少年マンガに入っている「男らしさ」

少年マンガに入っている「男らしさ」
専門演習 II
レポート
Christian Weisgerber
聴講生 1057340012
目次
1.はじめに
ページ 1,2
2.第一章:男らしさ、ジェンダーとマスメディアの背景について
2.1)ジェンダーと経済学
ページ 2,3
2.2)マスメディアとジェンダー
ページ 3,4
2.3)マスメディアに見られる男性像について
ページ 4,5
3.第二章:作品の選び方と作品調査
3.1)研究対象マンガについて
ページ 5-7
3.2)
『らんま1/2』の男性像調査
ページ 7-12
3.2.1)『らんま1/2』の内容について
ページ 7,8
3.2.2)『らんま1/2』の男性キャラクター
ページ 8-10
3.2.3)男性キャラクターの弱さと男性像
ページ 10-12
3.3)
『シティハンター』の男性像調査
ページ 10-19
3.3.1)『シティハンター』の内容について
ページ 12-13
3.3.2)『シティハンター』の男性キャラクター
ページ 13-14
3.3.3)男性キャラクターの弱さと男性製造
ページ 15-17
4.第三章:男性像と現実
ページ 17-19
5.最後に
ページ 19-20
6.参考文献
ページ 20
1
1.はじめに
昔、子供は「自分の生活で何が欲しいのか、何の仕事をしたいのか、どんな人間関係を
築きたいのか。」と質問すると、子供が特に友だちや兄弟と遊んだり、両親と話したりお祖
父さんやお祖母さんと時間を過ごす、答えを見つけた。現代の少子化、一人っ子の家族、
核家族や働いているお母さんがいる社会で、子供は暇な時をほとんどマンガ、テレビやゲ
ームソフトなだと過ごすので、マスメディアが子供の教育のために重要性が高まっている。
結果、現代日本の社会経済的な問題について論議したら、マスメディアを調査すべきだと
考える。
マスメディアを調査すると、マンガやテレビやゲームソフトにも、実は全部のマスメデ
ィアは繰り返すパターンやステレオタイプな男女の役割が必ずあると気づいた。このパタ
ーンや役割はいつでも、どこでも、1人でいる時も別の人と一緒にいる時も子供にみられ
るので、子供の夢、希望、願いと悪夢、つまり子供の価値観に影響を与えるはずである。
マスメディアの影響で子供はすべきこと、あるいはすべきではないことを教えられるので、
マスメディアの世界に捕まって、現実の「男らしさ」と「女らしさ」に強い影響を与える
と考えられる。簡単な社会学的な表現を使えば、ジェンダーである。
このレポートでは、1年間の研究を要約しながら、少年マンガに入っている男らしさに
関して書きたいと思う。そのために、第一章ではジェンダーの表現を定義し、マスメディ
アとジェンダーの関連を説明することになり、マスメディアにたくさん見える男性像につ
いて解説する予定である。この理論的な背景を解釈した後、第二章では具体的な作品調査
に入っていく。この段落で、まずマスメディアのジェンダー、あるいは男らしさについて
調べたら、どうして少年マンガを調べるべきか、さらに、どの少年マンガを調査するべき
かという質問にも答えていく。後に作品調査のために選んだ作品『らんま1/2』
(高橋留美
子、小学館)と『シティハンター』(北条司、集英社)で少年マンガに現れている男性像を
説明したいと思う。そのために『らんま1/2』と『シティハンター』の内容を紹介し、伊
2
藤公雄の男らしさを解説する言葉「優越」、「推力」と「所有」を実証するつもりである。
この場、「優越」、「推力」と「所有」と記述されている男性像と男性が作品内弱さを示す時
の関連に重点を置く。最後に第三章では、作品調査の結果を経験的に証明しようと思う。
そのために麗澤大学下田健人教授の協力で行われたアンケートを評価する予定である。さ
らに、今説明したことに関することを書く前にマスメディアに入っているジェンダーと経
済学の関連について解説する。
2.第一章:男らしさ、ジェンダーとマスメディアの背景について
2.1)ジェンダーと経済学
このレポートを読んでいる人は「ジェンダーは教育学とか社会学のだけの問題だろう
か。」という疑問をもつだろう。しかし、実はジェンダーがいろいろな経済学的な問題にも
関係をする。例えば、O`Sullivan/ Sheffrin(2001)の経済学教科書によるとメディアのイメー
ジが労働提供に影響を与えるとしている:「看護婦の仕事をほめるテレビドラマがあれば、
看護婦になりたい人の数が増えて、全看護婦の所得が減っていく」という。
また、どうして女性は男性より平均的に低い給料をもらうかという質問もジェンダーで
答えられる。現実とマスメディアで示される主に女性が働いている職業を見ると、この職
業はほとんど教師、看護婦、店員、事務所の仕事などである。作業員、機会技師、エンジ
ニアなどとして働いている女性の数はあまり多くないである。結局、ジェンダーがあるの
で、女性が選ぶ職業の種類は男性より少ない。だから、この職業では労働供給が非常に多
いので、あるいは需要があまり多くないので、主に女性が働いている職業の給料が減って
いて、全経済の女性の平均給料は男性より低いである。
その上、M カーブの背景もマスメディアのジェンダーで説明できる。マスメディアで放
