小学校学習指導要領解説 体育編

小学校学習指導要領解説
体育編
平成20年6月
文
部
科
学
省
目
次
第1章 総 説……………………………………………………………… 1
1 改訂の経緯………………………………………………………… 1
2 体育科改訂の趣旨………………………………………………… 3
3 体育科改訂の要点………………………………………………… 5
第2章 体育科の目標及び内容…………………………………………… 9
第1節 体育科の目標…………………………………………………… 9
1 教科の目標………………………………………………………… 9
2 学 年 の 目 標 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 11
第 2 節 体 育 科 の 内 容 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 12
1 内 容 構 成 の 考 え 方 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 12
2 各 領 域 の 内 容 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 13
第 3 章 各 学 年 の 目 標 及 び 内 容 … … … … … … … … … … … … … … … … … 22
第 1 節 第 1 学 年 及 び 第 2 学 年 の 目 標 及 び 内 容 … … … … … … … … … 22
1 目 標 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 22
2 内 容 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 23
3 内 容 の 取 扱 い … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 36
第 2 節 第 3 学 年 及 び 第 4 学 年 の 目 標 及 び 内 容 … … … … … … … … … 37
1 目 標 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 37
2 内 容 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 38
3 内 容 の 取 扱 い … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 57
第 3 節 第 5 学 年 及 び 第 6 学 年 の 目 標 及 び 内 容 … … … … … … … … … 59
1 目 標 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 59
2 内 容 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 60
3 内 容 の 取 扱 い … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 82
第 4 章 指 導 計 画 の 作 成 と 内 容 の 取 扱 い … … … … … … … … … … … … … 85
1 指 導 計 画 作 成 上 の 留 意 点 … … … … … … … … … … … … … … … … 85
2 内 容 の 取 扱 い … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 87
3 体 育 ・ 健 康 に 関 す る 指 導 … … … … … … … … … … … … … … … … 91
第1章
1
総
説
改訂の経緯
21世 紀 は , 新 し い 知 識 ・ 情 報 ・ 技 術 が 政 治 ・ 経 済 ・ 文 化 を は じ め 社 会 の あ ら
ゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す,いわゆる「知識基盤社
会」の時代であると言われている。このような知識基盤社会化やグローバル化
は ,ア イ デ ィ ア な ど 知 識 そ の も の や 人 材 を め ぐ る 国 際 競 争 を 加 速 さ せ る 一 方 で ,
異なる文化や文明との共存や国際協力の必要性を増大させている。このような
状況において,確かな学力,豊かな心,健やかな体の調和を重視する「生きる
力」をはぐくむことがますます重要になっている。
他 方 ,O E C D( 経 済 協 力 開 発 機 構 )の P I S A 調 査 な ど 各 種 の 調 査 か ら は ,
我が国の児童生徒については,例えば,
①
思考力・判断力・表現力等を問う読解力や記述式問題,知識・技能を活
用する問題に課題,
②
読解力で成績分布の分散が拡大しており,その背景には家庭での学習時
間などの学習意欲,学習習慣・生活習慣に課題,
③
自分への自信の欠如や自らの将来への不安,体力の低下といった課題,
が見られるところである。
こ の た め , 平 成 17年 2 月 に は , 文 部 科 学 大 臣 か ら , 21世 紀 を 生 き る 子 ど も た
ちの教育の充実を図るため,教員の資質・能力の向上や教育条件の整備などと
併せて,国の教育課程の基準全体の見直しについて検討するよう,中央教育審
議会に対して要請があり,同年4月から審議を開始した。この間,教育基本法
改正,学校教育法改正が行われ,知・徳・体のバランス(教育基本法第2条第
1号)とともに,基礎的・基本的な知識・技能,思考力・判断力・表現力等及
び 学 習 意 欲 を 重 視 し ( 学 校 教 育 法 第 30条 第 2 項 ), 学 校 教 育 に お い て は こ れ ら
を調和的にはぐくむことが必要である旨が法律上規定されたところである。中
央教育審議会においては,このような教育の根本にさかのぼった法改正を踏ま
え た 審 議 が 行 わ れ , 2 年 10か 月 に わ た る 審 議 の 末 , 平 成 20年 1 月 に 「 幼 稚 園 ,
小 学 校 ,中 学 校 ,高 等 学 校 及 び 特 別 支 援 学 校 の 学 習 指 導 要 領 等 の 改 善 に つ い て 」
答申を行った。
この答申においては,上記のような児童生徒の課題を踏まえ,
①
改正教育基本法等を踏まえた学習指導要領改訂
-1-
②
「生きる力」という理念の共有
③
基礎的・基本的な知識・技能の習得
④
思考力・判断力・表現力等の育成
⑤
確かな学力を確立するために必要な授業時数の確保
⑥
学習意欲の向上や学習習慣の確立
⑦
豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実
を基本的な考え方として,各学校段階や各教科等にわたる学習指導要領の改善
の方向性が示された。
具 体 的 に は , ① に つ い て は , 教 育 基 本 法 が 約 60年 振 り に 改 正 さ れ , 21世 紀 を
ひら
切り拓く心豊かでたくましい日本人の育成を目指すという観点から,これから
の教育の新しい理念が定められたことや学校教育法において教育基本法改正を
受けて,新たに義務教育の目標が規定されるとともに,各学校段階の目的・目
標規定が改正されたことを十分に踏まえた学習指導要領改訂であることを求め
た。③については,読み・書き・計算などの基礎的・基本的な知識・技能は,
例えば,小学校低・中学年では体験的な理解や繰り返し学習を重視するなど,
発達の段階に応じて徹底して習得させ,学習の基盤を構築していくことが大切
との提言がなされた。この基盤の上に,④の思考力・判断力・表現力等をはぐ
くむために,観察・実験,レポートの作成,論述など知識・技能の活用を図る
学習活動を発達の段階に応じて充実させるとともに,これらの学習活動の基盤
となる言語に関する能力の育成のために,小学校低・中学年の国語科において
音読・暗唱,漢字の読み書きなど基本的な力を定着させた上で,各教科等にお
いて,記録,要約,説明,論述といった学習活動に取り組む必要があると指摘
し た 。ま た ,⑦ の 豊 か な 心 や 健 や か な 体 の 育 成 の た め の 指 導 の 充 実 に つ い て は ,
徳育や体育の充実のほか,国語をはじめとする言語に関する能力の重視や体験
活動の充実により,他者,社会,自然・環境とかかわる中で,これらとともに
生きる自分への自信を持たせる必要があるとの提言がなされた。
こ の 答 申 を 踏 ま え , 平 成 20年 3 月 28日 に 学 校 教 育 法 施 行 規 則 を 改 正 す る と と
もに,幼稚園教育要領,小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領を公示し
た 。 小 学 校 学 習 指 導 要 領 は , 平 成 21年 4 月 1 日 か ら 移 行 措 置 と し て 算 数 , 理 科
等 を 中 心 に 内 容 を 前 倒 し し て 実 施 す る と と も に , 平 成 23年 4 月 1 日 か ら 全 面 実
施することとしている。
-2-
2
体育科改訂の趣旨
平 成 20年 1 月 の 中 央 教 育 審 議 会 の 答 申 に お い て , 学 習 指 導 要 領 等 の 改 善 が
示され,体育科の改善の基本方針については,次のように示されている。
ア
改善の基本方針
(ア) 小 学 校 , 中 学 校 及 び 高 等 学 校 を 通 じ て ,「 体 育 科 , 保 健 体 育 科 に つ い て
は,その課題を踏まえ,生涯にわたって健康を保持増進し,豊かなスポ
ーツライフを実現することを重視し改善を図る。その際,心と体をより
一体としてとらえ,健全な成長を促すことが重要であることから,引き
続き保健と体育を関連させて指導することとする。また,学習したこと
を実生活,実社会において生かすことを重視し,学校段階の接続及び発
達 の 段 階 に 応 じ て 指 導 内 容 を 整 理 し , 明 確 に 示 す こ と で 体 系 化 を 図 る 。」
としている。
(イ) 体 育 に つ い て は ,
「 体 を 動 か す こ と が ,身 体 能 力 を 身 に 付 け る と と も に ,
情緒面や知的な発達を促し,集団的活動や身体表現などを通じてコミュ
ニケーション能力を育成することや,筋道を立てて練習や作戦を考え,
改善の方法などを互いに話し合う活動などを通じて論理的思考力をはぐ
くむことにも資することを踏まえ,それぞれの運動が有する特性や魅力
に応じて,基礎的な身体能力や知識を身に付け,生涯にわたって運動に
親しむことができるように,発達の段階のまとまりを考慮し,指導内容
を 整 理 し 体 系 化 を 図 る 。」 と し て い る 。 ま た , 武 道 に つ い て は ,「 そ の 学
習を通じて我が国固有の伝統と文化に,より一層触れることができるよ
う 指 導 の 在 り 方 を 改 善 す る 。」 と し て い る 。
(ウ) 保 健 に つ い て は ,「 生 涯 を 通 じ て 自 ら の 健 康 を 適 切 に 管 理 し 改 善 し て い
く資質や能力を育成するため,一層の内容の改善を図る。その際,小・
中・高等学校を通じて系統性のある指導ができるように,子どもたちの
発達の段階を踏まえて保健の内容の体系化を図る。また,生活習慣の乱
れやストレスなどが健康に影響することを学ぶことが重要であり,健康
の概念や課題などの内容を明確に示すとともに,心身の発育・発達と健
康,生活習慣病などの疾病の予防,保健医療制度の活用,健康と環境,
傷害の防止としての安全などの内容の改善を図る。特に,小学校低学年
においては,運動を通して健康の認識がもてるよう指導の在り方を改善
す る 。」 と し て い る 。
以上の改善の基本方針に従い,さらに,小学校では,基礎的な身体能力を
身に付け,実生活において運動を豊かに実践していくための資質や能力の基
-3-
礎を培うとともに,身近な生活における健康・安全に関する内容を実践的に
理解できるようにすることを重視して,次のような改善の具体的事項をあげ
ている。
イ
改善の具体的事項
(ア) 運 動 領 域 に つ い て は , 幼 児 教 育 と の 円 滑 な 接 続 を 図 る こ と , 体 力 の 低
下傾向が深刻な問題となっていることや積極的に運動する子どもとそう
でない子どもの二極化への指摘があること,各学年の系統性を図ること
な ど を 踏 ま え , 低 学 年 を 「 体 つ く り 運 動 」,「 器 械 ・ 器 具 を 使 っ て の 運 動
遊 び 」,「 走 ・ 跳 の 運 動 遊 び 」,「 水 遊 び 」,「 ゲ ー ム 」 及 び 「 表 現 リ ズ ム 遊
び 」で 構 成 し ,中 学 年 を「 体 つ く り 運 動 」,「 器 械 運 動 」,「 走 ・ 跳 の 運 動 」,
「 浮 く ・ 泳 ぐ 運 動 」,「 ゲ ー ム 」 及 び 「 表 現 運 動 」 で 構 成 す る 。 高 学 年 に
ついては現行どおりの構成とする。
(イ) 生 涯 に わ た っ て 運 動 に 親 し む 資 質 や 能 力 の 基 礎 を 培 う 観 点 か ら , そ れ
ぞれの運動が有する特性や魅力に応じて指導することができるようにす
るとともに,低学年,中学年及び高学年において,児童に身に付けさせ
たい具体的な内容を明確に示すこととする。その際,指導内容の確実な
定着を図ることができるよう,運動の取り上げ方を一層弾力化し,低学
年,中学年及び高学年に示されている「体つくり運動」以外のすべての
指導内容について,2学年のいずれかの学年で取り上げ指導することも
できるようにする。
(ウ) 「 体 つ く り 運 動 」 に つ い て は , 一 層 の 充 実 が 必 要 で あ る こ と か ら , す
べての学年において発達の段階に応じた指導内容を取り上げ指導するも
のとし,学習したことを家庭などで生かすことができるよう指導の在り
方 を 改 善 す る 。 ま た ,「 体 つ く り 運 動 」 以 外 の 領 域 に お い て も , 学 習 し た
結果としてより一層の体力の向上を図ることができるよう指導の在り方
を改善する。
(エ) 保 健 領 域 に つ い て は , 身 近 な 生 活 に お け る 健 康 ・ 安 全 に 関 す る 基 礎 的
な内容を重視するという観点から,指導内容を改善する。その際,けが
の防止としての生活の安全に関する内容について取り上げ,体の発育・
発達については,発達の段階を踏まえて指導の在り方を改善する。また,
健康な生活を送る資質や能力の基礎を培う観点から,中学校の内容につ
ながる系統性のある指導ができるよう健康に関する内容を明確にし,指
導の在り方を改善する。低学年は,運動領域との関係を踏まえ,健康と
運動のかかわりなど,運動領域の運動を通して健康の認識がもてるよう
指導の在り方を改善する。
-4-
3
体育科改訂の要点
体育科については,中央教育審議会の答申の趣旨を踏まえて,次の方針に
よって改訂を行った。
①
生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の基礎を培う観点を重視し,
各種の運動の楽しさや喜びを味わうことができるようにするとともに,
児童の発達の段階を踏まえ指導内容の明確化を図ること。
②
指導内容の確実な定着を図る観点から,運動の系統性を図るとともに,
運動を一層弾力的に取り上げることができるようにすること。
③
体 力 の 向 上 を 重 視 し ,「 体 つ く り 運 動 」 の 一 層 の 充 実 を 図 る と と も に ,
学習したことを家庭などで生かすことができるようにすること。
④
保健については,身近な生活における健康・安全に関する基礎的な内
容を重視し,指導内容を改善すること。
⑤
また,健康な生活を送る資質や能力の基礎を培う観点から,系統性の
ある指導ができるよう健康に関する内容を明確にすること。
体育科の目標及び内容の改訂の要点は,次のとおりである。
(1) 目 標 に つ い て
教科の目標は,学校教育法において「小学校は,心身の発達に応じて,義
務教育として行われる普通教育のうち基礎的なものを施すことを目的とす
る 。」 と 規 定 さ れ て い る こ と を 踏 ま え ,「 生 涯 に わ た っ て 運 動 に 親 し む 資 質 や
能力の基礎を育てる」ことを明確に示すとともに,この「運動に親しむ資質
や 能 力 の 育 成 」 と 「 健 康 の 保 持 増 進 」,「 体 力 の 向 上 」 の 三 つ の 具 体 的 目 標 が
引き続き相互に密接に関連していることを示した。
(2) 内 容 に つ い て
ア
指導内容の明確化・体系化
基礎的な身体能力を身に付け,運動を豊かに実践していくための基礎
を培う観点から,発達の段階に応じた指導内容の明確化・体系化を図っ
た。
特に「基本の運動」については,高学年への系統性が見えにくいもの
となっていたことから変更し,従前「内容」として示していたものを「領
域」として示すこととした。また,各運動領域において,指導内容を整
理し,当該学年で身に付けさせたい具体的な内容を明確に示すこととし
-5-
た。
イ
体力向上の重視
運動する子どもとそうでない子どもの二極化の傾向や子どもの体力低
下が依然深刻な問題となっていることから,すべての運動領域で適切な
運動の経験を通して,一層の体力の向上を図ることができるよう指導の
在り方を改善することとした。特に「体つくり運動」は,基本的な動き
を培うことをねらいとして低学年から示すとともに,第1学年から第6
学年のすべての学年において指導することとした。
ウ
運動の取上げ方の弾力化
指導内容の確実な定着を図ることができるよう,運動の取上げ方を一
層弾力化し,低・中・高学年に示されている「体つくり運動」以外のす
べての指導内容について,2学年のいずれかの学年で取り上げ指導する
こともできるようにした。
エ
体つくり運動
低 学 年 の 内 容 は ,「 体 ほ ぐ し の 運 動 」 及 び 「 多 様 な 動 き を つ く る 運 動 遊
び 」 で 構 成 し ,「 2 学 年 に わ た っ て 指 導 す る 」 こ と を 「 内 容 の 取 扱 い 」 に
示 し た 。 中 学 年 の 内 容 は ,「 体 ほ ぐ し の 運 動 」 及 び 「 多 様 な 動 き を つ く る
運 動 」 で 構 成 し ,「 2 学 年 に わ た っ て 指 導 す る 」 こ と を 「 内 容 の 取 扱 い 」
に示した。
低・中学年においては,発達の段階を踏まえると,体力を高めること
を学習の直接の目的とすることは難しいが,将来の体力向上につなげて
いくためには,この時期に様々な体の基本的な動きを培っておくことが
重 要 で あ る 。 そ の た め ,「 体 つ く り 運 動 」 で は , 他 の 領 域 に お い て 扱 わ れ
にくい様々な体の基本的な動きを培う運動として,低学年では「多様な
動 き を つ く る 運 動 遊 び 」, 中 学 年 で は 「 多 様 な 動 き を つ く る 運 動 」 を 示 す
こ と と し た 。 ま た , こ の 「 多 様 な 動 き を つ く る 運 動 ( 遊 び )」 に は , 従 前
の 「 基 本 の 運 動 」 の 内 容 と し て 示 さ れ て い た 「 力 試 し の 運 動 ( 遊 び )」 及
び 「 用 具 を 操 作 す る 運 動 ( 遊 び )」 を 含 む も の と し た 。 高 学 年 の 内 容 は 従
前 ど お り と し ,「 2 学 年 に わ た っ て 指 導 す る も の と す る 。 ま た ,「 体 力 を
高める運動」については,体の柔らかさ及び巧みな動きを高めることに
重点を置いて指導する」ことを「内容の取扱い」に示した。なお,今回
示した低学年及び中学年の「体つくり運動」以外の領域のうち,従前の
「 基 本 の 運 動 」 の 内 容 で 示 さ れ て い た も の に つ い て は , 従 前 同 様 ,「 体 ほ
ぐしの運動」の趣旨を含んでいることに変わりはない。
オ
器械運動系
-6-
「器械運動」は従前「内容の取扱い」で「原則として第4学年で指導
する」としていたが,発達の段階を考慮し,第3学年から示すこととし
た。
低 学 年 の 「 器 械 ・ 器 具 を 使 っ て の 運 動 遊 び 」 の 内 容 は ,「 固 定 施 設 を 使
っ た 運 動 遊 び 」,「 マ ッ ト を 使 っ た 運 動 遊 び 」,「 鉄 棒 を 使 っ た 運 動 遊 び 」
及び「跳び箱を使った運動遊び」で構成し,中・高学年の「器械運動」
の 内 容 は ,「 マ ッ ト 運 動 」,「 鉄 棒 運 動 」 及 び 「 跳 び 箱 運 動 」 で 構 成 し た 。
カ
陸上運動系
低 学 年 の 「 走 ・ 跳 の 運 動 遊 び 」 の 内 容 は ,「 走 の 運 動 遊 び 」 及 び 「 跳 の
運 動 遊 び 」 で 構 成 し , 中 学 年 の 「 走 ・ 跳 の 運 動 」 の 内 容 は ,「 か け っ こ ・
リ レ ー 」,「 小 型 ハ ー ド ル 走 」,「 幅 跳 び 」 及 び 「 高 跳 び 」 で 構 成 し た 。 高
学 年 の 「 陸 上 運 動 」 の 内 容 は ,「 短 距 離 走 ・ リ レ ー 」,「 ハ ー ド ル 走 」,「 走
り幅跳び」及び「走り高跳び」で構成した。
キ
水泳系
「水泳」は従前「内容の取扱い」で「原則として第4学年で指導する」
としていたが,発達の段階を考慮し,第5学年から示すこととした。
低 学 年 の 「 水 遊 び 」 の 内 容 は ,「 水 に 慣 れ る 遊 び 」 及 び 「 浮 く ・ も ぐ る
遊 び 」 で 構 成 し , 中 学 年 の 「 浮 く ・ 泳 ぐ 運 動 」 の 内 容 は ,「 浮 く 運 動 」 及
び「泳ぐ運動」で構成した。高学年の「水泳」の内容は従前どおりとし,
「 水 中 か ら の ス タ ー ト を 指 導 す る 」 こ と ,「 学 校 の 実 態 に 応 じ て 背 泳 ぎ を
加えて指導することができる」ことを「内容の取扱い」に示した。
な お , 適 切 な 水 泳 場 の 確 保 が 困 難 な 場 合 に は , 従 前 ど お り ,「 水 遊 び 」,
「浮く・泳ぐ運動」及び「水泳」を取り扱わないことができるが,これ
らを安全に行うための心得については,必ず取り上げることを「指導計
画の作成と内容の取扱い」に示した。
ク
ボール運動系
低学年の「ゲーム」の内容は従前どおりとする。中学年の「ゲーム」
の 内 容 は , 従 前 「 バ ス ケ ッ ト ボ ー ル 型 ゲ ー ム 」,「 サ ッ カ ー 型 ゲ ー ム 」 及
び「ベースボール型ゲーム」で構成していたが,種目個有の技能ではな
く,攻守の特徴(類似性・異質性)や「型」に共通する動きや技能を系
統 的 に 身 に 付 け る と い う 視 点 か ら 種 目 を 整 理 し 「 ゴ ー ル 型 ゲ ー ム 」,「 ネ
ット型ゲーム」及び「ベースボール型ゲーム」で構成した。高学年の「ボ
ー ル 運 動 」 の 内 容 は , 従 前 「 バ ス ケ ッ ト ボ ー ル 」,「 サ ッ カ ー 」 及 び 「 ソ
フトボール又はソフトバレーボール」で構成していたが,中学年と同様
の 視 点 か ら 「 ゴ ー ル 型 」,「 ネ ッ ト 型 」 及 び 「 ベ ー ス ボ ー ル 型 」 で 構 成 し ,
-7-
「ゴール型はバスケットボール及びサッカーを,ネット型はソフトバレ
ーボールを,ベースボール型はソフトボールを主として取り扱うものと
するが,これらに替えてそれぞれの型に応じたハンドボールなどのその
他のボール運動を指導することができる。なお,学校の実態に応じてベ
ースボール型は取り扱わないことができる」ことを「内容の取扱い」に
示した。
ケ
表現運動系
低 学 年 の「 表 現 リ ズ ム 遊 び 」の 内 容 は ,「 表 現 遊 び 」及 び「 リ ズ ム 遊 び 」
で 構 成 し ,「 リ ズ ム 遊 び 」 に つ い て は ,「 簡 単 な フ ォ ー ク ダ ン ス を 含 め て
指導することができる」ことを「内容の取扱い」に示した。中学年の「表
現 運 動 」 の 内 容 は 従 前 ど お り と し ,「 地 域 や 学 校 の 実 態 に 応 じ て フ ォ ー ク
