ひとり消費市場の拡大 ~ひとり消費者の心理的障壁の解消~ 〈目次〉 (6) サービス・マーケティング ① ―――序論 (7) 提案への応用 1. 研究テーマ・研究動機 (8) Movie 2. 現状分析 ③ ―――結論 (1) ひとり消費における時代背景 1. 今後の課題 (2) 定義付け 2. まとめ (3) 社会的背景 参考文献 (4) ひとり消費の実態 補禄―――1.因子分析アンケート項目 (5) ターゲット選定 2.デプス・インタビューアンケート項目 (6) 問題意識 佐々木班 ② ―――本論 相澤季沙 1. 明戸由香 2. for You 消費者の既存研究レビュー (1) 単独はネガティブか 小原咲紀 (2) アンケート 佐々木貴史 (3) 結果 橋本菜希 (4) 考察 樋口智哉 (5) まとめ 松居由子 企業の既存研究レビュー (1) 事例研究 (2) 考察 3. 仮説の提唱 4. 仮説の検証 (1) 調査方法と調査内容 ①―――序論 1. 研究テーマ・研究動機 (2) 分析方法と手段 (3) 分析結果 5. みなさんは「ひとり消費」と聞いて何を思い浮 (4) 考察 かべるだろうか。また「ひとり消費」から連想す (5) 仮説の立証 る物事はプラスなイメージを持っているだろうか、 インプリケーション (1) ひとり消費のニーズ マイナスなイメージを持っているだろうか。 ひとり飯に代表されるひとり焼肉、ひとりしゃ (2) デプス・インタビュー ぶしゃぶ、ひとりラーメンや、ヒトカラことひと (3) 調査 りカラオケやひとり旅のレジャーなど、現代では (4) 調査結果及び問題提起 消費者が単独で外食やレジャーを行うための財や (5) サービスは増加傾向にある。そしてこれらの財・ 具体的な提案にあたって 1 サービスが登場し始めたのはたった数年前の出来 事である。 数十年前、消費者が単独でレストランやレジャ ースポットを訪れることは不審に思われる行動で 回しにされている現状がある。 よって私たちは研究テーマを「ひとり消費市場 の拡大〜ひとり消費者の心理的障壁の解消〜」と して設定した。 あった。例えばレストランでは 1 人客の入店を拒 企業は、ひとり消費者のニーズを掴む必要があ 否されることがあったり、地方宿では 1 人の宿泊 り、そのニーズに合った財・サービスの提供を行 客は自殺の恐れがあるとして受け入れを拒否され うことで、ひとり消費市場は拡大する。様々な社 ることもあったりした。 会的背景によって今後増加が見込まれるひとり消 それではなぜここ数年でひとり消費者にターゲ 費市場のニーズに合致した財・サービスの提供は ットをあてた財・サービスが急増したのだろうか。 企業にとってもメリットであると同時に、消費者 そういった財・サービスの増加の社会的背景や もひとり消費をより行いやすい環境が整えられ、 きっかけを始めとしたひとり消費市場の現状分析 消費市場全体の活性化を見込むことが出来る。 や既存研究を行い、その研究を元にひとり消費市 場の拡大のための仮説提唱、検証、インプリケー 2.現状分析 ションの流れで進めていきたい。 そして研究テーマを決定するにあたり「ひとり 消費」への意識についてプレ調査を行ったところ、 (1)ひとり消費における時代背景 前節より、ひとり消費が行われている現状を受 単独行動は好きだが、実際にひとり消費を行った け、ひとり消費とその時代背景をまとめたものが ことはないとの回答が多数である事実が分かった。 表 1 である。 このことから既存するひとり消費者ターゲットの ■表―――1 財・サービスはひとり消費者の持つ本当のニーズ ひとり消費とその時代背景 を満たしていないのではないかと私たちは考えた。 年代 出来事 1980 年代 「分衆」という言葉の誕生=ひとり 以上の理由から、前述した研究の流れのもと、 本研究では消費者が単独行動をする際の心理や障 壁の研究を元に検証を行い、ひとり消費者のニー 消費の兆し 1990 年代 「個族」の誕生 ズの真相を抽出し、心理的障壁の解消を前提とし 男女雇用機会均等法により女性の社 たひとり消費者の真のニーズを満たす財・サービ 会進出が進む=現在の「ひとり消費」 スの提供を企業が行えるよう一般化を目指す。 という消費行動が始まる 「おひとりさま」の出現以降、ひとり消費に関 2008 年 TBS ドラマ「おひとりさま」放映に する研究は多くなされているが、財・サービスを より未婚女性を中心にひとり消費ブ 提供している企業側の研究ばかりが目立ち、消費 ームが起こる=当時「おひとりさま」 者側の心理を入り口とした研究はあまりされてい は女性が単独で食事やレジャーを楽 ない。消費者が求めるものを企業が提供するとい しむことを指す言葉として定着 う姿が本来の消費であるものの、長引く不況によ 2011 年 ひとりカラオケ専門店・通称ヒトカ り優先すべき物事の順序において利益が最重要視 ラを筆頭に続々とひとり○○専門店 されるようになってしまい、消費者のニーズは後 が展開され、大学の食堂にも「ぼっ 2 ち席」が登場 も誕生した。「おひとりさま」という言葉は当初、 →男女ともにひとり行動をとる者全 1 人で外食やレジャーも行ってしまう自立した独 てをおひとりさまと呼ぶようになる 身女性を指していたが、今や男女共に 1 人で消費 を行う様子を指すようになった。 1980 年代、均質的・画一的な「大衆」が姿を消 し、より個性的で多様な志向性を持つ「分衆」が (2)定義付け 着目されるようになった。これを「人並み」志向 ひとり消費について、もり[2013]は「ひとりき から「自分並み」志向への変化であると述べる人 りで楽しむ消費行動」と定義されている。我々は もいる。他人と共通の価値観に従うよりも、自分 本研究においてひとり消費の定義付けを行うため の感性に合った暮らし方をしたいと願う人々が増 に、購買プロセスから消費に至るまでの他人と接 加していることが考えられ、このような「分衆」 する度合いから、ひとり消費が行われる場面を外 意識は、自己の価値観を尊重し「個」として生き 食、レジャーに限定する。 (表 2 参照)その上で、ひ ようとする「個族」を生み出すことになる。 「個族」 とり消費とは「外食やレジャーを自由気ままにひ とは家族の対語として 1990 年代に生まれた言葉で とりで楽しんで消費すること」と定義付けする。 あり、家族と離れて 1 人で暮らす人や家庭を持た 更に外食、レジャーのカテゴリーに分けて考える ずに 1 人で過ごす人を意味している。 「個族」思考 と、内閣府データ(平成 22 年・レジャー白書 平成 の誕生によって、単身世帯での「個人」というも 21 年度)によれば、少子高齢化の進展による人口構 のが重視されてくることとなり、現在注目されて 造の変化を思慮すると余暇時間が比較的多いと考 いるひとり消費動向誕生の兆しとなったと考えら えられる高齢者層の割合が増えることから、第三 れる。 次産業の中でも、特にレジャーや余暇活動は、ま その後 1990 年代後半になると諸制度の改革によ すます重要となってくると考えられるという。ま り女性の社会進出が著しくなる。これについては た、この高齢者層の増加に伴い、中食の増加が見 後述する。その結果「女性が単独で食事やレジャ 込まれていることから外食産業は低迷すると考え ーを楽しむこと」として独身女性の「おひとりさ られる。 ま」消費が一般化してくる。さらに 2008 年に放映 以上より本研究ではひとり消費の中でもレジャ された TBS ドラマ『おひとりさま』では 30 代女性 ーに絞り考察を進めていくこととする。 の仕事と恋の奮闘を描き、未婚女性のひとり消費 ■表―――2 ブーム(=おひとりさま)に拍車をかけることと 購買関与プロセス なった。 そして 2011 年頃より独身女性に限らず幅広い年 高 レストラン 代の人々をターゲットにすべく、様々な営業形態 が展開されるようになる。代表的な例としてひと 中 ファストフー 低 中食・内食 ド レジャー カフェ ショッピング りカラオケ専門店である通称ヒトカラの開業、ひ とり鍋、ひとり焼き肉専門店の登場など、続々と ひとり消費のニーズに対応しはじめている。さら には京都大学の学生食堂に「ぼっち席」なるもの (3)社会的背景 ひとり消費が行われるようになった要因には以 下 2 つの社会的背景が挙げられる。 3 ⅰ未婚化・晩婚化 男女雇用機会均等法が施行された 1986 年以降、 20.14%、女性で 10.61%まで上昇した。男性は 5 人に 1 人、女性は 10 人 1 人が一生結婚をしない世 女性の労働環境が着々と整えられていき男女の働 の中となっている。 (表 4)彼らは否応なく 1 人で消 き方に対する差異は少なくなった。現在、営業職 費せざるを得ない環境下にある。 として男性以上に高い成績を上げる女性社員も当 ■表―――3 たり前として認められる時代となっている。女性 女性の年齢階級別労働力率の M 字カーブ の年齢階級別労働力率の M 字カーブの底は、1970 (出典 JTB 総合研究所) 年代と比べて上昇していることがわかる。 (表 3 参 1970年 照)かつて女性には自分を養うだけの経済力はなく、 1999年 2008年 2009年 生活の術は結婚に頼るしかなかった。しかし諸制 77.2 76.1 度の改革により男性と平等な労働機会を手にし、 72.4 70.2 69.9 69.7 69.7 2000 年前後からは大手企業でも女性の総合職採用 67.2 65.1 56.7 が増えた。このように女性の社会進出が進み、男 48.2 71.7 71.1 69.5 65.5 64.9 61.5 58.2 63.8 75.5 75.3 71.8 72.5 71.6 67.9 64.1 59.1 47.5 性と同じキャリアを積める環境になると、女性は 62.5 61.6 58.7 50.7 44.6 43.6 39.7 38.8 より多くの収入を得るようになり、仕事や自由そ 18.6 16.8 16.2 して収入を捨てることにつながる「結婚」につい 15.6 14.9 13.1 て重きをおかなくなっていった人々が増加してい った。更に社会進出を果たし年収を増やすことに 成功した女性たちは、自分よりも所得や学歴が低 い男性とは結婚したくないと考える人も多く、 ■表―――4 2000 年代の男性非正規社員数の増加がこの傾向を 男女別未婚率の推移 後押ししている。 (出典 総務省「平成 22 年国税調査速報」) 結婚をしない人々の増加傾向の要因として平均 所得の減少もまた挙げられる。1990 年 代 前 半 ま 25 20 ではバブル景気と呼ばれ全国的に好景気で 15 あ っ た が 、そ の 後 景 気 が 収 縮 し 、貸 し 渋 り や 10 男 貸 し 剥 が し と 呼 ば れ る 融 資 控 え が 増 え 、そ の 5 女 結 果 景 気 低 迷 、平 均 所 得 減 少 と 言 う 結 果 を 引 0 き起こした。