送されている女性像は主に良妻賢母だし、良妻賢母役の女性は結婚の後、あるいは子供の
3
出生の後に退職するから、ジェンダーは M カーブにも影響を与えると考えられる。
つまり、いろいろな経済学的な問題をジェンダーで解説できる。さらに、ジェンダーは
とりわけマスメディアがつくったことであるので、マスメディアに入っているジェンダー
を調査することは経済学にも大切に違いない。そして、経済学のゼミで調査すべきである
と考えられる。
2.2)マスメディアとジェンダー
このレポートで今までしばしば使った表現はジェンダーである。しかし、この表現の科
学的な意味は何であろうか。定義すると、ジェンダーは東京学芸大学の村松康子とトリア
大学のゴスマン教授によると「女」「男」という性による違いが生物学的で不変なものでは
なく、社会的文化的に形成され、変化しうるものをさす言葉である(村松、ゴスマン、1998、
p.1)』。結局、ジェンダーは男と女という表現は時代によって社会によって、文化によっ
て違っている。
現代ジェンダーの形成に強く影響を与えるものはマスメディアである。マスメディアを
見ると、内容が社会によっても時代によっても変化していて、マスメディアが社会の現実
を反映すると考えることができる。しかし、マスメディアの内容はマスメディアをつくっ
ている人が選んだ内容であるから、内容は実にマスメディアメーカーの現実を反映する。
結局、マスメディアの内容は社会的な現実からメーカーが構成した部分しか反映しない。
だが、メディアの消費者はメディアの現実を認識しているので、メディアの現実は消費者
の現実に影響を与え、消費者の現実を構成している。
メディア
の現実
社会の
個人の
現実
現実
4
この事実を以下の例で説明したいと思う。人は毎日テレビで世界のニュースを見ると、
政界、経済界の事実を知っていると思うが、実はメディアが反映している事情しか知らな
い。しかし、個人はメディアの現実を知って、それぞれの決定をするので、メディアは個
人の現実に直接に影響を与える。
同じように、メディアは個人的なジェンダーの形成に対して作用している。つまり、現
代日本の男性における「男らしさ」に関する研究をすると、メディアの内容は深い意味が
ある。
2.3)マスメディアに見られる男性像について
このレポートの最初の段落でマスメディアの繰り返すパターンとステレオタイプな男女
の役割について説明した。しかし、パターンや役割についてまだ説明しなかった。男性向
けのメディアを見ると、このメディアの男性像に関するいろいろな調査や論文がある。こ
の調査や論文の対象はほとんどテレビのシリーズだけれども、男性像はすべてのマスメデ
ィアで大体同じだと考えられる。
瀬尾徹志という学者によると、テレビでステレオタイプな男性像を生んだのは『月光仮
面』
(1958)というテレビシリーズである。テレビシリーズのヒーローキャラクターは白い
ターバン、マスクやマントを着て正義のために戦っている男である。ヒーローのようなキ
ャラクターは後にさまざまなテレビシリーズで演じられ、日本のヒーロー像の鏡になった。
例えば、
『鉄腕アトム』、
『マジンガーZ』、
『明日のジョウ』、
『宇宙戦艦ヤマト』
『機動戦士ガ
ンダム』、
『ドラゴンボール』など、少年・男性に向けているシリーズである。ヒーローキ
ャラクターはほとんど腕白で、黙っていて、強くなる相手によって自分が進歩して、正義
のために無敵の力を使う男性戦士だと考えられる。この戦士キャラクターの隣にいる女性
はヒーローに守られるべきものであり、風呂やシャワーシーンは一番大切な演技である。
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そういうと、テレビシリーズでヒーローが求めていることは「優越」「推力」「所有」であ
ると考えられる。つまり、マスメディアに入っている「男らしさ」に関する調査すると、
様々なパターンが期待される。
3.第二章:作品の選び方と作品調査
3.1)研究対象マンガについて
最初の段落では、特に少年マンガの中の「男らしさ」について調べるつもりだと書いた。
今どうして少年マンガを、どんな少年マンガを調べるべきかという質問を解答する。
日本メディア市場を見るととても意義深い製品はマンガである。なぜなら、日本印刷産業
の全生産の約40%はマンガであり、マンガはアニメやゲームソフトなど別のメディアの
源であるので、マンガは男らしさに関する調査のために適当な対象であると考えられる。
しかし、日本の全マンガが調査できないので、調査のために適している作品を選ぶのは問
題である。この作品選択のために少年マンガ、男性コミック、少女マンガと女性コミック
の区別は大切である。
日本雑誌協のデータによると、少女女性コミックを読んでいる男性割合は少ない。例え
ば 0.5%(小学館の「ちゃお」、発行部数 1.065.000 部)、0.0%(例えば集英社の「りぼん」、
発行部数 729.167 部、集英社の「YOU」発行部数 234.166 部、小学館の「Judy」、発行部数
156.853 部)などで非常に少ないので、少女女性コミックを調べることは男らしさの調査を
するように必要ではないと考えられる。また、男性コミックの読者のほとんどは以前少年