ダンスを加えて指導することができる」ことを「内容の取扱い」に示し
た 。 高 学 年 の 「 表 現 運 動 」 の 内 容 は 従 前 ど お り と し ,「 地 域 や 学 校 の 実 態
に応じてリズムダンスを加えて指導することができる」ことを「内容の
取扱い」に示した。
コ
集団行動
集 団 行 動 に つ い て は ,「 各 学 年 の 各 領 域 ( 保 健 を 除 く 。) に お い て 適 切
に行う」ことを引き続き「指導計画の作成と内容の取扱い」に示した。
サ
雪遊び,氷上遊び,スキー,スケート,水辺活動などの取扱い
自 然 と の か か わ り の 深 い 活 動 に つ い て は ,「 地 域 や 学 校 の 実 態 に 応 じ て
積極的に行うことに留意する」ことを引き続き「指導計画の作成と内容
の取扱い」示した。
シ
保 健 領 域 に つ い て は ,第 3 ・ 4 学 年 で は ,
「 毎 日 の 生 活 と 健 康 」及 び「 育
ちゆく体とわたし」の指導内容を明確にし内容を構成した。
ま た , 第 5 ・ 6 学 年 で は ,「 心 の 健 康 」,「 け が の 防 止 」 及 び 「 病 気 の 予
防」の指導内容を明確にし内容を構成した。
な お , 系 統 性 の 視 点 か ら ,「 毎 日 の 生 活 と 健 康 」 に つ い て は , 健 康 の 状
態 の と ら え 方 と し て 主 体 の 要 因 と 周 囲 の 環 境 の 要 因 を ,「 け が の 防 止 」 に
つ い て は , 身 の 回 り の 生 活 の 危 険 が 原 因 と な っ て 起 こ る け が を ,「 病 気 の
予防」については,地域での保健にかかわる様々な活動に関する内容を
新たに加えることとした。
-8-
第2章
第1節
1
体育科の目標及び内容
体育科の目標
教科の目標
体育科の目標は,小学校教育の中で体育科が分担すべきものを示すととも
に,体育科の学習指導を方向付けるものである。また,これは,学習指導要
領第1章総則の第1の3に示した学校の教育活動全体を通じて行う「体育・
健康に関する指導」の方向を示すものでもある。
今回改訂した体育科の目標は,次のとおりであり,基本的にはこれまでの
体育科の目標を踏まえつつ,その考え方を一層明確にしたものである。
心と体を一体としてとらえ,適切な運動の経験と健康・安全について
の理解を通して,生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の基礎を育て
るとともに健康の保持増進と体力の向上を図り,楽しく明るい生活を営
む態度を育てる。
この目標は,各部分の目標が相互に密接な関連をもちつつ,体育科の究極
的な目標である「楽しく明るい生活を営む態度を育てる」ことを目指すもの
である。
学校教育法では,小学校において「義務教育として行われる普通教育のう
ち基礎的なものを施す」ことや「生涯にわたり学習する基盤が培われるよう
にする」ことが規定されており,今回の改訂においては,この視点をより明
確 に 示 し た 。 ま た ,「 運 動 に 親 し む 資 質 や 能 力 の 育 成 」,「 健 康 の 保 持 増 進 」 及
び「体力の向上」の3つの具体的な目標が相互に密接な関連をもっているこ
とを示すとともに,体育科の重要なねらいであることを示したものである。
次に,体育科の目標に示されている各部分を解説すると次のとおりである。
「心と体を一体としてとらえ」とは,児童の心身ともに健全な発達を促す
ためには,心と体を一体としてとらえた指導が重要であり,心と体の発達の
状態を踏まえて,運動による心と体への効果,健康,特に心の健康が運動と
密接に関連していることなどを理解することの大切さを示したものである。
そ の た め に は ,「 体 ほ ぐ し の 運 動 」 な ど 具 体 的 な 活 動 を 通 し て 心 と 体 が 深 く か
かわっていることを体験できるよう指導することが必要である。
「適切な運動の経験」とは,児童が心身の発達的特性に合った運動を実践
-9-
することによって,運動の楽しさや喜びを味わうことである。このような経
験を通して,児童の運動に対する親しみを育てるとともに,全人的な発達を
目指している。したがって,児童の運動への能力・適性,興味・関心等の状
況に即した指導が,意図的,計画的に展開されることが大切である。そのた
めには,児童の心身の発達的特性の把握,施設や気候条件への配慮,学習内
容の選定,指導計画の作成,学習活動の展開,学習評価などについての検討
が必要である。
「健康・安全についての理解」とは,主として第3学年・第4学年及び第
5学年・第6学年の保健領域に関連したねらいを示すものである。具体的に
は,健康な生活,体の発育・発達,けがの防止,心の健康及び病気の予防に
ついての基礎的・基本的な内容を実践的に理解することである。このことは,
グループ活動や実習などを通して単に知識や記憶としてとどめるだけではな
く,児童が,身近な生活における学習課題を発見し,解決する過程を通して,
健康・安全の大切さに気付くことなどを含んでいる。
「生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の基礎を育てる」とは,生涯に
わたって運動やスポーツを豊かに実践していくためには,小学校段階におい
て,その基礎を確実に育成することが重要であることを強調したものである。
運動に親しむ資質や能力とは,運動への関心や自ら運動をする意欲,仲間と
仲よく運動をすること,各種の運動の楽しさや喜びを味わえるよう自ら考え
たり工夫したりする力,運動の技能などを指している。これらの資質や能力
を育てるためには,児童の能力・適性,興味・関心等に応じて,運動の楽し
さや喜びを味わい,自ら考えたり工夫したりしながら運動の課題を解決する
などの学習が重要である。このことにより,生涯を通じて運動を日常生活の
中に積極的に取り入れ,生活の重要な一部とすることを目指しているもので
ある。
「健康の保持増進」を図るとは,身近な生活における健康・安全に関する
内容を実践的に理解することを通して,自らの生活行動や身近な生活環境に
おける学習課題を把握し,改善することができる資質や能力の基礎を培うこ
とを示したものである。
「体力の向上」を図るとは,各種の運動を適切に行うことによって活力あ
る生活を支え,たくましく生きるための体力の向上を図るということである。
そのためには,発達の段階に応じて高める体力の内容を重点化し,自己の体
力や体の状態に応じた高め方を学ぶことはもとより,学習したことを家庭な
どで生かすなど,体力の向上を図るための実践力を身に付けることができる
ようにすることが必要である。
- 10 -
「楽しく明るい生活を営む態度を育てる」とは,小学校教育における体育
科の果たす究極的な目標である。生涯にわたって運動やスポーツを豊かに実
践するための資質や能力,健康で安全な生活を営む実践力及びたくましい心
身を育てることによって,現在及び将来とも楽しく明るい生活を営むための
基礎づくりを目指しているものである。
2
学年の目標
体育科の各学年の目標は,体育科の目標を踏まえて第1学年から第6学年
までに身に付けさせたいものを,第1学年及び第2学年,第3学年及び第4
学年,第5学年及び第6学年の低・中・高学年の3段階で示している。これ
は,体育の学習指導に弾力性をもたせることを配慮したものである。教科の
目標が体育科の目指す方向を示しているのに対して,学年の目標は,各学年
における体育の学習指導の方向をより具体的に示したものである。
学年の目標の構成は,第1学年及び第2学年では2項目で,第3学年及び
第4学年,第5学年及び第6学年では3項目で構成している。
最 初 の 項 目 で あ る (1)で は , 思 考 ・ 判 断 , 運 動 の 特 性 , 技 能 及 び 体 力 に 関 す
る 目 標 を 示 し て い る 。 次 の 項 目 で あ る (2)で は , 協 力 , 公 正 の 態 度 , 健 康 ・ 安
全に関連した態度や積極的に運動に取り組むなどの態度を示している。また,
第 3 学 年 及 び 第 4 学 年 , 第 5 学 年 及 び 第 6 学 年 の 3 番 目 の 項 目 で あ る (3)は ,
健康で安全な生活を営む資質や能力を育てるなどの保健領域に関連した目標
を示している。
- 11 -
第2節
体育科の内容
体育科の内容は,運動領域と保健領域から構成されている。運動領域が内
容の多くを占めているが,保健領域については第3学年・第4学年及び第5
学年・第6学年の内容の一部として取り上げている。
1 内容構成の考え方
(1) 運 動 領 域
体育科の領域構成は,次表のとおりである。
学年
1
・
2
3
体
領
つ
く
水
遊
4
5
り
器
器械・器具を使っての運動遊び
走・跳の運動遊び
域
・
運
械
走・跳の運動
び
ゲ
浮く・泳ぐ運動
ー
表現リズム遊び
表
保
6
動
運
動
陸
上
水
ム
・
運
動
泳
ボ ー ル 運 動
現
運
動
健
運動領域においては,発達の段階のまとまりを考慮するとともに,基礎的
な身体能力を身に付け,運動を豊かに実践していくための基礎を培う観点か
ら,発達の段階に応じた指導内容の明確化・体系化を図った。各学校におい
ては,身に付けさせたい内容に向けて「何を教える必要があるのか」を整理
し,学習を進めることが求められる。
内容の構成を基本的に,低・中・高学年の3段階で示したことは,各学年
での運動の取上げ方や年間計画においても弾力性をもたせることができるよ
うにしたものである。このことは,個に応じた多様な学習を積極的に行うこ
とを目指したことによるものである。
なお,低・中学年で示していた「基本の運動」は,高学年への系統性が見
えにくく,当該学年で何を身に付けさせたらよいか分かりにくいことから,
従前「内容」として示していたものを「領域」として示すこととした。
これらの領域では,従前の「基本の運動」の趣旨を踏まえ,児童が易しい
運動に仲間との競争やいろいろな課題をもって取り組むことによって,運動
をしたいという欲求を充足し,楽しくできるようにすることが大切である。
- 12 -
また,各運動領域の内容については,子どもたちに身に付けさせたい内容
を 明 確 に す る 視 点 か ら , 基 本 的 に 「 技 能 ( 運 動 )」,「 態 度 」,「 思 考 ・ 判 断 」 で
構 成 す る こ と と し , 特 に ,「 技 能 」 に つ い て は , 運 動 の 楽 し さ や 喜 び を 味 わ わ
せながら身に付けることを強調した。
(2) 保 健 領 域
保健については,身近な生活における健康・安全に関する基礎的な内容を
重視し,健康な生活を送る資質や能力の基礎を培う観点から,小学校におい
て は ,現 行 の 内 容 を 踏 ま え て ,「 毎 日 の 生 活 と 健 康 」,「 育 ち ゆ く 体 と わ た し 」,
「 心 の 健 康 」,「 け が の 防 止 」 及 び 「 病 気 の 予 防 」 の 五 つ の 内 容 と し た 。
2
各領域の内容
(1) 各 運 動 領 域 の 内 容
各運動領域の内容とねらいは,次のとおりである。
ア
体つくり運動
体つくり運動は,心と体の関係に気付くこと,体の調子を整えること,
仲間と交流することなどの体ほぐしをしたり,体力を高めたりするために
行われる運動である。
「体ほぐしの運動」は,いろいろな手軽な運動や律動的な運動を行い,
体を動かす楽しさや心地よさを味わうことによって,自分や仲間の体の状
態に気付き,体の調子を整えたり,仲間と交流したりする運動である。
体力を高めるために行われる運動として,児童の発達の段階に応じて,
低 学 年 に 「 多 様 な 動 き を つ く る 運 動 遊 び 」, 中 学 年 に 「 多 様 な 動 き を つ く る
運 動 」, 高 学 年 に 「 体 力 を 高 め る 運 動 」 を 示 し た 。 低 学 年 は “ 運 動 遊 び ” と
して示しているが,これは児童が易しい運動に出会い,伸び伸びと体を動
かす楽しさや心地よさを味わう遊びであることを強調したもので,以下の
各領域においても同様の趣旨である。
低・中学年においては,発達の段階から体力を高めることを学習の直接
の目的とすることは難しいが,将来の体力の向上につなげていくためには,
この時期にさまざまな体の基本的な動きを培っておくことが重要である。
そ の た め ,「 多 様 な 動 き を つ く る 運 動 ( 遊 び )」 で は , 体 つ く り 運 動 以 外 の
各領域において扱いにくい様々な体の基本的な動きを培う運動を示してい
る 。 な お , こ の 「 多 様 な 動 き を つ く る 運 動 ( 遊 び )」 は , 従 前 の 基 本 の 運 動
- 13 -
の 内 容 と し て 示 し て い た「 力 試 し の 運 動( 遊 び )」,
「 用 具 を 操 作 す る 運 動( 遊
び )」 を 含 ん で い る 。
ま た ,「 器 械 ・ 器 具 を 使 っ て の 運 動 遊 び 」 の 内 容 と し て 示 し て い る 「 固 定
施設を使った運動遊び」は,器械運動の基礎を培う運動遊びであるととも
に,体の基本的な動きを培う運動としても適していることから,中学年に
お い て は ,「 多 様 な 動 き を つ く る 運 動 」 の 例 示 の 中 に 示 し て い る 。
高学年の「体力を高める運動」は,体の柔らかさ及び巧みな動きを高め
るための運動と力強い動き及び動きを持続する能力を高めるための運動を
することとしている。これらの運動は,直接的に体力を高めるためにつく
られた運動であり,一人一人の児童が体力を高めるためのねらいをもって
運動をするところに他の運動との基本的な違いがある。
体つくり運動の学習指導では,体ほぐしや体力を高めるために行われる
運動の必要性を感じとり,その基礎的・基本的な内容を身に付けることが
できるようにするとともに,高学年の体力を高める運動では,児童の発達
の段階を踏まえ,主として「体の柔らかさ及び巧みな動きを高めること」
に重点を置いて指導することとした。
また,子どもたちの体力が低下する中で,運動の楽しさや基本となる体
の動きを身に付けることを重視する視点から低・中学年の授業時数の増加
が図られたこと,運動する子どもとそうでない子どもの二極化や体力の低
下傾向を受け低学年から体つくり運動が取り上げられたことなどを踏まえ,
指導していく必要がある。なお,ややもすると,児童の興味・関心を欠い
た単調な動きの反復に終わってしまうことも考えられるので,ねらいを明
確にして指導するとともに,伴奏音楽などを取り入れ,楽しく授業を展開
することが必要である。
イ
器械運動系
器 械 運 動 系 の 領 域 と し て , 低 学 年 を 「 器 械 ・ 器 具 を 使 っ て の 運 動 遊 び 」,
中・高学年を「器械運動」で構成している。
器 械 ・ 器 具 を 使 っ て の 運 動 遊 び は ,「 固 定 施 設 を 使 っ た 運 動 遊 び 」,「 マ ッ
ト を 使 っ た 運 動 遊 び 」,「 鉄 棒 を 使 っ た 運 動 遊 び 」,「 跳 び 箱 を 使 っ た 運 動 遊
び」で内容を構成している。これらの運動は,いろいろな動きに楽しく取
り組んで,自分の力にふさわしい動きを身に付けたときに喜びを味わうこ
とのできる運動である。
器械・器具を使っての運動遊びの学習指導では,それぞれの器械・器具
の条件のもとで,支持,ぶら下がり,振動,手足での移動,逆さ姿勢,回
- 14 -
転などの基本的な動きができるようになったり,動き方を工夫したりする
ことが課題になる。児童がそれぞれの器械・器具を使った多様な動き方や
遊び方をイメージできるように図で掲示したり,集団で取り組める遊びを
工夫したり,児童が創意工夫した動きを評価したりすることが必要である。
また,器械運動と関連の深い動きを,意図的に取り組ませ,基礎となる感
覚を身に付けさせることが大切である。
器 械 運 動 は , 中 ・ 高 学 年 と も に 「 マ ッ ト 運 動 」,「 鉄 棒 運 動 」,「 跳 び 箱 運
動」で内容を構成している。これらの運動は,技を身に付けたり,新しい
技に挑戦したりするときに楽しさや喜びを味わうことのできる運動である。
また,より困難な条件の下でできるようになったり,より雄大で美しい動
きができるようになったりする楽しさや喜びがある。マット運動は回転技,
倒立技を,鉄棒運動は上がり技,支持回転技,下り技を,跳び箱運動は支
持跳び越し技を取り上げている。なお,マット運動における回転技,倒立
技の分類については,発達の段階を考慮し児童が学びやすくなるようよう
配慮した。
器械運動の学習指導では,これらの運動の中から自己の能力に適した技
に取り組んだり,その技がある程度できるようにしたりするとともに,同
じ技を繰り返したり,技を組み合わせたり,跳び箱運動においては,安定
した着地で跳び越したりできるようにすることが課題となる。加えて,そ
れぞれの運動に集団で取り組み,一人一人ができる技を組み合わせ,調子
を 合 わ せ て 演 技 す る 活 動 を 取 り 入 れ る こ と も で き る 。器 械 運 動 は ,
「 で き る 」,
「できない」がはっきりした運動であることから,すべての児童が技を身
に付ける喜びを味わうことができるよう,自己の技能の程度に応じた技を
選んだり,課題が易しくなるような場や補助具を活用して取り組んだりす
ることが大切である。また,一人一人が自己の課題をもって工夫しながら
取り組み,仲間で互いに励まし合い,助け合って,学習を進めていくよう
に指導することが大切である。加えて,安全に学習ができるよう,技の選
び方,器械・器具の点検,安全な場の確保などについて十分指導する必要
がある。
ウ
陸上運動系
陸 上 運 動 系 の 領 域 と し て , 低 学 年 を 「 走 ・ 跳 の 運 動 遊 び 」, 中 学 年 を 「 走
・ 跳 の 運 動 」, 高 学 年 を 「 陸 上 運 動 」 で 構 成 し て い る 。
走 ・ 跳 の 運 動 遊 び は ,「 走 の 運 動 遊 び 」,「 跳 の 運 動 遊 び 」 で , 走 ・ 跳 の 運
動 は ,「 か け っ こ ・ リ レ ー 」,「 小 型 ハ ー ド ル 走 」,「 幅 跳 び 」,「 高 跳 び 」 で
- 15 -
内容を構成している。これらの運動は,走る・跳ぶなどについて,仲間と
競い合う楽しさや,調子よく走ったり跳んだりする心地よさを味わうこと
ができ,また,体を巧みに操作しながら走る,跳ぶなどのいろいろな動き
を身に付けることを含んでいる運動である。
走・跳の運動遊び及び走・跳の運動の学習指導では,走ったり跳んだり
する動き自体の面白さ・心地よさを引き出す指導を基本にしながら,どの
ような力を持った児童においても競走(争)に勝つことができたり,意欲
的に運動に取り組むことができたりするように,楽しい活動の仕方や場の
工夫をすることが大切である。
陸 上 運 動 は ,「 短 距 離 走 ・ リ レ ー 」,「 ハ ー ド ル 走 」,「 走 り 幅 跳 び 」,「 走
り高跳び」で内容を構成している。これらの運動は,走る,跳ぶなどの運
動で,体を巧みに操作しながら,合理的で心地よい動きを身に付けるとと
もに,仲間と速さや高さ・距離を競い合ったり,自己の目指す記録を達成
したりすることの楽しさや喜びを味わうことのできる運動である。
陸上運動の学習指導では,合理的な運動の行い方を大切にしながら競走
(争)や記録の達成を目指す学習活動が中心となるが,競走(争)では勝
敗が伴うことから,できるだけ多くの児童に勝つ機会が与えられるように
指導を工夫することが大切である。一方,記録を達成する学習活動では,
自己の能力に適した課題をもち,適切な運動の行い方を知って,記録を高
めることができるようにすることが大切である。
エ
水泳系
水 泳 系 の 領 域 と し て , 低 学 年 を 「 水 遊 び 」, 中 学 年 を 「 浮 く ・ 泳 ぐ 運 動 」,
高学年を「水泳」で構成している。
水 遊 び は ,「 水 に 慣 れ る 遊 び 」,「 浮 く ・ も ぐ る 遊 び 」 で , 浮 く ・ 泳 ぐ 運 動
は ,「 浮 く 運 動 」,「 泳 ぐ 運 動 」 で 内 容 を 構 成 し て い る 。 こ れ ら の 運 動 は , 水
中を動き回ったり,もぐったり,浮いたりする心地よさを楽しむ運動であ
る。それぞれの児童の能力にふさわしい課題に挑み,活動を通しての水の
特性について知り,水に慣れ親しむことで,課題を達成する喜びを味わう
ことができる運動である。
水遊び及び浮く・泳ぐ運動の学習指導では,仲間との競争やいろいろな
課題に取り組むことで学習を進めながら,水に慣れ親しむことや浮いたり
泳いだりすることの楽しさや心地よさを味わうことができるようにするこ
とが大切である。そうした指導を通して,技能面では,水にもぐることや
浮くこと,泳ぐための手や足の動きを身に付けることが重要な課題となる。
- 16 -
水 泳 は ,「 ク ロ ー ル 」,「 平 泳 ぎ 」で 内 容 を 構 成 し て い る 。こ れ ら の 運 動 は ,
心地よく泳いだり泳ぐ距離を伸ばしたりすることに楽しさや喜びを味わう
ことができる運動である。このような楽しさや喜びを味わうためには,水
遊びなどで水に慣れ親しむことや,水に浮く・泳ぐなどの経験を十分にし
ておくことが大切である。
水泳の学習指導では,一人一人の児童が自己の能力に応じた課題をもち,
練習を工夫し,互いに協力して学習を進めながら,水泳の楽しさを味わう
ことができるようにすることが大切である。とりわけ技能面では,呼吸の
仕方を身に付けること,手と足の動きに呼吸を合わせながら続けて長く泳
ぐことが重要な課題となる。なお,泳法の指導に合わせて水中からのスタ
-トを指導する。また,水泳の楽しさを広げる観点から,集団でのリズム
水泳などを指導に取り入れていくこともできる。
水泳は生命にかかわることから,水泳場の確保が困難で水泳を扱えない
場合でも,水泳などの安全の心得については必ず指導することが大切であ
り,そのことを「指導計画の作成と内容の取扱い」で示している。また,
水中で目を開ける指導を行った場合には,事後に適切な対処をすることも
大切である。
オ
ボール運動系
ボ ー ル 運 動 系 の 領 域 と し て , 低 ・ 中 学 年 を 「 ゲ ー ム 」, 高 学 年 を 「 ボ ー ル
運動」で構成している。
ゲ ー ム は , 低 学 年 を 「 ボ ー ル ゲ ー ム 」,「 鬼 遊 び 」 で , 中 学 年 を 「 ゴ ー ル
型 ゲ ー ム 」,「 ネ ッ ト 型 ゲ ー ム 」,「 ベ ー ス ボ ー ル 型 ゲ ー ム 」 で 内 容 を 構 成 し
ている。これらの運動は,勝敗を競い合う運動をしたいという欲求から成
立した運動であり,主として集団対集団で競い合い,仲間と力を合わせて
競争することに楽しさや喜びを味わうことができる運動である。
ゲームの学習指導では,仲間と協力してゲームを楽しくすることの工夫
や楽しいゲームを作り上げることが,児童にとって重要な課題となってく
る。集団で勝敗を競うゲームでは,規則を工夫したり作戦を立てたりする
ことを重視しながら,簡単な動きを身に付けて,ゲームを一層楽しくして
いくことが学習の中心となる。また,公正に行動する態度,特に勝敗の結
果をめぐって正しい態度や行動がとれるようにすることが大切である。
ボ ー ル 運 動 は ,「 ゴ ー ル 型 」,「 ネ ッ ト 型 」,「 ベ ー ス ボ ー ル 型 」 で 内 容 を 構
成している。これらの運動は,ルールや作戦を工夫して,集団対集団の攻
防によって競争することに楽しさや喜びを味わうことができる運動である。
- 17 -
ボール運動の学習指導では,互いに協力し,役割を分担して練習を行い,
型に応じた技能を身に付けてゲームをしたり,ルールや学習の場を工夫し
たりすることが学習の中心となる。また,ルールやマナーを守り,仲間と
ゲームの楽しさや喜びを共有することができるようにすることが大切であ
る。
中学年のゲームと高学年のボール運動では,
「 ゴ ー ル 型 」,
「 ネ ッ ト 型 」,
「ベ
ースボール型」の三つの型で内容を構成している。ゴール型は,コート内
で攻守が入り交じり,手や足などを使って攻防を組み立て,一定時間内に
得点を競い合うこと,ネット型は,ネットで区切られたコートの中で攻防
を組み立て,一定の得点に早く達することを競い合うこと,ベースボール
