32 【第1 特集】せて直立を本日表紙から 2016 7/23 CONTENTS 長期の低成長にあえぐ日本経済を救うのはベンチャー企業だ。創造性にあふれる100社を選んだ。すごいアフロベンチャー 34 36 37 38 40 42 43 44 46 49 50 52 55 56 60 61 62 64 67 68 69 70 72 73 74 75 76 図解ベンチャー投資は第４のブームに宇宙スケールの大きなビジネスに挑む 2016年が元年。市場は急速に成長 VR・AR 人間を助け、人間とともに働くロボット AI ／脳波創薬人工知能が拓く未来のビジネス大学等研究機関発の起業が主流 LINE上場「脱ベンチャー」はいつか？ 1000 億円予算の光と影「起業で稼げ」大学発ベンチャーシェアリングモノやスキルを共有・貸し借りヘルスケア農業／フード不動産高齢化や女性活躍背景に新サービス食の仕組みを根底から変える住まい選びの新たなアイデアが続々 INTERVIEW │吉田浩一郎 ●クラウドワークス社長兼CEO あのテリー・ゴウも注目外資も欲しがる和製ベンチャー INTERVIEW │アニス・ウッザマン ●フェノックス・ベンチャーキャピタルCEO 究極の一人起業家「ユーチューバー」「インスタグラマー」を知っていますか？消えぬ新興企業の不祥事「お粗末 IPO」本当の問題は何かフィンテック金融とITの融合が変革をもたらすメディアマンガや動画が「ビジネスの種に」教育健康暮らしテクノロジーの力で学びをより身近に高齢化で健康ニーズは一層高まるさまざまな生活シーンをより便利にコミュニケーション離れていてもリアルな対話が可能にまだまだある！有望ベンチャー 60 社リスト INTERVIEW │仮屋薗聡一 ●日本ベンチャーキャピタル協会会長 ■ ベンチャー企業の資金調達額は急増中（→P35）（社）（億円） 2,000 2,000 1,500 1,000 調達金額（左目盛） 1,500 社数（右目盛） 1,000 500 500 0 0 06年07 08 09 10 11 12 13 14 15 （出所）ジャパンベンチャーリサーチ ■ 高まるバリュエーション（→P35） ─ 1社当たりの資金調達額推移（中央値） ─ （億円） 1.2 1.0 15年は1社当たりの調達額が1億円超に 0.8 0.6 0.4 0.2 0 06年 07 08 09 10 11 12 13 14 15 （出所）ジャパンベンチャーリサーチ吉田浩一郎クラウドワークス社長兼ＣＥＯ「失敗は起業家としてのバロメーター」アニス・ウッザマンフェノックス・ベンチャーキャピタルＣＥＯ「日本のベンチャーは宝の山」 IPOが静かなるブーム安易な投資は禁物乱高下のベンチャー株フィンテックを取り込め！スタートアップ企業にメガバンクが急接近 55 60 CONTENTS ひと烈風録ニュース最前線 100 トーハンの傘下に入った八重洲ブックセンター（右）。紀伊国屋は新宿南店を大幅縮小へ 20 書店は消えていくのか生活の中で支えていく認知症ケアの第一人者出版不況で残る条件山崎英樹清山会医療福祉グループ代表・医師山岡淳一郎 ●ノンフィクション作家 23 燃費不正の重い代償静かな軽販売再開 24 相続税対策のアパートが空室率急上昇でピンチ！認知症ケアは難しい。｢脱拘束｣の実践者は理想の介護を求め、仙台に小さな施設を開業した。17年の時を経て、地域に着実に根付いている。 26 2016 7/23 マイナス金利で膨らむ退職債務に企業が悲鳴深層リポート 9 ｜経済を見る眼｜企業の「稼ぐ力」は身に付いたか／早川英男 11 ｜この人に聞く｜笹宏行 ● オリンパス社長｜事業の整理は一巡医療事業を徹底強化する 31 ｜少数異見｜増える空き家と高齢化の関係特養増設は正解かこの人に聞くオリンパス社長笹宏行 9 経済を見る眼早川英男 110 112 114 116 118 120 121 122 123 124 130 134 ｜ニュース戦 11 ブックス＆トレンズ　『大西郷という虚像』原田伊織 110 ニュース戦記星浩西松屋電機リストラ組「俺たちのベビー用品」 78 ベビー用品の西松屋チェーンがヒット商品を連発している。その原動力は大手電機メーカー出身の「リストラ技術者」たちだ。 