筑波大学大学院博士課程
システム情報工学研究科修士論文
わが国の旅行環境に対する
外国人来訪者の評価に関する研究
栗原
剛
(社会システム工学専攻)
指導教員
岡本直久
2008年
3月
-論文要旨-
わが国では現在、ビジット・ジャパン・キャンペーンに見られる一連のインバウンド
政策を実施している。その成果もあって、近年、訪日外国人来訪者数は増加傾向を示して
いる。更なる訪日外国人来訪者促進に向けて、主にイベントの開催などにより日本の魅力
を発信する側面と、外国人来訪者を受け入れる旅行環境の整備が必要であると考えられる。
本研究では、外国人来訪者の視点から見た旅行環境に着目し、わが国の旅行環境評価に
取り組むことにした。
これまでの研究や調査では、外国人来訪者に対する旅行環境を定性的に評価したにすぎ
ず、定量的な分析は試みてこられなかった。本研究では、外国人来訪者を受け入れる旅行
環境の整備に対して、わが国が取り組むべき新たな視点を提供することを目的として、1)
外国人来訪者から見た旅行環境項目間の重要度を算出すること、2)他国との相対的な比較
を意識しながら、日本の旅行環境を定量的に評価することの 2 点に取り組んだ。
旅行環境の評価項目に「安全」、「清潔」、「バリアフリー」、「多言語表示」、「コミュニケ
ーション」、「物価」、「公共交通」、「電子サービス」の 8 項目を設定し、それぞれの項目間
の重要度を AHP 手法により算出した。その結果、外国人来訪者は安全や公共交通、物価に
対する重要度が高いことが示された。外国人来訪者へのアンケート調査を通じて、日本と
各国の旅行環境ランキングを作成した。その結果、日本は分析の対象 25 か国中 6 位と高い
評価を受けていることが明らかになった。また、外国人来訪者による主観評価に加えて、
それぞれの旅行環境項目に対して代理指標となる客観データを収集し、定量的な分析を
行った。回帰分析を行った結果、客観データを用いて精度良く旅行環境を評価することが
できたほか、主成分分析を用いて客観データが持つ旅行環境評価構造を特定し、日本は
社会基盤の整備水準や社会情勢の安定度は評価されるものの、言語多様性などの項目が
課題となっていることが明らかになった。
-ABSTRACT-
The number of tourist visiting Japan is showing growing tendency brought by the various kinds
of campaigns to promote and increase the number of tourist coming to Japan like the “Visit Japan
Campaign” since 2003. There seem to have two factors for activating the inbound tourism. One is
to highlight Japan’s tourism attractiveness by holding the tourism exhibition of Japan with the
extensive use of the media. The other factor is to improve the tourism environment for foreign
visitors.
Tourism Environment as comprised by ‘Safety’, ‘Cleanliness’, ‘Barrier-free’, ‘Multilingual
Writing’, ‘Communication’, ‘Transportation’, ‘Price’ and ‘Electronic Service’, contributes to the
foreign visitors’ state of travel especially in the context of convenience and comfort. In this light,
this study aims to understand 1) the relative importance of the tourism environment items from the
viewpoint of foreign visitors, and also 2) how foreign visitors evaluate the Japan’s tourism
environment and other country’s.
The relative importance of the tourism environment items is computed by using the AHP
(Analytic Hierarchy Process) method which is often used in the decision making process for many
policies. The analysis showed that foreign visitors highly prioritize ‘Safety’ followed by
‘Transportation’ and ‘Price’. By using the relative importance of the tourism environment items
and the foreign visitor’s evaluation for Japan’s and other country’s tourism environment, the total
tourism environment evaluation ranking was constructed. The evaluation of Japan’s tourism
environment resulted to be in the 6 th position of the 25 countries.
In addition to the qualitative analysis based on the foreign visitor’s evaluation, the quantitative
analysis is done to certify the evaluating system of tourism environment by getting the related data
for each tourism environment items. Thus, tourism environment evaluating model was well
estimated. It was found that the strength of Japan’s tourism environment is the social
infrastructure and social stability level. However, Japan has a weak point in terms of language
variety.
―目次―
図表目次
第1章
ⅳ~ⅶ
序章
1
1-1
研究の背景
1
1-2
研究の目的
4
1-3
研究の構成
5
第2章
既存研究の整理と本研究の位置づけ
7
2-1
わが国のインバウンド政策を扱う研究の整理
2-2
観光地の評価を扱う研究の整理
11
2-3
本研究の位置づけ
13
第3章
3-1
わが国における旅行環境の現状
7
15
15
観光案内所の現状
3-1-1
ヨーロッパ 3 カ国の観光案内所事例
16
3-1-2
日本の観光案内所
18
3-2
鉄道駅の現状
19
3-3
アンケート調査から見る訪日旅行の現状
21
3-3-1
外国人来訪者による訪日旅行の印象
21
3-3-2
ドイツ人学生による訪日旅行前後の日本の印象と評価
24
第4章
旅行環境評価項目の設定
26
i
第5章
外国人来訪者へのアンケート調査
29
5-1
調査の設計
29
5-2
調査の実施概要
34
5-3
集計結果
35
5-4
本章のまとめ
40
第6章
外国人来訪者による旅行環境の評価
41
6-1
旅行環境評価項目の重要度
41
6-2
日本および各国の旅行環境評価
43
6-2-1
総合旅行環境評価ランキング
43
6-2-2
項目別旅行環境評価ランキング
45
6-3
日本の旅行環境評価
50
6-4
旅行環境項目の必要性
52
6-5
地域別に見た旅行環境の評価
54
6-6
男女別に見た旅行環境の評価
66
6-7
年齢別に見た旅行環境の評価
72
6-8
本章のまとめ
78
第7章
客観データによる旅行環境の評価
81
7-1
各旅行環境項目に対応するデータの収集
81
7-2
客観データを用いた各国旅行環境の評価
85
7-2-1
旅行環境評価モデルの推定
85
7-2-2
客観データを用いた総合旅行環境評価ランキング
87
7-2-3
主成分分析による各国旅行環境の評価
87
第8章
終章
92
8-1
本研究の結論
92
8-2
今後の課題
99
ii
参考文献
101
謝辞
104
付録
A
AHP の概要
B
Harker 法の概要
C
外国人来訪者による訪日旅行の印象調査票(英語)
D
外国人来訪者による訪日旅行の印象調査票(韓国語)
E
外国人来訪者による訪日旅行の印象調査票(中国語)
F
ドイツ人学生による訪日旅行前後の日本の印象と評価調査票
G
外国人来訪者による旅行環境の評価調査票(英語)
H
外国人来訪者による旅行環境の評価調査票(韓国語)
I
外国人来訪者による旅行環境の評価調査票(中国語)
iii
―図目次―
図 1-1-1
日本人出国者数と訪日外国人客数の推移
3
図 1-3-1
研究の流れ
6
図 2-1-1
評価項目の設定例
11
図 2-3-1
各旅行環境項目の位置づけ
14
図 3-3-1
調査対象者国籍別の内訳
22
図 3-3-2
実際の訪日外客国籍割合(2006)
22
図 3-3-3
日本の良い点・悪い点
23
図 3-3-4
訪日旅行前後の印象と評価
25
図 5-1-1
一対比較形式の質問例
30
図 5-1-2
アンケート調査の流れ
33
図 5-3-1
性別
37
図 5-3-2
年齢
37
図 5-3-3
地域および国籍内訳
37
図 5-3-4
訪日回数
38
図 5-3-5
旅行目的
38
図 5-3-6
旅行期間
38
図 5-3-7
旅行同伴者
39
図 5-3-8
旅行形態
39
図 5-3-9
雇用形態
39
図 5-3-10
最終学歴
39
図 5-3-11
日本語能力
39
図 5-3-12
英語能力
39
図 6-2-1
日本の旅行環境の特徴
49
図 6-2-2
シンガポールの旅行環境の特徴
49
図 6-2-3
スウェーデンの旅行環境の特徴
49
図 6-2-4
カナダの旅行環境の特徴
49
図 6-2-5
スイスの旅行環境の特徴
49
iv
図 6-2-6
香港の旅行環境の特徴
49
図 7-2-1
主成分得点のプロット(第 1 主成分と第 2 主成分)
90
図 7-2-2
主成分得点のプロット(第 2 主成分と第 3 主成分)
90
図 7-2-3
主成分得点のプロット(第 3 主成分と第 1 主成分)
91
図 8-1-1
新幹線のチケット
96
図 8-1-2
小田急線のチケット
96
―表目次―
表 2-2-1
訪日外客訪問地調査の概要
9
表 2-2-2
訪日外国人旅行者満足度調査の概要
9
表 2-2-3
TIC 利用者の訪日旅行実態調査の概要
10
表 2-2-4
在日外国人の日本滞在中の旅行に関する意識調査の概要
10
表 2-2-5
観光先進国における外国人旅行者を受け入れるサービスインフラの
実態調査の概要
10
表 3-2-1
鉄道駅における外国人来訪者への対応状況
20
表 3-3-1
外国人来訪者による訪日旅行の印象調査の概要
22
表 3-3-2
アジア・欧米からの来訪者別に見た日本の良い点・悪い点
23
表 3-3-3
ドイツ人学生による訪日旅行前後の印象と評価調査の概要
25
表 4-1-1
旅行環境の評価項目
28
表 5-1-1
ランダムサンプリングによる質問数と重要度誤差の関係
30
表 5-2-1
外国人来訪者に対するアンケート調査の実施概要
34
表 5-3-1
訪問地
38
表 5-3-2
訪問地域の分け方と主な訪問地の回答
38
表 6-1-1
旅行環境項目の重要度
42
表 6-2-1
総合旅行環境評価ランキング
43
表 6-2-2
各国データの 95%信頼区間
44
表 6-2-3
項目別旅行評価ランキング(日本上位項目)
46
表 6-2-4
項目別旅行評価ランキング(日本中位項目)
47
表 6-2-5
項目別旅行評価ランキング(日本下位項目)
48
v
表 6-3-1
日本の旅行環境評価
51
表 6-4-1
旅行環境項目の必要性
53
表 6-4-2
費用抑制順位得点
53
表 6-5-1
地域別に見た旅行環境項目の重要度
54
表 6-5-2
総合旅行環境評価ランキング(アジア)
56
表 6-5-3
項目別旅行評価ランキング(日本上位項目)(アジア)
56
表 6-5-4
項目別旅行評価ランキング(日本中位項目)(アジア)
57
表 6-5-5
項目別旅行評価ランキング(日本下位項目)(アジア)
57
表 6-5-6
総合旅行環境評価ランキング(北米)
58
表 6-5-7
項目別旅行評価ランキング(日本上位項目)(北米)
59
表 6-5-8
項目別旅行評価ランキング(日本中位項目)(北米)
59
表 6-5-9
項目別旅行評価ランキング(日本下位項目)(北米)
59
表 6-5-10
総合旅行環境評価ランキング(ヨーロッパ)
60
表 6-5-11
項目別旅行評価ランキング(日本上位項目)(ヨーロッパ)
61
表 6-5-12
項目別旅行評価ランキング(日本中位項目)(ヨーロッパ)
61
表 6-5-13
項目別旅行評価ランキング(日本下位項目)(ヨーロッパ)
62
表 6-5-14
地域別の日本の旅行環境評価
64
表 6-5-15
地域別に見た旅行環境項目の必要性
65
表 6-5-16
地域別に見た費用抑制順位得点
65
表 6-6-1
男女別に見た旅行環境項目の重要度
67
表 6-6-2
男女別総合旅行環境評価ランキング
67
表 6-6-3
項目別旅行評価ランキング(日本上位項目)(男性)
68
表 6-6-4
項目別旅行評価ランキング(日本中位項目)(男性)
68
表 6-6-5
項目別旅行評価ランキング(日本下位項目)(男性)
68
表 6-6-6
項目別旅行評価ランキング(日本上位項目)(女性)
69
表 6-6-7
項目別旅行評価ランキング(日本中位項目)(女性)
69
表 6-6-8
項目別旅行評価ランキング(日本下位項目)(女性)
69
表 6-6-9
男女別の日本の旅行環境評価
70
表 6-6-10
男女別に見た旅行環境項目の必要性
71
表 6-6-11
男女別に見た費用抑制順位得点
71
vi
表 6-7-1
年齢別に見た旅行環境項目の重要度
73
表 6-7-2
年齢別総合旅行環境評価ランキング
73
表 6-7-3
項目別旅行評価ランキング(日本上位項目)(若年層)
74
表 6-7-4
項目別旅行評価ランキング(日本中位項目)(若年層)
74
表 6-7-5
項目別旅行評価ランキング(日本下位項目)(若年層)
74
表 6-7-6
項目別旅行評価ランキング(日本上位項目)(中高年層)
75
表 6-7-7
項目別旅行評価ランキング(日本中位項目)(中高年層)
75
表 6-7-8
項目別旅行評価ランキング(日本下位項目)(中高年層)
75
表 6-7-9
年齢別の日本の旅行環境評価
76
表 6-7-10
年齢別に見た旅行環境項目の必要性
77
表 6-7-11
年齢別に見た費用抑制順位得点
77
表 7-2-1
主観データと客観データの相関関係
86
表 7-2-2
旅行環境評価モデルのパラメータ推定結果
86
表 7-2-3
客観データを用いた総合旅行環境評価ランキング
87
表 7-2-4
主成分分析の固有値
88
表 7-2-5
主成分得点
88
表 7-2-6
主成分と各変数の相関係数
89
表 7-2-7
主成分分析による総合旅行環境評価ランキング
91
表 8-1-1
表 8-1-2
JAPAN RAIL PASS の概要
97
98
タクシーの初乗り料金(US$)
―写真目次―
写真 3-1-1
外見が統一された観光案内所
16
写真 3-1-2
機能的に配置されたパンフレット
16
写真 3-1-3
展示に工夫が見られる観光案内所
17
写真 3-1-4
アンダルシア地方の小さな村にある観光案内所
17
写真 3-1-5
浅草の観光案内所
18
写真 3-1-6
東武浅草駅にある案内所への看板
18
vii
第1章
1-1
序章
研究の背景
歴史をひも解くと、わが国では外国人来訪者に対する誘致政策が、明治時代から進めら
れ て き た 。 国 際 交 通 安 全 学 会 編 「 魅 力 あ る 観 光 地 と 交 通 」 28) で は 、 明 治 時 代 に 行 わ れ た
わが国の外国人来訪者政策について、以下のように述べている。
増えてきた外国人旅客の案内などの受入れ態勢整備と更なる来訪増加をはかることを目的と
した、いわゆる旅行業のさきがけ的な団体がこの頃に設立されている。明治 26 年(1893)に
東京商工会のなかに設けられた「喜賓会」である。外国人来訪者のなかには多くの賓客も含ま
れていたが、明治政府は外交儀礼を熟知しておらず、宿舎などの受入れ施設も整っていなかっ
た。そこで、喜賓会はすでに旅行を商品として産業化していたフランスの旅行業者などになら
い、わが国へ外国人旅客を誘引することと、外交のための来訪者の接待との二つを目的として
設 立 さ れ て い る が 、 主 目 的 は 後 者 に あ っ た 。 明 治 45 年 ( 1912) に は 鉄 道 院 が 中 心 と な り 、
ジャパン・ツーリスト・ビューロー(現在の JTB の前身)が設立された。―(中略)―設立の
目的はほぼ喜賓会と同じであるが、鉄道院という国家組織による財政的バックアップを得て、
喜賓会の事業内容を引き継ぐことになった。
このように明治時代には、現在も取り組まれている外国人来訪者を受け入れる体制づく
りが進められていた。例えば保養地として有名な箱根や軽井沢は、外国からの賓客をもて
なすことを目的として、この時代に整備されたものである
2) 14) 28) 44)
。当時から外国人来訪
者受入れに向けた取り組みが積極的に行われてきたにもかかわらず、平成の今までそれ
ほど整備が進まなかったのは、明治以後に見られるいくつかの要因が考えられる。1 つは、
第 2 次世界大戦の影響である。戦時中、観光を悪とする風潮が広まり、ジャパン・ツーリ
スト・ビューローの活動は戦争遂行に伴う交通の斡旋に限られたことが挙げられる。また
-1-
別の要因は、戦後高度経済成長を経て、日本の旅行業者は、旅行者を送り出す側としての
役割(アウトバウンド)に特化していったことである。後者については、ジャパン・ツー
リスト・ビューローの活動形態の変化をとらえることで理解することができる。ジャパン・
ツーリスト・ビューローが設立された当初は、ビューローの運営費はすべて協賛会社から
の寄付金によって行われており、外国人来訪者へのサービスは無償で行われていた。そこ
にビジネスの概念が導入されたのは 1930 年のことである。当時の幹事長を務めていた猪股
忠次は、
「旅行あっせんを単なる接客や外国と考えるのではなく、はっきり営利という意図
をもったツーリスト・ビジネスとみなすべきだと」という意見を持ち、ビューローが行っ
ていた「外客誘致」
「海外宣伝」
「外客あっせん」の 3 つの事業のうち、
「外客あっせん」を
重視して活動を進めていくきっかけとなった
44)
。
現在、JTB を含む大手旅行会社が取り扱う事業は、旅行者を送り出すことにある。明治
時代にジャパン・ツーリスト・ビューローが行っていた来訪者を受け入れる視点は、現在
国際観光振興機構(JNTO)に引き継がれているが、昭和の戦後復興から高度経済成長期を
通してわが国はアウトバウンドに特化しており、インバウンド政策は二の次にされてきた。
そのことを象徴的に示す事実として、しばしば日本人出国者数と訪日外国人客数の比較が
引用される(図 1-1-1)。日本人出国者数は、1964 年に日本人の海外観光旅行が自由化
されたことをきっかけとして増加していく。空の玄関口に目を向けると、東京国際空港
(羽田空港)は 1958 年にアメリカより全面返還され、1955 年には新ターミナルが建設さ
れるなど拡張していった。1978 年には新東京国際空港(成田空港)が開港するなど、航空
機による旅行は、人々にとってより身近な存在になっていった。また、1985 年のプラザ
合意以降、日本の急激な円高により、海外旅行人気に拍車をかけた。1987 年には海外旅行
倍増計画(テン・ミリオン計画)が発表され、5 年間をめどに日本人出国者数を 1,000 万
人にする目標が掲げられたが、計画発表後 3 年が経過した 1990 年には、日本人出国者数が
1,000 万人を突破した。一方で、訪日外国人客数は伸び悩み、日本人出国者数と訪日外国
人客数との間には大きな差が生じている。その差が最も大きかった 2000 年では、日本人
出国者 1,782 万人に対して訪日外国人客 486 万人であり、その差は 1,306 万人に達した。
日本人出国者数と訪日外国人客数との差は、国際旅行収支の赤字をもたらすなど改善す
べき政策課題であると認識され始めた。そこで、1996 年に発表された「ウェルカムプラン
21」 を 発 端 と し て 、 訪 日 外 国 人 旅 行 者 誘 致 に 向 け た 政 策 を 展 開 し て い く こ と と な っ た 。
続く 2000 年の「新・ウェルカムプラン 21」では、概ね 2007 年を目途に外国人来訪者数を
-2-
800 万にするという具体的な目標を初めて設定した。現在では新・ウェルカムプラン 21 を
受けて、2010 年までに訪日外国人客数を 1,000 万人に増加させる目標を設定し、ビジット・
ジャパン・キャンペーン(Visit Japan Campaign、以下 VJC)が推進されている。VJC では、
内閣総理大臣が訪日を呼びかけるビデオを作成し、海外向けに発信するプロモーションや、
海外の旅行会社招請、商談会の開催、新聞・雑誌・テレビ等のメディアを通じた PR など
を実施している。また、海外で国際見本市を開催したり、イベントや割引などの特典を
集中させた「YŌKOSO! JAPAN WEEKS」というキャンペーンを開催している。
VJC の効果を一因として、訪日外国人客数は近年増加を続けている。2006 年には訪日
外国人客数が初めて 700 万人を突破した。そして、2007 年は 800 万人の大台を越えること
が予想されている。
万人
2000
日本人出国者数
1600
1200
800
訪日外国人客数
400
0
65
70
75
図 1-1-1
80
85
90
95
00
05 年
日本人出国者数と訪日外国人客数の推移
-3-
12 )
1-2
研究の目的
本研究で扱う旅行環境とは、外国人来訪者に対して便利で快適な旅行を提供する環境の
ことを指す。そして、8 つの旅行環境項目「安全」「清潔」「バリアフリー」「多言語表示」
「コミュニケーション」「物価」「公共交通」「電子サービス」を用いて議論する。
VJC では、日本の魅力を海外に向け発信する役割を大いに果たしているといえる。訪日
外国人旅行者の増加は、経済発展を主因としてアジア諸国における国外旅行者数自体が
増加 し て い るこ と も 考 えら れ る が 、 VJC も 一 定の 成 果 を 挙げ て い る と考 え ら れ る。 この
背景をうけ、増加する外国人旅行者を受け入れる旅行環境の整備を欠かすことはできない。
旅行環境が整っていない場合、多大な時間と費用をかけて来訪した訪日外国人来訪者は、
快適な訪日旅行をすることができない。逆に旅行環境が十分に整備されていれば、来訪者
は、日本は快適だからまた日本を訪れたいと思うかもしれない。
わが国では現在、外国人来訪者の視点に立った旅行環境の整備について、観光案内所を
整備することや、通訳ガイドを充実させることなどを挙げて取り組んでいる
31)
。しかし、
これらの整備にあたっては、特に基準が設けられておらず、単に他国と比較して不足して
いるようなので整備しようなど、思いつきでとりあえずやってみようという印象を受ける。
例えば観光案内所の設置に関しても、どこに、どのような機能を備えた案内所を設置した
らよいか示されていない。その結果として、わが国の中心的な観光案内所である外国人
総合観光案内所が
東京駅にはなく、駅から離れた東京交通会館の 10 階という、観光客に
とって不便な場所に立地している状況が生まれる。このことは、誰に対して、どのような
旅行環境の整備を行ったらよいか考慮されていない結果であると考えられる。
そこで本研究では、外国人来訪者に対して快適な旅行環境を提供することを目標として、
外国人来訪者の視点から、わが国の旅行環境を評価する。評価では、1)外国人来訪者に対
す る 旅 行 環 境 項 目 の う ち 、 ど の 項 目 に 対 す る 重 要 度 が 高 い の か を 算 出 し 、 2)そ れ ぞ れ の
旅行環境項目に対して、わが国の旅行環境は他国と比較して優れているのか、あるいは
劣っているのかを把握する。この過程を通して本研究では、従来は例えば「多分、日本は
安全な国だろう」
「日本は物価が高いと思われている」と曖昧であった日本の旅行環境評価
を明らかにし、誰に対して、どのような旅行環境整備が必要とされているのか提示する。
そして、わが国のインバウンド政策に対して新たな示唆を与えることを研究の目的とする。
-4-
1-3
研究の構成
本研究の構成は、はじめに、わが国のインバウンド政策および旅行環境を巡るこれまで
の議論を把握するために、既存研究・調査を整理し(第 2 章)、続いてわが国の旅行環境の
現状を、現地調査と外国人来訪者へのアンケート調査を通じて把握する(第 3 章)。その後、
本研究で用いる旅行環境の項目を設定し(第 4 章)、その評価を行うために調査を実施する
(第 5 章)。続く第 6 章では調査で得られた結果を分析し、第 7 章では客観データを用いて
分析を行う。各章の概要を以下に述べる。
第 2 章「既存研究・調査の整理と研究の位置づけ」では、これまでのインバウンド政策
について取り上げた研究を整理し、わが国が抱えるインバウンド政策上の課題を抽出する。
また、観光地の評価をしている研究を、魅力の評価をしている研究、旅行環境の評価につ
いて触れている研究に分けて整理しながら、本研究で用いる評価手法について検討する。
そして、本研究で扱う旅行環境の定義およびその限界を示しながら、本研究の位置づけを
明らかにする。
第 3 章「わが国における旅行環境の現状」では、実際に外国人来訪者の視点に立って
日本の都市を調査し、現状を把握する。はじめに、観光案内所の現状を考察するため、
筆者が自分の足で見てきたヨーロッパの観光案内所と日本の観光案内所を比較する。また、
日本の鉄道駅が外国人来訪者に対応できているかどうか調査した。最後に、実際に訪日
外国人来訪者に対して訪日旅行の印象を聞くアンケート調査を実施し、外国人来訪者が
日本の旅行環境に対して満足していることや不満に思っていることを把握する。
第 4 章「旅行環境評価項目の設定」では、第 2 章、第 3 章での議論を踏まえながら、
本研究で扱う旅行環境の評価項目を設定する。
第 5 章「外国人来訪者へのアンケート調査」では、調査の設計に触れながら、調査の
狙いや把握したいことを明らかにする。また、調査により得られた回答の基礎集計結果を
示し、アンケート調査の特徴を述べる。
第 6 章「外国人来訪者による旅行環境の評価」では、はじめに、すべての回答者を対象
として分析した結果を議論する。旅行環境項目のうち、外国人来訪者はどの項目を重視し
ているのか、日本は他国と比較して旅行環境が優れているのか、劣っているのか明らかに
する。また、劣っている項目があれば、さらにどの項目が劣っているのか、なぜ劣ってい
-5-
るのかという点に着目しながら考察する。続いて、外国人来訪者を国籍別、性別、年齢別
に属性分けをし、それぞれの属性ごとに分析を試みる。属性ごとにどの項目が重視されて
いるのか、どの属性が日本の旅行環境を高く評価しているか、あるいは低く評価している
か把握する。
第 7 章「客観データによる旅行環境の評価」では、旅行環境の項目ごとに関連する各国
の客観データを入手し、旅行環境評価モデルを作成する。そして第 6 章で算出した旅行環
境項目の重要度と掛け合わせることで、客観データを用いた旅行環境評価を行う。また、
主成分分析を導入し、客観データが持つ旅行環境評価に対する説明力を確認する。
第 8 章「終章」では、本研究の結論と今後の課題を述べる。
以下に研究の流れを図示する(図 1-3-1)。
文献調査
現地調査
アンケート調査
日本の旅行環境に対する現状把握と課題の抽出
旅行環境評価項目の設定
外国人来訪者に対する
アンケート調査の設計
外国人来訪者へのアンケート調査
全
体
AHP手法による重要度の算出
総合旅行環境ランキング
日本の旅行環境評価
旅行環境項目の必要性
地域別
年齢別
AHP手法による重要度の算出
客観データの収集
旅行環境評価モデル
総合旅行環境ランキング
日本の旅行環境評価
旅行環境項目の必要性
主成分分析
結論と提言
図 1-3-1
男女別
研究の流れ
-6-
第2章
既存研究の整理と本研究の位置づけ
本章では、わが国のインバウンド政策を扱う研究を整理しながら、インバウンド政策の
論点を確認する。そして、観光地の定量的な評価をしている研究を、主に魅力を評価する
研究と旅行環境を評価する研究に分けて整理を行う。これら既存研究の整理を行いながら、
本研究を位置づける。
2-1
わが国のインバウンド政策を扱う研究の整理
わが国が取るべきインバウンド政策について論じた研究は、渡辺ら(1997)56 )が詳しい。
渡辺らは、国際観光受入れの意義から、日本を売り込む際に考慮すべき点について触れて
いるほか、来訪者を受け入れる環境についての提言を行っている。来訪者を受け入れる
環境に対しては、1)魅力的な観光対象、観光体験の増強のために、
「美しい国土、美しい街、
美 し い 田 園 づ く り 」「 清 潔 で 治 安 の 良 い 環 境 の 維 持 」「 外 国 人 に 対 す る ホ ス ピ タ リ テ ィ の
育成」などに努力すること、2)外客の滞在費用の低廉化のために、ウエルカム・カードの
普 及 、 ウ エ ル カ ム ・ イ ン の 拡 充 を 図 る こ と 、 3)情 報 の 提 供 シ ス テ ム 改 善 拡 充 を 図 る こ と
(「i」と「?」の混在の解消、絵文字の活用など)、4)「ウエルカムプラン 21」に提唱され
ているように、地方県単位での「ウエルカムビューロー」を設置し、そこで総合的な企画
と行動の展開を図ることとしている。
現 在 の イ ン バ ウ ン ド 政 策 を 見 る と 、 国 土 交 通 省 編 「 観 光 白 書 」 (2007) 31 ) で は 、 外 国 人
来訪者受入れ体制の確保を目標として、主に 6 つの取り組みを行っている。
-7-
①通訳ガイドの数の増加とサービス内容の多様化の促進および善意通訳(グッドウィル・
ガイド)の普及
②ウェルカムカード(外国人来訪者が博物館、宿泊施設、飲食店、レジャー施設、交通
機関等を利用する際に提示することにより、割引等の優遇措置を受けることができる)
③外国人旅行者向け割引運賃
