適正使用資材「プラリアの適正使用について」

プラリアの
適正使用について
低カルシウム血症
顎骨壊死
本剤と同一成分(デノスマブ)を含む「ランマーク皮下注120mg*」使用例
において、国内市販後に低カルシウム血症との関連性を否定できない死
亡例が報告されています。
*ランマーク皮下注120mgの「効能・効果」
「用法・用量」
1.多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変
通常、成人にはデノスマブ
(遺伝子組換え)
として120mgを4週間に1回、皮下投与する。
2.骨巨細胞腫
通常、
デノスマブ
(遺伝子組換え)
として120mgを第1日、第8日、第15日、第29日、その後は4週間に1回、皮下投与する。
本冊子は、プラリアを適正に使用していただくため、本剤の副作用である
低カルシウム血症及び顎骨壊死の発現状況や発現時期、投与前・投与中に
注意すべき事項等について解説しています。
本剤の使用に際しては、本冊子を熟読いただき、十分に注意をしていただき
ますようお願い致します。
処方箋医薬品※
※注意−医師等の処方箋により使用すること
はじめに
プラリア(一般名 : デノスマブ)は、RANKLを標的とするヒト型IgG2モノクローナル抗体
製剤です。RANKLは、破骨細胞及び破骨細胞前駆細胞表面のRANKに結合する破骨細
胞の形成、機能、生存に必須のメディエーターです。プラリアはRANK/RANKL経路を阻
害し、破骨細胞の形成を抑制することにより骨吸収を抑制します。
プラリアの国内第Ⅲ相臨床試験結果から、骨粗鬆症患者に対する安全性及び有効性が確
認されましたが、低カルシウム血症及び顎骨壊死が認められました。
本冊子は、プラリアの臨床試験における低カルシウム血症及び顎骨壊死の発現状況と、投
与の際の注意を示しています。日常診療の場において、プラリア投与による治療の参考と
してご活用いただければ幸いに存じます。
監修:大阪市立大学 名誉教授
三木 隆己 先生
目次
はじめに ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
効能・効果、用法・用量/使用上の注意・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
1.
低カルシウム血症
1)低カルシウム血症について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
2)低カルシウム血症への対策・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
3)国内販売開始後における低カルシウム血症発現状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
4)国内臨床試験における低カルシウム血症発現状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
5)血清補正カルシウム値の変動(国内臨床試験データ)・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
6)カルシウム、ビタミンDの補充について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
7)腎機能障害患者における注意事項・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
[コラム]体内のカルシウム代謝調節・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
2.
顎骨壊死
1)顎骨壊死について・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
2)顎骨壊死への対策・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
3)国内臨床試験における顎骨壊死発現状況・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
針刺し防止機能付きシリンジの取扱い方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
Drug Information・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
プラリア投与前のチェックポイント・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
プラリア投与に際しての注意事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
2
効能・効果、用法・用量
効能・効果
骨粗鬆症
<効能・効果に関連する使用上の注意>
本 剤の適用にあたっては、日本骨代謝学会の診断基準等を参考に、骨粗鬆症との診断が確定している患者を対象とする
こと。
用法・用量
通常、成人にはデノスマブ(遺伝子組換え)として60mgを6ヵ月に1回、皮下投与する。
使用上の注意
【禁忌】
(次の患者には投与しないこと)
1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2. 低カルシウム血症の患者(「重要な基本的注意」の項参照)
3. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
使用上の注意
1.
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1)低カルシウム血症を起こすおそれのある患者[低カルシウム血症が発現するおそれがある(「重要な基本的注意」の
項参照)。]
(2)重度の腎機能障害のある患者[使用経験が少ない。低カルシウム血症を起こすおそれがある。]
2.
重要な基本的注意
(1)本剤はランマークと同一成分(デノスマブ)を含むため、本剤投与中の患者にはランマークの投与を避けること。
(2)本剤投与開始前に血清補正カルシウム値を確認すること。低カルシウム血症のある患者は、本剤投与前に低カルシウ
ム血症を治療すること。
(3)本剤投与により低カルシウム血症があらわれることがあるため、血清補正カルシウム値が高値でない限り、毎日カルシ
ウム及びビタミンDの経口補充のもとに本剤を投与すること。ただし、腎機能障害患者や、既に活性型ビタミンDを使用
している患者においては、適宜、活性型ビタミンDを使用するとともに、カルシウムについては投与の必要性を判断し、
投与量を調整すること。また、投与開始後早期及びその後も定期的に血清カルシウム値を測定し、血清補正カルシウム
値の変動や、痙攣、
しびれ、失見当識等の症状に注意すること。
なお、本剤の国内第Ⅲ相臨床試験では、全ての患者に対して、治験期間中に毎日少なくとも600mgのカルシウム及び
400IUの天然型ビタミンDが補充された(「重大な副作用」、
「臨床成績」の項参照)。また、市販後に低カルシウム血症
と報告された症例のうち、発現日が確認できた症例の約半数は、初回投与から7日以内の発現であった。
(4)骨粗鬆症の発症にエストロゲン欠乏、加齢以外の要因が関与していることもあるので、治療に際してはこのような要因
を考慮する必要がある。
(5)顎骨壊死・顎骨骨髄炎があらわれることがある。報告された症例の多くが抜歯等の顎骨に対する侵襲的な歯科処置や
局所感染に関連して発現している。リスク因子としては、悪性腫瘍、化学療法、コルチコステロイド治療、放射線療法、
口腔の不衛生、歯科処置の既往等が知られている。本剤の投与開始前は口腔内の管理状態を確認し、必要に応じて、
患者に対し適切な歯科検査を受け、侵襲的な歯科処置をできる限り済ませておくよう指導すること。本剤投与中に侵
襲的な歯科処置が必要になった場合には、本剤の休薬等を考慮すること。また、口腔内を清潔に保つこと、定期的な歯
科検査を受けること、歯科受診時に本剤の使用を歯科医師に告知して侵襲的な歯科処置はできる限り避けることなど
を患者に十分説明し、異常が認められた場合には、直ちに歯科・口腔外科を受診するように指導すること(「重大な副
作用」の項参照)。
(6)本剤又はビスホスホネート系薬剤を長期使用している患者において、非外傷性の大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹
部の非定型骨折が発現したとの報告がある。これらの報告では、完全骨折が起こる数週間から数ヵ月前に大腿部や鼠
径部等において前駆痛が認められている報告もあることから、本剤の投与開始後にこのような症状が認められた場合
には、X線検査等を行い、適切な処置を行うこと。また、両側性の骨折が生じる可能性があることから、片側で非定型骨
折が起きた場合には、反対側の大腿骨の症状等を確認し、X線検査を行うなど、慎重に観察すること。X線検査時には
骨皮質の肥厚等、特徴的な画像所見がみられており、そのような場合には適切な処置を行うこと。