お金がなければ結婚もできず、 (%) 年収と既婚率は比例することが分かった。 「 結 婚 資 金 」の 有 無 は 今 後 も 結 婚 へ の 弊 害 と なりうることが予想される。 ⅱ高齢化社会 1 人で消費せざるを得ないのは独身男女だけで 結果としてこれらの要因が晩婚化や未婚層を広 はない。65 歳以上の人が総人口に占める割合のこ げることとなり、50 歳までに一度も結婚していな とを高齢化率といい、1994 年には 14%を超えてい い「生涯未婚率」は戦後、高度経済成長から 1990 る。高齢化率の増加はさらに見込まれ、2015 年に 年頃まで 2~5%前後だったが、2010 年には男性で は 26.0%、2050 年には 35.7%に達すると言われて 4 いる。日本人の 3 人に 1 人が 65 歳以上という「超 超高齢社会」が現実として迫っている。 (表 5) (4)ひとり消費の実態 これだけ高齢化が進むと、伴って高齢者の一 幅広い年代の人々の間で行われることの分かっ 人暮らしも増加する。現状として 65 歳以上の単独 た「ひとり消費」だが、実際にどの年代の人々が 世帯数は 1980 年には男性約 19 万人、女性約 69 万 最も多くひとり消費を行っているのだろうか。日 人であったが、2000 年にはそれぞれ 74 万人、229 経消費ウォッチャー[2013]によると、1 人での外食 万人と大幅に増えている。 (表 6)原因は未婚率や離 や外出・レジャーなどが 3 年前より増えたか?と 婚率の上昇、配偶者との死別などが考えられる。 の質問に、20 代男女の 4 割弱が増加したと回答し 以上2つの社会的背景により「1 人で消費せざる を得ない人々」が増加し、以前は独身女性に限ら れていた「おひとりさま」市場だが、ひとり消費 のターゲットが幅広くなったといえる。 た。この数字は他の年代よりも多く、若者のひと り消費は拡大傾向にあることがわかる。(表 7) もり[2013]は日経消費ウォッチャーで、若者の ひとり消費の普及の背景には、SNS の利用があると 述べている。表 8 では、ネットで友人らとすぐに ■表―――5 連絡が取れるので、1 人で外食や外出をすることは 総人口、人口増加率の現状および将来推計 寂しくないという項目に「当てはまる」 「まあ当て (出典 総務省統計局『国勢調査』[2006]) はまる」と答えた人の割合は、20 代が最も高く約 55%となっている。総務省[2011]によると、SNS の 利用率は 20 代で 70%弱となり 10 代に続き高い割合 となっている。また博報堂 DY グループ・スマート デバイス・ビジネスセンター[2013]によるとスマ ートフォンでの SNS 利用経験率は 20 代で 90.8%と なっている。 このように高い普及率を誇る SNS やスマート フォンの利用は、若者にとってライフスタイル化 ■表―――6 一人暮らしの高齢者の動向 (出典 内閣府 高齢社会白書[2012]) していることがわかる。 以上の傾向から、ライフスタイル化した SNS・ス マートフォンの利用が、若者の単独行動を促進さ せひとり消費の拡大が生じていると考える。 ■表―――7 ひとり消費率の 3 年前との比較 (出典 日経消費ウォッチャー2013) 5 した事業を推進しづらい現状がある。また、ひと り消費のリピート率は高いと予想できる。これら のひとり消費のデメリットを解消しメリットを最 大限に生かすには、ひとり消費に、より多くの人 の消費が喚起される仕組みがあればよいと考える。 その仕組みは、人脈やコミュニティの広さを持つ 人をひとり消費の対象者として組み入れ、バズを 起こすことで作られると考える。この仕組みを作 りやすいのは、よく連絡したり会ったりする友 人・知人の数が最も多い 20 代学生(表 9)と考える。 また、ひとり消費に、今後ひとり消費をせざるを ■表―――8 得なくなる若者を客として取り込むことは、刷り ネットで友人とすぐ連絡が取れるのでひとり消費 込み効果により企業の顧客となると予想されるた をしても寂しくないか め、企業にとってのメリットは大きい。 (出典 日経消費ウォッチャー2013) ■表―――9 ネットで友人らとすぐ連絡が取れるの で1人の外食・外出でも寂しくない 当てはまる 40代 11.2 30代 13.8 20代 9.1 まあ当てはまる 33.4 40.7 46.2 当てはまらない 55.4 45.5 よく連絡したり会ったりする友人・知人の数 よく連絡したり会ったりする友人・知 人の数 いない 1~3人 4、5人 6~10人 10~20人未満 20人以上 14.2 34.3 26.8 17.54.8 2.4 10.5 37.7 23.7 20.7 5.4 2.1 40代 44.7 (%) 30代 9.2 21.4 20代社会人 20代学生 26 5.117.4 21.7 (5)ターゲット選定 29.6 8.75.1 26.8 25.4 3.6 (%) ひとり消費について論じるにあたり、消費者側 このことから、ひとり消費を行うことで消費 のメリットと企業側のメリットを分けて考え、ひ 者・企業の双方にメリットが見込まれる対ターゲ とり消費を活性化することにより両者が得られる ットは大学生男女学生であることがわかるため、 メリットを導くことができるターゲットを選定す 今後彼らを対象にしたひとり消費に注目していく。 る。 消費者については、前節で述べたように 20 代の 本論に進むにあたり、大学生男女にプレ調査を 行った。 ひとり消費が拡大傾向にあり、ひとり消費の需要 ■表―――10 は大きく、ひとり消費市場を活性化することで需 プレ調査の概要 要を満たし効用を上げることができる。 しかし企業は、ひとり消費を対象とした商品・ サービスは単価が低いため、1 人客をターゲットに 6 対象 調査期間 実施方法 実施目的 質問項目 20代大学生男女99人 2013年10月 ネット(選択・自由記述形式) ターゲットのひとり消費の現状を知る ひとり消費をしたいか 実際に行動に起こしたか があるⅱ単独行動好きの若者が増加傾向にあるⅲ ひとり消費の需要はまだ満たすことが出来ていな い これらを研究方針としてフローチャート化した。 (表 13) その結果、ひとり消費と聞いてやってみたいこ 結果として、消費者側と企業側に現状のひとり とはありますか?との質問に「はい」と答えた人 消費では満たせていない問題意識があることがわ が 85%であったのに対し、実際にそれを行動に移し かった。消費者はプレ調査の結果より、ひとり消 ましたか?との質問には 62%が「いいえ」と回答し 費の需要は多くあるにもかかわらず需要が満たせ た。この回答から、大学生男女にはひとり消費の ていないことが挙げられる。企業側は、長引く不 需要はあるが、行動に至らせない何かしらの弊害 況や 2014 年から施行される増税のために、需要が があることが予想される。 あればすぐ反応し利益を生み出す必要があるが、 ■表―――11 ひとり消費の需要を汲み取ることができていない。 プレ調査結果 これにはひとり消費の客単価が低いために事業を 推進しづらい状況が作用している。 ひとり消費と聞いてやってみたいこと はありますか? 消費者・企業による、需給のミスマッチを解決 するにはどうすればいいか、本論で述べる。 いいえ 15% ■表―――13 研究方針のフローチャート はい 85% ■表―――12 プレ調査結果 実際にそれを行動に移しましたか? はい 38% いいえ 62% ②―――本論 (6)考察と問題意識 現状分析より以下 3 つの事柄が考察できる。 ⅰひとりで消費を行わざるを得ない社会的背景 1. 既存研究レビュー 7 を至上とする思想が影響していると考えられる。 本節では、我々が研究を進めていく上で参考にし また、前述した孤独感の定義からも望む関係水準 た既存研究について述べていく。人々がひとり消 がもともと低いとき、あるいはその水準が低くな 費を行う上でまず気になることが、そもそも 1 人 くても、主観的な感情とは関連なく単独行動を行 で行動することとどのように関係しているのだろ う理由が別に存在すると考えられる。 うか。単独行動についての既存研究から考察して いく。 実際にはどのような要因が単独行動を促進させ たり、抑制させたりしているのだろうか。男女問 わず若者に絞り、1 人で行動することが好まれるの (1)単独はネガティブか ではなぜあえて単独で行動することはネガティ ブな側面を持つのであろうか。まず考えられるの か、逆に好まれていないのかという単独行動の実 態を調べ、単独行動を促進・抑制させる心理的要 因が明らかにされている。 は、行動する者自身に「寂しい」という感情が喚 起されることである。 心理学の分野では、このような感情については (2)アンケート ■表―――14 孤独感の研究から明らかにされてきた。孤独感と アンケート概要 は、個人の望む社会関係水準よりも現実の関係が (出典 村上幸史[2009]『単独行動に関する探索的研究』 希薄であることに起因する主観的経験とされてお ) り、落合[1924]は共感し合えるかどうかと、自己の 回答者 個別性に気づいているかどうかという 2 つの軸か 大学生 183 名(男性 48 名、女性 208 名) ら孤独感を位置づけている。これはどちらかと言 平均年齢 19.54 歳 えば、人間として漠然と感じる孤独感を扱うもの 方法 紙媒体での回答 であるが、他者との親密性や具体的な行動の観点 からも研究がなされている。 (工藤・西川[1983]相川・ 佐藤・高山[1993]) この孤独イコールネガティブ説を補足するもの として、たとえ単独行動をしている本人が「寂し い」と感じていなくても、周囲の人間や一般の人 がそのように感じていることを察知する、つまり 他者からそのように見られていること、そして、 その他者の眼を内面化すること自体がネガティブ な価値を持つという、 「公的自己意識」の影響が考 えられる。これは「友人や知り合いがいない寂し い人」と見られることを嫌い、単独行動を避ける という規範を内面化させている可能性である。 先に挙げた孤独をネガティブなものとして捉え る説明の背景には、他者とのコミュニケーション 8 ■表―――15 アンケート項目 (出典 村上幸史[2009]『単独行動に関する探索的研究』) 1. 単独行動に関する項目 「ひとりでボーリングに行く」「ひとりで遊園地に 行く」など、友人などと行うことが多い行動をあえ てひとりで行う頻度について段階で回答。