水素エネノレギーシステム Vo . 1 2 4, N o . l 研究論文 海藻を基質に利用した発酵法による 水素生産の可能性について 谷生重晴、菅沼剛 横浜国立大学 2 4 0 8 5 0 1横浜市保土ケ谷区常盤台 7 9 2 F e a s i b i l i t yofHydrogenProduction企omSeaweedsbyFermentation ShigeharuTANISHOandTakesiSUGANUMA YokohamaNationalU n i v e r s i t y I b kiwadai, Hodogaya-ku, Yokohama240・8501 79・2' Tou s ek e l p sa sas u b s 回t ef o rf e n n e n t a t i v eh y d r o g e np r o d u c t i o nbyE n t e r りb a c t e ra e r o g e n e s由討nE . 8 2 0 0 5, h y d r o g e ne v o l u t i o nr a t e sandy i e l d sf r o mm a n n i t o lw e r er n 回s u r 吋 u n d e rv a r i o u s回 l t c on 印 n t r a t i o nc 凶加r e s . 岡田l tc o n d i t i o , n 由eywere1 3r n m o lp e rl i t t e rαd 同r ep e rh o u ra n d1 .6r n o lH2p e rr n o lr n a n n i t o l ,a s Undernon c o m p a r 吋 w i 血t h e s e ,u n d e rs a l tc o n d i t i o n1% ,20 / 0 ,a n d3 0 / 0 , 血e yw e r e9 . 9a n d1 .54 . 3and1 .2,and3 . 0and0 . 9 ヲ ラ r e s p e c t i v e l y . Fromt h e s er e s u l t s ,wec onduded由a tt h ep r o d u c t i o no fh y d r o g e ni ss u i t a b l eu n d e rn o n s a l t , n butlowers a l tc o n d i t i o n由ans e a w a t e re 甲e c i a l 1 ya r o u n d1%i sa l 1 0 w a b l ef o rp r a c t i c a lp r o d u c t i o no f c o n d i t i o eh i g h e ry i e l do fH2企omm a n n i t o l血anfromg l u c o s ewasd e a r l yshownf r o m血emassb a l a n c e h y d r o g e n . 百l a 1 α u a t e dH2f r o mm e t a b o l i t e . b e t w e e ne v o l v e dH2andc Keyw o r d s :h y l 曲。g e np r o d u c t i o , nf e n n e n t a t i o n ラm a n n i t o l , k e l p , b i o m a s s , s e aw a t e r , E n t e r o b αc t e ra e r o g e n e s などが考えられている。メタン発酵によるメタンの発生 1.緒言 やゴミのJ焼却熱を利用した温水の供給などを除いて、こ 現在地球上には約 2兆トンのバイオマスがあり、さ れらの利用法はまだ実用化されていないが、発酵法によ らに毎年約2000 億トンずつ生産されているロ毎年生産 る水素化は非常に実用に近いところにある変換方法の一 されるバイオマスは全世界の年間エネルギー消費量の約 つである。 1 0 倍に相当し、バイオマスは、太陽光をエネルギー源 バイオマスは約2 1 3 が陸上で、約 1 1 3が水中とくに海水 として空気h 水、土墳の作用で生成されることから、無 1 ] 0日本は四面を海に囲ま才1 ヘ 中で毎年生産されている [ 限に利用可能なクリーンなエネルギーと言われている。 水中バイオマスの生産に非常に適した環境にある口また、 現在のところ、バイオマスのエネルギー利用法として 古くから海藻の利用が盛んで、紅藻類から作る干しノリ は海苔として、褐藻類のコンブ、ワカメは調日料斗、食用 は 、 ・バイオマスに含まれる石油成分を抽出する方法 として養殖、採取されており、よく研究されている海産 -海藻や農林廃棄物などをメタン発酵やアルコール発 作物類の一つでもある。