マンガの読者だったので、男性コミックと少年マンガに入っている男性のイメージが基本
的に同じだと考えられるので、マンガに入っている男らしさとこの男らしさの社会的経済
的な影響を調べるのに少年マンガだけの調査で十分であるはずだ。
少年マンガの市場を見ると、営利的な雑誌が18種類ある。この18種類の中で一番意
6
味深いのは4つの大きな週刊誌「少年ジャンプ」(集英社、発行部数 2.994.877 部)「少年
マガジン」
(講談社、発行部数 2.721.633 部)
「少年サンデー」
(小学館、発行部数 1.198.333
部)と「少年チャンピオン」(秋田書店、発行部数 500.000 部)である。
この週刊誌の読者構造をきちんと見ると、少年ジャンプは特に男性の小中高生に読まれ、
少年サンデーは特に中高大学生に読んでいるのがわかる。
図1と2:少年ジャンプと少年サンデーの性差別
女性, 10%
女性, 24.1
男性
男性
女性
女性
男性, 75.9
男性, 90%
ジャンプ
サンデー
図3と4:少年ジャンプと少年サンデーの読者構造
小学生, 8.7
その他 , 8.6
会社員 , 8
小学生 , 22 .2
大学生 , 3.6
高校生 , 19.5
中学生 , 3 8.1
小学生 中学生 高校生 大学生 会社員 その他 大学生, 44.5
中学生, 20.7
小学生
中学生
高校生
大学生
高校生, 26.1
ジャンプ
サンデー
このデータを見ると、週刊誌はそれぞれの年代の読者に向けて作られ、さまざまな男性
読者に読まれているので、少年ジャンプと少年サンデーから作品を選び、内容を調べて、
この調査の結果を比較すると、日本少年マンガに入っている男らしさを細かく記述できる
と考えられる。
少年ジャンプと少年サンデーの作品に入っている男らしさを調査する上で2つの方法が
あると考える。一番目は時点の、つまり1つの時点の全作品の調査であり、二番目は時期
の、つまりいくつかの作品の長時間の調査である。しかし、男らしさは時間によって進展
しているので、作品数は少なくても、時期の調査は時点の調査よりメリットがある。しか
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も、そういう調査をするには長い間多量に販売された人気な作品を選ばないわけにはいか
ない。少年ジャンプの場合、北条司の「シティハンター」、少年サンデーの場合高橋留美子
の「らんま1/2」はこのような作品である。2つの作品は長い間(シティハンター、1986-92、
35 巻;らんま1/2、1988-96、38 巻)多量に販売され、アニメのテレビシリーズと色々な
ゲームソフトの原作であったので、今日みなが知っている人気な作品である。
その上、二つの作品の漫画家は単に『らんま1/2』と『シティハンター』だけではなく、
長い間に色々な成功した作品を発行した。高橋留美子は 1978 年『勝手なやつら』で第二回
新人コミック大賞を受賞した。この後、デビューし、同年週刊誌少年サンデーに『うる星
やつら』を連載開始した。その時から、『めぞん一刻』『らんま1/2』や『犬夜叉』で大量
発行部数販売された作品を描いた。北条司は高橋留美子のように 80 年代から今まで全日本
で非常に人気な漫画家である。1980 年に『おれは男だ』という作品で週刊誌少年ジャンプ
にデビューして、
『キャツアイ』
(1981-85)、
『シティハンター』
(1985-91)、
『こもれ陽の下
で』(1993)、『RASH!!』(1994-95)などで少年ジャンプに、『F.COMPO』(1996-2000)、
『Angels Heart』(2001 から)でマンガオールマンに掲載され、発行部数の高い作品をた
くさん出した。各漫画家の作品雰囲気はいつも似ているし、
『らんま1/2』と『シティハン
ター』は長い成功作品歴に並んでいるから、二つの作品は少年マンガに入っている男性像
に影響を与えると考えられる。
次の段落では『らんま1/2』で始めて、具体的な作品の調査に入っていく。最初に、作
品の内容を紹介し、その後、男性が弱さを見せる男性像を調査する予定である。
3.2)『らんま1/2』の男性像調査
3.2.1)『らんま1/2』の内容について
『らんま1/2』では、中国帰りの早乙女親子が無差別格闘流の天道道場に居候して
いる。拳法練習仲間の父親、早乙女玄馬と天道道場主、天道早雲の数年前の約束は、早
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乙女家の息子乱馬と、天道家の三番目の娘あかねは、出会ったことがなくても、天道道
場の相続を確保するために結婚が決められ、良い関係をつくらなければいけない。とこ
ろが、早乙女親子は中国の呪泉郷で拳法を練習している際に、不思議の泉に落ちた。そ
れから、父親は水をかぶるとパンダになり、息子は女の子に変身するようになってしま
った。湯をかぶると、二人は本来の姿にもどることができる。
その上、話が進むにつれだんだん新しいキャラクターが登場していき、乱馬とあかね
の関係を邪魔しようとくる者もいる。この中の一番重要なキャラクターは乱馬の昔から
のライバルであり、あかねのことが気になる響良牙、乱馬の女性の姿が好きになった剣