型は,攻守を規則的に交替し合い,一定の回数内で得点を競い合うことを
課題としたゲームである。
な お , こ れ ら の 領 域 に お け る 技 能 は ,「 ボ ー ル 操 作 」 及 び 「 ボ ー ル を 持 た
な い と き の 動 き 」 で 構 成 し て い る 。「 ボ ー ル 操 作 」 は シ ュ ー ト ・ パ ス ・ キ ー
プ ( ゴ ー ル 型 ), サ ー ビ ス ・ パ ス ・ 返 球 ( ネ ッ ト 型 ), 打 球 ・ 捕 球 ・ 送 球 ( ベ
ー ス ボ ー ル 型 ) な ど , 攻 防 の た め に ボ ー ル を 制 御 す る 技 能 で あ る 。「 ボ ー ル
を持たないときの動き」は,空間・ボールの落下点・目標(区域や塁など)
に走り込む,味方をサポートする,相手のプレーヤーをマークするなど,
ボール操作に至るための動きや守備にかかわる動きに関する技能である。
カ
表現運動系
表 現 運 動 系 の 領 域 と し て ,低 学 年 を「 表 現 リ ズ ム 遊 び 」,中 ・ 高 学 年 を「 表
現運動」で構成している。
表 現 リ ズ ム 遊 び は ,「 表 現 遊 び 」,「 リ ズ ム 遊 び 」 で 内 容 を 構 成 し て い る 。
これらの運動は,身近な動物や乗り物などの題材の特徴をとらえて,その
ものになりきって全身の動きで表現したり,軽快なリズムの音楽に乗って
踊ったりして楽しむことができる運動遊びである。また,友達といろいろ
な動きを見つけて踊ったり,みんなで調子を合わせて踊ったりして楽しむ
運 動 遊 び で あ る 。 な お ,「 リ ズ ム 遊 び 」 に は , 中 学 年 の 「 リ ズ ム ダ ン ス 」 と
高学年の「フォークダンス」へのつながりを考慮して,簡単なフォークダ
ンスを軽快なリズムに乗って踊る内容に含めて指導することができること
を「内容の取扱い」に示した。
表 現 リ ズ ム 遊 び の 学 習 指 導 で は ,「 表 現 遊 び 」 と 「 リ ズ ム 遊 び 」 の 両 方 の
遊びを豊かに体験する中で,中学年からの表現運動につながる即興的な身
体表現能力やリズムに乗って踊る能力,コミュニケ-ション能力などを培
- 18 -
えるようにする。そのためには,児童の身近で関心が高く,具体的で特徴
のある動きを多く含む題材や弾んで踊れるような軽快なリズムの音楽を取
り上げるようにし,1時間の学習の中に「表現遊び」と「リズム遊び」の
2つの内容を組み合わせたり関連をもたせたりするなど,いろいろなもの
になりきりやすく,律動的な活動を好む低学年の児童の特性を生かした学
習指導の進め方を工夫することが大切である。
表 現 運 動 は , 中 学 年 を 「 表 現 」,「 リ ズ ム ダ ン ス 」 で , 高 学 年 を 「 表 現 」,
「フォークダンス」で内容を構成している。これらの運動は,自己の心身
を解き放して,リズムやイメージの世界に没入してなりきって踊ることが
楽しい運動であり,互いのよさを生かし合って仲間と交流して踊る楽しさ
や喜びを味わうことができる運動である。
中・高学年の「表現」は,身近な生活などから題材を選んで表したいイ
メージや思いを表現するのが楽しい運動であり,中学年の「リズムダンス」
は,軽快なロックやサンバなどのリズムに乗って仲間とかかわって踊るの
が楽しい運動で,いずれも自由に動きを工夫して楽しむ創造的な学習で進
められるのが特徴である。高学年の「フォークダンス」は,日本各地域の
民踊と外国のフォークダンスで構成され,伝承された踊りを身に付けてみ
んなで一緒に踊るのが楽しい運動であり,特定の踊り方を再現して踊る定
形の学習で進められるのが特徴である。
表現運動の学習指導では,児童一人一人がこれらの踊りの楽しさや喜び
に十分に触れていくことがねらいとなる。そのためには,児童の今もって
いる力やその違いを生かせるような題材や音楽を選ぶとともに,多様な活
動や場を工夫して,一人一人の課題の解決に向けた創意工夫ができるよう
にしていくことが大切である。特に中学年では,題材の特徴をとらえた多
様な感じの表現と全身でリズムに乗って踊る学習を通して,仲間とかかわ
り合いながら即興的に踊る体験を大切にし,高学年では,個人やグループ
の持ち味を生かした題材の選択や簡単なひとまとまりの表現への発展など,
拡 大 す る 個 の 違 い に 対 応 し た 進 め 方 を し て い く こ と が 大 切 で あ る 。ま た ,
「表
現」に加え「フォークダンス」の学習を通して地域や世界の文化に触れる
ことも大切である。
な お ,「 表 現 」 に お け る 技 能 で は ,「 即 興 的 に 表 現 す る こ と 」 と 「 簡 単 な
ひ と ま と ま り の 表 現 を す る こ と 」 が 大 切 で あ る 。「 即 興 的 に 表 現 す る こ と 」
とは,題材から思いつくままにとらえた動きを基に,動きを誇張したり,
変 化 を 付 け た り し て ,「 ひ と 流 れ の 動 き 」 に し て 表 現 す る こ と で あ る 。「 簡
単なひとまとまりの表現をすること」とは,表したいイメージを変化と起
- 19 -
伏のある「はじめ-なか-おわり」の構成を工夫して表現することを示し
ている。
キ
集団行動
各教科,特別活動等の教育活動及び日常の緊急時等では,集団が一つの
単位となって,秩序正しく,能率的に,安全に行動することが求められる
ことが多い。したがって,児童がそれぞれの活動の場にふさわしい集団と
しての行動様式を身に付けておくことが望まれる。
体育の授業における運動領域の学習では,学級単位あるいは学級をいく
つかに分けた小集団で行われることが多く,そこでの活動を円滑に行うに
は,児童が学級単位あるいは小集団で,秩序正しく,能率的に行動するた
めに必要な基本的なものを身に付けておくことが大切である。
(2) 保 健 領 域 の 内 容
保健領域の内容とねらいは,次のとおりである。
ア
毎日の生活と健康
毎日の生活と健康については,健康の大切さを認識するとともに,家庭
や学校における毎日の生活に関心をもち,健康によい生活を続けることに
ついて理解できるようにすることがねらいである。
このため,本内容は,健康の状態は,主体の要因や周囲の環境の要因が
かかわっていること,健康に過ごすには,1日の生活の仕方が深くかかわ
っていること,生活環境を整えることなどが必要であることを中心として
構成している。
イ
育ちゆく体とわたし
体の発育・発達については,年齢に伴う変化及び個人差,思春期の体の
変化などについて理解できるようにすることがねらいである。
このため,本内容は,体は年齢に伴って変化すること,思春期になると
体に変化が起こり,異性への関心も芽生えること,体をよりよく発育・発
達させるには,調和のとれた食事,適切な運動,休養及び睡眠が必要であ
ることなどを中心として構成している。
ウ
心の健康
心の健康については,心は年齢とともに発達すること及び心と体は相互
- 20 -
に影響し合うことについて理解できるようにするとともに,不安や悩みへ
の対処について理解できるようにすることがねらいである。
このため,本内容は,心はいろいろな生活経験を通して年齢に伴って発
達すること,また,心と体は相互に影響し合うこと,さらに,不安や悩み
の対処にはいろいろな方法があることなどを中心として構成している。
エ
けがの防止
けがの防止については,けがが発生する原因や防止の方法について理解
できるようにするとともに,けがの簡単な手当ができるようにすることを
ねらいとしている。
このため,本内容は,交通事故や身の回りの生活の危険が原因となって
起こるけがなどを取り上げ,けがの起こり方とその防止,さらには,簡単
な手当が理解できるようにすることなどを中心として構成している。
オ
病気の予防
病気の予防については,病気の発生要因や予防の方法,喫煙,飲酒,薬
物乱用が健康に与える影響を理解できるようにすることがねらいである。
このため,本内容は,主として病原体が主な要因となって起こる病気と
生活習慣病など生活行動が主な要因となって起こる病気の予防には,病原
体を体の中に入れないことや病原体に対する体の抵抗力を高めること及び
望ましい生活習慣を身に付けることが必要であること,喫煙,飲酒,薬物
乱用などの行為は,健康を損なう原因となること,地域において保健にか
かわる様々な活動が行われていることなどを中心として構成している。
- 21 -
第3章
第1節
1
目
各学年の目標及び内容
第1学年及び第2学年の目標及び内容
標
(1) 簡 単 な き ま り や 活 動 を 工 夫 し て 各 種 の 運 動 を 楽 し く で き る よ う に す
るとともに,その基本的な動きを身に付け,体力を養う。
(2) だ れ と で も 仲 よ く し , 健 康 ・ 安 全 に 留 意 し て 意 欲 的 に 運 動 を す る 態
度を育てる。
(1)は , 各 種 の 運 動 を 簡 単 な き ま り や 活 動 を 工 夫 し て 楽 し く 行 う こ と が で き
ることと基本的な動きを身に付けること及び体力を養うことを目指したもの
である。このことは,運動を楽しく行っていく中で,基本的な動きを身に付
けるとともに体力の養成を図ろうとするものである。
「簡単なきまりや活動を工夫して」は,運動の思考・判断に係る内容を低
学年の児童の発達の段階に応じて示したものであり,各種の運動を楽しむた
めの活動の仕方や競争のル-ルなどを児童の力に応じて工夫することを表し
ている。
「楽しくできるようにする」は,教科の目標に示している「生涯にわたっ
て運動に親しむ資質や能力の基礎を育てる」を踏まえたねらいであり,児童
にとって易しい運動遊びを通して運動の楽しさを味わわせることを目指し,
生涯にわたって運動に親しみ,運動を実践していくための基礎的・基本的な
資質や能力を育てることにつながっているものである。
「基本的な動きを身に付け」は,低学年においても各種の運動を通じて体
の基本的な動きや各種の運動の基礎となる動きを身に付けることが求められ
ていることから,今回新たに示したものである。
「体力を養う」は,低学年の児童の体力に対する認識が低いことから,運
動を楽しく行い,力いっぱい活動する中で,体力の向上を図ろうとするもの
である。
な お , 今 回 の 改 訂 で は ,「 基 本 の 運 動 」 の 領 域 名 称 を 変 更 し た こ と に 伴 い ,
具体的な領域名を示さず,六つの領域を総括して「各種の運動」と示すこと
とした。
(2)で は , 協 力 や 公 正 な ど の 態 度 , 健 康 ・ 安 全 に 関 す る 態 度 及 び 意 欲 的 に 運
動をする態度など,運動を実践する場合に必要な態度のねらいを示している。
- 22 -
「だれとでも仲よくし」は,低学年の各種の運動において,順番やきまり
を守って仲よく運動をしたり,協力して仲よく勝敗を競ったりするなどの態
度の育成を目指したものである。
「健康・安全に留意して」は,運動をする場所や器械・器具の安全に気を
付けたり,水遊びの心得を守ったりして,健康・安全に留意する態度を育て
ることを目指している。
「意欲的に運動をする態度を育てる」は,低学年においても各種の運動に
進んで取り組む態度が求められていることから,今回の改訂で「意欲的に」
を新たに示すこととした。
2
内
容
A
体つくり運動
(1) 運 動
(1) 次 の 運 動 を 行 い , 体 を 動 か す 楽 し さ や 心 地 よ さ を 味 わ う と と も に ,
体の基本的な動きができるようにする。
ア
体ほぐしの運動では,心と体の変化に気付いたり,体の調子を整
えたり,みんなでかかわり合ったりするための手軽な運動や律動的
な運動をすること。
イ
多様な動きをつくる運動遊びでは,体のバランスをとったり移動
をしたりするとともに,用具の操作などをすること。
ア
体ほぐしの運動
体ほぐしの運動は,手軽な運動や律動的な運動を行い,体を動かす楽
しさや心地よさを味わうことによって,自分の体の状態に気付き,体の
調子を整えたり,仲間と豊かに交流したりすることができることをねら
いとして行われる運動である。
「心と体の変化に気付く」とは,体を動かすと気持ちがよいことや,
力いっぱい動くと汗が出たり心臓の鼓動が激しくなったりすることなど
に気付くことである。
「体の調子を整える」とは,運動を通して,日常生活での身のこなし
や体の調子を整えるとともに,心の状態も軽やかにすることである。
「みんなでかかわり合う」とは,だれとでも仲よく,協力したり助け
合ったりし,体を動かす楽しさが増すことを体験することである。
- 23 -
[行い方の例]
○のびのびとした動作で用具などを用いた運動を行うこと。
○リズムに乗って,心が弾むような動作で運動を行うこと。
○リラックスしながらペアでのストレッチングを行うこと。
○動作や人数などの条件を変えて,歩いたり走ったりする運動を行う
こと。
○伝承遊びや集団による運動遊びを行うこと。
イ
多様な動きをつくる運動遊び
多様な動きをつくる運動遊びは,体のバランスをとったり移動をした
りする動きや,用具を操作したり力試しをしたりする動きを意図的には
ぐくむ運動遊びを通して,体の基本的な動きを総合的に身に付けること
をねらいとして行う運動である。
多様な動きをつくる運動遊びは,次のような運動遊びで構成される。
(ア) 体 の バ ラ ン ス を と る 運 動 遊 び
(イ) 体 を 移 動 す る 運 動 遊 び
(ウ) 用 具 を 操 作 す る 運 動 遊 び
(エ) 力 試 し の 運 動 遊 び
(ア) 体 の バ ラ ン ス を と る 運 動 遊 び
姿勢や方向を変えて,回る,寝ころぶ,起きる,座る,立つなどの動
きやバランスを保つ動きで構成される運動遊びを通して,体のバランス
をとる動きを身に付けることができるようにする。
[例示]
○回るなどの動きで構成される運動遊び
・片足を軸にして,右回り・左回りに回ること。
○寝ころぶ,起きるなどの動きで構成される運動遊び
・足の裏を合わせて座り,両手で足を持ち,背中を床に接触しなが
ら回り,起きること。
○座る,立つなどの動きで構成される運動遊び
・友達と肩を組んだり背中を合わせたりして,立ったり座ったりす
ること。
○バランスを保つ動きで構成される運動遊び
・しゃがんだ姿勢で相手のバランスを崩したり,相手にバランスを
崩されないようにしたりすること。
- 24 -
(イ) 体 を 移 動 す る 運 動 遊 び
速さ・リズム・方向などを変えて,這う,歩く,走る,跳ぶ,はねる
などの動きで構成される運動遊びや一定の速さでのかけ足などの運動遊
びを通して,体を移動する動きを身に付けることができるようにする。
[例示]
○這う,歩く,走るなどの動きで構成される運動遊び
・大きな円を右回り・左回りに這ったり,歩いたり,走ったりする
こと。
○跳ぶ,はねるなどの動きで構成される運動遊び
・両足や片足で跳び,空中で向きを変えて足から着地すること。
・両足または片足で,リズムや方向を変えてはねること。
○一定の速さでのかけ足
・無理のない速さでのかけ足を2~ 3 分程度続けること。
(ウ) 用 具 を 操 作 す る 運 動 遊 び
用具をつかむ,持つ,降ろす,回す,転がす,くぐる,運ぶ,投げる,
捕る,跳ぶ,用具に乗るなどの動きで構成される運動遊びを通して,用
具を操作する動きを身に付けることができるようにする。
[例示]
○用具を持つ,降ろす,回す,転がすなどの動きで構成される運動遊び
・大きさや重さの異なるボールを両手でつかんで,持ち上げたり,
回したり,降ろしたりすること。
・輪を倒れないように回したり,転がしたりすること。
○用具をくぐるなどの動きで構成される運動遊び
・長なわでの大波・小波をしたり,回っているなわをくぐりぬけた
りすること。
○用具を運ぶなどの動きで構成される運動遊び
・友達と背中などでボールを挟んで,いろいろな方向に運ぶこと。
○用具を投げる,捕るなどの動きで構成される運動遊び
・上に投げたボールを両手や片手で捕ること。
○用具を跳ぶなどの動きで構成される運動遊び
・短なわで前や後ろの連続両足跳びをすること。
○用具に乗るなどの動きで構成される運動遊び
・足場の低い易しい竹馬などに乗り,歩くこと。
- 25 -
(エ) 力 試 し の 運 動 遊 び
人を押す,引く,運ぶ,支えるなどしたり,力比べをしたりするなど
の動きで構成される運動遊びを通して,力試しの動きを身に付けること
ができるようにする。
[例示]
○人を押す,引く動きや力比べをする動きなどで構成される運動遊び
・すもう遊びで相手を押し出したり,引き合い遊びで引き動かした
りすること。
○人を運ぶ,支える動きなどで構成される運動遊び
・友達をいろいろな方向に引きずったり,おんぶをしたりすること。
・腕立て伏臥の姿勢から自分の体を支え,手や足を支点として回る
こと。
(2) 態 度
(2) 運 動 に 進 ん で 取 り 組 み , き ま り を 守 り 仲 よ く 運 動 を し た り , 場 の 安
全に気を付けたりすることができるようにする。
ア
体ほぐしの運動や多様な動きをつくる運動遊びに進んで取り組むこと。
イ
運動の順番やきまりを守り,友達と仲よく運動をすること。
ウ
用具の準備や片付けを,友達と一緒にすること。
エ
危険物が無いか,友達とぶつからない十分な間隔があるかなどの場の
安全に気を付けること。
(3) 思 考 ・ 判 断
(3) 体 つ く り の た め の 簡 単 な 運 動 の 行 い 方 を 工 夫 で き る よ う に す る 。
ア
体を動かすと気持ちがよいことに気付き,友達と一緒に運動をしたり
用具を使って運動をしたりするなど,楽しく運動できる行い方を選ぶこ
と。
イ
多様な動きをつくる運動遊びの行い方を知り,友達のよい動きを見付
けること。
- 26 -
B
器械・器具を使っての運動遊び
(1) 技 能
(1) 次 の 運 動 を 楽 し く 行 い , そ の 動 き が で き る よ う に す る 。
ア
固定施設を使った運動遊びでは,登り下りや懸垂移行,渡り歩きや
跳び下りをすること。
イ
マットを使った運動遊びでは,いろいろな方向への転がり,手で支
えての体の保持や回転をすること。
ウ
鉄棒を使った運動遊びでは,支持しての上がり下り,ぶら下がりや
易しい回転をすること。
エ
跳び箱を使った運動遊びでは,跳び乗りや跳び下り,手を着いての
またぎ乗りや跳び乗りをすること。
ア
固定施設を使った運動遊び
ジャングルジムや雲梯,登り棒,肋木,平均台などで,いろいろな登り
下りや懸垂移行,渡り歩きや跳び下りをして遊んだり,逆さ姿勢などをと
って遊んだりする。
[例示]
○ジャングルジムを使った運動遊び
・登り下り,渡り歩き,逆さ姿勢などをすること。
○雲梯を使った運動遊び
・懸垂移行や渡り歩きなどをすること。
○登り棒を使った運動遊び
・登り下りや逆さ姿勢などをすること。
○肋木を使った運動遊び
・登り下りや懸垂移行などをすること。
○平均台を使った運動遊び
・渡り歩きや跳び下りなどをすること。
イ
マットを使った運動遊び
マットに背中や腹などをつけていろいろな方向へ転がって遊んだり,手
や背中で支持しての逆立ちなどをして遊んだりする。
[例示]
○ゆりかご,前転がり,後ろ転がり,丸太転がりなど
・マットに背中を順番に接触させるなどして,いろいろな方向に転が
ること。
- 27 -
○背支持倒立,かえるの足打ち,壁登り逆立ち,支持での川跳び
・手や背中で体を支えていろいろな逆立ちをすること。
ウ
鉄棒を使った運動遊び
鉄棒を使って,跳び上がりや跳び下りをして遊んだり,ぶら下がりや回
転などをして遊んだりする。
[例示]
○跳び上がりや跳び下り
・跳び上って支持したり,支持から跳び下りたりすること。
○ぶら下がり
・両手でぶら下がっての振動,片膝をかけての振動,腹をかけてのぶ
ら下がりなどをすること。
○易しい回転
・支持の姿勢から前に回って下りたり,両手でぶら下がって前後に足
抜き回りをしたりすること。
エ
跳び箱を使った運動遊び
跳び箱を使って跳び乗りや跳び下りをして遊んだり,馬跳びやタイヤ跳
びをして遊んだりする。
[例示]
○踏み越し跳び
・片足で踏み切って跳び箱に跳び乗ったり,ジャンプして跳び下りた
りすること。
○支持でまたぎ乗り・またぎ下り,支持で跳び乗り・跳び下り
・数歩の助走から両足で踏み切り,跳び箱に両手を着いてまたぎ乗っ
たり,またいだ姿勢で腕を支点に体重を移動させてまたぎ下りたり
すること。
・数歩の助走から両足で踏み切り,跳び箱に両手をついて両足で跳び
乗ったり,ジャンプして跳び下りたりすること。
○馬跳び,タイヤ跳び
・両手で支持してまたぎ越すこと。
(2) 態 度
(2) 運 動 に 進 ん で 取 り 組 み , き ま り を 守 り 仲 よ く 運 動 を し た り , 場 の 安 全
に気を付けたりすることができるようにする。
- 28 -
ア
固定施設・マット・鉄棒・跳び箱を使った運動遊びに進んで取り組む
こと。
イ
運動の順番やきまりを守り,友達と仲よく運動をすること。
ウ
器械・器具の準備や片付けを,友達と一緒にすること。
エ
器械・器具の使い方や置き方などの場の安全に気を付けること。
(3) 思 考 ・ 判 断
(3) 器 械 ・ 器 具 を 用 い た 簡 単 な 遊 び 方 を 工 夫 で き る よ う に す る 。
ア
いろいろな固定施設や器械・器具を使った運動遊びの行い方を知り,
楽しく遊ぶことができる場や遊び方を選ぶこと。
イ
器械・器具を使っての運動遊びの動き方を知り,友達のよい動きを見
付けること。
C
走・跳の運動遊び
(1) 技 能
(1) 次 の 運 動 を 楽 し く 行 い , そ の 動 き が で き る よ う に す る 。
ア
走の運動遊びでは,いろいろな方向に走ったり,低い障害物を走り
越えたりすること。
イ
跳の運動遊びでは,前方や上方に跳んだり,連続して跳んだりする
こと。
ア
走の運動遊び
距離や方向などを決めて走ったり,手でのタッチやバトンをパスする折
り返しリレー遊びをしたり,段ボールや輪などの低い障害物を用いてのリ
レー遊びをしたりする。
[例示]
○30~50m程度のかけっこ
・いろいろな形状の線上等を蛇行して走ったり,まっすぐに走ったり
すること。
○折り返しリレー遊び,低い障害物を用いてのリレー遊び
・相手に手の平を向けてタッチをしたり,バトンを渡したり受けたり
すること。
・いろいろな間隔に並べられた低い障害物を走り越えること。
- 29 -
イ
跳の運動遊び
助走を付けて片足で踏み切り,前方や上方に跳んだり,片足や両足で連
続して跳んだりする。
[例示]
○幅跳び遊び
・助走を付けて片足で踏み切って前方に跳ぶこと。
○ケンパー跳び遊び
・片足や両足で連続して前方に跳ぶこと。
○ゴム跳び遊び
・助走を付けて片足で踏み切って上方に跳ぶこと。
・片足や両足で連続して上方に跳ぶこと。
(2) 態 度
(2) 運 動 に 進 ん で 取 り 組 み , き ま り を 守 り 仲 よ く 運 動 を し た り , 勝 敗 を 受
け入れたり,場の安全に気を付けたりすることができるようにする。
ア
走の運動遊びや跳の運動遊びに進んで取り組むこと。
イ
運動の順番やきまりを守ったり,友達と仲よく練習や競走(争)をし
たり,勝敗の結果を受け入れたりすること。
ウ
用具の準備や片付けを,友達と一緒にすること。
エ
危険物が無いか,友達とぶつからない十分な間隔があるかなどの場の
安全に気を付けること。
(3) 思 考 ・ 判 断
(3) 走 っ た り 跳 ん だ り す る 簡 単 な 遊 び 方 を 工 夫 で き る よ う に す る 。
ア
走の運動遊びや跳の運動遊びの行い方を知り,楽しく遊ぶことができ
る場や遊び方を選ぶこと。
イ
走ったり跳んだりする動き方を知り,友達のよい動きを見付けること。
- 30 -
D
水遊び
(1)技能
(1) 次 の 運 動 を 楽 し く 行 い , そ の 動 き が で き る よ う に す る 。
ア
水に慣れる遊びでは,水につかったり移動したりすること。
イ
浮く・もぐる遊びでは,水に浮いたりもぐったり,水中で息を吐い
たりすること。
ア
水に慣れる遊び
水につかって,水をかけ合ったりまねっこをしたりして遊んだり,電
車ごっこやリレー遊びなどをして遊んだりする。
[例示]
○水につかってのまねっこ遊び,水かけっこ
・胸まで水につかって大きく息を吸ったり吐いたりすること。
・水を手ですくったりかけたりすること。
・水につかっていろいろな動物などのまねをしながら歩くこと。
○水につかっての電車ごっこやリレー遊び,鬼遊び
・水の抵抗や浮力に負けないように,走ったり方向を変えたりする
