P-1-01-01 高Ca血症を呈したサルコイドーシス2例の臨床像につ いて 1

P-1-01-01 高Ca血症を呈したサルコイドーシス2例の臨床像につ
いて
1
大阪赤十字病院 糖尿病・内分泌内科
武呂 誠司 1、政次 健 1、田中 督司 1、隠岐 尚吾 1
【背景】サルコイドーシス(Sar)は高 Ca 血症を呈することがあるが、
本邦では欧米に比べて稀である。今回我々は、高 Ca 血症を呈した2
例の Sar の臨床像について検討した。
【症例1】78 歳女性。既往歴:
腹部大動脈瘤、僧帽弁逸脱症。現病歴:口渇、全身倦怠感を訴え来
院。Ca14.2mg/dl、1,25(OH)2VitD3(VD3)51pg/ml、VitD 製剤を内服。
2 年後、3 度 A-V ブロックのため心臓ペースメーカー植え込み術を受
けた。Ca13.2mg/dl に上昇し、精査のため紹介された。身体所見:身
長 153.5cm、体重 38kg。表在リンパ節触知なし。検査所見:
Ca13.2mg/dl、P3.8mg/dl、BUN59mg/dl、Cr2.2mg/dl、iPTH7pg/ml、
PTHrP1.1pg/ml、VD3 51pg/ml、ACE15.2IU/l、胸部 X-p 異常なし、Ga
シンチでRI の取り込みを認めた右鎖骨上窩リンパ節生検でSar と診
断された。経過:プレドニゾロン(PSL)30mg/日の経口投与を開始し
Ca は低下し、PSL10mg/日の維持投与で退院した。
【症例2】65 歳女
性。既往歴:2 型糖尿病、肺結核。現病歴:9 年前に両下肢に肉芽腫
の切除を受け Sar と診断された。4 年前、Ca11.0∼12.0mg/dl、Cr1.3
∼1.5mg/dl で経過していたが、今回 Ca13.4mg/dl、Cr1.9mg/dl と上
昇を認め入院となった。身体所見:身長 148.2cm、体重 49kg。検査
所 見 : Ca11.7mg/dl 、 P4.0mg/dl 、 BUN40.2mg/dl 、 Cr1.8mg/dl 、
iPTH11pg/ml、PTHrP<1.1pg/ml、VD3 69.2pg/ml、ACE26.5IU/l、ツ
反陰性。以上の臨床所見、過去の組織検査から Sar と診断した。経
過:高 Ca 血症、腎障害を認め、PSL の投与を開始した。30mg/日から
開始しCa およびCr は正常化した。
20mg/日に減量して退院となった。
【まとめ】高 Ca 血症を呈した2例の Sar を経験した。高 Ca 血症の
原因として Sar は稀であるが、鑑別すべき疾患の1つであると考え
られる。
P-1-01-02 一過性に高カルシウム血症を呈した APS2 型の一例
P-1-01-03 軽症原発性副甲状腺機能亢進症に対するアレンドロネ
ートおよびラロキシフェンの治療効果の検討
1
兵庫県立尼崎病院 糖尿病・内分泌内科、2 兵庫県立尼崎病院 腎 1 田附興風会医学研究所北野病院 糖尿病・内分泌センター
臓内科
原 恭子 1、吉積 佳世 1、北見 真帆 1、西岡 敬祐 2、竹岡 浩也 2、 奈部 浩一郎 1、浜本 芳之 1、本庶 祥子 1、池田 弘毅 1、和田 良
中村 嘉夫 1
春 1、越山 裕行 1
64 歳女性。2006 年 4 月より続く腰痛、発熱があり、腎盂腎炎疑いに 【目的】典型的な症候のない原発性副甲状腺機能亢進症において
て当院腎臓内科に 5 月 9 日入院。TSH<0.003μU/ml、fT4 7.1ng/ml、 2002 年 NIH カンファランスの手術適応条件を満たさない軽症原発性
TRAb 69.6%でバセドウ病との診断で第 10 病日よりメチマゾール 副甲状腺機能亢進症に対しては治療の選択になお議論がある。今回
30mg 内服。メチマゾール開始後解熱したが、入院時 10.3mg/dl であ 我々は、手術適応のない軽症原発性副甲状腺機能亢進症に対するア
った血清補正 Ca が第 11 病日に 12.4mg/dl と上昇。嘔気も出現し、 レンドロネートおよびラロキシフェンの治療効果について検討し
【方法】
2002 年 NIH カンファランスの手術適応条件を満たさない
生理食塩水及びフロセミドの点滴静注に引き続きアレンドロネート た。
5mg 内服を開始。intact-PTH 6pg/ml、1,25(OH)2D3 2.0pg/ml、PTHrP 当院外来定期通院中である軽症原発性副甲状腺機能亢進症患者12名
<1.1pmol/l であり、甲状腺機能亢進症による高 Ca 血症と診断され を対象に、骨密度測定法として dual-energy X-ray absorptiometry
た。第 35 病日には fT4 2.5ng/ml まで低下し、血清 Ca も正常化した (DXA)を用い、腰椎および左右前腕遠位端 1/3 を測定し、BMD(bone
ためアレンドロネートは中止されたが血清 Ca は上昇せず、第 39 病 mineral density)の評価を行った。BMD はアレンドロネートおよびラ
【成績】アレ
日退院。しかし退院前より、手の色素沈着、食欲低下、体重減少が ロキシフェン投与開始前と投与開始 1 年後に評価した。
出現。血清 ACTH 156pg/ml、コルチゾール 2.1μg/dl と副腎皮質機能 ンドロネート投与群9症例中7症例において投与前と比べ、1年後
低下症が疑われ 7 月 5 日当科入院。尿中遊離コルチゾール 11.1μg/ における腰椎 BMD の上昇を認めた。平均腰椎 BMD は投与前 0.833±
日、尿中 17-OHCS 4.17mg/日で迅速 ACTH 負荷試験にて血清コルチゾ 0.202、投与1年後 0.861±0.196 であった。しかし左右前腕遠位端
さらに5症例に
ール頂値 11.9μg/dl と低反応を示し、アジソン病と診断しヒドロコ 1/3 の BMD については明らかな上昇を認めなかった。
ルチゾン内服を開始。脱毛も伴っており、自己免疫性内分泌腺症候 おいては投与1年後の左右前腕遠位端 1/3 の BMD が低下しており1
群(APS)2 型と考えられた。本例では甲状腺機能亢進症が骨吸収を 例で観察期間中に橈骨骨折を認めた。ラロキシフェン投与群3例(う
亢進させるとともに副腎不全を悪化させ、腎臓の Ca 再吸収も亢進さ ち1例はアレンドロネートとの併用)では投与前後で明らかな低下
【結論】軽症原発性副甲状腺機能亢進症に対してア
せることで高 Ca 血症を呈したと考えられた。興味深い Ca 動態を示 は認めなかった。
した APS2 型の一症例を経験したので文献学的考察を加え報告する。 レンドロネート、ラロキシフェン投与は海綿骨の骨密度は上昇はさ
せたが皮質骨に対する効果は十分でなかった。
P-1-01-04 原発性副甲状腺機能亢進症21例における病型と臨床
パラメーターの比較検討
1
岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科
学、2 岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 乳腺・内分泌外科
後藤 順子 1、大塚 文男 1、鈴木 二郎 1、稲垣 兼一 1、三好 智子
1
、大谷 寛之 1、岸田 雅之 1、三村 由香里 1、小倉 俊郎 1、土井
原 博義 2、槇野 博史 1
当科で最近 2 年間に経験した原発性副甲状腺機能亢進症において、
臨床マーカーと臨床病型・術後低カルシウム血症との関連について
検討を行った。対象症例は21例(男性3、女性18)で、平均年齢
63歳。摘出腫瘍の病理では1例に過形成を認めたが、他の20例
は腺腫であった。術前の部位診断として、MIBI シンチでは21例中
20例で陽性、Tl-Tc シンチは15例中12例で陽性であり、発生部
位は右下・左下・左上・右上の順に多く、それぞれ10・7・3・
1例であった。臨床病型として、化学型(6例)
・腎型(8例)
・骨
型(7例)に分類した。平均腫瘍径(mm)および intact PTH 値(pg/ml)
は、それぞれ化学型(11; 230)
・腎型(18; 291)
・骨型(21; 478)
であり、骨型で腫瘍径・intact PTH 値ともに高値を示した。検討し
たパラメーターのうち、%TRP は化学型(83%)に比べて腎型の症例
(66%)において低く、
FECa は化学型(2.3%)に比べて骨型の症例(1.7%)
において低下していた。骨型では、化学型と比較して血清 Ca レベル
は同様にも関わらず intact PTH が高値であり、骨型のうち術後の飢
餓骨による低 Ca 血症を呈した4例では腫瘍径が大きく(26 mm)、高
PTH 血症が著明(760 pg/ml)であった。これらの4例では、他の骨型
と比較して血清Ca値は同様でも腎原性cAMPの上昇(5.6 nmol/dlGFR)
と FECa の低下(1.5%)を認めた。これらの臨床パラメーターは臨床病
型と対応しており、総合的な術前評価により術後の低 Ca 血症の予知
にも有用であると考えられた。
P-1-01-05 18F-FDG-PET でbrown tumor に集積を認めた巨大副甲状
腺腺腫の 1 例
1
倉敷中央病院 内分泌代謝・リウマチ内科
P-1-01-06 当院における副甲状腺機能亢進症に対する術中
int-PTH 測定の有効性
1
獨協医科大学 内分泌代謝内科 、2 獨協医科大学 第1外科、3 獨
協医科大学 形態病理学、4 獨協医科大学 臨床検査医学
中谷 祐己 1、加瀬 浩之 1、松村 美穂子 1、川越 宣明 1、田口 裕
久 1、宮下 寧 1、鈴木 國弘 1、伴場 信之 1、門傳 剛 1、服部 良
之 1、林 光弘 2、小山 徹也 3、家入 蒼生夫 4、笠井 貴久男 1
【目的】副甲状腺機能亢進症の治療は病的副甲状腺の外科的切除が
原則であるが、多発性腺腫や過形成の場合、病的副甲状腺が複数に
及ぶこともあり、また異所性副甲状腺が存在することもあるため、
手術中に病的副甲状腺を完全に摘出することは容易ではない。近年、
術中の int-PTH 測定の有効性が報告されてきている。そこで当院に
おいても術中 int-PTH の測定を導入し、その有効性を検討した。
【患
者と方法】2005年10月から2006年の11月までの間に当
院にて検査・手術を行った副甲状腺機能亢進症の患者7名(原発性
4名,続発性3名)を対象とした。検体採取は全身麻酔導入直前、
摘出 5 分後、術直後の計 3 回行った。術中 int-PTH の測定には DPC
社製イムライズ、試薬は三菱化学ヤトロン社製 DPC・イムライズ イ
ンタクト PTHIII を用いた。
【結果】7例中 6 例で、麻酔導入前と比
較し摘出後5分の int-PTH の減少率は74∼94%であり病的副甲
状腺を摘出できたと判断した。これらの6症例では術後、副甲状腺
機能亢進症の再発や持続は認められていない。1例において摘出後
5分の int-PTH の減少率は13%であり、術後再検の 99mTc-MIBI に
て異所性の副甲状腺の存在が示唆されており病的副甲状腺の残存が
考えられた。【結論】副甲状腺機能亢進症の患者における術中
int-PTH の測定は、
術中に病的副甲状腺が摘出されたかの判断に用い
ることは有用と考えられた。
P-1-01-07 副甲状腺機能亢進を呈しない副甲状腺腫
桑原 一宏 1、伊澤 正一郎 1、村部 浩之 1、村上 典彦 1、横田 敏
彦 1、日下 昌平 1
【症例】35 歳女性。左股関節痛の精査目的に前医で X 線撮影施行し
たところ、骨盤骨に多発性透亮像を認め、当院整形外科に紹介とな
った。血清 Ca 12.1 mg/dl 、P 1.7 mg/dl 、intact PTH 1100 pg/ml 、
PTHrP < 1.0 pmol/l より、原発性副甲状腺機能亢進症が疑われ当
科に紹介となった。頚部超音波上、副甲状腺腫瘤は指摘できなかっ
た。頚胸部造影 CT で縱隔の食道背側に約 3.0 × 2.5 × 7.0 cm の
辺縁不整、内部不均質な腫瘤を認め、99mTc-MIBI シンチグラフィー
で同腫瘍に一致して集積を認めた。腫瘍のサイズ、性状などから悪
性腫瘍の可能性も疑われ、18F-FDG-PET を施行した。縱隔腫瘍には
18F-FDG は集積せず、99mTc-MIBI が高度集積したこととあわせ、良
性の副甲状腺腺腫による原発性副甲状腺機能亢進症の可能性が高い
と考えた。なお、18F-FDG-PET で、骨盤骨をはじめ、全身骨に多発性
の異常集積像を認め、悪性腫瘍の骨転移も鑑別に挙がる所見であっ
た。整形外科で施行された骨盤骨生検の病理結果は、多数の破骨細
胞様の多核巨細胞が線維芽細胞様の紡錘形細胞とともに増生し、出
血を伴っていた。内分泌学的検査結果とあわせ、brown tumor が疑
われる所見であった。通常の頚部アプローチで腫瘍を摘出し、明ら
かな被膜浸潤や脈管侵襲などの悪性所見は認めず、副甲状腺腺腫と
診断された。術後、血清 Ca は正常化し、左股関節痛などの臨床症状
も改善した。
【考察】brown tumor に 18F-FDG が集積した症例は、我々
の検索の限り報告がない。良性であるにも関わらず集積した機序と
しては、破骨細胞やサイトカインによる glucose transporter への
影響が推測される。貴重な症例と考えられ、文献的考察を加え報告
する。
1
隈病院
深田 修司 1、廣川 満良 1、窪田 純久 1、伊藤 充 1、大江 秀美 1、
工藤 工 1、西原 永潤 1、有島 武志 1、矢野 玄一郎 1、網野 信
行 1、隈 寛二 1、宮内 昭 1
【症例】58 歳,女性
【主訴】精査
【現病歴】特に症状はなかったが,2006 年秋の健康診断で PET-CT
の検査を受けた.その結果,甲状腺右葉下極付近に集積のない低吸
収域が認められ,嚢胞,腺腫の存在が画像上疑われた.
【検査所見】
TSH 1.408μU/ml [0.3-5.0],FT4 0.85 ng/dl [0.7-1.6],
FT3 3.29 pg/ml [1.7-3.7], TGHA (-), MCHA ×400[-], TgAb ≦
0.3[≦0.3],Ca 9.5mg/dl [8.2-10.2], P 3.5 mg/dl [2.5-4.5], イ
オン化 Ca 2.46 mEq/l[2.24-2.58],iPTH 34pg/ml[15-70],超音波所
見:右甲状腺下極とは離れた部位に 39×10×23×cm の腫瘤を認め
た.CT でも同様の所見であり,軽度造影される腫瘤を認めた.
【経過】この腫瘤の診断のために次のことを行った.1)細胞診 2)
穿刺物のサイログロブリン(以下 Tg),と iPTH 濃度を測定した.
【結果】細胞診像では,背景に脂肪を伴わない副甲状腺細胞が認め
られた.穿刺液の Tg 濃度は 2.3-3.2ng/ml,iPTH は 5000pg/ml 以上
であった.
【考察】以上により,この腫瘤は,細胞診で背景に脂肪組織を認め
ないことから,副甲状腺腺腫,過形成が強く疑われた.副甲状腺機
能亢進を呈しない副甲状腺腫は世界で 4 例目であるが,今後,画像
診断,検診の充実などで増加していくものと思われる.
P-1-02-01 高脂血症を合併しスタチン治療中の閉経後骨粗鬆症患
者に対する塩酸ラロキシフェンの脂質代謝への影響
1
千葉大学大学院 医学研究院 細胞治療学、2JFE 健康保険組合川鉄
千葉病院、3 国保国吉病院 、4 千葉市立青葉病院、5 君津中央病院 、
6
松戸市立病院
保坂 博章 1、永田 あずさ 1、野口 義彦 1、龍野 一郎 1、齋藤
康
1
、富塚
卓也 2、伴
俊明 3、寺野
隆 4、内田
大学 5、時
永
耕太郎 6
【目的】閉経後女性の健康を脅かす病態に、高脂血症にもとずく虚
血性心疾患や骨粗鬆症を上げることができ、両者を合併することも
稀ではない。Selective Estrogen Receptor Modulator(SERM)に分
類される塩酸ラロキシフェンは閉経後骨粗鬆症患者の骨折抑制に加
え、脂質代謝の改善作用が報告されている。今回、我々は、既にス
タチン治療中の高脂血症を合併した閉経後骨粗鬆症患者に対して塩
酸ラロキシフェンを併用した際の脂質代謝に及ぼす影響を比較検討
した。
【方法】既に高脂血症でスタチン製剤服用中に新たに骨粗鬆症
と診断された閉経後女性 30 例を無作為に塩酸ラロキシフェン 60mg
群(RLX 群)及びアルファカルシドール 1μg 群(ALF 群)に割り付
け、
試験開始時と 3 ヵ月後に脂質代謝
(T-Cho, HDL-Cho, LDL-Cho, TG,
Apo A-1, Apo A-2,Apo B,Apo C-2, Apo C-3,Apo C-3,Apo E, Lp(a),
リポ蛋白分画(Disk 泳動法),アディポネクチン, 高感度 CRP、 骨
代謝マーカー(血清 NTX)を測定し、両剤の作用を比較検討した。
【結
果】治療開始 3 ヵ月後、RLX 群において T-cho・LDL-cho・ApoB の有
意な低下が認められた。
【結論】RLX は既にスタチン製剤が処方され
ている閉経後骨粗鬆症患者に対して、脂質代謝の更なる改善をもた
らす可能性が示唆された。
P-1-02-02 骨粗鬆症合併糖尿病患者に対するラロキシフェンの血
糖、脂質代謝への影響
1
獨協医科大学 内分泌代謝内科
松村 美穂子 1、門傳 剛 1、川越 宣明 1、加瀬 浩之 1、鈴木 國弘
1
、田口 裕久 1、太田 怜 1、清水 裕晶 1、百目木 希実 1、中谷 祐
巳 1、伴場 信之 1、服部 良之 1、笠井 貴久男 1
【目的】骨粗鬆症を合併している閉経後2型糖尿病患者におけるラ
ロキシフェンの糖代謝、脂質代謝に及ぼす影響を検討した。
【方法】
対象は尿中 NTx 排泄量が 35.3nmol BCE/mmol・Cr 以上の骨粗鬆症合
併2型糖尿病の患者 37 例(年齢 67.3 歳)にラロキシフェンを1日
60mg の投与を行い、糖代謝(血糖、HbA1c)と脂質代謝(総コレステロ
ール、HDL コレステロール、中性脂肪、LDL コレステロール)、血圧
および尿中 NTx 排泄量の測定を投与前、投与 6 ヶ月、12 ヶ月後に測
定し検討した。
【成績】空腹時血糖、収縮期血圧や拡張期血圧に有意
な変化は無かった。HbA1c は 7.0±0.17 から 6.6±0.10%(p=0.037)、
総コレステロールは 194.8±4.7 から 187.4±4.9mg/dl(p=0.171)、
HDL コレステロール 52.2±2.5 から 61.8±3.2mg/dl(p=0.001)、中性
脂肪は 119.8±11.1mg/dl から 111.7±11.7mg/dl(p=0.445)、LDL コ
レステロールは 119.2±5.0mg/dl から 102.7±4.3 mg/dl(p=0.034)
と有意に良好な変化が認められた。尿中 NTx 排泄量は 58.5±3.9 か
ら 46.7±2.8nmol BCE/mmol Cr (p=0.024)と有意な低下を示した。
【結論】ラロキシフェン投与は糖代謝や血圧には影響を与えず、脂
質代謝と骨代謝の改善を示し、骨粗鬆症合併糖尿病症例に対して有
用であることが示唆された。
P-1-02-03 糖尿病患者の骨密度とビスフォスフォネート治療によ P-1-02-04 腎移植後患者における骨代謝に関する検討
る osteoprotegerin の変化
1
自治医科大学、2 自治医科大学附属大宮医療センター内分泌代謝科 1 藤田保健衛生大学 医学部 内分泌・代謝内科、2 藤田保健衛生大
学 医学部 泌尿器科
為本 浩至 1、齊藤 智之 2、湯澤 美保 2、生駒 亜希 1、川上 正舒 山元 弘桜 1、鈴木 敦詞 1、佐々木 ひと美 2、関口 佐保子 1、稲垣
1
一道 1、浅野 昇悟 1、糸井 智子 1、柿澤 弘章 1、早川 伸樹 1、織
、石川 三衛 2
田 直久 1、星長 清隆 2、伊藤 光泰 1
【目的】糖尿病治療中の高齢女性患者の骨粗鬆症にビスフォスフォ
ネートを投与した際の血中 osteoprotegerin(OPG)の濃度変化を評価
する【方法】外来受診中の閉経期以後の女性糖尿病患者 42 名に DEXA
法で腰椎または全身の骨密度測定を行った。患者の抽出はランダム
に行い、血糖コントロール、合併症、肥満度、腰痛等の症状の有無
を考慮しなかった。
骨密度が若年成人骨密度の 70%未満または T スコ
アが-2.5 以下の例ですでに治療が行われていない例にはアレンドロ
ン酸ナトリウム 5mg を投与した。投薬開始前後の血清 OPG の濃度を
ELISA 法にて測定した。
【結果】
腰椎側面像の骨密度即定例 33 例では
T スコアが-2.5 以下の例は 75%に上った。
計 12 名に新たにアレンド
ロン酸を開始した。OPG は開始前 7.38±4.2pmol/l から 6.88±
3.3pmol/l に低下傾向を示した(対数変換後の t-test にてp=
0.126)
。骨密度と OPG は有意の相関を示さなかったが、骨密度を 4
分位に分けると、
最も骨密度の低いほうから 7.04±4.31pmol/l、
6.16
±0.84pmol/l、4.60±1.33pmol/l、5.05±1.62pmol/l となった。9-16
位と 17-24 位を比較すると対数変換後の t-test にて p=0.013 と有
意に骨密度の低い方が高値を示した。
【考察】上村らにより糖尿病の
有無を問わない骨粗鬆症患者ではビスフォスフォネート治療で骨密
度の改善した例では OPG の値に有意の変化がなかったことが報告さ
れている(日本産婦人科学会誌 56 巻)
。今回糖尿病患者に限定して
検討した。骨密度骨粗鬆症の再評価は 1 年後に行うこととし、例数
を増やしてさらに検討したい。
【目的】腎移植後患者は長期間の透析を経ていること、ならびに 継
続してステロイド製剤および免疫抑制剤の使用が不可避であること
から、骨折の高リスク群であると考えられる。今回当院で治療中の
腎移植後患者の骨カルシウム代謝につき横断的に検討した。【方法】
対象は当院通院中の腎移植後患者 20 例(男性 11 例、女性 9 例)、平
均年齢 54.1±7.8 歳。平均透析年数 113.3±76.6 ヶ月。平均移植後
期間 13±3.7 年。
【成績】
全例に対しメチルプレドニゾロン(平均 4.2
± 0.9 mg/day)が投与されていた。免疫抑制剤については、症例毎
に異なったが、シクロスポリン A(平均 118 ± 22 mg/day)が 20 例中
15 例と最も多く投与されていた。血清クレアチニンの平均値は 1.82
± 2.5mg/dl で、補正血清 Ca 値は一例をのぞいて正常範囲内で、血
清 P 値も平均 3.0 ±0.6 mg/dl とほぼ正常であったが、インタクト
PTH 値は 214.4 ± 290.0 pg/ml(37.5−1402)と上昇していた。血清
NTx、骨型 ALP、オステオカルシンの平均値は各々19.4 ± 11.0
nmolBCE/mmolCr、28.7 ±11.0 U/L、 12.2 ± 9.5 ng/ml であった。
【結論】腎移植後患者では三次性副甲状腺機能亢進症が疑われる患
者が多かった。ステロイド長期投与中でかつ高骨代謝回転を疑わせ
る者が多いことは将来の骨折の高リスク群である可能性を示してい
る。
P-1-03-01 アルドステロンは血管内皮細胞において SGK-1 の発現
を誘導する
1
東京医科歯科大学 大学院 分子内分泌内科学 (内分泌・代謝内
科)
南 勲 1、杉山 徹 1、櫻田 麻耶 1、岩嶋 富美子 1、館野 透 1、吉
本 貴宣 1、七里 眞義 1、平田 結喜緒 1
【目的】近年アルドステロン(Aldo)による直接的な心血管障害作用
が注目されている。腎集合尿細管等の上皮細胞では、セリン・スレ
オ ニ ン キ ナ ー ゼ で あ る SGK-1(serum- and glucocorticoidinducible kinase-1)が Aldo 誘導蛋白(AIP)としてミネラロコルチコ
イド作用をもたらす。しかし、心血管系組織といった非上皮細胞で
は、
SGK-1 が AIP としての生理機能を持つか否かは不明である。
今回、
培養ラット血管内皮細胞(RAEC)を用いAldo によるSGK-1 の発現誘導
について検討した。
【方法】
初代培養 RAEC(P4-10)を用いて Aldo もし
くはデキサメタゾン(DEX)を添加し、SGK-1 mRNA の発現量を
real-time RT-PCR 法にて定量した。【結果】Aldo は濃度依存性
(10-8-10-6M)に SGK-1 の mRNA 発現を増加させ、その効果は 30 分よ
り認められ、1 時間を頂値として、18 時間まで持続した。DEX も同様
に SGK-1 の mRNA 発現誘導を示した。Aldo による SGK-1 mRNA の発現
はミネラロコルチコイド受容体(MR)阻害薬spironolactoneにより抑
制され、DEX による SGK-1 mRNA 発現はグルココルチコイド受容体阻
害薬 RU-486 で抑制されたが、spironolactone は無効であった。
【結
論】
SGK-1 は血管内皮細胞において AIP の一つとして機能する可能性
が示された。
P-1-03-02 血管内皮細胞でのアルドステロンの低分子量蛋白を介
した活性酸素産生機構
1
東京医科歯科大学 大学院 分子内分泌内科学(内分泌・代謝内科)
岩嶋 富美子 1、南 勲 1、櫻田 麻耶 1、鈴木 紀子 1、吉本 貴宣 1、
七里 眞義 1、平田 結喜緒 1
【目的】アルドステロン(Aldo)による心血管障害の機序として酸化
ストレスの重要性が示唆されている.今回ラット大動脈内皮細胞
(RAEC)を用い,
Aldo による活性酸素(O2-)産生機序について検討した.
【対象と方法】初代培養 RAEC(4-8 代)を用いて Aldo 刺激による細胞
内 O2-産生を dihydroethidium(DHE)蛍光定量にて,また低分子量蛋白
(Rac-1)の活性化を GTP-rac pull-down アッセイにて解析した.
【結
果】Aldo により RAEC での O2-産生は時間依存性(6-24h)および濃度依
存性(10-9-10-7M)に増加した.この効果は鉱質ステロイド受容体(MR)
拮抗薬 eplerenone(10-5M),NAD(P)H oxidase 阻害薬 apocynin(3×
10-4M),src 阻害薬 pp2(10-5M),PI3K 阻害薬 wortmannin(10-6M),EGFR
阻害薬 AG1478(3×10-7M),低分子量 GTP 結合蛋白質阻害薬 CD toxin
A(100ng/ml)の前処置により抑制された.
Aldo による rac の活性化は
O2-産生と同様の時間経過を示し,eplerenone, pp2, wortmannin,
AG1478 の前処置により抑制された.
【考察】Aldo は血管内皮細胞で
MR を介して NAD(P)H oxidase を活性化して O2-産生を誘導し,その機
序に src 及び PI3K,EGFR を介した低分子量蛋白 rac-1 の活性化が関
与している.
P-1-03-03 血管内皮細胞におけるアルドステロンのNF-κB活性化 P-1-03-04 アルドステロンが血管内皮NO産生に及ぼす影響の二面
機序に関する検討
性
1
東京大学医学部 循環器内科学、2 獨協医科大学 内分泌代謝内科 1 東京大学 大学院 医学系研究科 腎臓・内分泌内科
長田 太助 1、服部 良之 2、高橋 政夫 1、佐田 政隆 1、永井 良三
、平田 恭信 1
1
武藤 明子 1、一色 政志 1、藤田 敏郎 1
【目的】アルドステロン(Aldo)による血管障害には、NF-κB を介し
た炎症関連因子の発現亢進が関与していると考えられているが、
Aldo による NF-κB 活性化の機序を in vitro で詳細に検討した報告
はほとんどない。本研究では Aldo による NF-κB 活性化の機序を検
討した。
【方法】κB binding site を 4 個並列に有する promoter 領
域下流に luciferase (luc) cDNA をもつ発現プラスミドを、ネオマ
イシン耐性遺伝子発現ベクターと共にラット血管内皮細胞へ
co-transfection し、恒常的に発現する細胞(NFkB-EC)を選択した。
NFkB-EC は TNF-α 10ng/ml、
4 時間の刺激で luc 活性が有意に上昇す
ることを確認した。Aldo 10-7M で同細胞を刺激して luc 活性を測定
し、
Aldo による NF-κB 活性化について対照群と種々の前処置群とを
比較検討した。
【成績】
Aldo による刺激 1 時間後 luc 活性は上昇しな
かったが、2 時間後から有意に活性が上昇し(1.29±0.04 倍 P<
0.005)、4 時間で最大となり(1.77±0.02 倍 P<0.001)、8 時間後に
は基礎値まで戻った。この luc 活性上昇は mineralocorticoid
receptor (MR) 拮抗薬 eplerenone および NAD(P)H oxidase 阻害薬
diphenylene iodinium (DPI)の前処置により有意に抑制された。ま
た catalase および superoxide dismutase (SOD)発現 adenovirus を
用いてそれぞれを NFkB-EC に過剰発現させたところ、有意な luc 活
性上昇は消失した。さらに actinomycin D および cyclophosphamide
で前処置した細胞においてもaldo 刺激によるluc 活性上昇は有意に
抑制された。
【結論】
Aldo はMR を介したgenomic 作用によりNAD(P)H
oxidase の活性を上昇させ、活性酸素種(ROS)産生を亢進させるが、
さらに NF-κB が ROS 依存性に活性化されることが明らかとなった。
【目的】近年アルドステロン(Ald)の心血管系細胞への直接作用と
心血管病との関連が注目されている。
Ald は血管に対し慢性的には酸
化ストレスを介する心血管病促進因子として働く一方、急性の NO 産
生亢進を示唆する報告もあり特に後者の機構・生理的意義は不明で
ある。本研究では、Ald の急性及び慢性処置が血管の NO 産生に与え
る影響及びその機序を検討した。
【方法】ウシ大動脈内皮細胞の Ald(1x10-6 または 1x10-7 M)負荷 10
分または 24 時間後の ATP(1x10-5 M)による NO 産生、eNOS リン酸化、
また Ald、ATP 負荷時の Ca2+イメージングをそれぞれ DAF2 蛍光定量、
ウェスタンブロッティング、fluo4/FuraRed で評価した.さらにラッ
ト大動脈リング標本に対する急性の Ald の効果をアセチルコリン弛
緩実験で検討した.NO 産生、eNOS リン酸化、大動脈リング実験の際
に MR 阻害薬エプレレノン、
PI3K 阻害薬 LY294002 の影響を検討した.
【結果】急性の Ald 処置単独では NO 産生及び細胞内 Ca2+変化は検出
されなかった。細胞における ATP による NO 産生と eNOS リン酸化は、
急性 Ald 処置により有意な増大が認められた一方で、24 時間 Ald 処
置では減少した.また急性 Ald 処置は ATP による細胞内 Ca2+上昇に
影響しなかったが、大動脈リングのアセチルコリンによる弛緩を増
強した.急性の Ald で認められた血管弛緩効果はエプレレノン、
LY294002 で抑制された。
【考察】Ald は慢性的には内皮機能を低下させるが、急性的には MR、
PI3K を介して NO 産生を増強する。この NO 産生の増強は Ald による
細胞内 Ca2+の変化ではなく、eNOS のカルシウム感受性の亢進が関与
している。
P -1-03-05
Plasticity of endocytosis in endothelial
pathophysiology
1
東京大学 医学部 腎臓・内分泌内科、2 徳島大学 大学院ヘルス
バイオサイエンス研究部 生体システム栄養科、3 国立循環器病セン
ター研究所 バイオサイエンス部
一色 政志 1、武藤 明子 1、竹谷 豊 2、高良 洋平 1,3、沢村 達也
3
、藤田 敏郎 1
P-1-03-06 高アルドステロン血症の精査中に多嚢胞性卵巣症候群
の存在が明らかとなった4例
1
岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科
学、2 岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 産科婦人科学
【目的】endocytosis は膜代謝・シグナルに関わり、その取り込み経
路は細胞機能に影響するが、その可塑性の詳細は不明である。本研
究では内皮細胞における炎症性膜分子 LOX-1 発現亢進による
cholera toxin(CT)取り込み経路への影響について検討した。
【方
法】培養ウシ大動脈内皮細胞における各マーカーの局在検討は共焦
点顕微鏡を、生細胞におけるカベオラおよび LOX-1 のモニターには
それぞれ caveolin1、LOX-1 に GFP を融合した蛋白を発現するベクタ
ーを用いた。
LOX-1 の生化学的膜局在は密度勾配遠心法により分画し
た。
【成績】非刺激内皮細胞において CT はカベオラマーカーである
caveolin-1 陽性膜ドメインに集積し、EEA1 陽性の初期エンドゾーム
へと輸送された。一方 LOX-1 は caveolin-1 陰性の膜ラフトおよび細
胞内小胞に存在し、カベオラからの CT 取り込みは LOX-1 局在と関連
しなかった。TNFαによる LOX-1 発現増大により CT の一部は LOX-1
陽性かつ caveolin-1 陰性の膜ドメインにも接着するようになり、15
分後には約 60%の CT が LOX-1、EEA1 と共局在し、caveolin-1 との
共局在は 10%未満に減少した。更に、LOX-1-GFP 発現細胞において、
CT 取り込みは集積した膜 LOX-1 より開始する事が可視化された。ま
た、TNFα刺激により発現亢進した LOX-1 は細胞膜非ラフトへと広が
り、クラスリン依存性経路として知られるトランスフェリン(Tf)
、
EEA1 の経路とマージした。
【結論】内皮細胞 LOX-1 発現亢進に伴い、
カベオラ依存性の CT 取り込みがクラスリン依存性の LOX-1・Tf 取り
込み経路へとシフトする。
P-1-03-07 Masked Chronic Kidney Disease in Patients with
Primary Aldosteronism
1
東京大学医学部 腎臓・内分泌内科
高橋 克敏 1、竹下 雅子 1、藤田 敏郎 1
稲垣 兼一 1、大塚 文男 1、鈴木 二郎 1、三好 智子 1、大谷 寛之
1
、三村 由香里 1、小倉 俊郎 1、鎌田 泰彦 2、中塚 幹也 2、槇野
博史 1
最近、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)患者において、血中アルドステ
ロン(Aldo)濃度が高値であること、さらに Aldo 値は HOMA 指数など
のインスリン抵抗性の指標とも相関することが報告された(JCEM
2006 91:4395)
。今回我々は、高血圧・高 Aldo 血症の精査目的で当
科に紹介された若年女性において、PCOS の合併が明らかとなった4
症例を経験したので報告する。4例はいずれも 30 代女性で高 Aldo
血症(>12 ng/dl)を認め、1例では血漿レニン活性(PRA)の抑制が
不完全であったが、他の3例では PRA の抑制(<1 ng/ml/h)を認め、
Aldo/PRA 比の上昇(>20)を認めた。3例のうち2例では立位負荷
試験・カプトリル負荷試験によるレニン上昇反応の減弱を認めたこ
とより原発性アルドステロン症(PA)の存在が疑われたが、副腎 CT・
静脈サンプリングにより片側性 Aldo 腺腫の存在は否定的であった。
また3例では肥満、2例にはインスリン抵抗性を認めた。興味深い
ことに、4例はいずれも月経異常を伴い、超音波検査により多嚢胞
性卵巣を認め、内分泌異常(3例でテストステロン上昇・1例の LH
高値)を呈することから PCOS の合併が明らかとなった。これまでに
PA と PCOS の明らかな合併例は報告されていないが、高 Aldo 血症を
呈する若年女性においてPCOSの合併は臨床上考慮すべき病態と考え
られた。Aldo はインスリン抵抗性の増大を促すことから、今回のケ
ースにおいて高 Aldo 血症が PCOS の病態形成にも寄与していた可能
性がある。
P-1-04-01 レチノイン酸と Am80 による血管新生促進作用の検討
1
東北大学 大学院 小児病態学、2 東北大学病院 総合診療部、3 東
北大学大学院 腎・高血圧・内分泌学、4 宮城県立こども病院 血液
腫瘍科
斉藤 明子 1、菅原 明 2、宇留野 晃 3、工藤 正孝 3、今泉 益栄 4、
土屋 滋 1、伊藤 貞嘉 3
【背景】慢性腎臓病(CKD)は腎障害が心血管疾患リスクとなるために
新たに提唱された概念である。今回、原発性アルドステロン症(PA)
自験例における CKD の検討から、PA の臓器障害が 予想外に多い
原因の一端が明らかになった。
【方法】当科で診療した PA 患者のうち、PA 以外による腎障害を除く
全 40 例(男性 21 例、女性 19 例、平均 51.0±1.8 才)について解析
した。Estimated GFR(eGFR)は MDRD 簡易式(Cr 換算式と日本人用
係数 0.881 で補正)で求め、片側副腎摘除やスピロノラクトンによ
る PA 特異的治療の影響を調べた。さらに、PA 以外の副腎腫瘍(非
PA)14 例と比較検討した。
【結果】PA 特異的治療の前には、CKD(eGFR<60 ml/min/1.73m2。以
下単位略)は PA 全 40 例中 15 例に合併した。このうち治療後も追跡
しえた 29 例(男性 14 例、女性 15 例、平均 49.8±2.0 才)では、eGFR
が治療前の 60.8±2.9 から治療後 50.7±3.0 まで低下した(P<
0.0001)
。この結果、CKD 合併患者は 12 例から 20 例に増え(41%→
68%)
、
特に女性PA 患者では 15 例中の 3 例から10 例に著増した
(20%
→67%)
。PA 治療に伴う eGFR 低下は、治療前の血中アルドステロン濃
度の基礎値と正相関したが(r=0.65, P<0.0001)、治療前の eGFR60
以上群と 60 以下群とで eGFR 低下度に差はなかった。一方、非 PA 患
者では片側副腎摘除により eGFR は低下せず、手術前の eGFR は PA 患
者と差がないが、手術後の eGFR は PA 患者より高かった(P=0.01)
。
【考案と結論】PA には CKD が高率に合併し、特に女性患者ではしば
しば特異的な治療後にはじめて CKD が顕在化することが明らかとな
っ た 。 PA で は ア ル ド ス テ ロ ン 作 用 に よ る glomerular
hyperfiltration 等が生じるため、
特異的な治療の前には心血管疾患
の発症リスクとなる腎機能障害がマスクされやすい。
【目的】血管新生は、VEGF をはじめとする血管新生促進因子と抑制
因子のバランスによって調節され、血管新生の制御が治療につなが
る。今回我々は、血管新生に対する作用として未だ不明の点が多い
ビタミン A の天然誘導体全トランス型レチノイン酸( all-trans
retinoic acid;ATRA )と新規合成レチノイド Am80 を用いてその効
果を検討した。
【方法】1.ヒト皮膚線維芽細胞( NHDF )と臍帯静脈血
管内皮細胞( HUVEC )の共培養下、ATRA 及び Am80 を投与し、4,7,9
日間培養後、形成された管腔の面積、長さを解析。2.ATRA 及び Am80
による HUVEC の増殖能、遊走能を評価。3.内因性 VEGF 分泌・発現の
有無を ELISA と定量 PCR を用いて評価。4.HUVEC 上の 2 型 VEGF 受容
体(KDR)の発現量を評価。5.1 の共培養において、ATRA 存在下 VEGF
及び KDR 中和抗体をそれぞれ同時投与し培養後、形成された管腔の
面積・長さを解析。 【成績】1.ATRA 及び Am80 により管腔形成が促
進した。2.ATRA 及び Am80 による HUVEC 増殖促進作用を認めたが、遊
走能へは影響しなかった。3.NHDF/HUVEC 共培養下、NHDF 単独培養下、
それぞれにおいてATRA 及びAm80 により内因性VEGF 分泌発現促進を
認めた。
4.ATRA による HUVEC における KDR 発現上昇を認めた。
5.ATRA
による管腔形成は、VEGF 中和抗体、KDR 中和抗体により抑制された。
【結論】本研究より、ATRA 及び Am80 は管腔形成を促進することが分
かった。その機序として、HUVEC の増殖促進作用、NHDF 由来 VEGF 分
泌・発現促進作用、VEGFR-2 の関与が示唆された。これらより ATRA
及び Am80 は、虚血性疾患における血管新生治療に有効である可能性
が示唆された。
P-1-04-02 Complement 3 induce the synthetic phenotype in
vascular smooth muscle cells through activation of KLF5 promoter
P -1-04-03 Tissue angiotensin II induces oxidation and
suppresses function of endothelial progenitor cells in
hypertension
1
1
日本大学 医学部 内科学講座 腎臓内分泌内科
日本大学 医学部 内科学講座 腎臓内分泌内科、2 日本大学 医
学部 先端医学講座 細胞再生移植医学
姚 恩輝 1、福田 昇 1、上野 高浩 1、松田 裕之 1、田平 佳子 1、 姚 恩輝 1、福田 昇 1、松本 太郎 2、上野 高浩 1、鈴木 亮 1、松
池田 友紀博 1、松本 紘一 1
本 紘一 1
Objective: We investigated effects of C3 on the phenotype and Objective: We evaluated angiotensin II-generating system and its
KLF5 promoter activity of VSMCs. Methods: We examined effects effect on endothelial progenitor cells (EPC) function in
of C3a on DNA synthesis and expression of phenotype marker mRNAs hypertension in vivo. Methods: WKY rats and SHR-SP were loaded
in VSMCs. We constracted deletion mutants of KLF5 promoter with salt. SHR-SP were received Losartan or trichlormethiazide
plasmids and transfected them into 293 cells. We examined the for 2 weeks. We established EPC assays in rats by colony
effects of C3a on KLF5 mRNA expression in VSMCs and the KLF5 formation, migration and oxidation. Mononuclear cells (MNCs) in
promoter activities. Results: Exogenous C3 changed VSMCs to the peripheral blood were separated and cultured to count EPC colony
synthetic phenotype, and increased expression of KLF5 mRNA. C3a formation. EPC migration was evaluated in migration assay
dose-dependently increased KLF5 gene promoter activity. chamber. Oxidative stress of MNCs were evaluated by TBARS.
Deletion analysis of the promoter region of KLF5 gene revealed Results: EPC colony formation was markedly decreased in SHR-SP
that a truncated construct lacking the region between -991 to than in WKY rats. TBARS in EPC from SHR-SP was significantly
-699bp resulted in decreasing promoter activity stimulated by higher than that from WKY rats. EPC migration was significantly
C3a. C3-increased KLF-5 promoter activity was completely reduced in EPC from SHR-SP than from WKY rats. Losartan and TCM
inhibited by a MEK inhibitor. Conclusion: These results suggest reduced SBP in SHR-SP as same levels. Losartan improved the
that complement 3 may be involved in arteriosclerosis by which reduced colony formation with inhibition oxidation in EPC from
the complement 3 activates KLF5 promoter through the induction SHR-SP. TCM did not affect the reduced colony formation in EPC.
Losartan stimulated EPC migration. Conclusion: Tissue Ang
of ERK and induce the synthetic phenotype in VSMCs.
II-induced oxidation supresses EPC function, which is associated
with the cardiovascular damages in hypertension.
P-1-04-04 Development of synthetic gene silencer PI polyamide
targeting rat Lox-1 promoter
1
日本大学 医学部 内科学講座 腎臓内分泌内科
P-1-04-05 進行性腎障害の治療のための新規遺伝子制御薬、TGFβ1 に対する PI ポリアミドの長期投与効果
1
2
日本大学大学院 総合科学研究科 生命科学、
日本大学医学部 内
科学講座 腎臓内分泌部門、3 京都大学大学院 理学研究科 化学教
室生物化学分野
姚 恩輝 1、福田 昇 1、上野 高浩 1、松本 紘一 1
松田 裕之 1,2、福田 昇 1,2、上野 高浩 2、片川 まゆみ 2、鈴木 亮
、田平 佳子 2、松本 紘一 2、杉山 弘 3
【目的】Pyrrole-Imidazole(PI) Polyamides は二本鎖 DNA を塩基特
異的に認識、結合し、遺伝子発現をコントロールできる化学合成物
質であり、核酸分解酵素影響を受けず、生体内にデリバリーにベク
ターなどのツールを用いる必要がないというアドバンテージを持っ
ている。以前、我々は高血圧症性臓器障害及び進行性腎障害対する
遺伝子治療薬として TGF-β1 promoter activity を検討し、活性の
高い領域に対し PI polyamide を分子設計し、細胞内での抑制効果を
確認した。更に、Dahl 食塩感受性ラットを用い、実際に生体内で PI
polyamide が、Dahl 食塩感受性ラットにおいて血圧とは関係なく
TGF-β1 や細胞外基質の発現を抑制した事を報告した。今回、我々は
更にこの PI polyamide の長期投与における治療効果、副作用等につ
いて検討した。
【方法】
Dahl 食塩感受性ラットに 4 週間の経静脈的投
与を行い、疾患モデル動物における高血圧性腎障害に対する効果を
検討した。また、成長や摂餌量などに与える影響についても検討し
た。
【成績】PI polyamide はラットの生体内において用量依存的に
TGF-β1 や細胞外基質の発現を抑制し、
腎臓における高血圧性変化の
改善が認められた。また、今回行われた実験において体重、摂餌量
などに大きな影響を与えなかった。
【結論】
今後 TGF-β1 に対する PI
polyamide は、
進行性腎障害に対する新規遺伝子治療薬となり得ると
考えられ、更に生体での薬物動態や毒性試験を行っており、近い将
来研究用試薬としてだけではなく、遺伝子診断、治療薬として有用
なツールとなると期待される。
2
Pyrrole-imidazole (PI) polyamides can bind to the predetermined
base pairs in the minor groove of double-helical DNA with high
affinity. These small molecules can interfere with transcription
factor-DNA interaction and inhibit the transcription of
corresponding genes. In the present study, we designed and
synthesized a PI polyamide to target -63 to -58 base pairs of
rat Lox-1 promoter adjacent to the activator protein-1 (AP-1)
binding site of the rat Lox-1 promoter. The effects of this
polyamide on Lox-1 promoter activity and Lox-1 mRNA expression
were examined. Gel mobility shift assay showed the synthetic PI
polyamide specific binding to its corresponding double-strand
oligonucleotides, whereas not binding to the mismatch 2-bp
mutated double-strand oligonucleotides. PI polyamide
significantly inhibited rat Lox-1 promoter activity determined
by luciferase assay. In cultured rat endothelial cells, the PI
polyamide significantly decreased expression of Lox-1 mRNA.
These results indicate that the synthetic PI polyamide
targetting rat Lox-1 promoter inhibited Lox-1 gene expression.
This novel agent will be useful for the the treatment of
Lox-1-associated diseases like atheroscrelosis as a gene
therapy.
P-1-04-06 虚血性心疾患による慢性心不全における血漿 P-1-05-01 副腎・下垂体疾患における唾液中ステロイドホルモン
Placental Growth Factor の動態
測定の有用性
1
1
自治医科大学附属大宮医療センター 総合医学1
聖マリアンナ医科大学 代謝・内分泌内科
中村 智弘 1、船山 大 1、久保 典史 1、百村 伸一 1、川上 正舒 1、
石川 三衛 1
背景:Vascular endothelial growth factor (VEGF) family の一つ
である placental growth factor (PlGF)は、虚血臓器で血管新生や
側副血行路の増生を促進することが知られている。目的: 本研究の
目的は慢性心不全の重症度と血漿 PlGF 値の関係を検討し、心不全に
おける PlGF の動態を明らかにする。方法: 左室駆出率 40%以下の
収縮不全を呈する 88 症例と健常者 20 例を対象とした。虚血性心疾
患 48 例,非虚血性心疾患 40 例であった。全ての患者は NYHA 機能分
類に従い層別化した。 全症例において血漿 PlGF, tumor necrosis
factor (TNF)- α , brain natriuretic peptide (BNP),
high-sensitivity C-reactive protein (hs-CRP)を測定した.結果:
全症例を対象とした解析では、心不全の重症度と血漿 PlGF 値の相関
関係は得られなかった。しかし、虚血性心疾患症例のみを対象とし
た解析では、
心不全の重症化に伴い血漿PlGF値は増加した
(control:
8.9 ± 0.5; NYHA I: 9.4 ± 1.1, NYHA II: 9.7 ± 1.9, NYHA III:
14.6 ± 1.2, NYHA IV: 17.9 ± 1.9 μg/ml )(N=45, p=0.0006)。
また虚血性心疾患の症例では、血漿 PlGF 値は BNP 値 (r=0.53, p
=0.0003)、hs-CRP 値 (r=0.23, p=0.02)とそれぞれ正相関が得ら
れた。結論: 虚血性心疾患による慢性心不全患者では、血漿 PlGF
値は心不全の重症度に従い増加し、種々の biomarker と相関関係が
得られた。これらの結果より、PlGF が慢性心筋虚血による収縮不全
の病態に関与している事が示唆された。
小尾 竜正 1、方波見 卓行 1、小金井 理江子 1、田中 逸 1
目的:副腎・下垂体疾患における唾液中ステロイドホルモン測定の
有用性を検討するため,夜間とデキサメサゾン負荷前後の血中・唾
液中コルチゾール(F)
,コルチゾン(E)濃度を測定した. 対象:
顕性 Cushing 4 例(下垂体性 2 例,副腎腺腫 1 例,副腎癌 1 例)
,厚
労省副腎性プレクリニカル Cushing 症候群(PreCS)の診断基準を満
たした副腎偶発腫 2 例(副腎腺腫 1 例,副腎癌 1 例)
,満たさなかっ
た 9 例(副腎偶発種 7 例,Cushing 病術後 1 例,褐色細胞腫 1 例)
.
方法:デキサメサゾン 1mg,8mg 負荷は overnight 法を用い,血中濃
度は RIA 法,唾液中濃度は液体クロマトグラフ・質量分析法で測定.
結果:唾液中の F,E 濃度が異常高値を示した副腎性 Cushing 症候群
の 1 例を除いた 14 例での検討では,朝と夜間の血中 F 濃度と唾液中
F 濃度にはいずれも良好な正相関
(各々;r=0.791,
p=0.0004.
r=0.791,
p=0.0007)が得られた.デキサメサゾン 1mg,8mg 負荷後の濃度につ
いても同様の結果(各々;r=0.989,p<0.0001.r=0.978,p<0.0001)
が得られた. また Cushing 病の 2 例,副腎性 Cushing 症候群の 2
例,
PreCS の 2 例,
他の 9 例における朝の唾液中 F/E 比は各々,
0.170,
0.444,0.171,0.144±0.015,夜間の値は各々,0.106,0.538,0.157,
0.118±0.017 と副腎性 Cushing 症候群が他疾患に比し高値であっ
た. 考察:唾液中 F 測定はデキサメサゾン負荷にも応用可能で,
唾液中の F,F/E 比測定は F の自律産生能やその代謝動態の評価解析
に有用と考えられる.
P-1-05-02 クッシング症候群や副腎皮質機能低下症における唾液 P-1-05-03 ACTH が高値であった Preclinical Cushing 症候群の一
中コルチゾール値測定の有用性
例
1
1
浜松医科大学 第二内科
聖隷浜松病院 内分泌内科、2 浜松医科大学 第二内科
余語 宏介 1、沖 隆 1、飯野 和美 1、山下 美保 1、林 千雅 1、中
村 浩淑 1
【目的】唾液中コルチゾール(F)値は血中遊離 F を反映するとして
有用性が報告されている。今回、我々は Cushing 症候群(CS)と副腎
機能低下症(AI)のスクリーニングテスト(ST)として唾液中 F 値測
定の有用性について検討した。
【対象と方法】CS 患者 4 名、AI を伴
う下垂体機能低下症 12 名、および健常者 11 名を対象に早朝・夜間
の血中 F 値、部分尿中遊離 F(UFC)および唾液中 F 値を測定し、唾液
中 F 値は Salimetrics 社の Salivary Cortisol EIA Kit で測定した。
【結果 1】健常者の早朝唾液中 F 値(0.117-0.654μg/dl, 0.332±
0.052μg/dl)は早朝血中 F 値(9.3-23.2μg/dl, 14.8±1.25μg/dl)
と有意に相関した(R2=0.591, P<0.01)
。早朝血中 F 値と尿中 F 値
(157.9-2469.3μg/g creat, 721.8±199.3μg/g creat)も有意に
相関(R2=0.567, P<0.01)したが、唾液中 F 値と尿中 F 値では有意
に相関(R2=0.304, P>0.05)をしなかった。夜間唾液中 F 値
(0.020-0.065μg/dl, 0.040±0.004μg/dl)は夜間血中 F 値
(2.1-4.9μg/dl , 3.68±0.29μg/dl)と相関しなかった(R2<
0.001, P>0.05)
。
【結果 2】健常者と CS 患者で夜間の血中と唾液中
のF 値を比較し、
いずれも有意な差
(血中P<0.001、
唾液中P<0.001)
を認め、唾液中 F 値はカットオフ値 0.064μg/dl にて感度 100%、特
異度 90.9%で CS を診断し得た。
【結果 3】健常者と AI 患者で血中と
唾液中の F 値を比較し、いずれも有意な差(血中 P<0.001、唾液中
P<0.001)を認め、唾液中 F 値はカットオフ値 0.124μg/dl にて感
度 83.3%、特異度 90.9%で AI を診断し得た。
【結語】CS・AI の ST と
して唾液中 F 値測定の有用性が確認された。その簡便性・安定性等
から、外来での唾液 F 値測定はコルチゾール分泌異常症の ST に応用
可能と考えられた。
柏原 裕美子 1、森岡 哲 1、源馬 理恵子 1、沖 隆 2、中村 浩淑 2
【症例】58 歳女性。腹痛を主訴として受診した際に、腹部 CT にて径
1.2cm 大の左副腎腫瘍を指摘され、精査のため当科を受診した。
【経
過】血中コルチゾール 7.8μg/dl、ACTH 96.2 pg/ml とコルチゾール
は正常範囲であったが、ACTH 高値を認めた。腹部 MRI にて径 1.2cm
大の左副腎腫瘍があり、腺腫と考えられた。身体所見上 Cushing 徴
候を認めず、肥満、高血圧や耐糖能異常は認められなかった。デキ
サメサゾン 1mg、8mg 抑制試験でいずれも ACTH、コルチゾールは抑制
されず、CRH 負荷試験でコルチゾールは正常反応、ACTH は低反応で
あった。131I-アドステロール副腎シンチグラムにて腫瘍側に優位な
集積を認めた。MRI では下垂体に腫瘍性病変を認めず、胸腹部 CT に
て左副腎腫瘍以外に明らかな腫瘍性病変は認められなかった。以上
より左副腎腺腫による Preclinical Cushing 症候群と診断した。血
漿ゲル濾過による ACTH 様免疫活性の検討では、big-ACTH が約 90%を
占めた。
【考察】副腎偶発腫にて発見された Preclinical Cushing
症候群の症例。コルチゾールの自律性分泌が認められるにもかかわ
らず ACTH 高値であり、
CRH 負荷試験では ACTH 高値、
低反応であった。
ゲル濾過の検討から測定されたACTHはほとんどが低生物学的活性ペ
プチドであったため、生物活性を有する ACTH をマスクしていた可能
性があり、興味深い症例であると考えられた。文献的考察を加え報
告する。
P-1-05-04 コルチゾール低値でクッシング徴候を呈し、コルチゾ P-1-05-05 胃原発悪性リンパ腫及び髄膜腫を合併した家族性 ACTH
ール過敏症候群と考えられた 1 症例
非依存性大結節性副腎過形成
1
君津中央病院 内分泌代謝科、2 千葉大学大学院医学研究院細胞治 1 熊本大学 医学薬学 研究部代謝内科学 2 菊池郡市医師会立病院
療学
中村 晋 1、内田 大学 1、龍野 一郎 2
井形 元維 1,2、村田 雄介 1、堤 厚之 1、本島 寛之 1、豊永 哲至
1
、宮村 信博 1、荒木 栄一 1
症例は 65 歳女性、糖尿病、高血圧症等にて近医通院中に肥満とコル 【症例】74 歳女性。66 歳時に髄膜腫摘出術を受けた。既往に高血圧、
チゾール値の異常で当科に紹介受診。
ホルモン基礎値ではACTH正常、 糖尿病、高脂血症あり。68 歳時、健診の超音波検査にて両側副腎腫
身体的に明らかな Cushing 徴候があり内分泌学
コルチゾール低値を示し、ACTH 負荷でコルチゾール低値無反応、CRH 大を指摘され紹介。
負荷、ITT で ACTH の反応を認めるもコルチゾール低値無反応であっ 的に副腎性 Cushing 症候群と診断。両側副腎は多結節性の著明な腫
ACTH 非依存性大結節性副腎過形成(AIMAH)と考えら
た。満月様顔貌、中心性肥満や野牛肩などのクッシング様体型を呈 大を呈しており、
し、高血圧症に対しニフェジピン 40mg/day、バルサルタン 80mg/day れた。AIMAH に特徴的な、AVP 負荷による ACTH 上昇を介さない
の投与、血糖コントロールのため混合型アスパルト製剤を 1 日 60 単 cortisol の上昇反応も確認。治療は両側副腎摘出術を選択。病理所
位使用している。本症例では、血中コルチゾール値が低値であるに 見は AIMAH に一致、組織の RT-PCR にて異所性の AVP 受容体の存在を
もかかわらずクッシング徴候を呈しており、理学所見や臨床症状か 確認した。術後 6 年間は経過良好であったが、本年7月、全身倦怠
らコルチゾールに対する細胞の感受性が亢進している可能性が考え 感出現。腹部 CT にて左上腹部に 41x24mm の結節を認め、AIMAH の再
られた。1990 年にコルチゾール過敏症候群として国内で 1 例発表さ 発も疑われ入院。精査の結果、胃壁に悪性リンパ腫が発見され、結
れておりコルチゾールに対する受容器の感受性の亢進によりクッシ 節も PET 陽性でリンパ腫と考えられた。当院血液内科にて化学療法
【考察】患者の第 2 子(男性)
ング徴候を呈することがあることが報告されている。本症例は臨床 を施行され腫瘍の縮小を認めている。
母親
症状がよく似ており、非常に珍しい病態であると考えられたため報 に高血圧があり Cushing 徴候も疑われたため画像診断を施行、
よりサイズは小さいが AIMAH に矛盾しない両側副腎腫大を認めた。
告した。
デキサメサゾン抑制下で AVP に対する cortisol の反応を認めたた
め、男性も AIMAH と診断、家族性 AIMAH と考えられた。男性は
preclinical cushing の基準をも満たさなかったため経過観察とし
ている。髄膜腫、リンパ腫の発生は認めない。家族性 AIMAH につい
てはその後韓国から報告があり、本例と同様髄膜腫を併発していた
点が興味深い。
AIMAH の病因については副腎における異所性受容体等
の発現との関連が推定されているが、遺伝子レベルでは未だ解明さ
れていない。家族性 AIMAH では本例のように副腎外の腫瘍性疾患を
併発しやすい可能性もあり今後の検討が必要である。
P-1-05-06 原発性色素性結節性副腎異形成が疑われる Cushing 症 P-1-05-07 自律性分泌に左右差を認めた両側副腎性クッシング症
候群の 1 例
候群の一例
1
1
熊本大学 医学部 代謝内科
順天堂大学 医学部 内科学 代謝・内分泌学講座、2 東北大学大
学院病理診断学
板井 香織 1、阪口 雅司 1、西岡 裕子 1、松吉 亜紀子 1、近藤 龍
也 1、古川 昇 1、水流添 覚 1、豊永 哲至 1、宮村 信博 1、荒木 栄
一1
【症例】16 歳の女性。生来健康。家族歴に高血圧が多いがその他は
特記事項なし。小学校の時は標準体重であったが 10 歳頃から体重増
加がみられた。15 歳時の健康診断で高血圧を指摘され公立医療機関
を受診。Cushing 症候群が疑われ当院紹介となった。身長 148.7cm、
体重 63.5kg。血圧 152/102mmHg、満月様顔貌、顔面紅潮、頬部・背
部の尋常性ざ瘡、中心性肥満、腹部皮膚線条、野牛肩傾向を認めた。
骨塩量の低下(BMD=0.651g/cm2)あり。ACTH 測定感度以下、コルチ
ゾール(F)24μg/dl、血糖値 135mg/dl、IRI 264μU/ml。F の日内
変動消失を認め、
デキサメサゾン
(DEX)
1mg抑制試験では16.3μg/dl。
CRH 負荷試験に ACTH は無反応。CT、MRI の画像診断では下垂体には
明らかな異常なく、副腎はサイズ、形状ともに正常であった。副腎
シンチグラムでは両側副腎にやや強い集積を認め、
DEX 抑制下シンチ
でも抑制がかからず同様な集積を認めた。
この時の DEX 投与前後で F
の上昇(F:14.8→21.3μg/dl、尿中 17OHCS:19.2→22.7mg/day)を
認めた。以上の結果から原発性色素性結節性副腎異形成(PPNAD)が強
く疑われた。Carney complex を示唆する他の所見は得られなかった。
保存的治療を希望されたためメチラポン内服を選択。
500mg 分2
(昼、
夕)から開始した。Cushing 徴候には著明な改善が認められたが、肝
酵素の上昇がみられたため 375mg/日に減量し経過観察中。
【考察】
病
理学的な診断は確定していないが本例は臨床的に PPNAD と診断して
よいと考えられる。保存的な治療としてトリロスタン投与も考慮さ
れるが、3βHSD 阻害による性腺系への影響も考慮しメチラポンを選
択した。今後の長期的経過観察が必要である。
阿部 浩子 1、酒井 謙 1、立之 美佳 1、渡邊 隆宏 1、清水 友章 1、
綿田 裕孝 1、弘世 貴久 1、笹野 公伸 2、河盛 隆造 1
【症例】53 歳女性【現病歴】10 年来の高血圧、高脂血症で近医通院
加療。2005 年末から顔面紅潮、満月様顔貌出現、2006 年 6 月 ACTH
低値、血中コルチゾール(F)高値を認め当科紹介。
【理学所見】身
長 151.0cm、体重 50.7kg、血圧 152/80mmHg、満月様顔貌、中心性肥
満及び皮膚菲薄化を認める。
【検査結果及び経過】
ACTH 5 pg/ml 未満、
F 20.9μg/dl、23 時の F 20.3μg/dl、尿中遊離 F 771.9μg/day/m2、
デキサメタゾン抑制試験(DST)1mg 20.6μg/dl、8mg 18.9μg/dl と
F の自律性過剰分泌を認めた。一方、副腎 CT では左副腎に内部均一
な径 25mm の腫瘤認めるのに加え、右副腎の腫瘤性病変を確認した。
また 131I-アドステロールシンチ上両側副腎に一致した取り込みを
認めた。以上より両側副腎病変によるクッシング症候群と診断した。
腹腔鏡での一期的両側副腎手術が不能であった為、まず左副腎に対
し腹腔鏡下副腎摘出術を施行した。病理学的に副腎皮質腺腫と付着
正常副腎の萎縮を確認した。術直後 DST は、1mg 4.9μg/dl、8mg 6.8
μg/dl と抑制不良であった。術後グルココルチコイド補充なしでも
全身倦怠感、関節痛などが出現せず、補充なしで経過観察とした。
顔面紅潮は消失、高血圧は改善傾向にある。ごく最近の術後1ヶ月
早朝 F は 3.7μg/dl である。
【考察】少なくとも片側が腺腫である両
側副腎性クッシング症候群が比較的稀であること、思いのほか自律
性分泌に左右差を認めていたこと、今後のクッシング徴候、データ
の経過も興味深いことより、発表時には、最近の経過も添えて報告
する。
P-1-06-01 一般診療クリニックの高血圧患者における原発性アル P-1-06-02 原発性アルドステロン症手術の高血圧治療に与える影
ドステロン症のスクリーニング
響−過去7年間の自験例から
1
1
みさと健和病院 内科、2 京都医療センター
弘前大学 医学部 内分泌代謝内科学
宮崎 康 1、成瀬 光栄 2
目的:近年、原発性アルドステロン症(PA)は高血圧患者の 5%以上
を占めると報告されているが、主に大学病院や市中大病院における
検討で対象患者のセレクションバイアスが否定できない。今回、一
般診療クリニックに通院中の高血圧患者を対象に、PA のスクリーニ
ングを実施したので報告する。方法:対象は 2006 年 6 月から 8 月末
までに、3 つのクリニックを受診した 398 例の高血圧症患者(男性
190 例、女性 208 例、降圧薬内服 390 例)
。ACEI あるいは ARB 使用例
はそのまま、βブロッカー(BB)使用者は2週以上中止あるいはカ
ルシウム拮抗薬に変更後、外来で随時採血し、血漿レニン活性(PRA
ng/ml/hr)と血漿アルドステロン濃度(PAC pg/ml)を測定した。PAC
≧100 かつ PRA<1(第1基準)あるいは PAC<100 かつ PAC/PRA≧200
(第2基準)を満たすものをスクリーニング陽性。機能的確認試験
として二者負荷試験(30分臥床安静後フロセミド 40mg 静注、2 時
間立位)を行い、PRA(2 時間)<1 を「機能的PA」と診断し、副
腎CTを実施した。結果:1)第1基準を満たすもの 37 例(9.3%)
、
第2基準を満たすもの 21 例(5.3%)で、計 58 例(14.6%)がスク
リーニング陽性であった。2)第1基準を満たした 37 例中 32 例、
第2基準を満たした 21 例中 17 例、計 49 例に二者負荷試験を実施、
負荷前および負荷後の各々が判定基準を満たした症例は、第一基準
陽性例が 13 例、第二基準陽性例が 8 例の計21 例で、全体の 5.3%
であった。3)副腎CTは 21 例中 19 例に実施し 4 例に異常を認め
た(実施例中 21%)
。考察:PAC、PRAの基礎値およびフロセミ
ド立位試験陽性例は全体の 5.3%であった。今後、カプトリル試験な
どでの精度向上を検討中である。
P-1-06-03 原発性アルドステロン症 17 例の臨床像について
二川原 健 1、崎原 哲 1、蔭山 和則 1、照井 健 1、福田 祥子 1、
川嶋 詳子 1、高安 忍 1、森山 貴子 1、田辺 壽太郎 1、川原 昌
之 1、山下 真紀 1、是川 あゆ美 1、対馬 悠子 1、須田 俊宏 1
【目的】原発性アルドステロン症 (PA) の頻度の高さが近年見直さ
れている。その認識を更に広めるために、PA がどれだけ治癒可能な
高血圧症であるか、具体的な証明を update していくことが重要と思
われる。我々は自験例で、PA 手術後にどの程度高血圧治療が変化し
たかを調査した。
【対象と方法】PA の診断は (i) PRA≦1 ng/ml/h,
(ii) PAC≧10 ng/dl, (iii) 立位 furosemide 試験 2 時間で PRA≦1
ng/ml/h によった。2004 年以降は病側診断に ACTH 負荷併用副腎静脈
血サンプリングを用いた。2000 年 4 月から 2006 年 10 月までに当科
で内分泌学的精査が行われた PA 症例のうち、21 症例(36-71 歳、女
性 14 例)で手術療法(片側副腎摘除)が選択された。これらは 1 例
を除いて何らかの降圧剤を必要としていた
(20 例で Ca 拮抗剤の中心
用量から高用量。5 症例はα遮断薬併用)
。
【結果】組織学的に 18 例
が副腎皮質腺腫と診断された。手術後全例で PAC≦10 ng/dl もしく
は PRA≧1 ng/ml/h への改善が見られた。術直後の精査時、朝食後
安静臥位血圧に大幅な変化はなかったが(術前平均 136/82 mmHg)
、
降圧剤が減量可能となった症例が 3 例、降圧剤を離脱した症例が 10
例存在した。降圧剤の離脱や減量が不可能であった症例には、高血
圧罹病期間が長いもの(平均 24 年)や、既に脳梗塞や腎障害等の血
管合併症を有しているものが目立った。薬物療法を選択した症例と
の比較を加えて報告する。今後他の動脈硬化指標をも観察していく
必要がある。
P-1-06-04 複数副腎疾患合併症例の頻度と臨床的重要性について
の検討
1
天理よろづ相談所病院 内分泌内科
奥山 さくら 1、田中 正巳 1、飯降 直男 1、植田 玲 1、古家 美幸
、玉那覇 民子 1、辻井 悟 1、石井 均 1
【目的】当院で経験した原発性アルドステロン症(PA)17 例の臨床
像を解析し、今後の臨床に役立てる目的で本研究を行った。
【方法】
2001 年 4 月から 2006 年 10 月の間に当院で経験した PA17 症例
(男性
8 例、女性 9 例)について検討した。
【成績】17 例すべてが他院、あ
るいは当院他科から当院内分泌内科に紹介された症例であった。患
者年齢は 23 歳から 79 歳に分布し、20 歳代 3 例、30 歳代 1 例、40
歳代 6 例、50 歳代 2 例、60 歳代 2 例、70 歳代 3 例で、平均 49.5+17.0
歳であった。17 例全例で高血圧を認め、12 例で血圧コントロールは
不良であった。PA の病型は、一側腺腫が 15 例、両側腺腫疑いが 1
例、特発性アルドステロン症(IHA)が 1 例であった。17 例中 13 例
で 3.5mEq/l 以下の低カリウム血症を認め、四肢麻痺、多尿をそれぞ
れ 4 例ずつ認めた。全例で PRA/アルドステロン比は高値であった。
デキサメサゾン抑制シンチが施行された 16 例中 15 例で病変が描出
された。13 例で腹腔鏡下副腎摘出術が試行され、病理で全例 adenoma
と診断された。術後追跡可能な 11 例中 2 例では、術後も血圧コント
ロールは困難であった。高血圧発症から手術までの期間は平均
10.8+7.48 年であった。手術未施行の 4 例中、1 例は一側腺腫の診断
で手術予定である。残り 3 例で手術を行っていない理由は、IHA のた
め、両側腺腫が疑われ、かつ薬物で高血圧、低カリウム血症がコン
トロール可能のため、
高齢で手術を希望しなかったためが各々1 例ず
つであった。
【結論】典型的な PA 症例が多かったが、その理由とし
て、高血圧発症から手術までの期間が長かった可能性がある。PA は
臓器障害の合併が多く、手術までの期間を短縮することが大切であ
る。そのためには PA の診断、治療に関しての病診連携が極めて重要
と考えられた。
1
社会保険中央総合病院 内科・糖尿病内分泌科、2 横浜労災病院 内
分泌代謝内科
大村 昌夫 1、齋藤 淳 2、板橋 直樹 1、齊藤 寿一 1、西川 哲男 2
1
P-1-06-05 原発性アルドステロン症(PA)と subclinical Cushing
症候群(SCS)を合併した 4 症例
1
東京医科歯科大学大学院 分子内分泌内科学、2 東京医科歯科大学
大学院 泌尿器科学
泉山 肇 1、関澤 直子 1、加藤 真子 1、谷 祐至 1、神山 隆治 1、
土井 賢 1、木原 和徳 2、平田 結喜緒 1
今回我々は、PA と SCS を合併した 4 症例の臨床内分泌的特徴を検討
した。【症例 1】44 歳、女性。高血圧(+)、低 K 血症(+)、
PRA(0.2ng/ml/hr)、PAC(20ng/dl)、左副腎腫瘍(15×20mm)あり。
ACTH(10pg/ml)、F(12μg/dl)、クッシング徴候(-)、日内変動(-)、
DEX 抑制試験 8mg(-)、副腎シンチ左副腎集積(+)。ACTH 刺激後副腎静
脈サンプリング(AVS)で副腎静脈中 PAC(左:1432→2406/右:19→
103ng/dl)。以上より左 PA+SCS と診断、左副腎腫瘍摘出術施行。
【症
例 2】60 歳、女性。左副腎偶発腫(20×25mm)指摘。高血圧(+)、
PRA(0.1ng/ml/hr)、PAC(15ng/dl)。ACTH(<5pg/ml)、F(14μg/dl)、
クッシング徴候(-)、日内変動(-)、DEX 抑制試験 8mg(-)、副腎シン
チ左副腎集積(+)。AVS で副腎静脈中 PAC(左:43→1701/右:868→
1289ng/dl)。左 PA+SCS と診断、左副腎腫瘍摘出術施行。
【症例 3】
75 歳、女性。左副腎偶発腫(30 × 25mm) あり。高血圧(-) 、
PRA(0.1ng/ml/hr)、PAC(11ng/dl)。ACTH(7pg/ml)、F(11μg/dl)、ク
ッシング徴候(-)、日内変動(-)、DEX 抑制試験 1mg(+)、副腎シンチ
左副腎集積(+)。AVS で副腎静脈中 PAC(左:23→984/右:79→
2301ng/dl)。右 PA+SCS と診断、右副腎摘出術予定。
【症例 4】56 歳、
女性。高血圧(+)、PRA(0.3ng/ml/hr)、PAC(8.3ng/dl)。左副腎腫瘍
(20×20mm)あり。ACTH(<5pg/ml)、F(14μg/dl)、クッシング徴候(-)、
日内変動(-)、DEX 抑制試験 8mg(-)、副腎シンチ左副腎集積(+)。AVS
で副腎静脈中 PAC(左:19→1008/右:12→384ng/dl)。左 PA+SCS と診
断、左副腎腫瘍摘出術施行予定。
【結語】PA に SCS を合併する症例は
比較的多いものと予想され、本症の内分泌病理学的特徴を考察する。
P-1-07-01 重篤な DIC を発症した甲状腺クリーゼの1例
【緒言】画像検査で発見される副腎偶発腫瘍や二次性高血圧のスク
リーニング検査で診断される副腎性高血圧の増加している。副腎疾
患の増加に伴い同一患者に複数の副腎疾患が合併する症例も増加し
ている。そこで複数の副腎疾患合併症例の頻度と臨床上の特徴や問
題点を検討したので報告する。
【症例】我々が経験した副腎疾患 305
例を対象とし、内分泌検査所見、画像検査所見、副腎静脈採血所見、
摘出副腎病理所見を検討した。【成績】アルドステロン産生腺腫
(APA) 94 例、特発性アルドステロン症(IHA) 52 例、片側性多発副腎
微小結節(UMN) 5 例、クッシング症候群(CS)17 例、プレクリニカル
クッシング症候群(PCS) 34 例、褐色細胞腫 7 例 (Ph)、非機能性副腎
腫瘍(NF)118 例、その他 13 例の 340 疾患が診断され、35 例で複数の
副腎疾患の合併が診断された。このうち原発性アルドステロン症
(APA+IHA+UMN)と NF の合併が 19 例と最も多く、ついでコルチゾール
産生腺腫(CS+PCS)と原発性アルドステロン症(APA+IHA)の合併が 13
例認められた。また画像検査で容易に発見可能な副腎腫瘍 238 例の
反対側副腎に片側副腎摘除で治癒が期待できるが画像検査上異常所
見のないアルドステロン産生微小腺腫やUMN が合併した症例が15 例
(6%)存在した。
【結論】同一症例に複数の副腎疾患が合併する頻度
は副腎疾患全体の 11%であり、合併する副腎疾患により治療優先順
位が異なることから、副腎疾患の診断では常に複数の副腎疾患が合
併する可能性を念頭におき詳細な内分泌検査と副腎静脈採血による
機能的局在診断により治療法を決定することが重要と考えられた。
P-1-06-06 アドステロールシンチ SPECT 像が局在診断に有用であ
ったアルドステロン症の一例
1
京都大学大学院 医学研究科 内分泌代謝内科
曽根 正勝 1、田村 尚久 1、福永 康智 1、宮下 和季 1、朴 貴典 1、
澤田 直哉 1、小山田 尚史 1、田浦 大輔 1、犬塚 恵 1、園山 拓
洋 1、中尾 一和 1
症例は 35 歳男性。6 年前より近医にて高血圧と血清カリウム低値を
指摘され、立位負荷試験で血漿レニン活性の上昇がなく、血漿アル
ドステロン濃度の低下を認めたため、原発性アルドステロン症と診
断された。腹部CTでは左副腎に径約 1cm の低吸収域が認められた。
同院にて副腎静脈サンプリング施行したところ、副腎静脈に挿入で
きず、平成 18 年 2 月当院紹介受診された。当院にて副腎静脈サンプ
リングを行ったところ、左副腎よりアルドステロン過剰分泌が認め
られたものの、右副腎は正しくサンプリングされなかった。そこで
副腎アドステロールシンチ(デキサメサゾン抑制下)施行したとこ
ろ、後面像でははっきりした集積を認めなかったものの、SPECT 像で
の解析にて CT での左副腎の低吸収域に一致して明瞭な集積を認め、
右副腎部には集積が認められなかった。これらの結果から、左副腎
のアルドステロン産生腺腫と診断し、腹腔鏡下左副腎摘出術を施行
した。術後は血圧、血清 K 値、血中尿中アルドステロンとも正常化
した。病理所見は、摘出左副腎に被膜を伴う clear cell 主体の腫瘍
を認め、左副腎皮質腺腫と診断された。原発性アルドステロン症の
局在診断には、副腎静脈サンプリング・副腎アドステロールシンチ
などの分泌の局在を証明する検査が必要である。副腎アドステロー
ルシンチは従来は腫瘍径15mm以下の副腎病変の検出は困難だと考え
られていた。しかし、SPECT 像を用いることにより従来の後面像で検
出不可能な腫瘍も検出でき、さらに3次元的な位置を CT 像と比較す
ることにより偽陽性も除外できるなどの利点もあり、局在診断に有
用であったのでここに報告する。
P-1-07-02 抗甲状腺剤内服中に横紋筋融解症をきたしたバセドウ
病女児
1
1
徳島県立中央病院 内科
白神 敦久 1、松平 敬史 1、宮城 順子 1、柴田 泰伸 1、重清 俊雄
虎の門病院 小児科
伊藤 純子 1、横谷 進 1
1
【症例】58 歳、女性。
【主訴】発熱、発汗【現病歴】H18 年 12 月 25
日にうつ状態のため近医に入院。入院後、発熱、振戦、発汗あり。
甲状腺クリーゼにて同日 20 時当院へ入院となる。1週間ぐらい抗甲
状腺薬を服用していないとのことであった。
【入院時所見】意識清
明、発汗著明。顔面、体幹部に発赤を認める。甲状腺腫大あり。心
音;収縮期雑音あり。体温 38.7℃、脈拍 153、整。血圧 185/96、WBC
5900、血小板 15.0 万、CRP 0.2mg/dl、FT3 10.1pg/ml、 FT4 4.6ng/dl、
TSH 0.003μIU/ml サイロイドテスト 100 倍未満、マイクロゾーム
テスト 400 倍 【経過】抗甲状腺薬の中断による甲状腺クリーゼと
診断、MMI 30mg/day、プロプラノロール 20mg/day、ヨード 100mg/day、
ヒドロコルチゾン初回200mg、
以後8時間毎に100mg投与を開始した。
27 日午前 9 時には体温 37.8℃、脈拍 90、甲状腺ホルモンも FT3
3.8pg/ml、 FT4 2.3ng/dl、と改善した。ところが、同日 15 時より
体温 40.8℃、脈拍 102 と上昇、19 時には 41.8℃、脈拍は 140、意識
レベル低下、低酸素血症をみとめ、挿管、人工呼吸器装着した。心
エコーにて左室収縮力は hyperkinetic、左室内閉塞あり、脱水によ
る心拍出量低下が疑われ、4000ml 輸液を行うが、循環状態改善しな
かった。血液検査にて血小板 2.6 万、PT 38.4 秒、APTT 267.0 秒、
FDP 571.8ng/ml と著明な DIC を認めたため、FOY 1500mg 開始した。
その後もベータブロッカー投与、昇圧剤投与を行うも改善なく、28
日 2 時に死亡した。
【考察】
甲状腺クリーゼは死亡率が 20-30%と予後
不良である。死因は主に心不全であり、甲状腺クリーゼ治療中に DIC
を発症した報告はあまりない。本症例ではクリーゼの治療中に重篤
な DIC を発症し、予後に影響を与えたと示唆される。
バセドウ病治療中、甲状腺ホルモン値低下に伴い軽度の CK 上昇
を見る事は多いが、横紋筋融解症をきたしたという報告はまれであ
る。我々はバセドウ病治療中の女児において、メチマゾール・プロ
ピオチオウラシル両剤の投与後に著明な CK 高値を呈し、抗甲状腺剤
による横紋筋融解症と考えられた症例を経験したので報告する。
症例は 14 歳女性。前医にて高血圧、頻脈を指摘され、びまん性
甲状腺腫あり、FT3 2473 pg/dl、FT4 6.94 ng/dl、TSH<0.03 μU/ml、
抗 TSH レセプター抗体 8.7 IU/L (57.8%)、ヨード摂取率 76%(24
時間値)でバセドウ病と診断された。メチマゾール(MMI)30mg/日
にて治療開始したが、甲状腺機能の抑制が十分でなく精神的に不安
定な状態が続くため、3-6 週にかけて 40mg から 50mg /日へと徐々に
増量した。治療開始後 2 ヶ月時、睡眠中にふくらはぎがつるという
訴えあり、両下肢筋痛、腫脹著明、CK 8908 IU/L と上昇を認めミオ
グロビンも高値のためMMIによる横紋筋融解症と考えて内服を中止、
ヨウ化カリウム(KI)50mg/日に変更した。筋痛は改善し、MMI 中止
後 10 日間で CK は 461 IU/L まで低下した。KI により甲状腺機能低下
の状態となっており、同日から KI 5mg/日へ減量、レボチロキシンナ
トリウム 50μg/日、プロピオチオウラシル(PTU) 200mg/日を開始し
た。翌日、再び筋肉痛生じ、CK 965 IU/L と再度上昇を認めたため
PTU の内服を中止、
服用中止後 1 週間には CK 212 IU/L まで低下した。
KI による治療を継続しつつ、再度 PTU 50mg/日の投与を行ったが、
CK 再上昇を認めたため、抗甲状腺剤による治療は困難と考え、手術
的治療となった。
MMI による横紋筋融解症はすでに報告されているが PTU では CK
上昇症例が報告されているのみである。文献的考察を交えて提示す
る。
P-1-07-03 周期性四肢麻痺を合併したプランマー病の一例
P-1-07-04 甲状腺クリーゼの 2 治験例
1
黒部市民病院 内科、2 金沢大学大学院医学系研究科 バイオトレ 1 大阪赤十字病院 糖尿病・内分泌内科
ーサ診療学
家城 恭彦 1、吉澤 都 1、道岸 隆敏 2
政次 健 1、田中 督司 1、武呂 誠司 1、隠岐 尚吾 1
症例は 51 歳、男性。既往歴には特記事項なし。家族歴には甲状腺疾
患なし。1988 年に右頚部腫瘤を主訴に当科受診。US にて甲状腺右葉
に 50×24mm の腫瘤を認め、甲状腺機能は亢進(TSH<0.1μIU/ml、
FT3 5.1pg/ml、FT4 1.9ng/dl、TRAb<0.1%)し、I-123 甲状腺シン
チでは同部に一致した集積増加(周辺部位には集積なし、摂取率:
33.0%(3 時間)、46.6%(24 時間))を認めたことからプランマー病
と診断された。針生検での組織は濾胞腺腫であった。手術を勧める
も仕事の都合で拒否したため、メルカゾールの投与が開始された。
その後も手術を拒否し続けたため、メルカゾールの内服を続けてい
たが、1991 年 11 月までは甲状腺機能は正常であった。以後は他院に
転院して内服を継続したが、血液検査は受けていなかった。しかし、
3-4 年前からは内服が不規則となり、2006 年 9 月からは中断してい
た。10 月下旬に感冒様症状を認め、その後四肢近位部の疼痛と四肢
の脱力を認めるため、当院救急外来を受診した。身体所見では、血
圧 145/76mmHg、脈拍 111/分、不整、体温 36.8℃、意識清明、結膜:
貧血なし、黄疸なし、頚部:弾性軟の右結節性甲状腺腫、胸・腹部:
異常なし、四肢:下腿浮腫なし、手指振戦あり、両握力、両足背筋
力、右大腿筋力に低下あり、病的反射なし。検査成績では、心電図:
心房細動、血液:サイロイドテスト<100 倍、マイクロゾームテスト
<100 倍、
TSH<0.01U/ml、
FT3 10.4pg/ml、
FT4 3.9ng/dl、
TRAb<1.0%、
TSAb 142%、CPK 2149U/l、K 1.7mEq/l を認めた。以上より、本例は
プランマー病に低 K 血症性の周期性四肢麻痺を合併した比較的稀な
症例と考えられた。さらに本例は、18 年に及ぶ長期の経過中、今回
初めて周期性四肢麻痺を発症した点でも興味深い症例と考えられ
た。
P-1-07-05 アミオダロン誘発性甲状腺中毒症における甲状腺
I, 99mTc 摂取率および甲状腺カラードップラーの検討
123
甲状腺クリーゼは、甲状腺機能亢進症に意識障害、発熱、頻脈、嘔
気、嘔吐などの症状を伴う病態である。今回、我々は、心不全や感
染症を伴い甲状腺クリーゼと診断した 2 症例を経験したので報告す
る。症例 1 59 歳男性。平成 16 年 12 月頃より全身倦怠感、動悸、
下痢が持続し呼吸困難も出現したため、翌年 1 月 14 日近医受診、心
不全と診断された。入院治療を開始したが改善なく、脈拍も 150/分
まで上昇し、
意識消失をきたしたため1 月17 日当院に転院となった。
明らかな甲状腺腫は認めず。翌日の血液検査で FT3 6.52pg/mL、FT4
>6.0ng/dL、TSH 感度以下、GOT786IU/L、GPT325IU/L、T-Bil4.4mg/dL
など多臓器の機能不全を認め甲状腺クリーゼと診断した。抗甲状腺
剤(チアマゾール)
、副腎ステロイド剤で治療、第 5 病日には意識障
害は消失、経口摂取可能となった。抗甲状腺剤、ステロイドは減量
し、自他覚症状、検査成績は改善した。症例 2 27 歳男性。2 年前体
重は 61kg であったが徐々に減少し 52kg となった。
平成 18 年 1 月 31
日 39 度 C の発熱が出現し、嘔吐と下痢も出現したため 2 月 6 日近医
受診した。胸部 X 線で異常陰影を指摘され当院に救急搬送された。
頻脈、意識障害と甲状腺腫を認め、FT3>30pg/ml、FT4>6ng/dl、TSH
感度以下、CRP5.6mg/dl から甲状腺クリーゼと診断した。直ちに抗甲
状腺剤、副腎ステロイド、ヨウ化カリウムを開始した。胸部の異常
陰影は画像検査で 7cm の肺膿瘍と診断した。この際、ヨード造影剤
を使用したところ頻脈、下痢、嘔吐の改善をみた。抗甲状腺剤、ス
テロイド剤により甲状腺機能は改善し、肺膿瘍も抗生剤で最終的に
消失した。甲状腺クリーゼは比較的稀な病態であるが、頻脈、発熱、
意識障害を認めた時は積極的にクリーゼを疑い迅速な診断、対応が
求められる。
P-1-07-06 メチマゾールに高度の抵抗性を示した重症バセドウ病
小児の 1 例
1
東京女子医科大学 内分泌疾患総合医療センター 内科、2 東京女 1 東邦大学医学部内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌科、2 伊藤病院
子医科大学 循環器内科、3 東京女子医科大学 放射線科
木村 寛也 1、佐藤 幹二 1、小野田 教高 1、高野 加寿恵 1、志賀 剛 渡邊 奈津子 1、吉村 弘 2、向笠 浩司 2、石井 律子 2、北川 亘 2、
2
皆川 晃伸 2、清水 妙子 2、伊藤 國彦 2、伊藤 公一 2、坪井 久
、笠貫 宏 2、牧 正子 3、日下部 きよ子 3
美子 1、芳野 原 1
【はじめに】アミオダロン誘発性甲状腺中毒症(AIT)には、甲状腺 (症例)11 歳女児(現病歴) 05 年 6 月より発汗、頸部腫大が出現。
ホルモン産生亢進型(I型)と破壊性甲状腺炎型(II 型)がある。 12 月近医受診し FT4 8.0ng/dl、TRAb58%よりバセドウ病(GD)と診断
I型と II 型 AIT では、その治療法も多いに異なるため、鑑別診断が され 06 年 1 月 MMI 20mg/日開始。2 月より 1 ヶ月の安静入院を経て
重要であるが、時に鑑別が難しいことがある。欧米では、甲状腺 123 MMI60mg/日、プロプラノロール 60mg/日に漸増された。服薬は家庭で
8 月 1 日術前コント
I, 99mTc 摂取率および甲状腺カラードップラーが鑑別に有用である 管理されるも改善無く 4 月手術目的で当院受診、
とされている。今回、当院でのこれまでの検査成績について報告す ロール目的に入院となる。FT3>32.5 pg/ml、FT4>7.8ng/dl、
る。
【方法】当院にてアミオダロンを投与され、甲状腺中毒症をきた TRAb91.8 % と高度機能亢進状態で MMI 60mg/日は嚥下まで服薬を確
した 50 症例余りのうち、ほぼ全例に甲状腺カラードップラーを施行 認、KI 100mg/日併用、プロプラノロールは 90mg/日に増量した。6
し、鑑別が困難であった症例には甲状腺 123I, 99mTc 摂取率を施行し 日から PSL30mg/日を追加し 12 日 FT3 13.6 pg/ml と改善も 14 日には
た。
【結果】II 型 AIT では、全例において甲状腺カラードップラーで 17.0 pg/ml と悪化した。ヨードのエスケープ現象と考え同日より
血流量は減少しており、甲状腺 99mTc 摂取率も低値であった。しかし PSL、KI を中止しヨード制限開始。MMI は吸収障害の可能性を考え 19
ながら、TRAb が強陽性, TSAb が陰性で、バセドウ病も疑われた1症 日から 40mg/日静注に変更。21 日からは KI100mg/日を再開、MMI
例では、甲状腺 123I摂取率は 3hr 値 4.1%, 24hr 値 4.9%、99mTc 摂 60mg/日へ増量、PSL30mg/日を追加した。28 日 FT3 10.7pg/ml と低下
取率も 1.76%であり、II 型 ATI 群と比較すると明らかに高値であっ も翌 29 日には 12.5pg/ml と上昇。KI 300mg/日に増量、デキサメサ
た。
【結語】アミオダロン内服中のような大量の無機ヨードを摂取し ゾン 4mg 筋注を 16、21 時、30 日 7、10 時と継続したところ FT3 10.5
ている患者では、特に甲状腺 123I摂取率が低下しているため、AIT pg/ml までコントロールされ同日甲状腺全摘術を施行した。術前の
の診断が困難となることがある。当院にて、造影 CT 検査直後に施行 MMI30mg 内服および 20mg 静注の前後 1、2、3、4、12 時間後の MMI
されてしまった未治療バセドウ病患者の甲状腺 123I摂取率
(24hr 値) 血中濃度は各々順に 0.3、0.5、1.1、0.9、0.8、0.4μg/ml および 0.4、
が 3-4%程度であったことから推測して、
この1例はI型 AIT であっ 0.9、0.7、0.6、0.3μg/ml であった。また MMI 甲状腺組織中濃度は
3.4μg/g tissue であった。
(まとめ)MMI 長期大量治療に抵抗性を
た可能性が高いと考えられた。
示した小児 GD を経験した。術前コントロールに KI およびステロイ
ドが有効であった。血中および組織中 MMI 濃度は保たれており抵抗
性の機序は何らか甲状腺内の MMI 作用不全と推測された。
P-1-07-07 G-CSF 製剤投与で改善を認めた MMI による重症無顆粒 P-1-08-01 副腎皮質機能評価法としての少量 ACTH 試験の意義
球症の一例
1
1
国立病院機構 熊本医療センター 代謝内科、2 田尻クリニック
大阪大学大学院医学系研究科 内分泌・代謝内科、2 京都府立医科
大学大学院 地域保険医療疫学、3 滋賀県立大学人間看護学部、4 医
療法人宮武内科
市原 ゆかり 1、児玉 章子 1、高橋 毅 1、小堀 祥三 1、東 輝一朗 森田 真也 1、笠山 宗正 1、大月 道夫 1、藤田 麻里 2、藤田 きみ
1
ゑ 3、宮武 明彦 4
、田尻 淳一 2
症例は37 歳女性.H18 年9 月2 日,バセドウ病と診断され,チアマゾー 【目的】下垂体-副腎皮質機能検査として、250μg 製剤を用いた迅速
ル開始.経過良好であったが,11 月 13 日,38.4℃の発熱,右耳下腺腫 ACTH 試験が長年にわたり利用されている。一方、潜在性副腎皮質機
脹,圧痛を認めた為,近医受診し,WBC1400/μl(好中球 25/μl)の無顆 能低下症の診断には、少量(1μg)ACTH を用いた ACTH 試験が望まし
粒球症を認めた.11 月14 日,加療目的で当科入院.入院時WBC1800/μ いことも報告されている。今回、吸入ステロイド薬(ICS)で治療中
l(
桿 状 核 球
54/
μ l)Hb12.1g/dl,PLT21.6 の喘息患者の副腎皮質機能について、少量(1μg)ACTH 試験による評
万,AMY268IU/l,AST37IU/l,ALT29IU/l,CRP6.62mg/dl.クリーンベッ 価を行った。また、副腎皮質機能と骨密度との関連について検討し
ドを使用し,G-CSF75μg 連日皮下注射を開始.チアマゾールを中止 た。
し,ヨード 38.5mg に変更し,塩酸セフェピム静脈内投与,イソジンガ 【対象と方法】最近1年間にステロイド薬の経口・静脈内投与歴の
ーグルうがい,アンホテリシン B 内服を開始した.11 月 16 日のみ ない ICS 治療喘息患者 56 例(年齢 63±11 歳)を対象とした。ICS
G-CSF150μg を使用,その他は連日 75μg を 11 月 19 日まで使用し, の平均投与量はフルチカゾン換算で 493±140μg/日であった。午前
徐々に好中球の回復を得た.感染の増悪もなく,11 月22 日退院.12 月 9 時∼9 時 30 分に合成 ACTH1μg を静注し、前・30 分・60 分後の血
1 日に I131(10.4mCi)投与を開始した.抗甲状腺薬の副作用として無 清コルチゾール(F)値を測定した。F前値<11μg/dl かつ 30 分後
顆粒球症は頻度は低いが重篤である.重症の無顆粒球症に対して F値<18μg/dl を低反応と判定した。骨密度を測定し得た女性 31
G-CSF 製剤は効果が期待できぬ事も多いとされるが,今回の症例では 例について、骨密度(Zスコア)と ACTH 試験時の反応性との関連を
G-CSF6 日間投与で回復し,第 9 病日で退院することができた.若干の 検討した。
【結果】56 例中 14 例(25%)が少量 ACTH 試験で低反応と判定され
考察を踏まえ報告したい.