道家の九能帯刀、玄馬と早雲の拳法師匠である、趣味がのぞくことのハッポウサイや男
性になった乱馬に結婚願望をもつ一方で、女性になった乱馬を倒そうとする中国からき
たシャンプーや許婚になった関西出身の幼なじみ右京である。この邪魔者がいても、二
人は最終的にお互いを理解して、仲良く関係をつくることができる。
『らんま1/2』の内容を説明してから、マンガで重要な男性キャラクターとこのキ
ャラクターの男性像の調査に入る予定である。
3.2.2)『らんま1/2』の男性キャラクター

早乙女乱馬:高校1年生早乙女乱馬はマンガの中でほとんどすることは喧嘩と殴り
合いである。殴り合いの時、最初は敗者のようであるけれども、最終的に勝つこと
が多い。乱馬が殴り合いをする原因は基本的に二つある。一番目はあかねや別の女
の子を失わないためと、二番目は相手に自分の力を示し、相手について支配力を得
るためである。一番目の殴り合いの例え話はマンガの1巻に載っている。乱馬が九
能帯刀と最初に出会った時、乱馬は九能にあかねを奪われないように勝負したがっ
ている。乱馬はその時あかねと許婚になったばかりだけど、殴り合いをする。二番
目の殴り合いタイプの例え話はマンガの7巻に見つけられる。乱馬は自分の力を証
9
明するたねにハッポウサイに対して殴り合いをする。

早乙女玄馬:マンガの話が始まる数年前玄馬は息子に拳法を教えるために家を出て、
旅を始める。乱馬より殴り合いのシーンは少ないけど、時々登場する。玄馬が殴り
合いをする理由は女性ではなく、支配力を得るためである。マンガの21巻ではこ
のような殴り合いの例えが見つけられる。玄馬は息子を支配する権利を得るために
乱馬と勝負する。だが、玄馬はマンガのシーンでは、ほとんど天道早雲とお茶やビ
ールを飲みながら、しゃべったり、乱馬の拳法練習を応援したりするシーンである。

天道早雲:早乙女玄馬と同じ年、三人の娘の男やもめ父親の天道早雲は、成立した
道場の相続を心配する。自宅と道場の持ち主として殴り合いで力を見せる必要はな
い。マンガの中で早雲は娘が愛する品位の高いキャラクターである。だが、娘を守
るため、あるいは師匠のハッポウサイの支配から自由を得るために早雲も時々殴り
合いをする。これを証明するシーンはマンガの7巻に載っている。

ハッポウサイ:背が低く、年よりでも、ハッポウサイは乱馬や玄馬や早雲に対して
簡単に勝てる拳法の師匠である。女好きと下着泥棒で、周りの人を困らせている。
全マンガでは乱馬、玄馬と早雲に対して、支配力を守るための戦いシーンが多い。

響良牙:乱馬の許婚であるあかねのことが気に入るので、しばしば乱馬と戦う。だ
が、乱馬が本当に困まっている時はいつも手を貸す仲間である。乱馬と同じ呪泉郷
の泉に落ちて、水をかぶってしまうと豚になり、良牙は体力は強いのだが、殴り合
いでほとんど乱馬に負けてしまう。その上、あかねに自分の気持ちが伝えられない
ので、自分を情けないと思っている。そういうわけで、良牙はマンガの世界で恥か
しがりやのキャラクターだと考えられる。

九能帯刀:自分が最強だと思う乱馬と同じ高校に通う二年生である。剣道部の部長
であり、あかねと乱馬の女姿のことが好きになってしまい、乱馬の男姿と戦う時が
多い。乱馬の変身を知らず九能の夢は乱馬を倒して、あかねと乱馬の女姿と付き合
10
うことである。だが、最終的に乱馬にいつも負ける。九能はあかねにも女性乱馬に
も出会った時は、自分の気持ちを伝えるので、マンガの世界で良牙の反対の性格だ
と考えられる。
『らんま1/2』の男性キャラクターを一般に見ると、みなはだいたい同じように優
越、推力と所有を得るために戦う。所有の特別なシンボルはマンガの女性キャラクター
である。この所有を得るように、あるいは相手に自分の優越を示すように若い男性キャ
ラクターは自分のプライドのために殴り合いで体力を比べて、勝利を目指す。若いキャ
ラクターと年をとったキャラクターを比較すると、年をとったのは若いキャラクターに
対する自主的な優越を持っているはずである。この年の功が原因で優越からの自由を得
るために、そして自分自身年取ったキャラクターに対する支配力を得るために若いキャ
ラクターは年寄りに対して世代紛争を表すと考えられる殴り合いで戦っている。
結局、
『らんま1/2』は読者側に、基本的に自分の力で戦い、戦いながら優越と所有
のシンボル「女の子」「支配力」を得ることは大事であるという世界を示す。このこと
を得られない男性キャラクターは情けない存在だと教えられる。だが、この男性像だけ
ではなく、
『らんま1/2』の男性キャラクターは時々弱さも示す。そういう弱さと優越、
推力、所有で釈明されている男性像に、どのような関係があるのか次の段落で説明する
予定である。
3.2.3)男性キャラクターの弱さと男性像
『らんま1/2』の男性像と弱さの関係を調べるために男性キャラクターはどんな時、
どのように弱さを示すか調べるつもりである。そのために男性キャラクターはどの時に
泣くか、あるいは逃げるかを調査する。この調査は、キャラクターがなぜ泣いたり、逃
げたりするのかという原因や一緒にいる人と状況の解釈を含めている。
表1『らんま1/2』の男性キャラクターが弱さを示す時(選択)
11
出展
弱さ
キャラクター
周囲
原因
事情