こと。
イ
浮く・もぐる遊び
壁や補助具につかまって水に浮いて遊んだり,水にもぐっていろいろ
な遊びをしたりする。
[例示]
○壁につかまっての伏し浮き,補助具を使っての浮く遊び
・壁や補助具につかまり,全身の力を抜いて浮くこと。
○水中でのジャンケン,にらめっこ,石拾い,輪くぐり
・水にもぐって目を開け,いろいろな水中での遊びをすること。
○バブリングやボビング
・水に顔をつけ口や鼻から息を吐いたり,息を止めてもぐり,跳び
上がって空中で息を吸ったりすること。
(2) 態 度
( 2) 運 動 に 進 ん で 取 り 組 み , 仲 よ く 運 動 を し た り , 水 遊 び の 心 得 を 守 っ
- 31 -
て安全に気を付けたりすることができるようにする。
ア
水に慣れる遊びや浮く・もぐる遊びに進んで取り組むこと。
イ
運動の順番を守り,友達と仲よく運動すること。
ウ
補助具の準備や片付けを友達と一緒にすること。
エ
プールサイドは走らないなどの水遊びの心得を守ること。
(3) 思 考 ・ 判 断
(3) 水 中 で の 簡 単 な 遊 び 方 を 工 夫 で き る よ う に す る 。
ア
水に慣れる遊びや浮く・もぐる遊びの行い方を知り,楽しく遊ぶこと
ができる場や遊び方を選ぶこと。
イ
水につかったときの動き方や水に浮いたりもぐったりする動き方を知
り,友達のよい動きを見付けること。
E
ゲーム
(1) 技 能
(1) 次 の 運 動 を 楽 し く 行 い , そ の 動 き が で き る よ う に す る 。
ア
ボールゲームでは,簡単なボール操作やボールを持たないときの動
き に よ っ て ,的 に 当 て る ゲ ー ム や 攻 め と 守 り の あ る ゲ ー ム を す る こ と 。
イ
鬼遊びでは,一定の区域で,逃げる,追いかける,陣地を取り合う
などをすること。
ア
ボールゲーム
ボールゲームとは,簡単なボール操作の「ボール遊び」と簡単な規則で
行 わ れ る 「 ボ ー ル 投 げ ゲ ー ム 」,「 ボ ー ル 蹴 り ゲ ー ム 」 を い う 。「 ボ ー ル 投
げ ゲ ー ム 」,「 ボ ー ル 蹴 り ゲ ー ム 」 で は , 次 の よ う な ゲ ー ム を す る 。
(ア) 物 や マ ー ク な ど の 的 に 向 か っ て ボ ー ル を 投 げ た り 蹴 っ た り す る 的 当 て
のボール遊びで,個人対個人,集団対集団で競争するゲームをする。
(イ) 攻 め と 守 り を 交 代 し な が ら ボ ー ル を 投 げ た り 蹴 っ た り す る ゲ ー ム ( 攻
守 交 代 の ベ ー ス ボ ー ル 型 ゲ ー ム に 発 展 ), 及 び 攻 め と 守 り が 入 り 交 じ り
ながらゴールにボールを投げ入れたり蹴り入れたりするゲーム(ゴール
型ゲームに発展)をする。
- 32 -
[ボール遊びの例示]
○いろいろなボールを投げたり,ついたり,捕ったりしながら行う的当
て遊びやキャッチボール
○いろいろなボールを蹴ったり,止めたりして行う的当て遊びや蹴り合
い
・大小,弾む・弾まないなど,いろいろなボールで,つく,転がす,
投げる,当てる,捕る,蹴る,止めるなどの簡単なボール操作をす
ること。
[ボール投げゲームの例示]
○ボールを転がしたり,投げたりする的当てゲーム
○的当てゲームの発展したシュートゲーム
○ボールを転がしたり,投げたりするドッジボール
[ボール蹴りゲームの例示]
○ボールを蹴って行う的当てゲーム
○的当てゲームの発展したシュートゲーム
○ボールを蹴って行うベースボール
・ねらったところに緩やかにボールを投げたり,転がしたり,蹴った
りすること。
・ボールを捕ったり止めたりすること。
・ボールが飛んだり,転がったりしてくるコースに入ること。
・ボールを操作できる位置に動くこと。
イ
鬼遊び
(ア) 一 定 の 区 域 で 逃 げ る , 追 い か け る , 陣 地 を 取 り 合 う な ど の 簡 単 な 規 則
の鬼遊びをする。
(イ) 工 夫 し た 区 域 や 用 具 で 楽 し く 鬼 遊 び を す る 。
[例示]
○一人鬼,二人組鬼
○宝取り鬼,ボール運び鬼
・相手(鬼)にタッチされたり,自分のマーク(タグやフラッグ)を
取られたりしないように,逃げたり身をかわしたりすること。
・相手(鬼)のいない場所に移動したり,駆け込んだりすること。
・ 2 ・ 3 人 で 連 携 し て ,相 手 (鬼 )を か わ し た り 走 り 抜 け た り す る こ と 。
・逃げる相手を追いかけてタッチしたり,マーク(タグやフラッグ)
を取ったりすること。
- 33 -
(2) 態 度
(2) 運 動 に 進 ん で 取 り 組 み , き ま り を 守 り 仲 よ く 運 動 を し た り , 勝 敗 を 受
け入れたり,場の安全に気を付けたりすることができるようにする。
ア
ボールゲームや鬼遊びに進んで取り組むこと。
イ
運動の順番やきまりを守り,友達と仲よくゲームをすること。
ウ
用具の準備や片付けを,友達と一緒にすること。
エ
危険物がないか,ゲームをする場が十分あるかなどの場の安全に気を
付けること。
(3) 思 考 ・ 判 断
(3) 簡 単 な 規 則 を 工 夫 し た り , 攻 め 方 を 決 め た り す る こ と が で き る よ う に
する。
ア
ボールゲームや鬼遊びの行い方を知り,楽しくゲームができる場や得
点の方法などの規則を選ぶこと。
イ
F
ボールゲームや鬼遊びの動き方を知り,攻め方を見付けること。
表現リズム遊び
(1) 技 能
(1) 次 の 運 動 を 楽 し く 行 い , 題 材 に な り き っ た り リ ズ ム に 乗 っ た り し て 踊
ることができるようにする。
ア
ア
表現遊びでは,身近な題材の特徴をとらえ全身で踊ること。
イ
リズム遊びでは,軽快なリズムに乗って踊ること。
表現遊び
身近な動物や乗り物などのいろいろな題材の様子や特徴をとらえて,そ
のものになりきって全身の動きで楽しく踊る。
[題材と動きの例示]
○鳥,昆虫,恐竜,動物園などの動物や飛行機,遊園地の乗り物など,
児童にとって身近で関心が高く,特徴のある具体的な動きを多く含む
題材
・ い ろ い ろ な 題 材 の 特 徴 や 様 子 を 「 ○ ○ が ○ ○ し て い る と こ ろ 」( サ
- 34 -
ルが木登りをしているところ,小鳥がえさをついばんでいるとこ
ろ,カマキリが敵と戦っているところなど)のような具体的な動
きでとらえ,跳ぶ,回る,ねじる,這う,素早く走るなど,全身の
動きに高・低の差や速さの変化をつけて即興的に踊ること。
・ 動 き の 中 に「 大 変 ! ○ ○ だ 」( 池 に 落 ち た ,サ メ が 襲 っ て く る な ど )
のような急変する場面を入れて簡単な話にして続けて踊ること。
イ
リズム遊び
軽快なリズムの音楽に乗って弾んで自由に踊ったり,友達と調子を合わ
せたりして楽しく踊る。
[リズムと動きの例示]
○弾んで踊れるようなやや速いテンポのロックやサンバなどの軽快なリ
ズムの曲や児童にとって身近で関心の高い曲
・リズムに乗って,弾む,回る,ねじる,スキップするなどの動きを
繰り返して即興的に踊ること。
・友達と手をつないだり,まねをしたりして踊ること。
※「内容の取扱い」で示されているフォークダンスを含めて指導する場合
の[リズム(踊り)と動きの例示]
○ ジ ェ ン カ (フ ィ ン ラ ン ド ), キ ン ダ ー ポ ル カ (ド イ ツ ), タ タ ロ チ カ (ロ
シ ア )な ど , 軽 快 な リ ズ ム と 易 し い ス テ ッ プ の 繰 り 返 し で 構 成 さ れ る
簡単なフォークダンス
・スキップやランニングなどの簡単なステップで,音楽に合わせてみ
んなで踊ること。
(2) 態 度
(2) 運 動 に 進 ん で 取 り 組 み , だ れ と で も 仲 よ く 踊 っ た り , 場 の 安 全 に 気 を
付けたりすることができるようにする。
ア
表現遊びやリズム遊びに進んで取り組むこと。
イ
きまりを守り,だれとでも仲よく踊ること。
ウ
友達とぶつからないよう場の安全に気を付けること。
- 35 -
(3) 思 考 ・ 判 断
(3) 簡 単 な 踊 り 方 を 工 夫 で き る よ う に す る 。
ア
表現遊びやリズム遊びの基本的な動き方を知り,楽しく踊るための動
きを選んだり,友達のよい動きを見付たりすること。
イ
題材やリズムの特徴を知り,それに合った動きを選んだり見付けたり
すること。
3
内容の取扱い
(1) 内 容 の 「 A 体 つ く り 運 動 」 に つ い て は , 2 学 年 に わ た っ て 指 導 す る も
のとする。
(2) 内 容 の 「 F 表 現 リ ズ ム 遊 び 」 の (1)の イ に つ い て は , 簡 単 な フ ォ ー ク
ダンスを含めて指導することができる。
(3) 地 域 や 学 校 の 実 態 に 応 じ て 歌 や 運 動 を 伴 う 伝 承 遊 び 及 び 自 然 の 中 で の
運動遊びを加えて指導することができる。
(4) 各 領 域 の 各 内 容 に つ い て は , 運 動 と 健 康 が か か わ っ て い る こ と の 具 体
的な考えがもてるよう指導すること。
( 1 ) は ,「 A 体 つ く り 運 動 」 の 「 体 ほ ぐ し の 運 動 」 及 び 「 多 様 な 動 き を つ く
る運動遊び」について,それぞれの学年で指導することを示したものである。
ま た ,「 体 つ く り 運 動 」 以 外 の 領 域 に つ い て は , い ず れ か の 学 年 で 指 導 す る こ
ともできることを示したものである。
( 2 ) は ,「 F 表 現 リ ズ ム 遊 び 」 の 「 リ ズ ム 遊 び 」 に つ い て , 軽 快 な リ ズ ム に
乗って踊るという視点がフォークダンスと共通することから,簡単なフォーク
ダンスを含めて指導することができることを示したものである。
( 3 ) は ,「 歌 や 運 動 を 伴 う 伝 承 遊 び 」 及 び 「 自 然 の 中 で の 運 動 遊 び 」 を , 地
域や学校の実態に応じて加えて指導することができることを示したものであ
る。
( 4 ) は ,「 体 は , 活 発 に 運 動 を し た り , 長 く 運 動 を し た り す る と , 汗 が 出 た
り , 心 臓 の 鼓 動 や 呼 吸 が 速 く な っ た り す る こ と 」「 力 一 杯 動 く 運 動 は , 体 を じ
ょうぶにし,健康によいこと」などを各領域において行うことを示したもので
ある。
- 36 -
第2節
1
目
第3学年及び第4学年の目標及び内容
標
(1) 活 動 を 工 夫 し て 各 種 の 運 動 を 楽 し く で き る よ う に す る と と も に , そ の
基本的な動きや技能を身に付け,体力を養う。
(2) 協 力 , 公 正 な ど の 態 度 を 育 て る と と も に , 健 康 ・ 安 全 に 留 意 し , 最 後
まで努力して運動をする態度を育てる。
(3) 健 康 な 生 活 及 び 体 の 発 育 ・ 発 達 に つ い て 理 解 で き る よ う に し , 身 近 な
生活において健康で安全な生活を営む資質や能力を育てる。
(1)は , 活 動 を 工 夫 し て 各 種 の 運 動 を 楽 し く 行 う こ と が で き る よ う に す る と
ともに,中学年で取り組む各種の運動の基本的な動きや技能を身に付け,体力
を養うことを目指したものである。特に,中学年で運動を楽しく行うことと動
きや技能の習得及び体力を養うことを目標としているのは,運動を楽しく行う
中で動きや技能の習得や体力の養成を図ろうとするものである。
「活動を工夫して」とは,運動の楽しさに触れたり,動きや技能を身に付け
たり体力を養ったりすることに向けての動き方や運動する場,練習の仕方など
を工夫することを示したものである。
「各種の運動」とは,体つくり運動,器械運動,走・跳の運動,浮く・泳ぐ
運動,ゲーム及び表現運動を指している。
「楽しくできるようにする」は,教科の目標に示している「生涯にわたって運
動に親しむ資質や能力の基礎を育てる」を踏まえたねらいであり,各種の運動
を力いっぱい行うことによって運動の楽しさを味わわせ,生涯にわたって運動
に親しみ,運動を実践していくための基礎的・基本的な資質や能力を育てるこ
とにつながるものであることを示している。そのためには,活動の場などを工
夫した易しい運動を行ったり,運動の取上げ方の弾力化を工夫したりすること
が重要である。
「その基本的な動きや技能を身に付け」は,体つくり運動,走・跳の運動,
浮く・泳ぐ運動及びゲームについては,運動種目として成立する以前の基本的
な「動き」を身に付けることを,器械運動及び表現運動については,運動種目
としての基本的な「技能」を身に付けることを指している。また,このねらい
は ,「 運 動 を 楽 し く で き る よ う に す る 」 を 踏 ま え た も の で , そ れ ぞ れ の 運 動 を
楽しく行うことを大切にしながら動きや技能を身に付けることを重視したもの
- 37 -
である。
「体力を養う」は,中学年の児童の体力に対する認識が低いことから,運動
を楽しく行い,活発に運動を行っていく中で,体力の向上を図っていこうとす
るものである。したがって,中学年の各種の運動を取り上げるに当たっては,
中学年児童の体力の養成に充分留意することが大切である。
(2)は , 協 力 や 公 正 な ど の 態 度 や 健 康 ・ 安 全 に 関 す る 態 度 及 び 最 後 ま で 努 力
して運動をする態度など,運動を実践する場合に必要な態度に関するねらいを
示している。
「協力,公正などの態度を育てる」は,低学年の「だれとでも仲よくし」と
関連する目標であり,中学年の児童にふさわしい協力,公正などの具体的な態
度の育成を目指したものである。運動の場面における協力や公正は,仲よく運
動をしたり,きまりを守ったり,勝敗を受け入れたりする態度などを指してい
る。
「健康・安全に留意し」は,健康・安全に留意して運動する態度の育成を目
指すもので,運動をする場所の整備,用具の安全を確かめること,浮く・泳ぐ
運動の心得を守ることなど,低学年のねらいを発展させたものである。
「最後まで努力して運動をする態度を育てる」は,運動領域の学習で児童が
学習課題の達成に向かって最後までやり遂げる態度の育成を目指したものであ
る。このねらいは,運動の実践だけでなく日常の生活において必要な態度につ
ながるものである。
(3)は , 保 健 領 域 の ね ら い を 示 し て い る 。
「健康な生活及び体の発育・発達について理解できるようにし」は,保健領
域の内容との関連から,健康の保持増進には,健康の大切さを認識できるよう
にするとともに,毎日の生活の仕方がかかわっていること,体を清潔に保つこ
と,生活環境を健康的に整えることなどがあること,また,発育・発達には,
年齢に伴う体の変化と身近な事柄としての思春期における体の変化などがある
ことについて理解できるようにすることを目指したものである。
「身近な生活において健康で安全な生活を営む資質や能力を育てる」は,こ
れらの身近な生活における健康・安全についての理解を通して,生涯にわたり
健 康 を 保 持 増 進 し ,安 全 な 生 活 を 送 る 資 質 や 能 力 の 育 成 を 目 指 し た も の で あ る 。
2
内
容
A
体つくり運動
(1) 運 動
- 38 -
(1) 次 の 運 動 を 行 い , 体 を 動 か す 楽 し さ や 心 地 よ さ を 味 わ う と と も に , 体
の基本的な動きができるようにする。
ア
体ほぐしの運動では,心と体の変化に気付いたり,体の調子を整え
たり,みんなでかかわり合ったりするための手軽な運動や律動的な運
動をすること。
イ
多様な動きをつくる運動では,体のバランスや移動,用具の操作な
どとともに,それらを組み合わせること。
ア
体ほぐしの運動
体ほぐしの運動は,手軽な運動や律動的な運動を行い,体を動かす楽し
さや心地よさを味わうことによって,自分の体の状態に気付き,体の調子
を整えたり,仲間と豊かに交流したりすることができることをねらいとし
て行われる運動である。
「心と体の変化に気付く」とは,体を動かすと心も弾むことや,体の力
を抜くと気持ちがよいことなどに気付くことである。
「体の調子を整える」とは,運動を通して,日常生活での身のこなしや
体の調子を整えるとともに,心の状態も軽やかにすることである。
「みんなでかかわり合う」とは,だれとでも仲よく,協力したり助け合
っ た り し て 様 々 な 運 動 を す る と ,楽 し さ が 増 す こ と を 体 験 す る こ と で あ る 。
[行い方の例示]
○のびのびとした動作で用具などを用いた運動を行うこと。
○リズムに乗って,心が弾むような動作で運動を行うこと。
○リラックスしながらペアでのストレッチングを行うこと。
○動作や人数などの条件を変えて,歩いたり走ったりする運動を行う
こと。
○伝承遊びや集団による運動を行うこと。
イ
多様な動きをつくる運動
多様な動きをつくる運動は,体のバランスをとったり移動をしたりす
る動きや,用具を操作したり力試しをしたりする動きを意図的にはぐく
む運動を通して,体の基本的な動きを総合的に身に付けるとともに,そ
れらを組み合わせた動きを身に付けることをねらいとして行う運動であ
る。
多様な動きをつくる運動は,次のような運動で構成される。
(ア) 体 の バ ラ ン ス を と る 運 動
- 39 -
(イ) 体 を 移 動 す る 運 動
(ウ) 用 具 を 操 作 す る 運 動
(エ) 力 試 し の 運 動
(オ) 基 本 的 な 動 き を 組 み 合 わ せ る 運 動
(ア) 体 の バ ラ ン ス を と る 運 動
姿勢や方向を変えて,回る,寝ころぶ,起きる,座る,立つ,渡るな
どの動きやバランスを保つ動きで構成される運動を通して,体のバラン
スをとる動きを身に付けることができるようにする。
[例示]
○回るなどの動きで構成される運動
・片足を軸にして,回りながら移動すること。
○寝ころぶ,起きるなどの動きで構成される運動
・友達と両手をつなぎながら,寝転んだり,転がったり,起きたり
すること。
○座る,立つなどの動きで構成される運動
・友達と手をつなぎながら,片足で立ったり座ったりすること。
○渡るなどの動きで構成される運動
・平均台などの器具をいろいろな姿勢で渡ること。
○バランスを保つ動きで構成される運動
・ケンケンしながら相手のバランスを崩したり,相手にバランスを
崩されたりしないようにすること。
(イ) 体 を 移 動 す る 運 動
速さ・リズム・方向などを変えて,這う,歩く,走る,跳ぶ,はねる,
登る,下りるなどの動きで構成される運動や一定の速さでのかけ足など
の運動を通して,体を移動する動きを身に付けることができるようにす
る。
[例示]
○這う,歩く,走るなどの動きで構成される運動
・物や用具の間を速さや方向を変えて這ったり,歩いたり,走った
りすること。
○跳ぶ,はねるなどの動きで構成される運動
・両足で跳び,足じゃんけんをすること。
・速さやリズムの変化を付けたスキップやギャロップをしてはねる
- 40 -
こと。
○登る,下りるなどの動きで構成される運動
・ジャングルジムや肋木に姿勢を変えながら登ったり,下りたりす
ること。
○一定の速さでのかけ足
・無理のない速さでのかけ足を3~4分程度続けること。
(ウ) 用 具 を 操 作 す る 運 動
用具をつかむ,持つ,降ろす,回す,転がす,くぐる,運ぶ,投げる,
捕る,跳ぶ,用具に乗るなどの動きで構成される運動を通して,用具を
操作する動きを身に付けることができるようにする。
[例示]
○用具をつかむ,持つ,回す,降ろすなどの動きで構成される運動
・大きさや重さの異なるボールなどの用具を片手でつかんで,持ち
上げたり,回したり,降ろしたりすること。
○用具をくぐる,運ぶなどの動きで構成される運動
・倒れないように輪を転がしたり,くぐり抜けたりすること。
・両膝や両足首にボールをはさんで運ぶこと
○用具を投げる,捕るなどの動きで構成される運動
・相手に向かって輪を投げたり,投げられた輪を捕ったりすること。
○用具を跳ぶなどの動きで構成される運動
・短なわでの前や後ろの連続片足跳びや交差跳びをすること。
・長なわでの連続回旋跳びをすること。
○用具に乗るなどの動きで構成される運動
・友達に補助されながら竹馬や一輪車に乗ること。
・Gボールに乗って,軽くはずんだり転がったりすること。
(エ) 力 試 し の 運 動
人を押す,引く,運ぶ,支えるなどしたり,力比べをしたりするなどの
動きで構成される運動を通して,力試しの動きを身に付けることができる
ようにする。
[例示]
○人を押す,引く動きや力比べをする動きなどで構成される運動
・押し合いずもうで,重心を低くして相手を押したり,相手から押
されないように踏ん張ったりすること。
- 41 -
・重心を低くして相手を引っ張ること。
・人数を変えて綱引きをすること。
○人を運ぶ,支える動きなどで構成される運動
・友達をおんぶし,安定させながら運ぶこと。
・手押し車など,両腕で自分の体重を支えながら移動すること。
(オ) 基 本 的 な 動 き を 組 み 合 わ せ る 運 動
バランスをとりながら移動したり,用具を操作しながら移動したりする
など2つ以上の動きを同時に行ったり,連続して行ったりする運動を通
して,基本的な動きの組み合わせた動きを身に付けることができるように
する。
[例示]
○バランスをとりながら移動するなどの動きで構成される運動
・物を持ったりかついだりして,バランスを取りながら歩いたり走
ったりすること。
○用具を操作しながら移動するなどの動きで構成される運動
・短なわで跳びながら,歩いたり走ったりすること。
・輪を回しながら,歩いたり走ったりすること。
・投げ上げたボールを落とさないように,いろいろな方向に歩いた
り走ったり回ったりしてから捕ること。
(2) 態 度
(2) 運 動 に 進 ん で 取 り 組 み , き ま り を 守 り 仲 よ く 運 動 を し た り , 場 や 用 具
の安全に気を付けたりすることができるようにする。
ア
体ほぐしの運動や多様な動きをつくる運動に進んで取り組むこと。
イ
きまりを守り,友達と励まし合って運動をすること。
ウ
用具の準備や片付けを,友達と一緒にすること。
エ
場の危険物を取り除いたり,用具の安全を確かめたりすること。
(3) 思 考 ・ 判 断
(3) 体 つ く り の た め の 運 動 の 行 い 方 を 工 夫 で き る よ う に す る 。
- 42 -
ア
運動の仕方によって気持ちが変わることに気付き,友達と一緒に運動
をしたり用具を使って運動をしたりするなど,楽しく運動できる行い方
を選ぶこと。
イ
多様な動きをつくる運動の行い方を知り,友達のよい動きを見付け自
分の運動に取り入れること。
B
器械運動
(1) 技 能
(1) 次 の 運 動 の 楽 し さ や 喜 び に 触 れ , そ の 技 が で き る よ う に す る 。
ア
マット運動では,基本的な回転技や倒立技をすること。
イ
鉄 棒 運 動 で は ,基 本 的 な 上 が り 技 や 支 持 回 転 技 ,下 り 技 を す る こ と 。
ウ
跳び箱運動では,基本的な支持跳び越し技をすること。
「基本的な○○技」とは,類似する技のグループの中で,最も初歩的で易し
い技でありながら,グループの技に共通する技術的課題をもっていて,当該学
年で身に付けておきたい技のことである。
ア
マット運動
基本的な回転技や倒立技に取り組み,それぞれについて自己の能力に適
した技ができるようにする。
指導に際しては,すべての児童が運動の楽しさや喜びに触れることがで
きるよう,技に関連した易しい運動遊びを行ったり,易しい場や条件のも
とで段階的に取り組んだりする。また,基本的な技に十分取り組んだ上
で,それらの発展技に取り組んだり,技を繰り返したり組み合わせたりす
ることに取り組んだりする。
[基本的な回転技の例示]
○ 前 転 ( 発 展 技 : 大 き な 前 転 ,開 脚 前 転 )
・しゃがんだ姿勢から体を丸めて前方に回転し,回転の勢いを利用し
てしゃがみ立ちになること。
○後転(発展技:開脚後転)
・しゃがんだ姿勢から体を丸めて後方へ回転し,両手で押してしゃが
み立ちになること。
[基本的な倒立技の例示]
○壁倒立(発展技:補助倒立,頭倒立,ブリッジ)