た。これら低反応例と正常例(42 例)には年齢・性・喘息罹病期間・
ICS の1日投与量に有意差を認めなかった。
低反応例の大腿骨骨密度
は正常例に比べて低値傾向を示した。
【結語】ICS 治療中喘息患者の 25%が少量 ACTH 試験で低反応と判定
された。この頻度は、250μg 製剤を用いた ACTH 試験による低反応例
の頻度に関するこれまでの報告に比べて多いと考えられた。したが
って、少量 ACTH 試験は内因性副腎皮質機能と ICS の骨への影響をよ
り鋭敏に感知できる検査と考えられる。
P-1-08-02 抗HIV薬リトナビル投与中に吸入ステロイド剤フル
チカゾンの肝代謝抑制によりステロイド過剰症および医原性副腎皮
質不全を来した一例
1
千葉県立東金病院 内科、2 千葉大学大学院薬学研究院高齢者薬剤
学
林 栄治 1、阿部 浩子 1、古垣 斉拡 1、今村 茂樹 1、上野 光一 2、
平井 愛山 1
【目的】HIV 感染症は、複数の抗 HIV 薬からなる Highly Active
Anti-Retroviral Therapy(HAART)療法により AIDS を発症し死に至
る病では、もはやなくなった。しかし、患者は HAART 療法を生涯継
続することが不可欠であり、最近は抗 HIV 薬の長期投与によるメタ
ボリックシンドロームの増悪や薬剤相互作用による副作用が注目さ
れている。今回、気管支喘息を合併した HIV 感染症患者の治療継続
中に抗 HIV 薬により、併用している抗喘息薬フルチカゾンの肝代謝
が抑制された結果、フルチカゾン過剰症及び医原性副腎不全を来し
た症例を経験したので報告する。
【症例】37 才女性。8 年前に HIV キ
ャリアーと診断される。妊娠あり、HIV の母子感染予防のため帝王切
開術施行。以後 HAART 療法実施中。平成18年6月までは、アタザ
ナビル、ラミブジンおよびサニルブジンを用いていたが、同年7月
よりアタザナビルの薬物代謝動態の解析結果を踏まえ、アタザナビ
ルとそのブースト剤としてリトナビル、およびエムトリシタビンと
テノホビルの合剤による HAART に変更した。10月頃から徐々に体
重増加が見られ、下腹部の皮膚線条が見られるようになった。スク
リーニング検査で血中ACTHおよびコルチゾールの抑制が見られたた
め、ACTH 負荷試験をおこなったところ、副腎皮質機能不全をみとめ
た。また、トラフ値を含むフルチカゾンの血中濃度の上昇を認めた。
【結論および考察】リトナビルには、フルチカゾンを代謝する肝
CYP3A4 の抑制作用があることから、同剤によりフルチカゾン過剰症
及び医原性副腎皮質不全を来したと考えられ、目下抗 HIV 薬の変更
を含む治療法の見直しを行っている。
P-1-08-04 重複癌を有し、巨大な両側副腎腫大から副腎不全に陥
った副腎結核の 1 例
1
市立岸和田市民病院 代謝内分泌内科、2 市立岸和田市民病院 呼
吸器内科、3 市立岸和田市民病院 消化器内科、4 市立岸和田市民病
院 泌尿器科、5 市立岸和田市民病院 病理診断科
加藤 純子 1、東 信之 1、加藤 元一 2、高谷 晴夫 3、守山 泰成 4、
渡辺 俊之 4、門田 永治 5
症例は 65 歳、男性。喫煙歴 20 本 46 年間 飲酒歴なし。家族歴に糖
尿病なく、結核もない。
両側性副腎腫大を伴う Addison 病の診断は時に困難である。
平成 10 年膀胱上皮癌に対して経尿道的根治的腫瘍切除術施行され、
翌年再発のため膀胱全摘術を受けた。さらに本年 4 月、S 状結腸癌
(Bormann 2 型径 3cm 大)切除術を受けた。 一方、平成 16 年の検
診で、左上肺野に空洞を指摘され、気管支鏡を 2 回施行されている
が Tbc の確定診断には至らずクラリスロマイシンの内服で陰影は改
善した。平成 17 年 12 月から背部痛が生じたため、翌平成 18 年 2 月
に肺の精査を受けたが閉塞性換気障害のみと診断された。この時、
糖尿病(血糖値 410 mg/dl)と診断され、インスリン治療を開始した。
また、腹部 CT にて約 6cm 径の巨大な両側副腎腫大を認めたが、副腎
機能は保たれていた(ACTH 49.4 pg/ml コーチゾル 19.1 μg/dl)
。
転移性副腎癌を疑い、エコーガイド下副腎生検を施行したところ、
副腎結核と判明した。同年 3 月から抗結核剤の投与を開始したが、4
月肝機能が悪化したためと服用後の不快感のためリファンピシンの
みを一時中止し、同年 7 月に再開したところ直後に発熱、倦怠感を
きたした。またこの頃から急速に皮膚の色素沈着が生じ、CT での副
腎サイズに変化を認めなかったが血中コーチゾル 1.1μg/dl 、
ACTH
997 pg/dl と副腎不全を呈した。以上、重複癌を有し、抗結核薬の
治療にもかかわらず、副腎不全を呈した巨大副腎腫瘍の 1 例を経験
した。
P-1-08-03 副腎白質ジストロフィーにおける選択的副腎不全の機
序
1
東京大学 医学部附属病院 腎臓・内分泌内科、2 東京大学 医学
部附属病院 神経内科
藤田 恵 1、一色 政志 1、間中 勝則 1、槙田 紀子 1、辻 省次 2、
藤田 敏郎 1
副腎白質ジストロフィー(adrenoleukodystrophy; ALD)は主に中枢
神経系の脱髄を特徴とする X 連鎖性劣性遺伝疾患であり、
約 3 分の 2
に ACTH に対するコルチゾール反応不良の副腎不全を呈する。古典的
なアジソン病では大部分、グルココルチコイドとミネラルコルチコ
イドの両者が分泌低下する一方、
ALD ではアルドステロン分泌は保持
されておりフルドロコルチゾン補充を要することは稀である。しか
し ALD でアルドステロン分泌能が保持される機序の詳細については
不明である。今回、我々は ACTH 刺激に対し反応せず、アンジオテン
シン II (AII)刺激に対し反応良好であった成人 ALD 症例を報告し、
その機序に関して考察する。症例は 32 歳男性。神経内科で極長鎖飽
和脂肪酸高値により ALD と診断され、副腎不全の可能性に関し当科
へ紹介となった。血清コルチゾールは 11.3 μg/dl と低値、ACTH は
3130 pg/ml と著明高値であり全身の色素沈着が高度で原発性副腎不
全の所見であった。血清アルドステロン濃度は 16.1 ng/dl、血漿レ
ニン活性は 2.2 ng/ml/hr であった。ACTH(250μg)負荷ではコルチゾ
ール、アルドステロン共に全く反応が認められなかった。一方、立
位フロセミド(40 mg)負荷によるレニン・アンジオテンシン系賦活に
よりコルチゾールは前値 6.5→9.2 μg/dl と低反応であるのに対し、
アルドステロンは 19.1→72.2 ng/dl と十分な上昇反応を示した。こ
のように、選択的に ACTH に対するシグナル経路が障害されている一
方で、
AII を介したシグナル系が保持される機序として ALD の指標で
ある極長鎖脂肪酸蓄積の影響など文献的考察を行った。
P-1-08-05 低血糖発作を契機に見出された副腎結核の一例
1
金沢大学大学院 臓器機能制御学(第 2 内科)
、2 浅ノ川総合病院
高田 裕之 1、米田 隆 1、臼倉 幹哉 1、山本 泰弘 1、唐島 成宙 1、
酒井 智子 1、八木 邦公 1、武田 仁勇 1、松本 泰子 2、上野 敏
男2
症例は 82 歳男性、糖尿病にて通院中、グリベンクラミド 5mg および
ボグリボース 0.6mg で HbA1c 6%台と血糖は良好にコントロールされ
ていたが、2 ヶ月ほど前から易疲労感を認めるようになった。自宅で
意識消失しているのを家人に発見され緊急搬送された。来院時、血
糖値 35mg/dl と低血糖を認めたため、ブドウ糖を静注し意識状態は
回復した。入院時の一般採血では軽度の炎症反応を認める以外明ら
かな異常は認めなかった。その後経口血糖降下薬中止にて血糖値は
安定したが、炎症反応が改善しないため胸腹部 CT スキャンを施行。
両肺上肺野の炎症瘢痕像に加えて、両側副腎腫大を認めたためホル
モン値等の精査を行っていたところ、炎症反応の悪化、右中下葉の
浸潤影が出現した。抗生剤に加えて、結核感染の可能性を考え抗結
核薬を開始するも、呼吸不全にて死亡。直接の死因は肺炎による呼
吸不全と考えられたが、両側上肺・副腎・肝・腎・傍大動脈リンパ
節・肋骨骨髄で結核結節を認め全身性粟粒結核の状態と診断された。
肺炎発症直前の採血では ACTH 242pg/ml、コルチゾール 4.5μg/dl、
アルドステロン<10pg/ml、
血漿レニン活性 3.9ng/ml/hr と副腎皮質
機能不全を示唆する所見であった。本症例は副腎結核による慢性副
腎皮質機能低下症を来した症例であり、感染の重症化に伴い副腎ク
リーぜを引き起こしたものと考えられた。
P-1-08-06 デキサメサゾンでの補充療法後に高 K 血症をきたした
アジソン病の一例
1
国立病院機構小倉病院 内科・臨床研究部、2 国立病院機構京都医
療センター
松田 やよい 1、田邉 真紀人 1、坪内 博孝 1、田中 公貴 1,2、成
瀬 光栄 2、岡嶋 泰一郎 1
アジソン病の補充療法開始に高カリウム血症を認めた症例を経験し
たので報告する。症例は 56 歳、女性。3 年前までは定期健診にて特
に異常を指摘されていなかったが、数ヶ月前から倦怠感が出現、ま
た周囲より皮膚の色素沈着を指摘されていた。06 年 9 月、当院受診
時の血圧 82/62mmHg、全身の色素沈着を認め、血液検査で Na
122mEq/l、K 4.9mEq/l、ACTH 3341pg/ml、コルチゾール 1.8μg/dl
であったため副腎不全と診断、入院精査を行った。迅速 ACTH 負荷試
験ではコルチゾールが無反応、副腎 CT にて石灰化や腫大を認めず特
発性アジソン病と診断した。
デキサメサゾン 0.75mg/day の内服治療
を開始後、倦怠感等の自覚症状は著明に改善したが、血清 K 濃度が
徐々に増加し、デキサメサゾン開始後 10 日目には最高 7.2mEq/l ま
で上昇したため、GI 療法(5%ブドウ糖 500ml+速効型インスリン R5U)
および calcium polystyrene sulfonate の投与を行った。次いで、
デキサメサゾンからハイドロコルチゾン(20mg/day) とフルドロコ
ルチゾン
(0.05mg/day)
の併用に変更したところ、
血清 K は 4∼5mEq/l
と正常化し退院となった。経過中、高 K 血症による自覚症状や心電
図異常は認めなかった。アジソン病に対しデキサメサゾンの補充療
法開始後、高 K 血症をきたした一例を経験した。機序の詳細は不明
であるが、アジソン病の初期治療につき示唆を与える症例と考えら
れたので報告する。
P-1-09-01 Low T3 症候群発症の分子機序 --- 炎症および細胞内
エネルギー枯渇との関連
1
高知大学 医学部 内分泌代謝・腎臓内科、2 関西医科大学 第二
内科
岡崎 瑞穂 1、岩崎 泰正 1、豊田 長興 2、西山 充 1、次田 誠 1、
谷口 義典 1、何 静 1、田口 崇文 1、品原 正幸 1、丸山 博 1、橋
本 浩三 1
【目的】T4 は末梢臓器で T3 に変換されて効果を発揮する。末梢血
中の T3 は主として肝臓において T4 より変換された量を反映する
が、炎症性疾患や消耗性疾患の存在下ではこの変換が低下し、low T3
症候群を来たす。今回我々はその分子基盤を解明する目的で、肝細
胞における甲状腺ホルモン脱ヨード化酵素(5'-deiodenase)type I,
III 各サブタイプ遺伝子 (DIO1, DIO3) の発現に及ぼす炎症性サイ
トカインおよび細胞内エネルギー枯渇の影響を in vitro の系を用
いて検討した。
【方法】ヒト DIO1, DIO3 遺伝子の転写調節領域を有
するレポーター遺伝子を作成し、ヒト肝細胞株 (HuH7、HepG2) に導
入した。本系を用いて、炎症性サイトカイン (IL1β, TNFα) ない
し AMP アナログ (AICAR) の効果を、各遺伝子の転写活性を指標と
して評価した。また T4 から T3 への変換効率を評価するバイオアッ
セイ系を樹立し、細胞内代謝状態の変動を評価した。
【結果】炎症性
サイトカインは DIO1 の転写活性を強力に抑制したが、DIO3 の発現
には影響を及ぼさなかった。またサイトカイン存在下では T4 から
T3 への変換効率の低下を認めた。一方 AICAR は DIO1, DIO3 両者
の発現を有意に抑制した。
【考察】炎症状態では甲状腺ホルモンを活
性化する DIO1 の発現が低下する一方、不活性化型 (reverse T3) に
変換する DIO3 の発現には影響せず、結果的に T3 への変換効率低
下を来たすものと推察された。一方細胞内エネルギー枯渇状態を
mimic する AICAR の投与下では DIO1, DIO3 両者との発現が低下し、
炎症状態とは異なった調節機序の存在が示唆された。
P-1-09-02 小児期甲状腺機能の参考値の設定
P-1-09-03 バセドウ病と PD-L1 遺伝子多型
1
1
伊藤病院、2 埼玉医科大学病院 内科学 内分泌内科・糖尿病内科
皆川 晃伸 1、吉村 弘 1、宮良 あやこ 1、松本 雅子 1、高橋 育克
、國井 葉 1、向笠 浩司 1、清水 妙子 1、伊藤 公一 1、伊藤 國
彦 1、片山 茂裕 2
【緒言】
RIA 法による小児期甲状腺機能の参考値の報告は散見される
が、近年一般化している高感度で迅速に測定できる ECLIA 法での報
告はない。今回我々は ECLIA 法による FT3、FT4、TSH の小児期参考
値作成を試みた。
【対象】2004 年 4 月∼2006 年 12 月まで当院受診し
た 15 歳以下、甲状腺自己抗体陰性、エコーで明らかな異常所見のな
い 155 症例(男児 43 例、女児 112 例、中央年齢 13 歳)を対象とし、
年齢別に 5 群に分類した(4∼7 歳 18 例、8∼9 歳 18 例、10∼11 歳 23
例、12∼13 歳 35 例、14∼15 歳 61 例)。甲状腺機能は ECLIA 法
(ECLusys,Roche)の FT3、FT4、TSH で測定し、JMP ver.5.1.1 で統計
解析を行った。
【結果】今回、FT3、FT4、TSH は対数正規分布を呈し、
それぞれ自然対数で求めた mean±2SD を逆変換し参考値とした。
FT3(pg/ml):4∼7 歳 3.58∼4.96、8∼9 歳 3.20∼5.17、10∼11 歳 3.58
∼5.09、12∼13 歳 2.70∼5.24、14∼15 歳 2.56∼4.39。FT4(ng/dl):
4∼7 歳 1.15∼1.60、8∼9 歳 1.01∼1.82、10∼11 歳 1.05∼1.63、12
∼13 歳 0.98∼1.50、14∼15 歳 0.95∼1.62。TSH(μIU/ml);4∼7 歳
0.90∼6.08、8∼9 歳 0.52∼5.91、10∼11 歳 0.67∼3.79、12∼13 歳
0.61∼4.45、14∼15 歳 0.37∼3.97。Log FT3 の 4∼7 歳・8∼9 歳・
10∼11 歳、Log FT4 の 4∼7 歳・8∼9 歳、Log TSH の 4∼7 歳は、そ
れぞれの 14∼15 歳より有意に高値であった(Tukey Kramer 検定)。
【考察】当院の成人の各参考値(FT3:2.2∼4.3pg/ml、FT4:0.80∼
1.60ng/dl、TSH:0.20∼4.50μIU/ml)には、小児期の FT4 と TSH は
10 歳以上で、FT3 は 14 歳以上で近似値になる傾向があった。小児期
は低年齢になるほど各ホルモンが高値を呈しやすく、
SITSH のように
見誤りやすい恐れもあり注意が必要である。
琉球大学医学部 内分泌代謝内科
砂川 澄人 1、林 美奈 1、幸喜 毅 1、小宮 一郎 1、高須 信行 1
1
【はじめに】免疫制御機構や自己免疫寛容機構の1つに programmed
cell death 1 ligand (PD-L1) 、programmed cell death 1 ( PD-1 )
を介したシグナルがある。PD-L1 は抗原提示細胞や組織実質細胞(心
臓、脾臓、胸腺、腎臓など)に発現し、PD-1 は T, B 細胞に発現し
ている。これらが結合することにより、細胞活性化が抑制されたり、
胸腺や骨髄にて negative selection が行われ自己免疫性リンパ球
が除かれる。PD-L1/PD-1 系の異常で免疫過剰状態や自己免疫疾患の
発症が起こると考えられ、これまでいくつかの自己免疫疾患
(autoimmune encephalomyelitis、SLE、Sjogren 症候群など)との
関連が報告されてきた。さらに Prokunina らは PD-1 遺伝子多型と
SLE 発症の関連性を示した。我々は昨年の本学会において、日本人で
PD-1 intron 4 position 7,209 C/T 遺伝子多型がバセドウ病発症に
関与していることを示した。
【目的】PD-1 の ligand である PD-L1 の
遺伝子多型について、自己免疫疾患との関連性は報告されていない。
今回我々は、バセドウ病発症に PD-L1 遺伝子多型が関係するかを調
べるため、バセドウ病患者と健常人で、頻度を解析した。
【方法】対
象は健常人 151 人、バセドウ病患者 148 人。血液から得られた DNA
を用い、RFLP 法または direct sequence 法で遺伝子多型を同定した。
各群の genotype 頻度、allele 頻度を比較した。
【結果】日本人にお
いていくつかの PD-L1 遺伝子多型を認めた。各遺伝子多型の疾患と
の関連性を報告するとともに、T 細胞活性化、アポトーシスへの影響
を解明してバセドウ病発症の機序を報告する。
P-1-09-04 単発性甲状腺結節に対する診断と治療:臨床甲状腺研 P-1-09-05 バセドウ病と中枢性尿崩症をほぼ同時期に発症したと
究会アンケート結果
思われる一例
1
1
田尻甲状腺クリニック
東京都保健医療公社 多摩北部医療センター
小川 尚洋 1、田尻 淳一 1
友廣 圭太 1、藤田 寛子 1、中野 忠澄 1
【目的】米国甲状腺学会(ATA)
、欧州甲状腺学会(ETA)が行ったア
ンケートと同じ質問を臨床甲状腺研究会(TTC)会員に対して行い,
欧米と比較検討すること【方法】TTC 会員 161 名に対してアンケート
調査を行い、臨床系会員 52 名(内科 39、外科 10、その他 5)から回
答を得た。提示症例は左に 2x3cm の柔らかい可動性単発性結節のあ
る 42 才女性。11 の variation(v)も質問した.v1:潜在性甲状腺機
能亢進症、v2:18 才>、v3:75 才<、v4:男性、v5:良性結節の家族歴
あり、v6:甲状腺癌の家族歴あり、v7:頚部放射線の照射歴あり、v8:
急に増大,v9:サイズ 4x5cm で圧迫あり、v10:サイズ 1x1cm で圧迫
なし、v11:嚢胞。質問 1:in vitro 検査は?質問 2:in vivo 検査は?
質問 3:良性と仮定して治療法は?【結果】in vitro 検査:TTC、ATA、
ETA で各々TSH(100,99,99%)
、fT4(98,49,53%)、Tg(91,4,14%)、抗
Tg 抗体(74,18,26%)、fT3:(50,9,31%).in vivo 検査:超音波
(98,34,80%)、シンチ (6,23,66%)、細胞診(87,100,97%)。治療は、
手術(1.9,1.4,23%)、経過観察(83, 52, 30%)
、サイロキシン投与
(15,47,40%)。Variation1-11 で検査変更率のうち顕著なものを示す
と、v1は約 90%,追加する検査として TRAb15%、シンチ 43%、摂取率
20%、v8 は約 70%で血沈 17%、シンチ 13%、CT または MRI13%であった。
治療法の変更率は、v1が約 70%で手術、RI 治療、PEIT、ATD の順で
あった.v11 は約 35%で穿刺吸引、PEIT であった.v8 と v9 に対して
は, 約 60%が手術を選択した。欧米と比較すると日本では,検査項
目が多い、シンチが少ない、超音波が多い、TSH 抑制療法が少ない、
経過観察が多い、特に ETA と比べて手術が少なかった。
【結論】単発
性甲状腺結節に対する検査と治療は,日本と欧米では多くの部分で
異なっていることが判明した.
【症例】64 才女性。平成 18 年 6 月初旬頃より易疲労感、手指振戦自
覚。さらに口渇、多飲、多尿出現。次第に食思低下し、2 ヶ月で約
6kg の体重減少をきたし、動悸、高血圧も出現。近医よりロサルタン
処方されるが、下腿浮腫出現し易疲労感著しいため、6 月 23 日当セ
ンター受診。初診時 BNP:509。フロセミド投与開始。その後近医の
血液検査にて甲状腺中毒症と診断され、7 月 10 日内分泌科へ紹介。
既に、下腿浮腫改善し心不全状態ではなかったが、易疲労感著明で、
ヨード造影剤投与後で甲状腺機能の観察も必要と思われたため入
院。入院時、BUN17.3、Cr0.87 Na142。バセドウ病+橋本病と判明
し、MMI・インデラルにて加療。その後甲状腺機能は改善したが、多
飲多尿は持続したため精査施行。中枢性尿崩症合併例であったこと
が明らかになり、DDAVP 開始。8 月 3 日施行の MRI では下垂体炎を積
極的に示唆する所見は認めなかったが、嚢胞性病変を認めた。CRH、
LHRH、GRH に対する反応は遅延気味ながらも、保たれていた。
【考察】
本例は、病歴上、浮腫出現を認めたり、脱水・乏尿状態となった際
にも高 Na 血症を呈さず、当初は単純なバセドウ病の一経過と思われ
たが、繰り返す問診と観察により、ほぼ同時発症の尿崩症を診断し
得た。バセドウ病は精神症状も強く、時に口渇から一日数リットル
の多飲を認めた例もあり、多飲がバセドウ病に伴う一症状とも捉え
られやすい。しかし、本例のように、中枢性尿崩症の合併例の報告
は散見されており、改めて問診等の重要性が示唆された。尚、尿崩
症との関連も示唆されうる下垂体嚢胞性病変については、現在、慎
重に経過観察中である。
P-1-10-01 SF1/Ad4BP はヒト骨髄由来間葉系幹細胞をステロイド
ホルモン産生細胞へ分化誘導する
1
九州大学大学院 医学研究院 病態制御内科学、2 九州大学大学院
医学研究院
田中 智子 1、権藤 重喜 1、岡部 泰二郎 1、大江 賢治 1、野村 政
壽 1、名和田 新 2、柳瀬 敏彦 1、高柳 涼一 1
【背景・目的】私達はこれまでに転写因子 SF1/Ad4BP がマウス骨髄
由来長期培養細胞をステロイド産生細胞へ形質転換することを明ら
かにした。本研究において、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞が SF1 によ
ってステロイド産生細胞へ分化誘導されるかどうかを検討した。
【方法】ヒト骨髄由来間葉系幹細胞にウシ SF1 cDNA 搭載アデノウイ
ルス (Ad-SF1) または LacZ cDNA 搭載アデノウイルス (Ad-LacZ) を
感染させ 14 日間培養した。培養上清中のステロイドホルモンを EIA
法にて定量し、リアルタイム PCR 法にてステロイド合成酵素の発現
量を比較検討した。また、ウイルス感染後 14 日目より ACTH を含む
培地中にて培養し、培養上清中のコルチゾールとテストステロンを
定量した。
【結果】
Ad-SF1 感染細胞は、
培養上清中にプロゲステロン、
コルチゾール、テストステロンを産生した。プロゲステロン産生は
Ad-SF1 MOI 依存的に増加したが、コルチゾールおよびテストステロ
ン産生は MOI=50 で最大となり、MOI=100、200 では減少した。Ad-SF1
感染細胞において、CYP11A1、HSD3B2、CYP21A2、CYP11B1、CYP17A1、
HSD17B3 の発現量は Ad-SF1 MOI 依存的に増加した。CYP11B2 は検出
されなかった。Ad-SF1 感染細胞は ACTH 刺激によって、コルチゾール
産生性およびテストステロン産生性が増大した。
【結語】ヒト骨髄由
来間葉系幹細胞は SF1/Ad4BP によってステロイド産生細胞へと形質
転換し、ステロイド産生性は ACTH 刺激によって亢進した。
P-1-10-02 骨髄間葉系幹細胞からのステロイド産生細胞の作製
1
福井大学・医学部・生命情報医科学講座、2 国立成育医療センター
研究所・生殖医療研究部
矢澤 隆志 1、水谷 哲也 1、稲岡 斉彦 1、上坂 美紀 1、山田 一哉
1
、梅澤 明弘 2、宮本 薫 1
私たちは、骨髄間葉系幹細胞株からステロイド産生細胞の作製を行
ってきた。これまでに、マウスの間葉系幹細胞株からテストステロ
ンを産生するライディッヒ細胞様の細胞を、ヒトの間葉系幹細胞株
からコーチゾルを産生する副腎皮質様の細胞を得ている。今回は、
新たに樹立されたヒト間葉系幹細胞株・UET13 に Ad4BP/SF-1 を導入
することにより、LH レセプター、ACTH レセプターの両方を発現する
細胞株を単離した。この細胞は、cAMP や下垂体ホルモンの存在下で、
テストステロンとコーチゾルの両方を産生し、性腺と副腎のステロ
イド産生細胞の中間的な性質を示した。
P-1-10-03 AMP キナーゼは p38 MAPK を介してグルココルチコイド
受容体の転写活性を促進する
1
米国国立衛生研究所 国立小児発達研究所 生殖医療研究部
木野 智重 1、クルーソス ジョージ 1
P-1-10-04 核タンパク質HEXIM1によるグルココルチコイドレセプ
ター機能抑制機構の解析
1
東京大学 医科学研究所 先端医療研究センター 免疫病態分野、
2
東京大学 医科学研究所 付属病院 アレルギー免疫科
清水 宣明 1、吉川 賢忠 1,2、森本 幾夫 1,2、田中 廣壽 1,2
Adenosine 5' monophosphate-activated protein kinase (AMPK) は、
摂食やエネルギー消費の調節を通してエネルギー代謝に重要な役割
を果している。一方グルココルチコイドホルモンは間脳/下垂体/
副腎系の最終産物であるが 、摂食調節や糖/脂質代謝に対しても強
力な作用を有している。今回我々は AMPK のグルココルチコイド受容
体(GR)転写活性に対する影響を、内因性グルココルチコイド反応性
蛋白である GC-induced leucine-zipper protein (GILZ)の mRNA 産生
を指標として前脂肪細胞である NIH3T3-L1 細胞にて検討した。AMPK
刺激剤である AICAR 添加により、デキサメサゾンによる GILZ mRNA
産生は3倍亢進し、
この AICAR の作用は AMPK 抑制剤である Compound
C 添加により消失した。
GR は AMPK のリン酸化モチーフ適合残基を有
しないが、 AMPK のリン酸化基質である p38 MAPK によってその 211
番セリンがリン酸化され、転写活性が促進される事が知られている。
AICAR は GR の 211 番セリンのリン酸化を誘導すると共に、p38 MAPK
siRNA、或はその阻害剤 BS202190 処理によって AICAR の GR 転写活性
促進作用及び 211 番セリンのリン酸化が完全に消失すること、さら
には211番セリンを置換した奇形GRでは AICAR転写促進作用が見ら
れない事から、AMPK は p38 MAPK を介して GR の 211 番セリンをリン
酸化する事により GR の転写活性を促進していると考えられた。これ
らの結果から、AMPK は糖/脂質代謝に対して抑制的に作用するだけ
でなく、グルココルチコイド作用を促進する事により刺激的にも働
いている事が明らかとなった。後者の作用は AMPK の既知の作用に対
する内因性フィードバックメカニズムとして機能しているものと推
測された。
【背景・目的】核タンパク質 HEXIM1 は、核内低分子 RNA の一種であ
る 7SK snRNA (small nuclear RNA)依存的に、RNA ポリメラーゼ II
最大サブユニット、カルボキシル末端ドメインのリン酸化を阻害し
てクラス II 遺伝子発現を普遍的に抑制することが知られていた。一
方我々は、HEXIM1 はグルココルチコイドレセプター(GR)に結合し、
7SK snRNA 非依存的に GR の転写活性化能を抑制することを示した。
本研究では、グルココルチコイドによって制御される内因性遺伝子
発現に対する HEXIM1 の影響とその機構を解析することを目的とし
た。
【方法・結果】HepG2 細胞、HeLa 細胞において、nonvoltage-gated
sodium channel 1 alpha (ENac 1 alpha)、Na+/K+ transporting ATPase
alpha 1 (Na-K-ATPase alpha 1)といった、グルココルチコイド応答
性遺伝子発現が、HEXIM1 強制発現によって抑制されることを RT-PCR
法により示した。また、グルココルチコイド処理下における、GR の
Na-K-ATPase alpha 1 などのプロモーター領域への結合が、HEXIM1
強制発現によって阻害されることを、
HepG2 細胞を用いてクロマチン
免疫沈降法により示した。
【結論】HEXIM1 は GR と結合し、GR のプロ
モーターへの結合を阻害することによってGRによる転写活性化を阻
害する。
P-1-10-05 グルココルチコイド受容体βおよび P サブタイプの機
能解析
1
高知大学 医学部 内分泌代謝・腎臓内科
P-1-10-06 Y-1 細胞における Ad4BP/SF-1 の発現変動周期の検討
谷口 義典 1、岩崎 泰正 1、次田 誠 1、西山 充 1、田口 崇文 1、
品原 正幸 1、岡崎 瑞穂 1、丸山 博 1、何 静 1、橋本 浩三 1
【目的】グルココルチコイド受容体には野生型(GRα)の他に GRβ、
GR-P など C 端側のスプライスバリアントに起因する複数のアイソ
フォームの存在が知られている。しかし各受容体の機能に関しては
詳細は不明である。今回我々はこれらのアイソフォームが標的遺伝
子の転写誘導ないし抑制においていかなる機能を有しているか検討
を加えた。
【方法】GRα、GRβ、GR-P の cDNA、および比較対象とし
て N 端側に欠失を有する変異 GR cDNA の発現ベクターを作成し、神
経細胞株 BE(2) M17 ないし胎盤細胞株 JEG3 に導入した。本系を用
いて GR 特異的リガンドであるデキサメタゾン (Dex) が GRE-依存
性転写(刺激系)ないし CRH 遺伝子転写(抑制系)に及ぼす効果を
解析した。
【結果】1) GRα の発現下で Dex は GRE 依存性転写を促
進、CRH 遺伝子転写を抑制した。2) 一方 GRβの存在下では GRE を
介した刺激効果、CRE 遺伝子における抑制効果いずれも認められな
かった。3) この現象は、同じく C 末端に変異を有する GR-P でも同
様であった。4) N 端側に欠失を有する変異 GR では、転写促進効果
が低下しているのに対し、転写抑制効果は保たれていた。
【結論】C
端に変異を有する GR は、N 端側の変異と異なりリガンド依存性転写
促進および抑制効果の両機能が喪失している。
1
九州大学医学部医学研究院 病態制御内科、2 九州大学生体防御医
学研究所 免疫病態学分野、3 佐賀大学医学部循環器腎臓内科 血管
不全学
園田 浩一朗 1、大江 賢治 1、大庭 功一 2、野村 政壽 1、岡部 泰
二郎 1、明石 真 3、野出 孝一 3、柳瀬 敏彦 1、高柳 涼一 1
【目的】昨年、我々は副腎の発生・ステロイド合成に重要な
Ad4BP/SF-1 のプロモーター活性が時計遺伝子 per2 のプロモーター
活性と同様に Y-1 副腎細胞において日内変動することを報告した。
今回、
Ad4BP/SF-1 の変動が 12 時間周期であったことを確認できたの
で報告する。
【方法】Y-1 細胞を 50%血清刺激(擬似光刺激)後に、
それぞれの遺伝子の mRNA 発現を real time PCR 、プロモーター活性
を real time luciferase 活性測定にて検討した。ステロイド測定は
プロゲステロンの RIA 測定を行なった。
【結果】per2 mRNA は、24 時
間周期であったのに対し、Ad4BP/SF-1 mRNA の周期はおおよそ 12 時
間であった。プロゲステロン測定では、一部 12 時間間隔の部分を認
めたが、規則性を認めなかった。プロモーターの real time
luciferase 活性解析では、per2 プロモーターは 24 時間周期であっ
たのに対し、Ad4BP/SF-1 のプロモーターは、-92 bp の欠失プロモー
ターは、24 時間周期であったが、-480∼-92 bp を含む欠失プロモー
ターでは、一部 12 時間周期を認めた。
【考察】Ad4BP/SF-1 のプロモ
ーターの-480∼-92 bp 領域には、GATA 結合部位が存在する。GATA
ファミリーのうち、GATA-4 や GATA-6 が、副腎の腫瘍化に関連してい
ると言われており、GATA 因子と Y-1 細胞における Ad4BP/SF-1 の 12
時間変動周期について何らかの関連性があると考えられ、検討して
いく予定である。
P-1-11-01 下垂体性 ACTH 分泌不全に視床下部性 GH 分泌不全を合 P-1-11-02 40 年間にわたり段階的にゴナドトロピン、TSH、ACTH
併した一例
の分泌不全が顕在化したと考えられた下垂体機能低下症の一例
1
1
トヨタ記念病院
九州大学病院別府先進医療センター 免疫血液代謝内科、2 九州大
学大学院 医学研究院 病態制御内科学、3 社会保険稲築病院 内
科、4 麻生飯塚病院 内分泌糖尿病内科
1
1
1
1
高桑 美咲 、篠田 純治 、安田 詩奈子 、伊藤 禎浩 、吉田 昌 大庭 功一 1,2,3、柳瀬 敏彦 2、栗山 実 2,3、後藤 穣 2,3、中島 匡
2,3
則1
、大江 賢治 2、野村 政壽 2、岡部 泰二郎 2、後藤 公宣 2、名
取 省一 2,4、生山 祥一郎 1、金子 周司 3、西村 純二 1、高柳 涼
一2
症例は 35 歳女性。
2002 年第 2 子出産後数ヶ月から食欲不振・倦怠感・ 症例は 82 歳、女性。41 歳時に早発閉経あり、63 歳時に卵巣癌にて
無月経持続。2006 年 1 月、意識障害で他院へ入院。ショック・DIC・ 卵巣子宮全摘術施行。67 歳より甲状腺機能低下症にて入院となり補
腎障害認め、CNS ループスや ADEM 等の神経疾患も考慮されステロイ 充療法開始、79 歳より骨粗鬆症も併せて併診中であった。80 歳より
ドパルス療法施行された。原因不明のまま全身状態改善し 2 週間後 うつ状態とパーキンソニズムが出現し ADL 低下のため近医を紹介さ
に投薬なしで退院となった。2006 年 3 月、感冒症状と共に体調不良 れた。続発性副腎機能低下症ならびに続発性甲状腺機能低下症が疑
となり別の他院へ入院。ACTH・コルチゾール・尿中 17-OHCS の著明 われ当科入院となった。入院時、汎血球減少と低アルブミン血症を
低下あり、下垂体前葉機能低下症としてハイドロコルチゾン・l-T4 認めた以外は一般生化学に異常なし。ホルモン基礎値は TSH、GH、LH、
を投与された。全身状態改善し月経も再開したが、精査目的で 4 月 FSH の低値、PRL の軽度高値、FT3、FT4、F、Aldo、DHEA-S、尿中 17OHCS、
に当院紹介。下垂体 MRI では empty sella。無投薬の状態で ACTH・ 17KS の低値を認めた。CRH 負荷にて ACTH 正常反応、F 低反応、迅速
コルチゾール・尿中コルチゾールは測定感度以下。4 者負荷試験にて 及び連続 ACTH 負荷にて各々F 低反応、正常反応であり、続発性副腎
ACTH・コルチゾールは無反応、GH・その他は正常反応。インスリン 機能低下の所見であった。TRH、LHRH、GRH の三者負荷にて TSH 無∼
低血糖刺激試験にて ACTH・コルチゾールは無反応、GH も低反応であ 低反応、LH/FSH 無反応、GH 正常反応であり、続発性甲状腺機能低下
った。以上より下垂体レベルでの ACTH 分泌不全が考えられたが、GH と続発性性腺機能低下を認めたが GH 系は保たれていた。頭部 MRI に
に関しては、
GRH とインスリン低血糖刺激との反応性の違いから視床 て下垂体は全体に萎縮、大脳にも萎縮を認めたが視床下部病変等は
下部レベルでの機能低下が疑われた。そのためハイドロコルチゾン 認めず。下垂体機能低下症の診断にて副腎皮質ホルモン及び甲状腺
のみ補充した状態で6月に追加検査。アルギニン負荷試験で GH 低反 ホルモンを補充したところ ADL は改善し不定愁訴と貧血は消失、栄
応、GHRP-2 負荷試験で GH 頂値が 6.81ng/ml であり、視床下部レベル 養状態も改善した。本例は 40 歳代に LH/FSH・性腺系、60 歳代に TSH・
での GH 分泌不全と考えられた。下垂体性 ACTH 分泌不全と、負荷試 甲状腺系、80 歳代に ACTH・副腎系と段階的に下垂体前葉機能低下が
験で明らかとなった視床下部性 GH 分泌不全を合併しており、障害レ 顕在化したと考えられ、下垂体機能低下症の病因を理解する上で興
ベルの異なるホルモン分泌低下を合併した興味ある症例を経験した 味深いと思われた。
ので報告する。
P-1-11-03 未破裂内頚動脈瘤による汎下垂体機能低下症の1例
1
昭和大学 藤が丘病院 内分泌代謝科
永山 千絵子 1、伊藤 陽子 1、岩久 建志 1、飯田 志織 1、佐藤 庄
太郎 1、大塚 史子 1、谷山 松雄 1
内頚動脈瘤により汎下垂体機能低下症に陥る症例が報告されてい
る。今回各種負荷試験により汎下垂体機能低下の原因部位を下垂体
より上位と特定できた症例を報告する。症例は 65 歳男性。2005 年 8
月より約 20Kg/半年の体重減少、食欲不振が続き同年 10 月精査にて
アメーバ赤痢大腸炎と診断、内服治療した。その後も症状は改善せ
ず翌年 1 月受診時に気分不快と血圧の低下を認め精査加療目的に入
院。血中ホルモン基礎値にて FT3 2.3pg/ml、FT4 0.57ng/dl、
LH0.1mIU/ml 以下、FSH0.4mIU/ml、コルチゾール 1.1μg/dl、
GH0.21ng/ml、
IGF-1 14ng/ml と低値、
TSH 1.29μIU/ml、
ACTH10.8pg/ml
と正常範囲で汎下垂体機能低下症と診断。
PRL は 22.2ng/ml とやや高
値だった。下垂体 MRI で鞍上部にφ2cmの動脈瘤を認め, 下垂体を
下方に、視床下部を上方に圧排しており、汎下垂体機能低下症の原
因と考えられた。PRL 高値、CRH 負荷で ACTH が過大反応、GH は ITT、
GHRP 負荷で反応を認めず、GRP 負荷では反応を認め、LH−RH 負荷で
は連続負荷で反応の改善がみられ、下垂体柄又は視床下部性の汎下
垂体機能低下症と診断した。動脈瘤の治療はコイル塞栓術を施行し
た。術前より副腎皮質ステロイド・甲状腺ホルモン補充開始し症状
改善を得た。ホルモン補充開始後より多尿となり、DDAVP治療
を開始し尿量減少を得た。術後高張食塩水負荷試験施行し部分尿崩
症と診断した。
P-1-11-04 数多くの不定愁訴を主訴にし視床下部機能不全が原因
と考えられた低血糖症の 1 例
1
近畿大学 医学部 堺病院 内分泌・代謝科、2 近畿大学医学部内
分泌代謝糖尿病内科
田中 陽一 1、森山 明子 1、二川 文香 1、松久保 祐子 1、北野 真
由子 1、石井 秀司 1、藤本 美香 1、大野 恭裕 2、池上 博司 2
【症例】57 歳,女性。
【主訴】低血糖原因精査目的。
【家族歴】父;狭
心症。母;高血圧。分娩時異常なし。
【既往歴】51 歳;乳腺炎,肺気腫。
【現病歴】平成 13 年甲状腺機能異常を指摘され他院受診。TSH 0.3
μU/ml,FT3 1.3pg/ml,FT4 1.1ng/ml と下垂体性甲状腺機能低下症を
疑われ平成 13 年 12 月入院。入院後自然に甲状腺機能は改善。CRH
負荷試験では軽度の ACTH の反応低下が疑われたが,気管支喘息症状
あり predonosolone 投与中で確定診断にはいたらず。その後めまい,
頭痛,低血糖等の症状があるため平成14 年7 月に再入院。
ACTH はCRH
負荷試験では低反応,日内変動を認めたが全体的に低値であり,原因
不 明 の ACTH 分 泌 不 全 に 伴 う 副 腎 機 能 不 全 と 診 断 さ れ
hydrocorisone10-20mg/日処方開始されていた。頭痛,全身倦怠感,体
重減少等にて入退院を繰り返し,頻回に低血糖発作が生じる為平成
18 年 4 月当院を受診し精査目的で入院となる。
【理学的所見】身長
155cm,体重 44.6kg(BMI 19)。甲状腺腫大なし。
【入院時検査所見】CRH
試験では ACTH の遅延反応を認めた。その他の下垂体ホルモンは分泌
反応を認めた。迅速 ACTH 負荷試験ではコルチゾールの反応は異常な
し。インスリン負荷試験で低血糖(glu 28mg/dl)に対する ACTH の反
応性の低下を認め,かつ CRH の反応は認めず,視床下部機能不全に伴
う低血糖症と診断した。
hydrocorisone 内服処方し現在外来にて通院
加療中。
下垂体MRIでは特記すべき所見は認められなかった。
【結語】
多くの不定愁訴と繰り返す低血糖を契機に診断された視床下部機能
不全の 1 例を経験したので報告する。
P-1-11-05 無痛性甲状腺炎を合併した Sheehan 症候群と考えられ
た一例
1
横浜市立大学附属市民総合医療センター 内分泌糖尿病内科、2 横
浜市立大学附属病院 内分泌糖尿病内科
菊地 泰介 1、岩崎 知之 2、重松 絵理奈 1、増谷 朋英 1、山川 正
1
、岡村 淳 1
P-1-11-06 Empty sella 形成過程を追跡し得た Sheehan 症候群の 1
症例
1
鹿児島大学病院 糖尿病内分泌内科、2 鹿児島大学病院 心臓血管
内科
時任 紀明 1、森 秀樹 1、前田 芽美 1、加藤 香 1、植村 和代 1、
池田 優子 1、福留 美千代 1、橋口 裕 1、中崎 満浩 1、鄭 忠和
2
症例は 39 歳,女性.平成 18 年 4 月,第 2 子を自然分娩後,発熱あ
り,全身倦怠感を自覚したがそのまま退院した. その後も症状改善
せず,同年 6 月,全身倦怠感の増悪,両下肢の重苦しい痛み,脱毛
を主訴に近医総合病院受診し,甲状腺機能低下症指摘され甲状腺ホ
ルモン剤処方されるも内服すると体調悪くなり自己判断でほとんど
内服していなかった.その後 9 月近医心療内科を受診し,うつ病は
否定的で,10 月同心療内科より神経疾患の除外目的に当院神経内科
を紹介され受診した.初診時,四肢のびまん性筋力低下,下肢疼痛
を認め各種検査を施行後帰宅した.その後,急激に食事摂取困難,
立位保持不可,低血圧,低血糖発作,意識障害などの症状悪化みら
れ外来を緊急受診し,初診時の結果より ACTH,cortisol の低値を認
め下垂体機能低下症の精査加療目的で内分泌糖尿病内科に緊急入院
した.妊娠前の体重に比べ入院時は 11kgの体重減少があり,出産
後月経を認めていなかった.入院後,下垂体画像所見,各種ホルモ
ン負荷検査によりリンパ球性下垂体前葉炎は否定的であり,Sheehan
症候群の診断となり,コートリルの内服開始に伴い徐々に全身倦怠
感の軽減,血圧や血糖値,貧血の正常化を認めた.経過中,前医で
中枢性甲状腺低下症と診断されていたが,
当院入院時には TSH0.013,
freeT3 7.96,freeT4 1.99 と甲状腺ホルモン過剰であり,退院時に
は甲状腺ホルモン値の低下みられ,各種自己抗体陰性,CRP・血沈な
どの採血結果より無痛性甲状腺炎の診断となった.本症例は,無痛
性甲状腺炎による甲状腺ホルモン過剰により,
Sheehan 症候群の症状
増悪,意識障害に至ったものと考えられたので報告する.
症例は 39 歳、女性。既往歴、家族歴に特記事項なし。2006 年 7 月
14 日 第 3 子(3160g)を自然分娩後、不全子宮破裂による大量出血
を来たし当院産科に救急搬送された。搬送時 JCS 100、収縮期血圧 60
mmHg 台、Hb 5.6 g/dl とショック状態であったが、子宮摘出術と大
量輸血により回復した。
7 月 27 日 頭部 MRI での下垂体前葉は萎縮傾
向であった。分娩後の乳汁分泌不全あり、血中 PRL 11.4
ng/ml(3.7-44.8) 、 ACTH 7.7 pg/ml(5.0-46.0) 、 f 1.1 μ
g/dl(10.4-26.4)とPRLの産褥期上昇の欠如と副腎皮質機能低下症を
認めた。8 月 12 日 退院後も乳汁分泌は回復せず、全身倦怠感・食欲
不振・体重減少を伴った。8 月 15 日 頭部 MRI では下垂体前葉の萎縮
は進行していた。10 月 3 日 当科に精査入院、10 月 6 日 頭部 MRI で
は empty sella を呈していた。抗下垂体抗体は陽性であった。4者
負荷試験では TSH 以外の前葉ホルモンの分泌能低下を認めた。ITT
でも ACTH 分泌は認められず、GH 分泌障害は重症レベルであった。経
過および内分泌学的所見と併せて、分娩後の大量出血に伴う下垂体
前葉機能低下症(Sheehan 症候群)と診断した。Sheehan 症候群にお
ける empty sella 形成過程を追跡し得た症例を経験したので、若干
の文献的考察を加えて報告する。
P-1-12-01 サイロイドペルオキシダーゼ遺伝子異常による腺腫性 P-1-12-02 小型コンペックスプローブによる副甲状腺PEITの
先天性甲状腺機能低下症の 1 例
検討
1
1
北海道大学 小児科、2 旭川医科大学 小児科
公立昭和病院 内分泌代謝科
城 和歌子 1、椿 淳子 1、藤原 ふみえ 1、石津 桂 1、田島 敏広 1、
藤枝 憲二 2
永続的な先天性甲状腺機能低下症にいくつかの遺伝子異常が関連し
ている。なかでも甲状腺腫大を伴う場合にはサイロイドペルオキシ
ダーゼ(TPO)やサイログロブリンの異常の場合がある。今回我々は新
生児マススクリーニングによって発見され、甲状腺腫を伴った先天
性甲状腺機能低下症において TPO 遺伝子の新たな変異を同定したの
で報告する。症例は 20 歳男性。妊娠 40 週で体重 3750g にて出生し
た。血族結婚はなく甲状腺疾患の家族歴は認めなかった。新生児マ
ススクリーニングで TSH の高値(120 μU/ml)が判明し、精査を行っ
た。血清検査で TSH 256. 8μU/l、T4 4.3 μg/dl、T3 86 ng/dl で
あり、チラージン S の投与を開始された。その後甲状腺機能は正常
となり、精神運動発達も問題がなかったが、2 歳頃より甲状腺の腫大
が明らかになってきた。6 歳時の病型診断では 123I の取り込みは 3
時間で 48.1 %であり、KCLO4 の放出試験では 12.4%と陽性であった。
その結果より有機化障害による先天性甲状腺機能低下症と診断し
た。チラージン S の投与にも関わらず TSH は高値を示すことがあり、
15 歳のときの甲状腺エコー検査では 6.5cmx6cm の甲状腺腫を認め、
甲状腺内に小結節を認めた。この時点でサイログロブリンは 80.1
ng/ml と上昇していた。その後の甲状腺エコー検査ではサイズ、小結
節について大きな変化を認めなかった。
有機化障害であったため TPO
遺伝子を解析し、エクソン 8 に E378K のアミノ酸置換、イントロン
15-エクソン 16 の境界領域に 10 塩基の欠失の新たな変異を認めた。
TPO 遺伝子異常による先天性甲状腺機能低下症においてはチラージ
ン S 投与によっても甲状腺腫が出現し腫瘍の発生も報告されている
ことから、今後も注意深いフォローが必要である。
貴田岡 正史 1、大黒 晴美 1
【目的】副甲状腺PEITは二次性副甲状腺機能亢進症の治療のひ
とつの選択肢であるが、実施にあたっては手技の習熟が必須である。
このため鮮明な画像を得つつ容易に穿刺可能なプローブが求められ
る。今回我々は、小型コンペックスプローブを用いて副甲状腺PE
ITを施行してその臨床的有用性を検討した。
【方法】超音波プロー
ブ PVT-745BTV は曲率半径:45mm 視野角:約 40°プローブ高さ:
64.2 mm 穿刺角度:44 度または 75 度 中心周波数:7MHz の仕様で
ある。本プローブを AplioXV に装着して用いた。専用アダプタ
UAGV-029A は 75 度に設定した。対象は二次性副甲状腺機能亢進症 10
例とした。穿刺針は 22G の専用針を使用した。
【成績】小型コンペッ
クスプローブによる腫大副甲状腺の描出は同周波数リニアプローブ
と同等であり、10 例14腺中14腺全てを描出可能であった。フリ
ーハンド法と比較して穿刺の自由度の点でやや劣るが、十分な深達
度を有し、比較的深在部に存在する腺も穿刺可能であった。
【結論】
本小型コンベックスプローブは4∼11MHzの間で周波数切り替えが行
え、広帯域を用いた組織ハーモニック法(differential THI)によ
る画像描出が可能で、アーチファクトが少なく高分解能な画像の取
得が容易であった。また専用アダプタ用針による小病変の超音波ガ
イド下穿刺がより容易にかつ確実に施行し得た。
P-1-12-03 甲状腺偶発腫瘤における 18-FDG PET 検査の有用性に関 P-1-12-04 低容量の甲状腺ホルモン補充療法が有用であった粘液
する検討
水腫性昏睡の3例
∼1217 名の企業従業員を対象とした前向き研究 3 年目の集計結果よ
り∼
1
1
浜松医科大学 医学部 第二内科、2 浜松 PET 検診センター
大阪医科大学附属病院 第一内科、2 深井病院
大場 健司 1、西澤 貞彦 2、梶原 誠 2、岡田 裕之 2、松下 文枝 1、
松下 明生 1、長山 浩士 1、岩鬼 裕之 1、松永 英之 1、佐々木 茂
和 1、沖 隆 1、中村 浩淑 1
【はじめに】甲状腺癌のステージングや再発チェックに関する PET
検査の有用性はほぼ確立しているが、甲状腺偶発腫瘤における有用
性については未だ議論の余地がある。我々は 2003 年より単一健保組
合に所属する企業従業員を対象に PET の有用性に関する前向き研究
を開始した。3 年目の集計が終了(追跡期間 2 年)したため結果を報
告する。
【対象と方法】初年度に 35 歳以上の従業員 1217 名(平均年
齢 47 歳)を登録し PET を中心とした総合検診を 1 年毎に行った。登
録者の 100%近くが再診し、異常を認めた症例は専門医を紹介し、結
果を追跡した。
【結果】初年度に PET で集積を認めた症例は 1217 例
中 36 例で、結節性集積 15 例、びまん性集積 21 例であった。結節性
集積のうち 7 例が最終的に手術にて甲状腺癌(乳頭癌 6 例、異所性
胸腺腫 1 例)が確認された。甲状腺癌発見の割合(陽性予測値)は
19.4%(7/36)
、結節性集積に限れば 46.7%(7/15)であった。手術未
施行の症例に関しては専門医ならびに検診にて引き続き追跡してい
るが、現在までに癌と診断された症例は存在していない。また CT で
発見されるも PET で集積を認めなかった偶発腫瘤に関しても、最低
年 1 回の検診にて追跡を行っているが、現在までに癌と診断された
症例はない。
【考案】PET 陽性の甲状腺偶発腫瘤は悪性の可能性が高
く注意が必要である。
辻本 直之 1、平岩 哲也 1、佐々木 一郎 1、國見 綾子 1、佐野 寛
行 1、鍵谷 真希 1、松尾 高志 2、寺前 純吾 1、今川 彰久 1、花房
俊昭 1
症例1は 56 歳の女性。橋本病にて Levothyroxine 内服中であったが
自己中断し、その約6年後に全身倦怠感、嗄声、呼吸困難感を主訴
に外来受診した。意識障害、全身の浮腫、心嚢液貯留と甲状腺機能
低下(TSH 102.02μU/ml、
FT 4 <0.1ng/dl)を認め緊急入院となった。
症例2は 72 歳の女性。甲状腺機能低下症に対し Levothyroxine を内
服中であったが自己中断していた。約3年後に転倒にて近医受診し、
意識障害、血圧低下、胸水・心嚢液貯留を認め当院に緊急搬送とな
った。画像検査で心血管病変は認めず、甲状腺機能低下(TSH 218.100
μU/ml、FT 4<0.023ng/dl)が明らかとなった。症例 3 は 63 歳の男性。
意識消失、痙攣、呼吸不全にて救急搬送された。頭部 CT にて脳腫瘍
が認められ、その後の検査にて甲状腺機能低下症(TSH 297.500μ
U/ml、FT 4 0.29ng/dl)と診断された。3症例ともに甲状腺機能低下
症に伴って中枢神経系・呼吸器系・循環器系など諸臓器の機能不全
をきたしており粘液水腫性昏睡と診断された。治療として甲状腺ホ
ルモン補充療法を開始(Liothyronine 15μg/日と Levothyroxine 25
μg 又は 50μg/日を併用)し、3 例とも意識障害の速やかな改善を得
た。粘液水腫性昏睡は死亡率 20∼30%と予後不良な疾患であるが、私
どもが経験した 3 例の APACHE2 score はそれぞれ 10 点、16 点、13
点であり、疾患重症度が中等度であった事が低容量の甲状腺ホルモ
ン補充療法にて意識レベルが早期に改善した原因と考えられた。
P-1-12-05 潜在性甲状腺機能低下症の取り扱いをめぐって−経年 P-1-12-06 ヨード制限にて顕在化したプランマー病の1例
変化の検討
1
1
湘南鎌倉総合病院 糖尿病内分泌内科
隈病院 内科
浜野 久美子 1、新田 愛 1、瀬戸 雅美 1
有島 武志 1、矢野 玄一郎 1、工藤 工 1、西原 永潤 1、大江 秀美
、伊藤 充 1、窪田 純久 1、深田 修司 1、網野 信行 1、隈 寛二
1
、宮内 昭 1
【緒言】日本ではプランマー病の頻度は低い。しかし甲状腺シンチ
グラフではじめて診断可能であり、日常診療で見逃されている可能
性がある。我々はヨード制限を契機にプランマー病と診断しえた1
例を経験したので報告する。
【症例】65 歳女性。主訴:甲状腺腫大。
現病歴:2006 年 5 月胸部 CT 検査で偶然甲状腺腫大を指摘され 6 月
19 日当院受診。現症:甲状腺横径 3.6cm、眼球突出なし。血液検査:
TSH 0.397μIU/ml[0.3-5]
、FT4 1.08ng/dl[0.7-1.6]
、FT3 3.13pg/ml
[1.7-3.7]
、TGHA 陰性、MCHA 陰性。超音波検査:甲状腺重量 9.8g、
左葉に 29mm の充実性結節。
【経過】初診時甲状腺機能は正常。左葉
の結節に対し穿刺吸引細胞診を施行。結果は腺腫様結節であり、自
覚症状も認めず経過観察とした。1ヶ月後の 8 月 1 日、動悸と手指
振戦を主訴に再受診。血液検査上 TSH 0.17μIU/ml、FT4 1.05ng/dl、
FT3 3.04pg/ml と潜在性甲状腺機能亢進症を呈していた。追加で施行
した RAIU(24 時間)は 15.9%、シンチグラムでは左葉の結節に一致し
て hot で、TRAb 9.2%[<15%]と陰性よりプランマー病と診断。患
者は元々海藻類の大量摂取を認めていたが、当院初診から再受診ま
での間は控えていたという。そのためヨード制限中止を指示したと
ころ、10 日後には甲状腺機能は正常化し動悸も軽減。その後も昆布
茶を毎日1杯摂取するのみで自覚症状は消失。現在も甲状腺機能正
常である。
【考察】ヨード過剰摂取国では本例のような非顕在化した
プランマー病の存在が予想される。そのため結節を有する場合、た
とえ甲状腺機能正常であってもプランマー病の存在を考慮する必要
がある。特に心疾患を有する患者や高齢者にヨード制限を行う際に
は注意を要すると考えられた。
1
(背景)潜在性甲状腺機能低下症(SHT)は罹患率一般人口の数%−
10%に及ぶとされ、心血管リスクである可能性からその取り扱いが
注目されている。我々は SHT で baPWV 値や頚動脈 IMT にみる動脈硬
化マーカーが高値であることを報告してきたが、
SHT の取り扱いの策
定ことに補充療法の適応に対しては、診断の妥当性を検証する必要
がある。(対象および方法)1999 年 1 月から 2005 年 12 月まで当院ド
ック受検者の総データ男性 5998 女性 4141 件より TSH>4.0mIU/L(ケ
ミルミ ACS−TSH III、バイエルメディカル)かつ F-T4、F-T3 が正常
範囲のものを抽出、連続年次において 4 回以上検査が繰り返されて
いるものを解析対象とした。甲状腺疾患治療中のものは除外した。
(結果)1)男性 742 データ分、女性 594 データ分が SHT の定義に該当
し、男性 67 名、女性 65 名が抽出された。2)経年推移のパターンに
より経過中 1 回のみ SHT のもの(S)
、SHT と正常機能が変動するもの
(F)
、進行性 TSH の上昇をみるもの(P)
、一定して SHT を示すもの
(C)に分類、各割合は男性 S41、F32、P9、C18%、女性 S36、F32、
P18、C14%であった。3)追加調査で甲状腺自己抗体(TPO、Tg)を
検索しえたものでは抗体陰性のものも多く、経年変化パターンとの
関連はなかった。4)連続 7 回以上 TSH 正常 20 例の SD は 0.17−
0.78mIU/L と幅があった。
(考察)甲状腺機能は予測以上に経年で変化
しうることがわかった。
SHT の罹病率についても今回のデータをふま
えると見直しの必要性がある可能性もあり、一回の測定で SHT と確
定して補充療法を開始することは慎重にされなければならない。(結
論)SHT の診断には経時変化を考慮する必要がある。
P-1-13-01 GH 測定の標準化が先端巨大症の診断に及ぼす影響
1
東京女子医科大学 第二内科
福田 いずみ 1、肥塚 直美 1、栗本 真紀子 1、盛田 順子 1、佐田 晶
、田中 聡 1、谷本 啓爾 1、小野 昌美 1、三木 伸泰 1、高野 加
寿恵 1
【目的】我が国では 2005 年 4 月以降,GH 測定キットの標準品がリコ
ンビナント(r)GH に統一された。
これにより測定キット間の較差はな
くなり GH 測定の標準化が実現した。rGH を標準品とすると,GH の測
定値は従来値の 60%となったが,先端巨大症の診断における 75g
OGTT での GH 底値のカットオフ値は 0.6 ではなく 1ng/ml のまま据え
置かれている。今回,先端巨大症における血中 GH 値を解析し GH 測
定の標準化が本症の診断に与える影響を検討した。
【対象】2005 年 4
月以降に検査した先端巨大症 25 例(男/女 8/17,23∼86 歳,未治療
24 例)を対象とした。
【成績】未治療の 24 例における平均血中 GH
は 14.2ng/ml(range; 1.2-86.8)であった。24 例中 6 例(25%)は
平均 GH 値は 5ng/ml 未満であり,そのうち 3 例(13%)では 2ng/ml
未満であった。IGF-I SD は 5.3SD(range; 2.0-16.2)といずれも 2SD
以上であった。25 例中,1 例では本症の身体症候を呈していたもの
の GH/IGF-I SD は 1.2/2.5 SD であり,75g OGTT での GH 底値は
0.82ng/ml であった。また,先端巨大症の身体症候に乏しい症例が 2
例認められ,これらの症例の GH/IGF-I SD は 1.6/2.7 SD,3.9/3.2 SD
であった。
【考案】GH 測定の標準化に伴い,活動性先端巨大症であっ
ても血中GHの上昇が軽微な症例が増加する可能性が示唆された。
75g
OGTT での GH 底値のカットオフ値を 1ng/ml とすると偽陰性となる症
例があり,今後の検討が必要である。一方,IGF-I 値は GH 過剰分泌
を鋭敏に反映する指標として有用である。
1
P-1-13-02 妊娠中 Octreotide 徐放性製剤を投与した Acromegaly
患者の一症例
1
2
日本医科大学 脳神経外科 、
東海大学医学部 基盤診療学系 病
理診断学
竹井 麻生 1,2、鈴木 雅規 1、石井 雄道 1、田原 重志 1、梶谷 華
子 2、宮腰 隆史 2、江頭 登 2、竹腰 進 2、山王 直子 1,2、長村 義
之 2、寺本 明 1
【目的】今回我々は、妊婦にサンドスタチン除放性製剤を投与した
症例で正常分娩にいたった症例を経験したのでここに報告する。
【症例】35 歳女性。月経不順と腹痛を主訴に近医受診。精査の結果
Acromegaly と診断され,手術目的で当院に紹介となった。典型的な
Acromegaly の身体所見を呈し,視野検査にて両耳側 1/4 半盲を認め
た。GH 1157.4ng/ml IGF-1 810ng/ml と高値であり,TRH 負荷試験
では GH 頂値は 11575.6ng/ml と以上高値となった。下垂体 MRI では
左海綿静脈洞に強く浸潤する最大径 4cmの巨大腺腫を認めた。
内視
鏡下経鼻経蝶形骨手術を施行。輸血拒否の患者であったため浸潤部
の摘出は無理せずに手術終了。術後視野障害は改善したが,GH,
IGF-1 は正常化しなかったため Octreotide 投与を開始し,LAR30mg/
月にて内分泌学的寛解を得た。
4 ヵ月後妊娠 9 週であることが確認さ
れたため一時投薬を中止した。約 1 ヶ月で GH 17.54ng/ml IGF-1
439ng/ml と上昇傾向が認められた為,患者と十分に相談した上で
LAR10mg の投与を再開した。妊娠経過中に胎児の発育に異常はなく,
妊婦も妊娠高血圧,耐糖能異常などを来たさなかったが,妊娠 39 週
で切迫早産となり帝王切開にて挙児を得た。新生児は出生直後一時
的に低血糖を呈したものの,その後の発育は順調である。患者本人
は再度外来にてフォローアップ中である。
【考察】
Acromegaly に対す
る Somatostatine analog 投与中の妊娠例の報告は散見されるが,出
産時まで投与を継続した症例報告は稀である。また,妊娠中の内分
泌学的データに対する評価は未だ確立されたものはない。これらの
文献的考察も加え,本症例を提示する。
P-1-13-03 先端巨大症におけるサンドスタチン LAR の使用経験
P-1-13-04 Cabergoline が著効した PRL 産生先端巨大症の一例
1
1
国立病院機構 東京医療センター
三浦 奈穂子 1、須藤 聡子 1、岩本 正照 1、小山 一憲 1、猪 芳亮
富山県立中央病院 内科
河原 利夫 1、鳥田 宗義 1、臼田 里香 1
1
2004 年本邦において徐放型酢酸オクトレオチド(サンドスタチン
LAR)の保険適応が認められたが,今回,我々は当院において 2004 年
8月から2006年3月まで使用した製剤の効果について報告する。
【対
象,方法】先端巨大症と診断された男性 1 例,女性 6 例 (平均年齢
61.5 歳),内訳は,術後コントロール不良 1 例,手術拒否 6 例の計 7
例について徐放剤 20mg/月を導入。サンドスタチン LAR 投与前,徐放
剤投与後の血中 GH,IGF-1 値を測定しその結果を比較した。
【結果】
サンドスタチン LAR 導入前後での、GH の変化は、導入前血中 GH 基礎
値 1.82-36.2ng/ml(7 例平均 10.2ng/ml) 、導入後 GH 基礎値
0.54-2.00ng/ml(7 例平均 1.31ng/ml)であった。7 例で GH 基礎値の
低下を認め、治療目標の 1 ng/ml 未満を達成したのは、4 症例であっ
た。IGF-1 変化は、導入前 271-1410 ng/ml(7 例平均 757.14ng/ml)、
導入後 129-711ng/ml(例平均 380.4ng/ml)で、IGF-1 の低下は全例で
認めたが、正常範囲内(436 ng/ml 以下)となったのは 5 症例であっ
た。副作用に関しては,脱毛、体重減少を認めた。また耐糖能に関
しては,導入前 HbA1c は 5.1-10.1%(5 例平均 6.6 % )であり,導入
後は HbA1c5.4-8.4(3 例平均 7.1%)であった。
【結語】今回の結果か
らは,サンドスタチン LAR は GH,IGF-1 の抑制効果に関して,安定性
などの面からは優れた治療法と考えられる。今後も糖代謝への影響
などもふまえて,さらなる検討が必要と考える。
【序論】Bromocriptine(Bro)で GH・IGF-I の正常化が見られる先
端巨大症は 10%未満であり,腫瘍縮小効果も乏しい.超長時間作動
型ドーパミン D2 受容体刺激剤 Cabergoline(Cab)の少量隔週投与に
よりIGF-Iの正常化ならびに腫瘍縮小を認めた症例を報告する.
【症
例】45 歳女性.38 歳頃より手根幹症候群.45 歳より高血圧.頭痛精
査のため頭部 MRI 検査を施行した際,下垂体に径 2cm 大の腫瘍を指
摘され当院受診.先端巨大症様顔貌あり,GH 14.5 ng/ml, PRL 14.6
ng/ml にて先端巨大症と診断.乳汁分泌無し.TRH 負荷試験で GH の
奇異性上昇,PRL の過大反応.Bro 負荷試験では GH の抑制.2005 年
9 月 13 日に当院脳神経外科にて下垂体腫瘍摘出術を施行.術後,残
存腫瘍あり.GH は低下したが IGF-I は正常化しておらず,12 月 14
日より Cab 0.5 mg/週の投与を開始したところ IGF-I は正常化.Cab
の投与後の 75gOGTT では GH 最小値 0.9 ng/ml.2006 年 8 月 31 日の
頭部 MRI 検査では残存腫瘍の縮小を認めた.術後 PRL 0.6 ng/ml で
あり,腫瘍組織の免疫染色にて PRL 陽性であったことより PRL 同時
産生先端巨大症と診断.
【考察】酵素抗体法による組織化学検査の検
討では,GH・PRL 同時産生腫瘍は先端巨大症の 30.7%.GH のみ産生し
ている先端巨大症に対する Cab による IGF-I 正常化率は 35%である
のに対し,PRL 同時産生先端巨大症では約 50%と有効性に差がある
との報告がある.PRL 低値のプロラクチノーマの報告もあり,PRL 基
礎値が高値でなくても本例の如くドーパミン作動薬が有効な症例も
潜在的にいると思われる.
【結語】PRL 基礎値正常の PRL 同時産生先
端巨大症で Cab が有効であった症例を経験した.
P-1-13-05 酢酸オクトレオチドとカベルゴリンの併用療法が有効 P-1-13-06 コントロール不良の先端巨大症に対するGH受容体拮抗
であった GH 産生下垂体残存腫瘍の一例
薬 Pegvisomant の使用経験
1
1
藤田保健衛生大学医学部内分泌内科
東京女子医科大学 内分泌疾患総合医療センター 内科
浅野 昇悟 1、鈴木 敦詞 1、稲垣 一道 1、梅谷 洋介 1、関口 佐保
子 1、糸井 智子 1、松本 崇 1、柿澤 弘章 1、早川 伸樹 1、織田 直
久 1、伊藤 光泰 1
【症例】49 歳、男性 11 年前より下顎突出、口唇肥厚、舌肥厚、四肢
末端の肥厚などの先端肥大症状を自覚していたが放置していた。7
年前、胸痛を主訴に精査目的入院。GH39 ng/ml、ソマトメジン C 960
ng/ml と上昇を認め、経口ブドウ糖負荷テスト(OGTT)で GH 抑制な
く、LHRH 負荷にて GH 奇異反応を認めた。また、下垂体 MRI にて 30 mm
×30 mm の腫瘤を認めため GH 産生下垂体腺腫と診断した。経蝶形骨
洞的腫瘍摘出術を施行したが前頭蓋底部に腫瘍の残存を認めた。術
後腫瘍の増大は認めなかったが OGTT で GH の抑制を認めず、又、ソ
マトメジン C の高値が持続したため酢酸オクトレオチド(30 mg/月)
を投与開始した。酢酸オクトレオチドにて腫瘍の縮小傾向は認めた
が GH が正常化しないためカベルゴリン(0.5 mg/週)の併用を開始
した。カベルゴリン併用後は GH 及びソマトメジン C の低下傾向が認
められ現在外来治療継続中である。
【結論】 GH 産生下垂体残存腫瘍
に対し酢酸オクトレオチドとカベルゴリンの併用療法が有効であっ
た。
栗本 真紀子 1、肥塚 直美 1、福田 いずみ 1、高野 加寿恵 1
先端巨大症の薬物療法として,最近 IGF-I の正常化率が高い GH 受容
体拮抗薬の Pegvisomant(PEG)が開発され,06 年 12 月現在わが国
では治験中である。今回,既存の治療にてコントロール不良であっ
た先端巨大症に対して PEG 治療を行ったので報告する。
【症例 1】58
歳女性。47 歳時に先端巨大症と診断され,経蝶形骨洞的下垂体腺腫
摘出術を施行されたが,残存腫瘍を認め,以後ドパミン作動薬,γ
ナイフ治療を受けるもコントロール不良であった。56 歳時に PEG の
皮下注射を開始した(初回量 40mg,2 日目より 10mg/日)
。投与前の
IGF-I は 504 ng/ml(4.3 SD)であったが,投与後 7 日後には IGF-I
174ng/ml(0.7SD)と正常化し,以後 IGF-I は正常域に維持されてい
る。臨床症状も早期から改善した。
【症例 2】56 歳男性。26 歳時に先
端巨大症と診断され,以後ドパミン作動薬,酢酸オクトレオタイド
製剤の投与を受けるも,コントロール不良であった。54 歳時に PEG
の投与を開始した。投与後 IGF-I は低下したが正常化しなかった(投
与前/10mg12 週:882 ng/ml (10.4SD)/397(4.9))ため 30mg まで増量
したところ 64 週目には IGF-I は 121 ng/ml(0 SD)と正常化し,以
後 IGF-I は正常域に維持され臨床症状の改善を認めた。いずれも腫
瘍の増大は認めず,血糖コントロールは改善し,副作用も認めなか
った。
【結語】先端巨大症に PEG 治療を行い,IGF-I の正常化と臨床
症状の改善を認めた。本剤は既存の治療法ではコントロール困難で
ある症例に有効であると考えられ,本邦でも早く承認されることが
期待される。
P-1-14-01 TRによるT3依存性転写活性化における26Sプロテアソ P-1-14-02 幹細胞関連遺伝子発現を指標とした組織再生の試み:甲
ームの 19S 制御サブユニットの役割
状腺細胞シートを用いた検討
1
1
群馬大学大学院医学系研究科病態制御内科学
東京女子医科大学 内分泌内科、2 同 先端生命医科学研究所、3 伊
藤病院
佐藤 哲郎 1、石塚 高広 1、吉野 聡 1、渋沢 信行 1、橋本 貢士 1、 大久保 由美子 1、磯崎 収 1、清水 達也 2、野添 康子 1、長谷川 佳
山田 正信 1、森 昌朋 1
代 1、栗本 真紀子 1、吉原 愛 1、岡野 光夫 2、吉村 弘 3、伊藤 公
一 3、高野 加寿恵 1
【目的】リガンド存在下で核内受容体 (NR)はホルモン応答領域に周 多くの臓器には自己複製能、分化能を有する幹細胞が存在し、下垂
期的にリクルートされ、種々の cofactor complex が NR に結合して 体や甲状腺においても幹細胞マーカー発現細胞の存在が報告されて
は解離するということを繰り返して転写活性化が惹起されると考え いる。組織幹細胞の Ex vivo での増幅、組織の再構築を目的とし、
られている。近年ユビキチン/ATP 依存性に蛋白分解を行う 26S プロ 幹細胞の自己複製、増殖分化機構が検討されている。 我々は温度
テアソームが、NR や cofactor complex の周期的な結合・解離に関与 感受性PIPAAm培養皿を使った細胞シート技術を用いて甲状腺組織再
することが示唆されているが、その詳細は不明である。私達は酵母 構築法を検討してきた。ヒトおよびラット甲状腺組織では Oct-4 等
ツーハイブリッド法にてTR に結合する蛋白として26S プロテアソー の幹細胞関連遺伝子が発現し、ラット甲状腺株化細胞ではその発現
ムの 19S 制御サブユニット(19SRP)構成蛋白である Tat-binding が細胞シート形成により増強することから、幹細胞関連遺伝子発現
FRTL5 細胞の親細胞で甲状腺組織より
protein1(TBP1)を単離し、TBP1 が steroid receptor coactivator の調節機構をさらに検討した。
(SRC1)と相乗的にTRによる転写活性化を増強することを以前報告し TSH 含有低血清培地でクローン化された FRTL 細胞および FRTL5 細胞
TSH 含有分化培地や TSH 非添加培地では Oct-4 遺伝子発現が認
た。本研究では、TR による転写活性化における 19SRP の役割につい では、
て siRNA を用いて検討した。
【成績】HeLa 細胞において、19SRP 構成 められず、独自に確立した bFGF,EGF,IGF-I を含む幹細胞培地および
ATPase である TBP1 、 thyroid receptor-interacting protein1 コラーゲンゲル上で培養すると発現が誘導された。浮遊培養した細
低濃度 TSH
(Trip1)または non-ATPase である Rpn10 に対する siRNA 導入は容量 胞シートでは TSH 非添加培地で Oct-4 の発現が誘導され、
依存的に標的蛋白質合成を阻害した。各蛋白を標的とした siRNA 存 の 24 時間添加で NIS 遺伝子発現に伴い Oct-4`の mRNA も増加した。
在下で、TR によるパリンドローム型 TRE (PAL)の T3 依存性転写活性 ヒト甲状腺組織では正常部および乳頭癌組織でも同等に Oct-4 遺伝
化は阻害され、更に SRC1 によるその増強効果も消失した。一方、各 子発現を認めた。またコラゲナーゼ、ディスパーゼ処理で得られた
siRNAはTRやSRC1蛋白量ならびに他のプロモーター活性には影響を 単離細胞でも発現を認めたが、単層培養で発現は減弱し、コラーゲ
及ぼさなかった。ChIP assay において T3 存在下で TR および SRC1 ンゲルまたは細胞シートではその発現が保たれた。<結語> 幹細
は PAL に周期的にリクルートされ、これらのリクルートが siTBP1 存 胞用培地および細胞外基質を有する細胞シートの状態では幹細胞の
在下で強く阻害された。
【結論】19SRP は TRE への TR や SRC1 のリク 性質を持つ細胞を誘導することが出来、細胞シートは甲状腺組織の
ルートを制御して転写活性化に関与し、その作用には 19SRP 構成 みならず他の内分泌臓器の修復や再生医療にも有用な可能性を示唆
した。
ATPase に加え non-ATPase も必須であることが示唆された。
P-1-14-03 ヒト腸間膜由来脂肪細胞に発現する甲状腺ホルモン活 P-1-14-04 Peculiarities of distribution of genetic patterns
性化酵素に関する検討
of mutant BRAF in papillary thyroid carcinoma tissues
1
1
関西医科大学 第 2 内科
長崎大学 原研国際、2 ロシア医学放射線研究所 病理、3 長崎大学
附属病院 永井隆記念国際ヒバクシャセンタ、4 長崎大学 原研細胞
長興 1、岩坂 壽二 1、西川 光重 1
Rogounovitch Tatiana 1 、 Saenko
Vladimir 1 、 Abrosimov
野村 惠巳子 1、豊田
2
2
Aleksander 、Furminskaya Elena 、大津留 晶 3、難波 裕幸 4、
山下 俊一 1,3,4
【目的】甲状腺より分泌される T4 は、5 -deiodination により活性 Papillary thyroid carcinoma (PTC) is the prevalent type of
型ホルモンである T3 に転換され、甲状腺ホルモン作用を発揮する。 thyroid malignancy (80-95%). Somatic point mutation of the BRAF
Type 2 iodothyronine deiodinase (D2)は、5 -deiodination を触 gene (T1799A) is frequently detected in adult patients with the
媒する酵素である。D2 は、発現する局所での T3 含量を調節し、T3 conventional type, Warthin-like and tall cell variants of PTC,
作用を調節する重要な酵素である。これまでに、白色脂肪に D2 活性 but it is rather rare in the follicular variant of PTC.
の発現は報告されていない。今回、ヒト腸間膜由来脂肪前駆細胞を Conventional PTC is often presented with tumors of mixed
用いて、D2 活性の発現に関して検討した。
【方法】脂肪前駆細胞を architecture containing papillary, follicular and solid areas.
confluent になるまで培養した。その後、分化培地で培養し脂肪細胞 We examined different tumor structural components
に分化させた。超音波処理した細胞ホモジネートを、20 mM DTT 存在 microdissected from 33 frozen PTC sections obtained from female
下に、cold の T4 及び 125I-T4、1mM PTU の存在及び非存在下で 37C patients older than 40 years. The mutation was detected at least
でインクベートした。5 -deiodination 活性は、125I-T4 より遊離し in one structural component in 29/33 tumors (87.9%). Such a high
た 125I-T4 をγ-カウンターで測定し、細胞蛋白量で補正して求めた。 prevalence is probably due to the older age of patients. In 2
【結果】ヒト腸間膜由来脂肪前駆細胞に 5 -deiodination 活性の発 cases the follicular components and in 1 case the papillary
現を確認した。T4 を基質とした Km 値は、2nM であった。更に、1mM PTU component did not display BRAF mutation 3/29 (10.3%) whereas
によりその活性が阻害されなかった。これらの結果より、ヒト腸間 all other tumors (89.7%) have concordant mutational status of
膜由来脂肪前駆細胞に D2 活性の発現を明らかにした。D2 活性は、70 BRAF in their papillary, follicular and solid structures. This
fmol/mg prot/h であった。脂肪細胞にもほぼ同等の D2 活性の発現を finding led us to investigate clonality of different tumor
明らかにした。更に、脂肪前駆細胞及び脂肪細胞に 1mM dibutyryl components by X-chromosome inactivation analysis using HUMARA
cAMP (DBC)を添加して 12 時間培養後、D2 活性は、各々10 倍、17 倍 gene as a target and by assessing the polymorphic allele markers
に増加した。
【考察】ヒト腸間膜由来脂肪前駆細胞及び脂肪細胞に、 around T1799A mutation in the BRAF gene. Currently this
同等の D2 活性が発現することを初めて明らかにした。DBC による D2 investigation is in progress.
活性増加作用は、前駆細胞より脂肪細胞により強いことを明らかに
した。白色脂肪において、D2 活性によりその局所で産生される T3
により、白色脂肪細胞の有する機能が調節されている可能性が示唆
された。
P-1-14-05 Hepatocyte nuclear factor 4α (HNF4α) による Type P-1-14-06 卵巣・子宮の低形成が認められた甲状腺不応症の一例
1 Iodothyronine Deiodinase (D1) の発現制御機構
1
東京大学 先端科学技術研究センター システム生物医学ラボラ 1 トヨタ記念病院内分泌科
トリー
吉田 昌則 1、高桑 美咲 1、小口 秀紀 1、伊藤 禎浩 1、安田 詩奈
田中 十志也 1、大口 裕人 1、児玉 龍彦 1、酒井 寿郎 1
子 1、篠田 純治 1
Type 1 Iodothyronine Deiodinase (D1) は 肝 臓 に 高 発 現 す る 【症例】19 才女性【家族歴・既往歴】特記事項なし【臨床経過】無
selenoenzyme で、T4 を活性型の T3 に変換することによって甲状腺ホ 月経を主訴に当院産婦人科受診。FT3, FT4 の上昇が認められ当科紹
【検査結果】TSH 0.41μIU/ml, FT3 5.15 pg/ml, FT4 2.24 ng/dl
ルモン作用を調節している。今回我々は、Hepatocyte nuclear factor 介。
抗TPOAb <0.3 IU/ml, 抗TgAb 0.8 U/ml, TRAb
4α (HNF4α)が肝臓のD1レベルを制御することを見出したので報告 とSITSH を呈していた。
する。DNA マイクロアレイ解析および定量的 PCR の結果より、肝臓特 10.4 %.甲状腺エコー:特記事項なし。下垂体 MRI:単純及び dynamic
異的 HNF4α欠損マウスの肝臓では、D1 mRNA レベルの顕著な低下が とも異常なし。TRH 負荷:TSH 前値 1.07μIU/ml→30 分後頂値 9.92
T3 50μg 内服にてTSH 0.10μIU/ml, FT3 9.90 pg/ml,
認められた。HNF4αのアデノウィルスによる過剰発現および siRNA μIU/mlへ上昇。
によるノックダウン実験において、HepG2 細胞の D1 mRNA レベルは FT4 1.74 ng/dl. T3 150μg 内服にて、TSH <0.08μIU/ml, FT3
HNF4αの発現量に依存して変動した。レポーターアッセイ, 14.41pg/ml, FT4 1.60 ng/dl と TSH が漸く完全に抑制されたが、TRH
T3 負荷に
electrophoretic mobility shift assay (EMSA)およびクロマチン免 負荷では 30 分後 0.18μIU/ml と僅かではあるが反応した。
疫沈降法(ChIP)を用いてマウスD1 遺伝子プロモーターを解析した結 ても機能亢進症状は認めず。以上より甲状腺不応症と診断。更に、
果、HNF4αは予測された 2 カ所の HNF4α応答配列のうち近位側の応 E2 が<30pg/ml と低値であり、hypogonadism を合併。GnRH 負荷では、
答配列に結合することが示唆された。肝臓特異的 HNF4α欠損マウス LH 6.74→58.03IU/ml, FSH 6.4→21.8IU/ml と上昇を認めた。外性器
の組織中の D1 活性は、
mRNA の低下と一致して肝臓において顕著な低 異常なく、乳房、恥毛発育はほぼ正常。US・MRI にて、卵巣の存在が
下が認められた。また、血中 T3 レベルの変動は認められなかったが、 指摘できず、萎縮した子宮が認められ、発生学的な異常が考えられ
【考察】甲状腺不応症の多
肝臓特異的HNF4α欠損マウスでは血中T4 およびrT3 が上昇しており、 た。染色体 46XX.骨密度は 70 才女性相当。
D1 欠損マウスと類似した血中甲状腺ホルモンのプロファイルを示し くは甲状腺ホルモン受容体(TRβ)の変異であるが、同遺伝子に異常
た.以上の結果より、HNF4αが肝臓の D1 発現を制御することによっ が認められない症例も存在する。dimer の相手である RXR や、SRC-1
て甲状腺ホルモンの恒常性維持に寄与していることが示唆された。 などの cofactor が候補とされているが報告はない。甲状腺不応症で
は一般に子宮の低形成は伴わず妊孕性は保持される。本症例の子宮
低形成は、卵巣が存在せず、E2 が欠落した結果が考えられるが甲状
腺不応症との因果関係は不明である。一元的に考えるなら、発生学
的に卵巣の分化に必須な遺伝子に異常があり、それが甲状腺ホルモ
ンの negative feedback にも関与していたという可能性も考えられ
る。
P-1-15-01 成長ホルモン(GH)補償療法中断後に著明なふらつき感
と生活活動強度の低下を認めた成人 GH 欠損症の2例
1
そうみやクリニック、2 医療法人大和会 日下病院
宗宮 基 1、加藤 譲 2
【目的】成人 GH 欠損症に対する遺伝子組換えヒト GH(rhGH)の補償
療法は QOL を改善させるが、
rhGH 治療終了時期ならびに GH 治療終了
後の QOL の変化ならびに客観的な生活活動状況の変化については明
らかでない。今回われわれは、5年以上 rhGH 治療した成人発症 GH
欠損症患者において、rhGH 治療中断後に著明なふらつき感を認め、
生活習慣記録機(ライフコーダー)を用いて生活活動状況を評価し、
QOL の低下、生活活動強度の低下、生活活動状況の変化を認めた2例
を経験した。
【症例】症例1は 57 歳、女性。rhGH 補償療法を 5 年間
継続し、投与中止となった。投与中止約2週間後より、ふらつき感
のため歩行困難となり、QOL は著明に低下した。身体所見ならびに頭
部 MRI にて異常を認めなかった。ふらつき感は約3ヶ月間持続し、
徐々に改善し消失した。rhGH 中断 6 ヶ月後の生活活動強度は、rhGH
投与中と比較して低下を認め、体脂肪率の上昇を認めた。症例 2 は
65 歳、女性。rhGH 補償療法を 6 年間継続し、投与中止となった。投
与中止約2週間後より、軽度のふらつき感を認めるようになった。
身体所見ならびに頭部 MRI にて異常を認めず、ふらつき感は約 2 ヶ
月後に消失した。6 ヶ月後の生活活動強度は、rhGH 投与中と比較し
て著明な低下を認め、生活活動状況では活動時間が明らかに減少し
た。いずれの症例も rhGH 治療の再開を強く希望した。
【結論】成人
GH 欠損症についても GH 補償療法が有用であるが、
GH 投与中止後 QOL
の低下をきたす例があり、rhGH 治療の継続が必要と考えられる。
P-1-15-02 GHRP-2 負荷、CRH 負荷、インスリン負荷による ACTH、 P-1-15-03 血清 IGF-I に及ぼす飲酒の影響と動脈硬化指標との関
GH の分泌刺激能の比較検討
連
1
1
山形大学医学部生命情報内科学
近畿中央病院 内科、2 大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝
内科
亀田 亘 1、神部 裕美 1、諏佐 真治 1、大泉 俊英 1、山口 宏 1、 古賀 正史 1、向井 幹夫 1、斎藤 博 1、笠山 宗正 2
大沼 寛 1、大門 真 1
【背景】GHRP‐2 は GH 分泌刺激の他、ACTH の分泌刺激作用も有する 【目的】少量飲酒は動脈硬化に対して抑制的に作用するが、大量飲
酒は動脈硬化を促進することが知られている。
IGF-I には抗動脈硬化
ことが知られているが臨床での評価報告は少ない。
作用を有することが報告されている。そこで、血清 IGF-I に及ぼす
【目的】GHRP‐2 の ACTH、GH の分泌刺激能を評価する。
【対象】2006 年 1 月∼12 月に内分泌学的評価目的に入院した下垂体 飲酒の影響と動脈硬化指標である CAVI(cardio-ankle vascular
index)との関連について検討した。
【対象と方法】当院人間ドック
腺腫患者 10 症例。
【方法】従来行ってきた CRH 負荷試験とインスリン負荷試験に、GHRP の男性受診者 270 名を対象とした。年齢は 51.0±6.8 歳、BMI は 24.3
±3.2 kg/m2 であった。飲酒の程度を、非飲酒、1 合以下/日、1 合超
‐2負荷試験を追加した。
【結果】PRLoma5 例、GHoma 術後 4 例、NFPA 術後 1 例。男/女=1。 /日∼2 合以下/日、2 合超/日の 4 段階に分類した。CAVI は VeSera
平均年齢 35.5±13.7 歳。CRH 負荷、インスリン負荷、GHRP‐2負荷 VS-1000 を用いて測定した。
【結果】1 合超/日の飲酒者では血清
による ACTH(pg/ml)の頂値(分)は、126.6±97.8(25.5±12.3)
、 IGF-I の低下を認めた。多変量解析では、年齢と飲酒の程度は血清
248.4±115.4(57.0±13.8)
、99.1±85.4(15)で、インスリン負荷 IGF-I に対する独立した負の因子であった。また、飲酒の程度の増加
での頂値が有意に高かったが、CRH 負荷と GHRP‐2負荷では有意差 に伴い CAVI の増加を認め、多変量解析で年齢、BMI(負)
、空腹時血
は認められなかった。
糖、飲酒の程度が CAVI の独立因子であった。さらに、血清 IGF-I と
インスリン負荷、GHRP‐2負荷による GH(ng/ml)の頂値(分)は、 CAVI との間には有意の負の相関(R=0.200, p=0.001)を認めた。
【結
17.3±14.4(58.5±13.1)
、54.4±43.7(28.5±4.7)で、GHRP‐2 語】男性において、飲酒の程度は血清 IGF-I とは負に、CAVI とは正
負荷での頂値が有意に高かった。
に関連する独立した因子であった。血清 IGF-I と CAVI は負に関連す
【考察】GHRP‐2 負荷で 15 分にみられる ACTH の頂値と、CRH 負荷で ることから、大量飲酒による動脈硬化の促進機構に血清 IGF-I の低
概ね 30 分にみられる ACTH の頂値に有意差はなかった。GH において 下が関与することが示唆された。
は、インスリン負荷の約 3 倍の分泌刺激力を有した。
【結語】
GHRP‐2 にて GH と ACTH の予備能評価を同時に行える可能性
が示唆された。
P-1-15-04 成人成長ホルモン分泌不全症の二症例
1
山本 内科 クリニック
山本 繁樹 1
【症例1】59歳女性。患者29歳時に、四肢末端の肥大を指摘さ
れ、検査にてトルコ鞍の拡大と成長ホルモン(GH)55ng/ml と高値を
認めたため末端肥大症と診断。ハーデイ手術およびコバルト照射を
施行された。しかし、GH 値の低下が不良であり翌年に再手術。その
後、汎下垂体機能低下症となり、ステロイドホルモンと甲状腺ホル
モンの補充療法にて経過。昭和61年から北九州市に転居。平成1
6年頃から易疲労感・集中力の低下が出現。ステロイド投与量の調
整にて対応していたが、平成18年4月頃には易疲労感が増強、う
つ状態になった。検査にて GH-RH2 負荷試験で GH のピーク値が
1.00ng/ml と低値であった。
成長ホルモンの投与にてうつ状態も改善
し経過は良好である。
【症例2】79歳女性。患者70歳時に汎下垂
体機能低下症と診断。ステロイドホルモン及び甲状腺ホルモンの補
充療法にて経過。GH 0.05ng/ml 未満, IGF-1 37.6 ng/ml と基礎値は
低値であり、GH-RH2 負荷試験では全値で 0.05 ng/ml 未満と反応なく
成長ホルモンを投与したところ下腿浮腫が出現し、やむなく投与中
断となった。以上に成人成長ホルモン分泌不全症の二症例を報告す
る。
P-1-15-05 成人GH分泌不全症患者の動脈硬化指標に関連する因子
の解析
1
大阪大学大学院 医学系研究科 内分泌・代謝内科、2 大阪大学大
学院 医学系研究科 脳神経外科、3 近畿中央病院 内科
大月 道夫 1、笠山 宗正 1、森田 真也 1、和泉 真紀 1、古賀正史 正
史 3、泉本 修一 2、齋藤 洋一 2、吉峰 俊樹 2、下村 伊一郎 1
【目的】成人 GH 分泌不全症(AGHD)患者では心血管疾患のリスクが
高いことが知られている。AGHD 患者では腹部肥満・脂質代謝異常・
メタボリックシンドローム(MS)の頻度が高いことが報告されてお
り、これら代謝異常が心血管リスクに関与する可能性がある。そこ
で、AGHD 患者の動脈硬化指標に関連する因子を明らかにすることが
重要と考え,検討を行った。
【対象と方法】AGHD を合併する下垂体機
能低下症患者 41 例(男/女 23/18,平均年齢 58±14 歳)を対象とし
て、brachial ankle PWV(baPWV)を測定し、各臨床パラメータとの
関連を解析した。
【結果】対象者の baPWV(cm/sec)は 1519±337 で
あり、年齢・血圧・性を一致させた検診受診者 191 例の baPWV(1368
±205)と比較して高値であった(P=0.0002)
。この特徴は男性にお
いてのみ認められた。baPWV は、年齢・血圧・HDL-C と正相関を認め
たが、ウエスト周囲径・トリグリセリド・空腹時血糖・MS・LDL-C
との関連を認めなかった。
【結語】AGHD 患者では年齢・血圧に比して
baPWV が高値であった。その病態には、合併する代謝異常の関与より
も、GH-IGF-I 低下の直接関与の可能性が高いと考えられた。また、
AGHD の baPWV に与える影響に性差が認められることも判明した。
P-1-15-06 小児期発症成長ホルモン分泌不全症における成長ホル P-1-16-01 DDAVP 点鼻治療に難渋した中枢性尿崩症の臨床像
モン治療の成人への連続的移行について
1
2
国立成育医療センター 内分泌代謝科、
国立成育医療センター 臨 1 宮崎大学 医学部 神経呼吸内分泌代謝内科
床検査部
米川 忠人 1、山口 秀樹 1、松尾 崇 1、中里 雅光 1
堀川 玲子 1、内木 康博 1、田中 敏章 2
成長ホルモン(GH)は、成長促進作用のみならず、脂質代謝、蛋白
合成、骨代謝、糖代謝に影響を及ぼすことが知られている。昨年、
成人重症成長ホルモン分泌不全症(GHD)における GH 治療が保険適応
になり、成長を終了した GHD に対する成長促進以外の作用による生
活の質と生命予後の改善が注目されるようになった. 小児期発症
重症 GHD では、成長の終了した思春期年齢で突然 GH 治療を中止する
ことにより、脂質をはじめとする代謝系の異常出現が懸念される。
我々は重症 GHD の思春期例において、GH 中止期間中に脂質代謝異常
を認めた例を経験したので報告する。 症例は18歳男性。先天性
汎下垂体機能低下症にて1歳6ヶ月より GH 治療を開始している。1
4歳時、身長 157cm に達したところで骨単線は閉鎖していなかった
が、小児慢性特定疾患の更新基準を超えていたため GH 治療を一旦中
止した。1ヶ月間の中止後、IGF-I は 23ng/ml、IGFBP-3 0.81mcg/ml
と低下、血中コレステロール値の上昇(総コレステロール 275mg/dl)
を認めた。GH の代謝に対する作用を説明し、本人及び家族の希望が
あったため GH0.005mg/kg/日にて治療再開した。17 歳時、身長 168.6
cm、体重 60.6kg、体脂肪率 27%、DXAによる腰椎骨密度-0.3SD
と、身体所見、体組成は良好である。総コレステロール 145mg/dl、
HDL コレステロール 65mg/dl、中性脂肪 68mg/dl、空腹時血糖
60-80mg/dl と、代謝系も特に異常を認めていない。学習意欲、運動
能力は平均的である。 本症例のように、重症 GHD では小児期から
成人への GH 治療の以降は連続的に行われた方が、代謝、体組成、社
会生活にもプラスになるであろうことが示唆された。
中枢性尿崩症 (CDI) の慢性期治療は DDAVP (D) 点鼻が一般的である
が、稀に血清浸透圧や尿量コントロールの困難な症例に遭遇する。
我々は D 点鼻治療に難渋した CDI3例の臨床像を検討した。症例 1
は 58 歳、女性。特発性尿崩症と診断され、D 点鼻療法を開始するも
40μg/日を要し、口渇感が強いため入院した。高張食塩水負荷、水
制限試験ともに口渇感はあるが、血中 ADH は無反応であった。下垂
体MRI では後葉のT1 強調高信号は消失するも視床下部に異常なかっ
た。鼻粘膜や腎臓に器質的異常なく、D 静脈内投与により von
Willebrand 因子活性は上昇した。D 点鼻では口渇感強く多飲傾向で
あったため、
D 皮下投与 (2μg/日,分 2) 変更により口渇感は消失し、
良好な尿量コントロールを得た。症例2は 41 歳、女性。頭痛、嘔吐
を生じ、頭部 MRI により、トルコ鞍上部から第 3 脳室に達する径 4cm
の石灰化を伴う多房性腫瘤を認めた。開頭下腫瘍摘出術を施行され、
頭蓋咽頭腫と診断された。術後汎下垂体機能低下症、口渇感の消失、
記銘力低下が出現した。腎臓や鼻粘膜は正常であったが、D 点鼻 40
μg/日の投与でも血清 Na:154 から 164 mEq/L であったため、D 皮下
投与 (6μg/日,分 2)を行い、尿崩症のコントロールを得た。症例3
は 40 歳、女性。径 3.5cm の頭蓋咽頭腫術後に汎下垂体機能低下症、
記銘力障害を認めた。血清浸透圧の上昇に関わらず、口渇感は消失
していた。D 点鼻 (20μg/日,分 2)では CDI コントロールできず、D
皮下投与 (3μg/日,分 2) を行った。いずれの症例も尿崩症コントロ
ールに必要な D 点鼻量の絶対量不足と考えられ、
D 皮下投与が有効で
あった。
P-1-16-02 生体腎移植後に顕在化した中枢性尿崩症の1例
P-1-16-03 reset-osmostat 型 SIADH に浸透圧刺激に対する ADH 分
泌不全および低浸透圧多尿型夜尿症を合併し血清Na値の著明な変動
を反復した一例
1
高知医療センター 総合診療科、2 移植外科、3 腎臓科、4 代謝・内分 1 産業医科大学 医学部 第一内科
泌科
松本 しのぶ 1、戒田 知穂 1、中村 知志保 1、川上 和徳 1、阿波谷 廣瀬 暁子 1、岡田 洋右 1、松下 幸司 1、森 博子 1、谷川 隆久 1、
敏英 1、澁谷 祐一 2、堀見 忠司 2、土山 芳徳 3、菅野 尚 4、深田 新生 忠司 1、西田 啓子 1、森田 恵美子 1、田中 良哉 1
順一 4
症例は 20 歳女性。幼少時より夜尿が持続。8 歳および 10 歳時に、
症例は 54 歳男性。多発性嚢胞腎による慢性腎不全のため Cr:
8.7mg/dl となり、透析療法を施行することなく平成 18 年 7 月 19 日 著明な高 Na 血(Na 189mEq/l)を呈し近医入院。10 歳時に不完全型尿
に姉をドナーとした生体腎移植を行った。術前より血清 Na は 124∼ 崩症を疑われ ADH 投与を開始。以降、夜尿はほぼ消失したが、12 歳
ADH
128mEq/l と低 Na 血症を認めた。
移植により血清クレアチニン値は順 と16歳時に意識消失を伴う著明な低ナトリウム血症を呈し入院。
調に低下したが、術後 3 週間を過ぎても 1 日 5000∼11000ml の多尿 を減量され退院となったが、以降も Na 値の激しい変動を反復するた
と夜間 1 時間毎の排尿が持続した。血清 Na が 125mEq/l 前後と低値 め、精査目的で当科入院となった。血漿浸透圧低値および ADH の相
水負荷試験でも負荷後尿量が負荷の 80%未満と
であることや、移植後の多尿であることから、当初は手術の影響に 対的高値が確認され、
よる尿細管障害やタクロリムスによる多尿を考えた。しかし術後 3 低値であり、SIADH を示唆する結果であった。しかし、高張食塩水負
週間目に施行した腎生検では急性拒絶の所見は認められず、集合管 荷に対する ADH の増加反応は欠如しており、血漿浸透圧は
を含め、尿細管には多尿を来たすような形態学的異常は認められな 300mOsm/kg まで上昇した。また、尿量、血漿/尿浸透圧および ADH
かった。術後 43 日目の高張食塩水負荷試験では、血清浸透圧が の日内変動測定では、夜間に尿量増加および著明な尿浸透圧低下が
298.5mOsm/kg まで上昇した時点でバソプレシンの相対的分泌不全の 認められ、低浸透圧多尿型夜尿症を示唆する結果であった。この際
所見を認めた。頭部 MRI T1 強調画像では下垂体後葉の高信号は認め の尿浸透圧と ADH の間には正の相関が認められておらず、本例にお
られず、中枢性尿崩症と診断した。下垂体前葉負荷試験では前葉機 ける低浸透圧多尿型夜尿症の病態には、ADH に対する AQP2 反応性の
能は概ね正常に保たれていた。術後 54 日目の 5μg のデスモプレシ 低 下 が 関 与 し て い る 可 能 性 が 推 測 さ れ た 。 本 例 で は 、
ン負荷では、負荷 3 時間後までの尿浸透圧の上昇は緩やかであり、 1)reset-osmostat 型 SIADH、2)浸透圧刺激に対する ADH 分泌不全、
尿量の減少はほとんど認められなかったが、同日より 1 日 10μg の 3)ADH に対する AQP2 反応性の低下を基盤とした低浸透圧多尿型夜尿
デスモプレシン投与を開始したところ、翌日から尿量は低下した。 症、という3つの病態を合併しており、その結果として浸透圧負荷
以後の経過は順調で、平成 18 年 10 月 7 日に退院し、現在も 10μg/ や外因性のADH 負荷に対し血清Na 値の著明な変動を来していたと推
日のデスモプレシン投与を継続し、尿量は 1 日 3000∼4000ml 程度と 測された。ADH 投与の中止および水分摂取に対する生活指導により、
現在まで血清 Na 値の著明な変動なく経過良好である。
なっている。
本症例は移植前には多尿の既往がなかったが、移植を契機に腎機能
が改善し、中枢性尿崩症が顕在化した症例であると考えられた。
P-1-16-04 急性感染症における体液調節とバソプレッシン分泌
1
国保町立小鹿野中央病院 内科、2 自治医科大学附属大宮医療セン
ター総合医学第一
佐々木 正美 1、佐々木 正美 1、湯澤 美保 2、齊藤 智之 2、生駒 亜
希 2、為本 浩至 2、豊島 秀男 2、川上 正舒 2、石川 三衛 2
【目的】急性感染症では発熱等により二次的に体液量の減少が起こ
る。腎での尿濃縮能を増し、体液保持機構が働くと共に、炎症性サ
イトカインが動員され、アルギニンバソプレッシン(AVP)を介した水
代謝調節の存在の可能性も考えられる。本研究では急性感染症にお
ける炎症性サイトカイン及び AVP の推移について検討した。
【方法】
対象は急性感染症症例 20 例。入院時、48 時間後、退院前に血漿浸透
圧(Posm)、尿浸透圧(Uosm)、血清 Na 値、血漿 AVP、レニン活性(PRA)、
IL-6、IL-1βを測定した。
【結果】入院時の平均 WBC は 12282±
1291/mm3、CRP は 15.6±2.2mg/dl。血清 Na 値は入院時 136.4±1.5、
48 時間後 136.0±1.5、退院前は 138.7±1.0mEq/l。同様に Posm は
299.0±4.8、278.3±7.5、297.8±4.9mmol/kg で、入院時と 48 時間
後で有意差を認めた(P=0.046)。Uosm は 492.3±44.4、332.4±37.9、
384.3±60.9mmol/kg。血漿 AVP は 18.5±4.7、4.4±1.4、2.8±
0.5pg/ml で、入院時と 48 時間後(P=0.029)、入院時と退院時
(P=0.012)で有意な変化を認めた。PRA は 6.2±2.2、1.8±0.7、1.0
±0.3ng/ml/hr。
IL-6 は 538.5±185.1、
150.3±70.2、
19.6±6.1pg/ml
で、入院時と退院時で(P=0.034)で有意差を認めた。一方、IL1-βは
7.5±1.8、4.9±1.3、5.1±1.1pg/ml で、有意差は認めず。
【考察】
入院 48 時間後の PRA、Posm から体液量は正常化しているものと考え
られるが、血漿 AVP 値は依然高値にとどまった。血漿 IL-6 値は血漿
AVP 値と平行した推移を辿り、両者の関連性が強く示唆された。急性
感染症における AVP 分泌には、体液量減少とともに炎症性サイトカ
インが互いに独立に関与することが考えられた。
P-1-16-05 血糖の低下は液性及び神経性入力の両者を介して視床
下部弓状核のニューロペプチド Y 遺伝子転写活性を上昇させる
1
名古屋大学大学院医学系研究科 糖尿病・内分泌内科学、2 名古屋
大学医学部 代謝性疾患学寄附講座
渡邉 峰守 1、有馬 寛 1、廣井 麻依子 1、後藤 資実 1、清水 裕史
1
、林 正幸 1、佐藤 郁子 1、長崎 弘 2、大磯 ユタカ 1
【背景】我々はこれまでに視床下部弓状核におけるニューロペプチ
ド Y(NPY)遺伝子転写活性が血糖値の低下に反応し速やかに増加する
ことを報告した。
【目的】視床下部弓状核の NPY ニューロンが直接的
に血糖の低下を感知するか否かを明らかにする目的で以下の検討を
行った。
【方法】実験は 7 週齢の雄性 Sprague-Dawley ラットを用い
て行った。麻酔下においてハラスズナイフを用いて弓状核を含む
mediobasal hypothalamus (MBH)への入力を切断した MBH island 群
および sham 手術を試行した sham 群を作成した。手術一週間後に一
晩絶食の後にインスリン 3 IU/kg または生理食塩水を腹腔内投与
し、120 分後に断頭と殺して血糖値を測定するとともに脳を摘出し
た。弓状核における NPY 遺伝子転写活性を評価するために転写の第
一産物である NPY heteronuclear(hn) RNA の発現を in situ
hybridyzation 法にて比較検討した。
【結果】生理食塩水投与後の弓
状核における NPY hnRNA の発現レベルは MBH island 群と sham 群と
の間に有意な差を認めなかった。一方インスリン投与により MBH
island 群、sham 群ともに血糖値は有意に低下し、NPY hnRNA の発現
レベルは生理食塩水投与群に比較し有意に上昇した。しかしながら
MBH island 群の NPY hnRNA の発現レベルは sham 群に比べ有意に低値
を示した。
【結語】MBH ニューロンは液性と神経性の両者の入力によ
り血糖の低下を感知し、それに伴い弓状核の NPY 遺伝子転写活性が
上昇することが示された。
P-1-16-06 喫煙ラットにおける視床下部摂食制御因子の病理組織
学的検討
1
東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科、2 東海大学医学
部基盤診療学系病理診断学、3 岡山大学医学部歯学部附属病院薬剤
部、4 京都大学医療技術短期大学部
栗山 源慎 1、宮澤 昌樹 2、藤田 麻里子 2、竹腰 進 2、柴田 和彦
3
、五味田 裕 3、中井 義勝 4、東條 克能 1、田嶼 尚子 1、長村 義
之2
【目的】喫煙が摂食を抑制し、禁煙すると摂食が亢進して肥満傾向
になり易いことは経験的によく知られているが、喫煙が与える摂食
制御のメカニズムについては未だ明らかにされていない。近年、摂
食制御に関する種々のタンパクが同定されてきており、喫煙が与え
るこれらの因子の動態に興味が持たれる。そこで今回、視床下部摂
食抑制因子であるleptin及びcocaine- and amphetamine- regulated
transcript (CART)と摂食促進因子 orexin の喫煙による動態変化に
ついて、喫煙負荷ラットを用い病理組織学的検討を行った。
【材料・
方法】Wistar 系雄ラットに Hamburg 2 型タバコ煙吸入装置により 20
分間の喫煙を 1 クールとして、1 日 2 クール、計 7 日間喫煙負荷を行
った。喫煙負荷後、下垂体および視床下部を摘出し、抗 CART、leptin、
orexin 抗体を用いて免疫組織化学を施行した。さらに Immunoblot
法により各タンパクの発現解析を行った。
【結果・考察】下垂体およ
び視床下部において喫煙群で leptin、CART の発現が著明に増加して
おり、Immunoblot 法でも同様の結果が得られた。一方、orexin は喫
煙により発現減少が認められた。以上の結果より、喫煙時の摂食抑
制と禁煙時の摂食亢進は leptin、CART、orexin の関与で制御されて
いる可能性が示唆された。
P-1-17-01 神経伝導路を介するニコチンの摂食抑制情報伝達系の
検討
1
宮崎大学 医学部 神経呼吸内分泌代謝内科
山口 秀樹 1、新原 琢也 1、中里 雅光 1
【目的】 タバコの主要な成分であるニコチンは摂食を抑制し体重減
少をもたらす。その摂食抑制作用の情報伝達機序は十分明らかにさ
れていないが、延髄孤束核-視床下部の神経伝導路を介する可能性が
推定されている。今回我々は、延髄から視床下部への神経伝導路を
遮断したモデルラットを用いて、ニコチンによる摂食抑制作用の神
経性調節への関与を検討した。
【方法】 Wistar 系雄ラット(9∼10 週
齢)の両側延髄-視床下部間のノルアドレナリン神経束を機械的に切
断した中脳束切断モデルラットを作製した。術後回復期の後、無麻
酔・無拘束下で 24 時間絶食後の明期にニコチン(0.3 mg/kg・BW)ま
たは生食を腹腔内に投与し、投与後 3 時間の摂餌量を crossover 法
で測定した。また、osmotic pump を用いてニコチン(12 mg/kg・BW /
日)または生食を 7 日間皮下に持続的に投与し、中脳束切断モデルラ
ットでのニコチン慢性投与中の摂餌量や体重増加率(生食投与後と
の比率)を検討した。
【結果】ニコチン急性投与 1 時間の摂餌抑制率
(24 時間絶食後)は、Sham 群で 39.2%、両側中脳切断群では 15.2%
と両群間に有意差を認めたが、ニコチン投与 2 時間後の摂餌抑制率
に差はなかった。ニコチン慢性皮下投与では、ニコチン投与開始後 2
日間の摂餌量は sham 群で有意に減少したが、中脳束切断群において
変化なかった。ニコチン慢性投与での体重増加率は sham 群において
有意に減少したが、中脳束切断群ではニコチン投与群と生食投与群
との間に有意差を認めなかった。
【結論】ニコチンの摂食抑制作用や
体重増加抑制作用は両側中脳束切断にて部分的にキャンセルされる
ことが明らかとなった。以上より、ニコチンの摂食抑制作用の発現
に、延髄孤束核-視床下部の神経伝導路が一部機能することが示唆さ
れた。
P-1-17-02 Corticotropin-releasing hormone (CRH) 過剰発現マ P-1-17-03 肥満モデル、糖尿病モデルマウスでのグレリン作用の
ウスにおける摂食異常の成因
検討
1
高知大学 医学部 内分泌代謝・腎臓内科、2 大阪暁明館病院 内 1 京都大学 医学部 附属病院 探索医療センター、2 京都大学大学
科
院医学研究科内分泌代謝内科、3 国立循環器病センター研究所生化学
部
西山 充 1、岩崎 泰正 1、品原 正幸 1、野口 徹 1、丸山 博 1、牧 岩倉 浩 1、赤水 尚史 1、有安 宏之 1、五十子 大雅 1、細田 公則
2
、中尾 一和 2、寒川 賢治 2,3
野 晋也 2、橋本 浩三 1
【背景】グルココルチコイド過剰により生ずる過食のメカニズムは
十分には明らかにされていない.今回我々は,グルココルチコイド
の過剰によりクッシング症候群の表現型を呈する CRH 過剰発現マウ
ス (CRH-Tg) を用いて,摂食行動および視床下部摂食関連ペプチド
の発現量を検討した.
【方法】6 週齢および 14 週齢の 雄性 CRH-Tg お
よび野生型マウスを用いて体重,摂食量を測定,血中コルチコステ
ロン濃度を RIA キットにて測定した.
また in situ hybridization 法
に よ り 視 床 下 部 弓 状 核 の Neuropeptide Y (NPY),
Proopiomelanocortin (POMC), Agouti-related protein (AgRP) mRNA
発現量を検討した.
【結果】6 週齢では CRH-Tg は体重低下が見られ
たが,摂食量は野生型と同程度であった.14 週齢では CRH-Tg は体
重増加が見られ,摂食量も野生型と比較して有意な増加が認められ
た (wild: 3.9±0.1, CRH-Tg: 5.1±0.7 g/日).血中コルチコステ
ロン濃度は CRH-Tg で著明な高値であった.AgRP mRNA 発現量はい
ずれの週齢でも CRH-Tg で有意な増加が認められた (6-w old; wild:
627.4±82.1, CRH-Tg: 1052.0±48.3 dpm/mg).NPY mRNA 発現量は 14
週齢にて CRH-Tg で有意な減少が認められた (14-w old; wild:
1571.5±111.2, CRH-Tg: 949.1±139.3 dpm/mg).POMC mRNA 発現量
は CRH-Tg と野生型との間で変化は見られなかった.