④低廉な旅行に関する情報等の提供(ウェルカム・インやウェルカム・カードなど)
⑤上陸審査の迅速化
⑥査証発給手続の円滑化
また、東京都
50 )
でも、飲食店の外国語メニュー等の普及や列車運行情報の多言語化、
外国人来訪者が利用しやすい共通乗車券、クレジットカード利用等にかかる利便性の向上、
交通機関や宿泊施設のバリアフリー化の推進、観光ボランティアの育成および活用を課題
として挙げている。
観光学の分野では、わが国のインバウンド政策を扱う研究が見られる。有泉(2003) 3 )は、
実際に現場で活躍する通訳ガイドに対してアンケート調査を行い、現場でのノウハウが実
際の政策には生かされず、通訳ガイドの活用について疑問を投げかけている。藤尾(2007) 9 )
は、観光地の基本的誘引力を SCCP 要素(Safety, Comfortable, Convenience and Pleasantness/
Profitable)としてまとめ、日本がフランスなどのインバウンド大国と比較して気候や地理
的に不利であることを指摘し、わが国の外客誘致のためには、積極的なセールス・プロ
モ ー シ ョ ン が 必 要 で あ る と 述 べ て い る 。 市 岡 ら (2007) 13 ) は 、 近 年 オ ー ス ト ラ リ ア か ら の
スキー客を集めて話題となっているニセコを対象として、増加する外国人来訪者を受け入
れる環境の課題を述べている。市岡らの指摘によれば、ニセコ域内の語学対応や地域総合
情報の発信などについては改善が見られたものの、ATM やキャッシングの利用、ショッピ
ングに対しては課題が残るとしている。
研究としての提言ではないが、外国人来訪者を対象とした訪日旅行の調査を通じて、
インバウンド政策の課題を抽出することができる。調査は国際観光振興機構(JNTO)を
中心として数多く行われてきた。ここではその代表的な調査を紹介する(表 2-2-1 から
表 2-2-5)。
訪日外客訪問地調査
26)
や TIC 利用者の訪日旅行実態調査
27)
などを通して、外国人旅行者
の基本的な属性・行動を知ることができる。また、訪日外国人旅行者満足度調査
25)
を通し
て、どのような場面で訪日外国人来訪者が満足をしているのか、あるいは不満を感じた
-8-
場面をある程度把握することは可能である。さらに、観光先進国における外国人旅行者を
受け入れるサービスインフラの実態調査
38)
は、世界の 14 都市を比較して外国人旅行者に
対する交通費や宿泊サービス、空港や駅でのサービスを調査しており、その結果をもとに
日本の旅行環境改善への提言を行っている興味深い調査である。
外国人来訪者の生の意見から、英語が通じなくて困る、外国語による案内や表示が不足
している、地下鉄の最終電車の時間が早く夜間の運行がない、観光案内所の場所がわかり
にくい、物価が高い、ベンチがないため歩き疲れる、レストランで英語のメニューがない、
ATM が利用できないなどの問題が挙げられている。また、サービスインフラの実態調査
38)
を通して、食事箇所における分煙や禁煙セクションの表示を徹底すること、タクシーの
利用促進を図ること(割引サービスの実施)、緊急医療体制の整備(英語での対応が可能)
が必要であるという示唆を得ることができる。
表 2-2-1
調査名
実施主体
実施日
対象
サンプル数
主な質問項目
調査結果
調査結果
26)
訪日外客訪問地調査
国際観光振興機構
2002年8月、11月、2003年2月
外国人旅行者
7,602票(8月:2,690票、11月:2,245票、2月:2,667票)
日本旅行中の訪問地、滞在期間、宿泊地
個人属性(居住地、性別、年齢)
旅行目的、旅行形態など
都道府県別の訪問率(東京:52.7%、大阪:27.8%など)
性・年齢別の都道府県訪問率
国籍別の都道府県訪問率
表 2-2-2
調査名
実施主体
実施日
対象
サンプル数
主な質問項目
訪日外客訪問地調査の概要
訪日外国人旅行者満足度調査の概要
25)
訪日外国人旅行者満足度調査
国際観光振興機構
2005年1月下旬から2月下旬
外国人旅行者
5,161票
訪日前後の日本に対する印象
帰国後友人等にすすめたい場所および期待外れの場所
将来、観光での再来日希望の有無など
訪日によって評価が上がったイメージ、評価が下がったイメージ
地域別(関東、近畿など)帰国後友人等にすすめたい場所
国籍別に見た将来、観光での再来日希望の有無
-9-
表 2-2-3
調査名
実施主体
実施日
対象
サンプル数
主な質問項目
表 2-2-4
調査名
実施主体
実施日
対象
サンプル数
主な質問項目
調査結果
在日外国人の日本滞在中の旅行に関する意識調査の概要
39)
在日外国人の日本滞在中の旅行に関する意識調査
日本ツーリズム産業団体連合会
2004年10月から11月
在日外国人会員組織Kudos
710票
個人属性(国籍、性別、年齢層、在日年数、年収)
他のアジア諸国と比べ、日本は物価が高いと思うか
日本の交通システムは大変便利で満足していますか
など、訪日旅行に関する質問
質問はすべて集計し、集計表と円グラフを用いて示されている
例えば、多くの在日外国人は、日本は諸外国に比べ物価が
非常に高いと認識しているなどの結果を示している
観光先進国における外国人旅行者を受け入れるサービスインフラの実態調査
の概要 38)
調査名
実施主体
実施日
対象
サンプル数
主な調査項目
調査結果
27)
TIC利用者の訪日旅行実態調査
国際観光振興機構
2006年8月
TIC(Tourist Information Center)利用者
520票
個人属性(国籍、性別、年齢層、職業)、訪日回数、訪日目的
今回訪日旅行の関心事、動機
今回日本滞在中「印象的だったこと」「意外だったこと」など
TIC利用者の67%がヨーロッパ旅行者
訪日旅行の関心事として、日本人とその生活様式が最多回答
「印象的だったこと」に対して人々が親切、親しみやすいという回答が多い
調査結果
表 2-2-5
TIC 利用者の訪日旅行実態調査の概要
観光先進国における外国人旅行者を受け入れるサービスインフラの
実態調査
日本ツーリズム産業団体連合会
2004年8月30日から9月10日
英語圏、準英語圏、英語外圏の都市
パリ、香港、シドニーなど14都市
空港・鉄道駅における外国語表示、外国語サービス、喫煙制限、
クレジットカードの支払いなど
公共交通(郊外鉄道、地下鉄、タクシー、空港交通)の初乗り料金、
外国人旅行者割引、乗車券印字など
ホテルにおける外国語表示、外国語サービス、喫煙制限、外客歓迎、
両替・精算など
上記の調査項目について、14都市の比較を行っている
(例えばタクシーの初乗り料金は40円から400円であり、日本の初乗り
料金が660円であることを考えれば高すぎるなどの提言を行っている)
- 10 -
2-2
観光地の評価を扱う研究の整理
前節では、わが国のインバウンド政策についてこれまでどのような課題が抽出され、
議論されてきたかを整理した。そこでは、現地調査やヒアリング調査、アンケート調査を
通じて定性的にインバウンド政策に対する課題が挙げられていた。本研究ではインバウン
ド政策のうち、外国人来訪者に対する旅行環境を定量的に評価することを目標にしている。
そこで、本節では観光地の定量的な評価に関して、大きく 2 つの視点から既存研究の整理
を行う。
1 つは観光地のもつ魅力に着目して、その魅力の定量化を試みたものである。魅力の
評価に関しては様々な研究分野で行われてきたが、例えば土木計画の分野において研究が
進められてきた(高橋ら(1990) 46 )、溝上ら(1991) 36 )、室谷(1998) 37 )など)。これらの研究は、
魅力の評価手法として階層化意思決定法(AHP: Analytical Hierarchy Process、以下 AHP)
を用いている。観光地の魅力評価に AHP 手法を当てはめた場合、はじめに観光地の魅力を
構成する評価項目を設定する。続いて、評価対象をその下の階層に設定する。例えば高橋
ら(1990) 46 ) は、北海道函館市の観光地評価に取り組んでいる。その評価項目の構成を参考
として図 2-1-1 に示す。高橋らの研究では、ポテンシャル(観光地の魅力)
「有名である」
「雰囲気・イメージがよい」「景観がよい」「観光サービス・施設がよい」の 4 つの評価
項目を設定して、その項目間の重要度を算出している。AHP 手法の数学的な背景は付録で
説明する(付録 A)。
ポテンシャル
有名である
雰囲気・
イメージがよい
評価項目の設定例
- 11 -
観光サービス・
施設がよい
駅前・朝市
西部地区
函館山
トラピスチヌ
修道院
五稜郭
図 2-1-1
景観がよい
46 )
AHP 手法を取り入れて観光地の魅力の評価を研究した事例は、他の研究分野でも取り組
ま れ て い る 。 例 え ば オ ペ レ ー シ ョ ン ズ ・ リ サ ー チ の 分 野 で は 、 宇 治 川 (1989) 51 ) が ス キ ー
リゾート地を対象とした魅力度の定量化を行っている。観光学の分野では、味水ら(2007) 35 )
が温泉地の観光資源と観光客の選好を AHP 手法によって示したほか、Jinyang ら(2002) 18 )
が自然公園を対象として、その魅力度の評価を行っている。
AHP は人の複雑な価値判断を比較的容易に数量化することができ、第三者に対する説明
性、納得性があるという利点がある。一方で、意思決定者には大局的な判断を求められる
こと、そして意思決定の恣意性は排除ができないため、調査手順や結果に対する合意、
情報開示と説明が不可欠であること、そして評価結果は絶対ではなく、価値規範は変化す
るため、場合によって再評価する必要があるという問題点がある
49 )
。
観光地の評価に関して、AHP 手法の他にコンジョイント分析が適用できる。例えば、金
(2005)
21)
は、コンジョイント分析を用いてホテルの選択属性の重要度を分析している。
コンジョイント分析は、消費者や顧客の商品やサービスに対する選考順位データを用いて、
商品やサービスなどの選択対象が持つ属性ごとの効用と、それらから同時に選択対象に
対する全体効用を求める手法である。コンジョイント分析では、評価しようとする項目を
設定する他に、項目に対する水準を定める必要がある。しかしながら、例えば本研究の
旅行環境項目のうち、安全に対してどの程度の水準を設定したらよいのか決めることは
困難である。そこで、本研究における旅行環境評価では、AHP 手法を用いることにした。
観光地の評価に関するもう 1 つの視点として、来訪者から見た旅行環境に着目する。
これまで、旅行環境の評価について触れている研究は少なく、土木計画の分野では、
Vasantha (2007) 52) らが従来の観光地の魅力に加えて旅行環境の 1 つの視点として考えられ
る 安 全 ( 災 害 の 危 険 性 ) を 取 り 入 れ て い る 他 は 見 当 た ら な い 。 ま た 、 神 田 ら (2000) 20) は
情報提供に着目して外国人旅行者に対するより良い旅行環境を提案しているが、広く旅行
環境について言及されていない。その他、
「Annals of Tourism Research」、
「Journal of Leisure
Research」、「Tourism Management」などの分野で旅行環境を対象とした論文を探したが、
類似した研究は見つかっていない。
- 12 -
2-3
本研究の位置づけ
現在わが国で取り組まれているインバウンド政策に関して整理し、既存研究で取り上げ
られている課題を抽出したところ、地方単位で外国人来訪者を受け入れる組織を立ち上げ、
総合的な企画や行動を取るべきという総合的な視点から、ATM が利用できる施設を増やす
べきだという個別的な課題まで広く提案されていることがわかる。また、既存調査を整理
することにより、外国人来訪者に対して日本の旅行環境を評価してもらう調査は数多く
行われてきたことが明らかになった。それにより日本は言葉が通じない、物価が高いなど
の課題が明らかになっている。しかしながら、従来の研究・調査手法は、外国人旅行者が
何をどのくらい求めているのか、「何を」に対して定性的な評価をすることはできても、
「どのくらい」に答えることはできなかった。調査手法を工夫することで、外国人来訪者
の需要を定量的に把握することができ、新たな視点から旅行環境整備に対する示唆を与え
ることができると考えられる。
そこで、観光地を定量的に評価することに関して、観光地の魅力に着目した研究と、
外国人来訪者を受け入れる旅行環境に着目した研究という視点から整理した。これまでの
研究では、観光地の魅力に着目した研究が多く行われてきた一方、旅行環境について研究
された事例は極端に限られていることが明らかになった。ビジット・ジャパン・キャンペ
ーンに見られる一連の訪日外国人来訪者促進政策を背景として、外国人来訪者に対する
旅行環境に着目した研究の必要性があると考えられる。
本研究では、観光地の魅力評価手法の 1 つである AHP 手法を用いながら、これまで試み
られてこなかった外国人来訪者に対する旅行環境に対して定量的な評価を試みる。本研究
によって、既存の研究や調査では踏み込むことのできなかった旅行環境について、新たな
視点から議論を深めることができると考えられる。
なお、本研究で用いる旅行環境の項目は、観光地が持つ魅力や街並みの美しさ、商店が
持つ商品の種類の豊富さや質などは対象から一切除外している。美しさなどの魅力に関す
る項目と、来訪者を受け入れる旅行環境の項目を同じ軸において評価することは本研究の
主旨に沿わないと考えたためである。
本研究による魅力と旅行環境の関係は図 2-3-1 に示すとおり、ピラミッド型の階層図
を用いて説明できると考える。魅力と旅行環境を比較した場合、どちらが重要かと考えた
とき、圧倒的に魅力が重要であることを本研究では前提として考えている。確かに、外国
- 13 -
人来訪者が目的地を選択するときには、魅力的な観光地を選好することは合理的である。
そして、その魅力に対して本研究が扱う旅行環境は、ほとんど考慮されないほど影響が
小さいものであると考えられる。しかしながら、外国人来訪者が実際にある国を訪問する
とき、魅力的な観光地を訪れるとともに、必ず本研究で取り上げるような旅行環境に接す
ることになる。そのとき、旅行環境は来訪者にとって無視できないほどの大きな影響を
与えると考えられる。そして、これらが十分でないとき、旅行環境は外国人来訪者にとっ
ての不満として顕在することが想定される。一方で、外国旅行中の来訪者が出会う旅行
環境が満足されたとき、その来訪者はリピーターとして再来訪する可能性を持つとも考え
られる。もちろん、リピーターの要因として「観光地の持つ魅力に惹かれた」ことなどが
十分に考えられるが、本研究で扱う旅行環境にも左右されていると考えられる。
このような魅力と旅行環境の関係を考慮しながら、両者を同じ視点から評価しようとし
たとき、魅力に大きな重要度が与えられることは十分に考えられる。残された少ない旅行
環境の重要度を持って、旅行環境項目の相対的な重要度や旅行環境整備の意義を主張する
ことは困難であると考えた。
そこで、観光地が持つ魅力は考慮せず、旅行環境のみを項目に取り上げることで、望ま
しい旅行環境整備のあり方を検討することが本研究の狙いである。
魅力
美しさ
高品質
電子サービス
多言語表示
コミュニケーション
バリアフリー
清潔
安全
物価
図 2-3-1
各旅行環境項目の位置づけ
- 14 -
第3章
わが国における旅行環境の現状
本章では、評価を行う旅行環境の項目について整理、検討するという目的から、日本の
旅行環境の現状を把握していく。はじめに、外国人来訪者にとって重要な観光案内所の
現状を整理する。観光案内所は、ヨーロッパ 3 カ国の観光案内所の機能性などに触れ、
日本との違いを明らかにする。続いて、わが国の鉄道駅がどの程度外国人来訪者に対して
利用しやすいのかについて、現地調査を通じて把握する。最後に、訪日来訪者に対して
簡単なアンケート調査を実施することで訪日旅行の印象などを把握していく。
3-1
観光案内所の現状
外国人旅行者にとって、観光案内所は様々な機能を持つと考えられる。観光地の行き方
や地図をもらえる場所としての案内機能や、コンサートやイベントなどを紹介する情報
機能、またはコンサートやホテルなどを代行予約してくれるサービス機能を有している。
観光案内所は、外国人来訪者を受け入れる旅行環境としては、必要不可欠な施設であると
いえる。
そこで本節では、日本の観光案内所の現状を、単に数が多いか少ないかという議論にと
どまらず、どのような場所に立地しているのか、どのようなサービスを提供しているのか
など、外国人来訪者にとって便利で快適な施設であるかどうかという点に注意しながら
整理する。それに先立って、特に整備が進んでいると言われるヨーロッパ 3 カ国の観光案
内所の現状を紹介する。
- 15 -
3-1-1
ヨーロッパ 3 カ国の観光案内所事例
筆者は、2007 年 3 月 13 日から 4 月 3 日にかけてヨーロッパを訪問する機会をいただい
た。そこで、滞在したイタリア、スペイン、ドイツの各都市にある観光案内所を調査した。
そこで、本項では各都市の観光案内所で見られた特徴を整理する。
(1)イタリア
ローマ市の観光案内所は、市内に 11 箇所程存在する。観光案内所は全て深緑色の小さな
小屋で統一されており(写真 3-1-1)、1 つの案内所に対して 1~3 人のスタッフが働いて
いた。イタリアでは、観光案内所は州単位で運営されている。来訪者向けに観光パンフ
レットが用意されているが、すべての案内所に市内地図、ツアーの案内、博物館、美術館、
オペラの案内などが配置されている。それらパンフレットは、博物館に関するもの、美術
館に関するものなどの目的別に配置されており、来訪者の目的に応じて探しやすいよう
工夫されている(写真 3-1-2、写真中、左奥に博物館、右手前に美術館のパンフレット
がまとめてある)。
観光案内所のすべてのスタッフは英語を話すことができる。また、多言語に対応できる
スタッフがいるなど、ヨーロッパの観光案内所のスタッフは言語能力に優れており、外国
人来訪者に対しても適切な対応ができると考えられる。
写真 3-1-1
外見が統一された
観光案内所
写真 3-1-2
- 16 -
機能的に配置された
パンフレット
(2)スペイン
マドリッド市内には 5 カ所観光案内所が見られ、いずれも主要な観光スポットに設 置
されている。観光案内所の中には、それ自体が 1 つの展示施設であるように、市内の見所
を芸術的に紹介する工夫が見られる案内所がある(写真 3-1-3)。また、観光案内所を
通してホテルの予約をすることができ、来訪者に対してサービスを提供する観光案内所の
機能を有していることがわかる。スペインでは、主要な観光スポットのみならず、小さな
村においても観光案内所が設置されていることが確認でき(写真 3-1-4)、来訪者の多様
なニーズに応えているといえる。
(3)ドイツ
ドイツでは、観光案内所は各自治体によって運営されている。そのため、例えば都市間
でホテルを予約することができない。このことは、州単位で観光案内所を運営するイタリ
アとは異なり、ヨーロッパ域内でも観光案内所が提供するサービスに違いがあることを
確認した。
ヨーロッパの観光案内所は、案内機能や情報機能、サービス機能のうち、どれをとって
も質が高く、来訪者にとって旅行の幅を広げる可能性を有している。また、来訪者から
見てわかりやすい場所に観光案内所が立地するという当たり前のことを、当たり前にでき
ている点が評価できると考えられる。
写真 3-1-3
展示に工夫が見られる
観光案内所
写真 3-1-4
- 17 -
アンダルシア地方の
小さな村にある観光案内所
3-1-2
日本の観光案内所
外国人来訪者に対応する日本の観光案内所としては、国際観光振興機構(JNTO)が組織
す る 外 国 人 総 合 観 光 案 内 所 TIC( Tourist Information Center) お よ び 地 方 の 観 光 案 内 所
(ビジット・ジャパン案内所、以下ビジット・ジャパン案内所)がある。ビジット・ジャ
パン案内所は、2007 年 12 月現在、東京都内に 9 箇所が指定されている。案内所の数自体
はヨーロッパの都市と比較しても遜色がないが、詳細を見ると、9 箇所のうち 6 箇所が
浅草及びその周辺である台東区に集中している。また、9 箇所のうち 6 箇所のビジット・
ジャパン案内所が旅館、ホテルとなっている。そのことから、案内所の機能を十分に備え
た施設数は少なく、立地にも偏りがある。
都内を代表する観光地の 1 つである浅草では、その中でも有名な雷門の近くに観光案内
所がある。雷門からは道を挟んで向かいにあるため、道路を渡る必要があるという問題は
あるが、立地としては外国人来訪者からもわかりやすい立地である。また、その案内所は
一般来訪者に対応するスタッフとは別に、外国人来訪者専用のボランティアスタッフが
常駐している(写真 3-1-5)。そこでは英語での対応が可能である。
浅草は他に、東武浅草駅に観光案内所が設置されている。しかしながら、駅内に設置さ
れてはおらず、駅をいったん離れて 120m 歩く必要があるため(写真 3-1-6)、外国人
旅行者のために設置した案内所としては立地が悪いと言わざるを得ない。
写真 3-1-5 浅草の観光案内所
(左が一般者、右が外国人対応)
写真 3-1-6
東武浅草駅にある
案内所への看板
(外に出て 120m 歩くよう指示されている)
- 18 -
3-2
鉄道駅の現状
公共交通を利用して都市を移動することは、外国人来訪者にとって、時には困難を伴う
ことが考えられる。日本において、特に東京都内の鉄道は隅々まで路線網が張り巡らされ、
頻度も多く便利である反面、外国人来訪者にとっては都内の鉄道を乗りこなすことは難し
いと考えられる。
そこで、外国人来訪者に対する旅行環境の 1 つとして、鉄道駅の現状を把握する。その
ため、JR 山手線および山手線の内側を走る JR の鉄道駅を対象として現地調査を行った。
該当する駅は計 36 箇所である。調査した項目は、運賃表が英語で書かれているか、自動
切符売場が英語に対応しているか、各案内板が英語で併記されているか、駅構内に案内所
は設置されているか、エレベータやエスカレータが設置されているかである。なお、調査
は 2007 年 5 月下旬に行い、その時点での設備であることに注意しておく。また、東京駅や
新宿駅など、何箇所も切符売場がある場所などは、すべての切符売場を網羅しているとは
限らない点、調査には限界がある。しかしながら、外国人来訪者が偶然、ある切符売場に
たどり着いたという状況を想定すれば、例え一部の切符売場が外国人来訪者に対応してい
たとしても、その切符売場に英語の表記がないことは問題であると考えられる。
現地調査の結果を表 3-2-1 に示す。切符を買う際に必要な運賃表が英語で表記されて
いた駅は 7 箇所に限られ、自動切符売場で英語に対応していた駅は 16 箇所であった。また、
駅構内に案内所を設けていた駅は 5 箇所(上野、池袋、新宿、東京、品川)に限られてい
た。現地調査の際、外国人旅行者を見かけた秋葉原、渋谷駅などの主要駅には、まだ案内
所の整備が至らない。駅構内の案内板にはすべての駅で英語、韓国語、中国語表記がされ
ていた。エレベータ、エスカレータ設備は、一部の駅では見つからなかったが(改修中も
含む)、大多数の駅には設置済みであった。その他、トイレ設備はどの駅でも設置されて
おり、コインロッカーも多言語で対応できる種類のものが見られた。
- 19 -
表 3-2-1
駅名
上野
鶯谷
日暮里
西日暮里
田端
駒込
巣鴨
大塚
池袋
目白
高田馬場
新大久保
新宿
代々木
千駄ヶ谷
信濃町
四ツ谷
市ヶ谷
飯田橋
水道橋
御茶ノ水
秋葉原
神田
東京
有楽町
新橋
浜松町
田町
品川
大崎
五反田
目黒
恵比寿
渋谷
原宿
運賃表
鉄道駅における外国人来訪者への対応状況
切符売場
●
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案内板
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案内所
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エレベータ エスカレータ
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●
●
(●は設備があることを示す)
- 20 -
3-3
アンケート調査から見る訪日旅行の現状
ここまで日本の旅行環境の現状を観光案内所、鉄道駅と、旅行環境に関連する施設に
着目して整理してきたが、本節では外国人旅行者から見た訪日旅行の印象に着目し、アン
ケート調査を行った上で日本の旅行環境の現状を把握していく。
3-3-1
外国人来訪者による訪日旅行の印象
外国人旅行者の視点に立った旅行環境を評価するにあたり、日本はどのような点が高く
評価され、あるいは低く評価されているのか把握する必要がある。基本的な情報は既存の
調査から把握できることも多いが、実際に自分の目で確かめてみることで、別の新たな
意見を聞くことができる可能性もあることから、外国人来訪者に対して実験的に訪日旅行
の印象を聞くアンケート調査を実施した。
調査は 2007 年 7 月 17 日、22 日、23 日、8 月 1 日、2 日の計 5 日間かけて行った。調査
は、7 月 17 日は都庁展望室、残りの日については浅草にて行った。特に浅草に関しては、
東京を代表する観光地として外国人来訪者が多く集まり、スーツ姿のビジネスマンから
大きなバックパック背負った若者、親子連れなど様々な旅行形態の旅行者が集まることを
事前に確認している。また、成田空港からのアクセスもよく、トランジットとして一時的
に入国した人も訪れることができるため、空港を除くどの場所よりも多くの属性の旅行者
に調査をすることができ、調査に適していると考えた。
質問項目は、基本的な個人属性(国籍、今回の旅行での訪問地、訪日回数、滞在予定
期間)に加え、
「日本の良い点、悪い点」、
「旅行中に困ったこと」、
「旅行中どのようなサー
ビスがあったらよいか」である。個人属性以外については、あらかじめ回答が予想される
項目については質問票に用意しておき、そう思うと感じたら印をつけてもらうようにした。
例えば、日本の良い点については、
「人々が親切である」、
「安全である」などの項目である。
予想される回答は、既存の調査
25) 27) 39)
を参考にしながら項目を選択した。
調査票は英語、韓国語、中国語の 3 種類を用意し、言語を選択して回答してもらった。
使用した調査票は付録に示す(付録 C、D、E)。表 3-3-1 に調査の概要を示す。
調査で得られた 79 サンプルを用いて、訪日旅行の印象を見ていく。国籍別の内訳(図 3
-3-1)を見ると、実際の訪日外国人客数の割合(図 3-3-2)と比較してアジア、北米
の割合が少なく、ヨーロッパの割合が多い結果となっている。しかしながら、極端にアジ
- 21 -
アの割合が小さいともいえないことから、ある程度調査で集められた意見は外国人旅行者
の訪日旅行の印象を代表していると考えられる。その上で、日本の良い点として挙げられ
た回答として、回答者の 50%以上が良いと答えた項目は 1)人々が親切で礼儀正しい(81%)、
2)まちがきれいで清潔である(70%)、3)安全である(55%)であった。逆に、日本の
悪い点として、言葉が通じない(55%)が挙げられた。物価が高いと回答した人は全体の
43%と、予想していたよりは低かった(図 3-3-3)。アジア、欧米(北米、ヨーロッパ)
と地域別に日本の悪い点を集計したところ、先ほどの物価が高いと回答した人は、アジア
が 50%、欧米が 37%と地域差が見られた。携帯電話が使えないと回答した人は、アジアが
12%、欧米が 37%となり、欧米の人の不満点はむしろ携帯電話が利用できなくて不便だと
いう回答に集中していた(表 3-3-2)。
表 3-3-1
調査実施日
調査地
調査方法
対象者
サンプル数
調査項目
外国人来訪者による訪日旅行の印象調査の概要
2007年7月17日、22日、23日、8月1日、2日
都庁展望台、浅草
対面記述式
外国人来訪者
79票
個人属性(国籍、今回の旅行での訪問地、
訪日旅行回数、滞在予定期間)
日本の良い点・悪い点
旅行中に困ったこと
旅行中どのようなサービスがあったらよいか
オセアニア
アジア
その他
オセアニア
ヨーロッパ
韓国
北米
中国
ドイツ
台湾
イギリス
ヨーロッパ
フランス アメリカ
アジア
北米
図 3-3-1
調査対象者国籍別の内訳
- 22 -
図 3-3-2
実際の訪日外客国籍割合
(2006) 31 )
日本の良い点
人々が親切、礼儀正しい
まちがきれい
安全である
便利である
食べ物がおいしい
景色が良い
日本の悪い点
言葉が通じない
物価が高い
携帯電話が使えない
混雑している
0
図 3-3-3
表 3-3-2
20
40
60
80
100 %
日本の良い点・悪い点
アジア・欧米からの来訪者別に見た日本の良い点・悪い点 (%)
日本の良い点
人々が親切、礼儀正しい
まちがきれい
安全である
便利である
食べ物がおいしい
景色が良い
アジア
70.6
67.6
35.3
41.2
17.6
29.4
欧米
日本の悪い点
91.4 言葉が通じない
71.4 物価が高い
74.3 携帯電話が使えない
54.3 混雑している
48.6
34.3
- 23 -
アジア
52.9
50.0
11.8
11.8
欧米
28.6
37.1
31.4
11.4
3-3-2
ドイツ人学生による訪日旅行前後の日本の印象と評価
前項から、外国人旅行者が訪日旅行に対して抱いている印象を把握することができた。
そこで把握した日本の良い点、悪い点の項目を用いて、本項では訪日旅行前後で日本の
評価がどのように変化したのか把握する。例えば「人々が親切、礼儀正しい」という項目
に対して、訪日前の印象と訪日後の評価をそれぞれ回答してもらう調査を実施した。使用
した調査票を付録 F に示す。
調査は、大村謙二郎教授(システム情報工学研究科)の許可をいただき、オータムスクー
ル(2007 年 9 月 10 日から 14 日)で筑波大学を訪問していたルール大学の学生 10 名に
対して行った。授業の一環であることから、旅行者とは違う立場であることに注意しなけ
ればならないが、初めて日本を訪れる学生であることを考えれば、訪日旅行前後の印象と
評価を聞く調査を行うことは適していると考えられる。調査の概要を表 3-3-3 に示す。
調査により得られた結果を図 3-3-4 に示す。横軸は旅行前の印象、縦軸は旅行後の
評価をとった。数値的な意味は、1〈とても悪い〉、5〈とても良い〉である。図の右上に
プロットされた項目ほど、評価が高いことを示す。また、図の 45 度線から離れるほど、
訪日旅行前後の評価の差が大きいことを示している。
旅行前の印象が良く、旅行後の評価が高かった項目には、
「人々が礼儀正しい」、
「人々が
親しみやすい」であった。旅行前の印象はあまり良くないが、旅行後の評価が良かった
項目には「物価」、「トイレ」が挙げられる。このことは、「物価が高いと思っていたが、
思ったよりも物価は高くなかった」、「トイレの設備についてはあまりわからなかったが、
旅行してみるとトイレの設備が豊富にあり、かつ清潔で良かった」という評価をしている
と解釈することができる。
一方で、旅行前の印象よりも旅行後の評価が低かった項目には、
「ATM が利用できない」、