これら海藻のうち、マコンブ、 オニコンブなどは非常に生産性が高く、さらに、水深 酵の基質に利用して燃料とする方法 5 白nから低潮線の聞で生育するので、沿岸域でエネル ・人間や動物の糞やし尿をメタン発酵する方法 -光合成で水素発生を発生する藻類や菌類から水素を 採る方法 ・発酵法で炭水化物を水素に変換する方法 ギーバイオマス資源として栽培生産する可能性は非常に 高いと言える。 コンブ顎は図 1に示すようにマンニトールを主成分 .葉緑体で太陽電池をつくる方法 とし、アルギン酸をほぼ同量含んでいることカミ矢口ちれて ・高温高圧でバイオマスをガス化する方法 いる問。筆者らが発酵水素発生に利用している 1999年 4月 8日受理 - 19- 水素エネルギーシステム Vol.24, NO.l 研究論文 品 抑w o b a c 白ra e r o g e n e sは、マンニトールを基質に使 用して水素発生を行うだけでなく、グルコースを基質に -乳酸 CH +NADH+H+ 3COCOOH したときの水素収率が1.0[ m o l H / m o l s u b s t r a t e ]で 、 あ るのに対し、マンニトールでは1.6と効率よく水素を発 3 ]。また、水素発生速度も 36m m o l l c u l t u r e .1h ' 生する [ CH +NAD+ 3CHOHCOOH ( 2 ) -酢酸 CH +H20+NAD+ 3COCOOH と非常に速く [ 4 ]、コンブ類のエネルギー利用には発酵 → CH +CO2+NADH+H+( 3 ) 3COOH l 水素発生法は最も適した変掛去のーっと考えられる。 → -エタノール CH +NADH十 日 + 3COCOOH p r o t e i n 1% c e l l u l o s e 1% → CH 0H+2C02+NAD+ 3CH 2 ( 4 ) このように、生物は嫌支{状態下で NADH を再酸化する a l g i n a t e w a t e r 7% ために代謝産物を生成しているが、培地 pHが低くな 79% m a n n i t o l ると、バクテリアは細胞の近傍の pHを生育に適切な 8% 状態に保つために、一部のNADHを次のように反応さ 図 園 田 図 せて水素を発生すると言われている恒]。 ロ 悶 -水素 NADH+H+→ NAD++2H++ 2e これまで、 E a e r o g e n e sの水素発生では、塩化ナト 2H++2e → H2 NADH+H+ → NAD++ H 2 リウムを含まない培地で実験が行われてきたカミ海藻を ゆゆ一切 図1 コンブの構成成分組成 大量に使用するなら、塩水培地で水素発生を行うことが コストを抑えた工業的水素生産のために必要になると考 3 . 実験方法 素発生 えられる。科医では、種々の塩濃度下での発酌k をしらベ、海水環境下での水素生産の可能性を検討した o b a c 加r 実 験 に 使 用 し た バ ク テ リ ア は 、 品2担r a e r o g e n e ss t .E .82005である [ 4 ]。表 1に示した前培養 ので報告する。 液組成で準備した滅菌液に菌を植え付けた後、 3 8Cの 0 2 . 発酵水素発生 恒温槽で樹半しながら 1 7時間菌体を培養した。この前 培養菌液 1ml を表 1に示した本培養食塩液 3 5mlに加 発酵により水素を発生する微生物は、グルコースなど え、マグネティックスターラーで開半しながら一定時間 の糖類を代謝分解することにより、水素と有機酸を生成 毎に水素の発生量を測定したロ培養前と培者麦の培地は、 する。代表的な糖の代謝経路としては、 E M( E mbden- 液体クロマトグラフ(信和化工鰍 ul 廿o nPS ・ 80 町で分 Meyerhoh)経路、 ED ( E n t n e r D o u d o r o 的経路、 PP 析し、代謝産物濃度を測定した。菌体重量はH 及光光度計 ( pe n t o s eP h o s p h a t e )経路の 3つの経路があり、生物に 表 1 培養液蹴立 τ' P( A d e n o s i n e官 1 とってのエネルギー源である A p h o s p h a t e )を生産している。品2白w o b a c t e r科の微生物 催路で、グルコー は、酸素が無い嫌気状態下で、は主に E1 前培養 成分 G l u c o s e 5 ]、水素発生に関与する NADH(N i c o 出 1・ スを分解し [ Manni 旬l amideAdenineD i n u c l e o t i d e, r e d u c e df o ロn )とピルビン Pep 加n e 酸 、 ATP を次のように2 モルづっ生成する。 