「 竜 王 」 輝 人 々

春集
新特
大塚 進一郎 さん(川守)
おおつか・しんいちろう
今も昔も少年野球のメンバーには、
“ 大塚のおっち
ゃん”
と親しみを込めて呼ばれている大塚さん。少年
こられました。大塚さんは、
「 野球がもともと好きやった
ので」
と事もなげに話されますが、
「 平成9年と11年
とかうまかったなぁ」
と、すらすらと話される様子に少
年野球との深く長いつながりがうかがえます。団員の
ったとか、
よく覚えておられる。まちの応援団の代表と
いう感じです」
と信頼も厚い様子です。
「そういや昔、
と話される
“大塚のおっちゃん”
。今も昔も変わらない
少年野球愛は、
これからもあせることがありません。
10
さと
スポ少にいた子が親になって二代目の子もいるなあ」
こうりゅう
保護者からは、
「どこの会場で前回の大会ではどうだ
29
きらめ
には滋賀県代表になって…」、
「 何年やったら○○君
10
~2011年 竜王町「交竜の郷あえんぼ賞」受賞者の皆さん~
に駆け付け差し入れをし、声援を送りながら見守って
月 日、「まちづくり煌きフォーラム」で「交竜の郷あえんぼ賞」の表彰者の紹介が行わ
れ、皆さんに推薦いただいた中から、選考の結果、 者の個人・グループが受賞されました。
式戦・練習試合を問わず、必ずと言っていいほど応援
竜王町は、私たちの周りで、広く地域を支える奉仕活動や社会に貢献する活動、人知れ
ず地道で心温まる活動、他の模範となるような善行活動などを行っているこれらの人・グ
約30年前。ワゴン車を所有していたことから試合など
への送迎を手伝われたのがきっかけとなり、以来、公
ループに深く感謝し、町民皆さんの心豊かな住みよいまちづくりへの参加が広がることを
目指します。
野球との付き合いは、竜王野球少年団が結成された
※受賞者のご紹介は順不同です。
わがまち
「竜王」を輝 かせる人々
竜王野球スポーツ少年団結成以
来、30年間にわたり、子どもた
ちの応援と見守り。送迎や差し入
れなど練習の支援。
広報りゅうおう 2012.1
4
園児に
クッキング指導
する「ぐらちゃん」
のメンバーたち
▼
寺嶋 篤夫 さん(新村)
てらしま・とくお
幼稚園児のサツマイモ収獲体験
をする際の畑とサツマイモを25
年にわたり毎年提供。園の畑でも
苗の植え方や世話の仕方を指導。
「 近くの農地で草がぼうぼうに茂っていた場所が
あって、役場の職員から
『 子どもたちにイモでも植え
てやってくれへんか』
と声を掛けられ、
イモやったら山
之上の特産やし、
それなら…と、始めたんです」
と振
り返られる寺嶋さん。以来25年間、毎年欠かさず子
どもたちのために収穫体験用のサツマイモ畑を作っ
てこられました。
「25年間にもなりますか。それだけ続
けてこられたのは、体が元気だからで本当にありがた
ぐらちゃん
いこと。本 当に何にも大したことではないです」と、
終始謙遜し続けられました。
「 子どもたちと焼き芋を
してみたり、苗の植え方や育て方を話したりしたこと
もありました。長年していると世代が代わって、園児
の親が『 小さいころに来させてもらったわ』
と言われ
ることもありました」
と顔をほころばされました。
「体が
メンバー13人が、高齢者デイサ
ービスや一 人 暮らしの高 齢 者へ手
作り弁当を提供。また、幼児への
クッキング指 導や保 護 者 向けのお
やつ作り・弁当作りの教室も実施。
元気な限りは続けていきたいです」
と、にこやかに話
される様 子に、甘いほくほくのサツマイモと子どもた
「ぐらちゃん」
とは、
グランドマザー
(おばあちゃん)
ちの笑顔が思い浮かびます。
という意 味 。5 0 歳 代から7 0 歳 代までの女 性 1 3 人
のメンバーで、高 齢 者デイサービスや一 人 暮らしの
高 齢 者 へ 手 作り弁 当を提 供したり幼 稚 園 の5歳
児にクッキングを教えたり、料 理を通して幅 広く活
動しておられます。
「 楽しいので毎 回 喜んで行って
ふくやま や す こ
います」と代 表を務められる福 山 泰 子さん。幼 稚 園
でのクッキング指 導では、
「 調 理の時 間は3 0 分くら
いと限られている中 、お米がとれたので、ご飯を炊
いておせんべいをしようかとか、園でとれた野 菜を