「英語が通じない」が挙げられた。英語の通用性については、旅行前の印象(期待度)が
悪いものの、実際に旅行してみると思っていたよりもさらに英語が通じないと評価する
学生が多いことがわかる。また、ATM に関しては、旅行前の印象(期待度)が良かったも
のの、実際はほとんど利用できずに不満を感じていることが明らかになった。
- 24 -
表 3-3-3
ドイツ人学生による訪日旅行前後の印象と評価調査の概要
調査実施日
調査地
調査方法
対象者
サンプル数
調査項目
2007年9月14日
つくばインフォメーションセンター
記述式
ルール大学(ドイツ)の学生
10票
訪日旅行前後の日本の印象と評価
訪日旅行中、困ったこと
旅行後の評価
5
清潔 親しみ 礼儀
トイレ
4
物価
安全
ホテル
景観
公共交通
インターネット
レストラン
案内所
言語支援
3
ATM
英語
2
1
1
2
図 3-3-4
3
4
5
旅行前の印象
訪日旅行前後の印象と評価
- 25 -
第4章
旅行環境評価項目の設定
これまで概観してきた日本の旅行環境の現状を踏まえ、外国人来訪者から見た旅行環境
に関する評価項目を設定する。評価項目は、その構成次第で結果が大きく変わる可能性が
あるため、本研究の中でも最も重要な位置づけである。筆者自身が海外旅行を通して得た
経験や、訪日外国人来訪者に対する事前調査で受けた意見を踏まえ、評価項目を設定した。
評価項目として 8 つの項目を設定した。それぞれ「安全」、
「清潔」、
「バリアフリー」、
「多
言語表示」、「コミュニケーション」、「物価」、「公共交通」、「電子サービス」である(表 4
-1-1)。項目の設定に対する基本的な考え方としては、「それがないと旅行者は困る」と
いう次元を想定している。マズローが唱えた欲求段階説
1)
を援用すれば、本研究が対象と
する項目は、生理的な欲求や安全の欲求など、低い次元の欲求を満たすものである。それ
よりも高い次元にある魅力的なものを見る、美しいものに触れるという自己実現の欲求に
近い項目には触れていない(「本研究の位置づけ」p.13 参照)。
都市全体の旅行環境を表す項目として「安全」、
「清潔」、
「バリアフリー」を位置づけた。
外国人来訪者に対する「安全」には、公共空間の治安と安全、宿泊施設の安全、公共交通
の安全を設定した。特に、外国旅行においては、外国人観光客を狙ったスリやひったくり、
悪質なものになると強盗が度々発生し、公共空間の治安が外国人来訪者を脅かす場合が
ある。また、宿泊先で盗難が発生する危険性が高い地域では、旅行中常に、自分の荷物の
心配をしなければならず、外国人来訪者にとって不安材料となることが考えられる。公共
交通は旅行者にとって重要な足となるが、その公共交通が安全に運行されていないと、
快適な旅行は保障されないことになる。これら外国人来訪者にとって安全は、欠かすこと
ができない項目であると考えられる。
- 26 -
「清潔」には、歩道の清潔、トイレの清潔を挙げた。日本にいる限り、歩道は清潔で
あることは当たり前と思われがちだが、歩道にゴミや犬のフンが平気で落ちているような
国も存在することは事実である。また、トイレが不衛生であるのは、外国人来訪者に不快
な思いをさせることが想定される。
外国人来訪者に対する本研究の「バリアフリー」とは、旅行者は大きな荷物を持って
移動する必要があることから、道路の段差が少ないことをその 1 つとして挙げた。また、
やはり旅行者に対する移動の快適性を考慮して、エレベータやエスカレータ設備の充実を
取り上げた。
「多言語表示」、「コミュニケーション」は、外国人来訪者を支援する旅行環境として、
特徴的な項目と位置づけられる。
「多言語表示」は、道路標識や駅の案内板・切符の表示、地図やパンフレット、レスト
ランのメニューが英語、その他の言語で多言語に表示されていることを指し、様々な場面
で外国人来訪者を支援するものである。道路標識が日本語だけで書かれている場合、標識
は漢字を理解する中国人や一部の人を除けば、ほとんど全ての人が理解できない記号の
ようなものである。また、意外に見落とされがちであるが、切符が多言語で表示されてい
ないと切符に書かれていることが一切理解できず、外国人来訪者に不安を抱かせることが
考えられる。また、日本語のわからない旅行者がレストランで注文することは困難である
ことが想定され、レストランのメニューが多言語表示であることは重要な項目であると
考えた。
一方、「コミュニケーション」では外国人来訪者と受け入れ側のコミュニケーションを
成立させるための英語、その他の言語能力を挙げた。また、言語能力に加えて受け入れ側
の態度や振る舞いを表す、人の親しみやすさを取り上げている。コミュニケーションでは、
その必要な場面として駅員、空港のスタッフ、観光案内所のスタッフ、ホテルのスタッフ、
一般の人を具体的に設定している。
最後に「物価」、「公共交通」、「電子サービス」は、どちらかというと外国人来訪者への
サービスを提供する立場を取る項目である。
「物価」では宿泊費、交通費、食費が安いかど
うかを対象としている。
「公共交通」が提供するサービスとしては、鉄道やバス、タクシー
の頻度が多いかどうか、鉄道やバスの時刻が正確であり信頼できるか、交通費が安いか
どうか、営業時間が長く、深夜まで運行しているかどうかを設定した。
「電子サービス」は、
ATM やクレジットカードが利用できる、自分が持っている携帯電話が使用できる、インタ
- 27 -
ーネットが使用できることを項目として取り上げた。電子サービスに関しては、特に事前
の訪日旅行の印象調査により、これらの項目を不満としている外国人来訪者が多く見られ
たため、項目中に位置づけた。
表 4-1-1
安全
旅行環境の評価項目
公共空間の治安がよく、安全である
ホテルのセキュリティが整っている
公共交通が安全に運行されている
清潔
歩道にゴミが落ちていない
トイレが清潔である
バリアフリー
道路の段差が少なく、歩きやすい
駅、空港にエレベータ・エスカレータが設置されている
多言語表示
多言語表示の道路標識がある
駅の案内板、切符が多言語表示されている
多言語の地図・パンフレットを配布している
レストランのメニューが多言語表示されている
コミュニケーション
英語その他の言語でコミュニケーションができる。
人々が親切で親しみやすい
(駅、空港、観光案内所、ホテル、一般の人)
物価
宿泊費、交通費、食費が安い
公共交通
鉄道、バス、タクシーの頻度が多い
鉄道、バスの時間が正確で信頼できる
運賃が安い
営業時間が長く、深夜まで運行している
電子サービス
ATM やクレジットカードが利用できる
自分の携帯電話が使用できる
インターネット回線が充実している
- 28 -
第5章
外国人来訪者へのアンケート調査
旅行環境の評価項目に従って、外国人来訪者はどの項目を重視しているのか、日本の
旅行環境に対してどのような評価をしているのか把握する調査を実施した。本章では、
調査の設計および調査結果について述べる。
5-1
調査の設計
外国人来訪者に対する旅行環境の評価を測定するにあたり、前章では本研究にとって
最も重要である旅行環境の評価項目を設定した。調査では、1)設定した評価項目間の相対
的な重要度を算出するとともに、2)外国人来訪者の視点からみた日本、その他訪問した
ことのある国の旅行環境を評価してもらうことに主眼を置いている。また、3)基本的な
個人属性に加え、4)日本の旅行環境のどの項目に対して不満を感じているか、あるいは 5)
旅行環境項目の必要性を把握する。設問の意図、評価手法などは以下に詳述する。
1)旅行環境評価項目の重要度
外国人来訪者として、旅行環境のどの項目を、どれだけ重視しているか算出する。既存
の調査では、どの項目が重要だと思われているか把握することはできても、項目間の相対
的な重要度を計測することはできなかった。その点に対応できる設問として設計した。
評価項目の重要度を算出する手法として、観光地が持つ魅力を評価した研究事例で多く
活用されていた AHP 手法(付録 A 参照)を用いることにする。AHP では、各項目の一対
比 較 形 式 の 質 問 ( 図 5- 1- 1) を 回 答 し て も ら う こ と で 、 各 項 目 間 の 相 対 的 な 重 要 度 が
- 29 -
安全が清潔よりも重要だと思うときの記入例
A が重要である
どちらも同じ
B が重要である
B が絶対重要
A が絶対重要
図 5-1-1
表 5-1-1
項目
安全
清潔
バリアフリー
外国語表示
コミュニケーション
物価
交通
電子サービス
誤差合計(絶対値)
一対比較形式の質問例
ランダムサンプリングによる質問数と重要度誤差の関係
重要度(28)重要度(16)誤 差 重要度(10)誤 差 重要度(7)誤 差
0.117
0.135
0.124
0.123
0.125
0.125
0.130
0.121
0.122
0.132
0.124
0.114
0.127
0.133
0.124
0.125
-0.00422
0.00312
0.000708
0.00952
-0.00161
-0.0089
0.00552
-0.00414
0.0377
0.122
0.127
0.120
0.117
0.130
0.149
0.112
0.124
-0.00476
0.00834
0.00403
0.00642
-0.00417
-0.0243
0.0180
-0.00351
0.0735
0.114
0.114
0.141
0.134
0.141
0.149
0.0991
0.108
0.00375
0.0213
-0.0168
-0.0111
-0.0153
-0.0248
0.0307
0.0123
0.1362
( )は質問数
算出できる。本研究では、旅行環境項目として 8 つの項目を設定している。そのため、
すべての項目を一対比較するためには、28 対の質問を用意しなければならないが、28 対す
べてに回答してもらうことは、回答者にとって大きな負担となる。
そこで、不完全情報下でも重要度を算出できる手法を、Harker 42 )は提案している(Harker
法の概要については付録 B 参照)。本研究では Harker 法を用いて、質問数をある程度抑え
て回答者への負担が小さくなるよう工夫した。最終的な質問数は 10 対とした。事前に回答
者 100 人を想定したランダムサンプリングによって、得られる重要度が大きく変わらない
ことを確認している(表 5-1-1)。
2)日本および諸外国の旅行環境評価
設定した 8 つの旅行環境項目それぞれについて、日本を含めた各国の旅行環境を評価す
る。評価得点を比較することで、日本が他国に比べて優れている点、劣っている点を明ら
かにすることができる。また、算出された旅行環境項目の重要度と各国の旅行環境評価点
を掛け合わせることで、総合的に外国人来訪者の視点から見た旅行環境評価を各国で比較
することができる。
- 30 -
この設問は 2 つの部分から成る。はじめに回答者には、回答者がこれまでに訪問した
ことのある国を比較対象 40 カ国の中から選択してもらう。比較対象 40 カ国は、国土交通
省編「観光白書」31) の中で、国際旅行者受入数ランキングの上位 40 カ国およびその他アジ
ア諸国(台湾、フィリピン)とした。続いて、回答者が選択した国および日本について、
旅行環境をそれぞれの項目ごとに評価してもらう。評価には、回答の容易性を考慮し、
0 から 10 点満点(0 点:とても悪い、10 点:とても良い)の評価形式を取った。
3)個人属性
旅行環境を評価するにあたり、個人属性の違いによって評価が異なることが考えられる。
そこで、外国人来訪者に対してこれまで行われた既存調査を参考にしながら、質問する
個人属性を設定した。
基本的な属性として性別、年齢、国籍および居住都市を設定した。国籍と現在住んでい
る場所が異なる場合があるため、国籍だけでなく居住都市を聞いている。
今回の旅行に関して、訪日回数、旅行目的、旅行期間(到着日および出発日)、旅行同伴
者、旅行形態(個人旅行、パッケージツアー旅行)、訪問場所(およびこれから訪問する
予定の場所)を設定した。
また、雇用形態と最終学歴を設定し、回答者が外国人来訪者であることを考慮に入れて、
言語能力(日本語、英語およびその他)を回答してもらうことにした。
個人属性の質問は、選択肢をあらかじめ調査票に並べておき、回答者はそれを見て自分
にあてはまる回答に印を付けてもらう形式である。訪問場所については、回答者に直接
記入してもらうことにした。
4)日本の旅行環境
2)では、日本の旅行環境項目それぞれについて 10 点満点で評価してもらっているが、
評価の良くなかった項目についてどの点を不満に思っているのか、これだけでは把握する
ことができない。前章で説明したとおり、旅行環境の各項目にはそれぞれ場面が設定され
ている(表 4-1-1)。例えば、安全については、①公共空間の治安・安全、②ホテルの
セキュリティ、③公共交通が安全に運行されている、の 3 つの場面が設定されている。
そこで、旅行環境項目の各場面設定の中で、外国人来訪者が不満に感じた点について、
この設問で把握することを目指す。
- 31 -
実際の調査では、すべての項目に対して回答してもらうことは、回答者にとって負担に
なると考えた。負担を少しでも減らすため、この設問では、日本の旅行環境について
(ちょっと不満、不満)に感じた項目にのみ印を付けてもらうことにした。すなわち、
回答者がその項目に対して満足だと感じた場合、回答せずに続く質問に進んでもらう形式
にした。このことは、事前に訪日旅行の印象を調査した際、外国人来訪者が多くの項目に
対して満足と回答していた経験に基づいて行っている。満足に感じた項目を飛ばしてもら
えば、回答者にとって印をつける煩わしさが軽減されると考えた。
5)旅行環境項目の必要性
設定した旅行環境項目は、外国人来訪者にとって必要なものを考えているが、場面に
応じてその必要性の度合いが異なる場合がある。例えば、コミュニケーションでは駅員、
空港のスタッフ、観光案内所のスタッフ、ホテルのスタッフ、一般人とのコミュニケー
ションを想定しているが、そのすべてを来訪者が同じ重みで必要としているとは限らない
と考えられる。一方で、安全に関しては、どの場面が安全であってほしいかを聞くことは
理屈に合わないと考えた。できればどこでも安全であってほしいと考えるのが普通である。
そこで、旅行環境項目のそれぞれの必要性を、多言語表示、コミュニケーション、公共
交通について聞く質問を設定した。安全、清潔、バリアフリー、電子サービスの質問は
上述の理由により省略した。
必要性は 5 段階の尺度(大いに必要である、必要である、どちらともいえない、必要で
ない、全く必要でない)を用いて評価してもらうことにした。
物価の必要性に関しては、異なる質問形式で聞くことを考えた。本研究における物価に
は、宿泊費、交通費、食費という 3 種類の物価を設定している。これらにかかる費用に
対して、どれを重視しているかを把握するため、
「宿泊費、交通費、食費のうち、どの費用
を安く済ませたいと考えているか」という質問形式を用いることにした。また、これらの
費用に差をつけるため、安く済ませたいと考える順番に、順位を付けてもらう形式とした。
調査票の構成は、回答者が回答しやすいように配慮した。一対比較形式の 1)の質問は、
その項目が何を意味しているのかわからないと回答が難しく、また、意味を誤解したまま
回答すると結果に重大な影響を与えてしまう可能性がある。そこで、1)の質問をする前に、
日本の旅行環境を評価してもらう 4)と旅行環境項目の必要性を把握する 5)に回答しても
- 32 -
らうことで、回答者は、ある程度旅行環境項目の理解が進むと考えた。そして、旅行環境
項目の重要性を比較する 1)の質問を終えた後で、日本および各国の旅行環境を評価する 2)
の質問に回答してもらう。個人属性を聞く 3)の質問は、特に回答者に負担をかけること
なく回答ができるので、アンケート調査の導入として最初に回答してもらうことにした(図
5-1-2)。
調査の依頼、主旨の説明
個人属性の回答
日本に対する旅行環境の評価の回答
旅行環境項目の必要性の回答
旅行環境項目の重要度比較の回答
日本および各国の旅行環境評価の回答
訪日旅行の印象、問題点等自由回答
図 5-1-2
アンケート調査の流れ
調査票は英語、韓国語、中国語の 3 種類を用意し(付録 G、H、I 参照)、回答者に言語
を選んで回答してもらった。一通りの調査が終わるまでに 10 分程度時間を要するため、
回答者が急いでいる場合には、日本に対する旅行環境評価および旅行環境項目の必要性に
ついての回答は飛ばして、調査の中でも重要な、旅行環境項目の重要度比較の設問から
回答してもらうようにした。
調査対象地は、事前に外国人来訪者に対して訪日旅行の印象を把握するために行った
調査(p.21 参照)と同じ浅草にて行った。
調査の対象者は外国人来訪者であるが、調査は 10 分以上要することなどの理由からサン
プルを十分に集めることが困難であると考えた。そこで、補完的に浅草での外国人来訪者
に対する対面記述式の調査に加え、調査票を添付したメールを、知り合いの外国人および
その友人に配布し、メールにて回収を行う形式の調査を同時に行った。メールでアンケー
トを行う場合、以下のような回答者を想定して優先順位を設け、①に該当する人から順に
調査依頼を行った。
- 33 -
①海外在住の外国人で、訪日の経験がある者
②海外在住の外国人で、訪日の経験はないが他国への外国旅行経験がある者
③日本在住の外国人または留学生
なお、メール調査票では、今回の旅行について回答することができないため、該当する
箇 所 を 削 除 し た 。 代 わ り に 、 訪 日 回 数 を ( 0: な い ~ 4: 4 回 以 上 ) と し て 聞 い て い る 。
また、訪日経験がない人は日本の旅行環境評価ができないため、その質問は飛ばしてもら
うようにした。
5-2
調査の実施概要
外国人来訪者に対するアンケート調査を 2007 年 11 月中旬から下旬にかけ、計 8 日間実
施した。調査の実施概要を表 5-2-1 に示す。サンプル数は浅草調査の 71 票、またメール
調査の 31 票となり、全体で 102 票である。
表 5-2-1
調査実施日
調査地
調査方法
対象者
サンプル数
調査項目
外国人来訪者に対するアンケート調査の実施概要
2007年11月13日、15日、16日、19日、20日、21日、22日、26日
浅草
対面記述式、(メールでの配布、回収)
外国人来訪者
(海外在住の外国人で、訪日の経験がある者)
(海外在住の外国人で、訪日の経験はないが他国への外国旅行経験がある者)
(日本在住の外国人または留学生)
102票(浅草:71票、メール:31票)
個人属性(性別、年齢、国籍(居住都市)、訪日回数、旅行目的、
旅行期間、旅行同伴者、旅行形態、訪問場所)
日本の旅行環境評価
旅行環境項目の必要性
旅行環境項目の重要性比較
日本および各国の旅行環境評価
訪日旅行の印象、問題点など
- 34 -
5-3
集計結果
本節では、調査の個人属性および訪日回数、訪日目的などの集計結果を示すことで、
本調査の特徴や限界点を明らかにしていく。そして、集計結果の考察を踏まえて次章から
の分析につなげていく。
性別を見ると、男性と女性の割合は 4:6 であり、女性の割合が高いが、ほぼ同じ値とい
える(図 5-3-1)。
年齢の構成比を見ると、20 代、30 代の割合が高く、合わせて 75%に近い値となってい
る(図 5-3-2)。しかし、この割合は、浅草で調査したときの実際の外国人来訪者の年齢
構成比とは異なるようである。実際には、40 代や 50 代、60 代と思われる来訪者も多く
見られた。調査で得られた年齢構成比が若者に偏っているのは、アンケートに回答してく
れる人が若い世代が多いことと、調査員は英語でのみ受け答えができるので、英語が母国
語でない人で、高齢になるほど英語での受け答えをわずらわしいと感じる人が多い結果で
あると考えられる。
回答者の地域および国籍の内訳を図 5-3-3 に示した。回答者の国籍を見ながら、地域
は大きくアジア、北米、ヨーロッパ、オセアニアに分けることができた。その割合はそれ
ぞれアジア(53%)、北米(20%)、ヨーロッパ(22%)、オセアニア(5%)となっている。
実際のアジア(72%)、北米(13%)、ヨーロッパ(11%)、オセアニア(3%)の割合
31 )
と比較すると、アジアの割合が低いことがわかる。しかしながら、分析の結果に大きな
影響を与えるほど地域別の割合は偏っているわけではないといえる。国籍の内訳を見てみ
ると、偏りが見られる点がある。例えば、実際の訪日割合では 30%近くを占める韓国の
来訪者
31 )
に対して、今回の調査では韓国人のサンプルをあまり取得できていない。また、
ヨーロッパではフランス、イタリア、スペインなど西欧諸国の来訪者から調査ができてい
ないことがわかる。
続 い て 、 今 回 の 旅 行 に 関 す る 集 計 結 果 を 示 す 。 訪 日 回 数 は 、48% の 人 が 初 め て の 訪 日
来訪者であり、4 回以上が続く 27%であった。0 回とはメール調査で、訪日経験のない
回答者を指している(図 5-3-4)。旅行目的は、4 分の 3 が観光目的であることがわかる。
続いて多いのが知人・友人の訪問(7%)である(図 5-3-5)。旅行目的の大部分を占め
る観光目的であるが、本調査では例えば寺社仏閣が目的である、温泉が目的である、自然
が目的であるなど、詳細な目的の把握はしていない。
- 35 -
旅行期間は、成田空港での乗り継ぎの人がいたため、2 日以内という回答が 1 人あった。
そして、1 週間以内の割合が 43%、1 週間から 2 週間以内の割合が 28%、2 週間以上の人
も 21%であった(図 5-3-6)。1 週間以上の中長期間滞在する来訪者が約半数を占める
結果となっている。
表 5-3-1 は、今回の旅行で訪問した場所(左)およびこれから訪問する予定の場所(右)
を示している。回答者の自由記述になっていたので、得られた回答を地域ごとに分けて
集計した。地域は北海道、東北、都内、関東、東海・中部、信州・北陸、関西、中国、
四国、九州・沖縄とした。各地域の代表的な回答は表 5-3-2 にまとめた。例えば富士山
という回答は、東海・中部として集計している。東京都内を除いてみると、最も多い回答
は関西であった。
旅行の同伴者は、家族(41%)と友人(34%)で大半を占めている(図 5-3-7)。家族
連れのうち、親子で旅行している人は 1 組のみであった。そのため、家族は夫婦である
回答がほとんどである。
本調査では、旅行形態は 81%が個人旅行という結果になった(図 5-3-8)。浅草で調査
中、パッケージツアー客の姿を見かけることはあったが、パッケージツアーで浅草を訪れ
る来訪者は、バスでの移動が主であり、観光できる時間も限られている。一連のアンケー
トに回答すると 10 分以上要するため、パッケージツアーの団体に調査を行うことは困難で
あった。実際に、声をかけても時間がないという理由で断られるのはパッケージツアーの
団体客に多く見られた。そのため、本調査の特徴として、対象者の 8 割以上の人が個人
旅行者である点が挙げられる。
雇用形態を見ると、67%の人が正社員であった。続いて多い回答が、その他(学生)で
21%という結果である(図 5-3-9)。
最終学歴は 54%が大学卒、34%が大学院卒という結果であり、少なくとも大学を卒業し
ている人が 90%近くを占めている(図 5-3-10)。本調査においては、高学歴者が多い点
に注意しながら分析を進めなければならない。
最後に日本語能力、英語能力についての集計結果を図 5-3-11、図 5-3-12 に示した。
日本語は 90%の人ができないと答えている。英語に関してはできないと答えた人は 8%に
過ぎず、日常会話程度(43%)、よくできる(16%)人が半分を占めた。また、英語が母国
語である人は 27%であった。
- 36 -
70 代
不明
10 代
60 代
50 代
男性
20 代
40 代
女性
30 代
図 5-3-1
性別(n=102)
年齢(n=102)
オセアニア
ヨーロッパ
スウェーデン(2)
イギリス(6)
オランダ(1)
ベルギー(1)
ドイツ(4)
イタリア(1)
スペイン(1)
ポルトガル(1)
オーストリア(1)
チェコ(3)
ルーマニア(1)
図 5-3-2
オーストラリア(5)
アジア
韓国(10)
中国(15)
台湾(7)
香港(13)
タイ(4)
フィリピン(3)
シンガポール(2)
マレーシア(1)
北米
アメリカ(15)
カナダ(5)
図 5-3-3
地域および国籍内訳(n=102)
- 37 -
イベント参加
その他
学業
会議
0回
4 回以上
初めて
知人訪問
業務
3 回目
観光
2 回目
図 5-3-4
訪日回数(n=102)
不明
図 5-3-5
表 5-3-1
~2 日
21 日~
14~
20 日
3~6 日
7~13 日
図 5-3-6
関東
訪問地(n=67)
訪問地域
北海道
東北
都内
関東
東海・中部
信州・北陸
関西
中国
四国
九州・沖縄
訪問
2
3
64
13
7
3
21
2
1
2
予定
3
2
19
10
3
2
18
2
0
2
旅行期間(n=71)
表 5-3-2
地域
北海道
東北
都内
旅行目的(n=71)
訪問地域の分け方と主な訪問地の回答
主な回答
北海道、札幌
仙台
新宿、原宿、渋谷、上野、六本木、
お台場、築地、明治神宮
東京ディズニーランド
箱根、鎌倉、横浜、日光
- 38 -
地域
東海・中部
信州・北陸
関西
中国
四国
九州・沖縄
主な回答
静岡、富士山、名古屋
長野、金沢、高山
京都、奈良、大阪、神戸
岡山、広島
四国
九州、長崎、沖縄
ひとり
友人
仕事
関係
親戚
図 5-3-7
不明
その他
パッケージ
ツアー
家族
個人旅行
旅行同伴者(n=71)
図 5-3-8
旅行形態(n=71)
その他
不明
高校
その他(学生)
大学院
無職
自営業
パート
正社員
図 5-3-9
大学
雇用形態(n=102)
図 5-3-10
日常会話程度
不明
最終学歴(n=102)
できない
母国語
できない
よくできる
図 5-3-11
日本語能力(n=71)
図 5-3-12
- 39 -
日常会話
程度
英語能力(n=102)
5-4
本章のまとめ
本章では、外国人来訪者へのアンケート調査について、調査の設計と概要、個人属性
の基礎集計を示した。ここでは本章のまとめとして、調査により得られた対象者の特徴を
まとめる。
1)20 代、30 代という若い世代が中心の調査である。
2)国籍で見た地域別の割合は、実際の訪日割合と比較してアジアの割合が小さく、北米、
ヨーロッパの割合が大きかった。しかしながら、訪日印象などを聞く既存調査では、
北米やヨーロッパの割合が極端に大きく、アジアの割合が極端に小さいという事例が
多かった(例えば TIC 利用者の訪日旅行実態調査(p.10 参照)ではヨーロッパが 65%、
アジアが 10%となっている)ことを踏まえると、本調査で得られた地域別の割合は実際
の訪日割合に近いといえる。
3)家族連れが 40%であるが、そのうち夫婦のみが 88%を占める。
4)個人旅行者が大半を占める。実際の外国人来訪者は団体の割合も少なくないが、調査の
かかる時間を考慮すると、時間に制約のある団体旅行者にアンケートを行うことができ
なかった。しかしながら、安全や多言語表示といった本研究が対象としている旅行環境
には個人旅行者のほうがより関心が高いことが考えられ、個人旅行者が多い本調査は
むしろ良好な結果であったといえる。
5)観光旅行者が 4 分の 3 を占める。このことは、浅草にて調査を行ったことが影響してい
ると考えられる。また、調査にかかる時間制約より、スーツ姿の業務目的の回答はそれ
ほど得られなかった。
6)高学歴者が大半を占める。実際に日本を訪れる外国人旅行者が高学歴中心であるかどう
かは明らかではないが、本調査に限っては高学歴者が主に回答した調査であることに
注意しておかなければならない。
- 40 -
第6章
外国人来訪者による旅行環境の評価
本章では、はじめにアンケート調査により得られたすべての回答を対象として、旅行
環境項目の重要度を算出する。また、日本および各国の旅行環境評価を示し、評価の裏づ
けとして日本の旅行環境で不満に感じていること、旅行環境の必要性について集計した
結果を示す。続いて、外国人来訪者をいくつかの属性に分け、属性ごとに旅行環境を評価
していく。それぞれの属性ごとに、どのような視点から旅行環境を評価しているのかを
明らかにする。
6-1
旅行環境評価項目の重要度
旅行環境評価項目の重要度を算出するためには、アンケート調査中の、一対比較形式で
相対的な重要性を聞いた設問を用いる。設問の中で聞いた 10 対の値を、行列のそれぞれ
対角行列よりも右上側の要素に代入する。また、対角行列をはさんで対称となる点に対し
ては、その値の逆数を用いる。Harker 法によりデータが欠損した箇所は 0 で示し、行に
ある 0 の数を足し合わせ、合計を対角行列に足し合わせる(例えば、第 1 行は 0 の要素が
4 箇所あるため、対角要素に 4 を足し合わせて 5 とする)。以上のような行列を作り、固有
値問題を解くことで項目間の重要度を算出する。アンケート調査により得られた行列 A、
最大固有値λ max および最大固有値に対応する固有ベクトル W は以下の通りである。
- 41 -
2.11 0
1.77
0
1.24
0
0 ⎤
⎡ 5
⎢ 0.473 5
0
0
0.668 0 0.611
0 ⎥⎥
⎢
⎢ 0
0
6 0.594
0
0
0
0.705⎥
⎥
⎢
0.567
0 1.68
5
1.10
0
0
0 ⎥
⎢
A=
⎢ 0
1.50
0
0.913
5
1.05
0
0 ⎥
⎥
⎢
0
0
0
0.954 6
0
0 ⎥
⎢0.809
⎢ 0
1.64
0
0
0
0
6
2.37 ⎥
⎥
⎢
0 1.42
0
0
0
0.42
6 ⎥⎦
⎢⎣ 0
λmax = 8.0150
⎡0.5220⎤
⎢ 0.2543⎥
⎥
⎢
⎢ 0.1711⎥
⎥
⎢
0.3226⎥
⎢
W =
⎢0.3552⎥
⎥
⎢
⎢0.3777⎥
⎢ 0.4621⎥
⎥
⎢
⎣⎢ 0.2171⎦⎥
そこで、固有ベクトル W を合計して 100 になるように修正して得られた得点が、旅行環境
項目の重要度となる。全対象者による旅行環境項目の重要度を表 6-1-1 に示す。整合性
指数(Consistency Index)は 0.00215(<0.01)となり、推定結果は良好である。この結果を
見ると、外国人来訪者に対する旅行環境項目の中で、安全が最も重視されていることが
わかる。また、続いて公共交通、物価、コミュニケーションの重要度が高い結果となった。
表 6-1-1
旅行環境項目の重要度
項目
安全
清潔
バリアフリー
多言語表示
コミュニケーション
物価
公共交通
電子サービス
合計
整合性指数
サンプル数
- 42 -
重要度
19.46
9.48
6.38
12.03
13.24
14.08
17.23
8.09
100.00
0.00215
98
6-2
日本および各国の旅行環境評価
前節で算出した旅行環境項目の重要度と、日本および各国の旅行環境を 10 点満点で評価
してもらった設問の結果を用いることで、日本および各国の旅行環境を評価していく。
6-2-1
総合旅行環境評価ランキング
日本および各国の旅行環境評価は、アンケート調査中 8 つの旅行環境項目のそれぞれに
ついて、各国の旅行環境を 10 点満点で点数を付ける設問から算出する。各国の評価は、