【考察】グルコ
コルチコイド投与による過食の際には視床下部 NPY 発現が増加する
という報告があるが,今回の検討では視床下部 AgRP 発現の増加が
CRH-Tg の過食に関与することが示唆された.CRH-Tg での視床下部
NPY mRNA 発現の減少は CRH の作用である可能性が考えられた.
肥満者においては、グレリンおよび成長ホルモン分泌が著明に低下
していることが知られている。グレリンの肥満者への投与は成長ホ
ルモン分泌を回復する可能性があるものの、一方でグレリンの摂食
刺激作用から、より肥満を助長する可能性もある。今回、我々は、
グレリンに対する成長ホルモン反応および摂食反応を、肥満、糖尿
病モデルマウスにおいて検討した。db/db マウス、高脂肪食負荷マウ
ス、Akita マウスの 3 種類のモデルマウスにおいて、グレリン投与に
対する成長ホルモン反応は、それぞれの対照と比較して低下してい
た。db/db マウスのグレリン負荷に対する摂食増加は、高用量のグレ
リン負荷で認められたが、増加の程度は対照と比較して低下してい
た。Akita マウスでは、摂食は basal で亢進しており、グレリン負荷
による摂食増加は認められなかった。高脂肪食マウスに、生食ある
いは、グレリン、GHRH の共投与を 10 日間連続行ったところ、標準食
マウスでは、グレリン投与群で、摂食が亢進傾向にあり、脂肪保持
効果が認められたが、高脂肪食マウスでは、グレリン、GHRH 投与群
で脂肪はより低下傾向にあった。血糖、インスリン値にも生食投与
群と比較して有意な差は認められなかった。
P-1-17-04 インスリン負荷試験に対しACTHの正常分泌反応を示し
た視床下部性副腎皮質機能低下症の 1 例
1
大阪医科大学 第一内科
P-1-17-05 Cushing 病治療経過中に ACTH 単独分泌不全による二次
性副腎機能低下症に陥った一例
1
社会保険山梨病院 内科、2 山梨大学 医学部 第三内科
平岩 哲也 1、辻本 直之 1、佐々木 一郎 1、寺前 純吾 1、今川 彰
久 1、花房 俊昭 1
患者:73 才、女性 主訴:腹水貯留、るいそう 現病歴:子宮体癌
術後、膵管内粘液産生腫瘍、慢性 C 型肝炎、ペースメーカー留置術
後、甲状腺機能低下症に対して、当院の複数科にて外来加療中の患
者。腹部膨満感を訴えて消化器内科を受診し、腹水貯留を認めたた
め入院となった。全身倦怠感と著明なるいそう(BMI 13.4)を認め、
副腎皮質機能の評価目的にて当科共観となった。 身体所見:意識
清、血圧 108/60mmHg、脈拍 68/分、胸腹部に術創有り、腹部膨満を
認める。 血液生化学検査:低血糖、低ナトリウム血症なし。 内
分泌学的検査:迅速 ACTH 試験は低反応、CRH 試験で ACTH は正常反応
であったが、コルチゾールは低反応であった。24 時間蓄尿による遊
離コルチゾール値は 3 日間連続で感度以下であったが、連続 ACTH 試
験では正常反応を示した。従って、下垂体と副腎には障害を認めず、
視床下部性副腎皮質機能低下症(HHA)を疑い、インスリン負荷試験
(ITT)を施行した。血糖値は 30 分後に 33mg/dl まで低下し、ACTH は
60 分後に頂値に達し 475 pg/ml、コルチゾールは 90 分後に頂値に達
し 13.8 μg/dl であった。同時に測定した ADH は前値 0.9 pg/ml、60
分後に頂値 4.9 pg/ml であった。 画像検査においては、ペースメ
ーカー留置術後であるため MRI 検査は施行できなかった。頭部 CT で
は視床下部・下垂体に明らかな異常を認めなかった。腹水について
は安静・利尿剤投与で改善を得た。 考察:HHA は極めて稀な病態で
ある。既報のうち、Hasegawa らは我々と同様の ITT 結果を示す HHA
を報告している。ACTH 分泌の促進因子としては CRH と ADH があり、
本例における ITT の結果には ADH の反応性分泌が関与している可能
性が考えられた。
池田 眞人 1、太田 一保 2、伊藤 祐子 2、志村 浩己 2、遠藤 登代
志 2、小林 哲郎 2
症例は 52 歳の女性.40 歳頃より糖尿病,高血圧症,高脂血症を指摘
され,48 歳よりインスリン導入されている.既往歴にて 51 歳狭心症
により CABG 施行.血糖コントロール不良のため 52 歳時に当院教育
入院.満月様顔貌,中心性肥満あり Cushing 症候群を疑い精査.ACTH
および cortisol の高値および日内変動消失,デキサメタゾン 1mg 抑
制試験で抑制なく Cushing disease の疑いにて,山梨大学付属病院
に転院.
下垂体MRI にて下垂体前葉下部にT1WI で高信号の結節あり,
負荷試験の結果 Cushing disease と診断された.下垂体手術希望せ
ず,
計 10 週間の 1.5g/日 Mitotane 投与により一時的にコルチゾール
の低下を認めたが,肝機能障害で内服中止した.Mitotane 中止後 3
ヶ月にて,食思不振,乏尿,全身浮腫あり急性腎不全,心不全の悪
化にて大学病院再入院となった.入院時コルチゾールの著明な低下
を認め Mitotane による副腎不全を疑ったが,同時に測定した ACTH
も低下していた.頭部 MRI 所見では下垂体前葉下部の結節は消失し,
T2WI で低信号を呈していた.下垂体 3 者負荷試験では,TSH,PRL,
LH,FSH,GH の反応は正常.CRH に対する ACTH の反応性の低下を認
めた.
ACTH連続負荷試験ではコルチゾールの反応性有り,
下垂体ACTH
単独分泌不全による続発性副腎機能不全と診断し,hydrocortisone
による補充を行った.その後外来では著明な血糖コントロールの改
善を認めている.
【考察】責任病変と思われた下垂体結節の形態変化ともに ACTH の過
剰分泌から分泌障害に移行する稀な経過をとった症例で,投与され
た Mitotane の関与を考える上で貴重な症例と考えられた.
P-1-17-06 バセドウ病治療中に副腎不全が顕在化し診断に至った P-1-18-01 Brugada 型心電図波形を呈した劇症 1 型糖尿病の1例
ACTH 単独欠損症の一例
1
1
飯塚病院 内分泌・糖尿病内科
愛知厚生連 加茂病院 内科
名取 省一 1、井手 誠 1、八田 弓子 1、小寺 武彦 1
加藤 大也 1、重田 寿正 1、寺林 武 1、日比野 佳孝 1、田口 博章
、澤井 喜邦 1、金山 均 1
1
バセドウ病(Ba 病)に ACTH 単独欠損症(IAD)が合併した症例は文献検
索する限り極めて稀である。今回、MMI 投与にて甲状腺機能が改善傾
向中のBa 病患者において副腎不全が顕在化しIAD の診断に至った症
例を経験した。
【症例】42 歳、女性。平成 17 年 8 月より倦怠感出現。
その後も倦怠感の増強、
体重減少(-10kg/1.5 ヶ月)のため当院総合診
療科受診。甲状腺機能亢進症を認め、10 月 21 日当科紹介・入院とな
った。既往歴では、13 歳時に Ba 病発症し 17 歳時に他医で甲状腺亜
全摘術を受け完治。身長 166cm、体重 53kg、脈拍 78/分、血圧 116/60、
軽度甲状腺腫大あり。TSH0.003μIU/ml 未満、FT3 7.52pg/ml、FT4
1.87ng/dl、ATG 陰性、AMC160x160、TBII81.1%、Na138mEq/L、血糖値
89mg/dl。
【経過】Ba 病の再燃と考え、MMI30mg/日開始。約 3 週間後
には甲状腺機能の改善を認め、倦怠感は残存したが外来で経過観察。
平成 18 年 1 月 16 日受診日、著明な倦怠感により緊急検査を施行。
TSH4.63μIU/ml、Na115mEq/L、血糖値 48mg/dl であり、2 回目の入院
となった。迅速 ACTH 負荷試験でコルチゾール 1.1→4.2μg/dl と低
値・低反応、四者負荷試験で ACTH は低値・無反応(全て 5pg/ml 未
満)であったが、他の下垂体前葉ホルモン予備能は正常範囲内。下
垂体 MR 検査では異常所見なし。IAD の合併と考え、ヒドロコルチゾ
ン 10mg/日補充療法を開始。Na 値、血糖値は正常化し、以前の元気
な状態に回復し通院加療中。
【考察】一般に副腎皮質機能低下と甲状
腺機能低下が同時に存在する病態では、副腎機能の相対的悪化を防
ぐために甲状腺ホルモンより副腎皮質ホルモンの補充が先になされ
る。
本症例では逆に甲状腺機能が改善傾向の経過において低Na血症、
低血糖の副腎不全徴候が顕著となり、
IAD の診断に至った稀なケース
であり報告する。
【症例】41 歳, 女性【主訴】意識レベル低下【既往歴】特記すべき
事なし【家族歴】父親が突然死(原因不明)【現病歴】平成 18 年 5 月
6 日食欲不振出現.翌日下痢症状,発熱出現し近医受診し抗生剤,解熱
剤を処方されたが改善せず,5 月 14 日意識レベル低下を認めたため
当院救急搬送され,採血にて随時血糖 1470mg/dl,尿ケトン強陽性を
認め糖尿病性ケトアシドーシスにて入院【入院後検査】随時血糖
1470mg/dl,尿中ケトン体(3+),動脈血 pH7.13 とケトアシドーシスを
認め,HbA1c6.2%であった.膵島関連自己抗体は陰性で,尿中 CPR 3.5
μg/day と内因性インスリン分泌が枯渇しており,膵外分泌酵素上昇
を認めた. 入院時心電図では,不完全右脚ブロック,V1-2 誘導で
coved 型の ST 上昇を認めた.【臨床経過】ICU 入室後生理食塩水によ
る補液、持続的静脈内インスリン注入を開始した.経過中順調に血糖
値,アシドーシスは改善し意識は清明となった.入院後は心電図は洞
調律を示したが,入院時 Brugada 型心電図波形を呈し,突然死の家族
歴,失神発作の既往があり Brugada 症候群が疑われ精査を行った.心
臓エコー,心臓カテーテル検査では明らかな器質的心疾患は認めら
れず,Pilsicainide 負荷テスト陰性,心臓電気生理学的検査では最長
9 拍の非持続性 VT を認めたが,持続性 VT、VF は誘発されなかった.
そのためICD の適応を満たさないため経過観察となった.病日4 日よ
り経口摂取を開始し,強化インスリン療法にて血糖コントロールは
安定化し 7 月 7 日退院した.【考察】Brugada 型心電図波形を呈した
劇症 1 型糖尿病を経験した. 劇症 1 型糖尿病発症時,致死的不整脈を
呈し,心停止に至る報告もあり心拍モニターによる致死的不整脈の
管理が重要であることが示唆された.
P-1-18-02 糖原病1型におけるインスリン抵抗性発生機序と動脈 P-1-18-03 小児期発症 1 型糖尿病における動脈硬化の進展
硬化抑制機序の考察
1
1
順天堂大学 医学部 糖尿病内分泌内科
山梨大学 医学部 小児科、2 埼玉医科大学 医学部 小児科
田蒔 基行 1、安倍 路子 1、清水 友章 1、田村 好史 1、酒井 謙 1、 望月 美恵 1、長嶺 健次郎 1、斎藤 朋洋 1、矢ヶ崎 英晃 1、三井 弓
綿田 裕孝 1、河盛 隆造 1
子 1、佐藤 和正 1、小林 基章 1、佐野 友昭 1、小林 浩司 1、太田
正法 1、大山 建司 1、雨宮 伸 2
【はじめに】近年、肝型糖原病の晩期合併症として糖尿病を発症す 【目的】2 型糖尿病では疫学的検討より糖尿病が網膜症・腎症・神経
るとの報告を散見する。また、糖原病 I 型では高中性脂肪血症を早 障害のみならず心血管合併症の発症進展の独立した危険因子である
期より合併するにもかかわらず、動脈硬化は伸展しないことはすで との見解がある。しかし、1 型糖尿病においては、網膜症や腎症での
に知られているが、その機序は明らかにされていない。今回我々は、 検討に比して少ない。近年欧米白人では、小児期発症 1 型糖尿病の
当院に入院した糖原病 I 型1例で得られた所見から、糖原病 I 型で 若年での動脈硬化進展が問題となってきている。そこで、動脈硬化
【方法】対象は T1DM58 名(男 24 名)、
のインスリン抵抗性が増悪する機序と動脈硬化進展抑制機序につい 進展を世代毎に分け検討した。
て考察する。
【本文】糖原病1型の60歳女性において、空腹時低血 非糖尿病対照 26 名(男 13 名、19.7±0.6 歳)。T1DM を中学生群(J 群
糖・低インスリン血症が存在したにもかかわらず、75gOGTTに 12.7±2.3 歳)と高校生以上群(S 群 19.5±4.1 歳)とに分けて検討し
て負荷後120分値血糖315mg/dl と明らかな負荷後高血糖を認 た。身長・体重・肥満度・血圧、早期動脈硬化指標として血流依存
めた。血糖・インスリン・遊離脂肪酸の日内変動の観察では、分割 性血管拡張反応(%FMD)・頸動脈内膜中膜複合体肥厚(IMT)、糖脂質代
【結果】(1)T1DM2 群の発
食としていたために血糖上昇は200mg/dl 以下にとどまったが、
夜 謝指標・アディポネクチン(AD)を測定した。
間の低血糖・低インスリン血症に伴い、遊離脂肪酸の著しい上昇を 症年齢・HbA1c に有意差はなく、罹病期間に差を認めた(p<.0001)。
認めた。
MRS による細胞内脂質の評価とインスリンクランプ法による (2)IMT・%FMD は J 群ではそれぞれ 0.48±0.76mm・10.1±5.3%と対照
インスリン抵抗性の評価では、2型糖尿病患者と同等以上の肝・筋 0.45±0.05mm・12.1±5.5%と有意差は認めなかったが、S 群では 0.55
細胞内脂質蓄積とインスリン抵抗性の増悪を認めており、遊離脂肪 ±0.07mm・8.5±4.2%と有意差を認めた(p<.05 vs 対照)。(3)AD・
酸の上昇に伴うインスリン抵抗性の上昇がOGTT負荷後過血糖に寄与 HDLC・動脈硬化指数は対照と J 群で有意差を認めたが(p<.05)、S
【結語】
T1DM では若年齢でも罹病期間
していると考えられた。他の心血管イベントの危険因子として、 群とは有意差は認めなかった。
WHOIII 型の脂質代謝と高血圧を認めたが、本症例でも過去の報告と に依存した動脈硬化進展をみとめ、思春期後期∼青年期には動脈硬
同様に IMT などの検討にて動脈硬化所見は認めなかった。高血圧・ 化早期指標の検討が必要である。
高中性脂肪血症・インスリン抵抗性とメタボリックシンドロームと
共通する異常を認めたが、内臓脂肪/皮下脂肪比は正常範囲内であ
り、内臓脂肪の蓄積はなかった。また、血中アディポネクチン値の
上昇を認め、これらが糖原病1型での動脈硬化抑制に寄与している
可能性が考えられた。
P-1-18-04 劇症 1 型糖尿病において膵外分泌機能は回復可能であ
る
1
2
東京臨海病院 糖尿病内分泌内科、
順天堂大学 医学部 内科 代
謝内分泌学
小谷野 肇 1、河盛 隆造 2
P-1-18-05 自己免疫性1型糖尿病に、
自己免疫性甲状腺疾患(AITD)
を合併した多腺性自己免疫症候群(PGA)3 型の 3 症例
1
東京医科歯科大学大学院 分子内分泌内科学 (内分泌代謝・内科)
櫻田 麻耶 1、谷 裕至 1、関澤 直子 1、加藤 真子 1、館野 透 1、
神山 隆治 1、泉山 肇 1、土井 賢 1、平田 結喜緒 1
劇症 1 型糖尿病の本態は「非常に急速でほぼ完全な膵β細胞破壊の
結果生じる糖尿病」とされている。一方、劇症 1 型糖尿病では、発
症時に血中膵外分泌酵素の上昇が高頻度にみられ、病理所見でも膵
外分泌組織に単核球浸潤を認めることから、膵β細胞のみならずα
細胞にも障害が及んでいることが考えられている。先にわれわれは
本学会で、発症時脂肪便などの膵外分泌機能異常の明らかな臨床症
状のない患者においても PABA(p-aminobenzoic acid )試験で評価す
ると膵外分泌機能低下が認められることを報告した。今回われわれ
は発症時から 2 年間にわたる血中膵外分泌酵素、PABA 試験、膵β細
胞機能の推移について検討したので報告する。
【症例】34 歳男性。糖
尿病性ケトアシドーシスで当院初診。血糖 1514 mg/dl、尿ケトン体
強陽性、PH 7.14、HbA1c 5.6%、尿中 C ペプチド 2.1μg/日、血中総
アミラーゼ 308 IU/L、リパーゼ 64 IU/L、抗 GAD 抗体陰性、画像診
断では膵腫大は認めなかった。劇症 1 型糖尿病と診断しインスリン
療法開始となった。血中アミラーゼは入院後 4 日目に、リパーゼは 2
か月後に基準値内に低下した。入院 2 週後の時点での PABA 試験の検
査値は 33.9%であり膵外分泌機能低下(基準値 71%以上)が考えら
れた。その後 PABA 試験の検査値は漸増し、4 か月後 59.5%、12 か月
後 55.6%、18 か月後には 71.0%と基準値に達した。この間食後 2
時間の血清 C ペプチド値は測定感度以下で推移しており、また血中
膵外分泌酵素の再上昇は見られていない。
【考察】劇症 1 型糖尿病に
おいて膵β細胞機能は回復不能とされているが、膵外分泌機能につ
いては比較的長期の経過をとって回復する可能性がある。今回の報
告はあくまで 1 例の経過であり、今後症例の蓄積とさらなる検討が
必要と考えられる。
【症例 1】30 歳女性。12 歳時に糖尿病と診断、27 歳時にインスリン
療法導入されたが自己中断。左眼視力低下を主訴に当院来院。増殖
糖尿病網膜症・硝子体出血と診断。HbA1c (15.5%)、随時血糖
(262mg/dL)、尿 CPR(6.0μg/日)
、抗 GAD 抗体(35.6U/mL)。び慢性甲
状腺腫大(+)、甲状腺機能正常(fT3 2.27pg/mL、 fT4 1.13ng/dL、TSH
2.49μIU/mL)、
抗TPO抗体と抗Tg抗体陽性で橋本病と診断。
迅速ACTH
試験は正常反応、抗副腎皮質抗体(-)。
【症例 2】53 歳男性。47 歳時に健康診断で高血糖指摘され内服治療
開始。2006 年 7 月頃より血糖コントロール悪化し、当院紹介入院。
HbA1c (7.5%)、随時血糖 (233mg/dL) 、尿 CPR(65.9μg/日)
。抗 GAD
抗体(4270U/mL)高値。インスリン治療開始。軽度のび慢性甲状腺腫
大(+)、甲状腺機能亢進(fT3 9.85pg/mL、 fT4 3.93ng/dL、TSH 0.01
μIU/mL)、TRAb 陽性で Basedow 病と診断。MMI の治療開始。VitB12
欠乏性貧血(+)、副腎皮質機能低下症(-)。
【症例 3】24 歳女性。22 歳時に高血糖となり、1 型糖尿病と診断。
インスリン治療開始。2006 年 9 月頃より血糖コントロール悪化し、
当院紹介入院。HbA1c (7.6%)、随時血糖 (183mg/dL)、抗 GAD 抗体
(25.8U/mL)。甲状腺腫大(-)、手指振戦(+)、甲状腺機能亢進症(fT3
14.51pg/mL、fT4 3.19ng/dL、TSH 0.01μIU/mL)、TRAb 陽性を認めた。
副腎皮質機能低下症(-)。
【結語】1 型糖尿病の精査中に、AITD の合併を見いだし、PGA3 型と
診断し得た 3 症例を経験した。自己免疫性 1 型糖尿病で高率に AITD
を合併することから、PGA3 型を念頭において積極的な自己抗体のス
クリーニングが重要である。
P-1-18-06 Autoimmune polyglandular syndrome TypeIIIA での 1
型糖尿病の病態の検討
1
財団法人 日本生命済生会付属 日生病院
P-1-19-01 Effects of obestatin, a pre-proghrelin encoded
peptide, on feeding behavior in rats
1
宮崎大学・医学部・神経呼吸内分泌代謝内科
浅沼 伸行 1、浅沼 伸行 1、北村 哲宏 1、三木 俊治 1、末村 正樹
、佐藤 文三 1
Autoimmune polyglandular syndrome (APS) TypeIIIA は自己免疫性
甲状腺疾患に 1 型糖尿病を合併する症候群であるが、APS TypeI や
TypeII に比較するとその臨床像はこれまでのところあまり検討され
ていない。
今回、
我々は 4 例の APS TypeIIIA における 1 型糖尿病(DM)
の臨床像につき検討し若干の考察を加えたので報告する。
【症例】症
例 1 78 歳 女性 55 歳時 糖尿病性昏睡にて I 型 DM を発症、
同時
に Basedow 病、RA を指摘。23 年経過後も Glimepiride 0.5mg にて
HbA1c6.0-6.7 とインスリン分泌は保たれている。抗 GAD 抗体陰性。
症例 2 42 歳 女性 30 歳時に I 型 DM と橋本病を発症、
抗 GAD 抗体
陽性。40 歳∼インスリン療法 RA を合併する。症例 3 68 歳 女性
51 歳時 I 型 DM、53 歳時 Basedow 病 58 歳時に悪性眼球突出を発症。
64 歳∼インスリン治療導入されるもインスリン分泌は廃絶していな
い。抗 GAD 抗体陽性。 症例 4 21 歳 女性 16 歳で橋本病 21 歳
時に I 型 DM を発症。 今後の経過観察が必要であるがインスリン分
泌は保たれている。抗 GAD 抗体陽性。
【まとめ】4 例とも女性で自己
免疫性甲状腺疾患と I 型 DM はほぼ同時の発症が認められ APS TypeI
における DM の発症時期とは異なることが判明した。自己免疫性甲状
腺疾患は Basedow 病と橋本病とも認められた、また抗 GAD 抗体が 4
例中 3 例で陽性であった。I 型 DM については進行緩徐な例が多く 20
年経過後もインスリン分泌が保持されている症例が確認された。
Mondal Muhtashan1、山口 秀樹 1、十枝内 厚次 1、新原 琢也 1、
中里 雅光 1
Obestatin is a 23-amino acid peptide that has been recently
identified from pre-proghrelin in rat stomach and activates a
G protein-coupled receptor, GPR39. In contrast to the
appetite-stimulating effects of ghrelin, obestatin suppresses
food intake, delays gastric emptying, and suppresses body-weight
gain in mice (Science 2005). In the present study, we
investigated whether central or peripheral administration of
obestatin can modulate feeding in rodents. We established
radioimmunoassay systems for human and rat obestatin to quantify
obestatin content in rat and human stomach. Central or peripheral
administration of rat or human obestatin did not affect food
intake in free-feeding rats or 8-h fasted rats. Ghrelin s
orexigenic effect was not modulated by co-administration of
obestatin. Reverse-phase high performance liquid chromatography
coupled with RIA showed that obestatin was scantly detectable
in the fundal part of rat stomach, whereas ghrelin was abundant.
No obestatin immunoreactivity was found in the human stomach.
Our results show that in vivo obestatin is scanty and has no
effect on feeding behavior in rats.
1
P-1-19-02 一過性持久性運動が血漿グレリンに及ぼす影響
1
宮崎大学 医学部 内科学、2 国立循環器病センター研究所
十枝内 厚次 1、川越 隆 1、新原 琢也 1、寒川 賢治 2、中里 雅光
P-1-19-03 新規生理活性ペプチド、ニューロメジン S の摂食行動
に対する作用について
1
久留米大学 分子生命科学研究所 遺伝情報研究部門
井田 隆徳 1、佐藤 貴弘 1、児島 将康 1
1
グレリンは、胃内分泌細胞と視床下部の神経細胞で産生され、成長
ホルモン(GH)分泌と摂食に機能している。その他、グレリンとデ
スアシルグレリンは末梢組織に直接作用し、細胞の分化・増殖およ
びアポトーシス抑制にも機能している。運動は、一過性にエネルギ
ー代謝を亢進させ、細胞が蓄積している糖、脂質、アミノ酸等のエ
ネルギー源を分解し、利用することによっておこなわれる。このよ
うに運動中に一過性に生じる異化作用に対して、グレリンがどのよ
うに働いているか不明である。われわれは、一過性漸増運動負荷試
験により、血中成長ホルモン濃度が増大したにもかかわらず、血中
グレリン濃度を低下させることを報告した。本研究では、短時間高
強度の運動と同様に、成長ホルモン分泌を一過性に増大させる長時
間持久性運動が、血中グレリンに及ぼす影響について検討をおこな
った。被験者(健常成年男性)は、漸増運動負荷試験により決定し
た乳酸性作業閾値強度で 60 分間の自転車ペダリング運動を実施し、
運動中は 15 分毎に採血をおこなった。血漿サンプルは、グレリン、
デスアシルグレリン、GH、エピネフリン、ノルエピネフリンの測定
に用いた。本研究の結果、運動中にグレリンとデスアシルグレリン
は漸減する一方で、GH、エピネフリン、ノルエピネフリンは漸増し
た。運動中の血糖値とインスリン濃度は一定であったことから、グ
レリンの減少は液性のエネルギー代謝情報とは直接関係が無いこと
が推察された。またグレリンとデスアシルグレリンはそれぞれノル
エピネフリンと負の相関関係があった。運動中の血中グレリン濃度
は、末梢のエネルギー代謝情報に依存せず、交感神経系による分泌
調節を受ける可能性が示唆された。
P-1-19-04 グレリンの生理作用発現における脂肪酸修飾の役割
【背景】
:近年、分子生物学の発展により、リガンドが不明なオーフ
ァン受容体にする新規生理活性物質が次々に発見されている。2000
年には、オーファン受容体、FM3,FM4 のリガンドとして Neuromedin U
(NMU)が同定され、サーカディアンリズムや摂食調節機構への関与が
明らかにされつつある。このような中で、2005 年、FM3,FM4 の新た
なリガンドとして Neuromedin S (NMS)が同定、単離された。そこで、
今回我々は、NMS の摂食調節機構への関与を検討した。
【結果】
:NMS のラット脳室内投与において、夜間摂食、絶食後摂食、
既知の摂食亢進物質との共投与、いずれにおいても有意に摂食量を
抑制した。その効果は、摂食抑制物質と考えられている NMU に対し、
より微量でより強力に作用した。また、MMS 投与後、室傍核 CRH、弓
状核 POMC の mRNA の発現量は有意に増加し、さらにそれらアンタゴ
ニストにより NMS の摂食抑制効果は一部、減弱させられた。加えて、
室傍核に c-Fos の発現が見られたことから、Multiple Unit Activity
(MUA) system によって、NMS 投与後の室傍核における電気活動を測
定したところ、有意な増加が認められた。しかし、NMS ノックアウト
マウスでは摂食行動の異常、体重等に差は見られなかった。
【考察】
:以上の結果より、NMS は摂食抑制作用を有する新規の生理
活性ペプチドと考えられた。また、NMU と同じ受容体を共有している
が、その効果は、NMU に比べ、より強力に作用するため、今後、その
作用機序の詳細な検討が求められると考えられる。
P-1-20-01 先端巨大症における酢酸オクトレオチド及び LAR 製剤
の臨床効果の比較検討
1
宮崎大学 医学部 神経呼吸内分泌代謝学内科、2 宮崎大学 フロ 1 自治医科大学 内分泌代謝科、2 自治医科大学 脳神経外科
ンティア科学実験総合センター、3 宮崎大学 農学部 獣医学科、4
国立循環器病センター研究所 生化学部
新原 琢也 1、十枝内 厚次 1、山口 秀樹 1、伊達 紫 2、村上 昇 3、 野牛 宏晃 1、長坂 昌一郎 1、小林 伸行 2、岡田 修和 1、高橋 仁
寒川 賢治 4、中里 雅光 1
麗 1、安藤 明彦 1、岡田 耕治 1、渡辺 英寿 2、石橋 俊 1
【目的】グレリンは3番目のセリン残基が8個の脂肪酸によりアシ 【目的】酢酸オクトレオチド(Oct)は、先端巨大症において手術に
ル化修飾された構造を有する。今回我々は脂肪酸アシル基の鎖長を よる未寛解例や術前の腫瘍サイズ縮小を目的に使用されるが、長時
【方法】そこで(1) 先
変えたグレリン誘導体を用い、グレリンの生理作用と脂肪酸修飾と 間作用型(Oct-LAR)の使用例が増加している。
Oct-LAR への切り替えによる
の関連を検討した。
【方法】脂肪酸鎖長が0個(C0)
、4個(C4)
、 端巨大症術後に Oct 使用症例において、
8個(C8)の各種グレリン誘導体を、ラットおよび遺伝的にグレリ 成長ホルモン(GH)及びソマトメジン C(IGF-1)抑制効果を検討す
(2) 術前例に Oct-LAR を使用し、
臨床効果を検討した。
【成
ン受容体を欠いた GHS-R KO マウスに中枢または末梢投与し、摂餌量 ると共に、
と成長ホルモン(GH)分泌を測定した。摂餌量を測定した。また、C 績】(1) 術後 Oct 投与中(投与期間 16.4±11.2 ヶ月)の症例5名(年
0、C4、C8をラット視床下部の室傍核(PVN)
、外側野(LH)、弓状 齢 48±19 歳)に対して、Oct-LAR20mg (1 名 30mg)に変更し 22.6±
核(Arc)に微量投与し、摂餌量を測定した。
【結果】脳室内投与にお 5.94 回投与した結果、血清 GH 濃度は Oct,3.29 ± 1.84 vs.
いて、脂肪酸鎖長の伸長に伴い摂餌量の増加が見られたが、GHS-R KO Oct-LAR,2.19±1.05 ng/ml, P<0.05、血清 IGF-1 濃度は Oct,392.7
マウスでは C4、C8による摂食亢進作用は認められなかった。C8 ±234.2 vs. Oct-LAR,265.5±168.2 ng/ml, P<0.05 であり、Oct に
投与時のみ GH 分泌の促進が見られた。視床下部の微量投与では、C 比べ Oct-LAR は GH 及び IGF-1 共に有意に低下させた。5 例中 2 例で
1 名でインスリン必要量
8投与において PVN、LH、Arc の全ての領域で摂食亢進作用を認めた 糖尿病にインスリン治療を施行していたが、
他の 1 名では必要量が 26%低下した。
(2) 一方術前に Oct-LAR
が、C0、C4投与では Arc のみ摂食亢進が見られた。
【結論】グレリ は不変、
ンおよび脂肪酸アシル基の鎖長を変えたグレリン誘導体は、弓状核 を使用した 3 例では、3.0±1.0 回の投与の結果、血清 IGF-1 濃度は
のグレリン受容体を介して摂食亢進作用を起こすことが明らかとな Oct,796.3±346.0 vs. Oct-LAR,365.5±160.8 ng/ml で有意差は認
った。GH 反応は C8 体のみ分泌促進作用を持つことが明らかとなっ めなかったが、血清 GH 濃度は Oct,28.7±9.4 vs. Oct-LAR,7.9±9.7
た。C0 体であるデスアシルグレリンは弓状核投与で摂食亢進に働く ng/ml, P<0.05 であり、Oct-LAR による GH 抑制を認めた。さらに MRI
が、
GHS-R 以外の受容体を介して生理作用を発揮する可能性が考えら 上、腫瘍サイズの著明な縮小を認めた。3 名中 2 名は糖尿病にインス
リン治療を施行していたが、両者ともインスリン必要量が減少(平
れた。
均 56.4%)した。
【結論】Oct-LAR は Oct に比べ血清 GH、IGF-1 の抑
制作用が強く、腫瘍サイズの縮小が期待される。さらに糖尿病症例
の血糖改善にも有効である可能性が示唆された。
P -1-20-02
ヒ ト 上 皮 性 卵 巣 癌 に お け る Estrogen
receptor-related receptor (ERR)βの発現と臨床病理学的因子との
関連について
1
東北大学 医学部 病理診断学、2 東北大学 医学部 保健学科、3
東北大学 病院 病理部、4 東北大学 医学部 産婦人科
赤平 純一 1、鈴木 貴 2、鈴木 史彦 1、三浦 伊久美 1、三木 康宏
1
、長崎 修治 1、鴨川 由紀子 1、伊藤 潔 4、森谷 卓也 3、林 慎
一 2、八重樫 伸生 4、笹野 公伸 1
【目的】Estrogen receptor-related receptor (ERR)はリガンド未
知の orphan nuclear receptor のひとつで、ER(Estrogen receptor)
α関連遺伝子として同定された。ERR は ERαと高い相同性を有し ER
α同様種々のエストロゲン応答遺伝子の発現を制御する可能性が想
定されているが、卵巣癌における詳細な検討はなされていない。
【方
法】
対象は上皮性卵巣癌症例167 例および卵巣癌細胞株12 株である。
卵巣癌組織については ERα, PR, ERRβおよび Ki67 の免疫組織化学
染色を行い、臨床病理学的因子との関連について検討した。また ERR
βについては real time RT-PCR を施行し遺伝子発現についても検討
した。卵巣癌細胞株については Western blotting、定量 RT-PCR をそ
れぞれ行った。ERRβの免疫染色の評価には Allred score を用いた。
【成績】卵巣癌組織において、ERRβは卵巣癌上皮細胞の核に発現し、
Allred score>5 を陽性とすると 167 例中 94 例(56.3%)で陽性で
あった。ERRβの発現は、組織型、組織分化度、予後との相関は認め
られなかったものの、陽性群において、Ki67index が有意に高値であ
った(p=0.0157)
。また ERαの発現とは相関を認めなかった。RT-PCR
では、免疫組織化学と同様の結果が得られた。今後正常∼境界悪性
卵巣腫瘍についてもさらに検討を追加して報告の予定である。
【結
論】上皮性卵巣癌において、ERRβ陽性の症例では増殖能が亢進して
いる可能性が示唆された。
P-1-20-03 酢酸オクトレオチドとジアゾキサイドにて良好に管理
し得たインスリノーマの一例
1
名古屋第一赤十字病院内分泌内科
福岡 一貴 1、松下 まどか 1、村瀬 孝司 1、山守 育雄 1
【症例】60 歳女性。
【既往歴】弱視、緑内障、臍ヘルニア。
【家族歴】
母・兄糖尿病、弟胃癌。
【主訴】意識消失発作。
【現病歴】3 年前より
数ヶ月に一度意識消失を認めていたが、2006 年 6 月頃よりその回数
が増加したため、近医を受診。低血糖を指摘され当科紹介となった。
【現症】身長 138.5cm、体重 57.8kg。両眼手動弁、その他身体所見
に異常なし。
【検査所見】HbA1c 3.5%、空腹時血糖 40mg/dL、IRI 21.0
μU/mL、CPR 2.4ng/mL、Fajans 指数 0.525、Turner 指数 210、抗イ
ンスリン抗体結合率 7.8%。
【経過】インスリノーマを疑い上腹部ダ
イナミック CT、上腹部造影 MRI、超音波内視鏡等施行するも、膵内
病変描出できず。インタクトプロインスリン 79.7pmol/L、インスリ
ン 158.4pmol/L、
プロインスリン/インスリンモル比 0.50 より微小イ
ンスリノーマまたは膵外インスリノーマを強く疑ったが、これ以上
の侵襲的検査・治療を希望しなかったため、内科的治療を開始した。
酢酸オクトレオチド 50μg 単回皮下注射にて著明な高血糖が出現。
同 7μg×3 回/日で血糖値は安定した。オクトレオチド徐放性製剤へ
の変更も検討したが、ごく少量のオクトレオチドで高血糖を呈して
いることから不適当と判断した。全盲であることを考慮し、ジアゾ
キサイド内服へ治療を変更。
ジアゾキサイド150mg/日内服にてHbA1c
5.0%と良好なコントロールを得た。
【考察】インスリノーマの治療は
外科的摘出が基本だが、種々の理由で手術療法が行えない例も存在
する。本症例では酢酸オクトレオチドの少量投与で低血糖発作が消
失したが、維持療法の困難からジアゾキサイド内服への切り替えを
行った。インスリノーマの内科的治療を考える上で貴重な症例と思
われたので報告する。
P-1-20-04 胸腺カルチノイドによる異所性ACTH 産生症候群の1 例 P-1-20-05 非膵島腫瘍性低血糖(NICTH) を呈した solitary
fibrous tumor(SFT)での大分子 IGFII 産生・プロセッシング機構の
解析
1
埼玉医科大学総合医療センター 内分泌・糖尿病内科、2 埼玉医科 1 東京医科歯科大学大学院 分子内分泌内科学(内分泌代謝内科)
、2
大学 健康管理センター
武蔵野赤十字病院 内分泌代謝科、3 東京医科歯科大学 医学部附属
病院 病理部、4 東京女子医科大学 東医療センター 病理科
土田 温子 1、石田 英則 1、徳永 貢 1、矢澤 麻佐子 1、松田 彰 1、 館野 透 1、谷 裕至 2、関澤 直子 1、加藤 真子 1、神山 隆治 1、
大村 栄治 1、今井 康雄 1、河津 捷二 2
泉山 肇 1、土井 賢 1、吉本 貴宣 1、明石 巧 3、相羽 元彦 4、平
田 結喜緒 1
【症例】30 歳女性。
【主訴】両下肢浮腫、低 K 血症。
【現病歴】2005 胸壁 SFT による NICTH の一例を経験し、腫瘍での大分子 IGFII 産生・
年夏から徐々に体重と体毛が増加。12 月初旬から咳嗽、咽頭痛が出 プロセッシングの解析を行った。症例は 70 歳、男性。2006 年 4 月上
現。12 月中旬に胸部に皮疹、両下肢の浮腫が出現し、数日間で体重 旬より、空腹時に発汗と倦怠感を自覚。外出中に意識消失し、本院
5kg 増加し、口渇多飲多尿も出現した。12 月 30 日に近医で肝機能障 救急外来搬送。低血糖(29mg/dl)を認め、ブドウ糖投与にて意識レベ
害と低 K 血症、皮疹と白血球増多のため成人Still病と診断さ ルは改善。胸部X線で左側胸壁に接する巨大陰影(20x9cm)を認め、
れ加療されたが浮腫が増悪したため、2006 年 1 月当院受診。ACTH 当 科 入 院 。【 内 分 泌 検 査 】 ACTH(40pg/ml) 、 F(11.4mg/dl) 、
260pg/ml、コルチゾール 67.6μg/dl と著名に上昇しており、クッシ GH(0.38ng/ml) 、低血糖(45mg/dl) 発作時の IRI( <1.0mU/ml) 、
ング症候群の疑いで 2 月に入院した。
【入院後経過】身長 157cm 体 CPIR(0.6ng/ml)、IGF-I(50.6ng/ml)はいずれも低値。Western 解析で
重 62.5kg BMI25.2 血圧 120/60 脈拍 90 満月様顔貌 顔面に尋 血清中に大分子 IGFII を認め、大分子 IGFII 産生腫瘍による NITCH
常性座瘡 全身に多毛傾向 野牛様肩 両下肢に圧痕浮腫著明。腰 と診断。腫瘍切除後、低血糖発作は消失。摘出腫瘍は、被膜に覆わ
椎圧迫骨折と尿管結石を認めた。ACTH の日内変動は消失、尿中フリ れた弾性硬腫瘤(18x17x9cm)で、紡錘形核を有した腫瘍細胞が膠原線
【生化学解析】免
ーコルチゾール 2820μg/日。CRH 負荷試験では低∼無反応で、下垂 維を伴い束状に増生、壁側胸膜発生の SFT と診断。
RT-PCRで腫瘍組織中のIGF-II mRNA
体 MRI は異常なし。血中 ACTH が著明高値なことから、異所性 ACTH 疫染色で腫瘍細胞はIGF-II陽性。
産生症候群を疑い、画像検査にて、前縦隔に径 2×2.5cm の嚢胞性変 過剰発現、prohormone convertase 4(PC4) mRNA 発現低下。Western
【結論】
PC4 発現
化を伴った腫瘍を認め、胸腺原発の ACTH 産生腫瘍と診断した。経過 解析で腫瘍組織中の大分子 IGF-II の発現を認めた。
中、高血糖の進行が著しく、強化インスリン療法にて治療、著明な 低下が大分子 IGF-II 分泌の一因となる可能性が示唆された。
リンパ球減少症を認めたため感染のリスクを考慮し、術前にメチラ
ポン内服を行った。3 月 13 日縦隔腫瘍摘出術を施行した。病理診断
は胸腺カルチノイドであった。術後経過は良好で、腰椎圧迫骨折に
対するリハビリを行い、5 月 11 日に退院。3 ヵ月後には満月様顔貌、
浮腫は消失し、外来で ACTH、コルチゾール値は低下したままで再発
を認めない。
【結語】急激な経過で増悪し腫瘍摘出により速やかに改
善した、胸腺カルシノイドによる異所性 ACTH 産生症候群の 1 例を経
験した。
P-1-20-06 前立腺癌における Estrogen Receptor β 及び βcx の
機能解析
1
東北大学大学院医学系研究科病理診断学分野、2 あすか製薬 安全
性研究部、3 東北大学医学部保健学科臨床検査学、4 東北大学医学部
保健学科分子検査学
長崎 修治 1,2、中村 保宏 1、三木 康宏 1、赤平 純一 1、鈴木 貴
3
、林 慎一 4、笹野 公伸 1
進行前立腺癌の療法としてホルモン療法が用いられており,
Estrogen によるホルモン療法は代表的な内分泌療法である。その作
用機序は Androgen 分泌の抑制を介した間接的作用と,癌細胞に対す
る直接的作用が考えられている。間接的作用に関しては多くの報告
があるが,直接的作用のメカニズムに関する報告は多くはない。前
立腺癌における Estrogen receptor(以下 ER)の発現は,ERβ及び
ERβcx が優位に発現していることが報告されており,ERβcx に関し
てはその発現上昇が前立腺癌の予後に影響するとの報告がある。以
上より本研究では,前立腺癌において ERβ及び ERβcx が,癌の進展
並びに治療の新たな標的として重要であると考え,前立腺癌におけ
る両受容体の機能を解析することを目的とした。前立腺癌細胞 PC-3
に ERβ及び ERβcx を強発現させた安定発現株を作製し,
両株の特性
を検討した。その結果,両株において細胞増殖が亢進することを確
認した。細胞増殖亢進作用は,ERβcx 高発現株において顕著であっ
た。また DNA マイクロアレイ解析により,ERβcx 高発現株において
増殖関連および浸潤関連遺伝子の顕著な変動を認めた。現在,ERβ
および ERβcx の発現と,DNA マイクロアレイ解析で得られた増殖関
連および浸潤関連因子の発現を前立腺臨床検体で検証中である。今
後,これら因子の発現と,臨床病理学的パラメーターとの相関を解
析し,
前立腺癌における ERβおよび ERβcx の発現意義に関して検討
する予定である。
P-1-21-01 メタボリックシンドロームの患者のインスリン抵抗性
に対するオルメサルタンの影響
1
獨協医科大学 内分泌代謝内科
城島 輝男 1、服部 良之 1、鈴木 國弘 1、岡安 寿江 1、松村 美穂
子 1、加瀬 浩之 1、川越 宣明 1、伴場 信之 1、門伝 剛 1、笠井 貴
久男 1
メタボリックシンドロームの患者の高血圧にオルメサルタン(Olm)
を投与し、その前後で空腹時血糖値(FPG)、インスリン値(IRI)、
HOMA-R を測定した。症例1. 65 歳の女性。血圧 145/88、体重 64.6kg、
腹囲 91.5 cm、FPG 108 mg/dl、IRI 13.4μU/ml、HOMA-R 3.57、HbA1c
6.6、TG 152 mg/dl. この患者に食事指導を行い、 6 ケ月経過を観察
し、その後 Olm(10mg)を投与し、6 ケ月経過を見た。Olm 投
与 :-6Mo,-2Mo,1Mo,3Mo,6Mo; FPG:108,113,131,126,107; IRI:
13.4,12.8,7.8,5.2,4.9; HOAM-R:3.57,3.57,2.52,1.61,1.29 症例
2. 60 歳女性。
血圧150/80、
体重67.5kg、
腹囲95.0 cm、
FPG 124 mg/dl、
IRI 27.2μU/ml、HOMA-R 8.32、HbA1c 5.5、TG 114 mg/dl. この患
者に食事指導を行い、 12 ケ月経過を観察し、その後ブロプレス
(Cand: 8)を開始し 24 ケ月治療、その後、Olm(20)に変更し、更に 12
ケ 月 経 過 を 見 た 。 FPG:124,111,117,Cand 110,107,112,Olm
117,107,114; IRI:27.2,18.1,16.9,Cand 13.8, 15.1,16.3,Olm
5.5,8.3,9.3; HOMA-R:8.32,5.17,4.88,Cand 3.74,3.98,4.50,Olm
1.58,2.19,2.61 この 2 症例を含め、8 名(男性 2 名、女性 6 名)のメ
タボリックシンドローム患者の Olm を投与前後の HOMA-IR は、投与
前が 4.47±1.98 で、投与後は 2.22 ±1.11 と有意(p<0.005)に改善
していた。体重の変化は有意でなく、他の薬剤はほとんどの症例で
使用されていなかった。
ARB の中で Olm は降圧に優れているとされて
いるが、本研究結果より Olm はインスリン抵抗性改善にも有用な薬
剤であると考えられた。
P-1-21-02 高血圧合併 2 型糖尿病患者に対するバルサルタンの用
量依存性効果ー降圧作用と腎保護作用の検討ー
1
獨協医科大学 内分泌代謝内科
P-1-21-03 アトルバスタチンは、糖尿病合併高コレステロール血
症患者の尿中肝型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)を低下させる
1
獨協医科大学 内分泌代謝内科
門傳 剛 1、松村 美穂子 1、田口 裕久 1、川越 宣明 1、太田 怜 1、
鈴木 國弘 1、清水 裕晶 1、岡安 寿江 1、佐藤 稔 1、伴場 信之
1
、服部 良之 1、笠井 貴久男 1
【目的】アンギオテンシン2受容体拮抗薬(ARB)は降圧作用と臓器保
護作用を有しており、糖尿病合併高血圧に対する第1選択薬として
推奨されている。本研究では ARB の1つであるバルサルタンの用量
依存的効果を特に腎機能の観点から検討した。
【方法】対象はバルサ
ルタン 80mg1 日 1 回を3ヶ月以上内服中の高血圧合併2型糖尿病患
者で、外来随時血圧が 140/90mmHg 以上の 20 例である。バルサルタ
ン 160mg の1日 1 回投与に増量を行い、外来随時血圧、脈拍、血糖、
脂質、尿中アルブミン排泄量を変更前、投与 3 ヶ月、6 ヶ月後に測定
し検討した。
【成績】収縮期血圧は 6 ヶ月で 161±15 から 142±
12mmHg、拡張期血圧は 84±14 から 75±15 へと有意に低下した
(p=0.001)
。HbA1c、脂質、電解質に有意な変化は無かった。尿中ア
ルブミン排泄量は96から77mg/g.Crへと有意に低下した(log変換に
て p=0.03)。また特に MDRD の式より糸球体濾過率を求めると、軽度
低下例(60∼90ml/min)において尿中アルブミン排泄量の減少(182
から 129mg/g.Cr)が著明であった(log 変換にて p=0.048)。
(【結論】
バルサルタンの増量投与により良好な降圧効果と腎保護作用が得ら
れることが判明し、高血圧合併糖尿病に対して有用であることが示
唆された。
川越 宣明 1、門傳
剛 1、松村 美穂子 1、鈴木 國弘 1、佐藤 稔
、加瀬 浩之 1、宮下 寧 1、田口 裕久 1、百目木 希実 1、太田 怜
1
、中谷 祐己 1、清水 裕晶 1、笠井 貴久男 1
【背景】尿中腎機能マーカーとして、糸球体濾過機能破綻を反映す
る尿中アルブミンや、尿細管機能障害を反映する種々の低分子蛋白
などが知られている。L-FABP はこれらと異なり近位尿細管細胞にお
いて種々のストレスに応答し尿中に排出され、腎障害進展のストレ
スマーカーとして注目されている。
【目的】糖尿病合併高コレステロ
ール血症患者における各病期の腎症(2期以下)に対しアトルバス
タチンを投与し尿中 L-FABP、
アルブミン尿への効果を検討した。
【方
法】10名の対象患者に対し、HMG-CoA 還元酵素阻害剤であるアトル
バスタチンを3ヶ月(12週)以上投与し尿中 L-FABP 濃度、アルブ
ミ ン 尿 の 変 動 を 検 討 し た 。 ま た 高 感 度 CRP 、 尿 中 8 −
epi-prostaglandinF2α、血清コレステロール値、HbA1c、空腹時血
糖値、血清クレアチニン値、CPK を測定した。
【結果】アトルバスタ
チン投与前と投与後3ヶ月以上において、尿中アルブミン排泄量は
有意な変化を認めなかったが、尿中 L-FABP 濃度は有意差(P=0.05)
をもって低下した(21.8μg/g・Cr から 9.6μg/g・Cr)。
【結論】糖尿
病合併高コレステロール血症患者において、アトルバスタチンは、
その脂質改善作用のみならず pleiotropic effect として、近位尿細
管細胞の保護作用を持つ可能性が示唆された。
1
P-1-21-04 テルミサルタン80mg投与下における2型糖尿病患者の P-1-21-05 耐糖能正常メタボリックシンドロームに対するピオグ
インスリン抵抗性改善についての検討
リタゾンの内臓脂肪と脂肪肝の改善効果
1
1
産業医科大学 医学部 第 1 内科学
恵愛会柳井病院糖尿病代謝内分泌内科、2 滋賀医科大学内分泌代謝
内科
新生 忠司 1、岡田 洋右 1、松下 幸司 1、森 博子 1、廣瀬 暁子 1、 土谷 昌信 1、前川 聡 2、西尾 善彦 2、柏木 厚典 2
谷川 隆久 1、西田 啓子 1、森田 恵美子 1、田中 良哉 1
【目的】テルミサルタン 40mg 投与中の2型糖尿病患者を対象に同薬 【目的】耐糖能正常なメタボリックシンドローム(MS)症例に、ピオ
を80mgまで増量することでどこまでインスリン抵抗性改善効果が発 グリタゾン(PIO)を投与し脂肪肝、内臓脂肪、皮下脂肪に対する作用
【方法】
MS と診断された耐糖能正常な 32 名を対象とし、
揮されるのか検討した。
【方法】他の AT1 受容体拮抗薬からの切り替 を検討した。
えまたは新規でテルミサルタン40mg 投与中の高血圧合併2 型糖尿病 16 名に PIO(男性 7 名: 30mg/日、女性 9 名: 15mg/日)を投与し、Pio
患者でSBP120 以上またはDBP70mmHg 以上の症例についてテルミサル 非投与の 16 名、(男性 8 名、女性 8 名)を Control 群とした。投薬期
タンを 80mg まで増量し、増量前、増量 3 ヵ月後に体重、血圧、HbA1c、 間を 3 ヶ月とし、両群とも期間前後に 75g 糖負荷試験、一般生化学
FPG、FIRI、血清脂質、肝機能、アディポネクチンを測定。対象は 22 検査と腹部単純 CT 検査を行い、肝 CT 値、内臓脂肪面積(V)、皮下脂
例(男 13 例、女 9 例)で、年齢 67.4±8.4 歳、BMI 25.6±3.70、合 肪面積(S)を測定した。肝 CT 値(hounsfield unit)の測定は、脈管系
併症の有病率は神経障害 38.8%、網膜症 28.6%、腎症 26.5%。経口糖 を避け、同一スライスで、異なる 3 つの肝区域の CT 値を平均し評価
【成績】PIO 群では、75g 糖負荷試験において血糖値に有意差
尿病薬投与は 19 例(SU 薬 11 例、メトホルミン 5 例、グリニド系薬 した。
4 例、α-GI5 例、ピオグリタゾン 1 例)
。
【結果】(1)テルミサルタン は認めず、空腹時インスリン値(P<0.001)、インスリン曲線下面積
80mgへの増量前データはSBP/DBP 124/73mmHg、
FPG 126.1mg/dl、
HbA1c (Ins-AUC)(P<0.001)、HOMR-R(P<0.01)が有意に減少した。また中
6.70%、FIRI 10.1μU/ml、HOMA-R 3.26、アディポネクチン 5.37 で 性脂肪(P<0.05)、 ALT(P<0.05)は有意に低下した。腹部単純 CT 検
あった。(2)増量 3 ヵ月後の SBP は 117±10mmHg、DBP は 68±9mmHg 査では肝 CT 値(48.3±11.0, 56.8±6.3 HU P<0.01)、S(185±42,203
と改善傾向を認めた。(3)FIRI は 6.92±1.9(p<0.05)
、HOMA-R も ±52 cm2 P<0.05)は増加した。V(152±47,136±39 cm2 P<0.05)、
1.68±0.6(p<0.05)と有意に低下。
(4)FPG は 99.8±21.2 と有意 V/S 比(0.86±0.33,0.71±0.28 cm2 P<0.001)は有意に減少した。
な改善を認めた(p<0.05)
。
(5)アディポネクチンは 8.73±4.1 と 投与前後の Ins-AUC の変化と肝 CT 値の変化(r=-0.531, P<0.05)ま
上昇傾向を認めた。
(6)BMI、HbA1c、血清脂質等に有意な変化は認 た肝 CT 値の変化と V の変化には負の相関(r=-0.538, P<0.05)が認
めなかった。
【結論】テルミサルタンを 40mg から 80mg に増量するこ められた。Control 群はいずれの検査も有意な変化を認めなかった。
とにより FIRI、HOMA-R ともに有意に低下し、アディポネクチンも上 【結論】 PIO はインスリン抵抗性を改善し、脂肪肝を改善し内臓脂
昇傾向を示したことから、テルミサルタンのインスリン抵抗性改善 肪を減少させた。耐糖能正常な MS では、PIO 投与によるインスリン
作用には用量依存性が存在しており、80mg 投与にて PPAR-γ活性化 分泌の減少と脂肪肝の改善、内臓脂肪の減少に密接な関係が認めら
作用によりインスリン抵抗性改善作用を発揮することが推測され れた。
た。
P -1-21-06
CASE-J ( CandesartanAntihypertensive Survival
Evaluation in Japan)研究でのハイリスク高血圧症患者における糖
尿病新規発症と肥満の関係
1
京都大学大学院医学研究科 臨床病態医科学・内分泌代謝内科、2
京都大学医学研究科 EBM 共同研究センター、3 大阪大学医学系研究科
老年・腎臓内科学、4 慶応義塾大学医学部腎臓内科学、5CASE-J スタ
ディーグループ
中尾 一和 1,5、平田 雅一 平田 1、上嶋 健治 2、大庭 孝治 2、荻原
俊男 3,5、猿田 享男 4,5、CASE-J スタディグループ 5
背景:新規糖尿病の発症頻度に降圧剤が与える影響について日本で
のエビデンスが不足している。方法:心肥大、糖尿病、腎機能低下
等の合併症を有するハイリスク高血圧患者において、アンギオテン
シン II 受容体拮抗薬カンデサルタンと Ca チャンネルブロッカーア
ムロジピンのランダム化 2 群比較試験での新規糖尿病発症を検討し
た。降圧目標は 2000 年日本高血圧学会ガイドラインに準じ、4728
名の登録患者の観察を PROBE 法で行なった。結果:平均追跡期間は
3.2 年で、追跡率は 97%。心血管イベントの頻度には 2 群間で差がな
かった。心血管イベントのリスクは糖尿病合併患者で非糖尿合併患
者の 2.59 倍に増加していた。登録時非糖尿病合併患者の新規糖尿病
発症はカンデサルタン群でアムロジピン群に比べ 36%抑制された
が、この抑制は、BMI 階層別に検討すると、BMI が高い群で有意に認
められた。考察:レニンアンギオテンシン系は脂肪組織でのアンギ
オテンシノーゲンの産生など、肥満患者で活性化されることが知ら
れており、また、AT1 受容体を介した脂肪細胞の分化抑制などを介し
てインスリン抵抗性を惹起するとされる。日本人を対象とする大規
模臨床研究で AT1 受容体アンタゴニストによる糖代謝改善が認めら
れることが初めて示された。
P-1-21-07 コレスチミドの血糖低下作用
1
2
横浜市立大学 附属市民総合医療センター 内分泌・糖尿病内科、
横浜市立大学 大学院 医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科
山川 正 1、菊地 泰介 1、増谷 朋英 1、重松 絵理奈 1、岡村 淳 1、
寺内 康夫 2
胆汁酸は FXR などの核内受容体を介して糖、脂質代謝の調節に関与
する。特に、コール酸のエネルギー産生、脂肪燃焼作用は注目され
ているが、臨床報告はない。そこで、血中コール酸濃度を上昇させ、
また FXR などにも作用する陰イオン交換樹脂、コレスチミドを用い
て臨床的な検討を行った。コレスチミドを、高脂血症を合併した 2
型糖尿病患者に投与し、糖脂質代謝に及ぼす影響について検討した。
【方法】高脂血症合併した 2 型糖尿病患者に、HbA1c の変動が 2 ヶ月
間で 0.5%以内の患者を対象とした。コレスチミド 3.0g(35 例、コ
群)またはプラバスタチン 10mg(35 例、プ群)を 3 ヶ月間投与し、
空腹時血糖(FPG)、HbA1c、IRI、各種脂質を測定した。
【成績】FPG
は、コ群 164.4、138.1mg/dl、プ群 153.2、149.1 mg/dl、HbA1c はコ
群 7.7、6.8%、プ群 7.7、7.6%とコ群においてのみ FPG、HbA1c が
有意に低下(p<0.001)した。LDL-C はコ群 141、121、プ群 143、
119mg/dl、TG はコ群 123、157、プ群 154、146mg/dl であり、LDL-C
は両群とも有意な低下を認めた。HOMA−R はコ群で有意に減少し、ま
た adiponectin 濃度の増加傾向を認めた。
【結論】コレスチミドはイ
ンスリン抵抗性改善作用を介して、糖代謝に好影響を及ぼすことが
示唆された。今後作用機序について更に詳細に検討していく予定で
ある。
P-1-22-01 オクトレオチドシンチが部位診断に有効であった異所
性 ACTH 症候群合併カルチノイドの一例
1
横浜労災病院 内分泌代謝内科、2 横浜労災病院 病理部、3 横浜労
災病院 呼吸器外科、4 東京医科歯科大学 内分泌代謝内科
正路 由紀 1、齋藤 淳 1、米山 道子 1、吉村 公一郎 1、砂川 一郎
1
、松澤 陽子 1、伊藤 譲 1、伊藤 浩子 1、角田 幸雄 2、前原 孝
光 3、土井 賢 4、平田 結喜緒 4、西川 哲男 1
【症例】71 歳女性【現病歴】2004 年秋より下肢筋力低下が出現。2005
年 2 月に糖尿病悪化にて近医入院し、インスリン療法を開始すると
伴にCushing症候群と診断された。
著明なコルチゾール(F)高値(43.2
μg/dl)・ACTH 高値(142pg/ml)と下垂体・副腎に明らかな腫瘍を認
めないことから異所性 ACTH 産生腫瘍と考えられ、メチラポン開始後
に 2005 年 5 月当院へ転院となった。
【入院時所見】身長 148cm、体重
38kg、血圧 118/84mmHg、脈拍 107/min、満月様顔貌・皮膚脆弱化
あり、
下肢優位の筋力低下あり。
メチラポン服用下で ACTH590pg/ml、
F20.3μg/dl と持続高値で日内変動を認めず。ACTH はデキサメサ
ゾン 8mg にて抑制されず、CRH に無反応だったが、オクトレオチド
(OCT)に対して低下反応を認めた。胸腹部CT・FDG-PET・全身静
脈採血にて腫瘍の局在診断に至らず。
【経過および考案】OCT が有効
と考えられ、徐放性剤に変更し 2005 年 9 月退院。OCT 徐放性剤(20mg
/週)にて ACTH(70∼80pg/ml)、F(5∼14μg/dl)とコントロールさ
れCushing徴候の改善とインスリン必要量の減少を認めていた。
2006
年 9 月にオクトレオチドシンチを施行したところ右下肺野に集積像
が得られ、CT にても同部位に径 1.5cmの腫瘤像を認めたため同年
11 月胸腔鏡下で右中葉切除施行。光顕像にて typical carcinoid と
診断され、気管支原発の ACTH 産生カルチノイドと考えられ術後経過
を観察中である。
OCT が有効な異所性ホルモン産生腫瘍にはオクトレ
オチドシンチを積極的に活用するべきと思われ報告する。
P-1-22-02 肺小細胞癌と鑑別が困難であったカルチノイド腫瘍に P-1-22-03 MEN1 の合併が疑われたインスリノーマの 1 例
よる異所性 ACTH 産生症候群の一例
1
1
NTT 東日本関東病院 糖尿病・内分泌内科
天理よろづ相談所病院 内分泌内科
仁科 祐子 1、間中 勝則 1、林 道夫 1
58 歳女性。くも膜下出血後遺症、高血圧症、高脂血症、狭心症で通
院していた。2006 年夏、赤ら顔、頚部に色素沈着が出現し、太った
と自覚していた。同年 9 月中旬、浮腫が増悪し、9/30、全身の脱力、
歩行困難が出現したため入院した。K 1.7mEq/L の低カリウム血症、
ACTH とコルチゾール(CS)高値、胸部異常影を認め、当科を紹介され
た。他に満月様顔貌、眼球結膜充血、紫斑、皮膚菲薄化、近位筋萎
縮、体毛増加あり。血中 CS 55.1μg/dl、ACTH 527.0pg/ml、尿中 CS
5500μg/日と CS 高値だが ACTH は抑制されず、日内変動も消失して
いた。ACTH 依存性 Cushing 症候群であったが、MRI で下垂体腺腫を
認めなかった。胸部 CT で右肺 S6a に 25mm 大、境界明瞭で辺縁平滑
な結節影を認め、また Pro GRP 254.4pg/ml と高値であった。肺病変
に対し胸腔鏡下肺生検を施行したところ、病理所見はカルチイド腫
瘍であり、chromogranin A、synaptophysin、NCAM といった神経原性
腫瘍マーカーが陽性を呈し、
一部の細胞でACTH染色も陽性であった。
以上より、肺カルチノイド腫瘍による異所性 ACTH 産生症候群と診断
した。
ACTH が著明な高値を呈し、所見から急速な臨床経過をきたしたと考
えられたこと、肺野に結節があったが短期間に対側肺にも複数の小
結節が出現したこと、肺小細胞癌以外で Pro GRP が 100pg/ml を超え
るのは極めて稀なことより、異所性 ACTH 産生症候群の原因として当
初は原発性肺癌を疑った。しかしメトピロンを投与し高 CS 血症を是
正したところ左肺小結節は消失し、右肺結節の病理組織所見よりカ
ルチノイド腫瘍と診断できた。一般にカルチノイド腫瘍は緩徐な経
過をたどるが、本症例のように急速な経過の場合でもカルチノイド
腫瘍の鑑別が肝要である。
植田 玲 1、田中 正巳 1、奥山 さくら 1、飯降 直男 1、玉那覇 民
子 1、古家 美幸 1、辻井 悟 1、石井 均 1
【症例】77 歳女性【主訴】異常行動【現病歴】H18 年 8 月起床後す
ぐ玄関に座っていたところを家人が発見した。不可解な行動であっ
たため、同日夕方家族が本人を連れて当院受診。このとき血糖値が
32mg/dl であった。経口血糖降下薬の内服やインスリン治療歴はな
く,精査目的で入院となった。最近1年で体重は 10kg減少してい
た。40 歳頃胆管結石手術の際、膵臓に腫瘤(約 1cm 大)を指摘され
たが放置されていた。
【経過】絶食試験では 3 時間で症状を伴う低血
糖(血糖 35mg/ml,IRI 15.2μU/ml)が誘発され、インスリンの過
剰分泌を認めた。腹部CTでは膵頭部に、15mm×15mm の造影効果の
ある腫瘤を認めた。ASVS 施行し、胃十二指腸動脈からの造影で腫瘍
濃染像認め、同血管へのカルシウム負荷にて IRI の step up があり、
インスリノーマと診断した。手術は拒否され,内科的治療に対して
も消極的であった。低血糖に対して眠前 2 単位程度の補食を行い、
症状伴う低血糖は認めていない。入院時検査でバセドウ病の合併が
判明し、MMIで治療開始した。甲状腺機能の正常化に伴い、体重
が増加した。また画像検査で下垂体腺腫、副甲状腺腺腫を認めたが、
ホルモン分泌能に異常を認めなかった。
【結語】本例はインスリノー
マに加え下垂体腺腫、副甲状腺腺腫を認め、MEN1 が強く疑われる。
インスリノーマでは体重増加を認めることが多いが、本例ではバセ
ドウ病合併のため体重が増加せず、むしろ減少した可能性がある。
P-1-22-04 PET-CT が有用であった副腎外褐色細胞腫の 1 例
P-1-22-05 甲状腺亜全摘後40年目に甲状腺髄様癌肺転移が見つ
かった多発性内分泌腺腫症IIA型の一例
1
大阪府済生会中津病院糖尿病内分泌内科、2 大阪府済生会中津病院 1 千葉県立東金病院 内科、2 伊藤病院
PET センター、3 大阪府済生会中津病院 外科
新谷 光世 1、冨田 礼子 1、吉田 有希子 1、中野 厚生 1、前田 康 横田 めぐみ 1、阿部 浩子 1、今村 茂樹 1、平井 愛山 1、伊藤 公
司 1、岡村 光英 2、豊田 昌夫 3、西村 治男 1
一2
症例は 77 歳男性。家族歴に高血圧あり。3 年前の検診で初めて高血 症例は70歳女性。1965年、甲状腺髄様癌の診断で、伊藤病院
圧(164/97)を指摘され、近医を受診。降圧薬を投与されるも血圧コ で甲状腺亜全摘手術を受ける。1981年、埼玉県下の病院で、両
ントロールが不良のため当科を紹介された。血中ノルアドレナリン 側の褐色細胞腫と診断され、両側副腎全摘術を受ける。それ以上の
5.53ng/ml、アドレナリン 0.19g/ml と高値を認めたため入院。尿中 精査はされず、1983年、千葉県下の病院へ転院となり、甲状腺
ノルメタネフリン 1.85mg/日メタネフリン 0.56mg/日と高値であり、 ホルモンと副腎皮質ホルモンの補充療法を受けながら外来通院加療
褐色細胞腫が疑われたため I-123 MIBG シンチグラフィーを施行。左 となる。この間、甲状腺をはじめとする内分泌臓器の精査は行われ
上腹部に取り込みを認めるも腹部 CT、MRI にて腫瘍を同定できず。 ていなかった。2006年1月頃より、手指の振戦が出現。同年3
α1 遮断薬にて収縮期血圧 120 前後にコントロールし、経過観察と 月、当該病院内科の休診に伴い、当院内科外来を紹介受診となる。
なった。他のホルモン検査、画像所見より MEN は否定的であった。 受診時、頚部リンパ節の腫脹有り。血中カルシトニン1600と異
翌年 FDG PET を施行したところ、左上腹部に強い集積(静注 1 時間後 常高値であった為、甲状腺髄様癌の再発、並びに患者本人および家
の SUV 9.7、2 時間後 12.7)を認め、PET と CT の融合画像にて左腎下 族の病歴(実子2名とも甲状腺および副腎全摘)より、多発性内分
極レベルで大動脈左側に約 2cm の腫瘤を認めた。腹部 MRI にて確認 泌腺腫症 II 型を疑い、精査目的の為入院となる。副甲状腺について
したところ、同部位に T2 強調像にて軽度高信号の腫瘤を認め、傍神 は、血中副甲状腺ホルモンは正常であった。PET検査にて、頸部
経節腫と考えられた。手術にて腫瘤を切除した。褐色調の充実性腫 リンパ節転移および左肺下葉に転移巣を認める。肺CT上、左肺下
瘤で、組織所見では傍神経節腫であった。術後、降圧薬なしで血圧 葉の転移巣は、直径2cmであった。遺伝子検索の結果、RET遺
110/80 前後となり、
血中および尿中カテコラミンもほぼ正常化した。 伝子exon11のcodon634に点変異を認め(TGC:C
、臨床データと合わせて、多発性内分泌腺腫
副腎外の褐色細胞腫が疑われたが、CT、MRI 単独では腫瘍部位の同定 ys→CGC:Arg)
困難で、FDG PET と CT の融合画像が診断に極めて有用であった症例 症IIA型と診断した。現在、頚部リンパ節および左肺下葉の転移
巣について、切除術おこない、経過良好である。
を報告した。
P-1-23-01 ベザフィブラートは PPARγの活性化により脂肪細胞に
おける 11β-HSD1 及びアディポネクチンを直接制御する
1
キッセイ薬品工業 開発研究部、2 京都大学大学院医学研究科 内
分泌代謝内科
中野 茂 1、稲田 洋一 1、益崎 裕章 2、田中 智洋 2、泰江 慎太郎
2
、石井 崇子 2、荒井 直樹 2、海老原 健 2、細田 公則 2、丸山 和
容 1、山崎 芳伸 1、柴田 信男 1、中尾 一和 2
【目的】高脂血症治療薬 bezafibrate(BF)は PPAR pan(α,γ,
δ)-agonist であり,
大規模臨床試験において冠動脈疾患を有する症
例における糖尿病発症抑制,インスリン抵抗性改善作用が示されて
いる。我々は BF の糖尿病・高脂血症改善作用を肥満 2 型糖尿病モデ
ル db/db マウスを用いて評価し,アディポネクチン血中濃度の上昇
やグルココルチコイド活性化酵素 11β-HSD1 の抑制作用が重要であ
ることを示してきた。今回我々は BF の糖尿病改善作用の詳細なメカ
ニズムを解析した。
【方法】3T3-L1 脂肪細胞に BF, WY-14,643(WY),
fenofibric acid(FEN), pioglitazone(PIO), rosiglitazone(Rosi)
を添加し,11β-HSD1 遺伝子発現・酵素活性,アディポネクチン分泌・
遺伝子発現を測定した。また,3T3-L1 脂肪細胞に 11β-HSD1 siRNA
を導入し,同様に酵素活性を測定した。
【成績】BF は PIO 及び Rosi
と同様に 11β-HSD1 の遺伝子発現(−34%,P<0.01)・酵素活性(−
32%,P<0.01)を有意に抑制し,アディポネクチンの遺伝子発現(+
71%,P<0.01)・分泌量(+27%,P<0.01)を有意に上昇させた。一方
で,
WY 及び FEN ではこのような作用は認められなかった。
また,
siRNA
導入による 11β-HSD1 mRNA のノックダウン(−34%,P<0.01)に伴っ
【結論】BF
て,その酵素活性は有意に抑制された(−41%,P<0.05)。
は PPARγの活性化により脂肪細胞における 11β-HSD1・アディポネ
クチンを直接的に制御し,これらが BF の糖尿病・インスリン抵抗性
改善作用に大きく寄与するものと考えられた(AJP-Endocrinol
Metab, in press, 2007)。
P-1-23-02 セラミドと AMPK シグナルによる脂肪細胞の 11β-HSD1
新規発現調節機構
1
京都大学大学院医学研究科 内分泌代謝内科
荒井 直樹 1、益崎 裕章 1、田中 智洋 1、小林 望美 1、泰江 慎太
郎 1、石井 崇子 1、青谷 大介 1、小鳥 真司 1、髭 秀樹 1、冨田 努
1
、日下部 徹 1、野口 倫生 1、宮永 史子 1、藤倉 純二 1、海老原
健 1、平田 雅一 1、細田 公則 1、中尾 一和 1
【背景・目的】細胞内グルココルチコイド活性化酵素、11β-HSD1
の遺伝子発現は肥満の脂肪組織で上昇し脂肪組織機能の調節異常を
引き起こす。肥満の脂肪組織ではセラミド代謝に関わる酵素群の発
現が増加しており、AMPK は低酸素、虚血などの代謝ストレスにより
活性化される。前駆脂肪細胞における 11β-HSD1 の発現調節機構と
してセラミドと AMPK シグナルの意義を検討した。
【方法】セラミド
代謝に関わる分子として C2 ceramide(C2 )、sphingomyelinase
(SMase)
、sphingosine 1-phosphate(S1P)
、AMPK 活性化剤として
AICAR を 3T3-L1 前駆脂肪細胞及びヒト内臓前駆脂肪細胞(Cambrex
社)に添加し、24 時間後の 11β-HSD1 遺伝子発現及び酵素活性を検
討した。
【結果】L1 前駆脂肪細胞の 11β-HSD1 mRNA 発現は C2、SMase
及び S1P の添加によりそれぞれ 2.5 倍、1.7 倍、3.0 倍に、AICAR の
添加により 9 倍に増大し、11β-HSD1 酵素活性が誘導された。ChIP
アッセイにより C/EBPβの発現増大に伴う転写活性化が示された。
ヒ
ト内臓前駆脂肪細胞でも同様に 11β-HSD1 発現誘導が認められた。
【総括】ヒトとマウス由来の前駆脂肪細胞においてセラミド及び
AMPK シグナルが C/EBPβを介して 11β-HSD1 発現を誘導することを
新規に見出した。代謝ストレスが脂肪細胞の 11β-HSD1 発現を亢進
し脂肪組織機能異常に関与する可能性が示唆された。
P-1-23-03 脳血管内皮細胞からクローニングされた Rat Tumor
Suppressor Candidate 5(TUSC5)の発現解析
1
千葉大学大学院医学研究院細胞治療学、2 千葉大学医学部附属病院
糖尿病代謝内分泌内科、3 東京医科大学病理診断部、4 塩野義製薬株
式会社
龍野 一郎 1,2、長尾 俊孝 3、小出 尚史 1,2、山田 伸子 1,2、柴田 貴
久 1,2、林 利恵 4、永田 清 4、竹尾 愛理 1,2、田中 知明 1,2、野口
義彦 1,2、齋藤 康 1,2
【目的】我々はラット大動脈内皮細胞との SSH 法によって脳血管内
皮細胞に優位に発現する新規遺伝子(Brain Endothelial Cell
Derived Gene-1:BEC-1)をクローニングした(1)。新規遺伝子は mouse
tumor suppressor candidate 5 (TUSC5)遺伝子と 97%、ヒト LOST1
遺伝子と 75%の相同性があり、rat TUSC5 であると考えられた(1)。
今回、TUSC5 の全身の組織発現を解析した。
【材料と方法】推定され
るアミノ酸配列から抗体を作成し、ウエスタンブロット法・免疫染
色法によって蛋白発現を解析した。
【結果】RT-PCR による mRNA およ
びウエスタンブロット法による蛋白発現の解析から、
TUSC5 の脂肪組
織での優位な発現が認められた。更に、免疫組織染色では褐色脂肪
細胞・白色脂肪細胞に加えて心筋・胃底腺・膵外分泌細胞・精子な
どに特異的な染色を認めた。
【考察】TUSC5 は脂肪組織に豊富に発現
し、褐色脂肪細胞では寒冷刺激により UCP-1 と鏡面的に減少する(本
学会で報告)など脂肪代謝の重要な制御因子である可能性が示唆さ
れた。加えて、多臓器での特異的な発現は更に幅広い生理機能をつ
かさどっている可能性が示唆された。
【文献 1】 Shibata T, et al.
Molecular and Cellular Endocrinology 263:38-45, 2007.
P-1-23-04 Tumor Suppressor Candidate 5(TUSC5)のラット褐色脂
肪細胞系における発現調節機構
1
千葉大学大学院医学研究院細胞治療学、2 千葉大学医学部附属病院
糖尿病代謝内分泌内科、3 東京医科大学病理診断部
小出 尚史 1,2、柴田 貴久 1,2、山田 伸子 1,2、峰澤 朝美 1,2、長尾
俊孝 3、田中 知明 1,2、野口 義彦 1,2、龍野 一郎 1,2、齋藤 康 1,2
【目的】我々がラット脳血管内皮細胞からクローニングした Brain
Endothelial Cell Derived Gene-1(BEC-1)は、mouseTUSC と高い相
同性を持ち、rat TUSC5 であると考えられた。TUSC5 はラットの脂肪
組織で mRNA と蛋白質の高発現を認めた。また、寒冷暴露による褐色
脂肪で TUSC5 mRNA の減少を報告してきた。今回、ラット褐色脂肪細
胞系でのTUSC5の機能を更に 解明する目的で以下の検討を行った。
【方法と結果】SD ラット BAT の TUSC5 免疫組織染色では、褐色脂肪
細胞の細胞質に染色を認めた。また、Zucker lean rat に対してデキ
サメサゾンを投与したところ、
BAT の TUSC5mRNA はデキサメサゾン濃
度依存性に減少し、このとき UCP-1 mRNA も同様の減少を示した。さ
らに、ラット褐色脂肪前駆細胞培養系を用いた検討では、分化誘導
初期より C/EBPβmRNA の発現を認め、2 日目より C/EBPα mRNA が誘
導されることを確認した。一方で、TUSC5 mRNA は誘導 4・5 日目から
発現量の増加を認めた。
【考察】ステロイドにより BAT の TUSC5 mRNA
は減少し、TUSC5 はストレス反応に関与している可能性が示唆され
た。また、褐色前駆脂肪細胞分化により TUSC5 mRNA は増加し、脂肪
細胞の分化・成熟に関与している可能性が示唆された。
P-1-23-05 メタボリックシンドロームモデルマウスにおける高食 P-1-23-06 3-D 細胞外マトリックス内における血管内皮および脂肪
塩・高脂肪食負荷による肝障害の検討
細胞の分化、機能調節
1
1
東京大学 腎臓内分泌内科、2 東京大学 検査部
ミシガン大学 医学部 代謝内分泌糖尿病内科
上竹 勇三郎 1、下澤 達雄 2、穆 勝宇 1、王 紅 1、小倉 彩世子 1、
金子 知代 1、松井 宏光 1、藤田 敏郎 1
【目的】近年、非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty
liver disease, NAFLD)はメタボリックシンドロームの肝障害の病
態として注目されている。NAFLD は単純性脂肪肝(simple steatosis,
nonalcoholic fatty liver, NAFL ) か ら nonalcoholic
steatohepatitis (NASH) までを含む幅広い概念である。原因不明の
肝硬変や発癌に NASH が関与していることが示唆されており、NASH
への進行を抑制することが重要である。今回、メタボリックシンド
ロームモデルマウスに高食塩・高脂肪食を負荷し、その肝障害の病
態に関し検討した。
【方法】酸化 LDL 受容体である Lectin-like
oxidized LDL receptor-1(Lox-1)の Tg マウスおよびアポ蛋白 E の KO
マウスを用い、それぞれ Lox-1 Tg mice・ApoE KO mice 群、ApoE KO
mice 群と WT mice 群(8 週齢)の 3 群に分け、高食塩(8%)食・高脂
肪食を 8 週間投与し、高血圧、高脂血症を併発する肝障害モデルを
作成し、各種分子マーカーの関与、病理所見の比較検討を行った。
さらに酸化ストレスの関与、テルミサルタン投与による検討も併せ
て行った。
【結果】ApoE KO mice・Lox-1 Tg mice 群では各種分子マ
ーカーの異常を認め、病理所見にて肝細胞の脂肪化、水腫状変性
(ballooning)
、 好中球を含む炎症細胞の浸潤が認められた。また、
テルミサルタン投与群では、その肝病変は改善傾向を認めた。
【結
論】メタボリックシンドロームモデルマウスにおける肝障害の進展
に、レニン・アンジオテンシン系および酸化ストレスの抑制ならび
に PPARγ刺激が重要であると考えられた。
全 泰和 1
生体内における間葉系細胞の分化および組織機能の獲得は3次元細
胞外マトリックス(3-D ECM) 内部において展開される。しかしなが
ら、従来の多くの in vitro 細胞分化の実験系は2次元(2-D)平面環
境を用いるものが主流であり、3-D ECM における細胞の形態、極性、
増殖および遊走制御の理解を深める事が困難であった。生体におい
て最も豊富な ECM 構成成分は I 型コラーゲンである。I型コラーゲ
ンは3重らせん構造をとる安定な細胞外タンパク質であるが、発生
および創傷治癒の過程において一連のプロテアーゼにより切断、分
解される。私たちは膜型マトリックスメタロプロテアーゼ(MT1-MMP)
を介したコラーゲン分解が 3-D 環境特異的に細胞の形態形成および
分化に必須である事を血管内皮細胞および脂肪前駆細胞を用いた in
vitro, ex vivo および in vivo 実験系により解明した。MT1-MMP
を欠損した血管内皮細胞は 3-D コラーゲン内への細胞遊走、増殖、
および管腔形成能をほぼ完全に消失した。しかしながら、2-D での
細胞機能には全く影響を認めなかった(Chun et al., J.C.B. 2004)。
さらに私たちは MT1-MMP 欠損マウスが極めて重篤な脂肪萎縮症状を
呈することを見出した。
MT1-MMP を欠損した脂肪前駆細胞は2次元環
境において正常細胞と同様の脂肪分化能を有するにも関わらず、3-D
コラーゲン内および生体において細胞形態、分化、シグナル伝達に
顕著な欠損を示した。さらにマイクロアレイ解析から、脂肪分化に
伴う遺伝子変化が 2-D と 3-D で有意に異なる事、
また MT1-MMP が 3-D
環境における遺伝子発現調節に不可欠である事を見出した(Chun et
al, Cell 2006)。 以上の知見から、MT1-MMP を介した細胞外マトリ
ックスのリモデリングは間葉系細胞の分化および機能に必須な 3-D
特異的因子であると考えられる。
P-1-23-07 アセチル CoA 合成酵素 2 型遺伝子欠損マウスの表現型
解析
1
東京大学 先端科学技術研究センター システム生物医学ラボラ
トリー、2 科学技術振興機構 ERATO 柳沢オーファン受容体プロジ
ェクト
榊原 伊織 1,2、酒井 寿郎 1,2
アセチル CoA 合成酵素 (AceCS) は、酢酸からアセチル CoA を合成す
る酵素である。哺乳類には AceCS1、および、AceCS2 の 2 つの AceCS
があり、AceCS2 はミトコンドリアに局在し、心臓、骨格筋、褐色脂
肪等の組織に分布し、絶食により mRNA 発現が増加する。AceCS2 の生
理機能の解明を目的に、AceCS2 欠損マウスを作製し、その表現型を
解析した。AceCS2 欠損マウスは授乳期に体重が減少し、離乳後に急
速に体重が増加した。授乳期には血中のケトン体濃度が高いため、
AceCS2 欠損マウスは成育不良を起こしたと予想し、血中のケトン体
濃度を上昇させる餌であるケトジェニックダイエットを与えたとこ
ろ、野生型マウスは正常に成育したが、約半数の AceCS2 欠損マウス
が成育できずに死亡し、生き残った AceCS2 欠損マウスは野生型マウ
スと比べ、体重が減少した。また、48 時間の絶食条件下では、AceCS2
欠損マウスは体温の維持、持久運動に支障が見られ、ストレプトゾ
トシン投与による糖尿病態においても、AceCS2 欠損マウスの生存率
の低下が見られた。以上の結果から、ケトジェニック条件下では、
AceCS2 欠損マウスが代謝に異常を起こすことが明らかになった。そ
こで、AceCS2 の基質特異性を解析したところ、AceCS2 は酢酸だけで
なく、ケトン体の一つであるアセト酢酸を基質とすることが明らか
になった(Km=1.1 mM)。以上のことから、AceCS2 は生理的にアセト酢
酸を代謝し、ケトジェニック条件下において重要な役割を果たして
いることが示唆された。
P-1-24-01 絨毛細胞の移動能における Insulin-like growth
factor-I (IGF-I) / insulin hybrid receptor の意義
1
杏林大学 医学部 産婦人科
P-1-24-02 胎盤抗酸化系機構と胎児発育-human thioredoxin-1
(hTRX-1)過剰発現マウスにおける IGF・IGF-BP 系発現の検討
1
三重大学 医学部 産婦人科
橋本 玲子 1、酒井 啓治 1、松本 浩範 1、岩下 光利 1
梅川 孝 1、杉山 隆 1、村林 奈緒 1、長尾 賢治 1、神元 有紀 1、
佐川 典正 1
【目的】胎児発育における抗酸化系機構の意義を明らかにする目的
で、
全身に抗酸化物質である hTRX-1 を過剰発現するマウス
(以下 Tg)
を用いて検討を進めてきた。これまでの検討で、Tg は野生型マウス
(以下 Wt)と比較し胎盤重量が有意に軽いにもかかわらず胎仔重量
に有意差を認めず、胎仔/胎盤重量比が有意に大きいことが明らかと
なり、胎盤における抗酸化系機構が胎児発育に影響を及ぼす可能性
が示された。今回、胎盤における胎児発育に関与する因子に着目し
検討を行った。
【方法】施設内動物実験委員会承認の下、8 週齢の雌
性 Tg(n=9)と Wt(n=12)を雄性 Wt と交配し妊娠マウスを作成し
妊娠第 15 日に開腹、胎盤を摘出した。胎盤における insulin-like
growth factor-1(IGF-1)、IGF-2、insulin-like growth factor
binding protein -1(IGFBP-1)
、IGFBP-2、IGF-1 受容体(IGF-1r)
および糖輸送担体(GLUT1、GLUT3)の遺伝子発現を、定量 PCR 法を
用いて検討した。
【成績】
Tg 群では胎盤における IGF-1 遺伝子発現量
が低下し(p<0.05)
、IGFBP-2 遺伝子発現量が亢進していた(p<
0.001)
。IGF-2、IGFBP-1、IGF-1r および糖輸送担体(GLUT1、GLUT3)
の遺伝子発現量は両群間で有意差を認めなかった。
【結論】hTRX-1
過剰発現マウスでは、胎盤における insulin-like growth factors
の遺伝子発現を介し、胎仔発育に影響を与えている可能性が示唆さ
れた。
【目的】胎児・胎盤発育において IGF が重要な役割をはたしている。
本研究は胎盤において多く発現している IGF 受容体の一つである
IGF-I / insulin hybrid receptor (HR)の胎盤発育における意義
を解明することを目的とした。
【方法】絨毛細胞は社会的適応により
人工妊娠中絶を施行した患者からインフォームドコンセントを得た
上で採取し分離・培養した。細胞移動能は無血清培養液に IGF-I を
添加し48時間後に測定した。受容体のリン酸化は免疫沈降法、
immunoblotting にて解析した。またインスリン抵抗性のモデルとし
て使われる Tumor necrosis factor-α(TNF-α)も添加し同様の実験
を行った。
【成績】
IGF-I は有意に絨毛細胞の細胞移動を促進したが、
TNF-αは細胞移動を有意に抑制した。IGF-I と TNF-αの同時添加で
は細胞移動能は IGF-I 添加群に比較し有意に抑制された。また、絨
毛細胞表面 IGF 受容体の IGF-I 刺激によるリン酸化は TNF-αの添加
により抑制された。この TNF-αの IGF-I 抵抗性がどの受容体を介す
るか解析するために IGF-I 受容体を HR と native IGF-I receptor
(n-IGFIR)に分離すると HR、n-IGFIR 共に IGF-I 刺激によりリン酸化
したが、TNF-αを添加すると HR のリン酸化は減弱したが、n-IGFIR
のリン酸化は変化しなかった。同様に、TNF-αは IRS-I のリン酸化、
IRS-I と PI3-kinase の結合も抑制した。
【結論】胎盤において IGF-I
は絨毛細胞の IGF 受容体に結合して細胞移動を促進するが、この
IGF-I の作用は主に HR と結合して細胞内に伝達されると考えられ
た。
P-1-24-03 ヒト黄体細胞の progesterone 産生における GH と
IGF-1 の影響
1
山口大学大学院 医学系研究科 産科婦人科学、2 済生会下関総合
病院 産婦人科
竹谷 俊明 1、田村 博史 1、谷口 憲 1、前川 亮 1、浅田 裕美 1、
三輪 一知郎 1、松岡 亜希 1、山縣 芳明 1、杉野 法広 1、高崎 彰
久 2、嶋村 勝典 2、森岡 均 2
【目的】ヒト黄体期における progesterone(P4) 産生と Growth
hormone (GH) , Insulin-like growth factor-1 (IGF-1) との関連
性について検討した。
【方法】1. 黄体機能と GH との間に関連性があ
るかを調べるため、不妊治療患者 18 名に対し、黄体期中期において
1 日蓄尿から求めた尿中 GH 濃度を測定し、同時に測定した血中 P4
値、E2 値との関連性を検討した。尚、検体採取は患者の同意を得た。
2. IVF 患者の採卵時に得られた黄体化顆粒膜細胞を用い、培養液中
に human GH (hGH)、human IGF-1 (hIGF-1)をそれぞれ添加し培養を
行い、6、12、24 時間後の培養液中 P4 値を RIA にて測定した。また、
培養液中に異なる濃度の hIGF-1 を添加し、24 時間後の培養液中 P4
値を測定した。さらに培養液中に hIGF-1 と hCG を同時に添加し、24
時間後の培養液中 P4 値を測定した。尚、検体採取は患者の同意を得
た。
【成績】1. 尿中 GH 濃度と血中 P4 値の間に有意の正の相関が認
められたが、尿中 GH 濃度と血中 E2 値との間には相関は認められな
かった。2. hIGF-1 添加により黄体細胞の P4 分泌は有意に増加した
が、hGH 添加では有意の変化はなかった。また黄体細胞の P4 分泌は
hIGF-1 濃度依存性に増加し、hCG 同時添加により相乗的な効果を認
めた。
【結論】
GH は肝からの IGF-1 分泌を介して作用することを考え
ると、GH は IGF-1 を介して黄体機能に影響を及ぼしている可能性が
示された。
P-1-24-04 DAX-1 異常症の一症例
1
済生会 福岡総合病院 内科、2 九州大学 医学部 病態制御内科、
済生会 福岡総合病院 循環器科
蘆田 健二 1、今村 香奈子 1、大江 賢治 2、山本 光孝 3、関口 直
孝 1、迫 康博 1、柳瀬 敏彦 1、高柳 涼一 1
3
症例は 28 才、男性。主訴は、全身倦怠感と胸部違和感。13 才時に色
素沈着を主訴に近医を受診し、アジソン病と診断され加療を開始さ
れた。21 才時に同医にて低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(HHG)
と診断され HCG の投与が開始された。22 才時より当地に転居され、
全身倦怠感、胸部違和感が出現してきたために当科を受診。心電図
にて多源性多発性心室性期外収縮を認め、精査・加療を目的に当入
院となる。理学所見では、手指と両下眼瞼に色素沈着を認め、脈拍
は整であるが欠損を認めた。検査所見では、ACTH 高値、DHEAS の低
値を認め、血中アルドステロンは感度以下であった。ACTH 連続試験
でも尿中 17OHCS の増加は認めなかった。血中テストステロン(T)は
低値であり、LH-RH に対し LH と FSH は反応しなかったが、連続試験
にて反応性と基礎値の若干の改善傾向を認めた。
HCG 試験にて T の上
昇を認め、視床下部性もしくは下垂体性の HHG と診断した。アジソ
ン病と HHG の合併より、
DAX-1 異常症を考え本人の了承のもと遺伝子
検索を行った。その結果、1091 番目と 1092 番目の TT の欠失を認め、
アミノ酸レベルで 364 番目のFがSに変わり、387 アミノ酸で stop
となることが判明した。検索しえた範囲で今までにこの変異の報告
はなく、新規変異であると考えられた。多発性の心室性期外収縮を
認め、UCG にて心収縮能の低下を認めたために心筋生検を施行した。
HCG の投与を自己中断されており、
その影響も考え HCG 投与を再開し
たところ、T の改善と共に心機能・心室性期外収縮の頻度の改善を認
めた。男性ホルモン、コルチゾール欠乏による一過性の心筋障害が
考えられた。多発性心室性期外収縮を合併した新規 DAX-1 変異症例
を経験したので報告する。
P-1-24-05 orexin の GnRH 抑制作用におけるストレス関連受容体
の関与の検討
1
徳島大学大学院女性医学
P-1-24-06 続発性性腺機能低下症、中枢性尿崩症を合併した XYY
症候群の 1 例
1
東京医科歯科大学大学院 分子内分泌内科学 (内分泌代謝内科)
岩佐 武 1、松崎 利也 1、水口 雅博 1、清水 扶美 1、苛原 稔 1
神山 隆治 1、館野 透 1、加藤 真子 1、関澤 直子 1、谷 祐至 1、
泉山 肇 1、土井 賢 1、吉本 貴宣 1、平田 結喜緒 1
【症例】17 歳、男性。幼少より夜尿症が持続、16 歳頃より多飲、多
尿が増悪し、近医にて DDAVP 点鼻開始となった。また声変わりなく、
腋毛・陰毛の欠損、外性器・精巣の発育不良などの二次性徴の発達
遅延が認められた。染色体検査では、47XYY モザイク(6/20)を認め、
XYY 症候群と診断され、
性腺機能および多尿の精査のため当院紹介と
なった。身長(167cm)、体重(73kg)。精巣容積(右 4cc、左 4.5cc)。
内分泌学的検査にて LH(0.2mIU/ml)、 FSH(0.4mIU/ml)、テストステ
ロン(0.10ng/ml)の低値を認め、低ゴナドトロピン性。下垂体 4 者刺
激試験で GH、PRL の低反応と LH、FSH の無反応。HCG 負荷試験(0.06
→2.25ng/ml)、LH-RH 連続試験で軽度の反応(LH:0.2→2.0mIU/ml、
FSH:0.6→1.8mIU/ml)を認め、視床下部性性腺機能低下症と診断。尿
浸透圧(142mOsm/kg H2O)、血清浸透圧(284mOsm/kg H2O)、高張食塩水
負荷試験にて反応なし、
DDAVP 試験で反応あり、
中枢性尿崩症と診断。
下垂体 MRI では、下垂体茎の偏位、類円形結節状の腫瘤(13×7×
11mm)を認めラトケ嚢胞が疑われた。抗下垂体抗体(-)。以上より視
床下部−下垂体系の障害による続発性性腺機能低下症および中枢性
尿崩症と診断し、HCG 療法、DDAVP 投与を開始した。
【考察】XYY 症候
群は Y 染色体の過剰で、約半数で乏精子症であることが知られてお
り、高ゴナドトロピン性性腺機能低下症を示す。しかし XYY 症候群
における染色体異常と内分泌異常との関連性は十分に解明されてお
らず、本症例は低ゴナドトロピン性性腺機能低下症と中枢性尿崩症
を合併した稀有な症例と考えられる。
目的: orexin A(ORXA)は視床下部外側野に存在し、ストレス時に発
現が高まる。ORXA が GnRH のパルス状分泌を抑制する経路に関わる、
ORX と CRH の受容体のサブタイプを検討した。方法:Wistar 系成熟
雌ラットの両側卵巣を摘出し、脳室内投与針を留置した。まず、
ORXA(ORX 1,2 型受容体リガンド)、orexin B(ORXB; ORX2 型受容体リ
ガンド)を単独、およびα-helical CRF(CRH 非特異的受容体アンタゴ
ニスト)と同時に脳室内投与し、右心房カテーテルから連続採血(6
分毎 120 分)を行った。ORXA については Astressin2B(CRH 2 型受容体
アンタゴニスト)との同時投与も行った。次に、ORXA 脳室内投与の
90 分 後 に 視 床 下 部 を 採 取 し 、 CRH 、 urocortin(UCR) 、 及 び
urocortinII(UCNII)の mRNA を real-time RT-PCR により定量した。
結果:ORXA および ORXB は共に LH パルス状分泌の頻度と平均 LH 濃度
を抑制した。α-helical CRF と ORXA の同時投与では ORXA 単独投与
に比し抑制作用は有意に軽度で、Astressin2B と ORXA との同時投与
も同様であった。ORXA 投与後は control に比べて CRH mRNA 及び
UCNIImRNA の発現が有意に高く、UCR mRNA の発現に有意差は認めな
かった。結論:ORXA は CRH ニューロン上の ORXA1 型受容体に作用し、
CRH と UCNII の mRNA 発現を高め、
さらに CRH2 型受容体を介してGnRH
パルス状分泌を抑制すると考えられた。ストレス時の性機能抑制は、
ORXA による CRH の発現が関与している可能性が示唆された。
P-1-25-01 体重減少性無月経の体重回復期における多嚢胞性卵巣 P-1-25-02 マウス母獣摂餌制限モデルにおける分岐鎖アミノ酸
像と GnRH 負荷テストの変化
(BCAA)添加の胎仔発育への影響
1
岡山大学 医学部 産科婦人科、2 岡山大学大学院 保健学研究科 1 京都大学 医学部 産婦人科、2 三重大学 医学部 産婦人科、3 国
立病院機構 大阪医療センター 産婦人科
安達 美和 1、中塚 幹也 2、野口 聡一 1、鎌田 泰彦 1、佐々木 愛 最上 晴太 1、由良 茂夫 1、伊東 宏晃 3、川村 真 1、藤井 剛 1、
子 1、清水 恵子 1、Lin Hao1、平松 祐司 1
佐川 典正 2、藤井 信吾 1
中学,高校の 6 年間で 2.3%の女子生徒が思春期やせ症(拒食症)を 【目的】母体低栄養は子宮内発育制限(IUGR)を生じる事が知られ
発症しているとされ,早期診断指針も示されている.摂食障害では ている。一方 IUGR 児の臍帯血では分岐鎖アミノ酸(BCAA)濃度の減少
BCAA は胎児発育に影響を及ぼす事が推測される。
続発性無月経の合併率が高いが,一般的には視床下部性の排卵障害 が報告されており、
と考えられている.今回,私達は,体重減少性無月経症例の体重回 また胎児発育は insulin-like growth factors(IGFs)により調節さ
れている。今回、摂餌制限を加えた妊娠マウスの食餌に BCAA を添加
復過程での GnRH 負荷テストの変化を検討したので報告する.
【方法】施設内動物実験委員会の
対象は体重減少性無月経 20 症例で,計 29 回の検査を施行した. し、胎仔発育への影響を検討した。
身長は 156.7±5.1(mean±S.D.)cm,発症前の体重 51.7±10.3kg,BMI 承認を得て妊娠マウスを普通食群(NN 群;対照群)、摂餌制限群(UN
21.0±3.4,最も低下した体重 36.0±6.0,BMI 14.6±2.2 であった. 群;妊娠 10.5 日目より妊娠 18.5 日目まで NN 群の 70%の摂取カロリ
及び摂餌制限BCAA添加群(BCAA-UN群;UN群と同カロリーでBCAA
検査時のBMI により,
A 群:BMI<16(n=8),
B 群:16≦BMI<18.5(n=10), ー)、
を食餌に添加)の 3 群に分類した。妊娠 18.5 日に胎仔・胎盤重量を
C 群:BMI≧18.5(n=11)に分類した.
GnRH 負荷テストでの LH 前値は,A 群 0.7±0.8 mIU/ml,B 群 2.8 測定し、胎仔肝臓及び胎盤の IGF-I, -II 遺伝子発現量を定量 PCR 法
【成績】胎仔重量は UN 群(872±12mg)では NN 群(1030
±5.2 mIU/ml,C 群 4.1±4.07 mIU/ml であり,C 群は A 群に比較し にて測定した。
て高値の傾向が見られた(p<0.09). LH30 分値は,A 群 7.0±4.9 ±16mg)に比し低値であったが、BCAA-UN 群(912±12mg)では UN 群に
mIU/ml,B 群 5.9±8.8 mIU/ml,C 群 24.0±18.0 mIU/ml であり,C 比べ有意に高値であった(n=32∼50, p<0.05)。胎仔肝臓の IGF-I,
群は A 群,B 群に比較して有意に高値であった(各 p<0.02). FSH 前 -II mRNA 発現は、UN 群では NN 群に対して差を認めなかったが、
値,30 分値は,各群間に有意差は見られなかった.BMI と相関の強 BCAA-UN 群(1.36±0.13, 1.30±0.08 Arbitrary Unit: AU)が UN 群
かったのは,LH30 分値/FSH30 分値の比であり(R=0.54,p<0.01), (0.45±0.03, 0.57±0.03 AU)に対して有意に高値を示した(n=10∼
BMI の上昇とともに多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の発生も高率の傾向 12, p<0.05)。胎盤での IGFs mRNA 発現は各群間で有意な差を認め
が見られた.
なかった。
【結論】母獣の食餌に分岐鎖アミノ酸を添加すると、摂餌
体重減少性無月経の体重の回復過程では,LH 基礎値よりも GnRH 制限による胎仔・胎盤重量減少の改善ならびに胎仔肝臓における
負荷時の LH30 分値の上昇が特徴的であり,
PCOS を発症する症例も見 IGF-I, -II の遺伝子発現の増加がみられた。分岐鎖アミノ酸は胎仔
られる.これらを考慮した検査,治療を行うべきである.