(7)本 剤のシリンジ注射針カバーは、天然ゴム(ラテックス)を含み、アレルギ一反応を起こすことがあるので、投与に際
し、問診を行うこと。また、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
使用上の注意の詳細につきましてはDI欄(p.23)をご参照ください。
3
1.低カルシウム血症
1)低カルシウム血症について
■臨床的特徴
低カルシウム血症はしばしば無症候性です。臨床症状があらわれる場合、背部及び下肢の筋肉の痙攣が一般的にみ
られます。重度低カルシウム血症では、テタニー、喉頭痙攣、全身性痙攣、不整脈を引き起こす場合があります。テタ
ニーは、口唇、舌、手指、足の感覚異常からなる感覚症状、遷延し有痛性の場合もある手足の痙攣、全身性の筋肉痛、
及び顔面筋の痙攣を特徴とします。慢性低カルシウム血症では、乾燥した鱗状の皮膚、割れやすい爪、硬い毛髪な
ど、その他多数の異常が認められます。
■診断基準
血清カルシウム値が8.5mg/dL未満の場合を低カルシウム血症と診断します。低カルシウム血症の原因には、副甲状
腺機能低下症、ビタミンD作用低下症、及び腎不全等があります。
血清カルシウム値は、低アルブミン血症などがあると、カルシウム代謝に異常がなくても低値となるため、見かけ上、
低カルシウム血症を示すことになります。そのため、血清カルシウムの測定時に血清アルブミン値が4.0g/dLを下
回っている場合には、血清カルシウム値を以下の式により補正する必要があります。
補正カルシウム値(mg/dL)=血清カルシウム値(mg/dL)
+4−血清アルブミン値(g/dL)
なお、低カルシウム血症の「Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)グレード分類」
は以下のとおりです。
表1 グレード分類(CTCAE v4.0)
低カルシウム血症
グレード1
補正血清カルシウム
<LLN-8.0mg/dL;
<LLN-2.0mmol/L;
イオン化カルシウム
<LLN-1.0mmol/L
グレード2
補正血清カルシウム
<8.0-7.0mg/dL;
<2.0-1.75mmol/L;
イオン化カルシウム
<1.0-0.9mmol/L;
症状がある
グレード3
補正血清カルシウム
<7.0-6.0mg/dL;
<1.75-1.5mmol/L;
イオン化カルシウム
<0.9-0.8mmol/L;
入院を要する
グレード4
補正血清カルシウム
<6.0mg/dL;
<1.5mmol/L;
イオン化カルシウム
<0.8mmol/L;
生命を脅かす
LLN:
(施設)基準値下限
厚生労働省難治性疾患克服研究事業 ホルモン受容機構異常に関する調査研究報告書
CTCAE v4.0-JCOG 2012年11月20日版(抜粋)
4
2)低カルシウム血症への対策
■プラリア投与前及び投与中は、以下を参考に、適切な処置を行ってください。
低カルシウム血症に対する投与前、投与中の検査等
低カルシウム血症の患者には、プラリアを投与しないでください
プラリア投与を検討する場合
本剤投与前に血清補正カルシウム値※を測定・
評価してください。
低カルシウム血症のある患者
本剤投与前に、低カルシウム血症を治療してください。
是正された場合
是正されなかった場合
プラリア投与
低カルシウム血症が
是正されるまで、プラ
リア投 与を見 合わせ
てください。
●以下の患者には慎重に投与してください。
●低カルシウム血症を起こすおそれのある患者 ●重度の腎機能障害のある患者
●本剤投与前の血清補正カルシウム値※に関わらず、投与開始後早期及びその後
も定期的に血清カルシウム値を測定し、血清補正カルシウム値※の変動に注意し
てください。
●本剤投与により低カルシウム血症があらわれることがあるため、カルシウム及び
ビタミンDの補充が必要です。
カルシウム及びビタミンDの摂取状況を含む患者の状態及び臨床検査値に応じて、
以下のように適切にカルシウム及びビタミンDを補充してください。
活性型ビタミンDを
投与している患者の場合
活性型ビタミンDを
投与していない患者の場合
腎機能正常患者の場合
血清補正カルシウム値の変動
などに応じて、活性型ビタミン
Dの投与量を適宜調整し、必要
に応じてカルシウムの追加・増
量について検討してください。
血清補正カルシウム値※が高値でない限り、
毎日カルシウム及びビタミンDを補充投与して
ください※※。
活性型ビタミンDで補充投与する
場合は、
“活性型ビタミンDを投与している患
者の場合”
の補充方法を参考にしてください。
腎機能障害患者の場合
腎機能障害の程度に応じ、
ビタミ
ンDについては活性型ビタミンDを
使用するとともに、カルシウムに
ついては投与の必要性を判断し、
投与量を適宜調整してください。
低カルシウム血症が認められた場合
カルシウム及びビタミンDの補充に加えて*、緊急時には、カルシウムの点滴投与を
併用するなど、適切な処置を速やかに行ってください。
*カルシウム及びビタミンDの経口補充を継続してください
※血清アルブミン値が4.0g/dL未満の場合には、以下の式による補正カルシウム値を用いてください
補正カルシウム値(mg/dL)
=血清カルシウム値(mg/dL)
+4−血清アルブミン値(g/dL)
※※本剤の国内第Ⅲ相臨床試験では、全ての患者に対して、治験期間中に毎日少なくとも600mgのカルシウム及び
400IUの天然型ビタミンDが補充されました。
5
1.低カルシウム血症
3)国内販売開始後における低カルシウム血症発現状況
市販後に報告された低カルシウム血症のうち、発現日が確認できた症例の約半数は、
初回投与から7日以内の発現でした。
本剤の国内販売開始後1年間(2013年6月11日~2014年6月10日)に報告された低カルシウム血症関連の副作用
は、188例189件(低カルシウム血症172件、血中カルシウム減少15件、カルシウムイオン減少2件)でした。なお、
低カルシウム血症との関連性を否定できない死亡例はありませんでした。
■プラリア初回投与から低カルシウム血症発現までの期間について
プラリアの国内販売開始後に報告された176例*における低カルシウム血症の副作用の発現時期は、以下のとおり
であり、176例のうち107例が、本剤初回投与から7日以内に低カルシウム血症を発現していました。
*2014年6月10日時点:発現時期不明の症例を除く
図1 低カルシウム血症発現までの期間(2013年6月11日~2014年6月10日)
(例)
80
重症例※1
70
非重症例
60
発現例数
50
40
30
20
10
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
初回投与から発現までの期間
(日後)
7ヵ月∼
6ヵ月∼
5ヵ月∼
4ヵ月∼
3ヵ月∼
2ヵ月∼
1ヵ月∼
0
※2
※1 重症例:血清補正カルシウム値(血清アルブミン値の情報がない症例では未補正のカルシウム値)の最低値が7.0mg/dL未満に低下した症例
※2 プラリア2回目投与後(1例は14日後、1例は35日後、1例は時期不明)に発現した症例は3例であった
6
4)国内臨床試験における低カルシウム血症発現状況
国内第Ⅲ相臨床試験において、低カルシウム血症の発現率は0.8%でした。
(承認時)
国内第Ⅲ相臨床試験において、低カルシウム血症の副作用の発現率は、0.8%(7/881例:内訳は低カルシウム
血症2例、血中カルシウム減少5例)でした。重篤な低カルシウム血症の副作用は認められませんでした。
(承認時)
なお、全ての患者に対して、カルシウム600mg以上及び天然型ビタミンD 400IU以上の毎日の補充を徹底しました。
また、ベースラインの血清クレアチニン値が2.0mg/dL以上の患者は対象から除外しました。
表2 国内第Ⅱ相及び第Ⅲ相臨床試験におけるプラリア投与患者での低カルシウム血症の有害事象、副作用 別の発現率
*1
第Ⅱ相臨床試験*3
第Ⅲ相臨床試験*4
有害事象の発現率
(発現症例/総症例)
0.6%
(1*5/158例)
0.9%
(8/881例)
副作用*2の発現率
(発現症例/総症例)
0.6%
(1*5/158例)
0.8%
(7/881例)
*1 低カルシウム血症の有害事象/副作用として、ICH国際医薬用語集日本語版(MedDRA/J ver.14.0)の4つの基本語(PT)
(低カルシウム血症、血中カルシ
ウム減少、カルシウム欠乏、カルシウムイオン減少)について評価を行った
*2 有害事象のうち、本剤との因果関係を否定できないもの
*3 デノスマブを14mg、60mg、100mgのいずれかの用量で6ヵ月に1回、12ヵ月皮下投与した(プラリアの用法・用量はデノスマブ60mgを6ヵ月に1回皮下投
与である)
*4 デノスマブ60mgを6ヵ月に1回、36ヵ月(二重盲検期及び非盲検期)又は12ヵ月(非盲検期のみ)皮下投与した
*5 デノスマブ14mgを6ヵ月に1回皮下投与した患者で発現
7
1.低カルシウム血症
■低カルシウム血症を発現した症例について(国内販売開始後)
1.
