セルとピックアップ

部分電離プラズマ中の無衝
突衝撃波のシミュレーション
大平 豊
(青山学院大学)
内容
超新星残骸の周りの水素原子
電離過程を取り入れたプラズマ粒子
ハイブリッドシミュレーション
まとめ
Ref: Y. Ohira, PRL (2013), Y. Ohira, ApJ (2012)
超新星残骸の周りの水素原子
超新星残骸周りのガスの電離度は ~ 0.5 SN1006
Hα
Ghavamian et al. ApJ 2000, 2002
超新星残骸は、銀河宇宙線の起源
タイプ Ia 型 or II型?
ISMの中 or スーパーバブルの中?
宇宙線のエネルギースペクトル
標準的な衝撃波加速理論はdN/dE∝E-2
銀河宇宙線や超新星残骸の観測は
dN/dE∝E-2.1-E-2.4
加速機構への注入問題
銀河宇宙線の観測からは、ECR~0.1ESN
どのようにして加速過程に入るかは謎
Winkler et al. ApJ 2003
X ray
無衝突衝撃波の構造
衝撃波の速度構造や磁場構造は謎
Cassam-Chenai et al. ApJ 2008
ハイブリッドシミュレーション
イオン
,
電子
マクスウェル
方程式
à
,
ui と ni は粒子の xi と vi から 求める.
水素原子の電離過程 (H, p, e-)
Charge exchange with proton
Collisional ionization with proton
Collisional ionization with electron
Collisional ionization with hydrogen atom
Barnett (1990)
Janev & Smith (1993)
CE with p
CI with p
CI with eCI with H
v [ cm3 / s ]
10-7
H + p  p + H
H + p  p + e- + p H + e-  p + e- + e- H + H  p + e- + H ν ce
≈ 10
Ωcp
5
!
$
σv
×#
&
7
3
" 10 cm / s %
10-8 7
10
! n $! B $
×#
&
−3 & #
" 1cm %" 3µG %
108
109
vrel [ cm / s ]
1010
1
シミュレーションパラメター
Lx x Ly = 20000 c/ωpp x 400 c/ωpp
Δx = Δy = 0.5 c/ωpp , Δt = 0.0125 Ωcp-1 ~ 10-4 ν-1
16個の水素原子 と 16個の陽子 / 1セル
βp = βH = 0.5, np = nH ,
Te- = 0
,
B0 // ey
Vd = 10 VA = 2000km/s
2次元のシミュレーション平面
y
Vd = 10 VA = 2000km/s
プラズマ + 水素原子 + 磁場
x
By
壁
位相空間図
下流の高温水素原子が上流へしみ出す。上流で電離してピックアップイオンになる。
Lsh~ Vd / Ωcp ~ MA c/ωpp
t = 2000Ωcp-1
100
vx [vA]
50
Proton
0
-50
Pickup ions
-100
Lpre~ Vd / νi ~ (Ωcp/νi) MA c/ωpp
100
50
vx [vA]
6
5
4 Vsh ~ 13.6VA
~ 2700 km/s
3
2 in the upstream frame 1
0
6
5
4
3
2
1
0
Hydrogen
0
-50
Leaking hydrogen atoms
-100
3000
6000
9000
12000
x [c / pp]
15000
nleak/nH ~ 0.07
at the shock front
uleak /Vsh ~ 0.23
in the shock rest frame
(nu)leak/(nu)up ~ 0.016
in the shock rest frame
水素原子の速度分布
vx [vA]
50
6
5
4
3
2
1
0
p
0
-50
-100
100
vx [vA]
50
6
5
4
3
2
1
0
H
0
-50
-100
3000
6000
9000
12000
x [c / pp]
下流静止系
1
dN/dv [ arbitrary units ]
100
0.8
vy
vx
vz
0.6
0.4
0.2
15000
幅の狭い成分と広い成分が存在
観測されているHα 輝線の構造を再現
0
-4000
-2000
0
v [ km / s ]
2000
4000
Ghavamian et al.
