていく。このような「政策移転(policy
たとえば,環境分野では,質的なターゲット目標
transfer)」のプロセスは,ヨーロッパの研究者
の設定,認証,情報アクセス権,キャンペーン活
の分析対象として注目を集めている。OMC のア
動,自主協定の活用などを通じた,国家間の政策
イディアも,EU を立法システムとして活用する
収斂を意図した試みは,政策の実現しやすい状況
のではなく,加盟国間の政策移転のプラットフォ
を形成する「コンテクスト志向の手法」として把
ームとして機能させようというものであった
握されている(Holzinger et al 2006)。
(Randaelli 2003:513)。
コンテクストの形成を意識した動きの中では,
しかし,政策移転が起こるのは,国家間とは限
特に EU を中心に展開されている「開放型調整手
らない。D ストーンは,シンクタンクが①情報
法(Open Method of Coordination)」(以下,
センター,②アイディアの提唱,③ネットワーキ
OMC)が注目される。この手法は,雇用政策に
ング,④特定の政策問題に関する学問的な専門知
関連して,1997 年 EU 首脳会議の「ルクセンブ
識の提供といった活動を通じて,政策移転におい
ルグ合意」で試みられ,2000 年の「リスボン戦
て重要な機能を果たすと分析している(Stone
略」以降定着したもので,「ベスト・プラクティ
2000)。環境保護をめぐる市民運動や NGO の例
スを広め,EU の主要目標に向けて収斂を促す手
示的実践も,他の主体に移転される可能性がある
段」として位置づけられている⑹ 。まず,EU の
し(長谷川 2003),民間企業が展開している「環
閣僚理事会で各国が共通に追求すべき優先事項に
境管理」活動も,政府の政策形成に影響を与える。
ついて合意し,これに基づいて欧州委員会が EU
トランスナショナルな活動を展開する様々なアク
レベルの雇用ガイドラインを作成する。このガイ
ターは,他の国において実践され国際的に推進さ
ドラインに従って,各国は行動計画を策定する。
れる「ベスト・プラクティス」に基づく政策を国
欧州委員会と閣僚理事会は,その行動計画を点検, 内に持ち込む機能を果たしている(Tews et al
委員会は報告書を作成し,次年度の雇用ガイドラ
2003:574)。ドロウィッツとマーシュは,政策移
インの策定に向けて提案を行う。雇用ガイドライ
転に関わるアクターとして,①政治家,②政党,
ンに示された指標を満たしていない加盟国に対し
③官僚,④圧力団体,⑤政策起業家・専門家,⑥
て,理事会は勧告措置を行う場合がある。OMC
トランスナショナルな企業,⑦シンクタンク,⑧
は,①ベスト・プラクティスを意識したベンチ・
政府系・非政府系の研究機関,⑨コンサルタント
マーキング,②ピア・レビューを中心とした段階
の 9 つのカテゴリーを挙げている。それらのアク
的な改善プロセスの設定,③関係主体に対する政
ターを通じて,①政策目標,②政策内容,③政策
策形成過程の開放など⑺,指令を中心とした強制
手法,④政策プログラム,⑤制度,⑥イデオロギ
を背景とする政策手法とは一線を画した要素を備
ー,⑦アイディアと姿勢,⑧失敗の教訓などが移
えている。EU は政策調整の長い歴史を持ってい
転される(Dolowitz and Marsh 2000)。
るが,OMC という名称が与えられたことで,確
民間企業の社会的責任が問われ,NGO の政策
立した手続きとして定着し,社会的包摂(social
能力が向上し,様々なアソシエーションにおいて
inclusion),技術革新,教育・職業訓練などの分
政策が開発され実施される。政策は,「官から民」
野にも適用範囲が広げられている。
への一方向だけではなく,「民から官」にも波及
していき,国内で開発された政策手法は越境し海
4.2. ガバナンスと国境を越えた政策移転
外へ広がり,海外から国内に流れ込んでいく。政
環境分野などにおいて,新しい政策アイディア
策の形成主体・実施主体が多様化し,政策移転の
がオランダ・ドイツ・北欧といった国々で開発・
ルートが錯綜して存在している状況は,まさに現
