3 人間関係の形成 - 村上特別支援学校いじみの分校

自立活動解説
3 人間関係の形成
新潟県立村上特別支援学校いじみの分校
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成
3 人間関係の形成(幼稚部教育要領第2章の2(3),小学部・中学部学習指導要領第7章第2の3,高等部学習指導要領
第6章第2款の3)
3 人間関係の形成
(1) 他者とのかかわりの基礎に関すること。
(2) 他者の意図や感情の理解に関すること。
(3) 自己の理解と行動の調整に関すること。
(4) 集団への参加の基礎に関すること。
「3 人間関係の形成」では,自他の理解を深め,対人関係を円滑にし,集団参加の基盤を培う観点から内容を示している。
今回の改訂においては,幼児児童生徒の障害の重度・重複化,発達障害を含む多様な障害に応じた指導を充実する観点から,従
前の「2 心理的な安定」の区分に示されていた「対人関係の形成の基礎に関すること。」を含めて必要とされる項目を検討し,
「他者とのかかわりの基礎に関すること。」,「他者の意図や感情の理解に関すること。」,「自己の理解と行動の調整に関する
こと。」,「集団への参加の基礎に関すること。」を新たに示し,これらを区分「3 人間関係の形成」として整理した。
「3 人間関係の形成」
(1) 他者とのかかわりの基礎に関すること。
(2) 他者の意図や感情の理解に関すること。
(3) 自己の理解と行動の調整に関すること。
(4) 集団への参加の基礎に関すること。
「3 人間関係の形成」 では
自他の理解を深め,対人関係を円滑にし,集団参加の基盤を培う観点から内容を示している。
従前,「2 心理的な安定」の
「対人関係の形成の基礎に関すること。」
改訂
新設した 3「人間関係の形成」
に
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成
(1)他者とのかかわりの基礎に関すること
(1) 他者とのかかわりの基礎に関すること
① この項目について
-47「(1) 他者とのかかわりの基礎に関すること。」は,人に対する基本的な信頼感をもち,他者からの働き掛けを受け止め,それに
応ずることができるようにすることを意味している。
「(1) 他者とのかかわりの基礎に関すること。」
人に対する基本的な信頼感をもち
他者からの働き掛けを受け止め
それに応ずることができる
ようにすることを意味している
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成 (1)他者とのかかわりの基礎に関すること
② 具体的指導内容例と留意点
人に対する基本的な信頼感は,乳幼児期の親子の愛着関係の形成を通してはぐくまれ,成長に伴い様々な人との相互作用を通し
て対象を広げていく。障害のある幼児児童生徒は,障害による様々な要因から,基本的な信頼感の形成が難しい場合がある。
人に対する認識がまだ十分に育っておらず,他者からの働き掛けに反応が乏しい重度の障害がある幼児児童の場合には,抱いて
揺さぶるなど幼児児童が好むかかわりを繰り返し行って,かかわる者の存在に気付くことができるようにすることが必要である。
このように身近な人と親密な関係を築き,その人との信頼関係を基盤としながら,周囲の人とのやりとりを広げていくようにする
ことが大切である。
人に対する基本的な信頼感は
乳幼児期の親子の愛着関係の形成を通してはぐくまれ
成長に伴い様々な人との相互作用を通して対象を広げていく
障害のある幼児児童生徒は,障害による様々な要因から
基本的な信頼感の形成が難しい場合がある
?