124 83 知の技法｜国際情勢の変動にどう対処するか②／佐藤優｜中国動態｜即席麺の販売減少が示す中国の消費「二極化」／陳言 92 ｜グローバルアイ｜英国人の後悔の念にEUの希望が見える／ジョージ・ソロスほか株式観測｜為替観測｜小幅な変化続いた経済指標補正予算や米国指標を注視／伊藤高志 96 ｜過去の経験則に照らせば今年は「円高の年」に／唐鎌大輔｜マクロウォッチ｜日銀の政策で邦銀は苦しく外国ヘッジファンドは荒稼ぎ｜投資の視点動画配信はテレビを救うか成長余地を失ったテレビ各局が、一斉に動画配信に打って出ている。ユーザー獲得は進むのか。｜フォーカス政治｜改憲勢力3分2獲得で首相は悲願達成に虎視眈々／歳川隆雄｜「世界を席巻した人たちが来た」特別リポート記｜「旗印」見えない参院選後の安倍政権／星浩｜ I NTERVIEW 大村禎文 ● 西松屋チェーン社長 98 ｜自己株買い｜JPX銘柄が上位独占自己株買いが多い会社スマホがテレビを侵食、外資の脅威も I NTERVIEW 民放各局、動画バトルの茨道｢テレビ縮小｣はやむなし主戦場はスマホに移行早河洋 ●テレビ朝日ホールディングス会長兼CEO　テレビを主軸に周辺も広げる藤田晋 ●サイバーエージェント社長　｢受け身視聴｣こそが重要森川亮 ● C Channel 社長　｢いいものは見られる｣はダメ｜ブックス &トレンズ｜『大西郷という虚像』を書いた原田伊織氏に聞くほか｜ Readers & Editors｜読者の手紙、編集部から｜生涯現役の人生学｜トフラー先生の死とPR／童門冬二 PR 5 ビジネスアスペクト　テンプホールディングス／一億総活躍社会へ向けて　PERSOL グループ、始動 12 立命館大学　自分らしく、自由に働くことが、可能性を広げていく。 28 メットライフ生命　「今までにない新しい生命保険会社」のため、メットライフ生命は「サイエンス」アプローチで挑む。「仕事モード」に　より効率的で快適な出張術とは 84 広告特集　いつでもどこでも 135 BUSINESS WAVE collect　サンライズ・アカウンティング・インターナショナル図表作成：小堺賢吾本誌の記事は「日経テレコン」「G-Search」「ELNET」「FACTIVA」等のデータベースに収録されており、フリーキーワードで検索、購入できます。深層リポート 106 ハウスカレー「人民食」化計画！典型的な内需型企業であるハウス食品グループ本社が、海を越え中国にカレー文化を根付かせようと腐心している。＂日式＂カレーははたして現地で熱烈歓迎されるか。 109 I NTERVIEW 浦上博史 ● ハウス食品グループ本社社長「健全な危機感を持ち認識を変革する」 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ カレンシーポート／Orb（オーブ）／MFS／ビットバンク ▲ ▲ ベンチャーキャピタル︵ＶＣ︶各社今、ファンドを組成してベンチャー企業への投資を手掛けるビジネスモデルのフィンテック企業ｒｅｅｅなど、ある種わかりやすいォワードやクラウド会計ソフトのｆ計簿・資産管理サービスのマネーフテクノロジー関連ビジネスを手掛けるあるベンチャー企業の社長はと比べても段違いに大きい。ァンドサイズ︵億∼100億円︶ 17億円は、民間ＶＣが組成するフ︵企業価値︶が高騰していることをている︵ ∼ ㌻図②④︶。大型調達に成功するケースが登場し ▲ ▲ ▲ に環境認識を尋ねると、そんな答え本誌：猪澤顕明、小長洋子、中川雅博、中山一貴、野村明弘、秦卓弥、東出拓己、福田恵介、山田泰弘、山本直樹、平松さわみ、緒方欽一、山田徹也示している。ＶＣ最大手・ジャフコ低迷する日本経済を救うカギの1つは、創造的なベンチャー企業がどれだけ登場するか。未来の日本を背負う原石・100社を徹底紹介。﹁今年後半は何が起こるかわからな FacePeer（フェイスピア）／チカクに資金が流入した。しかし年に入みんれび／プリンシプル／ミライセルフが異口同音に返ってくる。 P69 の三好啓介取締役は﹁足元、ベンチ P68 教育絵本ナビ／すららネットいので多めに資金を調達した。資金 TORICO（トリコ）／エブリー日本を立て直せメディア P67 不動産 P52 り、﹁仮想通貨など、評価がまだ定 ▲ ▲ ファームノート／おかん／テレファームャー企業に投資したい資金は豊富に ▲ ▲ フィンテック P64 ヘルスケア P49 を映し出す。