低カルシウム血症症例の概要(血清補正カルシウム値の最低値:8.0mg/dL以上)
No.
1
性別
年齢
女性
80歳代
投与から
発現までの
期間
(日後)
5
血清補正カルシウム値
(mg/dL)
投与前
発現日
最低値
9.2
(投与2日前)
8.3
8.3
(発現日)
<プラリア投与開始後の血清補正カルシウム値>
投与2日前 :9.2
投与5日後 :8.3
投与13日後:9.5
9.0
(投与3日前)
2
女性
50歳代
7
8.2
転帰※1
臨床症状
カルシウム
又は
ビタミンDの
投与※2
処置
クレアチニン
クリアランス
(mL/min)
主な合併症等
回復
(8日後)
なし
エルデカルシ
トール
0.75μg/日
なし
25
脊椎多発圧迫骨折
回復
(7日後)
なし
デノタス
発現日よりデノタス
3錠/日に増量、発現
4日後よりデノタス
4錠/日に増量
正常
SLE、高血圧
8.2
(発現日)
<プラリア投与開始後の血清補正カルシウム値>
投与3日前 :9.0
投与4日後 :8.8
投与7日後 :8.2
投与8日後 :9.0
投与11日後:8.2
投与14日後:8.6
投与18日後:8.8
投与33日後:8.7
2.
低カルシウム血症症例の概要(血清補正カルシウム値の最低値:7.0mg/dL以上8.0mg/dL未満)
No.
3
性別
年齢
女性
50歳代
投与から
発現までの
期間
(日後)
28
血清補正カルシウム値
(mg/dL)
投与前
発現日
最低値
9.6
(投与日)
7.6
7.6
(発現日)
女性
90歳代
7
臨床症状
回復
<プラリア投与開始後の血清補正カルシウム値>
(28日後)
投与日
:9.6
投与28日後:7.6
投与56日後:9.4
8.9
(投与5日前)
4
転帰※1
7.9
なし
カルシウム
又は
ビタミンDの
投与※2
エルデカルシ
発現翌日よりエルデ
トール
カルシトー ル 0 . 7 5
0.5μg
μg/日に増量
週3回投与
7.9
(発現日)
<プラリア投与開始後の血清補正カルシウム値>
投与5日前 :8.9
投与7日後 :7.9
投与13日後:8.9
回復
(6日後)
※1 転帰日が判明している場合、発現から転帰までの期間を併せて記載
※2 低カルシウム血症発現前のカルシウム又はビタミンDの投与
8
なし
処置
デノタス
2錠/日
クレアチニン
クリアランス
(mL/min)
主な合併症等
20
関 節リウマチ、皮 膚
筋 炎 、強 皮 症 、高 血
圧 、高 尿 酸 血 症 、胃
十二指腸潰瘍
0.53
発現翌日よりデノタ
(血清クレア
ス3錠/日に増量
チニン値)
高血圧
3.
低カルシウム血症症例の概要(血清補正カルシウム値の最低値:6.0mg/dL以上7.0mg/dL未満)
No.
5
性別
年齢
男性
70歳代
投与から
発現までの
期間
(日後)
7
血清補正カルシウム値
(mg/dL)
投与前
発現日
最低値
9.2
(投与日)
7.3
6.9
(発現3日後)
6
14
臨床症状
<プラリア投与開始後の血清補正カルシウム値>
投与日   :9.2
投与3日後 :8.3
回復
投与7日後 :7.3
(11日後)
投与10日後:6.9
投与13日後:7.3
投与16日後:7.9
投与18日後:8.2
投与21日後:8.6
9.3
(投与7日前)
男性
70歳代
転帰※1
6.7
なし
カルシウム
又は
ビタミンDの
投与※2
処置
クレアチニン
クリアランス
(mL/min)
主な合併症等
デノタス
2錠/日
発現日よりアルファ
カ ル シド ー ル 0 . 5
μg/日投与、発現3日
後より2μg/日に増
量 、発 現 6日後より
3μg/日に増量
20
顕微鏡的多発動脈
炎、うつ病、低栄養、
高血圧症、腎不全、胃
癌(胃全摘)
なし
発 現 4 日 後 より 沈
降 炭 酸カルシウム
1 g /日、カルシトリ
オール注0.5μg週3
回投与
(透析)
糖尿病、慢性腎不全
(透析)、狭心症、下
肢閉塞性動脈硬化
症、高血圧
6.5
(発現14日後)
<プラリア投与開始後の血清補正カルシウム値>
回復
投与7日前 :9.3
(28日後)
投与14日後:6.7
投与28日後:6.5
投与42日後:7.8
なし
4.
低カルシウム血症症例の概要(血清補正カルシウム値の最低値:6.0mg/dL未満)
No.