使ってピザにしようかとか、毎 回 試 行 錯 誤していま
す。ダイコンを使ったホットドッグなんていうのもあり
ました」と、活 動 開 始から9年たってもアイデアはま
だまだ尽きることがありません。園 児に料 理や食べ
ることの 楽しさを伝えるだけでなく、近ごろは保 護
者 向けにお弁 当 作りの講 習 会を開き、栄 養のこと
や食 品 添 加 物の話もされています。子どもからクッ
キングの 話を聞いた親からレシピの 問い 合わせも
あるそう。
「ぐらちゃん 」のメニューは、おいしく楽し
い思い出の一つになり、竜 王っ子の心と体を支え
ていくに違いありません。
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広報りゅうおう 2012.1
尾﨑 恒夫 さん(美松台)
おざき・つねお
地 区 内の 荒れた小 川を手入れ 。
サクラ15本のほか、ユズ・ミカン・
アジサイなど四季折々の花を植樹
し、区民が楽しめる散歩道を整備。
美 松 台の団 地 内を通る小 川 沿いに、サクラ、
ピ
ラカンサス、ユズ、
イチジク、アジサイなど30本以上
の樹 木を植えられたのは、小 川 沿いにお住まいの
尾﨑さんです。
「 京都の哲学の道のようにきれいに
なればいいなあ」という思いで始められた当 初は、
犬のフンの入ったビニール袋が散らばり、背丈が隠
れるくらいの 草やツルが 茂っていたといわれます。
「 定年になってから竜王に来て、家の窓から桜並木
が見えたらなと思っていました。もともと地 域のボラ
ンティアの人がきれいにしてくれていましたが、だん
だん活 動が下 火になってしまっていたので、自分た
ちの身の回りは自分たちで整備しようと決心して始
めました」。1 0 年 前に始められて現 在に至るまで、
ご夫 妻でこつこつと草 刈りやごみ拾いをされて、約
山面さわやか
パトロール隊
山面地区で防犯パトロールを8
人のメンバーで継続実施。草刈り
など美化活動や地域の3世代が交
流できる地域行事も推進。
100メートルの小川沿いの手入れを続けられていま
す。
「 最近は足が痛くなって、草刈りなど十分にでき
「 地 域のことはまず地 域で何とかしないとと思っ
ないんですけども、近 所の方がごみを捨てないでと
て」
と、頼もしい決 意を持って結 成された「 山 面さわ
呼び 掛けるポスターを作ってくださったりして、あり
やかパトロール 隊 」。過 去 、地 区 内に不 審 者が 現
がたいです」。四 季 折々の花や樹 木が 楽しめる散
れることが 2 回 続いたことをきっかけに、山 面 地 区
歩道は、地域の絆も紡ぎ出しているようです。
の 有 志で立ち上がりました。現 在 のメンバーは男
女 合わせて8人 。週に2 回 、年 間を通じて防 犯パト
ロールを続けておられます。
「 夜 8 時ごろに懐 中 電
灯を持って集まります。8 0 歳を超えるメンバーもい
て、あれやこれやおしゃべりしながら1 時 間 以 上 歩
きます。老 人 車やハウスカーをつえ代わりに押しな
がら来る人もいるんですよ」と楽しそうに話される
ながえ
代 表の長 江とみ
え
さん。玄 関にはパトロール用の
ジャンパーやたすきが 常に準 備されています。
「防
犯パトロールだけでなく、通学路のごみ拾いや花植
えもしています。近ごろは子どもからお年 寄りまで3
世 代が 交 流できる地 域 行 事 の 開 催にも力を入れ
ています。竜 王 の 夏 祭りにも3 世 代で踊りました」
とのこと。山 面 地 区の 安 全・安 心 のため、
さらには
誰にとっても温かで居 心 地のいい山 面の地 域づく
りのために、パトロール 隊 の 活 動は、四 方 八 方 に
広がっていきます。
広報りゅうおう 2012.1
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春集
新特
わがまち「竜王」を輝かせる人々
菱田 善雄 さん(駕輿丁)
ひしだ・よしお
13年前から地区内と県道を毎
週ごみ拾い。長年の活動によりポ
イ捨てごみが著しく減少。環境美
化で地域に貢献。
「 定 年 退 職して、何か地 域に恩 返しできないか
と考えて。最 初は火 の 用 心 の 夜 回りをと思ったけ