・体を振り下ろして両手を着くとともに脚を振り上げ,両足を壁にも
- 43 -
たせかけ逆さ姿勢になること。
○腕立て横跳び越し(発展技:側方倒立回転)
・体を振り下ろして体側に着手するとともに脚を振り上げ,腰の位置
を高く保ちながら反対側へ移動すること。
イ
鉄棒運動
基本的な上がり技や支持回転技,下り技に取り組み,それぞれについて
自己の能力に適した技ができるようにする。
指導に際しては,すべての児童が運動の楽しさや喜びに触れることがで
きるよう,技に関連した易しい運動遊びを行ったり,易しい場や条件のも
とで段階的に取り組んだりする。また,基本的な技に十分取り組んだ上
で,それらの発展技に取り組んだり,技を繰り返したり,上がり技-支持
回転技-下り技を組み合わせたりすることに取り組んだりする。
[基本的な上がり技の例示]
○膝掛け振り上がり(発展技:膝掛け上がり)
・片膝を鉄棒に掛け,他方の脚を前後に大きく振動させ,振動に合わ
せて手首を返し鉄棒に上がること。
○補助逆上がり(発展技:逆上がり)
・補助具を利用した易しい条件のもとで,脚の振り上げとともに上体
を後方へ倒し,手首を返して鉄棒に上がること。
[基本的な支持回転技の例示]
○ か か え 込 み 回 り (発展技:前方支持回転,後方支持回転)
・鉄棒上での支持姿勢から上体を前方(後方)に振り出し,手で脚を
抱え込んで回転すること。
○ 後 方 片 膝 か け 回 転 (発展技:前 方 片 膝 か け 回 転 )
・前後開脚の支持姿勢から後方に上体と脚を大きく振り出して回転
し,前後開脚の支持姿勢に戻ること。
[基本的な下り技の例示]
○前回り下り
・鉄棒上での支持姿勢から前方に回転し,両足をそろえて着地するこ
と。
○転向前下り(発展技:片足踏み越し下り)
・前後開脚の支持姿勢から前方に出した脚と同じ側の手を逆手に持ち
かえ,後方の脚を前に抜きながら順手側の手を離して鉄棒の側方に
着地すること。
○両膝掛け倒立下り(発展技:両膝掛け振動下り)
- 44 -
・鉄棒に両膝を掛けた姿勢から両手を離して倒立姿勢になり,両手を
地面に着いて下りること。
ウ
跳び箱運動
基本的な支持跳び越し技(切り返し系,回転系)に取り組み,それぞれ
の系について自己の能力に適した技ができるようにする。
指導に際しては,すべての児童が運動の楽しさや喜びに触れることがで
きるよう,技に関連した易しい運動遊びを行ったり,易しい場や条件のも
とで段階的に取り組んだりする。また,基本的な技に十分取り組んだ上
で,それらの発展技に取り組んだりする。
[基本的な切り返し系の技の例示]
○ 開 脚 跳 び (発展技:大きな開脚跳び,かかえ込み跳び)
・助走から両足で踏み切り,脚を左右に開いて着手し,跳び越えるこ
と。
[基本的な回転系の技の例示]
○台上前転(発展技:大きな台上前転)
・助走から両足で踏み切り,腰の位置を高く保って着手し,前方に
回転しながら体を開いて着地をすること。
(2) 態 度
(2) 運 動 に 進 ん で 取 り 組 み , き ま り を 守 り 仲 よ く 運 動 を し た り , 場 や 器 械
・器具の安全に気を付けたりすることができるようにする。
ア
マット運動や鉄棒運動,跳び箱運動に進んで取り組むこと。
イ
きまりを守り,友達と励まし合って運動をすること。
ウ
器械・器具の準備や片付けを友達と一緒にすること。
エ
場の危険物を取り除いたり,器械・器具の安全を確かめたりするとと
もに,試技の開始前の安全を確かめること。
(3) 思 考 ・ 判 断
(3) 自 己 の 能 力 に 適 し た 課 題 を も ち , 技 が で き る よ う に す る た め の 活 動 を
工夫できるようにする。
ア
基本的な技の練習の仕方を知り,自分の力に応じた練習方法や練習の
- 45 -
場を選ぶこと。
イ
基本的な技の動き方や技のポイントを知り,自分の力に合った課題を
選ぶこと。
C
走・跳の運動
(1) 技 能
(1) 次 の 運 動 を 楽 し く 行 い , そ の 動 き が で き る よ う に す る 。
ア
ア
かけっこ・リレーでは,調子よく走ること。
イ
小型ハードル走では,小型ハードルを調子よく走り越えること。
ウ
幅跳びでは,短い助走から踏み切って跳ぶこと。
エ
高跳びでは,短い助走から踏み切って跳ぶこと。
かけっこ・リレー
距離を決めて調子よく走ったり,走りながらバトンパスをする周回リレ
ーをしたりする。
[例示]
○40~60m程度のかけっこ
・いろいろな走り出しの姿勢から,素早く走り始めること。
・前後に腕を大きく振って走ること。
・まっすぐ前を見て体を軽く前傾させて走ること。
○周回リレー
・テークオーバーゾーン内で,走りながらバトンパスをすること。
・コーナーの内側に体を軽く傾けて走ること。
イ
小型ハードル走
小型ハードルを自分に合ったリズムで走り越す。
[例示]
○いろいろなリズムでの小型ハードル越え
・インターバルの距離や小型ハードルの高さに応じたいろいろなリズ
ムで小型ハードルを走り越えること。
○40~50m程度の小型ハードル走
・一定の間隔に並べられた小型ハードルを一定のリズムで走り越える
こと。
ウ
幅跳び
- 46 -
短い助走から調子よく踏み切って遠くへ跳ぶ。
[例示]
○短い助走での幅跳び
・5~10m程度の短い助走から踏切り足を決めて前方に踏み切り,
遠くへ跳ぶこと。
・膝を柔らかく曲げて,両足で着地すること。
エ
高跳び
短い助走から調子よく踏み切って高く跳ぶ。
[例示]
○短い助走での高跳び
・3~5歩程度の短い助走から踏切り足を決めて上方に踏み切り,高
く跳ぶこと。
・膝を柔らかく曲げて,足から着地すること。
(2)態 度
(2) 運 動 に 進 ん で 取 り 組 み , き ま り を 守 り 仲 よ く 運 動 を し た り , 勝 敗 を 受
け入れたり,場や用具の安全に気を付けたりすることができるようにす
る。
ア
かけっこ・リレーや小型ハードル走,幅跳びや高跳びに進んで取り組
むこと。
イ
きまりを守り,友達と励まし合って練習や競走(争)をしたり,勝敗
の結果を受け入れたりすること。
ウ
用具の準備や片付けを友達と一緒にすること。
エ
場の危険物を取り除いたり,用具の安全を確かめたりすること。
(3) 思 考 ・ 判 断
(3) 自 己 の 能 力 に 適 し た 課 題 を も ち , 動 き を 身 に 付 け る た め の 活 動 や 競 争
の仕方を工夫できるようにする。
ア
走の運動や跳の運動の動きを身に付けるための練習の仕方を知り,自
分の力に応じた練習方法や練習の場を選ぶこと。
イ
走の運動や跳の運動の動き方や動きのポイントを知り,自分の力に合
- 47 -
った課題を選ぶこと。
ウ
D
仲間との競走(争)の仕方を知り,競走(争)の規則を選ぶこと。
浮く・泳ぐ運動
(1) 技 能
(1) 次 の 運 動 を 楽 し く 行 い , そ の 動 き が で き る よ う に す る 。
ア
浮く運動では,いろいろな浮き方やけ伸びをすること。
イ
泳ぐ運動では,補助具を使ってのキックやストローク,呼吸をしな
がらの初歩的な泳ぎをすること。
「呼吸をしながらの初歩的な泳ぎ」とは,呼吸しながらのばた足泳ぎやかえ
る足泳ぎなど,クロールや平泳ぎなどの近代泳法以外の泳ぎのことである。こ
のような泳ぎは,高学年で行う水泳の前段階となるものである。
ア
浮く運動
補助具などを使う浮きや使わない浮きをしたり,け伸びをしたりする。
[例示]
○伏し浮き,背浮き,くらげ浮きなど
・息を吸い込み,全身の力を抜いていろいろな浮き方をすること。
○け伸び
・プールの底や壁をけり,体を一直線に伸ばして進むこと。
イ
泳ぐ運動
補助具を使ってクロールや平泳ぎの手や足の動きや呼吸の方法を練習し
たり,呼吸をしながらの初歩的な泳ぎをしたりする。
[例示]
○ばた足,かえる足
・壁や補助具につかまり,ももの付け根からのばた足や足の裏で水を
押すかえる足をすること。
○連続したボビング
・水中で息を吐き,顔を上げたときに一気に息を吸うことを連続して
行うこと。
○補助具を使ったクロールや平泳ぎのストローク
・補助具を使って,手を左右交互に前に出し水をかくクロールのスト
ロークや,手の平を下向きにそろえ両手を前方に伸ばし水をかく平
- 48 -
泳ぎのストロークをすること。
○呼吸を伴わない面かぶりクロール,面かぶりの平泳ぎ
・水面に顔を付けて,手と足のバランスのよいクロールをしたり平泳
ぎをしたりすること。
○呼吸をしながらの初歩的な泳ぎ
・ばた足泳ぎやかえる足泳ぎなどで,呼吸をしながら進むこと。
(2) 態 度
(2) 運 動 に 進 ん で 取 り 組 み , 仲 よ く 運 動 を し た り , 浮 く ・ 泳 ぐ 運 動 の 心 得
を守って安全に気を付けたりすることができるようにする。
ア
浮く運動や泳ぐ運動に進んで取り組むこと。
イ
友達と励まし合って運動をすること。
ウ
補助具の準備や片付けを友達と一緒にすること。
エ
ペアがお互いを確認しながら活動するなどの浮く・泳ぐ運動の心得を
守ること。
(3) 思 考 ・ 判 断
(3) 自 己 の 能 力 に 適 し た 課 題 を も ち , 動 き を 身 に 付 け る た め の 活 動 を 工 夫
できるようにする。
ア
浮く運動や泳ぐ運動の動きを身に付けるための練習の仕方を知り,自
分の力に応じた練習方法や練習の場を選ぶこと。
イ
浮く運動や泳ぐ運動の動き方や動きのポイントを知り,自分の力に合
った課題を選ぶこと。
E
ゲーム
(1) 技 能
(1) 次 の 運 動 を 楽 し く 行 い , そ の 動 き が で き る よ う に す る 。
ア
ゴール型ゲームでは,基本的なボール操作やボールを持たないとき
の動きによって,易しいゲームをすること。
イ
ネット型ゲームでは,ラリーを続けたり,ボールをつないだりして
易しいゲームをすること。
- 49 -
け
ウ
ベースボール型ゲームでは,蹴る,打つ,捕る,投げるなどの動き
によって,易しいゲームをすること。
「易 し い ゲ ー ム 」と は ,簡 単 な ボ ー ル 操 作 で 行 え る ,比 較 的 少 人 数 で 行 え る ,
身体接触を避けるなど,児童が取り組みやすいように工夫したゲームをいう。
ア
ゴール型ゲーム
(ア) コ ー ト 内 で 攻 守 入 り 交 じ っ て , ボ ー ル を 手 や 足 で 操 作 し た り , 空 い て
いる場所に素早く動いたりしてゲームをする。
(イ) ゴ ー ル に シ ュ ー ト を し た り , 陣 地 を 取 り 合 っ て 得 点 ゾ ー ン に 走 り こ ん
だりするゲームをする。
[例示]
○ ハ ン ド ボ ー ル , ポ ー ト ボ ー ル な ど を 基 に し た 易 し い ゲ ー ム (手 を 使 っ
たゴール型ゲーム)
○ ラ イ ン サ ッ カ ー , ミ ニ サ ッ カ ー な ど を 基 に し た 易 し い ゲ ー ム (足 を 使
ったゴール型ゲーム)
○ タ グ ラ グ ビ ー や フ ラ ッ グ フ ッ ト ボ ー ル を 基 に し た 易 し い ゲ ー ム (陣 地
を取り合うゴール型ゲーム)
・ボールを持ったときにゴールに体を向けること。
・味方にボールを手渡したり,パスを出したりすること。
・ボール保持者と自分の間に守備者がいないように移動すること。
イ
ネット型ゲーム
(ア) ご く 軽 量 の ボ ー ル を 片 手 や 両 手 で は じ い て 自 陣 の 味 方 に パ ス を し た り
相手コートに返したりして,ラリーの続くゲームをする。また,弾むボ
ールを床や地面に打ちつけて相手コートに返し,ラリーの続くゲームを
する。
(イ) 自 陣 か ら 相 手 コ ー ト に 向 か っ て , 相 手 が 捕 り に く い よ う な ボ ー ル を 打
ち返すゲームをする。
[例示]
○ソフトバレーボールを基にした易しいゲーム
○プレルボールを基にした易しいゲーム
プレルボールは,自陣の床にこぶし又は前腕を用いてボールを打ち
つけ,味方にパスをしたり,自陣のコートにボールを打ちつけて低い
ネットを越し,相手のコートにボールを返したりするゲームである。
中学年では,平手打ちや両手打ちを許容し,チームの人数,ネット
- 50 -
の高さ,コートの大きさなどを工夫することで易しいゲームをする。
・ボールの方向に体を向けたり,ボールの落下点や打ちやすい位置に
体を移動したりすること。
・いろいろな高さのボールを片手又は両手ではじいたり,打ちつけた
り,相手のコートに返球したりすること。
ウ
ベースボール型ゲーム
(ア) ボ ー ル を 蹴 る , 打 つ な ど に よ り 攻 撃 を し た り , 捕 る , 投 げ る な ど に よ
り守備をしたりして,攻守を交代するゲームをする。
(イ) 全 力 で 走 塁 し , 得 点 が と れ る よ う な ゲ ー ム を す る 。
[例示]
○攻撃側がボールを蹴って行うゲーム
○手やラケットなどでボールを打ったり,止まったボールを打ったりし
て行うゲーム
・ボールをフェアグラウンド内に蹴ったり打ったりすること。
・投げる手と反対の足を一歩前に踏み出してボールを投げること。
・向かってくるボールの正面に移動すること。
・ベースに向かって走り,かけ抜けること。
(2) 態 度
(2) 運 動 に 進 ん で 取 り 組 み , 規 則 を 守 り 仲 よ く 運 動 を し た り , 勝 敗 を 受 け
入 れ た り ,場 や 用 具 の 安 全 に 気 を 付 け た り す る こ と が で き る よ う に す る 。
ア
ゴール型ゲームやネット型ゲーム,ベースボール型ゲームに進んで取り
組むこと。
イ
規則を守り,友達と励まし合って練習やゲームをしたり,ゲームの勝
敗の結果を受け入れたりすること。
ウ
用具の準備や片付けを友達と一緒にすること。
エ
場の危険物を取り除いたり,用具の安全を確かめたりすること。
(3) 思 考 ・ 判 断
(3) 規 則 を 工 夫 し た り , ゲ ー ム の 型 に 応 じ た 簡 単 な 作 戦 を 立 て た り す る こ
- 51 -
とができるようにする。
ア
ゴール型ゲームやネット型ゲーム,ベースボール型ゲームの行い方を
知り,楽しくゲームを行うことができるプレーヤーの数やコートのつく
り,プレー上の制限,得点の仕方,ゲームや練習をするときの規則など
を選ぶこと。
イ
F
ゲームの型の特徴に合った攻め方を知り,簡単な作戦を立てること。
表現運動
(1) 技 能
(1) 次 の 運 動 の 楽 し さ や 喜 び に 触 れ , 表 し た い 感 じ を 表 現 し た り リ ズ ム の
特徴をとらえたりして踊ることができるようにする。
ア
表現では,身近な生活などの題材からその主な特徴をとらえ,対比
する動きを組み合わせたり繰り返したりして踊ること。
イ
ア
リズムダンスでは,軽快なリズムに乗って全身で踊ること。
表現
「 身 近 な 生 活 な ど の 題 材 」 と は ,「 具 体 的 な 生 活 か ら の 題 材 」 や そ れ と
対比する「空想の世界からの題材」などを示している。それらの中から表
したい題材を見付け,その主な特徴や感じをとらえてひと流れの動きで即
興的に表現したり,表したい感じを中心に「はじめとおわり」を付けた
動きにしたりして表現することができるようにする。なお,指導に際し
ては,児童の関心や能力にふさわしい題材を取り上げ,多様な表現に取り
組めるようにする。
[題材と動きの例]
○「 具 体 的 な 生 活 か ら の 題 材 」-「 〇 〇 づ く り 」
( 粘 土 細 工 ,料 理 な ど ),
「 1 日 の 生 活 」( 洗 濯 物 , 掃 除 , ス ポ ー ツ な ど ) な ど , 身 近 な 生 活 の
中からイメージがとらえやすく多様な感じの動きを含む題材
・題材の主な特徴をとらえて,表したい感じを大きく・小さく,速く
・遅くなど,動きに差をつけて誇張したり,2人で対応する動きを
繰り返したりして,ひと流れの動きにして即興的に踊ること。
・表したい感じを中心に,感じの異なる動きや急変する場面などをつ
なげて「はじめとおわり」を付けた動きにして感じを込めて踊るこ
と。
○ 「 空 想 の 世 界 か ら の 題 材 」 - 「 〇 〇 探 検 」( ジ ャ ン グ ル , 宇 宙 , 海 底
- 52 -
など)など未知の想像が広がる題材や,忍者や戦いなど 2 人組で対比
する動きを含む題材
・○○探検では多様な場面をとらえて即興的に踊ったり,2人組で
対比する動きでは,
「 追 い つ ・ 追 わ れ つ 」な ど の 対 応 す る 動 き や「 戦
い・対決」などの対立する動きを組み合わせたり,跳ぶ・転がる,
動く・止まるなどの対極の動きを繰り返したりして,ひと流れの動
きで即興的に踊ること。
・表したい場面を中心に,感じの異なる場面や急変する場面などの変
化のある動きをつなげ「はじめとおわり」をつけた動きにして感
じを込めて踊ること。
イ
リズムダンス
軽快なロックやサンバなどのリズムに乗って全身で弾んで踊ったり,友
達と自由にかかわり合ったりして楽しく踊ることができるようにする。
[リズムと動きの例]
○弾んで踊れる軽快なテンポのロックやサンバのリズムの曲
○いろいろな速さや曲調の異なるロックやサンバのリズムの曲
・軽快なロックやサンバのリズムに乗って,その場で弾む,スキップ
で移動するなど全身で即興的に踊ること。
・動きにアクセントをつけたり,ねじる・回るなどの動きを組み合わ
せたり,素早い動きやストップなどでリズムの変化をつけたりして
続けて踊ること。
・ロックの弾みや後打ち(後拍が強調された弱起のリズムでアフタ
ー ビ ー ト と も い う ), サ ン バ の 「 ウ ン タ ッ タ 」( ※ 下 線 は , 強 調 を
表す)のシンコペーション(拍子の強弱を逆転させたり変化させ
たりしたリズム)のリズムの特徴をとらえ,体の各部分でリズム
をとったり,体幹部(おヘソ)を中心にリズムに乗ったりして全身
で踊ること。
・2・3人で手をつないだりくぐり抜けたりして自由にかかわり合っ
て踊ったり,友達と調子を合わせたり対応したりして踊ること。
(2) 態 度
(2) 運 動 に 進 ん で 取 り 組 み , だ れ と で も 仲 よ く 練 習 や 発 表 を し た り , 場 の
安全に気を付けたりすることができるようにする。
- 53 -
ア
表現やリズムダンスに進んで取り組むこと。
イ
きまりを守り,友達と励まし合って練習や発表,交流をすること。
ウ
活動の場の安全を確かめること。
(3) 思 考 ・ 判 断
(3) 自 己 の 能 力 に 適 し た 課 題 を 見 付 け , 練 習 や 発 表 の 仕 方 を 工 夫 で き る よ
うにする。
ア
題材やリズムの特徴を知り,自分の能力に合った題材やリズムを選ぶ
こと。
イ
表現やリズムダンスの動きのポイントを知り,楽しく踊るための自分
に合った課題を見付けること。
ウ
G
よい動きを知り,友達のよい動きを自分の踊りに取り入れること。
保健
(1) 毎 日 の 生 活 と 健 康
(1) 健 康 の 大 切 さ を 認 識 す る と と も に , 健 康 に よ い 生 活 に つ い て 理 解 で き
るようにする。
ア
心や体の調子がよいなどの健康の状態は,主体の要因や周囲の環境
の要因がかかわっていること。
イ
毎日を健康に過ごすには,食事,運動,休養及び睡眠の調和のとれ
た生活を続けること,また,体の清潔を保つことなどが必要であるこ
と。
ウ
毎日を健康に過ごすには,明るさの調節,換気などの生活環境を整
えることなどが必要であること。
毎日の生活と健康については,児童が自ら主体的に健康によい生活を送るた
めの基礎として,健康の大切さを認識させるとともに,毎日の生活に関心をも
たせ,健康によい生活の仕方を理解できるようにする必要がある。
このため,本内容は,健康の状態には主体の要因や周囲の環境の要因がかか
わっていること,また,健康を保持増進するには,1日の生活の仕方が深くか
かわっていること,体を清潔に保つこと,生活環境を整えることが必要である
ことなどを中心として構成している。
- 54 -
健康の状態
ア
健康な生活とわたし
毎
・主体の要因
・周囲の環境の要因
日
の
生
活
イ
1日の生活の仕方
・食事,運動,休養及び
と
毎日を健康
睡眠の調和のとれた生
健
に過ごす
活
康
・体の清潔
ウ
身の回りの環境
・明るさの調節
・換気
ア
健康な生活とわたし
健康の状態には,気持ちが意欲的であること,元気なこと,具合の悪い
ところがないことなどの心や体の調子がよい状態があることを理解できる
ようにする。また,健康の状態には,1日の生活の仕方などの主体の要因
や身の回りの環境の要因がかかわっていることを理解できるようにする。
その際,心や体が健康であることは,人とかかわりながら明るく充実し
た毎日の生活を送れることにつながり,健康がかけがえのないものである
ことにも触れるようにする。
イ
1日の生活の仕方
健康の保持増進には,1日の生活の仕方が深くかかわっており,1日の
生活のリズムに合わせて,食事,運動,休養及び睡眠が必要であることを
理解できるようにする。
また,手や足などの清潔,ハンカチや衣服などの清潔を保つことが必要
であることを理解できるようにする。
なお,自分の生活を見直すことを通して,健康によい1日の生活の仕方
を実践する意欲をもてるようにする。
ウ
身の回りの環境
健康の保持増進には,生活環境がかかわっており,部屋の明るさの調節
や換気などの生活環境を整えることが必要であることを理解できるように
- 55 -
する。
なお,自分の生活を見直すことを通して,生活環境を整えるために自分
でできることに気付かせ,実践する意欲をもてるようにする。
(2) 育 ち ゆ く 体 と わ た し
(2) 体 の 発 育 ・ 発 達 に つ い て 理 解 で き る よ う に す る 。
ア
体は,年齢に伴って変化すること。また,体の発育・発達には,個
人差があること。
イ
体は,思春期になると次第に大人の体に近づき,体つきが変わった
り,初経,精通などが起こったりすること。また,異性への関心が芽
生えること。
ウ
体をよりよく発育・発達させるには,調和のとれた食事,適切な運
動,休養及び睡眠が必要であること。
体の発育・発達については,その一般的な現象や思春期の体の変化などにつ
いて理解できるようにする必要がある。また,体をよりよく発育・発達させる
ための生活の仕方について理解できるようにする必要がある。
このため,本内容は,体が年齢に伴って変化すること,体の発育・発達には
個人差があること,思春期になると体に変化が起こり,異性への関心も芽生え
ること,体の発育・発達には調和のとれた食事,適切な運動,休養及び睡眠が
必要であることなどを中心として構成している。
ア
体の発育・発達
・年齢に伴う変化
体
・体の変化の個人差
の
発
イ
思春期の体の変化
・男女の特徴
育
・初経,精通など
・
・異性への関心
発
達
ウ
体をよりよく発育・
・ 発育・発達させるための調和
発達させるための生活
のと れた食事 ,適 切な運動,
休養及び睡眠
ア
体の発育・発達
体の発育・発達については,身長,体重などを適宜取り上げ,これらは年
- 56 -
齢に伴って変化することを理解できるようにするとともに,体の変化には個
人差があることを理解できるようにする。
イ
思春期の体の変化
(ア) 思 春 期 に は , 体 つ き に 変 化 が 起 こ り , 人 に よ っ て 違 い が あ る も の の , 男
子はがっしりした体つきに,女子は丸みのある体つきになるなど,男女の
特徴が現れることを理解できるようにする。
(イ) 思 春 期 に は , 初 経 , 精 通 , 変 声 , 発 毛 が 起 こ り , ま た , 異 性 へ の 関 心 も
芽生えることについて理解できるようにする。さらに,これらは,個人に
よって早い遅いがあるもののだれにでも起こる,大人の体に近づく現象で
あることを理解できるようにする。
なお,指導に当たっては,発達の段階を踏まえること,学校全体で共通
理解を図ること,保護者の理解を得ることなどに配慮することが大切であ
る。
ウ
体をよりよく発育・発達させるための生活
体をよりよく発育・発達させるための生活の仕方には,多くの種類の食品
をとることができるような調和のとれた食事,体の発育・発達によい適切な
運動,休養及び睡眠などが必要であることを理解できるようにする。
その際,食事については,特に,体を作るもとになるたん白質,不足がち
なカルシウム,不可欠なビタミンなどを摂取する必要があることについて触
れるようにする。
3
内容の取扱い