7
性別
年齢
女性
60歳代
投与から
発現までの
期間
(日後)
6
血清補正カルシウム値
(mg/dL)
投与前
発現日
最低値
7.8
(投与3ヵ月前)
4.7
4.7
(発現日)
男性
70歳代
7
9
15
5.9
5.3
カルシウム
又は
ビタミンDの
投与※2
処置
クレアチニン
クリアランス
(mL/min)
主な合併症等
沈降炭酸
カルシウム
3g/日
発現日よりグルコン
酸カルシウム 持 続
静注2~4mg/h(適
宜調整、7日間)、乳
酸カルシウム3~6
g/日、アルファカル
シドール0.25〜1.5
μg / 日 投 与( 1 1 日
間 )、その 後カルシ
トリオー ル 2μg /日
経口投与に変更
(透析)
慢性腎不全(透析)、
二次性副甲状腺機能
亢進症、貧血
沈降炭酸
カルシウム
3g/日
発現2日後よりアル
ファカルシドール0.5
μg/日を追加投与、
カルシトリオール注
0.5μg週3回投与、
発現9日後よりマキ
サカルシトール注10
μg 週 3 回 投 与に変
更
(透析)
慢性腎不全(透析)、
糖尿病、高リン血症、
二次性副甲状腺機能
亢進症
12
ANCA関連血管炎、
慢性腎不全
5.9
(発現日)
<プラリア投与開始後の血清補正カルシウム値>
投与7日前 :7.8
回復
投与7日後 :5.9
(42日後)
投与14日後:5.9
投与21日後:7.0
投与35日後:9.6
投与49日後:9.8
9.5
(投与7日前)
女性
60歳代
臨床症状
<プラリア投与開始後の血清補正カルシウム値>
投与3ヵ月前:7.8
軽快
手足、側頭
投与6日後 :4.7
(13日後) 部のしびれ
投与10日後:9.7
投与13日後:7.1
投与14日後:7.1
投与17日後:8.2
7.8
(投与7日前)
8
転帰※1
なし
5.3
(発現日)
意思疎通
<プラリア投与開始後の血清補正カルシウム値>
できずぼん
投与7日前 :9.5
回復
やりしてい
投与15日後:5.3
(18日後)
た、全身性
投与16日後:8.4
痙攣、嘔吐
投与17日後:8.4
投与18日後:8.5
投与20日後:8.8
※1 転帰日が判明している場合、発現から転帰までの期間を併せて記載
※2 低カルシウム血症発現前のカルシウム又はビタミンDの投与
9
痙攣に対しジアゼパ
ム投与、発現日より
グルコン酸カルシウ
アルファカ ム425mg持続点滴
ルシドール ( 8 回 、3 日 間 )、発
0.25μg/日 現翌日より乳酸カル
シウム6g/日、カル
シトリオー ル 0 . 2 5
μg/日経口投与
1.低カルシウム血症
5)血清補正カルシウム値の変動(国内臨床試験データ)
国内第Ⅱ相臨床試験において、本剤初回投与7日後(最初の測定日)に血清カルシウム
値の最大の低下が認められました。
図2 国内第Ⅱ相臨床試験
血清補正カルシウム値の変動(平均値)
(mg/dL)
10.5
血清補正カルシウム値
デノスマブ14mg群
(n=53)
デノスマブ60mg群
(n=54)
デノスマブ100mg群
(n=51)
プラセボ群
(n=54)
平均値±SD
10.0
9.5
9.0
8.5
8.0
観察期 初回 1
投与7日後
2
3
6 2回目 7
投与7日後
9
12
社内資料
投与開始からの期間
(月)
*1 デノスマブを閉経後骨粗鬆症患者に、14mg、60mg、100mgのいずれかの用量で6ヵ月に1回、12ヵ月皮下投与した(プラリアの用法・用量はデノスマブ
60mgを6ヵ月に1回皮下投与である)
*2 全ての患者に対し、カルシウム600mg以上及び天然型ビタミンD 400IU以上の毎日の補充を徹底した
*3 血清カルシウム値の測定は、観察期、1、2、3、6、7、9、12ヵ月、初回投与7日後、及び2回目投与7日後、もしくは中止時に実施した
(参考)
図3 国内第Ⅲ相臨床試験 血清補正カルシウム値の変動(平均値)
(mg/dL)
10.0
デノスマブ
(n=475)
血清補正カルシウム値
平均値±SD
9.5
9.0
8.5
観察期1
6
12
18
24 25
30
36
投与開始からの期間
(月)
*1 デノスマブ60mgを骨粗鬆症患者に、6ヵ月に1回、36ヵ月(二重盲検期及び非盲検期)皮下投与した
*2 全ての患者に対し、カルシウム600mg以上及び天然型ビタミンD 400IU以上の毎日の補充を徹底した
*3 血清カルシウム値の測定は、観察期、1、6、12、18、24、25、30、及び36ヵ月、もしくは中止時に実施した
*4 各測定(6、12、18、24及び30ヵ月時)はデノスマブ投与前に実施、36ヵ月時の測定はデノスマブの投与非実施
10
社内資料
(参考)
図4 国内第Ⅰ相臨床試験
血清補正カルシウム値の変動(平均値)
(mg/dL)
10.0
血
清
補
正
カ
ル
シ
ウ
ム
値
デノスマブ0.03mg/kg群
(n=6)
デノスマブ0.1mg/kg群
(n=6)
デノスマブ0.3mg/kg群
(n=6)
デノスマブ1.0mg/kg群
(n=6)
デノスマブ3.0mg/kg群
(n=6)
プラセボ群
(n=10)
平均値±SD
9.5
9.0
8.5
8.0
1
2
3
5
6
8
11 15 29 57 85 99 113 141 169 197
社内資料
投与開始からの期間
(日)
*1 デノスマブを健常な閉経後女性に、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.3mg/kg、1.0mg/kg、3.0mg/kgのいずれかの用量で単回皮下投与した
*2 全ての被験者に対し、カルシウム及びビタミンDの補充は行わなかった
*3 血清カルシウム値の測定は、全ての投与群において、投与前日、投与1、2、4、5、7、10、14、28、56、84、98、112日後に実施した。0.3mg/kgの投与群に
おいては、前述の測定日に加え、140、168日後に、1.0及び3.0mg/kgの投与群においては、前述の測定日に加え、140、168、196日後に実施した。
なお、図4の横軸の日数は測定日を表す(例:6日⇒投与5日後、113日⇒投与112日後)。
11
1.低カルシウム血症
6)カルシウム、ビタミンDの補充について
●低カルシウム血症があらわれることがあるため、本剤使用の際は、血清補正カルシウム
値が高値でない限り、毎日カルシウム及びビタミンDの経口補充が必要です。
●本剤投与前の血清補正カルシウム値に関わらず、投与開始後早期及びその後も定期
的に血清カルシウム値を測定し、血清補正カルシウム値の変動に注意してください。
国内第Ⅱ相臨床試験*1及び第Ⅲ相臨床試験*1では、国内のガイドライン*2を参考に、全ての患者に対し、カルシウム
600mg以上及び天然型ビタミンD 400IU以上を毎日補充することを徹底しました。
両試験における低カルシウム血症の程度はいずれも軽度であり、血清補正カルシウム値の大きな低下も認められま
せんでした。
また、第Ⅲ相臨床試験では、プラリア投与による低カルシウム血症の発現に伴い、5例でカルシウム及び天然型ビタミ
ンDの増量(それぞれ915mg及び600IU)が行われました。
なお、
