職業満足度の決定要因と構造 衛生要因に注目して 一橋大学経済学部 2015 年度 卒業論文 学籍番号:2112230Z 氏名:松島敬典 ゼミナール指導教員:川口大司 概要 昨今提案される「新しい働き方」は、従来重要視されてきた賃金や労働時 間など物質的なものはあまり求めておらず、むしろ仕事をする上での自由や裁 量を求めている。よって本研究では衛生要因と動機づけ要因という職業満足度 の要因に注目し、コントロール変数を加えたうえで 2 つの要因や従来の物質的 要因の職業満足度への影響の大きさ、そして男女、肩書き、雇用形態、組織形 態による職業満足度の要因や構造がどう変わるのかを、PIAACのデータを 用いて職業満足度を被説明変数とする回帰分析によって調べた。その結果、全 体としては衛生要因が動機づけ要因よりも大きく作用しており、時間当たり賃 金など物質的要因は職業満足度に対して大きな影響を及ぼさないことが分かっ た。また女性であること、学生またはパートタイマーであること、公共部門で 働くことは職業満足度を有意に引き上げるが、職務満足度の構成は各属性によ って異なるため一概には言えない。 1 目次 概要 ............................................................................................................................................ 1 本文 ............................................................................................................................................ 3 はじめに..................................................................................................................................3 仮説 ...................................................................................................................................... 10 使用データ ........................................................................................................................... 11 変数 ...................................................................................................................................... 13 分析方法............................................................................................................................... 23 分析結果............................................................................................................................... 26 考察・まとめ ....................................................................................................................... 34 参考文献 .................................................................................................................................. 40 図表 .......................................................................................................................................... 43 2 はじめに 労働経済学という分野で自明なこととして、労働者は労働と余暇とのトレー ドオフの中で効用を得るとされている。しかしこれは労働供給の側の理論であ り、実態はこれだけでは説明できない。例えば高橋(2013)は労働について次の ように述べている。 労働がなければ富の生産はなく、富の生産がなければ人間のさまざまな 行為が織りなす社会は存在しえない。(中略)富の生産者である労働者 は、生産の主体的な担い手であり能動的な存在となりうるはずである が、現代社会においては生産活動は利潤の獲得を目的としたものとな り、労働者はそのためのひとつの生産要素に転化する。労働者は他人に 雇われなければ生産者として生きることはできず、それゆえに、雇い主 である他者の指揮・命令・監督のもとに生産活動を遂行する受動的な存 在とならざるをえないのである。(高橋 2013、17 貢) この指摘のように、労働は自らの意志以前に他者からの規制を受けて行われて いるという抑圧的な一面がある。ただ、そんな中でも人は労働の意味を考えな がら生きてきた。山崎(2014)によれば、人が働く理由とは「なんのために生き 3 るのか」という問いの答えを探すためであり、そしてその先にあるものは家族 を養うための賃金であったり、「もしも」に備えるためであったりするのだと いう。確かに、これは納得できる考えではある。自らの自由な選択の結果であ り、けれども他者の抑圧を受けて行われる労働の結果として人々が賃金や緊急 時の備えを求めるのは妥当だし、「賃金が高いほど労働者は幸福で、労働時間 が長いほど不幸だと考えられている」(佐野・大竹 2007、4 貢)日本の現状から 考えても説得力があるといえよう。 しかし、労働者はそのような「物質的側面」のみを追求しているわけではな い。例えばフリーターである。2000 年に日本労働研究機構が高校生を対象に 行った調査によれば、フリーターになる理由として最も多く挙げられたのは 「とりあえず収入がほしい」、続いて「正社員より時間の自由がある」であ り、全体の 40%以上が回答している。また小杉(2003)による同調査のデータを 用いた主成分分析では、フリーターを選択する理由として「自由気楽志向」的 な要因が最も大きいことが示唆されている。これらは上で労働の目的として挙 げた賃金や備えなどとは違う、「物質的」というよりはより精神的な自由を求 めているといえるだろう。またフリーターと同じように用いられる言葉として ニートがある。これはフリーターとは違って全く働かない者を指しているが、 自由を求めて選択されるライフスタイルとして両者は近い部分がある。実際は 4 どちらも貧困の結果として生まれている側面もあるが、従来の「労働」観とは 異なる側面を持った存在であることは間違いない。 フリーターやニートだけでなく、近年でもノマドワーカーという特定のオフ ィスを持たない働き方や、リモートワークやテレワークと呼ばれる在宅勤務が 新しい働き方としてメディアで喧伝されている。これら「新しい働き方」に共 通しているのは上で挙げた精神面あるいは時間・場所からの自由である。より 自由な働き方が生まれるということは、労働者たちがそれを求めているという ことがいえる。 しかしこういった働き方において重要なのは名称ではなく本質である。「ニ ート・フィーバー」(樋口 2006、51 貢)と言われるように、本質が顧みられる ことなく名称のみが流行する場合がある。労働者が求めているのは新しい働き 方ではなく、自分たちの欲求がより多く満たされることである。一体労働者は 労働に何を求めているのか、どのような条件下で労働に満足感を覚えるのか、 本研究ではそこを明らかにしたい。 研究にあたって先行研究について触れておこう。職業満足度(職務満足度、 job satisfaction)についての研究は、古いものでは Freeman(1978)がある。こ れは、職業満足度は経済学で扱う変数としては主観的すぎるという批判に対 し、職業満足度を経済学的分析における変数として扱うことの妥当性を示した 5 研究である。また Freeman は、職業満足度は労働市場の流動性や労働組合に ついての研究において変数として用いることに適しているとも述べている。 職業満足度の定義については古川(1975)より「職務状況のあらゆる側面につ いて、組織体従業員によって表明された情緒的な意見である」(同、25 貢)を 採用する。この定義により職業満足度は仕事に関するあらゆる側面から影響を 受けている主観的な厚生の尺度とすることができる。本研究ではこの定義の下 で分析を進めていきたい。 本研究での職業満足度の構成としては、主に櫻木(2006)を参考にした。これ は労働省が調査した大企業に勤務する 40 歳以上の中高年ホワイトカラー450 人と、浜松市が調査した従業員数 10~500 の事業所に所属する 2000 人を対象 に、職務満足を構成する要因について因子分析を行った研究である。