肝臓での IGF-I, -II の遺伝子発現調節を介して胎仔発育の制御に関
与する可能性が示唆された。
P-1-25-03 肥満を伴う排卵障害患者に対するフォーミュラ食品を
用いた減量と排卵に対する効果の検討
1
徳島大学大学院 女性医学、2 鹿児島大学医学部 産科婦人科、3 埼
玉医科大学 産婦人科、4 福井大学医学部 産科婦人科学、5 聖マリ
アンナ医科大学 産婦人科学
松崎 利也 1、苛原 稔 1、堂地 勉 2、石原 理 3、小辻 文和 4、石
塚 文平 5
【目的】肥満を伴う排卵障害患者に対し、フォーミュラ食品を用い
た減量と排卵の改善効果を評価した。
【方法】排卵障害を有する BMI 25 以上の女性 39 名(PCOS 21 名を
含む)を対象として、1日3食のうち1∼2食をマイクロダイエッ
ト(MD、1 食 240kcal)に置き換えて摂取させ、BMI 22 に達するま
での減量療法とそれに引き続く維持療法を 24 週間にわたり実施し
た。高プロラクチン血症、卵巣性無月経患者は除外した。4 週毎に身
体計測と血圧測定を行い、試験前、12 週間後、24 週間後に、内分泌
検査、血液生化学検査を行った。39 名中クロミフェン非服用例 26
名で、排卵回復例の割合を体重減少率の違いにより3群に分けて比
較した。本研究は各施設の倫理委員会の審査と承認を受け、書面に
よる患者の同意を得て行った。
【成績】39 名中 32 名(80.0%)で 5%以上の体重減少が得られた。開始
前と終了時を比較すると、体重が 84.7±14.1kg から 75.4±15.3kg
に(平均値±標準偏差、p<0.01)
、BMI が 34.2±5.2 から 30.5±5.8
(p<0.01)に、またウェスト、ヒップ、GOT、GPT、LDH、FBS、HOMA
指数、T-Cho、TG が有意に低下した。26 名中 18 名(69%)に排卵が
少なくとも1回確認され、その割合は体重減少率 5%以内の群(1/5、
20%)に比べ、5%∼10%の群(5/5、100%、p<0.01)と 10%以上の群
(12/16、75%、p<0.05)はそれぞれ有意に高率であった。
【結論】フォーミュラ食品(マイクロダイエット)を用いた減量指
導は、肥満を伴う排卵障害患者の排卵回復に有用であることが示さ
れた。
P-1-25-04 超高齢妊婦における周産期管理の問題点
1
小平記念・東京日立病院 産婦人科、2 帝京大学 医学部 産婦人
科
合阪 幸三 1、森 宏之 2
【目的】
最近わが国でも外国にて他人からの卵子提供
(egg donation,
以下 ED)により妊娠した症例が報告されている。そこで多数例につ
いてその臨床的背景を検討した。
【方法】対象は米国において ED に
より妊娠した 31 例とした。内訳は単胎 28 例、双胎 3 例で、出産時
年齢は 50.5±3.6 歳であった。これらの症例における妊娠中の合併
症、妊娠持続週数、児体重、母乳分泌状況および妊娠・分娩・産褥
期における血中各種ホルモン動態につき検討した。なお分娩方式は、
患者の希望、年齢的要因、社会的背景を考慮し、全例予定帝切とし
た。十分なインフォームドコンセントを行い、同意の得られたもの
とした。
【成績】単胎例では、妊娠高血圧(妊娠中毒症)9 例、耐糖
能異常 8 例、切迫早産 12 例がみられた。分娩時の週数は 37.1±0.3
週で、児体重は 2791.4±124.8g、分娩時出血量は 1085.7±394.0g、
新生児経過にはとくに異常は認められなかった。双胎例はいずれも
妊娠 24 週前後で軽度の切迫症状を認めたため入院とし、リトドリン
点滴による tocolysis を施行した。分娩時週数は 35.1±1.4 週、児
体重は 2341.5±251.3g であった。31 例 17 例は母乳分泌が良好で、
入院中はほぼ母乳のみで哺育可能であった。血中ホルモン値では、
妊娠 36 週時の estradiol、prolactin 値はそれぞれ、12394.2±
5003.2pg/ml、386.4±102.5ng/ml と若年者とほぼ同等であったが、
産褥 1 ヶ月後では 11.2±2.6pg/ml、24.3±12.6ng/ml と著明に低下
しており、母乳分泌量も産褥 1 ヶ月後では不良例が多くみられた。
【結論】超高齢婦人においても適切な管理を行うことにより安全な
出産が可能である。血中 estradiol および prolactin 値は妊娠中は
正常に維持されるが、産褥期は急速に低下することから、母乳分泌
の維持には困難を来す可能性がある。
P-1-25-05 多嚢胞性卵巣症候群の血中LH値の測定時期についての
検討
1
徳島大学 医学部 女性医学
水口 雅博 1、松崎 利也 1、岩佐 武 1、苛原 稔 1
【目的】本邦の多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断基準では LH 基礎分
泌値の高値が必須項目とされているため、他の特徴的所見を有して
いるにも関わらず、
LH 分泌値が正常であるために PCOS と診断されな
い症例も数多く存在する。この原因の一つに、LH 測定値の採血時期
による変動が考えられる。今回我々は、PCOS 患者における血中 LH
値およびLH/FSH比の採卵時期による変動について検討した。
【方法】
日本産科婦人科学会の基準で PCOS と診断した 32 例から非治療期に
採血を行い、合計 79 検体について検討した(各症例から各々1∼6
回)。採血時期と LH 値の関係、および同一症例内での LH 分泌値の変
動について後方視的に検討した。LH 測定には SPAC-S(第一ラジオア
イソトープ研究所)を使用し、
血中 LH 値≧7mIU/mL かつ LH/FSH 比≧1
を LH 高値とした。
【結果】血中 LH 値≧7mIU/mL は全検体(n=79)の
55.7%に認め、周期の 1∼10 日(n=42)で 42.9%、11∼20 日(n=18)で
66.7%、
21 日以上(19)で 73.7%であった。
LH/FSH 比>1 は全検体の 62%
に認め、月経周期 1∼10 日で 47.6%、11∼20 日で 66.7%、21 日以上
では 89.5%であった。複数回の採血(平均 3.4 回(2∼6 回))を行った
13 症例のうち、全ての検体が LH/FSH 比≧1 であった症例は
46.2%(6/13)にとどまった。
【結論】PCOS 症例の血中 LH 値の測定で
は、月経周期の 10 日目以内では必ずしも高値をとるとは限らないた
め、PCOS を疑う症例で LH 値が正常である場合は、周期の 11 日目以
降に再検査をする必要があると考えられた。
P-1-25-07 子宮内膜症細胞におけるアロマターゼ発現とエピジェ
ネティックス制御異常
1
鳥取大学 医学部 生体情報学、2 鳥取大学 医学部 産婦人科学
省 2、谷口 文紀 2、岩部
富夫 2、寺川
直
伊澤 正郎 1、原田
樹2
【目的】子宮内膜症組織においてはアロマターゼの高発現に伴う高
濃度エストロゲン環境が形成され, その病態への関与が示唆されて
いる。本研究では,子宮内膜症細胞のエストロゲン産生活性とアロマ
ターゼ発現を検証し、エピジェネティクス制御の観点よりその分子
基盤へアプローチを試みた。
【方法】患者の同意のもとに手術時に採
取した卵巣チョコレート嚢胞壁(n=18),子宮筋腫(n=12)より調製し
た異所性(子宮内膜症細胞)および正所性内膜間質細胞(子宮内膜
細胞)の初代培養系を用いた。エストラヂオール産生能は,無血清培
地にテストステロン添加8時間後,EIA により検討した。アロマター
ゼ転写物発現レベルと使用プロモーターは TaqMan リアルタイム
PCR,プロモーター特異 RT-PCR により検討した。子宮内膜細胞を DNA
脱メチル化処理しアロマターゼ発現への影響を検討した。
【結果】子
宮内膜症細胞は子宮内膜細胞の 500 倍以上のアロマターゼ転写物を
発現し,エストラジオール産生活性と正の相関を示した。子宮内膜症
細胞の卵胞期は黄体期よりもアロマターゼ転写物の高発現が認めら
れた。使用プロモーターは子宮内膜症細胞,子宮内膜細胞ともに
PII,I.3 およびI.6 であった。
子宮内膜症細胞の5-azadeoxycytidine
処理はアロマターゼ転写物発現を有意に増強した。この発現増強に
使用プロモーターの変動は認めなかった。
【結論】子宮内膜症細胞の
アロマターゼ転写物高発現はエストラジオール産生活性と相関し、
子宮内膜症組織の高濃度エストロゲン環境形成への関与を強く示唆
する。さらにエピジェネティックス制御異常の子宮内膜症病態形成
への関与が示唆される。
P-1-25-06 染色体異常(45,X/46,XY)を認めた性腺形成不全症の
一例
1
香川大学 医学部 内分泌代謝・血液・免疫・呼吸器内科、2 同 医
学部附属病院 病理部
藤原 真子 1、井町 仁美 1、村尾 孝児 1、村岡 都美江 1、石田 俊
彦 1、門田 球一 2、串田 吉生 2、羽場 礼次 2
【症例】25 歳、表現型女性。
【現病歴】生下時体重 3600g で、周産期
に異常は認められなかった。中学生より腋毛・恥毛の発現を認めて
いたが、初潮はなかった。25 歳、友人より原発性無月経に関して医
療機関受診を勧められ、2006 年 3 月近医産婦人科受診。エコー上、
未発達な卵巣を認めるとされたが、17-KS 15.4 mg/day、testosterone
2.39 ng/ml と上昇しており、副腎性器症候群が疑われ当院紹介受診。
精査加療目的で入院となった。
【現症】身長 149.5 cm、体重 63.6 kg、
BMI 28.5。やや多毛あり。満月様顔貌・baffalo hump・皮膚線条を
認めず。心肺異常なし。陰核の肥大(約 3 cm)・左鼡径ヘルニアを認
める。
【検査所見】CBC、生化学検査に明らかな異常なし。内分泌学
的検査では ACTH 36 pg/dl、コルチゾール 22.4μg/dl、17-OHCS 8.6
mg/day、17-KS 12.3 mg/day、少量デキサメサゾン負荷試験でコルチ
ゾール抑制あり。Free testosterone 9.8 pg/ml と上昇し estradiol
8.0 pg/ml 未満であった。腹部 CT で馬蹄腎を認め、経直腸エコー・
骨盤部 MRI で卵巣が不明瞭であった。末梢血染色体検査を行ったと
ころ、核型が 45,X と 46,XY のモザイクであった。
【経過】婦人科に
て両側性腺摘出術及び外性器形成術を施行した。病理学的には性腺
は未発達な精巣であり、腫瘍性変化は認められなかった。
【まとめ】
染色体異常(45,X/46,XY)に伴う性腺形成不全症の一例を経験した。
若干の文献的考察を交え報告する。
P-1-26-01 Dahl 食塩感受性ラットにおいて高血圧発症初期の抗ア
ルドステロン薬一過性投与は投薬中止後も臓器保護作用を発揮する
1
東京大学 腎臓・内分泌内科
河原崎 宏雄 1、安東 克之 1、松井 宏光 1、藤田 恵 1、永江 愛 1、
藤田 敏郎 1
高血圧発症初期のレニン-アンジオテンシン系(RAS)抑制薬の一過性
投与は中止後においても高血圧や腎障害の進展を抑制する。さらに、
RAS 抑制薬の臓器保護作用はその抗アルドステロン作用が重要であ
るという報告があることから、抗アルドステロン薬の幼若期一過性
投与も同様の作用を有するか否かを検討した。
【方法】
Dahl 食塩感受
性ラットに対して 6 週齢から 8%食塩食負荷を行い、4 週齢から 10 週
齢までエプレレノン(食餌中 1.25mg/kg)を投与しその後中止した
Ep 群と治療を行わなかったコントロール(C)群とで、血圧、尿蛋白、
腎組織像、心重量、心組織像を比較した。また、ヒドララジン(飲
水 0.25g/L)を Ep と同様の期間投与した Hyd 群をもうけて、高血圧
初期の一過性降圧の影響についても検討した。
【結果】食塩負荷によ
り血圧は著明に上昇した。
Ep 群では Ep 投与中は C 群と比較して軽度
の降圧を認めたが、中止後徐々に差が縮まり 16 週齢には同程度にな
った。
Hyd群ではHyd投与中はC群と比較して著明な降圧を認めたが、
中止後直ちに同じ値になった。尿蛋白は Ep 群では C 群に比べて著明
低値を示したが、Hyd 群は改善しなかった。腎組織像でみても、Ep
群はほとんど障害を認めなかったが、
C および Hyd 群では糸球体なら
びに間質障害を認めた。一方、心重量は Ep 群では C 群に比べて有意
の低値を示したが、Hyd 群では改善していなかった。組織学的検討で
も C 群では血管周囲や間質の線維化を認めたが、Ep 群ではこれらの
変化はごく軽度であり、Hyd 群は C 群と同様であった。
【結論】高血
圧発症初期の抗アルドステロン薬一過性投与は血圧への影響とは異
なるメカニズムで投薬中止後も臓器保護作用を発揮するものと考え
られた。
P -1-26-02
Mineralocorticoid receptor(MR) activation in
angiotensin II/high salt induced cardiac dysfunction and the
relationship with oxidative stress
1
東京大学腎臓内分泌内科
王 紅 1、下澤 達雄 1、松井 宏光 1、金子 知代 1、小倉 彩世子 1、
上竹 勇三郎 1、藤田 敏郎 1
Angiotensin II(AII) can cause organ damage but AII-induced
vascular damage was attenuated by adrenalectomy. Additionally,
high salt administrated salt-sensitive hypertensive rats which
have low aldosterone level developed cardiac damage. In order
to clarify the relation between aldosterone and salt status in
cardiac function and the role of oxidative stress, we examined
the effect of 1) salt excess or salt restriction; 2) eplerenone;
3) tempol in AII-loaded SD rat. The blood pressure(BP) increased
in AII + high salt(AIIH) group and eplerenone or tempol did not
decrease the BP. Although serum aldosterone was highest in AII
+ low salt group, it did not show diastolic dysfunction.
Diastolic function which was deteriorated by AIIH was attenuated
by eplerenone or tempol. Oxidative stress was higher in AIIH
group and it was decreased by low salt, eplerenone or tempol.
The expression of MR showed no difference among groups, whereas
the expression of Na+-H+ exchanger isoform 1 which is a
downstream factor of MR increased in AIIH group. Low salt,
eplerenone and tempol inhibited this upregulation. These results
suggest salt status is essential in increasing oxidative stress
which may cause MR activation to induce cardiac dysfunction. MR
antagonist and antioxidant protected cardiac function with
decreased oxidative stress, independent from BP.
P-1-26-03 インスリン抵抗性高血圧ラットにおける選択的アルド P-1-26-04 アルドステロン負荷高血圧モデルラットにおけるシロ
ステロン受容体拮抗薬の効果
スタゾールの心血管保護作用
1
1
札幌医科大学 医学部 第二内科
東京医科歯科大学大学院 分子内分泌内科学 (内分泌・代謝内科)
谷口 晋也 1、吉田 英昭 1、浦 信行 1、佐藤 健司 1、富樫 信彦 1、
前田 卓人 1、斉藤 礼衣 1、東浦 勝浩 1、宮崎 義則 1、島本 和
明1
【目的】ACE 阻害薬や ARB による RAS の抑制は、インスリン抵抗性を
改善することが数多く報告されているが、アルドステロン受容体拮
抗薬の効果についは不明である。インスリン抵抗性高血圧モデルを
用いてアルドステロンの抑制効果につき検討することを目的とし
た。
【方法】
6週令の雄性SDラットを6週間高フルクトース食で飼育。
最後の 2 週間を vehicle 投与群(control, n = 6)
、選択的アルドス
テロン受容体拮抗薬(eplerenone)を 200 mg /kg/day の経口投与を
行った群(Epl 群、n = 7)に分け、収縮期血圧(SBP)
、心拍数(PR)
を毎週測定。実験最終日には glucose clamp 法によりインスリン感
受性(GIR)を評価した。また、血清中性脂肪(TG)
、遊離脂肪酸(FFA)
を測定し、骨格筋内の酸化ストレスの指標を thiobarbituric
acid-reactive substances (TBARS)で評価した。
【成績】SBP は Epl
群で有意に低値であった(129±12 vs. 144±12 mmHg)
。GIR も Epl
群でcontrol 群に比較して改善
(12.3±3.2 vs. 8.4±1.6 mg/kg/min)
し、血清 TG(36.8±17.1 vs. 68.2±12.7 mg/dl)と FFA (175.0±28.8
vs. 276.0±25.0 mEq/L) は低下した。また、骨格筋内 TBARS は Epl
群で低下した(1.7±0.28 vs. 2.24±0.10 nmol/mg protein)
。
【結
論】
eplerenone はインスリン抵抗性高血圧において降圧のみならず、
インスリン感受性を改善し、脂質代謝も改善した。その機序に酸化
ストレスの改善が一部関与している可能性が示唆された。
櫻田 麻耶 1、吉本 貴宣 1、廣野 由紀 1、鈴木 紀子 1、中山 千里
1
、岩嶋 富美子 1、七里 眞義 1、平田 結喜緒 1
【目的】PDE3 阻害薬のシロスタゾール(CILO)は、血小板凝集阻害
薬として臨床応用されているが、培養細胞にてスーパーオキシド産
生減少と、NO 産生増加作用を示すことが知られており、血管内皮保
護作用を併せ持つことが示唆される。我々は今回、CILO のアルドス
テロン負荷高血圧モデルラットへの心血管保護作用について検討し
た。
【方法】8 週齢の片腎摘出 SD ラットに Aldo(0.75μg/h)+0.9 %
食塩水を 4 週間投与した Aldo 投与高血圧モデル(Aldo ラット)を作
成した。Aldo ラットに CILO(0.1%混餌)、抗酸化薬 Tempol(TEM:2mM
飲水)投与後の、血圧、血管の組織学的変化と遺伝子発現動態、尿
中 NOx排泄、血中 TBARS を検討した。
【結果】Aldo ラットで生じる
血圧上昇に対し、CILO 投与による有意な降圧効果は認めず、TEM 投
与で有意な降圧効果を認めた。また Aldo ラットでの左心室肥大、冠
動脈周囲繊維化は CILO、TEM 投与により共に改善した。Aldo ラット
の大動脈では pro-inflammatory gene および NADPH オキシダーゼの
mRNA 発現増加が認め、TEM、CILO 投与により共に抑制された。Aldo
ラットでは、尿中 NOx排泄の減少、および、酸化ストレスマーカー
である血中 TBARS の増加が認めたが、TEM、CILO 投与にてほぼ同程度
の改善効果を示した。【考察】CILO は酸化ストレスの阻害と NO
bioavailability の改善を介して、Aldo による血管障害・炎症を改
善する可能性が示唆された。
P-1-26-05 血管平滑筋細胞におけるミネラロコルチコイド受容体 P-1-26-06 バルサルタンとトリクロルメチアジドの併用療法のレ
(MR) 標的遺伝子の解析
ニン、アンジオテンシン、アルドステロン系及び代謝に及ぼす影響
1
1
高知大学 医学部 内分泌代謝・腎臓内科
金沢大学大学院 医学研究科 臓器機能制御学 内科
次田 誠 1、岩崎 泰正 1、西山 充 1、田口 崇文 1、谷口 義典 1、
岡崎 瑞穂 1、何 静 1、品原 正幸 1、丸山 博 1、橋本 浩三 1
【目的】近年心血管系における MR の役割が注目を集めている。今回
我々は、血管平滑筋細胞において、MR リガンドであるコルチコステ
ロンないしアルドステロンにより転写が誘導される遺伝子の網羅的
解析を行った。
【方法】ラット血管平滑筋細胞 (A10) に血管平滑筋
細胞に発現する代表的な遺伝子群 [転写因子、イオンチャネル、レ
ニン・アンジオテンシン系 (RAS) 関連、炎症関連] の転写調節領域、
または転写因子特異的エレメントを有するレポーター遺伝子を導入
した後、リガンド刺激の効果を経時的に観察した。
【結果】コルチコ
ステロン・アルドステロンは早期(<24 h)にイオンチャネル関連
(ENaC, NKCC, NHE など)遺伝子を活性化し、遅れて(<48 h)カ
ルシウム反応性転写因子遺伝子や応答遺伝子 (cFos, SRF, AP1 な
ど)、最後に(<72 h)炎症関連および RAS 系関連遺伝子(AT1, ACE,
NADPH oxidase 各コンポーネントなど)の転写を誘導した。一方検
索した遺伝子の範囲では両リガンドの効果に質的な差は認めなかっ
た。
【考察】MR リガンドはイオンチャネル関連遺伝子の転写を直接
誘導して細胞内ナトリウム・カルシウム濃度の上昇をもたらし、二
次的にカルシウム誘導性転写因子の活性化、三次的に RAA および炎
症関連遺伝子の転写を促進し、血管平滑筋細胞における炎症や収縮
性の亢進を惹起している可能性が示唆される。
米田 隆 1、武田 仁勇 1、臼倉 幹哉 1、高田 裕之 1、黒瀬 亮太
1
、山本 泰弘 1、唐島 成宙 1、朱 傲霜 1、山岸 正和 1
糖代謝を利尿薬は悪化させ、アンジアンジオテンシン2受容体拮抗
剤(ARB)は改善する。ARB と利尿薬の併用は降圧には有効であるが糖
脂質代謝、レニン、アンジオテンシン、アルドステロン系(RAAS)、
電解質、尿酸値に及ぼす影響については不明である。 バルサルタ
ン(Val)と少量利尿薬(トリクロルメチアジド(Tri))併用による治
療の降圧効果、糖代謝, 及び脂質代謝、RAAS、電解質、尿酸値に及
ぼす影響を検討する Val80mg/日を内服中の糖代謝異常
(軽度の糖尿
病、あるいは境界型)をともなった本態性高血圧患者25名(男性
11名、女性14名、平均年齢65歳、平均BMI27.1)をト
リクロルメチアジド1mg/日を追加し、追加前と3カ月後に血圧、
体重、腎機能、脂質代謝、糖代謝(空腹時血糖(FPG), 空腹時イン
スリン値(F-IRI)、HOMA-R)
,レニン活性(PRA)、血中アルドステロ
ン濃度(PAC)を測定した。Val に Tri を追加して血圧 162±10/90±
80mmHg から 134±12/8±81mmHg と低下し有効な降圧効果を示した。
PRA は 1.9±1.4 から 4.4±3.7ng/ml/hr と上昇したが、PAC は変化し
なかった。低 K 血症は認めず、尿酸値は軽度上昇したが正常範囲内
であった。FPG は変化しなかったが、F-IRI は 9.4±2.6μU/l から
8.2±2.6μU/l へ、HOMA-R は 2.8±0.9 から 2.4±0.8 と低下しイン
スリン抵抗性を改善した。脂質代謝には悪影響を及ぼさなかった。
バルサルタンとトリクロルメチアジドの併用療法はRAAS系を抑制し
糖、脂質代謝に悪影響を及ぼさない有効な降圧療法であると考えら
れた。
P-2-01-01 骨形成蛋白(BMP)により誘導される骨芽細胞分化に対
する炎症性サイトカイン TNF-αの抑制作用
1
岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科
学
大塚 文男 1、向井 知之 1、大谷 寛之 1、稲垣 兼一 1、三好 智子
1
、後藤 順子 1、鈴木 二郎 1、三村 由香里 1、小倉 俊郎 1、槇野
博史 1
関節リウマチの骨病変では、骨代謝バランスの障害により骨吸収の
亢進を生じて骨破壊へと至る。この病態には破骨細胞機能の亢進の
みならず骨芽細胞の機能低下も同時に寄与していると考えられる。
関節リウマチでは、Tumor necrosis factor (TNF)-αを初めとする
炎症性サイトカインが破骨細胞による骨吸収を活性化することは明
らかとなっているが、骨形成という観点から骨芽細胞機能に対する
病態の解析は未だ不十分である。今回我々は、BMP により誘導される
骨芽細胞分化に対する TNF-αの作用とその細胞内機序について、マ
ウス未分化間葉細胞 C2C12 を用い、TNF-αと BMP 処理下における骨
分化マーカーの発現変化・Smad/MAPK シグナルに着目して検討した。
その結果、TNF-αは BMP-2, -4, -6, -7 により誘導された Runx2
mRNA・osteocalcin mRNA レベル、ALP 活性、PTH 誘導性 cAMP 産生を
全て用量反応性に抑制した。TNF-αは MAPK 経路のうち ERK1/2,
SAPK/JNK 経路のリン酸化を促進し、BMP による Smad1/5/8 シグナル
を抑制した。これらの TNF-α作用は、SAPK/JNK 経路の特異的な阻害
により解除され、また cDNA アレイでは TNF-αによる抑制性 Smad6
mRNA レベルの増加を認めた。今回の検討から、TNF-αは SAPK/JNK
経路の活性化および Smad6 の発現を介して BMP による骨分化誘導を
抑制する可能性が示された。
P-2-01-02 神経ペプタイド PACAP/VIP family による骨芽細胞様細
胞株 MC3T3-E1 細胞の制御作用
1
千葉大学 大学院 医学研究院 細胞治療学、2 君津中央病院内分
泌代謝科
永田 あずさ 1、保坂 博章 1、田中 知明 1、野口 義彦 1、内田 大
学 2、龍野 一郎 1、齋藤 康 1
Vasoactive intestinal peptide (VIP)と相同性の高い Pituitary
Adenylate Cyclase Activating Polypeptide (PACAP)は、視床下部
から下垂体前葉細胞の cAMP 系産生亢進を指標として分離同定され
た。受容体は、PACAP 特異的な PAC1、PACAP と VIP にほぼ同親和性の
VPAC1、2 の 3 種類が存在する。近年、PACAP 陽性神経線維の骨組織
への投射が判明し、
PACAP が骨代謝に影響している可能性が示唆され
る。
【目的】骨芽細胞への分化能を有するマウス頭蓋冠由来骨芽細胞
様細胞株 MC3T3-E1 細胞を用い、PACAP の骨芽細胞への作用を検討す
る。
【方法】(1)MC3T3 細胞での PACAP/VIP 受容体の存在を RT-PCR 法
にて検討する。(2)PACAP、VIP による Adenylate Cyclase 活性化を c
AMPの集積性で検討する。(3)MC3T3 細胞における PACAP、VIP の増
殖・分化に与える影響を検討する。
【結果】(1)MC3T3 細胞にて VPAC2
受容体の発現を確認した。(2)PACAP、VIP の添加により cAMPが時
間・濃度依存性に上昇したが、PAC1 受容体の特異的アゴニストであ
る Maxadilan は cAMPを集積させなかった。(3) MC3T3 細胞の分化
早期において、PACAP、VIP により分化マーカーである ALPmRNA 発現
が濃度依存性に抑制された。
【考案】骨芽細胞には VAPC2 受容体が存
在し、PACAP はその受容体を介して cAMP系を活性化し、骨芽細胞
の早期の分化を抑制する事が示唆された。
P-2-01-03 骨芽細胞様細胞 MC3T3-E1 において高グルコースと AGE
の同時添加は相乗的に分化を抑制する
1
島根大学 医学部 内科学第一
P-2-01-04 骨芽細胞における、
FGF-2 刺激による血管内皮細胞増殖
因子遊離の亜鉛による増強効果
1
岐阜大学 医学部 薬理病態学、2 国立長寿医療センター 臨床検
査部
小川 典子 1、山口 徹 1、矢野 彰三 1、山内 美香 1、山本 昌弘 1、 野田 孝浩 1、徳田 治彦 1,2、花井 淑晃 1,2、高井 信治 1、小澤 修
1
杉本 利嗣 1
私共は既に骨芽細胞様 MC3T3-E1 細胞において、線維芽細胞増殖因
【目的】
1 型糖尿病患者において骨量減少による骨折率の増加が以前
から報告されている。その機序として、破骨細胞による骨吸収の亢 子-2 (basic fibroblast growth factor-2: FGF-2) による血管内皮
進よりも骨芽細胞による骨形成の低下がより影響していると考えら 細胞増殖因子 (vascular endothelial growth factor: VEGF) 遊離
れているが、その詳細は明らかではない。今回、MC3T3-E1 細胞を用 には、SAPK/JNK および p44/p42 mitogen-activated protein (MAP) キ
いて高グルコース及び advanced glycation end-product(AGE)の骨 ナーゼの活性化が関与することを報告している。今回私共は亜鉛が
芽細胞分化に及ぼす影響について検討した。
【方法】
MC3T3-E1 細胞を MC3T3-E1細胞におけるFGF-2によるVEGF遊離に影響を与えるか否か
22mM グルコースあるいはマンニトール単独添加下でそれぞれ 21 日 について検討した。FGF-2 による VEGF 遊離は ZnSO4 により著明に増
間培養し、von Kossa 染色、Alizarin Red 染色を行い石灰化能への 強されたが、Na2SO4 では何ら影響されなかった。ZnSO4 による増強
影響を検討した。また、osteocalcin(OC)
、AGE 受容体(RAGE)の 作用は 1-100 mM の間で用量依存的であった。ZnSO4 は FGF-2 による
mRNA発現を経時的にreal-time PCRで検討した。
次に300 μg/ml AGE2 p44/p42 MAP キナーゼのリン酸化を増強したが、SAPK/JNK には何ら
あるいは AGE3 単独添加下、及び 22mM グルコースと 300 μg/ml AGE2 影響を及ぼさなかった。FGF-2 による VEGF 遊離の ZnSO4 による増強
または AGE3 同時添加下で 21 日間培養し、同様の検討を行った。
【結 作用は、MEK1/2 の阻害剤である PD98059 により抑制された。以上の
果】グルコースあるいはマンニトール単独添加群では石灰化能に明 結果から骨芽細胞において、亜鉛は p44/p42 MAP キナーゼ活性化の
らかな変化は認められず、
OC の mRNA 発現に有意な差はみられなかっ 増強を介してFGF-2 によるVEGF 遊離を増強する作用を有することが
た。しかし、グルコース単独添加群では培養 10、20 日目の RAGE の 強く示唆された。
mRNA 発現が増加していた。AGE2 あるいは AGE3 単独添加群でもコン
トロールと比べ石灰化能に明らかな差は認められなかったが、高グ
ルコースと AGE2 の同時添加群では石灰化能と培養 14、21 日目の OC
mRNA 発現が減少していた。
【結語】骨芽細胞において、高グルコース
と AGE2 はそれぞれ単独では分化に影響を及ぼさないが、糖尿病の生
体内環境の再現である両者の同時添加では分化が抑制された。この
結果より、高グルコースと AGE2 の両者は、高グルコースによる細胞
表面の RAGE 発現の増強を介して、相乗的に骨芽細胞の分化を抑制す
る可能性が示唆された。
P-2-01-05 Smad7の骨芽細胞における骨形成抑制的役割について
P-2-01-06 破骨細胞分化におけるアンジオテンシン II の関与
1
1
神戸大学 大学院医学系研究科 内分泌代謝・神経・血液腫瘍内科、
島根大学内科学第一
梶 博史 1、飛松 崇子 1、井上 喜文 1、比佐 伊都子 1、内藤 純子
1
、杉本 利嗣 2、千原 和夫 1
BMP-2 及び TGF-βは局所投与により骨形成促進作用を有し、私共は
これまで Smad3が骨形成促進作用を有することを明らかにしてき
た。一方、Smad7は抑制性 Smad として BMP や TGF-βのシグナルを阻
害し、
BMP-2 の作用を阻害することにより未分化間葉系細胞から骨芽
細胞や軟骨細胞への分化を阻害することが報告されたが、Smad7の
骨芽細胞における役割は未だ不明な点が多く、その調節も不明であ
る。今回マウス骨芽細胞株 MC3T3-E1(MC)細胞を用いて、Smad7の骨
芽細胞における役割について検討した。
(方法)MC で Smad7の安定
過剰発現株を作製した。蛋白発現は Western,mRNA 発現は半定量的
RT-PCR,増殖は MTT 法と PCNA 発現、
石灰化は von Kossa 及び Alizarin
染色を用いて検討した。
(結果)Smad7安定過剰発現は MC の増殖を
抑制し、I 型コラーゲンの mRNA 及び蛋白発現を抑制した。また Smad
7はアルカリフォスファターゼ(生化学的活性、染色、mRNA 発現)
及び石灰化(von Kossa 及び Alizarin 染色)を抑制した。さらに PTH
は Smad7の発現を促進した。
(結論)骨芽細胞において、Smad7は増
殖、I 型コラーゲン発現、アルカリフォスファターゼ及び石灰化抑制
作用を有することが明らかとなり、PTH が Smad7発現を誘導するこ
とより Smad7がホルモンの骨代謝調節に骨形成抑制分子として関与
する可能性が示唆された。
2
2
城西国際大学 薬学部 臨床医学講座、
城西国際大学 薬学部 生
3
体分析学講座、 埼玉医科大学 内分泌糖尿病内科
中村 智香 1,2、神谷 貞浩 1、扶川 武志 1、二村 典行 2、片山 茂
裕 3、和田 誠基 1
【目的】レニン・アンジオテンシン(RA)系は昇圧とともに、様々
な組織の分化と増殖に関わる。しかし骨での発現や作用に関する知
見は少ない。そこで我々は、マウス骨髄細胞を用いて、RA 系が破骨
細胞分化に及ぼす効果を検討した。
【方法と結果】
ddy マウス骨髄細胞に M-CSF および sRANKL を添加し、
マクロファージ・破骨細胞の分化段階における AII 受容体(AT1R、
AT2R)発現を検討した。mRNA 解析では、骨髄細胞で AT1AR が高発現し
ており、マクロファージ、破骨細胞での分化過程でも高発現が維持
された。AT1BR は培養期間に伴い発現が増した。一方、AT2R 発現はわ
ずかだが、マクロファージ、破骨細胞への分化に従い著増した。
Western blot では破骨細胞への分化で AT2R 発現が著増した。個々の
細胞でも免疫染色で発現が確認された。
破骨細胞形成系において AII
受容体 agonist (ag)、antagonist (an) の効果を検討したところ、
AT1ag (L-162,313) 10-5M 添加は著明に破骨細胞形成を阻止した。ま
た AT1an (Losartan)、AT2ag (CGP42112A)、AT2an (PD123319) 添加で
は形成阻止効果は観察されなかった。破骨細胞生存に関しても AT1ag
処理はその期間を短縮させた。AT1ag 刺激によるシグナル伝達経路に
関して現在、ERK、p38MAPK、JNK に着目して検討中である。
【結論】AT1 刺激が破骨細胞形成を修飾したことから、骨組織におい
てRA系が制御機構としての役割をパラクライン機構などで営んでい
る可能性が考えられた。
P-2-02-01 経過中 FGF23 産生能を獲得したと思われる腫瘍性低リ
ン性骨軟化症(TIO)の一例
1
青森市民病院 第 1 内科、2 東京大学 医学部 腎内分泌内科、3 弘
前大学医学部内分泌代謝感染症内科
小倉 絵理子 1,3、田中 光 1、福田 祥子 1、菊地 徹 1、福本 誠二
2
、蔭山 和則 3、須田 俊宏 3、増田 光男 1
【症例】25 歳男性【現病歴】15 年前右足背部に腫瘤出現、放置する
も最近 2 年間で増大傾向。H17 年より左足首痛・踵部痛・腰痛など出
現し始め徐々に増悪。9/5 健診で ALP 高値指摘。9/26 当院整外紹介
受診。骨シンチで両側肋骨、左踵骨後方など集積亢進多発。左踵骨
MRI で骨折線疑い。腫瘍マーカー陰性。H18.3 月頃より歩行困難、精
査で s-Pi の低値指摘され当科紹介。
【現症】身長 171cm(3cm 減)
、
体重 71.6kg、全身疼痛で歩行困難。臥位時胸郭の膨隆。右足背に辺
縁整・弾性軟の腫瘤(US:20.8×9.1×26.2mm 大)
。下肢筋力低下軽
度。ECG 正常。胸部 XP 軽度胸郭変形。骨量は腰椎で 0.598 g/cm2、T
=-3.10(57%)と低下【検査所見】ALP 744 IU/l(骨型優位)
、s-Ca
9.6mg/dl、s-Pi 1.7mg/dl、I-PTH 41pg/ml(10-65)
、PTH-rp <1.1
pmol/l、1,25(OH)2VitD3 30pg/ml(20-60)
、osteocalcin9.1ng/ml
(3.1-12.7)
、NTX48.8nMBCE/mM・Cr、%TRP 83%、FGF23 100.7ng/l
(<50)
(右大腿で 210.6 と上昇)
【経過】経口リン製剤で補充開始、
s-Pi 値 2.2mg/dl と軽度上昇したが疼痛は持続。
全身 MRI で腫瘤特定
できず。FGF23 濃度上昇より右足背の腫瘍が原因と考えられ、6/5 摘
出。病理は Phosphaturic mesenchymal tumor,mixed connective
tissue variant。手術 2 日後には s-Pi2.7mg/dl、%TRP 97%と上昇、
FGF23 15.4ng/lと改善。全身疼痛は 1 ヵ月後改善。
【結語】15 年前
からの腫瘤が途中で FGF23 産生能を獲得し TIO をきたした症例を経
験した。原因腫瘍の同定には大腿静脈採血 FGF23 測定が有用であっ
た。
P-2-02-02 低リン血症性骨軟化症を来した腫瘍合併の成人2症例
1
徳島大学大学院生体情報内科学、2 徳島大学医学部人体病理学、3 東
京大学大学院医学研究科内科腎臓内分泌内科
遠藤 逸朗 1、近藤 剛史 1、重清 友理 1、木内 美瑞穂 1、粟飯原 賢
一 1、藤中 雄一 1、井上 大輔 1、工藤 英治 2、福本 誠二 3、松本
俊夫 1
近年、リン利尿に関与する FGF23 が同定され、腫瘍性骨軟化症(TIO)
の病因として注目されている。当科で、血清 FGF23 濃度測定が診断
や病態の評価に有用であった腫瘍合併低リン血症性骨軟化症2症例
を経験したので報告する。症例1は 70 歳女性。55 歳時より多発骨折
をくり返し、当科紹介。当科入院時は全身の骨痛と筋力低下のため
寝たきりであった。血清 P,TmP/GFR はそれぞれ 1.9,1.7mg/dl と低値
で、1,25D3 も 9pg/ml と低下。XP 上、脊椎の側弯と骨石灰化量の低
下あり。血清 FGF23 は 261pg/ml と上昇。MRI で左大腿骨頭内腫瘍が
認められ、生検診断は巨細胞腫。同腫瘍に FGF23 mRNA の発現が認め
られた。以上より TIO と診断し、左大腿骨頭置換術を施行したとこ
ろ、血清 P,TmP/GFR はともに正常化し、歩行が可能となった。症例 2
は 62 歳男性。54 歳時、鼻腔内の NK リンパ腫に対し化学療法と放射
線療法施行し完全寛解到達。
60 歳時より膀胱癌を 8 回経尿道的切除。
61 歳時より多発骨痛が進行し入院。血清 P 0.9mg/dl、TmP/GFR
0.6mg/dl、1,25D3 11pg/ml と低下し、XP で骨軟化症所見あり。腎尿
細管障害は明らかでなかった。血中 FGF23 は 21pg/ml と上昇なし。
MRI で肝に多発腫瘤を認め、肝不全にて入院2か月後、永眠された。
症例 1 は、血中 FGF23 濃度の測定により TIO の診断と治療が可能で、
著明な改善を得られた。症例 2 では、経過より腫瘍が産生する FGF23
以外のリン利尿物質の関与が考えられた。腫瘍合併低リン血性骨軟
化症では血中FGF23濃度の測定が診断や病態の評価に有用であるが、
FGF23 の測定系は一般化されておらず、
測定系の早期供給が望ましい
と考えられた。
P-2-02-03 FDG-PET が診断に有用であった背部皮下腫瘍による腫 P-2-02-04 Bruton 型無ガンマグロブリン血症による腸炎から、各
瘍性骨軟化症の 1 例
電解質異常・鉄欠乏性貧血を来たし、更にフェジン投与から低リン
血症を来たした 1 例
1
神戸大学大学院医学系研究科 内分泌代謝・神経・血液腫瘍内科学、 1 東京大学 医学部 腎臓・内分泌科、2NTT 東日本関東病院
2
大阪市立大学大学院医学研究科 代謝内分泌病態内科
西澤 衡 1、梶 博史 1、比佐 伊都子 1、井上 喜文 1、飛松 崇子 1、 森 典子 1、代田 翠 1、林 菜子 1、仁科 祐子 1,2、槙田 紀子 1、一
内藤 純子 1、今西 康雄 2、千原 和夫 1
色 政志 1、飯利 太朗 1、高野 幸路 1、藤田 敏郎 1
50 歳男性。平成 15 年より左足背に歩行時疼痛認め、1 年後には腰痛 32 歳男性 Bruton 型無ガンマグロブリン血症のため、1 歳頃より上
出現し自力移動困難となった。近医にて骨シンチで肋骨多発集積を 気道炎・中耳炎・下痢を繰り返していた。06 年 1 月中旬より左踵部
認め骨軟化症として活性型 Vit.D 生理量を投与されるも疼痛悪化、 の腫脹が出現し、3 月整形外科を受診。蜂窩織炎と診断され、抗生剤
精査目的で平成 17 年当科入院となった。腰背部に径 4×3cm 大の弾 投与し一時寛解するも再び増悪。更に 4 月血培で Campylobacter
性軟の皮下腫瘤を認めた。
検査成績では Ca8.8mg/dl, P1.2mg/dl, BAP fetus が検出され、抗生剤治療を行うが、SIRS の状態を繰り返して
96.9IU/l, intact PTH 98pg/ml, 1,25OH2Vit.D 9pg/ml,TmP/GFR いた。長期に及ぶ抗生剤の使用による尿細管障害や、慢性下痢のた
0.9mg/dl, intact FGF-23 220pg/ml, 25OHVit.D 21.7ng/ml、低リン め低 Mg 血症性低 Ca 血症、低 K 血症、低 P 血症を引き起こしたため、
血症性骨軟化症に合致する所見であった。骨塩定量では腰椎 T 値 9 月より K,iP,Ca,D3 製剤(αカルシドロール)内服および Mg 点滴補
69%と低下を認めた。Ga シンチでは陰性であったが、FDG-PET にて 充を行い、調整し、コントロール良好であった。 一方、10 月初め
腰背部皮下腫瘤に集積が認められた。以上の所見より腫瘍性骨軟化 より貧血が進行し、鉄欠乏性貧血の診断で 10/24 より 20 日間フェジ
症を疑い皮膚生検施行した。中胚葉系の腫瘍が疑われたため、骨軟 ンを投与。それに伴い血清 iP は 3.2mg/dl から 0.8mg/dl と低下し、
フェジン投与による尿細管で
化症の原因と考え、背部腫瘍摘出術を施行。組織は phosphaturic TmP/GFR も 2.6 から 0.9 まで低下した。
mesenchymal tumor であった。術後速やかな血清リンの上昇を認め、 の iP 再吸収障害を考え、D3 製剤を1μg より4μg まで増量し、iP
血清 FGF23 も正常化した。臨床症状も 6 週目に著明に改善し、歩行 補充を 42 mEq/日より 102mEq/日と増量したが、血清 iP、TmP/GFR は
可能となった。腫瘍の免疫組織染色では FGF-23 の産生が示された。 フェジン中止後 3 週間改善を認めなかった。またこの間尿細管障害
腫瘍性骨軟化症の部位診断は困難なことが多く、
PET の有用性につい の増悪は認められなかった。 フェジン投与によるリン再吸収障害
1α-hydroxylase 活性の抑制の
ても議論があるが、本例のように PET が治療方針決定に有用な症例 のメカニズムは未だはっきりとせず、
可能性も報告されていたが(Bone,1997)、D3 製剤増量でも改善しな
もあり、部位診断法として検討に値すると考える。
いことから別のメカニズムが関わっていることが示唆される。
P-2-02-05 サイアザイド感受性 NaCl 共輸送体(TSC)遺伝子変異
と本態性高血圧症との関連
1
日本大学 医学部 先端医学講座
分子診断学部門、2 日本大学
医学部 腎臓内分泌内科
青井 則子 1、中山 智祥 1、相馬 正義 2、小菅 琴子 2、菱木 三佳
乃 2、佐藤 直之 1、泉 洋一 2、松本 紘一 2
【目的】サイアザイド感受性 NaCl 共輸送体(TSC: SLC12A3)遺伝子
変異によって尿細管障害が生じる Gitelman 症候群は、高レニン高ア
ルドステロン血症、低カリウム血症、低マグネシウム血症、低カル
シウム尿症、代謝性アルカローシスおよび低血圧を呈する常染色体
劣性遺伝疾患である。今回我々は、この TSC 遺伝子多型が血圧調節
に関与するか関連解析によって検討した。
【方法】日本で比較的頻度
の多かった TSC 遺伝子変異(T180K、A569V、L849H)を選択し、高血
圧症患者(EH)群(315 名)と正常血圧(NT)群(305 名)において
TaqMan-PCR 法にて遺伝子型決定を行い関連解析を行った。
【結果】
EH
群では変異を持つものは計 19 名で 180K ヘテロ接合体 4 名、569V ヘ
テロ接合体 6 名、849H ヘテロ接合体 8 名で、1 名は 180K と 569V の
複合ヘテロ接合体であった。NT 群では変異を持つものは計 22 名で
180K ヘテロ接合体 9 名、569V ヘテロ接合体 5 名、849H ヘテロ接合体
7 名で、さらに 1 名 849H のホモ接合体を認めた。すべての変異で EH
群と NT 群との間において頻度分布に有意差を認めなかった。さらに
各群で TSC 遺伝子変異の有無による血圧の比較を行ったが、どちら
の群でも有意な血圧値の差は認められなかった。
【結論】Gitelman
症候群の原因である TSC 遺伝子変異は個体の血圧調節に関与しない
と考えられた。
P-2-03-01 ラットにおけるサリューシンの発現分布
P-2-02-06 糖尿病を契機に発見されたGitelman症候群の一家族例
1
東京医科歯科大学大学院 分子内分泌内科学、2 弘前大学 医学部
臨床検査医学講座
赤座 至 1、泉山 肇 1、関澤 直子 1、加藤 真子 1、神山 隆治 1、
館野 透 1、土井 賢 1、保嶋 実 2、平田 結喜緒 1
症例は 19 歳、女性。2000 年(14 歳)にはじめて低 K 血症を指摘され
たが、特に自覚症状なく放置。2005 年 11 月近医受診時、高血糖
(267mg/dl)、
HbA1c 高値(8.4%)、
を指摘され精査加療目的で当科入院。
低 K 血症(2.3mEq/l) 、低 Mg 血症(1.2mEq/l)、尿中 K 排泄亢進
(50mEq/day 以上)、尿中 Ca 排泄低下(15.4mg/day)。内分泌検査:
ACTH(11pg/dl)、F(24.0μg/dl)、レニン活性(16.7ng/ml/h)、アルド
ステロン(34.2ng/ml)。フロセミド試験(CCl:0.73→2.49ml/min,
FEMg:4.65→6.83%, FECa:0.11→0.84%)で反応(+)、サイアザイド試
験(CCl:0.73→0.66ml/min, FEMg:4.65→2.97%, FECa:0.11→0.12%)
で反応(-)。以上よりサイアザイド感受性 Na-Cl 輸送体(TSC)異常と
診断。母も外来にて低 K 血症(3.2mEq/l)を認めた。Gitelman 症候群
を疑いTSC遺伝子解析を施行。
遺伝子解析:母親はエクソン25の2846
番塩基で G から A への変異(Arg955Gln ヘテロ型)を、本症例は
Arg955Gln 変異とエクソン 22 の 2546 番塩基で T から A への変異
(Leu849His ヘテロ型)を同時に認めた。以上より家族性 Gitelman 症
候群と診断した。
【考察】本症例では、TSC の細胞内輸送に関わる細
胞内 C 末端に位置する 2 箇所に変異(Leu849His、Arg955Gln)を認め
た。Arg955Gln は PKC のリン酸化部位(SIR)での変異だが Leu849His
は、既知の輸送モチーフにおける変異ではないことから、本症例で
は TSC の細胞内輸送や細胞膜での安定発現の障害が原因となってい
る可能性が示唆される。
P-2-03-02 新規血管作動性物質サリューシンαおよびβのヒト単
球由来マクロファージ泡沫化に対する相反作用
1
東京医科歯科大学大学院 分子内分泌内科学(内分泌・代謝内科) 1 昭和大学 医学部 生化学教室、2 東京医科歯科大学 医学部 附
属病院
鈴木 紀子 1、廣野 由紀 1、櫻田 麻耶 1、中山 千里 1、岩嶋 富美 渡部 琢也 1、西尾 佳恵 1、本郷 茂樹 1、宮崎 章 1、七里 眞義 2
子 1、南 勲 1、土屋 恭一郎 1、酒井 春奈 1、館野 透 1、吉本 貴
宣 1、七里 眞義 1、平田 結喜緒 1
【目的】サリューシン(SAL) α、βは当研究室で発見・同定された 【目的】動脈硬化病変の形成には細胞内にコレステロールエステル
生理活性ペプチドで、ヒト TOR2A の選択的スプライシング産物の翻 を蓄積したマクロファージ由来泡沫細胞が重要な役割を果たす。マ
訳後にプロセシングされて 28 残基の SAL-α、20 残基の SAL-βが生 クロファージの泡沫化には細胞内コレステロールエステル化酵素で
成され(Nature Med 2003)、様々な組織に mRNA の発現が、血管、腎、 ある acyl-CoA:cholesterol acyltransferase-1 (ACAT1)が必須の役
血液などに SAL 様免疫活性(LI)が確認されている。しかし各種臓器 割をもつ。本研究はヒト単球由来マクロファージの泡沫化に対する
における SAL-LI の存在、ラットにおける mRNA の発現分布は不明で 新規血管作動性物質サリューシンαおよびβの作用を検討した。
ある。
今回、
ラット全身各組織におけるpreproSAL mRNA 発現とSAL-LI 【方法】ヒト末梢血単球を7日間培養してマクロファージに分化さ
の局在を検討した。
【方法】SD ラット各正常組織から、total RNA を せた。このとき同時にサリューシンαまたはβを添加しておき以下
抽出し、パラフィン切片を作成した。ラット preproSAL を特異的に の検討を行った。ACAT1 蛋白および mRNA 発現をウエスタンブロット
ACAT 活性をリポソーム再構成法にて
認識する TaqMan probe を用いたリアルタイム定量的 RT-PCR 系を構 およびリアルタイム RT-PCR で、
築し、各組織中 mRNA を定量した。抗ヒト SAL-β〔1-18〕IgG ポリク 測定した。分化したマクロファージにアセチル化 LDL とともに[3H]
ロナル抗体を作成し、免疫染色を行った。また、マクロファージ/単 オレイン酸を添加後更に1日間保温し、細胞内に蓄積したコレステ
球系マーカーである CD68 抗体による免疫染色も同様に行った。
【成 ロール[3H]オレイン酸の放射活性を測定した。
【結果】ACAT1 蛋白発
績】ラット preproSAL mRNA 発現は視床下部、胸腺、脾臓、胃、小腸 現はサリューシンαの濃度依存性に減少し、
サリューシンβ(0.6 nM)
など広範な組織に認められた。抗 SAL-β抗体での免疫染色では、視 で2倍に増加した。これに一致して ACAT1 mRNA および ACAT 活性も
床下部と下垂体後葉で最も強く、下垂体前葉、胃、小腸においても 変化した。アセチル化 LDL による泡沫化はサリューシンαで減少し、
陽性細胞が認められた。また、脾臓、胸腺、リンパ節ではマクロフ サリューシンβで増加した。しかしサリューシンαおよびβともス
ァージ様細胞、肝臓ではクッパー細胞で SAL-β陽性であり、CD68 も カベンジャー受容体クラス A (cholesterol influx) 活性や
陽性であった。
【結論】ラットにおいて主要臓器における発現はヒト ATP-binding cassette transporter A1 (cholesterol efflux)の蛋
とは異なり、神経ペプチドとしての機能以外にも、免疫系や、消化 白発現には影響を及ぼさなかった。
【結論】ヒト単球由来マクロファ
系で何らかの機能を担う可能性が示唆される。
ージの泡沫化および ACAT1 発現制御に対し、サリューシンαは減少
させ、-βは促進させた。同一前駆体プレプロサリューシンから生成
された2種類のサリューシンには動脈硬化に対し相反作用があるこ
とが示唆された。
P-2-03-03 ウロコルチンの血管内皮細胞における局在とその役割
の検討
1
東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科、2 東京慈恵会医
科大学 薬理学
坂本 昌也 1、大山 知弘 1、稲田 豊里 1、池田 惠一 2、東條 克能
1
、田嶼 尚子 1
【背景・目的】ウロコルチン(Ucn)はラット中脳より、コルチコト
ロピン放出因子(corticotropin-releasing hormone;CRH)関連ペプ
チドとして同定された。近年、心臓においてもその発現が認められ、
虚血/再灌流傷害を始めとして様々な病態において心保護的作用を
発揮することが報告されている。一方、Ucn は血管系においても重要
な働きを有していると考えられている。血管平滑筋においては、血
圧低下作用を有することが報告されている。しかし、内皮細胞にお
いては、その発現ならびに作用についての報告は少なく、また動脈
硬化等の細胞傷害性機転においてどのような病態生理的役割を担っ
ているかは不明である。
【方法・結果】我々は今回、ヒト大動脈血管
内皮細胞を用いて、Ucn ファミリー及び CRH 受容体のmRNA レベルで
の発現の有無を Real Time-PCR にて検討した。Ucn ファミリーは
Ucn1,2,3 の全てが発現していた。
またCRH 受容体にはCRH-R1、
CRH-R2
α、CRH-R2β、CRFH-2γの 4 つのサブタイプが存在することが知ら
れているが、今回の検討では CRH-R1、CRH-R2α、CRH-R2βの存在が
確認出来た。また内皮細胞傷害を惹起する炎症性サイトカインであ
る TNFαの刺激により、UcnmRNA の発現の上昇を認めた。現在、我々
はさらに様々な病態における CRH 受容体の動態についても検討中で
ある。
【考察】CRH 受容体は血管平滑筋のみならず、血管内皮細胞に
もその発現が認められ、その機能は動脈硬化等の細胞傷害に何らか
の関与を有している可能性があると考えられる。
P-2-03-05 心不全ラット心臓におけるウロテンシンII関連ペプチ
ド遺伝子発現の検討
1
東北大学 大学院 臨床薬学分野、2 同 21st COE CRESCENDO、3 同
医薬開発構想寄附講座、4 同 内部障害学分野、5 同 基礎検査学分
野
戸恒 和人 1,2、中山 高志 3、森 信芳 4、廣瀬 卓男 1、丸山 穣 2、
前嶋 隆弘 3、皆川 加奈 1、菊谷 昌浩 1、大久保 孝義 2,3、橋本 潤
一郎 2,3、高橋 和広 2,5、今井 潤 1,2
【目的】ウロテンシン II (UII)及び UII と似たアミノ酸配列を持つ
ウロテンシン II 関連ペプチド(URP)はともに同じ受容体 GPR14 に結
合し、強力な血管収縮作用、細胞増殖作用を示す。UII は心不全、慢
性腎不全、高血圧や糖尿病において血中濃度が上昇することが報告
されており、また、ヒトの心不全心において UII mRNA の発現が増加
することが報告されている。
UII と同じ受容体に結合する URP もまた
同様にこれらの疾患の発症・進展に関与していると考えられる。し
かしながらこれら疾患における URP の病態生理学的役割の検討は未
だ十分なされていない。今回我々は、URP 及び UII の遺伝子発現を心
不全ラットの心臓及び腎臓において検討した。
【方法】冠動脈結紮法
を用いて心不全ラットを作成し、術後 8 週目に心臓及び腎臓を摘出
し、超遠心法にて RNA を抽出した(n=4)。シャム手術群を対照とし、
URP 及び UII の mRNA 発現を RT-PCR 法により検討した。
【結果】URP
mRNA の発現の強さは腎臓>心房>心室の順であった。シャム手術群
と比較して、術後 8 週目の慢性心不全期の心室において URP mRNA の
発現は 3.1±0.7 倍に上昇していた(mean±SE、P<0.05)。心房及び
腎臓では、変化は見られなかった。UII mRNA は心不全群及びシャム
手術群の心臓では検出されなかった。
【結論】心不全ラットの心室に
おいて URP mRNA の発現は亢進する。ラットでは UII よりも URP が優
位にあり、
URP はヒトの UII と同様にラットにおいて心不全の進行に
関与している可能性が示唆された。
P-2-03-04 炎症性刺激による Urocortin 分泌について;HL-1 心筋
細胞を用いての検討。
1
東京慈恵会医科大学 医学部 薬理学講座第 1、2 東京慈恵会医科大
学 医学部 糖尿病・代謝・内分泌内科
池田 惠一 1、東條 克能 2、田嶼 尚子 2、川村 将弘 1
Urocortin (Ucn)の生体内での役割として局所における炎症との関係
が注目されている。Ucn は心筋細胞において合成・分泌されるが、最
近、血管内皮においても tumor necrosis factor (TNF)-αにより合
成・分泌が影響を受けることが報告された。以上の知見より、心血
管系の標的細胞に炎症性サイトカインが直接作用し、
Ucn 分泌が変動
することが推察される。今回、心筋細胞における炎症性刺激による
Ucn の分泌動態について、培養心筋細胞株である HL-1 心筋細胞を用
いて検討した。
【方法】6-well plate に HL-1 心筋細胞を 6.0×105
cells/well の密度で播種した後、48 時間後に無血清培地に交換して
TNF-α (10ng/ml)および lipopolysaccaride (LPS, 1ng/ml)を添加
し、培養上清中の Ucn 濃度を RIA にて測定した。
【結果】HL-1 心筋細
胞では、定常状態で Ucn、Ucn II、およびその受容体である
corticotropin-releasing horomone (CRH) 2 型受容体の mRNA 発現を
認めた。また、LPS 添加 3 時間後に HL-1 心筋細胞からの Ucn 分泌は
有意に増加したが、TNF-αについては、増加傾向を認めるものの、
有意差はなかった。
【結論】HL-1 心筋細胞においては、血管内皮細胞
と同様、LPS 等の炎症性刺激により Ucn 分泌が刺激され、CRH 2 型受
容体を介して、炎症性サイトカインと相互作用を有している可能性
が示唆され、さらなる検討が必要と思われる。
P-2-03-06 心筋における副腎皮質ホルモン受容体の役割
1
東京大学 医科学研究所 先端医療研究センター 免疫病態分野、
同 附属病院 アレルギー免疫科、3 慶応義塾大学 医学部 再生
医学教室
吉川 賢忠 1,2、徳留 さとり 3、清水 宣明 1、佐野 元昭 3、福田 恵
一 3、森本 幾夫 1,2、田中 廣壽 1,2
2
【背景・目的】近年、心臓大血管に与えるミネラルコルチコイド(MC)
の病因的意義が注目され、エプレレノンなどの MC 受容体(MR)拮抗薬
の心不全などにおける有用性が報告されているが、その機序は不明
な点が多い。ここで、グルココルチコイド(GC)と MC は、ともに各々
の受容体である GR、MR を活性化可能で、GR、MR とも鋳型 DNA 上の同
一配列に結合しうる。心筋は GR、MR の共発現組織であり GC 不活化
酵素も発現していないため、かかるリガンド(GC/MC)-受容体(GR/MR)
間の redundancy が存在し、各受容体特異的標的遺伝子の同定は困難
であった。そこで、GR 超選択的合成 GC アゴニスト コルチバゾール
(CVZ)を利用し、心筋における GR、MR 各々の標的遺伝子を明らか
にし、それらのリガンドである副腎皮質ホルモンの病因的意義を解
明することを目的とした。
【方法・結果】リガンドとして CVZ、コル
チコステロン(B)
、アルドステロン(ALD)を用い、ラット GR、MR
の核移行・転写活性誘導能を解析した。CVZ は GR 選択的に、B と ALD
は両受容体とも活性化した。新生仔ラット心筋初代培養細胞を各リ
ガンド 100 nM で 3 時間処理後、全 RNA を抽出して DNA マイクロアレ
イ解析に付した。B、ALD によって発現が増加した遺伝子(コントロ
ールに比較し 2 倍以上)のうち、各々、69、51%が CVZ によっても誘
導された。B、ALD によって発現が抑制された遺伝子(同 50%以下)
のうち、各々、34、19%が CVZ によっても抑制された。
【結論・考案】
ラット心筋細胞において、GR、MR の標的遺伝子に redundancy が存在
した。現在、心筋における GR、MR 特異的標的遺伝子の同定とその制
御機構の解明をすすめている。
P-2-03-07 血小板におけるバゾプレシン反応性関連分子の網羅的 P-2-04-01 Norepinephrine(NE)は内皮細胞において NO 活性・細
解析
胞増殖・VEGF 発現を刺激する
1
弘前大学 医学部医学科 臨床検査医学、2 大崎市立病院、3 大崎市 1 筑波大学 大学院 検査医学
病院事業管理部、4 弘前大学 医学部医学科 第三内科
庄司 優 1、太田 耕造 2、木村 時久 3、須田 俊宏 4、保嶋 実 1
竹越 一博 1、磯部 和正 1、川上 康 1
バソプレシン(AVP)に対する血小板反応性の個体差に関わる分子
基盤を明らかにするため以下の検討を行った。健常成人 22 名を対象
とし、血小板凝集計を用いて陽性凝集惹起物質 ADP にも AVP にも正
常反応を示した者を反応群とし、陽性凝集惹起物質には正常反応を
示し AVP には低反応を示した者を低反応群とした。性年令の一致し
た反応例と低反応例のペアーを抽出し、約 100 mL の採血を行った。
RNA を抽出し、Amino Allyl MessageAmp TM aRNA kit を用いてアミ
ノアリルラベル aRNA を調整し、Hitachi Ace-Gene 上でハイブリダイ
ゼーションさせ遺伝子発現の差を検出した。反応群と低反応群との
間で 2 倍以上あるいは 1/2 以下のシグナル比の認められた遺伝子を
選択した。
その結果、
反応例では、
sodium channel voltage-gated type
XI, alpha mannose-P-dolichol utilization defect 1、eukaryotic
translation termination factor 1、cysteine and glycine-rich
protein 2 等の遺伝子発現が増強していた。低反応例では、component
of oligomeric golgi complex 6、Hermansky-Pudlak syndrome 3、
FERM domain containing 1、adenosine monophosphate deaminase 2
(isoform L)、nudix-type motif 1 等の遺伝子発現が増強していた。
さらに、質量分析を行い、反応例では、protease serine 4 isoform
B、keratin 1b、trypsin ファミリーが、低反応例では、TPMsk1、TPM3
protein、YWHAZ protein 等の増加を認めた。以上の結果から、AVP
に対する血小板反応性の異なる対象間では遺伝子発現プロファイリ
ングに明らかな差異が存在するものと考えられた。(研究協力者:工
藤良子、KN Hasan、杉本一博、蔦谷昭司)
P-2-04-02 テトラヒドロビオプテリンは動脈硬化を抑制する
1
獨協医科大学 内分泌代謝内科
服部 良之 1、鈴木 國弘 1、笠井 貴久男 1
【目的】テトラヒドロビオプテリン(BH4)は一酸化窒素合成酵素
(NOS)の cofactor であるが、実際 NOS の活性に必須であり、その不
足は血管内皮(e)NOS ではuncoupling によりeNOS をしてNO よりむし
ろsuperoxideを産生することにより血管内皮機能障害を惹起するこ
とが知られている。これまでに、BH4 が種々の動物モデルで血管内皮
機能障害や血管の酸化ストレスを軽減させることが報告されている
が、動脈硬化に対して、はたして有効であるかは明らかになってい
ない。そこで、私どもは動脈硬化モデルマウスであるアポ E ノック
アウト(KO)マウスを用いて、BH4 の効果を検討した。
【方法】5週齢
の雄性アポ E KO マウスに western diet (0.15% cholesterol)を与え、
BH4 は飲水中に 10mg/kg/day となるよう与えた。2ヶ月間飼育し、大
動脈リングを用いて血管内皮機能を評価し、また動脈硬化を大動脈
内腔表面の脂肪染色面積および大動脈洞組織切片の脂肪染色面積を
測定し評価した。
【成績】2ケ月後のアセチルコリンによる血管弛緩
反応は BH4 投与群で有意に改善しており、また、superoxide 産生も
BH4 投与群で有意に低下していた。
大動脈洞内腔表面の脂肪染色面積
(41.2±1.4% vs. 52.3± 2.6%(control))および大動脈洞組織切片の
脂肪染色面積(-25%)も BH4 投与群で有意に小さかった。また、大動
脈の NADPH oxidase や LOX-1、MCP-1 といった炎症因子の mRNA 発現
も BH4 投与群で明らかに抑制されていた。
【結論】BH4 投与は血管内
皮機能を改善し、抗炎症、抗酸化作用により動脈硬化の進展を抑制
すると考えられる。
【目的】Norepinephrine(NE)は主要な血管収縮因子としてよく知
られている。一方、最近の報告では、血管収縮因子としての作用に
加えて、血管内皮細胞において様々な役割が示唆されている。これ
らに NO 放出調節や細胞分増殖作用が含まれる。血管内皮細胞におい
て、Small GTP-binding protein(Rho)とその下流のエフェクター
である Rho kinase(ROCK)は、eNOS 産生をネガティブに調節してい
ると報告されている。しかしながら、この系が NE による NO 放出に
関与しているかどうかは不明である。最近我々は、ヒト褐色細胞腫
組織で VEGF-mRNA と同タンパクの発現が増加していることを示した
(Takekoshi K et al, Life Sciences 2004; 74:863-871)。今回、
内皮細胞のアドレナリン受容体の病態生理的意義を検討した。
【対
象と方法】1)Human umbilical vein cell(HUVEC)を定法で培養し
用いた。2)RhoA の活性は pull-down assay 3)eNOS(Ser-1177)
、
MAPKs(ERK、JNK、p38 )のリン酸化は Western blot。4)細胞増殖
は 5-bromodexyuridine(BrdU)の細胞取り込みおよび細胞数。
5)VEGF-mRNA は Real time PCR 法。
【結果】NE により 1)RhoA 活性
は用量依存性に抑制が見られ、propranolol(β-レセプター阻害薬)
および H89 (PKA 阻害剤)で抑制が解除されたが、doxazosin (α
1-レセプター阻害薬)
は抑制に影響しなかった。
2)
用量依存性に eNOS
活性上昇が見られた。3)ERK の活性化が見られ、doxazosin で抑制
された。他方、JNK と p38 は増加しなかった。4)細胞増殖が見ら
れ doxazosin と PD98059(ERK 阻害薬)でその効果は抑制された。5)
VEGF-mRNA が増加し、propranolol と H89 で抑制された。
【結論】内
皮細胞のアドレナリン受容体は褐色細胞腫を初めとする様々な病態
に関与することが示唆された。
P-2-04-03 肝臓におけるチアゾリジン誘導体の HDL 受容体発現調
節について
1
香川大学 医学部 内分泌代謝、血液、免疫、呼吸器内科
井町 仁美 1、村尾 孝児 1、藤原 真子 1、村岡 都美江 1、北中 則
子 1、石田 俊彦 1
【はじめに】High density lipoprotein(HDL)は、生体において末梢
組織に蓄積した余剰のコレステロールを引き抜き肝臓に受け渡すコ
レステロール逆転送系を介して、抗動脈硬化作用を示している。我々
はヒトHDL受容体、
scavenger receptor class B type 1 (SR-B1/CLA-1)
を同定し、HDL の作用を仲介することを示してきた。最近の報告によ
れば、肝臓に発現する HDL 受容体の発現量とコレステロール逆転送
系は強い正の相関を示すことが示されている。今回我々は肝臓にお
ける核内転写因子 peroxisome proliferator-activated receptors
(PPAR-γ)、及びその ligand であるチアゾリジン誘導体(TZDs)の、
HDL 受容体発現に及ぼす影響について検討した。
【方法・結果】肝臓
由来細胞株、HepG2 に SR-BI/CLA-1、PPAR-γ1・γ2、RXR の発現を確
認した。
TZDs は HepG2 における SR-BI/CLA-1 蛋白及び mRNA の発現を
増加させた。Double labeled HDL による selective cholesterol
uptake assay では、TZDs は HepG2 におけるコレステロール取り込み
を刺激していた。また SR-BI/CLA-1 knock down 細胞においては、そ
の作用が消失していた。次に SR-BI/CLA-1 の転写調節に関して検討
した。TZDs は用量依存性に SR-BI/CLA-1 の転写活性を亢進させた。
さらに TZDs の核内受容体である PPAR-γ1・γ2 の発現ベクターを遺
伝子導入すると SR-BI/CLA-1 の転写活性を上昇し、その作用は転写
因子 RXR を co-transfection することにより増強された。さらに
CLA-1 promoter の deletion mutant の検討より、PPAR-response
element を同定し、TZDs の作用機序を明らかにした。
【まとめ】TZDs
及び PPAR-γは肝臓において HDL 受容体の発現を介して、
抗動脈硬化
作用を発揮することが考えられた。
P-2-04-04 Angiotensin II による P13-K/Akt/ FoxO1 を介した HDL
受容体の発現調節について
1
香川大学 医学部 内分泌代謝、血液、免疫、呼吸器内科、2 国立
病院機構高松東病院
井町 仁美 1、村尾 孝児 1、吉田 和矢 2、藤原 真子 1、石田 俊彦
1
【目的】 HDL は、ヒト HDL 受容体(SR-BI/CLA-1)を介して抗動脈硬化
作用を示すが、その一つとして SR-BI/CLA-1 を介した endotherial
nitric oxide synthase 活性化が知られている。またレニンーアンギ
オテンシン系(RAS)が NO 産生調節に影響していることも報告されて
いるが、RAS と SR-BI/CLA-1 の関係は分かっていない。今回我々は、
angiotensin II(Ang II)が血管内皮細胞における SR-BI/CLA-1 の発
現に及ぼす影響について検討したので報告する。
【方法】ヒト血管平
滑筋細胞株、HUVEC より RNA・蛋白質を抽出し、SR-BI/CLA-1 等の発
現について northern blot 法・western blot 法にて検討した。様々
なキナーゼの阻害剤、活性型・不活型の Akt 遺伝子導入、FoxO1 遺伝
子導入を用いて、SR-B1/CLA-1 promoter(-1200 から-7)の転写活性を
検討した。SR-BI/CLA-1 promoter の FoxO1 response sequence の
mutation を作成し、転写活性を検討した。AT1 receptor blocker
として olmesartan を使用した。
【結果】Ang II は SR-BI/CLA-1 の発
現を蛋白・mRNA・転写レベルで抑制した。 Ang II による SR-BI/CLA-1
発現抑制効果は PI3-K の阻害剤により失われた。Ang II 濃度依存的
に PI3-K 下流にある Akt 及び FoxO1 を活性化した。活性型 Akt 遺伝
子導入により SR-BI/CLA-1 遺伝子発現は抑制され、不活型 Akt によ
り SR-BI/CLA-1 発現抑制効果は阻害された。FoxO1-response
sequence の mutation により、FoxO1 が SR-BI/CLA-1 転写活性に与え
る影響が認められなくなった。Olmesartan は Ang II による
SR-BI/CLA-1 発現抑制効果を阻害した。
【まとめ】Angiotensin II は
HUVECs における HDL 受容体 SR-BI/CLA-1 の発現を抑制し,その機序
として P13-K/Akt/ FoxO1 の経路が考えられた。
P-2-04-06 活性化ビタミン D の抗動脈硬化作用に関する臨床的検
討
1
徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 生体情報内科
学
粟飯原 賢一 1、池田 康将 1、八木 秀介 1、住友 由佳 1、岩瀬 俊
1
、近藤 剛史 1、重清 友理 1、木内 美瑞穂 1、遠藤 逸朗 1、藤中
雄一 1、赤池 雅史 1、松本 俊夫 1
【目的】これまでの研究から活性型ビタミン D である 1α,25(OH)2D3
は種々の細胞の増殖や分化,アポトーシスなど,Ca,骨代謝以外にも
非常に多彩な生理機能を発揮することが明らかとなってきた。しか
しながら血管系での生理作用は十分な検討がなされておらず未だ明
らかでない。そこで本研究では 1α,25(OH)2D3 と臨床的動脈硬化症と
の相関について検討した。
【方法】徳島大学病院およびその関連施設
を受診した成人男女 602 名(男性 326 名、女性 276 名、平均 67.1±
11.1 歳)を研究対象とした。病歴聴取、受診時の収縮期・拡張期血
圧、脈圧および血液生化学的心血管リスク因子の測定評価を行なっ
た。さらに動脈硬化症の surrogate marker として収縮期血圧および
脈圧、超音波検査にて計測した最大頸動脈プラーク厚、
ankle-brachial index(左右少なくとも1肢が 0.9 未満を末梢動脈
閉塞性疾患)の測定を行い、血清 1α,25(OH)2D3 濃度との相関を多変
量解析にて検討した。
【結果】1α,25(OH)2D3 は収縮期血圧および最大
頸動脈プラーク厚とは有意な相関を示さなかったが、他の心血管リ
スク因子と独立して脈圧および末梢動脈閉塞性疾患の罹患といずれ
も有意な負の相関を示した(脈圧:係数-0.057, 95%CI -0.021∼
-0.092, p<0.005, 末梢動脈閉塞性疾患:オッズ比 0.982, 95%CI
0.964∼0.999, p<0.05)。
【結論】血中活性化ビタミン D 濃度は、脈
圧および末梢動脈閉塞性疾患発症と有意な負の相関を示し、高齢者
における動脈硬化抑制因子としての作用をもつことが示唆された。
P-2-04-05 2 型糖尿病患者における血中 RBP4 は動脈硬化性疾患で
上昇する
1
自治医科大学附属大宮医療センター 総合医学第一、2 小鹿野中央
病院
湯澤 美保 1、佐々木 正美 2、齊藤 智之 1、生駒 亜希 1、斎藤 孝
子 1、為本 浩至 1、豊島 秀男 1、川上 正舒 1、石川 三衛 1
【目的】近年血中 Retinol binding protein4(RBP4)は肥満やインス
リン抵抗性の原因となることが報告されている.今回我々は,糖尿病
患者の血中 RBP4 と動脈硬化性疾患の関連性について検討した.
【方法】対象は 1 型糖尿病 57 人(男性 20,女性 37 人),2 型糖尿病 76
人 ( 男 性 35, 女 性 41 人 ) で あ る .ELISA 法 で 血 中
RBP4,Adiponectin(Adp)を測定した.また BMI や HOMA-R との関係,脳
血管障害(CVD),虚血性心疾患(IHD)の有無で比較検討した.血清クレ
アチニン 2.0mg/dl 以上,透析患者は除外した.
【結果】対象患者の平均年齢は 1 型 47±18 歳,2 型 61±12 歳,BMI は
20.8±3.4,24.9±4.2 であった(p<0.01).RBP4 は 1 型 96.8±57.7,2
型 89.7±40.2μg/ml(p=0.4),Adp は 1 型 12.2±6.0,2 型 7.8±6.5μ
g/ml であった(p<0.01).Adp は BMI との間に負の相関を認めた(1 型
p<0.01,r=−0.38,2 型 p<0.05,r=−0.26).また 2 型糖尿病(イン
スリン非使用者70人)では,AdpとHOMA-Rの間に負の相関を認めた(p
<0.05,r=−0.28).しかし,RBP4 は BMI,HOMA-R との間に相関を認め
なかった.2 型糖尿病患者のうち IHD 8 人,CVD 9 人, IHD かつ CVD 4
人,に心血管イベントの既往を認めた.血中 RBP4 は,IHD(+)103.1±
39.1, (−)87.2±40.2(p=0.21), CVD(+)111.6±37.5, (−)85.2
±39.5(p=0.03), IHD and/or CVD(+)107.8±40.2, (−)82.8±38.3
μg/ml(p=0.01)であった.Adp は,IHD(+)7.3±5.5, (−)7.9±
6.7(p=0.77), CVD(+)6.3±2.5,(−)8.1±7.1(p=0.12), IHD
and/or CVD(+)6.8±4.5,(−)8.2±7.2μg/ml であった(p=0.31).
【結語】
2 型糖尿病患者において,血中 RBP4 は心血管イベントの既往
がある患者で有意に上昇しており,動脈硬化性疾患との関連が示唆
された.
P-2-05-01 アクチン結合蛋白STARS はSRF 転写共役因子MRTF-A の
核内移行を促し、ANP 遺伝子発現を亢進させる。
1
京都大学 大学院医学研究科 内分泌代謝内科、2 テキサス大学サ
ウスウエスタン医学研究所分子生物学
桑原 宏一郎 1、オルソン エリック 2、中尾 一和 1
P-2-05-02 転写因子のコアクチベータTAZを介したANPおよびBNP
の発現制御機構の解析
1
京都大学 大学院医学研究科 内分泌代謝内科、2 テキサス大学サ
ウスウエスタンメディカルセンター
村上 政男 1,2、中川 修 2、中尾 一和 1、オルソン エリック 2
われわれは以前、筋組織特異的に発現するアクチン結合蛋白 STARS
がSRF の転写共役因子であるMRTF-A の核内移行を促進させSRF 依存
性の転写活性を亢進させることを、非筋肉細胞を用いて報告した。
しかし STARS の心臓における病態生理学的意義についてはいまだ不
明である。マウス心不全あるいは心肥大モデルにおいて STARS の遺
伝子発現を検討したところ、正常マウスに比べこれら病的心におい
て有意に STARS 遺伝子発現は亢進しており、またヒト不全心におい
ても発現が亢進していることを見出した。培養非筋肉、心筋細胞両
者において STARS の過剰発現は MRTF-A の核内移行を促進し、CArG
依存性に ANP の転写活性を亢進させた。アデノウイルスを用いて心
筋細胞に STARS を過剰発現させると ANP の遺伝子発現の亢進が認め
られ、さらに STARS を心筋細胞特異的に発現させたトランスジェニ
ックマウスでも明らかな心肥大がないにもかかわらず ANP の発現が
亢進していた。以上の結果よりアクチン結合蛋白 STARS は心臓の病
的状態において発現が亢進し、転写共役因子 MRTF-A の核内移行促進
を介して ANP 遺伝子発現亢進に関与している可能性が示唆された。
転写因子はコアクチベータやコリプレッサーなどのコファクター
により、その活性が制御されている。ANP や BNP の発現は、Tbx5 や
GATA4 をはじめとする種々の心臓特異的転写因子により制御されて
いることがわかっているが、Tbx5 や GATA4 の活性を制御するコファ
クターについてはほとんどわかっていないのが現状である。本研究
では転写因子のコアクチベータ TAZ(transcriptional co-activator
with PDZ-binding motif)が Tbx5 と GATA ファミリータンパク質の
制御因子として機能することを報告する。
TAZ はTbx5 およびGATA4/6
の活性を増強することにより、
ANP と BNP のプロモーターを強く活性
化した。転写活性化の分子メカニズムについて詳細な解析を行った
ところ、TAZ はヒストンをアセチル化する活性(HAT 活性)を持たな
いが、
HAT 活性を有する p300 や PCAF と相互作用することにより強く
転写を活性化していることがわかった。また、TAZ は DNA に結合する
活性を持たないが、GATA4 との相互作用を介して BNP promoter 上に
リクルートされることが ChIP assay により明らかになった。
さらに、
我々は Notch シグナルの下流に存在する HES および HRT ファミリー
蛋白質が GATA4 および GATA6 の活性を抑制すること、この抑制はコ
ファクターである TAZ を介して起こっていることを明らかにした。
HESおよびHRTファミリー蛋白質はTAZの他の標的転写因子として知
られている Tbx5 や Runx2 の活性をも抑制することから、TAZ のイン
ヒビターとして機能している可能性が示唆された。以上のことから、
ANPおよびBNPの発現制御にはTAZが非常に重要な役割を果たしてい
ることがわかった。
P-2-05-03 ANP・BNP 遺伝子発現調節因子 NRSF の機能阻害による心
筋症モデルマウスにおける心室頻拍・突然死発症へのT型カルシウ
ムチャネルの関与
1
京都大学大学院医学研究科 内分泌代謝内科、2 京都大学大学院医
学研究科 EBM 共同研究センター
木下 秀之 1、桑原 宏一郎 1、原田 昌樹 1、村上 政男 1、中川 靖
章 1、中西 道郎 1、保野 慎治 1、宇佐美 覚 1、藤原 正隆 1、上嶋
健治 2、中尾 一和 1
【背景】 ANP, BNP 等の心筋胎児型遺伝子の発現抑制因子 NRSF
(neuron restrictive silencer factor) は、T型 Ca チャネル(TCC)
α1 サブユニットをコードする遺伝子(CACNA1H)の発現も抑制的に調
節する。NRSF の優性抑制変異体を心筋特異的に過剰発現させた遺伝
子改変マウス(dnNRSFTg)は、ANP・BNP に加え TCC も発現亢進し、進
行性の心機能低下と心室頻拍による突然死を発症する。今回我々は
TCC の心室性不整脈・突然死への関与を検討した。
【方法】 8週齢の雄性 dnNRSFTg に、T型・L型 Ca チャネル拮抗
薬(CCB)である Efonidipine(1 mg / day P.O. Tg+Efo.群)
、L型
CCB である Nitrendipine(0.5 mg / day P.O. Tg+Nit.群)を投与
し、生存率・心機能・不整脈を評価した。
【結果】 dnNRSFTg の心室では野生型に比べ、ANP, BNP, CACNA1H
の mRNA 発現亢進を認めた。体重・血圧・心機能は薬剤投与にて変化
を認めなかった。Tg 群では心電図モニターにて心室性不整脈が頻発
し、電気生理学的検査にて高率に心室頻拍が誘発された。Tg+Efo.
群のみにて上記改善と、生存率の改善を認めた。野生型に比べ Tg 群
では、単離心筋の活動電位での静止膜電位の上昇と、心拍変動解析
による心臓自律神経活動の検討での LF・HF 成分の低下を認めたが、
Tg+Efo.群のみにて改善を認めた。
【考察】 TCC 拮抗薬により、心筋症モデルマウスの心室性不整脈・
突然死の抑制を認め、機序として心筋細胞活動電位に対する直接的
な作用と、自律神経活動の改善を介した間接的な作用の2つが考え
られた。
P-2-05-04 新規透析導入患者の BNP 値の経時的変化と予後との関
連
1
みさと健和病院 内科、2 天理よろづ相談所病院 内分泌内科
中村 博志 1、石川 晋介 1、宮崎 康 1、田中 正巳 2、松山 公彦 1
【目的】当院における新規透析導入患者の BNP 値の経時的変化と予
後との関連を明らかにする。
【方法】過去 4 年の間に当院で透析導入
し 6 ヶ月以上経過を観察し得た 156 名(男性 99 名、女性 57 名、平
均年齢 66.4±7.8 歳)を対象とした。対象患者の BNP 値を経時的に
観察するとともに導入時、6 ヶ月、12 ヶ月、24 ヶ月の時点で BNP 値
により患者を A 群(BNP200pg/ml 未満)から E 群(800pg/ml 以上)
までの 5 群に分類した。それぞれの群での死亡率、緊急入院を要し
た率を解析した。
【成績】導入時の BNP 値と死亡率、緊急入院率との
間に相関をみとめなかった。一方、6 ヶ月、12 ヶ月、24 ヶ月では A
群、B 群では C、D、E 群に比較して有意に予後が良好であった。hANP
値でも同様の結果であった。導入時の BNP 値は糖尿病性腎症の患者
で高い傾向であったが、6 ヶ月以降ではこの傾向はみとめなかった。
また、導入時よりも 6 ヶ月の時点で BNP 値が上昇している患者の予
後は不良であった。
【結論】透析導入後 6 ヶ月の BNP 値は有用な予後
規定因子であると考えられた。
P-2-05-05 副腎腫瘍におけるAdrenomedullin2/intermedin発現の
検討
1
東北大学大学院 医学系研究科 腎・高血圧・内分泌学分野、2 東
北大学大学院 医学系研究科 臨床薬学分野、3 東北大学医学部 保
健学科 病理検査学分野、4 東北大学大学院 医学系研究科 病理診
断学分野、5 東北大学医学部 保健学科 分析検査技術学分野
森本 玲 1、佐藤 文俊 1、村上 治 1、戸恒 和人 2、鈴木 貴 3、笹
野 公伸 4、伊藤 貞嘉 1、高橋 和広 5
【緒言】Adrenomedullin2/intermedin (AM2/IMD) は、CGRP ファミリ
ーに属し血管拡張・Na 利尿作用を有する新規ペプチドホルモンであ
る。我々は既に AM2/IMD のヒト脳・心・腎臓における発現を報告し
た。今回、副腎腫瘍における AM2/IMD の発現を検討した。
【方法】抗
体は AM217-47 をウサギに免疫して作製。RIA では AM、CGRP、その他の
ペプチドと有意の交差反応を認めなかった。東北大学医学部倫理委
員会承認のもと、手術時に得られた副腎腫瘍組織を用いた。RIA・免
疫組織化学法により AM2/IMD の発現を検討した。
【結果】
RIA により、
副腎腫瘍組織から 0.397-0.786 pmol/g の免疫活性 AM2/IMD が検出さ
れ、アルドステロン産生腺腫が最も高濃度であった。副腎腫瘍と正
常付随副腎の組織抽出物を逆相 HPLC にて分析した結果、少なくとも
3 ピークを認め、主ピークは合成 AM2/IMD の流出部位に一致した。免
疫染色により、非機能性腺腫・コルチゾル産生腺腫・アルドステロ
ン産生腺腫・副腎皮質癌・褐色細胞腫の各腫瘍細胞に免疫活性
AM2/IMD の局在を認めた。
皮質腺腫に付随する正常副腎髄質は陽性に
染色されたが、皮質は殆ど染色されなかった。
【考察】AM2/IMD の発
現を副腎腫瘍・正常付随副腎に認め、その局在から、ホルモン分泌
調節や腫瘍の病態における関与が示唆された。
P-2-05-06 内因性カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の臓
器保護作用ーコンカナバリン A 誘導肝炎モデルにおける検討ー
1
信州大学大学院 医学研究科 臓器発生制御医学講座
神吉 昭子 1、桜井 敬之 1、飯沼 伸佳 1、市川 優佳 1、河手 久香
1
、新藤 隆行 1
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は、カルシトニン遺伝
子の alternative splicing によって作られるペプチドであるが、そ
の構造からアドレノメデュリン (AM)のファミリーペプチドと考え
られており、AM 同様、強力な血管拡張作用の他、多彩な生理活性が
注目されている。一方、肝臓においても CGRP の発現が認められるが、
その病態生理学的意義は不明である。 我々は、CGRP の病態生理学
的意義を解明するため、
カルシトニンーCGRP 遺伝子配列のうち、
CGRP
に特異的なエクソン5を欠損させることで、CGRP 単独ノックアウト
マウス(CGRP-/-)を樹立した。CGRP-/-及び野生型マウスに対して、
コンカナバリン A(ConA)静注による肝傷害モデルを作成し、
両者の反
応性について検討を行った。24 時間後、肝炎急性期の組織傷害、炎
症細胞浸潤、血清トランスアミナーゼ上昇は、CGRP-/-において有意
に亢進しており、組織アポトーシスの亢進が認められた。肝臓組織
における各種サイトカイン発現を検討したところ、CGRP-/-では、炎
症初期に IL-6 の産生が抑制されているのに対し、
24 時間後では逆に
産生が亢進していた。次に、肝細胞を初代培養し、IFN-γ添加によ
りアポトーシスを誘導した。48 時間後の生存細胞は、CGRP-/-で減少
し、培養上清中の LDH 放出量は上昇していた。一方、CGRP を外因性
投与することにより、肝細胞、内皮細胞のアポトーシスは共に抑制
された。 以上の結果から、内因性の CGRP が、抗アポトーシス作用
や、炎症性サイトカインの制御により、臓器保護作用を発揮してい
ることが示唆された。
P-2-05-07 ラットにおける新規内因性ジギタリス様物質の分泌組 P-2-06-01 メタボリックシンドロームラットにおける AT1 受容体
織の検討
拮抗薬の腎保護作用に関する検討
1
1
関西医科大学 臨床検査医学
東京女子医科大学 第二内科、2 国立病院機構京都医療センター
吉賀 正亨 1、小宮山 豊 1、四方 伸明 1、桝田 緑 1、正木 浩哉 1、
高橋伯夫 伯夫 1
【目的】内因性ジギタリス様物質(EDLF)は Na ポンプ抑制活性を示
すことで,水,食塩代謝を介して高血圧の発症に関与すると考えら
れている.近年,EDLF の中で marinobufagenin(MBG)を代表とする
bufadienolide がより強く水,
食塩代謝に関わっていると報告されて
いる.また我々は MBG 関連物質の marinobufotoxin(MT)が副腎皮質
由来細胞株である Y-1 細胞上清に存在することを報告している.し
かし,
bufadienolide の分泌組織や作用組織については十分解明され
ていない.そこで MT と高い交差性を示す抗 MBG モノクロール抗体を
用いた MBG 様免疫活性物質(MBGi)測定の ELISA 系を用い組織分布
を検討し,新知見を得たので報告する.
【方法】組織は EDLF の分泌組
織と考えられている副腎,視床下部,下垂体,EDLF の作用組織と考
えられている腎臓,その他の組織として心臓,肝臓を用いた.10 週
齢の Wistar rat の各種臓器を採取し,ELISA を用いて組織上清中の
MBGi を測定した.さらに主要な分泌組織と考えられ副腎をホルマリ
ン固定し,その後熱処理したものを試料に用い免疫染色を施行した.
【結果】肝臓(15.3±6.2 pg/g)
,心臓(7.3±2.7 pg/g)
,腎臓(28.3
±12.4 pg/g)と比べて副腎(260.0±21.9 pg/g)
,視床下部(63.0
±40.3 pg/g)
,下垂体(136.7±47.8 pg/g)で MBGi が高値であった.
さらに免疫染色では副腎皮質の細胞質内に陽性所見を得た.
【考察】
従来から EDLF の分泌組織と考えられてきた視床下部,下垂体,副腎
で新規 EDLF である MT を中心とする bufadienolide が存在すること
を確認した.その中でも副腎皮質が主要な分泌組織であることが示
唆された.このことはまだ十分解明されていない哺乳類
bufadienolide の産生,代謝機構の解明につながると考えられる.
島本 芳子 1、田辺 晶代 1、成瀬 光栄 2、立木 美香 1、渡辺 大輔
1
、高野 加寿恵 1
【目的】高血圧や糖尿病においてアンジオテンシン(Ang)II 阻害に
よる腎障害抑制効果が報告されている。一方、メタボリックシンド
ローム(MS)を伴う高血圧ラットおける Ang II 阻害の効果は明らか
ではない。今回我々は高血圧、糖尿病、肥満を合併する MS ラットに
おける AT1 受容体拮抗薬(ARB)による腎保護作用を検討した。
【方
法】10 週齢の雄性 SHR/NDmcr-cp(ND)に vehicle(無治療/ND 群)
、
ARB
(オルメサルタン5mg/kg/日:ARB/ND群)
、
ヒドララジン
(7.5mg/kg/
日:Hyd/ND 群)を8週間経口投与した。血圧、体重、尿蛋白(UP)
、
血中クレアチニン濃度(s-Cr)
、HbA1c を測定、摘出した腎臓の type
4 コラーゲン(coll.)、PAI-1、MCP-1、TGFβ、fibronectin、
osteopontin、COX-2 mRNA 発現を解析し SHR/Izm(非 ND 群)と比較
した。
【成績】無治療/ND 群では非 ND 群と比較して体重は約 2 倍、血
圧、s-Cr は同等、尿蛋白、HbA1c は増加、type 4 coll.、PAI-1、MCP-1、
TGFβ、fibronectin、osteopontin mRNA は有意な増加を示した。治
療群では同等の降圧効果を示したが HbA1c は不変。
ARB/ND 群、
Hyd/ND
群ともに UP 減少が見られたが、UP 減少率は ARB/ND 群でより大であ
った。PAI-1、type 4 coll.、fibronectin、osteopontin mRNA 発現
は無治療/ND 群と比較して ARB/ND 群、Hyd/ND 群ともに同等に低下し
たが、MCP-1、TGFβ、COX-2 は不変であった。
【結論】MS を呈する
SHR/NDmcr-cp において、ARB は UP 減少効果を示し、その一部は血圧
に依存しなかった。
P-2-06-02 糸球体上皮細胞特異的過剰発現マウスを用いた糖尿病
性腎症進展における CTGF の意義の検討
1
2
京都大学大学院 医学研究科 内分泌代謝内科、
国立病院機構 京
都医療センター 腎臓内科
向山 政志 1、横井 秀基 1、笠原 正登 1、森 潔 1、澤井 一智 1、
吉岡 徹朗 1、齋藤 陽子 1、小川 喜久 1、桑原 孝成 1、菅原 照
2
、中尾 一和 1
【目的】Connective tissue growth factor (CTGF/CCN2)は TGF-βに
より誘導される増殖因子で、強力な細胞外基質産生作用を有する。
CTGF は健常腎では主に糸球体上皮細胞(podocyte)に局在し、糖尿
病性腎症において発現が亢進することを報告した。しかしながら、
in vivo での CTGF 発現亢進の糖尿病性腎症進展における意義は明ら
かでない。
【方法】
Podocyte 特異的プロモーターであるヒトネフリン
プロモーター(1.2 kb)を用いて CTGF 過剰発現マウス(CTGF-Tg)を作
成した。12 週齢のメス CTGF-Tg を用いて、組織および尿・血液を検
討した。糖尿病マウスは STZ 投与にて作成し、投与 12 週後の組織、
遺伝子発現、尿および血液を解析した。
【成績】Podocyte 特異的
CTGF-Tg は 5 系統樹立された。非糖尿病マウスでは形態的に正常で
あった。STZ 投与 12 週後、糖尿病 Tg では糖尿病 WT に比して尿中ア
ルブミン排泄は 2.8 倍に増加し、メサンギウム基質拡大を認めた。
糸球体内 TGF-β1、FN、COL4A1、COL4A3 mRNA 発現は両群で差を認め
なかった。
Podocyte マーカーである WT1 陽性細胞数は Tg マウスでは
6.2 個/糸球体と WT(8.7 個/糸球体)に比して有意に低下しており、
podocin 発現の部分的低下を認めた。電顕所見では糖尿病 Tg マウス
はpodocyte傷害を示す糸球体上皮細胞の空胞変性が明らかに増強し
ていた。
【結論】Podocyte 由来の CTGF 過剰発現は糖尿病性腎症の
podocyte 傷害を増悪させ、蛋白尿増加をきたして腎症の進展に関与
することが示唆された。今後 CTGF は糖尿病性腎症進展に対する有望
な治療標的となる可能性が示唆された。
P-2-06-03 高血圧自然発症ラット(SHR)を用いた内臓脂肪蓄積関
連遺伝子の探索
1
東京大学 医学部 臨床分子疫学、2 東京大学 医学部 腎臓内分
泌内科、3 東京大学 医学部 糖尿病代謝内科
和泉 梢 1,2、後藤田 貴也 1,2、飯塚 陽子 3、長瀬 美樹 1,2、藤田 敏
郎2
【目的】 われわれはこれまでに、1)SHR には CD36 を欠損する NCrj
と欠損しない Izm の2系統が存在し、2)NCrj は Izm に比して有意
に血糖とコレステロールが低く、遊離脂肪酸が高い一方で、脂肪組
織(とくに内臓脂肪組織)重量が軽く、3)脂肪組織重量の差は CD36
遺伝子変異以外の遺伝的要因によることを報告してきた。その要因
を明らかにする。
【方法】 まず、両系統間で多型性のあるマーカーをスクリーニン
グし、両系統の交配に由来する F2 群 (雄、n=144) の 12 週齢時の各
種代謝・血行動態指標とマーカーとの間で連鎖解析を行った。また、
両系統 (各 n=4) の脂肪組織から RNA を抽出し、マイクロアレイ発現
解析を行なった。
【成績】 検索の結果、両 SHR 間で差違が検出可能な 25 個のマイク
ロサテライトマーカーを同定したが、その内 12 個は1番染色体長腕
に存在するマーカーであった。 F2 群の解析では、この1番染色体長
腕領域内に存在する D1Wox28 と体重で補正した副睾丸周囲脂肪組織
重量との間に強い連鎖を認めた(遺伝子型が Izm/Izm、Izm/NCrj、
NCr/NCrj の順に、0.868±0.023、0.782±0.012、0.771±0.022; p
<0.0002)
。
脂肪組織 RNA に関するマイクロアレイ解析の結果、
両 SHR
間で発現量に差違のある遺伝子が多数同定され、
その一部は D1Wox28
周辺に位置する遺伝子であった。
【結論】 SHR2系統間に見られる内臓脂肪蓄積の差違を説明する原
因遺伝子が、1番染色体長腕領域の D1Wox28 近傍に存在する可能性
が示唆された。
P-2-06-04 高血圧における糖尿病合併は血圧変動性を増加させる P-2-06-05 糖尿病性慢性腎不全患者での血圧短期変動性の意義に
- 高血圧教育入院患者を対象とした検討から ついての検討
1
1
横浜市立大学 医学部 循環器・腎臓内科学
横浜市立大学 医学部 循環器・腎臓内科学、2 藤沢市民病院 腎
臓高血圧内科
小澤 素子 1、田村 功一 1、岡野 泰子 1、松下 浩平 1、岩坪 耕策 田村 功一 1、岡野 泰子 1、小澤 素子 1、酒井 政司 2、平和 伸仁
1
1
、梅村 敏 1
、戸谷 義幸 1、矢花 真知子 1、常田 康夫 2、大西 俊正 1、梅村
敏1
【目的】非観血的 24 時間血圧測定法(ABPM)は,高血圧病態の解析 【目的】血圧の短期変動性は,自律神経系活性とともに血管機能を
や降圧薬の効果の検討のために重要である.我々は ABPM によって得 反映し,高血圧性臓器障害や脳心血管系合併症への関与が注目され
られる血圧短期変動性の指標の病態生理学的意義についての検討を ている.今回,携帯型自動血圧計を用いて,糖尿病性慢性腎不全患
おこなってきた.今回糖尿病の合併が高血圧における血圧・心拍数 者における血圧の短期変動性と種々の要因とのかかわり,および心
【方法】2型糖尿病性慢
日内変動に与える影響について検討した.
【方法】教育入院中の高血 血管系疾患発症への関与について検討した.
圧患者 21 名(男 15 名,女 6 名,平均年齢 62.6 歳)を対象とした. 性腎不全患者 36 名を対象とし,携帯型自動血圧計にて 30 分毎に 24
携帯型自動血圧計にて24時間血圧を測定して得られた血圧日内変動 時間以上にわたって血圧を測定した.各血圧値の標準偏差値を算出
について,
糖尿病合併群
(DM群,
11名)
,
および糖尿病非合併群
(non-DM して血圧短期変動性の指標とし,種々の要因の関与について検討し
群,10 名)の両群間での比較検討を行った.
【結果】24 時間収縮期 た.また,虚血性心疾患合併群あるいは脳血管疾患合併群における
【結果】相関分析および重回帰
血圧,昼間収縮期血圧,および夜間収縮期血圧については両群間で 血圧短期変動性についても検討した.
差を認めず,
両群ともにnon-dipper型の血圧日内変動を呈していた。 分析の結果,24 時間収縮期血圧短期変動性は,血清総コレステロー
また,24 時間心拍数,24 時間心拍数変動性も両群で同様であった. ル値および血漿ノルエピネフリン濃度との間に有意な関連性が認め
しかし,
24 時間収縮期血圧短期変動性についてはDM 群の方がnon-DM られた.また,虚血性心疾患合併群では,非合併群に比べて 24 時間
群よりも有意に高かった(DM 群 18.2 vs non-DM 群 14.5 mmHg, p 収縮期血圧短期変動性の他,昼間収縮期血圧短期変動性,夜間収縮
<.05).尿血液検査では,血清クレアチニン値,クレアチニン-クリ 期および拡張期血圧短期変動性.の有意な増加が認められた.一方,
アランス,尿蛋白量は両群間に有意差を認めなかった.さらに,簡 脳血管疾患合併群では血圧短期変動性に有意差はみられなかった.
易診断装置(モルフェウス,帝人)にて睡眠呼吸障害の程度を評価し 【考察】糖尿病性慢性腎不全患者では,収縮期血圧短期変動性は血
たが,両群間に差を認めなかった(AHI;DM 群 17.2 vs non-DM 群 15.1, 清総コレステロール値および血漿ノルエピネフリン濃度によって規
NS).
【考察】今回の検討から,糖尿病を合併した高血圧患者におい 定されており,また,収縮期血圧短期変動性の増大は心血管系合併
ては,降圧療法により糖尿病を合併していない高血圧患者と同程度 症の発症進展に影響をおよぼしている可能性がある.
に血圧がコントロールされている状態においても,血圧短期変動性
は増大している可能性があり,これには腎機能障害や睡眠呼吸障害
の程度とは直接には関係しない他の要因の関与が推定される.
