有機性廃棄物リサイクル推進施設(汚泥再生処理 センター)の整備に係る費用対効果分析について 平成26年3月 高幡東部清掃組合 1 事業の目的 本組合のし尿処理施設は、平成2年度に供用開始した施設であり、これまで、し尿等 の適正処理を行ってきたところであるが、供用から約24年を経過し老朽化が進行して いる状況である。また、合併処理浄化槽の普及による浄化槽汚泥混入比率の増加に伴 い、し尿等の量や質が建設当初の状況から変化し、この変化に対する対応が困難にな っている。 以上のようなことから、本組合は、し尿等の適正処理の安定的な維持と循環型社会 形成のさらなる推進を目指すため、有機性廃棄物リサイクル推進施設(汚泥再生処理セ ンター)を整備することとした。 2.基本的考え方 1)費用対効果分析 費用対効果分析は、廃棄物処理施設整備事業を含む社会資本整備において、整備に よる効果を明確にし、信頼性・透明性を高めることを目的として実施するもので、整 備に対する投資額を費用(Cost)、整備の結果得られる効果を便益(Benefit)として比較 を行う。 整備の結果、得られる効果については極力貨幣化を行い、費用便益比(B/C)として貨 幣での比較を行うとともに、貨幣化できない効果については定量化及び定性的な記述 を行うものとする。 2)代替措置 汚泥再生処理センターは、し尿及び浄化槽汚泥の処理を行い、周辺環境への負荷を軽 減する処理機能と処理の際に発生する汚泥を堆肥化する資源化機能を有している。 事業を実施しなかった場合の代替措置としては、主たる機能である水処理機能に着目 し、同様な処理機能をもつ「合併浄化槽の整備」とする。 3)施設の耐用年数と社会的割引率 分析の条件となる施設の耐用年数と社会的割引率は、以下のとおりとする。 【耐用年数】 施設の耐用年数は一般的な耐用年数である20年程度とする。 【社会的割引率】 社会的割引率は、近年の社会資本整備に必要な資金調達コストの実績値を勘案して 定められた値をもとに4%とする。 現在価値は、以下により算出した。 各年度毎費用の現在価値=(各年度における費用あるいは便益の合計)÷(1+r)j-1 ※r:割引率 j:基準年度からの経過年数 1 3 分析の対象期間 施設の建設期間を3ヵ年(平成26年度~28年度)、施設の供用期間を20ヵ年(平成29 年度~48年度)とする。ただし、水処理設備の供用開始は平成28年度とする。 これより、分析の対象期間は平成26年度から平成48年度までの23年間となる。 4 費用の計測方法 1)建設事業費 汚泥再生処理センターの建設事業費は本工事の落札金額をもとに2,045,890千円(税 抜き)とする。建設事業費は、施設の建設期間を3ヵ年としていることから年度ごとに 分割計上するものとし、年度毎の出来高をそれぞれ130,050千円(6%)、917,730千円 (45%)、998,110千円(49%)とする。 2)維持管理費 維持管理費は本工事落札者の技術提案書をもとに、51,619千円/年と設定し、年度毎 に計上した。 3)人件費 人件費は本工事落札者の技術提案に示される必要人員(4人)に本組合の人件費単価 (5,000千円/年)を乗じることにより20,000千円/年と設定し、年度毎に計上した。 4)補修費 補修費は本工事落札者の技術提案書をもとに下表のとおり設定した。 維持補修費(千円) 維持補修費(千円) 維持補修費(千円) 1 年目 2 年目 3 年目 4 年目 5 年目 6 年目 7 年目 0 0 0 36,970 13,277 33,370 22,277 8 年目 9 年目 10 年目 11 年目 12 年目 13 年目 14 年目 42,670 15,177 31,570 20,700 86,500 23,900 27,150 15 年目 16 年目 17 年目 18 年目 19 年目 20 年目 21 年目 60,900 82,000 57,650 47,900 43,800 38,100 36,700 5)汲み取り費用 汲み取り費用は、構成市町の汲み取り料金をもとに、荷重平均して7.8千円/KLとし、 年度毎のし尿量に乗じて計上した。 2 6)総費用(現在価値) 建設事業費、維持管理費、人件費及び補修費のそれぞれの年度毎の費用及び合計を別 表の「費用」欄に示す。また、費用の合計の現在価値換算値及び累計値(Cost累計)を同 欄の下に示す。 5 効果の計測方法 1)合併処理浄化槽設置費 合併処理浄化槽設置費は、平成26年度における汲み取り対象の世帯を全て合併処理 浄化槽に転換するとした場合の必要設置基数を求め、その設置基数に合併浄化槽の設 置費用を乗じることにより計上した。 【合併処理浄化槽設置基数】 合併処理浄化槽設置基数=(計画収集人口(H28見込み)+自家処理人口(H28見込 み))÷1世帯あたりの人数(H25実績) =(6,160人+0人)÷2.19人/世帯 ≒2,813基 【合併処理浄化槽設置工事費】 合併処理浄化槽設置工事費=合併処理浄化槽設置基数×合併処理浄化槽設置費用 (5人槽) =2,813基×837千円/基 =2,354,481千円 ここで、合併処理浄化槽設置費用は、「平成20年度 汚水処理施設の効率的整備促 進に関する調査 平成21年3月 環境省」(以下、「環境省資料」という)に示される 標準タイプの合併処理浄化槽(5人槽)の設置費用をもとに設定した。 2)合併処理浄化槽維持管理費 合併処理浄化槽の維持管理費は、「環境省資料」に示される5人槽の合併処理浄化槽 維持管理費の標準値に、当該年度の合併処理浄化槽設置基数を乗じることにより計上 した。 合併処理浄化槽維持管理費=65千円/基・年×合併処理浄化槽設置基数 3)合併処理浄化槽汚泥処理処分費 汚泥処理処分費は、「環境省資料」に示される汚泥処分費(全国平均)の標準値に、 当該年度の汲み取り人口(合併処理浄化槽転換対象人口)を乗じることにより計上した。 