この研究 によれば、「従業員は職務満足の概念に対して、これを仕事内容や仕事に付随 する責任あるいは自己成長に関するものなど『ミクロ』的な概念と、仕事を遂 行するための環境、制約、ルールなど『マクロ』的な概念との二つに、区別し て認識している」(櫻木 2006、42 貢)という。このうち前者は内的な「動機づ け要因」、後者は外的な「衛生要因」と呼称されている。本研究の問題意識で は、物質的要因よりも自由、特に仕事を進める上での自由を重視しているの で、得たものから内発的に得られる満足度よりも外的な環境が与える満足度の 6 方がより高くなると推測できる。よって本研究では後者の「衛生要因」に特に 注目していきたい。 研究そのものの問いの立て方としては佐野・大竹(2007)を参考にした。彼ら は賃金や労働時間が幸福度に作用するという通念に対し、実際にはどのような 労働者が幸福なのか、という疑問から出発し、日本の労働者に関する月次デー タと日米のパネルデータを用いて幸福度の決定要因を回帰分析から推定した。 結果、幸福度の決定要因として、短期的には個人的なニュース、他人より高い 生活水準にあるという意識、壮年期における失業の3つが大きいとした。また 労働と幸福度をめぐる論点に関しても整理しており、「もし市場均衡を前提と する新古典派経済学が想定する世界が正しければ、失業は自発的であると考え られる。(中略)もしも失業者が自ら望んで失業状態にあるのならば、同一の 所得水準の下では雇用者のほうが失業者と比べ同水準の幸福度かそれ以下の幸 福度であるといえる」(同、4-5 貢)、「所得水準を同一とした場合、労働時間を 容易に変更できない労働者と比べ、労働時間を最適水準に容易に変更できる自 営業者のほうが同水準または高い幸福度を得ていると考えられる」(同、5 貢)、「新古典派モデルに従うと、余暇・消費の選択モデルに代表されるよう に、通常家計は余暇から正の効用を得ており、労働から負の効用を得る。(中 略)主観的な幸福度が効用を表しているのならば、賃金の絶対水準は幸福度を 7 引き上げ、労働それ自身は幸福度を引き下げる」(同、5 貢)など、経済学の基 本的な考え方に基づいて社会通念への批判を行う姿勢は本研究も大いに影響を 受けている。 分析にあたって参考にしたのは山本(2011)である。これは 2004 年から 2010 年までの慶應義塾家計パネル調査を用いて非正規雇用の実態や就業形態ごとの 主観的厚生水準(ストレス)を回帰分析した研究である。山本によれば、非正 規雇用の中でも自発的に選択した「本意型非正規雇用」は正規雇用の労働者と 厚生水準が変わらず、一方で望まずに非正規雇用になってしまった「不本意型 正規雇用」は、人数こそ少ないものの厚生水準が有意に低いという。この研究 からは、雇用形態の違いは必ずしも厚生水準、ひいては職業満足度に差をもた らすわけではないということが導ける。また同様の結果が小林(2014)や上原・ 福田・浅井(2015)でも示されている。 先行研究に対する本稿の独自性としては、まず櫻木(2006)で用いられた「動 機づけ要因」、「衛生要因」という心理学的な概念を経済学の文脈で語るという 点にある。両者ともに心理学、特にモチベーションなどの研究において用いら れてきた概念なのだが、これらを経済学の研究で用いた例は櫻木(2006)以外に は存在しない。ここで、経済学には既に同じような概念として「環境要因」が あるため、「動機づけ要因」と「衛星要因」をわざわざ用いる必要はないとい 8 う指摘があるかもしれない。確かに、特に衛生要因の方は環境要因と非常に似 た概念ではある。しかし定義からすると、動機づけ要因はそれがあると満足度 が高まるが、欠けていても不満足を引き起こすわけではないものを指し、衛生 要因はそれがないと不満が生じるが、満たされても満足が高まるわけではない ものを指す。これに対して環境要因は外的な要因全般を指すため、本研究で用 いる 2 つの要因は環境要因とは異なるものであるということを強調しておきた い。また櫻木が使用しているデータセットは中高年ホワイトカラー、浜松市の 労働者と非常に偏ったサンプルであるため、分析結果は非常に限定的なもので ある。これに対し、本研究では後述する通りサンプルが幅広い層から抽出され たデータセットを用いているため、分析結果はより一般性を持つと考えられ る。そのほかの独自性としては山本(2011)ではランダム標本を用いているもの の調査対象の属性別の分析は行われていないため、本研究では属性別の分析も 行う。 9 仮説 分析にあたって、「職業満足度には賃金などの物質的な要因よりも職場にお ける自由度などの非物質的な要因が大きく作用しているのではないか。特に櫻 木(2006)による衛生要因と動機づけ要因のうち、衛生要因の方がより大きく作 用しているのではないか」という仮説を立てた。これは冒頭で述べた通り時代 の流れの中でより自由度の高い働き方が求められているということに基づいて いる。また櫻木の指摘する2つの要因のうち、衛生要因の方がより外的で「働 き方」をより反映していると考えられるため、衛生要因がより大きな要因であ るという意識の下、分析を行う。 10 使用データ 本研究の分析に当たっては経済協力開発機構(OECD)が行っている国際成 人力調査(PIAAC:ピアック)のデータを用いた。そもそも PIAAC とは、国立 教育政策研究所(2013)によると Programme for the International Assessment of Adult Competences の略称であり、各国の成人のスキルの状況を把握し、 成人のスキルの社会経済への影響や、スキルの向上に対する教育訓練制度の効 果などを検証し、各国における学校教育や職業訓練などの今後の人材育成政策 の参考となる知見を得ることを目的としている。日本を含めた 24 の国と地域1 に住む 16 歳以上 65 歳以下の個人を対象に、仕事や日常生活で必要とされる汎 用的スキルのうち「読解力」「数的思考力」「IT を活用した問題解決能力」の3 分野のスキルを測定し、「様々な情報の処理・活用に関するキー・スキル(key information-processing skills)」を直接評価し、さらに参加者の属性や社会経 済的背景などについて背景調査を通して情報を収集し、学校教育や仕事とキ ー・スキルの習熟度の関係やキー・スキルのレベルと社会的あるいは経済的ア ウトカムとの関係の検証も行う。日本では OECD の委託を受けて国立教育政策 研究所が調査を行っており、無作為に抽出された日本国在住の 16 歳以上 65 歳 OECD 加盟国としてオーストラリア、カナダ、チェコ、デンマーク、エストニア、フィ ンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、日本、韓国、オランダ、ノルウ ェー、ポーランド、スロバキア、スペイン、スウェーデン、アメリカ、非加盟国としてキ プロス共和国、ロシア連邦、地域としてフランドル地域(ベルギー) 、イングランドおよ び北アイルランド(イギリス)が参加している。 1 11 以下の男女個人が調査対象となっている。本研究で用いたデータは 2011 年 8 月から 2012 年 2 月までに調査されたものであり、全体のサンプルサイズは 5278 である。また本研究で用いたのは背景調査のデータのみであり、前述の スキル測定のスコアは使用していない。データセットは OECD によって公開さ れており、http://www.oecd.org/site/piaac/publicdataandanalysis.htm2から ダウンロードできる。 2 2016 年 1 月 29 日閲覧 12 変数 以下では本分析で用いた変数について述べる。まず被説明変数となる職業満 足度は、「全体的にみて、あなたは現在の仕事にどの程度満足していますか」 という質問に対し、回答が「非常に不満」ならば1、「不満」ならば2、「どち らでもない」ならば3、「満足」ならば4、「非常に満足」ならば5を設定し た。 以降はすべて説明変数である。まず衛生要因、中でも作業条件について、仕 事における裁量を表す変数を設定した。それは「仕事を行うスピードについ て、あなたはどの程度自由に決められますか」、「勤務時間について、あなたは どの程度自由に決められますか」、「作業を行う順番について、あなたはどの程 度自由に決められますか」、「どのような方法で仕事を行うかについて、あなた はどの程度自由に決められますか」というそれぞれの質問に対し、回答が「か なりできる」、「できる」ならば1、「少しはできる」、「ほとんどできない」、 「まったくできない」ならば0をとるダミー変数であるスピード決定権ダミ ー、勤務時間決定権ダミー、仕事順決定権ダミー、方法決定権ダミーの4つで ある。同じく衛生要因として、職場の雰囲気や環境を表す変数を設定した。そ れは「あなたの現在の仕事では、通常、人にアドバイスすることはどのくらい 頻繁にありますか」、「あなたの現在の仕事では、通常、仕事関連の情報を同僚 13 と共有することはどのくらい頻繁にありますか」、「あなたの現在の仕事では、 通常、人を説得したり、感化したりすることはどのくらい頻繁にありますか」 というそれぞれの質問に対し、「毎日」、「少なくとも週に1回以上。ただし、 毎日ではない」ならば1、「月に1回以上、週に1回未満」、「月に1回未満」、 「まったくない」ならば0をとるダミー変数であるアドバイスダミー、情報共 有ダミー、感化ダミーの3つである。同じく衛生要因として時間当たり賃金を 賃金について1時間当たり、1日当たり、1週間当たり、2週間当たり、1月 当たり、1年当たりのいずれかで回答されたものをそれぞれの労働時間で割っ たものを設定し、またそれを2乗したものを時間当たり賃金^2とした。