21
風間:ガバナンス時代における政策手法に関する考察
代の「ガバナンス」のあり様を特徴づけている。
クトを与えるのかを意識しないと,ネットワーク
そこでは,「政府が対象集団に働きかけて行動を
において十分な効果を生み出せない。アクターが
変更させる」という一方向的な関係を前提とした
現行のネットワーク関係に満足しているときには,
政策手法は,その機能が問い直されることになる。 強制的内容をもつ手法よりも,インセンティブの
様々な主体が生み出した政策が影響を及ぼしあい, 提供を通じてモティベーションを高める経済的手
アクター間の関係性の中で相互作用を繰り返しな
法,コミュニケーションの質を高める情報的な手
がら,政策課題の解決に結びついていく。このよ
法の方が効果的である。
うな姿がリアリティを持ちつつある。
J クーイマンは,そのガバナンス論において,
すべての相互作用は閉鎖的になる傾向にあり,閉
4.3. 政策ネットワークと政策手法
以上のような状況においては,政府をはじめと
鎖的なシステムはエネルギーを失っていくと論じ
ている(Kooiman 2003:18)。つまり,政策を
するアクターの政策や行動の効果を個別に扱うの
関係性の中でとらえるとき,ガバナンスにおいて,
ではなく,アクター間の関係性・相互作用を総体
その関係性を固定化させる手法は,効果が逓減し
としてとらえて評価する必要がある。この点につ
ていく運命にあり,逆に「揺らぎ」を与える手法
いて,政策ネットワーク論は,不完全であるがヒ
は,効果を漸増させていくことが期待できる。た
ントとなる発想を提示している。ここでは,さし
とえば,伊藤裕一は,OMC が導入された背景に
あたり政策ネットワークを「ある政策領域をめぐ
ついて,法的拘束力の付与がプロセスの硬直化や
って,アクターが官民の枠を越えて自主的に資源
参加主体の固定につながることが懸念されていた
を持ち寄り,問題を解決していく関係性」と定義
点を指摘し,その柔軟性に利点を見出している
しておこう⑻。重要なことは,ヨーロッパ大陸系
(伊藤 2004:20)。OMC は,民間部門も含んだ
の政策ネットワーク論者は,限られた政策エリー
いくつもの組織の間で繰り返される対話の反復プ
トによる政策決定の関係性を考える英米系の政策
ロセスであり,官と民の間にダイナミックな形で
コミュニティ論者とは異なり,政策担当者とター
パートナーシップを醸成することを意図している
ゲット集団やステークホルダーの両方によってネ
(Regent 2003:212)。
ットワークが形成され,そのネットワークにおい
て政策は開発され実施されると考える点である。
4.4. ガバナンスにおける政府の役割
政策ネットワーク論者は,ある政策手法が複雑
これまで政策の形成・実施において主要な役割
な政治環境に適合するか否かは,相互依存性の程
を担ってきた国や自治体は,ガバナンスが求める
度と相互作用の頻度といった政策ネットワークの
新たな政策過程にどのように関与すればいいのだ
性質に大きく影響を受けると主張する(de Brui-
ろうか。国や自治体には,直接問題を解決するに
jn et al 1998)。たとえば,アクター間の相互依
は不十分だとしても,依然として戦略的に活用可
存性が高まると,二者関係を前提とした指揮命令
能な資源がある。たとえば,C フッドは,政府
的な規制手法では効果を生まなくなる。アクター
が利用可能な資源として①結節(nodality),②
は,自分たちに不利な命令に対しては,資源の提
権限(authority),③資金(treasure),④組織
供を拒み,ネットワークから退出すると脅す戦略
(organization)という 4 つの資源(NATO)を
をとることができるからである(Bressers 1998)。 挙げている(Hood 1986)。特に,規制に関わる
政策ネットワーク論の示唆するところは,政策
権限は,有効な資源である。新しい政策手法が導
の内容や効果がネットワークの性質に影響を受け
入されるときに,しばしば指摘されるのは,政策
るだけでなく,個人間・組織間の関係性の中で形
手法間の影響関係で(Guy Peters and van Nis-