「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2011年版」では、カルシウム及びビタミンDの摂取量について、
「カルシ
ウム:食品から700~800mg(サプリメント、カルシウム薬を使用する場合には注意が必要である)、ビタミンD:400~
800IU」との記載があります。
*1 ベースラインの血清クレアチニン値が2.0mg/dL以上の患者は対象から除外した
*2 国内第Ⅱ相臨床試験では「骨粗鬆症の治療(薬物療法)に関するガイドライン2002年版」、
国内第Ⅲ相臨床試験では「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版」を参考にした
腎機能障害患者(次ページ参照)や、活性型ビタミンDを使用している骨粗鬆症患者に
おいては、適宜、活性型ビタミンDを使用するとともに、カルシウムについては投与の
必要性を判断し、投与量を調整してください。
活性型ビタミンDを使用している骨粗鬆症患者において、天然型ビタミンDを含有するデノタス*1等の製剤を用いて
補充することは、相加作用による高カルシウム血症*2が発現する可能性があることから、推奨できません。
*1 有効成分(1錠中)
:沈降炭酸カルシウム(日局)762.5mg(カルシウムとして305mg)、
コレカルシフェロール(日局)0.005mg(200IU)、
炭酸マグネシウム(日局)59.2mg(マグネシウムとして15mg)を含む
効能・効果:RANKL阻害剤(デノスマブ(遺伝子組換え)等)投与に伴う低カルシウム血症の治療及び予防
用法・用量:通常、1日1回2錠を経口投与する。なお、患者の状態又は臨床検査値に応じて適宜増減する。
*2 国内第Ⅱ相臨床試験及び第Ⅲ相臨床試験において、高カルシウム血症の有害事象を発現した患者は認められなかった
12
7)腎機能障害患者における注意事項
●重度の腎機能障害のある患者では、低カルシウム血症を起こすおそれがあるため、
慎重に本剤を投与してください。
●腎機能障害のある患者では、ビタミンD活性化が障害されているため、腎機能障害の
程度に応じ、ビタミンDについては活性型ビタミンDを使用するとともに、カルシウム
については投与の必要性を判断し、投与量を適宜調整してください。
重度の腎機能障害のある患者や透析を受けている末期腎疾患の患者では、カルシウムの尿からの再吸収機能及び
腸管での吸収機能が低下している可能性があり、
腎機能が正常な患者に比較し、
低カルシウム血症の発現率が高くなる
おそれがあるため、十分にモニタリングをしてください。
腎機能障害のある患者へのビタミンD及びカルシウムの投与については、必要に応じ、活性型ビタミンDの薬剤選択、
カルシウム投与の必要性及び投与量等について腎臓の専門医師に相談してください。
表3 腎機能の程度が異なる被験者を対象とした薬物動態試験 における低カルシウム血症の有害事象 の発現状況
*1
*2
腎機能の程度*3
発現率
(発現症例/総症例)
正常
軽度腎疾患
中等度腎疾患
重度腎疾患
透析の必要な
末期腎不全
0%
(0/12)
15%
(2/13)
23%
(3/13)
33%
(3/9)
25%
(2/8)
社内資料
図5 血清補正カルシウム値の変動(中央値)
(表3と同一試験)
(mg/dL)
10.0
9.5
血清補正カルシウム値
腎機能正常群
(n=12)
軽度腎疾患群
(n=13)
中等度腎疾患群
(n=13)
重度腎疾患群
(n=9)
末期腎不全群
(n=8)
中央値
9.0
8.5
8.0
7.5
7.0
1
8
15 22 29 36 43 50 57 64 71 78 85 92 99 106 113
投与開始からの期間
(日)
Block G.A.et. al.:J Bone Miner Res.27(7), 1471-1479,2012
*1 デノスマブ60mgを単回皮下投与した
*2 低カルシウム血症の有害事象として、ICH国際医薬用語集日本版(MedDRA/Jver.12.1)の4つの基本語(PT)
(低カルシウム血症、血中カルシウム減少、
カルシウム欠乏、カルシウムイオン減少)について評価を行った
*3 軽度腎疾患:クレアチニン・クリアランス(CCr)50~80mL/min、中等度腎疾患:CCr30~49mL/min、重度腎疾患:CCr30mL/min未満
*4 血清カルシウム値の測定は、ベースラインおよび初回投与1、5、7、10、14、28、42、56、84、98及び112日後に実施
なお、図5の横軸の日数は測定日を表す(例:8日⇒投与7日後、113日⇒投与112日後)
*5 カルシウム及びビタミンDの補充については、試験途中にプロトコールを変更し、全ての腎機能障害患者にカルシウム(1,000mg)及び天然型ビタミンD
(800IU)を毎日補充することと規定した
ただし実際に、腎機能障害患者に本剤を投与する際は、腎機能障害の程度に応じ、ビタミンDについては活性型ビタミンDを使用するとともに、カルシウムに
ついては投与の必要性を判断し、投与量を適宜調整すること
13
コラム
体内のカルシウム代謝調節
監修:徳島大学藤井節郎記念医科学センター長
松本 俊夫 先生
血清カルシウム濃度とカルシウム代謝調節
体内におけるカルシウムの99%は骨に蓄えられており、残り1%弱は細胞内など軟部組織に存在し、血液中には
0.1%程度が存在するに過ぎません。細胞機能の維持など重要な生理作用を示し緻密な調節を受けているのは、
血液中カルシウムの約50%を占めるイオン化カルシウムです。残りの約50%はアルブミンなどと結合して存在し
ています。そのため、低アルブミン血症などがあると、カルシウム代謝に異常がなくても血清カルシウム濃度が見
かけ上低値となるため、誤って低カルシウム血症と判断してしまいます。血清アルブミンが4.0g/dLを下回る場合
に血清カルシウム値を補正する必要があるのはこのためです(5ページ参照)。
血清カルシウム濃度は、骨におけるカルシウムの蓄積・流出、腸におけるカルシウムの吸収、腎臓におけるカルシ
ウムの排泄・再吸収といった出入りのバランスの総和として調節されており、その調節には副甲状腺ホルモン
(PTH)及び活性型ビタミンDが中心的な役割を担っています。
体内のカルシウム代謝が正常な状態では、血清カルシウム濃度は適正なレベルに維持されていますが、血清カル
シウム濃度が低下した場合は、PTH分泌が亢進し(❶)、骨吸収の促進(❷)及び腎臓の尿細管でのカルシウムの
再吸収が促進され(❸)、血清カルシウム濃度を元にもどそうとします。しかし、これだけでは血清カルシウムの
上昇には不十分であり、PTHは同時に1α水酸化酵素を誘導することにより(❹)、活性型ビタミンD産生が促進
され、腸からのカルシウム吸収が促進されます。これらが相まって血清カルシウム濃度が上昇します。
CaSR
2D↑
1,25(OH)
❶Ca吸収↑
上昇
PTH↓
❹1α水酸化
酵素の誘導
1α水酸化
酵素↑
Ca
再吸収↑
❸カルシウム
再吸収の促進
骨吸収↑
血中Ca2+
骨吸収↓
❷骨吸収
の亢進
低下
PTH↑
❶PTH分泌の亢進
❸二次性副甲状腺機能
亢進症の状態を呈している
Ca吸収↓
Ca
再吸収↓
1α水酸化