人に対する認識がまだ十分に育っておらず,他者からの働き
掛けに反応が乏しい重度の障害がある幼児児童の場合には
抱いて揺さぶるなど幼児児童が好むかかわりを繰り返し行って
かかわる者の存在に気付くことができるようにすることが必要である
このように身近な人と親密な関係を築き,その人との信頼関係を基盤としながら
周囲の人とのやりとりを広げていくようにすることが大切である
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成
(1)他者とのかかわりの基礎に関すること
また,他者とのかかわりをもとうとするが,その方法が十分に身に付いていない自閉症のある幼児児童生徒の場合には,まず,
直接的に指導を担当する教師を決めるなどして,教師との安定した関係を形成することが大切である。そして,やりとりの方法を
大きく変えずに繰り返し指導するなどして,そのやりとりの方法が定着するようにし,相互にかかわり合う素地を作ることが重要
である。その後,やりとりの方法を少しずつ増やしていくが,その際,言葉だけでなく,具体物や視覚的な情報を加えて分かりや
すくすることも大切である。
おは・
・
・
・
教師との安定した関係を形成することが大切である
おはよう
・
・
・
・
・
・
まず,直接的に指導を担当する教師を決めるなどして
信頼関係の形成
自閉症のある幼児児童生徒の場合には
おはよう
また,他者とのかかわりをもとうとするが,その方法が十分に身に付いていない
おはよう
お
相互にかかわり合う素地を作ることが重要である
良い意味での
パターン化
おはよう
そして,やりとりの方法を大きく変えずに繰り返し指導する
などして,そのやりとりの方法が定着するようにし
その後,やりとりの方法を少しずつ増やしていくが
おはようございますカード
おはようございます
おはようございます
その際,言葉だけでなく,具体物や視覚的な情報を加えて
分かりやすくすることも大切である。
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成 (1)他者とのかかわりの基礎に関すること
③ 他の項目との関連例
視覚障害のある幼児児童生徒の場合,相手の顔が見えない,あるいは見えにくいために,他者とのかかわりが消極的,受動的に
なってしまう傾向が見られる。
このような場合,だれかが話し掛けてきた場面では,自分の顔を相手の声が聞こえてくる方向に向けるようにしたり,相手との
距離を意識して声の大きさを調整したりするなどのコミュニケーションを図るための基本的な指導を行う。
視覚障害のある幼児児童生徒の場合
?
?
相手の顔が見えない,あるいは見えにくいために
?
できましたか?
他者とのかかわりが消極的,受動的になってしまう傾向が見られる
このような場合,だれかが話し掛けてきた場面では
できましたか?
クルッ
自分の顔を相手の声が聞こえてくる方向に向けるようにしたり
などのコミュニケーションを図るための基本的な指導を行う
はい
相手との距離を意識して声の大きさを調整したりする
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成
(1)他者とのかかわりの基礎に関すること
また,一緒に活動している友達や周囲の状況が変化した場合は,必要に応じて,近くにいる友達に援助を求めたり,他の友達のと
ころへ連れて行ってもらったりするなどして,他者とかかわる機会を設けるようにするなど,積極的に他者とかかわろうとする態
度や習慣を養うよう
-P48 指導することが大切である。
したがって,視覚障害のある幼児児童生徒に対して他者との積極的なやりとりを促すには,この項目に加えて,「2 心理的な安
定」や「6 コミュニケーション」等の区分に示されている各項目等を相互に関連付けて具体的な指導内容を設定することが大切で
ある。
また,一緒に活動している友達や周囲の状況が変化した場合は,
お願いします
必要に応じて,近くにいる友達に援助を求めたり
変化
教室
こっちですよ
他の友達のところへ連れて行ってもらったりするなどして
・・・・・・・
・・・・・・・
他者とかかわる機会を設けるようにするなど
図書室
積極的に他者とかかわろうとする態度や習慣を養うよう指導することが大切である
関連付け
3人間関係の形成
2「心理的な安定」
(1)他者とのかかわりの基礎に関すること
関連付け
6「コミュニケーション」
具体的な指導内容を設定することが大切である
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成
(2)他者の意図や感情の理解に関すること
(2) 他者の意図や感情の理解に関すること
① この項目について
「(2) 他者の意図や感情の理解に関すること。」は,他者の意図や感情を理解し,場に応じた適切な行動をとることができるよ
うにすることを意味している。
② 具体的指導内容例と留意点
他者の意図や感情を理解する力は,多くの人々とのかかわりや様々な経験を通して次第に形成されるものである。しかし,障害
のある幼児児童生徒の中には,単に経験を積むだけでは,相手の意図や感情をとらえることが難しい者も見られる。
「(2) 他者の意図や感情の理解に関すること。」
他者の意図や感情を理解し
場に応じた適切な行動をとることができる
ようにすることを意味している
他者の意図や感情を理解する力は,多くの人々とのかか
わりや様々な経験を通して次第に形成されるものである。
しかし,障害のある幼児児童生徒の中には,単に経験を積むだけでは,
相手の意図や感情をとらえることが難しい者も見られる。
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成
(2)他者の意図や感情の理解に関すること
自閉症のある幼児児童生徒は,言葉や表情,身振りなどを総合的に判断して相手の心の状態を読み取り,それに応じて行動する
ことが困難な場合がある。また,言葉を字義通りに受け止めてしまうため,行動や表情に表れている相手の真意を読み取れないこ
ともある。そこで,生活の様々な場面を想定し,そこでの相手の言葉や表情などから,立場や考えを推測するような指導を通して,
相手とかかわる際の具体的な方法を身に付けることが大切である。
みんなで
着替えをして
自閉症のある幼児児童生徒
体育館へ
行こう
言葉や表情,身振りなどを総合的に判断して
相手の心の状態を読み取り,それに応じて行動することが困難な場合がある
体育館の壁
に落書きを
してはいけ
ません
また,言葉を字義通りに受け止めてしまうため
図書館なら
いいんだ
行動や表情に表れている相手の真意を読み取れないこともある
友達だろ。お金
くれないか
そこで,生活の様々な場面を想定し
そこでの相手の言葉や表情などから
立場や考えを推測するような指導を通して
友達なんだ。
うれしいな。
お金をあげ
よう
いつ友達になったのか?
