春・夏号 交通大学編 [No.13]

交通大学を開催
咲かせるものと期待している。
いずれ全国各地で実となり花を
安心できる交通社会実現の種は、
従来の対策としては、第1の
処方箋 (S 年→S 年)として、
げ止まりの傾向が見られる。
クに減少し始め、ここ数年は下
ている。それも平成4年をピー
他の人のために役立つことが、
自分をも安全に向けて動機づけ
してもらう余地は十分にある。
など)の安全のためにひと働き
歩車道の整備や立体横断歩道・
きである。
る機能をもつことに注目するべ
* * *
受講者の方から頂いたご意見
□今回、初めて参加させて頂き、
カーブミラー設置など「モノ」
* * *
受講者の方から頂いたご意見
大変勉強になりました。色々
への対策と、第2の処方箋 (H4
回記念大会
事故ゼロ 安全な交通社会へ向けて
第
先生より、今回で 回目を迎え
な業種の方からお話しを頂け
方々による講義が行われた。
様々な分野でご活躍中の講師の
ただいた鈴木 春男先生をはじめ
をテーマとし、昨年もご登壇い
な交通環境を構築するために―」
らの安全な交通社会を目指して ―交通事故の悲劇をなくし快適
の課題として受け止めるため、
れた情報を発信してきた。
り上げ、学術的知見に裏付けら
状況に応じて多様なテーマを取
間にわたり、世相や交通社会の
してスタートし、その後、 年
な情報を発信することを目的と
一方で、交通問題を第三者的
な視点で捉えることなく、自ら
たいです。
した。これからも続けて頂き
ト」への対策がある。
実践型交通安全教育という「ヒ
日頃なんとなく感じているこ
特に高齢者事故に関する話は、
とを言葉にしてくれたため、
整理された。
れだけでは対応できない「限界」
この2つの処方箋の併用によ
り大きな成果が得られたが、こ
安全な交通社会を築くために
□ □ □ 第1講座 □ □ □
昔の子どもから学ぶ
教育の将来像を提示する
主に子どもを対象にした交通安全
方箋が必要なのではないか?
わが国では、交通事故死者数
のうち高齢者が半数を超える (H
最大の課題は高齢者対策
が出てきている。今、第3の処
年後を見据えて 安全に向けてヒトが
モノにどう働きかけるかを考える
講師 鈴木 春男
)
(一般財団法人 日本自動車研究所 安全研究部)
講師 大谷 亮
層に比べ高齢者は約2倍危険性
第1講座は、子どもに対するこ
%)
。これは、他の年齢
基調講演では、従来の交通事
故への対策に加えた今後の安全
が高いことになる。従って高齢
れからの交通安全教育のあり方
・
対策を「第3の処方箋」として、
者への対策は交通事故死者数の
についての講義が行われた。
年
どのような取り組みが必要とさ
削減に向け、重要な課題となる。
としてのみ扱われることが多い。
45
54
* * *
子どもは将来のドライバー候補
* * *
交通事故死者数下げ止まりの今、
方など、当事者のお話を聞く機
しかし、高齢者の生活は比較的
交通大学 年のあゆみ
第3の処方箋の必要性
近年では、子どもの交通事故
は減少しているものの、歩行中
会も設けてきた。
安定しており、時間的ゆとりも
の事故の下げ止まりが見られる。
コーディネーター 金光 義弘
あり、社会参加意欲も高い。
交通大学の歩んだ 年は決し
て目覚ましいものとはいえない
交通事故の死者数を見ると、
昭和 年をピークに昭和 年ま
(川崎医療福祉大学 名誉教授)
で減少し、その後増加に転じ↘
(裏面へつづく)
らず、交通分野においては弱者
日本の高齢者は比較的、経済・
生活的に自立しているにも関わ
高齢者への動機づけ
やバイクが欠かせない 等)
関での移動が中心・地方では車
る。
(例:都市部では公共交通機
が必要である、ということであ
るので、生活実態に応じた指導
なり、抱える問題も異なってい
ぞれ置かれている交通環境は異
しかし、対策をする上で重要
なのは、高齢者といってもそれ
れているのか、講義が行われた。