(1) 内 容 の 「 A 体 つ く り 運 動 」 に つ い て は , 2 学 年 に わ た っ て 指 導 す る も
のとする。
(2) 内 容 の 「 F 表 現 運 動 」 の (1)に つ い て は , 地 域 や 学 校 の 実 態 に 応 じ て
フォークダンスを加えて指導することができる。
(3) 内 容 の 「 G 保 健 」 に つ い て は , (1)を 第 3学 年 , (2)を 第 4学 年 で 指 導 す
るものとする。
(4) 内 容 の 「 G 保 健 」 の (1)に つ い て は , 学 校 で も , 健 康 診 断 や 学 校 給 食
など様々な活動が行われていることについて触れるものとする。
(5) 内 容 の 「 G 保 健 」 の (2)に つ い て は , 自 分 と 他 の 人 で は 発 育 ・ 発 達 な
どに違いがあることに気付き,それらを肯定的に受け止めることが大切
- 57 -
であることについて触れるものとする。
( 1 ) は ,「 A 体 つ く り 運 動 」 の 「 体 ほ ぐ し の 運 動 」 及 び 「 多 様 な 動 き を つ く
る 運 動 」に つ い て ,そ れ ぞ れ の 学 年 で 指 導 す る こ と を 示 し た も の で あ る 。ま た ,
「体つくり運動」以外の領域については,いずれかの学年で指導することもで
きることを示したものである。
(2)は ,「 F 表 現 運 動 」 に つ い て ,「 フ ォ ー ク ダ ン ス 」 を 地 域 や 学 校 の 実 態 に
応じて加えて指導することができることを示したものである。
(3)は ,「 G 保 健 」 の 内 容 の 「 (1)毎 日 の 生 活 と 健 康 」 を 第 3 学 年 で ,「 (2)育
ちゆく体とわたし」を第4学年で指導することを示したものである。
(4)は , 学 校 で の 健 康 診 断 や 学 校 給 食 な ど は , 学 校 全 体 で 計 画 的 に 行 わ れ て
いること,また,保健室では,養護教諭が中心となってけがの手当や健康につ
いての相談などが行われ,学校での保健活動の中心的な役割を担っていること
などを取り上げ,保健活動の大切さについて気付かせるよう配慮するものとす
ることを示したものである。
(5)は , 自 分 を 大 切 に す る 気 持 ち を 育 て る 観 点 か ら , 自 分 の 体 の 変 化 や 個 人
による発育の違いなどについて自分のこととして実感し,肯定的に受け止める
ことが大切であることに気付かせるよう配慮するものとすることを示したもの
である。
- 58 -
第3節
1
目
第5学年及び第6学年の目標及び内容
標
(1) 活 動 を 工 夫 し て 各 種 の 運 動 の 楽 し さ や 喜 び を 味 わ う こ と が で き る よ う
にするとともに,その特性に応じた基本的な技能を身に付け,体力を高
める。
(2) 協 力 , 公 正 な ど の 態 度 を 育 て る と と も に , 健 康 ・ 安 全 に 留 意 し , 自 己
の最善を尽くして運動をする態度を育てる。
(3) 心 の 健 康 , け が の 防 止 及 び 病 気 の 予 防 に つ い て 理 解 で き る よ う に し ,
健康で安全な生活を営む資質や能力を育てる。
(1)は , 活 動 を 工 夫 し て 各 種 の 運 動 の 楽 し さ や 喜 び を 味 わ う こ と が で き る よ
うにするとともに,基本的な技能を習得し,体力を高めることを目指したもの
である。
「活動を工夫して」とは,運動の楽しさに触れたり,技能を身に付けたり体
力を高めたりすることに向けての動き方や運動する場,練習の仕方などの工夫
を表したものである。
「各種の運動」とは,体つくり運動,器械運動,陸上運動,水泳,ボ-ル運
動及び表現運動を指している。
「楽しさや喜びを味わうことができるようにする」は,教科の目標に示して
いる「生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の基礎を育てる」を踏まえたも
のであり,このねらいは,中学年の「楽しくできるようにする」をやや程度を
高め,運動の楽しさや喜びをより一層深めることに重点を置いている。
「その特性に応じた基本的な技能を身に付け」は,各運動領域の特性に応じ
た 基 本 的 な 技 能 を 身 に 付 け る こ と を 目 指 し た も の で あ る 。ま た ,こ の ね ら い は ,
「各種の運動の楽しさや喜びを味わうことができるようにする」を踏まえ,そ
れぞれの運動の楽しさや喜びを味わうことを大切にしながら技能を身に付ける
ことを重視したものである。
「体力を高める」は,運動を楽しく行う中で体力の向上を図ろうとするもの
で あ り ,「 高 め る 」 と し て い る の は , 高 学 年 児 童 が 体 力 の 高 め 方 に 関 す る 理 解
が あ る 程 度 で き る よ う に な っ て い る こ と を 考 慮 し て ,「 体 つ く り 運 動 」 で 意 図
的に体力を高めるための指導を行うこととしたことによるものである。
(2)は , 協 力 , 公 正 な ど の 態 度 , 健 康 ・ 安 全 に 関 す る 態 度 , 自 己 の 最 善 を 尽
くして運動をする態度など,運動を実践する場合に必要な態度に関するねらい
- 59 -
を示している。
「協力や公正などの態度を育てる」は,高学年の児童にふさわしい協力,公
正などの具体的な態度の育成を目指したものである。
「健康・安全に留意し」は,中学年における目標の考え方と同様である。
「自己の最善を尽くして運動をする態度を育てる」は,運動領域の学習で児
童が学習課題の達成へ向けて全力を出して運動に取り組む態度の育成を目指し
たものである。このねらいは,運動の実践だけでなく日常の生活において必要
な態度につながるものである。
(3)は , 保 健 領 域 の ね ら い を 示 し て い る 。
「心の健康,けがの防止及び病気の予防について理解できるようにし」は,
保健領域の内容との関連から,心の発達や心と体の密接な関連及び不安や悩み
への対処の仕方,交通事故や身の回りの生活の危険を予測し,回避すること,
病気の起こり方と予防について理解できるようにすることを目指している。
「 健 康 で 安 全 な 生 活 を 営 む 資 質 や 能 力 を 育 て る 」は ,こ れ ら の 理 解 を 通 し て ,
生涯にわたり健康を保持増進し,安全な生活を営む資質や能力の育成を目指し
たものである。
2
内
容
A
体つくり運動
(1)運 動
(1) 次 の 運 動 を 行 い , 体 を 動 か す 楽 し さ や 心 地 よ さ を 味 わ う と と も に , 体
力を高めることができるようにする。
ア
体ほぐしの運動では,心と体の関係に気付いたり,体の調子を整え
たり,仲間と交流したりするための手軽な運動や律動的な運動をする
こと。
イ
体力を高める運動では,ねらいに応じて,体の柔らかさ及び巧みな
動きを高めるための運動,力強い動き及び動きを持続する能力を高め
るための運動をすること。
ア
体ほぐしの運動
体ほぐしの運動は,手軽な運動や律動的な運動を行い,体を動かす楽し
さや心地よさを味わうことによって,自分や仲間の体の状態に気付き,体
の調子を整えたり,仲間と豊かに交流したりすることができることをねら
- 60 -
いとして行われる運動である。
「心と体の関係に気付く」とは,運動すると心が軽くなったり,体の
力を抜くとリラックスできたりすることなど,心と体が関係し合ってい
ることなどに気付くことである。
「体の調子を整える」とは,運動を通して,日常生活での身のこなしや
体の調子を整えるとともに,心の状態も軽やかにし,ストレスを軽減し
たりすることである。
「仲間と交流する」とは,運動を通して仲間と豊かにかかわる楽しさを
体験し,さらには仲間のよさを認め合うことができることである。
[行い方の例]
○のびのびとした動作で用具などを用いた運動を行うこと。
○リズムに乗って,心が弾むような動作での運動を行うこと。
○互いの体に気付き合いながらペアでのストレッチングを行うこと。
○動作や人数などの条件を変えて,歩いたり走ったりする運動を行う
こと。
○伝承遊びや集団による運動を行うこと。
イ
体力を高める運動
体 力 を 高 め る 運 動 は ,「 多 様 な 動 き を つ く る 運 動 遊 び 」 や 「 多 様 な 動 き
をつくる運動」で身に付けた動きや動きの組み合わせをもとに,体力の必
要性や体力を高めるための運動の行い方を理解し,自己の体力に応じて体
力つくりが実践できることをねらいとするものである。
体力を高める運動は,体力の向上を直接のねらいとして行われる運動で
あり,次のような運動で構成される。
(ア) 体 の 柔 ら か さ 及 び 巧 み な 動 き を 高 め る た め の 運 動
(イ) 力 強 い 動 き 及 び 動 き を 持 続 す る 能 力 を 高 め る た め の 運 動
特に,高学年児童の発達の段階を考慮し,体の柔らかさや巧みな動きを
高めるための運動に重点を置いて指導する。
(ア) 体 の 柔 ら か さ 及 び 巧 み な 動 き を 高 め る た め の 運 動
「体の柔らかさを高めるための運動」とは,体の各部位の可動範囲を広げ
ることをねらいとして行 う運動である。
「巧みな動きを高めるための運動」とは,人や物の動きに対応してタイミ
ングよく動くこと,バランスをとって動くこと,リズミカルに動くこと,力
を調整して動くことができる能力を高めることなどをねらいとして行う運動
- 61 -
である。
[例示]
○徒手での運動
・各部位を大きく広げたり曲げたりする姿勢を維持すること。
・ 全 身 や 各 部 位 を 振 っ た り ,回 し た り ,ね じ っ た り す る こ と 。
○用具などを用いた運動
・短なわや長なわを使っていろいろな跳び方をすること。
・投げ上げたボールを姿勢を変えて捕球すること。
・用具などを狭い間隔に並べたコースをリズミカルに走ること。
・跳び箱,平均台などの器具で作った段差のあるコースで,物を持
ったり姿勢を変えたりして,移動すること。
(イ) 力 強 い 動 き 及 び 動 き を 持 続 す る 能 力 を 高 め る た め の 運 動
「力強い動きを高めるための運動」とは,自己の体重を利用したり,人や物
など,抵抗に対してそれを動かしたりすることによって,力強 い 動 き を 高 め
ることをねらいとして行う運 動 で あ る 。
「動きを持続する能力を高めるための運動」とは,一つの運動又は複数の運
動を組み合わせて一定の時間に連続して行ったり,一定の回数を反復して行
ったりすることによっ て , 動 き を 持 続 す る 能 力 を 高 め る こ と を ね ら い と し
て行う運動である。
[例示]
○人や物の重さなどを用いた運動
・登り棒,登り綱,雲梯などを使ってぶら下がったり,登ったり下
りたりすること。
・いろいろな姿勢での腕立て伏臥腕屈伸をすること。
・押し,寄りを用いてすもうをすること。
・二,三人組で互いに持ち上げる,運ぶなどの運動をすること。
○時間やコースを決めて行う全身運動
・短なわ,長なわを使って全身運動を続けること。
・無理のない速さで5~6分程度の持久走をすること。
・一定のコースに置かれた固定施設,器械・器具,地形などを越え
ながら移動するなどの運動を続けること。
(2) 態 度
(2) 運 動 に 進 ん で 取 り 組 み , 助 け 合 っ て 運 動 を し た り , 場 や 用 具 の 安 全 に
- 62 -
気を配ったりすることができるようにする。
ア
体ほぐしの運動や体力を高める運動に進んで取り組むこと。
イ
約束を守り,仲間と助け合って運動をすること。
ウ
用具の準備や片付けで,分担された役割を果たすこと。
エ
場の危険物を取り除いたり,用具の安全に気を配ったりすること。
(3) 思 考 ・ 判 断
(3) 自 己 の 体 の 状 態 や 体 力 に 応 じ て , 運 動 の 行 い 方 を 工 夫 で き る よ う に す
る。
ア
体ほぐしの運動には,気付き-調整-交流のねらいがあることを知り,
ねらいに応じた運動を選ぶこと。
イ
体力を高める運動のねらいや行い方を知り,自己の体力に応じた運動
を選ぶこと。
B
器械運動
(1) 技 能
(1) 次 の 運 動 の 楽 し さ や 喜 び に 触 れ , そ の 技 が で き る よ う に す る 。
ア
マ ッ ト 運 動 で は ,基 本 的 な 回 転 技 や 倒 立 技 を 安 定 し て 行 う と と も に ,
その発展技を行ったり,それらを繰り返したり組み合わせたりするこ
と。
イ
鉄棒運動では,基本的な上がり技や支持回転技,下り技を安定して
行うとともに,その発展技を行ったり,それらを繰り返したり組み合
わせたりすること。
ウ
跳 び 箱 運 動 で は ,基 本 的 な 支 持 跳 び 越 し 技 を 安 定 し て 行 う と と も に ,
その発展技を行うこと。
ア
マット運動
基本的な回転技や倒立技に取り組み,それぞれについて自己の能力に適
した技が安定してできるようにするとともに,その発展技をできるように
する。また,できるようになった技を繰り返したり組み合わせたりするこ
とができるようにする。
指導に際しては,すべての児童が運動の楽しさや喜びに触れることがで
- 63 -
きるよう,技に関連した易しい運動を行ったり,易しい場や条件のもとで
段階的に取り組んだりする。また,選んだ技に十分取り組んだ上で,それ
らの発展技やその他の技に取り組んだり,ペアやグループで動きを組み合
わせて演技をしたりする。
[回転技の例示]
○安定した前転
・前転を連続してすること。
○大きな前転(更なる発展技:倒立前転,跳び前転)
・両手を着き,足を強く蹴って腰を大きく開いて回転し,回転の勢い
を利用してしゃがみ立ちになること。
○開脚前転
・両手を着き,足を強く蹴って腰を大きく開いて回転し,脚を左右に
大きく開いて接地するとともに素早く両手を着いて開脚立ちをする
こと。
○安定した後転
・後転を連続してすること。
○開脚後転(更なる発展技:伸膝後転)
・しゃがみ立ちの姿勢から尻を着いて後方に回転し,脚を左右に大き
く開き両手でマットを押して開脚立ちをすること。
[倒立技の例示]
○安定した壁倒立
・体をまっすぐにした壁倒立をして静止すること。
○補助倒立(更なる発展技:倒立)
・立位の姿勢から上体を前方に倒し,着手と同時に脚を振り上げ,補
助を受けた倒立姿勢で静止すること。
○頭倒立
・しゃがみ立ちの姿勢から両手と前頭部をマットに着け,腰・脚の順
に引き上げ三点で倒立をすること。
○ブリッジ(更なる発展技:倒立ブリッジ)
・仰向けに寝た姿勢から両手・両足で体を支え,体を大きく反らせ
るとともに素速く両手と両足の幅を狭めてブリッジ姿勢になるこ
と。
○安定した腕立て横跳び越し
・腰を大きく開き,脚の位置を高く保った腕立て横跳び越しをするこ
と。
○側方倒立回転(更なる発展技:ロンダード)
- 64 -
・腰の位置を高く保ちながら側方に手を着き,倒立を経過しながら直
線上を側方に回転し,側方立ちになること。
[技の組み合わせ方]
○上に示した技やすでにできる技を選び,それらにバランスやジャンプ
などを加えて組み合わせること。
イ
鉄棒運動
基本的な上がり技や支持回転技,下り技に取り組み,それぞれについて
自己の能力に適した技が安定してできるようにするとともに,その発展技
をできるようにする。また,できるようになった技を繰り返したり,上が
り技-支持回転技-下り技を組み合わせたりすることができるようにす
る。
指導に際しては,すべての児童が運動の楽しさや喜びに触れることがで
きるよう,技に関連した易しい運動を行ったり,易しい場や条件のもとで
段階的に取り組んだりする。また,選んだ技に十分取り組んだ上で,それ
らの発展技やその他の技に取り組んだり,ペアやグループで動きをそろえ
て演技をしたりする。
[上がり技の例示]
○安定した膝掛け振り上がり
・少ない振動で片膝掛け振り上がりをすること。
○膝掛け上がり(更なる発展技:もも掛け上がり)
・鉄棒の下を走り込み,脚を振り上げて膝掛け姿勢になるとともに,
振れ戻りの勢いを利用して鉄棒に上がること。
○安定した補助逆上がり
・補助具を利用して,連続して逆上がりをすること。
○逆上がり
・足の振り上げとともに上体を後方へ倒し,手首を返して鉄棒に上が
ること。
[支持回転技の例示]
○安定したかかえ込み回り
・かかえ込み回りを連続してすること。
○前方支持回転
・支持姿勢から体を前方に勢いよく倒して回転し,上体を一気に起こ
し,手首を返して支持姿勢に戻ること。
○後方支持回転
・支持姿勢から体を後方に勢いよく倒して腹部を鉄棒に引き寄せて回
- 65 -
転し,支持姿勢に戻ること。
○安定した後方片膝掛け回転
・後方片膝掛け回転を連続してすること。
○前方片膝掛け回転
・前後開脚の支持姿勢から前方に上体を振り出して回転し,前後開脚
の支持姿勢に戻ること。
[下り技の例示]
○安定した前回り下り
・鉄棒上の支持姿勢から回転して着地まで,一連の動きとしてスムー
ズに下りること。
○安定した転向前下り
・前後開脚の支持姿勢から脚を抜いて側方に着地まで,一連の動きと
してスムーズに下りること。
○片足踏み越し下り
・片逆手の支持姿勢から順手の方の足を鉄棒に乗せ,踏み込みながら
順手を離して下りること。
○安定した両膝掛け倒立下り
・鉄棒に両膝を掛けた姿勢から両手を離し倒立して着地するまで,一
連の動きとしてスムーズに下りること。
○両膝掛け振動下り
・鉄棒に両膝を掛けて両手を離し,体を前後に振動させ,振動が切り
変わるところで膝を鉄棒から外して下りること。
[技の組み合わせ方]
○上に示した技の上がり技,支持回転技,下り技やすでにできている技
を選んで組み合わせること。
ウ
跳び箱運動
基本的な支持跳び越し技(切り返し系,回転系)に取り組み,それぞれ
の系について自己の能力に適した技が安定してできるようにするととも
に,その発展技をできるようにする。
指導に際しては,すべての児童が運動の楽しさや喜びに触れることがで
きるよう,技に関連した易しい運動を行ったり,易しい場や条件のもとで
段階的に取り組んだりする。また,選んだ技に十分取り組んだ上で,それ
らの発展技やその他の技に取り組んだり,ペアやグループで動きをそろえ
て演技をしたりする。
[切り返し系の技の例示]
- 66 -
○安定した開脚跳び
・助走から踏み切り・着手・着地まで,一連の動きとしてスムーズに
跳び越えること。
○大きな開脚跳び
・助走から両足で強く踏み切り,脚を左右に開いて着手し,強く突き
放して跳び越えること。
○かかえ込み跳び
・助走から両足で踏み切って着手し,脚を抱え込んで跳び越しをする
こと。
[回転系の技の例示]
○安定した台上前転
・助走から回転して着地まで,一連の動きとしてスムーズに跳び越え
ること。
○大きな台上前転(更なる発展技:首はね跳び,頭はね跳び)
・助走から両足で強く踏み切り,腰を大きく開くとともに膝を伸ば
した姿勢で着手し,台上で回転して着地をすること。
(2) 態 度
(2) 運 動 に 進 ん で 取 り 組 み , 約 束 を 守 り 助 け 合 っ て 運 動 を し た り , 場 や 器
械・器具の安全に気を配ったりすることができるようにする。
ア
マット運動や鉄棒運動,跳び箱運動に進んで取り組むこと。
イ
約束を守り,友達と助け合って技の練習をすること。
ウ
器械・器具の準備や片付けで,分担された役割を果たすこと。
エ
場の危険物を取り除いたり,器械・器具の安全に気を配ったりするこ
と。
(3) 思 考 ・ 判 断
(3) 自 己 の 能 力 に 適 し た 課 題 の 解 決 の 仕 方 や 技 の 組 み 合 わ せ 方 を 工 夫 で き
るようにする。
ア
課題の解決の仕方を知り,自分の課題に応じた練習の場や段階を選ぶ
こと。
イ
技をつなぐ方法を知り,自分の力に合った技を組み合わせること。
- 67 -
C
陸上運動
(1) 技 能
(1) 次 の 運 動 の 楽 し さ や 喜 び に 触 れ , そ の 技 能 を 身 に 付 け る こ と が で き る
ようにする。
ア
ア
短距離走・リレーでは,一定の距離を全力で走ること。
イ
ハードル走では,ハードルをリズミカルに走り越えること。
ウ
走り幅跳びでは,リズミカルな助走から踏み切って跳ぶこと。
エ
走り高跳びでは,リズミカルな助走から踏み切って跳ぶこと。
短距離走・リレー
走 る 距 離 や バ ト ン パ ス な ど の ル ー ル を 定 め て 競 走 し た り ,自 己( チ ー ム )
の記録の伸びや目標とする記録の到達を目指したりしながら,一定の距離
を全力で走ることができるようにする。
[例示]
○50~80m程度の短距離走
・スタンディングスタートから,素早く走り始めること。
・上体をリラックスさせて全力で走ること。
○いろいろな距離でのリレー(一人が走る距離50~100m程度)
・テークオーバーゾーン内で,減速の少ないバトンパスをすること。
イ
ハードル走
インターバルの距離やハードルの台数などのルールを定めて競走した
り,自己の記録の伸びや目標とする記録の到達を目指したりしながら,ハ
ードルをリズミカルに走り越えることができるようにする。
[例示]
○40~60m程度のハードル走
・第1ハードルを決めた足で踏み切って走り越えること。
・ハードル上で上体を前傾させること。
・インターバルを3~5歩のリズムで走ること。
ウ
走り幅跳び
試技の回数や踏み切りゾーンの設置などのルールを定めて競争したり,
自己の記録の伸びや目標とする記録の到達を目指したりしながら,リズミ
カルな助走から踏み切って跳ぶことができるようにする。
- 68 -
[例示]
○助走距離が15~20m程度の走り幅跳び
・リズミカルな助走をすること。
・幅30~40㎝程度の踏み切りゾーンで踏み切ること。
・かがみ跳びから両足で着地すること。
エ
走り高跳び
試技の回数やバーの高さの決め方などのルールを定めて競争したり,自
己の記録の伸びや目標とする記録の到達を目指したりしながら,リズミカ
ルな助走から踏み切って跳ぶことができるようにする。
[例示]
○助走が5~7歩程度の走り高跳び
・リズミカルな助走をすること。
・上体を起こして踏み切ること。
・はさみ跳びで,足から着地すること。
(2) 態 度
(2) 運 動 に 進 ん で 取 り 組 み , 約 束 を 守 り 助 け 合 っ て 運 動 を し た り , 場 や 用
具の安全に気を配ったりすることができるようにする。
ア
短距離走・リレーやハードル走,走り幅跳びや走り高跳びに進んで取
り組むこと。
イ
約束を守り,友達と助け合って練習や競走(争)をすること。
ウ
用具の準備や片付け,計測や記録などで,分担された役割を果たすこ
と。
エ
場の危険物を取り除いたり場を整備したりするとともに,用具の安全
に気を配ること。
(3) 思 考 ・ 判 断
(3) 自 己 の 能 力 に 適 し た 課 題 の 解 決 の 仕 方 , 競 争 や 記 録 へ の 挑 戦 の 仕 方 を
工夫できるようにする。
ア
課題の解決の仕方を知り,自分の課題に応じた練習の場や段階を選ぶ
こと。
- 69 -
イ
仲間との競走(争)や自己の記録への挑戦の仕方を知り,自分に合っ
た競走(争)のルールや記録への挑戦の仕方を選ぶこと。
D
水泳
(1) 技 能
(1) 次 の 運 動 の 楽 し さ や 喜 び に 触 れ , そ の 技 能 を 身 に 付 け る こ と が で き る
ようにする。
ア
ア
クロールでは,続けて長く泳ぐこと。
イ
平泳ぎでは,続けて長く泳ぐこと。
クロール
手と足の動きに呼吸を合わせながら,続けて長く泳ぐことができるよう
にする。
[例示]
○25~50m程度を目安にしたクロール
・手を左右交互に前に伸ばして水に入れ,水をかくこと。
・リズミカルなばた足をすること。
・肩のローリングを用いて顔を横に上げて呼吸をすること。
イ
平泳ぎ
手と足の動きに呼吸を合わせながら,続けて長く泳ぐことができるよう
にする。
[例示]
○25~50m程度を目安にした平泳ぎ
・両手を前方に伸ばし,円を描くように左右に開き水をかくこと。
・足の親指を外側に開いて足の裏全体で水を押し出すとともに,キッ
クの後に伸びの姿勢を保つこと。
・手を左右に開き水をかきながら,顔を前に上げ呼吸をすること。
(2) 態 度
(2) 運 動 に 進 ん で 取 り 組 み , 助 け 合 っ て 水 泳 を し た り , 水 泳 の 心 得 を 守 っ
て安全に気を配ったりすることができるようにする。