お金のやりとりは良くない
ではなくて
家族に
相談する
判断を避ける
相手とかかわる際の具体的な方法を身に付けることが大切である。
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成
(2)他者の意図や感情の理解に関すること
視覚障害のある幼児児童生徒の場合,相手の表情を視覚的にとらえることが困難であるために,相手の意図や感情の変化を読み
取ることが難しい。この場合,聴覚的な手掛かりである相手の声の抑揚や調子の変化などを的確に聞き分けて,話し相手の意図や
感情を的確に把握するとともに,その場に応じて適切に行動することができる態度や習慣を養うことが大切である。
視覚障害のある幼児児童生徒の場合
相手の表情を視覚的にとらえることが困難であるために
相手の意図や感情の変化を読み取ることが難しい
?
あのー・・・
よかったらでいいんだけど、
本を運んでもらえたらなあ、
なんて・・・・
この場合
たどたどしい口調、でも困っている感じがする・・
聴覚的な手掛かりである相手の声の抑揚や調子の変化などを的確に聞き分けて
本当に運んでもらいたいんだ!
話し相手の意図や感情を的確に把握するとともに
手伝うよ
その場に応じて適切に行動することができる態度や習慣を養うことが大切である
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成
(2)他者の意図や感情の理解に関すること
③ 他の項目との関連例
聴覚障害のある幼児児童生徒の場合には,聴覚的な情報を入手しにくいことから,視覚的な手掛かりだけで判断したり,会話に
よる情報把握が円滑でないため自己中心的にとらえたりしやすいことがある。
-P49例えば,本当は嫌な気持ちを抱いていても,場面によっては,笑い顔になってしまうこともある。そのようなときに,聴覚障害
のある幼児児童生徒が笑っているという表情だけから,相手が喜んでいると受け止めてしまうと,相手の感情に応じて適切に行動
できないことがある。
? ??
聴覚障害のある幼児児童生徒の場合には
?
聴覚的な情報を入手しにくいことから,視覚的な手掛かりだけで判断したり
会話による情報把握が円滑でないため自己中心的にとらえたりしやすいことがある
例えば
本当は嫌な気持ちを抱いていても,場面によっては,笑い顔になってしまうこともある
そのようなときに,聴覚障害のある幼児児童生徒が笑っているという表情だけから
相手が喜んでいると受け止めてしまうと
聞こえないし、
分からないし、
どうしたら
いいのかしら?
相手の感情に応じて適切に行動できないことがある
掃除当番
替わってよ
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成
(2)他者の意図や感情の理解に関すること
また,会話による補完が十分にできないため目の前の状況だけで判断しがちなことがあるが,そこに至るまでの状況の推移につい
ても振り返りながら,順序立てて考えるなど,出来事の流れに基づいて総合的に判断する経験を積ませることも必要である。その
際には,聴覚活用や読話等の多様なコミュニケーション手段を場面や相手に応じて適切に選択し,的確に会話の内容を把握するこ
とも必要になる。
こうしたことから,聴覚障害のある幼児児童生徒が相手の感情や真意を理解できるようにするためには,この項目に加えて,
「2 心理的な安定」,「4 環境の把握」,「6 コミュニケーション」等の区分に示されている項目の中から必要な項目を選定し,
それらを相互に関連させるなどして具体的な指導内容を設定することが大切である。
また
?
会話による補完が十分にできないため目の前の状況だけで判断しがちなことがあるが
そういえば
・・・・・
? ??