千
( 葉大学 名誉教授
将来の交通安全教育
―ヒトを動機づけるための処方箋―
□ □ □ 基調講演 □ □ □
□考察、話が非常に面白かった。
る交通大学のあゆみについてお
平成 年 月 日(月)、アー
クホテル岡山にて「第 回記念
* * *
次項からは、各講座の内容の
抜粋と、アンケートに寄せられ
交通死亡事故の遺族の方や視覚
機能・運動機能を失われた方、
年)として、参加・体験・
年→H
54
る場は、とても貴重に感じま
話をいただいた。
た受講者の意見を一部紹介する。
社会を構築する」ための多面的
「誰も
交通大学は平成7年に、
が安心して暮らせる快適な交通
* * *
大会 交通大学」が開催され、各
地から集まった約150人の受
講者が講義に真剣に耳を傾けた。
45
5
他の人(孫や孫の親世代↘
が、岡山の地で蒔いた安全で↘
高次脳機能障害者とその家族の
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講義の前に、開講の挨拶とし
て、コーディネーターの金光↘
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□ □ □ 開講の挨拶 □ □ □
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今回の交通大学は、「これか
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20
マイクロメイト岡山株式会社 発行
営業本部 岡山市北区奥田本町 22-4 〒 700-0932
TEL 086-231-0900 FAX 086-226-4084 http://www.mmo-co.com/
MMO 新聞 [MMO TIMES]
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No.13
MMO 新聞
2016 年 ( 平成 28 年 ) 春・夏号 [ 交通大学編 ]
(1)
2016 年 ( 平成 28 年 ) 春・夏号 [ 交通大学編 ] 目次
◯第20回記念大会 交通大学を開催・・・・・・・・・・・・・・
(1)
者には子どもが 多 い 。
そして歩行中の 事 故 の 第 一 当 事
いう考え方に共感できた。
が将来の安全に資するものと
できた。地域での地道な教育
の足が車両の下に滑り込んでし
使用・バンパー部位では歩行者
ト部位に衝撃を吸収する部材を
者保護対策としては、ボンネッ
だいた。
保険業界の立場から講義をいた
第3講座第1部では、事故に
よる損失と保険の役割について、
を義務付ける条例を制定する動
そして近年自治体によっては
自転車の賠償責任保険への加入
ている。
物を作る人、道路を建設・整備
それゆえに、乗り物を運転す
る本人はもちろんのこと、乗り
で途切れるということである。
絶対数として 子 ど も の 交 通 事
故が減ったから と い っ て 安 心 し
子どもから大人まで安心できるクルマ
マツダの安全への取り組み
マツダの将来の考え方として
は、クルマの価値である「個人
最悪の状態には車が自動運転を
を行っている。
補強部材を使用するなどの対策
まうことを防ぐための形状や、
第3講座第2部では、命の尊
さについて、医師の視点による
(岡山市立市民病院 産婦人科 診療部長)
講師 小橋 勇二
第2部 〈医師の立場より〉
える保険への加入が進んでいる。
きもあるなど、自転車事故に備
□保険金支払データから推計し
* * *
受講者の方から頂いたご意見
していただきたい。
後の交通安全に向けさらに発奮
一度、命の尊さをかみしめ、今
通文化に関わる全ての人が、今
する人、交通安全教育の人、交
□ □ □ 第2講座 □ □ □
講師 原田 千花子
の自由な移動による生活の充実」
専門的な解説を交えながらの講
ていないだろう か ?