合併処理浄化槽汚泥処理処分費=1.62千円/年・人×当該年度の汲み取り人口 3 4)既設浄化槽汚泥処理処分費 既設の浄化槽汚泥の処理処分費は、合併処理浄化槽汚泥処理処分費と同様に1.62千 円/年・人とし、これに当該年度の既設浄化槽汚泥処理人口を乗じることにより計上し た。 既設処理浄化槽汚泥処理処分費=1.62千円/年・人×当該年度の既設浄化槽汚泥処理 人口 5)堆肥売却益 堆肥の売却益は、年度毎に見込まれる堆肥の生産量に既設のし尿処理施設で製造し た堆肥の販売単価を乗じることにより計上した。 堆肥の生産量は、落札者の技術提案書をもとに、し尿等1kLあたりの堆肥生産量を設 定(10kg/kL)し、これに当該年度のし尿等要処理量に乗じることにより計上する。 計画施設(施設規模64kL/日)の堆肥生産量は553kg/日であることから、 堆肥生産量の原単位=堆肥生産量(553kg/日)÷施設規模(64kL) =8.640・・・ ≒10kg/kL =0.01t/kL 堆肥の販売単価は、平成24年度の販売実績をもとに、500円/tとする。 堆肥の販売単価=69千円/年÷149t/年 =0.463・・・ ≒0.5円/kg =0.5千円/t 6 費用及び効果の計測結果 費用対効果の計測結果は、別表に示すとおりである。 7 事業の評価 本試算においては、64KL/日の汚泥再生処理センターで供用後1年目である平成28年 度に費用便益比が1.159と1を上回っている。また、最終年である平成48年度の費用便 益比は1.110であり、分析対象期間の費用便益比は1以上が維持されている。 4 汚泥再生処理センター 自治体名:高知県 高幡東部清掃組合 計算条件 割引率 r 4 % 人口 34,054 人 世帯数 15,550 世帯 45 2.190 人/世帯 堆肥生産量 7.8 千円/kl 35 2,045,890 千円 (単価) 31,967 千円/kl 維持管理費 51,619 千円/年 4 人 p2 4)補修費参照 便益 1世帯当りの人員 2.190 人/世帯 1.203 1.203 1.198 1.195 1.178 1.175 1.170 1.160 1.146 1.137 1.129 1.122 1.116 25 1.0 15 2,813 基 0.5 2,354,000 千円 837 千円/基 合併浄化槽設置費(5人槽) 合併浄化槽維持管理費 10 65 千円/基・年 合併浄化槽汚泥処理処分費 1.6 千円/年・人 既設浄化槽汚泥処理処分費 1.6 千円/年・人 堆肥販売単価 0.5 千円/t し尿等1kL当りの堆肥生産量 1.210 20 6,160 人 合併浄化槽設置工事費 1.211 1.213 千円/年 合併浄化槽整備時の汲み取り人口 合併浄化槽設置基数 1.207 1.206 1.186 1.110 5,000 千円/年 補修費 1.159 30 億円 人件費 1.5 0.472 t/日 汲み取り費用 施設建設費 40 54.6 kl/日 し尿・汚泥処理量 費用 2.0 B/C 処理量等 (単位) 50 64 kl/日 施設規模 5 0.000 0.000 0 0.010 t/kl 0.0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 経過年数 Cost 年 j 換算係数 (1+r)^(j-1) し尿及び浄化槽汚泥処理対象物量 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度 平成31年度 平成32年度 平成33年度 平成34年度 平成35年度 平成36年度 平成37年度 平成38年度 平成39年度 平成40年度 平成41年度 平成42年度 平成43年度 平成44年度 平成45年度 平成46年度 平成47年度 平成48年度 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 1.000 1.040 1.082 1.125 1.170 1.217 1.265 1.316 1.369 1.423 1.480 1.539 1.601 1.665 1.732 1.801 1.873 1.948 2.026 2.107 2.191 2.279 2.370 19,930 19,721 19,479 19,286 19,049 18,830 18,603 18,416 18,164 17,923 17,644 17,242 16,876 16,510 16,144 15,779 15,412 15,047 14,680 14,315 13,949 - - し尿量 - - 9,057 8,746 8,453 8,158 7,877 7,594 7,303 7,069 6,853 6,630 6,385 6,001 5,620 5,239 4,858 4,477 4,097 3,716 3,335 2,954 2,573 浄化槽汚泥量 - - 10,873 10,975 11,026 11,128 11,172 11,236 11,300 11,347 11,311 11,293 11,259 11,241 11,256 11,271 11,286 11,302 11,315 11,331 11,345 11,361 11,376 199 197 195 193 190 188 186 184 182 179 176 172 169 165 161 158 154 150 147 143 139 70,645 68,219 65,933 63,632 61,441 59,233 56,963 55,138 53,453 51,714 49,803 46,808 43,836 40,864 37,892 34,921 31,957 28,985 26,013 23,041 