66/77 kV CV ケーブル用次世代ガス中終端接続部の開発 25 66/77 kV CV ケーブル用次世代ガス中終端接続部の開発 Development of New Type Gas Immersed Sealing End for 66/77 kV XLPE cable 戸谷 敦 * Atsushi TOYA 岩崎公裕 * Kimihiro IWASAKI 今西 晋 瀬間信幸 Shin IMANISHI Nobuyuki SEMA GIS(ガス絶縁開閉装置)と CV ケーブルを接続するガス中終端接続部は接続工事の工期短縮・現地でのガ ス処理作業の削減のため,接続部の工場組立,スリップオン化が望まれている。 そこで従来の GIS 取合寸法と互換性を有しながらスリップオン構造で,かつ大幅な縮小化を図った 66/77 kV 次世代ガス中終端接続部を開発・製品化した。 According to the expectation of short working term, no gas processing, assembled in factory and slip-on joint of the gas immersed sealing end which connect a XLPE cable to the GIS (Gas Insulation Switchgear), we developed a new type gas immersed sealing end for 66/77 kV XLPE cable. The new product has the features of slip-on structure, compact size and interchangeability with present ones. 1.は じ め に 2.構 造 送電線は架空送電線と地中送電線に大別されるが,都市 本接続部の構造を図 1 に示す。 部での架空送電線の建設は法規上の制限,用地上の制約あ 構成部品は本体材料と接続材料に大別され,本体材料は るいは安全性,地域環境との調和などの面から困難である 機器メーカーに持ち込まれあらかじめ機器に取り付けられ ため,ケーブル線路として地中布設される地中送電線が多 る。接続材料は工場内でユニット化された部品を現地にて く採用されている。ガス絶縁開閉装置(GIS)などの受変 組み立てる。 電設備へのケーブルの接続にはガス中終端接続部が用いら 3.特 長 れるが,ケーブル接続時における工事の工期短縮,ガス処 理作業の削減などの面から接続部の工場組立,スリップオ ン化が望まれていた。 今回開発した次世代ガス中終端接続部は従来のガス中終 端接続部と比較し以下の特長を有している。 そこでスリップオン構造を有し,かつ大幅な縮小化を図っ た 66/77 kV 次世代ガス中終端接続部を開発・製品化した。 ①スリップオン構造であることから,現地でのガス処理 を行うことなく接続が可能である。 ②従来ガス中終端接続部と比較し軽量,コンパクトであ コロナシールド ブッシング る。 (図 2) 従来 ガス中終端接続部 マルチコンタクト 次世代 ガス中終端接続部 重量 70 kg 25 kg 全長 1055 mm 415 mm 415 1055 縁切り (絶縁筒) 図 1 構造図 約25 kg 次世代ガス中終端接続部 約70 kg 従来ガス中終端接続部 * 東京電力株式会社 図 2 従来ガス中終端接続部との比較 昭 和 電 線 レ ビ ュ ー 26 Vol. 56, No. 1 (2006) ③コロナシールド一体化構造である。(図 3) ④ブッシングと絶縁筒が一体化されている。(図 3) ⑤GIS 底板と取合寸法が等しいため導体引出棒を使用す ることで既設品のリプレイスが可能である。(図 4) 従来ガス中 終端接続部 次世代ガス中 終端接続部 コロナシールド 無し コロナシールド 有り 導体引出棒 ロックナット 内部導体 導体固定金具 図 5 ガス界面の電界解析結果 上部金具 エポキシ がい管 エポキシ ブッシング アダプター ④マルチコンタクトを採用したスリップオン構造とする。 ⑤部品点数の削減を図る。 