また、 「友 人と一緒にトイレに行く」 「友達と同じ授業を取る」 などひとりで行っても違和感のない行動をあえて 友人と行う頻度についても同様に回答。これらの項 目はKJ法を用いてカテゴリー化したものだ。 2. ひとりで行動する理由(21 項目) 単独行動を取る理由、あるいはとっても良いと考え る理由について、項目を作成して 5 段階で尋ねたも の。1 と同様の同じ手続きで作成。 3. KISS-18(菊池 1988) 学生を対象にした「対人と円滑に運ぶためのスキ ル」に関する項目。回答者がスキルを有するのにあ えて単独行動を取っているのか、あるいは単独行動 を取らざるを得ないのかを判断するための測定。 4. 公的自己意識(菅原 1984) 「外から見える自己の側面に注意を向ける程度」を 測定する項目。他者からの眼を気にするかどうか が、単独行動の頻度に関係するのかを判断するため の項目。 5. 親和的動機測定尺度の情緒的支持因子(岡島 「他者と一緒にいたい」という気持ちを示す項目。 1988) 人嫌いが単独行動と関連しているのかを判断する ために用いた。 6. 改 訂 版 UCLA 孤 独 感 尺 度 日 本 語 版 ( 諸 井 単独行動が実際に孤独感を喚起しているのか、それ 1991) とも別の要因かを区別するための尺度。 以上の尺度を用いて判断した。 (表 14・表 15) かと、人や状況を好むか嫌うかという選択理由の 「ポジティブ―ネガティブ」の 2 軸に沿って表 17 (3)結果 ⅰ1 人で行動する理由の分類 のように配置した。 各因子は表 18 のようである。 1 人で行動する理由(21 項目)については因子 分析(主因子法・バリマックス回転)を行い、5 因 子を抽出した。全体の寄与率は 54.68%であった。 回転後の因子行列は表 16 に示した。加えて、各因 子を行動選択の理由が「積極的―消極的」である 9 ■表―――16 ひとりで行動する理由に関する因子分析 (出典 村上幸史[2009]『単独行動に関する探索的研究』) 第1因 項目 1 人でいても寂しいとは思はないか 第2因 の平均 子 さみ 子 値 しさ感情 い 2.39 0.668 2.14 0.664 1.97 0.634 2.24 0.538 変わり者と思われても平気だから 2.74 0.502 人嫌いだから 2.04 孤独が好きだから 2.18 自分がしたいことを一緒に付き合 2.14 人嫌 第3因 子 同調 第4因 子 気楽 嫌い 第5因 子 区別 化 ら 他者が団体でいる時に自分 1 人だ けが 1 人でいてもよいから 寂しいと人に思われても平気だか 0.489 ら 1 人では入りにくい雰囲気の場所で も気にしないで入るから 0.402 0.818 0.429 0.553 0.514 ってくれるような知り合いが身近に いないから 個人主義だから 2.43 知り合いに努力する過程を見せた 2.27 0.472 0.512 0.628 くないから 素の部分を見られるのが嫌だから 1.99 0.47 0.594 人に頼りたくないから 2.24 0.558 人前ではしゃぐのを見せたくない 1.83 0.552 2.16 0.512 人にただ同調したくないから 2.59 0.443 1 人だと好きなことが出来ると楽で 3.37 から 他者と同じ気分を味わいたいとは 特に思わないから 0.814 あると思うから ■表―――17 10 ひとりで行動する理由の分類図 (出典 村上幸史[2009]『単独行動に関する探索的研究』) ■表―――18 各因子について (出典 村上幸史[2009]『単独行動に関する探索的研究』) 11 続いて因子ごとに合計得点を項目数で割ること によって得点を作成した。各因子の得点について である。 全体的に関連性はあまり高くなかったが、孤独 の平均値を表 19 に示した。 各因子の得点について、 感が高いものは「同調嫌い」や「人嫌い」の傾向 性差に関する t 検定を行った結果も同時に示した が高い一方で、 「さみしさ感情を否定する」者が多 その結果、 「さみしさ感情否定」と「同調嫌い」得 かった。また対人的なスキル(KISS-18)の高い者は 点に関して、どちらも男性の方が女性よりも高い 「さみしさ感情を否定する」者や「友人を遊びで 有意差が見られた。全ての項目で男性の方が女性 区別化する」者が多いことが分かった。 よりも得点が高かった。 以上のことから、表面的には同調を好まない反 ⅱ個人差尺度との関連性 面、主観的には孤独感を有している可能性が高い KISS-18、公的自己意識尺度、親和動機測定尺度、 こと。それは他者からの眼とは無関係であること。 改訂版 UCLA 孤独感尺度については、それぞれ合 また気楽である点や趣味ごとの友人の区別という、 計得点を作成し、単独行動を好む理由に関する得 どちらかといえば積極的な理由が独立して存在し 点を従属変数とした重回帰分析を行ったのが表 20 ていることが示された。 ■表―――19 1 人で行動する理由に関する各得点と性差 (出典 村上幸史[2009]『単独行動に関する探索的研究』) 平均値 標準偏差 Cronbach のα 男性 女性 t値 「さみしさ感情」得点 2.30 0.97 0.79 2.55 2.25 1.97** 「人嫌い」得点 2.19 0.97 0.82 2.33 2.16 1.09 「同調嫌い」得点 2.17 0.88 0.83 2.45 2.11 2.39** 「気楽」得点 2.92 1.07 0.75 2.98 2.91 0.42 「区別化」得点 2.56 1.15 0.58 2.74 2.51 1.24 **p<0.5 ■表―――20 1 人で行動する理由と他の変数との関連性 (出典 村上幸史[2009]『単独行動に関する探索的研究』) 12 ⅲ.単独行動の特徴とタイプとの関係 階の 2 以下、 つまりほとんどしない行動であった。 1 人で行動する理由に関する 5 つの各得点につ ただし「昼飯を食べる」と「ドライブに行く」の いてはクラスター分析を行い、5 つのタイプを抽出 頻度は低いとは言えなかった。 「ファミレス」、 「カ した。それぞれの傾向は以下の通りである。(表 21) ラオケ」 、 「昼飯」の 3 項目を除いて、いずれも男 1 人嫌い…全ての得点が低い、つまり単独行動を好 性が女性よりも高いという有意差が見られた。 まない者である。(56 名) 次にあえて友人とすることの特徴についての頻 1 人楽…一人だと気楽の得点だけ高い者である。 度の平均値が表 23 に示されている。こちらは「ト (38 名) イレ」 「美容院」 「習い事」 「テレビ」 「勉強」の 6 やや個人主義…各得点は平均的だが、人嫌い・個 項目で女性が男性よりも頻度が高かった。 人主義傾向の高い者が含まれる。同調も好まない 各カテゴリーと単独行動との関連性について、 傾向がある。(59 名) カテゴリーを独立変数、単独行動の各頻度を従属 さみしさ平気・楽…「さみしさ感情否定」と「気 変数とした分散分析を行ったところ、表 22 のよう 楽」の両者が高い者である。 「一人楽」のタイプに な結果となった。顕著な特徴としては「さみしさ 加えて、さみしさ感情を否定している者が含まれ 平気・楽」のカテゴリーに含まれるものが多岐に る。同調も好まない傾向にある。なお「やや個人 わたり単独行動の頻度が高く、逆に「一人嫌い」 主義」と「さみしさ平気・楽」の二つの群の者は のカテゴリーに含まれるものの頻度は低い。 「区別 孤独感得点が高く、親和欲求得点が低い傾向とな 化」のカテゴリーに含まれる者はお酒、旅行とい っている。(51 名) う、いわば定番の行動に加えて、イベントという 「区別化」…遊びごとの友人の「区別化」得点の 趣味の細分化を示すような行動で高くなっている。 み高い者をさす。(28 名) これに対し、 「個人主義」や「一人楽」のカテゴリ 表 21 のカテゴリーを用いて単独行動との関連性 について検証を行ったのが表 22 と表 23 である。 ーの者の頻度は中間程で、特に個人主義の傾向は 積極的な単独行動の理由になっていない。 まずあえて 1 人でする行動についての頻度の平均 値を表 22 に示されている。ほとんどの項目は 5 段 ■表―――21 1 人で行動する理由を元にしたカテゴリーのタイプ (村上幸史[2009]『単独行動に関する探索的研究』) 13 5 4.5 4 3.5 得 点 さみしさ感情否定 3 人嫌い 2.5 同調嫌い 2 気楽 区別化 1.5 1 ■表―――22 カテゴリーのタイプ別に見たあえて 1 人で行動する頻度 (村上幸史[2009]『単独行動に関する探索的研究』) 平均値 1 人嫌い 1 人楽 やや個人 さみしさ 主義 平気・楽 区別化 1 人で遊園地に行く 1.06 1.00 1.00 1.03 1.16 1.07 1 人でスノボやスキーに行く 1.1 1.04 1.05 1.03 1.16 1.21 1 人でボーリングに行く 1.11 1.00 1.05 1.05a 1.24 1.25 1 人でスケートに行く 1.12 1.04 1.00a 1.08 1.29b 1.18 1 人でバイキングに行く 1.14 1.05a 1.11 1.10 1.27 1.18 1 人で焼肉を食べに行く 1.15 1.14 1.13a 1.05 1.29 1.14 1 人でカラオケに行く 1.28 1.05a 1.13 1.05 1.80b 1.32a 1 人でお祭りに行く 1.33 1.20a 1.19 1.22 1.69 1.29 1 人でクラブに行く 1.35 1.20a 1.26 1.29 1.45 1.64 1 人でスポーツ観戦に行く 1.37 1.05a 1.24a 1.32 1.86b 1.54 1 人でお酒を飲みに行く 1.5 1.11a 1.53 1.53 1.82b 1.79b 1 人でファミリーレストランに 1.59 1.18a 1.87 1.36a 2.12b 1.68 行く 14 1 人で旅行に行く 1.68 1.07 1.42a 1.42a 2.67b 2.21b 1 人でイベントに行く 1.68 1.18 1.63 1.64 2.33b 1.93b 1 人でドライブに行く 2.52 2.23 2.32 2.24 3.08 3.11 人で昼飯を食べる 3.46 3.11a 3.53 3.14a 4.04b 3.71 ■表―――23 カテゴリーのタイプ別に見たあえて友人と一緒に行動をする頻度 (村上幸史[2009]『単独行動に関する探索的研究』) 平均値 1 人嫌 1 人楽 い やや個 さみし 人主義 さ 区別化 平 気・楽 友達と一緒のジムに行く 2.07 2.20 1.66 2.00 2.18 2.36 友達と一緒に習い事をする 2.34 2.73 2.29 2.12 2.31 2.39 友達と一緒にインターネットの個人サイ 2.58 3.02 2.47 2.42 2.20 2.57 友達と一緒にネットカフェに行く 2.68 2.79 2.92 2.68 2.25 3.00 友達と一緒のバイトで働く 2.69 3.12 2.92 2.34 2.45 2.82 友達と一緒の高校や大学に通う 2.80 3.14 2.87 2.69 2.61 2.57 友達と一緒に美容院や理髪店に行く 2.85 3.18 3.21 2.61 2.59 3.07 友達と一緒に勉強する 3.04 3.53 2.95 2.85 2.92 2.79 友達と一緒にテレビゲームをする 3.33 3.41 3.29 3.22 3.04 3.96 友達と一緒に、一緒の音楽を聴く 3.33 3.77b 3.45 3.10 2.94a 3.46 友達と一緒にトイレに行く 3.40 3.75b 3.16 3.32 2.94a 3.57 友達と、一緒にテレビを見ながらツッコミ 3.71 3.95 3.97 3.56 3.37 4.04 友達と同じ授業を取る 4.24 4.62b 4.32 4.07a 3.86 4025 友達と一緒に買い物に行く 4.28 4.82b 4.34 3.92a 4.04a 4.32 トを開設する を入れる 15 (4)考察 をまとめると、 既存研究の結果、さみしさ感情を否定している 1. 