1巻
泣く
天道早雲
家族、友達
喜び
ずっと待っていた、娘の許婚になるべき
乱馬が到着した
1巻
泣く
天道早雲
家族、友達
失望
乱馬の女姿に気づいた早雲は乱馬があ
かねの許婚になれないと思う。
1巻
泣く
早乙女玄馬
家族、友達
失望
玄馬は天道家族に乱馬の変身を見せる。
6巻
泣く
天道早雲
乱馬
失望、悲しみ
乱馬は娘以外の女性を気に入ると思う。
6巻
泣く
早乙女乱馬
あかね
恐怖
特別な拳法技を使うためには、たくさん
泣くほどの恐怖が必要である。
6巻
泣く
響良牙
あかね
喜び
好きな人が作った手料理が食べられる。
6巻
逃げる
早乙女乱馬
良牙
作戦
殴り合いで良牙より弱いので、乱馬は反
撃方法を考えるために逃げる。
7巻
泣く
九能帯刀
乱馬の女性姿、
喜び
人目の前
7巻
泣く
ハッポサイ
あかね(まだ知
会う。手料理をもらったと思う。
作戦
らない時)
9巻
泣く
響良牙
あかね、乱馬
ずっと会いたかった九能は女性乱馬に
あかねを抱きたいので、泣くことであか
ねの不信を消す予定だ。
失恋
あかねは失恋だと思う良牙は顔そむけ
て、逃げながら泣いている。
14巻
泣く
早乙女乱馬
あかね
悲しみ
体力を失った乱馬は自分が情けなくて、
顔をそむけ泣いている。
14巻
泣く
響良牙
一人
悲しみ
あかねにまだ出会わないと考える良牙
は顔をそむけ泣いている。
15巻
泣く
天道早雲
家族
失望、悲しみ
トランプゲームで家を失った。
15巻
泣く
早乙女乱馬
勝負の相手
作戦
勝負の相手をだますために乱馬は泣き
始める。
20 巻
泣く
響良牙
あかね、人目の
作戦
前
21巻
降伏する
早乙女玄馬
乱馬
特別な技を使うには、良牙は前もって泣
かなければならない。
作戦
乱馬に負けた後、玄馬は新しい技を練習
をするために表に降伏する。
28巻
泣く
早乙女乱馬
ハッポサイ
たまねぎ
ハッポウサイは薬をつくるため乱馬の
涙が要るので、多量のたまねぎを使う。
表1を見ると、いろいろなことが現れている。まず、
『らんま1/2』の男性は悲しさ
を表すためにあまり泣いていない。その上、悲しい時に泣くキャラクターは顔をそむけ
12
る。それはおそらく、読者に、現実において本当の悲しさを表さない方が良いを教えて
いる、と考えられる
実際に悲しいというわけでもない時、泣いて逃げることには基本的に二つの原因があ
るはずだ。一つは強い感情を表すため、もう一つは戦いの作戦のためである。感情を表
すための泣くことはほとんど家族の一員とか親しい友達の前で起きる。逆に、作戦のた
めの泣いて逃げることは敵とか人目の前でする。つまり、「うち」と「そと」の区別が
現れていると考えられる。感情を表すために泣くキャラクターはマンガの世界では少し
風変わりらしいけど、その泣くことは社会的な見方からは問題ではない。作戦の時泣く
ことはキャラクターが求めている「優越」「推力」と「所有」を得るために必要なら、
社会的な見方から不可欠だと考えられる。
結局、
『らんま1/2』は読者に対して弱さは本気の時に表すべきではなく、作戦のた
めに表すべきであるということを証明している。家族の一員に対する時だけ時々弱さを
表してもいいはずである。
次の段落では『らんま1/2』と同じように北条司の『シティハンター』の男性像を
調査する予定である。この調査はまた作品の内容紹介で始める。
3.3)『シティハンター』の男性像調査
3.3.1)『シティハンター』の内容について
「シティハンター」はマンガの主人公、プロ探偵と殺し屋の職業をしている冴羽リョ
ウの仮の名前である。亡き親友の妹槇村香と一緒に探偵事務所を営み、80 年代の東京
でいろいろな犯罪者を一掃する。第1巻で香のお兄さんで、リョウの相棒である槇村が
殺された後、急にリョウの相棒になった香は全然知らなくても、マンガの話の流れにリ
ョウの仕事を応援したりリョウと何とか仲良い関係をしたりするようになる。同時にリ
ョウは香のことを気にいって、二人はだんだんお互い好きになる。だが、リョウは女好
13
きであるし、ほとんど好みの美人のボディガードにおける依頼を受けるので、二人の邪
魔になる人が多い。しかも、謎の事件に巻き込んだり、一緒に解決したりしながら、新
たな友達、例えば、喫茶店の店員に転職した殺し屋、海坊主とかその店の店長、美樹、
をたくさん見つけ、二人は最終的に恋人同士になれる。
『らんま1/2』と違って『シティハンター』では、重要な男性キャラクターの数が
あまり多くなく、基本的に冴羽リョウ、海坊主と、その二人の敵を含めるので、次の段
落で行われる男性像の調査はその三つに重点を置いていく。
『らんま1/2』の調査と同
じ、まず、作品の男性キャラクターを明示して、キャラクターの「優越」、
「推力」と「所
有」に基づく男性像を確かめて、その男性像と弱さの関連を説明する予定である。
3.3.2)『シティハンター』の男性キャラクター

冴羽リョウ:漫画家・北条司は主人公の冴羽リョウについて「彼はかもくで影の男
というイメージがあるけど、普通の人間だ」と書いている(第1巻)。そういう文
章を読むと、冴羽リョウというキャラクターの行動がわかりやすくなる。一方では、
リョウがプロ探偵や殺し屋としてほとんど美人のボディガードの依頼を受け取り、