酵素↓
2D↓
1,25(OH)
CaSR
❷リン排泄の抑制も重なり、常に血清
カルシウム濃度は低値である
❶ビタミンD活性化が
障害されている
PTH;副甲状腺ホルモン CaSR;カルシウム感知受容体 1,25(OH)2D;1,25水酸化ビタミンD
慢性腎不全患者では、ビタミンD活性化の障害のため、腸からのカルシウム吸収が抑制されており
(❶)、また、
リン排泄
の抑制により常に血清カルシウム濃度が低値となっているため(❷)、もとから二次性副甲状腺機能亢進症の状態にあり
ます(❸)。そのため、このような患者にプラリアを投与した場合、骨からのカルシウム動員が抑制され、低カルシウム
血症がよりあらわれやすくなります。
また、食欲不振や絶食(食事制限)などにより腸からのカルシウム供給が低下している状態では(❶)、ビタミンDを補充
してもカルシウムの吸収を高めることはできません。
したがって、経口摂取不良の患者では、カルシウム製剤の経静脈
的な補充が必要になります。
14
15
2.顎骨壊死
1)顎骨壊死について
ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(Bisphosphonate-Related Osteonecrosis of the Jaw:BRONJ)について
記載しています。
■臨床的特徴
正確な発生頻度は不明ですが、注射用ビスフォスフォネート
(BP)製剤投与患者におけるBRONJ発生は、経口BP製
剤投与患者におけるBRONJ発生にくらべてその頻度が高いことが欧米の調査報告により知られています。わが国に
おいては、欧米に比較して、経口BP製剤投与患者におけるBRONJ発生報告の比率が高いようです。
BRONJの臨床症状を表4に示します。これらの症状の中で、下口唇を含むオトガイ部の知覚異常(Vincent症状)
は、骨露出よりも前に見られるBRONJの予兆症状であるとされています。
表4 BRONJの臨床症状
図6
・骨露出/骨壊死
・疼痛
・腫脹
・オトガイ部の知覚異常(Vincent症状)
・排膿
・潰瘍
・口腔内瘻孔や皮膚瘻孔
・歯の動揺
・深い歯周ポケット
・X線写真:無変化〜骨溶解像や骨硬化像
図7
62歳、BRONJ患者:口腔内に骨露出を認め(図6)、X線写真では
骨溶解像と遊離腐骨を認める
(図7)。
■診断基準
以下の3項目の診断基準を満たした場合に、BRONJと診断します。
(1)現在あるいは過去にBP製剤による治療歴がある。
(2)顎骨への放射線照射歴がない。
(3)口腔・顎・顔面領域に骨露出や骨壊死が8週間以上持続している。
骨の露出が見られない場合や、骨露出が8週間以下の場合でも臨床経過や症状が該当する場合はステージ0の
BRONJと診断することがある。
■治療
BRONJ病期のステージングに基づいた具体的な治療法を表5に示します。
表5 BRONJ病期のステージングとその治療法
ステージング
治療法
ステージ0
(注意期)
骨露出/骨壊死は認めない。
抗菌性洗口剤の使用
オトガイ部の知覚異常(Vincent症状)、口腔内瘻孔、
瘻孔や歯周ポケットに対する洗浄
深い歯周ポケット、単純X線写真で軽度の骨溶解を認める。 局所的な抗菌薬の塗布・注入
ステージ1
骨露出/骨壊死を認めるが、無症状。
単純X線写真で骨溶解を認める。
抗菌性洗口剤の使用
瘻孔や歯周ポケットに対する洗浄
局所的な抗菌薬の塗布・注入
ステージ2
骨露出/骨壊死を認める。
痛み、膿排出などの炎症症状を伴う。
単純X線写真で骨溶解を認める。
病巣の細菌培養検査、抗菌薬感受性テスト、抗菌性洗口
剤と抗菌薬の併用、難治例:併用抗菌薬療法、長期抗菌薬
療法、連続静注抗菌薬療法
ステージ3
ステージ2に加えて、皮膚瘻孔や遊離腐骨を認める。
単純X線写真で進展性骨溶解を認める。
新たに正常骨を露出させない最小限の壊死骨掻爬、骨露
出/壊死骨内の歯の抜歯、栄養補助剤や点滴による栄養
維持、壊死骨が広範囲に及ぶ場合:辺縁切除や区域切除
Urade M, et al.:J Oral Maxillofac Surg. 69(11), e364-e371, 2011
Yoneda T, et al.:J Bone Miner Metab. 28(4), 365-383, 2010 一部改変
16
2)顎骨壊死への対策
■プラリア投与前及び投与中は、以下を参考に、適切な処置を行ってください。
顎骨壊死に対する投与前、投与中の注意点
プラリア投与を検討する場合
●報告されている症例の多くが抜歯等の顎骨に対する侵襲的な歯科処置や局所感染に関連して発現
しています。
●以下の顎骨壊死のリスク因子を有する患者では、特に注意してください。
●悪性腫瘍
●化学療法
●コルチコステロイド治療
●放射線療法
●口腔の不衛生
●歯科処置の既往 等
●口腔内の管理状態を確認してください。
●歯科検査を受けるよう指導してください。
侵襲的な歯科治療が
必要な場合
プラリア投与前に抜歯等の侵襲的な治療を
済ませておくよう患者に指導してください。
プラリア投与
●観察を十分に行ってください。
●患者に以下のことを十分説明してください。
●口腔内を清潔に保つこと ●定期的な歯科検査を受けること
●歯科受診時には、本剤の使用を歯科医師に告知すること
●抜歯等の侵襲的な歯科治療はできる限り避けること
歯科治療が
必要になった場合
侵襲的歯科治療が避けられない場合には、
プラリアの休薬等を考慮してください。
異常が認められた場合
●プラリア投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
●直ちに歯科・口腔外科を受診するよう患者に指導してください。
17
2.顎骨壊死
3)国内臨床試験における顎骨壊死発現状況
国内第Ⅲ相臨床試験において、顎骨壊死の発現率は0.1%でした。
(承認時)
国内第Ⅲ相臨床試験において、歯科・口腔外科領域の医学専門家による中央判定で顎骨壊死と判定された事象が
0.1%(1/881例)に認められました。
■顎骨壊死と判定された1症例(非重篤)の概要
発現時期
2回目のプラリア投与後に抜歯窩(初回投与約3ヵ月後に抜歯)
に発現
症状・所見
症状として排膿、疼痛、及び腫脹、ならびに所見として腐骨等が認められた
処置
抗生剤投与、口内洗浄及び掻爬が施され、事象は消失した
また、国内第Ⅱ相臨床試験では、医学専門家による中央判定は行われていませんが、顎骨壊死の疑いのある事象は
認められませんでした。
18
Memo
19
Memo
20
Memo
21
22
のDrug Information
販売名
一般名
和 名
プラリア®皮下注60mgシリンジ
洋 名
PRALIA® SUBCUTANEOUS INJECTION 60mg SYRINGE
和 名
洋 名
日本標準商品分類番号
873999
製造販売元
第一三共株式会社
規制区分
生物由来製品、劇薬、処方箋医薬品※
※注意−医師等の処方箋により使用すること
承認番号
22500AMX00870
薬価収載
2013年5月
デノスマブ(遺伝子組換え)
貯 法
遮光、凍結を避け2∼8℃で保存
販売開始
2013年6月
Denosumab(Genetical Recombination)
