素案 - 南会津町

第2次南会津町農業振興計画
(平成 28 年度から平成 32 年度)
素案
南会津町
南
会
津
■ 目
次 ■
町
第 1 章 南会津町農業振興計画とは
第 1 節 計画策定の趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第 2 節 計画の位置付け ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第 3 節 計画の期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第 2 章 南会津町農業の現状と可能性
第 1 節 本町農業の現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1 農業生産の現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2 農業者の現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3 農地の現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第 2 節 本町農業の優位性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1 有利な地理的条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2 有利な自然的条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3 地域ブランド ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4 社会情勢 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第 3 節 本町農業の基本方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第 3 章 施策・事業
第 1 節 担い手の育成と農用地の確保・有効利用 ・・・・・・・・・・・・・
1 担い手の育成・確保
(1)認定農業者等の育成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(2)新規就農者の育成・確保 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(3)集落営農の育成・確保 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(4)女性の農業経営参画の促進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
(5)農業経営の法人化の促進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(6)総合的な農業支援体制の確立 ・・・・・・・・・・・・・・・
2 農用地の確保と有効利用
(1)優良農用地の確保と有効利用 ・・・・・・・・・・・・・・・
(2)農用地の利用集積の促進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3 耕作放棄地の発生防止と解消
(1)耕作放棄地の発生防止と再生 ・・・・・・・・・・・・・・・
(2)環境と共生する農業の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
第 2 節 生産基盤などの整備と施設の近代化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
1 生産基盤の整備
(1)農業生産基盤整備の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
2
3
3
4
5
5
6
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8
9
10
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15
15
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18
18
19
19
19
20
20
21
21
2 農業近代化施設の整備
(1)農業機械の整備促進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(2)農業施設の整備促進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3 交流環境の充実
(1)生産者と消費者の交流促進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
(2)都市交流型農業の展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第 3 節 農業経営の安定と農業生産の振興
1 生産対策の強化と農作物の安全性の確保
(1)環境保全型農業の促進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(2)農作物の安全性の確保 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(3)農作物に関する情報の提供 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
2 6 次化産業の推進
(1)農産加工品の開発促進と農商工連携の推進 ・・・
3 経営安定化対策の充実
(1)経営所得安定化対策の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
(2)融資制度の有効活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(3)青果物価格安定制度の充実 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
(4)鳥獣等被害防止対策の充実強化 ・・・・・・・・・・・・・
(5)農業災害の防止と被災農家への支援促進 ・・・・・
(6)各種作物の生産促進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
各種作物の生産促進
①米 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