これ ら2つについては、回帰分析の係数が 1000 円当たりの効果を示すように実際 の数値の 1000 分の 1 を報告している。 次に動機づけ要因についてだが、研修によるモチベーションの向上の有無を 表現する変数として「この1年間に、実践研修(OJT)や上司または同僚によ る研修に参加したことがありますか」という質問に対し、回答が「はい」なら ば1、「いいえ」ならば0をとる OJT ダミー、「この1年間に、通信教育のプロ グラムに参加したことがありますか」、「過去1年間に、セミナーやワークショ ップに参加したことがありますか」、「過去1年間に、これまで答えたもの以外 の学習プログラムに参加したり、個人指導を受けたりしたことがありますか」 14 という3つの質問に対し、いずれか1つでも回答が「はい」ならば1、いずれ も回答が「いいえ」ならば0をとる OffJT ダミーを設定する。同じく動機づけ 要因として、仕事における責任を表す変数として「あなたは他の従業員の管理 や監督を行っていますか」という質問に対し、回答が「はい」ならば1、「い いえ」ならば0をとる管理職ダミーを設定する。 次にコントロール変数として、回答者の年齢と、「現在の会社で働き始めた のは何歳の時ですか」という質問で回答された年数との差を勤続年数、それを 2 乗した勤続年数^2を設定する。ただし後者について回帰分析の係数は実際 の数値の 100 分の 1 を報告している。また「あなたの健康状態は、次のうちど れですか」という質問に対し、回答が「極めて優れている」、「大変良い」、「良 い」ならば1、「どちらともいえない」、「悪い」ならば0をとる健康ダミーを 設定する。 以降は説明変数の中でも調査対象の属性を示す変数である。女性ならば1、 男性ならば 0 をとる女性ダミーを設定する。男女別の記述統計量は以下の通り である。 15 全体 変数 平均 男 標準偏差 女 平均 標準偏差 平均 標準偏差 職業満足度 3.566 0.817 3.528 0.839 3.605 0.792 スピード決定権ダミー 0.649 0.477 0.654 0.476 0.644 0.479 勤務時間決定権ダミー 0.328 0.469 0.354 0.478 0.300 0.459 仕事順決定権ダミー 0.649 0.477 0.678 0.468 0.618 0.486 方法決定権ダミー 0.606 0.489 0.648 0.478 0.561 0.496 アドバイスダミー 0.380 0.485 0.469 0.499 0.285 0.452 情報共有ダミー 0.760 0.427 0.775 0.417 0.743 0.437 感化ダミー 0.442 0.497 0.535 0.499 0.344 0.475 16.075 19.694 21.305 23.507 10.540 12.416 時間当たり賃金^2 6.461 56.727 10.061 76.326 2.651 20.792 OJT ダミー 0.350 0.477 0.384 0.487 0.315 0.465 OffJT ダミー 0.007 0.082 0.009 0.092 0.005 0.070 管理職ダミー 0.275 0.447 0.395 0.489 0.148 0.355 10.729 10.772 13.192 11.782 8.123 8.876 勤続年数^2 2.311 3.801 3.127 4.363 1.447 2.855 健康ダミー 0.752 0.432 0.750 0.433 0.755 0.430 女性ダミー 0.486 0.500 サンプルサイズ 2503 時間当たり賃金 勤続年数 1278 1216 男女別の記述統計量を見る限り管理職ダミーと時間当たり賃金、勤続年数の 男女差が大きい。この点については出産・育児などでキャリアが中断される女 性に対し男性は長く働くことで出世し、賃金が高くなるという通説と整合的で ある。それ以外は各種決定権ダミーが男性の方がやや高いことを除いてあまり 男女差はない。 次は「肩書き」(詳細は後述)についての変数について、「あなたの現在の状態 16 を最もよく表している記述を『1つ』お答えください。2つ以上当てはまる場 合は、最もよく表していると思われるものを1つ選んでください」という質問 に対し回答が「非常勤・パートタイム(個人事業主・従業員)」ならば1、そ うでなければ0をとるパートタイムダミー、回答が「学生、生徒」ならば1、 そうでなければ0をとる学生ダミー、回答が「見習い、インターンシップ」な らば1、そうでなければ0をとるインターンダミー、回答が「定年退職、早期 退職」ならば1、そうでなければ0をとる退職ダミー、回答が「障害を有す る」ならば1、そうでなければ0をとる障害ダミーを設定する。これらについ て属性別の記述統計量は以下の通りである。 17 全体 変数 平均 パート フル 標準偏差 平均 標準偏差 平均 学生 標準偏差 平均 標準偏差 職業満足度 3.566 0.817 3.531 0.827 3.638 0.781 3.862 0.788 スピード決定権ダミー 0.649 0.477 0.676 0.468 0.600 0.490 0.492 0.504 勤務時間決定権ダミー 0.328 0.469 0.334 0.472 0.308 0.462 0.292 0.458 仕事順決定権ダミー 0.649 0.477 0.707 0.455 0.510 0.500 0.477 0.503 方法決定権ダミー 0.606 0.489 0.671 0.470 0.463 0.499 0.354 0.482 アドバイスダミー 0.380 0.485 0.464 0.499 0.190 0.393 0.185 0.391 情報共有ダミー 0.760 0.427 0.794 0.404 0.687 0.464 0.677 0.471 感化ダミー 0.442 0.497 0.539 0.499 0.222 0.416 0.262 0.443 16.075 19.694 20.028 20.654 6.979 11.566 6.479 24.450 時間当たり賃金^2 6.461 56.727 8.275 65.562 1.823 25.351 6.306 49.595 OJT ダミー 0.350 0.477 0.429 0.495 0.177 0.382 0.185 0.391 OffJT ダミー 0.007 0.082 0.009 0.093 0.003 0.055 0.000 0.000 管理職ダミー 0.275 0.447 0.367 0.482 0.064 0.246 0.092 0.292 10.729 10.772 12.879 11.149 6.353 8.122 1.092 1.128 勤続年数^2 2.311 3.801 2.901 4.027 1.062 2.902 0.024 0.064 健康ダミー 0.752 0.432 0.757 0.429 0.729 0.445 0.862 0.348 パートタイムダミー 0.267 0.442 学生ダミー 0.026 0.159 インターンダミー 0.000 0.020 退職ダミー 0.001 0.035 障害ダミー 0.001 0.028 サンプルサイズ 2503 時間当たり賃金 勤続年数 1726 668 肩書き別の記述統計量では、まずフルタイム労働者よりもパートタイマーや 学生の方が満足度の平均値が高い。しかし仕事における裁量の尺度である各種 決定権ダミーや職場環境を表すアドバイス・情報共有・感化の各種ダミー変数 は正社員の方が高い。また当然ながら管理職ダミーや時間当たり賃金、勤続年 数は正社員の方が高くなっている。また、インターンダミー、退職ダミー、障 18 65 害ダミーの平均値からしてこれらに該当するサンプルサイズが非常に小さくな るため、これらについては分析を行っていない。 次は雇用形態を示す変数について、「あなたはどのような雇用契約を結んで いますか」という質問に対し、回答が「契約社員」ならば1、そうでなければ 0をとる契約社員ダミー、回答が「パート・アルバイト(期間の定めのない契 約)」もしくは「パート・アルバイト(期間の定めのある契約)」ならば1、そ うでなければ0をとるパートタイムダミー、回答が「派遣労働者」ならば1、 そうでなければ0をとる派遣社員ダミーを設定する。雇用形態別の記述統計量 は以下の通りである。 19 全体 変数 平均 正社員 標準偏差 平均 契約社員 標準偏差 平均 標準偏差 職業満足度 3.566 0.817 3.571 0.814 3.326 0.920 スピード決定権ダミー 0.649 0.477 0.650 0.477 0.478 0.505 勤務時間決定権ダミー 0.328 0.469 0.328 0.469 0.217 0.417 仕事順決定権ダミー 0.649 0.477 0.649 0.477 0.543 0.504 方法決定権ダミー 0.606 0.489 0.606 0.489 0.457 0.504 アドバイスダミー 0.380 0.485 0.383 0.486 0.130 0.341 情報共有ダミー 0.760 0.427 0.762 0.426 0.674 0.474 感化ダミー 0.442 0.497 0.447 0.497 0.152 0.363 16.075 19.694 16.174 19.838 8.760 5.698 時間当たり賃金^2 6.461 56.727 6.550 57.483 1.085 0.969 OJT ダミー 0.350 0.477 0.353 0.478 0.217 0.417 OffJT ダミー 0.007 0.082 0.007 0.081 0.000 0.000 管理職ダミー 0.275 0.447 0.279 0.449 0.022 0.147 10.729 10.772 10.837 10.778 2.848 3.120 勤続年数^2 2.311 3.801 2.336 3.810 0.176 0.329 健康ダミー 0.752 0.432 0.754 0.431 0.739 0.444 パートタイムダミー 0.018 0.134 契約社員ダミー 0.267 0.442 派遣社員ダミー 0.008 0.091 サンプルサイズ 2503 時間当たり賃金 勤続年数 2436 46 雇用形態別の記述統計量では、正社員に比べて契約社員のすべて変数の平均 値が低くなっている。