(2002)
衝撃波構造
1
up / up,0
0.8
0.6
ρp / (ρH + ρp )
0.4
0.2
0.1 x ρp / ρp,0
0
11000
12000
up / up,0
0.1 x p / p,0
fi
13000
x [ c / pp ]
14000
15000
rtot = 3.77  2D effects or adiabatic index ≠ 5/3?
rsub = 3.47
< rtot
Lpre
~ 1015-16 cm n1/cc-1
Ldiff,Bohm ~ 1015 cm ush,3000km/s-1 B100µG-1 ETeV
この速度場中で衝撃波加速が起きると、E-2よりソフトなスペクトルになる
エネルギースペクトル
108
陽子
107
10% of Etot
106
E dN/dE
105
10
水素原子
4
103
102
101
衝撃波下流中
100
0.1
1
10
E [ 0.5 m vd2 ]
100
加速された粒子の軌跡
1
1800
0.8
1600
0.6
1400
0.4
1200
0.2
1000
0
time [
cp
-1
]
2000
0
40
80 12000
E [ 0.5 m vd2]
14000
x [ c / pp ]
16000
下流からしみ出した水素原子は、上流でのピックアップと、
二回目の衝撃波加熱により、初期の10倍にまで加速される。
水素原子は、衝撃波加速の注入に重要!
y [ c /ωpp ]
y [ c /ωpp ]
磁場と密度 (下流領域)
|B|/B0
|B| と ρp は反相関  Slow mode
δB / Bd0 > 1 Mirror instability  P⊥/Pǁ‖ > 1.
ρp/ρp,0
Rudakov & Sagdeev (1961)
Hasegawa (1969)
Raymond et al.(2008)
上流の水素原子は、衝撃波で
散逸せずに下流へ入ってくる。
下流で電離し、磁場の周りを
周りだす  P⊥/Pǁ‖ > 1.
x [ c /ωpp ]
y [ c /ωpp ]
y [ c /ωpp ]
磁場と密度 (上流領域)
|B|/B0
|B| と ρp は相関  Fast mode
δB / B0 ~ 0.5 ρp/ρp,0
(Drury & Falle, 1986
Chalov 1988)
Drury instability?
拡散する粒子が必要。
でも、Pickup ionは磁化している。
P⊥/Pǁ‖ > 1 は、 slow mode
と Alfven mode を励起する。
新しい不安定性?
x [ c /ωpp ]
音波不安定性の物理機構
電離による Pickup ions の注入がある場合
安定な音波
δρ
δρ
水素原子は高密
度領域で、より電
離される。
δρPUI
Δt
+
Δt
(δpPUI/δρPUI >> δp/δρ)

安定
TPUI >> Tup
不安定!
まとめ
SNRの周りの星間ガスは必ずしも完全電離状態ではない。
部分電離プラズマ中を伝搬する無衝突垂直衝撃の
ハイブリッドシミュレーションを世界で初めて行った。
下流の高温水素原子が衝撃波上流へしみ出す。
上流へしみ出した水素原子は、上流で電離してPickup ionになる。
Pickup ionは、衝撃波構造を変える。
Pickup ion は上流でfast mode, 下流でslow modeを励起する。
しみ出した水素原子は加速される。
電離度は、衝撃波加速過程への注入, 加速粒子のベキ指数, 磁場を
決める重要なパラメター  Type Ia がどれだけ宇宙線に寄与するか?
ハイブリッドコード内での電離 (1)
水素についての電離の計算(H1について)
①同じセルにいる粒子を特定する
H2, p1, p2, e-1, e-2 H1 p
1
p2 H2
電子は、陽子と同じ数とする
②H1との相対速度を計算する
電子速度は、陽子の平均速度とする
ve- = <vp>  Te = 0を仮定
|vH1 - vH2|, |vH1 - vp1|, |vH1 - vp2|, vrel,H1e- = |vH1 - <vp>| ③散乱断面積 σCE, σCI,p, σCI,H and σCIe-から、反応確率を求める PCI,H1H2, PCI,H1p1, PCE,H1p1, … , PCI,H1e- ④乱数により、どの粒子と、どの反応でH1水素が電離するか、
または電離しないかを決める
ハイブリッドコード内での電離 (2)
電荷交換反応
反応した陽子は、水素原子になる。
水素原子の運動
自由運動とする。
電子温度
Te = 0とする。
H1 p
1
p2 H2
Sedov phase に入った頃の若いSNRの場合 (SN1006,Tychoなど)
%" n %" B %
ν ce
σv
5"
≈ 10 $
'$
'
7
3
−3 ' $
# 10 cm / s &# 1cm &# 3µG &
Ωcp
1
計算機コストを抑えるため、人工的に全ての散乱断面積を 103倍
ν ce
≈ 10
Ωcp
2
ν << Ωcp の関係は維持