P-2-06-06 高分子量アディポネクチンによるメタボリックシンド P-2-07-01 原発性アルドステロン症でのACTH刺激後副腎静脈サン
ローム(MS)及びインスリン抵抗性の診断:各種測定キットによ プリングにおける奇異反応
る比較
1
1
金沢医科大学 内分泌代謝制御学
武蔵野赤十字病院 内分泌代謝科、2 武蔵野赤十字病院 放射線科、
3
東京医科歯科大学 大学院 分子内分泌内科学
津田 真一 1、中野 茂 1、小西 一典 1、安井 綾子 1、上原 啓吾 1、 早川 惠理 1、菅野 一男 1、西川 由紀 1、谷 祐至 1、姫野 佳郎 2、
北田 宗弘 1、伊藤 智彦 1、西澤 誠 1、中川 淳 1、木越 俊和 1、 館野 透 3、平田 結喜緒 3
古家 大祐 1
【目的】各種測定キットで血中総、高、中及び低分子量アディポネ 【背景】原発性アルドステロン症(PA)の診断における副腎静脈サン
クチン(ADPN)を測定し、また高分子量/総 ADPN 比を求め、キット プリング(AVS)はゴールドスタンダード検査と考えられている。PA
間の相関関係、
さらにMS及びインスリン抵抗性の診断率を比較した。 では通常 AVS にて ACTH 刺激後、責任病変の副腎静脈中の血漿アルド
【方法】外来患者 297 例を対象に,空腹時の血中 ADPN 値を従来法と ステロン濃度(PAC)に過大反応が認められる。しかし ACTH 刺激後の
して大塚製薬社製キットで総 ADPN、富士レビオ社製キットで高分子 責任病変の PAC が前値より低下する(奇異反応)PA 症例を散見する。
【診断基準と方法】
量 ADPN、さらに新法として第一化学社製キットで総、高、中及び低 今回奇異反応を示した PA 症例の解析を行った。
分子量 ADPN を測定した。MS の診断は日本の基準を用い、インスリン 当院で AVS を施行した 228 例中、PA と診断された 171 例を対象とし
抵抗性の有無は HOMA 指数で判定した。
それらに対し ROC 解析で ADPN た。PA の診断基準は ACTH(0.25mg)刺激後の PAC≧1300ng/dl とした。
の最適カットオフ値及び曲線下面積を求め、さらにそれぞれの最適 【結果】171 例中、13 例(7.6%)に奇異反応を認めた(左 39%、右 15%、
カットオフ値におけるMSあるいはインスリン抵抗性の診断率を符号 両側 46%)。13 例の末梢血の PAC(10.24±6.43 ng/dl)は正常反応群
検定で両法を比較した。
【成績】297 例中 MS は 97 例。従来法と新法 (12.33ng/dl) より低値であったが有意差なし(P=0.42)。AVS での
間で総 ADPN、
高分子量 ADPN 及び高分子量/総 ADPN 比はそれぞれ有意 ACTH 刺激前の責任病変側の副腎静脈血中 PAC は、奇異反応群
な正相関を示した。しかし、総、高分子量 ADPN の測定値は従来法が (PAC5612.1±8737ng/dl)は正常反応群(PAC757.1±1164ng/dl)より
【考察】AVS にて ACTH 刺激後の PAC
新法より高値であった。ROC 曲線下面積による MS、インスリン抵抗 有意に(P<0.01)高値であった。
ACTH 刺激前の副腎静脈血中 PAC が高
性の診断率はどの方法でも同程度であった。しかし、特定の最適カ が奇異反応を示す PA 症例では、
ットオフ値で MS の診断率を比較すると、総 ADPN では新法、高分子 値を示すことが明らかにされたがその機序は不明である。
量/総 ADPN 比では従来法、一方インスリン抵抗性の診断率では、高
分子量/総 ADPN 比のみ新法で有意に高かった。
【結論】従来及び新法
で血中総、高分子量 ADPN を測定すると、測定値は従来法が高いが、
MS 及びインスリン抵抗性の診断率には両法で差はなかった。また、
それらの診断には高分子量/総ADPN比も有用であることが示された。
P-2-07-02 原発性アルドステロン症(PA)での副腎静脈サンプリン
グ(AVS)と CT での副腎病変の関連性について
1
武蔵野赤十字病院 内分泌代謝内科、2 武蔵野赤十字病院 放射線
科、3 東京医科歯科大学大学院 分子内分泌内科学
谷 祐至 1、菅野 一男 1、早川 惠理 1、西川 由紀 1、姫野 佳郎 2、
館野 透 3、平田 結喜緒 3
【目的】PA が疑われる症例で画像検査で副腎結節が発見されても、
必ずしもその結節がアルドステロン過剰分泌の原因となっていると
は限らない。AVS により PA と診断された症例において、副腎結節側
と AVS 陽性側の関連性について検討した。
【方法】AVS を施行した PA
疑い(228 例)で、ACTH 刺激後副腎静脈血中の血漿アルドステロン濃
度(PAC)≧13000pg/ml を PA と診断し、AVS 片側陽性例(93 例)につい
て CT 所見との比較検討を行った。
CT にて副腎結節のカットオフ値は
6mm 以上とした。
【結果】AVS 陽性側と結節側が一致の 28 例(30%)、
不一致の 14 例(15%)、副腎結節を認めないもの 50 例(54%)、両側結
節性病変を認めたもの 1 例(1%)。結節径は一致例(13.7±0.8mm)と不
一致例(11.4±1.9mm)の間に有意差を認めなかった。
不一致例(14 例)
と副腎結節を認めない例(計 64 例)の ACTH 刺激後 PAC (22076.0±
1994.2pg/ml)は、一致例 (PAC 53950±8963.9pg/ml)より有意に低か
った(p<0.01)。
【結論】AVS 陽性側と結節側の不一致が 15%存在し、
結節の大きさとは無関係であった。また結節(−)AVS 陽性側は、結節
(+)AVS 陽性側に比べ ACTH に対する反応性が低いことが明らかとな
った。
P-2-07-03 当センターにおける原発性アルドステロン症の局在診
断:ACTH 負荷下静脈サンプリングの有用性
1
自治医科大学付属大宮医療センター 総合医学第1、2 国保町立小
鹿野中央病院内科
生駒 亜希 1、佐々木 正美 2、湯澤 美保 1、齊藤 智之 1、斎藤 孝
子 1、為本 浩至 1、豊島 秀男 1、川上 正舒 1、石川 三衛 1
【目的】近年高血圧の原因として原発性アルドステロン症(PA)の頻
度が予想以上に高い事が明らかにされた。PA は現在アルドステロ
ン・レニン比によるスクリーニングが推奨され、立位フロセミド負
荷試験又はカプトリル負荷試験により確定診断。治療法決定に際し
ては片側性か両側性かの判断が重要である。その為の Golden
standard とされているのが ACTH 負荷下静脈サンプリング(AVS)であ
る。その診断基準は ACTH 負荷後の血漿アルドステロン値(PAC)の絶
対値によるが、アルドステロン・コルチゾール比(A/C)も用いられ確
立されたとはいいがたい。今回我々は当センターにおいて過去に経
験したPA の症例についてACTH 負荷下AVS の有用性を検討した。
【対
象及び方法】対象は当センターにおいて過去に診断・治療を受けた
PA 患者 24 例。平均年齢は 57.4±9.39 歳。うち男性 14 例、女性 10
例。ACTH 負荷下 AVS を施行されたのが 10 例。1 例は ACTH 負荷せず
AVS のみ施行。
【結果】ACTH 負荷下 AVS を施行した 10 例のうち PAC
>1400ng/dl の症例は 1 例。
下大静脈(SVC)と副腎静脈との A/C 比≧4
の症例は 5 例。どちらの基準でも左右差の判断が不可能であった5
例は CT や DEXA 抑制下副腎シンチグラフィ等の画像検査と併せ始め
て診断が確定。
【考察】
PA の診断後左右局在の有無は治療法の決定に
重要である。その診断法として ACTH 負荷下 AVS は有用な手段である
が選択的カテーテル挿入の手技の問題もあり臨床の場では診断に至
らない症例も多い。
PA の診断に当たっては ACTH 負荷下の AVS のみな
らず、負荷前の PAC、A/C 比、DEXA 抑制下副腎シンチグラフィー等に
よる総合的な判断が必要と考えられた。
P-2-07-04 当院におけるACTH負荷選択的副腎静脈サンプリング症
例の検討
1
藤田保健衛生大学 内分泌代謝科、2 愛知県厚生連加茂病院
P-2-07-05 Chiari Network: A Potential Pitfall in Adrenal
Venous Sampling
1
東京大学医学部 腎臓・内分泌内科、2 同放射線科、3 同男性泌尿器
科、4 キッコーマン総合病院内科
柿澤 弘章 1、早川 伸樹 1、関口 佐保子 1、糸井 智子 1、山元 弘 高橋 克敏 1、赤羽 正章 2、西松 寛明 3、鈴木 尚宜 1、竹下 雅子
桜 1、浅野 昇悟 1、松本 崇 1、梅谷 洋介 1、稲垣 一道 1、澤井 喜 1、松井 宏光 1,4、佐々木 信和 1、福本 誠二 1、藤田 敏郎 1
邦 2、加藤 大也 2、織田 直久 1、鈴木 敦詞 1、伊藤 光泰 1
【目的】選択的副腎静脈サンプリングは原発性アルドステロン症 【背景】原発性アルドステロン症(PA)の治療方針決定には副腎静
(PA)の鑑別、局在診断での有効性が報告されている。さらに ACTH 負 脈サンプリング(AVS)が非常に有用である。AVS は比較的安全な検
」が AVS の妨
荷によりその診断精度が向上することも報告されているが、その基 査だが、心臓に存在した「キアリ網(Chiari Network)
準については未だ完全には議論の一致をみていない。
【対象と方法】 げとなった一例を経験したため、リスク管理の観点から報告する。
PA の精査目的で入院した 13 例(男性 5 名、女性 8 名)に ACTH 負荷選 【症例】58 歳女性。高血圧と低 K 血症を近医に指摘され、PAC/PRA
択的副腎静脈サンプリングを施行した。ACTH 負荷方法は、右大腿静 比=120(12ng・dL-1/0.1ng・ml-1・hr-1)と高値のため PA を疑われる
脈より刺入した静脈内カテーテル留置下に、コートロシン250μ も CT で副腎に異常を認めず当科紹介。入院時、血圧 158/80mmHg、
g を肘静脈より注射し、負荷前と負荷 25 分後にサンプリングを施行 Na144mEq/L、K3.3mEq/L、尿 Ald16μg/日で、生理食塩水負荷試験で
した。過剰分泌の基準は、絶対値を Omura らの報告する ACTH 負荷後 負荷後 PAC21ng・dL-1(同 PRA0.1)より PA と確定診断した。局在診
ald 値が 14.000ng/ml 以上を有意とし、左右差はアルドステロン-コ 断のため ACTH 負荷 AVS を行い、左副腎用カテーテル先端部の反転を
ルチゾール比(PAC/F)が4以上を有意とした。
【結果】8例は上記の 右心房で行ったが、操作中に抵抗を感じ、ACTH 負荷後にも同様の抵
診断基準を満たし、そのうち5例で副腎摘出術行い腺腫が確認され、 抗があった。幸い合併症はなかったが検査後の心エコーで「Chiari
3 例は経過観察中である。
他の5例は手術適応と判断するに至らず経 Network」が右心房に確認された。AVS 結果は、副腎静脈 ALD/CS 左右
過観察となった。1例は腫瘍局在と負荷後の PAC 値が一致せず、他 比 33(>3)と右が高く、かつ左副腎 PAC/CS 値 0.12 と"健側抑制"
の4例では左右差が4倍に満たず、PA の腺腫局在が確認されなかっ を認めたため、
(当院CTでも明らかな右副腎病変を認めないが)
「右
た。
【結語】
ACTH 負荷選択的副腎静脈サンプリングの有用性について 副腎病変による PA」と臨床診断した。腹腔鏡下右副腎摘出後に
検討した。手術した2例は ACTH 負荷により、左右差が増幅され診断 10X10X8mm 大の皮質腺腫が明らかとなりアルドステロン産生腺腫と
に有効であり、他の 3 例は負荷前後ともに有意な結果を得た。経過 最終診断した。
観察例で絶対値では基準を満たさなかったが PAC/F の左右差では基 【考察と結論】Chiari Network は成人剖検例の 1.5-3%に見られる
準を満たす症例が 1 例存在した。多様な病態が報告されている PA の 胎生期遺残物で、心房内カテーテル操作の妨げになることが知られ
診断ならびに手術適応において、ACTH 負荷選択的副腎静脈サンプリ ている。従って、左副腎静脈採血に必須のカテーテル先端部の反転
ングが、診断上有用な情報をもたらすことが示唆された。
は、
(1)右心房部での操作を避けるか、
(2)少なくとも「giant
Chiari Network」がないことを心エコーで確認後に行うのが望まし
い。
P-2-07-06 特発性アルドステロン症(IHA)の診断で内服加療中に P-2-07-07 術前検査で副腎シンチと副腎静脈サンプリングの結果
右副腎腺腫が出現し、ACTH 負荷副腎静脈サンプリングを行った 1 例 に乖離が見られたアルドステロン産生副腎微小腺腫の一症例
1
1
琉球大学 医学部 内分泌代謝内科学
東京都老人医療センター 内分泌科、2 同循環器科、3 同泌尿器科、4
同剖検病理科、5 社会保険中央総合病院 糖尿病・内分泌科、6 東北
大学 医学部 病理診断
足立 淳一郎 1、
千葉 優子 1、
森 聖二郎 1、
武田 和
平良 伸一郎 1、池間 朋己 1、渡辺 蔵人 1、神谷 乗史 1、小宮 一 田村 嘉章 1、
郎 1、高須 信行 1
大 2、粕谷 豊 3、村山 猛男 3、沢辺 元司 4、大村 昌夫 5、笹野
公伸 6、荒木 厚 1、井藤 英喜 1、堀内 敏行 1
原発性アルドステロン症(PA)は、最も頻度の高い二次性高血圧症 73 歳、男性。治療抵抗性の高血圧と低 K 血症を指摘され、PAC/PRA
である。その治療方針決定には、片側性病変か両側性病変かを鑑別 >80、立位フロセミド負荷試験で PRA 上昇を認めず、原発性アルド
することが重要である。今回、我々は特発性アルドステロン症(IHA) ステロン症(PA) と診断された。当初画像上異常所見なし。
の診断で内服加療中に、右副腎にアルドステロン産生腺腫(APA)を疑 Spironolactone で女性化乳房が出現したため、Trilostane と Ca ブ
わせる低吸収性腫瘍が出現し、
ACTH負荷副腎静脈サンプリングでIHA ロッカー、及びアンジオテンシン II 受容体拮抗薬を投与され、血圧
と診断し得た 1 例を経験したので報告する。
【症例】58 歳、女性【主 コントロールは良好だった。経過中アドステロールシンチで右副腎
CT では両副腎に明らかな腫瘤を認めなかったため、
訴】頭痛【現病歴】1996 年、脳梗塞にて入院した際にアムロジピン に取り込み出現。
内服開始。2004 年、低カリウム血症(3.3 mEq/L)、レニン活性 0.2 副腎静脈サンプリングを施行した。副腎静脈の PAC / F は、右で
ng/mL/hr 以下、アルドステロン濃度 105 pg/mL および CT にて両側副 67.9(pg/ml) / 228.9(μg/dl), 左で 1594 / 102.4、ACTH250μg 負
腎過形成を認めたことから IHA と診断された。スピロノラクトン 25 荷後には右で 368.4 / 878.6, 左で 2978.8 / 501.6 と4倍以上の差
mg、アムロジピン 5 mg 内服にて血圧 130/80 mmHg であった。2005 を示し、左の病変が疑われたため、左副腎摘出術を施行した。病理
年の CT では両側副腎過形成を認めていたが、2006 年 7 月の CT にて では、比較的境界鮮明で淡明細胞から構成される微小腺腫を認め、3
右副腎に 9×6×6 mm の低吸収性腫瘍を認めた。APA の可能性を考え β-HSD の発現が認められた。周囲には境界が不鮮明な結節が混在し
精査入院となった。
【入院後経過】内分泌学的検査では、アルドステ ていたが、これは非機能性であった。術後 PAC 3.5 ng/dl, PRA 2.77
ロンの日内変動はなかった。131 I アドステロールシンチでは、5 日 ng/ml/h と改善。Trilostane 中止したが、血圧コントロールは良好
微小腺腫のPA の症例は稀有であり、
目に両側副腎に集積が認められた。ACTH 負荷副腎静脈サンプリング で低K 血症も改善を認めている。
では、
両側副腎静脈のA/C比(アルドステロン濃度/コルチゾール比) 報告する。
がいずれも下大静脈の A/C 比より高値を示した。
以上の結果より IHA
と診断した。右副腎に認められた腫瘤性病変は結節あるいは非機能
性腺腫と考えられた。 PA の病型鑑別およびアルドステロン過剰分
泌の局在診断に CT、副腎シンチグラフィーは有用であるが、これら
を用いても診断が困難である場合や、機能的局在診断をより確実な
ものにするためには副腎静脈サンプリングを行う必要がある。
P-2-08-01 von Hippel-Lindau 病と診断された散発性両側性褐色
細胞腫の1例
1
倉敷中央病院 内分泌代謝・リウマチ内科、2 国立病院機構京都医
療センター 臨床研究センター 内分泌研究部
村部 浩之 1、桑原 一宏 1、伊澤 正一郎 1、村上 典彦 1、横田 敏
彦 1、日下 昌平 1、臼井 健 2、成瀬 光栄 2
【症例】29 歳男性。肝障害の精査目的に前医にて CT を施行した際、
両側副腎腫瘍を指摘され、当科入院となった。141/71 mmHg と軽度の
高血圧が認められ、MRI 上、両側副腎腫瘍は T2WI 高信号を呈するこ
と、MIBG シンチグラフィにて腫瘍に一致して取り込みが認められる
こと、
血中ノルアドレナリン 4255 pg/ml、
尿中ノルメタネフリン 9.73
mg/day と高値であること等より褐色細胞腫と診断した。α1 ブロッ
カー、輸液による術前治療後、両側副腎摘除術を行ったところ、血
圧、血中ノルアドレナリン、尿中ノルメタネフリンは正常化した。
以後、補充療法としてヒドロコルチゾン 30 mg/day の内服を継続し
ながら、経過観察中である。全身検索の結果、褐色細胞腫以外には
明らかな併存疾患は認められず、また家族歴もなく、さらに両親、
弟にカテコールアミン過剰分泌は認められなかった。しかし、比較
的若年発症の両側性褐色細胞腫であることから遺伝的背景の存在が
疑われたため、インフォームドコンセントを得た上で、RET、VHL、
SDHB、SDHD の各遺伝子解析を行ったところ、VHL 遺伝子に R161Q の
ミスセンス変異がヘテロ接合性に認められ、von Hippel-Lindau 病で
あることが判明した。
【考察】Neumann らは散発性褐色細胞腫のうち
24%に RET、VHL、SDHB、SDHD いずれかの遺伝子変異が認められたこ
とを報告している。また、von Hippel-Lindau 病には褐色細胞腫のみ
を発症する亜型(type 2C)が存在する。比較的若年発症の両側性褐
色細胞腫では家族歴や併存疾患が明らかでなくても遺伝的背景の存
在する可能性を念頭に置くべきであると考えられる。
P-2-08-03 副腎偶発腫瘍として発見され RET 遺伝子変異を認めた
多発性内分泌腺腫症 2B 型の一例
1
慶應義塾大学 医学部 内科、2 慶應義塾大学 保健管理センター、
3
慶應義塾大学 医学部 泌尿器科
武田 彩乃 1、柴田 洋孝 1、横田 健一 1、須田 徳子 1、中川 健 3、
村井 勝 3、篠村 裕之 1、林 晃一 1、伊藤 裕 1
症例は、26 歳男性。12 歳時にもやもや病に対する手術、8 歳、16 歳
時に口唇神経腫摘除術の既往がある。2006 年に蛋白尿の精査中、腹
部超音波検査にて右副腎に径 7cm の副腎腫瘍を指摘され、当科入院
となった。自覚症状では、動悸、発汗を認め、入院時は正常血圧
(122/82mmHg)であったが、発作性高血圧を認めた。身体所見上、
BMI18.5kg/m2 と痩せ体型、腹部は膨満し、口唇に複数の結節を認め
た。腹部 CT にて、右副腎に中心壊死を伴い造影効果を示す径 7cm の
副腎腫瘍を認め、腸管は著明な拡張を認めた。腹部 MRI では、右副
腎腫瘍は T2 高信号で、全身 MIBG シンチグラフィで集積を認めた。
内分泌検査では、尿中アドレナリン 72.5μg/日、ノルアドレナリン
650μg/日、ドーパミン 910μg/日、メタネフリン 1.1mg/日、ノルメ
タネフリン 4.6mg/日、VMA26.8mg/gCr と高値であり、クロニジン負
荷試験でもカテコラミン高値が持続したことから、褐色細胞腫と診
断した。MEN2 型を疑い、RET 遺伝子検査にて exon16 に Met918Thr の
変異を認め、多発性内分泌腺腫症(MEN)2B 型の確定診断に至った。血
液検査にて CEA11.5ng/ml、カルシトニン 1180pg/ml を認め、甲状腺
髄様癌が強く疑われて精査中である。通常の MEN2B では、甲状腺髄
様癌が先行する例が多いが、本例は褐色細胞腫が先に顕在化し、腹
腔鏡下右副腎摘出術を施行した。術後、カテコラミン値は正常範囲
内に改善したが、甲状腺髄様癌および反対側の褐色細胞腫につき今
後も注意深い経過観察が必要と思われる貴重な一例を経験したので
報告する。
P-2-08-02 小腸腫瘍からの出血に対し腸間膜動脈塞栓術にて救命
しえた VHL 病に伴う悪性褐色細胞腫の 1 例
1
千葉大学大学院 医学研究院 細胞治療学 千葉大学医学部附属
病院糖尿病代謝内分泌内科
峰澤 朝美 1、橋本 直子 1、鈴木 佐和子 1、山田 伸子 1、間山 貴
文 1、永田 あずさ 1、保坂 博章 1、小出 尚文 1、田中 知明 1、野
口 義彦 1、龍野 一郎 1、齋藤 康 1
【はじめに】von-Hippel-Lindau 病(VHL 病)は、褐色細胞腫、血管
芽腫、腎細胞癌等を生じる常染色体優性遺伝疾患である。今回、両
側副腎、縦隔に加え、小脳にも褐色細胞腫を認めた VHL 病症例で、
大量下血より新たに小腸に腫瘍を発見し診断治療苦慮したので報告
する。
【症例】56歳女性。両側副腎褐色細胞腫および小脳腫瘍から
遺伝子診断にて VHL 病と診断。小脳、縦隔の褐色細胞腫の外科的治
療歴があるが、縦隔腫瘍は再発、経過観察中、平成 18 年 6 月、ター
ル便、貧血(Hb5.2)にて緊急入院。上部・下部消化管内視鏡上、出
血源認めず。腹部造影CTでは、回盲部付近小腸に 1.3cm 大の
enhance される mass を認め、同部位が出血源である可能性を疑った
が、その後出血を認めず経過観察。同年 8 月に再度タール便を認め
出血シンチを施行、回盲部∼上行結腸に出血を認め同部位からの出
血と判断した。Dynamic CT で、腫瘍は 2cm と増大傾向で、早期に濃
染する腫瘤中央部分と近辺に造影効果に乏しい部分を認めた。繰り
返す出血、および腫瘍の増大傾向より、迅速な摘出術または塞栓術
が必要と考えた。全身状態および本人の希望より、腫瘍を支配する 2
本の腸間膜動脈につきコイリングにて塞栓術を行った。
【考案】VHL
病において、血管芽腫の頭蓋内での出血の報告は多いが、消化管出
血を来したVHLの報告は極めて少数である。当症例の病変として
褐色細胞腫の転移を最も疑うが、微小腎細胞癌の転移、血管芽腫等
様々な可能性も否定できない。全身状態および QOL より手術による
組織の確認は不可能であった。
P-2-08-04 高齢者に偶発腫瘍として発見された傍神経節細胞腫の
一例
1
黒部市民病院 内科、2 国立病院機構京都医療センター 内分泌代謝
センター、3 黒部市民病院 外科、4 黒部市民病院 臨床検査科
吉澤 都 1、家城 恭彦 1、成瀬 光栄 2、佐藤 就厚 3、岩田 啓子 3、
竹山 茂 3、高川 清 4
【症例】84 歳、男性。生来健康。高血圧の既往なし。半年前から起
床後の立ちくらみを自覚していた。頻尿にて当院泌尿器科受診。腹
部エコーで胃前庭部の不整な壁肥厚と傍大動脈腫瘤を指摘され当科
に入院。身体所見:身長 173.0cm、体重 56.6kg、血圧 120/54、脈拍
54/分、胸腹部異常なし、浮腫なし。24 時間血圧検査では収縮期血圧
が最高 194mmHg、最低 113mmHg と変動を認めたが自覚症状はなし。血
中アドレナリン 0.05ng/ml(正常値 0.00-0.10)、ノルアドレナリン
1.85ng/ml(正常値 0.10-0.50)、レニン活性 1.0ng/ml/h、アルドステ
ロン 4.3 ng/dl(正常値 3.6-24.0)、尿中アドレナリン 39.2μg/日(正
常 値 3.0-41.0) 、 ノ ルア ドレ ナリ ン 1024.4 μ g/ 日( 正常値
31.0-160.0)、ドーパミン 738.2μg/日(正常値 280-1100)、VMA/Cr
16.43mg/g.Cr( 正常値 2.10-5.00) 。内視鏡検査で胃前庭部に
Borrmann2 型の半周性腫瘤を認め、組織所見から低分化型腺癌と診
断。MRI にて右傍大動脈第3腰椎近傍部に径 3cm の T1 やや高信号、
T2 高信号で一部嚢胞性変化を伴う腫瘤を認めた。MIBG シンチでは同
腫瘍に一致して高度の集積を認めた。
FDG-PET では胃前庭部腫瘤に軽
度の集積、傍大動脈腫瘍に高度の集積を認めた。以上より胃癌と傍
神経節細胞腫の合併と診断した。ドキサゾシン 2mg/日にて血圧コン
トロールを開始、血圧安定後に外科的治療を予定。
【考察】偶発腫瘍
として発見された傍神経節細胞腫を経験した。高齢者の褐色細胞腫
は自他覚症状に乏しいが種々のストレスに際して高血圧クリーゼの
リスクがあることから、適切な診断、治療が必要である。術後経過
および病理学的所見を含め報告する予定である。
P-2-08-05 131 I-MIBG 内照射治療により腫瘍抑制が得られた悪性 P-2-08-06 MIBG 集積をみた右腎血管筋脂肪腫の 1 例(MIBG 陽性で
褐色細胞腫の 1 例
も褐色細胞腫ではない)
1
大阪赤十字病院 糖尿病内分泌内科、2 金沢大学医学部付属病院 核 1 琉球大学 医学部 内分泌代謝内科
医学研究科
田中 督司 1、政次 健 1、武呂 誠司 1、横山 邦彦 2、隠岐 尚吾 1 伊波 多賀子 1、崎山 道子 1、池間 朋己 1、高良 正樹 1、小宮 一
郎 1、高須 信行 1
血管筋脂肪腫(AML)であっ
悪性褐色細胞腫は褐色細胞腫の約 10%をしめ、予後不良な疾患であ MIBG シンチ陽性で褐色細胞腫を疑ったが、
る。我々は腫瘍切除 4 年後に肺と肝に多発転移した悪性褐色細胞腫 た症例を報告する。症例は 24 歳女性。たまたま腹部エコーで右副腎
に対し、131I- MIBG による内照射療法を施行し腫瘍抑制が得られた 腫瘤を発見された。腹部 CT、MRI にて右腎上極に径 5cm の腫瘤認め
症例を経験したので報告する。
【主訴】体重減少、動悸【家族歴】特 たため当院紹介となった。褐色細胞腫疑われ MIBG シンチを施行した
記事項無し【現病歴】69 歳男性,1993 年より高血圧と糖尿病のため ところ腫瘤に一致して MIBG 集積を認めた。しかし高血圧なく、血中、
通院した。頻脈発作も同時期より出現した。2001 年約3Kg の体重減 尿中カテコラミンの上昇はなかった。腫瘍の大きさから手術適応と
少と CT にて右腹部に腫瘍を認めたため、2001 年当院紹介となった。 考え摘出した。腫瘤は右腎と強固に癒着しており剥離困難であった。
血中アドレナリン 59pg/ml, 血中ノルアドレナリン 1239 pg/ml, 血 腎細胞癌も否定できないため、右腎切除術施行した。病理では腫瘤
中ドーパミン 49 pg/ml, 尿中アドレナリン 14.5μg/day, ノルアド は平滑筋様細胞の束状増殖からなり、異常な血管が散見された。通
レナリン 325μg/day, ドーパミン 972 μg/day, VMA18mg/day とカ 常の平滑筋腫とは像が異なることから、脂肪細胞の乏しい血管筋脂
テコラミンとその代謝産物の高値を認めた。CT では右肝と右腎に接 肪腫(AML)と診断された。免疫染色では、HMB45 陽性細胞が散見され
した径 13cm の多房性の腫瘍を認めた。
MRI では T1 強調像で低信号強 た。AML は血管、平滑筋、脂肪細胞の混合により形成される良性腫瘍
度、T2 強調像で高信号強度を認めた。131I−MIBG シンチでは右副腎 で、結節性硬化症でもみられる。本例は結節性硬化症ではなく、腎
に 13cm の環状の集積を認めた。ホルモン値と MRI とシンチより右 AML 単発例である。AML で MIBG 陽性例は報告がない。AML で MIBG 陽
副腎原発の褐色細胞腫と診断した。
【経過】
2001 年7月に腫瘍を摘出 性例を初めて報告する。MIBG 陽性でも褐色細胞腫とは限らない。
した。術中に肝右葉と右腎への浸潤を疑い、右副腎、右腎摘出、肝
右葉切除術、胆嚢摘出術施行した。術後、ホルモン、血圧、耐糖能
は正常化した。2005 年 CT で両下肺に微細な多発結節と肝左葉に 3
個の径1cmの結節を認めた。同部位に 131I−MIBG の集積を認めた
ため転移と考え、2006 年 1 月に 131I−MIBG 7110MBq を用いた内部照
射を金沢大学付属病院にて施行した。一過性の血小板減少症のほか
副作用無く、腫瘍の縮小を認めた。
【結論】131I−MIBG による悪性褐
色細胞腫の内照射治療は有効であり、高齢者にも安全に施行可能と
考えた。
P-2-09-01 強い鬱症状とクリプトコッカス肺炎を合併した副腎腺
腫によるクッシング症候群の一例
1
日本大学 医学部 腎臓内分泌内科、2 日本大学 医学部 総合内
科
田平 佳子 1、小菅 琴子 1、青井 則子 1、鈴木 亮 1、松本 史郎 1、
梶原 麻美子 1、宇都 栄作 1、石川 清一 1、原島 歩美 1、中川 太
一 1、相馬 正義 1,2、松本 紘一 1
本態性高血圧症、糖尿病、高脂血症のため治療中、低カリウム血症
が出現したため精査したところ、血中コルチゾール 30.1 μg/dl、
尿中コルチゾール 511.2 μg/day 、
17-OHCS 20.5 mg/day、
17-KS 15.20
mg/day と上昇し、ACTH 5.0 pg/ml 以下と抑制が認められた。ACTH
は終日抑制、コルチゾールは終日高値で日内変動は消失していた。
画像診断では腹部 CT にて右副腎に約 15 mm の腫瘤を認め、131I アド
ステロール副腎シンチグラムでは右側副腎への集積と対側の抑制を
認めた。満月様顔貌、中心性肥満、野牛肩などの身体徴候も認め副
腎腫瘍によるクッシング症候群と考えられた。入院精査開始直後に
重度の鬱症状(検査、治療の拒否、希死念慮など)が出現した。ス
テロイド過剰状態によるステロイド精神病と考えられた。また、ク
リプトコッカス肺炎を併発し抗真菌剤にて治療した。コルチゾール
の過剰状態に対して副腎皮質ステロイド生合成過程において 11β位
水酸化を特異的に阻害するメチラポンを使用しコルチゾールの生成
を抑制し、かつ副腎不全の予防に酢酸コルチゾンの補充を行った。
メチラポンの投与開始後、精神症状は徐々に改善した。クリプトコ
ッカス肺炎の完治後、泌尿器科にて右副腎腫瘍摘出術が施行された。
術後はリン酸ヒドロコルチゾンナトリウムの補充を行い、副腎不全
徴候の出現することなく経過し退院となった。
P-2-09-02 アドステロールシンチが陰性であった、副腎 black
adenoma による Cushing 症候群の 1 例
1
防衛医科大学校 内分泌代謝内科、2 防衛医科大学校 内科3、3 防
衛医科大学校 泌尿器科
藤井 博子 1、岩本 雄次郎 1、安谷屋 徳章 1、飛梅 美智子 1、吉田
理恵 1、高祖 裕司 1、盛田 幸司 1、伊藤 敬一 3、早川 正道 3、元
吉 和夫 2、田中 祐司 1
【症例】34 歳女性【主訴】不妊【現病歴】平成 17 年に挙児希望で婦
人科受診。数年来の肥満、高血圧、糖尿病、白血球増多を指摘され
た。ACTH 低値、F 正常∼高値もあわせ Cushing 症候群を疑い、入院
精査となった。
【既往歴】喘息(10 年以上発作なし)。
【入院時所見】
身長 160cm, 体重 110kg, BMI 42, 血圧 160/114mmHg, 中心性肥満(+)、
満月様顔貌(+)、皮膚ひ薄化(+)、HbA1c 6.8%, ACTH <5pg/ml, コル
チゾール(F) 19.2μg/dl 【入院後経過】ACTH/F の日内変動消失、1
/8mg デキサメタゾン内服でも F の抑制なし、CT で左副腎に 2.5cm
大の腫瘤を認めたことなどから、左副腎コルチゾール産生腺腫によ
る Cushing 症候群と判断した。しかし、2 回のアドステロールシンチ
で両側副腎ともに明らかな集積を認めなかった。泌尿器科で腹腔鏡
下内視鏡的左副腎摘出術施行し、摘出組織には 3cm 大の黒色調の腫
瘍と萎縮した黄色調の正常副腎が認められた。腫瘍の病理診断は
black adenoma であった。術後副腎不全徴候を認めたが、ヒドロコル
チゾン補充により軽快した。
【考察】シンチ陰性であることから、当
初典型的な副腎腺腫以外の可能性として副腎癌も疑った。しかし、
最終的には black adenoma と診断された。機能性の black adenoma
は通常の機能性腺腫と比べ、コルチゾール値などに有意差はないが、
シンチ陰性例の報告が散見される。コルチゾール合成能に差がなく
とも、その貯蔵→放出の turn over 速度の違いに由来するのかもし
れない。
【総括】アドステロールシンチ陰性の副腎性 Cushing 症候群
の鑑別には、black adenoma も考慮する必要がある。
P-2-09-03 副腎 black adenoma による Cushing 症候群の一例
1
東京医科大学 糖尿病代謝内分泌内科、2 東北大学医学部 病理病
態学講座
簡 健志 1、三輪 隆 1、石田 順子 1、大久保 美樹 1、黒田 直孝 1、
田辺 節 1、武田 御里 1、今野 一誠 1、粂川 真里 1、鈴木 孝典
1
、伊藤 禄朗 1、笹野 公伸 2、小田原 雅人 1
【症例】41 歳男性.約 2 年前より腰痛と浮腫が出現し他院受診,骨粗
鬆症以外の原因は不明であった.2006 年 1 月当院受診,満月様顔貌と
中心性肥満を認め,CT・迅速デキサメサゾン抑制試験より,左副腎腫
瘍による Cushing 症候群と診断され,手術目的にて 3 月入院となっ
た.【経過】身長 178cm,体重 70kg.血圧 150/100mmHg.単純 X-P にて胸
腰椎に多発性圧迫骨折,骨シンチでは両側肋骨・骨盤に多発性の取り
込みが確認された.adosterol シンチでは健側取り込み欠如に加え,
患側の取り込みも殆ど認めなかった.摘出腫瘤の割面は,典型例
Cushing 症候群の腺腫とは明らかに異なる黒褐色を呈し,組織学的に
はリポフスチンを大量に含有する細胞主体の black adenoma と診断
された.また免疫組織学的検索では,ほとんどの腫瘍細胞においてス
テロイド合成酵素である c17,3β-HSD,scc,c21 の著明な発現が確認
され,付随副腎皮質での束状・網状層の顕著な萎縮を考え併せると,
コルチゾル過剰分泌が比較的長期間に及んでいたことが示唆され
た.術後速やかに浮腫の改善・血圧低下を認め,ホルモン補充は約半
年間で不要となった.【考察】副腎 black adenoma はその特異的な肉
眼的所見で知られ,多くは内分泌学的に不活性である.内分泌活性を
有する例は女性に多く,Cushing 症候群が大部分を占める.今回経験
した壮年男性の black adenoma 症例は,Cushing 症候群として典型的
な表現型を呈した一方,多発性病的骨折を認め,adosterol シンチで
取り込みを認めなかった点では非特異的であった.black adenoma に
よる Cushing 症候群は本邦報告例でもその総数は 90 例に満たず,稀
少かつ興味深い症例と考えられた.
P-2-09-05 解離性大動脈瘤を合併した Cushing 病の一例
P-2-09-04 感染をコントロールし、肺小細胞癌の治療を続けえた
異所性 ACTH 産生症候群の一例
1
東京大学医学部 腎臓・内分泌内科、2 東京大学医学部 呼吸器内
科
代田 翠 1、槙田 紀子 1、西本 光宏 1、仁科 祐子 1、林 菜子 1、
森 典子 1、伊東 伸朗 1、工富 知子 2、大沼 仁 2、一色 政志 1、
飯利 太朗 1、福本 誠二 1、藤田 敏郎 1
肺小細胞癌による異所性 ACTH 症候群(EAS)は現疾患治療開始後も日
和見感染で不幸な転帰をとる例が多い。我々は診断時コルチゾール
(F) 50 μg/dl 以上で日和見感染症を合併しながらも、感染のコント
ロールの後、複数の化学療法と放射線療法を継続しえた症例を経験
した。症例は 76 歳男性。2006 年 3 月筋力低下、血圧コントロールの
不良を主訴に近医受診。K 2.0 mEq/l の低 K 血症を認め、精査にて肺
小細胞癌による EAS と診断された。著明な高コルチゾール血症にノ
カルジア感染症を合併しており、速やかにメチラポンと ST 合剤を開
始。両者がコントロールされた後、化学療法を 4 コース行い、一旦
腫瘍は縮小し(PR)、Cushing 症候群もコントロールされた。しかしそ
の後、再発と脳転移を認め、現在全脳照射に加えて化学療法を追加
施行中である。なお、治療前の ACTH は 1500 pg/ml (F 54.1 μg/dl)
であったが、化学療法の治療間に増減を繰り返し、最大で 5810
pg/ml(F 16.1 μg/dl)、PR の時点では 94 pg/ml まで低下した(F 4.5
μg/dl)。一方、F は徐々に低下し(ACTH 2200 pg/ml に対して F 2.9
μg/dl)、副腎の腫大も改善。経過中副腎不全を示したこともあり、
コルチゾール補充量の調整を要した。肺小細胞癌による EAS の中で
もこれほどの ACTH 高値を呈する例は少なく、また、同量のメトピロ
ン内服下にもかかわらず F と連動していない時期もあり、その乖離
を含めた内分泌学的経過について、若干の考察を加えて報告する。
P-2-09-06 メトピロンが著効し、臨床所見が消失した Cushing 症
候群の一例
1
福岡大学病院 内分泌・糖尿病内科、2 福岡大学病院 臨床検査部、 1 太田綜合病院附属太田西ノ内病院 総合診療科
3
福岡大学病院 循環器内科、4 笹栗内科循環器科クリニック
吉田 亮子 1,2、藤田 愛 1、明比 祐子 1,2、永石 綾子 1、光吉 陽子 佐藤 憲行 1、栗山 千津子 1、菅原 慎一 1、星野 智祥 1、菊池 明
1
、竹之下 博正 1、 緒方
秀昭 1、小河 一彦 1、安西
慶三 1、 夫 1、太田 昌宏 1
河村 彰 3、小野 順子 1,2、田村 和夫 1、篠栗 学 2
。<現病歴>H16 年4月より歩行時の
症例は 40 歳女性。
35 歳時高脂血症を指摘された。
同年突然の背部痛、 症例は 66 歳女性(当科受診時)
呼吸困難、四肢のしびれを自覚し、近医にて過換気症候群と診断さ ふらつき、後頭部頭重感、複視が出現するようになった。近医受診
れた。この際、高血圧も指摘され、薬物療法を開始された。この頃 した際に高血圧(190mmHg 台)を指摘され降圧薬の内服を開始した。
より満月様顔貌、水牛様肩が出現し、38 歳時以降無月経となった。 頭部精査勧められ5月に近医受診し、頭部 MRI 施行され下垂体腫瘍
40 歳時、感冒で受診した際に Cushing 症候群を疑われ当院を受診。 が疑われたため 7 月に当院脳外科を受診した。脳外科受診時、ACTH
・cortisol(34.2μg/dl)の高値を認め、Cushing 病を疑
ACTH 87.8 pg/ml、コルチゾール 25.0 μg/dl、DHEA-S 2610 ng/ml、 (75pg/ml)
尿中コルチゾール 239μg/day、17OHCS 16.3 mg/day、17KS 14.2 われ当科紹介され精査目的に入院となった。血糖は経口血糖降下薬
mg/day、デキサメサゾン抑制試験では 8 mg で抑制を認めた。頭部 を内服したが十分なコントロールは得られなかった。中心性肥満、
dynamic MRI で下垂体前葉の右腹側に造影効果不良の径3mmの腫瘤を 満月様顔貌、多毛を認め、さらに cortisol の日内変動は消失してお
認め、Cushing 病と診断した。CT で胸腹部解離性大動脈瘤(Stanford り、デキサメサゾン抑制試験(1mg、8mg)でも十分な抑制が認めら
B 型)を認めた。偽腔が画像上血栓化を認めなかったため、厳重な血 れなかった。ACTH 高値より海綿静脈洞サンプリングを施行したが明
圧管理を行い、3か月後増悪傾向がないことを確認の上、経蝶形骨 らかな異常を認めなかった。異所性 ACTH 産生腫瘍も否定できず CT
9 月にメトピロン試験を
洞下垂体腺腫摘出術を行った。術後経過は良好で血圧、高脂血症の 等検査するも明らかな腫瘍は認めなかった。
著明な改善を認めた。過剰なコルチゾールは血管内皮細胞や中膜へ 施行したところ、直後より低 K 血症、耐糖能異常、高血圧の自然軽
K 製剤による補充・糖尿病治療薬を中止することができた。
の脂質およびムコ多糖体の沈着、中膜の変性などをきたすことが報 快を認め、
告されており、これらが動脈瘤の形成を促進すると考えられる。 退院半年後の検査にて cortisol の日内変動を認め・デキサメサゾン
Cushing 症候群に解離性大動脈瘤を合併した報告は稀であり、
文献的 抑制試験(1mg)にて十分な抑制を認めた。約 2 年半にわたり外来に
て follow up 中であるが、自然軽快の後も低 K 血症、耐糖能異常、
考察を加えて報告する。
高血圧は認められず、ACTH・cortisol も正常値を維持している。今
回我々はメトピロン試験の後、臨床所見が消失した Cushing 症候群
の一例を報告する。
P-2-09-07 低カリウム血症の原因として韃靼そば茶の長期摂取の
関与が疑われた1例
1
大分大学医学部医学科生体分子構造機能制御講座、2 大分大学医学
部看護学科地域・老年看護学講座
嶋崎 貴信 1、後藤 孔郎 1、加隈 哲也 1、浜口 和之 2、吉松 博
信1
症例は 60 歳女性。平成 18 年 5 月に咽頭痛、発熱を主訴に近医受診。
血液検査所見で低カリウム血症が認められたため精査目的で入院と
なった。内分泌学的精査では特記所見はみられなかった。腎生検を
施行し、低カリウム血症の長期持続による間質性腎障害の所見を認
めた。約 3 年前より健康増進目的で韃靼そば茶を毎日 2∼3L ずつ摂
取していたため、入院後同茶摂取とカリウム補充を中止したところ
血清カリウム値正常化した。韃靼そば茶成分のルチンとフロセミド
の相乗効果によるカリウム排泄増加により低カリウム血症を来しや
すいとの報告やウーロン茶単独の大量摂取で低カリウム血症をきた
したという症例報告が認められるが、本症例では韃靼そば茶単独の
大量摂取で低カリウム血症をきたしたという可能性が考えられた。
韃靼そば茶の飲用中止後に低カリウム血症が改善したことより、韃
靼そば茶の関与は否定し得えないと思われたので考察を含めてここ
に報告する。
P-2-10-01 グルココルチコイドによる 11beta-hydroxysteroid
dehydrogenase-1 プロモーターの転写調節
1
浜松医科大学 小児科、2 エジンバラ大学 エンドクリノロジーユ
ニット
齋 秀二 1、中川 祐一 1、ジョナサン セックル 2、カレン チャッ
プマン 2、大関 武彦 1
【背景】細胞内でのグルココルチコイド (GCs) 作 用は,
11beta-hydroxysteroid dehydrogenase (11-HSD)により調節されて
おり、近年この系はメタボリックシンドロームとの関連において注
目されている。一方 GCs 自体が 11-HSD-1 に作用するという報告もあ
るがそれらの機序については,はっきりしていない。本研究では GCs
がどのように 11-HSD-1 の転写調節に影響をおよぼすか cell line を
用いて検討を行った.
【方法】HepG2 および A549 細胞に,11-HSD-1 P2
プロモーターをトランスフェクションし,dexamethasone (dex,
10-6M, 48 時間)による影響を,ルシフェラーゼアッセイにて検討し
た.A549 細胞では,dex による内因性の 11-HSD-1 mRNA への影響に
ついても検討を行った.
【結果】Dex は,HepG2 および A549 細胞で,
11-HSD-1 プロモーター活性を有意に上昇させた(3-4 倍).A549 細胞
では,内因性の 11-HSD-1mRNA は,Dex により発現が上昇した.この
反応は C/EBP プロテイン依存的であった.11-HSD-1 プロモーターの
5 -deletions を用いて,プロモーター上の C/EBP 結合領域近傍に,
GCs 反応領域を同定した.
【結論】GCs は 11-HSD-1 により細胞内で調
節を受けているが,GCs 自身もまた 11-HSD-1 の転写調節を行い,発
現を上昇させることが明らかになった.
肥満では,
脂肪細胞で C/EBPa
が多く存在し,同様のメカニズムが生じている可能性がある.この
GCs と 11-HSD-1 の相互調節機構は,肥満発生のメカニズムの解明に
寄与するものと考えられる.
P-2-10-02 エストラジオールによる 3T3-L1 脂肪細胞内 11 位水酸 P-2-10-03 副腎コルチコステロイドは神経細胞において NMDA 受
化ステロイド還元酵素 1 型の抑制機序について
容体遺伝子の発現を促進する
1
1
神戸薬科大学、2 京都大学大学院 内分泌代謝内科
高知大学 医学部 内分泌代謝・腎臓内科
多河 典子 1、湯田 亮介 1、南谷 恵里佳 1、益崎 裕章 2、荒井 直
樹 2、中尾 一和 2、小林 吉晴 1
【目的】マウスやラットの卵巣を摘出すると肥満が発症し,これら
の動物にエストロゲンを投与すると肥満が解消する.また,ヒトで
も閉経により体重増加が見られ,これらの作用は,以前からエスト
ロゲンの抗肥満効果として知られていた.しかし,詳細な抗肥満機
序については不明のままである.今回我々は細胞内でグルココルチ
コイドを活性化する変換酵素,11β-hydroxysteroid dehydrogenase
type 1(11β-HSD-1)がエストラジオール(E2)によって直接抑制
され,これが抗肥満機序の一つと考えられたので報告する.
【方法】
3T3-L1 成熟脂肪細胞(脂肪細胞)への分化は 3T3-L1 前駆脂肪細胞か
ら常法に従って調製した.脂肪細胞(6well プレート)および脂肪
細胞から調製したミクロソーム(Mc)中の 11β-HSD-1 活性測定は,
11-dehydrocorticosterone を基質とし,生成する corticosterone
を HPLC 法によって測定し求めた.
【結果】
脂肪細胞および Mc 中の 11
β-HSD-1 活性は E2(1∼100μM)によって用量依存的に抑制された.
また,E2 添加 2 分後で約 20%の抑制が認められ,その抑制はアクチ
ノマイシン D,タモキシフェン,ICI 182,780 によって影響されなか
った.さらに,E2 は小胞体内の hexose-6-phosphate dehydrogenase
や G-6-P transporter には影響しないことを確認した.一方,Mc を
用い阻害形式を Lineweaver-Burk plot で調べたところ,不拮抗阻害
であることが明らかとなった.
【結語】E2 は 11β-HSD-1 に直接作用
し,遺伝子を介さずその活性を抑制することが示唆された.
何 静 1、岩崎 泰正 1、谷口 義典 1、次田 誠 1、西山 充 1、田口
崇文 1、品原 正幸 1、岡崎 瑞穂 1、丸山 博 1、橋本 浩三 1
【目的】中枢神経系に対し高用量の副腎皮質コルチコステロイド
(CS) は短期的に不穏などの精神症状を、長期的に認知症や海馬神経
細胞の脱落を招来する。その分子基盤を解明する目的で、CS が代表
的な興奮性受容体 [NMDA 受容体各サブユニット遺伝子 (NMDA1, 2A,
2B)]ならびにアルツハイマー病関連遺伝子 [amyloid precursor
protein (APP), presenelin, BACE1 など] の発現に及ぼす影響を、
培養神経系細胞 (BE2M17, Neuro2A) および各種遺伝子プロモーター
を用いた in vitro の系において検討した。
【方法および結果】1) CS
(コルチコステロン)はアルツハイマー関連遺伝子 presenelin,
BACE1 の転写活性には影響を及ぼさず、APP の発現に対してはむしろ
有意の抑制効果を示した。2) 一方 NMDA1, 2A, 2B 各遺伝子の転写
に対しては、著明な発現促進効果を呈した。3) これらの効果は
NMDA1, 2A, 2B のいずれに対しても認められたが、NMDA1 に対する
効果がもっとも顕著であった。実際、CS が GR/MR を介して NMDA1 遺
伝子 5'プロモーター領域に直接作用し転写を誘導する可能性を支
持する結果が得られた。4) CS の存在下では高濃度グルタミン酸によ
る神経細胞毒性は有意に促進された。
【考察】CS 過剰におる神経細
胞死の少なくとも一部が、チャネルの過剰発現による細胞の興奮性
亢進と、結果的に生じる興奮毒性に起因している可能性が示唆され
た。NMDA 受容体拮抗剤やミネラロコルチコイド受容体に対する拮抗
剤が、ステロイドによる脳の老化に有効である可能性もあり、認知
症の治療や予防に対する応用が期待される。
P-2-10-04 副腎皮質ステロイド合成における store-operated Ca2+
channel の関与
1
浜松医科大学 第二内科、2 浜松医科大学 臨床検査部
P-2-10-05 Dehydroepiandrosterone(DHEA) の脂肪細胞および
klotho 発現に及ぼす影響
1
岐阜大学総合病態内科学
林 千雅 1、飯野 和美 2、沖 隆 1、山下 美保 1、余語 宏介 1、松
下 文枝 1、中村 浩淑 1
【背景】以前から副腎皮質ステロイド合成における Ca2+の供給には、
主に電位依存性 Ca2+ channel が関与することが知られている。近年
新しい Ca2+流入 channel として store-operated Ca2+ channel (SOC)
が報告され、特に細胞内貯蔵 Ca2+の枯渇の際、働くものと考えられ
ている。私達は副腎皮質培養細胞で ACTH 刺激によるステロイド合成
が SOC blocker によって抑制され、ステロイド合成に SOC が関与す
る可能性を報告した。
今回SOCを含むreceptor mediated Ca2+ channel
の分子的実体と考えられている transient receptor potential
channel family C (TRPC)の副腎皮質網束状層における発現を検討し
た。
【方法】雄 SD ラット副腎皮質球状層、網束状層を用いて RNA 抽
出を行い、RT-PCR 法にて TRPC1∼7 mRNA の発現を観察した。positive
control としてラット大脳、心臓、肺、腎臓、精巣を同様に検討した。
【結果・考察】RT-PCR 法にて、副腎皮質球状層、網束状層いずれに
おいても TRPC1, 5, 6, 7 mRNA が存在することが確認された。TRPC1
が特に SOC との関連性が高いことが報告されている。過去の報告と
ほぼ同様に大脳では TRPC1, 3∼7 mRNA、心臓・肺では TRPC1, 3, 6
mRNA、腎臓では TRPC1,3,5,6 mRNA、精巣では TRPC2 mRNA の発現が見
られた。
さらにSOC の作用部位の検討としてSOC blocker によるStAR
タンパク合成への影響を検討し報告する。
梶田 和男 1、池田 貴英 1、森 一郎 1、松原 健治 1、宇野 嘉弘 1、
森田 浩之 1、石塚 達夫 1
【目的】今回我々は Dehydroepiandrosterone (DHEA)投与による
klotho と PI 3-kinase、p85 subunit (p85)発現への影響を検討した。
klotho は長寿関連の遺伝子として同定されており、血液中にも存在
するが、その意義は不明である。また p85 の増加がインスリン抵抗
性を招き、glucocorticoid によるインスリン抵抗性の原因と報告さ
れている。
【方法】Wistar rat を 0.4% DHEA 含有食投与、非投与群に
分け、1 年間飼育した。この経過観察中 DHEA 投与群は対象に比べ、
常に体重は減少していたが、DHEA 投与開始 2 週までみられた摂食量
の減少が、4 週後にはなくなっていた。従って、DHEA2 週の投与では、
DHEA 投与群と同量の食事を投与した pair fed 群を同時に検討した。
klotho、およびその他の発現は Western blot と RT-PCR で検討した。
【成績】DHEA 短期投与により、DHEA 投与群と pair fed 群で体重、
脂肪組織重量、IRI は同程度に減少した。腎の klotho の発現に差は
なかったが、血清中の klotho は両群で共に減少した。DHEA 投与後1
年で、体重、脂肪組織重量、IRI は低下した。また 7 週齢に比べ、1
年後に腎の klotho の発現は減少したが、
DHEA 投与でこれが改善して
いた。一方 p85 は DHEA により pair fed 群より減少をみせたが、0.4%
testosterone 含有食でも同じ結果が得られ、androgen 作用によるも
のと考えられた。
【結論】DHEA 投与により anti-aging 作用がある事
が示唆された。一方 p85 は DHEA、testosterone により低下したが、
これは glucocorticoid 作用に拮抗する androgen 作用の可能性が示
唆された。
P-2-10-06 ウシ血管内皮細胞におけるDHEAの抗アポトーシス作用
P-2-11-01 TBII 阻害型による甲状腺機能低下症妊婦:TBII 希釈試
験有用性の再認識
1
国立国際医療センター研究所 代謝疾患研究部、2 独立行政法人 労 1 田尻甲状腺クリニック
働者健康福祉機構
山下 亮 1、井狩 高平 1、安田 和基 1、関原 久彦 2、鏑木 康志 1 合志 和人 1、田尻 淳一 1
【目的】
副腎アンドロゲンである DHEA(dehydroepiandrosterone)は、
ガンや糖尿病、肥満、動脈硬化などの様々な疾患との関連性が報告
されているが、その詳細な作用機序は不明な点が多い。我々は DHEA
の作用の一つと考えられている抗動脈硬化作用に着目し、その分子
メカニズムの解明を行った。
【実験】ウシ大動脈内皮細胞(BAEC)を用
いて、培地中に DHEA を添加し、2 時間のプレインキュベーションを
行った後、過酸化水素を添加し、MTT 法と TUNEL 法にて細胞死とアポ
トーシスを測定した。次に Western blot 法にてアポトーシス関連タ
ンパク質の発現量を調べた。さらに 2D DIGE(蛍光ディファレンシャ
ル二次元電気泳動)法を用いて、
DHEA により発現変動するタンパク質
の探索を行った。
【結果】5×10-6 M の濃度の DHEA は過酸化水素に
よるアポトーシスの誘導を有意に抑制した。この時、Bcl-2 の発現に
変化はないものの、過酸化水素による Bcl-xl の発現低下が、DHEA
により抑止されていた。2D DIGE の結果から、過酸化水素により発現
変動するタンパク質スポットの中から、DHEA により、その変動が抑
えられる数個のタンパク質を検出した。
【考察】動脈硬化の発症の要
因として、活性酸素(ROS)や酸化 LDL などの酸化ストレスによる、血
管内皮細胞の障害が考えられる。DHEA はアポトーシスに関連するタ
ンパク質の発現を制御することで、ROS による細胞障害を回避し、抗
動脈硬化作用を持つことが推測された。
【背景】TBII 阻害型による新生児一過性甲状腺機能低下症の発症予
測は,TBII 希釈試験が有用であることを Matsuura らは報告した
(Endocrinol Japon 36: 865, 1989)
.
【症例】症例1:26 才,女.
初診時,T4 100μg/日服用中. FT4,TSH 正常,抗 Tg 抗体 4.8 U/ml
(<0.3),抗 TPO 抗体 260.0 U/ml (<0.3).妊娠 6 週時:TRAb 87.1%
(従来法)
,TSBAb 81.4% (45.6%>)
.TBII 希釈試験にて,4倍希釈
で TBII 38.7%と 50%>になった.出産時(女児,3264g)
:臍帯血 (児
の正常値) TSH 5.83 mU/l (2.9-12.4),FT4 1.00 ng/dl (0.90-1.67),
FT3 1.3 pg/ml (1.4-2.2).母児ともに順調.無事退院.症例 2:30
才,女.バセドウ病と診断. MMI 開始. 蕁麻疹出現.その後 PTU 服用.
2005 年 9 月,FT4 0.14 ng/dl, TSH 139.450 mU/L,PTU 中止.T4 100
μg/日開始.低下症発現時:TRAb 93.8%(第 2 世代)
,TSAb 101% (<
180),TSBAb 93.7% (<45.6%).妊娠 9 週:TRAb 91.7%(従来法)
.
TBII 希釈試験にて,8 倍希釈で TBII 38.1%.出産時(女児,2640g):
臍帯血 TSH 4.55 mU/l,FT4 1.39 ng/dl,FT3 1.57 pg/ml.母児とも
に順調.無事に退院.2 症例とも,TBII 希釈試験の結果が判明した
時点で,患者,家族,産科医に TBII 阻害型による一過性甲状腺機能
低下症の児が生まれる可能性は低いことを説明した.
【考察】もし,
TBII 希釈試験をしていなかったら,患者,家族,主治医(甲状腺専
門医,産科医)は,出産まで不安を抱き続ける.希釈試験の結果か
ら,新生児一過性甲状腺機能低下症の可能性は低いことが分かって
いたので,患者,家族,主治医ともに救われた.
【結論】TBII 希釈試
験は,日本人研究者が考案した素晴らしい予測法であるが,まだ十
分に活用されているとは言い難い.この試験の有用性をもっと知る
必要がある.
P-2-11-02 バセドウ病と診断治療されていた甲状腺ホルモン不応 P-2-11-03 甲状腺中毒症を認めた McCune Albright 症候群の高齢
症の一例
女性の1例
1
1
静岡赤十字病院 内科、2 浜松医科大学 第2内科
埼玉医科大学病院 輸血細胞移植部、2 埼玉医科大学 内科学 内
分泌内科・糖尿病内科
村上 雅子 1、佐々木 茂和 2、中村 浩淑 2
鈴木 美穂 1、中山 耕之介 2、波多江 朋美 2、泉田 太郎 2、池淵 研
二 1、片山 茂裕 2
原発性甲状腺機能亢進症として治療されていた甲状腺ホルモン不応 【症例】71 歳 女性 【主訴】食欲不振 【現病歴】約 20 年前より発
症の一例を経験したので報告する.【症例】 25歳女性【主訴】多 汗過多・顔面のほてり感を自覚していた。近医にて甲状腺機能異常
汗,動悸【現病歴】4 年前に他院で甲状腺腫大と甲状腺機能亢進症を を指摘され、2005 年 10 月 3 日当科紹介受診。TSH 0.01 μU/ml、FT3
指摘され精査されたが詳細不明で症状の変化なく通院中断,本年6月 8.54 pg/ml、FT4 3.09 ng/ml、hTRAb <1.0 IU/ml。123I 摂取率検査
多汗,動悸あり近医から甲状腺機能亢進症を疑われて当院紹介され にて、甲状腺左葉に集積を認め Plummer 病と診断したが、手術の同
TSH,FT4,FT3 共に高値を示し精査した.【現症】
身長 150cm,体重 40kg, 意が得られず、MMI 15mg を開始した。2006 年 1 月 2 日より 38℃台の
血圧100/67mmHg,脈拍70/分,甲状腺は柔らかく可動性良好,び漫性に 発熱と掻痒感が出現したため、自己判断で MMI 中止したところ、食
II 度の腫大を認めた.眼球突出や心雑音,下腿浮腫は認めず.【検査所 欲不振、呼吸困難が出現・悪化するため、1 月 13 日当科受診。心房
見】TSH1.81μU/ml,FT43.40ng/dl,FT3 7.91pg/ml,TPOAb,TgAb 0.1 細動・心不全を認め同日入院とし、MMI とヨウ化カリウム 50mg を開
以下,TSAb118%,TRAb1.0 未満,TBG14μg/ml,99mTcO4 シンチで軽度の 始したが、甲状腺中毒症は改善せず。再度手術療法の必要性を説明
び漫性腫大,total uptake2.78%で正常範囲内で,ECG は心拍数70 で洞 し、甲状腺左葉切除術を施行した。67 歳時、右蝶形骨洞の線維性骨
調律であった.下垂体MRI で腫瘍性病変を認めず.TRH 負荷試験でTSH 異形成症の手術歴があるため、骨シンチグラフィーを行なったとこ
は基礎値 2.24 から頂値 16.3μU/ml に良好に反応した.【経過,考察】 ろ、右半身を中心とした多発性の集積を認め、線維性骨異形成症と
以上から TSH 不適切分泌症候群 SITSH を呈するが TSH 産生下垂体腫 考えられ、McCune Albright 症候群が疑われた。甲状腺切除標本を用
瘍は否定的で,甲状腺ホルモン不応症RTHを疑い甲状腺ホルモン受容 いて、Gsαサブユニットの遺伝子解析を行い、Arg201 →His の変異
体 TRβ遺伝子異常の有無につき解析した.末梢白血球から DNA を抽 を認め確定診断に至った。
【考察】高齢者での報告は稀であり貴重な
出し,TRβ遺伝子のエクソン 9・10 を PCR にて増幅しシークエンスを 症例と考えられる。低身長(142cm)を認めたことから、思春期早発
決定した.コドン332のヘテロ変異G332Eを認め,TRβ変異によるRTH 症の合併も疑われたが詳細不明であった。皮膚の cafe au lait spots
と診断した.頻度の高い原発性甲状腺機能亢進症の診療において,経 も認めなかったことが、高齢になるまで診断されなかった一因と考
過中に SITSH を呈する場合には RTH の可能性について考えることが えられる。多発性の線維性骨異形成症は悪性化することがあるため、
重要である.本疾患は臨床的にはなお稀と考えられるが,病態は興味 定期的に画像検査で経過観察を行う予定である。
深く臨床像を報告する.
P-2-11-04 不適切 TSH 分泌症候群を呈するプランマー病の1女性 P-2-11-05 バセドウ病による肺高血圧の頻度と特徴
例
1
公立南丹病院 内分泌科、2 三菱京都病院 内科、3 生産科学研究所、 1 亀田メディカルセンター糖尿病内分泌内科
4
京都医療センター
浜本 純子 1、中山 桂 1、桝澤 政広 1、松田 昌文 1
梶田 芳弘 1、山本 徹 1、吉田 章 2、越智 幸男 3、田上 哲也 4
症例は 69 歳女性。他院で 2004 年 1 月人工弁による僧帽弁置換術を
施行した。術後頻拍性の心房細動があり、貧血がほぼ改善したにも
かかわらず、心拍数の低下を認めなかった。そのため甲状腺機能検
査を施行。FT3 6.1、FT4 3.73、TSH 4.08 と不適切 TSH 分泌症候群の
状態で、下垂体の造影 MRI でも異常なく 2004 年 9 月当院に紹介とな
った。当院の甲状腺機能検査では T4 11.1、FT3 4.39、TSH 5.07、第
1世代 TRAb -15.5、TRAb-CT 2.5、TSAb 100 であった。TRH 負荷テス
トで TSH 値は、HAMA の影響を受けにくいエクルーシスの ECLIA キッ
トで前 4.73、30 分 8.20、60 分 7.61、120 分 6.30 と反応し、リアグ
ノスト IRMA キットも、ほぼ類似した値が得られ、HAMA の存在は否定
的であった。甲状腺超音波で右葉に結節性病変が、甲状腺シンチで
同部に機能性結節が認められプランマー病と診断された。
TSH 高値の
原因として、αサブユニットが 1.48 と軽度高値であったため再度下
垂体ダイナミック MRI 検査を施行したが異常を認めず、ヒト TSH 自
己抗体の検索でも陰性であった。また甲状腺ホルモン受容体β遺伝
子の解析でも異常を認めなかった。患者はワーファリンの服用が必
須であり、心機能の面からも外科的治療は選択しにくく、甲状腺機
能亢進症に対し同年 11 月からメルカゾール 10mg を開始し、
現在 5mg
の維持療法中である。メルカゾール投与後臨床症状は改善し、甲状
腺機能は同年 12 月には T4 9.07、FT3 3.37 と正常範囲内となったが、
TSH6.34 と高値を呈した。現在治療開始後約2年となるが、甲状腺機
能は T4 8.63、FT3 3.09 、TSH 9.41 と TSH 不適切分泌症候群の状態
を持続している。以上現在病因不明の不適切 TSH 分泌症候群を呈す
るプランマー病の1女性例について報告する。
【背景】バセドウ病と肺高血圧(PH)の関連は、一般的には知られ
ていない。しかし、1995 年頃からバセドウ病による甲状腺中毒期に
一致して可逆性の PH を呈した症例報告が国内外に散見される。
【目
的】初発無治療甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の患者における PH
の頻度、PH 患者の特徴について検討する。
【対象】2006 年 4 月から
11 月の間に新たにバセドウ病と診断された 18 例。
(平均年齢:50.1
±17.2 歳,TSH<0.1μU/ml, FT4 6.8±5.0ng/dl, FT3 18.5±
6.5pg/ml)
【方法】診断と同時に心電図・胸部レントゲン・経胸壁
心臓超音波を施行し、PH のみられた症例は、その他の原因検索のた
め CT・肺換気血流シンチ・採血などを追加して施行した。
【結果】18
例中 6 例(33%)において肺高血圧が認められた。平均 RV-RA 圧較
差は、44.3±5.5mmHg。肺高血圧の有無により 2 群間にわけ、年齢・
FT3/FT4 比・TRAb・TSAb・甲状腺の大きさの比較を行った。年齢にお
いて 2 群間に有意差が認められたがその他の特徴において有意差は
認められなかった。
(肺高血圧あり vs なし:70.5±5.5 歳 vs39.9±
10.2 歳,p<0.0001)甲状腺ホルモンが正常化した時点で、再度心臓
超音波を施行したところ全例 PH は消失していた。
【結語・考察】初
発バセドウ病患者の約 30%と高頻度に PH を認めた。また、PH が無
い症例と比較し高齢の症例が多かった。高齢者では,甲状腺ホルモ
ン過剰による症状が出現しにくく長期にわたり甲状腺機能亢進状態
にさらされている可能性が高いことや,血管の弾力性が低下してい
ることなどが関与していると考えられる。
P-2-11-06 PTU 治療中に突発性難聴を合併した MPO-ANCA 陽性およ
びループスアンチコアグラントのバセドウ病の一例
1
群馬大学大学院 医学系研究科 病態制御内科
石塚 高広 1、佐藤 哲郎 1、渋沢 信行 1、橋本 貢士 1、山田 正信
、森 昌朋 1
【症例】36 歳、女性。平成 16 年 4 月 7 日、眼球突出、月経不順を主
訴に当院受診。甲状腺腫大を認め、TSH <0.05μU/ml、fT3 >
20.0pg/ml、fT4 7.5ng/dl、TRAb 49.9%であり、バセドウ病と診断し
た。チアマゾール(MMI)30mg/day 投与始後、皮膚掻痒感出現したため
プロピルチオウラシル(PTU)100mg/day に変更し治療を継続してい
た。その後甲状腺機能は正常から軽度亢進状態を推移していたが、
平成 18 年 2 月にはバセドウ病増悪したため PTU 200mg/day に増量し
た。平成 18 年 7 月 3 日に突然右聴力低下が出現し、近医にて突発性
難聴と診断されプレドニゾロン(PSL)30mg/day で治療開始された。
そ
の後難聴は軽快し PSL 漸減、中止となった。自己免疫性の難聴の可
能性も考え血液検査を施行したところ、MPO-ANCA 612EU(<20)およ
びループスアンチコアグラント 1.4(>1.24)が陽性であった。PTU 内
服によるANCA関連血管炎症候群による突発性難聴の可能性も否定で
きないため、PTU の内服を中止し、バセドウ病に対してはアイソトー
プ治療に施行した。PTU 中止後 1 ヶ月で MPO-ANCA は 344EU と低下傾
向である。
【考察】PTU 服用者に ANCA 陽性例や ANCA 関連血管炎症候
群を合併するバセドウ病症例が報告されている。突発性難聴の発症
機序として細小血管炎に伴うものや抗リン脂質抗体症候群がある。
本症例においても PTU 内服中の自己免疫異常と突発性難聴発症の関
連性が示唆された。
1
P-2-11-07 長期経過中に多彩な合併症を呈した McCune-Albright
syndrome の一例
1
国立病院機構三重病院 内科、2 鈴鹿医療科学大学 保健衛生学部
医療栄養学科、3 国立病院機構三重病院 神経内科、4 国立病院機構
三重中央医療センター 消化器科、5 国立病院機構京都医療センター
臨床研究部
荒木 里香 1、三崎 盛冶 2、町野 由佳 3、中山 茂穂 3、渡邉 典子
4
、成瀬 光栄 5
【はじめに】McCune-Albright syndrome(MAS)は皮膚の cafe-au-lait
様色素沈着、多骨性線維性骨異形成、内分泌機能亢進の 3 主徴を伴
う症候群である。今回、これらに加えて経過中に糖尿病、多発性膵
のう胞、多発性大腸ポリープ、大腸癌、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を
合併した症例を経験したので報告する。
【症例】58 歳男性。28 歳時
に甲状腺腫が出現し徐々に増大した。36 歳時に体重減少、全身倦怠
感にて受診、皮膚の色素沈着、機能性腺腫様甲状腺腫(T3 196ng/dl、
T4 17.9μg/dl、TSH 1.1μU/ml)、先端巨大症(GH 16ng/ml、ソマト
メジン C 3.2U/l)、線維性骨異形成(頭蓋骨、左鎖骨)を認め MAS
と考えられた。46 歳時に甲状腺全摘され、甲状腺シンチ集積部の Gs
α遺伝子解析では Arg201 の Cys への変異を確認した。
下垂体 MRI では
下垂体腺腫なく、TRH 負荷での GH 奇異反応は認めなかったが、
75gOGTT にて GH 抑制はなく、GH とソマトメジン C は高値で 20 年間
大きな変動がなかったことより GH 産生細胞の過形成と考えられた。
腹部エコーで多発性膵のう胞を認め、膵炎による軟便が度々みられ
た。糖負荷試験は糖尿病型で、IRI の分泌遅延反応とインスリン抵抗
性を認めた。55 歳時に多発性大腸ポリープがみられ切除、5 個のう
ち1個に大腸癌を認めた。その後、球麻痺、四肢麻痺が出現、筋電
図、筋生検などから ALS と診断された。
【結語】約 30 年にわたる長
期経過中に多彩な合併症を認めた MAS の1例を経験した。Gsα遺伝
子変異とこれら合併症の病態との関与は不明で、今後の検討が必要
である。
P-2-12-01 慢性甲状腺炎を合併し TRβ遺伝子の G347A 変異を認め P-2-12-02 KI によるエスケープ:臨床的定義の検討
た全身型甲状腺ホルモン不応症の一例
1
1
東海大学 医学部 内科学系、2 伊藤病院
田尻甲状腺クリニック
佐藤 温洋 1、小池 陽子 1、伊藤 公一 2
田尻 淳一 1、合志 和人 1
甲状腺ホルモン不応症(RTH)は、
主に TRβ遺伝子の変異により甲状腺
ホルモンに対する組織の反応性が低下する疾患で全身型(GRTH)と下
垂体型(PRTH)に分類される。
L-T3 負荷試験で L-T3 に対する反応性低
下、TRβ遺伝子の G347A 変異、抗 TgAb および抗 TPOAb 陽性を認めた
一例を報告する。21 歳女性。出生時より頭頂部に径 3cm 大の脱毛を
認め、5 歳時に精査を希望し他院を受診。バセドウ病と診断、MMI 内
服による治療が開始された。12 年間内服を継続したが甲状腺ホルモ
ン高値を示すため MMI 休薬は不可能だった。その後、再度他院を受
診、甲状腺中毒症状が無いため 18 歳時 MMI を休薬。その後も甲状腺
ホルモン高値が持続、
放射性ヨード摂取率 59%と高値を示したため精
査目的で当院を受診した。身長 145.4cm(-2.1SD)、体重 41.2kg、血
圧 112/62、心拍数 60/分、整。頭頂部に 3cm 大の脱毛を認める。甲
状腺腫を触知するが手指振戦および眼球突出は認めない。TSH1.10μ
U/ml、FT3 6.00pg/ml、FT4 2.90ng/dl と TSH 正常範囲内、FT3 およ
び FT4 高値だった。抗 TgAb21.5IU/ml、抗 TPOAb7.1IU/ml といずれも
陽性、TRAb および TSAb は陰性だった。MRI では下垂体腺腫の所見は
無く、TRH 負荷試験は TSH 前値 0.725μU/ml、30 分後頂値 11.2μU/ml
と正常反応だった。RTH を疑い L-T3 負荷試験(50μg/日、100μg/日、
200μg/日、各 3 日間内服)を施行した。L-T3 負荷後、TRH 負荷試験
による TSH 反応性は低下し、L-T3 負荷に対する蛋白質代謝および尿
中マグネシウム代謝の反応性低下を認めた。血中総コレステロール
はL-T3負荷前は237mg/dlと高値だったがL-T3負荷により低下した。
以上の所見は GRTH の所見に一致した。遺伝子検査を施行、TRβ遺伝
子のG347A 変異を確認し慢性甲状腺炎合併GRTH と診断した。
その後、
経過は安定している。
【背景】KI によるエスケープ(以下 E)は有名であるが,明確な定
義がなされてない.
【目的】
KI による E の臨床的定義について検討す
ること【対象と方法】主に 2004 年 4 月以降の症例で,抗甲状腺薬(以
下,ATD)が使用できないまたは服用に不安を持つバセドウ病患者 97
名.初期投与は,KI 1 丸/日(ヨード 38.5mg)を全例に投与.効果
が不十分な場合,KI 3 丸/日まで増量.効き過ぎの場合,KI 1 丸/隔
日に減量.
【結果】ATD 開始から KI 投与までの期間 1.7±1.1 ヶ月
(0.1-15:159, 39 ヶ月は除外した)
.KI 投与期間 13.1±12.1 ヶ月
(1∼84 ヶ月間)
.97 例中 23 例 (23.7%) で、KI 1 丸/日にて効果が
不十分であった.この症例を E とすると,23.7%は E を起こしたこと
になる.しかし,この 23 例中 19 例 (82.6%) では、KI 増量にて甲状
腺ホルモン値を正常に保持できた.KI 増量にもかかわらず,E を起
こしたのは 8 例(8.2%)であった.最終治療法は,op 2 例、RI 4
例、PTU 2 例.KI 増量にもかかわらず,甲状腺ホルモンを正常に保
持できない場合,エスケープと呼ぶべきである.臨床的な E を,完
全型と部分型に分類した.完全型 E:KI 増量にもかかわらず,甲状
腺ホルモンレベルが未治療時に戻る.部分型 E:KI を増量するとあ
る程度は甲状腺ホルモンを抑えられるが,未治療のレベルまでには
至らない.
【まとめ】KI 1 丸/日で効果がない症例は,以前は E とさ
れていた可能性がある.KI を増量することで,甲状腺ホルモンを正
常化できる症例は多い.これは,臨床的には E と呼ぶべきではない.
【結論】KI によるエスケープは,KI 増量することにより完全型と部
分型に分類できるが,どちらも臨床的にはエスケープとして対応す
べきである.
P-2-12-03 機能性甲状腺結節により甲状腺中毒性周期性四肢麻痺
を来たした一例
1
東北大学 大学院医学系研究科 腎・高血圧・内分泌科、2 東北大
学医学部保健学科病態検査学分野
尾崎 泰 1、森 弘毅 1、吉田 克己 2、中川 吉則 1、平林 佐依子 1、
伊藤 貞嘉 1
【背景】機能性甲状腺結節(AFTN)による甲状腺中毒性周期性四肢麻
痺(TPP)は稀である。TPP の病因は不明で、家族性低カリウム血性周
期性四肢麻痺で認められるイオンチャネル異常はほとんどないとさ
れている。また AFTN の病因として TSH 受容体(TSHR)、Gsαの異常が
報告されているが、これらの異常は本邦では少ない。今回 AFTN によ
る TPP の 1 症例を経験し、イオンチャンネル、TSHR の遺伝子解析を
行ったので報告する。
【症例】42 歳男性。四肢麻痺の家族歴はない。
28 歳時体熱感、発汗過多が出現し、33 歳時自然回復する下肢近位筋
脱力を自覚するようになった。同年起床時より持続する下肢脱力が
出現したため近医を受診したが、甲状腺機能亢進症を指摘され当科
紹介となった。甲状腺左葉に結節を触知し、甲状腺シンチグラフィ
ーで同部に hot spot を認めたことから AFTN と、また病歴から TPP
と診断した。その後潜在性機能亢進状態であったが H17 年に機能亢
進が顕在化し、下肢脱力発作を反復したため平成 18 年 5 月放射性ヨ
ード療法を施行した。甲状腺機能は正常化し、脱力発作は見られて
いない。
【方法】TSHR exon 10 全長の遺伝子シークエンス解析を行っ
た。カルシウムチャンネル CACNA1S、カリウムチャンネル KCNE3 につ
いて PCR-RFLP 法にて突然変異の検索を行った。
【結果】TSHR exon 10
全長における遺伝子異常、CACNA1S、KCNE3 の遺伝子異常は認められ
なかった。
【結語】AFTN による TPP において TSHR およびイオンチャ
ンネルに遺伝子異常は認められなかった。
P-2-12-05 出産後に阻害型抗 TSH 受容体抗体による甲状腺機能低
下症を見出された骨髄移植後の再生不良性貧血の1例
1
東京都立駒込病院 内分泌代謝科、2 血液内科
飛鳥田 菜美 1、片柳 直子 1、坂巻 壽 2、久保田 憲 1
【目的】出産後には自己免疫性甲状腺疾患の発症や増悪がみられ,
種々の経過の甲状腺機能異常をきたすことが知られている。私たち
は出産後に阻害型抗 TSH 受容体抗体による甲状腺機能低下症を見出
された興味深い例を報告する。
【症例】症例は 19 歳時に妊娠 7 ヶ月
で死産し 8 ヶ月後に再生不良性貧血を発症し当院で姉よりの同種骨
髄移植を受けた。
21 歳で強皮症をきたし慢性 GVHD の診断で副腎ステ
ロイドとシクロスポリンで加療され 28 歳で軽快した。その後,月経
が再来し 37 歳で妊娠し 38 歳時に他院で出産した。強い倦怠感を主
訴に出産 3 ヶ月後に来院,高脂血症の鑑別診断から原発性甲状腺機
能低下症(FT4<0.1ng/dl, FT3<0.7pg/ml, TSH 253μU/ml)を見出
された。甲状腺腫大なく巨舌と粘液水腫心を認めて TgAb・TPOAb 強
陽性,TRAb(human)329IU/L 強陽性,TSAb 110%陰性(NR<180)
,TSBAb
99.6%陽性(NR<45.6)から阻害型抗 TSH 受容体抗体による甲状腺機
能低下症と診断した。L-T4 を内服開始後,3ヶ月で機能正常化した
が TRAb 高値は持続した。耐寒性低下は妊娠以前から認めており血清
TC・Cr の高値も3年前から認められたため妊娠前からの機能低下症
と考えられた。児は新生児スクリーニングで甲状腺機能異常を指摘
されず,生後 110 日に行った甲状腺関連検査では FT4 1.5, FT3 4.3,
TSH 3.31 と機能は正常でTgAb<0.3U/ml 陰性, TPOAb1.5U/ml 弱陽性,
TRAb<1.0IU/L 陰性であった。
【結語】既往に再生不良性貧血に対す
る骨髄移植後の慢性 GVHD を認め,出産前からの甲状腺機能低下症が
推定され,新生児機能低下症をきたさず,出産後に TRAb と TSBAb の
高値で見出された阻害型抗 TSH 受容体抗体による甲状腺機能低下症
で,臨床的示唆に富む症例と考えられた。
P-2-12-04 バセドウ病クリーゼ治療法に関する検討
1
防衛医科大学校 内科 3、2 防衛医科大学校 内分泌代謝内科
安谷屋 徳章 1,2、内田 香介 1,2、川本 博嗣 1,2、濱田 耕司 1,2、藤
井 博子 1,2、北村 竜一 1,2、盛田 幸司 1,2、元吉 和夫 1、田中 祐
司 1,2
【背景】バセドウ病(BD)クリーゼ(BC)の治療につき自験+文献的考察
からステロイドの重要性を報告してきた(北村ら、当学会 2002)が、
最近、心不全を伴う新規 3 例を通じ示唆に富む経験をしたので、(1)
ステロイド要否(確認)、(2)心不全治療法につき考察・報告する。
【症
例 1】62 歳女性。58 歳発症 BD で治療中断中、心不全を伴って BC 発
症し入院。MMI + Hydrocortisone(HC)投与(ヨード(-)、利尿薬(-))
にて心不全改善、BC 脱却。
【症例 2】60 歳女性。45 歳発症 BD で 1 年
間、治療中断中。BC 発症(Af・心不全(起座呼吸+著明肝腫大))。
MMI+HC(ヨード(-))での機能改善に伴う HR 低下(180→100)と共に肝
腫大は急速に軽快。利尿薬は極少量のみ使用。
【症例 3】52 歳女性。
40 歳時発症の BD で 1 年間治療中断中。全身浮腫・著明胸腹水・Af・
肝不全(PT 14%, T-Bil 17)・fT4 3.5 より、BC・右心不全→鬱血肝と
判断。MMI+β遮断薬+mPSL+ヨードでの心拍数改善に伴い利尿がつき
胸腹水+黄疸消失(利尿薬は少量のみ使用)。
【考察】(1)前報との通算
BC 28 例で死亡 4 例あり、その内訳ではステロイド使用者 1 名(13 例
中)・不使用者 3 名(15 例中)となり、ステロイドの有用性が再確認さ
れた。(2)今回の 3 例とも右心≫左心不全の病態であったが、MMI
and/or β遮断薬が病態改善に奏効した事は、心拍コントロール
and/or 甲状腺機能改善による右→左 load 増加が治療上第一義的で
ある事を裏付ける一方、利尿薬はその使用による心拍出量低下が改
めて危惧された。
【結論】
BC 治療におけるステロイドの有効性が再確
認された。BC に合併する右心不全治療では心拍コントロールが第一
義的で、利尿薬は慎重投与に留めるべきと考える。
P-2-12-06 TSH 受容体遺伝子の新規 germline 変異を同定した甲状
腺機能亢進症の 17 歳男児例
1
2
神奈川県立こども医療センター 内分泌代謝科、
慶應義塾大学 小
児科、3 慶應義塾大学 薬理学
室谷 浩二 1、鳴海 覚志 2、豊田 有子 1、朝倉 由美 1、安井 正人
3
、長谷川 奉延 2、安達 昌功 1
【症例】17 歳男児.5 歳頃に気管支喘息,アトピー性皮膚炎を発症.
15 歳時の学校検診で初めて洞性頻脈を指摘.当院循環器科で精査す
るも器質的疾患は認められず.今回母親が頚部腫脹に気付き当科受
診.身長 158.2cm(−2.1SD)
,体重 45.9kg(−1.6SD)
.安静時心拍
114/分.甲状腺腫 2−3 度.眼球突出なし.骨レ線上,頭蓋骨早期癒
合の所見なし.骨年齢 19 歳 0 カ月.TSH <0.01 μIU/mL ,
f-T319.68pg/mL,f-T4>7.77ng/dL,TSAb185%,TSH レセプター抗体
6.2IU/L,TPO 抗体 43.6U/mL,Tg 抗体<0.3 U/mL,Tg190ng/mL.エコ
ー上,甲状腺はびまん性に腫大し(容量計約 30mL)
,腫瘤性病変はな
く,実質血流の増加を認めた.成長曲線上,成長促進の既往なし.
家族歴に特記事項なし.MMI 20mg/日と内服用ルゴールで治療開始し
た.その後 MMI 30mg/日まで増量したが,ルゴール中止により甲状腺
機能の再燃を繰り返した.
【方法&成績】本人の末梢白血球由来 DNA
を用いて TSHR 遺伝子の全コード領域を解析した結果,E362G(1085A
>G)がヘテロ接合で同定された.この新規アミノ酸置換は,健常対
照 100 名,甲状腺機能低下症患者 215 名に見出されなかった.家系
解析の結果,父親が E362G のヘテロ接合変異をモザイク状態で有し
ていた(白血球および爪由来 DNA にて確認)
.父親の甲状腺機能は,
TSH3.44μIU/mL,f-T33.36pg/mL,f-T41.21ng/dL と euthyroid 状態
であった.当日は,本変異の機能解析結果を含め,経過を詳述する
予定である.
P-2-13-01 バセドウ眼症に対する少量ステロイドパルス療法の効
果:続報
1
岡山大学 大学院 医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内
科学
鈴木 二郎 1、大塚 文男 1、稲垣 兼一 1、三好 智子 1、大谷 寛之
1
、後藤 順子 1、岸田 雅之 1、三村 由香里 1、小倉 俊郎 1、槇野
博史 1
我々は 2005 年の日本甲状腺学会にて、活動性を有するバセドウ眼症
(GO)に対する少量ステロイドパルス療法(mPSL 500 mg×2 日/週
を 3 クールまたは 3 日/週を 2 クール)+後療法(経口 PSL 20∼30 mg
より漸減)が、clinical activity score (CAS)・眼突度・MRI での
外眼筋所見を改善し、副次作用も少なく有効な治療であることを報
告した。今回我々は、症例を追加し同療法の有効性・長期予後につ
いて検討した。GO の 10 症例(男 1:女 9、平均 52 歳)に対し、少量
ステロイドパルス治療を施行し、治療前後での CAS・重症度(ATA 分
類)
、Hertel 眼突度、外眼筋 MRI 所見、血清 TSH 受容体抗体価・甲状
腺機能および血中脂質・HbA1c、血圧の変化について評価した。結果
として、少量ステロイドパルス療法により、1)CAS の改善:治療前
2.8 から治療後 0.9、2)MRI による外眼筋肥厚と T2 高信号所見の改
善、3)TRAb(-70%)・TSAb(-40%)の低下を認めた。治療後に一過
性の T.cho・HbA1c の上昇を認めたが、1 年後にはほぼ全例で治療前
値まで回復した。初回治療後1年以内の再発を 10 例中 2 例に認めた
が、再発例には非再発例と比べ CAS は同程度なるも ATA-IV 度、MRI
外眼筋肥厚が強いという特徴がみられた。再発例にも同治療を行い、
有効な治療効果が得られた。少量ステロイドパルス療法は、副作用
を軽減して反復投与ができる点で活動性GOに対して有用な治療法の
一つと考えられた。
P-2-13-02 当院で経験したバセドウ眼症患者の検討
P-2-13-03 バセドウ病に関連した死亡例の分析
P-2-13-04 術前核医学検査が有用であったバセドウ病合併甲状腺
髄様癌の一例
1
群馬大学 大学院医学系研究科 病態検査医学、2 群馬大学医学部
附属病院 乳腺甲状腺外科、3 群馬大学医学部附属病院 病理部
森村 匡志 1、常川 勝彦 1、荻原 貴之 1、鯉渕 幸生 2、柏原 賢治
3
、村上 正巳 1
【症例】73 歳、男性。自覚症状はなかったが検診にて CEA 高値を認
め、頸部 CT にて甲状腺左葉に単純で低吸収、造影で増強される 4×
3×5cm の腫瘤を認め、当院紹介となった。
【家族歴】父:喉頭癌・胃
癌・肺癌、兄:胃癌、姉:膵癌、弟:肺癌、母:脳梗塞。
【既往歴】胃潰
瘍、糖尿病、大腸ポリープ。
【検査所見】甲状腺左葉に弾性軟の結節
を触れ、頸部超音波検査にて内部に一部嚢胞変性を伴う腫瘤を認め
た。TSH <0.005μg/ml、FT3 4.5pg/ml、FT4 1.8ng/ml と潜在性甲状
腺機能亢進症の状態で、TRAb 39.3%、TSAb 722%とともに陽性であっ
た。カルシトニン 4950pg/ml と著増、サイログロブリン 33.7ng/ml
と軽度高値を認めた。
【経過】穿刺吸引細胞診にて、甲状腺髄様癌の
診断となった。99mTc-DMSA(V)シンチでは甲状腺左葉のみに強い集積
を認め、123I 甲状腺シンチでは左葉に cold nodule を認めたが、全体
での 24 時間摂取率は 37.7%と上昇していた。123I-MIBG シンチでは甲
状腺左葉のみに軽度集積し、副腎への集積なし、99mTc-MIBI シンチで
副甲状腺への集積なし、腹部 CT 上、腫瘤性病変は認めなかった。副
甲状腺、副腎ホルモンに異常なく、RET 遺伝子変異は認めず、バセド
ウ病合併散発性甲状腺髄様癌と診断した。甲状腺全摘手術が施行さ
れた。病理結果は甲状腺髄様癌で転移は認めず、非腫瘍部分はバセ
ドウ病に矛盾しないものであった。
【考察】バセドウ病に合併した甲
状腺髄様癌は非常に稀であり、今回文献的考察を加えて報告する。
術前診断に核医学検査が有用で、とくに髄様癌の診断に
99m
Tc-DMSA(V)シンチが有用と考えられた。
1
隈病院
窪田 純久 1、有島 武志 1、工藤 工 1、西原 永潤 1、大江 秀美 1、
伊藤 充 1、深田 修司 1、網野 信行 1、隈 寛二 1、宮内 昭 1
【目的と方法】バセドウ病が関連する死亡原因としては甲状腺クリ
ーゼ, 抗甲状腺剤による副作用, 不整脈の合併, 心不全などがある.
一般にバセドウ病は命にかかわる疾患ではないというイメージがあ
り, 治療を軽視する患者に遭遇することもある. しかし少ないとは
いえ若年患者における死亡を経験することがあり, 高度の甲状腺中
毒症を放置することは危険であると思われる. 今回我々はバセドウ
病で当院にて治療歴のある患者で過去10年間に死亡したことが判明
した 52 例について死亡原因を調査した.【結果】死亡原因へのバセ
ドウ病の関与が疑われる症例が 15 例(男性 6 例, 女性 9 例)存在し
た. 甲状腺クリーゼが 1 例, 突然死または急死が 12 例, 心不全 2 例
であった. 当院入院中に死亡した症例は 2 名, 死亡原因不明のため
警察からの問い合わせで死亡が判明した症例が 8 例, 救急隊および
他院からの問い合わせで判明したもの 2 例, 家族からの連絡で判明
したものが 3 例であった. 死亡時の平均年齢は 46.67±17.68 (mean
±SD)歳であり, 40 歳以下が 6 例存在した. 死亡前の最終受診日の
血中甲状腺ホルモン値は高値を示した例が多かった.【考察】バセド
ウ病が関連していると推定される死亡例は若年者にも存在した. バ
セドウ病が女性に多いことを考慮すると死亡例は男性に多いと考え
られる. 突然死のため死因が特定できず, 警察や家族からの連絡で
初めて死亡が判明することが多い. 死亡を把握できていない症例が
他にも存在している可能性がある.【結語】治療中断例や内服コンプ
ライアンス不良例においては突然死もありうることを念頭におき,
啓蒙する必要がある.