単独行動を行う理由は 5 つある 者と友人を区別化している者という二つのカテゴ 2. 単独行動の理由にはポジティブなものとネガ リーに該当する者が特に単独行動を取る頻度と結 びついている。これに対し、単なる気楽さを感じ ティブなものがある 3. 「さみしさ感情を否定する者」と「友人を区 ることや個人主義であることは単独行動を取るか 別化する者」が特に単独行動の頻度と結びつ どうかとはあまり結びついていなかった。単独行 く 動にさみしさ感情が生じると回答したのは女性が 4. 多いことから、女性が単独行動を抑制する理由と して、この要因が最も影響していると考えられる。 単独行動をすることに「他者のまなざし」で さみしいとは感じない 5. 「寂しい感情」とはⅰ)1人でいることⅱ)他者 他の心理変数との関連性を含めるとさみしさ感情 が団体でいるときに自分は 1 人でいることⅲ) を否定する者は孤独感得点が高いため、単独行動 1人で入りにくい場所に 1 人で入ること を好んでいる訳ではなさそうである。これに対し、 の 5 つに集約できる。 「さみしさ感情を否定する者」 友人を区別化している者はコミュニケーションス と「友人を区別化する者」が特に単独行動の頻度 キルの一つを測定する KISS-18 得点が高いことか と結びつくと既存研究にあるが、私たちは、本当 ら、お酒、旅行、イベントなどと上手く人付き合 にその 2 つだけであるのか疑問に感じた。その他 いをしている傾向が反映されていると考えられる。 の心理要因は本当に関係していないのか。なぜな ただしこの得点は「友人がいない」という孤独感 ら、行動から消費に落とし込む場合にも一般化で ではなく、意図する友人がいない、またそれを意 きるのか言い切れないからである。その点を今後 識しすぎていることを反映している可能性が高い。 の仮説と検証に活かしていく。 このようなさみしさ感情は単独行動を抑制してい ■表―――24 る要因であるが、公的自己意識得点とは関連がな 論文を要約したフローチャート い。また、他社のまなざしを内面化することで、 さみしいと感じるという構造はたまり妥当なモデ ルではないと示唆される。 このことから単独行動を抑制する感情と促進す るメリットの両側面が明らかになった。 (5)まとめ 単独行動を行う理由は 5 つの因子から説明がで きることがわかったが、この 5 因子に直接関与す る項目は「孤独感」と「対人関係を円滑に運ぶた めのスキル」であることが表 24 からもわかる。 「孤 独感」とは、共感しあえるかどうかと、自己の個 別性に気付いているかの 2 軸から説明ができる。 このことを踏まえ、単独行動に関する探索的研究 16 カラ業態の収益化を実現している。 2.企業側の事例研究 ヒトカラの利用者は、大勢とのカラオケ時に向 けた練習やストレス発散を目的とする場合や、中 (1)事例研究 には他人を気にせずに好きな曲を歌いたい、仲間 今後効果的なひとり消費のビジネスモデルを提 がいない、人といく際の気疲れがない、などの理 案するにあたって、既存研究として 1 人客をター 由で訪れる。また利用客層も幅広く、特に 10~30 ゲットとしたサービスの事例を見ることは有益で 代を中心にし、女性客も増加傾向にある。しかし あると考える。そこで 2012 年のヒット商品番付の ながら、ヒトカラには店舗に入るまでの抵抗感が 前頭となった「ヒトカラ」の事例を見ていく。 大きいという声も多く見られる。NSJ 日本証券新聞 ヒトカラは 1 人でカラオケを消費することであ によるとヒトカラの魅力はリピート率の高さであ る。 「カラオケの鉄人」の調査によると、全国で 2 るため、この抵抗感を払拭し多くの客を取り込む ~3 割がひとり客であり、カラオケ事業者協会によ ことが課題であるといえる。 ると、時間帯や店によっては 1 人客が半数になる ことも少なくないとのことで需要はおおいにあっ (2)考察 た市場であるといえる。しかしながら、2012 年の 以上のことから、企業がひとり消費者向け事業を 企業インサイダー編集部の記事によると、ヒトカ 行うことのデメリットとして、ひとり消費の単価 ラは不況による低落傾向が続くカラオケボックス は少ないことがあげられる。これは 1 人あたりの 業界の起死回生の決め手にはならない。理由とし サービスの比重は 2 人以上の場合よりも大きいこ て、ヒトカラはカラオケ側が「空室を抱えるより とから予想される。そのために企業は現在ひとり マシ」という考えに基づいた事業形態であり、利 消費者向け事業に対しコストの削減をし、利益率 益率がほぼない事業であるからと述べている。 を出す努力をしている。また、ひとり消費者はリ このヒトカラを、2011 年にコシダカホールディ ピート率が高いというメリットがあること、しか ングスは「ワンカラ」という一人客のためのみの しながら初回のひとり消費をする際には抵抗感が カラオケ店舗として事業に取り入れた。部屋は人 大きいことがわかった。 が 1 人しか入れない広さの空間で、ヘッドフォン により音楽を流し、コンデンサーマイクといった 3.仮説の提唱 スタンドマイクを使ってヒトカラを楽しむ仕様と なっている。また、女性が安心してワンカラを楽 現状分析で大学生男女を本研究におけるターゲ しめるように女性専用ゾーンやパウダースペー ットに設定すると述べたが、更にターゲットを、 ス・オートロックを設けてある。コシダカホール 単独行動を好む傾向にある大学生男女の 7 割に絞 ディングスによると、現在もワンカラの開発中で ることにする。本研究では単独行動への好意度が あり、 「いかにコストを抑えるか」が事業のポイン 低い大学生男女の単独行動好意度を高めることは トであるという。実証実験の結果、2012 年 12 月に 目的としておらず、あくまで好意度の高い 7 割の オープンした秋葉原店はそれまでのワンカラ店舗 対象者が持つ障壁を解消することに着目する。そ よりも初期投資を 30%削減している。この店舗では のことで、更なるひとり消費者の市場拡大を目指 3 ヵ月後の 2013 年 3 月には黒字化に成功し、ワン 17 すため、仮説提唱におけるターゲットは単独行動 提唱する仮説である。 を好む大学生男女の 7 割に設定する。 ひとり消費をする際に 表 25 のグラフは大学生男女 752 名の単独行動好 仮説 1:寂しいという感情が障壁になっている 意度の結果である。 仮説 2:孤独を好まない感情が障壁になっている ■表―――25 仮説 3:他者と関わりたい感情が障壁になっている 単独行動好意度 仮説 4:気楽と感じない感情が障壁になっている 仮説 5:意図する友人が居ないことが障壁になって いる 一方で、単独行動好意度が高く、ひとり消費を 行うことの出来る人々の障壁を考えると、先ほど の映画と焼肉の例のように、この対象者の障壁は 個人差が大きいと考えられる。 しかしその個人差の元を辿ると、ひとり消費が 出来ない人々と同じ心理的障壁が財・サービスに よって発生していると考えるため、ひとり消費が 出来ない人々を対象にした仮説が立証されれば良 しかしターゲットに設定した単独行動好意度の 高い 7 割の大学生男女は全て実際にひとり消費を 行うことが出来るのかどうか、更にひとり消費を いのである。 以上より、この 5 つの仮説を立証するために私 たちは検証を行う。 行う際には皆同じ心理を抱いているのかどうかと いう疑問を抱いた。既存研究で使用した論文の中 4.仮説の検証 では単独行動が出来る人と出来ない人の心理的障 壁の違いについて、また単独行動が出来る人の中 本章では上記で提示した仮説の有効性を因子分 でも 1 人で映画館に行くことは出来るが 1 人で焼 析・判別分析・重回帰分析を通して実証していく。 肉には行くことが出来ないなどの個人差がある点 の研究はされていない。 そこで私たちは、単独行動好意度の高い大学生 (1)調査手法と調査内容 調査手法と調査内容は表 26 を参照する。 男女の中でも更にひとり消費を行うことの出来る ■表―――26 人と出来ない人とで二分化し、ひとり消費が出来 検証概要 ない人の障壁を解消するための仮説提唱を行う。 単独行動好意度が高いにも関わらずひとり消費 が出来ない人にとって、既存研究で使用した論文 で論述されている「さみしさ感情否定」 「人嫌い・ 個人主義」 「同調嫌い」 「気楽」 「区別化」の 5 つの 単独行動要因を元に抽出した心理がどのような障 因子分析・判別分析・ 調査手法 重回帰分析 サンプル数 144 有効回答数 144 調査期間 2013/10/15-30 対象とする財 映画 壁となっているのだろうか。以下 5 つが私たちの (補録の因子分析アンケート項目参照) 18 を繰り返した。 (2)分析方法と手順 最終的に設問 22 項目で 5 つの因子が抽出された。 先行研究をもとにひとり消費に対する心理的障 28 から 31 の表から分かるように、第一因子は「館 壁の構成要素を設定したが、設定した構成要素ど 内の売店の購買」や「館内の売店での待ち時間」 おりの因子がわかれるのかを検討するため、因子 や「カウンターでのチケット購入」という負荷量 分析を行う。また判別分析では、各ケースを分別 が高いため、1 人で購買などを行う行為自体に障壁 し、新しいケースが属するグループを決定する基 があると判断でき「孤立因子」であると考えられ 準となる「境界線」を作り出すことを目的として、 る。