②そば ・‥‥・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
③野菜・山野資源 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
④果樹 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
⑤花き ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
⑥畜産 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
⑦飼料作物 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
⑧その他作作物 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4 消費拡大の推進
(1)トップセールス等による農作物PRの推進 ・・・
(2)学校給食における地産地消の推進 ・・・・・・・・・・・
(3)食育の推進 ・・‥‥‥‥・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第 4 節 放射能対策
1 放射能物質検査の実施 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2 風評被害の払拭に向けた対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3 損害賠償請求への支援 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
21
21
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23
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30
30
第5節
計画の推進
1 推進体制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2 関係主体の役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第4章 資 料
策定の経過・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
31
31
33
34
第1章
南会津町農業振興計画とは
南郷トマト
福島県南会津郡の特産品で、糖度が高く、身が引き締まったしっかりとした食感が特徴のト
マトです。「南郷トマト」は夏秋トマトの代表として 7 月下旬~10 月下旬まで生産されており、
南会津特有の気候と高い標高、昼夜の気温差が「日本一とも言える味と品質」を生み出してい
ます。平成 26 年度には、南郷トマト生産組合が日本農業賞大賞を受賞するなど、当町を代表す
る農産物となっております。
- 1 -
第1節
計画策定の趣旨
平成18年3月に南会津町が誕生し、平成23年3月に策定した第2次「南
会津町総合振興計画」では、町の将来像を“互いを思いやり、人と自然がや
さしさに包まれた、安心と信頼のまち”と定め、次世代へ誇れるまちづくり
を目指しております。
本町では農業を基幹産業として捉え、水稲や花卉、アスパラガス、トマトと
いった園芸作物や、そば、赤かぶといった土地利用型作物を主な農産物とし
て農業振興を図ってきました。
しかしながら、農業をとりまく状況は、福島原発による風評被害、米価の
低迷、食糧自給率の低下、TPP問題、農家の高齢化といった課題を抱えて
いるほか、安定的な農業経営の継続、安全安心な食糧の提供、食育の推進、
環境と調和した農業の推進、地産地消の推進、遊休農地対策といった農業施
策の新たな展開が求められています。
そこで、農業を取り巻く現状と将来の動向を見据えながら、平成 28 年度以
降の5年間で重点的に取り組むべき施策や施策の方向性などを示しながら、
本町の農業の維持・発展していくための指針を策定するものです。
中海沿岸を原産とする宿根カスミソウは、花束やフラワーアレンジメントの添え花として人
気があります。夏季冷涼な気候を好んで生育するため、南会津特有の気候に適しています。色
とりどりの華やかな色の染めカスミ草も人気があり、市場から高い評価を得ております。
- 2 -
第2節
計画の位置付け
本計画は、町政運営の基本指針となる「南会津町総合振興計画」に基づき、
国で策定した「食料・農業・農村基本計画」、福島県で策定した福島県農林水
産業振興計画「いきいきふくしま農林水産業振興プラン」等の内容を踏まえ、
本町の農業振興を総合的かつ計画的に推進するための指針を示したものです。
【南会津町農業振興計画の位置付け】
南 会 津 町 総 合 振 興 計 画
南 会 津 町 農 業 振 興 計 画
南会津町農業振興地域整備計画
農業経営基盤の強化の 促進
に 関 す る 基 本 的 な 構 想
水 田 フ ル 活 用 ビ ジ ョ ン
人
第3節
・
農
地
プ
ラ
ン
整
合
[県]
[国]
い
き
い
き
ふ
く
し
ま
農
林
水
産
業
振
興
プ
ラ
ン
食
料
・
農
業
・
農
村
基
本
計
画
計画の期間
本計画は、平成 28 年度を初年度とし、平成 32 年度を最終年度とする 5 ヵ
年計画とします。なお、必要に応じて随時計画の見直しを行います。
食料・農業・農村基本計画:食料・農業・農村基本法に基づき、国が策定する農政の指針です。
いきいきふくしま農林水産業振興プラン:福島県の農林水産業・農山漁村に関する各種計画の上位計画に
位置づけられるものであり、本県の農林水産業・農山漁村の
振興に向けた施策の基本方針を明らかにしたものです。
- 3 -
第2章
南会津町農業の現状と可能性
川衣集落
ハデ掛け
刈り取った稲を乾燥させるため、ハデ木(稲架木)に稲束を交互に掛けて、天日干し乾燥を
させています。コンバインの普及により、本町でもハデ掛けは珍しい光景になりました。太陽
の光を浴び、風に当たりながら、じっくりと自然乾燥させた稲は、おいしいお米になります。
- 4 -
第 1 節 本町農業の現状と課題
1 農業生産の現状と課題
本町の農業の中心は水稲であり、平成 26 年実績で農業産出額の約 42%を
占めています。しかしながら、米価の低迷、減反等の理由により、稲作離れ
や遊休農地が増加し、栽培面積及び農業産出額は年々減少しています。
また、南郷地域を中心とした夏秋トマトは、
「南郷トマト」のブランド名で
生産販売され、50 年以上にもわたり、トマトの産地として栽培面積の拡大と
ともに安定した品質、数量が確保されている本町園芸作物の主力作物であり
ます。
もう一つの園芸作物の主力である田島地域を中心としたアスパラガスも、