1
日本赤十字社和歌山医療センター 第 1 内科
花岡 郁子 1、澤村 誠 1、西 重生 1
症例:48 歳女性、主訴:複視 半年前より疲れ眼、その後複視も出
現したため近医眼科受診し、眼球運動障害を指摘され当院脳外科紹
介受診。症状が改善しないため神経内科も受診し甲状腺機能亢進症
を認めたため当科紹介。TRAb 陽性にてバセドウ病と診断しチアマゾ
ール 3T 開始、バセドウ眼症加療目的にて入院した。TSH0.01μIU/ml、
fT4 2.37ng/dl、fT3 4.06pg/ml、TRAb52%、甲状腺刺激抗体 971%。眼
球突出:右 15mm/左 16mm、Hess チャート:右上方偏視・高度眼球運
動低下、左やや下方偏視・眼球運動低下、角結膜・網膜・視神経異
常なし。眼窩 MRI にて右上直筋と左下直筋軽度肥厚、両眼窩内結合
組織の増加を認めた。ステロイドパルス療法を施行し若干症状の改
善を認めたが、MRI でも変化は認めなかった。効果不十分にて放射線
治療を施行し眼球運動の改善をわずかに認めた。甲状腺エコーにて
右葉に 10mm 大の腫瘍を認め FNA を施行したところ、papillary
carcinoma と診断。
またチアマゾールによる薬剤性肝機能障害も認め
たため、甲状腺右半切除術を施行した。術後癌の再発や転移はなく、
内服薬なしで euthyroid である。第1眼位でも右眼上方偏視、左眼
下方偏視は残存していたため大学病院眼科を紹介。右上直筋 7mm 後
転・右下直筋 4.5mm 短縮手術を施行、下直筋は萎縮傾向で癒着を認
めた。バセドウ眼症は症状が出現してから治療までの期間が短く、
外眼筋肥厚が著明でT2WIで高信号を示し活動性を認める場合にステ
ロイドパルス療法が効果的といわれている。本症例では症状発現か
ら治療まで半年以上経過し、著明な外眼筋肥厚はなく眼窩内結合組
織の増加や癒着を認めたためにステロイドパルスの効果が不十分
で、最終的に手術適応となった。最近 3 年間当院で経験したバセド
ウ眼症 10 症例も含め、その活動性・治療効果等について検討する。
P-2-13-05 1 型糖尿病合併バセドウ病に RI 治療を安全に行うため
に
1
伊藤病院、2 日本医科大学千葉北総病院、3 日本医科大学付属病院
P-2-13-06 放射性ヨード治療を行った Basedow 病患者の超音波ド
プラを用いた血流評価
1
東京大学医学部腎臓・内分泌内科、2 長岡赤十字病院、3 公立昭和病
院
國井 葉 1、吉村 弘 1、向笠 浩二 1、宮良 あやこ 1、皆川 晃伸 1、 森 典子 1、星山 彩子 2、西本 光宏 1、大黒 晴美 3、貴田岡 正史
高橋 育克 1、松本 雅子 1、清水 妙子 1、江本 直也 2、及川 眞 3、藤田 敏郎 1
一 3、伊藤 公一 1、伊藤 國彦 1
【目的】アイソトープ(RI)治療は、約一週間前から抗甲状腺剤と無 Basedow 病のアイソトープ治療は、甲状腺実質が necrosis を起こす
機ヨードを中止しておく必要がある。内服中止により甲状腺機能が ことで、甲状腺機能の低下および、抗原提示の低下を期待するもの
悪化し、糖尿病患者では血糖値のコントロールが不良となり、ひど である。アイソトープ治療後甲状腺は破壊による血流低下が予測さ
い症例いたってはケトアシドーシスを起こすこともある。今回我々 れるが、一方で治療直後は、抗体(TRAb)はむしろ上昇することが
は、 甲状腺機能を悪化させずに RI 治療を行う目的で、抗甲状腺剤 多く、破壊が軽度であれば血管床の血流が増加し、それがアイソト
とチラーヂン S 併用(block & replacement 治療:BR 療法)し良好な血 ープ治療の有効性の判断に使用できる可能性がある。今回、東芝
糖コントロールを得られたので報告する。
【対象】
2005 年 1 月∼2006 Aplio を用いて、3 次元超音波断層法により Basedow 患者 4 例のアイ
年 10 月までに RI 治療を行った 1 型糖尿病を合併したバセドウ病患 ソトープ治療による甲状腺体積の変化、および体積あたりの血流の
者 14 例中、データのそろった 10 例を対象とした。年齢は中央値 51 変化を測定した。結果として治療後全例において、アイソトープ治
歳(範囲 28∼64 歳)。男女比は 3 対 7。全例がインスリン注射で血糖 療後 1 ヶ月では、大きさの縮小と体積あたりの血流の低下を認め、
体積あたりの血流は低下し
コントロールを施行。RI 前の治療方法は、3 例が治療 2∼4 ヶ月前よ TRAb が上昇している症例であっても、
り BR 療法を施行、2 例が MMI、2 例が PTU、3 例が無機ヨード内服で ていた。また一方で血流や体積が減少しているにも関わらず、TRAb
あった。
【方法】
RI 治療前一週間内服を中止した時のホルモン値によ が増大し甲状腺機能亢進を呈する症例も認められた。アイソトープ
り正常(Eu)と甲状腺機能亢進(hyper)に分類し、それぞれの空腹時血 治療での治療効果予測として、治療前の甲状腺体積は治療効果予測
糖を両群で比較をし、インスリン量の変化もみた。
【結果】RI 治療前 に有効であることが示唆されたが、治療後の体積縮小率、甲状腺血
日の甲状腺機能は BR 療法で 3 例中 2 例で Eu であった。hyper は 1 流評価は必ずしも有効とはいえない結果となった。
例、ホルモン値は FT3 14.4 pg/ml、FT4 3.49 ng/dl であった。ATD
と無機ヨード治療では Eu は 1 例のみで他の 6 例の FT3 は 4.2∼21.5
pg/ml、FT4 は 1.62∼7.77 ng/dl であった。平均空腹時血糖値は Eu
で 158.5 mg/dl、hyper で 212.6 mg/dl であった。
【結論】糖尿病合
併バセドウ病の RI 治療を安全に行うためには、治療前後の甲状腺機
能をコントロールする必要があり、BR 療法が有用である。
P-2-13-07 妊娠出産を経て増大し顕在化した自立性機能性甲状腺 P-2-14-01 甲状腺濾胞腺癌術後に低カリウム血症および横紋筋融
結節(AFTN)の 1 例
解症を呈したシェーグレン症候群の一例
1
1
トヨタ記念病院 内分泌科
近畿大学 医学部 内分泌・代謝・糖尿病内科
伊藤 禎浩 1、篠田 純治 1、高桑 美咲 1、安田 詩奈子 1、吉田 昌
則1
症例は 35 歳女性。2004 年 6 月、甲状腺腫大を指摘され当院受診。TSH
1.23 μIU/ml、
FT3 3.46 pg/ml、
FT4 1.25 ng/dl、抗 Tg 抗体 2.5 U/ml、
抗 TPO 抗体 0.1 IU/ml、TRAb 0.6 %と甲状腺機能正常、慢性甲状腺炎
の診断。エコーでは、左葉に 36.0×33.8×44.8 mm の内部隔壁を伴
う境界明瞭な結節を認めた。2005 年 5 月に出産、6 月に定期受診。
TSH <0.08 μIU/ml、FT3 8.58 pg/ml、FT4 2.94 ng/dl と甲状腺機
能亢進を認めた。エコー上、左葉結節は 48.7×46.8×49.7 mm に増
大した。出産後発症した Basedow 病や破壊性甲状腺中毒症を念頭に
おき経過観察した。甲状腺機能亢進は持続し、期間中に測定した
TRAb、TSAb は基準値以下であった。診断を確定するため 2006 年 3
月、甲状腺シンチグラムを施行。結節部位に hot nodule を認め、
自立性機能性甲状腺結節(AFTN)と診断。2006 年 5 月左葉切除術施
行した。術後甲状腺機能低下を認め、l-T4 50μg 内服し機能正常と
なった。妊娠中や出産後に甲状腺結節が増大する報告は散見されて
いる。又、AFTN は、腫瘍径が大きいほど甲状腺機能亢進を認める可
能性が高いとされている。妊娠出産を経て増大し、顕在化した AFTN
の1例として報告する。
原田 剛史 1、大野 恭裕 1、山内 孝哲 1、山片 里美 1、村田 佳織
1
、守口 将典 1、伊藤 裕進 1、野口 周也 1、馬場谷 成 1、小牧 克
守 1、川畑 由美子 1、池上 博司 1
甲状腺濾胞腺癌、シェーグレン症候群とも主に中年が好発年齢であ
る。今回我々は、20 歳代で、甲状腺濾胞腺癌とシェーグレン症候群
による尿細管性アシドーシスが出現した一例を経験したので報告す
る。症例は 29 歳女性。以前より甲状腺右葉に腫瘤を認めていたため、
当院外科で右葉切除術を施行した。病理組織所見は甲状腺濾胞腺癌
であった。術前の血清 K 値は 3.2mEq/l であったが、手術 1 ヶ月後に
は 2.1mEq/l まで低下したため、当科を紹介受診した。その後、CPK
が 1675IU/l と上昇し、四肢近位筋の疼痛が出現したため、入院とな
った。検査の結果、内分泌異常は認めず、pH7.355、pCO2 29.51 Torr、
pO2 104.1 Torr、HCO3-16.1mEq/l、BE-9.4mEq/l であり、アニオンギ
ャップ正常の代謝性アシドーシスおよびpH7.5∼8.5のアルカリ尿を
認めたことから、尿細管性アシドーシスによる低 K 血症と診断した。
口腔内乾燥感および涙液分泌不全と角膜上皮障害を認めた。IgG が
2030mg/l と上昇し、抗核抗体 320 倍、RF 227 IU/ml、抗ガラクトー
ス欠損 IgG 抗体 231AU/ml、抗 SS-A 抗体 256 倍、抗 SS-B 抗体 8 倍と
多くの自己抗体が陽性であった。小唾液腺の生検により唾液腺炎所
見を認めシェーグレン症候群と診断した。また、骨密度の低下
(YAM75%)と腎結石を認めた。カリウム製剤と炭酸水素ナトリウム
による治療を行い、低 K 血症、代謝性アシドーシス、横紋筋融解症
の改善を認めた。以上のように、本例は甲状腺濾胞腺癌とシェーグ
レン症候群、尿細管性アシドーシスの合併症例で、手術を契機に低
カリウム血症の悪化と横紋筋融解症を認めた興味深い症例であり報
告する。
P-2-14-02 亜急性甲状腺炎における血清免疫抑制酸性蛋白(IAP) P-2-14-03 欧米白人自己免疫性甲状腺疾患(AITD)102 家系を用い
は血清 CRP の測定より有意義
た甲状腺自己抗体(TAb)感受性遺伝子座の同定
1
1
水戸、2 東北大学医学部 保健学科
昭和、2 シンシナティ大学、3 コロンビア大学、4 競走馬理化学研究所、
5
昭和大学藤が丘病院
伴 良行 1、Yaron Tomer2、David Greenberg3、戸崎 晃明 4、谷
深澤 洋 1、吉田 克己 2
山 松雄 5、伴 良雄 1
【目的】われわれは、これまでに血清免疫抑制酸性蛋白(IAP)濃度 【目的】以前、我々は、欧米白人自己免疫性甲状腺疾患(AITD) 102
は亜急性甲状腺炎(SAT)において高値を、一方未治療バセドー病(GH) 家系を対象とした全ゲノムスキャンによる連鎖解析で、AITD 感受性
においては低値を示すことを報告した。しかし、現在血清 C 反応性 遺伝子座(6p, 8q, 10q)、バセドウ病(GD)感受性遺伝子座(7q, 14q,
蛋白(CRP)ほどには、血清 IAP の測定の有用性につき注目されてい 20q)、橋本病感受性遺伝子座(12q)をマッピングした。一方、抗サイ
ないのが現状である。今回は、SAT において血清 IAP と血清 CRP との ログロブリン抗体(TgAb)や抗TPO抗体(TPOAb)などの甲状腺自己抗体
測定は、どちらに診断的価値が高いのかを検討したので報告する。 (TAb)は、AITD において高率に陽性であり、また、健常者においても、
【対象および方法】対象は、GH 42 例、無痛性甲状腺炎(PT)7例、 10-15%で陽性であることが知られている。今回、我々は、AITD 102
SAT 42 例であった。血清 IAP は、一元放射免疫拡散法 IAP プ レー 家系を用いて、全ゲノムスキャンを行い、TAb 感受性遺伝子座を同定
【対象】欧米白人 AITD 102 家系(540 名)を用いた。
【方法】ヒ
ト法(細菌化学研究所製、基準値:500μg/ml 以下)を用い、血清 した。
CRP は、以前は毛細管法(基準値:陰性)にて、最近はラテックス凝 ト染色体上に存在する 400 個のマイクロサテライト多型を全自動シ
集比濁法(基準値:0.3mg/dl 以下)にて測定した。ラテックス凝集 ーケンサーにてタイピングし、連鎖解析のうち、単点解析は LIPED
比濁法での値を毛細管法での値に換算して集計した。
【結果】SAT に software にて、多点解析及び heterogeneity testing は Genehunter
【結果】
AITD 102 家系(540 名)のうち、
TAb (TgAb
おいては、血清 IAP 値は 42 例全例(100%)高値であったが、血清 program にて行った。
CRP は 42 例中 33 例(78.5%)が陽性であった。SAT における血清 and/or TPOAb)を持つ健常者は 78 名であった。多点解析及び
IAP の陽性率は血清 CRP の陽性率より有意に高値であった。未治療 heterogeneity testing にて、以前、我々が同定した 2q (maximum
GH の、血清 IAP 値は 273±57.3μg/ml であり、全例基準範囲内の低 multipoint heterogeneity LOD score [HLOD] 2.8)の他、6p (HLOD
値であった。一方、7例の PT 中、1 例は血清 CRP 0.63mg/dl と陽性、 2.5)、8p (HLOD 2.2)が同定された。このうち、6p は、以前、我々が
他の 6 例は 0.18 mg/dl 以下と儀陽性∼陰性であった。7例の PT の 同定した AITD 感受性遺伝子座(AITD-1)と一致し、8p には Tg 遺伝子
全例にて、血清 IAP は 355μg/ml 以下と正常範囲であった。
【結果お が含まれる。
【結論】本研究にて、TAb 感受性遺伝子座は、AITD 感受
よび考察】SAT において、血清 IAP は血清 CRP よりも、陽性率が高く、 性遺伝子座と一致し、TAb 保持者は AITD 発症のリスクが高くなるこ
診断的価値が高いと思われた。
とが示唆された。
P-2-14-04 Graves 病寛解に伴い糖尿病の著明な改善がみられた一
例
1
神戸大学 医学部附属病院 内分泌内科、2 神戸大学医学部保健学
科、3 兵庫県立大学
今中 真理 1、高橋 健太郎 1、飯田 啓二 1、西澤 衡 1、福岡 秀規
1
、竹野 亮子 1、高橋 裕 1、置村 康彦 2、加治 秀介 3、千原 和
夫1
症例は 23 才女性。
1 年前の検診では特に異常は指摘されなかったが、
2005 年 1 月中旬より手指振戦、動悸、焦燥感、下痢、嘔吐が出現し、
1 月 31 日近医受診。空腹時血糖 526mg/dl, HbA1c12.7%と高値を指摘
され近医入院となった。血液検査上 TSH 0.003 μU/ml 、FT4
5.1ng/dl, TRAb(human) 32.6mU/ml、甲状腺エコー上び漫性甲状腺腫
と内部血流増加を認め、Graves 病と診断された。高血糖に対しイン
スリンを使用、Graves 病に対し methimazol 30mg/日、propranorol
50mg/日の内服を開始された上で、精査目的で当院に転院となった。
抗 GAD 抗体は陰性、尿中 CPR67.3μg/day とインスリン分泌は保たれ
ていた。HOMA-IR は 11.85 と著明なインスリン抵抗性をみとめ、
oxyhyperglycemia によると考えられる食後高血糖がみられた。
Graves 病治療による FT4 の正常化に伴いインスリン減量及び中止が
可能となり、退院時には糖尿病に対して voglibose 内服のみでコン
トロール良好となり、2006 年 11 月には HOMA-IR 0.86 となりインス
リン抵抗性も著明に改善していた。また 75gOGTT における血糖及び
IRI パターンも正常化した。Graves 病と耐糖能異常の合併はよく知
られているが、
Graves 病のみで著明な高血糖をきたし Graves 病寛解
後劇的に軽快した糖尿病症例の報告は少なく、文献的考察を含め報
告する。
P-2-14-05 自己免疫性甲状腺疾患患者における血中 LIGHT 濃度
との関連
1
昭和大学 第 3 内科
佐藤 龍次 1、原 秀雄 1、伴 良行 1、伴 良雄 1、荒田 義久 1、片
桐 敬1
【目的】TNF ファミリ-に属する LIGHT 蛋白は T 細胞の活性化や白血
球中のリンパ球、顆粒球、単球に多く分布しているとされており、
免疫調節やアポト-シスにも関係するものと考えられている。そこで
今回、自己免疫性甲状腺疾患患者を用いて血中 LIGHT 濃度を測定し
た。
【対象および方法】対象は健常者 10 例(平均年齢 40 歳)未治療
バセドウ病患者 10 例(平均年齢 44 歳)
、未治療橋本病患者 5 例(平
均年齢 45 歳)計 25 例を用いた。血中 LIGHT 測定は ELISA 法を用い
た。
【結果】未治療バセドウ病患者の血中 LIGHT 濃度は健常者の平均
値に比し有意(P<0.001)に高値を示した。また、未治療橋本病患
者の血中濃度においても健常者に比し有意(P<0.05)に高値を示し
ていた。血中 LIGHT 濃度と甲状腺機能検査の FT4,TSH,TSH レセプタ抗体との相関関係は認められなかったが、血中 FT3 とは弱い相関を
認めた。また、アポト-シス濃度との相関関係が認められた。
【総括】
未治療 バセドウ病患者および橋本病患者の血中LIGHT濃度は増加し
ており、アポト-シスに関与しているものと考えらえた。
P-2-14-06 ペグインターフェロンα投与後にバセドウ病を発症し
た C 型急性肝炎の 1 症例
1
埼玉医科大学 内科学 内分泌・糖尿病内科、2 埼玉医科大学 内
科学 消化器・肝臓内科
山口 雅子 1、中島 洋平 1、鈴木 美穂 1、田村 康博 1、中山 耕之
介 1、持田 智 2、片山 茂裕 1
【症例】49 歳、 男性。
【主訴】四肢脱力。
【既往歴】2006 年 C 型肝
炎。
【家族歴】母:肺癌。他は特になし。
【現病歴】生来健康、HCV
抗体陽性の既往なし。2006 年 5 月上旬、易疲労感を自覚し近医受診、
肝機能障害と HCV 抗体陽性を指摘。同月下旬、肝機能改善するも 6
月上旬に再上昇を認め C 型急性肝炎と診断。当院消化器肝臓内科に
紹介受診、
PEG-IFNα(180μg/週1∼2 回)を7 月∼9 月まで投与しHCV
抗体は陰性化した。10 月初旬、動悸、体重減少、発汗過多が出現。
TSH 0.01 IU/ml, FT3 29.29 pg/ml, FT4 7.77 ng/dl と甲状腺機能亢
進症を認め当科に紹介受診、KI100mg/2×を開始。11 月、早朝に四
肢脱力、全身倦怠感が出現。他院に受診、K1.9mEq/L と低 K 血症を
認め周期性四肢麻痺疑いにて当科に入院。
【入院時現症】身長 178
cm、体重 68kg、体温 37.1℃、血圧 152/78mmHg、脈拍 97/分(整)
、
甲状腺腫大を触知、圧痛や腫瘤はなし。胸部・腹部に特記すべき所
見なし。
【入院後経過】TRAb 8.4 IU/ml ,TS-Ab 487 IU/ml、TGAb-RIA
2.9 U/ml ,抗 TPOAb 118.0 U/ml と陽性。頸部超音波検査上、甲状腺
の腫大と血流信号の増加及び Tc04 シンチ上、集積の増加を認めバセ
ドウ病と診断。
MMIも併用し甲状腺機能は改善している。
この他GADAb
4.0 U/ml と陽性を認めた。
【考察】IFN 加療による自己抗体の出現が
報告され、中でも甲状腺異常の報告が多い。本症例も IFN 治療を契
機に自己免疫反応が惹起され発症したものと推測された。
P-2-15-02 JAHQ(Japan Adult Hypopituitarism Questionnaire)
を治療効果判定に用いた副腎不全症例の検討
1
天理よろづ相談所病院 内分泌内科、2 国立病院機構京都医療セン
ター 内分泌代謝科、3 神戸大学医学部附属病院 内分泌内科
田中 正巳 1、奥山 さくら 1、飯降 直男 1、植田 玲 1、古家 美幸
1
、玉那覇 民子 1、辻井 悟 1、島津 章 2、千原 和夫 3、石井 均
P-2-15-01 GnRH アゴニスト注射剤使用時の副作用発現について
1
島根大学 医学部 産科婦人科
折出 亜希 1、金崎 春彦 1、原田 崇 1、宮崎 康二 1
[目的]GnRH アゴニスト製剤使用時、副作用発現が予測可能か検討す
ることを目的とした。[方法]GnRH アゴニストとして主として酢酸ブ
セレリン 1.8mg/月を投与した 45 名を対象とした。
疾患別では子宮筋
腫20名
(44.4%)
、
子宮内膜症13名
(28.8%)
、
子宮腺筋症4名
(8.9%)
、
子宮内膜症及び子宮腺筋症 4 名(8.9%)
、子宮内膜症及び子宮筋腫 2
名(4.4%)
、過多月経 2 名(4.4%)であった。不正性器出血、及び
卵巣欠落症状出現を副作用とし、患者の身長、体重、BMI、ホルモン
基礎値(LH、FSH)及び対象疾患に関して検討した。[成績]投与期間
中に不正性器出血を認めたものは 33 名(73.3%)
、平均投与回数は
4.61±0.25 回、体重 50.22±1.03kg、BMI は 20.10±0.36 であった。
不正出血を認めなかったのは 12 名(26.7%)で平均投与回数は 3.58
±0.61、体重 59.58±3.2kg、BMI は 23.88±1.14 であった。LH、FSH、
LH/FSH 値に有意な差はなかった。出血を認めなかった患者の対象疾
患の内、子宮筋腫は 66.7%であり、出血を認めた群では 36.4%であ
った。卵巣欠落症状を認めなかったのは 18 名(40.0%)であり、平
均投与回数は 3.61±0.42 回、体重 55.42±1.78kg、BMI は 22.28±
0.73 であり、卵巣欠落症状を認めた 27 名(60%)においては平均投
与回数は 4.91±0.27 回、体重 51.04±1.70kg、BMI は 22.38±0.57
であった。子宮筋腫の割合は卵巣欠落症状無し群で 55.6%、有り群
では 37.0%であった。卵巣欠落症状なし群の LH/FSH は 0.83±0.10
と欠落症状あり群 0.66±0.08 と比べて高い傾向にあった。[結
語]GnRH アゴニスト注射剤使用時の不正性器出血及び卵巣欠落症状
の副作用の発現は、体重が重く、BMI の高い群で発現しにくく、また
投与回数に比例することが示唆された。副作用発現の無かった群の
対象疾患としては子宮筋腫の割合が高かった。
P-2-15-03 インスリン抵抗性を示した 46XX, 卵巣低形成、汎下垂
体機能低下症の一例
1
大分大学 医学部 生体分子構造機能制御講座 第一内科、2 大分
大学 医学部 看護学科 地域・老年看護学講座
藤原 貫爲 1、後藤 孔郎 1、加隈 哲也 1、吉松 博信 1、浜口 和之
2
1
【目的】日本人下垂体機能低下症患者の QOL 尺度を評価する手段と
して、JAHQ が開発中である。今回我々は、副腎不全患者の治療前後
で、JAHQ を用いた QOL 評価を試みたので報告する。
【症例】56 歳女
性。平成 18 年 2 月から感冒を契機に食欲減退、脱毛が出現した。3
月には全身倦怠感、嘔吐、傾眠傾向出現し、意識障害、低血糖、低
ナトリウム血症が出現した。対症療法にて症状は改善したが、筋力
低下、関節の屈曲・拘縮も出現し、当院外来にてコルチゾール 0.2
μg/dl と著明に低値であり、精査加療目的で入院となった。ACTH 9.2
pg/ml、コルチゾール 0.2 μg/dl といずれも低値であり、尿中遊離
コルチゾールは測定感度以下であった。CRH 負荷試験では ACTH、コ
ルチゾールとも無反応であり、
ACTH 欠損による副腎不全と診断した。
また GRH、GHRP 負荷に対する GH の頂値は、それぞれ 1.2、5.1 ng/ml
であった。そして IGF-1 低値であり、GH 分泌不全の合併も認めた。
ハイドロコーチゾンを補充し、全身倦怠感、関節の屈曲・拘縮は改
善、食欲、筋力は回復した。ハイドロコーチゾン投与前、開始後第
11 日、18 日に JAHQ を用いた QOL 評価を行った。社会・心理に関連
した QOL の内、日常生活・睡眠との関連が想定される QOL は改善し
ていた。症状に関連した QOL も治療により改善した。そして症状関
連QOLの内、
特にACTH欠乏や視床下部障害との関連が想定されるQOL
が明らかに改善していた。
【結語】
JAHQ は副腎不全の治療効果を評価
するための有用なツールになりうると考えられた。
症例は 18 才、女性。16 才時、月経発来ないため近医産婦人科受診。
エコー上、子宮、卵巣をはっきりと認めず原発性無月経疑いにて当
院産婦人科受診。骨盤部 MRI にて卵巣は同定できず、子宮形成不全
および尿膜管洞を認めた。頭部 MRI にて明らかな下垂体の形態異常
はなかったが LH, FSH, E2 低値を認めたため中枢性無月経が疑われ
た。末梢血染色体検査では 46,XX と正常女性型。また、骨塩定量に
て骨塩量の低下をみた(T-score 60%)ため 17 才時よりビスフォスフ
ォネート内服開始となっている。平成 18 年 3 月 10 日、内分泌学的
精査目的にて当科入院。身長 162cm、体重 45kg、BMI17.1kg/m2 と肥
満は認めなかった。精神発達遅滞なく頚, 胸, 腹部に異常所見なし。
乳房発育は TannerB1∼2、恥毛発生は PH2、外性器は女性型であった。
視床下部ホルモン負荷試験にてすべての下垂体ホルモンが低値低反
応(Cortisol は正常反応)であり、汎下垂体機能低下症と診断した。
また GnRH 連続負荷試験にて LH, FSH は低値低反応を示し、下垂体障
害による性腺機能低下症と考えられた。また、非肥満であるにもか
かわらず高インスリン血症(15.0 μ U/ml), 高レプチン血症
(21.1ng/ml), TNFαの上昇(15pg/ml)とインスリン抵抗性を示唆する
所見を得た。卵巣低形成にインスリン抵抗性を合併した症例報告は
稀であり、この病態には何らかの遺伝子異常の関連が想定され、興
味深い症例と考えられたので若干の文献的考察を含めて報告する。
P-2-15-04 サルコイドーシスによる中枢性尿崩症に対するステロ P-2-15-05 下垂体腫瘤と考えられていたが、術中迅速診断にてリ
イドパルス療法で下垂体腫大が改善した一例
ンパ球性下垂体炎と診断された一例
1
1
金沢大学大学院 臓器機能制御学(内分泌代謝内科)
富山大学 医学部 第一内科、2 富山大学 医学部 脳神経外科、3
富山大学 附属病院 病理部
高田 裕之 1、米田 隆 1、臼倉 幹哉 1、山本 泰弘 1、唐島 成宙 1、 鈴木 ひかり 1、岩田 実 1、小橋 親晃 1、宇野 立人 1、石木 学 1、
酒井 智子 1、八木 邦公 1、武田 仁勇 1
薄井 勲 1、平谷 和幸 1、山崎 勝也 1、浦風 雅春 1、小林 正 1、
長谷川 真作 2、浜田 秀雄 2、林 央周 2、遠藤 俊郎 2、福岡 順
也3
症例は 66 歳男性、1999 年にサルコイドーシス(眼、肺)と診断され、 症例は36歳・女性。主訴は視力低下・視野障害。H18.9月20日
その後無治療にて経過観察されていた。2005 年末頃より口渇, 1 日 に第1子を出産し、その2日後より急速な視力低下を自覚。近医眼
3L 程度の多飲及び多尿を認めるようになった。2006 年 4 月、精査目 科にて両耳側半盲を指摘され、同院脳神経外科を紹介受診。頭部 MRI
的に近医受診し頭部 MRI にて下垂体腫瘍および下垂体後葉の高信号 にて T1 強調画像ででやや低信号、ガドリニウムにて著明に造影され
消失を認め、尿崩症疑いにて当科紹介入院となった。5%高張食塩水 る鞍上部に進展する下垂体腫瘤が認められた。下垂体腺腫を疑われ、
負荷試験にて血漿浸透圧負荷前 289 mOsm/l から負荷後 120 分 当院脳神経外科に紹介。10月23日下垂体生検を施行された。術
303mOsm/l、血漿バゾプレッシン濃度は負荷前 0.5 pg/ml から負荷後 中迅速診断にて下垂体へのリンパ球・形質細胞浸潤、リンパ濾胞形
0.4pg/ml より中枢性尿崩症と診断し、その原因として病歴等よりサ 成、線維化が認められた。また術前ホルモン基礎値において ACTH・
ルコイドーシスが強く示唆された。デスモプレシンによる治療を開 コルチゾールの低下、プロラクチンの上昇が認められており、リン
始し、口渇などの症状は改善を認めた。8 月に頭部 MRI を施行したと パ球性下垂体前葉炎と診断した。翌日よりプレドニゾロン 40mg/日
ころ下垂体の増大を認めたためステロイドパルス療法(メチルプレ の内服を開始。投与後1週間程度で視野は正常に回復し、頭部 MRI
ドニゾロン 1g/日 3 日間×3 クール)を施行し、下垂体腫大の改善 でも下垂体腫大の改善が認められた。負荷試験にて ACTH は正常反応
を認めた。尿崩症に関してはステロイドパルス治療前後で変化なく、 となり、プロラクチンも正常化した。典型的な経過で発症し、組織
デスモプレシンの必要量も不変であった。本症例はサルコイドーシ 診断のついたリンパ球性下垂体前葉炎を経験したので、報告する。
スによる中枢性尿崩症に対してデスモプレシンで経過観察していた
ところ下垂体腫大の増悪を認めたため、ステロイドパルス療法を行
い下垂体腫大に関しては改善が得られた。しかし尿崩症は視床下部
などへの病変浸潤によるとされており、これに対して同治療法は過
去の報告と同様に無効であった。
P-2-15-06 少量のステロイド投与により短期間に腫大下垂体の縮 P-2-16-01 視力障害を契機に発見されACTH分泌不全を呈したリン
小を認めたリンパ球性下垂体炎の一例
パ球性下垂体前葉炎の 1 例
1
1
稲沢市民病院内科
宮崎大学 医学部 神経呼吸内分泌代謝内科
野村 由夫 1、貝沼 圭吾 1、草田 典子 1、松田 淳一 1
松尾 崇 1、山口 秀樹 1、長池 涼子 1、米川 忠人 1、中里 雅光 1
【症例】77 歳男性【主訴】食欲低下【既往歴】2005 年;上行結腸癌
手術【現病歴】結腸癌術後、外科通院していたが、2006 年 6 月より
食欲低下訴え、入院加療。入院時より抑うつ症状著明であり、精神
科受診。うつ状態と診断され、ミルナシプラン内服開始するも改善
しなかった。内分泌機能検査から中枢性の甲状腺と副腎の機能低下
を指摘され、内分泌内科受診された。TSH 0.068μIU/ml, FT3
2.44pg/ml, FT4 0.66ng/dl, TRAb(-), TgAb(-), TPOAb(-), Tg
135ng/ml, ACTH 9pg/ml, cortisol 3.5μg/ml, pOsm 298 mOsm/l AVP
1.83pg/ml LH < 0.1 mIU/ml GH 0.1ng/ml IGF-1 31.8ng/ml
PRL36.54ng/ml FSH 2.06 mIU/ml, testosterone<0.05pg/ml, 四者
負荷試験:ACTH は過剰反応、GH、LH、FSH、cortisol は遅延反応、
PRL、TSH は低反応を示した。頭部 MRI では下垂体と下垂体茎が腫大
し、均一に造影された。リンパ球性下垂体前葉炎と診断し、プレド
ニゾロン 10mg/day の投与を開始。2 日後より食欲は改善し、うつ状
態も著明に軽快した。1 ヶ月半後の頭部 MRI では、腫大下垂体の著明
な縮小を認めた。比較的少量のステロイドで、短期間に腫大下垂体
の著明な縮小を認めた興味ある一例として報告する。
リンパ球性下垂体前葉炎は、下垂体前葉にリンパ球や形質細胞が浸
潤する慢性炎症性疾患である。今回我々は、視力障害により発見さ
れた下垂体腫瘤で ACTH のみ分泌不全を呈し、生検にて診断したリン
パ球性下垂体前葉炎の 1 例を経験した。症例は 37 歳、女性。主訴は
頭痛、視力低下。2006 年 3 月から頭痛、視力低下と続発性無月経が
出現し、 頭部 MRI 検査にて下垂体腫瘤を指摘され、当院に紹介入
院。下垂体腫瘤は最大径 18mm、内部は T1 強調画像にて低信号、T2
強調画像にて不均一な等信号で良好に造影された。下垂体腫瘤は視
交叉を圧排し、視野検査で両耳側上 1/4 半盲を認めた。血沈、末梢
血、血液生化学検査成績はすべて基準値内であった。ステロイド服
薬歴はなかったが、血中 ACTH 値: 5.0 pg/ml 未満, 血中コルチゾー
ル値: 0.2 μg/dl 未満であり、CRH 負荷試験で ACTH の無反応を認め
た。ACTH 以外の下垂体前葉ホルモンの基礎値および分泌刺激試験で
の反応性に異常なかった。下垂体腫瘤の視交叉への圧排による視
力・視野障害に対し Hardy 手術を施行した。術中下垂体生検にて下
垂体前葉へのリンパ球浸潤を認め一部生検のみで手術を終了し、術
後ステロイドパルス療法を施行した。治療 1 ヶ月後、頭痛や視力・
視野障害の軽快、月経の再来、頭部 MRI 検査にて下垂体腫瘤の縮小
を認めたが、
血中 ACTH,コルチゾールの基礎値および CRH 負荷試験に
対する反応性に改善はなかった。現在ヒドロコルチゾン 5mg/日内服
にて外来通院中である。ACTH 分泌が特異的に障害されたリンパ球性
下垂体前葉炎に関して、過去の症例の文献的考察を含めて報告する。
P-2-16-02 ACTH、コルチゾールの基礎分泌の低下を認め、慢性疲 P-2-16-03 難治性下痢と滲出性胸膜炎で発見されたACTH単独欠損
労症候群(CFS)と考えられた2症例
症の一例
1
1
亀田総合病院 糖尿病内分泌内科
岐阜大学 医学部 内分泌代謝学講座
桝澤 政広 1、松田 昌文 1、濱本 純子 1、中山 桂 1
村松 学 1、廣田 卓男 1、佐々木 昭彦 1、諏訪 哲也 1、加納 克徳
、宗 友厚 1、武田 純 1
症例は 66 歳男性。平成 4 年頃より腋・恥毛の脱落自覚。平成 14 年
頃より四肢筋痛自覚、近医受診し異常なしと診断。平成 16 年関節リ
ウマチ疑われ、抗リウマチ薬処方受けたが著変なし。平成 18 年 8 月
中旬より咽頭痛、左耳痛自覚。二日後より 38 度台の発熱あり翌日に
は 39 度まで上昇、水様性下痢も出現、腸炎を疑われ近医入院。WBC
10340、Eos 320、BUN 12.6、Na 129、K 3.9、CRP 15.1、その後も 39
度台まで不定期に発熱。絶飲食補液、抗生剤点滴受けたが症状悪化、
8 月末からは体動時に咳も出現。9 月中旬には 15 回/日程の水様下
痢となり咳も悪化、酸素飽和度低下、血圧低下を来たし、膠原病を
疑われ当院へ紹介。転院時両側に多量の胸水、穿刺にて双方とも滲
出性、ADA 正常、抗酸菌検査陰性、細菌培養陰性、細胞診陰性。便ヒ
ト Hb 陰性、上下部消化管内視鏡検査異常なし。絶食補液を継続する
も水様性下痢は持続、発熱も間歇的に出現。転院 5 日目に初日採血
の ACTH 値感度以下、F 9.5 と報告あり、翌日 CRH 試験後よりステロ
イド補充療法開始し各種症状は劇的に改善、胸水も消失。CRH 試験は
無反応、後日施行した試験では他の前葉ホルモン分泌は保たれてお
り、MRI では empty sella、以上から ACTH 単独欠損症と診断。考察
を添えて報告する。
1
症例1:49才、女性。慢性甲状腺炎とこれによる甲状腺機能低下
症で紹介受診。10年ほど前から年に数回、体調を崩し1週間ほど
寝込んでしまうことがあり、2年ほど前からその頻度が増加。副腎
皮質機能低下症の合併も疑い行った午前中の採血にて ACTH
5.3pg/ml、コルチゾール 7.4μg/dl と低めで、精査目的に入院。日
内変動では朝 ACTH 7.1pg/ml、コルチゾール 7.9μg/dl と ACTH、コ
ルチゾールは朝から低めでその後減少する傾向を認めた。尿中
17OHCS、尿中遊離コルチゾールは当初は正常であったが、その後の
再評価で低値となり基礎分泌の低下を認めた。
迅速ACTHに正常反応、
CRH にコルチゾールは反応不十分であった。ITT に ACTH、コルチゾー
ルともに十分な反応をみとめ、stress に対する予備能は保持してい
るものと考えられた。症例2:54才、女性。2型糖尿病、高血圧、
狭心症で外来フォロー中。30才代から、年に数回、午後に高度の
倦怠感と原因不明の発熱がみられことがあり、最近になりこの頻度
が増加。正午頃に行った採血にて、ACTH <5 pg/ml、コルチゾール <
1.0μg/dl と共に測定感度以下で ACTH 単独欠損症を疑い入院。日内
変動では ACTH、コルチゾールは午後に著明に減少する傾向を認め、
臨床像と合致していた。尿中 17OHCS、尿中遊離コルチゾールは低値
で基礎分泌の低下を認めた。迅速 ACTH に正常反応、CRH 負荷にはコ
ルチゾールの増加は不十分であった。狭心症の既往のため ITT は未
施行。慢性疲労症候群は慢性疲労を主訴とし、ウイルス感染や
CRH-ACTH-コルチゾール系の異常を主とする内分泌機能異常など複
数の原因が示唆されているが未だその病態は不明の部分が多い。そ
の後の内分泌学的検査の変化や、副腎皮質ホルモンに対する反応な
ど含め報告する。
P-2-16-04 低血糖を契機に発見された ACTH 単独欠損症の1例
1
自衛隊中央病院 内科
小林 恵輔 1、田北 和枝 1、東 賢治 1、伊藤 利光 1、片山 泰之 1
57 歳、男性、主訴:全身倦怠感、体重減少、貧血。既往歴:胃潰瘍(平
成 15 年)。現病歴:平成 16 年 10 月嘔気が出現し始め、3ヵ月で 10kg
の体重減少がみられた。12 月嘔気が増悪したため当院受診し、胃潰
瘍の診断で入院加療し軽快。平成 17 年1月手指の動かしにくさを自
覚し始めるが、上肢のマッサージで対応していた。7月下痢が出現
したが、鉄剤内服中止で軽快した。8月1日全身倦怠感にて当院受
診し、貧血および体重減少がみられたため、精査目的入院となった。
入院時現症:身長 164.0cm、体重 39.8kg、BMI 14.7、血圧 88/54mmHg。
WBC 6400/μl(Seg 31.8%、E 3.9%、B 0.2%、Mon 6.7%,Ly 57.4%)、
RBC 337×104/μl、Hb10.2g/dl、Ht 30.6%。入院時問題点:正球性
正色素性貧血、体重減少、倦怠感、筋力低下、リンパ球増多、顆粒
球減少。入院後経過:8月4日低血糖出現。以後、輸液投与も低血
圧、腹痛・嘔気・ふらつき等の訴え続く。8月8日意識障害出現。
Na 118mEq/l、Cl 84.5mEq/l、血漿浸透圧 238mOsm/kgH2O、血糖
値:70mg/dl 台、神経所見上特に問題なし、頭部 CT 上やや浮腫あるの
み。TSH<0.03μIU/ml、fT4 1.22ng/dl、fT3 3.63pg/ml 、ACTH
4.8pg/ml、コルチゾール 0.8μg/dl。コートリル内服開始し、症状
軽快。脳 MRI では異常所見なし。ACTH 負荷試験施行し副腎機能不全
が疑われる。TRH 負荷試験及び CRH 負荷試験施行し、下垂体前葉機能
低下(ACTH、TSH のみ低下)が疑われた。ACTH 連続負荷試験には反応
がみられ、コートリル補充後の TRH 負荷試験で TSH の反応は正常化
した。本症例は下垂体 MRI 及び抗体に関しては共に正常で、精査上
炎症や腫瘍も明らかでなく、原因不明の ACTH 単独欠損症と考えられ
た。
P-2-16-05 糖尿病の治療経過中、低血糖を契機に診断された ACTH
単独欠損症の 1 例
1
獨協医科大学 越谷病院 内分泌代謝・血液・神経内科
成瀬 里香 1、若林 貞男 1、原 健二 1、末次 麻里子 1、犬飼 良尚
1
、中町 隆史 1、竹林 晃三 1、麻生 好正 1、犬飼 敏彦 1
症例は 66 歳男性。2005 年 6 月、近医で糖尿病と診断され、食事・運
動療法にてフォローされていた。2006 年1月早朝、意識消失発作で
近医受診、血糖値 36mg/dl と低血糖を指摘され、某病院に紹介とな
った。随時血糖 136 mg/dl、HbA1c 7.2%を指摘され、食事・運動療法
で経過観察となった。同年 4 月、随時血糖 396 mg/dl、HbA1c 11.8%
と血糖コントロールが悪化した為、ボグリボース、ナテグリニドが
開始された。6 月には HbA1c は 7.6%に改善するも、早朝の低血糖が
頻発した為、7 月に内服中止となった。その後も低血糖が続く為、内
分泌検査を行。ACTH 5pg/ml、コルチゾール<0.2μg/dl を認め、ACTH
単独欠損症が疑われ、8 月、当科入院となった。入院後の空腹時血糖
は 51 mg/dl を示した。4 者投与による下垂体前葉機能検査では、ACTH
は無反応だったが、他は正常反応を示した。ACTH 迅速負荷テストで、
コルチゾールは負荷前には測定感度以下であり、
負荷 1 時間後は 1.0
μg/dl であった。下垂体 MRI では empty sella は認めなかった。抗
GAD 抗体は陰性だったが、尿中 C ペプチド 4.6μg/日とインスリン分
泌能の低下を認めた。FT4 0.87 ng/ml、FT3 2.88 pg/ml、TSH 33.5 μ
U/ml と甲状腺機能低下症を認め、TPO 抗体も陽性であった。ACTH 単
独欠損症の診断にて、コートリルを補充したところ、直後に血糖値
963 mg/dl を呈し、インスリン強化療法を開始した。その後、甲状腺
機能低下症の対しては、橋本病と考え、チラーヂン S の投与を開始
した。本症例は、糖尿病の経過中に低血糖を契機に発見された ACTH
単独欠損症の合併例であり、コートリル補充後著明な高血糖に転じ
たことから、両疾患の血糖への相反する影響に興味が持たれた。
P-2-17-01 Pre(sub) clinical Cushing 病と考えられた 5 症例の検 P-2-17-02 カベルゴリンが有効と考えられたクッシング病の 2 例
討
1
東京慈恵会医科大学第三病院 糖尿病・代謝・内分泌内科、2 東京 1 豊見城中央病院 糖尿病・生活習慣病センター
慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科、3 東京慈恵会医科大学
脳神経外科
赤司 俊彦 1、東條 克能 2、横山 淳一 1、田嶼 尚子 2、神尾 正己 比嘉 盛丈 1、首里 英治 1、當眞 武 1
3
【緒言】ACTH 産生性下垂体腺腫を有しながら、臨床的に明らかなク
ッシング徴候を呈さない疾患群が近年報告されており、Pre(sub)
clinical Cushing 病と呼称され現在診断基準案が策定されている。
今回我々は、当科で経験した下垂体病変を認め、内分泌学的検査所
見が診断基準を満たしている 5 症例に関して検討し、報告する。
【症
例】症例 1:50 歳男性。視野異常を自覚し当院眼科受診、頭部 MRI に
て下垂体腫瘍指摘され精査目的で当科入院。下垂体に 2.5x2.5cm の
腫瘍(+)。症例 2:72 歳女性。頭痛精査目的にて近医入院。下垂体に
1cm 大の腫瘍(+)。7 年後両上肢しびれ、頭痛、嘔気出現し当科入院。
下垂体に 2.0x1.0cm の腫瘍(+)。症例 3:77 歳女性。平成 12 年上下肢
の振戦出現、近医で Parkinson 病と診断される。3 年後高血圧、低カ
リウム血症にて近医受診、下垂体前葉の腫大を認め当科入院。症例
4:34 歳女性。平成 10 年無月経、多毛を自覚。2 年後握力低下主訴に
近医受診、血漿 ACTH 高値より当科受診、下垂体腫瘍認め入院。下垂
体に low density area(+)。症例 5:昭和 58 年左頭痛、眼痛、耳痛出
現し当院脳外科受診。下垂体腫瘍にて腫瘍摘出術施行(非機能性腺
腫)
。16 年後視力低下出現。意識消失発作にて近医入院。下垂体腫瘍
指摘され当科入院。下垂体に 4.0x3.0cm の腫瘍(+)。
【結果】5 症例と
も明らかなクッシング徴候は欠如していた。ACTH の高値を認めるも
コルチゾールは正常域にあり、日内変動は消失していた。デキサメ
サゾン抑制試験では血中コルチゾールの抑制は不十分であった。い
ずれの症例も診断基準案では Pre(sub) clinical Cushing 病になる。
5 症例の臨床像から問題点を検討した。
【はじめに】ACTH 分泌抑制薬カベルゴリンが Cushing 病に対して有
効と考えられた 2 症例を経験した。
【症例 1】78 才女性。9 年前より
糖尿病、高血圧、低 K 血症のため当科通院中。頭重感や手の痺れと
いった不定愁訴が頻回となり入院。入院時 BMI26.1 kg/m2、満月様顔
貌で皮膚は非薄化し表情は抑うつ的。皮膚線条はなかった。下垂体
MRI 検査で造影効果に不均一性なく、Dynamic Study で明らかな異常
増強部位なし、腹部 CT で両側副腎腫大が疑われた。血清 K 値は
3.2mEq/L,早朝の血中コルチゾールと ACTH 値は各 23.8μg/dl と
27.6pg/mL、23 時が 5.9μg/dl と 17.4pg/mL、1mg デキサメサゾン抑
制試験で血清コルチゾールは1.2μg/dl に抑制。
CRH 刺激試験でACTH
が約 3 倍増加した。
カベルゴリン 0.25mg/週の内服後は笑顔がみられ
るようになり、早朝 ACTH14.2pg/ml、コルチゾール 7.9μg/dl となっ
た。
腹部 CT で両側副腎腫大は改善、
HbA1c は 0.7%低下した。
【症例 2】
63 才女性。3 年前より低 K 血症。体重減少の精査目的に入院。入院
時 BMI19.7kg/m2、表情は抑うつ的で,クッシング徴候はなかった。
MRI 検査の T1 強調で下垂体左側底面に低吸収で径 2mm の腫瘤影の疑
い、Dynamic Study で腫瘤部は染まらず周囲が実質に遅れた造影効果
の疑い、腹部 CT で両側副腎腫大が疑われた。血清 K 値は 3.3mEq/L,
血中コルチゾール値は早朝が 14.8μg/dl、23 時が 6.4μg/dl で、尿
中フリーコルチゾールは 76.8μg/日だった。0.5mg デキサメサゾン
抑制試験で血中コルチゾール 1.3μg/dl に抑制。CRH 刺激試験では
ACTH が約 8 倍増加した。本人希望でカベルゴリン 0.25mg/週から開
始。投与後うつ状態は軽快傾向、体重は 8 か月で 6.5kg 増えた。
【考
察】2 例とも不安感が改善、Cushing 病のうつ病にカベルゴリンが有
効だったと考えられた。
P-2-17-03 カベルゴリンが著効を示した原発巣不明のACTH依存性
クッシング症候群の一例
1
東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科、2 浜松医科大学
第二内科、3 マンチェスター大学
坂本 敬子 1、金澤 康 1、井坂 剛 1、斉藤 隆俊 1、佐々木 敬 1、
東條 克能 1、田嶼 尚子 1、沖 隆 2、Anne White3
【症例】 29 才,男性.
【主訴】顔面紅潮,腹部皮膚線条.
【現病歴】
2005 年 6 月,腰痛にて近医受診時,主訴指摘され当院紹介.血漿
ACTH265pg/ml,Cortisol(F)30.7μg/dl,と高値を認め,Cushing 症
候群の疑いで入院となった.
【入院後経過】尿中 Cortisol 373.0μ
g/day と高値で,ACTH,Fの日内変動消失を認めた. CRH,メチラポ
ン,DDAVP の各負荷試験に無反応で,ゲル濾過解析にて ACTH
precursor(P)が検出された.下垂体 MRI, 頸・胸・腹部 CT にて腫瘍
性病変を認めず, Tl・MIBG シンチグラムにて異常集積なく,海綿静
脈洞サンプリングにて ACTH のステップアップは認められなかった.
以上より,原発巣不明 ACTH 依存性クッシング症候群と診断した.ブ
ロモクリプチン負荷試験にて ACTH の抑制を認めたため,カベルゴリ
ンを開始したところ著明な改善を認めたが, 1mg から 3.5mg/週まで
増量した時点で,ACTH の低下に比し,F の低下が著明であり,両者
の減少度に解離が認められた.カベルゴリン投与前後で mature
ACTH(M)と P を ELISA 法にて測定した結果,前値 M69pmol/l,
P70pmol/l から M59 pmol/l,P52pmol/l と投与前後両者とも減少を認
めたが,ゲル濾過解析では,投与後に M の減少に比し P の増加が認
められた.
【考察】原発巣不明のクッシング症候群は治療に難渋する
場合が多いが,本例はカベルゴリンが著効を示した.また ACTH 解析
にて,ELISA 法では P と POMC 双方を認識するのに対し,ゲル濾過解
析では M と P を識別するため,双方の結果に相違が生じたと考えら
れた.P の割合が増加したことより, カベルゴリン治療による ACTH
プロセッシングへの関与が示唆され興味深い.
P-2-17-04 サンドスタチン LAR が著効した preclinical cushing
病の一例
1
大分大学医学部生体分子構造機能制御講座・第一内科 、2 大分大学
医学部看護科地域老年看護学講座 ふじわ
加隈 哲也 1、藤原 貫爲 1、後藤 孔郎 1、吉松 博信 1、浜口 和之
2
症例は 55 歳、女性。平成 10 年頃、全身倦怠感と高血圧を認め近医
受診。Cushing 病と診断され、パーロデルの内服加療を受けていた。
平成 14 年頃からパーロデルの内服は自己中断していた。平成 17 年
10 月、左半身のしびれを自覚し他医を受診。過去の病歴と高血糖(随
時 269mg/dl)
、高血圧(210/100mmHg)を認めたため、精査加療目的で
当科紹介入院した。しかし、脳梗塞の病状が悪化したため、すぐに
神経内科に転科。約 1 ヶ月の入院加療により病状が安定したため、
当科に再び転科となった。ACTH、コルチゾールの基礎値、170HCS、
尿中 F コルチゾールは高値、ACTH、コルチゾールの日内変動は消失、
デキサメサゾン 2mg で抑制されず、8mg で抑制された。下垂体には明
らかな腫瘍像は認めなかったが、両側副腎に過形成が認められた。
典型的な Cushing 病の検査所見を呈しているものの、特徴的な身体
所見は認めなかったため preclinical cushing 病と診断した。脳梗
塞発症直後であり、保存的加療としてサンドスタチンによる治療を
選択した。サンドスタチン注 300μg を 2 週間投与したのち、サンド
スタチン LAR20mg に変更。投与 20 日後で ACTH、コルチゾールの基礎
値は低下し、日内変動の改善が認められた。今回、preclinical
cushing 病にサンドスタチン LAR を使用し、
十分な効果が得られた症
例を経験したので報告する。
P-2-17-05 高分子量 ACTH の産生を認めた下垂体 macroadenoma に
よる Cushing 病の一例
1
富山大学医学部第一内科、2 富山大学医学部脳神経外科、3 富山大学
薬学部臨床薬理学、4 富山大学付属病院病理部、5 氷見市民病院内科、
6
浜松医科大学医学部第二内科
小林 直子 1、岩田 実 1、鈴木 ひかり 1、小橋 親晃 1、宇野 立人
1
、石木 学 1、薄井 勲 1、平谷 和幸 1、山崎 勝也 1、浦風 雅春
1
、小林 正 1、林 央周 2、遠藤 俊郎 2、笹岡 利安 3、福岡 順也
4
、加藤 弘巳 5、沖 隆 6
症例は、66 歳、女性、顔面及び下腿浮腫を主訴に近医受診したとこ
ろ、高血圧、低 K 血症を指摘され当科へ精査目的に紹介入院となっ
た。身体所見上、満月様顔貌、中心性肥満、糖尿病、高血圧、低 K
血症を認め Cushing 症候群を疑い精査をすすめた。ACTH、コルチゾ
ールの基礎値の増加及び日内変動の消失を認め、少量・大量デキサ
メサゾン抑制試験では抑制なし、CRH 負荷試験で ACTH は無反応、MRI
では右海綿静脈洞及び鞍上部進展を伴う径 2.5cm 大の下垂体腫瘍を
認めた。下垂体静脈洞サンプリングでは、中枢/末梢比が 4.0 と高値
であり以上より下垂体 macroadenoma による Cushing 病と診断。その
後、脳外科にて Hardy 手術を施行されたが、右海面静脈洞を中心に
残存腫瘍を認め、ACTH は術前に比べ半減するも高値であった。しか
し、血中及び尿中コルチゾールは正常化し ACTH との間に乖離を認め
たため術前血漿を SephadexG-75 で分離後各分画の ACTH を測定。
1-39ACTH の他高分子量の ACTH が認められた。高分子量 ACTH の存在
を証明した下垂体macroadenomaの報告は少なく今回若干の文献的考
察を加え報告する。
P-2-17-06 ストレス下の corticotropin-releasing factor( CRF )
mRNA 発現調節における雌雄差について
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日本医科大学 生理学第二
岩嵜 あずさ 1、眞野 あすか 1、芝崎 保 1
【目的】中枢神経系内でのストレス伝達に中心的役割を担っている
CRF は、視床下部−下垂体−副腎系、自律神経系、情動、行動などの
ストレス反応発現機序に重要な役割を果たしている。我々は、スト
レス反応の出現に関与している視床下部室傍核(PVN)と扁桃体中心
核(CeA)における CRF の遺伝子発現の性周期に伴う影響の有無につ
いて検討を行い、
PVN や CeA でのストレスによる CRF 遺伝子発現増加
は性周期の影響を受け、発情前期では発情後期に比べ CRF 遺伝子発
現が速やかに生じる傾向を示すことを明らかにした(前年度本学会
発表)
。本研究では、ストレス下での PVN および CeA での CRF mRNA
発現における雌雄差について検討を行うことを目的とした。
【方法】
9-10 週齢のウィスター系雄ラットとウィスター系雌ラットにコミュ
ニケーションボックスを用いて60分のフットショックまたは心理ス
トレスを負荷し、ストレス開始から 30、60、90、120 分後に 4%パラ
フォルムアルデヒドにて灌流固定して脳を取り出した。厚さ 20 μm
の冠状断連続切片を作製し、in situ hybridization 法により PVN
および CeA のそれぞれ全長の CRF mRNA 発現量の定量を行い比較検討
した。
【結果】非ストレス負荷時の雌の PVN と CeA における CRF mRNA
発現量は雄と比較し高いレベルを示した。フットショックまたは心
理ストレスにより PVN と CeA における CRF mRNA 発現量は雌雄ともに
非ストレス負荷時と比較し有意に増加したが、雌の頂値は雄と比較
し有意に高かった。
【結論】ストレス下における PVN および CeA での
CRF mRNA 発現に雌雄差があることを明らかにした。
P-2-18-01 高架式十字迷路上における不安行動に及ぼす内側前頭 P-2-18-02 ドパミンβ水酸化酵素(DBH)−ヒト IL2 受容体(hIL2R)
前野への corticotrropin-releasing factor 局所投与の効果
トランスジェニックマウス(Tg)を用いた青斑核(LC)ノルアドレ
ナリン(NA)作動性ニューロン選択的破壊法の開発―ストレス応答
における脳内 NA 系の意義
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日本医科大学 生理学第二
東北大学 大学院情報科学研究科 情報生物学、2 東北大学 大学
院医学系研究科 神経内分泌学、3 福島県立医科大学 生体情報伝達
研
大畠 久幸 1、芝崎 保 1
井樋 慶一 1,2、鈴木 恵綾 1,2、大滝 郁恵 1、八十島 安伸 3、小林 和
人3
Corticotrropin-releasing factor(CRF)は生体のストレスに対す 【目的】LC は脳内最大の NA 作動性神経核であり、睡眠・覚醒、神経
る生理的、行動的反応調節に重要な役割を担う。一方、前頭前野(PFC) 内分泌や情動応答などにおいて重要な機能を担っている。我々は NA
は不安や恐怖条件づけに重要な役割を担う部位であり、特に内側前 合成酵素である DBH 遺伝子プロモーターと hIL2R の結合 DNA を遺伝
頭前野(mPFC)は不安やストレス反応調節に関与する脳内セロトニン 子導入した Tg の LC 内に hIL2R 抗体−緑膿菌体外毒素複合体(Tox)
LC のみで NA 作動性ニューロンを選択的に破壊する技術を
系の起始核である縫線核や扁桃核との神経連絡や視床下部室傍核へ を注入し、
の投射があり、視床下部−下垂体−副腎系の調節に関与することも 確立した。本研究ではこのモデルマウスを用いストレス応答におけ
【方法】10 週齢雄マウスを用いた。
示唆されている。近年、PFC でのセロトニンの作用が CRF やストレス る LC の機能的意義を検討した。
Sham
により修飾されることが報告された。mPFC においても CRF や CRF 受 麻酔下に定位脳固定装置を用いTg の両側LC にTox を注入した。
容体は発現しているが、同部位の CRF の不安行動への関与は不明で 破壊群には PBS を投与した。1 週間後 Tox 注入群において LC は完全
【成績】はじめに、免疫
ある。そこで我々は mPFC への CRF 局所投与の高架式十字迷路におけ に破壊された。実験は無麻酔状態で行った。
る不安行動に与える影響を検討した。
【方法】Wistar 系雄ラットの 性ストレス応答における LC の意義を検討するため、大腸菌体内毒素
mPFC の両側直上に麻酔下でガイドカニューレを留置した。5日間の (LPS)腹腔内投与(ip)後の血中 ACTH 濃度上昇を測定した。Sham
回復期間後 0.5µg/0.5µl/site、0.15µg/0.5µl/site の CRF および 破壊群では LPS 投与 2 時間後、血中 ACTH が著増した(p<0.01 vs. 生
。
LC破壊群においても同程度にACTH増加が認められたため、
vehicle を局所投与し、
その後高架式十字迷路におけるラットの行動 食ip群)
を5分間記録した。画像解析により open arm および closed arm へ 免疫性ストレス応答の視床下部への伝達に LC は関与しない、あるい
の進入回数、滞在時間を解析した。実験後ラットの脳を灌流固定し、 は関与が小さいものと考えられた。次に、高架式十字迷路を用いた
カニューレの刺入部位を確認した。
【結果と考察】
CRF の mPFC への局 行動実験を行ったところ、LC 破壊群において open-arm entry 比率が
、LC 破壊により不安情動が
所投与により用量依存的に open arm での滞在時間が延長した。 Sham 破壊群に比べ有意に高く(p<0.05)
【結論】これらの結果から LC が不安
Vehicle と 0.15µgCRF 投与の間に有意な差は見られなかったが、 減弱することが明らかとった。
0.5µgCRF 投与では open arm での滞在時間が有意に延長した。一方、 の形成に関与することが強く示唆されたが、免疫性ストレス応答と
closed arm での滞在時間や進入回数には有意な差は認められなかっ の間には乖離が認められた。
た。以上の結果より、CRF の mPFC への局所投与は不安減弱作用があ
ることが示唆された。
P-2-18-03 ウロコルチン1の脳室内投与により成長ホルモン(GH) P-2-18-04 下垂体腺腫の機能分化における Notch シグナル伝達の
分泌は抑制される
解析
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日本医科大学内科学講座内分泌代謝部門、2 うみがめクリニック
東海大学 医学部 基盤診療学系 病理診断学、2 東海大学 開発
工学部 生物工学科、3 日本医科大学 脳神経外科
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田村 秀樹 、石井 新哉 、加納 稔子 、石崎 晃 、杉原 仁 、 江頭 登 1、大野 歩 2、竹井 麻生 3、梶谷 華子 1、宮腰 隆史 1、
及川 眞一 1、亀谷 純 1,2
竹腰 進 1、寺本 明 3、長村 義之 1
最近、Notch レセプター(Notch2, Notch3)およびリガンド(DLL1,
【背景、目的】ウロコルチンはラットの脳から発見され、副腎皮質
刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)1、2 型受容体のリガンドであリ、 Jagged1, Jagged2)の特異的な結合による Notch シグナル伝達が、
CRH と同様にストレス反応に強く関与していることが知られている。 下垂体でも報告されてきている。マウス下垂体においては、Notch2
ラットでは、GH はさまざまなストレスにより分泌が抑制されること が Gonadotropin(LH/FSH)産生細胞への分化を抑制することが知ら
が知られおり、
CRH の中枢投与により GH の分泌が抑制されることや、 れている。一方、ヒト下垂体においては、これまでに非機能性腺腫
CRH アンタゴニストの投与により分泌が亢進することから、
その機序 における Notch3 の亢進が報告されているのみであり、ヒト下垂体腺
の一部に CRH が関与していると考えられている。しかしウロコルチ 腫の機能分化と Notch シグナル伝達との関与はほとんど知られてい
ンの GH 分泌への影響は明らかでない。今回われわれは、ストレスに ない。
本研究では、ヒト正常下垂体 4 例および下垂体腺腫 25 例(GHoma 4
よる GH 分泌抑制でのウロコルチンの関与を明らかにする目的で、ウ
ロコルチン中枢投与による GH 分泌動態を検討した。
【方法】実験に 例、PRLoma 4 例、TSHoma 3 例、FSHoma 2 例、ACTHoma 4 例、 Silent
は成熟雄 SD ラットを用い、あらかじめ側脳室内に金属カニューレを gonadotropinoma 4 例、Null cell adenoma 4 例)における Notch シ
留置した。無麻酔無拘束の条件で、自動採血装置を用い右房内のカ グナル関連因子の発現について、免疫組織化学染色および Real time
ニューレより 10 分間隔で 12 時間の採血を行った。採血開始約 6 時 RT-PCR 法により解析した。結果として、多種の下垂体腺腫において
間後に、対照群として生理食塩水あるいは、ラットウロコルチン 1 Notch2 の発現が確認された。この結果は、複雑な Notch シグナル伝
下垂体腺腫の機能発現におけるNotch2の関与を示唆した。
(10 μg/rat)を脳室内に投与した。GH は既報の RIA で測定した。 達の中で、
【結果】対照群およびウロコルチン投与前では、GH は雄ラット特有
の約 3 時間周期の脈動的分泌を示していた。ラットウロコルチン1
の脳室内投与後は、分泌期、間欠期いずれにおいても GH 分泌が抑制
された。(ウロコルチン群 AUC 427.4± 249 ng/ml/6h、対照群
7326± 1658 ng/ml/6h、p<0.01)
【結論】ストレスによる GH 分泌抑
制の機序の一部に、ウロコルチン 1 が関与している可能性が示唆さ
れた。
P-2-18-05 レジスチンは GH 分泌促進作用を有する
P-2-18-06 IGF-I による下垂体 GRH、GHS 受容体の遺伝子発現制御
の比較検討
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日本医科大学 内科学講座 血液・消化器・内分泌代謝部門、2 う 1 東京京女子医科大学 医学部 第二内科
みがめクリニック
石井 新哉 1、田村 秀樹」1、加納 稔子 1、石崎 晃 1、杉原 仁 1、 牧野 玲奈 1、三木 伸泰 1、小野 昌美 1、関 敏郎 1、大竹 啓之 1、
及川 眞一 1、亀谷 純 1,2
大塚 忠典 1、高野 加寿恵 1
【目的】レジスチンは脂肪組織より分泌される。レジスチンの脳室 下垂体 somatotroph への促進性入力は視床下部 GRH と消化管由来の
内投与により絶食後の再摂食量が低下し、視床下部 neuropeptide Y Ghrelin であり、それぞれ特異的な GRH、GHS 受容体を介して GH 分泌
(NPY)遺伝子発現が低下する事を報告した
(第32回神経内分泌学会)
。 を促進する。抑制性の入力の一つは GH 依存性因子のインスリン様成
今回、レジスチンの GH 分泌に及ぼす影響を検討した。
【方法】実験 長因子(IGF-I)である。既に我々は、IGF-I が下垂体の GRH と GHS の
には成熟雄 SD ラットを用い、あらかじめ側脳室に金属カニュラを留 両受容体の抑制性調節因子であることを急性添加実験で報告した。
置した。無麻酔無効束の状態で自由摂食下と 72 時間絶食で下レジス 今回我々は、下垂体 GRH と GHS 受容体(GRH-R、GHS-R)遺伝子発現
チン 1μg/ rat、対照群として生理食塩水を中枢投与した。自動採 におよぼす IGF-I の慢性添加の影響について検討し、急性添加の効
血装置を用い GH 分泌動態を観察した。レジスチン中枢投与後の視床 果と比較した。実験には成熟雄ラットの下垂体前葉細胞の初代培養
下部 NYP 遺伝子発現を既報の Northern blot で、somatostatin (SS)、 系を用いた。下垂体を各種酵素で disperse し数日間 10%FCS 添加
GHRH の遺伝子発現を in situ hybridization 法を用いて解析した。 DMEM で培養したのち、4 日間にわたる IGF-I の添加実験を行った。
【結果】自由摂食下では、GH 分泌は変化しなかった(レジスチン[R] 全 RNA は AGPC 法で抽出し、GRH-R と GHS-R の mRNA を特異性と定量
群 AUC 5040 ± 480 ng/ml/6h、対照[C]群 5680 ± 370 ng/ml/6h)
。 性に優れた RPA で測定した。GRH-R mRNA レベルは 1.56-100 ng/ml
72 時間絶食下で、
レジスチンにより絶食により低下した GH 分泌は回 の IGF-I 添加により濃度依存性に抑制された。この抑制効果は数時
復した(R 群 AUC 3550 ± 370 ng/ml/6h, C 群 1010 ± 170 ng/ml/6h, 間で発現し 3 日間にわたり増強し、最大抑制度は-64% (P<0.001)
P<0.01)
。絶食下でのレジスチン投与により、GHRH 遺伝子発現は変 であった。GHS-R mRNA も 1.56-100 ng/ml の IGF-I 添加により、GRH-R
化しなかったが、NPY、SS 遺伝子発現は抑制された。下垂体初代培養 と同様に、濃度依存性に抑制された。最大抑制度は約-70% (P<
細胞にレジスチン 0.1-10 nM 添加後 GH 分泌は変化しなかった。
【結 0.005)であった。この効果は IGF-I 添加 2 時間で発現したが、抑制
語】レジスチンは NPY、SS 遺伝子発現を抑制することにより絶食下 度は 4 時間後に最大となり、24 時間後には回復した。さらに、IGF-I
で低下した GH 分泌を回復させる。絶食後の再摂食下では、血中レジ 添加を 4 日間に延長しても GHS-R mRNA レベルは有意に変動しなかっ
スチンが増加してくることより、絶食後の再摂食による GH 分泌の回 た。以上の成績は、IGF-I が下垂体の GRH と GHS の両受容体の抑制性
調節因子であること、その抑制作用が生理的な濃度で発現すること
復にはレジスチンが関与することが示唆された。
を示唆する。IGF-I による GRH-R の down-regulation は主として慢
性的な負の feedback 機構の一端を、一方、GHS 受容体の発現低下は
急性の feedback 機構の一端を担う現象かもしれない。
P-2-19-01 先端巨大症術後非寛解例に対する薬物治療の問題点
P-2-19-02 アクロメガリー複合治療のストラテジーへの提言
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東京医科歯科大学 分子内分泌内科学 (内分泌・代謝内科)
大原医療センター 脳神経外科
土井 賢 1、関澤 直子 1、服部 春奈 1、加藤 真子 1、神山 隆治 1、
泉山 肇 1、平田 結喜緒 1
先端巨大症の治療目標はGH 及びIGF-1 の正常化による合併症罹患
率・死亡率の正常化にある。今回当施設における先端巨大症の腫瘍
摘出術後の非寛解例に対する治療効果について検討した。結果:1991
年-2006 年の期間当施設で加療した先端巨大症28例(男性17例、
女性 11 例)を対象とした。全例で経蝶形骨洞下垂体腺腫摘除術を施
行。初回手術時の平均年齢 44 歳(26-60 歳)
、術後の平均観察期間
77 ヶ月(4-204 ヶ月)
。14 例(50%)が術後寛解(うち2例は再手術後寛
解)(GH 0.59±0.34μg/L)、3例で汎下垂体機能低下を合併しホル
モン補充療法を要した。 術後非寛解例14例中8例がドーパミン
作動薬(ブロモクリプチン、テルグリド、カベルゴリン)内服中で、
うち5例(62.5%)が寛解(GH 1.24±0.19μgd/L)。5 例がオクトレオ
チド(2 例が皮下注、3例が LAR)投与され、うち2例(40%)で寛解
(GH 0.44, 0.74μg/L)。 ドーパミン作動薬治療の非寛解例3例で
は GH(2.34-5.74μg/l)、IGF-1(456-938ng/ml)高値、2例で放射線療
法を併用したがコントロール不充分。いずれもオクトレオチド投与
による GH の抑制は認められたが、経済的な理由で治療せず。 オク
トレオチド投与 5 例のうち皮下注の 2 例はいずれも寛解に至らず、
LAR 治療3例のうち1例は 30mg 製剤投与で非寛解 (GH 2.2μg/L,
IGF-1 609ng/ml)で 204 ヶ月の観察期間で糖尿病、高血圧、高脂血症、
甲状腺腫を合併し、治療に難渋している。結語:当施設での先端巨
大症の術後寛解率は 50%であった。
術後非寛解例に対するオクトレオ
チド LAR 投与は有用であるものの、薬価や進行した合併症に対する
管理が問題となる。
池田 秀敏 1
P-2-19-03 腎盂癌術前に診断された先端巨大症の一例
P-2-19-04 睡眠時無呼吸症候群(SAS)を合併した末端肥大症の一
例
1
太田綜合病院付属 太田西ノ内病院
1
長岡赤十字病院 糖尿病内分泌代謝センター
星山 彩子 1、宮腰 将史 1、鴨井 久司 1、金子 兼三 1
症例は 68 歳女性。52 歳より高血圧、糖尿病で近医へ通院していた。
平成 18 年 10 月肉眼的血尿、尿細胞診 classV のため精査したところ
CT にて左腎腫瘍、傍大動脈リンパ節の腫大、甲状腺腫大を認めた。
副甲状腺腫大、膵腫瘍は認めず。腎腫瘍術前の血糖コントロール目
的に当科紹介受診。口唇肥大、手指の腫大、腺腫様甲状腺腫を認め、
GH 42.5 ng/ml、IGF-1 249 ng/ml、随時血糖 211 mg/dl、HbA1c 10.2%
であった。MRI でトルコ鞍内に径 20mm の嚢胞を伴う腫瘍を認めた。
TRH 負荷試験にて GH の奇異反応あり、LH-RH、CRH 負荷試験では無反
応であった。TRH に対し TSH は無反応であり、また LHRH に対しても
LH、 FSH は無反応であった。ブロモクリプチン負荷試験にて GH、プ
ロラクチン共に抑制され、カルベゴリン 0.25mg内服開始。腎腫瘍
は腎盂癌が疑われ、予後不良が予測されたため下垂体腺腫摘出術の
適応外と考えられた。糖尿病に対してはインスリン導入し、平成 18
年 12 月に左腎摘出術を施行、腎盂癌の診断であった。先端巨大症診
断時より 20 年前に、すでに特徴的な所見があったにもかかわらず先
端巨大症の診断がなされず悪性腫瘍が進行した状態で発見された症
例について報告する。
はじめに:アクロメガリーの治療法として手術、ガンマナイフ (GK)
療法、coctoreotide の薬物療法が主なものである。アクロメガリー
の治癒率を 100%とすべく、
アクロメガリーの複合治療という観点か
ら、その治療において如何なるコンビネーションで、順序で、各治
療法を併用していくのが得策か検討した。対象:自験 174 手術症例
のうち、手術成績については、最近1年間の 20 症例を検討、GK 治療
成績は、18 ヶ月以上経過観察し得た 20 症例について検討した。結
果:手術単独治癒率は、75%であり、熟練した術者であれば、高率
に手術単独で治癒が望める。腺腫サイズで見ると microadenoma の治
癒率は 100%、macroadenoma での治癒率は、69%であった。腺腫の
Knosp の Grade 別に治癒率を見ると、
Grade0∼2 の治癒率は 100%で
あったが、Grade3 は、33%、 Grade4 は、0%であった。全摘できな
くとも、手術により、GH値が、10ug/L 以下にすることができれば、
GK の後療法により 5 年以上 follow up の後、100%の治癒が得られた。
その一方で、GK 照射直前の GH 値が 10ug/L を越えている症例で経過
中に正常化した症例は見られなかった。腫瘍サイズと GH 値との相関
を自験 170 例につき検討したところ、有為(p<0.0001)な相関が見
られた。従って、切除率が高いほど、GH 値を低下させることが可能
であり、GK 併用による治癒率を上げるためにも、腫瘍の可及的広範
囲切除が必要不可欠と考えられた。
octoreotide の術後使用に関して
も同様である(Petrossians, 2005)。結語:アクロメガリーの効果的
治療法も「まず第一に手術療法」ということから、
「まず手術療法に
より腫瘍の広範囲摘出が第一」とその内容が少しずつ繊細になり変
化してきている。その後初めて、GK 療法、octreotide 療法の後療法
が有効となり、治癒率を 100%と近ずけることが可能と考える。
豊田 夕布子 1、佐藤 憲行 1、栗山 千津子 1、菅原 慎一 1、星野 智
祥 1、菊池 明夫 1、太田 昌宏 1
睡眠時無呼吸症候群(SAS)を合併した末端肥大症の一例
太田綜合病院付属太田西ノ内病院 総合診療科
豊田夕布子,佐藤憲行,栗山千津子,菅原慎一,星野智祥,菊池
明夫,太田昌宏
症例は 58 歳男性.52 歳時に眼底出血の既往歴あり,その頃より糖
尿病を指摘され内服治療を受けている.家族歴に特記事項なし.糖
尿病にて近医に通院し,経口血糖降下薬を 4 剤内服していたが血糖
コントロールは不良であり,インスリンの導入も検討されていた.
某日,その病院の外来で,大学から派遣された医師が診察,顔貌の
特徴に気づき精査したところ,成長ホルモン高値,頭部 MRI 上下垂
体腫瘍を認めたため,当院紹介,入院となった.入院時,意識清明,
身長170cm,
体重65.9kg,
血圧145/98mmHg,
脈拍85bpm,
体温36.7℃.
頭頚部では末端肥大症様顔貌を,四肢では手指足趾の腫大を認めた.
入院時血液検査所見では,血清 P の高値,HbA1c 高値,尿中 CPR 高値,
成長ホルモン 7.18ng/dl,IGF-11310ng/dl と高値を示した.末端肥
大症を疑い確定診断のため,グルコース負荷試験,LH-RH 負荷試験,
ブロモクリプチン負荷試験を施行したところ,末端肥大症に典型的
な結果となり,確定診断された.また,以前よりいびきを指摘され
ており,本症の SAS の合併を疑い,終夜睡眠ポリソムノグラフィー
(PSG)を施行したところ,apnea hypopnea index(AHI)53.8 と重症 SAS
と診断された.インスリンの導入にて血糖をコントロールし下垂体
腫瘍切除術を施行した.術後,GH 値,血糖は正常化,いびきも速や
かに改善し,1ヵ月後の PSG では AHI の低下を認めた.以上、腫瘍
摘出により糖尿病、高血圧、SAS が著明に改善した末端肥大症の症例
を経験したので報告する。
P-2-19-05 下垂体腺腫摘出術後に著明に心機能の改善した先端巨
大症の一例
1
石川県立中央病院 代謝内分泌科、2 金沢医科大学附属病院 内分
泌代謝内科 、3 金沢医科大学附属病院 脳神経外科、4 石川県立中
央病院 循環器内科
唐島 成宙 1、藤井 寿美枝 1、瀬田 孝 1、中川 淳 2、立花 修 3、
三輪 健二 4、松原 隆夫 4、金谷 法忍 4
【症例】57 歳女性。主訴は労作時の息切れ。1997 年(48 歳時)に高血
圧を指摘されたが放置。同時期より靴のサイズが増大するようにな
った。2001 年(52 歳時)、手指関節腫大の精査目的に W 病院を受診。
血液検査にて血中 GH 値、IGF-l 値の高値が認められ先端巨大症が疑
われ、手術療法も考慮されたが本人が拒否したため放置されていた。
2006 年 3 月頃より労作時の息切れを自覚し症状の改善がみられない
ため当院受診。精査加療目的に 4 月 4 日入院となった。血圧
136/90mmHg、心拍 70 回/分、整、巨大舌、口唇の肥大、下顎の突出
あり、
甲状腺腫大、
足底部軟部組織肥厚を認めた。
胸部 Xp では CTR61%
と心拡大を認め、内分泌検査では、FT3 5.36pg/ml、FT4 3.10ng/dl、
TSH0.742μU/ml、GH128ng/ml、IGF-1 754ng/ml、尿中 GH2100pg/mg・
Cr であり先端巨大症と診断され 3 週間の octreotide 治療後、K 病院
脳神経外科にて経蝶形骨洞下垂体腺腫摘出術を施行された。術前心
機能は、NYHA2 度、CTR61%、EF24%から術後 NYHA1 度、CTR%、EF41%
と著明に改善された。
【考察】先端巨大症は心臓合併症の頻度が高く
拡張能不全を伴う心室肥大が認め、GH/IGF-1 の過剰が持続すると心
拡大、収縮能低下をきたし心不全徴候を示す。治療により完全寛解
が得られた場合、心拡張能の改善、左室心筋重量の減少が得られる。
本例は術後、寛解には至っていないが明らかな心機能改善を認めた。
【結論】長期間無治療で経過した先端巨大症、甲状腺機能亢進症に
心不全を合併した一例を経験した。今後、追加治療を考慮されてお
り心機能、心形態的変化について経時的な評価が必要である。
P-2-19-06 拡張型心筋症を伴う先端巨大症の心機能が術後、著明
改善した一例
1
東京警察病院 内科
古殿 孝高 1、齋藤 博紀 1、野崎 みほ 1、高澤 和永 1、高木 正雄
1
32 歳、男性。2004 年の健康診断で心室性期外収縮を指摘され当院内
科を受診。循環器系の精査にて、非持続性心室頻拍を伴う拡張型心
筋症様の所見が認められた。また先端巨大症様顔貌や手足の肥大等
も認めたため、内分泌学的検討を行ったところ、成長ホルモンとソ
マトメジン-C の高値と下垂体腫瘍を認め、下垂体腫瘍に伴う先端巨
大症と診断した。拡張型心筋症様所見が先端巨大症に伴うものか、
特発性かの判断はこの時点では困難であった。その後、当院脳外科
で経蝶形骨洞的腺腫摘出術を施行し、成長ホルモンとソマトメジン
-C も改善した。また心機能も徐々に改善し、術前見られた非持続性
心室頻拍も著明に減少した。先端巨大症に拡張型心筋症を合併する
という報告自体が少ないが、術後に循環器学的に著明な改善を認め、
その因果関係は明白と考え、稀ではあるが非常に貴重な症例と思わ
れたため報告する。
P-2-20-01 オクトレオチド LAR が著効を示した、2 回の外科手術、 P-2-20-02 下垂体 GH3 細胞を用いたオクトレオチドとドパミン作
内科的治療、放射線治療に抵抗性であった先端巨大症の一例
動薬併用による GH 抑制効果の検討
1
東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科、2 東京慈恵会医 1 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学
科大学 脳神経外科
海老澤 高憲 1、東條 克能 1、神尾 正己 2、田嶼
尚子 1
三好 智子 1、大塚 文男 1、稲垣 兼一 1、鈴木 二郎 1、大谷 寛之
1
、後藤 順子 1、三村 由香里 1、小倉 俊郎 1、景山 甚郷 1、槇野
博史 1
先端巨大症の手術不能例、術後非寛解例では薬物療法が適応となり、 先端巨大症の内科治療では、GH 産生腺腫に対するオクトレオチド
ドーパミンアゴニストとソマトスタチン誘導体が用いられる。オク (Oct)やドパミン作動薬(DA)を用いた薬物療法が行われる。我々は、
トレオチド(Oct)は GH、IGF-1 抑制効果に加え、腫瘍増殖抑制作用も Oct と DA を併用投与した場合の GH 抑制作用について検討した結果、
Oct 先行投与例に DA を併用し
兼ね備えているが、1 日 2-3 回の皮下注射を必要とし、コンプライア 併用療法は GH の低下に有効であるが、
ンス・作用時間に問題があった。それらの問題を解決すべく、OctLAR た場合に GH の上昇を認めるケースがあることから、薬物併用療法の
が、我国でも承認された。我々は、海綿静脈洞浸潤を認め、2 回の外 導入後も注意深い観察が必要であることを昨年の本会で報告した。
Oct と DA 併用において GH 低下作用が干渉される機序を
科手術、内科的治療、放射線治療に抵抗性を示し、治療に難渋して 今回我々は、
いたが、OctLAR の投与により GH、IGF-1 の著明な改善を認めた先端 解明するために、ソマトスタチン受容体(SSTR)1-5 を発現するラッ
巨大症の一例を経験したので報告する。症例は 43 歳男性。先端巨大 ト GH 産生下垂体腫瘍 GH3 細胞を用いて、Oct と DA の共存下での GH
症にて 1985 年、1987 年と 2 回の下垂体腺腫除去術を施行し、Oct 皮 産生能の変化を検討した。GH の抑制効果を明示するために、GH3 細
下注射にて治療したが、1996 年血中 GH 再上昇、頭部 MRI にて下垂体 胞を forskolin(FSK)刺激下で培養した。FSK は濃度依存性に GH3 細
腺腫の再発を認め、2000 年放射線外照射を施行した。Oct 皮下注射 1 胞の cAMP および GH 産生を促進した。Oct 処理・ブロモクリプチン
日 200μg に加え、カベルゴリン1mg隔日投与を行うも、改善を認 (BRC)処理は単独で濃度依存性に cAMP および GH 産生を抑制した。興
めず、血中 GH 36.2ng/ml、IGF-1 890ng/ml(2004 年 10 月)と著明 味深いことに、低濃度(0.1 μM)の Oct 存在下では、BRC(100 μM)の
高値が持続していた。2004 年 11 月より、Oct 皮下注射を中止し、 併用により有意な cAMP と GH の低下を認めたが、高濃度(10 μM)の
OctLAR(20mg)/月投与へ変更した。2005 年 5 月には、血中 GH Oct 存在下では、BRC(100 μM)の併用による cAMP 産生および GH 産生
0.03ng/ml、IGF-1 150ng/ml と著明な改善傾向を示した。2006 年 11 の抑制効果は消失した。さらに低濃度(0.1 μM)Oct と BRC の併用時
月現在、OctLAR20mg、カベルゴリン1mg隔日投与の併用療法にて とは異なり、高濃度(10 μM)Oct と BRC の併用下では GH3 細胞での
GH、IGF-1 共に正常範囲に安定している。本症例は、先端巨大症の今 SSTR2 の発現レベルは有意に減弱していたことから、SSTR2 感受性の
低下が併用療法時のGH抑制能の低下に関連している可能性が示唆さ
後の薬物治療を考える上で貴重な症例と考えられた。
れた。
P-2-20-03 糖蛋白ホルモン、サイロスティムリンはヒト下垂体 P-2-20-04 プレクリニカルクッシング病の下垂体マクロアデノー
ACTH 産生細胞に局在する
マ組織における 11b-hydroxysteroid dehydrogenase type1 および
type2 の発現パターンに関する検討
1
名古屋大学 糖尿病内分泌内科、2 名古屋大学 代謝性疾患学、3 名 1 東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科、2 東京慈恵会医科
古屋大学 臨床検査医学、4 名古屋大学 脳神経外科、5 名古屋医療 大学 脳神経外科 、3 浜松医科大学 第二内科、4 マンチェスター大
センター 脳神経外科、6 名古屋大学 機能組織学
学、5 バーミンガム大学
岡島 由樹 1、長崎 弘 2、長坂 徹郎 3、鈴木 千津子 1、須賀 英隆 海老澤 高憲 1、東條 克能 1、赤司 俊彦 1、田嶼 尚子 1、神尾 正
1
、永谷 哲也 4、須崎 法幸 5、齋藤 清 4、尾崎 紀之 6、大磯 ユ 己 2、沖
隆 3、Oliver Robert 4、White Anne4、Bujalska Iwona
5
タカ 1
、Rabbit Liz 5、Stewart
Paul M5
【背景および目的】サイロスティムリンは 2002 年に報告された2つ プレクリニカルクッシング病(PCD)は、クッシング病(CD)と異なりマ
の新規糖蛋白サブユニット、glycoproteinα(GPA)2,glycoproteinβ クロアデノーマを呈することが多く、成熟型の ACTH に比べ、ACTH
(GPB)5 から成るヘテロダイマーである。生化学的には TSH 受容体と precursors を主に産生する。我々は、PCD において産生される ACTH
高用量(8mg)のデキサメサゾン投与においても抑制さ
特異的に結合しこれを活性化するが、生体においては甲状腺機能調 precursors は、
節に対する関与を始め不明な点が多い。昨年、GPA2 及び GPB5 は、ヒ れにくいことを報告した。一方、近年、CD において、グルココルチ
ト下垂体前葉の corticotroph に発現するとの報告があった。今回、 コ イ ド を 非 活 性 化 す る 酵 素 で あ る 11b-hydroxysteroid
ヒト下垂体での発現の詳細及び下垂体腫瘍における発現を明らかに dehydrogenase(11b-HSD) type2 が下垂体局所において強発現し、グ
ルココルチコイドによるネガテイブフィードバック作用が減弱して
すべく以下の検討を行った。
【方法および結果】GPB5 のアミノ酸配列の一部と相同な合成ペプチ いることが報告されており、11b-HSD が、CD の腫瘍形成・進展に関
ドを作成、これを抗原としウサギに免疫し、抗血清を得た。3例の 与している可能性が示唆されている。今回、PCD と CD におけるグル
正常ヒト下垂体剖検標本において、同一断面を左右対称に切り出し ココルチコイドによるネガテイブフィードバック機構の相違、なら
たミラー法を用いた免疫組織染色を行ない、各種下垂体ホルモン びに腫瘍形成・進展機序の相違が、腫瘍組織における 11b-HSD type1
(GH,FSH,PRL,TSH,ACTH)産生細胞および濾胞星状細胞との異同を検 および type2 の発現と関係している可能性を考慮し、クッシング病
討した。いずれの症例についても GPB5 陽性細胞は ACTH 陽性細胞と (ミクロアデノーマ)2例を対照として、プレクリニカルクッシン
ほぼ同一であり、他の細胞種とは一致しなかった。各種下垂体腺腫 グ病(マクロアデノーマ)2例の下垂体腫瘍組織における 11b-HSD
摘出標本(Cushing 病,末端肥大症,Prolactinoma,非機能性腺腫)
につ type1 および type2 の発現パターンを免疫組織学的に検討し、それ
いて同様の検討を行ったところ、
GPB5 は Cushing 病腺腫の ACTH 産生 ぞれ ACTH ならびに POMC との二重染色を施行した。現在までに、PCD
の下垂体組織において、CD と比較し 11b-HSD の発現を検討した報告
細胞で陽性、他はいずれも陰性であった。
【考察】正常ヒト下垂体及び Cushing 病症例のいずれにおいても はなく、PCD の病態生理を考える上で重要と考え、報告する。
GPB5 は ACTH 産生組織に存在していたことから、
サイロスティムリン
はヒト Corticotroph に普遍的に発現しており、何らかの生理的機能
を担っているものと推察された。
P-2-20-05 ヒト ACTH 産生下垂体腫瘍における ACTH 発現調節異常
の解析
1
東京医科歯科大学大学院 分子内分泌内科学(内分泌代謝内科)
、2
虎の門病院内分泌センター
館野 透 1、関澤 直子 1、加藤 真子 1、神山 隆治 1、泉山 肇 1、
土井 賢 1、吉本 貴宣 1、大山 健一 2、山田 正三 2、平田 結喜
緒1
【目的】顕性 ACTH 産生下垂体腫瘍(CD)における ACTH の発現分泌機
序には不明な点が多い。今回、CD 及び非機能性(NFT)のマクロアデノ
ーマの間でACTHの発現分泌に関わる各種遺伝子群発現の差異の有無
を検討した。
【方法】CD(12 例)
、NFT(15 例)の腫瘍組織における
各種遺伝子(POMC, PC1/3, PC2, CRHR, GR, 11β-HSD1, 2, ANXA1,
Rab3, Syntaxin6, MARCH2)の発現を RT-PCR 法で解析した。
【結果】
NFT に比べて CD の腫瘍は有意に POMC, PC1/3, CRHR, 11β-HSD2 の発
現が亢進し、PC2 の発現が減少していた。GR, 11β-HSD1, ANXA1,
Rab3, Syntaxin6, MARCH2 の発現は両者の間で有意差を認めなかっ
た。
【結論】ACTH 産生下垂体腺腫では、PC1/3 によるプロセッシング
の亢進に加えて、
CRHR や 11β-HSD2 発現の亢進が ACTH 分泌異常の一
因である可能性が示唆された。
P-2-21-01 メタボリック症候群患者におけるインスリン抵抗性改 P-2-21-02 肥満小児における血中 8-epi-prostaglandin F2αレベ
善剤の有効例予測の血清サイトカイン診断法
ルの変動
1
1
小澤病院 内科
産業医科大学 医学部 小児科
石田 博 1
土橋 一重 1、荒木 俊介 1、久保 和泰 1、川越 倫子 1、山本 幸代
1
【目的】Metabolic Syndrome (MetS)の治療の主眼のひとつはインス
リン抵抗性の改善である。MetS に該当する 2 型糖尿病(DM)患者のイ
ンスリン抵抗性改善薬の有効例を予知する血清診断法について検討
した。
【方法】当院の MetS 診断基準を満たす 2 型 DM 患者 35 例を対
象にした。平均年齢は 68 歳で男性 15 例・女性 20 例で、平均罹病期
間は 12 年であった。投与前と投与後 24 週と比較して、HOMA-R で 20%
以上または HbA1c で 10%以上改善した症例群を有効群とし、
それ以外
を無効群とした。インスリン抵抗性改善剤投与前と投与後 24 週後の
2 ポイントにおいて、空腹時血糖・HbA1c・HOMA-R などの指標に加え
て 、 各 種 血 清 中 サ イ ト カ イ ン ( Adiponectin/Leptin/TNF α
/IL-6/IL-10/IL-22 /MCP-1/CTGF)などの濃度を、それぞれに特異的
な ELISA 法にて測定した。
【成績】有効群では無効群に比して、投与
前において、Adp 低値・IL-10 低値・TNFα高値・IL-6 高値および IL-22
高値であった。投与 24 週後においては、有効群症例では投与前に比
して Adp と IL-10 は増加したが、TNFα,IL-6,IL-22 はいずれも有意
に減少した。
【結論】MetS における 2 型 DM におけるインスリン抵抗
性の形成には、IL-6・TNFα・IL-22 などのサイトカインの関与が示
唆された。
MetS における 2 型 DM の塩酸ピオグリタゾンによるインス
リン抵抗性改善は、Adp および IL-10 の増加による機序が示唆され
た。
【目的】肥満のみで脂肪細胞の酸化ストレスが高まるメカニズムが
明らかにされつつあり、肥満による代謝異常・合併症への酸化スト
レスの関与が注目されている。8-epi-prostaglandin (PG)-F2αは生
体内の酸化ストレスマーカーとしては比較的良いものとされてお
り、成人領域で検討されつつある。今回我々は肥満小児における血
中 8-epi-PGF2α値を測定し、酸化ストレスの肥満合併症への関与に
ついて検討した。
【方法】当院外来通院中の肥満児 44 名(男児 28 名:
平均年齢 10.1 歳、平均肥満度 55.6%、女児 16 名:平均年齢 9.4 歳、
平均肥満度 47.8%)および同年齢健常非肥満児 30 名(男児 15 名、
女児 15 名)
を対象とした。
血漿中 8-epi-PGF2α値は ELISA で測定し、
各種身体計測値、血液生化学検査値および CT による臍高部の内臓脂
肪面積との関連性を検討した。
【成績】
血中 8-epi-PGF2α値に男女差
ならびに年齢との相関は認められなかったので男女を合わせて検討
した。肥満児の 8-epi-PGF2α値は 44.3±4.4 pg/ml であり、非肥満
児の 13.1±1.2 pg/ml より有意に高値であった。身体計測値では、
肥満度とは相関しなかったが、腹囲、体脂肪率とは有意な相関を示
した。血液検査値とは、TG、HDL-C、IRI、HOMA-IR と有意に相関した。
また、8-epi-PGF2α値は内臓脂肪面積と良好な正相関を示した
(r=0.543, p<0.001)
。さらに、肥満による合併症数および小児肥
満症のスコアが高値になるに従い 8-epi-PGF2α値も高値となった。
【結論】肥満によって脂肪細胞自身の NADPH 酸化酵素系や脂肪組織
に浸潤したマクロファージの影響で酸化ストレスが高まることが推
定されている。小児においても特に内臓脂肪蓄積に伴って酸化スト
レスが高まり、肥満症やメタボリックシンドロームの一因になる可
能性が示唆された。
P-2-21-03 Association of Plasma Adiponectin with Body Fat Mass
Distribution and Caidiometabolic Risk Profile in Young Healthy
Women
1
武庫川女子大学 オープン.リサーチ.センター、2 武庫川女子大学
生活環境学部 食物栄養学科
呉 斌 1、福尾 惠介 1,2、鈴木 一永 1,2、鹿住 敏 1,2
P-2-21-04 早産、正期産児の臍帯血における多量体アディポネク
チンの検討
1
鳥取大学 医学部 周産期・小児医学分野、2 鳥取大学 医学部 保
健学科
長石 純一 1、三浦 真澄 1、木下 朋絵 1、鞁嶋 有紀 1、花木 啓一
2
、神崎 晋 1
Objective: In contrast to central fat mass (CFM), peripheral fat 【目的】アディポネクチン(Ad)はインスリン抵抗性の改善や抗炎
mass (PFM) has inverse association with cardiovascular risks. 症・抗動脈硬化作用を有するアディポサイトカインの一つである. Ad
Both plasma adiponectin level and PFM are higher in pre-menopause の活性型である多量体 Ad(HMW)の早産,満期産児における報告は無
women. The association between adiponectin and body fat mass い.早産及び満期産児を対象に T-Ad,HMW,HMW/T-Ad 比(H/T)について
distribution were investigated in Japanese women. Subjects and 検討を行った.さらに、母体因子として胎盤重量・胎盤係数との関係
Methods: Adiponectin and its association with body composition も検討した.
【対象】当科に入院した早産児 41 名,満期産児 46 名(在
variability, lipid profile were analyzed in 201 young healthy 胎 25 週 2 日-41 週 3 日,体重 687-3660g).【方法】臍帯血の T-Ad,HMW
Japanese women.Results: Adiponectin was positively correlated を ELISA 法によるヒト多量体アディポネクチン測定キットで測定し
with PFM (r=0.06,P=0.040), PFM to CFM ratio (r=0.353,P < た.解析にはマンホイットニ検定とスピアマンの相関係数を用いた。
0.001),inversely with trunk fat mass (r=-0.014,P=0.045); 【結果】在胎 27 週以下:T-Ad 2.20±1.01μg/ml.HMW 0.20±0.26
Addiponectin was associated with a favorable lipid profile μg/ml. H/T 0.07±0.08. 28-37 週未満:T-Ad 7.09±5.45.HMW 3.06
indicating by the positive correlations with HDL-C (r=0.33,P ±3.29.H/T 0.34±0.20. 37 週以上 T-Ad 12.57±6.44. HMW 7.54±
<0.001) and ApoA(r=0.29,P<0.001),inverse correlation with 4.56.H/T 0.56±0.15. HMW は在胎週数(r=0.61),出生時体重
total triglyceride (r=-0.019,P=0.007).Inverse associations of (r=0.64),胎盤重量(r=0.64)と有意な正の相関を認めた. 胎盤係数
adiponectin with HbA1C (r=-0.140,P=0.048) and PAI-1(r=-0.187,P (r=−0.60)とは負の相関を認めた。
T-Ad,H/T も同様であった.各々男
< 0.001) were also observed. Multiple regression analysis 女差は認めなかった.
満期産児の AFD と SFD の 2 群間では T-Ad,HMW,
suggested the strongest predictors for adiponectin were PFM to 胎盤係数とも有意差を認めなかった.胎盤重量はSFDが有意に少なか
CFM ratio (R2=0.125, P<0.001), HDL-C (R2=0.110 P<0.001) and った。
【考察】HMW も H/T も,出生時体重と正の相関を認め,新生児期
HbA1C (R2=0.019,P=0.048).Conclusion:In apparently healthy のHMWは成人と異なり脂肪量に正比例していた.新生児期は脂肪細胞
満期産児の AFD
pre-menopause women, adiponectin has opposite associations with の肥大化より細胞数の増大が起こるためと思われた.
CFM and PFM, suggesting the cardioprotective role of PFM might とSFD の2 群間でHMW に有意差を認めなかったのは,成人と異なり体
重差が小さいため脂肪量の差も小さくなり有意差が出なかったもの
be mediated by plasma adiponectin.
と思われた.
P-2-21-05 メタボリックシンドロームの動脈硬化進展に関わる心 P-2-21-06 メタボリックシンドロームは子宮筋腫の危険因子とな
血管リスク・炎症指標の検討
りうるか?
1
京都医療センター 臨床研究センター 代謝研究部、2 京都医療セ 1 大阪府立成人病センター 婦人科、2 大阪大学 医学部 産婦人科、
3
ンター 糖尿病センター
市立堺病院
佐藤 哲子 1、葛谷 英嗣 2、山田 和範 2、島津 章 1
武田 卓 1,2、坂田 正博 2、三宅 麻子 2、磯部 晶 3、西本 文人 2、
太田 行信 1、森重 健一郎 2、上浦 祥司 1、木村 正 2
【目的】我が国で急増するメタボリックシンドローム(MS)は、心 (目的)子宮筋腫は、過多月経・貧血・月経困難症などの症状を呈
血管疾患の高リスク群であり動脈硬化進展に関わる因子の解明と至 し、多くの女性の QOL を著しく障害する。子宮筋腫発生のメカニズ
適な評価法の確立が急務である。我々は既に 2 型糖尿病のインスリ ムについては、未だ解明されたとは言い難い。最近の大規模疫学調
ン抵抗性改善により PWV の低下を報告した。今回肥満症において、 査で高血圧が子宮筋腫の危険因子となることが報告され、動脈硬化
PWV より血圧非依存性である心臓足首血管指数:CAVI(cardio Ankle 発症と子宮筋腫発症との共通性が想定される。今回、メタボリック
(方法)有症状
Vascular Index)を測定し、MS の心血管危険因子、炎症指標との関 シンドローム(MS)と子宮筋腫との関連を検討した。
連やその治療効果を検討した。
【対象】当院の肥満症 150 例(平均 の子宮筋腫に対して手術(単純子宮全摘、子宮筋腫核出)を施行し
BMI:31.0±0.4)において、MS の特徴と炎症指標や CAVI との関連 た 40 歳代女性 213 名を対象とし、年齢を合わせた子宮筋腫以外の良
性及び減量治療効果について検討した。
【成績】
全肥満症中 MS は 65% 性疾患で手術を施行した 159 名を対照群とした。それぞれで、術前
(結果)BMI(22.9
であった。CAVI は PWV と r=0.72 の正相関を認めた。MS 群と非 MS 群 の BMI、血圧、TG、FBS を後方視的に検討した。
、収縮期血圧(123.0±22.7
の BMI は有意差が無いにも関わらず、腹囲、SBP、DBP、FBS、IRI、 ±3.0 vs. 21.5±2.5 kg/m2 p<0.0001)
、拡張期血圧(75.1±13.2 vs. 68.5
TG、レプチンは有意に高値であり、HDL-C は有意に低値であった。MS vs. 114.0±14.4 mmHg P<0.0001)
、TG(86.5±47.4 vs. 72.6±36.1 mg/dl p
群の方が、
非MS よりもhsCRP やCAVI が有意に高値であった
(CAVI:MS ±10.6 mmHg p<0.0001)
、FBS(93.2±14.9 vs. 89.5±8.0 mg/dl p<0.01)のすべ
8.2±0.2, 非 MS 7.5±0.2)
。CAVI は年齢、BMI、腹囲、SBP、FBS と <0.005)
HbA1c に有意な相関があった。更に年齢補正すると TG と MCP-1 と正 てにおいて、子宮筋腫群が対照群より有意に高値を示した。さらに
の相関、HDL-C とアディポネクチンと有意な負の相関が認められた。 BMI 24 kg/m2 以上を肥満、血圧 140/90 mmHg 以上を高血圧、TG 150
ANOVAによりMSの構成因子保有数が増えるにつれCAVI値が有意に上 mg/dl 以上を高 TG 血症、FBS 110 mg/dl 以上を高血糖とすると、単
昇していた CAVI を従属変数とした多変量解析によると、FBS、TG と 変量解析では、肥満・高血圧・高 TG 血症が、多変量解析では、肥満・
アディポネクチンと強い相関が認められた。
6 ヶ月の減量治療により 高血圧が子宮筋腫の有意な危険因子となった。また、これら4つの
BMI31.3→29.7 と有意な体重減少を認め、HbA1c, TC, TG やレプチン 危険因子の保有数が増加するにつれて、子宮筋腫の相対リスクが増
の低下、アディポネクチンの上昇を認めた。CAVI も 8.4→7.8 と有意 加した。
(結論)動脈硬化疾患のハイリスク状態である MS が子宮筋
な低下を認めた。
【結論】同じ BMI の肥満症でも、MS では内臓脂肪蓄 腫の危険因子となることが示唆された。
積にアディポサイトカイン異常分泌・炎症亢進により、動脈硬化が
進展する事が証明された。
P-2-21-07 脂肪萎縮症における組織内中性脂肪含有量に対するレ P-2-22-01 電子顕微鏡での病理組織学的検討にて確定診断を得た
プチンの治療効果
インスリノーマの一例
1
1
京都大学 医学部 医学研究科 内分泌代謝内科
東京慈恵会医科大学附属柏病院 糖尿病・代謝・内分泌内科、2 東
京慈恵会医科大学附属病院 糖尿病・代謝・内分泌内科、3 東北大学
大学院医学系研究科 病理診断学
青谷 大介 1、海老原 健 1、日下部 徹 1、平田 雅一 1、宮永 史子 井坂 剛 1、飛田 麻耶 1、吉原 理恵 2、斉藤 隆俊 2、坂本 敬子 2、
1
、髭 秀樹 1、藤澤 武 1、藤倉 純二 1、益崎 裕章 1、細田 公則 東條 克能 2、田嶼 尚子 2、笹野 公伸 3
1
、中尾 一和 1
2006 年 3 月頃より仕事中の集中力欠落などの症状
【背景】脂肪萎縮症は種々の要因により脂肪組織が著明に低下する 症例は 49 歳男性。
疾患であり、インスリン抵抗性、糖尿病、高中性脂肪血症、脂肪肝 があり、近医受診。この際に低血糖と HbA1c の低下を指摘され、当
などの代謝異常を多く合併するが、これらの代謝異常が発症する一 院紹介受診。腹部単純 CT にて膵体部に 10mm 大の腫瘍が指摘された
因として血中レプチン濃度の低下が関与していると考えられてい ため、インスリノーマの疑いで入院となった。入院後の低血糖時の
る。また筋肉や肝臓などの非脂肪組織における中性脂肪の蓄積は、 採血では、血糖値は 42mg/dl、IRI 36.1μIU/l であり、Fajan の基準
75g-OGTT では 240 分後に反応性低血
インスリン抵抗性を引き起こす一つの要因であることが報告されて では 0.86 と上昇を認めていた。
いる。今回レプチン治療を行った脂肪萎縮症患者について、筋肉、 糖を認めたが、IVGTT では 210 分まで施行し、血糖値 62mg/dl まで改
肝臓内の中性脂肪含有率とインスリン感受性について治療前後で比 善したが、明らかな低血糖は認められなかった。以上の所見よりイ
較検討を行った。
【方法】当科にてレプチン治療を導入した脂肪萎縮 ンスリノーマの可能性が高いと考え、腹部血管造影および選択的動
症患者 5 例を対象に、レプチン治療開始前と開始 1 ヶ月後において 脈内カルシウム注入試験 (ASVS)を施行。上腸間膜動脈より栄養され
MRI での筋肉内中性脂肪含有率、肝臓内中性脂肪含有率、血中中性脂 る腫瘍を認め、同部位の ASVS にてインスリンの明らかな上昇が認め
肪濃度を測定した。また高インスリン正常血糖グルコースクランプ られた事よりインスリノーマと診断し、手術を施行した。摘出腫瘍
法によりインスリン感受性についても治療前後で評価を行った。 は境界明瞭な円型核を有する腫瘍細胞であり、免疫染色にてクロモ
【結果】レプチン治療前と 1 ヶ月後で比較すると、筋肉内中性脂肪 グラニン陽性であったが、インスリンは陰性であった。このため、
含有率は 4.03±0.43→3.97±0.60%、肝臓内中性脂肪含有率は 電子顕微鏡での組織学的検索を施行したところ、胞体内に小さな
13.82±4.41→7.72±3.99%と非脂肪組織内の中性脂肪含有率は低 granule が認められ、大きさよりインスリン分泌顆粒と考えられた。
下し、血中中性脂肪濃度も 340.8±228.4→177.0±105.0mg/dl と低 また再度、免疫組織標本を詳細に検討したところ、正常膵島組織に
下を認めた。またこの 5 例における高インスリン正常血糖グルコー 比し腫瘍部ではほとんどインスリン染色が陰性であったが、強拡大
スクランプ法での平均 GIR は、治療前 3.89±0.17 mg/Kg/min、治療 にて極めてわずかではあるが、染色陽性部位もあり、あらためてイ
1 ヶ月後 4.67±0.77mg/Kg/min とインスリン感受性の改善が認めら ンスリノーマと診断した。病理組織所見上診断に苦慮し、極めて珍
れた。
【結論】脂肪萎縮症においては、レプチン治療によって組織内 しい症例と考えたので、報告する
の中性脂肪含有率が低下し、またインスリン抵抗性の改善を認めた。
両者の間に何らかの関連性がある事が示唆された。
P-2-22-02 インスリン感受性亢進による低血糖が認められた特発
性低血糖症の 2 例
1
国立成育医療センター 内分泌代謝科、2 福岡大学 小児科、3 新潟
大学 大学院医歯学総合研究科小児科学分野
内木 康博 1、吉村 和子 2、長崎 啓祐 3、堀川 玲子 1
新生児期や乳児期での低血糖はさまざまな原因で生じるがその一つ
として高インスリン血性低血糖症が挙げられ、これは低血糖時にイ
ンスリンの相対的高値により生じる。今回我々は低血糖時にインス
リン高値を伴わず、末梢のインスリン感受性の亢進によるグルコー
ス代謝の亢進が認められた症例を経験したので報告する。
【症例 1】
6
歳女児。32 週 3 日、2234g で出生、生後 12 時間で呼吸不全、心停止
あり蘇生されたが発達遅延あり。
2 歳時より低血糖に伴う痙攣を繰り
返し、発作時の検査でケトン陽性、アンモニア、インスリン、乳酸
いずれも上昇なくケトン血性低血糖症として低血糖時の対症療法の
み経過観察されていた。
5 歳になっても低血糖性けいれんを繰り返し
退行認めたために精査。血糖及びインスリンの日内変動で高インス
リン血症認めず、CRH 負荷試験と GRF 負荷試験で下垂体-副腎機能低
下なく、経口糖負荷試験でインスリンの過大反応を認めなかったが
静注糖負荷試験で K=3.2 とグルコース消退率の亢進を認め、Steady
State Plasma Glucose 法(SSPG)で開始後 60 分で低血糖を認めたため
インスリン感受性亢進と診断した。
ジアゾキサイド5mg/kg で開始し
低血糖と発達の改善を見ている。
【症例2】1 歳 2 ヶ月男児。39 週、
3152gで出生、周産期著変なし。1 歳時に低血糖指摘され近医にて精
査されたが高インスリン血症認めず紹介。
GRF 負荷試験と CRH 負荷試
験で下垂体-副腎機能低下なく、空腹時グルカゴン負荷試験は陰性、
静注糖負荷試験で K=4.62 とグルコース消退率の亢進を認め、SSPG
で開始後60分で低血糖を認めたためインスリン感受性亢進と診断し
た。ジアゾキサイド 9mg/kg で開始し低血糖の改善を見ている。
P-2-22-04 高浸透圧性高血糖を来たした Alagille 症候群の1例
P-2-22-03 内分泌代謝疾患を合併したアルコール性ケトアシドー
シスの 2 例
1
東邦大学 医学部 糖尿病代謝内分泌科、2 恩賜財団済生会神奈川
県病院 内科
吉原 彩 1,2、廣井 直樹 1,2、中野 三郎 1、土田 恭代 2、比嘉 眞理
子 2、坪井 久美子 1、芳野 原 1
本邦でのアルコール性ケトアシドーシス(AKA)の発症率は低いと言
われてきたが、救急搬送されたアルコール関連患者の約 1 割が本疾
患であったとの報告もあり、
AKA の認識が乏しいため診断されない症
例も多いと考えられる。
【症例 1】糖尿病性昏睡の既往のある大量飲
酒家の 64 歳の男性。アルコール摂取量の増加と食事量の減少の後に
出現した意識障害と間代性痙攣を主訴に受診。既往歴から当初糖尿
病性ケトアシドーシス(DKA)を疑ったが、補液とわずかなインスリン
投与のみで速やかにアシドーシスは補正されたこと、血糖や HbA1c、
尿ケトンは軽度な増加であり、β-ヒドロキシ酪酸(β-HLA)優位のケ
トン体の増加 (ケトン体比:3.88)が見られたことから 2 型糖尿病に
合併した AKA と診断した。
【症例 2】長期間放置されたバセドウ病を
合併した大量飲酒家の 36 歳の男性。食事を摂らずに大量飲酒を続け
ていた。脱力と意識障害を主訴に受診、血糖 7 mg/dl とアシドーシ
スを認めた。補液と糖質の投与のみでアシドーシスは速やかに補正
され、β-HLA 優位のケトン体の増加 (ケトン体比:2.80)が見られた
ことから、
バセドウ病に合併した AKA と診断した。
【考察】
一般に AKA
ではケトン体比は 7 程度と報告されているが、今回の 2 例ではいず
れもケトン体比は 3.88 と 2.80 と低めであった。一般に DKA ではケ
トン体比は低下すると言われており、糖尿病はもとより甲状腺機能
亢進症でも糖代謝の異常が見られることがあり、ケトン体比の低下
の一因として糖代謝の異常が関与していると考えられた。内分泌代
謝性疾患を合併した AKA の臨床像については今後更なる検討が必要
であるが、文献的考察を踏まえ報告する。
P-2-22-05 救急搬送された意識障害を伴う低血糖緊急症57例の検
討
1
東北大学病院 腎高血圧内分泌科、2 宏人会中央病院 CKD センター 1 旭川赤十字病院 内分泌代謝科、2 旭川医科大学 内科学講座 病
態代謝内科学分野
三浦 由希子 1、森 建文 1、小川 晋 1、阿部 高明 1、竹内 和久 2、 森川 裕子 1、森川 秋月 1、中田 宏志 1、野村 雅宏 1、羽田 勝計
2
伊藤 貞嘉 1
【緒言】Allagile 症候群に糖尿病合併の報告はあるが極めて稀であ 【背景・目的】最近、糖尿病における厳格な血糖コントロールの必
る。今回、高浸透圧性高血糖を発症した Allagile 症候群を経験した 要性が強調されているが、同時に低血糖緊急症の頻度が増加してい
ので報告する。
【症例】51 才の男性。家族歴:長女・次女は Fallot る印象がある。今回当院救急外来に搬入された低血糖患者の臨床背
【方法】2005 年 7 月から 2006 年 10 月までの 16 ヶ月
四徴症、四女は先天性胆道閉鎖と心疾患でいずれも Alagille 症候群 景を分析する。
と診断され、幼少時に死亡。既往歴:10 代より高血圧、28 歳左腎動 間に意識障害を有する低血糖で救急外来に搬入された57名を対象と
脈狭窄、49 歳腎血管性高血圧にて PTRA 施行、
(この時 2 型糖尿病と し、低血糖の原因、臨床背景を検討した。また 2000 年 4 月からの 16
【成績】1)意識障
診断された)家族歴および腎動脈狭窄、腎障害などから Allagile 症 ヶ月で同様の調査をおこなった結果と比較した。
候群と考えられた。主訴:食欲低下、夜間頻尿、全身倦怠。入院後 害を有する低血糖患者搬入数は、5 年間で 2.1 倍に増加した。2)
経過:入院時、血糖値 1507mg/dl、血清 Na 117mEq/l、血清クレアチ 年齢は平均 70.0 歳で、70 歳以上の高齢者が 59.6%であった。3)
ニン 2.7mg/dl、尿中 C-ペプチド 4.4μg/day であり、インスリン治 搬入時の血糖は平均 28.6mg/dl で、当院に入院した症例は 35 名、
療を開始した。脱水の補正、インスリン投与による血糖値のコント JCS100 以上の高度意識障害が 18 名、1 日以上意識障害が遷延した者
ロールにより全身状態の改善がみられた。高血糖、低 Na 血症が是正 が 16 名であった。4)糖尿病の治療中の者は 47 名(うち明らかな 1
されたのちグルカゴン負荷試験を行ったところ、血中インスリン値 型は 3 名)で、インスリン治療が 25 名、経口薬治療(全例SU薬含
は負荷前は 9.1μU/ml、負荷 6 分後は 29.3μU/ml、血中 C-ペプチド む)が 23 名であった。特に 70 歳以上では経口薬での低血糖が 62%
は負荷前は 1.8ng/ml、負荷 6 分後は 3.7ng/ml であり、インスリン分 であった。5)低血糖の誘因として糖尿病患者では、高齢者への過
泌の低下が認められた。考察:本症例は 2 年前に 2 型糖尿病と指摘 度の血糖コントロール、腎機能低下の合併、低血糖に対応する教育
され食事療法を行っていたが、今回インスリン分泌低下と脱水によ の不足などが多かった。6)糖尿病以外の低血糖の原因として、ア
る著しい高血糖をきたしたと考えられた。
【結論】
Alagille 症候群で ルコール過飲を伴う肝硬変症、胃切除後のダンピング症候群、アジ
【結論】糖尿病患者においては
は膵分泌機能低下例が報告されており、診療上糖尿病の発症に留意 ソン病の急性副腎不全などがあった。
厳格な血糖コントロールは重要だが、特に高齢者や腎機能低下を伴
する必要があると考えられた。
う症例では低血糖に注意し対処を厳重におこなうこと、シックデイ
ルールを家族にも指導するなどのきめ細かな対応が必要と考えられ
た。
P-2-22-06 ジアゾキサイドが奏効した高インスリン血症性低血糖
症の一例
1
太田綜合病院附属太田西ノ内病院 総合診療科、2 太田綜合病院附
属太田西ノ内病院 糖尿内科
栗山 千津子 1、佐藤 憲行 1、菅原 慎一 1、星野 智祥 1、菊池 明
夫 1、宮口 修一 2、太田 昌宏 1
【症例】67 歳男性【主訴】意識障害【現病歴】2002 年夏頃より意識
がもうろうとすることがあり近医受診。頭部 MRI で所見なく高血圧
を指摘され降圧剤を開始。2003 年 3 月 21、27 日に意識が混濁し精神
科受診。3 月 31 日午後 7 時頃不穏状態となり ER 受診。血糖 42mg/dl
と低く精査目的入院。
【検査成績】Glu 33mg/dl,IRI 7.7μU/ml,GH
3.05pg/ml,ACTH 40pg/ml,cortisol 10.1 μ g/dl,TSH 2.29 μ
IU/ml,FreeT4 1.11ng/dl,インスリン抗体 6.2%【経過】入院後、早朝
空腹時血糖 30 台で頭痛、吐気がありブドウ糖投与で速やかに消失。
低血糖時に相対的高インスリン血症とカウンターホルモンの反応低
下を認めたが負荷試験で下垂体ホルモンの反応は良好、頭部 MRI、腹
部 CT、MRI、MRCP 等で異常を認めず、デキサメサゾン 0.5mg 就寝前
内服にて経過観察となった。1 年後精査目的に再入院。選択的動脈内
カルシウム注入法(ASVS 法)を行い、脾動脈からのカルシウム注入で
IRI 24.5 から 60 秒後 201.1μIU/ml と上昇みられ膵尾部にインスリ
ン産生腫瘍の存在が疑われた。しかし動脈造影、腹部 CT、超音波内
視鏡でも腫瘍を描出できず、手術やステロイド内服を拒否したため、
ジアゾキサイドで血糖コントロールを開始した。多毛、浮腫などが
みられたが、ジアゾキサイド 100mg 就寝前投与で早朝血糖 70 台、症
状もほぼ消失した。
【まとめ】原因が特定できない高インスリン血症
性低血糖に対しジアゾキサイドでコントロール良好の症例を経験し
たので報告する。
P-2-23-01 グレリンノックアウトマウスにおける摂食行動、摂食
リズム、学習記憶能の解析
1
久留米大学 分子生命科学研究所 遺伝情報研究部門、2 長崎大学
医学部 解剖学第一教室、3 国立循環器病センター研究所 生化学部
佐藤 貴弘 1、黒川 衛 2、井田 隆徳 1、寒川 賢治 3、児島 将康 1
【目的】グレリンは空腹時に胃から分泌されるホルモンで摂食亢進
作用を示す。一方で、グレリン受容体は視交叉上核や海馬など中枢
に多く発現していることから、グレリンが摂食行動のみならず行動
リズムや学習記憶能を調節する可能性が考えられる。そこで本研究
では、グレリンノックアウトマウスを用いてグレリンの摂食行動、
摂食リズム、学習記憶能について検討する。
【方法】我々の作製した
グレリンノックアウトマウス(ghrl−/−)と野生型マウス(ghrl+/+)
とを比較検討した。マウスは 12 週齢の雄マウスを用い、各群 6-8匹
を用いた。摂食行動の日内リズムは K2CABIN(Phenotype Analyzing)
を、餌探し課題による学習記憶能は KUROBOX(Phenotype Analyzing)
を用いてそれぞれ解析した。また、行動リズムの解析はロコモシス
テム(メルクエスト)を用いた。
【成績】Ghrl+/+と ghrl−/−において、
(1)体重と積算摂食量に差は認められなかった。
(2)摂食行動の
日内リズムに差は認められなかった。
(3)制限給餌による摂食量の
差は認められなかった。
(4)概日リズムに差は認められなかった。
(5)餌探し課題による学習記憶能に差は認められなかった。
【結
論】本研究で解析した項目において、ghrl+/+と ghrl−/−の摂食行動、
摂食リズム、学習記憶能に差は認められなかった。Ghrl−/−では代償
機構が作用することも考えられることからさらなる検討が必要であ
る。
P-2-23-02 高脂肪食負荷マウスにおけるアロエベラゲル有効成分 P-2-23-03 ラット大脳皮質初代培養神経細胞におけるorexin及び
の抗肥満及び抗糖尿病効果
MCH による NMDA 及び AMPA 受容体サブユニットの mRNA 発現調節並び
に BDNF 及び TrkB 受容体の mRNA 発現調節
1
1
森永乳業 食品基盤研、2 京大院農
千葉大学大学院 医学研究院 細胞治療学、2 東京大学大学院薬学
研究科産学連携(シオノギ)
、3 東京大学大学院薬学研究科神経生物
物理、4 塩野義製薬(株)医薬研究開発本部、5 徳島文理大学香川薬
学部生物物理
田中 美順 1、三澤 江里子 1、山田 宗夫 1、樋田 知宏 1、岩附 慧 山田 伸子 1,2、淺木 敏之 2,4、川原 茂敬 3、桐野 豊 5、龍野 一郎
1
、齋藤 康 1、勝浦 五郎 2
二 1、後藤 剛 2、河田 照雄 2
我々はこれまでに、アロエベラゲルの抗糖尿病効果の有効成分を同 最近、肥満と認知障害や精神疾患などの高次中枢神経系異常との関
定してきた。今回、高脂肪食摂餌による肥満型2型糖尿病モデルマ 連性が指摘されている。視床下部外側野に存在する orexin 及び MCH
ウスにおける、アロエベラ有効成分投与による影響を調べた。 含有神経細胞は大脳皮質及び海馬に投射し、さらに両部位にその受
C57BL/6J マウスにおいて、高脂肪食摂取群の体重は、通常食摂取群 容体の高い発現が認められている。そこで、ラット大脳皮質初代培
に比べ有意に増加したが、高脂肪食と共にアロエベラゲル有効成分 養神経細胞を用いて orexin 及び MCH の高次機能への作用を検討し
である、シクロアルタノール化合物群及びロフェノール化合物群を、 た。神経細胞は B-27 supplement を添加した Neurobasal medium に
連日 10μg/mouse/day の濃度で経口投与した群では、体重増加が明 より培養した。orexin-A、orexin−B 及び MCH(0.01、0.1、1μM)
らかに抑制された。アロエベラゲル有効成分投与群では対照群に比 を培養 6 日目より 6 日間適用した。リアルタイム PCR 法により NMDA
べ、腹腔内脂肪(生殖器周囲脂肪)の重量、CT 測定による体脂肪率、 受容体およびAMPA 受容体サブユニット並びにBDNF 及びTrkB 受容体
血清中のトリグリセリド及び遊離脂肪酸値は有意に少なく、一方、 の mRNA を解析した。orexin-A および orexin-B の適用により NMDA
酸素消費量は多いことが認められた。また、高脂肪食負荷による体 受容体サブユニット(NR1、NR2A、NR2B)及び AMPA 受容体サブユニ
重増加と共に、対照群では血糖値の上昇も認められたが、アロエベ ット(GluR1、GluR2) mRNA は有意に減少した。MCH の適用により NR2A
ラゲル有効成分投与群では、血糖値の上昇が抑制され、投与開始 70 および NR2B サブユニット mRNA は有意に減少した。BDNF mRNA は
日目での糖負荷後の血糖値が、対称群に比べ低い傾向となった。さ orexin−A 及び MCH の適用により増加傾向を認め、orexin-B の適用
らに、インスリンの腹腔内投与後の血糖値低下の結果から、アロエ により濃度依存性に有意に増加した。一方、TrkB mRNA は orexin-A、
ベラゲル有効成分投与群では、インスリン感受性が維持されている orexin-B 及び MCH、1μM の適用により有意に減少した。これらの結
可能性が示された。さらに、投与開始 80 日目において、インスリン 果からorexin 及びMCH は認知や情動などの高次中枢神経系機能を調
投与 30 分後の、肝臓での AKT のリン酸化を調べた結果、対照群に比 節している可能性が示唆された。
べアロエベラゲル有効成分投与群で P-AKT (Ser473)が増加している
ことが確認された。以上の結果より、高脂肪食負荷というエネルギ
ー過多の状態において、アロエベラゲル有効成分投与が、肥満を予
防するとともに、肥満より惹起される前糖尿病状態である、血糖値
上昇や、インスリン抵抗性の惹起に対しても予防効果があることが
示唆された。
P-2-23-04 デカン酸修飾型グレリンの産生・分泌動態とその生理
作用:絶食マウスにおける検討
1
久留米大学 医学部 生理学講座(1)
、2 久留米大学 医学部 精
3
神科教室、 国立循環器病センター研究所 生化学部、4 久留米大学
医学部 産婦人科学教室、5 久留米大学 分子生命科学研究所・動物
実験センター
西 芳寛 1、比江島 啓至 1,2、細田 洋司 3、永山 祥代 1,4、野々下 晃
子 1,4、田中 永一郎 1、御船 弘治 5、児島 将康 5、寒川 賢治 3、
東 英穂 1
【緒言】グレリンはアシル化修飾で活性化する brain-gut hormone
である。活性型グレリンの主要形態はオクタン酸で修飾された
n-octanoyl ghrelin(C8:0-ghrelin)であるが、この他にデカン酸
で修飾された n-decanoyl ghrelin(C10:0-ghrelin)の存在が報告
さ れ て い る 。 C8:0-ghrelin の 分 泌 動 態 の 報 告 は 多 い が 、
C10:0-ghrelin 分泌に関する報告はない。今回われわれは、
C10:0-ghrelin の分泌動態を検討する目的で、絶食マウスの胃内,
血中の C10:0-ghrelin 濃度変化を測定し自由摂食群と比較検討し
た。また C10:0-ghrelin 投与による摂食亢進活性を C8:0-ghrelin
と比較検討した。
【方法】絶食下のマウスの胃,血漿中のぺプチドを
逆相 HPLC で分画後、分画中のグレリン濃度を RIA で測定し、検体
中の des-acyl-, C8:0-, C10:0-ghrelin 濃度を算出した。合成
C10:0-ghrelin を末梢投与して C8:0-ghrelin 投与による摂餌量変
化と比較した。
【結果】胃内の C10:0-ghrelin 濃度は絶食下で有意
に上昇した。一方で胃内の C8:0-ghrelin 濃度は減少した。血漿中
の C10:0-ghrelin 濃度は、絶食下で C8:0-ghrelin 濃度と同等のレ
ベ ル に ま で 上 昇 し た 。 C10:0-ghrelin の 摂 食 亢 進 活 性 は
C8:0-ghrelin とほぼ同等であった。
【結語】C10:0-ghrelin の産生・
分泌動態は C8:0-ghrelin とは異なることが判明した。絶食下で血
中濃度が上昇する C10:0-ghrelin は、C8:0-ghrelin の生理機能を
代償している可能性が推定された。
P-2-23-06 新規ケモカイン、メタボカイン1はインスリン感受性
と脂質代謝を調節する
1
神戸大学大学院医学系研究科内分泌代謝・神経・血液腫瘍内科、2
神戸大学大学院医学系研究科保健学科、3 神戸大学大学院医学系研究
科分子病理、4 兵庫県立大学、5 日本ケミカルリサーチ研究業務セン
ター、6 理化学研究所・神戸研究所発生再生科学総合研究センター
高橋 路子 1、高橋 裕 1、高橋 健一 5、Fyodor N.Zolotaryov5、洪
卿秀 5、飯田 啓二 1、高橋 健太郎 1、竹野 亮子 1、福岡 秀規 1、
今中 真理 1、西澤 衡 1、加治 秀介 4、置村 康彦 2、清成 寛 6、
大島 尚子 6、相澤 慎一 6、北澤 理子 3、北澤 荘平 3、千原 和
夫1
私達はこれまでに代謝を調節する新規生理活性物質を探索する目的
で、培養脂肪、肝、筋肉細胞において代謝および分化刺激によって
変動する遺伝子のスクリーニングを行いいくつかの未知の分泌蛋白
を同定した。その中で脂肪分化とともに発現が上昇する未知のケモ
カインをメタボカイン1(MC1)と名付け、遺伝子組み換え産物
(rhMC1)、特異的抗体、およびノックアウトマウス(KO)を作製し機能
を解析した。MC1 は肝臓、脂肪組織に多く発現している。MC1 血中濃
度は絶食で上昇し、高脂肪食でも上昇する。MC1KO ではインスリン低
血糖試験において血糖値は有意に上昇し、KO 組織の解析では脂肪肝
を認めミトコンドリア関連遺伝子の発現が低下していた。In vitro
において rhMC1 は脂肪細胞におけるインスリン依存性糖取り込みを
促進した。これらのことから MC1 は脂肪組織および肝臓における糖
脂質代謝経路を制御することによりインスリン感受性および脂質代
謝を調節していると考えられた。近年肥満が一種の炎症性疾患であ
るとともにMCP1などのケモカインが代謝調節に関与していることが
報告されており、この MC1も代謝調節の重要な制御因子の一つであ
ると考えられた。
P-2-23-05 2 型糖尿病におけるレプチンの糖脂質代謝改善作用の
検討
1
京都大学大学院 医学研究科 内分泌代謝内科
日下部 徹 1、海老原 健 1、平田 雅一 1、宮永 史子 1、髭 秀樹 1、
藤澤 武 1、青谷 大介 1、藤倉 純二 1、益崎 裕章 1、細田 公則
1
、中尾 一和 1
【背景・目的】これまでに我々はレプチン過剰発現トランスジェニ
ックマウスの解析を通じて、レプチンがインスリン感受性亢進作用
を有することを見出し、脂肪萎縮性糖尿病やインスリン分泌低下型
糖尿病に対するレプチンの糖尿病治療薬としての有用性を報告して
き た ( Diabetes 1999, 48:1822, Diabetes 2001, 50:1440,
Diabetologia 2003, 46:1329, N Engl J Med 2004,351:615)
。今回、
糖尿病領域におけるレプチンのさらなる臨床応用を目指して、
2 型糖
尿病に対するレプチンの有用性を検討した。
【方法】8 週齢 C57BL/6J
マウスに低用量のSTZを腹腔内に単回投与し45%脂肪含有食を5週間
負荷することでインスリン分泌低下とインスリン抵抗性をあわせも
つ 2 型糖尿病モデルマウス(STZ/HF)を作製し、浸透圧ミニポンプ
を用いてレプチンを 2 週間持続皮下投与した。
【結果】
STZ/HF では対
照マウスと比較して、摂餌量、体重および血中レプチン濃度は高値
を示した。STZ/HF では対照マウスと比較して、空腹時血糖および随
時血糖は有意に高値を示しており、空腹時インスリン値は対照マウ
スの約 1/2 に減少し、糖負荷時のインスリン分泌能の低下、さらに
インスリン抵抗性も認められた。レプチン投与により、STZ/HF の体
重、摂餌量は抑制され、さらに空腹時血糖および随時血糖も有意に
改善が認められた。この時、糖負荷時のインスリン分泌については
変化が認められず、インスリン感受性の増大が確認された。また
STZ/HF で認められた脂質代謝異常についてもレプチンは有意に改善
した。
【結語】2 型糖尿病モデルマウスにおいて、レプチンの糖脂質
代謝改善作用が認められ、レプチンの有用性が示された。
P-2-24-01 2 型糖尿病における閉経後骨粗鬆症と動脈硬化に対す
る選択的エストロゲン受容体モジュレーターの治療効果
1
産業医科大学医学部第一内科学
森 博子 1、岡田 洋右 1、松下 幸司 1、廣瀬 暁子 1、谷川 隆久 1、
新生 忠司 1、西田 啓子 1、森田 恵美子 1、田中 良哉 1
【背景目的】糖尿病の最終目標は,健康人と変わらない QOL の維持,
寿命確保で,種々の合併症をコントロールしていくことが重要.本邦
も高齢化が進行し,糖尿病,骨粗鬆症,血管イベントの危険性が増加,
更に女性は閉経後骨粗鬆症もあり,骨粗鬆症や動脈硬化も含めた総
合的フォローが重要.骨粗鬆症薬の中でも,選択的エストロゲン受容
体モジュレータ(SERM)は,椎体骨折だけでなく,動脈硬化や乳癌の
抑制効果が注目されているが,2 型糖尿病における SERM の検討はな
く,閉経後 2 型糖尿病に対するトータルヘルスケアとして SERM の
骨・脂質・糖代謝に及ぼす影響について検討.【方法結果】80 歳未満
で閉経後骨粗鬆症合併 2 型糖尿病 141 例を無投薬群 (52 例),アルフ
ァカルシドール群(44 例),SERM 群(45 例)に無作為割付け,骨・脂質・
糖代謝への影響を投与 6 ヵ月後に検討.1)年齢,BMI,骨・脂質・糖代
謝マーカー,アディポネクチン等の背景に群間で有意差なし.2)骨代
謝は,血清 NTX は SERM 群で-19%と骨吸収抑制傾向.BAP は群間差な
し.3)脂質代謝は,T-cho は SERM 群で-5.0%低下傾向,アディポネクチ
ンは群間差はなし.4)糖代謝は,SERM 群で IRI,HOMA-R は共に低下傾
向.5)現在まで骨折,心血管イベントの発症なし.【考察】閉経後 2 型
糖尿病の骨粗鬆症において,SERM は骨代謝のみならず,脂質・糖代謝
マーカーの改善傾向認め,今まで報告されている骨密度増加,骨質改
善作用のみならず,坑動脈硬化作用も有する可能性が示唆され
た.SERM は様々なpleiotropic effects と共に骨質改善作用も有る.2
型糖尿病の骨粗鬆症は骨質劣化が問題とされ,SERM は閉経後骨粗鬆
症の 2 型糖尿病に対するトータルヘルスケアとして有効な薬の 1 つ
と考えられた.