成された政策が,その関係性に対して再帰的に影
pen 1998:3),たとえば,環境政策分野で普及
響を与えるということである。実際,政策手法は, しつつある自主協定は,自発的にターゲット目標
新しい相互依存関係を作り出す効果がある(de
を達成しなければ規制手法が発動されるという条
Bruijn et al 1998:82)。ある政策手法を採用す
件の下に進められている場合が多い(Randall
るとき,それが既存の関係性にどのようなインパ
2002:312)。1970 年代アメリカで排出権取引の
22
特集:越境するガバナンスと公共政策
仕組みが導入されたのも,大気汚染対策に関して
規制の強化が予定されており,それを回避したい
産業界の思惑が背景にあったことはよく知られて
5. 越境する政策手法と政策価値
いる。このように,規制権限は,新しい関係を戦
略的に築く資源として活用することができる。
政策ネットワークをシステム論的に把握すると,
新たな課題に直面したときにネットワークがとり
政策手法が規制と強く結び付いているかぎりに
うる対応は,次の 3 つのレベルで把握することが
おいて,その規制が法的に認められている国家の
できる(Hay 1998:49 51)。
管轄エリアを越えることはできない。ただし,規
第 1 に,ネットワーク内のアクターの相互作用
制手法であっても,様々な国際的な枠組みや専門
の中で対応が図られる(相互作用レベルの対応)。
家間の交流などを通じて政策移転は起こり,国境
変化に対応する必要性を認識したネットワーク内
を越えて波及していくこともある。情報的手法や
部のアクターが戦略を変更し,資源の供給量を自
自主協定手法などのコンテクスト志向手法が定着
律的に調整することで,相互作用のレベルを上昇
してくると,その担い手である民間アクターが他
させ,ネットワークの機能を維持しようとする。
国のアクターと関係を結ぶことで政策のインパク
あるアクターから必要な資金が供給され,あるア
トは波紋のように広がっていく。
クターからは問題解決に必要な情報が開示される。
たとえば,2007 年 10 月,世界の鉄鋼メーカー
特に政府は,規制緩和や権限の委譲,情報や資金
が加盟する国際鉄鋼協会(International Iron
の提供など,他のアクターの資源を増大させるこ
and Steel Institute)の理事会は,鉄鋼プラント
とで,ネットワークの関係性に影響を与え,問題
から排出される二酸化炭素の量などのデータを集
解決能力を維持する「エンパワメント(empow-
め,2012 年までに粗鋼 1 トン当たりのエネルギ
erment)戦略」をとることができる。
ー消費量の削減目標を設定することを決定した。
第 2 に,ネットワークを開放することで,ネッ
つまり,鉄鋼業界において国境を越えた温室効果
トワーク全体の資源の拡大が図られる(資源レベ
ガスの削減の自主的な取組みが始まろうとしてい
ルの対応)。政府は,新たなアクターが参加しや
る。
すいように環境を整え,経済的なインセンティブ
政策手法に関する「グッド・プラクティス」が
などを用意することで,より広いアクターの資源
国境を越えて波及し,各国に形成されているアク
をネットワーク内に取り込む「インボルブメント
ターの関係性の中でも機能するようにカスタマイ
(involvement)戦略」を展開することができる。
ズされていくためには,そのベースとなる政策の
第 3 に,ネットワーク構造全体を変更する(メ
理念を理解する「政策学習(policy learning)」
タポリシーレベルの対応)⑼ 。もはやネットワー
のプロセスが必要とされる。政策学習は,他の価
ク構造全体に問題があると認識されると,ネット
値体系と接触したり,政策の失敗がフィードバッ
ワークの存在に深く関わる基本的な法制度や権限
クされたり,新技術が出現したりすることで,こ
関係の変更が検討される。政府は,新しい相互依
れまで維持されてきた信念体系に変更が加えられ,
存関係を創出することで,新しい状況に対応しよ
政策が革新されるプロセスである。OMC を規定