ど、
もともと火 事のない所なので、夜 回りしてから火
事が起こってもかなわんから、
じゃあ、
ごみ拾いでも
しようかと」と決められたのは1 3 年 前 。それ以 来 菱
田さんは、地 元 駕 輿 丁 の 地 区 内と県 道 沿いのご
み拾いを毎 週 続けておられます。ごみの入った袋を
窓から投げ 捨てた車を止めて、
「 おっさん何してる
しった
か分かるか、
ごみ拾ってるんや」
と叱 咤し、捨てたご
みを拾わせたというエピソードもあるように正 義 感
の強い菱 田さんは、
「目に入ったごみはどんなごみ
でも拾う」と徹 底されています。
「 1 0 年 前と比 べる
竹山 千代子 さん(西山)
たけやま・ちよこ
と地 区 内は減ったけど、県 道 沿いはたばこの 吸い
殻が 多いなぁ。夏はペットボトルのごみも多い。続
けられる限りは続けますよ」と話される菱 田さん。こ
つこつと一 人でごみを拾う姿に、今日も「みんなが
できひんことを、ようしてくれてるなぁ」、
「おっちゃん
近隣の一人暮らしの高齢者宅へ
の声掛けによる見守りや、敷地の
草刈りや生垣の刈り込みなどの奉
仕を継続して実施。
ご苦 労さん」と、道 行く大 人・子どもから声が掛かり
ます。
竹 山さんは、近 所に一 人 暮らしのお年 寄りがお
られたことがきっかけで、一 人 暮らしの高 齢 者への
訪 問や見 守り、草 刈りや生 垣の刈り込みを始めら
れました。
「もともとおせっかい焼きやから、自分 の
ことをほったらかしにしても他の人を構いたがる性
分なんです」と自己分 析される竹 山さんは、夜に出
歩くときも一 人 暮らしの家に電 気がともっているか
自然と確 認してしまうそうです 。
「 草 刈りのついで
に 、一 緒 にいっぷくして話し込んだりしています 」
と、楽しみながらされている様 子 。地 域では、小 学
生から大 人までに
“ちよちゃん”
と呼ばれ親しまれて
おられます。
「 草 刈り機は趣 味 のようなもの 。県 道
の歩 道で『 女やってできるんやでー』と張り切って
ると、通りすがりの自転 車 の 学 生が 頭を下げて行
ってくれたこともありました」。地 域 の 皆さんに「 働
き者 」と評されるとおり、高 齢 者 宅の見 守りのほか
スクールガードもされるなど、活 動 範 囲はとどまるこ
とがないようです。
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広報りゅうおう 2012.1
山中 忠義 さん(山中)
やまなか・ただよし
地域のゴミステーションの美化と
ごみ減量を目指して、
ごみの正しい
分別の知識の普及やごみに対する
責任意識を育む活動に尽力。
町の実 施する「ごみ減 量チャレンジ優良地 区 報
償 事 業 」で3年 連 続1位を達 成した山 中 地 区 。地
域 全 体で取り組まれる姿 勢とその 工 夫は、まさに
ナンバー1。ほかの自治 会にもその 取り組みが 紹
介されているところです。そして、この 山 中 地 区 の
ごみ減 量の取り組みの先 駆 者が 山 中さんです。も
ともと町 のエコライフ推 進 協 議 会 の 委 員もされて
いた山 中さんは、かつて生ごみの 汁で汚れ、分 別
不 十 分で回 収されなかったごみ袋が 残ったままで
長江 茂 さん(山面)
ながえ・しげる
あった山 中 地 区 のゴミステーションを何とかしよう
と決 心されました 。まずは 家 庭から出るごみを分
別・分 析されることから始められ、常にきれいなゴミ
ステーションを維 持するための仕 組みを検 討し、ご
みの 正しい 分 別 方 法 や 知 識をポスターで呼 び 掛
けたり、地 区で勉 強 会を開いて伝えたりしてこられ
「竜王清流会」による善光寺川の
環境美化作戦に積極的に参加。個
人としても1カ月半にわたり、河
川の急斜面に自ら重機を持ち込み
竹木を撤去。
ました。これにより、区民一 人 一 人のごみに対する
意 識も徐々に変わり、ごみの出し方や処 理 方 法に
「 竜王清流会 」が取り組む善光寺川の環境美化
ついて自治 会みんなで声を掛け合えるようになりま
作戦に積極的に参加されている長江さん。安全面か
した。ナンバー1になってからも、山 中さんはゴミス