P-2-24-02 核内ホルモンによる遺伝子転写促進と抑制には P-2-24-03 低血糖の精査における選択的動脈内カルシウム注入試
DNA-PK(DNA 依存性蛋白キナ−ゼ)の関与する共通の機構が存在する 験(SACI)の有用性についての検討
1
1
帝京大学医学部生化学教室
東京都立府中病院 内科、2 東京都立府中病院 放射線科、3 東京医
科歯科大学大学院 分子内分泌内科学
岡崎 具樹 1
山口 実菜 1、朱 啓子 1、西田 賢司 1、辻野 元祥 1、高田 ゆかり
2
、平田 結喜緒 3
ヒト MCF7 細胞における PTHrP 遺伝子発現は、ビタミン D・17βE2・ インスリノーマの局在診断としての SACI の有用性は確立されてい
DHT・デキサメサゾン・プロゲステロン・甲状腺ホルモンによって、 る。今回、膵腫瘤の有無に拘らず、低血糖の精査目的で SACI を施行
各ホルモン(10 nM)投与後6∼8 時間をピークとして、50%以下に抑制 した 8 例の成績について解析した。
され、この調節には PTHrP 遺伝子上流のハ−フサイト様配列(nVDRE) 【方法】対象は低血糖時の過剰インスリン分泌が疑われ、精査目的
と DNA-PK が関与する。今回、MCF7 細胞核蛋白を各 NR(核内受容体) にて 1998 年∼2006 年の間に当院で SACI を施行した 8 例(平均年齢
。胃十二指腸動脈(GDA)
、上腸間膜動脈(SMA)
、
および DNA-PK 抗体を用いて IP ウェスタン法で詳細に解析した。(結 54 歳,男 7 例,女 1 例)
、固有肝動脈(PHA)にグルコン酸 Ca(0.025mEq/kg)を
果)1)各ホルモン投与 6 時間後に各核蛋白を抽出し、各の抗 NR 抗体 脾動脈(SA)
で免疫沈降し抗 DNA-PK 抗体でウェスタンブロットを行った。その結 急速注入し、肝静脈よりサンプリングし血中インスリン濃度(IRI)
果、各ホルモンの存在時にのみ DNA-PK のバンドを検出できた。核内 を測定、基礎値の 2 倍以上の反応を陽性とした。
DNA-PK 量はホルモン投与によって変化がなかった。2)上記の IP-IB 【結果】画像診断で膵腫瘤が認められたのは 3 例。SACI で 2 倍以上
を逆の組み合わせで行うと、同様に各ホルモン依存的な、それぞれ の IRI 上昇は 7 例で、このうち 3 例は SA からの注入に対して基礎値
の NR バンドを認めた。3)ChIP 法では、nVDRE を含むクロマチンに、 の 4 倍以上の IRI 上昇を認め膵尾部のインスリノーマ、1 例は SMA
DNA-PK および各 NR が、ともに、それぞれのホルモン依存的に動員さ からの注入に対して基礎値の 4 倍以上の IRI 上昇を認め膵体部のイ
れた。4) DNA-PK の選択的インヒビターを同時投与すると、PTHrP 遺 ンスリノーマと診断された。1 例は SA、GDA、PHA からの注入に対し
伝子発現抑制が消失し、1)∼3)で示した各 NR と DNA-PK の て基礎値の 2 倍以上の IRI 上昇を認めたが、術中超音波検査で膵尾
interaction が認められなくなった。(考察)昨年報告した DNA-PK の 部に腫瘍を認め摘出し、インスリノーマと診断された。1 例は術中検
SiRNA 導入後の転写抑制解除と合わせ、
各ホルモンによる PTHrP の転 索でも腫瘤を認めず、術後病理検査にて膵島細胞症と診断。1 例は後
写抑制における DNA-PK の必要性が示唆された。昨年、トポイソメラ 膵十二指腸動脈からの注入に対して基礎値の2倍程度の IRI 上昇を
ーゼ 2 と PARP1 による DNA の unwinding が、
核内ホルモンおよび AP1 認めたが、手術に至らず確定診断は得られなかった。1 例は IRI 上昇
を介する遺伝子発現促進の最初の共通機構であることが示され、そ を全く認めず、陰性であった。
れに伴う DNA-PK と NR のホルモン依存的な interaction が報告され 【結語】SACI は 8 例中 7 例で陽性(88%)であった。膵腫瘤が明ら
た。これらは異なる DNA 配列に共通する機構であるが、今回の知見 かな症例(3 例)では機能的診断として、また膵腫瘤が明らかでない
は、ある一つの DNA 配列がそれぞれの NR と DNA-PK のホルモン依存 症例(4 例)では機能的および局在診断として、インスリノーマある
的結合をもたらし、しかもそれが転写抑制につながることを意味す いは膵島細胞症の診断に SACI は有用であった。
る。現在 DNA-PK による各 NR の燐酸化の検討を続けている。
P-2-24-04 褐色細胞腫に伴う代謝異常 −耐糖能障害を中心に−
P-2-24-05 IRI 高値を呈さず、血中プロインスリン値、ASVS が診
断に有用であったインスリノーマの 4 症例
1
千葉大学大学院 医学研究院 細胞治療学 千葉大学医学部附属 1 新潟大学大学院医歯学総合研究科内分泌・代謝学分野
病院糖尿病代謝内分泌内科
橋本 直子 1、保坂 博章 1、峰澤 朝美 1、間山 貴文 1、山田 伸子 小菅 恵一朗 1、小原 伸雅 1、山田 絢子 1、岩永 みどり 1、伊藤 崇
1
、鈴木 佐和子 1、永田 あずさ 1、小出 尚史 1、田中 知明 1、野 子 1、良田 千晶 1、鈴木 亜希子 1、上村 宗 1、羽入 修 1、平山 哲
1
口 義彦 1、龍野 一郎 1、齋藤
康1
、伊藤 正殻 1、相澤 義房 1
【目的】褐色細胞腫から過剰に分泌されるカテコラミンは血圧上昇 症例1は 74 歳男性。重篤な低血糖発作が出現し当科紹介された。軽
に加えて、耐糖能障害などの多彩な代謝異常を高頻度に合併する。 度副腎不全を併発しておりステロイド補充を行ったが低血糖は持続
今回、我々は千葉大学医学部附属病院で過去 12 年間に経験した褐色 し、画像検査で膵腫瘍を認め、血中プロインスリン高値、ASVS 所見
細胞腫 30 症例について、耐糖能障害を中心に解析を行った。
【方法】 よりインスリノーマと診断された。症例2は 50 歳女性。冷汗、倦怠
対象症例 30 例について、身長・体重・血圧・カテコラミンならびに 感などの症状が出現したが、ストレス障害として対応されていた。
血糖・HbA1C などの代謝マーカーについて検討を行った。
【結果】平 同院再診時、低血糖を指摘され当科紹介された。画像検査にて膵体
均年齢 44.5±13.9 歳、血圧 146.2±38.6/82.0±16.9、BMI21.8±3.0 部に腫瘍を認めたため ASVS 施行し、インスリノーマと診断した。症
空腹時の嘔気、
頭痛あり近医受診し血糖値 30mg/dl
であった。
空腹時血糖(FBS)は123.2±47.7mg/dl、
HbA1C は5.6±1.2% 例3は 55 歳女性。
であった。耐糖能障害は 16 名(糖尿病型 14 名、IGT2 名)53%に認 を認め、精査目的に紹介入院した。血中 IRI は正常範囲であったが、
められた。術前の血中アドレナリン濃度と FBS の間(p=0.008)及び CT にて膵頭部腫瘤を認め、血中プロインスリン高値、ASVS 所見等と
HbA1C の間(P=0.018)に有意な正の相関関係が、逆に BMI と FBS の 併せてインスリノーマと診断した。症例 4 は 61 歳女性。家庭環境の
間(P=0.009)及び HbA1C との間(P=0.008)に有意な負の相関関係が認 変化により不眠、不安強くうつ病として近医で加療されていた。ま
められた。全例手術が施行されカテコラミン値・高血圧は速やかに た検診で低血糖を指摘されていたが放置していた。精神症状が増悪
改善、術後 糖代謝障害はいずれも正常化した。
【考案】アドレナリ し前医入院時、血糖値 23mg/dl、血中 IRI 高値を認め、インスリノー
ンと糖代謝障害の相関は カテコラミンのβ2 受容体刺激作用を介 マ疑いで当科転院した。転院後は、低血糖時も血中 IRI は正常範囲
したインスリン抵抗性が反映していると思われた。また褐色細胞腫 であったが、膵頭部腫瘤を認め、ASVS 所見等よりインスリノーマと
(考察)4 症例は低血糖発作時の IRI は正常範囲内で、従
で BMI と糖代謝障害との間には逆相関関係が認められ、これはカテ 診断した。
コラミンのβ刺激作用による脂肪減少を反映していると思われた 来使用されてきたインスリノーマの診断基準にはあてはまらず診断
が、近年 脂肪組織減少に伴うアデイポサイトカインの変化が耐糖 に苦慮した。最近 IRI 測定法の変更に伴い IRI 正常のインスリノー
マの報告が散見されるが、今回の症例では高プロインスリン血症の
能にも影響を及ぼす可能性も考えられる。
存在、ASVS 所見が診断に有用であったため、若干の考察を交え報告
する。
P-2-24-06 卵巣顆粒膜細胞腫における HIF-1α発現の意義:エスト
ロゲン産生能との関連に着目して
1
東海大学 医学部 基盤診療学系病理診断学、2 東海大学 医学部
専門診療学系産婦人科学、3 海老名総合病院 病理診断室
宮澤 昌樹 1、安田 政実 1、藤田 麻里子 1、林 瑞希 1、宮崎 小百
合 3、梶原 博 1、平澤 猛 2、村松 俊成 1、近藤 朱音 2、三上 幹
男 2、竹腰 進 1、長村 義之 1
【目的】腫瘍おける虚血領域の低酸素応答は Hypoxia Inducible
Factor-1α (HIF-1α)を中心に成り立っており、GLUT-1、VEGF など
様々な因子の転写を介して腫瘍の増殖・進展などに寄与しているこ
とが知られている。
現在までに婦人科腫瘍全般を対象に HIF-1αの発
現を解析してきたところ、
卵巣顆粒膜細胞腫において HIF-1αの発現
が生化学的に最も高値かつ免疫組織化学的にも強陽性であったこと
から、
顆粒膜細胞腫における HIF-1α発現意義について興味がもたれ
た。そこで今回、顆粒膜細胞腫における HIF-1αおよび関連因子の発
現について解析した。
【材料/方法】1976 年∼2006 年に当院にて外科
的に切除された卵巣顆粒膜細胞腫 14 例(再発症例 2 例)を用いて
HIF-1α、GLUT-1、VEGF 抗体および関連マーカーを用いて免疫組織化
学酵素抗体法を施行し、半定量的に解析を行った。
【結果/考察】
HIF-1αの発現は再発例を含む全例で陽性を認め、
GLUT-1 は 1 例を除
き全て陰性、VEGF は全例で種々の程度の陽性を示した。現在までの
検討から上皮性卵巣腫瘍においては HIF-1αと GLUT-1、VEGF の発現
には概ね相関がみられたが、顆粒膜細胞腫では HIF-1αと GLUT-1 の
発現に全く相関が認められなかった。これは上皮性卵巣腫瘍と性索
間質性腫瘍の間には腫瘍の増殖過程における低酸素応答のメカニズ
ムに相違があること、また糖の能動輸送に GLUT-1 以外の因子が関与
しているものと推察された。今後、本腫瘍に特有のエストロゲン産
生性との関連性についても追って報告する。
P-2-25-01 植物エストロゲンとその代謝産物の核内受容体作用と
その臨床疫学的解析
1
国立病院機構京都医療センター 臨床研究センター、2 大塚製薬佐
賀栄養研究所
臼井 健 1、坂根 直樹 1、田上 哲也 1、成瀬 光栄 1、島津 章 1、
内山 成人 2
女性において閉経後は虚血性心疾患や骨粗鬆症のリスクが高まるこ
とは種々の疫学研究より周知の事実である。2001 年に閉経後女性を
対象に行われたエストロゲン、プロゲステロンのホルモン補充療法
(HRT)の有効性の検証をめざした大規模臨床研究(WHI 研究)では予想
に反して HRT の有効性を確認できなかった。一方天然中に存在する
エストロゲン様物質のうち植物に含まれるエストロゲン(植物エス
トロゲン)の有効性については未だ一定の見解が得られていない。
大豆にはエストロゲン作用を有するゲニステイン、ダイゼイン等の
イソフラボンが豊富に含まれておりこれらの摂取によってその作用
を及ぼしうることが示唆される。更にダイゼインは腸内細菌の代謝
を受けてより強力なエストロゲン作用を呈すると考えられているエ
クオールに代謝されるが、健常人のなかにもエクオールを産生でき
る人(エクオールプロデューサー,EP)と産生できない人(エクオー
ルノンプロデューサー,ENP)が存在することが明らかになってきた。
今回我々はこれらの植物エストロゲンおよびその代謝産物の分子レ
ベルにおける核内受容体に対する作用を検討しこれらの植物エスト
ロゲンがエストロゲン受容体を介した標的遺伝子活性化を in vitro
で惹起することを確認した。またこれらの植物エストロゲンは PPAR
γに対してもアゴニストとして作用することが明らかになった。更
に健常人約 300 名を対照に尿中植物エストロゲンおよびその代謝産
物の測定を行い、ヒトにおいて EP と ENP の各種臨床パラメーターの
相違について検討した。EP と ENP の間にはメタボリックシンドロー
ムに関与する複数の因子において有意な差が認められた。
P-2-25-02 耐糖能異常がみられる排卵障害患者に対する鍼灸の改
善効果 −OGTT による検討−
1
藤田保健衛生大学 坂文種報徳会病院 産婦人科、2 藤田保健衛生
大学 医学部 産婦人科
清水 洋二 1、石渡 恵美子 1、中沢 和美 1、宇田川 康博 2
【目的】 標準体重の月経異常女性の耐糖能について検討した。
【方
法】成人女性 12 名に対し基礎体温を 3 ヶ月間測定し、基礎体温上正
常月経である 6 名を正常群、高温期のない6名を異常群とした(年
齢:25.5±4.0vs.24.5±7.3、BMI:20.7±1.9vs.21.0±2.7)
。各群は
低温期に同時刻に 75g 糖負荷試験(OGTT)を行った。異常群は検査後
約1年間鍼灸治療を行い、その後再度 OGTT を行った。
【結果】両群
の比較では、インスリン(IR)120 分値、血糖(BS)30 分値、120 分値で
両群に差があった(IR:36.1 ± 19.7vs.63.0 ± 12.5 μU/ml,p <
0.05,BS:117 ± 10.3vs.148.8 ± 15.4mg/dl,p < 0.01,88.3 ±
11.4vs.137.5±26.5mg/dl,p<0.01)
。 異常群の鍼灸介入前後比較
では、IR120 分値、BS120 分値に有意差を認めた(IR:63.0±
12.5vs.46.1 ± 10.7 μ U/ml,p < 0.05,BS:137.5 ± 26.5vs.114.6 ±
36.2mg/dl,p<0.03)
。月経に関しても周期・低温期及び高温期日数
全てに有意差があった(周期:59.6±59.3vs.30.7±3.5 日,p<0.05、
低温期:59.6±59.3vs.23.8±4.4 日,p<0.05、高温期:0vs.7.0±4.4
日,p<0.05)
。異常群鍼灸介入後と正常群の OGTT に差はなくなって
いた。
【考察及び結語】鍼灸介入は排卵障害及び耐糖能の改善効果を
有することが考えられ、その機序の解明、臨床応用に期待が持てる。
P-2-25-03 性腺系での NGFI-B/ nur77 の発現調節機構
P-2-25-04 小児慢性特定疾患治療研究事業の登録データに基づい
た小児期内分泌疾患頻度の推定
1
福井大学 医学部 医学科 生命情報 医科学講座 分子生体情 1 国立成育医療センター 成育政策科学研究部
報学
稲岡 斉彦 1、矢澤 隆志 1、水谷 哲也 1、上坂 美紀 1、山田 一哉 原田 正平 1、顧 艶紅 1、佐藤 ゆき 1、加藤 忠明 1
1
、宮本 薫 1
私共は卵巣莢膜細胞で発現している NGFI-B/ nur77 が合成エストロ 【目的】小児期の内分泌疾患頻度の推定には、研究班を組織し多数
ゲン diethylstilbestrol(DES)で強く抑制されること、さらにこの の専門家、多大な研究費、長い時間を投入しての調査研究が必要で
発現抑制がDES 投与による下垂体からのLH 分泌抑制によることを明 あった。また経年的変化を知るには数年毎にこれを繰り返さなけれ
らかにしている。本研究では、さらに MA-10 を用いて NGFI-B/ nur77 ばならなかった。一方、1979 年に産声を上げた小児慢性特定疾患治
遺伝子の転写メカニズムの解析を行った。その結果 NGFI-B/ nur77 療研究事業(小慢事業)は、1998 年以降、データの電子登録化が進
は hCG、cAMP 刺激で早期に誘導され、その cAMP 応答性は転写開始点 み、2005 年には児童福祉法の中に規定され、登録精度の向上が進め
上流 -253∼+63 に存在した。また、この領域内に存在している cAMP られた。そこで小児期の内分泌疾患頻度推定に小慢事業データの利
応答性を示す 3 つの AP-1 like element 配列は CREB とも酷似してい 用が有用であるかを検討した【方法】1975 年に発表された「小児内
るため、これら領域への AP-1 タンパク質または CREB による結合を 分泌疾患の臨床的研究」研究班の報告と 1998∼2003 年度小慢事業デ
解析した。その結果、各 AP-1 like element にはそれぞれ異なる AP-1 ータを統合した症例登録データベースからの抽出データを比較し
【成績】
小慢事業での内分泌疾患群の登録数は202,000人であり、
タンパク質または CREB が結合することを明らかにした。この cAMP た。
刺激によるNGFI-B/nur77遺伝子の発現量増加にはタンパク質合成は 上位 10 疾患は、成長ホルモン分泌不全性低身長症 40.6%、先天性甲
関与しない。これらの結果から NGFI-B/nur77 は卵巣内においてゴナ 状腺機能低下症 13.0%、甲状腺機能亢進症 10.5%、思春期早発症
ドトロピンにより速やかに発現しその作用を仲介する因子である可 7.1%、慢性甲状腺炎 3.5%、ターナー症候群 3.3%、先天性副腎(皮
質)過形成 3.7%、Prader-Willi 症候群 1.3%、下垂体性尿崩症 1.1%
能性が示された。
下垂体機能低下症 1.0%、であった。1975 年データではこの上位 10
疾患の頻度は、全登録数 1,976 人に対し、それぞれ 12.0、9.6、8.9、
5.6、7.6、4.7、4.3、2.0、4.5、0.0、%であった。両者の大きな違
いは、1975 年度データで成長ホルモン分泌不全性低身長症が 1/3 以
下と少なく、下垂体性機能低下症の登録が無く、上位 10 疾患に無い
単純性甲状腺腫が 9.5%と高頻度であった。
【結論】統合された小慢
事業データは小児期内分泌疾患頻度の推定に有用であり、従来の研
究班方式に比べて人材、調査時間の軽減につながるなど、費用対効
果は優れていた。
P-2-25-05 スーパーマイクロサージャリーを用いた血管付内分泌 P-2-25-06 ターナー症候群5例の空間認知障害と言語聴覚療法
臓器移植∼ラット卵巣移植・臓器凍結保存実験モデルの開発∼
1
東京大学 医学部付属病院 形成外科・美容外科、2 東京医科大学 1 旭川荘療育センター児童院小児科、2 高知大学医学部小児科
人体構造学分野
三原 誠 1、成島 三長 1、光嶋 勲 1、田結庄 彩知 2
荒木 久美子 1,2
小児癌・若年女性患者に対し、抗癌剤治療、放射線療法は癌治療の
ために無くてはならない治療法である。しかしながら、これらの治
療法の副作用として精巣・卵巣機能(内分泌機能・妊孕性)の低下
を高率にもたらす。これまで、癌治療を優先するあまり、この副作
用の点に関しては医療者自身が目を塞いでいた状況であった。現在
では妊孕性温存に対し、癌治療前に精子・卵子凍結保存の研究が進
められてきている。しかしながら、精子と比較し、卵子は構造的に
非常に不安定であり、凍結・解凍後の妊娠率は非常に低い。我々は
その原因を血流の不安定さにあると考え、血管吻合の技術を用いた、
卵巣臓器保存の研究を行っている。形成外科では 40 年程前から顕微
鏡を用いた微小血管吻合のテクニックが進歩し、現在では 12-0 ナイ
ロン糸(針 50μm)を用いて 0.3mm 程度の血管吻合が可能である。こ
の技術を用いて、内分泌臓器(卵巣)を「組織」ではなく、
「臓器」
として移植し、また凍結保存することを試みている。我々の実験は、
ラットにおける卵巣組織の一定期間の凍結保存、その後の再移植に
よって卵巣内分泌機能、妊娠機能の半永久的再獲得を試みている。
卵巣動静脈を顕微鏡下に血管吻合することで移植する卵巣の血流を
安定させ、高率に、また効果的に卵巣機能を再獲得できる可能性は
非常に高い。妊孕性の再獲得に加え、卵巣の内分泌機能を温存する
点では、anti-aging 効果、更年期障害、骨粗鬆症の予防等が獲得で
きる事も予測される。日本が近い将来,超高齢化社会を迎えるにあ
たり、性ホルモン機能の研究は有意義な領域のひとつである。
【はじめに】ターナー症候群(TS)は空間認知障害があるとされ、
TS小児で検討した。
【対象と方法】hGH治療中のTS5例(9∼15歳)
。聴力の異常
や思春期発来はなく、女性ホルモン治療も行っていない。頭部MR
I検査では言語性IQが57、全検査IQが45と著しく低い1例
でDandy−Walker complexを認めたが、他の4
例では異常なかった。各種知能検査と視覚検査を行い、学習障害の
訴えのあった3例に言語聴覚療法(ST)を行った。
【結果】初期評価は、WISC-ΙΙΙでは言語性IQ(57∼11
3)
、動作性IQの(43∼87)
、全検査IQ(45∼95)と、
5例とも言語性IQに比べて動作性IQが明らかに低下していた。
WISC-ΙΙΙでの空間カテゴリー検査とレーブン色彩マトリッ
クス検査では、全検査IQが90以上の2例は正常であったが、低
い3例は低下していた。フロスティッグ視知覚発達検査では5例と
も低下しており、ベントン視覚記銘検査では全検査IQが正常な1
例を含む2例で低下していた。この結果から、5例とも程度の差は
あるが空間認知障害が認められた。全検査IQが正常の2例を除く
3例に学習障害の訴えがあり、STを1年半実施し、3例とも言語
性IQが14以上、全検査IQは17以上の著しい改善が認められ
た。WISC-ΙΙΙの空間カテゴリー検査では、全検査IQ45の
1例を除く2例で改善がみられた。
【考察】TS全例に動作性IQの低下と空間認知障害が認められた。
学習障害のあった3例にSTを行い、3例とも言語性IQと全検査
IQの改善がみられたが、空間認知障害の改善は言語性IQの正常
な2例にのみ認められた。以上の結果から、TSの学習障害や空間
認知障害はSTにより改善する可能性が示唆された。
P-2-25-07 性同一性障害に対するホルモン療法の内分泌学的効果
1
岡山大学 医学部 産科婦人科、2 岡山大学大学院 保健学研究科
佐々木 愛子 1、中塚 幹也 2、新井 富士美 1、安達 美和 1、清水 恵
子 1、野口 聡一 1、鎌田 泰彦 1、リン ハオ 1、平松 祐司 1
私達は性同一性障害(GID)におけるホルモン療法の実態を報告し
てきたが,今回,GID 症例へのホルモン療法による内分泌学的変化を
検討したので報告する. 岡山大学病院産科婦人科を受診し,同意
の得られた GID 症例 222 症例を対象とした.MTF(身体の性は男性,
性の自己認識は女性)84 症例の年齢は平均 36.0 歳であり,エストロ
ゲン製剤の継続年数は平均 2.9 年であった.ホルモン療法未施行群
(n=41)の血清 Testosterone 値は平均 559.1 ng/dl であったが,ホル
モン療法施行群(n=43)では 56.4 ng/dl と有意に低下していた.ホル
モン療法未施行群の LH,
FSH,
PRL 値は平均で 4.4 mIU/ml,
5.2 mIU/ml,
10.9 ng/ml であったが,施行群では 1. 7 mIU/ml,1.6 mIU/ml,17.2
ng/ml であり, LH,FSH 値は有意に低下,PRL 値は有意に上昇してい
た.FTM (身体の性は女性,性の自己認識は男性)138 症例の年齢は
平均 27.3 歳であり,アンドロゲン製剤の継続年数は平均 2.7 年であ
った.ホルモン療法未施行群(n=95)の血清 Estradiol 値は平均
105.8ng/dl であったが,ホルモン療法施行群(n=43)では 58.9 ng/dl
と低下していた.ホルモン療法未施行群の LH,FSH,PRL 値は平均で
7.4 mIU/ml,4.7 mIU/ml,12.7 ng/ml と,LH>FSH であったが,施
行群では 4.5 mIU/ml,7.5 mIU/ml,8.8 ng/ml であり, LH/FSH 比
は低下傾向,PRL 値は有意に低下していた. 今後,これら内分泌学
的変化と身体の変化をさらに検討する必要がある.
P-2-26-01 蛋白摂取量が胎生期低栄養マウスの血圧上昇及び冠動
脈周囲線維化に与える影響
1
京都大学産婦人科、2 国立病院機構大阪医療センター産婦人科、3 三
重大学産婦人科
藤井 剛 1、川村 真 1、伊東 宏晃 2、由良 茂夫 1、最上 晴太 1、
佐川 典正 3、藤井 信吾 1
【目的】ヒトにおいて胎生期の低栄養は成人期の心血管障害罹患率
を上昇させることが疫学的に報告され,また動物実験では妊娠中の
低蛋白餌投与で成長後に血圧上昇を来すことが示されている.これ
らから,摂取する栄養素のうち蛋白質含量が成長後の血圧上昇や心
血管障害発症に関与すると考えられる.今回摂餌制限を加えた妊娠
マウスにおいて摂取する蛋白質量が出生仔の成長後の血圧上昇およ
び冠動脈周囲線維化に及ぼす影響につき検討した.【方法】施設内動
物実験委員会の承認を得て,妊娠マウスに普通食(蛋白質含量 20%)
による自由摂餌(A 群),摂餌制限(B 群;妊娠 10.5 日目より A 群の
70%の摂取カロリー),及び高蛋白食(蛋白質 40%)を用いた摂餌制
限(C 群;妊娠 10.5 日目より A 群の 70%の摂取カロリー)を行なっ
た. (1) 各群より出生した仔の生後 8 週齢および 16 週齢での血圧を
測定した.(2)生後 16 週齢で冠動脈周囲線維化の評価を行った.【成
績】 (1)生後 8 週齢の B 群血圧(97.6±2.6 mmHg)は A 群(85.9±
2.8 mmHg),C 群(85.6±2.6 mmHg)に比べ有意に上昇(各々p<0.05,
n=6)していたが,A 群と C 群間に有意差は認めなかった.16 週齢でも
同様の結果であった.(2)生後 16 週齢での冠動脈周囲線維化は,B 群
で34.8±0.9%とA群(29.1±1.1%),C群(31.4±0.6%)に比べ有意に亢
進していたが(各々p<0.01 及び p=0.05, n=8∼10),血圧同様 A 群
と C 群間に有意差は認めなかった.【結論】胎生期の低栄養にて生じ
た,成長後の血圧上昇および冠動脈周囲線維化の亢進が蛋白質摂取
量の増量により改善した.妊娠中に摂取カロリーを制限する場合に
は蛋白質摂取量を保つことが必要である可能性が示唆された.
P-2-26-02 正常子宮および子宮腺筋症子宮における5-HT2A受容体 P-2-26-03 妊婦の味覚の定量および定性的変化と生理的体重増加
の発現に関する検討
との関連
1
1
岡山大学 医学部 産科婦人科、2 岡山大学 医学部 保健学科
自衛隊中央病院 産婦人科、2 防衛医科大学校 産婦人科
鎌田 泰彦 1、清水 恵子 1、野口 聡一 1、佐々木 愛子 1、ハオ リ
ン 1、安達 美和 1、中塚 幹也 2、平松 祐司 1
【目的】5-HT(セロトニン)は,少なくとも 13 種類の受容体を介し
て,さまざまな生体内機能に関与することが知られているが,女性生
殖器における 5-HT の生理作用はほとんど知られていない.本研究で
は,ヒト正常子宮内膜における 5-HT2A 受容体の存在を証明し,その
発現様式を検討した.また子宮腺筋症病変における,その発現につ
いても検討した.
【方法】正常子宮内膜群である,生殖年齢の CIS 患
者(n=11)
.および子宮腺筋症患者(n=20)に対して検討を行った.
患者の同意の上で,血液等の検体を採取し,摘出後の子宮を実験に
供した.さらに子宮内膜から腺上皮および間質細胞をそれぞれ分離
培養し,5-HT2A 受容体の存在様式を,免疫組織化学染色,RT-PCR,
Western blotting を用いて検討した.
【成績】免疫組織化学染色に
て,5-HT2A 受容体は主に正常子宮内膜腺上皮の細胞質と,子宮筋層
内の血管平滑筋に発現していた.またその発現は,血管においては
恒常的であったが,子宮内膜では増殖期に強く,分泌期に減弱する
周期性を認めた.RT-PCR では,内膜腺上皮に 5-HT2A 受容体 mRNA の
存在を認めた.さらに子宮腺筋症の正所性子宮内膜では正常子宮内
膜と同様の周期的な 5-HT2A 受容体の発現を認めたが,異所性子宮内
膜の腺上皮細胞では,月経周期と無関係な恒常的な発現を示した.
【結論】5-HT2A 受容体が正常子宮内膜に存在し,その発現に周期性
があることを初めて報告した.また子宮腺筋症の異所性子宮内膜に
も存在することから,5-HT は子宮内膜に対して何らかの生理作用を
有するのみでなく,子宮腺筋症および子宮内膜症の病態に関与する
可能性も示唆された.
水本 賀文 1、田中 陽子 1、早田 英二郎 1、村上 充剛 1、古谷 健
一2
【目的】近年、生活習慣病の原因として胎児期の栄養状態が影響す
るというバーカー仮説が注目されており、妊婦の栄養管理が重要な
鍵となっている。一方、食習慣と味覚は深い関連があり、特に妊婦
において生理的な味覚変化が生じている。妊婦を含む生活習慣病の
対策に食習慣の改善指導が必須であるが、食生活対策はこれまでカ
ロリーと体重管理が中心であったため、長続きせずに効果も限定的
であった。味覚は五感の一つであり、食生活・食習慣を考える上で
重要で生理的な調節を行なっていると考えるが、その測定と定量化
の困難さから十分な臨床的研究はなされていない。そこで妊婦の味
覚を定性的および定量的に測定して妊婦の体重増加との関連を検討
した。
【方法】同意を得た健康な妊婦 36 人について味覚閾値を濾紙
ディスク法および電気味覚計にて測定した。
【成績】塩味覚閾値は妊
娠経過とともに上昇したが、苦味覚の閾値は妊娠に伴い緩やかに低
下した。妊婦の塩味閾値と体重増加量と正の相関を認めた(r=0.50、
p<0.01)。一方甘味味覚閾値と体重増加と逆相関が認められた
(r=-0.21,p<0.05)
。電気味覚閾値は妊娠経過とともに低下し、分
娩後にはさらに低下した。妊娠経過および体重増加と負の相関
(r=-0.65 および r=-0.64、p<0.01)を示した。
【結論】甘味および
塩味が別々に関連し、味覚は妊婦の摂食増加や体重増加をもたらす
機構に関与すると考えられた。さらに電気味覚閾値と体重変化の関
係は濾紙ディスク法より相関が強く示され、電気味覚計は味覚をよ
り正確に把握できると考えられ、電気味覚閾値が妊婦の体重管理を
より実際的に管理できる指標となる可能性があると考えられた。
P-2-26-04 疼痛関連因子 Nerve Growth Factor の子宮内膜症・腺
筋症における発現解析
1
慶應義塾大学 医学部 産婦人科
P-2-26-05 ラット卵管における Beyaglycan の発現と性周期変化
梶谷 宇 1、丸山 哲夫 1、浅田 弘法 1、内田 浩 1、升田 博隆 1、
長島 隆 1、小野 政徳 1、荒瀬 透 1、各務 真紀 1、太田 邦明 1、
吉村 泰典 1
【目的】子宮内膜症・腺筋症症例中には、疼痛がきわめて重症で、
従来投与されている NSAIDsを代表とする消炎鎮痛剤を使用しても
日常生活に差し障りがある症例も経験される。我々は、このような
疼痛の発生・慢性化の分子機構を解明するため、種々の遺伝子発現
解析を行っているが、その中で、Nerve Growth Factor (NGF)の発現
が病巣局所で特異的に上昇しているとの予備的データを得た。NGF
は種々の組織において、慢性疼痛の発症・維持に重要な役割を果た
していることが提唱されている分子でもあるため、本研究では、NGF
の病巣における発現様式を詳細に解析した。
【方法】患者の同意を得て採取した子宮内膜症および腺筋症組織と、
正所性子宮内膜組織より mRNA を調製し、
RT-PCR による NGF 遺伝子発
現解析を行った。また、各組織における NGF の発現局在を、免疫組
織化学によって検討した。さらに、手術時に採取した患者腹水中よ
り、ELISA 法にて NGF の検出を試みた。
【成績】RT-PCR によって、NGF 遺伝子が、正所性子宮内膜に比して
子宮内膜症および腺筋症組織で高発現していることが示された。さ
らに、免疫組織化学により、子宮内膜症組織、腺筋症組織ともに、
腺上皮細胞に限局した染色が確認された。また、腹水中では、NGF
は子宮内膜症・腺筋症症例において、非子宮内膜症・腺筋症症例に
比して高頻度で検出された。
【結論】子宮内膜症・腺筋症組織において NGF が特異的に高い頻度
で産生されていることから、局所での NGF 産生が、子宮内膜症・腺
筋症由来の慢性骨盤疼痛発症・維持に深く関与しているものと考え
られた。
久保田 和子 1、中村 和人 1、小暮 佳代子 1、池田 禎智 1、大森 由
紀 1、峰岸 敬 1
P-2-26-06 アンドロゲン感受性亢進を認めた男性型多毛症の女性
例
1
松波総合病院 内科、2 木沢記念病院 内分泌代謝内科、3 九州大学
大学院 医学研究院 病態制御内科
橋本 健一 1、山北 宜由 1、棚橋 弘成 1、棚橋 哲也 2、安田 圭吾
1
、范 呉強 3、柳瀬 敏彦 3
30 才女性。思春期から四肢と陰部の多毛を認めており多毛症の精査
目的で当院紹介受診した。BMI17.6kg/m2、四肢は軟毛であるが多毛傾
向で陰部は硬毛で多毛を認めた。顔面のひげは軟毛であるが、週一
回剃っていた。筋肉と乳房に異常は認めず、ざ瘡なし、脱毛なし、
月経異常なし。婦人科診察で多嚢胞性卵巣症候群は否定的であった。
腹部CTで副腎腫大は認めなかったが、
頭部 MRI で下垂体左側に 5mm
大の造影効果の低い low intencity な領域を認めた。ACTH の基礎値
は23.8pg/ml と正常でDEX1mg および8mg 抑制試験でいずれも抑制さ
れた。17OH プロゲステロン 2.3ng/ml、DHEA 8.3ng/ml、DHEA-S 817
ng/ml、テストステロン 0.46 ng/ml であった。LHRH 負荷試験では LH
基礎値 8.21mIU/ml で頂値 197 mIU/ml と過大反応を認めたが、FSH
は正常反応であった。
250μgACTH 負荷検査で 17OH プロゲステロンは
正常反応を示した。上腕の皮膚生検を行い培養皮膚線維芽細胞にア
ンドロゲン受容体と MMTV-luciferase 遺伝子を導入しジヒドロテス
トステロン(DHT)添加時の luciferase 活性を検討した。DHT 添加時、
コントロールに対して本症例の相対的luciferase活性は有意な上昇
を認めた。本例では低濃度の DHT でもコントロールに対して有意な
感受性亢進を認めておりアンドロゲンの感受性が亢進していた。本
例の多毛症はアンドロゲン過敏性症候群によるものと考えられ、特
発性多毛症の成因を考えるうえで興味深い症例と考えられた。
P-3-01-01 ビスホスフォネート剤投与中、骨折により低 Ca 血症が
顕性化した大量輸血による潜在性副甲状腺機能低下症の一例
1
東京女子医科大学 内分泌センター内科
1
群馬大学産婦人科
【目的】受精・胚成熟において重要な役割があると考えられている
卵管の機能については不明な点が多い。また生殖内分泌においてT
GFβファミリーやそのレセプターは重要であると考えられてい
る。また近年TGFβレセプターの1つである Betaglycan(BG)の
卵巣や下垂体で機能が報告されている。そこで卵管における BG の性
周期変化を調べることで卵管機能の解明を目指す。
【方法】 膣スメ
アにて性周期を確認した。ラットの性周期は4∼5 日とされ、
proestrus(発情前期)
、estrus(発情期)
、metestrus(発情後期)
、
diestrus(休止期)とあるが、発情前期の午後 2∼5時頃に LH サー
ジがおこるので、検体は 1:proestrus の午前9時頃(AM)
2:proestrus の午後6∼8 時(LH サージ後:PM)3:estrus(E)
4:metestrus(M)5:diestrus(D)と5つに分けて採取し、real−
timePCR 法、ノーザンブロッティング法、immunohistochemistry(I
HC)法にて発現・局在を調べた。また幼若ラットに排卵刺激
(PMSG+HCG)を行い、BG の発現の変化をしらべ、発現調節について
検討した。
【結果・考察】卵管での BG の発現を認めた。性周期の変
化として、proestrus の LH サージ後に BG の上昇が見られた。また幼
若ラットの排卵刺激において、BGの卵管での発現調節にHCGが
関与していることが示唆された。また他臓器との発現の比較におい
て、卵巣・副腎で発現が多く認められたが、非内分泌臓器として考
えられる卵管でも同等の発現が認められた。卵管の機能については
不明な点が多いが、卵管内膜優位に発現し、性周期変化があること
より、胚の成熟・受精等の卵管の機能においてBGが重要な機能を
果たしていることが示唆された。
谷本 啓爾 1、大久保 由美子 1、立木 美香 1、西川 愛子 1、大和田
里奈 1、佐藤 幹二 1、高野 加寿恵 1
【はじめに】続発性ヘモクロマトーシス(SH)により副甲状腺機能
低下症を来たすことが知られている。今回、骨折により低 Ca 血症が
顕性化したSHによる潜在性副甲状腺機能低下症の一例を経験したの
で報告する。
【症例】30 歳男性。3 歳時に再生不良性貧血と診断され、
頻回の輸血を施行された。13 歳時に二次性糖尿病発症。14 歳時、骨
髄移植が行われ、この頃に下垂体機能低下症と診断され、以後ホル
モンの補充療法が行われていた。27 歳時より骨密度低下に対しビス
ホスフォネート(BP)剤投与開始となった。29 歳時、当科受診。血
清補正 Ca 8.7∼9.1mg/dl、P 3.0∼4.2mg/dl にて経過していた。本
年 9 月に右橈尺骨骨折を来たし、3 週間ギブス固定をした。11 月に
急性咽頭炎に伴う副腎不全にて当科入院となった。入院時、血中 Ca
6.4mg/dl(TP 5.1g/dl)と低 Ca 血症にもかかわらず、intact PTH
は 68pg/ml と上昇に乏しかった。他の血液検査は、ALP 260IU/l、Cr
0.89mg/dl、P 2.0mg/dl、尿中 Ca 10mg/day、1,25-(OH)2D 31.9pg/ml、
骨型 ALP 24.4U/l、尿中 NTx 37.5nmolBCE/mmol・Cr であった。Ca 製
剤投与、BP 剤中止により、血清補正 Ca 8.8mg/dl に改善し、さらに
intact PTH 47pg/ml と正常範囲に維持されている。
【考察】本症例で
は、通常は血清 Ca が正常範囲に保たれていたが、BP 剤により骨吸収
が抑制されており、さらに骨折による Ca の動員が亢進したため、潜
在性の副甲状腺機能低下症が顕性化したと考えられる。
P-3-01-02 腎石灰化による尿濃縮障害を来たし、カルシウム感知 P-3-01-03 HDR 症候群が疑われた特発性副甲状腺機能低下症の1
受容体の活性型変異が疑われた副甲状腺機能低下症の 2 症例
例
1
1
自治医科大学 内分泌代謝科
名古屋市立大学病院 内分泌糖尿病内科
高橋 仁麗 1、長坂 昌一郎 1、村上 恵理 1、野牛 宏晃 1、岡田 耕
治 1、石橋 俊 1
【症例 1】57 歳男性。家族歴として長女に副甲状腺機能低下症あり。
1978 年(29 歳時)てんかんにて入院、血清 Ca6.8mg/dl、C-PTH<
0.3ng/ml より副甲状腺機能低下症と診断された
(尿中 Ca 150mg/日)
。
活性型 Vit.D3 及び Ca 製剤を投与され、退院後近医にて治療継続し、
血清 Ca 値は 9.5∼11.5mg/dl で推移していた。2001 年頃より口渇・
多尿が出現、両側腎石灰化及び腎機能障害を認め、2006 年 5 月当院
入院となり、腎石灰化による尿濃縮障害と診断された。
【症例 2】37
歳女性。家族歴に特記事項なし。21 歳より筋拘縮の自覚あり、1995
年(26 歳時)立ちくらみにて近医受診し、低 Ca 血症を認め当院入院、
血清 Ca 7.0mg/dl、intact PTH 13pg/ml より副甲状腺機能低下症と
診断(尿中 Ca 140mg/日)
、Vit.D 製剤を開始され、血清 Ca は 7∼
10mg/dl で経過していた。2001 年頃より口渇・多尿が出現、両側腎
の石灰化、
Cr の軽度上昇を認めている。
カルシウム感知受容体
(CaSR)
遺伝子解析の結果、いずれも細胞外領域にヘテロの 1 塩基置換が認
められ、症例 1 では I120T 及び N592S の変異を、症例 2 では L125F
の変異を認めた。過去に症例 1 にみられた変異の報告はなく、症例 2
については同一部位の L125P の変異が報告されている。いずれの変
異も、これまでに CaSR の活性型変異が多くみられた部位に位置し、
CaSR の活性型変異による副甲状腺機能低下症が疑われた。特に症例
1 では家族歴もあることから、常染色体優性低 Ca 血症の可能性が高
い。いずれの症例も診断時に尿中 Ca 排泄量が多く、このような例で
は Vit.D 治療により腎石灰化による腎機能障害を来たし易く、血清
Ca 値の慎重な観察が必要である。
今枝 憲郎 1、木村 了介 1、岡山 直司 1、大河内 昌弘 1、水野 達
卓志 1
央 1、山田 一博 1、若見 和子 1、神谷 吉宣 1、城
症例は31歳男性。主訴は呼吸困難。幼少期より難聴があり、中学
生時代に尋常性乾癬を診断された。
2005 年 12 月初旬より紅斑、
角化、
鱗屑などの皮膚症状が悪化し、2006 年1月下旬より極度の食欲不振
となったため、2 月 13 日に当院皮膚科に紹介入院となった。入院直
後に呼吸困難と意識レベル低下があり、血清 Ca 5.1 mg/dL と著明な
低 Ca 血症が判明し、その精査治療目的で当科に転科入院となった。
グルコン酸 Ca の静注で呼吸困難と意識レベル低下は改善した。2 月
14 日の入院時検査所見で Ca 5.4 mg/mL, P 9.0 mg/mL, %TPR 95.8% と
副甲状腺機能低下症を疑ったが intact PTH 17 pg/mL,1.25-(OH)2 ビ
タミン D 36.6 pg/mL と正常範囲内であった。その後、意識レベル低
下、呼吸困難を繰り返したが、Ca 補充及びビタミンD内服により軽
快した。第 12 病日に Ellsworth-Howard 試験を施行したところ、尿
中リン排泄量増加は基準値を満たしており、特発性副甲状腺機能低
下症と診断された。また、腹部CTにより右腎の異常腫大が認めら
れた。副甲状腺機能低下、難聴、腎奇形を合併するため HDR 症候群
を強く疑い、その原因となる GATA3 遺伝子異常の検索を申し出たが
残念ながら同意を得られず確定診断には至らなかった。ビタミンD
内服により第16病日以降は血清 Ca 値 9.0 以上を保ち、尋常性乾癬
は皮膚科による PUVA-bath 療法によって改善した。低 Ca 血症は尋常
性乾癬の増悪因子であり、今回の症状悪化には副甲状腺機能低下症
が関与したと考えられた。成人するまで診断されなかった特発性副
甲状腺機能低下症が、低 Ca 血症を伴う尋常性乾癬の悪化により発覚
し、さらに難聴、腎奇形を伴う HDR 症候群が疑われた貴重な症例を
経験したので報告する。
P-3-01-04 心不全を合併した 22q11.2 欠失症候群の一例
P-3-01-05 原発性副甲状腺機能低下症に伴う低Ca血症による心機
能低下が疑われた一例
1
中頭病院 内分泌内科
1
名古屋市立東市民病院内科
波戸 ゆかり 1、近藤 紀子 1、杉浦 芳樹 1、近藤 浩晃 1、湯浅 博
光1
【症例】33 歳男性【主訴】呼吸困難【既往歴】H.6 年 Graves 病。H.15
年統合失調症。
【家族歴】特記事項なし【現病歴】H.7 年 副甲状腺機
能低下症を指摘されalfacalcidol 開始するもH.16 年Ca 正常化し中
止。H.18 年 4 月低 Ca 血症指摘され治療開始するも自己中断。4 月中
旬より傾眠傾向、呼吸困難を認め N 病院受診。肥満低換気症候群疑
われ 4 月 17 日当院紹介入院。
【入院時所見】身長 159cm,体重 95kg,
脈拍 108/分,整。血圧 136/85mmHg。呼吸数 24/分、いびき様で無呼
吸あり。O23l 投与下にて SpO293%。甲状腺腫 II 度。 両肺野ラ音聴
取。両下肢浮腫あり。胸部レントゲン:心拡大と肺水腫あり。Alb
2.9g/dl, GOT 489IU/l, GPT 345IU/l, LDH 1367IU/l, CPK 2057IU/l,
BUN 19.8mg/dl, Cr 1.51mg/dl, Ca 6.2mg/dl, P 8.2mg/dl, Mg
1.7mg/dl, Intact PTH 15pg/ml, FT3 2.7pg/ml, FT4 1.6ng/dl, TSH
5.2μIU/ml, TRAb 58.6%【経過】心臓超音波検査では左室拡張、
EF17.7 %と severe hypo kinesis で閉塞型睡眠時無呼吸症候群
(OSAS)と低 Ca 血症を伴う心不全と診断。βblocker、利尿剤、
carperitide、alfacalcidol 投与及び CPAP 施行し呼吸循環動態は改
善。更に特徴的顔貌、粘膜下口蓋裂、精神症状等を認め染色体検査
にて 22q11.2 欠失症候群と診断。
【考案】成人で診断された 22q11.2
欠失症候群。OSAS により増悪した心不全と考えられるが背景として
低 Ca 血症に伴う心不全を合併していた可能性が考えられた。
屋良 朝博 1
【はじめに】低 Ca 血症の循環器系に対する影響として不整脈や QT
延長などの心電図異常はよく知られている。持続する低 Ca 血症が左
室収縮能を低下させるかは、広くは認識されていない。今回我々は、
原発性副甲状腺機能低下症に伴う低 Ca 血症が原因と思われる、重篤
な心機能低下が疑われた一例を経験したので報告する。
【現病歴】患
者は 50 歳男性乗用車運転中に痙攣発作を起こし当院救急搬送、来院
時の採血にて低 Ca 血症(5.1mg/dl)を認め精査目的で入院となる【入
院後経過】低 Ca 血症と頭部 CT にて基底核、小脳歯状核の石灰化を
認め、低 Ca 血症・高 P 血症・Intact-PTH 低下・腎機能正常・Mg 正
常より特発性副甲状腺機能低下症と診断した。また心不全症状はな
かったが、入院時の胸部レントゲンにて CTR が 61%と拡大し、心電図
にて II・III・aVf・V456 で陰性 T 波が見られ、心臓超音波にて左室
駆出率(EF)26.8%と著明な低下があり、虚血性心疾患を除外するた
めに冠動脈造影検査を行ったが有意な狭窄病変はなかった。その後
アルファカルシドール開始し血清Ca 正常化とともに4 ヵ月後には左
室駆出率(EF)は 34%まで改善していった。
【考察】文献的には Ca 補
正後第 5 病日から 2 年と経過し EF の軽快を認めており、本症例も血
清 Ca 濃度の是正とともに左室駆出率(EF)が改善傾向となり、低 Ca
血症と左室収縮不全との関連が示唆された。
P-3-01-06 偽性副甲状腺機能低下症(PHP)Ia の2家系の臨床的検
討
1
北里大学 医学部 小児科、2 聖徳大学 人文学部 児童科
P-3-01-07 孤発性偽性副甲状腺機能低下症(Type1b)における遺
伝子学的検討
1
兵庫医科大学 内科 内分泌・代謝科
伊藤 尚志 1、田久保 憲行 1、下浜 真里子 1、大津 成之 1、横田 行
史 1、松浦 信夫 2、石井 正浩 1
【目的】当院で先天性甲状腺機能低下症と診断、治療し、後に PHP
と診断しえた症例を経験したので報告する。
【症例1】5 歳 5 ヶ月男
児。肥満度+30%。新生児マススクリーニング検査で血清 TSH 2.10
μU/ml、FreeT4 0.10ng/dl、後の院内精査で血清 TSH 12.2μU/ml、
FreeT4 0.80ng/dl でクレチン症と診断し甲状腺剤内服、超音波検査
で甲状腺は正所に存在した。2 歳 9 ヶ月時に低 Ca 血症による無熱性
痙攣を発症し、
Albright 骨異栄養症(AHO)陽性、
家族内集積性あり(母
親に繰り返す皮下石灰化のエピソードあり、
3 歳の妹もクレチン症と
診 断 さ れ AHO 陽 性 ) 、 int-PTH 435pg/ml(IRMA 法 ) と 高 値 、
Ellsworth-Howard 試験の結果(PTH 負荷に対して尿中 cAMP、P が無
反応)から PHPIa と診断。
【症例2】2 歳 4 ヶ月女児。肥満度+35%。
母親(33 歳)が他院で PHPIa と診断。新生児マススクリーニング検
査で血清 TSH 26.5μU/ml、FreeT4 0.75ng/dl でクレチン症の診断で
甲状腺剤内服。超音波検査で甲状腺は正所に存在した。血清 P が高
値(8.1mg/dl)で、一時低 P ミルクを使用。AHO 陽性、家族内集積性
あり、int-PTH 120pg/ml(IRMA 法)と高値で、精査施行予定である。
【まとめ】
PHPIa の一部に、
マススクリーニング検査等で TSH が高値、
FT4 低値で、
クレチン症として経過をみている症例があることを再認
識した。甲状腺機能低下症で甲状腺が正所に存在し、合成障害が疑
われる症例の中で、乳児肥満、AHO 陽性例では Ca/P 代謝を含めた検
討が必要であると考えられる。
井野口 卓 1、森脇 優司 1、華
常祥 1、堤
善多 1、高橋 澄
夫 1、山本 徹也 1
症例は、18 歳、男性.四肢のしびれ,頻回のテタニー発作の精査目
的にて入院となった.身長 158cm、体重 65kg、 BMI 26. Trousseau
徴候は陽性であったが、Albright 骨異栄養症は認めず、その他、身
体所見に特記すべき異常は認めなかった.生化学検査では、血清カ
ルシウム値 4.7mg/dL、血清リン値 8.1mg/dL、1 日尿中カルシウム排
泄量 9.2 mg、血清 intact PTH 115 pmol/L、1,25-dihydroxyvitamin
D3 50 pg/mL、CPK 4092 IU/L であった. Ellsworth-Howard テスト
にて、尿中リンおよび cAMP 排泄量の増加はみられず、また家族に低
カルシウム血症、骨代謝疾患を認めず、孤発性偽性副甲状腺機能低
下症(Type1b)と診断した.1α-hydroxyvitamin D3 投与にて、血清
カルシウム値は正常化し、四肢のしびれ、テタニー発作も消失した.
偽性副甲状腺機能低下症(Type1b)には GNAS 1 における exonA/B の
メチル化欠損が大きく関わっていると考えられ、特に、孤発例では、
他のメチル化の異常も有する例が報告されているが、本症例でも、
GNAS 1 における exonA/B,XLαs にメチル化欠損がみられ、 NESP55
の両対立遺伝子にメチル化が認められた.同様の遺伝子変異は、こ
れまで報告された孤発性偽性副甲状腺機能低下症(Type1b)27 例の
うち 10 例に認められている.
P-3-02-01 他剤ARBでコントロール不良な高血圧に対するオル P-3-02-02 更年期女性の高血圧症および不定愁訴症候群に対する
メサルタンの降圧効果の臨床的検討
ARB(カンデサルタン)の治療効果に関する研究
1
1
大和徳洲会病院 心臓血管外科
東京女子医科大学 内分泌内科
寺田 康 1、三森 陽介 1、中田 弘子 1、中村 勝利 1、青木 正明 1
【目的】 糖尿病患者の治療におけるコントロールの指標は、血糖
と伴に血圧管理も重要な指標に位置付けられている。その血圧管理
についてはJ−MORE報告でも「血圧が良好にコントロールでき
ている患者」は43.7%に過ぎず、血圧コントロールの難しさが
伺われる。 各種あるARBの中で、オルメテサルタンの降圧効果
を検証する。
【方法】 当院外来に平16年8月∼平成19年1月に受診した患
者の内、既にARB(バルサルタン、ロサルタン)を服用している
血圧コントロール不良患者(収縮期血圧140mgHG 以上、又は拡張
期血圧90mmHG 以上)をオルメサルタンに切り替え、6ヶ月後の血
圧値を比較検討した。
【成績】 投与後6ヶ月後の血圧は以下の様に推移した。
収縮
期血圧151.3±14.5mmHG→131.8±14.4mmHG(p
<0.001)
拡張期血圧 83.2±12.7mmHG→ 73.
3±11.5mmHG(p<0.001)
【結論】 オルメサルタンはバルサルタン、ロサルタンでコントロ
ール不良な高血圧患者に対して有効な降圧効果を示した。 この他
剤に比べて優れた降圧効果の背景には、オルメサルタンのダブルチ
ェーンドメイン結合が関与している可能性が実際の臨床例でも示さ
れた。
関 敏郎 1、栗本 真紀子 1、立木 美香 1、大久保 由美子 1、田辺 晶
代 1、小野 昌美 1、三木 伸泰 1、肥塚 直美 1、高野 加寿恵 1
更年期女性に特有な身体的、精神的な変化を十分考慮した高血圧治
療ガイドラインは未だ存在しない。また、更年期女性の QOL の低下
の原因として最も重要な更年期不定愁訴症候群に多くの女性が悩ま
されている。両疾患の病因の一つとして交感神経系の活動亢進が示
唆されているが、交感神経系の抑制効果を持つ降圧剤 ARB は、両疾
患を同時に治療可能であると期待される。本研究においては、ARB(カ
ンデサルタン)が更年期女性の高血圧症および更年期不定愁訴症候
群に有効であると仮定しその治療効果を検討する。予備研究として、
高血圧症および不定愁訴症候群を有する女性患者(14 例、平均年齢
56±12 歳)を対象に外来血圧、家庭血圧および SMI(簡略更年期指
数)を指標に前向き調査を実施した。観察期間は3ヶ月とした。カ
ンデサルタン2∼4mg より新規または既存の降圧剤に追加投与し、
外来血圧 140/90mmHg 未満、家庭血圧 135/85mmHg 未満を目標に最大
12mg まで増量を行った。外来血圧は、148±14/87±10 mmHg より 134
±12/82±11 mmHg(P=0.004/0.052)と収縮期は有意に低下、拡張期
は低下傾向を示した。家庭血圧は、152±15/92±9 mmHg より 142±
11/87±6 mmHg(P=0.053/0.107)と低下傾向を示した。また、SMI
は 51±25 より 40±21(P=0.006)と有意に改善した。また、興味深
いことに血圧の低下なしに SMI が改善した症例が存在した。この結
果を踏まえ、現在 Ca 拮抗剤(アムロジピン)を対象薬として前向き
無作為オープン比較試験を進行中である。
P-3-02-03 カルシウム遮断薬投与時のレニン−アンジオテンシン
系遺伝子多型と血中濃度
1
福井大学医学部 病態制御医学・内科学(3)、2 福井厚生病院、3 木村
病院
此下 忠志 1、牧野 耕和 1、青山 千賀子 1、若原 成行 1、加藤 浩
司 2、一二三 宣秀 3、宮森 勇 1
【目的】カルシウム遮断薬(CCB)は、重篤な副作用が少なく有効な
降圧薬とされる一方、レニン−アンジオテンシン系(RAS)を活性化
するとされる。nifedipine 単独投与時の降圧薬としての効果を評価
するとともに、
RAS 系血中濃度の変化と RAS 系遺伝子多型との関連を
解析する。
【方法】対象は高血圧連続 87 例。年齢 65.9±12.2 才、血
圧 165±17/94±14mmHg。RAS 遺伝子型は、レニン C-5312T、TaqI、
MboI、アンジオテンシノーゲン M235T、ACE D/I、AT1 A1166C、AT2
C3123A の 7 遺伝子型について PCR 法で解析した。nifedipine 投与前
後に血圧、血漿レニン活性(PRA)
、アンジオテンシン(Ang)I、AngII、
アルドステロン濃度(PAC)
、尿 Albumin などを測定した。
【成績】投
与後 138±15/82±10mmHg と有意な降圧、有意な尿 Albumin 排泄低下
と PRA、AngI、AngII の上昇を認めた。PAC に有意な変化は認めなか
った。Responder rate は標準的な判定基準で 83.9%、厳格な判定基
準では 70.1%であった。遺伝子型による Responder rate の有意な差
異は認めなかったが、PRA の上昇度は C-5312T の TT 群で有意に高値
であった。
【結論】Nifedipine は、尿 Albumin 排泄低下作用を有する
有用な降圧薬であるが、RAS を活性化する。レニン遠位エンハンサー
領域多型 C-5312T は、CCB に対するレニンの産生・分泌を規定する可
能性が示唆された。
P-3-02-04 アンジオテンシン受容体抑制による圧利尿の変化と酸
化ストレス
1
東北大学病院 腎高血圧内分泌科
森 建文 1、遠藤 聡 1、米城 淑美 1、ラフマン マットルーブル
、中道 崇 1、細谷 拓真 1、伊藤 貞嘉 1
【目的】高食塩摂取ではアンジオテンシン II 受容体拮抗薬(ARB)
による降圧が減弱するが、今回我々はアンジオテンシン II およびア
ンジオテンシン受容体抑制が圧利尿におよぼす影響と酸化ストレス
の関与について検討した。【方法】Sprague-Dawley ラットを
1)vehicle 群 、 2)Angiotensin II(AII) 群 、 3)AII+Olmesartan
(AII+OLM)群の 3 群に分けた。薬剤は浸透圧ポンプを用いて皮下に
2 週間持続投与した。薬剤投与1週目まで正塩食(0.5%NaCl)を与え、
その後高塩食(8%NaCl)に変更した。24 時間の平均血圧をテレメトリ
ー法により測定し、
1 週毎に尿中の過酸化水素および NOx 排泄量を定
量した。
【結果】Vehicle 群では有意な血圧の上昇を認めなかった。
AII 投与後、正塩食では 9.4±4.8mmHg、高塩食では 26.8±6.2mmHg
上昇した。AII+OLM 投与後、正塩食では 17.6±2.6mmHg 低下したが、
高塩食により 26.6±1.5mmHg 上昇した。圧利尿は Vehicle 群に比べ
AIIでは血圧高値側に、
AII+OLM群では血圧低値側にシフトしていた。
AII 群と AII+OLM 群で食塩感受性の増大がみられた。
覚醒時の血圧上
昇は AII+OLM 群で増加していた。高塩食では正塩食と比較して全て
の群で有意に尿中過酸化水素排泄量、尿中 NOx 排泄量は増加した。
【結論】高塩食により酸化ストレスは亢進し ARB の降圧効果減弱が
示唆された。
1
P-3-02-05 レニンーアンジオテンシン系阻害薬「一過性パルス療 P-3-02-06 ラット心臓におけるレニン受容体の遺伝子発現は心不
法」による高血圧の退行(regression)の検討
全時に亢進する
1
1
慶應義塾大学 医学部 内科
東北大学 大学院 臨床薬学分野、2 同 医薬開発構想寄附講座、3
同 内部障害学分野、4 同 21st COE CRESCENDO、5 同 医学部 基
礎検査学分野
石黒 喜美子 1、篠村 裕之 1、坂巻 裕介 1、伊藤 裕 1
廣瀬 卓男 1、前嶋 隆弘 2、森 信芳 3、戸恒 和人 1,4、中山 高志
2
、丸山 穣 4、皆川 加奈 1、菊谷 昌浩 1、大久保 孝義 2,4、橋本
潤一郎 2,4、高橋 和広 5、今井 潤 1,4
【目的】高血圧症は通常は非可逆性の病態と考えられているが、も 【目的】レニン受容体(RR)はプロレニン/レニンと結合し、レニン・
しその退行を引き起こすことができれば、患者への利益は大きい。 アンジオテンシン系(RAS)を賦活するとともに、細胞内伝達機構の
以前に我々はレニンーアンジオテンシン系抑制薬(ACEI・ARB)を高 ERK1/2 を活性化し、TGF-βを介して臓器の繊維化に関与する。しか
血圧上昇時期の critical period に一過性に投与すると後の高血 しながら疾患モデルでのRRの発現変化についての報告は未だ見当た
圧・腎障害を抑制できることを報告してきた(JASN 2001;Nephron らない。今回我々は、ラット心臓及び腎臓における RR の遺伝子発現
【方法】WKY ラットと SHR の心臓及び腎臓を摘出し、RR
2002; Hypertens Res 2007)。これらの成績は高血圧の発症抑制の可 を検討した。
冠動脈結紮法を用いて
能性を示唆するものであり、最近 TROPHY 試験などの臨床試験でその mRNA の発現を RT-PCR 法により比較検討した。
臨床応用が検討されている。今回は高血圧発症後の 16 週齢の段階で 心不全ラットを作成し、術後 8 週目に心臓及び腎臓を摘出し、RNA
の一過性投与( 一過性パルス療法 )が高血圧の退行(regression) を抽出した。シャム手術群を対照とし、RR mRNA の発現変化を検討し
【結果】WKY ラットに比して SHR の心房内 RR mRNA 発現は約 0.37
をもたらすか否かを検討することを目的とした。
【方法と結果】雄 た。
SHR を 4 群に分けた:第 1 群:無処置、第 2 群:ACE 阻害薬パルス(正 倍と低値を示し(P=0.005)、心室で約 0.64 倍(P=0.041)、腎臓では約
常食塩食)
、第 3 群:ACE 阻害薬パルス(低食塩食)
、第 4 群:ARB パ 0.72 倍と低値を示した(P=0.02)。シャム手術群と比較して、術後 8
ルス(低食塩食)
。第 2 群∼第 4 群にはエナラプリル(30 mg/kg/day) 週目の慢性心不全期の心房において RR mRNA の発現は 1.5±0.2 倍に
またはカンデサルタン(50 mg/kg/day)を 16 週齢から 18 週齢まで 2 上昇していた(mean±SE、P<0.05)。心室では、増加傾向を示した(1.8
週間投与した後休薬した。第 3 群と第 4 群は 16 から 18 週齢の間は ±0.3 倍)が、統計上有意差は認められなかった(P=0.06)。腎臓にお
低食塩食(0.05% Na)とした。無処置の SHR では血圧は 3 週齢以降 いて RR mRNA の発現は 1.6±0.1 倍に上昇していた(P<0.001)。
【結
次第に増加し、10-12 週齢ではほぼプラトー値(220 mmHg)に達して 論】心不全ラットの心臓及び腎臓において RR mRNA の発現は亢進す
いた。パルス療法終了時の血圧は第 2−4 群で 150-170mmHg 前後であ る。RR は RAS の一部として、または独立して、心臓障害の進行に関
ったが、終了後も血圧低値が続き、パルス終了 3 ヶ月の時点での血 与している可能性が示唆された。
WKY ラットに比して SHR の心臓及び
圧は 1 群:231+2 に対し、2 群:179+5、3 群:173+6、4 群:180+10mmHg 腎臓で RR の mRNA 発現が低下していたが、その病態生理学的意義の
といずれも有意(p<0.01)に血圧の改善が続いていた。
【結論】以上 解明には更なる検討が必要である。
より、高血圧発症後のレニンーアンジオテンシン系阻害薬(ACEI・
ARB)の一過性投与( 一過性パルス療法 )は高血圧の退行
(regression)を一部もたらす可能性が示唆された。
P-3-03-01 糖尿病患者の脈波伝播速度 PWV に及ぼすメタボリック
シンドロームの影響と運動習慣の効果
1
大阪市立総合医療センター代謝内分泌内科
P-3-03-02 テトラヒドロビオプテリンはフルクトース投与ラット
の血管内皮機能障害と低アディポネクチン血症を改善する
1
獨協医科大学 内分泌代謝内科
細井 雅之 1、田中 永昭 1、大村 洋子 1、井坂 吉宏 1、上田 実希
、山上 啓子 1、福本 まりこ 1、川崎 勲 1、吉岡 克宣 1、佐藤 利
彦1
【目的】メタボリックシンドロームは心血管疾患発症の高リスク群
であるが、糖尿病患者においては心血管疾患発症の有意な予測因子
であるか否かは種々の報告がある。今回、2型糖尿病患者の動脈硬
化指標である脈波伝播速度 pulse wave velocity(PWV)に及ぼすメタ
ボリックシンドロームの有無の影響、さらに運動習慣との関係を検
討した。
【方法】対象は、237 名の2型糖尿病患者でメタボリックシ
ンドローム群(MS)は 52 名、非 MS 群は 185 名であった。運動習慣に
より、全く運動習慣の無い群(―)20 分以上の運動を週 1-3 回行な
っていた群(+)週4回以上行なっていた群(++)の3群に分類
した。
【成績】PWV は MS(運動―) 2053 ±437*(p<0.05), 非 MS(運
動―) 1608 ±421, MS(運動+)1737 ±250, 非 MS(運動+) 1693±451,
MS(運動++)1843 ±541, 非 MS(運動++) 1687± 321 cm/sec と運動
習慣の無い MS 群で最も血管硬度は亢進していた。逆に糖尿病では運
動習慣があれば、MS 群、非 MS 群同程度の亢進度であった。
【結論】
運動習慣はメタボリックシンドロームでの PWV の上昇を抑制しうる
と思われた。
鈴木 國弘 1、服部 服部良之 1、川越 宣明 1、加瀬 浩之 1、伴場 信
之 1、門傳 剛 1、服部 幸子 1、笠井 貴久男 1
1
【目的】テトラヒドロビオプテリン(BH4)は一酸化窒素合成酵素
(NOS)の cofactor であるが、実際 NOS の活性に必須であり、その不
足は血管内皮(e)NOS ではuncoupling によりeNOS をしてNO よりむし
ろsuperoxideを産生することにより血管内皮機能障害を惹起するこ
とが知られている。私どもは酸化ストレスモデルでありメタボリッ
クシンドロームモデルであると考えられるフルクトース投与ラット
を用いて、
BH4 の血管内皮機能およびアディポネクチンに与える影響
を検討した。
【方法】7週齢の雄性 Sprague-Dawley ラットに高フル
クトース食 (67% carbohydrate うち 98% fructose)を与え8週間飼
育し、後半の 4 週間に BH4 を飲水中に 10mg/kg/day となるよう与え
た。その後、大動脈リングを用いて血管内皮機能を評価し、また血
中アディポネクチンおよび脂肪組織中のアディポネクチンmRNAを測
定した。また、各臓器の過酸化脂質を定量した。
【成績】 8週後の
アセチルコリンによる血管弛緩反応は BH4 投与により有意に改善し
ており、ニトロプルシッドによる弛緩には差がなかった。また、血
中アディポネクチンおよび脂肪組織中のアディポネクチン mRNA も
BH4 投与により有意に改善(上昇)していた。大動脈、肝臓、心臓、
腎臓における過酸化脂質は高フルクトース食で上昇していたが、BH4
投与で有意に改善した。
【結論】
BH4 は NOS の cofactor として血管内
皮機能を改善するのみならず、アディポネクチン上昇など抗酸化作
用によりメタボリックシンドロームをはじめとする酸化ストレス状
態に優れた効果を発揮するものと考えられた。
P-3-03-03 メタボリックシンドロームモデルマウスにおける高食 P-3-03-04 全身酸化ストレスと内臓脂肪蓄積・メタボリックシン
塩・高脂肪食負荷による酸化ストレス・血管障害の検討
ドロームとの関係
1
1
東京大学 腎臓内分泌内科、2 東京大学 検査部
大阪大学 大学院 医学系研究科 内分泌・代謝内科学、2 琉球大
学 医学部 第二内科
上竹 勇三郎 1、下澤 達雄 2、穆 勝宇 1、王 紅 1、小倉 彩世子 1、 藤田 幸一 1、西澤 均 1、前田 法一 1、船橋 徹 1、下村 伊一郎 1、
金子 知代 1、松井 宏光 1、藤田 敏郎 1
島袋 充生 2
【目的】近年、酸化ストレスが血管障害に関与していることが明ら メタボリックシンドローム(MetS)の分子基盤としてアディポサイト
かにされつつある。今回、メタボリックシンドロームモデルマウス カイン分泌異常が挙げられる。最近、肥満時に脂肪組織由来酸化ス
に高食塩・高脂肪食を負荷することによる酸化ストレスと血管障害 トレス(Fat ROS)の産生が上昇し、低アディポネクチン血症を始め
の関連を検討した。
【方法】酸化 LDL 受容体である Lectin-like とするアディポサイトカイン産生異常が引き起こされることを動物
oxidized LDL receptor-1(Lox-1)の Tg マウスおよびアポ蛋白 E の KO 実験で報告した。本研究では、健診受診者 105 名(男性 44 名;51.2
マウスを用い、それぞれ Lox-1 Tg mice・ApoE KO mice 群、ApoE KO ±11.4 歳、女性 61 名;55.4±13.4 歳)を対象として、全身酸化ス
mice 群と WT mice 群(8 週齢)の 3 群に分け、高食塩(8%)食・高脂 トレス(尿中 8-epi-PGF2α)と内臓脂肪蓄積および MetS との関係を
肪食を 8 週間投与し、酸化ストレス、血管障害に関し比較検討を行 調べた。尿中 8-epi-PGF2αは MetS 者で有意に高値を示し、尿中
った。また、本モデルにテルミサルタンを投与し、その降圧作用、 8-epi-PGF2αの濃度が高くなるにつれて、危険因子(腹部肥満、脂
抗酸化作用、抗炎症作用に関し併せて検討を行った。
【結果】ApoE KO 質代謝異常、血圧高値、空腹時高血糖)は集積した。尿中 8-epi-PGF2
mice・Lox-1 Tg mice 群では他群に比較し、有意に腎臓および大動脈・ αとの単相関では、MetS に関連するパラメーターの中で、内臓脂肪
。
腎血管における酸化ストレスの増加を認めた。また、Oil red O 染色 面積(VFA)の相関係数が最も高値を示した(r=0.636, p<0.0001)
にて大動脈洞および大動脈の硬化性病変の増悪を確認し、さらに腎 尿中 8-epi-PGF2αとの単相関を BMI<25 の非肥満者に限って解析し
臓における動脈の外腔面積/内腔面積比を比較することにより腎血 たところ、VFA は強く相関した(r=0.728, p<0.0001)が、皮下脂肪
管のリモデリングが確認できた。また、テルミサルタン投与群にお 面積および BMI とは相関しなかった。VFA、収縮期血圧、HbA1c、中
いては酸化ストレスの増悪、大動脈洞および大動脈の硬化性病変の 性脂肪、HDL コレステロール、喫煙指数、血中アディポネクチン濃度、
増悪、腎血管のリモデリングは改善された。
【結論】メタボリックシ hsCRP を説明変数としてエントリーした多変量解析において、尿中
ンドロームモデルマウスにおいて酸化ストレスの増加により血管障 8-epi-PGF2αの説明因子として、VFA、血中アディポネクチン濃度、
hsCRP が独立因子として採用された。
以上の検討から全身酸化ストレ
害が惹起されることが示唆された。
スは、内臓脂肪蓄積と強くリンクしていることが示唆された。
P-3-03-05 新規抗酸化物質である白金ナノコロイドはメタボリッ P-3-03-06 肥満高血圧ラットにおける脳内酸化ストレスと交感神
クシンドロームにおける心血管障害を抑制する
経系の検討
1
1
東京大学 腎臓内分泌内科、2 東京大学大学院 新領域創成科学
東京大学 医学部付属病院 腎臓内分泌内科
金子 知代 1、下澤 達雄 1、梶田 正志 2、宮本 有正 2、藤田 敏郎
永江 愛 1、藤田 恵 1、安東 克之 1、藤田 敏郎 1
1
【背景】メタボリックシンドローム(MetS)に合併する心血管障害を
中心とした臓器障害には、酸化ストレスが深く関与していると考え
られている。しかしこれまでの多くの臨床研究等の検討ではビタミ
ン C や E、
βカロチンといった従来の抗酸化剤は臓器障害を改善しな
いばかりか、それ自体が臓器障害的である可能性さえも示唆されて
いる。一方近年の nanotechnology の進歩は目覚しく、医学との学際
的研究も始まっている。
【方法・結果】我々の作成した白金ナノコロ
イド溶液(PNP)の有効性と MetS での酸化ストレスと臓器障害との関
係について検討した。まず、ESR,ELISA で PNP は SOD 様作用とカタラ
ーゼ作用の両方を有し、活性酸素種(ROS)を強力に消去することが
わかった。加えて PNP の持つ触媒作用により、作用が減弱すること
なく持続的に ROS を消去した。
次に 2 型糖尿病のモデルである db/db
マウスにアンジオテンシン II と高食塩を負荷し MetS のモデルを作
成し検討した。MetS では著明な心血管障害が惹起され、全身性、局
所性に ROS の増大が認められた。次に MetS モデルマウスに PNP を投
与し組織学的に検討したところ、
PNP 投与群では心血管障害は明らか
に改善を認めた。PCR での分子レベルの検討においても、PNP は心血
管障害を著しく軽減させる作用があることが示された。全身性並び
局所のROS産生も明らかに抑制されていた。
【結論】
以上のことより、
MetS における臓器障害は ROS の増大に伴って増悪し、PNP は SOD 様
作用、カタラーゼ様作用と触媒作用により経時的に減弱せず、強力
にROS を消去することによりMetS 下の臓器障害を改善することが示
唆された。
PNP は従来にない可能性を持つ新規抗酸化物質であると考
えられた。
【目的】肥満高血圧の成因の一つとして交感神経活動亢進が挙げら
れているが詳細は不明である。最近、われわれを含むいくつかの施
設から交感神経活動亢進に脳内酸化ストレス増加が関与することが
示されている。肥満者では酸化ストレス亢進がしばしば認められる
ことから、肥満高血圧において脳内酸化ストレスを介した交感神経
系亢進が関与している可能性を検討した。
【方法】4 週齢の雄性 SD ラットに普通食もしくは 45%高脂肪食を 6
週間負荷し、両群で比較検討した。経時的に血圧、尿中カテコラミ
ン、内臓脂肪量を測定し 6 週後に抗酸化剤 tempol を脳室内投与した
際の血圧、心拍数、腎交感神経活動の変化を測定した。ルシジェニ
ン化学蛍光発光法を用いて視床下部の NADPH oxidase 活性を測定、
さらに real time RT-PCR 法により NADPH oxidase subunits mRNA の
発現を検討した。
【成績】高脂肪食群では、負荷 3 週より収縮期血圧の有意な上昇を
認め、負荷終了時の内臓脂肪が有意に多く、本モデル動物は内臓脂
肪増加を伴う肥満高血圧モデルと考えられた。高脂肪食群では、尿
中カテコラミン排泄量の増大を認めた。Tempol の脳室内投与に対し
血圧、心拍数、腎交感神経活動はいずれも用量依存性に低下し、そ
の抑制効果は、普通食群に比較し高脂肪食群で有意に大きかった(p
<0.05)
。高脂肪食群の視床下部においては NADPH oxidase 活性は有
意に増大していた(p<0.05)。さらに視床下部における NADPH
oxidase の発現も高脂肪食ラットにおいて有意に亢進していた(p<
0.05)
。
【結論】高脂肪食負荷による肥満高血圧ラットにおいて、脳内の
NADPH oxidase 活性亢進を介する酸化ストレス亢進が、中枢交感神経
活動を介して高血圧をもたらす可能性が示唆された。
P-3-03-07 食塩感受性高血圧における中枢性昇圧機序:脳内酸化 P-3-04-01 糖尿病患者における 0.5mg over night デキサメサゾン
ストレスを介した交感神経活動亢進
抑制試験の検討
1
1
東京大学 医学部附属病院 腎臓・内分泌内科
杏林大学 医学部 第三内科
藤田 恵 1、永江 愛 1、安東 克之 1、藤田 敏郎 1
【目的】中枢性交感神経活動亢進は高血圧の原因の一つである。私
共は脳内酸化ストレスが交感神経活動亢進を介して血圧上昇をもた
らす可能性を示した。今回、食塩感受性高血圧の昇圧機序に、脳内
酸化ストレスを介した中枢性交感神経活動亢進が関与している可能
性を検討した。
【方法】高食塩食(8%食塩)もしくは普通食(0.4%食塩)で 4 週
間飼育した9∼10 週齢の雄Dahl-S
(食塩感受性)
ラットおよびDahl-R
(食塩抵抗性)ラットを用いた。抗酸化剤 tempol を、ウレタン麻酔
下、人工呼吸下でラットの側脳室に投与した際の、血圧、心拍数、
腎交感神経活動の変化を観察し、その反応の程度を 4 群ラットで比
較検討した。また摘出した脳視床下部における酸化ストレスをルシ
ジェニン化学蛍光発光法により測定し、さらに NADPH oxidase
subunits mRNA の発現を real-time RTPCR 法にて定量した。
【成績】薬剤投与前の平均血圧は、高食塩食 Dahl-S ラットにおいて
他群に比較し有意に高値であった。血圧、心拍数、腎交感神経活動
のいずれも、tempol 側脳室投与により容量依存性に抑制された。そ
の反応の程度は、高食塩食 Dahl-S ラットにおいて他群ラットに比較
し有意に大きかった(p<0.05)。高食塩食 Dahl-S ラットの血圧を
hydralazine により正常化しても同様の結果であった。さらに、視床
下部由来の酸化ストレス値、また NADPH oxidase subunit 発現量は
高食塩食 Dahl-S ラットにおいて有意に亢進していた(p<0.05)。
【結論】食塩感受性高血圧では、食塩負荷による NADPH oxidase 活
性亢進を介した脳内酸化ストレス上昇が、中枢性交感神経活動亢進
をもたらし昇圧に至る可能性が示唆された。
山口 真哉 1、板垣 英二 1、田中 利明 1、半田 桂子 1、三代川 可
織 1、下山 達宏 1、伊藤 英介 1、勝田 秀紀 1、吉元 勝彦 1、石田
均1
【目的】近年、糖尿病患者では subclinical hypercortisolism(SH)
の頻度が高いことが示唆されている。今回我々は、入院中の糖尿病
患者に 0.5mg over night デキサメサゾン抑制試験( 0.5mgDST)を施
行し SH の有無につき検討した。
【対象と方法】対象は血糖コントロ
ール目的で入院し画像診断で副腎腫瘍を認めない糖尿病患者10例で
年令 34∼64 歳、平均 BMI30.3(18.8∼37.0)
。高血圧合併例(HT+)
は 4 例、高脂血症合併例(HL+)6 例で、うち 3 例は両者を合併して
いた。夜間 21∼23 時の血清コルチゾール値(F)の測定および
0.5mgDST を行い、それぞれ F<2.5μg/dl、F<5.0μg/dl を正常とし
た。
【結果】夜間の F は 1.3∼5.8μg/dl ( 2.95±1.40)で半数が 2.5
μg/dl を越えていたが、0.5mgDST では全例 5μg/dl 未満に抑制され
た(1.69±0.60μg/dl)
。夜間の F は HT あるいは HL 合併の有無によ
り差を認めなかったが、DST での F は HT+で 2.25±0.27μg/dl、HT
−で 1.37±0.43μg/dl と HT+で有意(p<0.01)に高値であった。
HL の有無は 0.5mgDST の結果に影響を与えなかった。また、BMI と夜
間の F、および DST 後の F との間には相関関係は認めなかった。
【考
察】副腎に腫瘍を認めない糖尿病患者では 0.5mgDST で F は全例で抑
制されたが、HT+においては DST 後の F が HT−に比して有意に高値
であった。以上より糖尿病患者では極軽度の SH が血圧上昇に関与し
ている可能性も否定できないと考えられた。
P-3-04-02 2 型糖尿病における副腎腫瘍の合併頻度について
P-3-04-03 Cushing 症候群の耐糖能障害に関する検討
1
東邦大学 医学部 糖尿病代謝内分泌科、2 恩賜財団済生会神奈川
県病院 内科
廣井 直樹 1,2、一城 貴政 1、須江 麻里子 2、吉原 彩 2、上芝 元
1
、比嘉 眞理子 2、坪井 久美子 1、芳野 原 1
本邦における 2 型糖尿病と副腎腫瘍の合併頻度に関する報告は見ら
れていない。我々は 2 型糖尿病と副腎腫瘍の合併頻度について検討
したので報告する。
【対象】当施設受診中の 2 型糖尿病患者。過去に
悪性腫瘍、副腎腫瘍の指摘を受けているものは除外した。
【方法】腹
部 CT scan の結果から副腎腫瘍の有無を検討した。副腎腫瘍が発見
された場合、副腎皮質・髄質ホルモンの基礎値の測定と 1mg デキサ
メタゾン抑制試験を行った。さらに異常が認められた場合には機能
性副腎腫瘍の確定診断のための検査を行った。
【結果】対象となった
患者は 159 例(平均年齢 61.9 歳・男性 95 例・女性 64 例)であり、
副腎腫瘍が見つかったものは 15 例(9.4%:平均年齢 62.5 歳・男性
8 例・女性 7 例)
、右副腎腫瘍は 8 例、左は 6 例、両側は 1 例であっ
た。腫瘍径は平均 19.0±14.7mm(最大 55mm、最小 1mm)
。全例内部
は均一な腫瘍であり、嚢胞や石灰化などは見られなかった。副腎腫
瘍の診断がついているものの内訳は潜在性クッシング症候群が1例、
潜在性クッシング症候群と原発性アルドステロン症の合併が 1 例、
非機能性副腎腺腫は 6 例であった。
【考察】健常人における CTscan
による副腎偶発腫瘍の発見頻度は 3∼4%、
そのうち機能性副腎腫瘍の
合併頻度は本邦では約 24%と報告されている。
今回の我々の検討では
副腎腫瘍の発見頻度は 9.4%と健常人と比較して高率であったが、機
能性副腎腫瘍の割合は 25%と明らかな差は見られなかった。
副腎偶発
腫瘍における症例では健常人と比べて高率に代謝異常が合併してい
ると言われており、また、機能性副腎腫瘍を的確に診断するために
も、
2 型糖尿病患者において積極的に副腎腫瘍の検索を行うべきであ
ると考えられる。
1
東京女子医科大学 医学部 第二内科、2 国立病院機構 京都医療
センター
渡辺 大輔 1、田辺 晶代 1、立木 美香 1、成瀬 光栄 2、高木 佐
知子 1、高野 加寿恵 1
【背景】副腎ホルモン過剰症は高頻度に耐糖能障害を合併する。我々
は第79回総会で原発性アルドステロン症(PA)の耐糖能障害に低カリ
ウム(K)血症によるインスリン抵抗性が関与することを報告した。
今回は Cushing 症候群(CS)の耐糖能障害におよぼす要因について検
討した。
【方法】対象は副腎腺腫による CS 24 例。HOMA-IR、HOMA-β
cell(%)、insulinogenic index(I.I.;インスリン初期分泌能)を算
出し、年齢、BMI、血中 K 濃度、血中コルチゾール値(F)との相関を
検討した。さらに、75gOGTT により正常型、境界型、糖尿病型の 3
群に分類し、各群間の年齢、BMI、血中 K、血中 F、HOMA-IR、HOMAβ、I.I.を比較した。
【結果】HOMA-IR は BMI と有意な正の相関
(r=0.42、p=0.04)を示したが、年齢、血中 K、血中 F とは相関を認め
ず、HOMA-βおよび I.I.は、いずれとも相関を認めなかった。75gOGTT
の結果、83%(境界型 10 例、糖尿病型 10 例)に耐糖能障害を認め
た(PA; 40%)。年齢、BMI、血中 K、血中 F、HOMA-IR、HOMA-βは 3
群間で差を認めなかったが、I.I.は正常型と比較して糖尿病型で有
意に低値を示した。また、平均 HOMA-IR は 3 群とも 1.5 以上(PA;正
常型 0.75、糖尿病型 1.75)であった。
【考察】CS では PA と比較して
HOMA-IR が高値で高頻度に耐糖能障害を合併するが、
インスリン抵抗
性や分泌能と血中 K、血中 F との相関は認めなかった。軽度のインス
リン抵抗性が示唆されたが、糖尿病型への進展には I.I.の低下が関
与すると考えられた。
P-3-04-04 メタボリック症候群の原因検索として副腎の精査は必 P-3-04-05 副腎アンドロゲンとメタボリックシンドロームの関連
要か?