新規就農等はあるものの、栽培面積及び農業産出額もやや減少しており、栽
培農家の高齢化等、担い手不足が大きな課題となっています。
さらに、リンドウ、カスミソウ、カラー、スターチスを中心とした花き栽
培についても、高冷地の立地条件を活かした本町の振興作物でありますが、
アスパラガスと同様に栽培面積及び農業算出額の増加、後継者対策が課題と
なっています。
単位:戸
経営耕地面積規模別農家数
合計
0.3ha
未満
0.3
~
0.5
0.5
~
1.0
1.0
~
1.5
1.5
~
2.0
2.0
~
3.0
3.0
~
5.0
5.0
~
10.0
10.0
~
20.0
20.0
~
30.0
30.0
~
50.0
平成17年
1,255
3
318
499
200
99
69
15
43
9
0
0
平成22年
989
6
194
419
149
69
72
27
42
9
1
1
単位:戸
年齢別農家数
合計
29歳以下
平成17年
1,255
3
29
159
276
349
212
227
平成22年
989
1
15
73
235
285
143
237
30~40
40~50
50~60
60~70
70~74
75歳以上
経営耕地面積規模別農家数・年齢別農家数:「農林業センサス」
- 5 -
2
農業者の現状と課題
本町の人口は、昭和 30 年の 34,703 人をピークに、平成 27 年 3 月 31 日現
在においては 17,029 人まで減少しています。人口の減少に加え、社会情勢の
変化等により、他産業に従事する農業者も多くなり、農家戸数、農業就業人
口は年々減少しています。特に農業就業人口は、平成 17 年から平成 22 年ま
でに 446 人が減少しています。
また、平成 22 年においては農業就業者の 81.4%以上が 60 歳以上で占めて
おり、集落機能の低下も深刻であり、本町の農業・農村の担い手の育成・確
保は極めて重要な課題であります。
町では、これまで南郷トマトの生産をはじめI・Uターン者等の新規就農
者をこれまでに33人を受け入れております。
農家数
単位 戸
区 分
内
訳
平成17年
平成22年
農 家 数
1,919
1,671
販 売 農 家 数
1,255
989
うち専業農家
242
256
うち第1種兼業農家
170
138
うち第2種兼業農家
843
595
664
682
自 給 的 農 家
農業就業人口
単位 人
区 分
平成17年
総 人 口
農業就業人口
うち60歳以上
比率
平成22年
19,870
18,644
2,004
1,558
1,624
1,268
81.0%
81.4%
世帯数、人口:3 月 31 日現在
農家数、専業農家数、農業就業人口:「農林業センサス」
農業就業人口:満 15 歳以上の販売農家(経営耕地面積 30a 以上または農産物の過去 1 年間の総販売金額が
50 万円以上あった農家)世帯員のうち、農業にだけ従事した者と農業以外の仕事に従事し
ていても農業従事日数の方が多い者の合計です。
- 6 -
3
農地の現状と課題
本町は、東西 43km、南北 38km、総面積 886.47k ㎡と県内では二番目に広大
な面積を有しており、そのうち耕地面積は平成 22 年においては 1,584ha であ
ります。なお、耕地面積は、農業就業者の減少や高齢化等により、平成 2 年
の 2,719ha に比べて、この 15 年間で約 569ha ほど減少しています。
一方、平成 17 年に 186ha であった耕作放棄地面積は、平成 22 年には 388ha
となり、大幅に増えています。
しかしながら、各地区で農業生産法人等によって遊休農地が解消され、そば
畑として活用が図られており、農地再生への取組みも始まっています。
優良農地の確保・保全と併せて、耕作放棄地の有効利活用も課題となってい
ます。
耕地面積
単位 ha
区 分
平成17年
平成22年
耕地面積
2,155
1,584
田
1,570
1,500
畑
585
578
耕作放棄地
区 分
単位 ha
平成17年
経営耕地面積
耕作放棄地
比率
平成22年
1,558
1,584
186
388
11.9%
24.5%
耕地面積、経営耕地面積、耕作放棄地面積:農林業センサス
耕作放棄地面積:1 年以上作付けせず、今後数年の間に再び耕作するはっきりした意志のない土地のこと
です。なお、遊休農地は、過去 1 年以上にわたり耕作されていない農地のことです。
優良農地:農業振興地域内の農用地で、ほ場、農道、水路の基盤整備がされているなど生産力の高い集団
農地のことです。
- 7 -
第 2 節 本町農業の優位性
1 有利な地理的条件
本町は、東京圏からの最短ルートで約 200km、電車で都心から約 3 時間 30
分で連絡しています。また、尾瀬を有する檜枝岐村、大内宿を有する下郷町、
ブナで自然首都宣言をした只見町などの観光地に隣接しており、首都圏から
訪れる際には本町を経由することになります。
なお、首都圏市場に近く、会津地方と関東を結ぶ交通の要所として立地条件
にも大変恵まれていることから、この地理的な優位性を農業振興に結びつけ
ます。
南会津町
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2
有利な自然的条件
本町は四方を山に囲まれ、総面積 886.47k ㎡の 91%を広葉樹を中心とした
豊かな森林で占められています。さらに、尾瀬国立公園に指定された尾瀬、
田代山を水源とした伊南川、七ヶ岳、荒海山を水源とした阿賀川の最上流
域に位置し、豊かで清冽な水が溢れています。
本庁及び各総合支所の標高は 527m から 683m と高く、朝夕は涼しく、日
中は強い太陽の日差しを浴びます。また、冬は厳しい日本海型気候に属し、
舘岩・伊南・南郷地域は特別豪雪地帯に指定され、冬期間は 2m を超える積
雪となります。
大量の雪はブナをはじめとした広葉樹により保水され流れ出す、ミネラ
ル分豊富な美味しい水となり、高い標高が生み出す寒暖の差と強い太陽の
日差し、四季のはっきりした本町の自然環境は、美味しくて、安心安全な
農作物栽培に適しています。
南郷地域
伊南地域
田島地域
舘岩地域
日本海側気候:北海道から山陰地方に至る日本海側の冬型気候の特徴をなすものです。
特別豪雪地帯:積雪の度が特に高く、かつ、積雪により長期間自動車の交通が途絶する等住民の生活に著
しい支障を生じる地域のことです。
- 9 -
3
地域ブランド
本町を代表する園芸作物であり、南郷地域を中心に栽培されている夏秋
トマトは、
『南郷トマト』という地域ブランド(地域団体商標)となってい
ます。また、田島地域を中心に栽培されているグリーン、ホワイト、パー
プルの 3 種類のアスパラガスは『南会津の三色アスパラガス』として市場