点数の平均点を用いることとする。それぞれの項目の平均点と前節で算出した旅行環境
項目の重要度を掛け合わせ、すべての項目の点数を合計することで、各国の旅行環境評価
点を算出した。
総合旅行環境評価ランキングの対象国として、国によっては多くのサンプルを集める
ことが困難であった。今回は、サンプル数が 5 を超える国についてランキングを提示する。
結果を表 6-2-1 に示す。
日本は 25 カ国中 6 位であり、各国と比較しても上位にランクされていることがわかる。
日本よりも高い評価を受けた国は、シンガポール、スウェーデン、カナダ、スイス、香港
であった。
表 6-2-1
総合順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
国名
シンガポール
スウェーデン
カナダ
スイス
香港
日本
ドイツ
アイルランド
インドネシア
メキシコ
アメリカ
韓国
イギリス
点数
801
759
754
743
730
708
687
685
675
669
665
664
658
総合旅行環境評価ランキング
n 総合順位
国名
オーストリア
16
14
マレーシア
6
15
オーストラリア
13
16
台湾
5
17
フランス
31
18
マカオ
86
19
ベルギー
19
20
イタリア
5
21
中国
5
22
タイ
5
23
スペイン
31
24
フィリピン
15
25
22
- 43 -
点数
654
651
650
639
618
615
613
575
561
551
551
536
n
8
10
14
12
26
11
7
15
33
14
6
6
総合旅行環境評価ランキングでは、得られたサンプル数が 5 以上になった国に対して
評価を行っているが、サンプル数は各国でばらつきがあり、結果の信頼性が確保されてい
ない可能性がある。そこで、各国のデータに対して項目ごとに 95%信頼区間を示す(表 6
-2-2)。10 点満点の評価に対して、信頼区間が 1.50 点未満の項目に色をつけて示してい
る。サンプル数が 10 を下回る国では評価にばらつきが見られ、安定した結果が得られてい
ないが、サンプル数の確保については今後の課題とし、本研究ではその点に注意しながら
分析を進めることとする。
バリアフリー
多言語表示
コミュニケーション
物価
公共交通
電子サービス
16
6
13
5
31
86
19
5
5
5
31
15
22
8
10
14
12
26
11
7
15
33
14
6
6
清潔
シンガポール
スウェーデン
カナダ
スイス
香港
日本
ドイツ
アイルランド
インドネシア
メキシコ
アメリカ
韓国
イギリス
オーストリア
マレーシア
オーストラリア
台湾
フランス
マカオ
ベルギー
イタリア
中国
タイ
スペイン
フィリピン
各国データの 95%信頼区間
安全
サンプル数
表 6-2-2
0.46
1.03
0.84
0.68
0.56
0.25
0.59
1.24
2.96
2.91
0.49
0.59
0.59
0.99
1.26
0.84
0.81
0.54
1.09
2.58
0.80
0.75
0.92
1.03
2.43
0.51
0.96
1.10
0.88
0.60
0.26
0.47
1.04
2.42
4.25
0.54
0.49
0.82
0.89
1.19
0.93
0.73
0.64
1.39
1.90
0.87
0.65
0.82
1.10
2.18
0.81
1.58
1.34
2.22
0.71
0.42
0.49
1.42
2.99
3.17
0.69
0.83
1.03
1.66
1.11
1.15
0.79
0.61
1.56
2.18
0.83
0.76
0.98
1.39
2.06
0.43
2.20
1.29
2.32
0.62
0.43
1.12
2.96
3.21
3.68
1.24
1.08
1.20
2.36
1.63
1.84
1.06
0.89
1.61
2.91
1.24
0.84
1.20
2.45
3.28
0.51
2.04
0.91
1.84
0.65
0.45
0.82
1.62
2.57
1.96
1.00
1.52
0.72
1.76
1.43
1.50
1.01
0.90
1.65
2.12
0.86
0.92
1.26
1.54
3.07
0.65
1.23
0.94
2.22
0.66
0.47
0.61
1.67
2.08
1.42
0.57
1.04
0.99
1.72
1.14
1.37
0.91
0.72
0.76
0.83
0.76
0.75
1.21
1.58
1.08
0.75
2.24
0.94
2.57
0.43
0.39
0.79
0.92
3.79
2.39
0.77
0.78
0.75
1.13
1.58
1.26
1.09
0.91
1.16
2.31
0.94
0.78
1.24
1.68
2.61
0.39
2.17
1.34
1.88
0.51
0.48
0.58
0.80
2.91
3.79
0.59
1.09
0.77
1.26
1.82
0.98
1.18
0.57
1.25
1.50
1.05
0.96
1.11
2.24
2.06
1.00未満
- 44 -
1.00以上1.50未満
6-2-2
項目別旅行環境評価ランキング
総合で 6 位と評価された日本であるが、どの項目において他国よりも優れているのか、
どの項目で他国に劣っているのか明らかにするため、項目別に旅行環境評価のランキング
を示す。ここでは重要度については考慮せず、項目別に 10 点満点で評価してもらった結果
の平均点を示すことにする。
日本が上位となった項目のランキングについて、表 6-2-3 に示した。安全、清潔、
公共交通について日本は高い評価をされていることがわかる。特に、公共交通では 25 か国
中 1 位の評価を獲得している。また、公共交通の上位 3 カ国はアジア諸国(日本、香港、
シンガポール)が占めていることがわかる。安全、清潔の上位 3 カ国はいずれもシンガポ
ール、スイス、スウェーデンによって占められ、外国人来訪者から高い評価を受けている。
日本が中位にランキングされた項目は、バリアフリー、多言語表示、電子サービスで
あった(表 6-2-4)。総合評価で 1 位となったシンガポールでは、これら 3 つの項目に
おいても、すべて 1 位を獲得している点が注目される。国内総生産がアメリカに次ぐ世界
第 2 位の日本であるが、外国人来訪者に対する電子サービスとしては 11 位と出遅れている。
コミュニケーション、物価について、日本は低い評価をされていることがわかる(表 6
-2-5)。コミュニケーションは、下位 5 カ国については、すべて非英語圏であり、日本は
スペイン、中国、イタリア、タイ、フランスにつぎ低い評価である。フランスなどヨーロ
ッパ圏では英語が通じるものと考えていたが、スペインやイタリア、フランスの評価が
このような低い結果にとどまった理由として、これらの国々では母国語を使用する傾向が
強いためではないかと考えられる。このことは、アンケート中、回答者のコメントでも
指摘されていた点である。
物価に関して日本は、ある程度予想していた通り、スイス、イギリスにつぎ最も物価が
高いと評価されていることがわかった。
- 45 -
表 6-2-3
順位
安全
国名
1 スイス
2 シンガポール
3 スウェーデン
4 日本
5 カナダ
6 韓国
7 ドイツ
8 オーストリア
9 インドネシア
10 香港
11 イギリス
12 アイルランド
13 オーストラリア
14 台湾
15 フランス
16 アメリカ
17 マレーシア
18 マカオ
19 ベルギー
20 イタリア
21 メキシコ
22 スペイン
23 中国
24 タイ
25 フィリピン
項目別旅行評価ランキング(日本上位項目)
清潔
点数
国名
9.40 スウェーデン
8.94 スイス
8.83 シンガポール
8.76 日本
8.38 ドイツ
7.53 カナダ
7.42 オーストリア
7.38 アイルランド
7.20 オーストラリア
7.19 韓国
7.18 アメリカ
7.00 インドネシア
6.86 香港
6.83 イギリス
6.77 ベルギー
6.68 フランス
6.30 マレーシア
6.27 イタリア
6.14 スペイン
6.07 マカオ
6.00 台湾
5.83 メキシコ
5.15 中国
4.71 タイ
4.17 フィリピン
- 46 -
公共交通
点数
国名
9.08 日本
9.00 香港
8.63 シンガポール
8.59 メキシコ
7.95 韓国
7.85 オーストリア
7.63 ドイツ
7.20 スウェーデン
7.00 イギリス
6.93 カナダ
6.71 台湾
6.60 フランス
6.60 アイルランド
6.57 インドネシア
6.29 スイス
6.12 アメリカ
6.10 マカオ
5.73 イタリア
5.50 中国
5.45 タイ
5.33 オーストラリア
5.20 スペイン
4.30 ベルギー
4.21 マレーシア
3.50 フィリピン
点数
7.85
7.63
7.56
7.20
7.13
7.13
7.11
6.83
6.80
6.69
6.67
6.65
6.50
6.40
6.40
6.26
6.23
6.00
5.95
5.86
5.86
5.83
5.71
5.70
3.83
表 6-2-4
項目別旅行評価ランキング(日本中位項目)
バリアフリー
多言語表示
電子サービス
国名
点数
国名
点数
国名
点数
1 シンガポール
7.81 シンガポール
8.56 シンガポール
8.00
2 スウェーデン
7.67 香港
8.03 アメリカ
7.94
3 カナダ
7.62 スウェーデン
8.00 韓国
7.80
4 ドイツ
7.53 スイス
8.00 香港
7.79
5 スイス
7.20 フィリピン
7.17 スウェーデン
7.67
6 オーストラリア
7.00 カナダ
7.08 メキシコ
7.40
7 アメリカ
6.97 イギリス
6.95 スイス
7.40
8 日本
6.87 マレーシア
6.90 カナダ
7.38
9 イギリス
6.64 インドネシア
6.80 ドイツ
7.32
10 インドネシア
6.60 ベルギー
6.71 フランス
7.19
11 アイルランド
6.60 オーストラリア
6.50 日本
7.05
12 香港
6.55 日本
6.31 イギリス
7.00
フランス
アイルランド
オーストリア
13
6.46
6.20
7.00
14 オーストリア
6.29 タイ
6.00 マレーシア
6.60
15 マレーシア
6.20 ドイツ
5.84 オーストラリア
6.43
16 メキシコ
6.00 マカオ
5.82 ベルギー
6.43
17 イタリア
5.87 台湾
5.67 マカオ
6.36
18 ベルギー
5.71 フランス
5.62 台湾
6.25
19 韓国
5.67 メキシコ
5.60 アイルランド
6.25
20 台湾
5.58 アメリカ
5.58 スペイン
6.17
21 スペイン
5.17 韓国
5.47 イタリア
5.80
22 中国
4.73 イタリア
5.13 中国
5.70
23 マカオ
4.73 中国
5.08 タイ
5.21
24 タイ
3.86 オーストリア
5.00 フィリピン
4.67
25 フィリピン
3.67 スペイン
3.67 インドネシア
4.00
順位
- 47 -
表 6-2-5
項目別旅行評価ランキング(日本下位項目)
コミュニケーション
物価
国名
点数
国名
1 カナダ
8.54 インドネシア
2 シンガポール
8.50 メキシコ
アイルランド
3
8.20 フィリピン
4 スイス
8.20 中国
5 香港
7.97 タイ
6 スウェーデン
7.83 マレーシア
7 イギリス
7.45 マカオ
8 オーストラリア
7.36 カナダ
9 マレーシア
7.30 台湾
10 アメリカ
7.13 アメリカ
11 台湾
7.00 アイルランド
12 メキシコ
7.00 香港
13 フィリピン
6.83 スペイン
14 ドイツ
6.68 韓国
15 インドネシア
6.40 シンガポール
16 ベルギー
6.29 ベルギー
17 マカオ
6.27 イタリア
18 オーストリア
5.88 オーストリア
19 韓国
5.87 ドイツ
日本
20
5.81 オーストラリア
21 フランス
5.81 スウェーデン
22 タイ
5.43 フランス
23 イタリア
5.40 日本
24 中国
5.18 イギリス
スペイン
25
5.17 スイス
順位
点数
8.60
8.60
8.33
7.92
7.64
7.10
7.05
6.69
6.67
6.67
6.60
6.33
6.33
6.13
6.00
5.86
5.80
5.75
5.58
5.50
5.17
4.96
4.72
4.09
3.80
ここで、日本を含め、日本の旅行環境よりも評価の高かった 5 カ国の旅行環境について、
そ の 特 徴 を 図 示 す る ( 図 6- 2- 1 か ら 図 6- 2- 6、 点 線 は 日 本 の 評 価 を 示 す )。 日 本 は
安全、清潔、公共交通において他国と引けをとらない。その一方で、物価、コミュニケー
ション、多言語表示の項目では各国に劣ることが明らかである。スイスと比較すると、
物価はスイスのほうが日本よりも高いと外国人に認識されているが、コミュニケーション
と多言語表示ではスイスの評価は高いことが指摘できる。旅行環境で上位にランクされた
国々を見ても、物価が低く評価されている国が多いことがわかる。この点を踏まえ、わが
国がさらによい旅行環境を目指すためには、コミュニケーションや多言語表示に力を入れ
て取り組むべきだと考えられる。
- 48 -
安全
10
8
6
4
2
0
電子サービス
公共交通
物価
電子サービス
清潔
公共交通
バリアフリー
多言語表示
物価
コミュニケーション
図 6-2-1
電子サービス
公共交通
物価
図 6-2-2
清潔
電子サービス
公共交通
バリアフリー
安全
10
8
6
4
2
0
公共交通
物価
清潔
バリアフリー
多言語表示
コミュニケーション
スウェーデンの旅行環境の特徴
物価
多言語表示
電子サービス
多言語表示
安全
10
8
6
4
2
0
バリアフリー
シンガポールの旅行環境の特徴
コミュニケーション
図 6-2-3
清潔
コミュニケーション
日本の旅行環境の特徴
安全
10
8
6
4
2
0
安全
10
8
6
4
2
0
図 6-2-4
清潔
電子サービス
バリアフリー
公共交通
カナダの旅行環境の特徴
安全
10
8
6
4
2
0
清潔
バリアフリー
多言語表示
物価
多言語表示
コミュニケーション
コミュニケーション
図 6-2-5
スイスの旅行環境の特徴
図 6-2-6
- 49 -
香港の旅行環境の特徴
6-3
日本の旅行環境評価
旅行環境項目別に見た日本の評価は、各国と比較しても上位にある安全、清潔、公共
交通、中位にあるバリアフリー、多言語表示、電子サービス、そして下位にあるコミュニ
ケーション、物価と、項目ごとにばらつきが見られた。そこで本節では、外国人来訪者が
日本の旅行環境に対して不満に感じている点について詳細に把握する。
アンケート調査の設問中、日本に対する旅行環境の評価の回答に対して、少し不満、
不満と回答した割合を表 6-3-1 に示す。
各国と比較して日本の評価が良かった安全、清潔、公共交通では、不満と感じる人の
割合が小さいといえる。トイレの清潔で少し不満と回答した人は、京都のトイレは汚いと
ころがあったと不満を述べている。バリアフリーで不満と回答した人は、その理由につい
て、自転車が歩行空間に侵入できるため、それが危険であり不満に感じたと述べていた。
多言語表示については、空港の多言語表示以外は不満と感じる人の割合が大きいことが
わかる。道路の案内板や鉄道駅の案内板、切符は、多言語表示への整備が進んでいるよう
に思えるが、実際はまだ不満に思う来訪者がいる現状が明らかになった。また、最も不満
が高かった項目は、レストランのメニューの多言語表示である。せめて英語のメニューが
あればという意見が多く聞かれるが、全くどのようなメニューかわからずに、注文もでき
ないという不満が聞かれる。中には、レストランに行っても注文ができないので、コンビ
ニエンスストアの弁当ですべて食事を済ませたという、かわいそうな来訪者も見受けられ
た。
各国と比較して評価の悪かったコミュニケーションでは、特に鉄道駅での駅員とのコミ
ュニケーション、一般人とのコミュニケーションに不満を持つ人が多いことがわかった。
一般人とのコミュニケーションは、特別な対策をすることはできない。しかしながら、
鉄道駅でのコミュニケーションは、鉄道駅に案内所を設ける、あるいは多言語表示の案内
板を充実させることによって、快適な移動を支援することができると考えられる。
物価は、宿泊費、交通費、食費のいずれも不満と感じる人の割合が大きい。その中でも、
交通費が不満(少し不満:13.1%、不満:16.7%)と回答した人が最も多かった。
電子サービスについては、自分の携帯電話が使えないという不満の回答が最も大きく、
また、ATM が利用できなくて困ったという回答も多く聞かれた。
- 50 -
表 6-3-1
日本の旅行環境評価(n=84)
項目
安全
清潔
バリアフリー
多言語表示
コミュニケーション
物価
公共交通
電子サービス
公共空間の治安・安全
ホテルのセキュリティ
公共交通の安全
歩道にゴミが落ちていない
トイレが清潔
道路
鉄道駅
空港
道路案内板
鉄道駅(案内板、切符)
空港
地図、パンフレット
レストランメニュー
駅員
空港スタッフ
案内所スタッフ
ホテルスタッフ
一般人
宿泊費
交通費
食費
頻度が多い
時間が正確で信頼できる
営業時間が長い
ATM利用可能
クレジットカード利用可能
自分の携帯電話利用可能
インターネット接続利用可能
- 51 -
(%)
少し不満
4.8
4.8
6.0
3.6
8.3
1.2
7.1
2.4
17.9
20.2
8.3
13.1
31.0
17.9
9.5
8.3
10.7
19.0
21.4
13.1
16.7
6.0
2.4
8.3
13.1
8.3
15.5
8.3
不満
0.0
0.0
1.2
0.0
0.0
2.4
0.0
0.0
4.8
4.8
1.2
6.0
8.3
8.3
1.2
0.0
0.0
8.3
4.8
16.7
6.0
3.6
0.0
3.6
8.3
4.8
14.3
3.6
6-4
旅行環境項目の必要性
前節では、日本に対する旅行環境のどの項目を外国人来訪者は不満に感じているか明ら
かにした。例えばコミュニケーションでは、駅員とともに一般人とのコミュニケーション
が不満であると回答する人の割合が大きいことがわかっている。本節では、それぞれの
項目に対する外国人来訪者が感じる必要性を示し、その傾向を把握する。
そのため、アンケート調査中の旅行環境項目の必要性の回答を用いて、平均点を算出
した。数値的な意味は、1〈全く必要ない〉から 5〈大いに必要である〉を取っており、5
に近づくほど必要性は大きいことを示している。得られた結果を表 6-4-1 に示す。
結果的にほぼすべての項目で必要性が高い(4 点以上)と評価していることがわかる。
しかしながら、多言語表示の中では、レストランのメニューが空港や地図、パンフレット
などと比較して必要性は低くなっている。また、コミュニケーションでは一般人とのコミ
ュニケーションの必要性が他の場面よりも低く、どちらともいえない(3 点)に近い値で
あることがわかる。前節では一般人とのコミュニケーションが不満であると回答した人が
多い反面、一般人とのコミュニケーションは、それほど必要性が高いとはいえないと回答
する人も多いということがいえるだろう。しかしながら、一般人とのコミュニケーション
は他の項目と比較して標準偏差の値が大きく、評価がばらつく項目であることがわかる。
続いて、宿泊費、交通費、食費のうち、どれを最も安く済ませたいと外国人来訪者は
考えているか把握するため、物価の項目については費用を安く抑えたいと考える順番を
記入してもらった。1 番安く済ませたいと回答した項目に 3 点を、2 番目に安く済ませたい
と回答した項目に 2 点を、3 番目に安く済ませたいと回答した項目に 1 点をそれぞれ与え、
その平均点を算出することで優先順位を決めることとした。点数が最も大きい項目が、
最も費用を安く済ませたいと考えている項目を示している。結果を表 6-4-2 に示した。
外国人来訪者全体として、最も費用を安く済ませたいと考えているのは僅差ではあるが、
交通費となった。また、宿泊費が次に挙げられた。
- 52 -
表 6-4-1
旅行環境項目の必要性
項目
道路案内板
鉄道駅(案内板、切符)
空港
多言語表示
地図、パンフレット
レストランメニュー
駅員
空港スタッフ
コミュニケーション 案内所スタッフ
ホテルスタッフ
一般人
頻度が多い
時間が正確で信頼できる
公共交通
運賃が安い
営業時間が長い
表 6-4-2
項目
物価
宿泊費
交通費
食費
平均値
標準偏差
4.26
0.829
4.43
0.712
4.55
0.746
4.48
0.645
3.96
0.903
4.16
0.814
4.42
0.715
4.40
0.759
4.27
0.812
3.28
0.994
4.12
0.827
4.23
0.893
4.13
0.838
4.01
0.904
費用抑制順位得点
平均点
標準偏差
2.19
0.736
2.23
0.750
1.62
0.820
- 53 -
n
84
84
84
n
86
86
86
87
89
85
84
85
84
88
81
82
83
83
6-5
地域別に見た旅行環境の評価
外国人来訪者といっても、国が異なれば生活環境が異なり、文化が異なれば評価も当然
変わってくることが想定される。そこで本節では、外国人来訪者をアジア、北米、ヨーロ
ッパ、オセアニアの 4 つの地域に分け、それぞれの地域における旅行環境項目の重要度、
日本および各国の旅行環境評価を分析していく。
はじめに、地域別に見た旅行環境項目の重要度を算出した。結果を表 6-5-1 に示す。
アジアからの来訪者は、安全を旅行環境項目の中で最も重視しているが、回答者全体の
重要度と比べるとその値は低い。また、公共交通についても同様に重要度は高いが、全体
のときと比較すると、その値は小さくなっている。一方で、物価に対する重要度が全体と
比べて高く、アジア人は旅行環境項目の中で、物価に対する重要度が高いといえる。
北米からの来訪者は、安全に対する重要度がどの地域よりも高い。一方で、多言語表示
やコミュニケーションに対する重要度は全体と比較するとその値が小さいことが示された。
ヨーロッパからの来訪者は、清潔や公共交通が全体と比較して重要度が高いといえる。
また、コミュニケーションは安全、公共交通の次に重要視しており、他地域と比較しても
高い値である。一方で、物価に対する重要度は他のどの地域よりも低いことがわかる。
オセアニアからの来訪者は、全体と比較して多言語表示、コミュニケーションに対して
高い重要度を置いている。一方で、公共交通に対する重要度は低いことがわかる。しかし
ながら、オセアニア地域のサンプル数が少なく、整合性指数も 0.0209 と 0.01 よりも大き
くなり、整合性が取れていない。
表 6-5-1
項目
安全
清潔
バリアフリー
多言語表示
コミュニケーション
物価
公共交通
電子サービス
合計
整合性指数
サンプル数
地域別に見た旅行環境項目の重要度
全体
19.46
9.48
6.38
12.03
13.24
14.08
17.23
8.09
100
0.00215
98
アジア
17.89
8.87
6.57
12.55
12.75
15.94
16.82
8.61
100
0.00214
52
- 54 -
北米
ヨーロッパ オセアニア
22.88
19.74
17.60
9.89
10.81
9.07
5.59
6.56
6.84
10.81
10.94
15.61
12.05
14.75
16.59
12.66
10.71
14.40
18.59
18.68
12.72
7.53
7.80
7.17
100
100
100
0.00284
0.0032
0.0209
19
21
5
続いて、地域ごとに日本および各国の旅行環境評価を見ていく。ただし、重要度の算出
において良い結果とならなかったオセアニアについては分析の対象外とし、アジア、北米、
ヨーロッパの結果を述べていく。
(1)アジア
アジアからの来訪者から見た総合旅行環境評価ランキングを表 6-5-2 に示す。アジア
からの来訪者の中で、訪問国のサンプル数が 5 を越えた国に対して総合旅行環境評価ラン
キングを示すこととし、対象国数は 13 カ国となった。日本の旅行環境評価は、全体の 708
点(表 6-2-1、p.43 参照)から比較すると 55 点低い 653 点となった。各国のランキング
と比較しても、日本は全体評価では勝っていた韓国に逆転され、台湾に迫られていること
がわかる。
項目別に旅行環境評価ランキングを見ると(表 6-5-3 から表 6-5-5)、やはり安全や
清潔に対する日本の評価は高いが、その他の項目については他国と比較しても高い評価で
はないことがわかる。公共交通に関しては、全体の評価では 25 カ国中 1 位となっていたが
(表 6-2-3、p.46 参照)、アジア人の評価では 5 位に後退している。アジアからの来訪者
は特に物価に対する重要度が高いことより、交通費の高さが 5 位という評価につながった
可能性がある。この点については、地域別に見た日本の旅行環境評価で考察する。
日本のコミュニケーション、物価の評価は低い結果となった。アジアからの来訪者は
物価に対して高い重要度を置いているが、物価の評価が悪い日本は、アジアからの来訪者
にとって旅行環境が悪いと評価されていると考えられる。
- 55 -
表 6-5-2
総合旅行環境評価ランキング(アジア)
総合順位
国名
1 シンガポール
2 香港
3 アメリカ
4 イギリス
5 韓国
6 日本
7 台湾
8 フランス
9 マカオ
10 オーストラリア
11 中国
12 フィリピン
13 タイ
表 6-5-3
順位
点数
776
736
699
693
672
653
652
642
619
600
585
544
523
n
11
23
6
6
11
44
10
7
8
6
23
5
10
項目別旅行評価ランキング(日本上位項目)(アジア)
安全
清潔
国名
1 シンガポール
2 日本
3 韓国
4 イギリス
5 香港
6 アメリカ
7 オーストラリア
8 台湾
9 フランス
10 マカオ
11 中国
12 タイ
13 フィリピン
点数
国名
8.82 日本
8.39 シンガポール
7.64 イギリス
7.33 オーストラリア
7.30 アメリカ
7.17 韓国
7.00 フランス
6.80 香港
6.57 台湾
6.38 マカオ
5.13 中国
4.30 タイ
4.20 フィリピン
- 56 -
公共交通
点数
国名
点数
8.39 香港
7.59
8.27 シンガポール
7.36
7.75 韓国
7.27
7.33 イギリス
7.25
7.00 日本
7.22
6.91 フランス
7.00
6.86 台湾
6.70
6.59 アメリカ
6.50
5.50 中国
6.24
5.00 マカオ
6.06
4.39 タイ
5.40
4.20 オーストラリア
4.50
フィリピン
3.80
4.20
表 6-5-4
順位
項目別旅行評価ランキング(日本中位項目)(アジア)
バリアフリー
多言語表示
電子サービス
国名
点数
国名
点数
国名
点数
1 イギリス
7.83 シンガポール
8.36 香港
7.85
2 アメリカ
7.67 香港
8.30 韓国
7.73
3 シンガポール
7.36 アメリカ
7.50 シンガポール
7.73
フランス
イギリス
イギリス
4
7.29
7.50
7.50
5 香港
6.61 フランス
7.43 フランス
7.29
6 日本
6.55 フィリピン
7.00 日本
6.64
7 オーストラリア
6.33 日本
6.27 アメリカ
6.50
8 台湾
5.70 マカオ
6.13 台湾
6.40
9 韓国
5.36 台湾
6.00 マカオ
6.25
10 中国
4.78 オーストラリア
6.00 中国
5.87
11 マカオ
4.38 タイ
5.60 オーストラリア
5.50
12 タイ
3.90 中国
5.50 タイ
4.70
13 フィリピン
3.80 韓国
5.45 フィリピン
4.40
表 6-5-5
順位
項目別旅行評価ランキング(日本下位項目)(アジア)
コミュニケーション
物価
国名
点数
国名
1 シンガポール
8.36 フィリピン
2 香港
8.35 中国
3 イギリス
7.83 タイ
4 オーストラリア
7.67 マカオ
5 台湾
7.40 台湾
6 アメリカ
7.33 アメリカ
7 フィリピン
6.80 韓国
8 マカオ
6.75 香港
9 フランス
6.71 シンガポール
10 韓国
6.27 オーストラリア
中国
11
5.70 イギリス
12 日本
5.57 日本
13 タイ
5.00 フランス
- 57 -
点数
8.00
7.89
7.40
7.07
6.70
6.60
6.36
6.14
5.91
4.50
3.83
3.60
3.57
(2)北米
北米からの来訪者から見た総合旅行環境評価ランキングを表 6-5-6 に示す。北米から
の来訪者に関しては、各訪問国のサンプル数が少なく、各国サンプル数が 5 以上と制限す
ると比較対象国が限られてしまうため、北米では各国 4 以上のサンプルと条件を緩くした。
そこで、サンプル数が 4 である中国、メキシコ、イギリス、フランスを加えた 8 カ国を
対象とする。
日本の旅行環境評価は、全体の 708 点(表 6-2-1、p.43 参照)より高い 784 点となり、
総合で 1 位の評価を得た。
項目別に旅行環境評価ランキングを見ると(表 6-5-7 から表 6-5-9)、8 項目中 4 つ
の項目で 8 カ国中 1 位の評価をもらっている。中でも、安全に対する評価は 9.59 となり、
北米からの来訪者にとって日本の安全性は高く評価されていることがわかる。
安全および公共交通に対する重要度が高い北米からの来訪者にとっては、どちらも評価
が高い日本の旅行環境は良いといえ、総合旅行評価ランキングでも高い点数を得る結果に
つながったと考えられる。
ところで、多言語表示におけるアメリカの評価は低い。これは調査するまでは気がつか
なかった点であるが、英語のみが公用語として使われるアメリカでは、案内板に英語以外
の言語表示があることはほとんどなく、多言語という意味からすると評価が低くなると
回答する北米の人が多いことを示している。このことは、アジアからの来訪者において、
アメ リカ の 多言 語表 示 の評 価( 表 6-5- 4、p.57 参 照 )が 悪く な かっ たこ と と相 反す る
結果を生んでいる。
表 6-5-6
総合旅行環境評価ランキング(北米)
総合順位
国名
1 日本
2 カナダ
3 イギリス
4 ドイツ
5 フランス
6 メキシコ
7 アメリカ
8 中国
- 58 -
点数
784
773
688
684
649
645
637
516
n
17
9
4
6
4
4
14
4
表 6-5-7
順位
安全
国名
清潔
点数
国名
9.59 日本
8.67 カナダ
8.20 ドイツ
7.67 イギリス
6.75 アメリカ
6.71 フランス
5.75 メキシコ
5.25 中国
1 日本
2 カナダ
3 イギリス
4 ドイツ
5 フランス
6 アメリカ
7 メキシコ
8 中国
表 6-5-8
順位
項目別旅行評価ランキング(日本上位項目)(北米)
公共交通