無感情の顔で仕事をする。だが他方では、才能が必要ではない時、リョウは料理を
何でも食い、美人を追い掛ける女好きになる。仕事の時はさまざまな銃や体力を使
って、狙われている依頼人をどんな敵からでもから守るリョウは、その使命を受け
見ていないときには女性の依頼人にとって言ってみれば危険な存在である。性格の
変動は、マンガの流れに常に載っている。最初の例は1巻にある。リョウは美人の
依頼人に出会うと、下心を丸出しにするが、会った店が襲われて、依頼人が人質に
なったとき、リョウは命をかけて依頼人を守る。

海坊主:海坊主というキャラクターは、マンガが始まる時、リョウと同じように探
偵、殺し屋、ボディガードとして働いている。腕っ節でも体力でもリョウと大体同
14
じ強さを持ち、二人が仕事の影響で勝負すると、勝利者はいない。だが、海坊主と
リョウは仕事以外の時に出会うと、喧嘩をしても、仲の良い友人である。リョウと
違って女性キャラクターに対してすぐに恥ずかしくなってしまう海坊主は『シティ
ハンター』のシャイマンキャラクターを代表する。このキャラクターをよく特徴づ
けているエピソードは、マンガの 18,19 巻に入っている。この話で、リョウを倒せ
ば結婚すると約束した依頼人のために、リョウと勝負を始め、裏でリョウと協力す
る海坊主は、依頼人に最終的にほめられると恥ずかしくなり、前に見せた勇気を失
ってしまう。続きで、海坊主は殺し屋の仕事を辞め、その依頼人の喫茶店にウェー
ターとして転職する。

敵側の男性キャラクター:リョウの敵は、一般的に彼らの依頼人を狙っている、倒
すべき悪役キャラクターである。いつも怖い顔をし、普通に手段を選ばない男性は、
リョウに対して暴力的に戦いを仕掛けるのだが、マンガに入っている正義のイメー
ジのために最終的に負けてしまう運命になる。
『シティハンター』の男性キャラクターを一般的に見ると、このレポートの第二段落
で説明した瀬尾徹志が明示した男性像が表現されている。リョウも海坊主も腕白で、寡
黙、戦いのときは、正義のために無敵の力を使う男性ヒーローだと考えられる。さらに、
周りにいる女性キャラクターは、二人に守られるべき存在であり、また風呂やシャワー
でのシーンは最も重要な役割であり、リョウの場合は時々そのキャラクターに対して最
低な行動をしてもいいというイメージを持っている。
『らんま1/2』と同様に、
『シティハンター』の男性キャラクターは、
「所有」と「優
越」のシンボル、「女性」を求めている。そのシンボルを得るために、男性キャラクタ
ーは暴力的な戦いを始める、と考えられる。また、その戦いは、単に女性を得るためだ
けではなく、自分の生活を守るためでもある。探偵や殺し屋として、他人の依頼を受け、
自分の規則に乗っ取って行動する生活というのは、
『らんま1/2』での他人の支配力か
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ら自由を求めるという目的に非常に似ている。
結局、
『シティハンター』では、読者側に『らんま1/2』と同様に、男性が「所有」、
「推力」と他人に対する「優越」のために戦う男性像が入っていると考えられる。この
男性像と男性キャラクターが弱い時の関係は次の段落で説明していく。
3.3.3)男性キャラクターの弱さと男性像
『シティハンター』の男性像と弱さの関係を調べるために、
『らんま1/2』の調査と
同じように、男性キャラクターはどんな時に泣き、どんな時に逃げるのか調べるつもり
である。この調査は、キャラクターがなぜ泣いたり、逃げたりするのかという原因や一
緒にいる人と状況の解説を含めている。
表2『シティハンター』の男性キャラクターが弱さを示す時(選択)
出展
弱さ
キャラクター
周囲
原因
1巻
泣く
リョウ
相棒(槇村)
痛み
事情
依頼人を守って、けがをしたリョウはそ
の依頼人の前では平気な顔をして、相棒
が傷の手当てをする時泣いている。
1巻
泣く
槇村
リョウ
心配
妹(香)が家出したという伝言をもらっ
た槇村は心配して泣いている。
7巻
泣く
リョウ
愛人
片思い、痛み
ひじ鉄を食らったリョウは気になった
人の前で泣き始める。同時に 損傷を被
るので、本当の泣く原因は不明。
9巻
泣く
依頼人
リョウ、香
作戦
リョウに自分の依頼が重要なのを示す
ように依頼人が泣き始める
9巻
泣く
敵
人前
生活救い
自分の生活を守るためにリョウと戦い
倒されたキャラクターは泣いて謝って
いる。
10巻
泣く
リョウ
愛人、香
喜び
自分の欠点を直す方法を見つけた、と思
うリョウは喜んで泣いている。
12巻
逃げる
リョウ
香
怖さ
無恥なことをしたリョウは香の罰を怖
れて逃げる
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13巻
泣く
海坊主
リョウ、親友
喜び
懐かしい曲調を聞いて海坊主は泣いて
いる。
15巻
泣く
敵
人前
生活救い
リョウに負けた犯罪者は自分の生活を
救うために泣き謝っている。
19巻
泣く
リョウ
香
喜び
望んでいることを白昼夢に見るリョウ
は涙を流す。
21巻
泣く
リョウ
香
怒り
エロ本が捨てられたリョウは怒って泣
いている。
22巻
泣く
依頼人
人前
作戦
娘を転職させたがっているお父さんは