昼休みの話を
していた ・・・
そこに至るまでの状況の推移についても振り返りながら,順序立てて考えるなど
体育館って
言ってた ・・・
体育館で、
鬼ごっこを
しましょう
出来事の流れに基づいて総合的に判断する経験を積ませることも必要である
その際には,聴覚活用や読話等の多様なコミュニケーション手段を場面や
相手に応じて適切に選択し,的確に会話の内容を把握することも必要になる。
聴覚活用
読話
関連付けて、具体的な指導内容を設定
3人間関係の形成
(2)他者の意図や感情の理解に関すること
2「心理的な安定」
4「環境の把握」
6「コミュニケーション」
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成
(3)自己の理解と行動の調整に関すること
(3) 自己の理解と行動の調整に関すること
① この項目について
「(3) 自己の理解と行動の調整に関すること。」は,自分の得意なことや不得意なこと,自分の行動の特徴などを理解し,集団
の中で状況に応じた行動ができるようになることを意味している。
② 具体的指導内容例と留意点
自己に対する知識やイメージは,様々な経験や他者との比較を通じて形成されていく。障害のある幼児児童生徒は,障害による
認知上の困難や経験の不足等から自己の理解が十分でない場合がある。
「(3) 自己の理解と行動の調整に関すること。」
??
体育
動き回るのが好き
算数
自分の得意なことや不得意なこと
自分の行動の特徴などを理解し
体育座りで先生の話を聞く
集団の中で状況に応じた行動ができるようになることを意味している
自己に対する知識やイメージは,様々な経験や他者との比較を通じて形成されていく
障害のある幼児児童生徒は
?
障害による認知上の困難や経験の不足等から自己の理解が十分でない場合がある
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成
(3)自己の理解と行動の調整に関すること
知的障害のある生徒の場合,過去の失敗経験等の積み重ねにより,自分に対する自信がもてず,行動することをためらいがちに
なることがある。このような場合は,まず,本人が容易にできる活動を設定し,成就感を味わうことができるようにして,徐々に
自信を回復しながら,自己の理解を深めていくことが大切である。
知的障害のある生徒
X
過去の失敗経験等の積み重ねにより
自分に対する自信がもてず,行動することをためらいがちになることがある
○
このような場合は
まず,本人が容易にできる活動を設定し,成就感を味わうことができるようにして
僕は、
これならできる
徐々に自信を回復しながら,自己の理解を深めていくことが大切である
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成
(3)自己の理解と行動の調整に関すること
肢体不自由のある幼児児童生徒は,経験が乏しいことから自分の能力を十分理解できていないことがある。自分でできること,
補助的な手段を活用すればできること,他の人に依頼して手伝ってもらうことなどについて,実際の体験を通して理解を促すこと
が必要である。
-50-
肢体不自由のある幼児児童生徒
経験が乏しいことから自分の能力を十分理解できていないことがある
自分でできること
補助的な手段を活用すればできること
他の人に依頼して手伝ってもらう
ことなどについて
車椅子を
お願いします
実際の体験を通して理解を促すことが必要である
お願いします
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成
(3)自己の理解と行動の調整に関すること
ADHDのある幼児児童生徒は,状況にそぐわない行動をすることがあるために友達に受け入れられず,集団参加が難しい場合があ
る。このような場合は,状況に合わせて行動することが自分は不得意であることを理解し,行動する前に周囲の状況を観察したり,
状況を理解するゆとりをもつようにしたりする態度を身に付けることが必要である。その際には,ロールプレイのように,できる
だけ具体的な状況を設定して指導することが大切である。
ADHDのある幼児児童生徒
状況にそぐわない行動をすることがあるために友達に受け入れられず
集団参加が難しい場合がある
僕は、
全校朝会は苦手
このような場合は,状況に合わせて行動することが自分は不得意であることを理解し
行動する前に周囲の状況を観察したり
全校朝会は
体育館で行う
クラスの列の
後ろに立っている
状況を理解するゆとりをもつようにしたりする態度を身に付けることが必要である
その際には,ロールプレイのように
体育館で先生と1対1で練習
体育館で4、5人で練習
できるだけ具体的な状況を設定して指導することが大切である
体育館でクラスで練習
全校朝会に参加
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成
(3)自己の理解と行動の調整に関すること
また,障害のある幼児児童生徒は,経験が少ないことや課題に取り組んでもできなかった経験などから自己に肯定的な感情をも
つことができない状態に陥っている場合がある。その結果,活動が消極的になったり,自暴自棄になったりすることがあるので,
早期から成就感を味わうことができるような活動を設定するとともに,自己を肯定的にとらえる感情を高められるような指導内容
を検討することが重要である。
X
障害のある幼児児童生徒
経験が少ないことや課題に取り組んでもできなかった経験などから
自己に肯定的な感情をもつことができない状態に陥っている場合がある
その結果,活動が消極的になったり,自暴自棄になったりすることがあるので
○
早期から成就感を味わうことができるような活動を設定するとともに
僕は、
これならできる
自己を肯定的にとらえる感情を高められるような指導内容を検討することが重要である
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成
(3)自己の理解と行動の調整に関すること
③ 他の項目との関連例
自閉症のある幼児児童生徒は,「他者が自分をどう見ているか」,「どうしてそのような見方をするのか」ということの理解が
十分でないことから,「自分がどのような人間であるのか」といった自己の理解が困難な場合がある。そのため,友達の行動に対
して適切に応じることができないことがある。
このような場合には,体験的な活動を通して自分の得意なことや不得意なことの理解を促したり,他者の意図や感情を考え,そ
れへの対応方法を身に付けたりする指導を関連付けて行うことが必要である。
??身だしなみ??