から高い評価を得ており、
『会津田島アスパラ』の登録に向けた取組みを行
っているところです。さらに、舘岩地域を中心に『舘岩赤かぶ』として漬
け物で人気を博しているほか、伊南地域を中心に栽培されている鮮やかな
紫色のリンドウは、
『尾瀬リンドウ』として市場で人気があり、また、南郷
地域の『ヒメサユリ』、田島地域のカスミソウ、トルコギキョウ、スターチ
スなどの切り花も高い評価を得ています。
これらの農産物は、農家の絶え間ない努力により、市場や消費者に浸透
して高い評価や人気が築かれてきたものであり、これらの地域ブランドを
活用しながら、本町の農業を推進していきます。
重点作物年間販売額
単位:千円
H23
花
き
類
H24
H25
H26
H27
トマト
671,326
699,659
758,237
804,860
946,682
アスパラガス
100,150
73,973
81,077
71,548
63,885
花き
116,520
111,754
116,019
127,292
144,917
リンドウ
41,225
43,633
44,730
52,358
55,235
カスミ草
36,430
38,041
43,704
43,259
60,323
カラー
31,668
24,189
20,803
24,893
24,038
スターチス
7,197
5,891
6,782
6,782
5,321
重点振興作物栽培面積
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
田島地域
46.4
ha
42.2
ha
36.5
ha
32.9
ha
舘岩地域
9.0
ha
9.2
ha
9.1
ha
9.9
ha
伊南地域
10.9
ha
10.1
ha
9.9
ha
9.3
ha
南郷地域
32.8
ha
32.5
ha
33.3
ha
32.7
ha
合 計
99.1
ha
94.
ha
88.8
ha
84.8
ha
各年度3月31日現在
農林課調べ
地域ブランド:他の地域との差別化を図ることにより、市場において情報発信力や競争力の面で優位を持
ち、地域住民の自信と誇りだけでなく、消費者等に共感、愛着、満足度をもたらします。
尾瀬リンドウ :尾瀬に咲く野生のタテヤマリンドウの種子を基に改良された品種です。鮮やかな青紫色が
特徴であり、尾瀬街道沿いで栽培されているため、この呼び名がつきました。
- 10 -
4 社会情勢
(1)国の動き
国においては、平成 11 年 10 月に「食料・農業・農村基本法」が施行、
平成 27 年 3 月には、「食料・農業・農村基本計画」が閣議決定され、農
業・農村が経済社会の構造変化等に的確に対応し、その潜在能力を最大
限発揮しながら、将来にわたってその役割を適切に担っていけるよう、
農業の基本施策の大幅な見直しが図られ、各般の施策が展開されてきま
した。
さらに、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の取組みに見られ
る世界規模での商品等の調達拡大と販売の強化を進めるなど、食をめぐ
るグローバル化の動きを展開しております。
しかしながら、農業所得の減少、担い手不足の深刻化、農山漁村の活
力低下など農業・農村を取り巻く環境は、ますます厳しさを増している
ことから、農業の構造改革、農業や食品産業の成長産業化を進める産業
施策と農業・農村の多面的機能の発揮を進める地域施策を車の両輪とし
て、施策の展開を図っています。
(2)県の動き
県においては、農林水産業の基本計画である「いきいきふくしま農林
水産業振興プラン」を策定し、農業・農村の振興に向けた施策の基本方
向を明らかにしました。その中では、食料・資源・環境等問題への対応、
安全安心な農林水産物の提供、地域の活性化などの課題を解決し、将来
にわたって夢と希望の持てる農林水産業を気づきあげていくこととして
おります。
(3)東日本大震災の発生
平成 23 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災は、地震及び津波並びに
原子力発電の事故による複合的なものであるとともに、その被災地域が
広範囲にわたる極めて大規模なものであり、農業に甚大な被害をもたら
しました。農産物の出荷・摂取制限や多くの農産物が風評被害にさらさ
れ、復興の大きな支障となっております。
国では「農業・農村の復興マスタープラン」、福島県では「福島県復興
ビジョン」を策定しており、災害からの復興方針を示しております。
環太平洋パートナーシップ協定:日本・米国を中心とした環太平洋地域による経済連携協定(EPA)
の略称のこと。 日本は、2013 年 7 月より正式参加。世界の GDP
の4割を占める巨大経済圏の誕生により、貿易のルールのスタン
ダードとなることが期待されています。
- 11 -
第 3 節 本町農業の基本方針
第 2 次南会津町総合振興計画 第 2 章「就労対策・企業支援と戦略的な取組
による町民所得の向上」における、産業振興の一つとして農業分野での町民所
得の向上を目標の柱として掲げています。
1 「基本構想」における産業振興の方針
施設園芸において、災害に強く、高収益性の作物や作型について担い手を中
心に導入して、地域として産地化を図ります。また、土地利用型作物を中心に
経営規模の拡大を志向する農家と施設園芸による集約的経営を展開する農家
との間で、農地の流動化、農作業の受委託等においてその役割分担を図りつつ、
地域複合としての農業発展を目指します。
2
本町の目指す姿と振興施策の基本方針
「10年後の姿」
●農業が盛んになり、農業のみで生活する若者が増えています。
●地産地消が推進され、農業産品のブランド化が推進される魅力的な産業
になります。
●農業を志す人が就農しやすい環境が整備されます。
「取組の方針」
(1)意欲のある担い手と組織の育成
担い手の確保は、本町農業を考える中で最も重要な課題になってお
ります。経営の安定化と併せ、農業技術向上への意欲的な取組がで
きる環境づくりに努めます。
(2)安全・安心で環境にやさしい農業の振興
土壌診断の実施と栽培履歴の徹底など、合理的な施肥管理等により
環境負担低減に向けた取組を推進します。
(3)農業団体等の活動支援
本町の重点振興作物に位置づけています、トマト・アスパラガス・
花卉(リンドウ・カスミ草・カラー・スターチス)のほか、水稲・
そばなど今後も農業生産が続けられる安定した農業経営のためには、
各農業者の意欲的な取組と併せ、農家間の連携による生産体制を強
化し、市場における魅力的で強い産地づくりを推進します。
(4)農産物等の収益性と生産性の向上
消費者が求める情報を深め、栽培履歴など、安全・安心な農作物で
あることを広く情報提供を行い、自らが率先して高い品質であるこ
とをアピールする農家の拡大を図ります。