点数
国名
8.53 日本
7.89 メキシコ
7.83 フランス
7.20 ドイツ
7.00 イギリス
6.00 カナダ
5.00 アメリカ
3.25 中国
点数
8.53
7.00
7.00
6.83
6.80
6.78
5.93
5.50
項目別旅行評価ランキング(日本中位項目)(北米)
バリアフリー
多言語表示
電子サービス
国名
点数
国名
点数
国名
点数
1 日本
7.76 カナダ
7.33 アメリカ
8.29
2 カナダ
7.67 イギリス
7.00 日本
7.59
3 ドイツ
7.33 日本
6.82 カナダ
7.22
4 アメリカ
7.14 フランス
6.50 メキシコ
7.00
5 イギリス
6.20 ドイツ
6.00 フランス
7.00
6 メキシコ
5.75 メキシコ
5.25 ドイツ
6.67
7 フランス
5.50 中国
4.25 イギリス
6.40
8 中国
4.25 アメリカ
3.71 中国
5.25
表 6-5-9
順位
項目別旅行評価ランキング(日本下位項目)(北米)
コミュニケーション
物価
国名
点数
国名
1 カナダ
9.11 メキシコ
2 イギリス
7.80 中国
3 メキシコ
7.00 アメリカ
4 ドイツ
6.83 カナダ
5 フランス
6.75 フランス
6 日本
6.53 日本
7 アメリカ
6.29 ドイツ
8 中国
4.00 イギリス
- 59 -
点数
8.50
8.25
6.79
6.67
5.50
5.41
5.17
4.00
(3)ヨーロッパ
ヨーロッパからの来訪者から見た総合旅行環境評価ランキングを表 6-5-10 に示す。
ヨーロッパでも北米同様、各国 5 サンプル以上の下限を設けると、比較できる対象国が
少なくなってしまうことから、各国 4 サンプル以上得られた国は、評価の対象に加えた。
ヨーロッパでは、14 カ国を比較対象国とする。
日本の旅行環境評価は 752 点となり、北米からの来訪者と同様に全体評価と比較して
点数が高い結果であった。総合評価で第 4 位に位置している。
項目別に旅行環境評価ランキングを見ると(表 6-5-11 から表 6-5-13)、日本は安全、
清潔、公共交通において 14 カ国中 1 位を獲得している。他地域では評価の低かった物価で
あるが、ヨーロッパからの来訪者にとってはそれほど低い評価となっておらず、ヨーロッ
パでは平均的な位置につけている。円安ユーロ高の影響などが考えられるが、実際にヨー
ロッパの物価と日本の物価はそれほど大きく変わらないと考えられる。
ヨーロッパからの来訪者による評価では、ヨーロッパ内の国同士で旅行環境の評価に
違いが見られて興味深い。例えば、世界で最も外国人旅行者を集めるフランスや、イタリ
ア、スペインなど、ヨーロッパ旅行でも人気の国々の総合評価が低いことがわかる。
表 6-5-10
総合旅行環境評価ランキング(ヨーロッパ)
総合順位
国名
オーストラリア
1
2 マレーシア
3 スウェーデン
4 日本
5 香港
6 アメリカ
7 ドイツ
8 ベルギー
9 イギリス
10 オーストリア
11 フランス
12 イタリア
13 スペイン
14 中国
- 60 -
点数
788
779
773
750
748
686
684
684
645
623
613
567
554
511
n
4
4
5
19
4
11
8
4
10
4
13
6
5
4
表 6-5-11
順位
項目別旅行評価ランキング(日本上位項目)(ヨーロッパ)
安全
国名
1 日本
2 スウェーデン
3 オーストラリア
4 マレーシア
5 オーストリア
6 フランス
7 香港
8 ベルギー
9 ドイツ
10 イギリス
11 イタリア
12 アメリカ
13 スペイン
14 中国
表 6-5-12
順位
清潔
点数
国名
9.16 日本
8.80 スウェーデン
7.75 ドイツ
7.50 マレーシア
7.25 オーストラリア
7.08 オーストリア
7.00 ベルギー
7.00 香港
7.00 アメリカ
6.90 フランス
6.83 イギリス
6.36 スペイン
6.00 イタリア
5.50 中国
公共交通
点数
国名
9.37 日本
9.00 香港
7.75 オーストラリア
7.50 マレーシア
7.25 ドイツ
7.25 イギリス
7.00 ベルギー
6.75 オーストリア
6.18 フランス
5.92 スウェーデン
5.70 アメリカ
5.60 スペイン
5.50 イタリア
4.25 中国
点数
8.47
8.00
7.75
7.25
7.13
6.80
6.75
6.75
6.69
6.60
6.55
6.20
6.00
4.75
項目別旅行評価ランキング(日本中位項目)(ヨーロッパ)
バリアフリー
多言語表示
電子サービス
国名
点数
国名
点数
国名
点数
1 オーストラリア
8.25 マレーシア
9.00 アメリカ
8.27
2 ドイツ
7.63 スウェーデン
8.60 オーストラリア
8.25
3 スウェーデン
7.60 オーストラリア
8.50 ドイツ
7.63
4 マレーシア
7.50 香港
8.25 マレーシア
7.50
5 香港
7.25 ベルギー
7.50 スウェーデン
7.40
6 日本
6.83 アメリカ
6.91 香港
7.25
7 ベルギー
6.75 イギリス
6.40 フランス
7.23
8 イギリス
6.40 日本
5.89 日本
7.21
9 アメリカ
6.36 ドイツ
5.00 イギリス
7.10
10 フランス
6.31 フランス
4.38 ベルギー
7.00
11 オーストリア
6.00 中国
4.25 スペイン
6.20
12 スペイン
5.60 オーストリア
3.50 オーストリア
6.00
13 イタリア
5.50 イタリア
3.33 イタリア
5.00
14 中国
5.00 スペイン
3.00 中国
4.50
- 61 -
表 6-5-13
順位
項目別旅行評価ランキング(日本下位項目)(ヨーロッパ)
コミュニケーション
物価
国名
点数
国名
1 オーストラリア
9.25 中国
2 マレーシア
8.50 マレーシア
3 スウェーデン
8.40 香港
4 アメリカ
8.09 イタリア
5 香港
8.00 スペイン
6 イギリス
7.10 アメリカ
7 ドイツ
6.75 オーストリア
ベルギー
8
6.50 ベルギー
9 日本
5.53 ドイツ
10 オーストリア
5.50 オーストラリア
11 フランス
5.23 日本
12 イタリア
5.17 フランス
13 スペイン
4.80 スウェーデン
14 中国
4.25 イギリス
- 62 -
点数
8.50
7.75
7.00
6.83
6.60
6.55
6.50
6.25
6.13
6.00
5.84
5.77
5.00
4.50
ここまでは、それぞれの地域ごとに日本および各国の旅行環境評価を見てきた。地域
ごとに旅行環境項目の重要度が異なることや、日本の旅行環境の評価が地域により異なる
ことが明らかになった。そこで、日本の旅行環境項目の不満割合を地域ごとに算出し、
比較することで日本の旅行環境評価が地域で異なる要因を把握していく。
地域別に見た日本の旅行環境評価を表 6-5-14 に示す。不満が多く見られた項目として、
多言語表示、コミュニケーション、物価、電子サービスが挙げられた。多言語表示では、
レストランのメニューに対して少し不満を感じる人の割合が、どの地域に対しても多い
ことがわかる。特に北米からの来訪者は、実に半数近くの人がレストランのメニューを
少し不満に感じている。また、鉄道駅の案内板や切符に対して少し不満を感じる人の割合
が高く、ヨーロッパからの来訪者は、少し不満(23.5%)、不満(17.6%)と合わせて 41%
の人が鉄道駅の多言語表示に対して少なからず不満感を示しているといえる。
コミュニケーションでは、ヨーロッパからの来訪者を中心として少し不満と回答する人
の割合が多かった。特に、国際旅行の玄関口である空港において、そのコミュニケーショ
ンに不満を感じる人の割合が、ヨーロッパ人では 29.4%に達した。また、駅員とのコミュ
ニケーションに対して少し不満を持つ人が、アジア(11.6%)、北米(22.2%)、ヨーロッパ
(35.3%)であり、ヨーロッパからの来訪者が特に多いことがわかる。ヨーロッパ人は、
駅員とのコミュニケーションに不満を持つ人が少し不満、不満を合わせて 50%以上に達し
た。一般人とのコミュニケーションに対して不満を持つ人の割合は、アジアからの来訪者
少し不満(23.3%)、不満(11.6%)、ヨーロッパからの来訪者は少し不満(23.5%)、不満
(11.8%)と両地域において大きな割合を示した。一方で、北米からの来訪者は一般人と
のコミュニケーションを不満に思う人は多くない結果が示された。
物価は全体的に不満に感じる割合が多いが、特に交通費に関してアジアからの来訪者が
強く不満を感じる割合が 23.3%と高いことがわかる。
電子サービスを見ると、自分の携帯電話が使えないことを不満に感じる人の割合が高く、
特に北米からの来訪者は少し不満と感じる人の割合が高い(38.9%)。また、ヨーロッパか
らの来訪者でも、少し不満(23.5%)、不満(23.5%)といずれも高いことがわかる。また、
ATM が利用できなくて不満を感じる人の割合も、北米人(少し不満(22.2%)、不満(16.7%))、
ヨーロッパ人(少し不満(17.6%)、不満(17.6%))ともに高いことが示された。
- 63 -
表 6-5-14
地域別の日本の旅行環境評価
項目
公共空間の治安・安全
ホテルのセキュリティ
安全
公共交通の安全
歩道にゴミがない
清潔
トイレが清潔
道路
鉄道駅
バリアフリー
空港
道路案内板
鉄道駅(案内板、切符)
空港
多言語表示
地図、パンフレット
レストランメニュー
駅員
コミュニ
空港スタッフ
ケーション
案内所スタッフ
ホテルスタッフ
一般人
宿泊費
交通費
物価
食費
頻度が多い
時間が正確
公共交通
営業時間が長い
ATM利用可能
クレジットカード
電子サービス
自分の携帯電話
インターネット接続
サンプル数
アジア
0.0
7.0
7.0
0.0
7.0
0.0
7.0
0.0
18.6
23.3
7.0
7.0
27.9
11.6
4.7
4.7
11.6
23.3
20.9
11.6
18.6
7.0
0.0
7.0
9.3
9.3
2.3
7.0
43
- 64 -
少し不満
北米
11.1
0.0
5.6
11.1
11.1
5.6
5.6
5.6
16.7
11.1
5.6
22.2
44.4
22.2
5.6
5.6
0.0
11.1
27.8
16.7
16.7
5.6
5.6
11.1
22.2
11.1
38.9
11.1
18
欧州
アジア
11.8
0.0
5.9
0.0
5.9
2.3
5.9
0.0
11.8
0.0
0.0
0.0
11.8
0.0
5.9
0.0
17.6
7.0
23.5
2.3
11.8
2.3
17.6
11.6
17.6
9.3
35.3
9.3
29.4
2.3
23.5
0.0
23.5
0.0
23.5
11.6
23.5
4.7
17.6
23.3
17.6
9.3
5.9
7.0
5.9
0.0
11.8
2.3
17.6
2.3
5.9
4.7
23.5
11.6
11.8
4.7
17
43
(%)
不満
北米
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
5.6
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
5.6
11.1
5.6
0.0
0.0
11.1
16.7
0.0
11.1
0.0
18
欧州
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
5.9
0.0
0.0
0.0
17.6
0.0
0.0
11.8
17.6
0.0
0.0
0.0
11.8
5.9
11.8
0.0
0.0
0.0
0.0
17.6
11.8
23.5
5.9
17
多言語表示、コミュニケーション、公共交通の各項目の必要性について、地域別に見た
結果を表 6-5-15 に示す。地域別に大きな差は見られなかったが、全体的にヨーロッパ
からの来訪者は、他地域と比べて旅行環境項目の必要性が小さいことがわかる。一方で、
アジアからの来訪者は必要性が高いと答える項目が多い。コミュニケーションでは、駅員
および一般人のコミュニケーションに対して、北米およびヨーロッパからの来訪者の必要
性が高くないことが特徴として挙げられる。しかしながら、標準偏差が高く、ばらつきが
多い項目であることに注意しておく。
最も安く済ませたいと考える費用については、地域別に見た費用抑制順位得点を表 6-5
-16 に示した。地域別に見ると、北米の来訪者は特徴的に宿泊費の費用抑制得点が高い。
それに対して、アジアおよびヨーロッパの来訪者は交通費を最も安く抑えたいと考えてい
ることがわかる。
表 6-5-15
項目
道路案内板
鉄道駅(案内板、切符)
多言語表示 空港
地図、パンフレット
レストランメニュー
駅員
コミュニ 空港スタッフ
ケーション 案内所スタッフ
ホテルスタッフ
一般人
頻度が多い
時間が正確で信頼できる
公共交通
運賃が安い
営業時間が長い
サンプル数
表 6-5-16
項目
宿泊費
物価 交通費
食費
サンプル数
地域別に見た旅行環境項目の必要性
アジア 標準偏差
4.41
0.622
4.44
0.700
4.58
0.731
4.57
0.661
4.02
0.977
4.33
0.680
4.39
0.737
4.43
0.770
4.38
0.795
3.38
0.984
4.00
0.918
4.20
1.018
4.41
0.741
4.10
0.944
42
北米 標準偏差
4.32
1.003
4.45
0.945
4.55
0.605
4.45
0.605
3.80
0.834
3.85
1.040
4.40
0.681
4.40
0.598
4.15
0.813
3.05
1.146
4.35
0.587
4.40
0.681
3.85
0.933
4.00
0.918
20
欧州 標準偏差
3.83
0.985
4.39
0.502
4.44
0.984
4.28
0.669
3.83
0.857
4.06
0.827
4.50
0.786
4.28
0.958
4.12
0.928
3.11
0.832
4.12
0.928
4.06
0.899
3.76
0.752
3.71
0.849
18
地域別に見た費用抑制順位得点
アジア 標準偏差
2.04
0.706
2.24
0.773
1.71
0.895
45
- 65 -
北米 標準偏差
2.63
0.496
2.21
0.713
1.32
0.671
19
欧州 標準偏差
2.19
0.834
2.25
0.775
1.56
0.727
16
6-6
男女別に見た旅行環境の評価
旅行環境の評価にあたり、性別で評価の視点が変わることが想定される。そこで本節で
は、男女別に見た旅行環境の評価を把握する。
男女別の旅行環境項目の重要度を表 6-6-1 に示す。男性と女性で大きく値が異なる点
は、女性は安全を男性よりも重視している点である。その他の項目は、清潔を除いて男性
のほうが重要度は高いが、これは女性の安全に対する重要度が大きいためであると考えら
れる。
続いて、男女別に見た総合旅行環境評価ランキングを表 6-6-2 に示す。対象国は、
男女ともに同じ国で比較できることを前提として、それぞれサンプルが足りない国につい
ては対象外とした。総合評価を見ると、日本の評価は男性よりも女性のほうが 45 点低い
結果となっている。項目別に日本の評価を見ると(表 6-6-3 から表 6-6-8)、男性では
安全、清潔、公共交通で 10 カ国中 1 位となったが、一方で女性は安全のみが 1 位となって
いる。コミュニケーションおよび物価の評価では、それぞれ女性のほうが男性よりも平均
して 1 ポイント低く評価していることがわかる。そして、物価に関して日本の評価は、
女性ではイギリスよりも悪く、最下位となっている。
日本の旅行環境に関して不満を感じた人の割合は、男女別に見ると女性のほうが大きい
値を示していることがわかる。女性は安全を最も重視しているが、各国と比較して安全が
最も良いと評価された日本においても、公共空間、ホテル、公共交通いずれの項目も少し
不満を抱く人がいることがわかった。また、物価に関しても女性が不満を感じる割合が
高く、宿泊費、交通費、食費のいずれも少し不満、不満を合わせて 30%以上と高い割合で
ある。唯一電子サービスだけが、男性のほうが女性よりも不満に感じる人の割合が高い
結果となった(表 6-6-9)。
男女別に旅行環境項目の必要性を見ると(表 6-6-10)、特に大きな差は確認できない
が、運賃が安いことに対する必要性は女性のほうが高い値を示している。男女別に費用を
安く済ませたい順位を調べると、男性と女性では最も優先する費用が男性では宿泊費、
女性は交通費と異なる結果となった(表 6-6-11)。
- 66 -
表 6-6-1
男女別に見た旅行環境項目の重要度
項目
男性
18.15
9.44
6.46
11.99
14.17
14.38
17.31
8.10
100
0.00217
42
安全
清潔
バリアフリー
多言語表示
コミュニケーション
物価
公共交通
電子サービス
合計
整合性指数
サンプル数
表 6-6-2
総合順位
国名
1 香港
2 カナダ
3 日本
4 韓国
5 ドイツ
6 アメリカ
7 フランス
8 イギリス
9 中国
10 タイ
女性
20.77
9.67
6.35
11.86
12.64
13.61
17.05
8.04
100
0.00200
55
男女別総合旅行環境評価ランキング
男性
点数
748
741
733
717
685
655
644
624
567
549
n
- 67 -
国名
6 カナダ
7 香港
36 イギリス
5 日本
7 ドイツ
16 アメリカ
10 韓国
9 フランス
11 中国
5 タイ
女性
点数
770
729
697
688
681
675
657
626
556
551
n
6
24
12
49
10
15
8
15
21
9
表 6-6-3
順位
安全
国名
1 日本
2 カナダ
3 香港
4 韓国
5 ドイツ
6 イギリス
7 アメリカ
8 フランス
9 中国
10 タイ
表 6-6-4
順位
項目別旅行評価ランキング(日本上位項目)(男性)
清潔
点数
国名
8.89 日本
8.29 香港
7.83 ドイツ
7.60 韓国
7.57 カナダ
7.22 アメリカ
6.94 イギリス
6.90 フランス
5.27 中国
4.60 タイ
公共交通
点数
国名
点数
8.69 日本
8.42
8.00 韓国
7.20
フランス
7.71
7.10
7.20 香港
7.00
7.14 ドイツ
7.00
6.88 カナダ
6.71
アメリカ
6.33
6.25
6.20 イギリス
6.17
4.18 タイ
5.60
3.80 中国
5.50
項目別旅行評価ランキング(日本中位項目)(男性)
バリアフリー
多言語表示
電子サービス
国名
点数
国名
点数
国名
点数
1 ドイツ
7.57 香港
7.83 アメリカ
8.31
2 カナダ
7.43 イギリス
6.44 韓国
8.20
3 香港
7.17 日本
6.42 香港
7.67
日本
カナダ
フランス
4
7.09
6.29
7.50
5 アメリカ
6.88 韓国
6.20 カナダ
7.29
6 フランス
6.40 タイ
6.20 ドイツ
7.29
7 韓国
6.20 フランス
5.80 日本
6.92
イギリス
ドイツ
イギリス
8
5.89
5.00
6.89
9 中国
4.82 中国
4.91 中国
5.45
10 タイ
3.80 アメリカ
4.75 タイ
4.80
表 6-6-5
順位
項目別旅行評価ランキング(日本下位項目)(男性)
コミュニケーション
物価
国名
点数
国名
点数
1 カナダ
8.43 中国
8.91
2 香港
7.83 タイ
8.60
3 韓国
7.20 カナダ
7.29
4 ドイツ
7.14 韓国
7.20
イギリス
アメリカ
5
7.00
6.69
6 アメリカ
6.44 香港
6.67
7 日本
6.28 ドイツ
5.86
8 フランス
5.90 フランス
5.70
9 中国
5.27 日本
5.31
10 タイ
5.00 イギリス
3.89
- 68 -
表 6-6-6
順位
安全
国名
1 日本
2 カナダ
3 韓国
4 イギリス
5 ドイツ
6 香港
7 フランス
8 アメリカ
9 中国
10 タイ
表 6-6-7
順位
項目別旅行評価ランキング(日本上位項目)(女性)
清潔
点数
国名
8.65 カナダ
8.50 日本
7.63 ドイツ
7.42 韓国
7.30 イギリス
7.21 アメリカ
6.87 香港
6.40 フランス
5.10 タイ
4.78 中国
公共交通
点数
国名
点数
8.67 香港
7.77
8.55 韓国
7.50
イギリス
8.20
7.50
7.00 日本
7.40
6.88 ドイツ
7.20
6.53 フランス
6.73
カナダ
6.40
6.67
6.27 アメリカ
6.27
4.44 中国
6.24
4.29 タイ
6.00
項目別旅行評価ランキング(日本中位項目)(女性)
バリアフリー
多言語表示
電子サービス
国名
点数
国名
点数
国名
点数
1 カナダ
7.83 香港
8.08 韓国
7.88
2 イギリス
7.42 カナダ
8.00 香港
7.73
3 ドイツ
7.40 イギリス
7.17 アメリカ
7.53
アメリカ
アメリカ
カナダ
4
7.07
6.47
7.50
5 日本
6.69 日本
6.20 ドイツ
7.30
6 フランス
6.67 ドイツ
6.10 イギリス
7.17
7 香港
6.46 タイ
5.89 フランス
7.13
韓国
フランス
日本
8
5.38
5.67
7.09
9 中国
4.62 韓国
5.13 中国
5.81
10 タイ
3.89 中国
5.12 タイ
5.44
表 6-6-8
順位
項目別旅行評価ランキング(日本下位項目)(女性)
コミュニケーション
物価
国名
点数
国名
点数
1 カナダ
8.67 中国
7.43
2 香港
7.92 タイ
7.11
3 アメリカ
7.87 アメリカ
6.64
4 イギリス
7.83 香港
6.30
ドイツ
カナダ
5
6.20
6.00
6 フランス
6.07 韓国
5.63
7 タイ
5.67 ドイツ
5.20
8 日本
5.49 フランス
4.73
9 韓国
5.38 イギリス
4.42
10 中国
5.14 日本
4.17
- 69 -
表 6-6-9
男女別の日本の旅行環境評価
項目
公共空間の治安・安全
ホテルのセキュリティ
安全
公共交通の安全
歩道にゴミがない
清潔
トイレが清潔
道路
鉄道駅
バリアフリー
空港
道路案内板
鉄道駅(案内板、切符)
空港
多言語表示
地図、パンフレット
レストランメニュー
駅員
空港スタッフ
コミュニ
案内所スタッフ
ケーション
ホテルスタッフ
一般人
宿泊費
交通費
物価
食費
頻度が多い
時間が正確
公共交通
営業時間が長い
ATM利用可能
クレジットカード
電子サービス
自分の携帯電話
インターネット接続
サンプル数
- 70 -
少し不満
男性
女性
2.9
6.4
2.9
6.4
0.0
10.6
2.9
4.3
5.7
10.6
2.9
0.0
5.7
8.5
0.0
4.3
17.1
19.1
14.3
25.5
2.9
12.8
11.4
14.9
34.3
29.8
20.0
17.0
8.6
10.6
8.6
8.5
5.7
14.9
17.1
21.3
20.0
23.4
8.6
17.0
5.7
25.5
2.9
8.5
0.0
4.3
2.9
12.8
11.4
14.9
8.6
8.5
14.3
17.0
2.9
12.8
35
47
(%)
不満
男性
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
2.9
0.0
0.0
5.7
5.7
2.9
5.7
2.9
2.9
0.0
0.0
0.0
2.9
0.0
11.4
5.7
2.9
0.0
8.6
14.3
5.7
20.0
2.9
35
女性
0.0
0.0
2.1
0.0
0.0
2.1
0.0
0.0
4.3
4.3
0.0
6.4
12.8
12.8
2.1
0.0
0.0
12.8
8.5
21.3
6.4
4.3
0.0
0.0
4.3
4.3
10.6
4.3
47
表 6-6-10
多言語表示
コミュニ
ケーション
公共交通
男女別に見た旅行環境項目の必要性
項目
道路案内板
鉄道駅(案内板、切符)
空港
地図、パンフレット
レストランメニュー
駅員
空港スタッフ
案内所スタッフ
ホテルスタッフ
一般人
頻度が多い
時間が正確で信頼できる
運賃が安い
営業時間が長い
サンプル数
表 6-6-11
項目
宿泊費
物価 交通費
食費
サンプル数
男性 標準偏差
4.18
0.999
4.41
0.821
4.47
0.788
4.37
0.646
3.92
0.906
4.09
0.965
4.47
0.615
4.38
0.779
4.26
0.828
3.26
1.067
4.12
0.946
4.15
1.048
3.94
0.838
4.03
0.985
35
女性 標準偏差
4.31
0.701
4.44
0.639
4.60
0.721
4.56
0.639
3.98
0.909
4.22
0.702
4.38
0.780
4.41
0.753
4.28
0.809
3.30
0.952
4.13
0.741
4.29
0.771
4.27
0.818
4.00
0.851
53
男女別に見た費用抑制順位得点
男性 標準偏差
2.23
0.770
2.00
0.804
1.77
0.843
35
- 71 -
女性 標準偏差
2.16
0.717
2.39
0.671
1.51
0.794
49
6-7
年齢別に見た旅行環境の評価
年代によって、旅行環境の評価が異なることが考えられる。そこで本節では、年齢別に
見た旅行環境の評価を把握する。調査で得られた年齢は、20 代、30 代に多く偏っている
ことから、10 代、20 代を若年層、30 代~70 代までを中高年層と便宜的に分けて分析する。
そのため、本節における分析の視点としては、あまり所得のない 20 代と、ある程度の所得
がある 30 代以降の年代では、旅行環境項目の重要度に違いが出るかという点が挙げられる。
年齢別の旅行環境項目の重要度を表 6-7-1 に示す。若年層は、旅行環境項目の中で
公共交通を最も重視していた。一方で、中高年層は安全を最も重視していることがわかる。
若年層は、中高年層と比較して物価、公共交通、電子サービスに対する重要度が大きい
ことが明らかになった。一方で、中高年層は若年層と比べて安全、清潔、多言語表示を
より重視していることがわかる。このことは、中高年層と比較して所得の低いと考えられ
る若年層は、予算制約がより厳しいため、物価に対して高い重要度を与えたと考えられる。
また若年層は、移動の快適性としての公共交通、インターネットや携帯電話などの電子
サービスを重視していることが明らかになった。
年 齢 別 に 見 た 総 合 旅 行 環 境 評 価 ラ ン キ ン グ ( 表 6- 7- 2) で は 、 若 年 層 と 中 高 年 層 で
異なる結果を示した。日本の評価に関しては、若年層と中高年層との間に 56 点の差があり、
中高年層の評価が高い結果となった。項目別に見てみると(表 6-7-3 から表 6-7-8)、
中高年層では安全、清潔、公共交通に関して日本の評価が高く、いずれも比較対象 12 カ国
中 1 位となっている。同じ項目で若年層の評価を見ると、日本はいずれも 2 位に位置づけ
られている。また、電子サービスを除くすべての項目において、中高年層のほうが若年層
よりも評価が高いといえる。
日本の旅行環境評価を年齢別に見ると、物価の項目は若年層が不満を感じる人の割合が
高いといえる。しかしながら、中高年層と若年層を比較しても差は見られず、日本の旅行
環境評価の高い中高年層のほうが不満に感じる割合が高い項目も見られる(例えば多言語
表示やコミュニケーション)(表 6-7-9)。
旅 行 環 境 の 必 要 性 を 年 齢 別 に 示 し た ( 表 6- 7- 10)。 多 言 語 表 示 の 各 場 面 に お い て 、
中高年層の必要性が若年層と比較して高い傾向がある。その他の項目については、両者近
い値を示した。費用に関して、若年層と中高年層では安く済ませたいと思う順位が異なり、
若年層では交通費、中高年層では宿泊費がそれぞれ優先していた(表 6-7-11)。
- 72 -
表 6-7-1
年齢別に見た旅行環境項目の重要度
項目
安全
清潔
バリアフリー
多言語表示
コミュニケーション
物価
公共交通
電子サービス
合計
整合性指数
サンプル数
表 6-7-2
年齢別総合旅行環境評価ランキング
若年層
国名
点数
1 カナダ
757
2 香港
722
3 ドイツ
704
4 日本
679
5 イギリス
674
6 アメリカ
670
7 オーストラリア
631
8 台湾
631
9 フランス
620
10 イタリア
577
11 タイ
530
中国
12
524
総合順位
若年層
中高年層
17.63
21.48
8.73
10.21
6.87
5.83
10.71
13.49
12.87
13.61
15.09
13.19
19.32
14.92
8.78
7.27
100.00
100.00
0.000757
0.00500
49
49
中高年層
n
国名
点数
7 カナダ
745
14 香港
737
11 日本
735
42 オーストラリア
682
12 アメリカ
658
16 イギリス
654
9 台湾
652
7 フランス
648
14 ドイツ
633
6 中国
604
6 イタリア
598
タイ
18
565
- 73 -
n
6
17
44
5
15
9
5
11
6
14
6
8
表 6-7-3
順位
安全
清潔
国名
1 カナダ
2 日本
3 ドイツ
4 イギリス
5 香港
6 台湾
7 オーストラリア
8 フランス
9 アメリカ
10 イタリア
11 中国
12 タイ
点数
国名
8.57 カナダ
8.45 日本
7.55 ドイツ
7.42 オーストラリア
7.21 イギリス
7.00 アメリカ
6.67 香港
6.57 フランス
6.44 台湾
6.00 イタリア
5.11 中国
4.00 タイ
表 6-7-4
順位
項目別旅行評価ランキング(日本上位項目)(若年層)
公共交通
国名
点数
8.71 香港
8.40 日本
8.00 イギリス
6.89 ドイツ
6.67 フランス
6.50 台湾
6.21 カナダ
6.14 アメリカ
5.43 イタリア
5.33 オーストラリア
4.06 タイ
3.67 中国
点数
7.71
7.52
7.08
7.00
6.79
6.57
6.43
6.19
5.83
5.78
5.67
5.22
項目別旅行評価ランキング(日本中位項目)(若年層)
バリアフリー
多言語表示
電子サービス
国名
点数
国名
点数
国名
点数
1 カナダ
8.29 香港
8.07 カナダ
7.71
2 ドイツ
7.73 カナダ
7.29 ドイツ
7.64
3 イギリス
7.08 イギリス
7.17 アメリカ
7.63
4 オーストラリア
6.89 ドイツ
6.55 イギリス
7.33
5 アメリカ
6.81 アメリカ
6.50 フランス
7.29
6 フランス
6.79 タイ
6.33 香港
7.21
7 日本