C6H1206+2N AD++2AD P+2 P i → 2CH + 剖ADH+却 + +2A TP ( 1 ) 3COCOOH ピルビン酸はさらに反応して、次の例のように最終の代 謝産物に変イじする。 - 20一 オヰ音養 g / l] [ g / l1 [ 1 5 . 0 1 5 . 0( 7 . 5 )士 2 . 0 5 . 0 C i t r a t e "H20 1 .0 1 .0 別HJ2S04 Mg S04 2 . 0 2 . 0 0 . 2 0 . 2 Na HP0 1 4 . 0 1 .0 4 2 P0 6 . 0 1 .5 KH 2 4 官一部の実験では7 . 5 g /lの濃度で、行った。 水素エネノレギーシステム Vo . 1 2 4, N O . 1 研究論文 を用いて測定した。また、培養途中の菌体濃度、代謝産 続していた。培養終了後のマンニトールの消費量を比較 淀は、 21の培謝習で1.81の培養液を用い 物濃度の担i すると、初めに8 2 . 3mmo l/lあったマンニトールが、塩 て行ったロ 濃度 1%では20 時間ですべて消費されたが、 3%では 45 時間後でも 6 7 . 2mmolll が消費されただけで、あった D 図 4 . 実験結果 中の期皐は次式で表わされる修正ロジスティック曲線で、 問、実視!日直と近似曲線値とは非常によく一致しており、 図 2は各食塩濃度における水素発生量の経時変イむの 図を示したものである。この図から、食塩濃度が高くな るにつh-水素発生量及びグラフの傾きとして表れる水 素発生速度が悪くなっていくことがわかるロ食塩を加え 水素発生の安繍時間、水素発生速度、水素発生量の推定 には利用できる。 作 品 即 日 却 {-m 甲[品問 xe/ 品 1axX(L-t ) +1 ) ] }( 8 ) ていないグルコース培地からは培養開焔麦約 2時間で水 V :水素発生量 [mmolJ 素を発生したが、食塩を加えて培養を行うとNaCl 濃度 B ηax:最大水素発生量 [mmol] 1%では約 3時間後、 2%では約 4時間後、 3%では約 6 e: 2 . 7 1 8 2 8 時間麦に水素発生が始まり、水素発生までに時間を要し Rmax:最大水素発生速度 た口また、食塩濃度 1%で、は水素発生が20 時間で終了し L : 水素発生までに要する時間[h l たカミ 2% 、3% では30 時間結晶してもまだ水素発生を持 t :培 養 時 間 阿 [mmo 1 / h ] 1 4 0 表2に示すように、食塩濃度が濃くなると、水素発生 言120 。 量、発生速度、発生までの時間、発生終了時間、収本 マンニトール消費量のどの比較要素も悪くなったが、食 i100 塩濃度 1%と3%について、水素発生終了時の菌体濃度を ロ 品 80 消費マンニトール量当たりで比較すると、それぞれ 14.& 0 晶 . 260 。 1 5 . 9[mg ・ 世y c e l l / mmol ・ manni 加l Jでほとんど変わらな 匂『 S40 かった。このことから、 NaClはマンニトールの取り込 占 20 水素発生速度なども遅くなったと考えられる。 みに影響を与え、その結果、菌の増殖速度カヨ屋くなり、 ; : j これらの結果から、海水を直接培養液に利用するこ O O とは生産性の観点から適当ではないが、収穫した昆席に 1 01 5 20 25 3 0 35 40 4 5 C u l t i v a t i o n[h] 付着している海水が混ざる程度で、あれば、水素発生に大 NaCl1% mNaCl2%. .NaCl3%• NaCl0% きな影響を与えないと言えるであろう。 4・ 図 2 各食塩濃度下での水素発生状況 表2 水素発生特性に及ぼすNaCl 濃度の影響 NaCI 近似曲線による予測値 実 担 、 引 直 濃度 水素発生量 水素発生速度 収率 [ % ] [ m m o l l l ] ・ l (h ) ] [ m m o l l [ m o l l m o l ] [ m m o l l l ] O 1 2 2 1 4 . 9 1 .5 8 2 1 0 7 9 . 2 1 .3 8 2 9 1 4 . 8 2 3 6 7 3 . 5 1 .0 基質消費量 菌体濃度 水素発生量 水素発生速度 始発時間 6 7 - 21 ー [ g I 日 1 .2 0 1 .0 7 収率 [mmo l / l ] [mmo ] j ( l. h ) ] [ h ] [ m o l l m o l ] 1 2 7 1 5 . 0 5 . 6 1 .5 5 1 1 0 1 0 . 0 5 . 6 1 .3 3 9 8 4 . 4 7 . 3 3 . 1 9 . 0 7 2 1 .2 7 水素エネルギーシステム V o . 