結びつく対策を 行 う 必 要 が あ る 。
(マツダ株式会社 商品戦略本部 技術企画部)
に向けて、安全性を求める「機
義が行われた。
能力を使い成長を求める「ヒト
転車事故の状況や保険につい
でわかりやすかったです。自
的な対策のみで は な く 、 将 来 に
また、子ども は 将 来 の ド ラ イ
バー候補でもあ る の で 対 処 療 法
子どもの特徴
第2講座は、将来の安全に対
するマツダの思想と取り組みに
械中心の考え方」と人が自分の
が第一当事者と な る 事 故 原 因 と
中心の考え方」があると考えて
ても重要であり、広く一般的
づくりへの取り組みを紹介する
子どもの一般 的 な 性 格 傾 向 と
して、衝動的な 側 面 を も つ こ と
ついての講義が行われた。
して多い、「飛び出し」を誘発す
いる。これはどちらかが正しい
た交通事故の発生状況は新鮮
が挙げられる。 こ れ は 、 子 ど も
るものではある が 、 子 ど も の 衝
というものではない。
教え方を行うこ と と し て 、 高 学
に要する時間の 判 断 が 困 難 な ど )
の歩行速度を過 大 視 す る / 横 断
この他にも子 ど も に は 年 齢 ・
段階に応じて、 知 覚 特 性 ( 自 ら
や教員・保護者 の 配 慮 で あ る 。
求められるの は 飛 び 出 さ な い
ための子どもへ の 教 育 と 、 友 人
して、子どもの安全に関する取
これを支える重要な要素であ
る、安全性能を高める考え方と
じるクルマづくりをしている。
マツダでは、人間中心の考え
方に基づいた「走る歓び」を感
ました。
ているかを感じることができ
きるように創意工夫がなされ
ローし、事故や危険を回避で
イバーが起こすミスをフォ
なかで、いかにクルマがドラ
今後の展望を話を聞いていく
□マツダの安全思想、取組み、
* * *
受講者の方から頂いたご意見
行う。というものが考えられる。
の確保や外部への連絡を自動で
の移動を行い周囲を含めた安全
替わり車が運転、最適な場所へ
もし最悪の状態になれば、人に
とがわかる。
と数倍の事故が発生しているこ
プされるが、物損事故を含める
このデータから、交通事故と
いうと人身事故がクローズアッ
238万725件となっている。
事故による保険金の支払件数は
のデータであるが、同年の物損
とになる。これは人身事故のみ
遭う(被害者になる)というこ
と100人に1人は交通事故に
おり、このデータから推計する
115万4千597件となって
件数は死亡:3,977件、傷害:
平成 年度の保険金支払状況
を見ると、自賠責保険の支払い
交通事故によって命の伝承が
であり、稀有なことである。
関を乗り越えてくるということ
時の胎位の異常など、数々の難
まで来たとしても、早産や分娩
不妊や染色体異常、出産の段階
元気な子が誕生するというこ
とは、妊娠の成立から出産まで、
命の誕生
できました。
また、今回は意見交換会も開
催することが
開催することができました。
第 回を迎える交通大学も、
多くの方にお越しいただき無事
す。初心運転者教育現場で活
絶対にあってはいけない事で
通事故でなくすということは
ました。その命の大切さを交
な事であることがよくわかり
りませんでした。改めて大変
□今まで、これほど詳しい命の
た。
(第1部)
に知られるべきだと感じまし
動性は、脳の発 達 に お い て は 正
* * *
保険金支払いデータで
しい道程である 。
将来の技術コンセプトとして
は、通常は人が運転操作を行い、
年には答えは一 つ で は な く 複 数
り組みを紹介する。
自転車事故の高額賠償事例
講義を頂い
た先生方、受
歳位までは法規 を 遵 守 す れ ば 絶
対的安全が確保 で き る と 認 識 )
などの特徴があ る 。
子どもへの教 育 担 当 者 の 心 構
えとしては、学 齢 段 階 に 応 じ た
歳)と正面衝突し、
用していきたいです。(第2部)
編集後記
本当にありが
講者の皆様、
20
26
行中の女性(
誕生について聞いたことがあ
あることを伝え た り 、 あ え て 難
□ □ □ 第3講座 □ □ □
ご多忙の中
見る交通事故
しい言葉を使う こ と や 、 低 学 年
例えば、運転席から見たAピ
ラーとドアミラーの間に隙間が
命の尊厳と事故による損失
自転車事故による高額賠償事
例は、男子小学生( 歳)が歩
途切れるということ
自動車・自転車等は人の命を
奪う凶器となりうるものである。
とうございま
□子どもの年令 特 性 に よ る 順 を
11
や道徳・慣習・ 法 規 の 認 知 ( 6
が対象の場合は 平 易 な 言 葉 と 具
できるよう配置することで、背
女性は頭蓋骨骨折等の障害を負
交通事故で死亡するというこ
とは、親から子へ子から孫へと
* * *
体例、重要なこ と は 反 復 す る こ
の低い子どもを発見しやすくす
たった一つしかない大切な命 命の
誕生と事故の代償について考える
い意識が戻らない状態となった
した。
* * *
マツダの安全思想
となどが挙げら れ た 。
始動を防ぐシステムなど、様々
第1部 〈保険業界の立場より〉
継がれるはずの尊い命がそこ↘
その他、事故発生時の歩行↘
る工夫や、子どものエンジン誤
*
*
*
受講者の方から 頂 い た ご 意 見
な工夫を行っている。
事故で9千521万円となっ↘
(一般社団法人 日本損害保険協会 業務企画部)
講師 金泉 浩二
追った教育の 大 切 さ が 理 解 ↘
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No.13
MMO 新聞
2016 年 ( 平成 28 年 ) 春・夏号 [ 交通大学編 ]
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