- 12 -
(5)「作れる」農業者から「稼げる」農業者への育成
大型機械の共同利用が難しくコスト低減が望めない高齢者農家や小
規模農家には、付加価値を付けた販売の推進として、生産コストの
抑制や地産地消の取組、契約栽培等における収量・販路拡大につな
がる取組を支援します。
(6)耕作放棄地対策の推進
離農者や高齢化による経営面積の減少傾向等により、遊休農地が多
いことから、優良農地の円滑利用及び荒廃の防止を行います。
(7)農産物加工所の整備推進
農産物や地域の資源を活用した事業の展開を図るため、農業生産者
団体等との連携を図り、本町農業の特性を生かした特色ある農産加
工品の開発や研究を促進し、製造・流通などの農業以外の分野との
交流を通し、地域産業の6次化を推進します。
そば畑(高杖原)
町の重点振興作物:販売額が 1 億円を越え、実績のあるトマト、アスパラガス、花きの 3 作物を南会津町
の重点振興作物として選定します。なお、花きについては品目が多いため、1,000 万
円以上の販売実績がある、リンドウ、カスミ草、カラー、スターチスの 4 品目として
います。
- 13 -
第3章
施策・事業
リンドウ
冷涼な気候を生かしたリンドウの栽培に取り組んでいます。種から 1 本 1 本真心込めて作るリ
ンドウは、自然に近い露地栽培で育つため、色鮮やかで花数も多く茎がしっかりとしています。
花の色は紫・薄青・ピンクなど多種。なかでも花弁に光沢感のある濃い紫色は、日持ちもよく人
気があります。お盆やお彼岸、フラワーアレンジメントなどに幅広く利用されています。
- 14 -
第1節 担い手の育成と農用地の確保・有効利用
1 担い手の育成・確保
(1)認定農業者等の育成
本町の農業を基幹産業として、今後とも振興していくために、農業を
魅力とやりがいのあるものとし、効率的かつ安定的な農業経営を営む認
定農業者等意欲ある担い手を育成することが重要です。
本町では、農業経営基盤強化促進法に基づき、
「農業経営基盤の強化の
促進に関する基本的な構想」の中で、効率的かつ安定的な農業経営を達
成するための年間労働時間と年間所得の目標を設定し、目標達成のため
の農業経営のモデルを各方部、営農類型ごとに示すとともに、担い手へ
の農地利用集積等に関する事項を定めております。
また、農業者の安定的な経営継続を目的として、南会津町農業再生協
議会を設立し、稲作の生産調整等も行っています。
今後とも関係機関・団体等と連携し、担い手の育成・確保及び経営改
善、規模拡大並びに経営の多角化に向けた各種施策を行います。
(主な事業)
・農業等振興事業補助金事業
・農林業振興基金
・農業災害対策費利子補給補助金事業
・農業経営安定支援事業
認定農業者数
指
(単位
標
認定農業者数
人)
現状(平成 26 年度)
目標(平成 32 年度)
113
140
各年度3月31日現在
- 15 -
1 営農類型
類型 Ⅰ:目指すべき農業経営
営農類型
経営規模
生産方式
水
稲
水稲(移植)
水稲(作業受託)
そば(畑作)
そば(転作)
野
菜
アスパラガス
菜
トマト
水
稲
水稲(移植)
500 a 水稲:エコファーマーによる栽培
花
花
き
木
リンドウ(露地)
130 a 露地栽培
花
花
き
木
宿根カスミソウ
130 a 施設栽培
野
1,200
800
1,500
700
a
水稲:エコファーマーによる栽培
a
a
そば:散播、機械化体系
a
140 a 施設栽培
30 a トマト:施設栽培
+
類型
Ⅱ:認定農業者
経営規模
営農類型
生産方式
1,000 a 水稲:エコファーマーによる栽培
300 a
500 a そば:散播、機械化体系
水
稲
水稲(移植)
水稲(作業受託)
そば(転作)
野
菜
アスパラガス
40 a
水稲(移植)
500 a
+
水稲
野
施設栽培
菜
トマト
20a トマト:施設栽培
水
稲
水稲(移植)
花
花
き
木
リンドウ(露地)
65 a 露地栽培
花
花
き
木
宿根カスミソウ
70 a 施設栽培
+
500 a 水稲:エコファーマーによる栽培
- 16 -
(2)新規就農者の育成・確保
新規学卒者や U ターン就職者、新規参入者などの多様な新規就農者の育
成・確保を図るため、関係機関・団体との連携のもと就農に際し必要とな
る経営のノウハウや生産技術の向上を支援するとともに円滑に就農できる
条件整備を促進します。
また、青年農業者のネットワーク構築及び仲間づくりのための活動並び
に他産業従事者との交流などの支援にも努めます。
(主な事業)
・新規就農者総合対策支援事業
・新規就農促進住宅建設事業
・新規就農者激励会
新規就農者数
指
標
(単位
人)
現状(平成 26 年度)
目標(平成 32 年度)
33
41
新規就農者数
各年度3月31日現在
類型
Ⅲ:新規認定農業者
営農類型
経営規模
生産方式
水
稲
水稲(移植)
1,000 a 水稲:エコファーマーによる栽培
野
菜
アスパラガス
40 a 施設栽培
野
菜
トマト
20 a トマト:施設栽培
花
花
き
木
リンドウ(露地)
35 a 露地栽培
花
花
き
木
宿根カスミソウ
40 a 施設栽培
(3)集落営農の育成と推進
地域農業の担い手としての役割が期待されている集落営農について、
地域での取り組み体制の整備、核となる人材の育成を支援し、集落営農
- 17 -
によるコスト削減や農作業の組織化、効率化などの具体的なメリットを
周知しながら、関係機関・団体と連携し組織化を促進します。
(主な事業)
・担い手経営発展支援事業
集落営農組織数
指
標
(単位
人)
現状(平成 26 年度)
目標(平成 32 年度)
6
10
集落営農組織数
各年度3月31日現在
(4)女性の農業経営参画の促進
女性農業者の農業経営における役割や就農条件を明確にした家族経
営協定の締結を推進し、女性が意欲を持って農業に取り組めるよう支
援します。
また、資質の向上を図るため、農業経営や生産技術に関する知識や
技術の習得に関する研修活動及び農産物・加工品の直売活動並びに起
業活動等を支援します。
(主な事業)
・女性農業者応援の検討
家族経営協定
指
(単位
標
家族経営協定
件)
現状(平成 26 年度)
目標(平成 32 年度)
28
44
各年度3月31日現在
(5)農業経営の法人化の促進
経営管理能力の向上や新規就農者の確保、農地の有効利用等が期待
されることから、法人経営を目指す農業者や農業者グループの法人設
立を支援します。
(主な事業)
・担い手経営発展支援事業
- 18 -
農業法人
(単位
指
標
農業法人数
法人数)
現状(平成 26 年度)
目標(平成 32 年度)
17
20
各年度3月31日現在
(6)総合的な農業支援体制の確立
シルバー人材センター等において、農業関連業務の一元化を図り、柔