うとする「リストラクチャリング(restructur-
した「リスボン戦略」でも関係者間の「相互学
ing)戦略」により,政策ネットワークを立て直
習」がひとつの導入目標として掲げられているよ
すことができる。
うに,ヨーロッパにおいて,このようなアプロー
チが意識的に展開されるようになっている
(Howlett and Ramesh 1993)。
D フィオリーノは,アメリカの環境政策に関
する学習プロセスを次のように描いている。1970
年代から 80 年代中ごろまでは「技術的学習」が
重視され,技術的・法的な熟達が目指され,関係
23
風間:ガバナンス時代における政策手法に関する考察
者との間には敵対的な関係が形成された。80 年
代に入ると技術的学習の欠陥が広く認識され,新
しい目標・戦略,政策手法を探求する「概念学
習」が志向されたが,90 年代になると,政策担
当者は,ヨーロッパの環境政策を見習い,アクタ
ー間の相互作用やコミュニケーションを重視する
「社会的学習」の必要性を認識した。そして,ア
メリカの環境政策体系の中に技術的学習に基づく
制度的枠組みが残存している点を問題点として指
摘する。(Fiorino 2001)。すなわち,ガバナンス
の時代においては,政策過程を開放し社会的学習
を促進する制度的な枠組みの構築が求められてい
る。
政策手法は,シンボリックな要素を持っており,
その社会の認識を他者に伝える機能をもっている。
ある政策手法の選択が,その対象となる集団や他
の社会に対して,政策価値の存在を伝え,それが
に 関 す る デ ー タ に つ い て は , Tews et al
(2003)参照。
⑷ EU 環境行動計画の詳細については,Weale
et al (2005:Chap 2)を参照。
⑸ 環境規制の強さと企業誘致の因果関係はそう
単純ではない。詳しくは,Vogel(1995)参照。
⑹ OMC に つ い て は , 福 田 ( 2006 ) と 伊 藤
(2004)に詳しい。
⑺ ただし,OMC のプロセスが国家議会を排除
し,欧州委員会や専門家集団が力を持つことで,
民主的なアカウンタビリティの点で問題が多い
と指摘する論者もいる。Benz(2007)
⑻ 筆者の政策ネットワーク論については,風間
(1999)参照。
⑼ ネットワーク構造の変化に至った実例につい
ては,Klijn et al (1995:446 451)参照。
⑽ 秋吉貴雄は,政策変容を①政策パラダイムの
転換,②政策アイディアの構築,③政策アイデ
ィアの制度化という 3 つの段階で行われる政策
学習のプロセスとして捉えている(秋吉 2007)。
行動に影響していく。政策ネットワークにおける
相互作用を通じて,政策手法が移転・学習される
だけでなく,政策の根底にある価値や原則には,
言葉が与えられ,思想的な意味が付加され,科学
的データに基づく検証や政策実績の蓄積により,
信念として共有される⑽。このようにして共有さ
れた信念が再帰的にアクター間の相互作用に影響
を及ぼす。「汚染者負担の原則」「予防原則」「持
続可能性」といった環境分野における原則は,そ
のようにして国境を越えて共有され,価値として
確立したものである。政策が政府から解放され,
政府が必ずしも政策の公共性を保障するものでは
ないことが明らかになるにつれて,政策に内在す
る価値や理念を確認し共有する必要が高まってい
く。政策の価値レベルの移転・学習が行われる公
共空間を形成する政策手法の開発が今世紀の課題
である。
[注]
⑴
ヨーロッパの政策研究者の間では,「新しい
環 境 政 策 手 法 」( new environmental policy
instruments)は,NEPIs として略語で表現さ
れるほど,共通言語化している。
⑵ 本稿では,環境政策手法の個別的内容には踏
み込まない。詳しくは,Sterner(2003),倉阪
秀史(2004:第 12 章〜14 章)を参照。
⑶ 環境基本計画,エコラベル,環境税,環境情
報提供制度の OECD 諸国・東欧諸国への拡大
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