また、契約社員の管理職ダミーの平均値が0であり、契 約社員に管理職が存在しないなどの違いがある。パートタイム、派遣社員に関 してはダミー変数の平均値を見るにサンプルサイズが非常に小さいため分析は 行っていない。 最後に組織形態を示す変数だが、「あなたは次のうち、どの部門で働いてい 20 ますか」という質問に対し、回答が「公共部門(たとえば地方自治体や公立学 校)」ならば1、そうでなければ0をとる公共ダミー、回答が「非営利組織 (たとえば公益法人、職能団体、宗教団体)」ならば1、そうでなければ0を とる NPO ダミーを設定する。記述統計量は以下の通りである。 全体 変数 平均 民間 標準偏差 平均 公共 標準偏差 平均 NPO 標準偏差 平均 標準偏差 職業満足度 3.566 0.817 3.539 0.816 3.732 0.799 3.518 0.861 スピード決定権ダミー 0.649 0.477 0.651 0.477 0.613 0.488 0.771 0.423 勤務時間決定権ダミー 0.328 0.469 0.346 0.476 0.229 0.421 0.301 0.462 仕事順決定権ダミー 0.649 0.477 0.652 0.476 0.613 0.488 0.723 0.450 方法決定権ダミー 0.606 0.489 0.605 0.489 0.605 0.490 0.639 0.483 アドバイスダミー 0.380 0.485 0.355 0.479 0.508 0.501 0.434 0.499 情報共有ダミー 0.760 0.427 0.746 0.435 0.833 0.373 0.783 0.415 感化ダミー 0.442 0.497 0.413 0.493 0.599 0.491 0.494 0.503 16.075 19.694 15.544 18.250 19.320 27.207 15.472 14.398 時間当たり賃金^2 6.461 56.727 5.745 38.168 11.114 119.333 4.442 9.373 OJT ダミー 0.350 0.477 0.311 0.463 0.559 0.497 0.446 0.500 OffJT ダミー 0.007 0.082 0.006 0.079 0.011 0.106 0.000 0.000 管理職ダミー 0.275 0.447 0.276 0.447 0.263 0.441 0.301 0.462 10.729 10.772 10.303 10.521 13.582 12.094 9.157 9.011 勤続年数^2 2.311 3.801 2.168 3.705 3.303 4.376 1.641 2.757 健康ダミー 0.752 0.432 0.753 0.432 0.754 0.431 0.735 0.444 公共ダミー 0.141 0.349 NPO ダミー 0.033 0.179 サンプルサイズ 2503 時間当たり賃金 勤続年数 2066 354 組織形態別の記述統計量を見ると、公共の職業満足度、アドバイスダミー、 情報共有ダミー、時間当たり賃金、OJTダミー、勤続年数などの平均値が他 21 83 よりもやや高い水準にある。またNPOはスピード決定ダミー、仕事順決定権 ダミーなどの平均値がやや高い。 22 分析方法 第 1 に職業満足度における衛生要因と動機づけ要因の比較を行う。この分析 にあたっては被説明変数を職業満足度、説明変数を衛生要因としてはスピード 決定権ダミー、勤務時間決定権ダミー、仕事順決定権ダミー、方法決定権ダミ ー、アドバイスダミー、情報共有ダミー、感化ダミー、時間当たり賃金、時間 当たり賃金^2、動機づけ要因としては OJT ダミー、OffJT ダミー、管理職ダ ミーを用いる。またコントロール変数として勤続年数、勤続年数^2、健康ダ ミーを設定した。勤続年数については、そもそも長く勤めていれば仕事へのマ ッチングの質が高まり職業満足度が高くなるという前提をコントロールするた めである。大渕(2014)では年齢が高まるごとに自分の行いについても満足でき るようになるということが示唆されているが、勤続年数はこの年齢の効果も内 包していると考え今回は勤続年数を用いる。また健康ダミーについては、 Ohashi(2005)でも指摘されているように健康上の問題は労働者にとっては退職 するかどうかを迫る重要なものであり、職業満足度の説明変数としても重要で あるという理由から設定した。また、これ以降の分析についてもこれらの被説 明変数、説明変数はすべて用いている。 第 2 に、男女別の分析を行う。これは男性に対して女性は出産などのライフ イベントが多く、それに応じて職場の衛生要因が変化することが考えられると 23 いう理由に基づいている。説明変数に女性ダミーを追加して全体の分析を行 い、併せて男女別の分析を行う。 第 3 に、「肩書き」別の分析を行う。「肩書き」というのは「自分に一番当て はまるものはどれか」という質問に対する答えをダミー変数として用いること で、自分がその「肩書き」に該当するという主観的な意識が職業満足度にどの ように影響するのかを調べる。フルタイム労働者を基準として、パートタイム ダミー、学生ダミー、インターンダミー、退職ダミー、障害ダミーを設定し、 それらを説明変数に追加した分析を行い、併せてフルタイム、パートタイム、 学生の 3 つの肩書き別に分析を行う。 第 4 に、雇用形態別の分析を行う。これは山本(2011)から示唆された「雇用 形態による主観的厚生水準の差は存在しない」ということを検証するためであ る。正社員を基準として契約社員、パートタイムダミー、契約社員ダミー、派 遣社員ダミーを説明変数に追加した分析を行い、併せて正社員、契約社員の2 つの雇用形態別に分析を行う。 第 5 に、組織形態別の分析を行う。これは民間と公共など、組織の性質が変 わることによって衛生要因などに変化が生じるという想定の下行う。民間企業 を基準として公共ダミー、NPO ダミーを説明変数に追加した分析を行い、併せ て民間企業、公共、NPO の3つの組織形態別の分析を行う。 24 なお本研究のすべての回帰分析において、被説明変数が 5 段階の職業満足度 であることから順序プロビットモデルを採用し、実際の統計解析のソフトウェ アとしては Stata を用いた。 25 分析結果 以下では分析結果について議論する。各分析について、記述統計量(1 つ目 の要因別分析を除く)と、回帰分析の係数および標準誤差のうち統計的に有意 なp値を示したものを中心に抜粋して掲載している。順に見ていこう。 全体 スピード決定権ダミー 勤務時間決定権ダミー 方法決定権ダミー 情報共有ダミー 時間当たり賃金 OJT ダミー 勤続年数 健康ダミー 衛生要因 動機づけ 0.182*** 0.184*** (0.056 (0.056) 0.127** 0.118** (0.049) (0.049) 0.115* 0.115* (0.066) (0.065) 0.106** 0.117** (0.053) (0.053) 0.01 0.02 (0.02) (0.02) 0.112** 0.141*** (0.049) (0.046) -0.012* -0.012* -0.007 (0.006) (0.006) (0.006) 0.286*** 0.283*** 0.297*** (0.050) (0.050) (0.050) ()内は標準誤差 *** p<0.01, ** p<0.05, * p<0.1 まずは要因別の分析である。係数を見ると常に健康ダミーの係数が最も大き く、次にスピード決定権ダミー、勤務時間決定ダミー、OJTダミー、方法決 定権ダミー、情報共有ダミーと続く。時間当たり賃金や勤続年数ではそもそも 有意な結果やインパクトの大きな係数が出なかったことから、仮説で述べた 26 「物質的な要因よりも非物質的な要因が大きい」という仮説は正しいといえよ う。また衛生要因と動機づけ要因との比較でいえば前者の方が職業満足度への 影響がより大きいことが実証された。 また、ここで全体の分析結果における時間当たり賃金の係数とその他の係数 を比較してみよう。時間当たり賃金の係数で他の係数を割ると、その係数に該 当する変数の金銭的価値を測ることができる。実際に計算してみると、時間当 たり賃金の係数は 1000 円当たりのものであるから、スピード決定権ダミーが 1 万 8200 円、勤務時間決定権ダミーが 1 万 2700 円、方法決定権ダミーが 1 万 1500 円、情報共有ダミーが 1 万 600 円、OJTダミーが 1 万 1200 円、勤続 年数が-1200 円、健康ダミーが 2 万 8600 円の金銭的価値を持つことが分か る。