6.74 オーストラリア
6.33 日本
7.17
8 香港
6.07 日本
5.93 イタリア
6.17
9 イタリア
5.83 フランス
5.86 台湾
6.14
10 台湾
5.57 イタリア
5.50 オーストラリア
6.11
11 中国
4.44 台湾
5.29 タイ
5.00
12 タイ
3.50 中国
4.81 中国
4.78
表 6-7-5
項目別旅行評価ランキング(日本下位項目)(若年層)
コミュニケーション
物価
順位
国名
点数
国名
点数
カナダ
中国
1
8.57
7.53
2 香港
7.79 タイ
6.83
3 アメリカ
7.56 台湾
6.71
4 イギリス
7.42 香港
6.62
5 オーストラリア
7.33 アメリカ
6.60
6 ドイツ
7.18 カナダ
6.14
7 台湾
6.43 イタリア
5.83
8 フランス
6.21 ドイツ
5.55
9 タイ
6.17 オーストラリア
5.22
10 日本
5.57 日本
4.41
11 イタリア
5.50 フランス
4.36
12 中国
4.67 イギリス
4.17
- 74 -
表 6-7-6
順位
項目別旅行評価ランキング(日本上位項目)(中高年層)
安全
国名
1 日本
2 カナダ
3 フランス
4 イギリス
5 オーストラリア
6 香港
7 ドイツ
8 アメリカ
9 イタリア
10 台湾
11 タイ
12 中国
表 6-7-7
順位
清潔
点数
国名
9.05 日本
8.17 ドイツ
7.27 オーストラリア
7.22 アメリカ
7.20 香港
7.18 カナダ
7.17 イギリス
6.93 フランス
6.67 イタリア
6.60 台湾
5.25 タイ
5.21 中国
公共交通
点数
国名
8.77 日本
8.00 香港
7.20 ドイツ
6.93 カナダ
6.91 フランス
6.83 中国
6.61 台湾
6.36 イギリス
6.17 アメリカ
5.20 イタリア
4.63 タイ
4.50 オーストラリア
点数
8.17
7.56
7.33
7.00
7.00
6.96
6.80
6.72
6.33
6.17
6.00
6.00
項目別旅行評価ランキング(日本中位項目)(中高年層)
バリアフリー
多言語表示
電子サービス
国名
点数
国名
点数
国名
点数
1 オーストラリア
7.20 香港
8.00 アメリカ
8.27
2 アメリカ
7.13 カナダ
6.83 香港
8.26
3 日本
7.00 オーストラリア
6.80 フランス
7.27
4 ドイツ
7.00 日本
6.68 オーストラリア
7.00
5 香港
6.94 イギリス
6.44 カナダ
7.00
6 カナダ
6.83 台湾
6.20 日本
6.94
7 イギリス
6.33 タイ
5.75 中国
6.86
8 イタリア
6.33 フランス
5.55 イギリス
6.67
9 フランス
6.27 中国
5.36 ドイツ
6.67
10 台湾
5.60 イタリア
4.67 台湾
6.40
11 中国
5.00 アメリカ
4.60 タイ
5.38
12 タイ
4.13 ドイツ
4.00 イタリア
5.33
表 6-7-8
項目別旅行評価ランキング(日本下位項目)(中高年層)
コミュニケーション
物価
順位
国名
点数
国名
点数
カナダ
中国
1
8.50
8.46
2 香港
8.12 タイ
8.25
3 台湾
7.80 カナダ
7.33
4 イギリス
7.56 アメリカ
6.73
5 オーストラリア
7.40 台湾
6.60
6 アメリカ
6.67 香港
6.12
7 日本
6.05 フランス
6.09
8 イタリア
6.00 オーストラリア
6.00
9 中国
5.86 イタリア
6.00
10 フランス
5.73 ドイツ
5.33
11 ドイツ
5.50 日本
5.00
12 タイ
4.88 イギリス
4.22
- 75 -
表 6-7-9
年齢別の日本の旅行環境評価
項目
公共空間の治安・安全
ホテルのセキュリティ
安全
公共交通の安全
歩道にゴミがない
清潔
トイレが清潔
道路
鉄道駅
バリアフリー
空港
道路案内板
鉄道駅(案内板、切符)
空港
多言語表示
地図、パンフレット
レストランメニュー
駅員
空港スタッフ
コミュニ
案内所スタッフ
ケーション
ホテルスタッフ
一般人
宿泊費
交通費
物価
食費
頻度が多い
時間が正確
公共交通
営業時間が長い
ATM利用可能
クレジットカード
電子サービス
自分の携帯電話
インターネット接続
サンプル数
- 76 -
少し不満
若年層 中高年層
4.9
4.9
7.3
2.4
2.4
9.8
2.4
4.9
7.3
9.8
2.4
0.0
4.9
9.8
0.0
4.9
14.6
22.0
22.0
19.5
4.9
12.2
12.2
14.6
39.0
24.4
9.8
26.8
2.4
17.1
2.4
14.6
2.4
19.5
12.2
26.8
24.4
19.5
14.6
12.2
22.0
12.2
0.0
12.2
0.0
4.9
4.9
12.2
9.8
17.1
12.2
4.9
19.5
12.2
7.3
9.8
41
41
(%)
不満
若年層 中高年層
0.0
0.0
0.0
0.0
2.4
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
4.9
0.0
0.0
0.0
0.0
7.3
2.4
0.0
9.8
0.0
2.4
4.9
7.3
7.3
9.8
9.8
7.3
0.0
2.4
0.0
0.0
0.0
0.0
7.3
9.8
2.4
7.3
24.4
9.8
2.4
9.8
0.0
7.3
0.0
0.0
4.9
2.4
4.9
12.2
2.4
7.3
9.8
19.5
4.9
2.4
41
41
表 6-7-10
多言語表示
コミュニ
ケーション
公共交通
年齢別に見た旅行環境項目の必要性
項目
道路案内板
鉄道駅(案内板、切符)
空港
地図、パンフレット
レストランメニュー
駅員
空港スタッフ
案内所スタッフ
ホテルスタッフ
一般人
頻度が多い
時間が正確で信頼できる
運賃が安い
営業時間が長い
サンプル数
表 6-7-11
項目
宿泊費
物価 交通費
食費
サンプル数
若年層 標準偏差 中高年層 標準偏差
4.05
0.925
4.47
0.667
4.26
0.819
4.60
0.541
4.49
0.768
4.60
0.728
4.48
0.628
4.49
0.668
3.91
0.925
4.00
0.889
4.12
0.823
4.21
0.813
4.39
0.703
4.44
0.734
4.50
0.672
4.30
0.832
4.39
0.737
4.16
0.871
3.25
1.059
3.32
0.934
4.08
0.829
4.17
0.834
4.20
0.883
4.26
0.912
4.29
0.708
3.98
0.935
4.00
0.963
4.02
0.851
42
43
年齢別に見た費用抑制順位得点
若年層 標準偏差 中高年層 標準偏差
2.11
0.775
2.28
0.686
2.27
0.751
2.18
0.756
1.69
0.848
1.54
0.790
45
39
- 77 -
6-8
本章のまとめ
本章では、前半で外国人来訪者全体として旅行環境項目のうち、どの項目を重視してい
るかを明らかにした。また、他国と比較して日本の旅行環境はどのような評価を受けてい
るかを表示した。さらに、日本の旅行環境評価および旅行環境項目の必要性を検討しなが
ら、どのような要因により日本の旅行環境が評価されているのか概観した。章の後半では、
外国人来訪者に対する旅行環境の評価を、調査により得られたいくつかの属性ごとに分析
することを試みた。属性は、国籍を基にした地域別、男女別、年齢別に分けて分析した。
本章で得られた結果は、次のようにまとめることができる。
1)外国人来訪者全体では、旅行環境評価項目の中で安全を最も重視していた。
2)総合旅行環境ランキングで日本は 25 カ国中 6 位であり、総合で見ると高い評価を受け
ていることがわかった。
3)項目別に旅行環境ランキングを見ると、日本は安全、清潔、公共交通で高い評価となっ
ている。特に公共交通では、1 位の評価を得た。一方で、コミュニケーション、物価の
評価は他国と比較しても悪いことがわかった。
4 )評価の悪いコミュニケーション、物価であるが、コミュニケーションに関しては駅員、
および一般人とのコミュニケーションに不満を持つ来訪者の割合が高く、物価では交通
費に不満を持つ来訪者が多いことが明らかになった。交通費は、物価の中でも費用抑制
順位が高く、高いと思われている日本の交通費は改善する必要があると考えられる。
一方で、一般人とのコミュニケーションはばらつきこそあるものの、必要性はそれほど
高くない人も多いといえる。
5)地域別に見た旅行環境の評価
地域別に旅行環境項目の重要度を算出したところ、地域ごとにいくつかの特徴が表れた。
アジアからの来訪者は他地域と比較して、物価の重要度が高い傾向が明らかになった。
また、北米からの来訪者は安全の重要度がどの地域よりも高く、ヨーロッパからの来訪者
は他地域と比較してコミュニケーションの重要度が高いという結果が示された。
アジアからの来訪者による旅行環境評価を見ると、日本は物価、コミュニケーションの
評価が低いため、各国の旅行環境と比較しても低い評価となった。コミュニケーションの
- 78 -
評価が低い理由としては、日本の旅行環境で不満を感じた人の割合が高かった駅員、一般
人とのコミュニケーションが挙げられる。
また、アジアからの来訪者は交通費に対する費用抑制優先順位が食費、宿泊費と比較し
て高いことがわかった。そして、日本の交通費に不満を持つアジアからの来訪者が多いと
いうことも調査より把握できた。これらの結果を踏まえると、日本に対するアジアからの
来訪者の旅行環境評価が低いのは、物価が高い、特に交通費の高さが主な要因として考え
られる。
北米、ヨーロッパからの来訪者にはいくつかの共通点が見られた。日本は安全の評価が
高く、旅行環境項目の中で一番安全を重視している北米、ヨーロッパからの来訪者による
日本の旅行環境が高いことが挙げられる。特に北米からの来訪者にとって、日本の旅行
環境は他国と比較しても最も優れていると高い評価を受けている。一方で、ATM や自分の
携帯電話が利用できないと不満を持つ人が多く見られたことも特徴的である。このことは、
アジアからの来訪者と比較して中長期日本を滞在する北米やヨーロッパからの来訪者に
とって、ATM や携帯電話の利用は必要性が高いためであると考えられる。ヨーロッパから
の来訪者は、様々な場面でコミュニケーションに不満を持つ人の割合が高いため、日本の
コミュニケーション項目の評価に対して比較的低い結果を導いたと考えられる。
6)男女別に見た旅行環境の評価
男女別に旅行環境項目の重要度を算出したところ、女性のほうが男性と比較して安全に
対して大きな重要度を置いていることが明らかになった。また、各国の旅行環境評価では、
日本の旅行環境に対して男性の評価が高く、女性はそれほど高い評価とならなかった。
項目別に評価を見ると、物価に対する女性の評価が悪く、比較対象国中最下位であった。
その理由を探っていくと、女性のほうが日本の旅行環境に対して不満に感じる人の割合が
高く、物価に関しては宿泊費、交通費、食費のどれをとっても 30%以上の女性が不満に
感じている実態が明らかになった。また、女性は宿泊費、交通費、食費のうち交通費を
節約したいと考えていることを踏まえると、交通費に対して強い不満を抱いている人が
多いことから日本の旅行環境を低く評価していると考えられる。
- 79 -
7)年齢別に見た旅行環境の評価
年齢別に旅行環境項目の重要度を算出したところ、中高年層は安全に対して強い重要度
を置いており、若年層は対照的に安全をそれほど重視していないという結果が導かれた。
若年層は、中高年層と比較すると、公共交通や物価を重視していることが明らかになった。
ここで算出した重要度に基づいて、年齢別に総合旅行環境評価ランキングをつけると、
日本は中高年層から高い評価を受け、若年層の評価とは大きな違いが表れた。項目別に
見ても、電子サービス以外は中高年層のほうが若年層よりも評価が高い結果が示された。
しかしながら、日本の旅行環境評価を年齢別に見ると、中高年層からも各項目に対して
不満に感じている人いることがわかった。中高年層の人が旅行環境項目のうち、多言語
表示に対する必要性が高く、この項目を不満に感じる人の割合が多いことから、多言語
表示に改善の余地が残されていると考えられる。
- 80 -
第7章
客観データによる旅行環境の評価
前章では、アンケート調査により得られた外国人来訪者の主観的なデータを基に、各国
の旅行環境評価を算出した。しかしながら、評価はあくまで外国人来訪者の主観に基づい
て行われており、客観性は低い。
「安全」や「清潔」などの旅行環境項目のうち、相対的な
旅行環境の重要度を算出することは、アンケート調査により外国人来訪者の評価を用いる
ことが適切であると考えられる。しかしながら、各国の旅行環境を評価するにあたり、
アンケート調査による主観データを用いた場合、回答者の旅行経験回数や旅行目的、前回
の旅行時期などが異なるため結果に影響を与えることが考えられ、データの信頼性に疑問
が残る。そこで本章では、アンケート調査により得られた主観データに対して、客観デー
タ を 用 い た 代 理 指 標 を 導 入 し 、 定 量 的 な 旅 行 環 境 評 価 を 試 み る 。 は じ め に 、「 安 全 」 や
「清潔」などの旅行環境項目に関連する客観データを収集し、客観データと主観データの
相関を確認する。その結果を踏まえて旅行環境評価モデルを作成し、モデルを用いた旅行
環境評価を行う。また、主成分分析を導入し、客観データが持つ旅行環境評価に対する
説明力を確認しながら、定量的な旅行環境評価の導入可能性を検討する。
7-1
各旅行環境項目に対応するデータの収集
第 6 章 1 節では、総合旅行環境評価ランキングは 25 カ国を対象としていたが、この中に
はサンプルが少なく、その結果信頼性が低い国も存在する。客観データと整合させるため、
サンプル数が少ない国は除外し(表 6-2-2、p.44 で 95%信頼区間の大半が 1.50 を越える
国は除外した)、本節では対象を 14 カ国とする。
- 81 -
データは、国際連合統計局が発表しているものや、国際的なマーケットを扱う民間の
ものなどを中心に収集した。以下に収集したデータについて解説する。
「安全」
本研究で定義した安全は、公共空間の治安、安全とホテルのセキュリティ、公共交通の
安全である。その安全について、主に治安という側面を説明する客観データを収集する
ことができた。
1) Global Peace Index 53 )
世界各国の平和度指数が示されている。平和度指数は、犯罪の発生率や政治の安定度、
貿易の自由度、人口動態、教育など 57 の項目から構成されている。
2) Reliability of police service
各国の警察の信頼性を示す項目である。これは、世界経済フォーラムで発表された’Travel
and Tourism Competitiveness Report 2007’ 55 ) の指標の 1 つを用いることとした。
「清潔」
清潔は、歩道にゴミが落ちていない、トイレが清潔であると定義したが、歩道にゴミが
落ちていないことを客観データで示すことが難しいため、以下のデータを用いて代替した。
3) Access to improved drinking water
World Bank が発行している’World Development Indicators 2005’ 54 ) から、安全な水が飲める
人の割合を示すデータを用いる。
「バリアフリー」
バリアフリーは、道路の段差が少なく、歩きやすいこと、および駅、空港にエレベータ・
エスカレータが設置されていることである。客観データを用いてそれらを表現することは
困難であった。そこで、このような施設を充実させるためには経済が発展していることが
条件になると考え、一人当たりの GDP を用いることにした。
4) GDP per capita
国の経済力を示すデータである。国際連合統計局が発行する「世界統計年鑑」29 )を用いた。
- 82 -
「多言語表示」
多言語表示では、道路標識や駅の案内板、切符、地図やパンフレット、およびレストラン
のメニューが多言語で表示されていることである。このことを裏付ける客観データは存在
しないため、各国の公用語の数(公用語を話す人口で調整)で示すことにした。例えば、
スイスではドイツ語、フランス語、イタリア語が公用語であるため、少なくとも 3 ヶ国語
以上で表示されていることが考えられることを示している。
5)
公用語の数
各国の公用語の数を示す。外務省ホームページ「各国・地域情勢」 8 ) より把握した。
6)
言語別使用者の数
各公用語が世界でどのくらいの人によって話されているか、その数を示す。データは、
Ethnologue ホームページ
7)
を参考にした。
「コミュニケーション」
コミュニケーションは、英語その他の言語でコミュニケーションができることとしている。
そ こ で 、 各 国 の TOEFL テ ス ト の 平 均 点 を 用 い る こ と で 代 替 す る 。 ま た 、 人 々 が 親 切 で
親しみやすい点は、Economic Intelligence Unit(EIU)が提供している「他の国民に対する
不信感度」を用いる。
7)
TOEFL の平均点
TOEFL は、アメリカ合衆国の非営利団体 ETS (Education Testing Service)が主催する英語の
技 能試 験 で あ る。ETS で は、 各 国 の TOEFL 平 均点 を 公 開 して い る 。 その 中 で 今 回は 、
TOEFL-iBT の値を参考にした
6)
。
8) Level of distrust in other citizens
他の 国民 に 対す る不 信 感度 は、EIU が 提供 し てい るデ ー タで ある 。 これ は、EIU 専 門 家
(日本人を含む 121 名)のブレーンストーミングにより算出されている。この値は、
「安全」
で用いた Global Peace Index 中の 1 つの項目を参照しているため、これを用いた
53 )
。
「物価」
物価は、購買力平価を用いて示す。
9)Purchasing Power Parity
International Monetary Fund が発行する’World Economic Outlook 2006’ 16 ) を参照した。
- 83 -
「公共交通」
公共交通は、鉄道、バス、タクシーの頻度、時間の正確性、運賃、営業時間を項目に挙げ
ている。これに該当する客観データを収集することは困難であるが、鉄道の普及の程度を
示す指標として鉄道旅客輸送人員を用い、地下鉄の運賃および営業時間を、旅行ガイド
ブックを参考に収集した。また、公共交通の信頼性として、ストライキの多さで示すこと
にした。
10)
鉄道旅客輸送人員
世界各国鉄道統計により公表されている、各国の鉄道旅客輸送人員
11)
30 )
を用いる。
地下鉄の運賃
ダイアモン ド・ビッグ 社が出版す る「地球の 歩き方」 47 ) を参考に 、地下鉄の 営業時間を
算出した。地下鉄がない場合は、バスやトラムの運賃で代替している。
12)
地下鉄の初乗り料金
同じく「地球の歩き方」 47 ) を参考にして、各国地下鉄の初乗り料金を求めた。
13) Days not worked, by economic activity
ストライキの影響で営業しなかった日数を、経済活動別に示した統計が ILO 15 ) によって
発表されている。本来ならば運輸関係のデータで揃えたほうがよいが、国によってはデー
タが欠損しているため、運輸関係も含めたすべての経済活動合計のデータを用いる。
「電子サービス」
電子サービスは、ATM やクレジットカード、携帯電話、インターネット回線が利用できる
ことを挙げている。客観データとして、各国インターネット利用者数、および一人当たり
の GDP を用いる。
14) Internet Users per 100 population
人 口 100 人 当 た り の イ ン タ ー ネ ッ ト 利 用 者 数 を 示 す 。 デ ー タ は 、 International
Telecommunication Union が発行する’World Telecommunication Indicator 2005’ 17 ) を用いる。
- 84 -
7-2
客観データを用いた各国旅行環境の評価
本節では、収集した客観データを用いて、各国の旅行環境を評価していく。はじめに、
アンケート調査により得られた主観データに対して、収集した客観データがどの程度の
説明力を持つのか確認する。そして、旅行環境評価モデルを回帰分析により推定し、客観
データを用いた総合旅行環境評価ランキングを算出する。その後、主成分分析を用いて、
各変数が持つ旅行環境評価への説明力を成分に分けて表現し、客観データが持つ総合的な
説明力を確認する。
7-2-1
旅行環境評価モデルの推定
アンケート調査により得られた外国人来訪者の主観データと、収集した客観データが
どの程度整合しているのか確認する。そこで、項目ごとに主観データと客観データの相関
を表 7-2-1 に示す。各変数の相関係数は概ね 0.70 を越えており、主観データと客観デー
タは相関があるといえる。しかしながら、コミュニケーション、公共交通、電子サービス
では高い相関のあるデータを揃えることができなかった。
主観データと客観データの相関がある程度高いことを確認した後、各項目の主観データ
を従属変数、客観データを説明変数として、旅行環境評価モデルを作成した。回帰分析に
よりモデルを推定した結果、安全と多言語表示、物価については決定係数が 0.70 を越え、
精度良く推定することができた。清潔、バリアフリー、コミュニケーション、電子サービ
スについてのモデルは、決定係数が 0.50 を越える程度であった。しかしながら、公共交通
は決定係数が 0.50 を下回り、当てはまりの良いモデルとはいえない。
各変数の t 値は高く、変数の有意性は確認することができた。
- 85 -
表 7-2-1
項目
安全
清潔
バリアフリー
多言語表示
コミュニケーション
物価
公共交通
電子サービス
変数1
GPI
-0.728
Water
0.739
GDP
0.789
公用語
0.860
TOEFL
0.672
PPP
-0.854
Passenger
0.506
Internet
0.664
表 7-2-2
安全
変数
パラメータ
GPI
-2.06
Police
0.818
6.24
定数項
0.713
決定係数
変数
公用語
定数項
決定係数
多言語表示
パラメータ
0.860
4.92
0.740
公共交通
変数
パラメータ
Passenger
0.106
Fare
-0.155
Hour
0.119
Strike
-0.0378
4.75
定数項
0.481
決定係数
主観データと客観データの相関係数
変数2
変数3
Police
0.706
変数4
Distrust
-0.420
Fare
-0.247
GDP
0.645
Hour
0.277
Strike
-0.282
GPI
Global Peace Index
Police
Reliablitiy of Police Service
Water
Access to improved drinking water
GDP
GDP per capita
公用語
(公用語の数+公用語使用割合)
TOEFL
TOEFLの平均点
Distrust
Level of distrust in other citizens
PPP
Purchasing Power Parity
Passenger
鉄道旅客輸送人員
Fare
地下鉄の初乗り料金
Hour
地下鉄の営業時間
Strike
Days not worked
Internet
Internet users
旅行環境評価モデルのパラメータ推定結果
清潔
t値
変数
パラメータ
-2.87 Water
0.123
2.65
2.44 定数項
-5.14
0.546
決定係数
t値
変数
3.80 GDP
-1.66 定数項
決定係数
バリアフリー
パラメータ
0.0891
4.68
0.622
コミュニケーション
物価
t値
t値
変数
パラメータ
変数
パラメータ
5.84 TOEFL
0.0331
2.98 PPP
-2.86
Distrust
-0.552
-1.50
17.9 定数項
5.06
3.40 定数項
8.50
0.545
0.730
決定係数
決定係数
電子サービス
t値
変数
パラメータ
1.37 Internet
0.0207
-1.03 ATM
0.0337
1.60
-1.41
3.46 定数項
5.27
0.523
決定係数
- 86 -
t値
1.57
1.38
9.97
t値
4.44
11.0
t値
-5.69
18.6
7-2-2
客観データを用いた総合旅行環境評価ランキング
旅行環境評価モデルのパラメータ推定結果を用いて、総合旅行環境ランキングを算出
した(表 7-2-3)。客観データの総合旅行環境ランキングは、各国の旅行環境評価得点に
旅行環境評価モデルのパラメータを用い、アンケート調査から算出した旅行環境項目の
重要度と掛け合わせることで算出している。主観データにより得られたランキングは全体
で 25 カ国であったが、サンプルが少なく信頼性の低い国については除外し、対象を 14 カ
国としてランキングを示している。日本は、外国人来訪者の評価よりも順位を 1 つ落とし
ているが、全体と比較して上位であるといえる。国によっては点数を大きく下げたシンガ
ポール、カナダ、点数が大きく上がったフランス、イタリア、タイなどばらつきがあるが、
客観データを用いて各国の旅行環境を評価することができた。
表 7-2-3
総合順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
7-2-3
客観データを用いた総合旅行環境評価ランキング
主観データ
国名
シンガポール
カナダ
香港
日本
ドイツ
アメリカ
韓国
イギリス
オーストラリア
台湾
フランス
イタリア
中国
タイ
点数
801
754
730
708
687
665
664
658
650
639
618
575
561
551
総合順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
客観データ
国名
シンガポール
香港
カナダ
ドイツ
日本
オーストラリア
イギリス
アメリカ
フランス
韓国
台湾
イタリア
タイ
中国
点数
721
716
699
697
693
667
664
663
652
635
635
633
596
591
主成分分析による各国旅行環境の評価
客観データにより旅行環境評価モデルを作成することはできたが、客観データのうち、
どの項目が旅行環境評価に対して説明力を持っているのか把握することができない。そこ
で、主成分分析を導入して各国旅行環境の評価を試みる。収集した客観データは単位が
統一されていないため、このままでは分析することができない。そのため、データの標準
化を行ってから分析を行った。
- 87 -
主成分分析を行い、固有値を算出した(表 7-2-4)。固有値が 1 を越える主成分は 5 つ
抽出され、累積寄与率を見ると、5 つの主成分を用いて 89%を説明できることがわかる。
主成分得点(表 7-2-5)と標準化したデータの値を掛け合わせて、各主成分変数を算出
した。主成分と各変数の相関係数を表 7-2-6 に示す。第 1 主成分では、相関の高い順に
PPP、Water、GDP、Internet となっていることから、経済力および社会基盤の整備水準を
示す変数と考え、
「社会基盤水準」とした。第 2 主成分をみると、GPI および Strike 変数と
の相関が高いことがわかる。GPI は平和度を表す指標であり、Strike はストライキにより
営業しなかった日数を示すことから、
「 社会情勢の安定度」と解釈した。続く第 3 主成分は、
公用語の相関が強いことから、「言語多様性」と解釈した。しかしながら、第 3 主成分は
Passenger と負の相関が強いことから、鉄道旅客輸送人員の値に影響されていることに注意
しておく。
表 7-2-4
成分
第1主成分
第2主成分
第3主成分
第4主成分
第5主成分
主成分分析の固有値
固有値 寄与率(%) 累積寄与率(%)
5.463
42.0
42.0
2.216
17.0
59.1
1.611
12.4
71.5
1.258
9.7
81.1
1.031
7.9
89.1
表 7-2-5
主成分得点
第1主成分 第2主成分 第3主成分
変数
GPI
-0.0924
0.291
0.101
Police
0.148
-0.129
0.190
Water
0.165
-0.0554
0.0496
GDP
0.161
0.00656
-0.103
0.0267
-0.204
0.464
公用語
TOEFL
0.117
0.233
0.251
Distrust
-0.112
0.0336
0.111
PPP
0.170
0.00122
-0.101
Passenger
0.0310
-0.191
-0.486
Fare
0.125
0.142
-0.0309
Hour
0.0702
0.221
-0.124
Strike
0.00802
0.379
-0.0817
Internet
0.150
0.0366
0.0382
- 88 -
第4主成分 第5主成分
0.117
0.164
0.205
0.0741
-0.0000986
0.229
0.216
0.0940
0.304
-0.0247
-0.162
0.150
-0.0727
0.642
-0.119
0.186
0.138
0.169
-0.498
0.131
0.482
0.280
0.228
-0.318
-0.0604
-0.426
表 7-2-6
主成分と各変数の相関係数
変数 第1主成分 第2主成分第3主成分第4主成分 第5主成分
GPI
-0.505
0.644
0.163
0.147
0.169
Police
0.806 -0.286
0.307
0.258
0.0764
Water
0.899 -0.123
0.0799 -0.000124
0.236
GDP
0.880
0.0145
-0.167
0.271
0.0969
0.146 -0.453
0.747
0.382
-0.0255
公用語
TOEFL
0.639
0.515
0.404 -0.204
0.155
Distrust
-0.612
0.0746
0.179 -0.0914
0.662
PPP
0.928
0.00271 -0.162 -0.150
0.192
Passenger
0.169 -0.423
-0.783
0.174
0.174
Fare
0.681
0.315
-0.0498 -0.626
0.135
Hour
0.383
0.489
-0.199
0.606
0.288
Strike
0.0438 0.839
-0.132
0.287
-0.328
Internet
0.818
0.0810
0.0616 -0.0760
-0.439
相関が0.80以上の変数
相関が0.60以上の変数
主成分得点を用いた各国の特徴を図 7-2-1 から図 7-2-3 に示す。ここでは、5 つの