第二因子は「他人の目」や「カップルがいる 1 人で映画館に行ったことを想定して需要層を「購 こと」や「知り合いとの遭遇」という負荷量が高 買希望層」 「非購買層」に区分し、因子分析で判明 いため、他人を見ることまたは他人から見られる したそれぞれの因子の影響力を数学的に示す。重 ことに障壁があると判断できるため「他人を気に 回帰分析とは事象における「原因」と「結果」 (因 する因子」であると考えられる。第三因子は「SNS 果関係と呼ばれる)を調べるために利用される分 で他人の映画感想を見たい」や「SNS で発信した 析手法であり、我々の検証においては、各因子と い」や「上映後誰かと話したい」という負荷量が ひとり映画館の因果関係を調べるために用いる。 高いため、感じたことを誰かと共有できないこと また主に判別分析に重きを置き、重回帰分析はそ に障壁があると判断でき「共有因子」であると考 れに付随する形で検証を行う。 えられる。次に「売り子の態度」と「上映後の混 雑」の 2 つからなる因子が抽出されたが、2 つでは (3)分析結果 因子として括ることのできる根拠が薄いため考慮 ⅰ心理的障壁の分割 に入れないことにする。第四因子は「周りの映画 1 人で映画館に行くことに関する設問 34 項目を に対するリアクション」や「他人の会話」や「上 因子分析にかけ、仮説からの「寂しいという感情」 映後の他人の会話」という負荷量が高いため、周 「孤独を好まない感情」 「他者と関わりたいという 囲から発せられるリアクションなどが障壁と判断 感情」「気楽と感じないこと」「意図する友人がい でき「リアクション因子」であると考えられる。 ないということ」を読み取ることができる因子が 以上より「孤立因子」 「他者を気にする因子」 「共 抽出されるかを検証した。因子抽出においては主 有因子」 「リアクション因子」の 4 つが抽出される 因子法、回転はバリッマクス回転を用いる。質問 結果となった。 (表 31) 項目は度合いに関する 5 段階のリッカート尺度を 用いた。 最終的な因子分析結果に至るまで共通性が 0.4 ■表―――27 因子分析 以下の項目を削除するという基準を設けた。 (表 27) 因子数を決定するうえで、初回の因子分析結果の 初期の固有値が 1 以上の因子が多数あり、その中 でも同じ意味合いの因子が複数あったため、抽出 の基準の因子数を設定して行い、低い共通性の項 目を削除し、再度固有値で因子数を判断すること 19 ■表―――28 共通性 因子のスクリープロット 初期 因子抽出後 .609 .559 チケットを買う待ち時間 .559 .476 映画館に入る際人の目 カウンターでのチケット .621 .570 .402 .429 .509 .517 館内の売店での待ち時間 .689 .653 館内の売店の購買 .669 .666 カップルがいること .450 .452 他人のめ .661 .727 知り合いとの遭遇 .342 .356 他人の会話 .451 .455 .389 .471 購入 機会を通してのチケット 購入 スタッフの接客態度 周りの映画に対するリア クション 上映あとの照明がついた ■表―――29 回転後の因子行列 .533 .507 上映後の他人の会話 .632 .675 上映後の混雑 .507 .527 映画館を出る際の人の目 .680 .638 上映後誰かと話したい .491 .417 館内の売店の SNS で発信したい .432 .412 購買 瞬間 SNS で他人の映画感想を 見たい レビューサイトで投稿し たい レビューサイトで他人の 感想が見たい 売り子の態度 因子抽出法: 主因子法 回転後の因子行列 a 因子 1 2 3 4 5 .794 .131 .111 .031 .073 .753 .155 .216 .119 .033 のチケット購 .645 .355 .024 .140 .090 .057 .018 -.012 .252 .242 .030 .231 館内の売店で .605 .702 の待ち時間 カウンターで .432 .444 入 .476 .369 機会を通して .409 .553 のチケット購 .602 入 チケットを買 う待ち時間 .602 .030 20 スタッフの接 客態度 他人の目 映画館を出る 際の人の目 カップルがい ること 知り合いとの 遭遇 映画館に入る 際人の目 .529 .215 .014 .434 .057 .354 .715 .206 .218 -.021 .316 .657 .170 .203 .191 .096 .633 .062 .116 .157 .112 .560 .071 .012 .156 .492 .544 .137 .018 -.046 SNS で 他 人 .125 .812 .016 .159 見たい したい .078 .233 .578 .056 .139 トで他人の感 .081 .046 .575 .077 .155 売り子の態度 .053 .131 .083 .725 .014 上映後の混雑 .238 .098 .091 .571 .356 .082 .207 .047 .645 .112 .342 .222 .137 .507 .298 .299 .134 .478 .500 明がついた瞬 .333 .367 .230 .258 .377 話したい レビューサイ 想が見たい 周りの映画に 対するリアク .061 ション 他人の会話 上映後の他人 の映画感想を .041 SNS で 発 信 上映後誰かと の会話 上映あとの照 -.014 .091 .624 -.058 .103 間 レビューサイ トで投稿した .180 -.004 .607 .196 -.064 い 21 ■表―――30 説明された分散の合計 説明された分散の合計 因子 初期の固有値 抽出後の負荷量平方和 回転後の負荷量平方和 合計 分散の % 累積 % 合計 分散の % 累積 % 合計 分散の % 1 7.188 32.674 32.674 6.747 30.670 30.670 3.429 15.586 2 2.442 11.100 43.774 1.954 8.880 39.551 2.683 12.197 3 1.628 7.402 51.176 1.173 5.334 44.885 2.420 10.999 4 1.479 6.720 57.896 1.003 4.558 49.443 1.597 7.259 5 1.191 5.415 63.312 .698 3.171 52.614 1.446 6.572 6 .861 3.912 67.224 7 .815 3.705 70.928 8 .760 3.455 74.383 9 .664 3.018 77.401 10 .627 2.849 80.250 11 .603 2.741 82.991 12 .560 2.544 85.535 13 .504 2.290 87.825 14 .447 2.032 89.857 15 .419 1.903 91.760 16 .401 1.822 93.582 17 .301 1.369 94.951 18 .284 1.292 96.243 19 .251 1.143 97.385 20 .218 .992 98.377 21 .199 .903 99.280 22 .158 .720 100.000 ■表―――31 4 因子抽出 22 23 ⅱ判別分析 た。 独立変数に「孤立因子」と「他者を気にする因 独立変数が従属変数に対する影響力の大きさを 子」と「共有因子」と「リアクション因子」と指 示す、標準化された正準判別関数係数は「孤立因 定し、従属変数を「ひとり映画の経験の有無」と 子」が 0.420、 「他者を気にする因子」が-0.722、 指定し、それぞれの因子の影響力を検証した。 「共有因子」が 0.467、 「リアクション因子」が- 表 32 からわかるように、固有値の正準相関の値 0.339 ということが分かった。また交差妥当化の結 が 0.268 と低い値を示したが独立変数の平均値が 果、判別的中率は 61.1%であった。この解釈は重 グループ間で異なっているかどうか示す Wilks の 回帰分析の検証結果を加味して後述する。 ラムダの有意確率は 0.034 と良い数値が検出され ■表―――32 判別分析結果 固有値 関数 固有値 分散の % 累積 % 正準相関 1 .077a 100.0 100.0 .268 a. 最初の 1 個の正準判別関数が分析に使用されました。 Wilks のラムダ 関数の検定 Wilks のラムダ カイ 2 乗 自由度 有意確率 1 .928 10.428 4 .034 標準化された正準判別関数係数 関数 1 孤立 -.420 他者を気にする -.722 共有 .467 リアクション .339 分類結果 a,c ひ と り 映 画 の 経 験 予測グループ番 合計 の有無 号 いいえ はい 24 いいえ 度数 はい 元のデ 55 28 83 21 40 61 ータ いいえ 66.3 33.7 100.0 はい 34.4 65.6 100.0 いいえ 度数 はい 交差確 53 30 83 26 35 61 認済み b いいえ 63.9 36.1 100.0 はい 42.6 57.4 100.0 % % a. 元のグループ化されたケースのうち 66.0% 個が正しく分類されました。 b. 交差確認は分析中のケースのみに実行されます。交差確認では、各ケースはそのケース以外 のすべてのケースから得られた関数により分類されます。 c. 交差確認済みのグループ化されたケースのうち 61.1% 個が正しく分類されました。 ⅲ重回帰分析 独立変数が従属変数に効果があるといえる 0.05 判別分析で結果は出たが、裏付けを強固とする 以下の有意確率を見ていくと、 「他者を気にする因 ため重回帰分析という違うアプローチで再度検証 子」 「共有因子」がそれぞれ 0.022、0.041 という をする。判別分析同様、因子分析で分類した各因 数値が抽出され、この 2 つの因子が効果があると 子についてひとり映画の障壁として影響の度合に 検証された(表 33)。また、標準化係数から見ても ついて検証した。独立変数に「孤立因子」と「他 「他者を気にする因子」が-.190、「共有因子」 者を気にする因子」と「共有因子」と「リアクシ が.121 という数値が抽出され、従属変数への影響 ョン因子」と指定し、従属変数を「実際に一人映 の大きさが証明された。 (表 34) 画館に行くこと」と指定した(表 33)。 