時間当たり賃金の係数は有意ではないという点に注意しなくてはならない が、この結果はすなわち、これらの変数が示す要因の金銭的価値である。ここ からわかるのは、賃金と同じく本研究で「従来重視されてきた」ものとしてい る勤続年数を除いては、正の値を示しており、それらはどれも 1~2 万円台で あるということである。 27 スピード決定権ダミー 勤務時間決定権ダミー 方法決定権ダミー 情報共有ダミー OJT ダミー 健康ダミー 全体 男性 女性 0.172*** 0.205** 0.136* (0.056) (0.078) (0.079) 0.129*** 0.186*** (0.049) (0.069) (0.072) 0.122* 0.092 0.148 (0.065) (0.097) (0.090) 0.105* 0.146* 0.069 (0.053) (0.076) (0.075) 0.106** 0.141** 0.109 (0.049) (0.066) (0.073) 0.285*** 0.280*** 0.305*** (0.050) 女性ダミー 0.031 (0.070) (0.073) 0.175*** (0.048) ()内は標準誤差 *** p<0.01, ** p<0.05, * p<0.1 男女別に回帰分析の結果を見ると、女性ダミーの効果が有意に大きい。また 男女別に係数を見てみると男性に関しては各種決定権ダミーや情報共有ダミ ー、OJTダミーの係数が大きく有意であるのに対し、女性はスピード決定権 ダミーを除いて有意な結果は出ていない。よって女性の方がそもそも職業満足 度の水準が高く、一方で男性は水準がやや下がるものの仕事における裁量や成 長において職業満足度が高まるといえるだろう。男性に関しては管理職ダミー が有意でなかったことから、管理職に就くことによって満足度が高まるわけで 28 はなく、実際の仕事の作業における裁量が大きいことで満足度が高まるといえ る。 全体 スピード決定権ダミー 勤務時間決定権ダミー 仕事順決定権ダミー 方法決定権ダミー アドバイスダミー 情報共有ダミー 感化ダミー OJT ダミー 管理職ダミー 健康ダミー 0.156*** 0.188*** パート 学生 0.013 0.886** -0.056 -0.069 (0.110) (0.369) 0.108** 0.142** 0.013 0.0537 -0.050 -0.060 -0.098 (0.343) -0.006 -0.110 0.207* -0.168 -0.065 -0.084 (0.113) (0.417) 0.146** 0.253*** -0.008 -0.848* -0.066 -0.083 (0.121) (0.449) 0.058 -0.011 0.472* 0.670 -0.095 (0.105) (0.261) (0.663) 0.127** 0.138** 0.170* -0.043 -0.054 -0.068 -0.010 (0.371) 0.018 0.091 -0.411* -0.019 -0.093 (0.104) (0.245) (0.567) 0.148 -0.121 0.146*** 0.156*** -0.049 -0.056 (0.114) (0.409) 0.0111 -0.013 0.115 -1.083* -0.058 -0.063 (0.181) (0.623) 0.294*** 0.353*** 0.234** -0.735 -0.051 パートタイムダミー フル -0.062 -0.010 (0.456) 0.344*** -0.058 学生ダミー 0.675*** (0.145) ()内は標準誤差 *** p<0.01, ** p<0.05, * p<0.1 肩書き別の分析では回帰分析の結果、パートタイムダミーと学生ダミーは正 に有意な結果が出た。これは記述統計量から見ても明らかだが、肩書き別の分 29 析では異なる結果が出た。まずフルタイム労働者では健康ダミー、方法決定権 ダミー、スピード決定権ダミー、OJTダミー、勤務時間決定権ダミー、情報 共有ダミーの順で大きな係数が推定された。フルタイムの労働者の多くが一般 的な正規雇用であると仮定すれば、各種決定権やOJTが満足度を向上させる のは順当な結果である。ただ、方法決定権ダミーについては他の分析では有意 でなかったりここまで大きな係数ではなかったりするため、この結果は意外で ある。パートタイマーではアドバイスダミー、健康ダミー、仕事順決定権ダミ ー、情報共有ダミー、また係数が負ではあるが感化ダミーが有意に推定され た。また感化ダミーの係数の大きさは絶対値であればアドバイスダミーの次に 大きかった。感化ダミーの係数が大きいのは、パートタイマーは元々労働時間 が短く自由な働き方であるため、わざわざそれを選択した者は他社に感化され 自由でなくなることを嫌っているからだと考えられる。学生ではスピード決定 権の係数が正に有意かつ非常に大きな数値であるのに対し、方法決定権ダミー の係数が同じくらいの大きさで負に有意である点が興味深い。肩書きが学生で あるため、労働は「副業」的になりがちであると考えられ、ゆえに仕事のスピ ードやペースを自分で決定できることは満足度に大きく高めるのだろう。方法 決定権に関しては、この裁量が大きいと大学生のアルバイトにありがちな「遊 30 ぶ金を楽に稼ぐ」というような働き方ができなくなるからであると考えられ る。 スピード決定権ダミー 勤務時間決定権ダミー 仕事順決定権ダミー 方法決定権ダミー アドバイスダミー 情報共有ダミー 感化ダミー OJT ダミー 健康ダミー 契約社員ダミー 全体 正社員 契約社員 0.181*** 0.188*** -2.351** -0.056 (0.0565) (0.992) 0.127** 0.133*** 0.294 -0.049 (0.0500) (0.485) -0.028 -0.00966 -0.760 -0.065 (0.0660) (0.490) 0.115* 0.0975 3.290*** (0.066) (0.0664) (1.104) 0.085 0.111 -0.894 (0.095) (0.0955) (1.566) 0.105** 0.0949* 0.219 (0.053) (0.0543) (0.443) -0.039 -0.0633 1.397 (0.092) (0.0928) (1.426) 0.111** 0.107** 0.176 (0.049) (0.0492) (0.468) 0.285*** 0.286*** 0.422 (0.050) (0.0512) (0.450) -0.234 (0.161) 派遣ダミー -0.111 (0.237) ()内は標準誤差 *** p<0.01, ** p<0.05, * p<0.1 雇用形態別の回帰分析の結果を見るに、契約社員ダミー、派遣ダミー共に有 意ではなかった。しかし雇用形態別の分析では違いが出た。正社員は健康ダミ ー、スピード決定権ダミー、勤務時間決定権ダミー、OJTダミー、情報共有 31 ダミーの順で係数が大きく、かつ正に有意である。先の肩書き別の分析で見た フルタイム労働者と比べると方法決定権ダミーが有意でなく、全体的に係数が 低く推定された。先の分析における「フルタイム労働者」というのは元データ の調査の回答者による主観的な肩書きであり、フルタイムとはいえ正規雇用以 外の労働者も含まれる。そのため係数に差が生じたと考えられる。一方で契約 社員については、方法決定権ダミーが正に有意で係数が非常に大きく、スピー ド決定権ダミーが逆に負に有意で係数が大きい。スピード決定権ダミーの係数 が負に有意というのは他の分析では見られないものである。 全体 スピード決定権ダミー 情報共有ダミー OJT ダミー 管理職ダミー 健康ダミー (0.062) 0.141*** 0.181*** 0.299 (0.153) (0.351) 0.030 -0.279 (0.054) (0.144) (0.304) 0.101* 0.100* 0.037 0.106 (0.053) (0.057) (0.166) (0.351) 0.084* 0.116** 0.129 -0.575** (0.049) (0.055) (0.124) (0.272) 0.008 -0.0391 0.336** -0.257 (0.058) (0.065) (0.157) (0.297) 0.284*** 0.272*** 0.325** 0.582** (0.056) (0.137) 0.259*** (0.065) NPO ダミー NPO (0.050) (0.050) 公共ダミー 公共 0.189*** 0.161*** 0.302** (0.056) 勤務時間決定権ダミー 民間 -0.054 (0.122) ()内は標準誤差 *** p<0.01, ** p<0.05, * p<0.1 32 (0.297) 組織形態別の回帰分析の結果を見るに、公共ダミーの係数が正に有意かつ数 値も大きい。組織形態別にみると、民間企業は健康ダミー、勤務時間決定権ダ ミー、スピード決定権ダミー、OJTダミー、情報共有ダミーが正に有意かつ この順で係数が大きくなっており、これまでの分析から見ても順当な結果であ る。これに対し公共では管理職ダミー、健康ダミー、スピード決定権ダミーが いずれも制に有意かつ係数が大きい。管理職ダミーが有意なのはこれまでの分 析でもこれしかなく、異彩を放っている。公共部門ではいわゆる「官僚的」な 体質があり、管理職に出世することが組織内での満足度を高めるのではないか と考えられる。