軟性に富んだサービスを提供することにより、農業者を総合的に支援し
ます。
また、各種事業の導入・制度の改正など施策の見直し等が行われた際
においても、情報提供を行い農業者の支援をします。
(主な事業)
・アグリヘルパー応援の検討
・農政懇談会の開催
2 農用地の確保と有効利用
(1)優良農用地の確保と有効利用
農業振興地域内における優良農用地を確保するために、関係法令等
に従い、引続き適正な管理運用を行います。
耕地面積
指
(単位
標
ha)
現状(平成 26 年)
目標(平成 32 年)
耕地面積
2,069
2,155
田
1,490
1,570
畑
579
585
平成 26 年度は、農林業センサスより
(2)農用地の利用集積の促進
経営規模の拡大を図るため、農用地の流動化を促進し、認定農業者
をはじめ意欲ある担い手への利用集積を促進します。
- 19 -
(主な事業)
・人・農地プラン作成事業
・農地中間管理事業
3 耕作放棄地の発生予防と解消
(1)耕作放棄地の発生防止と再生
耕作放棄地の発生を未然に防止し、再生利用を図るため、耕作放棄
地の実態把握に努めるとともに、耕作放棄地の防止と解消に向けた取
り組みに対する支援を行います。
(主な事業)
・耕作放棄地対策事業
(2)環境と共生する農業の推進
農村集落機能の低下により、保全管理が困難となってきている農地・
農業用水等の資源や自然環境・景観等について、良好な保全管理を図る
ため、耕作放棄地の発生防止や、農業・農村がもつ多面的機能を維持す
るため、地域ぐるみで取り組む集落に対して支援します。
(主な事業)
・中山間地域等直接支払交付金事業
・多面的機能支払交付金事業
・集落維持発展支援事業
(単位
区
分
件、ha)
協定・認可数
農用地面積
21
200.7
中山間地域等直接支払協定数
多面的機能支払認定数
27
105.7
計
48
306.4
平成26年12月31日現在
- 20 -
第2節 生産基盤などの整備と施設の近代化
1 生産基盤などの整備
(1)農業生産基盤整備の推進
農業の生産性を高め、農業経営の安定化を図るため、農道やかんがい排
水路(用・排水路)の整備など、農業の持続的発展を支える基盤の整備を
推進します。
また、農地の利用集積が可能な「ほ場整備事業(経営体育成基盤整備事
業)」を推進して、将来の意欲ある担い手の育成とその経営体が活躍できる
環境整備を図ります。
(主な事業)
・農業基盤整備促進事業
・県営事業負担金(農業用施設)
・農山漁村活性化プロジェクト支援交付金事業
2
農業近代化施設の整備
(1)農業機械の整備促進
農業生産の低コスト化や効率化、経営規模の拡大を図るため、経営規
模に応じた適正な農業機械の導入や効率的な利用を促進します。
(主な事業)
・元気な産地づくり整備事業
・水田活用型園芸産地緊急育成事業
・農業担い手経営革新支援事業
(2)農業施設の整備促進
生産体制の確立と生産性及び品質の向上を図るため、ハウス等の施設
化を促進します。
また、省力化・分業化・低コスト化を図るため、集出荷施設や共同育
苗施設等の基幹施設の整備を促進します。
(主な事業)
・ライスセンターの検討
3 交流環境の充実
(1)生産者と消費者の交流促進
まちの駅「南会津ふるさと物産館」を中心に、道の駅や直売所におい
- 21 -
て、観光の情報を提供し、四季折々の農作物の提供を通して、本町の PR
と農産物の消費拡大を促進します。
(主な事業)
・まちの駅「南会津ふるさと物産館」の管理運営
・道の駅「たじま」「番屋」「きらら289」の管理運営
・観光農園の設置検討
(2)都市交流型農業の展開
本町では、会津高原ふれあい農園を活用した体験農園をはじめ、都市生
活者との交流型農業を積極的に促進します。豊かな自然環境や良好な景観
等多様な資源を有する農村の魅力を新しい形での農業経営に対して支援し
ます。
(主な事業)
・「会津高原ふれあい農園」の管理運営
- 22 -
第3節 農業経営の安定と農業生産の振興
1 生産対策の強化と農産物の安全性の確保
(1)環境保全型農業の促進
自然環境の保全を図るとともに、安全性を求める消費者ニーズに対応
するため、化学農薬や化学肥料を削減した施肥技術、防除技術の普及を
図り、環境保全型農業を促進します。
また、農業用使用済プラスチックについてはリサイクルを基本とした
適正処理を促進します。さらに農作物のバイオマスとしての有効利用に
ついて、関係機関と連携し、情報収集や導入についての研究に努めます。
(主な事業)
・南会津農業用使用済プラスチック適正処理地区協議会事業
(2)農産物の安全性の確保
安全性を求める消費者ニーズに対応して、化学肥料や化学農薬の適正使
用の啓発やトレーサビリティシステム導入により、化学肥料や化学農薬
の使用を一層削減し、安全・安心で付加価値の高い農産物の生産を推進
します。また、生産段階における衛生管理意識の定着や防疫の徹底など
の啓発に努めます。
(主な事業)
・農業生産工程管理(GAP)の推進
・地理的表示保護制度(GI)の推進
農業生産工程管理
GAP:農業生産活動を行う上で必要な関係法令等の内容に則して定められる点
検項目に沿って、農業生産活動の各工程の正確な実施、記録、点検及び
評価を行うことによる持続的な改善活動のことです。
地理的表示保護制度
GI:地域には長年培われた特別の生産方法や気候・風土・土壌などの生産
地の特性により、高い品質と評価を獲得するに至った産品が多く存在
しています。これら産品の名称(地理的表示)を知的財産として保護す
る制度です。生産業者の利益の保護を図ると同時に、農林水産業や関
連産業の発展、需要者の利益を図るよう期待されています。
- 23 -
(3)農産物に関する情報の提供
「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」に基づき、有
機農産物等に関する適切な表示について生産者へ啓発するとともに、広
報紙等による広報活動を通して消費者への情報提供を促進します。
(主な事業)
・広報みなみあいづにおける情報提供
・まちの駅「南会津ふるさと物産館」での農産物の情報提供
・町認証制度によるブランド化の推進
2
6次産業化の推進
(1)農産加工品の開発促進と農商工連携の推進
農産物や地域の資源を活用した事業の展開を図るため、農業生産者団
体等との連携を図り、本町農業の特性を生かした特色ある農産加工品の
開発や研究を促進し、製造・流通などの農業以外の分野との交流を通し、
地域産業の6次化を推進します。
(主な事業)
・地域産業6次化推進事業
3
経営安定対策の充実
(1)経営所得安定化対策の推進
国は、販売価格が生産費を恒常的に下回っている作物を対象として、
その差額を交付することにより、農家経営の安定と国内生産力の確保を
図るとともに、戦略作物への作付け転換を促し、食料自給率の向上と農