自閉症のある幼児児童生徒
上の下着が
はみ出している
「他者が自分をどう見ているか」
身だしなみが
だらしない
「どうしてそのような見方をするのか」
ということの理解が十分でないことから
僕は、服装がだらしない?
「自分がどのような人間であるのか」
服装がだらしないということは、どういうこと?
といった自己の理解が困難な場合がある
変!?僕は、変!??
身だしなみが
だらしない君は
変だよ
フリーズ
そのため,友達の行動に対して適切に応じることができないことがある
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成
(3)自己の理解と行動の調整に関すること
このような場合には,体験的な活動を通して自分の得意なことや不得意なことの理解を促したり,他者の意図や感情を考え,そ
れへの対応方法を身に付けたりする指導を関連付けて行うことが必要である。
このような場合には
図や絵が得意
言葉表現、理解が不得意
体験的な活動を通して自分の得意なことや不得意なことの理解を促したり
A
身だしなみが
だらしない君は
変だよ
B
身だしなみが
だらしない
A、B、どちらがよいか?
他者の意図や感情を考え,それへの対応方法を身に付けたりする指導
「身だしなみ スムーズ作戦」
場
を関連付けて行うことが必要である
面
家を出るまで
にする事
チェック項目
終了後〇
顔を洗う。
○
歯を磨く。
○
制服を着る。
○
・ボタンをとめたか
・下着やシャツがはみでていないか
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成
(3)自己の理解と行動の調整に関すること
また,自閉症のある幼児児童生徒は,特定の光や音などにより混乱し,行動の調整が難しくなることがある。そのような光や音
に対して少しずつ慣れたり,それらの刺激を避けたりすることができるように,感覚や認知の特性への対応に関する内容も関連付
けて具体的な指導内容を設定することが求められる。
このように自閉症のある幼児児童生徒が,自己を理解し,状況に応じて行動できるようになるためには,この項目と「他者の意
図や感情の理解に関すること。」の項目などを関連付けるとともに,「4 環境の把握」等の区分に示されている項目などとも関連
を図り,具体的な指導内容を設定することが必要である。
自閉症のある幼児児童生徒
特定の光や音などにより混乱し,行動の調整が難しくなることがある
そのような光や音に対して少しずつ慣れたり
それらの刺激を避けたりすることができるように
感覚や認知の特性への対応に関する内容も関連付けて
具体的な指導内容を設定することが求められる
聴覚過敏が強いため、
音避けのイヤマフを使用する。
視覚過敏はさほどではないので、
小さな光刺激からスモールステップで
慣れることができるようにする。
関連付けて、具体的な指導内容を設定
3人間関係の形成
3人間関係の形成
(3)自己の理解と行動の調整に関すること
(2)他者の意図や感情の理解に関すること
4「環境の把握」
(4)
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成 (4)集団参加の基礎に関すること
集団への参加の基礎に関すること
-51-① この項目について
「(4) 集団への参加の基礎に関すること。」は,集団の雰囲気に合わせたり,集団に参加するための手順やきまりを理解したり
して,遊びや集団活動などに積極的に参加できるようになることを意味している。
② 具体的指導内容例と留意点
障害のある幼児児童生徒は,見たり聞いたりして情報を得ることや,集団に参加するための手順やきまりを理解することなどが
難しいことから,集団生活に適応できないことがある。
「(4) 集団への参加の基礎に関すること。」
グループ学習
暗黙のルール
みんなで協力して
問題を解決しよう!