NPOでは健康ダミーの係数が大きく正に有意で、OJTダミ ーが同水準だが負に有意である。サンプルサイズが小さいため極端に推定され ている面もあるだろうが、これも特異な結果である。 33 考察・まとめ これまでの分析を踏まえて、以下では労働者の職業満足度の実態、今後の労 働の在り方、また本研究の限界について述べる。 まず、本研究のそもそもの問題意識であった「労働者は賃金や労働時間など の物質的なものよりも職場における裁量・自由度などの非物質的なものによっ て仕事に対し満足する」という仮説はおおよそ正しいといえるだろう。なぜな ら本研究で行った分析のほとんどで各種決定権ダミーなど仕事における自由度 を表す変数が何かしら常に有意であった一方、時間当たり賃金は有意な説明変 数とならなかったからである。また、衛生要因と動機づけ要因を比較したと き、前者の方がより要因として大きな影響を及ぼすことも正しいといえそうで ある。衛生要因は前述の通り、外的で、職場環境や仕事を取り巻く状況のこと を指しているため、労働者の主観的な態度である職業満足度だが、これを向上 させるためには労働者本人の内面だけではなく外部からの適切な環境整備が必 要になるといえよう。その一方で動機づけ要因もまた、OJTという仕事に深 く関連する研修の有無を表す変数のみはしばしば大きく影響する要因であった ことから、単純に衛生要因だけではなく、労働者の内面を刺激する施策も職業 満足度を上昇させるには有効であると考えられる。ただ、全体を通して常に大 きな影響を与えていた要因は健康である。何よりもまず労働者が健康を確保す 34 ること、あるいは雇用者が労働者の健康に深く配慮することが職業満足度の上 昇に最も大きく影響すると考えられる。 各属性別の分析についても順に述べていきたい。まず男女別の分析では、女 性の方が職業満足度が有意に高いこと、しかし衛生要因を見ると男性の方がよ りそれらによって満足度が上昇していることが示唆された。この女性と男性と の違いは記述統計量からも読み取れるように男女それぞれの労働者の間に労働 環境の違いがあることからきていると考えられる。雇用形態別の分析を男女別 で行うことによりさらなる考察が進むと思われる。また今後男女共同参画が進 み、女性が男性と同様のキャリアを歩むようになったときにこの男女差がどう 変化するのか非常に興味深い。女性の方が満足度が高いからと言って男性をす べて女性に変えることは現実的ではないし、その性差がそれぞれの性に固有な ものか、それとも環境の違いによるのかは同じキャリアを歩んできた男女を比 較して分析することで明らかにできると思われる。 肩書き別の分析については、フルタイム労働者よりもパートタイマーや学生 として働く者の方が職業満足度が高く、それがフルタイム労働者よりも制約が 少ない、特に仕事の中での制約というよりはそのカテゴリに属しているが故の 制約の少なさからきていることが示唆された。これは 1 日の多くを労働に費や すフルタイム労働者にくらべてパートタイマーや学生は元々自由度の高い仕事 35 しか選択しておらず、結果として仕事のみに関していえば満足度が高くなって いると思われる。この差については、職業満足度よりもより包括的な指標、例 えば佐野・大竹(2007)のように幸福度について分析することによって、仕事 が生活にもたらす影響についても測ることができるだろう。また、この肩書き は客観的な雇用形態ではなく、調査参加者本人の主観的な回答をもとにしてい るため、自らがどのカテゴリに属すのかという意識の違いも指しているといえ る。例えば労働者が「パート」として雇用されているにしても、1 日中働いて いる場合はフルタイム労働者として働いているといえるが、本人の意識の中で は「パート」である場合も考えられる。この分析でわかったことが労働者の実 態による違いなのか、それとも労働者の意識による差なのかはより詳細な分析 によって明らかになるだろう。 雇用形態別の分析については、正社員に比べて契約社員は職業満足度がやや 低く、正社員が衛生要因・動機づけ要因ともに満足度に影響しているのに対 し、契約社員では衛生要因のみに有意な結果が出たものの方法決定権ダミーが 正、スピード決定権ダミーは負という結果が出た。同じ衛生要因内で正負逆に 有意というのは今までの想定に反しているが、これは契約社員が仕事において やり方は重視しているもののスピードは重視していないということが示唆され る。サンプルサイズが小さいため断定は難しいが、衛生要因の重要度合いが雇 36 用形態によって異なるのではないかと考えられる。この分析内では(主観的カ テゴリではなく、雇用形態としての)パートタイマーや派遣社員についても分 析したかったのだが、サンプルサイズが小さく欠損値のあるものが多かったた めできなかったのは残念である。前述の山本(2011)による、雇用形態による厚 生水準の違いは存在しないという説はこの分析の中では棄却されるが、その雇 用形態を選んだのは本意か不本意かについてコントロールしていないため、説 そのものは覆らない。 組織形態別の分析では、全体的に公共部門の係数の数字の大きさが目立っ た。他と比べると満足度が高く、スピード決定権ダミーや管理職ダミーの係数 も制に有意かつ大きな数値を示した。まず満足度については、公共部門という 公共性の強い職場を選んでいる時点でその仕事への意欲が強く、労働者と仕事 とのマッチングが高いと考えられる。また、各決定権ダミーについては、公共 部門の従業員に該当するのは主に役所や学校に勤める公務員だが、民間企業や NPOと比べて比較的ルーチンワークが多く、また雇用が安定しているため管 理職に昇進することに対する期待が大きくなり、前述のような結果になったの ではないかと推測できる。 これまでの考察を総合して職業満足度を上げるための提案をするならば、労 働者の職業満足度を高めるには第 1 に労働者の健康が最も重要であり、第 2 に 37 衛生要因、特に仕事における裁量を増やし仕事に必要なコミュニケーションを 行うなど職場環境の整備をすること、第 3 にOJTという仕事に直結する研修 を行うことで動機づけ要因を充足することがどの職場・労働者にとってもある 程度は重要である。一方で賃金といった従来満足度を高めているとされてきた 要因はさほど重要ではないといえる。ただ、様々な属性について見ていくと、 例えば同じ衛生要因の中でも影響の大きさはそれぞれ異なる。本研究では性 差、主観的肩書きによる差、雇用形態による差、組織形態による差を分析した が、その中でも女性であること、学生またはパートタイマーとして働くこと、 公共組織に所属して働くことが職業満足度を有意に高めることが分かった。た だ、職業満足度の構成自体が属性によって異なるため、労働者各々がなぜその 環境にいるのか、なぜその状況を選択したのかをある程度絞ったうえで見てみ ないと正確な実態は見えない。しかしそれぞれの属性別ではっきりと差が出て いるので、職業満足度を高めるためには国の政策というよりは事業所単位での 改善が必要である。また各要因の金銭的価値は 1~2 万円台であることから、 それらの要因を欠いた仕事に従事している労働者に対し、それだけの支出をす ることが妥当かどうかの経済的判断が求められるだろう。 本研究の限界としては、まずデータセットの都合上、雇用形態別のサンプル サイズが小さくなってしまい細かい分析ができなかったことである。また高原 38 (2013)が行ったように職種(業種)別の分析も、PIAACのデータでは業種 が各々の記述による回答だったためデータとして処理することが難しく、この 分析もできなかった。本来ならば各属性をさらに掛け合わせた分析を行うべき であったが、サンプルサイズの都合上できなかった。また櫻木(2006)や小島・ 太田(2009)で言及されているように事業所の経営理念や人事評価なども職業満 足度には大きな影響を与えるのだが、これもPIAACのデータでは変数を設 定することができなかった。そもそもPIAACはスキルを測るための調査で あり、前述した制約は労働者についての他の調査であれば乗り越えられるかも しれない。また前述したとおり動機づけ要因はそれがあると満足度が高まる が、欠けていても不満足を引き起こすわけではないものを指し、衛生要因はそ れがないと不満が生じるが、満たされても満足が高まるわけではないものを指 しているのだが、この前提を厳密に守るならば、これらを示す変数はある水準 までは大差ないが、それ以降は大きく満足度に影響するような非線形性を持つ と考えられる。この点を踏まえてより厳密に変数を定義するとより正確な結果 が推定できると思われる。 