1 2 4,N o . l 研究論文 100 0S+NADH+CS H1 0S+NAD+→C日H1 r r( , 句 4 2 CeH12 0s+2N AD+→ 2CH +2H ( 1 0 ) 3COCOOH+2NADH 十 06 +3NAD+→ C6H1 4 2CH +3NADH+3H ( 1 1 ) 3COCOOH 十 図3に示す代謝産物濃度から、式(り 切などに示す 20 。 代謝同志式を使用すれば、マンニトールの分骨平により生 成したピルビン酸量とNADH 量、代謝産物生成に使用 O 1 0 戸 リ 1 5 20 C u l t i v a t i o n[ h] M a n n i t o l 一 対 ← -Acetate 一哲ト百 されたNADH 量が分かるので、余ったNADHは全て水 素発生に使われたとして、計算で求めた水素量と実演1 ' で a c t a t e . { } . . . .S u c c i n a t e …恭一.L ~験- B u t a n e d i o lーや品目 E t h a n o l 得た水素量とを比較することで、この式が正しいかどう はその結果を示している。計算によ か判定できる。図 5 る水素量と実測の水素量の経時変化が非常によく合って 図3 r 、 J a C l 存在下でのマンニトールの代謝 いることから、マンニトールの分解反応には、 3mol の NADH が関与していることカ羽万らかになった。 1 0 0 日 1 1 H I I 0 1 I F F C F p C H O o I H I H l o 2 0 l H H H H O O p F C C F C H H O O I H I o I 2 H 0 lH 1 H 1 H I O 虻 0 p C F U F 1 H J H 3 1 2 H H 0 0 H H 8 0 ー i 。60 D G l u c o s e Dゐl a n n o s e D M a n n i t o l 。 ト E @ 岨 回 図4 D・グルコース、 D・マンノース、 D・マンニトールの 2 0 構造式 O 、 1% 塩濃度下での培養におげる液体クロマト 図3は 10 5 O グラフで分析した培地中のマンニトールと代謝産物の濃 1 5 20 25 C u l t i v a t i o n[h] c a l c u l a t e dH2-彊ー m a n n i t o l 度を示したものである。この図から分かるように、主な 0 -m easuredH2 • 代謝産物は字国愛、酢酸、コハク酸、エタノール、ブタン ジオールであった。図4 はマンニトール、 D -グルコース、 図5 マンニトール代謝の計算による水素発生量と D-マンノースの構造式を示している。グルコースの解 実視J1i直との比較 1 糖系における代謝反応では、 2モルのピルビン酸と 2モ ルのNADH が生成される。ピルビン酸とNADHは、代 謝産物生成過程で更に反応し、手Ij変など種々の代謝産物 が生成するが、余ったNADHは水素を発生することで NA l Yに再酸イじされる。 のタンパク質 トンを 5g/l加えていた。コンブには約 1% が含まれているが、コンブのタンパク質は Ea臼η~enθS の増殖には適さず、ペプトンを加えない培地では水素発 とグールコースやマンノースよ マンニトールはCSH14 0S りも水素原子が 2つ多い分子式で、表わされるため、解 糖系における分解の式は次式のようになるのではないか と考えられる。 表1に示したように、本培養液には窒素源としてペプ e m g e n e s 生が見られなかったためである。しかし、 E a の塩水下での水素由主では窒素源がどれくちい必要であ るか、あるいは窒素源の多少が水素発生に影響するのか どうかについてはまだ明らかではない口 - 22一 水素エネルギ}システム Vo . 12 4, N O . l 研究論文 し取った誹縄本培養漸H 成のマンニトールの代わりに 表3 NaC l1%下での水素発生特性におよぼす 加えて、 NaCl濃度 1% で、実験を行ったロその水素発生 べプトン濃度の効果 ペプトン濃度 最大水素発生速度 I g l l] 0 . 7 2 . 0 5 . 0 6 . 7 1 3 . 3 2 0 . 0 2 6 . 7 [ mmo l J ( lh )] 0 . 7 2 . 8 9 . 2 8 .5 7 . 5 7 . 6 7 . 5 水素収率 状況を図7に示した。この時、液体クロマトグラフで測 Imo l J mo11 0 . 2 0 . 5 1 .3 1 . 2 1 .2 1 .3 1 . 4 定した初期マンニトール濃度は 1 2 . 2m m o l l l( 2 . 2 2 g l l ) で、マンニトール量はかなり少なかった。しかし、水素 発生速度は 7 .9mmoll c u l t u r eh .1と、マンニトール . 