使用期限
包装に表示の使用期限内に使用すること。
国際誕生
2010年5月
禁忌
【禁忌】
(次の患者には投与しないこと)
1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.低カルシウム血症の患者(「重要な基本的注意」の項参照)
3.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
組成・性状
1.組成
1シリンジ中に次の成分を含有
販売名
プラリア
皮下注60mg
シリンジ
2.製剤の性状
有効成分
注)
デノスマブ(遺伝子組換え)
60mg/1mL
添加物
D-ソルビトール 47mg、
ポリソルベート20 0.1mg、
氷酢酸、pH調節剤
販売名
pH
浸透圧比
(生理食塩液対比)
プラリア
皮下注60mg
シリンジ
5.0∼5.5
1.0∼1.2
外 観
無色∼淡黄色の澄明又は
わずかに乳白光を呈する液注)
注)
本剤は遺伝子組換え技術によりチャイニーズハムスター卵巣
(CHO)
細胞を用いて製造される。 注)蛋白質性の粒子を含むことがある。
効能・
効果
骨粗鬆症
<効能・効果に関連する使用上の注意>
本剤の適用にあたっては、日本骨代謝学会の診断基準等を参考に、骨粗鬆症との診断が確定している患者を対象とすること。
用法・
用量
通常、成人にはデノスマブ
(遺伝子組換え)
として60mgを6ヵ月に1回、皮下投与する。
使 用 上 の 注 意
包装
1. 慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
(1)
低カルシウム血症を起こすおそれのある患者
[低カルシウム血症が発現するおそれがある
(「重要
な基本的注意」の項参照)
。]
(2)
重度の腎機能障害のある患者
[使用経験が少ない。低カルシウム血症を起こすおそれがある。]
2. 重要な基本的注意
(1)
本剤はランマークと同一成分
(デノスマブ)
を含むため、本剤投与中の患者にはランマークの投与
を避けること。
*
(2)
本剤投与開始前に血清補正カルシウム値を確認すること。低カルシウム血症のある患者は、本剤
投与前に低カルシウム血症を治療すること。
**
(3)
本剤投与により低カルシウム血症があらわれることがあるため、血清補正カルシウム値が高値でな
*
い限り、毎日カルシウム及びビタミンDの経口補充のもとに本剤を投与すること。ただし、腎機能障
害患者や、既に活性型ビタミンDを使用している患者においては、適宜、活性型ビタミンDを使用
するとともに、
カルシウムについては投与の必要性を判断し、投与量を調整すること。
また、投与開
始後早期及びその後も定期的に血清カルシウム値を測定し、血清補正カルシウム値の変動や、
痙攣、
しびれ、失見当識等の症状に注意すること。
なお、本剤の国内第Ⅲ相臨床試験では、全ての患者に対して、治験期間中に毎日少なくとも
600mgのカルシウム及び400IUの天然型ビタミンDが補充された
(「重大な副作用」、
「 臨床成
績」の項参照)
。
また、市販後に低カルシウム血症と報告された症例のうち、発現日が確認できた
症例の約半数は、初回投与から7日以内の発現であった。
(4)
骨粗鬆症の発症にエストロゲン欠乏、加齢以外の要因が関与していることもあるので、治療に際
してはこのような要因を考慮する必要がある。
(5)
顎骨壊死・顎骨骨髄炎があらわれることがある。報告された症例の多くが抜歯等の顎骨に対する
侵襲的な歯科処置や局所感染に関連して発現している。
リスク因子としては、悪性腫瘍、化学療
法、
コルチコステロイド治療、放射線療法、口腔の不衛生、歯科処置の既往等が知られている。本
剤の投与開始前は口腔内の管理状態を確認し、必要に応じて、患者に対し適切な歯科検査を受
け、侵襲的な歯科処置をできる限り済ませておくよう指導すること。本剤投与中に侵襲的な歯科
処置が必要になった場合には、本剤の休薬等を考慮すること。
また、口腔内を清潔に保つこと、定
期的な歯科検査を受けること、歯科受診時に本剤の使用を歯科医師に告知して侵襲的な歯科
処置はできる限り避けることなどを患者に十分説明し、異常が認められた場合には、直ちに歯科・
口腔外科を受診するように指導すること
(「重大な副作用」の項参照)
。
(6)
本剤又はビスホスホネート系薬剤を長期使用している患者において、非外傷性の大腿骨転子下
及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折が発現したとの報告がある。
これらの報告では、完全骨折
が起こる数週間から数ヵ月前に大腿部や鼠径部等において前駆痛が認められている報告もある
ことから、本剤の投与開始後にこのような症状が認められた場合には、X線検査等を行い、適切な
処置を行うこと。
また、両側性の骨折が生じる可能性があることから、
片側で非定型骨折が起きた
場合には、反対側の大腿骨の症状等を確認し、X線検査を行うなど、慎重に観察すること。X線検
査時には骨皮質の肥厚等、特徴的な画像所見がみられており、
そのような場合には適切な処置を
行うこと。
*
(7)
本剤のシリンジ注射針カバーは、天然ゴム
(ラテックス)
を含み、
アレルギ一反応を起こすことがある
ので、投与に際し、問診を行うこと。
また、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中
止し、適切な処置を行うこと。
3. 副作用
骨粗鬆症患者を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験において、
総症例881例中159例
(18.0%)
に副作
用
(臨床検査値異常を含む)
が認められた。主なものは、低カルシウム血症7例
(0.8%)
、背部痛7例
(0.8%)
、
γ-GTP上昇7例
(0.8%)
、高血圧7例
(0.8%)
、湿疹6例
(0.7%)
、関節痛5例
(0.6%)
等で
あった。
〔承認時〕
(1)
重大な副作用
**1)
低カルシウム血症
(0.8%)
:QT延長、痙攣、
テタニー、
しびれ、失見当識等を伴う低カルシウム血
症があらわれることがあるので、観察を十分に行うこと。低カルシウム血症が認められた場合には、
カルシウム及びビタミンDの補充に加えて、緊急時には、
カルシウムの点滴投与を併用するなど、
適切な処置を速やかに行うこと。
2)
顎骨壊死・顎骨骨髄炎
(0.1%)
:顎骨壊死・顎骨骨髄炎があらわれることがあるので、観察を十
分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
3)
アナフィラキシー
(頻度不明注))
:アナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行
い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
:大腿骨転子下及び近位
4)
大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折
(頻度不明注))