39 参考文献 上原衛・福田紗也・浅井怜衣(2015)「正規従業員と非正規従業員の職務満足に 関する研究」、『愛知淑徳大学論集 ビジネス学部篇』11 号、31-45 貢 大渕守正(2014)「高齢者の「首尾一貫感覚」と「人生経験」との関連」、『東北 大学大学院教育学研究科研究年報』63 巻 1 号、119-130 貢 国立教育政策研究所編(2013)『成人スキルの国際比較 OECD 国際成人力調査 (PIAAC)報告書』、明石書店 小島弥生・太田恵子(2009)「企業従業員の職務満足度と人事評価システムの捉 え方との関連」、『産業・組織心理学研究』22 巻 2 号、75-86 貢 小杉礼子(2003)『フリーターという生き方』、勁草書房 小林大祐(2014)「「働き方と生活についてのアンケート調査」の調査と結果の 概要」、『仁愛大学研究紀要 人間学部篇』13 号、77-83 貢 櫻木晃裕(2006)「職務満足概念の構造と機能」、『豊橋創造大学紀要』10 号、 37-47 貢 佐野晋平・大竹文雄(2007)「労働と幸福度」、労働政策研究・研修機構『日本 労働研究雑誌』49 巻 1 号、4-18 貢 白井利明ほか(2005)『迷走する若者のアイデンティティ イト・シングル、ニート、ひきこもり』、ゆまに書房 40 フリーター、パラサ 高橋祐吉(2013)『現代日本における労働世界の構図 もうひとつの働き方を展 望するために』、旬報社 高原龍二(2013)「日本の労働者における年齢・職務満足関係の職種差」、大阪 大学大学院人間科学研究科対人社会心理学研究室『対人社会心理学研究』13 号、23-30 貢 濱口桂一郎(2013)『若者と労働 「入社の仕組みから解きほぐす」』、中央公論 新社 樋口明彦(2006)「社会ネットワークとフリーター・ニート 若者は社会的に排 除されているのか」太郎丸博編『フリーターとニートの社会学』、世界思想 社、49-74 貢 古川久敬(1975)「職務満足度と職務重要度の相互作用に関する実証的研究」、 『実験社会心理学研究』15 巻 1 号、25-34 頁 山崎憲(2014)『「働くこと」を問い直す』、岩波書店 山本勲(2011)「非正規労働者の希望と現実 不本意型非正規雇用の実態」、鶴 光太郎・樋口美雄・水町勇一郎編著『非正規雇用改革 日本の働き方をいかに 変えるか』、日本評論社、93-120 貢 山本勲・黒田祥子(2014)『労働時間の経済分析』、日本経済新聞出版社 41 Freeman, Richard B. (1978), Job Satisfaction as an Economic Variable, The American Economic Review, Vol. 68, No. 2, pp135-141 Ohashi, Isao (2005), Wages, Hours of Work and Job Satisfaction of Retirement-Age Workers, The Japanese Economic Review, Vol56, No.2, pp.188-209 42 図表 記述統計量 変数 平均 標準偏差 最小値 最大値 職業満足度 3.566 0.817 1 5 仕事スピード決定権ダミー 0.649 0.477 0 1 勤務時間決定権ダミー 0.328 0.469 0 1 仕事順決定権ダミー 0.649 0.477 0 1 仕事のやり方決定権ダミー 0.606 0.489 0 1 アドバイスダミー 0.380 0.485 0 1 情報共有ダミー 0.760 0.427 0 1 感化ダミー 0.442 0.497 0 1 16.075 19.694 0 473.99 時間当たり賃金^2 6.461 56.727 0 2246.665 OJT ダミー 0.350 0.477 0 1 OffJT ダミー 0.007 0.082 0 1 管理職ダミー 0.275 0.447 0 1 10.729 10.772 0 51 勤続年数^2 2.311 3.801 0 26.01 健康ダミー 0.752 0.432 0 1 女性ダミー 0.486 0.500 0 1 パートタイムダミー 0.267 0.442 0 1 学生ダミー 0.026 0.159 0 1 インターンダミー 0.000 0.020 0 1 退職ダミー 0.001 0.035 0 1 障害者ダミー 0.001 0.028 0 1 契約社員ダミー 0.018 0.134 0 1 派遣社員ダミー 0.267 0.442 0 1 公共ダミー 0.141 0.349 0 1 NPO ダミー 0.033 0.179 0 1 時間当たり賃金 勤続年数 43 要因別分析 仕事スピード決定権ダミー 勤務時間決定権ダミー 仕事順決定権ダミー 仕事のやり方決定権ダミー アドバイスダミー 情報共有ダミー 感化ダミー 時間当たり賃金 時間当たり賃金^2 OJT ダミー OffJT ダミー 管理職ダミー 勤続年数 勤続年数^2 健康ダミー Constant cut1 全体 衛生要因 0.182*** 0.184*** (0.056 (0.056) 0.127** 0.118** (0.049) (0.049) -0.029 -0.033 (0.065) (0.065) 0.115* 0.115* (0.066) (0.065) 0.082 0.093 (0.095) (0.094) 0.106** 0.117** (0.053) (0.053) -0.035 -0.027 (0.092) (0.092) 0.001 0.002 (0.002) (0.002) 0.001 0.001 (0.001) (0.001) 動機づけ要因 0.112** 0.141*** (0.049) (0.046) -0.390 -0.280 (0.263) (0.262) -0.015 0.087* (0.058) (0.053) -0.012* -0.012* -0.007 (0.006) (0.006) (0.006) 0.038** 0.036** 0.026 (0.018) (0.018) (0.018) 0.286*** 0.283*** 0.297*** (0.050) (0.050) (0.050) -1.741*** -1.752*** -1.962*** (0.095) (0.095) (0.084) 44 Constant cut2 Constant cut3 Constant cut4 Observations -0.797*** -0.809*** -1.030*** (0.076) (0.076) (0.061) 0.297*** 0.284*** 0.051 (0.075) (0.074) (0.058) 1.927*** 1.910*** 1.660*** (0.082) (0.081) (0.065) 2,503 2,503 2,503 全体 男性 女性 0.172*** 0.205** 0.136* (0.056) (0.078) (0.079) 0.129*** 0.186*** 0.031 (0.049) (0.069) (0.072) -0.036 -0.081 0.006 (0.065) (0.096) (0.089) 0.122* 0.092 0.148 (0.065) (0.097) (0.090) 0.085 -0.017 0.179 (0.095) (0.127) (0.143) 0.105* 0.146* 0.069 (0.053) (0.076) (0.075) -0.023 0.129 -0.155 (0.092) (0.126) (0.137) 0.003 0.008*** -0.011** (0.002) (0.003) (0.005) 0.001 -0.001 0.006** (0.001) (0.001) (0.003) 0.106** 0.141** 0.109 (0.049) (0.066) (0.073) ()内は標準誤差 *** p<0.01, ** p<0.05, * p<0.1 男女別分析 仕事スピード決定権ダミー 勤務時間決定権ダミー 仕事順決定権ダミー 仕事のやり方決定権ダミー アドバイスダミー 情報共有ダミー 感化ダミー 時間当たり賃金 時間当たり賃金^2 OJT ダミー 45 OffJT ダミー 管理職ダミー 勤続年数 勤続年数^2 健康ダミー 女性ダミー -0.373 -0.158 -0.712 (0.263) (0.328) (0.443) 0.010 -0.001 -0.006 (0.058) (0.074) (0.096) -0.013* -0.022** 0.003 (0.006) (0.009) (0.010) 0.040** 0.065*** -0.006 (0.018) (0.023) (0.032) 0.285*** 0.280*** 0.305*** (0.050) (0.070) (0.073) -1.626*** -1.603*** -1.855*** (0.100) (0.135) (0.138) -0.679*** -0.551*** -1.028*** (0.083) (0.108) (0.112) 0.420*** 0.513*** 0.126 (0.082) (0.108) (0.108) 2.054*** 2.136*** 1.793*** (0.089) (0.119) (0.117) 2,503 1,287 1,216 全体 フルタイム パートタイム 学生 0.156*** 0.188*** 0.013 0.886** -0.056 -0.069 (0.110) (0.369) 0.108** 0.142** 0.013 0.0537 -0.050 -0.060 -0.098 (0.343) -0.006 -0.110 0.207* -0.168 -0.065 -0.084 (0.113) (0.417) 0.175*** (0.048) Constant cut1 Constant cut2 Constant cut3 Constant cut4 Observations ()内は標準誤差 *** p<0.01, ** p<0.05, * p<0.1 肩書き別分析 仕事スピード決定権ダミー 勤務時間決定権ダミー 仕事順決定権ダミー 46 仕事のやり方決定権ダミー アドバイスダミー 情報共有ダミー 感化ダミー 時間当たり賃金 時間当たり賃金^2 OJT ダミー OffJT ダミー 管理職ダミー 勤続年数 勤続年数^2 健康ダミー パートタイムダミー 0.146** 0.253*** -0.008 -0.848* -0.066 -0.083 (0.121) (0.449) 0.058 -0.011 