2mmoll ・c u l t u r eh .1より遅い を用いたときの最大値 9 けれども、高濃度ペプトンの時と比べるならほぼ同じ速 .4を示し、マンニトー さで、あった。また、水素収率は 1 ルを用いた時と同じであった o したがって、コンブには、 そこで、食塩濃度 1%におけるべブトン濃度と水素発 マンニトール以外にアルギン酸、灰分、蛋白質などが含 生活性の閥系を調べた結果を一覧に示したのが表3であ まれているカミマンニトール以外の成分が水素発生の収 る。水素収率は、培地のマンニトールがすべて使用され 本発生速度に与える影響は少ないと思われる。ただ、 たと仮定して計算した値であるから必ずしも正確ではな 実験後、培謝普底部にアルギン酸と思われる粕性のある いが、ペプトンが少なすぎると水素発生量が少ないこと 物質が沈澱しており、樹宇動力などへの影響が今後問題 を明瞭に表しているロ一方、最大水素発生速度はペプト になると思われる口 ン濃度が 5 . 0g l lで最大値を示し、水素収率が 5 .0 g 1 l 以 上でほぼ一定の傾向を示すのとは非常に異なった結果を 得た。この原因についてはまだ不明なところが多く、今 18 可 0 1 .4 16 .-; i 12g ロ 12 1 .0 14 Q) 後の成果を待つ必要があるロ るか調べた結果を表したものであるロ窒素源が多くなる にしたがって増殖量も多くなるが、 1 0g ,江以上ではほぼ E コ .-; 6 43 匂4 O 4 0 0 0 . 2 戸 ? 同じ増殖量であると言える。表3とこの図から、窒素踊 , ; g 0 6 3 E ' + < 0 0 8 己 0 . 8 210 図6はペプトン量が菌体の増殖量にどのように影響す 0 ' " " ' 0 0 は 5g l l以上あれば充分であることがわかった D C u l t i v a t i o n[h1 図7 NaC l1%濃度下で、コンブを基質に使用した時の 水素発生状況 ご 40 0 , . . • 日 . 同 問 S30 5 . 考察 C i • S20 この実験からコンブが非常によい水素発生を示すこ とが分かったロそこで、栽培バイオマスからどれほどの 戸 国 E 810 電気tエネルギーカ鴇られるか、現在の耕音昆高の収穫状 ω 況を基に試算を試みた。生昆布の栽培収穫量は 1 4 . 5 U O 30 O kg/m2、マンニトールの含有量は湿重量の 8%と報告さ れている問。水素の高位発熱量を 6 8 . 3k c a l J mol 、水素 Concentrationofpeptone[ g / l ] l1%下で、のペブ トン潤支と菌体濃度との関系 図6 NaC o エネルギーを電気tエネルギーに刻集する燃料電也の総合 2 あたりか 効率を 60%とすると、コンブ栽培面積 1km コンブを基質に使用する場合には窒素源を加えなけ ら穫れるコンブ量、マンニトール量、発生水素量、総合 ればならないことがわかったので、市販の乾燥昆布2 9g 発電力量は表4のように計算される。同様の計算をサト をミキサーで粉砕し、水切りゴミ袋で未粉砕コンブを漉 ウキピに含まれるスクロースを基質とする場合について も行い表4に示した。 - 23- 水素エネルギーシステム Vo . 12 4, N o . I 研究論文 表4 コンブとサトウキビを基質の供給源としたときの 3. グルコースの解糖系では 2molのNADH が関与し 水素生産量とエネルギー生産量の比較 K e l p S u g a r c a n e Y i e l do fp r o d u c t 1 4 5 Y i e l do fp r o d u c t 1 4 , 5 4 0 , 1 6 3 1 H e x o s e H 2 y i e l d 2 2 9 , 0 6 1 Power 3 0 4 , 6 0 3 度であれば、水素発生に大きな影響を与えない。 ているのに比べ、マンニトールの分解反応では 3 U n i t 1 6 9 合[旬n /h a ] 2 1 6, 9 0 0[ 加n/km ] 2, 5 3 5[ t o n / l 剖1 守 molのNADHが関与し、そのために水素収率が高 くなる。 4 . コンブを基質に使用するときには窒素源を加えな ければならないが、窒素源は 5g /l以上あれば充分 3 4 1 5 , 0 8 8[ N m 伽叶 2 6 7 1, 2 0 8[ k W.hlkm ] である。 5 . コンブに含まれるマンニトール以外の成分が水素 * “RenewableEnerg y " ,e d .Johanssone ta 1, 発生の収率、発生速度に与える影響は少ないが、 E a r t h s c a nP u b .Lt d . ,1 9 9 3, p . 8 4 7 . 粉砕イ麦アルギン酸を除去しなければ、アルギン酸 による粘性の増加が携持動力などに影響を与える 2 1km の耕音面積から得られる電気tエネルギー量はあ ことが示唆された。 