20,069 998,110 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 施設建設 整備計画 汲み取り経費 施設建設費 便益 B/C 平成26年度 堆肥生産量 費用 Benefit 供用開始 → - - 130,050 917,730 計画目標年次 維持管理費 - - 51,619 51,619 51,619 51,619 51,619 51,619 51,619 51,619 51,619 51,619 51,619 51,619 51,619 51,619 51,619 51,619 51,619 51,619 51,619 51,619 51,619 人件費 - - 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 補修費 - - 0 0 0 36,970 13,277 33,370 22,277 42,670 15,177 31,570 20,700 86,500 23,900 27,150 60,900 82,000 57,650 47,900 43,800 38,100 36,700 費用合計 130,050 917,730 1,140,374 139,838 137,552 172,221 146,337 164,222 150,859 169,427 140,249 154,903 142,122 204,927 139,355 139,633 170,411 188,540 161,226 148,504 141,432 132,760 128,388 費用現在価値 130,050 882,433 1,053,950 124,300 117,566 141,513 115,681 124,789 110,196 119,063 94,763 100,652 88,771 123,079 80,459 77,531 90,983 96,786 79,578 70,481 64,551 58,254 54,172 Cost累計 130,050 1,012,483 2,066,433 2,190,733 2,308,299 2,449,812 2,565,493 2,690,282 2,800,478 2,919,541 3,014,304 3,114,956 3,203,727 3,326,806 3,407,265 3,484,796 3,575,779 3,672,565 3,752,143 3,822,624 3,887,175 3,945,429 3,999,601 合併処理浄化槽設置費 - - 2,354,000 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 合併処理浄化槽維持管理費 - - 182,831 173,482 164,459 155,525 146,918 138,311 129,733 124,034 119,642 115,189 110,411 103,822 97,233 90,644 84,055 77,466 70,877 64,288 57,699 51,110 44,521 〃 汚泥処理処分費 - - 9,979 9,469 8,976 8,489 8,019 7,549 7,081 6,770 6,530 6,287 6,026 5,667 5,307 4,947 4,588 4,228 3,869 3,509 3,149 2,790 2,430 既設浄化槽汚泥処分費 - - 45,188 44,874 44,550 44,237 43,918 43,609 43,311 42,865 42,361 41,871 41,409 41,065 40,722 40,379 40,035 39,692 39,348 39,005 38,661 38,318 37,974 堆肥売却益 - 100 99 98 97 95 94 93 92 91 90 88 86 85 83 81 79 77 75 74 72 70 便益合計 0 0 2,592,098 227,924 218,083 208,348 198,950 189,563 180,218 173,761 168,624 163,437 157,934 150,640 143,347 136,053 128,759 121,465 114,171 106,877 99,583 92,290 84,995 便益現在価値 0 0 2,395,654 202,599 186,395 171,198 157,273 144,045 131,642 122,109 113,935 106,197 98,647 90,474 82,764 75,543 68,745 62,354 56,353 50,725 45,451 40,496 35,863 Benefit累計 0 0 2,395,654 2,598,253 2,784,648 2,955,846 3,113,119 3,257,164 3,388,806 3,510,915 3,624,850 3,731,047 3,829,694 3,920,168 4,002,932 4,078,475 4,147,220 4,209,574 4,265,927 4,316,652 4,362,103 4,402,599 4,438,462 B/C - 0.000 0.000 1.159 1.186 1.206 1.207 1.213 1.211 1.210 1.203 5 1.203 1.198 1.195 1.178 1.175 1.170 1.160 1.146 1.137 1.129 1.122 1.116 1.110
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