25 ■表―――33 重回帰分析パス図 プロセス -.109 他者を気にする 実際に1人で映画に -.190 行く 共有 .121 .088 リアクション ■表―――34 結果 係数 a モデル t 値 標準化されていない係数 標準化係数 有意確率 B 標準誤差 ベータ (定数) .424 .040 孤立 -.059 .045 -.109 -1.331 .185 1 他者を気にする -.107 .046 -.190 -2.308 .022 10.491 .000 共有 .067 .045 .121 1.479 .041 リアクション .053 .050 .088 1.069 .287 判別分析で解明し、さらに重回帰分析を用いて違 (4)考察 うアプローチ法で解明した結果、 「他者を気にする 因子分析で映画館におけるひとり消費の心理的 因子」と「共有因子」の独立変数に対する影響力 障壁の構成要素を因子として、 「孤立因子」と「他 が大きいと証明され、 「孤立因子」と「リアクショ 者を気にする因子」と「共有因子」と「リアクシ ン因子」は影響が小さかった。 ョン因子」があると証明した。どの因子が映画館 におけるひとり消費に対して影響力が大きいかを 26 (5)仮説の立証 私たちは 5 つの仮説を提唱したので以下分析結 果を元に仮説の立証を確認する。 仮説 1「寂しいという感情が障壁になっている」 因子」である。これは私たちの既存研究では研究 することが出来なかったひとり消費行動の際の障 壁が存在していることを示している。 以上より共有因子に証明された「孤独を好まな は、分析で抽出された 4 つのどの因子とも関連が い感情」と「他者と関わりたい」という障壁を解 ないため棄却された。 消し、更に「他者が気になる」因子で括られたア 仮説 2「孤独を好まない感情」は、表 18 で掲載し ンケート項目を元にひとり消費市場拡大のための た単独行動の 5 つの要因のうち「人嫌い・個人主 提案を行っていく。 義」から提唱した仮説であり、この要因によって 単独行動を起こす人は「孤独感」という感情の関 5.インプリケーション 連が高いことが分かっている。(表 24 )また孤独感 の尺度は「共感し合えるか」 、 「自己の個別性に気 付いているか」の 2 つの軸で測られる。 本節では以上の検証結果を踏まえて、解明され たひとり消費における心理的障壁を解消し、さら つまり仮説 2 の根本には「孤独感」があり、そ にひとり消費のポジティブ面にも目を向けた新提 の孤独感を構成する要素に「共感し合えるか」 、 「自 案を述べる。まず心理的障壁を解消する汎用性の 己の個別性に気付いているか」が存在しているの 高い提案を行い、次にひとり消費を促進する心理 である。ここで私たちは「共感し合えるか」とい 的要素の解明する。 う孤独感の構成要素に注目したところ、共有因子 に括られるアンケート項目は「共感」に関するも 検証結果より、ひとり消費における心理的障壁 の因子には以下の 2 点があることが解明された。 のが多いことが分かった。共有因子で括った項目 1.共有・共感できない は(表 31)を参照する。つまり仮説 2 は、共感する 2.他者のまなざし ことができたならばひとり消費の障壁は解消され まず、1 の「共有・共感できない」障壁を取り除 るのではないかという仮説であるため、立証出来 くには、消費コンテンツの情報やレビュー、また る。 消費にあたっての気持ちを共有できる場が必要だ 仮説 3「他者と関わりたい」は、表 18 の 5 つの と考える。また、有形製品と異なるサービスの特 単独行動要因の「同調嫌い」から提唱した仮説で 性として、生産と消費が同時に行われる不可分性 あり、この要因も「孤独感」という感情が深く関 があげられるため、消費してすぐに共有できる仕 連している。つまり共有因子が効くと考えられ、 組みがないと共感したいという思いを汲み取るこ 仮説 2 と同様に立証された。 とはできない。そのため消費の近場、ターゲット 仮説 4「気楽と感じない」 、仮説 5「意図する友 の SNS の活用頻度の高さなどからインターネット 人がいない」は、仮説 1 と同様に抽出されたどの での共有が最適だと考えられる。また 2 の「他者 因子とも関連がないため棄却する。 のまなざし」の障壁を加味すると、不特定多数が 検証より仮説 2、3 が共有因子に属すると立証さ れたことが分かる。 参加可能な場よりも、同じ形態で消費を行ってい るひとり消費者のみが参加する場であるほうが、 そして仮説では提唱していなかった障壁の因子 より他者の目を意識せずに情報発信ができるので が検証の結果出現した。それは「他者を気にする はないかと考える。このことから私たちは「ひと 27 り消費者のみの情報発信・交換の場を店内または ーを実施した。デプス・インタビューとは、第二 インターネットで提供する」ことを提案する。ま 次世界大戦後に普及したモチベーション・リサー た、情報発信・交換の停滞を防ぐために、企業側 チの調査技法である。Gerald Zaltman[2005]の主 は随時話題性を生むサービスを提供することが求 張によると、消費者は社会的文脈によって感じ方 められる。特にインターネットを利用する場合は、 が異なるため、同じ商品を扱っていてもどのよう 一度登録すると企業・店舗側からの情報発信が容 な売り方をするかでまるで消費者の受け取り方は 易になるため、話題となる新たな情報を企業側が 異なる。つまり適切な社会的文脈は、潜在意識と 発信することで、消費者とのコミュニケーション 無意識のレベルに作りだすべきであり、潜在意 を図りプロモーションを行うことができる。 識・無意識の正確なツボをつく必要があると言及 次に、2 の「他者のまなざし」障壁を解消する提 している。そこで上田[2008]はこの潜在意識と無意 案として、 「サービス提供者がひとり消費者をロイ 識を研究対象とする点でモチベーション・リサー ヤル顧客として扱う」ことをあげる。これは、ひ チが重要だとしている。その中でもデプス・イン とり消費を行う理由を「そのサービスのコンテン タビューは一対一で行うインタビュー方法であり、 ツに興味があるから、コンテンツのコアなファン さらに一対象者あたり 1~2 時間、ときには 3 時間 であるから」と他者に明示することで、他者の「一 にも及んで実施するため、潜在意識・無意識を探 人=ネガティブ」のイメージを払拭でき、結果と る方法として非常に有用であると考え、我々は本 して「他者の目」を気にせずにひとり消費を行う 調査を行うこととした。深層心理的発言を抽出す ことができる仕組みである。つまり、ひとり消費 るという、あくまでも質に重きを置いている目的 者にとっての消費コンテンツの重要性を周囲に示 の為、サンプル数は少なくて良く、1 人からじっく すことによって一人であることに違和感を生まず、 り内面を引き出すことが肝心なのである。顧客が また消費者自身もひとりであることに負い目を感 ほとんど気付いていない潜在意識および全く気付 じなくなるため、障壁は取り除くことができると いていない無意識に依存するところが大きい。実 考える。 に、無意識と潜在意識で合わせて 95%もの影響力 を持つ。パンス・パッカード[1958]と、過去の研究 (1)ひとり消費のニーズ で証明されている。 (上田[2008]) ひとり消費の心理的障壁は前章で解明された。 本章では、ひとり消費のニーズや、どのようなオ (3) 調査 ケージョンでひとり消費を行うのかを研究する必 ターゲット 8 名(男:女=5:3)に対して、ひと 要があると考察した。ひとり消費のニーズを解明 り消費に対するイメージはどのようなものか、ひ し、今後の購買へのプロセス、ならびに展望へと とり消費へはどのような時に行きたいと感じるか 結びつけていきたい。 など、大まかな質問項目を設定し、本調査を実施 した。質問項目を大まかに設定することで会話を (2)デプス・インタビュー 本節では、消費者の潜在意識を探るためにター ゲットがひとり消費に求めているニーズを探り出 派生させやすくし、抽象語などが出てきた際には 詳細に説明してもらうように要求することで、ひ とり消費における深層心理を探って行った。 すべきであると考え、我々はデプス・インタビュ 28 (4)調査結果及び問題提起 贅沢、ストレス発散 さらに、デプス・インタビューで得た回答を全 1 には、自分が興味のあるコンテンツに対する行 て文字に起こし、調査員 8 名それぞれがターゲッ 動と特別感が挙げられた。コンテンツに関しては トのニーズだと思われるワードを抽出、さらにそ コンテンツに興味があるが他者とのニーズと合致 れらをグルーピングすることによって、本調査結 しないために仕方なくひとりで消費を行うことが 果に客観性を持たせることに努めた。この調査結 挙げられた。特別感に関しては自由や気楽といっ 果を基に、ターゲットがひとり消費に求めるニー た気を使わない、というニーズ、並びにコストパ ズは男女に分けられると仮定する。 フォーマンス重視といったニーズが挙がった。2 に ≪調査概要≫ は、自分の見聞を広めたいや、話のネタを作るな 調査形式:インタビュー形式 ど、自分が興味のあることを追及するという開拓 調査対象:大学生男女(男性 5 女性 2) 心が挙がった。3 は、コストパフォーマンスとは対 調査期間:平成 25 年 10 月 28 日~10 月 30 日 極に人付き合いから起こるストレス発散のために 所要時間:約 1 時間 贅沢な時間を使いたいなどが挙げられた。 調査目的:ひとり消費における購買時に関するタ ≪調査結果 女性≫ ーゲットの深層心理を探り、映画館においての知 まとめ 覚価値を探る 1 ≪質問項目≫ 周りへ気を使うことなく自由に見たい 「自由」 ひとり消費に関するイメージ(自由連想) 2 基本情報(5W2H) 自分をいたわってあげたい、自分へのご褒美 「自己愛」 今までのひとり消費時における経験、思い出、 1 は、興味があるコンテンツや特別感をひとり消 残念だったこと、良かったこと、驚いたこと、印 費の際に顕在意識として求めていることから潜在 象に残っていること 意識を導き出したものである。男性と同様に自分 今までのひとり消費の形態 の興味があるコンテンツに対しては一人でも積極 今後のひとり消費における希望 的に消費を行うことがわかった。また、一人消費 その他自由回答 に特別感を持っていることもわかった。これはコ ストパフォーマンス面ではなく、いつもよりもゆ ≪調査結果≫ っくりできることや何をしても許される開放感が デプス・インタビューの結果より男女に違いが見 挙げられた。2 に関しては、自分へのご褒美という られることが分かり、男女別々で結果をまとめた。 顕在意識と自分と向き合いたいという顕在意識に ≪調査結果 男性≫ 共通する顕在意識として、ワンランク上の消費を まとめ 求めていると考えた。