ア
クロールや平泳ぎに進んで取り組むこと。
- 70 -
イ
約束を守り,友達と助け合って泳ぎの練習をすること。
ウ
補助具等の準備や片付けなど,分担された役割を果たすこと。
エ
体の調子を確かめてから泳ぐなど水泳の心得を守ること。
なお,着衣のまま水に落ちた場合の対処の仕方については,各学校の実
態に応じて取り扱うこと。
(3) 思 考 ・ 判 断
(3) 自 己 の 能 力 に 適 し た 課 題 の 解 決 の 仕 方 や 記 録 へ の 挑 戦 の 仕 方 を 工 夫 で
きるようにする。
ア
課題の解決の仕方を知り,自分の課題に応じた練習の場や段階を選ぶ
こと。
イ
続けて長く泳ぐ記録への挑戦の仕方を知り,自分に合った距離を設定
することや記録への挑戦の仕方を選ぶこと。
E
ボール運動
(1) 技 能
(1) 次 の 運 動 の 楽 し さ や 喜 び に 触 れ , そ の 技 能 を 身 に 付 け る こ と が で き る
ようにする。
ア
ゴール型では,簡易化されたゲームで,ボール操作やボールを受け
るための動きによって,攻防をすること。
イ
ネット型では,簡易化されたゲームで,チームの連係による攻撃や
守備によって,攻防をすること。
ウ
ベースボール型では,簡易化されたゲームで,ボールを打ち返す攻
撃や隊形をとった守備によって,攻防をすること。
「簡 易 化 さ れ た ゲ ー ム 」と は , ル ー ル や 形 式 が 一 般 化 さ れ た ゲ ー ム を 児 童 の 発
達 の 段 階 を 踏 ま え , プ レ ー ヤ ー の 数 , コ ー ト の 広 さ ( 奥 行 き や 横 幅 ), プ レ ー
上 の 制 限 ( 緩 和 ), ボ ー ル そ の 他 の 運 動 用 具 や 設 備 な ど , ゲ ー ム の ル ー ル や 様
式を修正し,学習課題を追求しやすいように工夫したゲームをいう。
なお,
「 ア は バ ス ケ ッ ト ボ ー ル 及 び サ ッ カ ー を ,イ は ソ フ ト バ レ ー ボ ー ル を ,
ウはソフトボールを主として取り扱うものとするが,これらに替えてそれぞれ
の型に応じたハンドボールなどのその他のボール運動を指導することもできる
も の と す る 。 な お , 学 校 の 実 態 に 応 じ て ウ は 取 り 扱 わ な い こ と が で き る 。」 こ
- 71 -
とを「内容の取扱い」で示した。
ア
ゴール型
攻撃側プレーヤー数が守備側プレーヤー数を上回る状態をつくり出した
り守備側のプレーを制限したりすることにより,攻撃しやすく,また得点
が入りやすくなるような簡易化されたゲームをする。
(ア) 投 げ る , 受 け る , 蹴 る , 止 め る , 運 ぶ と い っ た ボ ー ル 操 作 を し た り ,
ボールを保持する人からボールを受けることのできる場所に動いたりし
て,攻守入り交じったゲームができるようにする。
(イ) 攻 撃 側 に と っ て 易 し い 状 況 の 中 で , チ ー ム の 作 戦 に 基 づ い た 位 置 ど り
やボール操作によって得点できるようにする。
[例示]
○バスケットボール
○サッカー
○ハンドボール
○タグラグビー,フラッグフットボール
・近くにいるフリーの味方にパスを出すこと。
・相手にとられない位置でドリブルすること。
・ボールを保持する人と自分の間に守備者を入れないように立つこ
と。
・ 得 点 し や す い 場 所 に 移 動 し ,パ ス を 受 け て シ ュ ー ト な ど を す る こ と 。
・ボールを保持する人とゴールの間に体を入れて相手の得点を防ぐこ
と。
イ
ネット型
操作しやすいボールを用いたり,ボール操作についての制限を緩和する
ことを通して,連係プレーによる攻撃やそれに対応する守備がしやすくな
るように簡易化されたゲームをする。
(ア) 軽 く て や わ ら か い ボ ー ル を 片 手 や 両 手 で 操 作 し た り , チ ー ム の 連 係 プ
レーによる攻撃が成り立つようにすばやく場所を移動したりして,ネッ
トをはさんだゲームができるようにする。
(イ) ボ ー ル 操 作 に つ い て の 制 限 を 緩 和 し た ボ ー ル が つ な が り や す い 状 況 の
中で,相手コートにボールを打って返すことができるようにする。
[例示]
○ソフトバレーボール
○プレルボール
- 72 -
・ 自 陣 の コ ー ト (中 央 付 近 )か ら 相 手 コ ー ト に 向 け サ ー ビ ス を 打 ち 入 れ
ること。
・ ボ ー ル の 方 向 に 体 を 向 け て ,そ の 方 向 に 素 早 く 移 動 す る こ と 。
・味方が受けやすいボールを返すこと。
・相手コートにボールを打ちつけること。
ウ
ベースボール型
止まったボールや易しく投げられたボールを打ったり,イニング終了の
仕方を工夫したりして攻守交替が繰り返し行えるように簡易化されたゲー
ムをする。
(ア) 止 ま っ た ボ ー ル や 易 し く 投 げ ら れ た ボ ー ル を 打 っ た り 走 塁 を し た り し
て攻撃し,また,それを阻止するために捕球したり送球したりして,攻
守を交替するゲームができるようにする。
(イ) 得 点 を と る た め の 出 塁 と 進 塁 が で き , ま た , チ ー ム と し て 守 備 の 隊 形
をとってアウトにする(進塁を防ぎ,得点を与えないようにする)動き
ができるようにする。
[例示]
○ソフトボール
○ティーボール
・止まったボールや易しく投げられたボールをバットでフェアグラウ
ンド内に打つこと。
・打球方向に移動し,捕球すること。
・捕球する相手に向かって,オーバーハンドで投げること。
・塁間を打球の状況に応じて走塁すること。
(2) 態 度
(2) 運 動 に 進 ん で 取 り 組 み , ル ー ル を 守 り 助 け 合 っ て 運 動 を し た り , 場 や
用具の安全に気を配ったりすることができるようにする。
ア
ゴール型やネット型,ベースボール型のゲームに進んで取り組むこと。
イ
ルールやマナーを守り,友達と助け合って練習やゲームをすること。
ウ
用具の準備や片付けで,分担された役割を果たすこと。
エ
場の危険物を取り除いたり場を整備したりするとともに,用具の安全
に気を配ること。
- 73 -
(3) 思 考 ・ 判 断
(3) ル ー ル を 工 夫 し た り , 自 分 の チ ー ム の 特 徴 に 応 じ た 作 戦 を 立 て た り す
ることができるようにする。
ア
ゴール型やネット型,ベースボール型の楽しいゲームの行い方を知り,
プレーヤーの数,コートの広さ,プレー上の制限,得点の仕方などのル
ールを選ぶこと。
イ
チームの特徴に応じた攻め方を知り,自分のチームの特徴に応じた作
戦を立てること。
F
表現運動
(1) 技 能
(1) 次 の 運 動 の 楽 し さ や 喜 び に 触 れ , 表 し た い 感 じ を 表 現 し た り 踊 り の 特
徴をとらえたりして踊ることができるようにする。
ア
表現では,いろいろな題材から表したいイメージをとらえ,即興的
な表現や簡単なひとまとまりの表現で踊ること。
イ
フォークダンスでは,踊り方の特徴をとらえ,音楽に合わせて簡単
なステップや動きで踊ること。
ア
表
現
「 い ろ い ろ な 題 材 」 と は ,「 激 し い 感 じ の 題 材 」 や 「 群 ( 集 団 ) が 生 き
る 題 材 」, ま た , 題 材 を 一 つ に 固 定 し な い 「 多 様 な 題 材 」 を 示 し て い る 。
それらの中から,表したい感じやイメージを強調するように,変化をつけ
たひと流れの動きで即興的に表現したり,グループで「はじめ-なか-お
わり」をつけた簡単なひとまとまりの動きにしたりして表現することがで
きるようにする。
指導に際しては,表現の題材を児童一人一人の関心や能力の違いに応
じて選ぶとともに,クラス共通の題材だけでなく,個人やグループによっ
て広い範囲から選ぶようにする。
[題材と動きの例示]
○ 「 激 し い 感 じ の 題 材 」 - 生 活 や 自 然 か ら 「 激 し く 〇 〇 す る 」( 満 員 電
車 , 火 山 の 爆 発 , 嵐 の 中 の 難 破 船 な ど ) や 「 急 に 〇 〇 す る 」( コ ン ピ
ューターが壊れた,稲妻が走る,怒りの爆発など)など,変化や起
- 74 -
伏のある動きを含む題材
○「 群( 集 団 )が 生 き る 題 材 」- 生 活 や 社 会 ,自 然 な ど か ら「 祭 り 」「 ス
ポ ー ツ の 攻 防 」「 街 の 風 景 」 な ど , 特 徴 的 な 群 の 動 き や 迫 力 の あ る 題
材
・題材の変化や起伏の特徴をとらえて,素早く走る,急に止まる,
回る,ねじる,跳ぶ,転がるなどの動きを組み合わせたり繰り返
したりして激しい感じや急変する感じをひと流れの動きで即興的
に踊ること。
・ 集 ま る ( 固 ま る )・ 離 れ る , 合 わ せ て 動 く ・ 自 由 に 動 く な ど , 表 し
たいイメージにふさわしい簡単な群の動きで即興的に踊ること。
・表したいイメージを「はじめ-なか-おわり」を付けた簡単なひ
とまとまりの群の動きにして,友達と感じを込めて通して踊るこ
と。
○ 「 多 様 な 題 材 」 - 「 私 た ち の 地 球 」「 小 学 校 の 思 い 出 」 な ど , 社 会 や
生活の様々な印象的な出来事からグループで選んだ関心のある題材。
・関心のあるいろいろな題材から,印象的な出来事をとらえてひと
流れの動きで即興的に踊ること。
・ 表 し た い イ メ ー ジ を 強 調 す る よ う に ,「 は じ め - な か - お わ り 」 を
つけた簡単なひとまとまりの動きにして,友達と感じを込めて通
して踊ること。
イ
フォークダンス(日本の民踊を含む)
伝承されてきた日本の地域の踊りや外国の踊りから,踊り方の特徴をと
らえ,基本的なステップや動きを身に付けて,音楽に合わせてみんなで楽
しく踊って交流することができるようにする。また,踊りを通して日本の
い ろ い ろ な 地 域 や 世 界 の 文 化 に 触 れ る よ う に す る 。な お ,指 導 に 際 し て は ,
踊りに必要な簡単な小道具(笠や鳴子など)や衣装を着けたり,踊りに伴
う掛け声などを付けたりして踊りの雰囲気を高めるようにする。
[踊りと動きの例示]
○日本の民踊
それぞれの地域で親しまれている踊りや日本の代表的な民踊の中か
ら,軽快なリズムの踊りや力強い踊りなど,特徴が異なる踊りや簡単な
動きで構成されている踊り。
・それぞれの踊り方の特徴をとらえ,構成された基本的な踊り方を身
に付けて踊ること。
- 75 -
・日本の民踊に共通する踊り方の特徴をとらえ,阿波踊りなどの軽
快なリズムの踊りでは軽快な足さばきや手振りで,ソーラン節や
エイサーなどの力強い踊りでは低く踏みしめるような足取りや腰
の動きで踊ること。
○外国のフォークダンス
外国のフォークダンスの中から,特徴や感じが異なる踊りや簡単な隊
形・ステップ・組み方で構成される踊り。
・マイム・マイム(イスラエル)などシングルサークルで踊る力強
い踊りでは,みんなで手をつなぎ,力強くステップを踏みながら移
動して踊ること。
・コロブチカ(ロシア)などパートナーチェンジのある軽快な踊り
では,パートナーと組んでスリーステップターンなどの軽快なステ
ップで動きを合わせたり,パートナーチェンジをスムーズにしたり
しながら踊ること。
・グスタフス・スコール(スウェーデン)など特徴的な隊形と構成
の踊りでは,軽快なスキップやアーチくぐりなどをパートナーや全
体でスムーズに隊形移動しながら踊ること。
(2) 態 度
(2) 運 動 に 進 ん で 取 り 組 み , 互 い の よ さ を 認 め 合 い 助 け 合 っ て 練 習 や 発 表
をしたり,場の安全に気を配ったりすることができるようにする。
ア
表現やフォークダンスに進んで取り組むこと。
イ
約束を守り,友達と助け合って練習や発表,交流をすること。
ウ
活動の場の安全に気を配ること。
(3) 思 考 ・ 判 断
(3) 自 分 や グ ル ー プ の 課 題 の 解 決 に 向 け て , 練 習 や 発 表 の 仕 方 を 工 夫 で き
るようにする。
ア
課題の解決の仕方を知り,自分やグループの課題に応じた動きを選ん
だり,構成を変えたりすること。
イ
自分やグループの持ち味を知り,練習や発表会,交流会で自分やグル
- 76 -
ープの持ち味を生かす動きをつくること。
G
保健
(1) 心 の 健 康
(1) 心 の 発 達 及 び 不 安 , 悩 み へ の 対 処 に つ い て 理 解 で き る よ う に す る 。
ア
心は,いろいろな生活経験を通して,年齢に伴って発達すること。
イ
心と体は,相互に影響し合うこと。
ウ
不安や悩みへの対処には,大人や友達に相談する,仲間と遊ぶ,運
動をするなどいろいろな方法があること。
心の健康については,心も体と同様に発達すること及び心と体は相互に影響
し合うことについて理解できるようにする必要がある。また,不安や悩みに対
して,適切な対処の方法があることを理解できるようにする必要がある。
このため,本内容は,感情,社会性,思考力など,様々なはたらきの総体と
してとらえることができる心が,様々な生活経験を通して年齢に伴って発達す
ること,また,心と体は相互に影響し合っていること,さらに,不安や悩みに
はいろいろな対処の方法があることなどを中心として構成している。
心
ア
心の発達
・年齢に伴う発達
イ
心と体の相互の影響
・心と体は互いに影響し合うこと
の
健
康
ウ
ア
不安や悩みへの対処
・自分に合った方法による対処
心の発達
心 は , 人 と の か か わ り ,あ る い は 自 然 と の ふ れ あ い な ど い ろ い ろ な 生 活
経 験 や 学 習 を 通 し て ,年 齢 に 伴 っ て 発 達 す る こ と を 理 解 で き る よ う に す る 。
その際,家族,同性や異性の友達,地域の人々など人とのかかわりを中
心として取り扱うようにし,心が発達することによって,自分の感情をコ
ントロールしたり,相手の気持ちを理解したりすることができるようにな
ることにも触れるようにする。また,自分の気持ちを上手に伝えるなど,
よりよいコミュニケーションが大切であることにも触れるようにする。
イ
心と体の相互の影響
不安や緊張時には,動悸が激しくなったり腹痛を起こしたり,体調が悪
- 77 -
い と き に は ,集 中 で き な か っ た り 落 ち 込 ん だ 気 持 ち に な っ た り す る 。ま た ,
体調がよいときには,気持ちが明るくなったり集中できるようになったり
す る な ど ,心 と 体 は 互 い に 影 響 し 合 っ て い る こ と を 理 解 で き る よ う に す る 。
ウ
不安や悩みへの対処
不安や悩みがあるということは誰もが経験することであり,そうした場
合には,家族や先生,友達などと話すこと,身近な人に相談すること,仲
間と遊ぶこと,運動をしたり音楽を聴いたりすることなどによって気持ち
を楽にしたり,気分を変えたりすることなどいろいろな方法があり,自分
に合った方法で対処できることを理解できるようにする。
そ の 際 ,体 ほ ぐ し の 運 動 は ,有 効 な 対 処 の 方 法 の 一 つ で あ る こ と ,ま た ,
自分の心に不安や悩みがあるという状態に気付くことや不安や悩みに対処
するために様々な体験をもつことは,心の発達のために大切であることに
も触れるようにする。
(2) け が の 防 止
(2) け が の 防 止 に つ い て 理 解 す る と と も に , け が な ど の 簡 単 な 手 当 が で き
るようにする。
ア
交通事故や身の回りの生活の危険が原因となって起こるけがの防止
には,周囲の危険に気付くこと,的確な判断の下に安全に行動するこ
と,環境を安全に整えることが必要であること。
イ
けがの簡単な手当は,速やかに行う必要があること。
けがの防止については,けがの発生要因や防止の方法について理解できるよ
うにする必要がある。さらに,けがが発生したときには,その症状の悪化を防
ぐために速やかに手当ができるようにする必要がある。
このため,本内容は,交通事故や身の回りの生活の危険などを取り上げ,け
がの起こり方とその防止,さらに,けが悪化を防ぐための簡単な手当などをを
中心として構成している。
- 78 -
交通事故
ア
交通事故や身の
け
などのけ
回りの生活の危険
が
が防止
が原因となって起
の
こるけがの防止
・けがの発生
・人の行動と環境がかかわるこ
と
・周囲の危険に気付いて,的確
防
な判断の下に行動すること,
止
環境を整えること
けがの簡
イ
けがの手当
単な手当
・状況の速やかな把握と処置,
近くの大人に知らせること
・傷口を清潔にする,圧迫して
出血を止める,患部を冷やす
などの方法
ア
交通事故や身の回りの生活の危険が原因となって起こるけがとその防止
(ア) 毎 年 多 く の 交 通 事 故 や 水 の 事 故 が 発 生 し , け が を す る 人 や 死 亡 す る 人
が少なくないこと,また,学校生活での事故や,犯罪被害が発生してい
る こ と を 理 解 で き る よ う に す る と と も に , こ れ ら の 事 故 や 犯 罪 ,そ れ ら
が原因となるけがなどは,人の行動や環境がかかわって発生しているこ
とを理解できるようにする。
(イ) 交 通 事 故 や 身 の 回 り の 生 活 の 危 険 が 原 因 と な っ て 起 こ る け が を 防 止 す
るためには,周囲の状況をよく見極め,危険に早く気付いて,的確な判
断の下に安全に行動することが必要であることを理解できるようにす
る。
その際,交通事故の防止については,道路を横断する際の一時停止や
右左の安全確認などを,学校生活の事故によるけがの防止については,
廊 下 や 階 段 の 歩 行 の 仕 方 ,運 動 場 な ど で の 運 動 の 行 い 方 や 遊 び 方 な ど を ,
犯罪被害の防止については,犯罪が起こりやすい場所を避けること,犯
罪に巻き込まれそうになったらすぐに助けを求めることなどを取り上げ
るようにする。
なお,心の状態や体の調子が的確な判断や行動に影響を及ぼすことに
ついても触れるようにする。
(ウ) 交 通 事 故 , 水 の 事 故 , 学 校 生 活 の 事 故 や , 犯 罪 被 害 の 防 止 に は , 危 険
な場所の点検などを通して,校舎や遊具など施設・設備を安全に整える
など,安全な環境をつくることが必要であることを理解できるようにす
る。
- 79 -
その際,通学路や地域の安全施設の改善などの例から,様々な安全施
設の整備や適切な規制が行われていることにも触れるようにする。
イ
けがの手当
(ア) け が を し た と き に は , け が の 悪 化 を 防 ぐ 対 処 と し て , け が の 種 類 や 程
度などの状況をできるだけ速やかに把握して処置すること,近くの大人
に知らせることが大切であることを理解できるようにする。
(イ) 自 分 で で き る 簡 単 な け が の 手 当 に は , 傷 口 を 清 潔 に す る , 圧 迫 し て 出
血を止める,患部を冷やすなどの方法があることを理解できるようにす
る。ここでは,すり傷,鼻出血,やけどや打撲などを適宜取り上げ,実
習を通して簡単な手当ができるようにする。
(3) 病 気 の 予 防
(3) 病 気 の 予 防 に つ い て 理 解 で き る よ う に す る 。
ア
病気は,病原体,体の抵抗力,生活行動,環境がかかわり合って起
こること。
イ
病原体が主な要因となって起こる病気の予防には,病原体が体に入
るのを防ぐことや病原体に対する体の抵抗力を高めることが必要であ
ること。
ウ
生活習慣病など生活行動が主な要因となって起こる病気の予防に
くう
は,栄養の偏りのない食事をとること,口腔の衛生を保つことなど,
望ましい生活習慣を身に付ける必要があること。
エ
喫 煙 ,飲 酒 ,薬 物 乱 用 な ど の 行 為 は ,健 康 を 損 な う 原 因 と な る こ と 。
オ
地域では,保健にかかわる様々な活動が行われていること。
病気の予防については,病気の発生要因や予防の方法について理解できるよ
うにする必要がある。また,喫煙,飲酒,薬物乱用が健康に与える影響につい
て理解できるようにする必要がある。
このため,本内容は,病気の予防には,病原体が体に入るのを防ぐこと,病
原体に対する体の抵抗力を高めること及び望ましい生活習慣を身に付けること
が必要であること,また,喫煙,飲酒,薬物乱用などの行為は健康を損なう原
因となること,さらに,地域において保健にかかわる様々な活動が行われてい
ることなどを中心として構成している。
- 80 -
ア
病気の起こり方
・病原体,体の抵抗力,生活行
動,環境など
病
気
イ
病原体がもとに
病気の起
なって起こる病気
こり方
の予防
の
ウ
予
防
エ
・病原体が体に入るのを防ぐこ
と
・体の抵抗力を高めること
生活行動がかか
・望ましい生活習慣
わって起こる病気
・偏りのない食事
の予防
・口腔の衛生を保つこと
喫煙,飲酒,薬
物乱用と健康
・喫煙,飲酒,薬物乱用などの
行為は健康を損なう原因とな
ること
保健活動
オ
地域の様々な保
健活動の取組
ア
・健康な生活習慣にかかわる情
報提供や予防接種などの活動
病気の起こり方
日 常 経 験 し て い る 病 気 と し て「 か ぜ 」な ど を 取 り 上 げ ,病 気 は ,病 原 体 ,
体の抵抗力,生活行動,環境などがかかわりあって起こることを理解でき
るようにする。
イ
病原体がもとになって起こる病気の予防
病 原 体 が も と に な っ て 起 こ る 病 気 と し て ,イ ン フ ル エ ン ザ ,結 核 ,麻 疹 ,
風疹などを適宜取り上げ,その予防には,病原体の発生源をなくしたり,
その移る道筋を断ち切ったりして病原体が体に入るのを防ぐこと,また,
予防接種や調和のとれた食事,適切な運動,休養及び睡眠をとることなど
によって,体の抵抗力を高めておくことが必要であることを理解できるよ
うにする。
ウ
生活行動がかかわって起こる病気の予防
生活行動がかかわって起こる病気として,心臓や脳の血管が硬くなった
りつまったりする病気,むし歯や歯ぐきの病気などを取り上げ,その予防
に は ,糖 分 ,脂 肪 分 ,塩 分 な ど を 摂 り す ぎ る 偏 っ た 食 事 や 間 食 を 避 け た り ,
- 81 -
口腔の衛生を保ったりするなど,健康によい生活習慣を身に付ける必要が
あることを理解できるようにする。
エ
喫煙,飲酒,薬物乱用と健康
(ア) 喫 煙 に つ い て は , せ き が 出 た り 心 拍 数 が 増 え た り す る な ど し て 呼 吸 や
心臓のはたらきに対する負担などの影響がすぐに現れること,受動喫煙
により周囲の人々の健康にも影響を及ぼすことを理解できるようにす
る。なお,喫煙を長い間続けると肺がんや心臓病などの病気にかかりや
すくなるなどの影響があることについても触れるようにする。
飲酒については,判断力が鈍る,呼吸や心臓が苦しくなるなどの影響
がすぐに現れることを理解できるようにする。なお,飲酒を長い間続け
ると肝臓などの病気の原因になるなどの影響があることについても触れ
るようにする。
その際,低年齢からの喫煙や飲酒は特に害が大きいことについても取
り扱うようにし,未成年の喫煙や飲酒は法律によって禁止されているこ
と,好奇心や周りの人からの誘いなどがきっかけで喫煙や飲酒を開始す
る場合があることについても触れるようにする。
(イ) 薬 物 乱 用 に つ い て は , シ ン ナ ー な ど の 有 機 溶 剤 を 取 り 上 げ , 一 回 の 乱
用でも死に至ることがあり,乱用を続けると止められなくなり,心身の
健康に深刻な影響を及ぼすことを理解できるようにする。なお,薬物の
乱用は法律で厳しく規制されていることにも触れるようにする。
オ
地域の様々な保健活動の取組
人々の病気を予防をするために,保健所や保健センターなどでは,健康
な生活習慣にかかわる情報提供や予防接種などの活動が行われていること
を理解できるようにする。
3 内容の取扱い
(1) 内 容 の 「 A 体 つ く り 運 動 」 に つ い て は , 2 学 年 に わ た っ て 指 導 す る も
の と す る 。 ま た , (1) の イ に つ い て は , 体 の 柔 ら か さ 及 び 巧 み な 動 き を