年は個人向け自動家トリプル・ダブリュー・ジャパン／ノンストレス調達環境は悪くない﹂と打ち明け akippa（あきっぱ）／エニタイムズ／ AsMama（アズママ）／airCloset（エアークローゼット）まっていないフィンテック関連分野 P42 象徴的な現象は、ベンチャー企業に流れ込む資金が記録的な規模に膨ジェイファーマ創薬すごいーベンチャ ▲ ロボット ▲ P38 ームですね﹂コミュニケーション P72 ＶＲ・ＡＲ「ブ有望ベンチャー60社リスト P73 外資も欲しがる和製ベンチャー P56 農業／フード P50 シェアリング P46 AI／脳波 P40 暮らし P70 35 らんでいることだ。りに伸びているのがロボットやＡＩの資金調達が伸び悩んでいる。代わ供給超過で、ベンチャー企業投資のる。資金の需給バランスは明らかにるので競合が激しく、割高なケースあるが、資金の出し手がたくさんいもある﹂と話す。金額がハネ上がっている。変わる起業家像大手企業の危機感も代表︶。ＪＶＲによると、1社当たりの資金調達額は ∼ 年に1800万円︵人工知能︶関連﹂︵ＪＶＲの北村彰資金が向かう先は今流行のテーマ億円を超えている︵㌻図①︶。 5倍、直近ピークの年の1464 これはボトムをつけた年の約2・企業の資金調達額は1532億円。ベンチャー動向を調査しているジャパンベンチャーリサーチ︵ＪＶ 1社当たりの資金調達額の上昇はベンチャー企業のバリュエーション 34 Ｒ︶によると、2015年の未公開 50 が配分された。東大に配分された4 1000億円のベンチャー関連予算大阪大学、東北大学の国立4大学に大学のベンチャー投資予算も大盤振る舞いだ。東京大学、京都大学、ベンチャー企業で100億円前後のバイオ素材開発のスパイバーなど、へ拡大。フリマアプリのメルカリや程度だったのが、年には1億円超まれ始めている。ただ、今回は過去のブームとは異なり、いい意味での新しい潮流が生 11 15 ▲ ユニファ／ライフロボティクス／オリィ研究所 P37 ハコスコ／ナーブ健康 FiNC（フィンク） 10 32 2016.7.23 週刊東洋経済アフロ週刊東洋経済 2016.7.23 GLM／popIn（ポップイン）／青電舎 16 P36 宇宙アストロスケールデザイン：川邊玲奈　進行管理：下村恵 100 33 ツクルバ／リノベる／GTN（グローバルトラストネットワークス）／イタンジ 15 ABEJA（アベジャ）／SOINN（ソイン）／リトルソフトウェア 12 35 06 第１特集特集／すごいベンチャー「ほかの色も一緒に購入したいのですが、ありませんか﹂ベビー・子ども用品専門店の西松屋チェーンが昨年9月に発売した﹁ストレッチパンツ﹂が空前のヒットとなっている。発売するや否や話題となり、売り切れる店が続出。今年春に再入荷するなど、累計万枚を売り上げている。高い伸縮性やお尻を包み込む深めの股上が特徴。税込み879円と低価格なうえ、ピンク、黄、青、グレーなどカラーサイズを豊富にそろえたことで、まとめ買いをする親子連れが相次いだ。パナソニック退職後歳で空前のヒットこのかつてないヒットを生み出したのはリストラ退職した異業種の出身者だ。男児アウター商品部長の黒崎敏彦、歳。大手電機メーカー、携わってきた技術者である。約4年前、パナソニックの業績が急速に傾き、社長の津賀一宏の下で始まった全社リストラ。定年を目前にした歳のとき、年以上勤めた古巣を後にした。 58 った自由な精神が残っている。やっ昔ながらの﹃やってみなはれ﹄とい﹁今のパナソニックは失敗したらダメだと縮こまっている。西松屋はと、データ分析力を駆使した。長く売れる物を作ろうと思った﹂は数字を見て、テスト販売しながら視になりがちだが、製造業出身の私た。アパレル業界の人はデザイン重商品を作ってほしいということだっが、﹁社長からのミッションは新しいなどもちろんない。黒崎は困惑した入社して驚いたのが、アパレル担当となったことだ。アパレルの経験に飛び込んだ。れ、退職から1週間も経たず別世界で﹁すぐに来てほしい﹂と懇願さを知らなかった﹂が、幹部との面談知って手を挙げた。