主成分のうち、固有値が大きく説明力の高い第 1 主成分、第 2 主成分、第 3 主成分を用い
て説明することにする。第 1 主成分「社会基盤水準」と第 2 主成分「社会情勢の安定度」
をプロットした図 7-2-1 から、日本は社会基盤水準が高く、社会情勢が安定している
ことがわかる。特徴的な国をみると、アメリカでは社会情勢が不安定な位置にある。この
ことは、テロの危険性が高く平和度が低く評価されていることと、労働ストライキの発生
頻度が高く、社会が安定していないことが考えられる。中国やタイでは、一人当たりの GDP
の値や安全な水の供給率が低いことから、社会基盤水準が低く評価されているといえる。
第 2 主成分「社会情勢の安定度」と第 3 主成分「言語多様性」のプロットから、日本は
言語多様性が顕著に低い評価であることがわかる。このことは、日本の公用語は日本語
のみであることや、単一民族国家であること、英語の能力が低いことを主因に挙げること
ができる。対称的に、シンガポールでは社会情勢が安定しており、言語多様性も高く評価
されている(図 7-2-2)。
第 3 主成分「言語多様性」と第 1 主成分「社会基盤水準」のプロットを見ると、言語
多様性はどの国も中間の 0 付近に集中していることがわかるが、例外的にシンガポールと
香港が高く、日本は低いという結果を示している。また社会基盤水準も、全体的に高い
評価であるといえるが、タイと中国は一歩遅れを取っていることがわかる。
- 89 -
社会情勢不安定
3
2.5
アメリカ
1.5
イギリス
1
中国
タイ
-3
0.5
台湾
カナダ
韓国
0 フランス オーストラリア
イタリア
ドイツ
-1
1
2
-0.5 0
-2
-1
社会基盤整備水準(
高)
社会基盤整備水準(低)
2
シンガポール
香港
日本
-1.5
-2
社会情勢安定
図 7-2-1
主成分得点のプロット(第 1 主成分と第 2 主成分)
言語多様性(高)
2.5
シンガポール
2
社会情勢安定
香港
1
オーストラリア カナダ
0.5
タイ
フランス0 台湾 中国
-1 イタリア
-0.5 0 韓国
ドイツ
-2
イギリス
1
2
アメリカ
3
-1
-1.5
-2
日本
-2.5
-3
言語多様性(低)
図 7-2-2
主成分得点のプロット(第 2 主成分と第 3 主成分)
- 90 -
社会情勢不安定
1.5
社会基盤水準(高)
1.5
1アメリカ カナダ
ドイツ
-2
-1
韓国
0
-0.5
-1
フランス
イタリア
0
香港
1
シンガポール
2
3
台湾
言語多様性(
高)
言語多様性(
低)
-3
イギリス オーストラリア
0.5
日本
-1.5
-2
タイ
中国
-2.5
社会基盤水準(低)
図 7-2-3
主成分得点のプロット(第 3 主成分と第 1 主成分)
各国の旅行環境評価点を主成分得点、旅行環境項目の重要度を固有値で代替し、総合
旅行環境評価ランキングを算出した(表 7-2-7)。主成分分析を用いた評価では、カナダ
やアメリカの評価が下がっている等の特徴はあるが、旅行環境評価モデルにより算出した
評価と近い値を示したといえる。
表 7-2-7
総合順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
主成分分析による総合旅行環境評価ランキング
主観データ
国名
シンガポール
カナダ
香港
日本
ドイツ
アメリカ
韓国
イギリス
オーストラリア
台湾
フランス
イタリア
中国
タイ
点数
801
754
730
708
687
665
664
658
650
639
618
575
561
551
総合順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
- 91 -
主成分分析
国名
シンガポール
香港
ドイツ
日本
カナダ
イギリス
オーストラリア
フランス
アメリカ
イタリア
韓国
台湾
タイ
中国
得点
9.48
6.35
5.17
4.10
4.07
2.70
1.65
1.42
0.292
-1.66
-4.82
-6.80
-9.52
-12.4
第8章
8-1
終章
本研究の結論
本研究は、外国人来訪者に対する旅行環境に着目して行ってきた。これまでの研究や
調査からでは、外国人来訪者が旅行環境のどの項目を、どの程度重視しているのか把握す
ることができなかった。また、日本の旅行環境が諸外国と比較してどのように評価されて
いるのか明らかにされてこなかった。ビジット・ジャパン・キャンペーンに見られる一連
の訪日促進政策が国を挙げて行われている中、外国人来訪者に対して快適な旅行を提供す
る旅行環境づくりが必要である。そこで、外国人来訪者を受け入れる旅行環境の整備に
対して、わが国が取り組むべき新たな視点を提供することを目的として、以下の課題を
設定して研究に取り組んできた。
1)外国人来訪者から見た旅行環境項目間の重要度を算出する
2)他国との相対的な比較を意識しながら、日本の旅行環境を評価する
本研究では旅行環境を、外国人来訪者が実際に外国を訪れた際、来訪者に対して快適な
旅 行 を 提 供 す る 環 境 と 定 義 し 、 旅 行 環 境 に 関 す る 評 価 項 目 を 「 安 全 」、「 清 潔 」、「 バ リ ア
フリー」、「多言語表示」、「コミュニケーション」、「物価」、「公共交通」、「電子サービス」
と設定した。これら項目に対する評価を行うための調査を設計し、様々な目的の外国人
来訪者が集まる浅草にてアンケート調査を実施した。
以下、それぞれ設定した課題に対して結論を述べていく。
- 92 -
1)外国人来訪者から見た旅行環境項目間の重要度を算出する
本研究で設定した外国人来訪者に対する旅行環境項目である「安全」、「清潔」、「バリア
フリー」、「多言語表示」、「コミュニケーション」、「物価」、「公共交通」、「電子サービス」
について、それぞれの項目間の重要度を、AHP 手法により算出した。AHP 手法では、各
項目の相対的な重要度を算出するため、一対比較形式のアンケート調査を行う。本研究で
設定した 8 つの項目をすべて用いると 28 対の組み合わせが生じてしまい、アンケート回答
者に多大な負担をかけることが懸念された。そこで、本研究においては、不完全情報下で
も重要度を算出することのできる、Harker が提案した手法を用いることで解決した。実際
の調査では、8 つの項目から 10 対の質問をしている。
外国人来訪者全体の重要度を算出したところ、安全が最も重視されていたことが明らか
になった。続いて、公共交通、物価、コミュニケーションの順に重要度が高い結果となっ
た。国籍に着目して地域をアジア、北米、ヨーロッパ、オセアニアと分けたところ、それ
ぞれ重視している項目に差が見られた。アジア人については、他地域と同様、安全を旅行
環境項目の中で最も重視しているが、回答者全体の重要度と比べるとその値は低いことが
わかった。また、物価に対する重要度が全体と比べて高く、アジアからの来訪者は旅行
環境項目の中で、物価に対する重要度が相対的に高いことが明らかになった。北米からの
来訪者は、安全に対する重要度がどの地域よりも高いことが示された。ヨーロッパからの
来訪者は、清潔や公共交通が全体と比較して重要度が高い。また、コミュニケーションは
安全、公共交通の次に重視しており、他地域と比較しても高い値となっている。一方で、
物価に対する重要度は他のどの地域よりも低いことが確認できた。この結果を受けて、
わが国のインバウンド政策として、すべての来訪者に対して一律の政策を展開するのでは
なく、地域ごとに重視している旅行環境は異なるという点に注意しなければならないとい
える。
また、来訪者属性を男女別、年齢別に分けて旅行環境項目間の重要度を算出したところ、
それぞれ差が見られることも明らかにされた。先ほど、地域別に見たらアジアからの来訪
者は物価を比較的重視していると指摘したが、男女別、年齢別に見ると、男性よりは女性
のほうが物価を重視しており、また、中高年層よりは若年層のほうが物価を重視している
という結果も本研究より明らかになった。
- 93 -
2)他国との相対的な比較を意識しながら、日本の旅行環境を評価する
外国人来訪者から見た日本の旅行環境を評価してもらうため、単に日本の旅行環境を
評価させるだけではなく、他国との比較を通して日本の旅行環境を評価してもらうことを
心がけた。そうすることで、日本の旅行環境が他国と比較して優れているのか、あるいは
劣っているのか示すことができる。上記の狙いを調査の設計に反映させて、外国人来訪者
全体の、総合旅行環境評価ランキングを示すことができた。その結果、日本は比較対象 25
か国中 6 位となり、上位であることが確認された。旅行環境項目ごとに評価を見ると、
日本は安全、清潔、公共交通が高く評価されており、特に安全はどの地域の旅行者に対し
ても重要度が高いため、日本の旅行環境評価が高い結果となったと考えられる。しかし
ながら、コミュニケーションや物価について、日本は低い評価であった。地域ごとに旅行
環境評価ランキングを見ると、日本は北米やヨーロッパからの来訪者から良い評価を受け
ていることがわかった。一方で、アジアからの来訪者に対しては高い評価を得ることが
できなかった。評価を下げた要因は物価であることは指摘できるが、物価の中でも交通費
に対して特に不満を持つ来訪者が多いことが本研究により明らかになった。アジアからの
来訪者は物価に対して重要度が高く、物価の中でも交通費を抑えたいと考えているため、
交通費が高いと評された日本の旅行環境が低く評価されたことが示唆された。
総合旅行環境評価ランキングは、外国人来訪者が訪問したことのある国に対して、日本
との比較を意識しながら旅行環境項目の評点を付けてもらう調査により算出している。
サンプル数全体は 100 を越えているが、旅行環境評価ランキングの対象国はサンプル数が
10 前後になる国が大半であった。したがって、本研究で得られた結論も、確実にそうなる
という信頼性は確保できていない可能性がある。そこで、客観データを用いて、アンケー
ト調査により得られた定性的な評価に加えて、定量的な分析により評価を行うことで総合
的な評価を行うことを試みた。客観データを用いて総合旅行環境評価ランキングを付けた
ところ、公共交通の項目などに若干の問題は抱えているが、ある程度精度良くアンケート
調査による外国人来訪者の評価ランキングと同様の評価を示すことができた。また、主成
分分析を用いて客観データが説明できる要因を整理したところ、社会基盤整備水準が最も
寄与率が高く、続いて社会情勢の安定度、言語多様性など 5 つの要因が挙げられた。そし
て、日本は社会基盤整備水準や社会情勢の安定度の評価は高いものの、言語多様性の評価
が悪く、結果として旅行環境評価を下げていることが明らかになった。
- 94 -
1)と 2)および外国人来訪者に対するアンケート調査中に得た意見などを総括して、今後
わが国が取り組むべき旅行環境整備に向けた課題を項目ごとに提示する。
「 安全 」
1)
歩車分離の徹底
わが国の安全に対する評価は高く、このことは、日本が世界に誇るべき旅行環境であると
考えられる。安全に対してより高い評価を目指すならば、本研究では 1 つ提案がある。
それは、歩車分離を徹底することである。外国人来訪者から、日本は歩行者と自転車が
同じ空間を共有しているため、危険であるという指摘を受けた。確かに、筆者自身が海外
旅行へ出かけたときも、多くの国で歩車分離が徹底されていることを記憶している。歩車
分離が当たり前の国の来訪者から見れば、日本の歩道は危険であると認識される可能性が
ある。
「 清潔 」
2)
トイレの衛生維持
わが国の清潔に対して、外国人来訪者は高く評価していた。世界では、公衆トイレが犯罪
の温床になる事例が報告されている。その中で、日本のトイレは安心して使用でき、比較
的清潔であるように思われる。しかしながらアンケート中、トイレが汚くて不快だったと
いう意見もあり、トイレの衛生管理には改めて気を配る必要があるといえる。その他、
まちでゴミ箱を見つけることができないとの不満に対処する必要もあるだろう。
「 バリアフリー 」
3)
荷物預かりのサービスを増やす
バリアフリーでは、旅行者の移動の快適性を考え、歩道に段差が少ないこと、空港や駅に
エスカレータ・エレベータが設置されていることを挙げていた。これらのことに関して
日本に対する不満の声はなかった。しかしながら、旅行者に対する移動の快適性を考慮し
た場合、大きな荷物を持って日本を旅行することはしばしば困難であるという意見を聞い
た。例えば、新幹線の車内に荷物置き場が少ないことや、空港や駅以外でも階段が多いた
めに移動が困難であることが考えられる。また、時には荷物を持ったまま観光をする場面
もあるだろう。上記の点を踏まえ、旅行者に対する荷物預かりのサービスを充実させる
- 95 -
必要があるといえる。既存のコインロッカーの他にも、観光案内所やホテル等の施設も
積極的に活用すべきであるし、観光地にて荷物を預かるサービスがあればより旅行者に
とって快適であると考えられる。
「 多言語表示 」
4)
レストランのメニュー、新幹線のチケットを多言語表示へ
これまで行われてきたインバウンド政策を見ても、外国語での案内表示は重要視されて
きた。そして、本研究の取り組みを通して、日本の多言語表示は課題が多い項目であるこ
とが改めてわかった。さらに、わが国では英語でのコミュニケーションが課題であること
も言えるが、英語でのコミュニケーションは政策的に向上させることが困難なため、多言
語表示で補う必要性は大きいと考えられる。特にレストランのメニューに対しては本研究
でも不満と回答する外国人来訪者が多いため、英語のメニューを用意し、それが負担であ
れば写真を載せたメニューを用意しておくことが必要である。また、意外に新幹線のチケ
ットは多言語対応していない(図 8-1-1)。○○号車○○番席という必要な情報が書かれ
ているにも関わらず、これが外国語で表示されていないのは不親切であろう。小田急電鉄
の特別急行券には外国語表示が見られるなど、一部の鉄道会社ではチケットの多言語表示
化が進められている(図 8-1-2)。即急に整備すべき項目であると考えられる。
図 8-1-1
新幹線のチケット
図 8-1-2
小田急電鉄のチケット
「 コミュニケーション 」
5)
外国人が多く立ち寄る場所には英語を話すスタッフを配置すべき
英語でのコミュニケーションは、本研究に取り掛かるときからわが国でも大きな課題の 1
つであると考えていた。結果的には想定していたとおり、日本のコミュニケーション評価
- 96 -
は低かった。しかしながら、コミュニケーションの課題に対応することは現実的に難しい。
そこで、比較的外国人来訪者が多く立ち寄る場所(駅やホテルなど)には英語を話すスタ
ッフを配置しておくのが望ましいと考えられる。基本的ではあるが、まだ実際に駅員との
コミュニケーションに不満を持つ外国人来訪者が多いことも本研究で明らかになっている。
ぜひ取り組むべき項目である。
「 物価 」
6)
アジア向け、若者向けの割引を拡大
アジアからの来訪者、女性、若年層の 3 つをキーワードとして、それぞれ物価に対する
重要度が高く、不満が多いことが明らかになった。そして、共通して交通費に対して不満
が多いということも本研究で明らかにされた。交通費に関しては、現在、外国人来訪者
向けの鉄道割引切符として、JAPAN RAIL PASS がある(表 8-1-1)。確かに外国人来訪
者にとってお得な切符ではあるが、それ以外で特に目立った割引切符は見受けられない。
東京都内で使えるフリー切符には、JR のみ有効な都区内パス(730 円)、東京地下鉄のみ
有効な東京地下鉄一日乗車券(710 円)、JR、都営地下鉄、東京メトロと都バスに有効な
東京フリーきっぷ(1,580 円)がある。これらの切符には、使える鉄道と使えない鉄道が混在
しており、鉄道の乗換などに不慣れな外国人来訪者にとって使い勝手が悪い。外国人来訪
者に対しては、1 枚の切符でどの路線にも乗り降りできる共通券が望ましいと考えられる。
また、交通費についてみると、例えば JAPAN RAIL PASS にしても、料金は大人、子供の 2
種類しか存在しない。ヨーロッパではユーレイルパスという割引切符が存在するが、ユー
レイルパスは大人、子供料金のほか、26 歳以下の旅行者に対してはユースセイバーという
割り当てで正規料金から割り引かれる料金が存在する。この制度を利用して、日本でも
若者向けの割引を拡大させる必要があると考えられる。さらに、アジアからの来訪者に対
して特別の割引制度を設けることも考慮に入れておくべきである。
表 8-1-1
事業者
JR全線
割引運賃
「JAPAN RAIL PASS」
JAPAN RAIL PASS の概要
31)
割引対象及び価格
乗り降り自由な周遊タイプ(JR全線(新幹線のぞみを除く))
普通車用(7日間28,300円、14日間45,100円、21日間
57,700円) グリーン車用(7日間37,800円、
14日間61,200円、21日間79,600円)
- 97 -
「 公共交通 」
7)
夜間運行を検討する
わが国は公共交通に対して、交通費が高いという問題を抱えるものの、鉄道、バス、タク
シーの頻度が多く、時間が正確であることなどが評価され、良い評価をもらっている。
外国人来訪者に対してより高いサービスを提供することを考えると、夜間でも公共交通が
利用できることが必要であるといえる。ニューヨークでは地下鉄が 24 時間で運行されてい
るほか、頻度こそ少なくなるが、ローマでも夜間バスが運行されている。日本では 24 時間
利用できる交通はタクシーのみである。日本のタクシーは他国と比較しても料金が高く、
使い勝手が悪い(表 8-1-2)。そこで、夜間に鉄道やバスを営業することが難しく、タク
シーしか利用できないのであれば、外国人来訪者に対して夜間のタクシー料金を割引する
ことはできないだろうか。
表 8-1-2
国名
日本
韓国
中国
台湾
香港
フィリピン
タイ
シンガポール
オーストラリア
タクシーの初乗り料金(US$) 47)
初乗り運賃
5.37
4.81
1.37
2.16
1.92
0.73
1.17
1.75
2.33
国名
アメリカ
カナダ
イギリス
フランス
ドイツ
イタリア
スペイン
スイス
スウェーデン
- 98 -
初乗り運賃
2.50
2.73
4.36
2.92
3.65
3.40
2.56
5.30
5.57
8-2
1)
今後の課題
旅行環境評価項目について
本研究では、旅行環境に関する評価項目を、
「それがないと困る」項目という前提を置い
た上で設定した。しかしながら、本来の旅行環境には、観光地が持つ魅力や街並みの美し
さなど、来訪者にとって満足を構成する要因となる項目も含まれるものである。今回それ
らの項目を除外したのは、魅力の項目が本研究で設定した旅行環境項目に対して明らかに
重要度が高く、比較したい項目群の差が明確に表れないと考えたためである。
観光地の魅力などを加えて分析を行うためには、魅力を構成する項目群(観光地の魅力、
街並みの美しさ、商品の質など)と、旅行環境を構成する項目群(安全や多言語表示など
本研究で扱っていた項目)から一対を作り出し(例えば観光地の魅力と安全など)、はじめ
に魅力と旅行環境の重要度を比較する必要がある。その結果に基づき、魅力で構成される
項目群内、旅行環境で構成される項目群内それぞれの重要度を算出すれば、すべての項目
に対して来訪者から見た重要度が算出されると考えられる。
3)
客観データの収集について
旅行環境項目の評価にあたり、外国人来訪者による評価構造と相関のあるデータを収集
することは困難であった。いくつか関連する指標を見つけることはできたが、データは
国際的に広く集める必要があるため、本研究ではデータを完全に収集することができなか
った。特に、旅行環境評価モデルで有意とならなかった公共交通を説明するデータの収集
を行うことが課題となる。公共交通のデータについては、運賃や営業時間などのデータは
収集できたが、頻度や定時性、安全性などの指標に関するデータが収集できていない。
2)
アンケート調査のサンプル数および調査結果のバイアスについて
本調査においては、対面記述式により信頼性の高いサンプルを取得することができたが、
調査に時間がかかるため十分なサンプル数を集めることができなかった。そのため、総合
旅行環境評価ランキングを示すための各国のデータが少ないところも見られ、信頼性に
疑問が残されている。これに対して、客観データにより定量的な分析を行うことで信頼性
を確保することに努めたが、もう一度多くのサンプルを集める調査を行う必要があると
考えている。
- 99 -
浅草は外国人来訪者が最も集まる観光地だと考えているが、浅草には座ってくつろげる
スペースが十分でないため、調査中 10 分程度ずっと立ったままという過酷な状況を外国人
来訪者に対して強いてしまった。また、調査の性格上、団体で来ている来訪者にアンケー
トをすることができず、そのことで結果が十分に日本の旅行環境を表せていない可能性も
ある。すべての目的の外国人来訪者が集まり、かつ十分な時間をかけて確実にできるアン
ケート調査方法・場所を検討する必要がある。例えば、国際空港でアンケート調査を行う
ことができれば、全目的の、かつ多くのサンプル数を確保できると考えられるので、今後
の調査計画として検討したい。
- 100 -
参考文献
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- 103 -
謝辞
本研究を進める上でお世話になったすべての方々に、この場を借りて感謝いたします。
特に、指導教員である岡本直久先生には、学類生のときから 3 年にわたり指導していた
だきました。その間、様々な経験を積むことができたのは先生のおかげです。今年はカリ
フォルニアでの World Conference on Transportation Research 研究発表、大連での Eastern Asia
Society for Transportation Studies 研究発表に参加する機会をいただいたほか、初めての審査
論文である「アジア諸国における将来の国際旅行に関する考察」が運輸政策研究 Vol.10、
No.3、2007 に掲載されました。本研究にあたっても、旅行環境の評価項目を設定する上で
何度も助言をいただき、納得できる設定ができたと思います。結局 11 月に入るまでこの
評価項目の設定で悩んで研究は進みませんでしたが、何とかここに修士論文をまとめるこ
とができました。
また、石田東生先生には、研究の方向性や調査票の設計に関して、貴重な助言をいただ
きました。また、佐藤弘史先生、堤盛人先生、谷口綾子先生には、ゼミ発表の際に様々な
視点から助言をいただきました。
調査を行うにあたり、英語、韓国語、中国語の調査票作成を手伝ってくれた都市交通
研究室のエドさん、ヨンさん、システム情報工学研究科同期の楊さんには大変お世話に
なりました。みなさんの協力がなければ調査をすることはできませんでした。また、実際
の調査では 、都市交通 研究室 M1 の古野君 、安部君に 協力しても らい、なん とか調査を
進めることができました。ありがとうございます。
最後に、都市交通研究室同期の市橋君、関根君、瀬谷君は、共に論文を書く仲間として
心の支えでした。また、研究室の皆さんと富士登山に出掛け、つくばマラソンに挑戦する
ことができて楽しかったです。ありがとうございました。
2008 年 1 月
- 104 -
栗原剛
付録
A
AHP の理論的説明
B
Harker 法の概要
C
外国人来訪者による訪日旅行の印象調査票(英語)
D
外国人来訪者による訪日旅行の印象調査票(韓国語)
E
外国人来訪者による訪日旅行の印象調査票(中国語)
F
ドイツ人学生による訪日旅行前後の日本の印象と評価調査票
G
外国人来訪者による旅行環境の評価調査票(英語)
H
外国人来訪者による旅行環境の評価調査票(韓国語)
I
外国人来訪者による旅行環境の評価調査票(中国語)
付録 A
AHP の概要
AHP とは、ピッツバーグ大学の T. L. Saaty 教授により提唱された手法で、主観的判断と
システムアプローチを考慮した意思決定手法の1つである。この AHP モデルの特徴として、
以下の点が挙げられる。
① 評価基準が数多くあり、共通の尺度が無い問題の解決にあたることができる。
② 不明瞭な要因がからみ、構造が明確ではない問題の解決にあたることができる。
③ 首尾一貫性のないデータを扱うことができ、さらにその度合いを測ることができる。
④ 複雑活構造の不明確な問題を階層化し、整理することができる。
⑤ システムアプローチと主観的判断を組み合わせる。
⑥ データが無い、もしくは取りづらい環境下において意思決定を行うような問題の解決
にあたることができる。
⑦ 決定に先立 ちさまざま な場合を想 定して意思 決定の影響 を予測した い問題の解 決 に
あたることができる。
AHP の手法では、課題に対して評価基準と代替案にレベル分けを行い階層構造として表
現を行う。評価基準については、重み付けを行うために、すべての組み合わせについて重
要度の一対比較を行う。この重要度の算出には、一対比較行列の固有値を用いる。評価基
準の要素 A1 、 A2 、・・・、 An の重み w1 、 w2 、・・・、 wn とする。このとき、 ai の a j に対する
重要度を aij とすれば、要素 A1 、 A2 、・・・、 An の一対比較行列 A = [ aij ] は次のようになる。
⎡ w1 / w1
⎢w / w
A = [aij ] = ⎢ 2 1
⎢ :
⎢
⎣ wn / w1
w1 / w2 ・・ w1 / wn ⎤
w2 / w2 ・・ w2 / wn ⎥⎥
:
: ⎥
⎥
wn / w2 ・・ wn / wn ⎦
ただし、
⎡ w1 ⎤
⎢w ⎥
aij = wi / w j 、 a ji = 1 / aij 、 W = ⎢ 2 ⎥
⎢ : ⎥
⎢ ⎥
⎣ wn ⎦
i, j = 1,2,・・・, n
ここで、この場合すべての i, j , k について aij × a jk = aik が成り立つ。これは、意思決定者
の判断が完全に首尾一貫していることを示す。
また、一対比較行列 A に重み列ベクトル W を乗じると次のようになる。
A・W = n・W
( A − n・I )・W = 0 ( I :単位行列)
これより、 W は A の固有ベクトルとなり最大固有値 λmax が求められる。
また、実際に複雑な状況において問題を解決する際には、意思決定者の答えが整合しな
くなる。そこで、次に示すサーティの定理により整合度指数(Consistency
Index)を求め
ることができる。
n
λmax = n + ∑
i =1
n
( w 'j aij − wi' ) 2
j =i +1
wi' w 'j aij n
∑
上式より、λmax ≥ n が成り立ち、等号は首尾一貫性の条件が満たされる時のみ成立する。
そのため、以下が成り立つ。
C.I =
(λ'max − n)
n −1
付録 B
Harker 法の概要
AHP を実際の問題に適用する際、全ての要素に対し答えられないことがある。このよう
な不完全な逆数行列にも固有値法を適用できる方法を Harker が提案した。これを Harker
法といい、逆数行列のいくつかの要素がわからない場合でも、間接的な近似を考慮できる
方法である。
Harker 法は、全ての一対比較に整合性が成立するような完全整合行列({aij} = {wi/wj})
においては、そのうちの一部分の一対比較からでも同じ重みを求めることができるという
事実に基づいている。例えば、次のような不完全一対比較行列 A を考える。
?
2
⎡ 1
⎢ ?
1
?
A=⎢
⎢1 / 2 ?
1
⎢
⎣ ? 1/ 5 1/ 3
?⎤
5⎥⎥
3⎥
⎥
1⎦
?は欠損していることを示している。欠損した箇所に、それぞれ{aij} = {wi/wj}を代入す
ると、次の固有値問題を解くことになる。
⎡ 1
⎢w / w
⎢ 2 1
⎢ 1/ 2
⎢
⎣ w4 / w1
w1 / w2
2
1
w2 / w3
w3 / w2
1
1/ 5
1/ 3
w1 / w4 ⎤ ⎡ w1 ⎤
⎡ w1 ⎤
⎢w ⎥
⎥
⎢
⎥
5 ⎥ ⎢ w2 ⎥
= λ⎢ 2 ⎥
⎢ w3 ⎥
3 ⎥ ⎢ w3 ⎥
⎢ ⎥
⎥⎢ ⎥
1 ⎦ ⎣ w4 ⎦
⎣ w4 ⎦
すなわち、
+
3w1
2 w3
3w2
1 / 2 w1
1 / 5w2
+ 2 w3
+ 1 / 3w3
=
+ 5w4 =
+ 3w4 =
+ 2 w4 =
と書けるので、次のような固有値問題を解けばよい。
0
2
⎡ 3
⎢ 0
3
0
⎢
⎢1 / 2 0
2
⎢
⎣ 0 1/ 5 1/ 3
0⎤ ⎡ w1 ⎤
⎡ w1 ⎤
⎢w ⎥
⎥
⎢
⎥
5⎥ ⎢ w2 ⎥
= λ⎢ 2 ⎥
⎢ w3 ⎥
3⎥ ⎢ w3 ⎥
⎢ ⎥
⎥⎢ ⎥
1⎦ ⎣ w4 ⎦
⎣ w4 ⎦
λw1
λw2
λw3
λw4
付録 C
This questionnaire seeks your impression about tourism in Japan. Your opinion will be helpful to improve the
environment of tourism in Japan.
1. Where are you from? (
)
2. Kindly list the places in Japan you have visited. (
3. Is this your first time to travel in Japan?
4. How long will you stay in Japan?
yes,
)
no → (
(
) times
) days
5. What are the positive & negative points in Japan, compared with the other country?
【Positive】
Polite, friendly (
Safe (
View (
)
Clean environment (
)
Convenient (
)
Food (
)
)
)
Other
【Negative】
Expensive (
)
Mobile phone (
)
Language (
)
Crowded (
)
Other
6. Did you find any trouble during your sightseeing travel in Japan?
Language problem (
Expensive in all (
)
Easy to lose your way (
)
Other
7. What kind of services do you want when you travel in Japan?
Tourist support guide in your own language (
Discount service (
)
Explanation about tourism spot on time (
Other
Thank you for your help and cooperation!
)
)
)
付録 D
이 앙케이트는 귀하가 일본에서 관광을 한 인상을 조사하기 위한 것입니다.
귀하의 의견은 일본관광의 환경을 개선하는 데에 커다란 도움이 될 것입니다.
1. 일본에서 어느 곳을 방문하셨습니까?
2. 일본 방문이 처음이십니까? 네 (
(
)
)
아니요 (
)
3. 일본에는 얼마나 머무르실 예정이십니까? (
) 일
4. 일본의 좋은점, 나쁜점에 대하여 적어주십시요.