高めることに重点を置いて指導するものとする。
(2) 内 容 の 「 D 水 泳 」 の (1)に つ い て は , 水 中 か ら の ス タ ー ト を 指 導 す る
ものとする。また,学校の実態に応じて背泳ぎを加えて指導することが
できる。
(3) 内 容 の 「 E ボ ー ル 運 動 」 の (1)に つ い て は , ア は バ ス ケ ッ ト ボ ー ル 及
- 82 -
びサッカーを,イはソフトバレーボールを,ウはソフトボールを主とし
て取り扱うものとするが,これらに替えてそれぞれの型に応じたハンド
ボールなどのその他のボール運動を指導することもできるものとする。
なお,学校の実態に応じてウは取り扱わないことができる。
(4) 内 容 の 「 F 表 現 運 動 」 の (1)に つ い て は , 地 域 や 学 校 の 実 態 に 応 じ て
リズムダンスを加えて指導することができる。
(5) 内 容 の 「 G 保 健 」 に つ い て は , (1)及 び (2)を 第 5学 年 , (3)を 第 6学 年
で指導するものとする。
(6) 内 容 の 「 A 体 つ く り 運 動 」 の (1)の ア と 「 G 保 健 」 の (1)の ウ に つ い て
は,相互の関連を図って指導するものとする。
(7) 内 容 の 「 G 保 健 」 の (3)の エ の 薬 物 に つ い て は , 有 機 溶 剤 の 心 身 へ の
影響を中心に取り扱うものとする。また,覚せい剤等についても触れる
ものとする。
(1)は ,「 A 体 つ く り 運 動 」 の 「 体 ほ ぐ し の 運 動 」 及 び 「 体 力 を 高 め る 運 動 」
に つ い て , そ れ ぞ れ の 学 年 で 指 導 す る こ と を 示 し た も の で あ る 。 ま た ,「 体 力
を高める運動」については,高学年の児童の発達の段階を踏まえ,体の柔らか
さ及び巧みな動きを高めるための運動に重点を置いて指導することを示したも
のである。
( 2 ) は ,「 D 水 泳 」 に つ い て , 泳 ぎ に つ な げ る 水 中 か ら の ス タ ー ト を 指 導 す
るとともに,学校の実態に応じて「背泳ぎ」を加えて指導することができるこ
とを示したものである。
( 3 ) は ,「 E ボ ー ル 運 動 」 に つ い て , ア か ら ウ ま で の 各 型 で 主 と し て 取 り 扱
う運動を示すとともに,それぞれの型に応じてその他のボール運動を替えて指
導 す る こ と も で き る こ と を 示 し た も の で あ る 。 ま た ,「 ベ ー ス ボ ー ル 型 」 に つ
いては,運動場が狭くその実施が難しい学校もあることから,取り扱わないこ
ともできることを示したものである。
(4)は ,「 F 表 現 運 動 」 に つ い て , 地 域 や 学 校 の 実 態 に 応 じ て ,「 リ ズ ム ダ ン
ス」を加えて指導することができることを示したものである。
( 5 ) は ,「 G 保 健 」 の 内 容 の 「 ( 1 ) 心 の 健 康 」 及 び 「 ( 2 ) け が の 防 止 」 に つ い
て は 第 5 学 年 ,「 ( 3 ) 病 気 の 予 防 」 に つ い て は 第 6 学 年 で 指 導 す る こ と を 示 し
たものである。
( 6 ) の 「 相 互 の 関 連 を 図 っ て 指 導 す る 」 と は ,「 体 ほ ぐ し の 運 動 」 に つ い て
の意味・必要性について,保健の時間において理解を図ることであり,また,
心の健康で学んだことを「体つくり運動」の時間で実践し理解を深めようとす
ることである。
- 83 -
(7)に つ い て は ,「 G 保 健 」 の 内 容 の (3)の エ の 薬 物 乱 用 の 心 身 へ の 影 響 に つ
いては,シンナーなどの有機溶剤等を中心に取り扱うものとしたものである。
また,覚せい剤については,乱用される薬物にはいろいろなものがあることに
触れる例として示したものである。
- 84 -
第4章
1
指導計画の作成と内容の取扱い
指導計画作成上の留意点
体育の目標を達成するためには,意図的,計画的な学習指導の展開が必要で
ある。このためには,地域や学校の実態及び児童の心身の発達の段階や特性を
十分考慮して,小学校6年間の見通しに立って,各学年の目標や内容,授業時
数,単元配当等を的確に定め,年間を通して運動の実践が円滑に行われるなど
調和のとれた指導計画を作成することが大切である。
指導計画の作成に当たって留意すべき事項として,次の点に配慮することが
大切である。
(1) 地 域 や 学 校 の 実 態 を 考 慮 す る と と も に , 個 々 の 児 童 の 運 動 経 験 や 技 能
の程度などに応じた指導や児童自らが運動の課題の解決を目指す活動を
行えるよう工夫すること。
このことは,学習指導要領における各領域の内容が大綱的に示されているこ
とから,具体的な内容や配当授業時数を定めるに当たって留意すべき点を示し
たものである。
「地域や学校の実態」とは,例えば,地域や学校の実態に応じてゲームやボ
ール運動,表現運動などにおいて運動を工夫して指導したり,自然とのかかわ
りの深い活動を取り上げたりすることや適切な水泳場や運動のための施設等の
確保が困難な学校の実情などを指している。
また,児童の実態(心身の発達的特性,運動への興味・関心,技能習熟の程
度など)に即した,いわゆる個に応じた学習指導の工夫を求めるとともに,児
童が進んで運動の楽しさに触れたり技能を身に付けたりすることができるよう
な計画の工夫を求めているものである。
(2) 一 部 の 領 域 の 指 導 に 偏 る こ と の な い よ う 授 業 時 数 を 配 当 す る こ と 。
(2)は , 主 と し て 運 動 領 域 の 内 容 の 指 導 に 対 し て の 授 業 時 数 を 指 す も の で あ
るが,各領域ごとの授業時数の配当に当たっては,一部の領域に偏ることなく
全部の領域の指導がバランスよく行われるようにするとともに,領域別の授業
時数の配当は,ある程度の幅をもって考えてもよいことを示したものである。
こ れ に つ い て は , 目 標 及 び 内 容 が 「 第 1 学 年 及 び 第 2 学 年 」,「 第 3 学 年 及
- 85 -
び 第 4 学 年 」,「 第 5 学 年 及 び 第 6 学 年 」 の 3 段 階 に 分 け て 示 さ れ て い る こ と
との関連で,児童の実態に応じた指導がより適切に行われるよう,内容の取扱
いに偏りがない限り,低・中・高学年の3区分ごとの複数学年の中で弾力的な
扱いを工夫することが大切ある。したがって,年間計画の作成に際しては,二
つの学年を一つの単位として,その中で各運動種目の単元構成や年間配当,時
間配当を工夫していくことが考えられる。
特 に 今 回 の 改 訂 で は ,「 体 つ く り 運 動 」 以 外 の す べ て の 指 導 内 容 に つ い て ,
2学年のいずれかの学年で取り上げ指導することができるなど運動の取上げ方
の一層の弾力化をしており,このことを踏まえた年間計画の作成の工夫や地域
や学校の実態に応じた年間計画の作成の工夫がより求められる。
このような年間計画における複数学年の扱いによって,一人一人の児童がじ
っくりと学習に取り組むことができるばかりでなく,学習内容の確実な定着を
図ることが可能となる。また,このような年間計画の弾力化による学習指導の
効果は,これからの小学校体育の目指す方向である生涯にわたって運動やスポ
ーツを豊かに実践していくことの基礎を培うことを促すものとなる。
(3) 第 2 の 第 3学 年 及 び 第 4学 年 の 内 容 の「 G 保 健 」に 配 当 す る 授 業 時 数 は ,
2 学 年 間 で 8単 位 時 間 程 度 , ま た , 第 2 の 第 5学 年 及 び 第 6学 年 の 内 容 の
「 G 保 健 」 に 配 当 す る 授 業 時 数 は , 2学 年 間 で 16単 位 時 間 程 度 と す る 。
(3)は , 保 健 領 域 に 配 当 す る 授 業 時 数 に つ い て , 第 3 学 年 及 び 第 4 学 年 で は
8 単 位 時 間 ,第 5 学 年 及 び 第 6 学 年 で は 1 6 単 位 時 間 に 若 干 の 幅 を も た せ て「 程
度」としたものである。
これは,体育科の目標を踏まえ,心と体を一体としてとらえ,例えば,体ほ
ぐしの運動と心の健康,けがの防止と運動の実践などの指導に当たって,運動
領域と保健領域との密接な関連をもたせて指導するように配慮する必要がある
ためである。
(4) 第 2 の 第 3学 年 及 び 第 4学 年 の 内 容 の 「 G 保 健 」 並 び に 第 5学 年 及 び 第 6
学 年 の 内 容 の 「 G 保 健 」( 以 下 「 保 健 」 と い う 。) に つ い て は , 効 果 的
な学習が行われるよう適切な時期に,ある程度まとまった時間を配当す
ること。
(4)は , 保 健 領 域 の 指 導 に つ い て 児 童 の 興 味 ・ 関 心 や 意 欲 な ど を 高 め な が ら
効果的に学習を進めるためには,学習時間を継続的又は集中的に設定すること
が望ましいことを示している。
- 86 -
(5) 第 1 章 総 則 の 第 1 の 2 及 び 第 3 章 道 徳 の 第 1 に 示 す 道 徳 教 育 の 目 標 に
基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に
示す内容について,体育科の特質に応じて適切な指導をすること。
学 習 指 導 要 領 の 第 1 章 総 則 の 第 1 の 2 に お い て は ,「 学 校 に お け る 道 徳 教 育
かなめ
は,道徳の時間を 要 として学校の教育活動全体を通じて行うものであり,道
徳の時間はもとより,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動
のそれぞれの特質に応じて,児童の発達の段階を考慮して,適切な指導を行わ
なければならない」と規定されている。
これを受けて,体育科の指導においては,その特質に応じて,道徳について
適切に指導する必要があることを示すものである。
体育科における道徳教育の指導においては,学習活動や学習態度への配慮,
教師の態度や行動による感化とともに,以下に示すような体育科の目標と道徳
教育との関連を明確に意識しながら,適切な指導を行う必要がある。
体育科においては,目標を「心と体を一体としてとらえ,適切な運動の経験
と健康・安全についての理解を通して,生涯にわたって運動に親しむ資質や能
力の基礎を育てるとともに健康の保持増進と体力の向上を図り,楽しく明るい
生 活 を 営 む 態 度 を 育 て る 。」 と 示 し て い る 。
集団でのゲームなど運動することを通して,粘り強くやり遂げる,きまりを
守る,集団に参加し協力する,といった態度が養われる。また,健康・安全に
ついての理解は,生活習慣の大切さを知り,自分の生活を見直すことにつなが
るものである。
かなめ
次に,道徳教育の 要 としての道徳の時間の指導との関連を考慮する必要が
ある。体育科で扱った内容や教材の中で適切なものを,道徳の時間に活用する
ことが効果的な場合もある。また,道徳の時間で取り上げたことに関係のある
内容や教材を体育科で扱う場合には,道徳の時間における指導の成果を生かす
ように工夫することも考えられる。そのためにも,体育科の年間指導計画の作
成などに際して,道徳教育の全体計画との関連,指導の内容及び時期等に配慮
し,両者が相互に効果を高め合うようにすることが大切である。
- 87 -
2
内容の取扱い
内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 「 A 体 つ く り 運 動 」 の (1 )の ア に つ い て は , 各 学 年 の 各 領 域 に お い て
もその趣旨を生かした指導ができること。
( 2 ) 「 D 水 遊 び 」,「 D 浮 く ・ 泳 ぐ 運 動 」 及 び 「 D 水 泳 」 の 指 導 に つ い て
は,適切な水泳場の確保が困難な場合にはこれらを取り扱わないことが
できるが,これらの心得については,必ず取り上げること。
とん
(3) 集 合 , 整 頓 , 列 の 増 減 な ど の 行 動 の 仕 方 を 身 に 付 け , 能 率 的 で 安 全 な
集 団 と し て の 行 動 が で き る よ う に す る た め の 指 導 に つ い て は ,「 A 体 つ
く り 運 動 」 を は じ め と し て , 各 学 年 の 各 領 域 ( 保 健 を 除 く 。) に お い て
適切に行うこと。
(4) 自 然 と の か か わ り の 深 い 雪 遊 び , 氷 上 遊 び , ス キ ー , ス ケ ー ト , 水 辺
活動などの指導については,地域や学校の実態に応じて積極的に行うこ
とに留意すること。
(5) 保 健 の 内 容 の う ち 食 事 , 運 動 , 休 養 及 び 睡 眠 に つ い て は , 食 育 の 観 点
も踏まえつつ健康的な生活習慣の形成に結びつくよう配慮するととも
に , 保 健 を 除 く 第 3学 年 以 上 の 各 領 域 及 び 学 校 給 食 に 関 す る 指 導 に お い
ても関連した指 導を行うよう配慮すること。
(6) 保 健 の 指 導 に 当 た っ て は , 知 識 を 活 用 す る 学 習 活 動 を 取 り 入 れ る な ど
の指導方法の工夫を行うこと。
第3の2の内容の取扱いは,内容を構成する上で確認しておく必要のある事
項のうち,特に各学年にわたるものについて示したものである。これは,各学
年の内容との関連で,必ず取り扱う内容と例外措置の講じられている内容とに
分けることができる。
( 1 ) は ,「 A 体 つ く り 運 動 」 の 内 容 に 示 さ れ た 「 体 ほ ぐ し の 運 動 」 の 趣 旨 を
生かした指導が「A体つくり運動」以外の領域においてもできることを示した
ものである。
( 2 ) の ,「 D 水 遊 び 」,「 D 浮 く ・ 泳 ぐ 運 動 」 及 び 「 D 水 泳 」 を 扱 わ な い こ と
のできる条件としては,学校及びその近くに公営のプール等の適切な水泳場が
ない場合があげられる。しかし,その場合であっても,事故防止等の観点から
これらの心得については必ず取り上げることを示している。
( 3 ) は , 集 団 と し て の 行 動 の 仕 方 の 指 導 に つ い て ,「 A 体 つ く り 運 動 」 を は
じめとして,各学年の各領域でその領域にふさわしい適切な指導を行うことを
- 88 -
示したものである。
(4)は , 諸 条 件 の 整 っ て い る 学 校 に 対 し て , 自 然 と の か か わ り の 深 い 運 動 の
指導を奨励していることを示したものである。
(5)は , 食 育 の 観 点 も 踏 ま え つ つ 望 ま し い 生 活 習 慣 の 形 成 に 関 す る 学 習 の 効
果を高めるため,保健領域の内容と運動領域の内容及び学校給食に関する指導
との密接な関連を図った指導に配慮することを示したものである。
(6)は , 知 識 を 習 得 す る 学 習 活 動 を 重 視 す る と と も に , 習 得 し た 知 識 を 活 用
する学習活動を積極的に行うことにより,思考力・判断力等を育成していくこ
とを示したものである。指導に当たっては,身近な日常生活の体験や事例など
を用いた話し合い,ブレインストーミング,応急手当などの実習,実験などを
取 り 入 れ る こ と , 地 域 や 学 校 の 実 情 に 応 じ て 養 護 教 諭 や 栄 養 教 諭 ,学 校 栄 養 職
員など専門性を有する教職員等の参加・協力を推進することなど,多様な指導
方法の工夫を行うよう配慮することを示したものである。
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領域構成と内容
1年
2年
3年
4年
5年
6年
【体つくり運動】
体ほぐしの運動 体ほぐしの運動 体ほぐしの運動 体ほぐしの運動 体ほぐしの運動 体ほぐしの運動
多様な動きをつ 多様な動きをつ 多様な動きをつ 多様な動きをつ 体力を高める運 体力を高める運
くる運動遊び
くる運動遊び
くる運動
くる運動
動
動
【器械運動】
【器械・器具を使っての運動遊び】
固定施設を使った運動遊び
マットを使った運動遊び
マット運動
マット運動
鉄棒を使った運動遊び
鉄棒運動
鉄棒運動
跳び箱を使った運動遊び
跳び箱運動
跳び箱運動
【走・跳の運動遊び】
走の運動遊び
跳の運動遊び
【走・跳の運動】
【陸上運動】
かけっこ・リレー
短距離走・リレー
小型ハードル走
ハードル走
幅跳び
走り幅跳び
高跳び
走り高跳び
【水遊び】
【浮く・泳ぐ運動】
【水泳】
水に慣れる遊び
浮く運動
クロール
浮く・もぐる遊び
泳ぐ運動
平泳ぎ
【ゲーム】
【ボール運動】
ボールゲーム
ゴール型ゲーム
ゴール型
鬼遊び
ネット型ゲーム
ネット型
ベースボール型ゲーム
ベースボール型
【表現リズム遊び】
【表現運動】
表現遊び
表現
リズム遊び
リズムダンス
表現
フォークダンス
【保健】
毎日の生活と健 育ち ゆ く体と わ 心の健康
康
たし
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けがの防止
病気の予防
3 体育・健康に関する指導
年間計画を作成するに当たっては,学習指導要領の総則第1の3「学校にお
ける体育・健康に関する指導」との関連を十分に考慮することが重要である。
3
学校における体育・健康に関する指導は,児童の発達の段階を考慮し
て,学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。特に,学校に
おける食育の推進並びに体力の向上に関する指導,安全に関する指導及
び心身の健康の保持増進に関する指導については,体育科の時間はもと
より,家庭科,特別活動などにおいてもそれぞれの特質に応じて適切に
行うよう努めることとする。また,それらの指導を通して,家庭や地域
社会との連携を図りながら,日常生活において適切な体育・健康に関す
る活動の実践を促し,生涯を通じて健康・安全で活力ある生活を送るた
めの基礎が培われるよう配慮しなければならない。
これからの社会を生きる児童に,健やかな心身の育成を図ることは極めて重
要である。体力は,人間の活動の源であり,健康の維持のほか意欲や気力とい
っ た 精 神 面 の 充 実 に 大 き く か か わ っ て お り ,「 生 き る 力 」 を 支 え る 重 要 な 要 素
である。児童の心身の調和的発達を図るためには,運動を通じて体力を養うと
ともに,食育の推進を通して望ましい食習慣を身に付けるなど,健康的な生活
習慣を形成することが必要である。また,児童の安全・安心に対する懸念が広
がっていることから,安全に関する指導の充実が必要である。さらに,児童が
心身の成長発達について正しく理解することが必要である。こうした現代的課
題に対して,今回の改訂では,学校における体育・健康に関する指導を,児童
の発達の段階を考慮して学校教育活動全体として取り組むことが必要あること
を強調したものである。
体育・健康に関する指導は,健康・安全で活力ある生活を営むために必要な
資 質 や 能 力 を 育 て ,心 身 の 調 和 的 な 発 達 を 図 る こ と を ね ら い と す る も の で あ る 。
したがって,体育に関する指導については,子どもの体力水準が全体として
低下していることが伺えるとともに,積極的に運動する子どもとそうでない子
どもに分散が拡大しているとの指摘があることから,生涯にわたって運動やス
ポーツを豊かに実践していくことと体力の向上を重視し,児童が自ら進んで運
動に親しむ資質や能力を身に付け,心身を鍛えることができるようにすること
が大切である。
このため,教科としての体育において,基礎的な身体能力の育成を図るとと
- 91 -
もに,運動系のクラブ活動,運動会などの体育的行事,遠足や集会などの特別
活動や教育課程外の学校教育活動などを相互に関連させながら,学校教育活動
全体として効果的に取り組むことが求められている。
健康に関する指導については,児童が身近な生活における健康に関する知識
を身に付けることや活動を通じて自主的に健康な生活を実践することのできる
資質や能力を育成することが大切である。
特に,学校における食育の推進においては,偏った栄養摂取などによる肥満
傾向の増加など食に起因する健康課題に適切に対応するため,児童が食に関す
る正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることにより,生涯にわたって健や
かな心身と豊かな人間性を育んでいくための基礎が培われるよう,栄養のバラ
ンスや規則正しい食生活,食品の安全性などの内容が一層重視されなければな
らない。また,これら心身の健康に関する内容に加えて,自然の恩恵・勤労な
どへの感謝や食文化などについても教科等の内容と関連させた指導を行うこと
が効果的である。食に関する指導に当たっては,栄養教諭等の専門性を生かす
など教師間の連携に努めるともに,地域の産物を学校給食に使用するなどの創
意工夫を行いつつ,学校給食の教育的効果を引き出すよう取り組むことが重要
である。
さらに,安全に関する指導においては,身の回りの生活の安全,交通安全,
防災に関する指導を重視し,安全に関する情報を正しく判断し,安全のための
行動に結びつけるようにすることが重要である。なお,児童が心身の成長発達
に関して適切に理解し,行動することができるようにする指導にあたっては,
学校の教育活動全体で共通理解を図り,家庭の理解を得ることに配慮するとと
もに,関連する教科,特別活動等において,発達の段階を考慮して,指導する
ことが重要である。
体育・健康に関する指導は,こうした指導を相互に関連させて行うことによ
り,生涯にわたり楽しく明るい生活を営むための基礎づくりを目指すものであ
る。
したがって,その指導においては,体つくり運動や各種のスポーツ活動はも
とより,保健指導,安全指導,給食指導などの健康に関する指導が重視されな
ければならない。このような体育・健康に関する指導は,体育科の時間だけで
はなく家庭科などの関連の教科や道徳,特別活動のほか,総合的な学習の時間
なども含めた学校の教育活動全体を通じて行うことによって,その一層の充実
を図ることができる。
各学校において,体育・健康に関する指導を効果的に進めるためには,地域
や学校の実態及び新体力テストなどを用いて児童の体力や健康状態等を的確に
把握し,それにふさわしい学校の全体計画を作成し,地域の関係機関・団体の
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協力を得つつ,計画的,継続的に指導することが重要である。
また,体育・健康に関する指導を通して,学校生活はもちろんのこと,家庭
や地域社会における日常生活においても,自ら進んで運動を適切に実践する習
慣を形成し,生涯を通じて運動に親しむための基礎を培うとともに,児童が積
極的に心身の健康の保持増進を図っていく資質や能力を身に付け,生涯を通じ
て健康・安全で活力ある生活を送るための基礎が培われるよう配慮することが
大切である。
<クラブ活動,運動部の活動>
クラブ活動,運動部の活動は,スポーツ等に共通の興味や関心をもつ同好の
児 童 に よ っ て 行 わ れ る 活 動 で あ り ,体 育 の 授 業 で 学 習 し た 内 容 を 発 展 さ せ た り ,
異なる学級や学年の児童との交流を深めたりするなどの成果が期待される。
このうちクラブ活動は,学校において適切な授業時数を充てるものとしてお
り,学校や地域の実態等を考慮しつつ,児童の興味・関心を踏まえて計画的に
実施することが大切である。
また,運動部の活動は,主として放課後を活用し,特に希望する児童によっ
て行われるものであるが,児童の能力や適性などを考慮し,教師などの適切な
指導の下に,自発的,自主的な活動が適正に展開されるよう配慮することが大
切である。
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