まり多くなく、平均的家庭 1 ∞軒程度を賄える量にしか ならないことがわかった。これは基質からの水素エネル ギーへの変換効率が悪いためで、今後、 α'08的 ;dium h u t y r i c u mのような水素収率の高いノ t クテリアを使用 6 .E a e r o g l . 羽田よりさらに収率の高いバクテリアを 発見または改良する必要が示唆されたロ 7 .代謝廃液をメタン発酵でさらに利用し、今一段の エネルギー回収を図る必要性が示された。 するか、このバクテリアよりさらに収率の高いバクテリ アを発見または改良する必要があるだろう[問。さらに、 有樹搬を多く含む代謝廃液をメタン発酵に利用して今一 7 . 参考文献 段のエネルギー回収を図る必要があるロ 同時に、バイオマスには太陽エネルギーが高々 5%変 1 ) 動k 幸 丸 , “自然エネルギー利用学パワー社, p p . 1 2, 25, 123( 1 9 9 3 ) 換固定されただけであり、サトウキピで約 2%と見積も られることから、コンブのアルギン酸、サトウキピのパ ,Y.:“ S t u d i e so ft h e growth o ff o 陀 e d 2 ) Sanbonsuga 目白" , B u l l .H o k k a i d o .Reg .F i s h .Res .La b .,49, Lamin ガスを有効に利用して総合的な効率の向上を図る必要が 1 0 1 3( 1 9 8 4 ) . あるだろう。アルギン酸は非水溶性で、粘度を増加させ たり乳イ七組織を安定させる作用を持つため、フィルム、 o b a c t e ra e r o g e n e sの発 3 ) 谷生重晴ら:発酵工学会誌,官n胎 r 酌k 素発生と利用基質について"67, 2 9 3 4, ( 1 9 8 9 ) ゴム、リノリューム、化粧品、カーワックス、塗料など の製造に使われており、また、アルギン酸レーヨンは、 .,andY .I s h i w a t a :I n t .J .HydrogenEnergy , 4 )T a n i s h o,S “ C o n t i n u o u shy 也-o genp r o d u c t i o n告。m m o l a s s e sbyt h e 手術糸その他の医療用として用いられるなど付加価値は t e r o b a c t e ra e r o g e n e s ", 19, 807 81 2( 1 9 9 4 ) . b a c t e r i u mEn 高い。 5 ) 日本生他学会編:生他学データプ、ツク I I ,東京化学同人, p. 87 8( 1 9 8 1 ) 6冊結論 .,e ta l . :B i o c h i m .B i o p h y s .Acta “ ,Hydrogen 6 )T a n i s h o,S e v o l u t i o no fE n t e r o b a c t e ra e r o g e n e sd e p e n d i n g on 以上の結果から、コンブを基質に用いた水素生産に関し 山ち p H", 973, 1 6( 1 9 8 9 ) c u l t て次のようなことが明らかになった。 1 . NaCI 濃度が濃くなると、水素発生量、水素発生速 ,J . J .,e ta l . :W a t .Res .,I引 1 ei n f l u e n 四 so fpHand 7 ) Lay I S t u r ec o n t e n tont h emethanep r o d u c t i o ni nh i g h mo 度、水素発生までの時間、水素発生終了時問、水 s o l i d ss l u d g ed i g e s t i o n ", 3 1, 1 5 1 8 ・1 524( 1 9 9 η が 素収率、マンニトール消費量のどの要素も NaCI 8 ) Tanisho, S . : 無い培地での水素発生より悪くなる。 2 . 海水を直接培養液に利用することは適当ではない が、収穫した昆布に付着している海水が混ざる程 - 24一 官 y d r 勺g e n p r o d u c t i o n by f a c u l t a t i v e t e r o b a c t e ra e r o g e n e s ",i nB ioHydrogen, a n a e r o b e En p p . 2 7 3279, e d .Z a b o r s k ye ta l ., PlenumP r e s s( 1 9 9 8 ) 聞
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