【좋은점】
예의바음, 친절 (
)
청결 (
)
안전 (
)
편리 (
)
경관 (
)
음식 (
)
기타
【나쁜점】
물가가 비쌈 (
언어소통이 불편 (
)
핸드폰 이용이 불편 (
)
)
사람이 너무 많아서 불편(길,관광지) (
)
기타
5. 일본에서 관광을 하시는 중에 곤란한 일이 있으셨습니까?
언어문제 (
비싼 물가 (
)
길을 잃어 당황 (
)
)
기타
6. 일본을 여행하는 중에 어떤 서비스가 있으면 좋겠다고 생각하십니까?
한국어로 안내해주는 안내원 (
할인 서비스 (
)
)
관광지 설명 안내판 (
)
기타
협조해주셔서 대단히 감사합니다. 즐거운 여행되세요.
付録 E
This questionnaire seeks your impression about tourism in Japan. Your opinion will be helpful to improve the
tourist environment in Japan.
您好!这份问卷是关于您此次访日中对日本旅游业的印象。您的宝贵意见对于提高日本旅游环境质量有很
大的帮助。
1. Where are you from? 您来自哪里? (
)
2. Kindly list the places you have visited in Japan.
请简单罗列一下您此次访日的城市 (
)
3. Is this your first time in Japan? 这是您第一次来日本吗?
Yes 是的,
no → (
4. How long will you stay in Japan? 您将在日本待多久 (
) times 2 次以上
) days 天
5. What is the positive & negative image in Japan, compared with the other countries? 和其他国家相比,您认
为日本有哪些特点(请在括号里打勾)
【Positive】优点
Polite, friendly 礼貌友好 (
Safe 安全(
View 景色 (
)
Clean environment 干净(
)
Convenient 方便 (
)
Food 饮食(
)
)
)
Other 其他
【Negative】不足之处
物价昂贵 (
)
Language 语言 (
)
Mobile phone 通讯不便(
)
Crowded 拥挤 (
)
Easy to get lost 容易迷路 (
)
Expensive
Other 其他
6. Did you find any troubles during your sightseeing tour in Japan?
您在旅行中是否有不便之处?
Language problem 语言障碍(
Expensive
)
物价太贵(
)
Other 其他
7. What kind of services do you want when you travel in Japan?
您希望在旅游中为您提供什么样的服务?
Tourist guide in Chinese 用中文导游 (
Discount service 减价服务(
)
)
Explanation about tourist spot on time 简明易懂的景点解说(
Other 其他
Thank you for your help and cooperation!
非常感谢您的帮助与合作!
)
付録 F
Q1. Please indicate your impression of Japan before traveling, as well as your rating and evaluation after arriving Japan.
(Kindly use the impression scale from “very bad” to “very good” as written below.)
Item
Impression of Japan before traveling
Evaluation of Japan after traveling
Politeness
Very bad
Very good
Very bad
Very good
Friendliness
Very bad
Very good
Very bad
Very good
English
Very bad
Very good
Very bad
Very good
Cityscape design
Very bad
Very good
Very bad
Very good
Cleanliness
Very bad
Very good
Very bad
Very good
Safety
Very bad
Very good
Very bad
Very good
Information center
Very bad
Very good
Very bad
Very good
Internet connection
Very bad
Very good
Very bad
Very good
Language support
Very bad
Very good
Very bad
Very good
Transportation
Very bad
Very good
Very bad
Very good
Restaurant, shop
Very bad
Very good
Very bad
Very good
Accommodation
Very bad
Very good
Very bad
Very good
Credit card、ATM
Very bad
Very good
Very bad
Very good
Very bad
Very good
Very bad
Very good
Very bad
Very good
Very bad
Very good
communication
(map, sign)
(Availability)
Toilet
(Availability)
Price
Q2. Please write about any problems you have experienced when you were traveling in Japan.
Thank you for your time!
付録 G
20 November 2007
Request of cooperation for a questionnaire survey on:
“Foreign Visitor’s Evaluation on Tourism Environment”
Tourism Environment as comprised by ‘Safety’, ‘Cleanliness’, ‘Barrier-free’, ‘Multilingual Writing’,
‘Communication’, ‘Transportation’, ‘Price’ and ‘Electronic Service’, contributes to the foreign
visitors’ state of travel especially in the context of convenience and comfort. In this light, this survey
aims to understand 1) the relative importance of the listed tourism environment items from the
viewpoint of foreign visitors, and also 2) how foreign visitors evaluate the Japan’s tourism
environment and other country’s.
Your opinions and ratings based on your travel experiences in many countries will be valuable
inputs for improving tourism environment in Japan.
The University of Tsukuba’s Tourism Laboratory bears all the responsibilities with regards to this
survey. All the answers you provide will be treated confidentially in accordance with Japan’s Private
Information Protection Law and will only be used for statistical purposes.
We would be grateful if you could spare some of your time to complete the attached questionnaire.
Thank you very much.
Naohisa OKAMOTO (Associate Professor)
Takeshi KURIHARA (Master Course Student)
Tourism Laboratory
Graduate School of Systems and Information Engineering
University of Tsukuba
Table A
The Structure of Tourism Environment for Foreign Visitors
Safety
There is less possibility of robbery and other crimes at public spaces
Security measure and management of hotel are reliable
Public transportation operates safely
Cleanliness
There is no trash on the street
Toilet surroundings and facilities are clean
Barrier-free
The grades of walkways and or pathways are evenly design for ease
of walking
There is escalator and elevator equipment at railway station
and airport
Multilingual
Writing
(Multi-writing)
Road traffic signs, Railway station signs, Maps and leaflets including
Restaurant menu are written multilingually
Communication
Ease of communication in English or other languages
People are kind and friendly at;
Railway station, Airport, Tourist Information Center, Hotel and
local people
Price
Accommodation, Transportation and Food cost is cheap
Transportation
Train, bus and taxi services are frequent
Time schedule of train and bus is accurate and reliable
Fare is cheap
Train, bus and taxi operate till late at night
Electronic Service
ATM and credit card are usable
Your mobile phone is usable
Internet connection facilities are well provided
Section A; About Yourself
QA1. Gender
QA2. Age
QA3. Nationality and Country of Residence
QA4. Number of visit(s) to Japan (include this trip)
QA5. What is your major purpose in visiting Japan?
(Choose one)
QA6. Date of arrival at/departure from Japan
QA7. Travel companions (Choose all that apply)
QA8. Travel arrangement
QA9. Employment status
QA10. Education
□ Female
□ Male
□ 10’s □ 20’s □ 30’s □ 40’s
□ 50’s □ 60’s □ 70’s and more
Nationality
(
)
City of Residence (
)
1st time
2nd times
4th times and more
3rd times
Sightseeing
Business
Visiting friends and relatives
Conference
Study
Participating in sports and events
Other (
)
Arrival
(Date)
(Month)
Departure (Date)
(Month)
None
Job-related person
Children
Other)
Family ( Spouse
Relatives
Friends
Other
Arranged by yourself
Package tour group
Other
Full time
Part time
Self employed
None
Housewife/husband
Other (Student)
Elementary
High school
College/University
Graduated School
Other (
)
QA11. Where have you been (or will visit) in Japan during this travel? Please specify all possible
places.
Will visit
Visited
QA12. Please rate your Japanese, English and other language level of proficiency. If it is your mother
tongue, please check ‘Native’.
Beginner
Intermediate level
Solid degree level
Beginner
Intermediate level
Solid degree level
Native
Japanese
English
(
(
□
Beginner
Intermediate level
Solid degree level
Beginner
Intermediate level
Solid degree level
)
)
□
□
Section B; Japan’s Tourism Environment
QB. In the case of Japan’s tourism environment, kindly indicate your evaluation
(Satisfied (no need to check), Slightly dissatisfied, Dissatisfied) of the items listed in the table below.
ex) Safety of hotel is satisfied, Price of hotel is dissatisfied.
Safety
Price is cheap
Safety
Cleanliness
Barrier-free
Multilingual
Writing
(Written in English
and
other languages)
Communication
(Ease of
communicating
in English or
other languages)
Price
(Price is cheap)
Transportation
Electronic Service
Hotel
Accommodation
Slightly
dissatisfied
Dissatisfied
□
□
□
□
Slightly
dissatisfied
Dissatisfied
Public Spaces
□
□
Hotel
□
□
Transportation
□
□
Street
□
□
Toilet
□
□
Walkway/Pathway
□
□
Railway Station
□
□
Airport
□
□
Road Traffic Sign
□
□
Railway Station (Sign, Ticket)
□
□
Airport
□
□
Maps and Leaflet
□
□
Restaurant Menu
□
□
Railway Station Staff
□
□
Airport Staff
□
□
Tourist Information Center Staff
□
□
Hotel Staff
□
□
Local People
□
□
Accommodation
□
□
Transportation
□
□
Food
□
□
Frequency
□
□
Accuracy and Reliability
□
□
Operating Hour
□
□
ATM is usable
□
□
Credit Card is usable
□
□
Your Mobile Phone is usable
□
□
Internet Connection facilities are provided
□
□
Section C; The Necessity of the Tourism Environment Items
QC1. As a foreign visitor, kindly indicate the extent of necessity for the tourism environment items
namely; ‘Multilingual Writing’, ‘Communication’ and ‘Transportation’ based on the descriptive
rating ‘Strongly necessary’, ‘necessary’, ‘Neither necessary nor unnecessary’, ‘Unnecessary’ and
‘Strongly unnecessary’ as shown below.
Strongly
Necessary
Neither
Unnecessary
Strongly
necessary
necessary
unnecessary
nor
unnecessary
ex) Price
Price is cheap
□
□
Strongly
necessary
Multilingual
Writing
(Written in
English and
other languages)
Communication
(Ease of
communicating
in English or
other languages)
Transportation
Necessary
□
□
□
Neither
necessary
nor
unnecessary
Unnecessary
Strongly
unnecessary
Road Traffic Sign
Railway Station
(Sign, Ticket)
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
Airport
□
□
□
□
□
Maps and Leaflet
□
□
□
□
□
Restaurant Menu
□
□
□
□
□
Railway Station Staff
□
□
□
□
□
Airport Staff
Information Center
Staff
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
Hotel Staff
□
□
□
□
□
Local People
Their services are
frequent
Time is accurate and
reliable
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
Fare is cheap
Operate till late
at night
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
QC2. From a scale of 1 to 3, please rank the following items below with respect to cost saving
priority while on tour.
ex)
(
) Accommodation
(
) Transportation
(
)Food
(
) Accommodation
(
) Transportation
(
)Food
Section D; The Importance of the Tourism Environment Items
QD. Based on the level of your evaluation with regards to the tourism environment items illustrated
in table A, please compare the relative importance of the items below. Kindly encircle the impression
scale as shown in the example.
ex) Safety is more important than Cleanliness
A is more important
A is strongly important
More or less the same B is more important
B is strongly important
Safety
A is more important
A is strongly important
【A】
Safety
Cleanliness
More or less the same
B is more important
B is strongly important
【B】
Cleanliness
Electronic service
Barrier-free
Transportation
Electronic service
Price
Safety
Barrier-free
Multi-writing
Communication
Cleanliness
Cleanliness
Transportation
Communication
Price
Safety
Multi-writing
Multi-writing
Communication
Section E; Japan’s and Each Country’s Tourism Environment
QE1. Please check all the countries that you have visited (including your country) in the last
five years.
1
South Korea
11 Australia
21 Ireland
31 Austria
2 China
12 New Zealand
22 United Kingdom
32 Poland
3
Taiwan
13 United States of America
23 Netherlands
33 Hungary
4
Hong Kong
14 Canada
24 Belgium
34 Czech Republic
5
Macau
15 Mexico
25 France
35 Greece
6
Philippine
16 Saudi Arabia
26 Germany
36 Turkey
7
Thailand
17 United Arab Emirates
27 Italy
37 Croatia
8
Singapore
18 Egypt
28 Spain
38 Tunisia
9
Malaysia
19 Russia
29 Portugal
39 Morocco
20 Sweden
30 Switzerland
40 Republic of South Africa
10 Indonesia
Other(
)
QE2. From 0 to 10 score, please rate Japan and the other countries you have selected in the previous
question item, considering the tourism environment items illustrated in table A.
Country
ex)
Japan
Safety
Cleanliness
Barrier
free
MultiWriting
Communi
cation
Price
Transpor
tation
Electro
Service
Please write about impressions and problems you have encountered when you were traveling in
Japan.
Thank you very much for your precious time and cooperation.
付録 H
2007 년 11 월 20 일
외국인 방문객이 본 여행환경의 평가에 관한 앙케이트 조사 협력 요청
이 조사는 일본을 방문하는 외국인 방문객이 쾌적한 여행을 할 수 있도록, 일본의 여행
환경의 정비 현황을 검토하기 위한 목적에서 실시하고 있습니다. 귀하가 일본에서
체재하시는 중의 여행경험을 바탕으로 어떤한 점에 만족을 느끼고, 어떠한 점에서 불만을
느끼셨는지를 적어주시면 감사하겠습니다.
이 조사는, 일본 국립대학 법인 츠쿠바 대학(筑波大学) 시스템정보공학연구과(システム
情報工学研究科) 도시교통연구실(都市交通研究室)에서 실시하는 독자적인 조사입니다.
기입해주신 내용은 통계적인 처리에 의해 분석되며, 개인정보는
보장됩니다.
또한 연구 이외의 다른 목적을 위해서는 결코 사용되지 않습니다.
철저히
비밀이
츠쿠바대학 대학원 시스템정보공학연구과
(筑波大学大学院システム情報工学研究科)
담당교수:오카모토 나오히사(岡本直久)
조사담당자:쿠리하라 다케시(栗原剛)
표-A
여행환경의 평가대상
안전
공공공간의 치안환경이 좋으며, 안전함.
호텔의 치안이 잘 정비되어 있음.
공공교통이 안전하게 운행되고 있음.
청결
보도에 휴지가 떨어져있지 않음.
공중화장실이 위생적임.
장애물없는 환경
(Barrier-free)
도로의 높낮이 차이가 없고, 걷기에 편함.
역, 공항에 엘레베이터・에스칼레이터가 설치되어 있음.
외국어표기
외국어표기의 도로표지가 있음.
역의 안내판, 티켓이 외국어로 적혀있음.
다언어 지도・팜플렛이 설치되어 있음.
레스토랑의 메뉴가 외국어로 표기되어 있음.
의사소통
(Communication)
외국어로 의사소통이 가능함. 친절하게 대응해줌.
(역, 공항, 관광안내소, 호텔, 일반인)
물가
숙박비, 교통비, 식비가 저렴함.
공공교통
철도, 버스, 택시의 기다리는 시간이 짧음.(빠른 회전율)
철도,버스의 운행 시간이 정확하고, 믿을수 있음.
교통비가 저렴함.
운영시간이 길고, 심야에도 이용이 가능.
전자서비스
ATM 및 크레디트 카드가 이용가능함.
자신의 휴대전화가 사용가능함.
인터넷 이용 환경이 좋음 (인터넷 회선의 충실)
A
귀하에 대한 질문
A1. 성별을 선택하여 주십시오.
A2. 연령을 선택하여 주십시오.
A3. 국적 및 거주도시를 기입하여 주십시오.
A4. 이번 방문은 몇번째 일본 방문입니까?
A5. 이번 방문의 체재 목적은 무엇입니까?
A6. 이번 여행의 도착일과 귀국일은 언제 이십니까?
A7. 동행하시는 분에 관하여 기입하여 주십시오.
A8. 여행형태를 선택하여 주십시오.
A9. 귀하의 고용형태를 선택하여 주십시오.
A10. 학력을 선택하여 주십시오.
□남성
□여성
□10 대
□20 대
□30 대
□40 대
□50 대
□60 대
□70 대이상
국적
(
)
거주도시(
)
□처음
□2 번째
□3 번째 □4 번이상
□관광
□출장
□친척, 지인방문
□회의
□유학
□스포츠, 이벤트에 참가
□기타(
)
(도착일)
년
월
일
년
월
일
(귀국일)
□동행자없음
□직장관련
□가족 (□배우자 □자녀
□기타)
□친구
□기타
□친척
□개인여행
□패키지 여행
□기타
□정사원 □파트사원
□자영업
□무직
□주부
□기타(학생)
□초등학교및중학교졸
□고등학교졸
□대학교졸
□대학원졸
)
□기타(
A11. 이번에 들르신 방문지는 어느곳입니까? 전부 기입하여 주십시오.
(지금부터 방문할 예정인 도시)
(방문하신 도시)
A12. 귀하께서 구사할 수 있는 언어 (일본어, 영어 및 그밖의 언어) 의 구사 능력에 대하여, 스스로
어느 정도라고 평가하시는지, 그 여부를 이하의 란에 ○로 표시해 주십시오.
또한, 모국어의 경우에는 모국어란에 체크를 하여 주십시오.
불가능
일상회화가능
가능
불가능
일상회화가능
가능
일본어
□
영어
(
(
(
불가능
일상회화가능
가능
불가능
일상회화가능
가능
불가능
일상회화가능
가능
)어
□
)어
)어
모국어
□
□
□
B
일본의 여행환경
B. 일본의 여행환경에 대하여 불만을 느꼈던 항목을 이하의 예) 를 참고로 하여 평가해 주십시오.
단, 만족하셨던 항목에는 표시를 하지 말아 주십시오.
예)호텔의 안전에 대하여 만족, 호텔의 가격이 불만인 경우,
안전
물가
안전
청결
장애물없는
환경
외국어표기
의사소통
물가
공공교통
전자서비스
호텔
호텔가격
약간 불만
불만
□
□
□
□
약간 불만
불만
공공공간
□
□
호텔
□
□
공공교통
□
□
보도
□
□
공중화장실
□
□
도로
□
□
역
□
□
공항
□
□
도로표지
□
□
역(안내, 티켓)
□
□
공항
□
□
지도・팜플렛
□
□
레스토랑의 메뉴
□
□
역 직원
□
□
공항 직원
□
□
관광안내소 직원
□
□
호텔 직원
□
□
일반인
□
□
숙박비
□
□
교통비
□
□
식비
□
□
빈도
□
□
정확성
□
□
영업시간
□
□
ATM 이 이용가능
□
□
크레디트카드가 이용가능
□
□
자신의 휴대전화가 사용가능
□
□
인터넷환경이 충실
□
□
C
필요성
C1. 이하의「외국어표기」「의사소통」「공공교통」의 각 항목에 대하여, 외국인 방문객의 시점에서,
각각의 필요성(전혀 필요없음, 필요없음, 어느쪽도 아님, 필요함, 매우필요함)에 대해 평가해
주십시오.
매우필요함
예)물가
필요함
□
숙박비가 저렴
의사소통
공공교통
필요없음
□
□
□
매우필요함
외국어표기
어느쪽도
아님
필요함
어느쪽도
아님
전혀필요없음
□
필요없음
전혀필요없음
도로표지
□
□
□
□
□
역(안내, 티켓)
□
□
□
□
□
공항
□
□
□
□
□
지도・팜플렛
□
□
□
□
□
레스토랑의 메뉴
□
□
□
□
□
역 직원
□
□
□
□
□
공항 직원
□
□
□
□
□
관광안내소 직원
□
□
□
□
□
호텔 직원
□
□
□
□
□
일반인
□
□
□
□
□
운행빈도가 높다
□
□
□
□
□
시간이정확하고,신뢰가능하다
□
□
□
□
□
교통비가 저렴하다
□
□
□
□
□
영업시간이 길다
□
□
□
□
□
C2. 여행중에 지출하는 다음의 비용중에서, 되도록 줄이고 싶다고 생각하는 순서대로 순위를 기입하여
주십시오.
예)식비를 가장 줄이고, 숙박비, 교통비의 순으로 비용을 줄이고 싶다고
생각하는 경우에는, 이하의 예)와 같이 적어 주십시오
예)
(
(
)숙박비
)숙박비
(
)교통비
(
(
)교통비
)식비
(
)식비
D
여행환경 항목의 중요도
D. 다음 항목 중에서, 귀하가 자국 이외의 국가를 여행하는 도중에, 그 여행지를 평가할 경우, 여행자를
지원하는 환경에 대하여 어떠한 항목을 어느정도 중요하게 생각하는지에 관한 항목입니다. 이하의
예)와 같이, 적당한 곳에 ○를 표시해 주십시요.
예)「안전」이「청결」보다 중요하다고 생각하는 경우의 기입예
A 가 절대중요
A 가 중요함
양쪽같은정도
【A】안전
A 가 중요
A 가 절대중요
【A】
안전
전자서비스
공공교통
물가
장애물없는 환경
의사소통
청결
의사소통
안전
외국어표기
B 가중요
B 가 절대중요
청결【B】
양쪽같은정도
B 가중요
B 가 절대 중요
【B】
청결
장애물없는 환경
전자서비스
안전
외국어표기
청결
공공교통
물가
외국어표기
의사소통
E
각국의 여행환경
E1. 귀하가 과거 5 년간 방문한 경험이 있는 국가(모국을 포함)를 모두 선택하여, 그 번호에○를
표시하여 주십시오.
1 한국
11 호주
21 핀란드
31 오스트리아
2 중국
12 뉴질랜드
22 영국
32 폴란드
3 타이완
13 미국
23 네덜란드
33 헝가리
4 홍콩
14 캐나다
24 벨기에
34 체코
5 마카오
15 멕시코
25 프랑스
35 그리스
6 필리핀
16 사우디아라비아
26 독일
36 터키
7 타이
17 아랍에미레트
27 이탈리아
37 크로아티아
8 싱가폴
18 이집트
28 스페인
38 튜니지아
9 말레이시아
19 러시아
29 포르투갈
39 모로코
10 인도네시아
20 스웨덴
30 스위스
40 남아프리카공화국
기타(
)
E2. 일본 및 질문 E1 에서 선택한 국가에 대하여 이하의 기입예와 같이, 각 항목의 평가를 10 점을
만점으로 하여 점수를 매겨주십시오.
국명
예)
일본
안전
청결
장애없는
환경
외국어
표기
의사소통
물가
공공교통
전자서비스
이번 여행에서 인상적이었던 일이나 문제점 등이 있으셨다면 이하의 란에 기입하여 주십시오.
질문은 이상입니다.
협조해 주셔서 대단히 감사합니다.
즐거운 여행되십시오.
付録 I
2007 年 11 月 24 日
关于外国来宾对旅游环境评价的调查问卷
您好!本次调查的目的是了解外国来宾对旅游环境的评价,为今后改善日本旅游环境提供参
考。如果能得到您的支持,我们将万分感谢。根据日本《私人信息保护法》(2004 年制定)的规
定,您所填写的所有内容绝对保密,只为研究所用,不用于其他任何目的。
筑波大学信息系统工学研究生院・旅游实验室
岡本直久 副教授
栗原 刚 硕士 2 年级
旅游环境评价
对外国来宾来说,旅游感受,特别是舒适度和便利度,主要由旅游地的“安全”、
“清洁度”
、
“无障碍设施”、“外语标记”、“交流”、“物价”
、“交通”、“电信服务”等构成。本次调查主要从
2 个方面进行:1)对上述指标进行打分;2)日本的旅游环境与其它国家的比较。基于您自身的
旅行体验对日本旅游环境的评价和宝贵建议,会对日本旅游环境的改善带来极大的帮助。
表-A
评价指标的说明
安全度
治安状况:在街道和景点等场所是否有安全感,是后碰到被盗被抢事件等;
旅馆饭店等的安全性;
公共交通的安全性;
清洁度
城市的清洁卫生状况:街道上没有垃圾等;
公共设施的卫生状况:休息场所、厕所等是否干净;
无障碍设施
城市道路:盲道、轮椅坡道的设置,以及减少道路中的台阶;
建筑物:车站、机场等场所的自动扶梯、电梯的设置;
外語标记
路标、路牌是否有外语标记;
车站的导向标志、车票是否有外语标记;
外语地图和旅游手册的自由领取
餐馆的菜单上的外语说明
交流
能否用外语与当地人交流;当地人的好客程度;
(包括车站、机场、旅游咨询处、旅馆饭店的工作人员以及普通居民)
物价
吃、住、行的费用
交通
火车、公共汽车的班次、出租车的数量
火车、公共汽车是否准时
价格是否便宜
营业时间的长短、末班车的时间
电信服务
能否使用自动取款机、信用卡
能否使用自己的手机
是否能够上网
第一部分:个人情况
A1.您的性别
A2.您的年龄
A3.您的国籍以及居住城市
A4.这是您第几次来日本?
A5.这次您访日的目的是什么?
(请选择 1 个)
A6.请记入您到达和离开日本的日期
A7.请选择您与旅行同伴的关系
A8.请选择您这次旅行的方式
A9.请选择您的职业
A10.请选择您的学历
□男性
□女性
□10~19 岁
□20~29 岁
□30~39 岁
□40~49 岁
□50~59 岁
□60~69 岁
□70 岁以上
国籍
(
)
居住城市(
)
□第一次
□第二次
□第三次
□四次以上
□旅游
□商务活动
□探亲访友
□会议
□留学
□参加体育、文艺等活动 □其他(
到达:
年
月
日
离开:
年
月
日
□没有同伴
□同事
□家人(□配偶
□孩子
□其他)
□亲戚
□友人
□其他
□个人游
□团队旅游
□其他
□全职人员
□临时工
□自营业者
□无业者
□其他(学生)
□家庭主妇/主夫
□初中
□高中及中专
□大专及大学 □硕士
□其他(
)
A11.请您填写您这次访问的主要地方。(请填写全部地方)
已经访问了的地方
将要去的地方
A12.请您判断一下您的日语、英语或其他语言(包括母语)的交流能力。
不会
日常交流程度
很流利
不会
日常交流程度
很流利
日语
英语
□
不会
(
很流利
□
日常交流程度
很流利
)语
□
不会
(
日常交流程度
)语
不会
(
母语
□
)语
日常交流程度
很流利
□
)
第二部分: 日本的旅游环境
B. 请您对日本的旅游环境的以下项目进行评价。
如果对该项目您比较满意,您无需打勾。如果不是很满意,或很不满意,请在下表中打勾。
例) 对旅馆的安全度很满意,但对住宿费用不满意的情况:
安全度
价格
旅馆等
住宿费
不太满意
不满意
□
□
□
□
不太满意
不满意
公共场所
□
□
旅馆饭店
□
□
交通
□
□
街道
□
□
厕所
□
□
步行道/街道
□
□
火车站
□
□
机场
□
□
路牌
□
□
车站 (标记, 车票)
□
□
机场
□
□
地图及导游手册
□
□
饭馆菜单
□
□
车站工作人员
□
□
机场工作人员
□
□
旅游咨询处工作人员
□
□
旅馆饭店工作人员
□
□
当地居民
□
□
住
□
□
物价(是否能够接受) 行
□
□
吃
□
□
班次、车次
□
□
准时
□
□
营业时间
□
□
可以使用自动取款机
□
□
可以使用信用卡
□
□
可以使用自己的手机
□
□
可以上网
□
□
安全度
清洁度
无障碍设施
外语标记
交流
(能否用英语或其他
外语交流)
交通
电信服务
第三部分:旅游环境各个项目的必要性
C1. 谈谈您对以下 3 项内容 “外语标记”、“交流” 及“交通” 必要性的看法。请您在下表中
“很有必要”,“有必要”,“说不上来”,“没有必要” 或“完全没有必要”的方框里打勾。
例)您认为物价便宜十分有必要时:
物价
物价便宜
说不上来
没有必要
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
地图及导游手册
□
□
□
□
□
饭馆菜单
□
□
□
□
□
车站工作人员
□
□
□
□
□
机场工作人员
□
□
□
□
□
旅游咨询处工作人员
□
□
□
□
□
旅馆饭店工作人员
□
□
□
□
□
当地居民
□
□
□
□
□
班次、车次多
□
□
□
□
□
准时
□
□
□
□
□
费用低廉
□
□
□
□
□
营业时间延长至深夜
□
□
□
□
□
很有必要
有必要
□
□
□
说不上来
C2. 在以下 3 个选择中,请您选择您最希望降低费用的一项。
例)您最希望伙食方面的价格能降低,其次为住宿费用,最后为交通出行费用。
(
(
完全没有
必要
完全没有
必要
车站 (标记, 车票)
外语标记
(用多种语言标记) 机场
交通
有必要
没有必要
路牌
交流
(能否用英语或其
他外语交流)
很有必要
) 住
) 住
(
(
) 行
(
) 行
(
) 吃
) 吃
第四部分:旅游环境各个项目的重要性
D. 根据表 A 中有关旅游环境评价项目的说明,请您在下表中选择您认为相对重要的项目。请在
您认为合适的地方画圆圈。
例) 当您认为安全度比清洁度重要时
A 绝对重要
A 更重要
一样重要
B 更重要
安全度
A 绝对重要
B 绝对重要
清洁度
A 更重要
一样重要
B 更重要
B 绝对重要
【A】
安全度
【B】
清洁度
电信服务
无障碍设施
交通
电信服务
物价
安全度
无障碍设施
交流
外语标记
清洁度
清洁度
交通
交流
物价
安全度
外语标记
外语标记
交流
第五部分:各国的旅游环境比较
E1. 请您在下面国家和地区的列表中圈上您最近 5 年中去过的国家或地区(包括您的祖国)。
1 韩国
2 中国
3 台湾
4 中国香港
5 中国澳门
6 菲律宾
7 泰国
8 新加坡
9 马来西亚
10 印度尼西亚
其他(
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
澳大利亚
新西兰
美国
加拿大
墨西哥
沙特阿拉伯
阿拉伯联合酋长国
埃及
俄国
瑞典
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
爱尔兰
英国
荷兰
比利时
法国
德国
意大利
西班牙
葡萄牙
瑞士
奥地利
波兰
匈牙利
捷克
希腊
土耳其
克罗地亚
突尼斯
摩洛哥
南非
)
E2. 将您在上题中所圈的国家与日本比较,并在下表中打分。(满分为 10 分)
国名
例)
日本
安全
清洁度
无障碍设施
外语标记
交流
物价
交通
电信服务
请谈谈您在此次旅途中的感受,包括遇到的问题或麻烦。
非常感谢您的合作,谢谢!
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