自分へのご褒美には、試験 1 勉強に集中するためややる気を出すためにひとり 「自由」 周りへ気を使うことなく自由に見たい 消費を試験後にすると決める経験がある被験者や、 2 好きなことをして日々の疲れを癒したいなどの意 「開拓心」 未知の世界への開拓心 見があった。自分と向き合いたいという意見は、 3 考え事をしたいや一人で落ち着きたいなどの意見 「ワンランク上の消費」 29 もあった。 これらのデプス・インタビューの結果をまとめ、 このマーケティング・ミックスはモノ製品のマー ケティングを前提としたものである。サービス・ ひとり消費のニーズを図式化したものが表 35 であ マーケティングではその有形財とは異なる特性(生 る。男女ともに「自由」を求めており、それに加 産と販売・消費の同時性や提供過程品質の重要性)から、 えて男性は「開拓心」 「ワンランク上の消費」を求 この 4 つの要素だけでは不十分である。したがっ め、女性は「自己愛」を求めていることが分かっ て従来のものに加えて、接客、サービス、店舗、 た。これらのニーズを企業側が汲み取ることによ プロモーションを加えることにする。(Zeithaml & り、今後より有効なひとり消費事業の提案ができ Bitner ibid.) ると考える。 ■表―――35 ひとり消費の潜在ニーズ (7)提案への応用 本研究では、今後顧客であるひとり消費者にど ういったアプローチを行っていくのかの枠組みと して「サービス・マーケティング」を提唱する。 その理由は、ひとり消費の検証財としてレジャー 産業に財設定を行った。ひとり消費の現状、また レジャー産業を踏まえて考察した結果、ひとり消 費は他人との繋がりが根底にあり従来の 4P のマ ーケティング・ミックスでは本研究には落とし込 みづらくなってくる。今回は、レジャー産業を取 (5) 具体的な提案にあたって り扱うのでサービス産業が妥当であると考えた。 以上をまとめると、障壁を解消する提案として サービス産業にマーケティング・ミックスを行う は、 「ひとり消費者のみの情報発信・交換の場を店 と「サービス・マーケティング」という概念が出 内またはインターネットで提供する」ことと「サ てくる。サービス・マーケティングは 4 つの手法 ービス提供者がひとり消費者をロイヤル顧客とし からなる。「店舗」「プロモーション」「サービス」 て扱う」ことがあげられた。また、ひとり消費に 「接客」の4点である。 おけるニーズはデプス・インタビューにより「自 以上の既存研究から顧客がひとり消費している 由」 「開拓心」 「ワンランク上の消費」 「自己愛」の 間の店舗、プロモーション、サービス、接客に着 4 点あげられた。しかしながら「自由」に関しては、 眼する。 ひとり消費中は常にこのニーズは満たされている 検証の後にインプリケーションを考えて行く際 ため、今後提案を吟味するにあたってこのニーズ の理論の裏付けとして「サービス・マーケティン は考慮しない。 グ」を利用していきたい。従来のモノの 4P を使用 するよりも合理的かつ実現可能である。 (6) サービス・マーケティング 従来のマーケティング理論におけるマーケティ (8) Movie for You ング・ミックスの要素は、「プロダクト」「プレイ 2 つの心的障壁を解消する提案、3 つのニーズを ス」 「プライス」 「プロモーション」の 4 つである。 もとに、サービス・マーケティングである「店舗」 30 「プロモーション」 「接客」 「サービス」の 4 つを ⅱ店舗:ロイヤルファンシートの設置 使って映画事業における、ひとり消費の提案をま ひとり消費者には、任意で「ロイヤルファンシー とめる。私たちの映画事業におけるひとり消費の ト」と名付けられた、普通のシートにアッパーク 提案のコンセプトは、 「Movie for You」である。こ ラスを想像させる装飾を施した席を選ぶ権利が与 のコンセプトには、ひとり消費者に対し、企業が 1 えられる。このロイヤルファンシートは「他者の 対 1 で向き合い顧客として大切にする姿勢を表し 目」を気にせずに済むように、また「ワンランク た。 上の消費」 「自己愛」を満たすために、高級なイメ 私たちの映画事業におけるひとり消費の提案は、 ージのあるオペラ席に設置する。 「映画コンシェルジュ」である。これは、ひとり ⅲ接客:コーヒーの手渡し、映画コンシェルジュ 消費者に対し、企業が 1 対 1 で向き合い映画好き の設置 な顧客として大切にする姿勢を表した。今後サー ひとり消費者には、チケット発券後に席につい ビス・マーケティングの 4 つの要素にあわせて提 た際、店員によりコーヒーが手渡しされる。この 案をすすめていく。 行動はひとり消費者の「ワンランク上の消費」 「自 ⅰサービス: 「映画コンシェルジュ」サイトの開設 己愛」のニーズを汲み取ることができる。また、 この「映画コンシェルジュ」のサイトに登録し 1 検証結果により店員の目は心的障壁の「他者の目」 人分の映画チケットを買うと、その鑑賞予定の映 とはなりえないため、店員との接客は有効に働く。 画のみのコミュニティが表示され参加することが もう 1 つの案として、映画について知識のある できる。またはチケット売り場で 1 人分の映画チ 映画コンシェルジュを館内に 1 人を設置する。こ ケットを買うと、その映画のコミュニティが表示 の映画コンシェルジュの利用者は、映画の前後に される。コミュニティでは参加者がハンドルネー 行動を共にする同伴者がいないひとり消費者がメ ムを利用して自由に対話でき、映画の情報や期待 インであると考える。ひとり消費者が映画コンシ 感・また感想などを共有できる。 ェルジュと映画について話すことは、 「共感」につ これにより「共有できない」という障壁を解消で ながり、また映画に関するさまざまな情報を得る きる。また消費者の「開拓心」への需要を満たす ことで「ワンランク上の消費」ができたと消費者 ために、ビッグデータを活用し消費者の好みにあ に満足させることができる。 ったロードショーや DVD、書籍の提案などを「映 Ⅳプロモーション:映画コンシェルジュへの促進 画コンシェルジュ」で行い、見聞を広める道筋を プル戦略、プッシュ戦略がありプル戦略は、マス 示す。また、より「共有したい」という思いが強 広告・パブリシティ中心のため、ホームページも い人や「開拓心」の需要が大きい人向けには、映 こちらに入り、新規顧客の開拓に用いることが可 画のコミュニティ参加者のみが参加できるオフ会 能。TVや雑誌の広告で消費者のニーズが喚起さ を開催することで満足度を上げることができる。 れやすいシーンを狙い発信する。プッシュ戦略は、 企業側は、このサイトを利用したプロモーション 人的販売・販売促進を中心に、顧客との関係性を により売上を確保できる。ビッグデータを用いる 強化して、販売を促進していく戦略である。事例 ことでより購買につながる映画情報を消費者に提 企業で多く用いられる口コミなどもこちらに入り、 供することができ、また他業界である書籍なども 既存の顧客を醸造に用いる。継続的なコミュニケ 提案することで広告費を得ることができる。 ーションを確立するため、コミュニティで会員登 31 録したユーザーに対して毎朝モーニングメールと 参考文献 して、携帯アドレスに最新映画情報やレビューの 買い物客はそのキーワードで手を伸ばす 深層心 更新、ニュースなどの情報を配信し、サイトに毎 理で消費者インサイトを見抜く「価値創造型プロ 日アクセスしてもらうような取り組みを行えば顧 モーション」 客との関係性の構築につながる。 学習院マネジメント・スクール:監修 上田隆穂/ 兼子良久/星野浩美/守口剛:編著 東京出版 ③―――結論 小塩真司著「はじめての共分散構造分 析」 光文社新著 三浦展「日本人はこれから何を買う のかー超おひとりさま社会の消費と行動―」 1. 今後の課題 日本経済新聞社 牛窪恵「おひとりさまマーケッ ト」 ひとり消費の心理的障壁は解明されたが、ひと 朝日新聞『AERA』 2013.04.29「25 年後 おひ り消費のニーズは未だ解明されていない、また、 とりさま時代」 どのようなオケージョンでひとり消費を行うのか 常陽地域研究センター『JOYO は今後の課題である。我々はデプス・インタビュ 月号 ーを取った。今後は定性調査を行い、定量調査を サンケイ総合印刷 『販売革新』 「お 1 人さま MD 行いたい。 大集合」 「若者消費論」 日本政策金融公庫 2. まとめ ARC』 2012.11 Forum』 農 林 水 産 事 業 本 部 『 AFC 2010.10 月号「おひとりさま市場に意 外なチャンス」 私たちは本研究において、多様化する消費者の りそな総合研究所『りそなーれ』2012.7 月号「お ライフスタイルの中で、 「ひとり消費」に着目して ひとりさまのさらなる増加と消費の実態」 研究行った。研究の結果、興味深い示唆を得られ http://research.goo.ne.jp/database/data/000579/ た。そこではさみしいという感情、孤独感が強く http://www.hm.h555.net/~hajinoue/jinbutu/taish 影響していた。これを当たり前と捉えるか、否か uushakai.htm は個人の主観に任されてしまうが、不況に苦しむ http://www.nikkei.co.jp/topic4/kakumei/n182b00 近年、本研究が新たな戦略として企業が口コミや 0_12.html リピーターに着目してひとり消費の顧客にも目を http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/b 向ければレジャーや外食業界をはじめ様々な業界 unseki/pdf/h17/h4a0506j3.pdf の発展に寄与することができると考え、実務的な http://www.kansai.meti.go.jp/7kikaku/syocyoren 提案の幅が広がることが可能になると言える。 kei/houkokusyo/syokubunka_2syou.pdf 最後にレジャー・外食市場並びに今後のひとり消 費のさらなる発展を願い、本論文をとじたい。 