業の多面的機能の維持を目指すため、経営所得安定対策を実施していま
す。
また、制度を推進するため、関係機関・団体と連携し、対象となる農
業者への制度加入促進と集落営農組織及び認定農業者の育成に努めます。
(主な事業)
・経営所得安定対策制度の推進
(2)融資制度の有効利用の促進
- 24 -
農業者の経営改善や災害救済等を目的とする総合営農資金について融
資を推進します。
(主な事業)
・農林業振興基金
・総合営農改善資金利子補給事業
(3)青果物価格安定制度の充実
青果物(野菜・果実・菌茸・花き)生産農家の経営安定と青果物生産
の振興を図るため、関係機関・団体や生産者と連携し、対象品目の拡大
等制度の充実と加入を促進します。
(主な事業)
・青果物価格補償事業
(4)鳥獣等被害防止対策の充実強化
サル・クマ・イノシシ・ニホンジカ等による被害の軽減と拡大防止を
図るため、関係機関との連携の下、野生鳥獣による被害の防止対策事業
を推進します。
(主な事業)
・鳥獣害防止総合対策事業
・有害鳥獣捕獲報事業
・狩猟免許等資格取得支援事業
・鳥獣被害対策実施隊によるパトロール強化
(5)農業災害の防止・被災農家への支援
異常気象による暴風、豪雨、豪雪等の自然災害が多発していることか
ら、農家が耕作意欲を失うことなく力強く復興することを後押しし、農
業の維持と再生を支援します。
また、関係機関との連絡調整を行い、農業者へ気象や病虫害などに関す
る情報提供や病害虫の防除活動などを促進し、農業災害の未然防止に努め
るとともに、異常気象等により甚大な災害が生じ、農業経営の安定化のた
めの制度資金による融資を受けた場合、総合営農改善資金の利子補給事業
を推進します。
- 25 -
(主な事業)
・農業災害対策費利子補給補助金
・防霜対策事業
・農業災害支援事業の検討
(6)各種作物の生産促進
①米
米は、本町農業の基幹作物であるとともに、経営耕地面積の相当部分
を占めていますが、平成 30 年には国による米の生産調整が廃止されるこ
と、米消費の減退や全国的な過剰在庫等により米価下落傾向にあること
等、稲作経営に大きな影響を及ぼしています。
飼料用米の導入など新たな取組みも推進する必要があることから、「南
会津町水田フル活用ビジョン」に基づき、担い手を中心とした効率的な生
産体制を構築するため、農地流動化や農作業の受委託により規模拡大を図
り、生産性の向上と生産コストの低減を促進します。
また、
【売れる米】の主産地としての地位を確保するため、高品質米や
良食味米、減農薬米等の特色ある米の生産を「ごはんで農家元気プロジ
ェクト」を中心に促進します。また、中食・外食用のニーズに対応した
業務用米の生産と安定取引を推進します。
今後の稲作づくりには、主食用米のほか加工用米・飼料用米など品目
に応じた作付けに取組み、農家経営を安定化させていく必要があります。
さらに、より一層の生産コストの低減・省力化が求められることから、
大型機械等の導入を支援しながら、地産地消による安定取引を誘導し、
生産の定着、拡大を図ります。
(主な事業)
・水田フル活用ビジョンの推進
・ごはんで農家元気プロジェクト事業
・ライスセンターの検討
南会津町水田フル活用ビジョン:南会津町農業再生協議会が策定した本町の水田農業について
基本的な方向と目標を定めた計画書
ごはんで農家元気プロジェクト:
「ごはんで農家元気プロジェクト策定委員会」を組織し、南会
津町産米の地産地消、地産外消、ブランド化を目指して、「農
家と関係企業等が共栄・共存できる助け合いの仕組み」を構築
する活動母体
- 26 -
②そば
そばは、本町の振興作物となっていますが、高い標高が寒暖の差を生み、
昔からおいしい、品質の高いそばが生産され、土地利用型作物として定着し
てきました。近年は農業生産法人等により遊休農地を解消しながら、そば畑
を拡大しており、
「在来種」と「会津のかおり」の双方の特色を活かした、そ
ばの安定生産と品質向上の確保、作付けの団地化や担い手への作業受委託、
機械化による省力化生産体制の構築を促進し、生産の定着、拡大を図ります。
また、町内にはそば加工所やそば屋、手打ちそばを売りにした宿泊業者が数
多く存在していますので、観光との連携を深めていきます。
(主な事業)
・経営所得安定対策制度
・そばウォークの開催
・新そばまつりの実施
③野菜・山野資源
本町の気象条件等に適し、地域特性を活かした地域農業を確立するため、
現状の出荷販売用野菜の他、新たな品目・品種・作型の導入と生産性の向上
を促進します。
また、化学肥料や化学農薬の使用を低減し、持続性の高い生産方式による
野菜作りを推進するとともに、環境にやさしい生産技術の普及に努めます。
(主な事業)
・地域農業モデル創出事業の検討
④果樹
多様化する消費者ニーズや内外の産地間競争に対応するため、品質向上と
安定生産に向け、優良品種導入による品種構成の適正化や老朽圓地の改植、
施設栽培の拡大などを促進し、高品質な果実の供給を促進します。
⑤花き
市場の大型化や産地間競争に対応するため、地域条件に適した品目・品種・
作型の導入やハウス等の施設整備による生産性、品質の向上と周年生産体制
の整備、さらには省力機器導入による生産拡大を図り、産地体制の強化を促
進します。
- 27 -
⑥畜産
乳用牛は、需要動向に応じた計画的生産と低コスト化を推進するため、乳
質の改善や経営の安定を支援します。
さらに家畜排せつ物を有機質肥料として有効活用を促進するとともに、農
家における衛生管理の徹底と地域の防疫体制の強化に努めます。
(主な事業)
・畜産クラスター計画の推進
⑦飼料作物
自給飼料生産の効率化と省力化を図るため、水田における飼料作物の生産
や遊休農地の有効活用により飼料作物を増産し、生産コストの低減を促進し
ます。
⑧その他作物
自家消費が中心となっている作物については、自給率・自給力の向上を図
るとともに、直売所等との結びつきを構築及び強化するとともに、地力増進
作物や景観形成作物と併せ、作付面積の拡大を推進します。
4 消費拡大の推進
(1)トップセールス等による農産物 PR の推進
町・関係機関・団体が一体となって、トップセールス等による大消費地
を中心とした農産物と観光の PR 活動等により産地の知名度アップと消費拡
大を図るとともに、市場流通を基本に農産物の流通を促進します。
(主な事業)
・ふくしまの恵みPR支援事業
(2)学校給食における地産地消の推進
学校給食における米や野菜等の農産物の自給率向上に努め、地産地消に
よる消費拡大を促進します。
(主な事業)
・地元産米消費推進
(3)食育の推進
生産者と消費者の交流や「農」とふれあう機会をとおして、地元農産物
- 28 -
への愛着をはぐくみ、自然の恩恵、食の大切さへの理解を深める食育を推
進します。
(主な事業)
・放課後子ども教室による農業体験の推進