絶縁筒 4.2 次世代ガス中終端接続部 各部の設計 (1)ブッシング本体 従来ガス中終端接続部 図 3 機能部品の一体化 ブッシング本体はコロナシールド,絶縁筒をブッシング 本体と一体化し部品点数の削減を図った。ガス/エポキシ 界面,電極の配置,寸法,形状決定に当たっては各部の電 界分布の最適化を図ることで大幅なコンパクト化を実現し た(図 5)。 従来の電力用規格 対応品とフランジの 取合いが等しい。 導体引出棒 (2)接続材料 接続材料は 66/77 kV スマートプレハブジョイントの絶 縁設計を踏襲した。接続部分には引き抜け防止構造を有し 既設品のリプレイスが可能 たロック機能付マルチコンタクトを採用し,圧縮装置スプ リング機構の簡素化を図ることでコンパクト化を実現した。 5.性能確認試験 5.1 従来ガス中終端接続部 次世代ガス中終端接続部 図 4 リプレイスが可能 試験結果 本接続部は JEC-3408「特別高圧(11 kV ∼ 275 kV)架橋 ポリエチレンケーブルおよび接続部の高電圧試験法」および JEC-0102「試験電圧標準」に準じて性能確認試験を行い,十 分な性能を有することを確認した。試験結果を表 1 に示す。 4.終端接続部の設計 5.2 短絡試験 運転時の線路において短絡が発生した場合を考慮し,31. 4.1 設計条件 設計条件は以下の通りとした。 表 1 試験結果 ①接続可能なケーブルサイズは以下の通りとする。 試 験 項 目 試験内容 試験結果 絶縁厚 導体サイズ 商用周波耐電圧 130 kV ・ 1 H 良 09 mm 80 ∼ 500 mm2 80 ∼ 400 mm2 130 kV 5 pC 以下 良 11 mm 商 用 周 波 部 分 放 電 13 mm 80 ∼ 325 mm2 ②電界設計の最適化により従来ガス中終端接続部と比較 し大幅な縮小化を図る。 ③従来ガス中終端接続部とのリプレイスが可能な構造と する。 ヒートショック 10 ∼ 100 ℃・ 10 回 良 気 密 試 験 735 kPa ・ G 10 分 良 ± 550 kV 3回 良 195 kV ・ 1 時間 良 65 kV ・ 6 ヶ月 導体温度 Max.90 ℃ 8 H ON ・ 16 H OFF 良 雷インパルス 耐 電 圧 直流耐電圧 長期課通電試験 66/77 kV CV ケーブル用次世代ガス中終端接続部の開発 東京電力㈱ 戸谷 敦(とや あつし) 電力流通本部工務部地中線技術担当 地中送電システムの建設・保守・研究開発業 務に従事 東京電力㈱ 岩崎 公裕(いわさき きみひろ) 電力流通本部工務部地中送電グループ 地中送電システムの保守・研究開発業務に従事 図 6 短絡試験 5 kA ・ 2 秒の 3 相短絡試験を行った。試験には実機の GIS ケースを使用した。試験形態を図 6 に示す。試験終了後は供 試試料の状態を確認するため商用周波部分放電試験を行っ 昭和電線ケーブルシステム㈱ 今西 晋(いまにし しん) 電機システム機器部 技術課 電力用機器の開発に従事 た。その結果,線路に短絡が起こった場合でも本接続部は 損傷や部分放電が発生せず通電部も健全であり,十分な性 能を有していることを確認した。 5.3 ガス圧力 0.0 MPa ・ G での雷インパルス試験 運転時 GIS タンク内のガス圧力が低下した場合を考慮 し,ガス圧力 0.0 MPa ・ G での雷インパルス試験を行った。 試験ではタンク内を SF6 ガスで満たした後,ガス圧力を大 気圧まで低下させた。結果を表 2 に示す。その結果,ガス 圧力が 0.0 MPa ・ G まで低下した場合でも運転電圧に対し 問題のないことが確認できた。 表 2 試験結果 試験項目 雷インパルス 破壊試験 試験条件 試験結果 ガス圧力: 0.0 MPa ・ G − 380 kV ・ 3 回 6.あとがき 今回開発した終端接続部を GIS に使用することにより現 地での接続工事の工期短縮,ガス処理作業の削減が可能と なり,GIS の縮小化にも貢献できる。 昭和電線ケーブルシステム㈱ 瀬間 信幸(せま のぶゆき) 電機システム機器部 次長 電力用機器の設計,開発に従事 27
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