http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_eco_it-mobi le-smartphone-use http://netyougo.com/twitter/2729.html 32 http://www.dentsu.co.jp/news/release/2012/pdf/2 http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/feature/post_3 012036-0329.pdf#search='%E9%9B%BB%E9%8 1417/ 0%9A+%EF%BD%BD%EF%BE%8F%E5%85%8 http://careerconnection.jp/biz/studycom/content_ 5' 703.html http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepa per/ja/h23/html/nc232310.html http://shimokita.keizai.biz/headline/1597/ http://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2013/07/210 30730_2.pdf 33 補録―――1.因子分析アンケート項目 2.デプス・インタビューアンケート項目 34 1. 因子分析アンケート項目 35 36 アンケートご協力のお願い 私たちは外食やレジャーを一人で自由気ままに楽しむと定義する「ひとり消費」について研究しており、単独行動 の心理的障壁と孤独の関係性についての分析を行いたいと思います。 この度のアンケートは、現在行っている研究のための調査であり、皆様からご協力いただいたアンケート結果は、 統計数値で見ることになります。統計調査は、個人ごとの回答結果を見ることはいたしませんので、個人的にご迷 惑をおかけするようなことは一切ございません。また、この度のアンケートは、この表書きに記載してあります目 的以外に使用することはございません。その点ご心配なく、アンケートに是非ご協力下さいますようお願い申し上 げます。 佐々木班 回答日 2013 年( )月( )日 最初にあなたの情報を教えてください。 1.性別 男性 2.年齢 ( / 女性 )歳 3.あなたは一人で映画に行きたいと思いますか。 4.あなたは一人で映画に行ったことはありますか。 はい はい / いいえ / いいえ 37 ひとりで映画館に行くことを想定したうえで、気になる度合を教えてください 1.当て 2.やや 3.どち 4.やや 5.あて はまら あては らでも あては はまる ない まらな ない まる い 【上映前】 1.映画館に入る際の人の目を気にする 1 2 3 4 5 2.チケットを買う待ち時間が気になる 1 2 3 4 5 3.カウンターでのチケット購入が気になる 1 2 3 4 5 4.機械を通してのチケット購買 1 2 3 4 5 5.スタッフの接客態度 1 2 3 4 5 6.館内の売店での待ち時間 1 2 3 4 5 7.館内の売店での購買 1 2 3 4 5 8.端席でない場合に他人の前を横切る際 1 2 3 4 5 9.カップルがいること 1 2 3 4 5 10.他人の目が気になる 1 2 3 4 5 11.知り合いとの遭遇が気になる 1 2 3 4 5 12.家族連れがいること 1 2 3 4 5 13.他人の会話が気になる 1 2 3 4 5 14.上映が始まり、照明が落ちた時が気になる 1 2 3 4 5 15.友人がいないこと 1 2 3 4 5 16.映画好きの友達がいないこと 1 2 3 4 5 17.映画を通しての新しい出会いがない 1 2 3 4 5 15.本編前の CM 1 2 3 4 5 16.ひじ掛けの使用があるか 1 2 3 4 5 17.人の出入りが気になる 1 2 3 4 5 18.周りの映画に対するリアクション 1 2 3 4 5 19.他人から発せられる匂いや雑音 1 2 3 4 5 20.気楽でない 1 2 3 4 5 21.のんびりできない 1 2 3 4 5 22.心配事がある 1 2 3 4 5 20.エンドロールを最後まで見ること 1 2 3 4 5 21.上映後の照明がついた瞬間 1 2 3 4 5 【上映中】 【上映後】 38 22.上映後の他人の会話 1 2 3 4 5 23.上映後の混雑 1 2 3 4 5 24.映画館を出る際の人の目 1 2 3 4 5 25.上映後、誰かと話したい 1 2 3 4 5 26.SNS(twitter など)で発信したい 1 2 3 4 5 27.SNS で他人の映画感想を見たい 1 2 3 4 5 28.レビューサイトで投稿したい 1 2 3 4 5 29.レビューサイトで他人の感想を見たい 1 2 3 4 5 30.売り子の態度 1 2 3 4 5 31.キャンペーン(レディースデイなど)の有 1 2 3 4 5 32.清掃作業の有無 1 2 3 4 5 33.2D映画を見ること 1 2 3 4 5 34.3D映画を見ること 1 2 3 4 5 【サービス】 無 1.当て 2.やや 3.どち 4.やや 5.あて はまら あては らでも あては はまる ない まらな ない まる い ひとりで映画館に行きたい度合を 100 点満点で教えてください。 【 点 】 点数の具体的な理由をおしえてください 【 】 39 ふたりで映画館に行くことを想定したうえで、気になる度合を教えてください 1.当て 2.やや 3.どち 4.やや 5.あて はまら あては らでも あては はまる ない まらな ない まる い 【上映前】 1.映画館に入る際の人の目 1 2 3 4 5 2.チケットを買う待ち時間 1 2 3 4 5 3.カウンターでのチケット購入 1 2 3 4 5 4.機械を通してのチケット購買 1 2 3 4 5 5.スタッフの接客態度 1 2 3 4 5 6.館内の売店での待ち時間 1 2 3 4 5 7.館内の売店での購買 1 2 3 4 5 8.端席でない場合に他人の前を横切る際 1 2 3 4 5 9.カップルがいること 1 2 3 4 5 10.他人の目 1 2 3 4 5 11.知り合いとの遭遇 1 2 3 4 5 12.家族連れがいること 1 2 3 4 5 13.他人の会話 1 2 3 4 5 14.上映が始まり、照明が落ちた時 1 2 3 4 5 15.友人がいないこと 1 2 3 4 5 16.映画好きの友達がいないこと 1 2 3 4 5 17.映画を通しての新しい出会いがない 1 2 3 4 5 15.本編前の CM 1 2 3 4 5 16.ひじ掛けの使用 1 2 3 4 5 17.人の出入り 1 2 3 4 5 18.周りの映画に対するリアクション 1 2 3 4 5 19.他人から発せられる匂いや雑音 1 2 3 4 5 20.気楽でない 1 2 3 4 5 21.のんびりできない 1 2 3 4 5 22.心配事がある 1 2 3 4 5 20.エンドロールを最後まで見ること 1 2 3 4 5 21.上映後の照明がついた瞬間 1 2 3 4 5 【上映中】 【上映後】 40 22.上映後の他人の会話 1 2 3 4 5 23.上映後の混雑 1 2 3 4 5 24.映画館を出る際の人の目 1 2 3 4 5 25.上映後、誰かと話したい 1 2 3 4 5 26.SNS(twitter など)で発信したい 1 2 3 4 5 27.SNS で他人の映画感想を見たい 1 2 3 4 5 28.レビューサイトで投稿したい 1 2 3 4 5 29.レビューサイトで他人の感想を見たい 1 2 3 4 5 30.売り子の態度 1 2 3 4 5 31.キャンペーン(レディースデイなど)の有 1 2 3 4 5 32.清掃作業の有無 1 2 3 4 5 33.2D映画を見ること 1 2 3 4 5 34.3D映画を見ること 1 2 3 4 5 【サービス】 無 1.当て 2.やや 3.どち 4.やや 5.あて はまら あては らでも あては はまる ない まらな ない まる い ふたりで映画館に行きたい度合を 100 点満点で教えてください。 【 点 】 点数の具体的な理由をおしえてください 【 】 41 2. デプス・インタビューアンケート項目 質問項目 調査の主旨説明 主旨説明 自己紹介など ひとり消費のイメージ(自由連想) 思いついたことを自由に 基本情報(5W2H) When Where What How many Why How much 重視ポイント 気持ち どんなときに行きたいか? ひとり消費の思い出 最初に行ったひとり消費 印象的なひとり消費 楽しかった、残念だった 今後につなげる 今までのひとり消費の形態 今後の希望 それは何故か? シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略 日本放送出版協会 (2010/12/16) レイチェル・ボッツマン 日本人はこれから何を買うのか? 「超おひとりさま社会」の消費と行動 光文社新書 (2013/4/17) 三浦 展 マーケティングを学ぶ<上> 中央経済社 上田隆穂・青木幸弘 ひとり映画のイメージを教えて! 自由でもあるんだけど、さみしい気持ちもあるよ ね。イメージだと映画通のおじさんとかが行ってい そうな感じだよね。 行くきっかけは? 行くきっかけ?色々あるけど、やっぱり予定が合う 友人がいないことかな!予定を合わないから自分 42 1人で行くってパターンが多いかな! いつ行くの? 時間つぶしかな!時間帯はバラバラだね! どこに行くの? いつもと変わらないかな、特別1人だから違う映画 館に行くとかは基本考えないよね! どのくらいの頻度でいくの? えーと、だいたい行っても年1回あるかないかぐら い!そんなには行かないね! 費用はどのくらいかけてる? 全然かけてないよ!映画の入場券の1500円だ けだね!1人でいる時はポップコーンも飲み物も 買わないし、コンビニとか自動販売機で済ませちゃ うかな! ひとり映画する際の重視してるポイントとか教え うーん、本当に時間が空いたときに時間の有効活用 て! のために映画館に入ったりするかな。あとは、映画 の中身にもよるよね。 ひとり映画してる時の気持ちを教えて! 最初は満足して映画見てるんだけど、だんだん皆と 映画のことを話したくなるよね。言い合いたい気持 ちが出てくるかな! どんな時にいきたいのか? やっぱり、友達が捕まらないときだね! 最初に行った、ひとり映画の印象は? うーん、何だろね。なんか見てやったぜ(笑)って いう気持ちになって、明日の話のネタを手に入れた 感じかな。かなり満足だった気がする! 良かったひとり映画 会場が満員であまり孤独を感じなかったときかな! なんか皆で盛り上がって見れた気がするんだよね 今後行ってみたいひとり映画は? とことん贅沢してみたいな!ポップコーンとか飲み 物を大量に買ったりね!パンフレットとかグッズも 買い占めてみたいな! 何で? うーん、何でだろう?ストレスたまってて普段出来 ないことしたのかもね 43
© Copyright 2025 Paperzz