- 29 -
第4節 放射能対策
農業の再興に向けて
1 放射性物質検査の実施
農作物及び農地等の放射性物質の検査については、モニタリングや米の
全量検査など詳細な検査を実施します。また、関係機関・団体と連携し、
多くの地点の幅広い品目について、キメ細かく実施します。そして、その
結果や国・県などの関係機関から得られた情報については速やかに公表し、
生産者や消費者に正確な情報を提供します。
2
風評被害の払拭に向けた対策
放射性物質の検査体制を強化し、消費者へ正確な情報を発信することに
より、南会津町産の農作物の安全性をアピールします。
そのため、トップセールス、PR 事業の拡大やイベントの実施、安全性を
アピールするチラシの作成などにより、安全なものだけを出荷しているこ
とを積極的に PR し、福島ブランドのイメージ回復と向上に努め、風評被害
を払拭します。
3
損害賠償請求への支援対策
本町の被害状況を踏まえ、迅速な賠償・補償がなされるよう、国・東京
電力への原子力損害賠償手続きが円滑に進められるよう、県・JA等の関
係機関・団体と連携し、農業者を支援します。
- 30 -
第5節 計画の推進
1 推進体制
本計画の実現に向けて、計画的に基本施策を推進し、目標の達成を図るため
には、農業者をはじめとする町民、関係機関・団体、各種事業者など「農」
「食」
「健康」
「資源」等に関わる様々な主体が役割を認識し、それぞれの役割を果た
しつつ、協働、連携により、点から線、線から面へと広がり、幅広いネットワ
ーク形成による、一体的な取組みが必要です。
また、平成 30 年には国による米の生産調整が廃止されること、TPPによる
影響、国県等の施策など農業を取り巻く環境の変革に対応するため、必要に応
じて本計画の見直しを行います。
2 関係主体の役割
(1)農業者、農業生産法人に期待する役割
農業者及び農業生産法人は、本町の「食料・農業」を支えるばかりでなく、
雇用や経済をはじめとする地域そのものを支える主体であるという認識を持ち、
生産技術や経営管理能力の向上に努め、安全・安心・新鮮・おいしい農産物の
安定供給を図るとともに、後継者の育成を図りながら、農村の維持形成を担っ
ていくことが期待されています。
(2)農業協同組合に期待する役割
JA会津よつばは、本町農業振興を図る上で主導的な役
割を担っており、農家経営の安定化を目指して、きめ細や
かな営農指導、助成制度、消費者ニーズを把握した情報提
供等により、農業者の生産部会をリードし、南会津産の安
全・安心・新鮮・おいしい農産物等の流通販売をしていく
ことが期待されています。
(3)町民(消費者)に期待する役割
本町における「農業」の果たす役割を十分に理解し、できるかぎり町産の農
産物の消費を心がけ、
「食」に対する正しい知識を学びながら、地域内で資源が
循環する循環型農業の一翼を担うことが期待されています。
(4)商工業者に期待する役割
本町における「農業」の果たす役割を十分に理解し、食材、商品原料として
できるかぎり町産の農産物を使用し、
地産地消することにこだわりを持ち、
地域に密着した事業展開をしていく
ことが期待されています。
- 31 -
(5)三セク企業に期待する役割
本町における「農業」の果たす役割を十分に理解し、管理施設である観光宿
泊施設、温泉施設、販売施設等において本町の農産物を食材、土産品として積
極的に利活用して地産地消を心がけるとともに、町外においても町産農産物、
農産加工品の販路拡大をしていくことが期待されています。
(6)NPO、ボランティア団体等に期待する役割
NPO、ボランティア団体などは、その多くが地域に密着した活動を行って
おり、今後の本町農業を支える新たな担い手として、また、本町農業を支える
支援者として農業者、農業関係団体、行政等と協力し、農業に携わっていくこ
とが期待されています。
(7)集落、集落営農組織に期待する役割
農業者の高齢化、減少により耕作放棄地の増加や農地、水路、農道等の農業
用施設の荒廃が顕著となってきています。集落や集落営農組織の取組みにより、
農業用施設の維持管理だけでなく、地域力による、直売所の運営や有機農産物
の生産販売等の地域資源を活用した取組みが期待されています。
(8)福島県
的確な人材、技術、情報等を提供しつつ、それぞれの主体的な活動を支援す
るとともに、県内、他市町村との連携の中から、本町農業の将来を見据えた指
導、アドバイス等により、本町農業の振興を図ることが期待されています。
(9)南会津町
本計画を実現するため、行政内部の円滑な推進体制を構築し、農業者、農業
協同組合、商工業者、企業、集落、福島県等、農業に携わる組織間の連携を強
化し、情報交換を行いながら計画の推進を図るとともに、それぞれの組織の活
動が円滑に進むように支援します。
また、「農業・農村の役割」、「食に関する正しい知識」などの情報を町民に提
供するとともに、南会津町に人が訪れ、農産物をはじめとした経済が町内で循
環し、農業を起点とした地域振興を行います。
地場産品展示販売施設
「まちの駅:ふるさと物産館」
- 32 -
第4章
資
料
南会津三色アスパラ
南会津町のアスパラガス栽培は昭和 40 年代の半ばから始まり、福島県で 2 番目の出荷量
を誇ります。
(ちなみの福島県は全国で 5 番目の出荷量です。
)出荷は、ハウス栽培で 3 月
下旬から始まり、4 月下旬頃にはピークを迎えます。露地栽培は5月の連休頃に出荷のピー
クを迎えます。その後は継続的に出荷され、9 月末ごろまで続きます。
甘くておいしい緑色のグリーンアスパラガス、土を被せ遮光栽培したホワイトアスパラ
ガス、老化や発ガン予防に効果があるといわれるポリフェノールのひとつであるアントシ
アニン色素の多いパープルアスパラガスは総称して三色アスパラと呼ばれています。
- 33 -
策定の経過
No
日時
生産団体名
1
10 月 22 日
田島花卉部会
2
10 月 29 日
会津田島アスパラ部会
3
11 月 2 日
たていわ花木草組合
4
11 月 11 日
ごはんで農家元気プロジェクト
5
11 月 27 日
南会津花卉園芸組合
6
12 月 1 日
南郷トマト生産組合
7
12 月 15 日
第1回
南会津町農業振興計画策定委員会
8
1 月 14 日
第2回
南会津町農業振興計画策定委員会
9
2月4日
第3回
南会津町農業振興計画策定委員会
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備考
第2次南会津町農業振興計画
発行日
平成 28 年 6 月
発行者
南会津町農林課農政係
〒967-8501
南会津町田島字後原甲 3531 番地 1
TEL
0241-62-6220
FAX
0241-62-6102
E-mail
[email protected]