順番決め
役割決め
集団の雰囲気に合わせたり,集団に参加するための手順やきまりを理解したりして
遊びや集団活動などに積極的に参加できるようになることを意味している
障害のある幼児児童生徒は
見たり聞いたりして情報を得ることや
?
グループ学習
?
順番決め
?
暗黙のルール
?
?
?
役割決め
?
集団に参加するための手順やきまりを理解することなどが難しいことから
集団生活に適応できないことがある
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成
(4)集団参加の基礎に関すること
例えば,視覚障害のある幼児児童生徒の場合には,目で見ればすぐに分かるようなゲームのルールなどがとらえにくく,集団の
中に入っていけないことがある。そこで,あらかじめ集団に参加するための手順やきまり,必要な情報を得るための質問の仕方な
どを指導して,積極的に参加できるようにする必要がある。
例えば
?
視覚障害のある幼児児童生徒
目で見ればすぐに分かるようなゲームのルールなどがとらえにくく
集団の中に入っていけないことがある
オセロゲームのルール
視覚障害者用のオセロゲームの活用
そこで,あらかじめ集団に参加するための手順やきまり
積極的に参加できるようにする必要がある
教えて下さい
必要な情報を得るための質問の仕方などを指導して
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成
(4)集団参加の基礎に関すること
聴覚障害のある幼児児童生徒の場合,場面や相手によっては,行われている会話等の情報を的確に把握できにくいことがある。
そのため,日常生活で必要とされる様々なルールや常識等の理解,あるいはそれに基づいた行動が困難な場合がある。そこで,背
景を想像したり,実際の場面を活用したりして,どのように行動すべきか,また,相手はどのように受け止めるかなどについて,
具体的なやりとりを通して指導することが大切である。
?
聴覚障害のある幼児児童生徒
場面や相手によっては,行われている会話等の情報を的確に把握できにくいことがある
ルール?常識?
そのため,日常生活で必要とされる様々なルールや常識等の理解
あるいはそれに基づいた行動が困難な場合がある
そこで,背景を想像したり,実際の場面を活用したりして
昼休みに体育
館で鬼ごっこを
しましょう
そういえば
・・・・・
昼休みの話を
していた ・・・
いいですよ
どのように行動すべきか,また,相手はどのように受け止めるかなどについて
具体的なやりとりを通して指導することが大切である
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成
(4)集団参加の基礎に関すること
③ 他の項目との関連例
ADHDのある幼児児童生徒は,遊びの説明を聞き漏らしたり,最後まで聞かずに遊び始めたりするためにルールを理解していない
場合がある。また,ルールを理解していても,勝ちたいという気持ちから,ルールを守ることができない場合がある。その結果,
うまく遊びに参加することができなくなってしまうこともある。
ADHDのある幼児児童生徒
この遊びは・
・
・
・
・
・
・
・
・・・
・
・
・
・
・
・
・
・
・・・
・
・
・
・
・
・
・
・
・・・
・
・
・
・
・
・
・
・
・・・
・
遊びの説明を聞き漏らしたり,最後まで聞かずに遊び始めたりするために
ルール
??
ルールを理解していない場合がある
ルールを守ることができない場合がある
その結果,うまく遊びに参加することができなくなってしまうこともある
ポッ
一番一番
ポッ
また,ルールを理解していても,勝ちたいという気持ちから
第6章 自立活動の内容
3 3人間関係の形成
(4)集団参加の基礎に関すること
このような場合には,ルールを少しずつ段階的に理解できるように指導したり,ロールプレイによって適切な行動を具体的に学
習したりすることが必要である。また,遊びへの参加方法が分からないときの不安を静める
-52方法を学習するなど,「2 心理的な安定」の区分に示されている項目や,友達への尋ね方を練習するなど「6 コミュニケーショ
ン」等の区分に示されている項目との関連を図りながら,具体的な指導内容を設定することが大切である。
このような場合には
ミニボウリングゲーム
投げる順番
役割:ピン立て係、ボール返送係、得点係
ルールを少しずつ段階的に理解できるように指導したり
先生と一緒に
ピン立て係の練習
ロールプレイによって適切な行動を具体的に学習したりすることが必要である
深呼吸
また,遊びへの参加方法が分からないときの不安を静める方法を学習するなど
教えて下さい
2「心理的な安定」 の区分に示されている項目や
友達への尋ね方を練習するなど 6「コミュニケーション」 等の区分に示されている項目
との関連を図りながら,具体的な指導内容を設定することが大切である