ら清流会で手に負えない下流の急斜面に所有する
テーションの見 回りを続けられ、改 善に余 念があり
重機やトラックを持ち込み、茂った竹や樹木を撤去さ
ません。
れました。この活動は実に1カ月半にわたり、整備さ
れた斜面は2キロメートルにも及びます。
「 作業を始
めて何日かたったら、最後まで行けるかなぁと心配に
なってきた」
と心情を明かされつつも、
「 毎日張り合い
があって楽しかったなぁ」
と振り返られます。どこの集
落も団体も手掛けることのなかった善光寺川の美化
に、清 流 会のメンバーとして、
また、一 個 人として積
あしあらい
▼自治会でごみ減量について話し合い、各家庭に合わせたごみ処
理方法を考えました
極的に関わり続けておられます。
「 足 洗川の土手を
42日間作業し続けたら、川の向こうの道を通ってい
る車がすっかり見えるようになった」
と茂さんが大仕
事の達成をさらりと話されると、同じく清流会活動に
え
尽力される妻のとみ さんが、
「夏にはあちこちの花
火も見えるようになりました。
『あ、
あっちも、
こっちも』
と言いながら土手で見ていました」
と話されました。長
江さんや清流会の地道な取り組みが、竜王町の景
観をさらに美しいものに変えていきます。
広報りゅうおう 2012.1
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春集
新特
わがまち「竜王」を輝かせる人々
ありがとうの声
10月29日に行われた
きらめ
「まちづくり煌きフォーラム」で、
受賞者の皆さんとその活動を
町民の皆さんへご紹介しました。
フォーラムに参加された皆さんから
いただいた感想を紹介します。
このような賞ができると竜王町でもがんばっている
方、地域のためにいろいろなことをしてくださってい
る方のことが知れてとても良い。
20歳代 女性
町のために素晴らしい活動をされている人がいると
知りました。大変なこともたくさんあると思いますが、
これからもお体に気を付けてがんばってほしいと思い
ます。
本当に素晴らしい方だと思いました。町全体でそうい
う方に感謝を表すことができて良かった。日常でも感
謝を忘れてはいけないとあらためて感じました。
30歳代 男性
幼稚園児たちに少しでもより良
い環境をと、毎年8月に、園の遊
具の修理や棚の作成など大工作業
により奉仕。
ご自身も竜 王 幼 稚 園の卒 園 児である谷 口さん。
工 務 店を営まれるようになり、仕 事で訪 問した学び
素晴らしい取り組みをされている方を知ることがで
きた。私も子どもの手が離れたら、人の役に立てるこ
とがしたいです。
たにぐち・ひろかず
20歳代 女性
何十年にもわたって地域のために活動できる方は、
谷口 弘和 さん(西出)
30歳代 女性
舎が「ボロボロなのにがくぜんとして」と、修 繕を買
って出られたのが 始まりだそう。以 来6年 、園 児た
ちに少しでもより良い環 境をと、仲 間に呼び 掛け、
毎 年8月に大 工 道 具を持ち込み園 舎 の 手 入れを
行われています。
「 遊 具 の 修 理をしたり保 育 室 の
小さいことでもいいので、できることから始めてい
棚を作ったり、ウサギ小 屋を修 理したりしています。
けたらいいなと思いました。
竜 王 町 のためになれたらいいし、子どもたちにも
40歳代 女性
『 大 工さんてカッコイイ』
と思ってもらえたらうれしい
たくさんの人に支えられて生きてきました。シニア
世代になり、何か役に立つことをしたいと思いつつ、
出番を探しています。身近なできることをしているが、
長く続けられるようにがんばりたい。
50歳代 女性
この表彰制度を続けてください。皆さんの励みにな
ると思います。
9
広報りゅうおう 2012.1
60歳代以上 男性
ですね 」と谷 口さん。夏 休みが 終わると、谷 口さん
たちの手でピカピカになった園 舎や積み木が 子ど
もたちを迎えます。
「 子どもたちに夢を与えたい 」と
話される谷 口さんは、園が開くお世 話になった人た
ちとの交 流 会「ありがとうの会 」で、大 工も子どもた
ちと一 緒に楽しい時 間を過ごされているとのこと。
自らも夢を育まれた学び 舎で、その修 繕を通して園
児の夢を育んでおられます。