娘に影響を与えるために泣き始める。
30巻
泣く
リョウ
一人
失望
依頼の賃金が以外に少なくリョウは賃
金を見ながら泣いている。
30巻
泣く
リョウ
一人
喜び
リョウは寝ている美人を観て、自分自身
の夢を見ながら、泣いている。
31巻
逃げる
リョウ
香、依頼人
怖さ
依頼人に下品なことをしたリョウは依
頼人のお父さんに追われて逃げる。
31巻
泣く
リョウ
海坊主
怖さ
間違いをしたリョウは香の罰を想像し
て涙を流す。
33巻
泣く
リョウ
香、昔の友人
悲しさ
昔に犯した罪を思い出したリョウは涙
を流し始める。
表2を見ると、いろいろなことが明白になる。まずは、
『シティハンター』では、
『ら
んま1/2』と同じように、友人と家族の前での弱さと、人前での弱さの区別が現れて
いる。人前で泣いて逃げるキャラクターの中には基本的に二つの種類がある。一つは、
自分の生活を守るために泣いて謝っているリョウや海坊主に倒された犯罪者であり、も
う一つは他人の決定に影響を与えたがっている依頼人である。この区別でマンガは読者
側に、人前で本気で泣いて逃げるのは情けないことであり、最終的には勝った時だけ許
されると教えている。それは『らんま1/2』と同じメッセージだと考えられる。
さらに、家族や友人の前で泣いているキャラクターは、ほとんど喜びとか怖さのため
に泣いている。その喜びの原因は『らんま1/2』と同じであり、怖さのために泣いた
り逃げたりするのは『らんま1/2』にはあまり入っていないけれども、自分が大切に
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する人の前にいる時にだけ現れているので、
『らんま1/2』と同じパターンである。そ
の上、本当に悲しい時に泣いている男性キャラクターは、『シティハンター』にもあま
り入っていない。そして、悲しい時に泣くことはさらに、
『らんま1/2』と同じように、
親しい人の前にいる時だけ現れている。
結局、
『シティハンター』と『らんま1/2』の男性像を比較すると、大体同じパター
ンが見られる。男性キャラクターは「優越」、
「推力」と「所有」を求めて、戦っている
存在であり、その存在で弱さを示すという事は、人前で本気の場合、弱さは情けないも
ので、作戦の場合、
「優越」、
「推力」と「所有」を得るために必要なら、いいのである。
親しい人の前で時々本気の弱さを表に出してもいいはずであるが、その弱さは必ずしも
「優越」、
「推力」と「所有」という目的を疑問視しないと考えられる。
『シティハンター』の作品の調査は、これで終わりをする。次の段落では、代表的に
選択した作品『らんま1/2』と『シティハンター』で説明された、少年マンガに入っ
ている男性像が実際、具体的にどんな影響を与えているのか調べていく。そのために、
麗澤大学に行われたアンケートを考察する予定である。
4.第三章:男性像と現実
2005 年 12 月 20 日に、少年マンガの男性像の現実への影響を確実するために 157 人でア
ンケートが行われた。二つの部分に分けられ、一方はマンガ読書への態度に関する質問で
あり、他方は男性像に関する質問であった。
マンガ読書への態度についての質問で答えた人の中で 73.9%は男性であり、26.1%は女
性であった。
「ほぼ毎日」マンガを読む人は 21%、「ときどき」と答えた人は 46.5%、「あ
まりない」と答えたのは 22.9%、そして、「全くない」は 9.6%であった。その結果を男性
と女性に分けて、男性の 23.27%は「ほぼ毎日」、47.41%は「ときどき」、そして、18.97%
は「あまりない」の割合でマンガを読んでいる。残りの男性の 10.34%はマンガを全く読ま
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なかった。女性は 14.46%、43.9%、34.14%と 7.3%であった。つまり、男性の中にも女性
の中にもマンガを全く読まない人は非常に少ないので、読書への態度から見て、マンガの
現実の考え方への影響は可能だと考えられる。
どのマンガが読まれるか調べて、59.6%は「男性向け」のマンガ、6.8%は「女性向け」
の、32%は「両方」
、16.4%は「その他」のマンガと答えた。男性と女性に分類して、男性
の 79.44%は男性向け、0.9%は女性向けか他の、18.68%は男性向けのマンガも女性向けの
マンガも読んでいた。女性は 7.5%男性向け、22.5%女性向け、67.5%両方、0.9%他のマン
ガを読んでいた。だから、もしマンガが現実に影響を与えるとしたら、男性に影響を与え
るのは第一章で言ったとおり少年マンガであると考えられる。逆に、女性はほとんど男性
向けのマンガも女性向けのマンガも読んでいるので、両方から影響を与えられる。
アンケートの男性像についての部分は、少年マンガは男性像にどんな影響を与えるのか、
調べてみた。作品の調査と同様にアンケートの重点は男性が弱さを見せるときであった。
二番目の部分の最初の質問は「女性は男性より多く泣いていると思いますか。」であった。
質問が答えた人の中に 72%は「はい」が答えて、28%は「いいえ」と答えた。男性向けの