0.472* 0.670 -0.095 (0.105) (0.261) (0.663) 0.127** 0.138** 0.170* -0.043 -0.054 -0.068 -0.010 (0.371) 0.018 0.091 -0.411* -0.019 -0.093 (0.104) (0.245) (0.567) 0.005** 0.007*** -0.014 -0.043 -0.002 -0.002 -0.010 -0.099 -0.001 -0.001 0.007 0.022 -0.001 -0.001 -0.004 -0.049 0.146*** 0.156*** 0.148 -0.121 -0.049 -0.056 (0.114) (0.409) -0.359 -0.278 -0.772 (0.263) (0.282) (0.762) 0.0111 -0.013 0.115 -1.083* -0.058 -0.063 (0.181) (0.623) -0.005 -0.007 -0.001 0.815** -0.007 -0.008 -0.013 (0.322) 0.022 0.030 -0.001 -8.782 -0.018 -0.022 -0.040 (5.520) 0.294*** 0.353*** 0.234** -0.735 -0.051 -0.062 -0.010 (0.456) -1.487*** -1.391*** -1.966*** -1.893*** (0.103) (0.121) (0.186) (0.583) 0.344*** -0.058 学生ダミー 0.675*** (0.145) インターンダミー 6.369 (186.6) 退職ダミー -0.645 (0.619) 障害ダミー -1.163 (0.743) Constant cut1 47 Constant cut2 Constant cut3 Constant cut4 Observations -0.531*** -0.385*** -1.236*** -0.805 -0.086 (0.102) (0.147) (0.550) 0.579*** 0.670*** 0.0603 0.991* -0.086 (0.102) (0.139) (0.554) 2.229*** 2.391*** 1.629*** -0.094 (0.113) (0.149) 2,503 1,726 668 65 全体 正社員 パートタイム 契約社員 0.181*** 0.188*** 0.013 -2.351** -0.056 (0.0565) (0.110) (0.992) 0.127** 0.133*** 0.0125 0.294 -0.049 (0.0500) (0.098) (0.485) -0.028 -0.00966 0.207* -0.760 -0.065 (0.0660) (0.113) (0.490) 0.115* 0.0975 -0.008 3.290*** (0.066) (0.0664) (0.121) (1.104) 0.085 0.111 0.472* -0.894 (0.095) (0.0955) (0.261) (1.566) 0.105** 0.0949* 0.170* 0.219 (0.053) (0.0543) (0.095) (0.443) -0.039 -0.0633 -0.411* 1.397 (0.092) (0.0928) (0.245) (1.426) 0.001 0.00130 -0.014 -0.206* (0.002) (0.00211) (0.010) (0.112) 0.001 0.000496 0.007 0.760 (0.001) (0.000693) (0.004) (0.673) 0.111** 0.107** 0.148 0.176 (0.049) (0.0492) (0.114) (0.468) ()内は標準誤差 *** p<0.01, ** p<0.05, * p<0.1 雇用形態別分析 仕事スピード決定権ダミー 勤務時間決定権ダミー 仕事順決定権ダミー 仕事のやり方決定権ダミー アドバイスダミー 情報共有ダミー 感化ダミー 時間当たり賃金 時間当たり賃金^2 OJT ダミー 48 OffJT ダミー 管理職ダミー 勤続年数 勤続年数^2 健康ダミー 契約社員ダミー -0.388 -0.285 -0.772 (0.263) (0.272) (0.762) -0.017 -0.0246 0.115 7.080 (0.058) (0.0582) (0.181) (627.1) -0.013** -0.0147** -0.001 0.316 (0.007) (0.00663) (0.013) (0.202) 0.039** 0.0432** -0.001 -2.644 (0.018) (0.0182) (0.036) (1.891) 0.285*** 0.286*** 0.234** 0.422 (0.050) (0.0512) (0.096) (0.450) -1.584*** -1.771*** -1.966*** -2.045*** (0.102) (0.098) (0.186) (0.721) -0.632*** -0.821*** -1.236*** -1.259* (0.085) (0.078) (0.147) (0.662) 0.471*** 0.274*** 0.0603 0.231 (0.084) (0.076) (0.139) (0.665) 2.110*** 1.912*** 1.629*** 2.277*** (0.091) (0.083) (0.149) (0.742) 2,503 2,436 668 46 全体 民間 公共 NPO 0.189*** 0.161*** 0.302** 0.299 (0.056) (0.062) (0.153) (0.351) 0.141*** 0.181*** 0.030 -0.279 (0.050) (0.054) (0.144) (0.304) -0.234 (0.161) 派遣社員ダミー -0.111 (0.237) Constant cut1 Constant cut2 Constant cut3 Constant cut4 Observations ()内は標準誤差 *** p<0.01, ** p<0.05, * p<0.1 組織形態別分析 仕事スピード決定権ダミー 勤務時間決定権ダミー 49 仕事順決定権ダミー 仕事のやり方決定権ダミー アドバイスダミー 情報共有ダミー 感化ダミー 時間当たり賃金 時間当たり賃金^2 OJT ダミー OffJT ダミー 管理職ダミー 勤続年数 勤続年数^2 健康ダミー 公共ダミー -0.0190 -0.008 -0.090 0.237 (0.065) (0.072) (0.175) (0.389) 0.108 0.119 0.052 -0.040 (0.066) (0.074) (0.164) (0.332) 0.087 0.087 0.112 -0.145 (0.095) (0.108) (0.217) (0.560) 0.101* 0.100* 0.037 0.106 (0.053) (0.057) (0.166) (0.351) -0.058 -0.039 -0.209 0.743 (0.092) (0.105) (0.218) (0.578) 0.001 -0.001 -0.003 -0.023 (0.002) (0.002) (0.006) (0.024) 0.001 0.002 0.001 0.018 (0.001) (0.001) (0.001) (0.036) 0.084* 0.116** 0.129 -0.575** (0.049) (0.055) (0.124) (0.272) -0.412 -0.430 -0.307 (0.263) (0.300) (0.562) 0.008 -0.0391 0.336** -0.257 (0.058) (0.065) (0.157) (0.297) -0.013** -0.011 -0.010 -0.055 (0.006) (0.007) (0.017) (0.047) 0.037** 0.032 0.020 0.251 (0.018) (0.020) (0.045) (0.153) 0.284*** 0.272*** 0.325** 0.582** (0.050) (0.056) (0.137) (0.297) -1.730*** -1.783*** -1.829*** -1.899*** (0.095) (0.106) (0.275) (0.501) -0.785*** -0.786*** -1.166*** -1.045** (0.077) (0.083) (0.237) (0.446) 0.313*** 0.313*** -0.057 0.221 (0.075) (0.082) (0.229) (0.427) 0.259*** (0.065) NPO ダミー -0.054 (0.122) Constant cut1 Constant cut2 Constant cut3 50 Constant cut4 Observations 1.950*** 1.959*** 1.588*** 1.998*** (0.082) (0.090) (0.239) (0.476) 2,503 2,066 354 83 ()内は標準誤差 *** p<0.01, ** p<0.05, * p<0.1 51
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