黒崎は﹁西松屋次の道をどうするか迷ったが、西松屋が技術者を募集していることを 20 西松屋 50 パナソニックでカーナビ開発などに 62 電機リストラ組撮影：今井康一俺たちのベビー用品ベビー用品の西松屋チェーンがヒット商品を連発している。その原動力は大手電機メーカー出身の「リストラ技術者」たちだ。本誌：冨岡耕郊外中心に全国展開する西松屋。ベビーカーが通りやすい広い通路の両脇に多くの商品がハンガー掛けしてある 78 2016.7.23 週刊東洋経済週刊東洋経済 2016.7.23 79 62 深層リポート西松屋「俺たちのベビー用品」「本番5秒前！ 4、3、2﹂。午後8時。東京・六本木にあるテレビ朝日1階のスタジオでニュース番組﹁アベマプライム﹂の収録が始まった。は少なく、終始笑顔で出演者に話題キャスターを務めるのは小松靖アナウンサー。淡々と原稿を読む場面を振っていく。出演者は生放送中にもかかわらず、スマートフォンを手にＳＮＳに感想を投稿することもある。何とも自由な収録風景だ。番組には、普段テレビでニュース ─総世帯視聴率（ゴールデン帯）の推移─ 今、民放各局が動画配信に本腰を入れている。背景にあるのは視聴者る番組を作りたい﹂と語る。ることができ、ニュースも理解でき番組プロデューサーの鎮目博道氏は、﹁若いユーザーが笑いながら見ど、若者向けのコーナーが満載だ。材記者を務める﹁中2ニュース﹂なわりの動画紹介や、中学2年生が取業とするユーチューバーによる日替選別。ＹｏｕＴｕｂｅへの投稿を生ているかをチェックし、トピックを日々、ネットで若年層が何に注目しんだんに盛り込んでいる。取材班がを見ない若年層が楽しめる話題もふ 66 ─テレビの1日当たり視聴時間の比較─ 100 50 （注）男性、1995 年と2015 年の比較（出所）NHK 放送文化研究所「2015 年国民生活時間調査」っくりとその力を失い続けている。どれだけ視聴されているかを示す﹁総世帯視聴率︵ＨＵＴ︶﹂や1日当たりのテレビ視聴時間の減少は歯止めがきかない。顕著なのが若年層のテレビ離れだ︵右図︶。その結果、テレビ広告はいまだリーマンショック以前の水準に戻っていない。中継用の機材はｉＰｈｏｎｅ１台一方、動画配信の主戦場となっているのがスマホだ。紙媒体も含むメ ─年代別・動画メディア利用者の割合（休日）─ 分増の分と勢いがある。若年層をホ﹂はテレビに次ぐ2位。前年比当たり平均視聴時間で﹁携帯・スマべ︶によると、今年1∼2月の1日 20 60 代 70 歳以上 50 代のテレビ離れだ。テレビは非常にゆ 150 ディア別の利用動向調査︵博報堂調 40 代 30 代 20 代 10 代（出所）総務省代はネット動画をよく視聴する 40 30代より下の世 60 2015年 200 15 13 11 09 2001 （出所）ビデオリサーチ 92 中心にＹｏｕＴｕｂｅなど動画サイトの視聴習慣も広がっている。﹁スマホ中毒の若いユーザーに向けて、すき間時間に受け身で見られる動画メディアを作れ﹂統括プロデューサーを務めるサイバーエージェント︵以下、サイバー︶の藤田晋社長の号令の下、4月に放送を開始したのが﹁ＡｂｅｍａＴＶ﹂︵以下、アベマＴＶ︶だ。テレ朝とサイバーの合弁会社が運営す 2016.7.23 週刊東洋経済週刊東洋経済 2016.7.23 68 7/23号_深層_動画配信 50 代 60 代 P1-2_1 0 テレビ系動画ネット系動画 80 10～20代はネット動画も視聴 3 調査対象となる世帯のうち、どのくらいの世帯がテレビ放送をリアルタイムで視聴していたのかを表す数字 70 撮影：今井康一アフロ 93 72 07 05 03 60 1997 年度 99 40 代 30 代 20 代 10 代 0 以降は再び下落している 62 1995年 250 1995∼2015年で、10代の視聴時間は39分、20代は42分減少した 300 テレビをつける世帯は長期低落傾向信にに動画配斉一、各局がか。たテレビっ失は進むのを得地獲余ー長成邉佳介ユーザ本誌：田ている。出てっ打 10 （分／日） 350 若年層の視聴が減少している 2 総世帯視聴率（HUT）とは? （%）かう救（%） 100 90 配画動 1 2011 年以降は底入れの兆しも見られたが、14 年 64 をビレテは信特別リポート動画配信はテレビを救うか