大腿骨骨幹部の非定型骨折を生じることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場
合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと
(「重要な基本的注意」の項参照)
。
:重篤な蜂巣炎等の皮膚感染症があらわれることがあるので、
5)
重篤な皮膚感染症
(頻度不明注))
観察を十分に行い、発赤、腫脹、疼痛、発熱等の症状が認められた場合には、適切な処置を行
うこと。
(2)
その他の副作用
下記の副作用があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、必要に応じ適切な処置を
行うこと。
0.5∼1%未満
皮 膚
**
0.5%未満
頻度不明注)
湿疹
血中副甲状腺
ホルモン増加
内分泌
めまい
** 精神神経系
循環器 高血圧
消化器 上腹部痛、口腔ヘルペス、口内炎
四肢痛、筋骨格痛
* 筋骨格系 背部痛、関節痛
肝 臓
腎 臓
γ-GTP上昇、ALT(GPT)上昇、
肝機能異常
尿蛋白陽性
AST(GOT)上昇
白内障、発熱、倦怠感 薬物過敏症、
ほてり、
無力症
自発報告又は海外において認められている副作用のため頻度不明。
**注)
**
その他
4. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与
(1)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。
また、妊娠可能な婦人に対しては、
適切な避妊を行うよう指導すること。
[動物実験では、サルに妊娠20日から分娩時まで本剤
(50mg/kg/4週)
を皮下投与した結果、死産の増加、出生児の分娩後死亡の増加、骨・歯の異
常、末梢リンパ節の欠損が認められた。]
(2)
授乳婦に投与する場合には授乳を中止させること。
[本剤のヒト乳汁中への移行は不明であるが、
ヒトIgGは乳汁中に移行することが報告されている。]
5. 小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない
(使用経験がない)
。
ラット
[本剤を投与した若齢サルにおいて、骨端成長板の異常が認められた。RANKL注)を阻害すると、
新生児の骨成長及び歯の萌出が抑制されることが示されている。]
注)
RANKL:receptor activator for nuclear factor-κB ligand
6. 過量投与
骨粗鬆症患者を対象とした臨床試験では、本剤210mg
(6ヵ月に1回投与)
までの用量で投与されて
いる。本用量において認められた主な症状は、本剤の承認用量で認められたものと同様であった。
7. 適用上の注意
(1)
投与経路:皮下注射にのみ使用すること。
(2)
投与部位:皮下注射は、上腕、大腿又は腹部に行うこと。
(3)
前処置:
1)
患者への投与前に冷蔵保存
(2∼8°
C)
下から室温に戻した後、使用すること。
2)
薬液中に気泡がみられることがあるが無害であり、薬剤の損失を防ぐために注射前にシリンジ
から気泡を抜かないこと。
8. その他の注意
(1)
承認時までの国内外臨床試験において、10,895例中41例
(0.4%)
で本剤に対する結合抗体が
認められたが、中和抗体の産生は認められなかった。
*
(2)
男性患者に対する使用経験は少ない
(「臨床成績」の項参照)。
プラリア皮下注60mgシリンジ
(1mL)1本
●詳細は添付文書等をご覧ください。
添付文書の改訂に十分ご留意ください。
製造販売元(資料請求先)
提携
**2015年4月改訂(第4版)
*2013年11月改訂
■患者の選択
プラリア投与前のチェックポイント
1)プラリアの成分*に対し過敏症の既往がある
(Yes・No)
*有効成分:デノスマブ(遺伝子組換え)
添加物:D-ソルビトール、ポリソルベート20、氷酢酸
2)低カルシウム血症を起こしている
(Yes・No)
本剤投与開始前に血清補正カルシウム値を測定・評価する
3)妊婦又は妊娠している可能性がある
1)
~4)において、
Yesがひとつでもある場合は、
(Yes・No) プラリアを投与しないで
ください。
4)現在、ランマーク*による治療を受けている (Yes・No)
*ランマーク皮下注120mgの「効能・効果」
「用法・用量」
1.多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変
通常、成人にはデノスマブ(遺伝子組換え)
として120mgを4週間に1回、皮下投与する。
2.骨巨細胞腫
通常、デノスマブ(遺伝子組換え)
として120mgを第1日、第8日、第15日、第29日、その後は
4週間に1回、皮下投与する。
5)低カルシウム血症を起こすおそれがある*
*副甲状腺機能低下症、ビタミンD作用低下症、腎不全 など
6)重度の腎機能障害がある
(Yes・No)
5)
~6)において、
Yesがひとつでもある場合は、
治療のリスクとベネフィットを
(Yes・No) 考慮し、慎重にプラリアを投与
してください。
プラリア投与に際しての注意事項
低カルシウム血症に対する注意事項
1)血清補正カルシウム値※が高値でない限り、毎日カルシウム及びビタミンDの補充が必要です。ただし、カルシウム及びビタミンD
の摂取状況を含む患者の状態及び臨床検査値に応じて、適切にカルシウム及びビタミンDを補充してください。
2)本剤投与前の血清補正カルシウム値※に関わらず、投与開始後早期及びその後も定期的に血清カルシウム値を測定し、血清
しびれ、失見当識等の症状に注意してください。
補正カルシウム値※の変動や、痙攣、
※血清アルブミン値が4.0g/dL未満の場合には、以下の式による補正カルシウム値を用いてください
補正カルシウム値(mg/dL)
=血清カルシウム値(mg/dL)
+4-血清アルブミン値(g/dL)
3)低カルシウム血症が認められた場合には、カルシウム及びビタミンDの補充に加えて*、緊急時には、カルシウムの点滴投与を
併用するなど、適切な処置を速やかに行ってください。
*カルシウム及びビタミンDの経口補充を継続してください
顎骨壊死に対する注意事項 1)本剤投与開始前に、口腔内の管理状態を確認してください。必要に応じて、患者に対し適切な歯科検査を受け、侵襲的な歯科
処置をできる限り済ませておくよう指導してください。
2)本剤投与中に侵襲的な歯科処置が必要になった場合には、本剤の休薬等を考慮してください。
3)患者に対し、以下のことを十分に説明・指導してください。
●口腔内を清潔に保つこと
●定期的な歯科検査を受けること
●歯科受診時に本剤の使用を歯科医師に告知して侵襲的な歯科処置はできる限り避けること
●異常が認められた場合には、直ちに歯科・口腔外科を受診すること
患者への説明事項
本剤投与後に、下記のような症状があらわれた場合には、次の受診日を待たずにすぐに連絡するよう指導してください。
●低カルシウム血症:手足のふるえ、筋肉の脱力感、痙攣、
しびれ など
●顎骨壊死:あごの痛み、歯のゆるみ、歯ぐきの腫れ など
PRL7AT1001
2015年4月改訂