マンガを読んでいる人の中で「はい」と答えた割合は 78.41%で、両方を読んでいる人の中
では 70.21%で、女性向けのマンガを読んでいる人の中では 60%だけであった。つまり、
男性は女性よりあまり泣かないと思っている人は男性向けのマンガを読んでいる人の中に
一番多かった。そういう結果を見ると、作品調査で調べた、少年マンガで男性はあまり泣
いていないという事は現実に影響すると考えられる。
後は、男性が泣いている時への態度を調査した。答えた人の 92.5%は男性が嬉しい時に
人前で泣くのは許容的だと思っていた。悲しい時に人前で泣いてしまうのは許容的だと答
えた人は 72.4%だけであった。読んでいるマンガに分類して、男性向けのマンガを読んで
いる人の 68.97%はそう思っていた。女性向けのマンガを読んでいる人の中の割合は 80%
であり、両方を読んでいる人の中には 76.6%であった。悲しい時に人前で泣いてしまうの
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は許容的でないと答えた人の中に男性の 70.58%と女性の 88.89%は親しい人と二人きりの
時に泣いてしまうのは許容的だと答えた。結局、作品の調査に調べた通り、人前で嬉しい
時に泣くのは悲しい時に泣いてしまうことより社会的に許されている。男性向けの読者の
中に、悲しい時に泣いてしまうのは許容的だと思っている人の割合は一番少ないである。
その原因は、少年マンガに入っている男性像だと考えられる。さらに、人前で泣いてしま
うのは許容的だと答えた人はほとんど親しい他人と二人きりの時に泣いてしまうのはいい
と思ったので、作品の調査で解釈された「うち」と「そと」の区別が現実にもあるであろ
う。
最後は、作戦のために泣くことを調べ、答えた人の 76.7%は作戦のために泣くのは弱く
ないと思っていた。男性向けのマンガを読む人の中にこの割合は 74.39%で一番少なかった。
女性向けのマンガの 100%と両方を読んでいる人の 80.43%はそう思っていた。割合は悲し
い時に人前で泣くことより高いので、区別があると考えられる。しかも、割合と区別は特
に男性向けのマンガが読んでいる人の中に意外に少ないであった。それは、『シティハンタ
ー』の例で説明した、マンガの主人公に負けた、泣いて謝っているキャラクターの影響で
あるかもしれない。ちなみに、アンケート用紙の質問の仕法であった問題の可能性もある。
アンケートの結果を一般的に見ると、男性向けのマンガは現実への態度に影響を与える
であろう。それに、影響は基本的に作品の調査で説明した男性像に導いていく。しかも、
影響の割合は時々意外に少なかった。その原因はいろいろ考えられる。一つの可能性はア
ンケート用紙、もう一つは今までまだ考えていないことである。そういうことを考え直し、
アンケートをもう一度すると、結果はが良くなる可能性は高くなるだろう。
5.最後に
今まで、少年マンガに入っている男性像について調べた。ジェンダーとマスメディアに
おける背景の釈明で始めて、適当な作品の選び方を進めていた。高橋留美子の『らんま1/
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2』と北条司の『シティハンター』を代表的な作品を選び、二つの作品に入っている男性
像を調べた。重点は男性が弱さを示す時であった。最後は、作品の調査の結果をアンケー
トで証明してみた。
残っている疑問として、一体この調査はどうして必要のかである。解答は、少年マンガ
で見える世界は、第一章と第二章で説明したり、第三章のアンケートで証明したりしたと
おり、現実に影響を与え、男性の固定観をつくる。固定観から男性に自由を与えるために、
このような調査はいくつでも必要である。固定観が分かるとだけ、固定観から自由の世界
に住んでいることができる。
6.参考文献
O`Sullivan, Sheffrin (2001) S.M., Economics, Principles and Tools, 2nd ed., U.S.R.,
New Jersey, S. 371-390
伊藤公雄(2003)
「男らしさ」という神話 : 現代男性の危機を読み解く、日本放送出版
協会
村松 泰子, ヒラリア ゴスマン(1998)『メディアがつくるジェンダー―日独の男女・
家族像を読みとく』新曜社
"人間と性"教育研究協議会「男性形成研究」プロジェクト編(2001)
、
『日本の男はどこ
から来て、どこへ行くのか : 男性セクシュアリティ形成』[共同研究]、この中:瀬
尾徹志、
『マスメディアにみる男性像 : 「男らしさ」はメディアがつくる』、十月舎
高橋留美子(1988-1996)
『らんま1/2』1-38巻、小学館
北条司(1986-1992)『シティハンター』1-25巻、集英社
日本雑誌協のホームページ http://www.j-magazine.or.jp/FIPP/index.html
週刊少年サンデーのホームページ:www.websunday.net
北条司のホームページ:http://www.hojo-tsukasa.com/index.html
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