性の検討
1
1
福島県立医科大学 第三内科
湘南鎌倉総合病院 糖尿病内分泌内科
緑川 早苗 1、橋本 重厚 1、本間 美優樹 1、村岡 亮 1、眞田 寛啓
、渡辺 毅 1
【背景】平成 16 年度国民健康栄養調査の結果によれば、日本におけ
るメタボリック症候群の割合は、予備軍まで含めると、40 歳以上の
男性で 50%、女性で 20%と報告されている。一方、近年、副腎皮質腫
瘍では、クッシング症候群ではなくても、肥満、高血圧、糖尿病、
高脂血症などが高率に合併することが報告され、心血管系イベント
のリスクとして注目される。
【目的】そこで今回我々は偶発腫瘍とし
て発見された副腎皮質腫瘍に、メタボリック症候群がどの程度合併
しているかを調査し、メタボリック症候群の原因として副腎皮質腫
瘍をスクリーニングすることの有用性を検討した。
【方法】
1998 年か
ら 2006 年まで当科に入院した副腎偶発腫瘍患者 159 例のうち、皮質
以外の腫瘍や典型的症状を有する皮質腫瘍を除いた 131 例の副腎皮
質腫瘍患者を対象とした。男女別にメタボリック症候群の有病率を
算出した。
【結果】男性 70 例(平均年齢 59.8 歳)
、女性 61 例(平均
年齢 62.1 歳)で、メタボリック症候群の割合はそれぞれ 46%および
52%であり、男性では一般人口と差を認めなかったが、女性では有意
に有病率が高かった。またメタボリック症候群はプレクッシング症
候群に多く認められたが、非機能性でも認められた。さらに摘出術
を施行された男性 23 例 女性 22 例のうち、肥満、高血圧、高脂血
症、糖尿病のいずれかが治癒または明らかな改善(薬剤の減量中止
など)を認めたものは、それぞれ 44%、52%であった。
【結論】腫瘍
摘出によりリスクファクター減らすことが可能であるならば、女性
においては、メタボリック症候群と診断された場合に、副腎皮質腫
瘍をスクリーニングすることは有用であると考えられる。
新田 愛 1、瀬戸 雅美 1、浜野 久美子 1
1
(背景/目的)加齢により体脂肪の増加をきたし、メタボリックシンド
ローム(MS)の頻度は増す。一方、性ホルモンや副腎アンドロゲン
は加齢とともに減少する。ホルモン低下が体脂肪増加をきたすのか、
体脂肪がホルモン産生代謝に影響を及ぼすのか因果関係は明確では
ないが両者に一定の相関があることが報告されている。DHEA の生理
的意義について動物実験などで、抗肥満、インスリン抵抗性改善、
抗動脈硬化作用などあたかも抗 MS、抗加齢作用を呈するとされ、一
部で DHEA 補充療法が行われている。今後の DHEA 補充療法の是非を
さぐるためにも日本人中高年男性においてDHEAS とMS の関連を検討
した。(対象/方法)当院ドック受検者男 627 名、58.3±0.4(25-89)
歳のうち、腹囲 85cm 以上のもの 147 名について DHEAS を測定、臨床
指標との関連をみた。(結果)1)わが国の診断基準を用いた MS の頻
度は 13%であった。2)DHEAS は年齢と負の相関を認めた。3)MS の
有無、MS 構成因子数(2 ないし 3)で DHEAS に群間差はなかった。4)
DM 群(17名)非 DM に DHEAS の差はなかった。5)DHEAS と IRI,HOMAIR
の関連はなかった。6)DHEAS は体脂肪率、TG と正の相関を示したが
腹囲、BMI、TC、HDL-C とは相関しなかった。(考察)従来男性ホルモ
ン、DHEAS は体脂肪や IRI と負の相関を示すとされ、今回の結果は一
致せず、MS への関与も否定的である。一方、DHEAS がヒトでアディ
ポカイン(アディポネクチン、レジスチン)に対する作用をもつこ
とや、遊離脂肪酸が in vivo で DHEA(S)の産生を促すなど、脂肪組
織と DHEA(S)の関連を示唆する報告が最近みられ今回の体脂肪率と
の相関は興味深い。加齢、動脈硬化、脂質代謝と DHEA については今
後も検討が必要である。
P-3-04-06 Obesity-related Aldosteronism: Its Reversal by
Weight Reduction
1
東京大学医学部 腎臓・内分泌内科
高橋 克敏 1、竹下 雅子 1、藤田 敏郎 1
P-3-05-01 難治性副腎悪性腫瘍組織における標的治療因子の検索
1
東北大学 大学院 医学系研究科 医科学専攻 病理病態学講座
病理診断学分野、2 同 発生発達医学講座 小児外科学分野、3 東北
大学 医学部 保健学科 検査技術科学専攻 臨床検査学講座 病
理検査学分野
中村 恵美 1,2、鈴木 貴 3、林 富 2、笹野 公伸 1
【背景】レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAA 系)は、
年齢、性別、月経周期、体位、交感神経、塩分摂取量やカリウムの
みならず肥満によっても影響を受ける。今回我々は、肥満治療に伴
い RAA 系がダイナミックに変化し、原発性アルドステロン症(PA)
との鑑別が問題となった症例を経験したので報告する。
【症例】59 歳女性。高血圧を主訴に来院し PAC/PRA 比高値のため第
1 回入院。
154cm、
70kg、
BMI29.5、
187/124mmHg、
Na138mEq/L、
K4.2mEq/L、
PAC/PRA 比=29.8(17.9ng・dL-1/0.6ng・ml-1・hr-1)。生理食塩水負荷
試験で負荷後 PAC11.6(同 PRA0.4)、立位フロセミド試験で PRA0.6
→1.4、レニン濃度 2.4pg/ml(軽度低値)等から normokalemic PA をま
ず疑った。副腎 CT 像に異常なく副腎静脈サンプリングでも左右差や
健側抑制がないため、特発性アルドステロン症(IHA)を疑い薬物療
法(抗アルドステロン薬など)と食事療法等を行なった。3 年後、16kg
の減量に成功し再評価のため第 2 回入院。BMI22.5、134/87、Na136、
K4.1、PAC/PRA 比=63(12.6/0.2)。レニン濃度 2.0 未満、立位フロセ
ミド試験は PRA0.2→0.7 とレニン抑制は明らかだが、生食負荷試験
で負荷後 PAC4.7(同 PRA0.1)のため PA は否定された。すなわち、
第 1 回入院時の「肥満を伴う高アルドステロン血症と高血圧」は、
肥満が治癒した第 2 回入院時には消失していた。
【考察と結論】PA は肥満を伴いやすいと報告されている。本例も肥
満時には、(1)PA を考えさせる高アルドステロン血症と、(2)抗アル
ドステロン薬が奏効する高血圧が存在したが、減量によりこれらが
消失した点で、従来の PA の疾患概念とは一線を画する。従って、IHA
との鑑別が難しく肥満自体が病態に関与する「Obesity-related
Aldosteronism」の存在が新たに考えられる。
【目的】神経芽腫は小児悪性固形腫瘍のうち最も頻度の高い腫瘍で
ある。発症年齢と予後との関連が密接であり、18 ヶ月以降に発症・
診断された症例では積極的な集学的治療によっても予後不良であ
り、難治性である症例が多い。一方、副腎皮質癌は発生頻度の低い
腫瘍であるが、1∼10 歳にも発生のピークが認められ、進行した状態
で発見される症例も少なくない。副腎皮質癌の特異的治療薬である
mitotane は効果が得られない症例も認められる。
このような事から、
これら副腎悪性腫瘍に対する新たな治療法の検討が大きな課題とな
っている。近年、悪性腫瘍で過剰発現する因子を特異的に阻害する
薬剤を用いた標的治療が行われるようになり、幾つかの癌では臨床
的効果が報告されている。そこで今回、副腎悪性腫瘍における標的
治療の有用性の判定に重要となる標的因子の発現を良性腫瘍と比
較・検討した。
【対象と方法】当院および関連病院で摘出された副腎
腫瘍の検体の10%ホルマリン固定パラフィン包埋標本を用いて、
現在及び近い将来に標的治療の対象となり得る特異的因子(VEGFA,
VEGFR2, EGFR, HER2/neu, p-ERK1/2, p-AKT, mTOR, p-p70S6K, p-S6RP,
p-4EBP, NPM)の発現を免疫組織化学にて検討した。
【結果と結論】こ
れらの因子の中で唯一、副腎皮質癌において EGFR が有意に高発現を
示した。以上より副腎皮質癌では Cetuximab 等の EGFR に対する標的
治療薬が有効である可能性が示唆された。一方、Trastuzumab や
Bevacizumab 等の HER2/neu、VEGF に対する標的治療薬の有効性は低
いと考えられた。
P-3-05-02 クッシング症候群を呈した肝浸潤を伴う巨大副腎皮質
癌の1例
1
横浜市立大学附属病院 内分泌・糖尿病内科、2 横浜市立大学附属
病院 泌尿器科、3 横浜市立大学附属病院 消化器・肝移植外科
高橋 まゆみ 1、槙山 和秀 2、松本 千鶴 3、渡會 伸治 3、川口 順
子 1、根津 潤 1、中村 昭伸 1、岩崎 知之 1、青木 一孝 1、木村 真
理 1、寺内 康夫 1
30 歳女性。H16 年頃より難治性無月経、顔面ざ瘡が出現。次第に筋
力低下,全身倦怠感,ざ瘡増悪あり、H18 年 4 月腹部膨満にて近医受
診。F-cortisol 23.9μg/dl を認め、クッシング症候群疑いで当院紹
介。男性化徴候はなく、中心性肥満,顔面ざ瘡,多毛,高血圧,耐
糖能異常あり。腹部造影 CT で肝右葉に浸潤を伴う巨大腫瘤(22×14
×14cm)
、PET−CT で右副腎腫瘍への異常集積を認めたが、遠隔転移
を示唆する所見は認めず。副腎皮質アドステロールシンチでは腫瘍
に一致し不均一な集積亢進あり。ACTH ≦5.0 pg/ml,F-cortisol 32
μg/dl ,尿中 F-cortisol 302 μg/day ,PRA 2.0ng/ml/hr, 血中
aldosteron 222pg/ml,DHEA-S 31300ng/ml,E2 1190pg/ml,テスト
ステロン 1.4ng/ml,尿中 17-KS 539mg/day,ACTH・F-cortisol の日
内変動消失を認め、DEX 8mg 抑制試験では cortisol の抑制を認めず。
腫瘍マーカーは AFP,CEA 正常。以上より巨大な右副腎腫瘍によるク
ッシング症候群と診断し、右副腎摘出術+肝右葉切除術を施行。検体
は肝,右副腎,リンパ節,胆嚢含め 2.8kg、副腎は 140×104×220mm
であった。病理所見は Weiss criteria で 5 項目陽性、特殊染色で
synaptophysin 陽性を認め、副腎皮質癌と診断。術後ざ瘡は軽快しコ
ートリル補充下で DHEA-S,尿中 17-KS は正常、
ミトタン未使用で術後
6ヶ月経過時点で再発徴候を認めていない。副腎癌は一般に予後不
良とされるが、本症例ほど巨大な腫瘍で経過良好である事は稀と考
え、ここに報告する。
P-3-05-03 著明なクッシング徴候を示した副腎癌の一例
1
九州大学 大学院 医学研究院 病態制御内科学、2 東北大学 大
学院医学系研究科 病理学講座病理診断学分野
渡邉 哲博 1、大江 賢治 1、園田 浩一朗 1、坂本 竜一 1、権藤 重
喜 1、野村 政壽 1、岡部 泰二郎 1、柳瀬 敏彦 1、笹野 公伸 2、高
柳 涼一 1
症例は28歳男性。
2004年8月に会社の健康診断で高血圧170/110mmHg
を指摘され、その時点より腹部の皮膚線条を自覚していた。近医に
て降圧剤を処方され、フォローされていたが、コントロール不良で
あった。皮膚線条からクッシング症候群が疑われ 2006 年 4 月に当科
外来受診した。腹部 CT にて、左副腎外側脚に、6.4cm の不均一な増
強効果を示す腫瘤と左副腎内側脚に 1.9∼2.5cm の結節を 4 個、右副
腎に 1.9cm、1.6cm の結節を 2 個認め、入院精査となった。血中コル
チゾール 28.0 μg/dl 、ACTH 5.0 以下 pg/mL で、デキサメサゾン
8mg 抑制試験では、血中コルチゾール 33.8μg/dl と抑制を認めなか
った。アドステロール副腎皮質シンチでは、左副腎部に集積を認め、
DHEA-S 9320ng/ml、E2 61.4pg/ml と高値で副腎癌と考えられたため
左副腎部の摘出を施行した。肉眼的には、6.4cm の腫瘍部は被包化さ
れており、周囲への浸潤、癒着を認めなかった。左副腎内側脚の 1.9
∼2.5cm の結節は black adenoma であった。術後、コルチゾール 18.7
μg/dl、ACTH 5.0 以下 pg/mL、デキサメサゾン 8mg 抑制試験ではコ
ルチゾール 19.3 μg/dl と軽度改善に留まった。今後、アドステロ
ール副腎皮質シンチを再検し、転移の検索と右副腎手術を考慮中で
ある。本症例は、副腎皮質過形成もしくは異形成を基礎疾患として
副腎癌が発症した可能性があり、興味深いと考えられたので報告す
る。
P-3-05-04 顕著な Cushing 徴候を示さなかったコルチゾール産生
副腎皮質癌の一例
1
大崎市民病院 内科、2 大崎市民病院 外科、3 東北大学大学院医学
系研究科医科学専攻病理学講座
三島 英換 1、工藤 正孝 1、太田 耕造 1、木村 時久 1、三井 一浩
2
、笹野 公伸 3
【症例】64 歳男性。
【既往歴】H5 年より狭心症、高血圧症として治
療。
【現病歴】他院で心不全での入院中に施行されたCTにて径 6cm
の左副腎腫瘍を認め精査目的に入院となった。BMI27.5、軽度中心性
肥満を認めるが多毛、皮膚線条、baffalo hump、満月様顔貌は認め
なかった。
【経過】ACTH<5.0pg/ml、cortisol25.6μg/ml、cortisol
日内変動消失、DEX1mg,8mg 抑制試験で cortisol の抑制を認めず、
Cushing 症 候 群 と 診 断 。 DHEA-S4750ng/ml と 尿 中
17-OHCS20.2mg/day,17-KS20.0mg/day,DHEA-S4750ng/ml と高値で、
CRH 負荷試験にて ACTH の反応性は残存していた。CT,MRI でも前医で
指摘されていた 6×5cm の辺縁整・内部不均一な左副腎腫瘍をみと
め、131I-アドステロールシンチにて同腫瘍に軽度集積を認め、対側
副腎の描出は抑制されていた。画像上、明らかな転移巣は認めず、
cortisol 産生副腎皮質癌(T2N0M0 stage2)と考えられた。早期食道
癌に対するEMRと冠動脈狭窄に対する PCI を施行後、開腹副腎摘
出術を施行した。Weiss の診断基準で6項目をみたし Ki67 index は
10%以上で high grade の副腎癌と診断した。本症例では DHEA-S は高
値であるがcortisol は著明に高値ではないためCushing 徴候に乏し
く、性ステロイドも低値であり、同腫瘍のコルチゾール合成系酵素
の免疫染色による病理学的考察を加え報告する。
P-3-05-05 新規 SF1 変異 (C55W, Δ359) による副腎機能正常な
46,XY 女性の 2 例
1
国立成育医療センター研究所 小児思春期発育研究部、2 国立成育
医療センター 内分泌代謝科、3 国立成育医療センター 臨床検査部
勝又 規行 1、堀川 玲子 2、緒方 勤 1、田中 敏章 3
【目的】
SF1 は副腎と性腺の発生およびその機能に必須な核受容体型
転写因子である。今回、われわれは、副腎機能正常な 46,XY 女性 2
例で、新規 SF1 変異を同定したので報告する。
【症例 1】 在胎 40 週、
3770 g で出生。女児として養育。2 歳のとき、陰核肥大と両鼠径部
腫瘤に気づかれ、入院精査。入院時、軽度陰核肥大、single orifice
あり、両鼠径部に性腺を触知。染色体は 46,XY。ACTH 負荷テストで
コルチゾールの反応は正常。hCG 負荷でテストステロンの反応は正
常。精査後、性腺摘除。性腺組織は精巣。精巣上体あり。輸精管は
なく、卵管様組織を認めた。9 歳のとき、外陰部形成術。膣、子宮膣
部、子宮様構造を認めた。
【症例 2】41 週、3370 g で出生。女児とし
て養育。2 歳のとき、両鼠径部腫瘤に気づかれ、46,XY の指摘。3 歳
のとき、入院精査。入院時、陰茎 2.3 cm、尿道下裂、single orifice、
二分陰嚢あり、陰嚢内に性腺を触知。ACTH 負荷テストでコルチゾー
ルの反応は正常。hCG 負荷でテストステロンは低反応。造影検査で盲
端の膣と共通尿生殖洞を認めた。4 歳のときに性腺摘除。性腺組織は
精巣。精巣上体、輸精管あり。
【遺伝子解析】 症例 1 は SF1 のコド
ン 55 のミスセンス変異 C55W のヘテロ接合体。症例 2 はコドン 395E
の欠失 (Δ395E) のヘテロ接合体。CYP11A1 プロモーターを用いた解
析で、両変異 SF1 は転写活性化能なく、dominant negative 効果もな
し。
【考察】SF1 の C55W 変異、Δ395E 変異はこれまでに報告のない
変異であった。両症例とも SF1 の半量不全により、46,XY 女性を発症
したと考えられた。
【結論】46,XY 女性では副腎機能が正常であって
も、SF1 の半量不全の可能性を考慮すべきである。
P-3-05-06 巨大副腎骨髄脂肪腫を合併した 21 水酸化酵素欠損症
P-3-05-07 遺伝子型が P30L/R356W へテロ複合体と診断された
21-水酸化酵素欠損症の 1 例
1
国立病院機構京都医療センター 内分泌代謝科、2 国立病院機構京 1 茨城県立こども病院小児科、2 水戸医療センター、3 宮崎こどもクリ
都医療センター 検査科、3 国立病院機構京都医療センター 泌尿器 ニック
科
萩原 英恵 1、臼井 健 1、森 栄作 1、都留 常央 1、木村 崇 1、田 吉澤 敦子 1、泉 維昌 2、宮崎 賢治 3
上 哲也 1、島津 章 1、成瀬 光栄 1,2、南口 早智子 2,3、奥野 博
3
症例は 43 歳の女性。6 歳時に外陰部の異常より先天性副腎過形成と
診断されステロイドを処方されたが内服は不規則であった。19 歳時
に外陰部の形成術を受けた。この頃もステロイドの内服治療を受け
ていたが内服を自己中断した。以降ステロイドの内服をすることは
無かったが健康上問題はなく、会社の健康診断等でも異常を指摘さ
れたことはなかった。平成 18 年 11 月に胃透視検査にて胃体部の圧
排像が認められ腹部CT検査にて左側上腹部から下腹部にかけて巨大
な腫瘍を、また右副腎にも腫瘍を認めたため当科に精査入院となっ
た。入院時身長は 153.7cm、血圧は 145/89mmHg で明らかな色素沈着、
多毛は認めなかった。
初潮は 11 歳で当初規則的な月経を認めたが 22
歳頃より無月経となっている。入院後の内分泌学的検査にて ACTH,
17OHP の高値、1 日尿中 17KS の高値等を認め 21 水酸化酵素欠損症
(21OHD)に矛盾しない所見であった。CYP21A2 遺伝子解析ではイント
ロン 2 の変異(IVC2-13A/C>G)とエクソン 4 の変異(I172N)のコ
ンパウンドヘテロによる 21OHD と確定診断した。腹部の腫瘍は左側
のものは最大径約 17cm、
右側のものは最大径約 3.8cm であり CT, MRI
の所見より骨髄脂肪腫と考えられた。左側の腫瘍を開腹術にて摘出
し組織学的検索にて骨髄脂肪腫と確認された。副腎皮質組織は腫瘍
の周囲にrim状に存在し一部腫瘍内にも集積している部分を認めた。
21OHD などの先天性副腎過形成において副腎の骨髄脂肪腫の合併の
報告は散見されACTHの持続的高値にさらされた場合に本症例のよう
な巨大な骨髄脂肪腫が生じることが示唆され、興味深い症例と考え
られる。
新生児マススクリーニングが施行されてから先天性副腎皮質過形成
症(CAH)の患者発見頻度が増加し、典型的な症状を呈する以前に医
療機関を受診する機会も増えている。21-水酸化酵素(チトクローム
P450c21)欠損症は CAH の中で最も頻度が高い疾患であるが、塩喪失
型、単純男性型、非古典型と臨床的病型の差がみられる。私達は、
濾紙血中 17-水酸化プロゲステロン(17-OHP)が高値の児で臨床的に
非古典型と考えられたが、遺伝子解析にて P30L/R356W へテロ複合
体と診断された 1 例を経験したので、その後の臨床経過とあわせて
報告する。症例は 5 歳男児。在胎 39 週 5 日、3525 グラムで出生。両
親、兄は健康。新生児マススクリーニングで濾紙血中 17-OHP が
11.8ng/ml(直接法)であったため精査となった。全身状態は良好で
哺乳力、体重増加ともによく、血清電解質異常もなかった。しかし、
17-OHP(RIA 法)49.7 ng/ml、ACTH 74.8 pg/ml、コルチゾール 15.0
mcg/dl であり、尿ステロイド分析ではプレグナントリオール高値、
アルドステロン・コルチゾール代謝物正常∼高値であった。遺伝子
解析の結果は P30L/R356W へテロ複合体であった。その後の臨床経
過は順調であるが、4∼5 歳頃より感染症に伴い検査上塩喪失傾向を
しばしば示した。21-水酸化酵素の残存活性が比較的高いと考えられ
る病型であっても、副腎不全の可能性を本人、家族、関係する医療
従事者に十分伝えておくことが必要と考えられる。
P-3-06-01 内分泌攪乱物質,atrazine の SF-1 依存性アロマターゼ
活性化機構(第 2 報)
1
九州大学大学院医学研究院病態制御内科、2 九州大学大学院医学研
究院
范 呉強 1、柳瀬 敏彦 1、高柳
涼一 1、名和田
新2
「目的」atrazine は世界中で最頻用の除草剤であり、その環境汚染
が懸念されている。両生類や脊椎動物における男性化障害や女性化
との関連や、ヒトの乳癌、前立腺癌などの発症との因果関係が示唆
されている。これらの作用機構の一端と我々は昨年の本学会で
atrazine がアロマターゼ遺伝子の発現誘導を SF-1 依存性に
promoter II (ArPII) を介して起こすことを既に報告した。今回、
さらにその機序について検討した。
「結果」atrazine は PKA 活性を
刺激する一方で、PKA 阻害剤の H89 存在下でも、SF-1 依存性の ArPII
活性化を増強し得たことから PKA 依存性並びに 非依存性の両方の
活性化機構の存在が示唆された。この ArPII の活性化に LRH-1 の関
与は認めなかった。Surface Plasmon Resonance による in vitro 結
合実験ではアトラジンと精製 SF-1 の直接結合を確認した。同時に
atrazine は SF-1 とコアクチベーターの TIF2 や SRC-1 との相互作
用の増強効果を認めた。ChIP assay でも atrazine は SF-1 と ArPII
の in vivo 相互作用を増強した。興味深いことに atrazine による
SF-1-依存性の ArPII の転写活性化は、内因性リガンドであるリン脂
質との結合に重要とされる SF-1 ・リガンド結合部位(LBD)の変異体
でも、
同様に認めたことから、
atrazien とSF-1 の結合にLBD pocket
は重要ではないことが示唆された。
「結語」atrazine は SF-1 の外
因性リガンドとして内分泌攪乱作用を発揮する可能性並びにその
SF-1 への結合様式は内因性リガンドのリン脂質とは異なる可能性が
示唆された。
P-3-06-02 エストロゲンレセプター(ER)βノックアウトマウス
(bERKO)における大腸の表現型解析
1
東京大学 大学院医学系研究科 産婦人科学、2 カロリンスカ研究
所
平池 修 1,2、矢野 哲 1、平池 春子 1,2、武谷 雄二 1、Warner
Margaret2、Gustafsson Jan-A°ke2
【目的】大腸には核内レセプターERβが主に発現していて、大腸癌
において ERβの発現は減少していることが知られているが、ERβの
大腸における機能についてはいまだに不明な点が多い。本研究では、
ERβノックアウトマウス(bERKO)の大腸組織における表現型を解析
した.【方法】4ヶ月齢雄の C57BL/6 野生型マウスと bERKO から大腸
を摘出し、免疫組織染色法を用いて種々のタンパク発現および局在
を検討した。大腸摘出 2 日前から12時間毎に5回チミジンアナロ
グ BrdU を投与して大腸粘膜上皮細胞の増殖能を検討した。
【成績】
マクロにおける形態比較では、野生型と bERKO に顕著な差異を認め
なかったが、以下のような変化を明らかにした。1)bERKO の大腸粘
膜上皮の増殖率は、野生型より有意に高かった。2)bERKO の大腸粘
膜上皮において、細胞接着分子α-catenin、plectin、分化マーカー
cytokeratin20 は発現量が野生型より減少していた。3)電子顕微鏡
による微細構造の検討により、bERKO の大腸粘膜上皮は、tight
junction、
desmosome に量および質的な形態異常が存在した。
【結論】
マウス大腸における ERβは大腸粘膜上皮細胞の増殖を抑制している
が、
bERKO において過形成などのマクロ的病変を認めない理由の一つ
として、
bERKO の大腸粘膜上皮は野生型のそれより脱落が多くなって
いる可能性が示唆された。
P-3-06-03 肥満ラットにおけるアルドステロンブロッカーの代謝 P-3-06-04 アルドステロンブロッカーの腎内レニン-アンジオテ
改善作用
ンシン-アルドステロン系に及ぼす影響―副腎摘出ラットでの検討
―
1
1
金沢大学大学院臓器機能制御学(内分泌代謝内科)
金沢大学大学院臓器機能制御学(内分泌代謝内科)
朱 傲霜 1、 臼倉 幹哉 1、米田 隆 1、高田 裕之 1、山本 泰弘 1、
唐島 成宙 1、出村 昌史 1、武田 仁勇 1
【目的】我々は本学会で内臓脂肪組織におけるミネラロコルチコイ
ドレセプター(MR)の発現が腎臓と同程度であり、病態に関与してい
る可能性に関して報告した。今回肥満ラットにおけるアルドステロ
ン(aldo)ブロッケード作用による代謝への影響を検討した。
【方法】
Zucker fatty ラット及び lean ラットを用いて選択的 aldo ブロッカ
ーであるエプレレノン(Epl)(100mg/日, p.o.)を 8 週間投与し、
体重、
食餌摂取量、血圧、血漿レニン活性(PRA)、血漿アルドステロン
(p-aldo)、
血糖、血漿インスリン値(IRI)を測定した。PRA、IRI、p-aldo
は既報のごとくキットを用いて測定した。
【結果】Epl 投与により 2
群とも PRA の軽度上昇、
p-aldo は fatty ラットにおいて基礎値高値、
Epl 投与により 2 群とも平均 4.5 倍に増加した。Epl は血糖には有意
の影響を及ぼさなかったが、
fatty ラットにおいて対照群に比して有
意に食餌摂取量の減少及び体重の増加を抑制したが、lean ラットで
は有意の変化はみられなかった。
【結語】我々は aldo ブロッケード
による降圧以外に心、腎、血管系における臓器保護効果を報告して
きたが、肥満を伴う代謝異常にも一部有効である可能性が示唆され
た。
朱 傲霜 1、臼倉 幹哉 1、米田 隆 1、高田 裕之 1、山本 泰弘 1、
唐島 成宙 1、出村 昌史 1、武田 仁勇 1
【目的】循環血中のアルドステロン(aldo)はアンジオテンシン
II(AngII)により調節を受けるが、我々は aldo が組織レニン-アンジ
オテンシン系に作用していることを報告してきた。今回腎臓内レニ
ン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)における調節機構を
解明するために両側副腎摘出したウィスターラットを用いて、選択
的 aldo ブロッカーであるエプレレノン(Epl)を投与し、組織内 RAAS
遺伝子発現を検討した。
【方法】ウィスターラットを両側副腎摘出
し、0.9%食塩水投与下で 8 週間飼育した(C 群)。同様に 0.9%食塩水
+Epl(100mg/日, p.o.)を 8 週間投与した(Epl 群)。血圧、体重、腎
重量、腎臓におけるアンジオテンシノーゲン(ATogen)、アンジオテ
ンシン I 変換酵素(ACE)、ACE2、1 型 AngII レセプター(AT1R)、AT2R、
ミネラロコルチコイドレセプター(MR)、11β-ハイドロキシステロイ
ドデハイドロゲナーゼ(11β-HSD)2 の各メッセンジャーRNA(mRNA)の
発現を Real-time PCR 法にて検討した。
【結果】Epl 投与群では C 群
に比して血圧、
腎重量には有意差を認めなかった。
腎臓における mRNA
の発現は Epl 投与群において C 群に比して ACE 6 倍、ACE2 5.6 倍、
MR 2.7 倍、AT1R 4.3 倍、ATogen 3.5 倍、11β-HSD2 2.6 倍それぞれ
高値であった。AT2RmRNA には差を認めなかった。
【結語】局所におけ
るaldo ブロック作用により腎臓におけるRAAS 系が影響が受けるが、
その病態生理学的役割に関してはさらに検討を要する。
P-3-06-05 副腎全摘ラットの心レニン-アンジオテンシン-アルド P-3-07-01 鑑別に苦慮した乳癌に合併する副腎偶発腫の一例
ステロン系に及ぼすアルドステロンブロッケードの影響
1
1
金沢大学大学院臓器機能制御学(内分泌代謝内科)
東京大学医学部附属病院 腎臓内分泌内科、2 東京大学医学部附属
病院 緩和ケア診療部、3 東京大学医学部附属病院 内分泌外科
1
1
1
1
1
朱 傲霜 、 臼倉 幹哉 、米田 隆 、高田 裕之 、山本 泰弘 、 竹下 雅子 1、高橋
克敏 1、大石 篤郎 1、武藤 明子 1、田中 信
唐島 成宙 1、出村 昌史 1、武田 仁勇 1
行 1、岩瀬 哲 2、小川 利久 3、福本 誠二 1、藤田 敏郎 1
【目的】循環血中のアルドステロン(aldo)はアンジオテンシン 【背景】悪性腫瘍に副腎転移を合併した場合、副腎不全の可能性や、
II(AngII)により調節を受けているが、aldo が組織レニン-アンジオ 原疾患の治療方針や予後が変わる可能性があるため鑑別が重要であ
テンシン系を調節していることが培養実験などから報告されてい る。今回我々は乳癌に伴う副腎偶発腫の鑑別診断に苦慮したため報
【症例】45 歳女性。2006 年 4 月右乳房腫瘤を自覚し近医受
る。今回心筋内レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS) 告する。
における調節機構を解明するために両側副腎摘出したウィスターラ 診。右乳癌(径 6cm,T3-4N1-3Mx, Stage IIIA-C,, HR-/HER2+)と診断
ットを用いて、選択的 aldo ブロッカーであるエプレレノン(Epl)を され、同年 5 月より術前化学療法を開始。6 月に行った PET-CT で約
投与し、組織内 RAAS 遺伝子発現を検討した。
【方法】ウィスターラ 3cm 大の異常集積のある左副腎腫瘤を偶然指摘され当科を紹介。
ットを両側副腎摘出し、0.9%食塩水投与下で 8 週間飼育した(C 群)。 FDG-PET 結果より、特に悪性腫瘍(転移性乳癌や副腎癌)や褐色細胞
同様に0.9%食塩水+Epl(100mg/日, p.o.)を8週間投与した(Epl群)。 腫を念頭に精査した。内分泌検査では尿中メタネフリン二分画、尿
血圧、体重、心重量、心臓におけるレニンレセプター(ReR)、アンジ 中コルチゾールや 17-KS、血中 ACTH、コルチゾール、DHEA-S に異常
オテンシノーゲン(ATogen)、アンジオテンシン I 変換酵素(ACE)、 なく、クロニジン負荷試験でも抑制を認めた。画像では MIBG シンチ
ACE2、1 型 AngII レセプター(AT1R)、AT2R、ミネラロコルチコイドレ グラムで異常なく、MRI 所見でも褐色細胞腫は否定的と考えられた。
セプター(MR)メッセンジャーRNA(mRNA)の発現を Real-time PCR 法に さらに、Chemical-shift MRI や dynamic MRI で副腎腺腫を示唆する
て検討した。
【結果】Epl 投与群では C 群に比して血圧、心重量には 所見を欠き、乳癌転移の可能性も残るため、乳房温存術とリンパ節
有意差を認めなかったが、体重は C 群より 7%減少していた。心臓に 廓清に加えて左副腎摘出術を施行。しかるに、病理所見では左副腎
【考察と結論】一般に、副腎外悪性腫瘍患者で副
おける ReR, MR, ATogen, AT1R, AT2RmRNA 発現には C 群と Epl 群で 腺腫と診断された。
有意の差を認めず、ACEmRNA は Epl 群で増加していた。ACE2mRNA も 腎偶発腫を認めた場合、悪性腫瘍との鑑別が重要である。良悪性の
Epl 群で増加傾向を示した。
【結語】
局所における aldo ブロック作用 鑑別に FDG-PET も有用とされるが、本例のように腺腫でも集積を認
により心臓内RAAS系が一部影響が受ける可能性が示唆されたがその めることがあり、悪性腫瘍の感度は 100%近いが、特異度は約 80%と
やや劣るとされる。病理検査では、転移性癌の診断は容易だが、副
病態生理学的役割に関しては検討中である。
腎皮質癌と副腎腺腫との鑑別は決して容易ではない。以上から、悪
性腫瘍に合併する PET 異常集積を認める副腎偶発腫の鑑別は注意が
必要と考えられた。
P-3-07-02 副腎偶発腫の臨床的特徴
1
東京女子医科大学 第二内科
P-3-07-03 副腎偶発腫発見後,約 8 年して診断された Cushing 病
の1 例
1
聖マリアンナ医科大学 代謝・内分泌内科
大森 凡恵 1、大森 就子 1、高野 加寿恵 1
浅井 志高 1、方波見 卓行 1、小川 裕 1、田中 逸 1
【目的】副腎偶発腫は画像診断の進歩と健診の普及に伴い発見率が
増加している。非機能性副腎腫瘍は 30 人に 1 人が有しているとの報
告もあり、その有病率は加齢と共に増加している。今回、当科にお
ける副腎偶発腫瘍の臨床的特徴を調査した。
【方法】対象は、2003
年から 2005 年に副腎偶発腫瘍の精査で入院した 28 症例である。年
齢分布、性別、発見の契機、病因、腫瘍径、経過、合併症につき検
討した。また、65 歳以上の症例の特徴の有無についても検討した。
【結果】男性 13 例、女性 15 例。平均年齢は 55.6 歳 (25∼81 歳) で、
40∼50 歳代がピークであった。65 歳以上の症例は 8 例(男性 3 例、
女性 5 例)であった。症例数、年齢分布に性差は認めなかった。発
見の契機は、基礎疾患の経過観察中における定期検査が最も多く、
次いで、健診、腹部症状の精査であった。病因としては、非機能性
腺腫が最も多く 51.7%を占めた。
プレクリニカルクッシング症候群は
38%を占め、65 歳以上の症例の中でも半数に認めた。腫瘍径は、平均
2.5cm で 1.1∼2cm が最も多く、次いで 2.1∼3cm の症例であった。約
7 割の症例が 1.1∼3cm であった。65 歳以上の症例も同様の結果であ
った。合併症は、高血圧、糖尿病、高脂血症が多く認められた。手
術症例は 3 例で腫瘍径が大きく悪性との鑑別を要する症例であった
が、悪性所見はみられなかった。他 25 例は経過観察中である。
【結
語】副腎偶発腫は発見率が増えているが、今回の症例のように精査
にてプレクリニカルクッシング症候群と診断される例も多いことが
わかった。よって、定期的な経過観察が必要と考えられた。
【症例】55 歳,女性.
【現病歴】平成 9 年,肺過誤腫ため左肺部分切
除術施行.同年経過観察のためおこなった胸部 CT で右副腎腫瘤を指
摘され,平成 14 年に当科入院.Preclinical Cushing 症候群(PreCS)
と診断
〔cortisol(F): 8時13.3∼21.5μg/dl,
0時11.6μg/dl,
ACTH:8
時 12∼21pg/ml,0 時 26pg/ml,DHEA-S:119μg/dl,UFC:21.5μg/日.
Dexamethasone(Dex)1mg 負荷後 ACTH23pg/ml,F19.4μg/dl,8mg 負荷
後 ACTH5pg/ml,F3.1μg/dl.CRH 負荷:ACTH 前値 12pg/ml,頂値
58pg/ml.131I-アドステロールシンチ:右 0.37%,左 0.28%〕したが,
高血圧,糖尿病等の合併症なく経過観察となった.平成 15 年の腹部
CT で左副腎にも腫瘤を指摘され,平成 16 年に両側下肢浮腫が出現
し,再入院.
【現症】BMI23.8kg/m2,血圧 120/68mmHg,満月様顔貌,
中心性肥満,水牛様肩あり.
【検査所見・入院後経過】血清 K 値
3.3mEq/l.ACTH:8 時 24∼54pg/ml,0 時 40pg/ml.F:8 時 27.6∼30.3
μg/dl,0 時 24.3μg/dl.DHEA-S:238μg/dl.UFC:702μg/日.Dex1mg
負荷後 ACTH29pg/ml,F21.9μg/dl,8mg 負荷後 ACTH8pg/ml,F5.9μ
g/dl.CRH 負荷:ACTH 前値 29pg/ml,頂値 81pg/ml.dDAVP 負荷:ACTH
前値 27pg/ml,頂値 161pg/ml.131I-アドステロールシンチ:右 0.91%,
左 0.33%.
下垂体 dynamic MRI:体部左側に径 4mm の腫瘤あり.
Cushing
病(CD)と診断.
経蝶形骨洞下垂体腺腫摘出術施行.
病理組織より ACTH
産生下垂体腺腫と確定.術後も両側副腎腫瘤像に変化なし.
【考察】
副腎偶発腫発見後約 8 年,右副腎腺腫による PreCS と診断後約 2 年
して CD を発症した 1 例を経験した.コートリル中止後,HPAaxis 機
能評価を予定しているが,副腎偶発腫例でも低用量の Dex 負荷によ
る ACTH 分泌抑制が不十分な場合,CD の可能性も考慮する必要があ
る.
P-3-07-04 尋常性皮膚角化症に両側副腎 myelolipoma を認めた1
例
1
九州大学大学院医学研究院 病態制御内科
大江 賢治 1、園田 浩一朗 1、坂本 竜一 1、渡邉 哲博 1、権藤 重
喜 1、野村 政壽 1、岡部 泰二郎 1、柳瀬 敏彦 1、高柳 涼一 1
症例は 35 歳男性。幼少時より冬期に増悪する皮膚角化症を認めてい
る。弟にも同様の症状。2003 年にくも膜下出血。以後、降圧剤を多
剤内服され、血圧コントロール良好。2005 年 8 月に感冒、嘔気のた
め近医受診の際、腹部エコーにて両側副腎腫瘍を認め、CT・MRI にて
副腎に右 14×12cm、左 11×10cm の腫瘤、myelolipoma 様の所見であ
った。精査目的にて当科紹介受診。高血圧があり機能性腫瘍の鑑別
のため、内分泌学的精査施行。血漿レニン活性が低値でラシックス
立位にて反応を認めなかった以外は異常なく、両側副腎腫瘍は MIBG
シンチ、副腎アドステロールシンチも陰性であった。出血壊死によ
るショックの可能性のため10cm 以上のmyelolipoma は手術適応があ
り、2006 年1月、当院泌尿器科にて左側腫瘤を腹腔鏡下にて摘出。
一部出血壊死を伴った myelolipoma の診断であった。Myelolipoma
は良性腫瘍で、その成因は不明であるが、広範な熱傷、悪性疾患等
の高齢者に高頻度に認める報告がある。本症例は皮膚角化症を呈し
ており尋常性皮膚角化症の診断であった。関連性は不明であるが、
角化症が何らかの刺激となり myelolipoma の形成に関与した可能性
があり、副腎偶発腫の興味深い一例と考えられた。右側の副腎腫瘤
に関しては注意深く経過観察中である。
P-3-07-06 原発性アルドステロン症の術中多尿についての検討
P-3-07-05 高血圧症加療中に高度の低カリウム血症、横紋筋融解
症を契機に診断された原発性アルドステロン症の一例
1
国立国際医療センター 内分泌代謝科 、2 同 泌尿器科、3 同 放射
線科
後藤 温 1、高橋 義彦 1、岸本 美也子 1、田中 隆久 1、納 啓一郎
1
、渡辺 森 1、安田 和基 1、蓑和田 滋 2、相部 仁 3、蓮尾 金博
3
、梶尾 裕 1、野田 光彦 1
症例 55 歳男性。50 歳より近医で高血圧加療中であったが、2002 年
より四肢の脱力発作を繰り返すようになった。2006 年 4 月に利尿薬
を追加され、5 月 5 日両下肢脱力感を自覚し、翌 6 日には立位困難と
なったため、当院緊急入院。入院時血圧 138/68mmHg、脈拍 68/min、
両腓腹筋把握痛があり、四肢に MMT3-4 レベルの筋力低下を認めた。
血液検査では K 1.4 mEq/L と高度の低カリウム血症、CK 15760 IU/L、
ミオグロビン 1870μg/L、
尿中ミオグロビン 4170μg/L と著明な筋原
性酵素上昇を認めたため、低カリウム血性四肢麻痺および横紋筋融
解症と診断。点滴によるカリウム補充後、徐々に筋力低下は回復、
検査所見も正常化した。内分泌学的検索でアルドステロン
27.0ng/dl、PRA<0.1 ng/ml/h であった。腹部 CT 上左副腎に 1.7cm
大腫瘤を認め、立位負荷試験、アドステロールシンチグラム、副腎
静脈サンプリングにより、左副腎腺腫による原発性アルドステロン
症と診断。左副腎腺腫摘出術が施行され、術後経過は良好である。
本例は繰り返す脱力発作があったものの診断が遅れ、利尿薬追加に
より著明な低カリウム血症及び横紋筋融解症を呈した。原発性アル
ドステロン症による低カリウム症では横紋筋融解症を併発すること
があるが、本例のように CK15000IU/L を超える例は極めて稀である。
高血圧症の 5-10%に原発性アルドステロン症が存在するとの報告も
あり、このような症例では早期に原発性アルドステロン症を鑑別に
挙げることの重要性が示唆された。
P-3-07-07 病院勤務医不足が深刻化する医療過疎地域における代
謝内分泌疾患診療の確保について(1)人材育成の観点から
1
田附興風会医学研究所北野病院 糖尿病・内分泌センター、2 同 泌 1 千葉県立東金病院 内科、2 千葉県病院局、3 千葉大学大学院医学研
尿器科、3 同 麻酔科
究院細胞治療学
本庶 祥子 1、池田 弘毅 1、奈部 浩一郎 1、和田 良春 1、寒野 徹 平井 愛山 1、古垣 斉拡 1、近藤 俊之 2、龍野 一郎 3、齋藤 康 3
2
、岩村 浩志 2、山本 雅一 2、金丸 洋史 2、足立 健彦 3、越山 裕
行1
【目的】アルドステロン産生腺腫(APA)にて副腎切除術中に多尿を認 【目的】新医師臨床研修制度の導入を契機に、全国規模で地域病院
める症例を経験した。
APA 患者の手術中の多尿に関してスピロノラク の勤務医不足が深刻化し、大きな社会問題となっている。一方、メ
トン(S)内服や術中血圧、使用薬剤による影響について調査、検討し タボリックシンドロームをはじめ急増する代謝内分泌疾患診療を担
た。
【対象】
2005 年以降に当院泌尿器科にて後腹膜鏡下副腎摘出術を う医師のニーズは益々高まっている。千葉県では、九十九里沿岸部
施行した 11 例。男性 6 例、女性 5 例。平均年齢 52.5 歳(39∼70 歳)
。 を中心に内科勤務医が大幅に不足し、地域医療の確保が困難になっ
【結果】術前に S 内服していた例が 4 例(50∼100mg)あった。全例の ており、その対策が急務である。今後は、従来の大学病院等からの
術中時間尿は平均 216ml/h であった。
S 内服中の 2 例でそれぞれ術中 医師派遣に頼るのではなく、地域で医師を育てる取り組みが不可欠
尿 656ml/h、720ml/h と多尿傾向を認めた(この 2 症例では術中高血 であることから、千葉県病院局は、深刻化する勤務医不足問題の対
圧に対し、ペルジピン 5 10ml/h の持続投与を行っていた)
。S 非内服 応と代謝内分泌疾患診療体制の充実をはかるため、平成18年度か
【方法】本県
群では術中血圧が100mmHg以下となるような低血圧例を認めたが、 ら新たに内分泌代謝内科レジデント制度を立ち上げた。
S内服群では血圧は高めであり、
100mmHg以下になることはなかった。 では、内科をはじめとする大部分の診療分野において専門医ライセ
S 内服群の平均術中尿は 444ml/h、S 非内服群では 87ml/h であり、S ンス取得が可能な学会認定の教育研修病院が、千葉市以西に集中し
内服群で有意に尿量が多かった(p<0.05)。また、ペルジピン持続投 ている一方、太平洋沿岸部にはこれらの教育研修病院はほとんどな
与(3ml/h 以上)で行った例が 4 例あり、持続投与群と 1 回以下投与 く、レジデント世代を中心に若手医師育成の基盤に極端な偏りが生
群とを比較すると平均尿量はそれぞれ 389ml/h v.s. 118ml/h で、前 じており、これらの地域の病院が若手医師を確保するのに大きな障
者で尿量の多い傾向があったが、有意差は認めなかった。
【まとめ】 害となっている。そこで、千葉県病院局は、九十九里沿岸部地域で
APA で術前 S 内服群で有意に術中の尿量増加を認めた。S の利尿効果 は、東金病院を代謝内分泌疾患の診療および教育研修拠点として整
による影響が考えられるが、術中の血圧やカルシウム拮抗薬の持続 備し、本学会の教育病院の認定を受け、内分泌代謝内科専門医の取
得を目標としたレジデントプログラムを立ち上げた。
【結論】平成1
投与量などが複雑に関係していると考えられた。
8年度から毎年順次1∼2名の内分泌代謝内科レジデントを受け入
れ研修を開始している。現在、あらたな取り組みとして千葉県下の
本学会認定教育病院が連携して内分泌代謝内科専門医の育成にあた
るレジデント連携研修システムが検討されている。
P-3-08-01 潜在性甲状腺機能低下症を示す橋本病における超音波 P-3-08-02 無痛性甲状腺炎の頻度と基礎疾患
所見の特徴
1
1
東京女子医科大学 第二内科
東邦大学 医学部 内科 糖尿病・代謝・内分泌科
大森 就子 1、大森 凡恵 1、高野 加寿恵 1
【目的】近年、潜在性甲状腺機能低下症(SCH)から顕性甲状腺機能
低下症への進展が報告されている(JAMA,291,228,2004)が、橋本病
においては甲状腺機能の予後を予知できる指標はないといわれてい
る。SCH を呈する橋本病において、超音波所見が特徴的な所見を有す
るかにつき検討した。
【方法】当科で初めて橋本病と診断され超音波
検査を行った 277 人(男性 37,女性 240)を対象とし、SCH 群、正常
群、顕性低下群の 3 つに分類し、抗甲状腺抗体、超音波所見(甲状
腺容積、峡部肥厚、内部エコーレベル、内部血流)について比較検
討した。
【結果】SCH 群は 74 人(27%)であった。TPOAb は SCH 群で正
常群より有意に高値を示したが、低下群とは有意差を認めなかった。
TgAb は正常群と顕性低下群間でのみ有意差を認めた。また、TgAb と
TPOAb は、SCH 群で甲状腺容積と有意な正の相関を示した。一方、低
下群では、
TPOAb がエコーの全ての所見において有意な相関を示した
が、正常群ではなんら相関はみられなかった。超音波所見の3群間
での比較では内部エコーレベルのみ、正常群と比べて SCH 群と低下
群で著明に低下していた(p<0.0001)。SCH での内部エコーの低下に
よる検出感度は 33%、特異度は 77%であったのに対し、低下群ではそ
れぞれ53%と80%であった。
内部血流の増加は低下群で有意であった。
SCH 群の TSH を 4.4-10μU/ml と 10μU/ml 以上に分類し検討したが、
エコー所見にいずれも相違はみられなかった。
【結論】エコー所見
は、抗甲状腺抗体価や TSH 上昇による機能異常を反映していると考
えられた。特に顕性低下症ではより顕著であったが、無症状である
橋本病の SCH においても、内部エコーは低下を示し、正常機能であ
る橋本病との鑑別が可能であることが示唆された。
坪井 久美子 1、上芝 元 1、下条 正子 1、廣井 直樹 1、石川 真由
美 1、土田 恭代 1、一城 貴政 1、渡邊 奈津子 1、長澤 薫 1、湯浅
玲奈 1、芳野 原 1
一過性甲状腺異常の代表的病態である無痛性甲状腺炎はその存在を
疑うことで診断に至るが、埋もれた症例も少なくない。甲状腺外来
受診例での無痛性甲状腺炎の頻度と基礎疾患、甲状腺機能状態につ
いて検討した。
【方法】1995-2006 年 8 月に受診した 2851 人。バセド
ウ病・慢性甲状腺炎(橋本病)
、無痛性甲状腺炎(ST)は日本甲状腺
学会診断の手引きにより診断し、甲状腺腫瘍性疾患は超音波、穿刺
吸引細胞診で推定し、一部は手術摘出で確定。甲状腺結節で抗体陽
性、あるいはバセドウ病・橋本病で結節・腫瘍を認めた場合はそれ
ぞれ両方に分類(重複)
。
【成績】バセドウ病 820 例、橋本病 775 例、
腫瘍性疾患 1013 例で、バセドウ病の 16 例に腫瘍性病変があり乳頭
癌は 3 例。橋本病の 93 例に腫瘍性病変があり乳頭癌は 7 例、悪性リ
ンパ腫は 6 例。ST を合併したのは 181 人(6.3%)で、基礎疾患は橋
本病が 136 例(17.5%)
、バセドウ病が 11 例(1.3%)
、いずれの抗体
も陰性は 34 例であった。出産後 ST は 13 例(7.2%)で、バセドウ病の
5/11 例(45%)
、橋本病の 7/136 例(5.2%)
、抗体陰性の 1/34 例(2.9%)
が出産後 ST。観察期間中の複数回 ST は 48 例で、橋本病で 42/136
例(31%)に 2 回から 9 回観察された。一方抗体陰性者では複数回 ST
は観察されなかった。ST 時最高 FT4 値は 26%が 4.0ng/dl 以上で、
7.7ng/dl 以上は 10 回(7%)あった。TSH 最高値は 25%が 100μU/ml
以上であった。
【結論】受診者の 6.3%に ST、橋本病の 1/6 に ST があ
り、強い甲状腺機能低下症であっても慎重な予後判定が必要である。
P-3-08-03 4例の緊張病様精神障害を呈したGraves病の治療から P-3-08-04 インターフェロン治療を契機として 1 型糖尿病と慢性
考えた精神症状への対応
甲状腺炎を発症した 2 例
1
東京都立墨東病院 内科、2 東京都立墨東病院 神経科、3 東京都保 1 独立行政法人 国立病院機構 小倉病院 内科・臨床研究部、2 独
健医療公社 荏原病院 精神科
立行政法人 国立病院機構 京都医療センター 臨床研究センター
内分泌研究部
安田 睦子 1、蔡 明倫 1、小島 一泰 2、諏訪 浩 3、薬師寺 史厚 1 田中 公貴 1,2、松田 やよい 1、田邉 真紀人 1、岡嶋 泰一郎 1
[はじめに] 症状精神病において原疾患の治療が優先されることは
既知であるが、経験した4例の緊張病様精神障害を呈した Graves 病
患者の治療経験を報告する。精神症状については統合失調症の評価
基準の Positive and Negative Symptom Scale(PANSS)にて改善を
評価した。[対象] 緊張病を呈した Graves 病患者。A25 歳女性、B
29 歳男性、C43 歳女性、D50 歳女性[方法1] 治療:甲状腺機能亢
進に対しては抗甲状腺薬、ヨウ化カリウム、ステロイド投与、また
血漿交換(D)を実施した。精神障害に対しては、少量の抗精神病
薬(メジャートランキライザー)として、症例によってはせん妄に
たいして大量ジアゼパム(A)を使用した。[方法2] 甲状腺機能:
F-T4を基準として FT3 についても測定した。精神症状についての評
価:客観性のある序数的評価で統合失調症に使用される PANSS を時
系列で用い、PANSS の小項目で評価した。[結果] 甲状腺機能の改善
にて精神症状は改善し、症例によっては、甲状腺機能と精神症状の
改善が平行した。[考察] 甲状腺機能亢進症による精神障害につい
て、過去にも抗精神病薬の無効性は言及されているが、実際臨床で
はかなりの頻度で使用されていると思われる。当施設においても抗
精神病薬大量使用し、甲状腺機能が正常化しても統合失調症様の精
神症状の改善がなかなかみられないケースが多々ある。今回、緊張
病を呈した精神症状の著しい Graves 病の4症例において、甲状腺機
能の正常化を特に優先した治療が重要であることと、また、精神症
状の改善のない症例を含めて、精神症状の客観的評価の重要性を再
確認したので報告する。
症例 1:55 歳女性。1997 年 C 型慢性肝炎と診断された。2006 年 2 月
よりリバビリン併用ペグインターフェロン(IFN)α2b による治療を
開始した。7 月より倦怠感が出現、8 月急激に血糖上昇し、空腹時血
糖 440 mg/dl、HbA1c 10.3 %となった。さらに抗 GAD 抗体 233.8 U/ml
(基準値 1.4 以下)、尿中 C ペプチド 6.4 μg/日であり 1 型糖尿病と
診断し、インスリン治療を導入した。また、9 月中旬より眼瞼や下腿
の浮腫、低血圧を認め、fT4 <0.40 ng/dl、TSH 131.46μIU/ml と著
明な甲状腺機能低下を認めた。抗 TPO 抗体 66.4 u/ml (基準値 0.3
未満)であり、慢性甲状腺炎と診断し、甲状腺ホルモン補充を開始し
た。症例 2:65 歳女性。1993 年 C 型慢性肝炎と診断された。2001 年
1 月より天然型 IFNαによる IFN 治療を開始し、同年 7 月治療を終了
した。6 月 fT3 <1.10、TSH 25.30μIU/ml と著明な甲状腺機能低下
を認めた。抗 TPO 抗体 58.2 IU/ml (基準値 0.1 未満)であり慢性甲
状腺炎と診断した。また 10 月より口渇、多飲、体重減少が出現し、
12 月に空腹時血糖 307 mg/dl、HbA1c 11.8 %となり、抗 GAD 抗体
39,000 U/ml、尿中 C ペプチド 20.3μg/日であり 1 型糖尿病と診断
した。以後インスリン治療を行っている。2 症例とも IFN 治療導入前
は、空腹時血糖は正常、抗 GAD 抗体は陰性であり、甲状腺機能も正
常であった。
IFN 投与により 1 型糖尿病及び慢性甲状腺炎の発症が誘
発されたと考えられる。糖尿病の発症および悪化、甲状腺機能低下
は IFN 治療の重要な副作用の一つであるが、IFN 治療を契機として 1
型糖尿病及び慢性甲状腺炎が同時期に発症することは稀であり報告
する。
P-3-08-05 亜急性甲状腺炎様で発症した難治性橋本病急性増悪の
治療中にバセドウ病を発症した 1 例
1
隈病院内科 2 久留米大学 医学部 内科学講座 内分泌代謝内科部
門 3 戸畑共立病院内科
高田 和奈 1、中山 ひとみ2、賀来 寛雄2、三宅 育代3、広松 雄
治2
P-3-08-06 難治性(T3 優位型や甲状腺腫が大きい)バセドウ病の
術後再発率についての検討
1
隈病院 外科、2 隈病院 内科
症例は 47 歳女性。2001 年 10 月に特発性血小板減少性紫斑病を発症
したが自然軽快。この時に糖尿病を指摘され SU 薬で加療されたが、
経過良好にて 2002 年 10 月で投薬中止。2006 年 5 月末より感冒様症
状、6 月上旬より右前頚部痛を自覚し、夕方に微熱が出現。6 月 9 日
の定期受診時は右葉上極に圧痛を伴う弾性軟の甲状腺を触知し、痛
みは下方へ移動傾向を示した。エコー上は痛みの部位に一致して低
エコー域を認めた。WBC 正常、CRP2.46mg/dl、TSH0.198μIU/ml、
FT33.7pg/ml、FT41.83ng/dl、TSAb138%、TRAb4.4%、
TPOAb<0.1IU/ml、
TgAb14.2IU/ml。亜急性甲状腺炎と診断し NSAID 開始したが改善に乏
しく、1 週間後に PSL20mg/日へ変更。痛みは数日で改善し 2 週間毎
に 5mg/日ずつ漸減したが、8 月、PSL5mg/日へ減量後に右頚部痛が再
発し甲状腺機能亢進症と炎症反応の再燃を認めた。痛みが左葉へ移
動したため PSL20mg/日にて治療し症状改善。10 月にも同様のエピソ
ードを繰り返し橋本病の急性増悪と診断した。3 回目の治療開始(11
月 1 日)後、炎症反応は速やかに改善したが、甲状腺機能亢進症が
増悪。TSAb400%、TRAb48.1%と陽性化、123I 甲状腺シンチグラムで
左葉優位にびまん性に集積を認め、バセドウ病の発症を認めた。11
月29 日よりMMI 併用開始したが、
左前頚部痛が強くNSAID も併用中。
HLA タイピングは B35 陽性であった。
橋本病の急性増悪を契機にバセ
ドウ病を発症した稀な症例を経験したので、文献的考察を加えて報
告する。
高村 勇貴 1、伊藤 充 2、有島 武志 2、工藤 工 2、西原 永潤 2、
大江 秀美 2、窪田 純久 2、深田 修司 2、網野 信行 2、松塚 文
夫 1、隈 寛二 1、宮内 昭 1
【目的】バセドウ病薬物治療ガイドラインに示されている様に、T3
優位型や甲状腺腫の大きいバセドウ病は抗甲状腺剤(ATD)により寛
解しにくく、しばしば外科治療が勧められる。この様な難治性バセ
ドウ病では術後再発も経験的に多いようであるが過去に報告はな
く、今回 T3 優位型と甲状腺腫が大きいバセドウ病の術後再発率につ
いて検討したので報告する。
【対象と方法】94-95 年当院で亜全摘術
を行ったバセドウ病 201 例を対象とし、検討1)甲状腺の大きさと
再発率の関係を調べた。次に検討2)以下の2群に分け、術後再発
率を比較した。a)T3 優位型:ATD 内服にて FT4 正常上限以下、FT3
高値、FT3/ FT4>3.3(pg/ml÷ng/dl)が持続。b)通常型:ATD 内
服にて FT4、FT3 ともに正常、FT3/ FT4≦3.3(pg/ml÷ng/dl)が持
続。
【結果】検討1)全体 201 例の観察期間 6.2 年であり euthyroid
は 56.6%、機能低下は 28.1%、再発は 15.3%であった。甲状腺重量か
らみた再発率は 50g 以下では 10.0%、50-100g で 14.3%、100-150g で
25.9%、150-200g で 20.0%、200g 以上では 33.3%であった。検討2)
診断基準を満たしたものは、通常型 46 例と T3 優位型バセドウ病 30
例であった。通常型の甲状腺重量は平均 66.9g、残置量は 4.6g、再
発率は 2.2%(1/46)であった。対して T3 優位型の甲状腺重量は平均
114.7g、残置量は 6.0g、再発率は 50.0%(15/30)であった。
【結論】
T3 優位型や甲状腺腫の大きいバセドウ病は術後再発率が高く、残置
量の少ない手術が望ましいと考えられた。
P-3-09-01 ACTH 高値と色素沈着を合併したバセドウ病の一症例
P-3-09-02 亜急性甲状腺炎 525 例の臨床的特徴と予後
1
1
自治医科大学内分泌代謝科
安藤 明彦 1、高橋 学 1、長坂 昌一郎 1、高野 類 1、佐々木 洋和
、倉科 智行 1、藤澤 元郎 1、草鹿 育代 1、岡田 耕治 1、石橋 俊
1
隈病院
西原 永潤 1、大江 秀美 1、有島 武志 1、工藤 工 1、伊藤 充 1、
窪田 純久 1、深田 修司 1、網野 信行 1、隈 寛二 1、宮内 昭 1
1
症例は 42 歳の女性。2-3 年前から手の震え・動悸を自覚、2005 年 5
月下旬より両下肢浮腫、労作時息切れが出現。近医に心不全のため
入院し、その際 Basedow 病と診断された。メルカゾールを開始する
も顆粒球減少を認め中止となった。8 月 18 日アイソトープ治療目的
に当科に入院。全身性に皮膚の色素沈着あり、甲状腺はびまん性に
腫大し、収縮期雑音を聴取し下腿浮腫も認めた。採血では TSH<0.02
μU/ml,T-T3 5.93ng/ml(0.84-1.4),T-T4 20.2μg/dl (5.15-10.43),
TSH レセプター抗体濃度 26.4IU/l、また ACTH 279pg/ml,コルチゾ
ール 13.0μg/dl と ACTH の上昇を認めた。尿中コルチゾールは 11.0
μg/日未満(11.2-80.3)と低値、17-OHCS は 6.5mg/日(1.6-8.8)であ
った。ACTH・コルチゾールとも日内変動を認めデキサメサゾン抑制
試験は正常反応であった。迅速 ACTH 負荷試験ではコルチゾールの反
応低下を認めた。ステロイド合成経路の評価は異常なく抗副腎皮質
抗体も陰性。下垂体 MRI・副腎 CT とも異常所見を認めなかった。心
エコーでは diffuse hypokinesis・MR・左房拡大を認め、BNP は
1010pg/ml と上昇していた。
アイソトープ治療後の甲状腺ホルモンの
低下と共に、ACTH は経時的に 7.1pg/ml(9 月 21 日)まで低下、コル
チゾールは基準値内で推移した。この時点での連続 ACTH 負荷試験で
は十分な反応を認めた。色素沈着は1年以内の経過で完全に消失し
た。甲状腺機能亢進症では adrenocortical reserve の減少を来すこ
とが報告されているが、本症例では潜在性の副腎不全に対して視床
下部下垂体での CRH-ACTH 系が持続的に亢進し、その結果皮膚色素沈
着を招いた可能性が考えられた。また入院時に見られたうっ血性心
不全に対するストレス反応の関与も想定された。
(目的)我々は、当院にて 1996 年から 2001 年に診断された亜急性
甲状腺炎患者 525 例の臨床的特徴と予後を検討した。
(結果と考察)
対象患者は、平均年齢 47.8+9.4 歳 (22-83 歳)、男:女=1:7.5。発
症の季節分布では、7 月から 10 月にかけて全体の 44%が集中してい
た。治療前の患者の 75.3 % は何らかの甲状腺中毒症状を呈し、28.6%
は 38C 以上の発熱を伴っていた。
発症時の検査所見では患者の 24.8%
で トランスアミナーゼ (ALT>AST)の上昇が認められた。発症 1 ヶ
月未満の患者の甲状腺超音波検査では、両葉 69.2%、右葉 19.2%、左
葉 11.6% に低吸収域を認めた。治療として、16.3% は無治療、16.2%
が非ステロイド剤、67.5%がステロイド剤を投与された。経過中、一
過性の(潜在性)甲状腺機能低下症を呈していたものは 37.0%あり、
永続性の甲状腺機能低下症に進展した症例は 8 例 (1.5%)であった。
この群は、甲状腺機能正常群と比較して亜急性甲状腺炎の重症度、
治療法、罹病期間などと相関はなかったが、全例甲状腺両葉に炎症
所見が認められた。経過中、1 例は抗甲状腺抗体が陽性化し、2 例で
TRAb 陽性→陰性へ変化を示した。
このような臨床的特徴から多角
的に本疾患の病態を明らかにし、病理所見も加え、未だ解明されて
いない発症病因、予後規定因子を考察中である。
P-3-09-03 抗甲状腺薬にて治療中に甲状腺機能亢進型から機能低
下型に移行したグレーヴス病の一例
1
金沢大学大学院 医学系研究科 バイオトレーサ診療学、2 黒部市
民病院 内科、3 高桜内科医院
道岸 隆敏 1、家城 恭彦 2、高桜 英輔 3、絹谷 清剛 1
【症例】1959 年生まれの男性。既往は 11 歳時に重症筋無力症。25
歳から 1 日 20 本の喫煙。家族歴では姉と甥が甲状腺機能亢進型グレ
ーヴス病にて治療中である。1991 年より甲状腺機能亢進症にて、某
総合病院で、15 mg から 30 mg のチアマゾールにて治療。2004 年 5
月にチアマゾール 15 mg に初めてレボサイロキシン 50 μg が重ねら
れた。同年 9 月に当院を初診。身体所見では、眼瞼と顔面に浮腫、
眼球突出(-)、弾性硬で七条分類 II-III のびまん性甲状腺腫、前脛
骨部粘液水腫(-)、アキレス腱反射の遅延を認めた。心電図は洞性除
脈、胸部レントゲンで心拡大(-)。血液検査では、TSH 31.55 μU/mL,
TSAb 117%, TRAb human 296.3 IU/L. TGHA 100 倍, MCHA 102400 倍.
その後、チアマゾールを漸減。2005 年 10 月、チアマゾール 5mg と
レボサイロキシン 50μg にて TSH 41.99 μU/mL であり、両薬剤を中
止。4 週後の血液検査では、TSH 60.49 μU/mL, TSAb 138%、TRAb human
251.5 IU/L、TSBAb 98.0%であり、時期は不明であるが、甲状腺機
能低下型に移行したと考えられた。レボサイロキシンのみ再開し、
175 μg 投与にて 2006 年 10 月には、
TSH 0.06 μU/mL, FT3 3.8 pg/mL,
FT4 1.5 ng/dL, TSAb 139%、TRAb human 328.7 IU/L、TSBAb 99.6%
であり、依然 TRAb と TSBAb の高値が持続している。
【結論】抗甲状
腺薬治療中に見られる TSH 増加は、抗甲状腺薬の過剰投与、無痛性
甲状腺炎による甲状腺中毒症への誤った抗甲状腺薬投与に加え、甲
状腺機能亢進型から甲状腺機能低下型への移行も念頭におく必要が
ある。
P-3-09-05 バセドウ病の家族歴に関する検討−表現促進現象は存
在するか?−
1
和歌山県立医科大学 内科学第一、2 和歌山県立医科大学 病態栄
養治療学、3 国保日高総合病院 第二内科
古川 安志 1、西 理宏 1,2、英 肇 3、那須 鉄史 1、巽 邦浩 1、垣本
哲宏 1、小河 健一 1、石亀 昌幸 1,2、小林 正人 1、中野 好夫 1、
若崎 久生 1、古田 浩人 1、佐々木 秀行 1、南條 輝志男 1
【目的、方法】今回和歌山県立医科大学附属病院第一内科通院中の
バセドウ病患者において家族歴の聴取を行い、家族性バセドウ病
(FGD)の頻度、性別、バセドウ病発症年齢について調査を行った。ま
た、バセドウ病の親子例において、表現促進現象(世代を経るごとに
若年発症する:GA)が認められるか検討した。
【結果】177 例のバセド
ウ病患者のうち FGD(第一度近親者にバセドウ病を認めるもの)は 37
例(平均発症年齢 42.0±18.4 歳、男性 10 例、女性 27 例)であった。
第一度近親者にバセドウ病を認めないもの(NFGD)
(140 例:平均発
症年齢 40.2±15.1 歳、男性 18 名、女性 122 例)と比較して平均発
症年齢には有意差を認めないが、
FGD では有意に男性の比率が高かっ
た(p=0.036)。
FGD のうち 23 組の親子例で発症年齢を検討すると第一
世代(親の世代)で 46.2±15.5 歳、第二世代(子の世代)で 26.0
±14.1 歳と第二世代で有意に発症年齢が若年であり(p=1.68x10-6)、
GA が認められた。
【考察】FGD における男性頻度については今回の検
討では全国調査とは異なる結果であったが、東京女子医大の報告で
も有意に高いと報告されており、遺伝素因の強い FGD では発症しに
くい男性例でも発症する可能性が示唆された。GA については遺伝因
子(リピート長伸張など)や環境因子(アレルギー性疾患頻度の増
加など)の影響が考えられる。
【結語】バセドウ病の遺伝に表現促進
現象の存在が示唆された。
P-3-09-04 放射性ヨード療法後徐脈を伴った甲状腺クリーゼを発
症したバセドウ病の 1 例
1
高知大学 医学部 内分泌代謝・腎臓内科学、2 高知大学医学部地
域看護学講座地域医療学
丸山 博 1、高尾 俊弘 2、岡崎 瑞穂 1、谷口 義典 1、品原 正幸 1、
次田 誠 1、西山 充 1、岩崎 泰正 1、橋本 浩三 1
症例は 52 歳,女性. 01 年にバセドウ病と診断されていたが 03 年
より MMI 内服を自己中止した. 04 年 1 月,動悸,下腿浮腫で A 病院
入院.バセドウ病,心不全にて MMI 30mg, ルゴール液,利尿剤など
投与開始した.MMI 投与 14 日後,好中球減少(722/μl)が認められた
ため MMI 中止し,放射性ヨード療法目的で当科紹介入院となった.
体温 37.1℃,血圧 100/65mmHg, 脈拍 96/不整,甲状腺腫七條法 V
度, TSH 0.006μIU/ml, FT3 13.83pg/ml, FT4 2.65ng/dl, ヒト TRAb
116IU/l.3 月 26 日,放射線ヨード 10.368mCi 服用し 5 日後からヨウ
化カリウム 50mg 開始した.4 月 2 日,微熱,頻脈,食欲不振出現し
ヒドロコルチゾン 100mg 点滴,ヨウ化カリウム 150mg に増量して症
状改善した.
4 月 9 日よりヨウ化カリウムを 50mg に減量したところ,
4 月 26 日,甲状腺機能再上昇したためヨウ化カリウムを 150mg に再
増量した.4 月 28 日, 頻脈,発熱出現.その後,脈拍 40/min,シ
ョック状態となったため体外ペーシング,
ドパミン μg/kg/min 開始
した.徐脈,ショック状態改善し 4 月 30 日,体外ペーシング,ドパ
ミン中止し,5 月 21 日には FT3 11.53pg/ml, FT4 1.81ng/dl にまで
低下したため退院した.その後現在までヨウ化カリウム 150mg 内服
にて外来通院中であるがクリーゼの再燃は認めていない.2000 年 4
月より当科でバセドウ病に対し放射線ヨード療法を39例施行してい
るがクリーゼを経験したのは本症例のみである.当院での放射性ヨ
ード療法の経験も含め報告する.
P -3-09-06
Nonepisodic angioedema associated
eosinophilia(NEAE)と甲状腺機能亢進症を併発した症例
1
耳原総合病院
with
川口 真弓 1
症例は 29 歳女性。2006.7.15 頃からの四肢の浮腫を自覚し 7.15 当
院初診。四肢の non pitting edema、甲状腺腫あり。足底疼痛あり。
TSH0.005μIU/ml fT3 5.90pg/ml fT4 2.81ng/dl と甲状腺機能亢
進症を認めた。WBC14500/mm3 Eo 43%(6235/mm3)と好酸球の著明な増
加を伴っていた。
抗 TSHrecepter 抗体 71.6%と上昇認め Basedow 氏病
と考え MMI にて治療開始。甲状腺機能の正常化と共に好酸球数の正
常化、浮腫の改善を認めた。繰り返す血管性浮腫、末梢血好酸球増
多 を 特 徴 と す る episodic angioedema associated with
eosinophilia(EAE)に対して、本邦に多く 20 歳台女性に好発、再発
がまれで自然軽快することも多いものを NEAE とされ、別疾患ととら
えられてきているが、発症機序は明かではない。Basedow 氏病で好酸
球が増多傾向を示すとの報告もあるが、両者の併発例の報告は認め
ない。興味深い症例と考え報告する。
P-3-09-07 甲状腺悪性リンパ腫を疑い穿刺吸引細胞診クラス 4 未
満であった症例についての検討
1
隈病院 内科、2 隈病院 臨床検査部、3 隈病院 外科
P-3-10-01 PEG の TSAb 活性促進機序に関する研究
大江 秀美 1、深田 修司 1、太田 寿 2、窪田 純久 1、有島 武志 1、
工藤 工 1、西原 永潤 1、伊藤 充 1、網野 信行 1、松塚 文夫 3、
隈 寛二 3、宮内 昭 3
〔はじめに〕甲状腺悪性リンパ腫(TML)は臨床症状, 超音波所見, 穿
刺吸引細胞診より疑い, 可能性が高い場合には切開生検で確定診断
を行う. しかし, 生検は侵襲性が高く, 細胞診では偽陽性や偽陰性
の症例も存在し, 施行するか否か慎重な判断を要する. 細胞診でク
ラス 4 以上の結果であれば生検を行うべきであるが, クラス 4 未満
の場合には判断しかねることも多い. 〔方法〕我々は, TML を疑うも
穿刺吸引細胞診でクラス 4 未満と診断された症例のうち, 生検標本
の病理組織診断で TML と診断された 34 例(TML 群)と否定された 14
例(非 TML 群)の 2 群で比較検討した. 〔結果〕年齢と 男女比は 2 群
間に有意差はなく, また, 甲状腺腫の増大傾向, 甲状腺部の痛み等
の症状についても有意差は認めなかった. しかし, 甲状腺機能では
非 TML 群において機能低下を示した症例が有意に多かった(TML 群
26.5% vs 非 TML 群 78.6%:p=0.0013). また, 超音波検査で後方エコ
ーの増強を示すものが TML 群において有意に多かった(TML 群 82.4%
vs 非 TML 群 14.3%:p<0.0001). TML 群の病理組織診断は瀰漫性 B
大細胞型リンパ腫 25%, 節外性粘膜関連リンパ組織型辺縁帯 B 細胞
リンパ腫 65.6%, 濾胞性リンパ腫 9.4%であった. また, 非 TML 群は
全例が橋本病であり, うち 5 例には高度な線維化を認めた.〔結語〕
TML を疑うも細胞診でクラス 4 未満であった症例では生検を行うか
否かの判断が困難であるが, 超音波所見では低エコー域だけでなく
後方エコー増強の有無に注目することや, また今回の検討では TML
群には甲状腺機能正常者が多かったことより甲状腺機能が判断の一
助となる可能性が示唆された.
越智 幸男 1、梶田 芳弘 2、八谷
P-3-10-02 甲状腺乳頭癌における遺伝子発現―エストロゲンは乳
頭癌の発生・増殖に関与するか?
1
名古屋大学 環境医学研究所 発生遺伝分野、2 名古屋大学 医学
部附属病院 乳腺・内分泌外科
渡邉 麗子 1、林 良敬 1、菊森 豊根 2、今井 常夫 2、村田 善晴 1
P-3-10-03 甲状腺乳頭癌の予後に及ぼすインスリン様成長因子レ
セプター発現の影響
1
東京女子医科大学 内分泌疾患総合医療センター 内科、2 東京女
子医科大学 内分泌疾患総合医療センター 外科
長谷川 佳代 1、大久保 由美子 1、川真田 明子 2、栗本 真紀子 1、
肥塚 直美 1、小原 孝男 2、高野 加寿恵 1
インスリン様成長因子/その受容体(IGF-1/IGF1R)システムは腫
瘍の分化増殖に関与している。分化癌である甲状腺乳頭癌(PTC)は
IGF1R を発現し一般に予後良好であるが、予後不良のものも存在す
る。また、甲状腺未分化癌では IGF1R の発現減弱、IGF1R/インスリ
ン受容体(IR)ヘテロ受容体発現が報告されている。今回、IGF1R 発現
が PTC の疾病予後に関与するかを探るべく、PTC 組織における IGF1R
と予後との関連を検討した。
【対象と方法】 81∼ 90 年に当院にて
PTC の手術を行った症例中、死亡例(癌死)24 例を予後不良群とし、
それらと年齢、性別、腫瘍径が同等の死亡をきたしていない PTC 24
例を対照群とて免疫組織染色を行った。
PTC 組織のパラフィン包埋切
片を作成し、抗 IGF1R モノクローナル抗体を用い、ABC 染色法と DAB
基質による検出を行った。染色結果を濃度別に陰性、陽性(弱、中、
強)の 4 段階に判定し、予後不良群と対照群を比較した。
【結果と考
察】予後不良群では陰性 3 例、弱陽性 5 例、中陽性 8 例、強陽性 8
例であり,対照群では陰性 0 例、弱陽性 6 例、中陽性 6 例、強陽性
12 例であった。IGF1R の免疫染色性には 2 群間に有意差を認めなか
ったが、IGF1R 陰性症例は 3 例全例が予後不良群であった。また 70
歳以上では予後不良群で IGF1R 発現量が有意に少なく(陰性、弱、
中、強陽性:1 vs 0, 2 vs 0, 3 vs 3, 0 vs 3, P<0.05)
、甲状腺
未分化癌に類似したパターンであった。これらの結果は PTC におけ
る IGF1R の発現が予後に関与する可能性を示唆した。
【背景・目的】甲状腺乳頭癌は男性に比べ女性に多いことがよく知
られている。今回、甲状腺乳頭癌の発生・増殖にエストロゲン(E2)
が関与しているかを検証するために、E2 受容体(ER)や E2 の膜貫通
型受容体である GPR30 など数種の遺伝子発現レベルを甲状腺乳頭癌
組織と正常部とで比較した。
【方法】甲状腺乳頭癌で全摘術を施行し
た 20 症例(男 3 例、女 17 例)の凍結標本から腫瘍組織と正常組織
それぞれより RNA を抽出し、定量的 RT-PCR 法によって、遺伝子発現
レベルを検討した。結果はβアクチン mRNA により補正した。
【結果】
ERαと GPR30 の発現は腫瘍部と正常部とで有意差は認められなかっ
た。一方、甲状腺乳頭癌における発現増加がすでに報告されている
FN1、CITED1、TGFαは腫瘍部で有意に増加していた。ERαの腫瘍部
での発現量が正常部と比べ1.5 倍以上に増加していた11 例(男1 例、
女 10 例)では、
それ以外の 9 例と比較して TGFαの発現が高い傾向が
示された。また、CITED1 と TGFαの発現量の間に正の相関が認めら
れた。
【考察】CITED1 は乳癌細胞において ER の転写共役因子として
働き、E2 依存性の TGFα発現誘導を増強することが報告されている。
今回の結果から、
甲状腺乳頭癌においても ERαと CITED1 の発現が増
加している症例では、E2 が TGFαの発現を介して細胞増殖に促進的
に作用している可能性が示唆された。
1
生産科学研究所、2 公立南丹病院 、3 ミドリガ丘病院、4 ヤマサ醤油
孝 3、長田 篤雄 4
【目的】TSAb のブタ甲状腺細胞(PTC)からの cAMP 産生は PEG により
促進されるが、ウシ TSH では促進しないことを報告した。また PEG
の促進作用は TSAb-IgG のみならず、F(ab')2、Fab でも起こることを
報告した。この機序として、TSAb-IgG 分解による甲状腺刺激活性を
有する小分子の産生促進の関与が推定されたので報告する。
【方法】
TSAb-IgG と PTC を PEG(6,000、final 5%)有無の条件下で保生(5h)し
た。保生後、保生液を凍結融解した後遠心し、上清分画の Protein A
カラム未結合分画を得た。この分画を透析(PEG と cAMP の除去)した
後、Sephadex G-100 にてゲル濾過した。溶出分画を PTC と保生して
cAMP 産生を検討した。TSAb と TBI はヤマサキットで測定した。
【成
績】TSAb、PTC、PEG を同時保生後、凍結融解した保生液を透析後
Sephadex G-100 で分画した場合には cAMP 産生能と TBI 活生は殆ど
IgG 分画に認められた。また保生液の Protein A 未結合分画(IgG を
除去)を、透析後 Sephadex-G100 で分画すると、小分子分画(Vt 直前
の Mr 1-2 万)のみが cAMP 産生能と TBI 活生を示した。この小分子分
画の cAMP 産生能はウサギ抗ヒト IgG、抗 F(ab )2、抗 Fc、抗κおよ
び抗λ―カラムで未結合分画に溶出した。この小分子分画の cAMP 産
生能は PEG により促進されなかつた。一方、PEG(-)で TSAb と PTC を
保生した場合には、保生液は IgG のみで、小分子分画の甲状腺刺激
活性は痕跡的であつた。
【結論】PEG による TSAb の cAMP 産生促進機
序は TSAb-IgG の分解(PTC 由来の protease による?)により、Mr 1-2
万の小分子分画が IgG から遊離し甲状腺刺激作用を呈するためと推
定された。
P-3-10-04 3DEcho を用いた甲状腺重量の新しい測定法の検討
P-3-10-05 FDG-PET で著明な取り込みが認められ悪性病変が強く
疑われたが橋本病と判明した一例
1
伊藤病院、2 昭和大学 医学部附属 藤が丘病院、3 東芝メディカル 1 東京女子医科大学 内分泌内科
システムズ株式会社
高橋 育克 1、吉村 弘 1、松本 雅子 1、皆川 晃伸 1、宮良 あやこ 吉原 愛 1、磯崎 収 1、大久保 由美子 1、西巻 桃子 1、對馬 敏夫
1
、國井 葉 1、向笠 浩司 1、清水 妙子 1、谷山 松雄 2、高橋 忍 1、高野 加寿恵 1
3
、伊藤 公一 1、伊藤 國彦 1
甲状腺重量の測定はシンチ、エコーによって行われているが、ばら FDG-PET 検査における取り込みは悪性腫瘍に特異的とされていたが、
つきが大きい点が問題である。今回我々は、3DEcho(東芝 SSA770A: 甲状腺癌や悪性リンパ腫以外に橋本病や腺腫様甲状腺腫でも甲状腺
APLIO)を用いて甲状腺重量を測定し、摘出甲状腺重量との良好な相 への取り込みが認められることが明らかとなっている。今回、甲状
腺への著明な取り込みが認められ、当初悪性病変が強く疑われたが
関を得たので報告する。
【対象および方法】対象は甲状腺亜全摘目的で入院したバセドウ病 精査の結果橋本病への取込みと判定された一例を経験したため報告
患者 10 人(男性 2 例、女性 8 例、年齢 35.8±9.9 歳)。術前 3D エコ する。また、甲状腺への FDG 取り込みが陽性であった他の 15 症例と
ーを施行。得られた画像データを 1.0cm 間隔でトレースし体積を算 比較した。症例は 70 歳女性で、甲状腺腫にて当科に紹介受診され橋
出。比重を 1.0 とし、3D 重量とした。同時測定の長径、短径、厚み 本病と診断、甲状腺機能は正常で補充療法は受けていなかった。3
術後の転移巣検索のため FDG-PET
を用い現在当院で使用している従来法(大塚法)より重量を算出し、 年前子宮癌にて子宮全摘術を受け、
手術重量との相関を検討した。
【結果】手術重量:中央値 65.40g(範 検査を行い、甲状腺の両葉腫大と高度の集積が認められた。胸腔内
囲 29.2 197.7)、3D 重量:53.5g(19.4 151.3)、従来重量:71.7g リンパ節の腫大あり、PET-CT で気管狭窄像もあるため橋本病以外の
(27.7 226.7)。
相関係数は手術重量対 3D 重量で 0.9515(p<0.001)、 病変が強く示唆され、甲状腺の精査を行った。甲状腺は比較的硬く
手術重量対従来重量で 0.8303(p=0.0029)であった。3D 重量は従来 圧痛なく、頸部リンパ節腫大は認めなかった。検査所見で炎症反応
法に比べて手術重量より小さくなるが、相関係数は従来法より良好 は陰性、TSH は正常であったが FT4 のみ 0.82ng/dl と軽度低下し、Tg
であった。そこで手術重量に対する 3D 重量と従来法重量の回帰式を 抗体は 8.4U/ml、Tg 抗原は 120ng/ml であった。頸部エコーでは甲状
作成したところ、3D 重量からの回帰式は(手術重量=−0.43+1.33 腺は腫大し、内部エコーは不均一であった。低エコー部より吸引細
×3D 重量)、従来重量からの回帰式は(手術重量=4.27+0.87×従来 胞診を行うも悪性細胞は認められず、橋本病と診断した。比較検討
重量)となった。手術重量・予想重量比の CV は 3D 重量で 12.2%、従 した 15 名では集積度は軽度であり、びまんが 8 名、結節状が 7 名で
来重量で 25.7%と 3D 重量の回帰式で求めた重量の方が良好であっ あった。橋本病の 9 名ではびまん性の取込みが 7 名、結節状が 2 名
で、この 1 名に腺腫様甲状腺腫の合併を認めた。また、機能低下症
た。
【結論】3D 重量は、手術重量と比較すると小さくなるが、相関は従 は 1 名のみであった。本症例で高度集積が認められた理由として、
来の重量よりも良好で、回帰式を使用した予測重量では従来の予測 甲状腺腫が大きく慢性甲状腺炎としての活動性が高かったことが示
重量よりも CV が小さく、ばらつきの少ない甲状腺重量が得られる。 唆された。このように高度集積を認める症例においても必ずしも悪
性病変とはかぎらないことに留意すべきと思われた。
P-3-10-06 健康診断受診者における甲状腺自己抗体の出現頻度と P-3-11-01 バセドウ病に合併する甲状腺癌-主に腫瘍径と Tg 値血中甲状腺ホルモン濃度基準値作成について
1
1
聖路加国際病院臨床検査科、2 聖路加国際病院、3 三菱化学
石垣クリニック
武田 京子 1、吉田 智峰子 2、平松 園枝 2、三柴 雅昭 3
石垣 克 1、石垣 實弘 1
[目的]健康診断受診者に甲状腺自己抗体を測定し自己免疫性甲状腺
疾患の出現頻度の検討を行い、新たに甲状腺ホルモン濃度基準値設
定を試みたので報告する。[対象と方法]対象は研究同意が得られ、
診察所見に甲状腺腫、既往・現病歴に甲状腺疾患、脳腫瘍、気管支
喘息、C 型肝炎、肝硬変、腎炎・ネフローゼ症候群、腎不全、うつ病、
膠原病を認めず、血液検査に異常値を認めない健診受診者 1,007 例。
TSH, FT4(エクルーシス 2010)および抗 Tg 抗体、抗 TPO 抗体(エクル
ーシス A-Ag, A-TPO)測定を行い、smirnov 棄却検定法を用いた。[結
果] 抗 Tg 抗体、
抗 TPO 抗体いづれか陽性であった例は 129 例(12.8%)
であった。抗体陰性 878 例について smirnov 棄却検定後パラメトリ
ック法にて基準値を設定すると、TSH 値 (μU/ml)および FT4 値
(ng/dl)の下限 中央 上限値は、各々0.511 1.66 5.14 および
1.03 1.30 1.66 (A)であった(n=876)。一方、1,007 例の M±SD を算
出し、
3SD を超える極端値を除外後パラメトリック法にて基準値を設
定すると、TSH 値および FT4 値は、各々0.511 1.66 4.67 および
1.03 1.30 1.66 (B)であった(n=980)。甲状腺機能低下症、潜在性低
下症、潜在性亢進症、亢進症の頻度は、基準値(A)を用いて、各々0.2%
(抗体陰性例は 0%), 3.1%(抗体陰性例は 2.3%),2.3%(抗体陰性
例は 2.1%), 0.3%(抗体陰性例は 0.1%)であった。基準値(B)を用
いると、各々、0.3%, 4.3%, 2.3%, 0.3%であった。 [考案および結
語]健康者の約 13%に甲状腺自己抗体が陽性であった。甲状腺自己抗
体価を考慮せず健診者大量データから基準範囲を設定する場合、TSH
下限値および FT4 値作成には支障ないが、
TSH 基準値の上限値の設定
には若干考慮を要すると考えられた。
はじめに 甲状腺機能亢進症には甲状腺癌の発生が少ないとされて
きた。当院におけるバセドウ病に癌が合併した症例の検討を行い、
甲状腺分化癌単独症例と比較した。対象 1995 年から 2006 年 10 月
までに当院で手術施行したバセドウ病 242 例のうち両者を合併した
11 症例で ( 発生頻度は 4.5% ) 平均年齢50 歳
( 23 歳から67 歳 )
男1 症例女10 症例 結果 1)バセドウ病手術後の病理診断で乳頭癌
と診断されたのが 5 例そのうち 4 例が 3mm 以下の微小癌であったの
に対し、
術前細胞診、
手術所見で乳頭癌と診断した症例はすべて 12mm
以上であった。2)組織型はすべて乳頭癌であった。3)腫瘍径は平
均 12mm( 2mm から 25mm )で平均 Tg 値は 53.4ng/ml であった。4)
同時期に手術した甲状腺分化癌 229 例の腫瘍径は平均 19mm ( 1mm か
ら 70mm )で平均 Tg 値は 398.9ng/ml であった。組織型は乳頭癌 219
例、瀘胞癌 10 例であった。まとめ 1)文献的にはバセドウ病に合
併する甲状腺癌の頻度は 0∼6.4%で、乳頭癌が多い傾向を示した。
当院の合併頻度も 4.5%で、すべて乳頭癌であり、他の報告と同様の
傾向を示した。2)バセドウ病に合併する甲状腺癌は、甲状腺分化
癌単独症例より微小癌が多く、平均腫瘍径も小さく平均 Tg 値も低か
った。
P-3-11-02 病院勤務医不足が深刻化する医療過疎地域における代 P-3-11-03 PTHrP、G-CSF 産生を伴った甲状腺未分化癌の一剖検例
謝内分泌疾患診療の確保の新たな取り組み(2)
:循環型地域医療連
携の推進
1
1
千葉県立東金病院、2 山武郡市医師会
済生会八幡総合病院 内科、2 済生会八幡総合病院 検査部病理、3
新日鐵八幡記念病院 内科、4 新日鐵八幡記念病院 検査部病理、5
北九州市立八幡病院 臨床検査科病理
平井 愛山 1、阿部 浩子 1、古垣 斉拡 1、伊藤 俊夫 2、古川 洋一 佐藤 薫 1、下野 淳哉 1、原武 譲二 2、中村 宇大 3、金城 満 4、
郎 2、埴谷 一夫 2、佐久間 猛 2
大谷 博 5
【目的】病院勤務医不足が深刻化している当地域では、メタボリッ 【症例】56 歳、女性。平成 16 年から頚部腫瘤を自覚し、増大する為
クシンドロームをはじめ、急増する代謝内分泌疾患に対して、診断 平成 17 年 7 月当科受診。甲状腺左葉に径 7cm の腫瘤を認め、左反回
技術の大幅な進歩を踏まえ、新たな地域連携の形として、循環型地 神経麻痺を伴った。穿刺吸引細胞診で未分化癌の診断。頚部リンパ
肝臓への多発転移を認めた。
甲状腺未分化癌と診断し weekly
域医療連携を構築し運用を開始した。
【方法】これまでの定期的糖尿 節と肺、
病研修会を核に、循環型地域医療連携の枠組みとその運用方法およ Paclitaxel +Carboplatin 併用療法を主に外来で施行した。4 クール
びそこで用いる地域連携パスの作成を行った。代表的な事例として 施行後、肺転移巣には著効を示し、原発巣、肝転移巣にも一部有効。
肝転移巣はそ
糖尿病の循環型医療連携パターンを示すと、病院の糖尿病専門外来 5 クール終了後の腫瘍部肝生検では未分化癌の診断で、
受診・コントロール不良例の治療・インスリン療法の導入・栄養指 の後増加、増大を示した。平成 18 年 5 月入院時 WBC 12600/μl、 AST
導、療養指導を行い、コントロールが良好になった時点で診療所へ 162U/l、 ALT 52U/l、 LD 8364U/l、 AlP 2463U/l、補正 Ca 10.5mg/dl、
紹介。月一回診療所へ通院し、1年後に病院受診し、臍高CTによ P 2.7mg/dl、血中 intact PTH 9pg/ml、 intact PTHrP 5.3pmol/l、
る内臓脂肪計測、頸動脈エコー、脈波伝導速度測定装置、MD−C G-CSF 99pg/ml と肝障害、白血球増多、高 Ca 血症を認め腫瘍よりの
T、MRI等を活用したミクロアンギオパチーおよびマクロアンギ G-CSF、 PTHrP 産生が示唆された。10 クール施行後、嚥下困難の訴
オパチーの精査を行なう。そして、合併症の重症度に応じて層別化 えあり外照射を行い、原発巣は縮小傾向を示すも全身状態悪化し、
【病理所見】甲状腺腫瘍は未分化癌の成分なく
し治療法の見直しを行い、療養指導の後、再び診療所を定期的に受 平成 18 年 6 月死亡。
診し、その1年後再び病院受診というスパイラルを繰り返す。
【結 中分化扁平上皮癌の所見。同部にのみ G-CSF、PTHrP の免疫染色陽性。
果】平成18年12月現在で、この循環型医療連携システムに登録 一方肝臓は著明に腫大し未分化癌で占められ、肺は一部に扁平上皮
【考察】PTHrP、G-CSF 産生を伴った稀な一例。
された生活習慣病患者の総数は1300名余となった。今後、医療 への分化がみられた。
費に及ぼす影響や臨床上のアウトカム評価など順次、本システムの 化学療法の感受性に著明な臓器差が認められ、扁平上皮への分化が
評価を行っていく予定である。
【考察】病院勤務医が不足している地 認められる臓器に比較的有効であった。
域では、病院とかかりつけ診療所を年1回程度を目安に循環して、
病院にある様々の医療資源を地域で共有し有効活用することによ
り、地域ぐるみの代謝内分泌疾患診療の大幅な向上と医療経済の改
善が期待される。
P-3-11-04 圧痛やエコーにての所見を認めず, 99mTc 甲状腺シン
チ・Ga シンチにより甲状腺局所の破壊性甲状腺炎と診断した1例
1
東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科、2 東京慈恵会医科
大学放射線医学講座
竹内 瑞穂 1、東條 克能 1、荻 成行 2、吉原 理恵 1、飛田 麻耶 1、
田嶼 尚子 1
【症例】2006 年 7 月中旬より微熱・倦怠感出現. 7 月 25 日に前医を
受診し炎症反応の上昇・肝機能障害を認め同院に入院した. 入院中,
甲状腺腫, TSH 0.01μIU/ml, FT3 28.69pg/ml, FT4 4.80ng/dl, TRAb
陽性よりバセドウ病と診断された. エコーにて甲状腺の瀰漫性腫大,
内部不均一で低エコー域部位に一致する血流増加を認めた. 造影 CT
では左葉に造影の弱い部位が認められたが腫瘤性病変は認められな
かった. Methimazole 30mg/日が開始となったがその後も発熱が続
き, 抗生剤投与とともに感染症, 膠原病, 悪性疾患の鑑別の為の諸
検査を施行された. しかし特に有意な所見を認めず, 更なる精査の
為 8 月 24 日, 当院に転院となった. 転院後 Ga シンチグラフィにて
左前頚部に異常集積を認めた. その為 99mTc 甲状腺シンチグラフィを
施行し甲状腺左葉に欠損を認めた. これらの所見は甲状腺局所の破
壊性甲状腺炎を示唆するものであった. その後は自然経過にて小康
状態が続いた為, 9 月4 日に退院となり外来にてバセドウ病のフォロ
ーとともに画像検査を再検したところ, 11 月には Ga シンチグラフ
ィ・99mTc 甲状腺シンチグラフィともに所見の消失を認めた. 【考察】
一般に 99mTc 甲状腺シンチグラフィで欠損を呈するのは非機能性腫瘤
性病変である. 一方, 通常の破壊性甲状腺炎では 99mTc の取込みは全
体的に低下する. 本症例のように Ga シンチグラフィでの異常集積に
一致した欠損は限局性の破壊性病変を示唆するものと思われた. 圧
痛などの所見がなく発症時の発熱や炎症反応上昇の原因とは考えづ
らかったが, 画像所見から局所の破壊性甲状腺炎と診断した. 非典
型的な症例と考え報告した.
P-3-11-05 転移性脳腫瘍にて発見された甲状腺微小乳頭癌の一例
(経過報告)
1
富山大学 医学部 第一内科、2 富山大学 医学部 第二外科
宇野 立人 1、浦風 雅春 1、川原 順子 1、石塚 健 1、鈴木 ひかり
1
、小橋 親晃 1、岩田 実 1、山崎 勝也 1、笹岡 利安 1、小林 正
1
、長田 拓哉 2
我々は 3 年前の本会にて転移性脳腫瘍にて発見された甲状腺微小乳
頭癌の一例を報告した。一般的に甲状腺癌の脳転移例は予後不良で
あり、平均余命は 1 年前後という報告が多い。本症例は脳転移発見
後約 4 年後の現在も disease free の状態を維持しており、貴重な症
例と思われその後の経過を報告する。症例は 36 歳男性。H14 年 12
月頭痛を主訴に近医を受診、頭部 MRI にて脳腫瘍と診断され加療目
的に当院脳外科紹介となった。H15 年 3 月脳腫瘍摘出術が施行され、
Metastatic carcinoma of the brain, from papillary carcinoma of
the thyroid との病理診断のため当科紹介となった。身体所見上びま
ん性甲状腺腫 2-3 度、腫瘤触知せず、血液検査上 TSH 2.17μIU/ml,
FT3 4.0pg/ml, FT4 1.8ng/dl, サイロイド<100 倍、マイクロゾーム
1600 倍、サイログロブリン RIA 8.4ng/ml, 画像検査上 Tl シンチ、
胸部 CT では異常は認められなかったが、甲状腺超音波検査にて左葉
下極に 13mm 大の腫瘤を認めた。さらに、甲状腺吸引細胞診にて
class3、FDG-PET にて左頚部に軽度集積を認めた。甲状腺全摘術+術
後アイソトープ療法の適応と考え、当院第二外科紹介となった。H15
年 10 月甲状腺全摘、両側リンパ節郭清術が施行された。腫瘍は被膜
を超えておらず、一部石灰化した 6mm 大の充実性腫瘍で、少量の液
体貯留が認められた。H15 年 12 月一回目の 131I 治療を施行し、H16
年 6 月に二回目の 131I 治療が施行された。その後、外来通院中であ
るが、定期的に施行される甲状腺エコー、FDG-PET, Tl シンチ、胸部
CT 上異常を認めず、またサイログロブリン RIA も正常範囲を維持し
ており、今後も慎重に加療を継続していく必要がある。
P-3-11-06 当院における結節性病変手術例の病理診断と術前超音 P-3-12-01 特異な下垂体機能の経過を 15 年間に渡り示した
波診断との比較
Multifocal fibrosclerosis の一例
1
1
伊藤病院、2 琉球大学医学部第二内科
財団法人 日本生命済生会付属 日生病院、2 国立病院機構 大阪
南病院 内分泌代謝内科、3 大阪大学医学系研究科 内分泌代謝内科
宮良 あやこ 1、吉村 弘 1、皆川 晃伸 1、松本 雅子 1、高橋 育克 浅沼 伸行 1、浅沼 伸行 1、末村 正樹 1、幸原 晴彦 2、笠山 宗正
1
、國井 葉 1、向笠 浩司 1、清水 妙子 1、伊藤 公一 1、伊藤 國 3、佐藤 文三 1
彦 1、高須 信行 2
【目的】当院にて甲状腺結節性病変で手術を行った 561 例について、 Multifocal fibrosclerosis は特発性炎症性繊維化病変を異なる部
術前超音波診断と病理診断の比較を行い、超音波診断が難しかった 位に多発する疾病であるが、時に下垂体病変を合併することが知ら
症例について検討した。
【対象】2006 年 1 月∼6 月の 6 ヶ月間に当院 れている。15 年間に尿崩症や 3 回の副腎不全再燃をきたし特異な内
で甲状腺結節性病変の手術を行った全 561 例。年齢中央値 51 才(範 分泌学的経過を示した Multifocal fibrosclerosis の一例を経験し
【症例】2 型糖尿病と胸痛にて外来通院中、1992 年
囲 17 才∼86 才)、女性 471 例、男性 90 例。乳頭癌 381 例、濾胞癌 たので報告する。
21 例(1 例は乳頭癌合併)、髄様癌 4 例(1 例は乳頭癌合併)、未分化癌 2 月下垂体から下垂体茎にかけて腫瘍が判明。Hardy 法にて下垂体生
2 例、腺腫様甲状腺腫 31 例、腺腫様結節 75 例、濾胞腺腫 41 例、他 検を施行、壊死巣を伴う間質の増生とリンパ球浸潤を認めた。1992
Hydrocortisone
6 例。
【方法】結節性病変のエコー所見で、内部低エコー、形状不整、 年6月急性副腎不全と尿崩症にて緊急入院となった。
辺縁不明瞭、内部エコーの不均一、境界部低エコー帯の不整、石灰 20mg と DDAVP20μg の補充を開始したが 1988 年 6 月には中止可能と
化を疑う微細な高エコーなどがみられたものを悪性疑いとした。当 なった。甲状腺機能は軽度低値で Levothyroxine 50μg の補充は継
院の結節性病変手術全症例の病理診断から後ろ向きに比較した。 続していた。1999 年 5 月に嗄声と胸痛が出現し CRP が上昇した。胸
【結果】全 561 例中、術前超音波検査で悪性を疑われたのが 429 例 部 CT にて前縦隔に胸膜の肥厚を認め開胸肺生検を行い、Fibrosing
(病理診断で悪性 372 例、良性 56 例、その他 1 例)
、良性と診断さ mediastinitis と診断し PSL 30mg よりの漸減投与にて症状は軽快し
れたのが 132 例(病理診断で悪性 40 例、良性 92 例)であった。正 PSL は中止した。2000 年 11 月に急性副腎不全を再発し入院。2002
診率 82.9%、感度 90.3%、特異度 62.2%。また、乳頭癌の正診率 年 1 月と 2003 年9 月に嗄声と胸痛の再燃がありPSL30mg を再投与し
87.5%、感度 90.6%、特異度 80.7%、濾胞癌の正診率 90.0%、感 た。その後は PSL 10-5mg を継続している。2006 年 11 月外来定期検
度 14.3%、特異度 93.0%であった。術前超音波診断が良性であった 査にて血清コーチゾール 1.5mg/dl と低値を示した。三者負荷試験で
【結語】下垂体
が病理診断が悪性であった 40 例の内訳は、乳頭癌 33 例(うち 6 例は は下垂体性副腎不全と GH の反応低下が認められた。
微小癌であり超音波で捉えられておらず、
10 例は FNAB を行うようコ 病変を合併した Multifocal fibrosclerosis は本例のように長期に
メントあり)、濾胞癌 6 例、髄様癌 1 例であった。
【結論】甲状腺超 渡り再燃を繰り返すことがあるので注意深い経過観察が必要である
音波検査にて良性と診断された例でも少なからず悪性腫瘍が存在す と考えられた。
る。症音波検査で良性と思われた例でも一度は細胞診を行うか、超
音波検査のフォローアップ、血清サイログロブリン値も参考にし経
過観察が必要である。
P-3-12-02 GHRP-2 負荷に正常分泌反応を示したリンパ球性漏斗部
神経下垂体炎
1
愛知医科大学 医学部 内科学講座 内分泌・代謝・糖尿病内科
P-3-12-03 下垂体微小腺腫を伴った漏斗下垂体前葉炎の 1 例
稲垣 智里 1、森川 亮 1、橋詰 万里子 1、本田 瑠璃 1、仲宗根 裕
子 1、加藤 宏一 1、高木 潤子 1、大竹 千生 1
無月経と倦怠感,視床下部障害に基づく下垂体機能低下症が疑われ
た症例について,考察を加えて報告する.症例は 25 歳女性.平成 18
年 7 月ごろより月経不順をきたし,8 月には無月経となった.10 月
上旬より意欲の低下が出現し,
11 月上旬より精神的に不安定となり,
その後食欲低下と倦怠感が出現した.このため 12 月上旬に当院を受
診したところ,受診時の血糖値が 42mg/dl と低下しており精査目的
で入院となった。家族歴・既往歴に特記事項は認められなかった。
入院時のホルモン基礎値は明らかな異常を認めなかった.下垂体前
葉負荷検査では,4 者負荷にて ACTH, LH, FSH は正常反応,GH, TSH
および PRL は過剰分泌反応を示した.高張食塩水負荷試験において
は,partial DI のパターンを認めた.コートロシン負荷試験におい
ては,cortisol の反応は正常であった.ITT では 30 分にて血糖値
41mg/dl に対し,ACTH,cortisol およびグルカゴンの反応低下を認
めた.一方,GHRP-2 負荷試験では GH および ACTH の分泌は正常であ
った。頭部 MRI では漏斗部に加え,下垂体前葉の腫脹が疑われた.
また抗下垂体抗体は陰性であった.一方,腹部 CT にて左副腎偶発腫
瘍が認められた.以上の結果から,本例を partial DI を伴った下垂
体前葉機能低下症と診断した.下垂体機能異常の原因として,リン
パ球性漏斗部神経下垂体炎が疑われたが,本例では高 PRL 血症を認
めず,また GHRP-2 および視床下部ホルモンに対する下垂体ホルモン
分泌は良好であり,一方で低血糖に対する counter-regulatory
hormone の反応性低下が認められた事より,
他の要因によって本例の
病態が修飾されている可能性が考えられた.
工藤 丈明 1、高安 忍 1,2、二川原 健 2、崎原 哲 2、奈須下 亮 1、
須田 俊宏 2
【症例】35 歳女性。不妊として近医産婦人科で加療、高 PRL 血症を
指摘されていた。2006 年 4 月より amenorrhea、腋毛の脱落あり。5/7
に 39℃台の発熱と同時に両手指のこわばり、全身の関節痛、食欲低
下あり数日持続。手指のこわばりが持続し、5 月中の 1 ヶ月で 4kg
の体重減少を認めたため、近医で精査するも確定診断にはいたらず、
当院リウマチ血液内科受診。膠原病は否定されたが TSH、甲状腺ホル
モンの低値を指摘され、7/19 当科紹介。
【検査成績】Na 140mEq/l、K
4.2mEq/l、AVP 1.5pg/ml、Osm 288、FPG 92mg/dl、fT3 2.88pg/ml、
fT4 0.69ng/dl。4 者負荷試験成績(基礎値→頂値)
:GH(1.06→
18.2ng/ml)
、ACTH(26.1→113.0pg/ml)
、F(10.8→18.0μg/dl)
、TSH
(0.01→0.05μU/ml)
、PRL(32.3→57.9ng/ml)
、LH(0.2→1.1mIU/ml)
、
FSH(2.5→7.2mIU/ml)
。ITT 成績:GH(1.03→1.75ng/ml)
、ACTH(29.9
→73.5pg/ml)
、F(11.8→19.4μg/dl)
。尿中遊離コルチゾール 45∼
81μg/day。MRI で造影増強、腫大した下垂体茎と下垂体左前方に微
小腺腫を疑わせる造影欠損部も認めた。
【経過】症状所見、検査成績
から下垂体前葉機能低下を伴った漏斗神経葉炎と診断したが、発症
推定時期以前からの高 PRL 血症と画像所見より微小 PRL 産生下垂体
腺腫の併存も否定できなかった。退院 6 週間後(発症 4 ヶ月後)の
再検では TSH が回復、及び gonadotropin が過大遷延反応を呈した。
PRL の基礎値は 10.7-19.8 と若干の低下を認めた。
発症 5 ヵ月後から
は月経も再度出現した。
【考察】PRL 値、画像所見からは PRL 産生下
垂体腺腫の合併も否定できなかったが、経過からは病態に視床下部
障害と下垂体障害の両者が寄与している下垂体前葉機能低下を伴っ
た漏斗神経葉炎と考えられた。
1
青森県立中央病院 内分泌内科、2 弘前大学 医学部 第三内科
P-3-12-04 尿崩症治癒後に難治性頭痛を認め診断・治療に苦慮し
た下垂体病変
1
国立長崎医療センター 内科、2 大阪大学医学部附属病院 脳神経
外科、3 国立京都医療センター 臨床研究センター
堀江 一郎 1、宮下 賜一郎 1、木村 博典 1、有田 英之 2、齋藤 洋
一 2、成瀬 光栄 3、島津 章 3
症例は 34 歳女性。2005 年 11 月末より口渇、多飲、多尿が出現。2006
年 2 月に近医受診し、頭部 MRI にてラトケ嚢胞と下垂体の腫大、T1WI
で下垂体後葉高信号消失を認め、中枢性尿崩症を疑われ同年 3 月 17
日当科紹介となった。水制限試験にて ADH の低反応を認め、部分尿
崩症と診断した。他の下垂体ホルモンは正常反応であった。尿崩症
は自然軽快したため経過観察となった。この頃より、前頭部に軽度
の頭痛が出現し始めた。
3 月 25 日突然両眼球の奥に激痛を認めたが、
自然に軽快した。しかしその後、頭痛が慢性的に持続したため、複
数の医療機関を受診し、NSAIDs、向精神薬、トリプタン系薬など投
与されたが全て無効であった。8 月 23 日当科を受診し、MRI にて下
垂体の腫大と左内頸動脈海綿静脈洞部の狭小化を認めた。Ga 造影で
はトルコ鞍周囲の硬膜が強く造影されていた。水制限試験正常、下
垂体ホルモンは負荷試験にて ACTH、LH の軽度過剰反応、PRL 基礎値
の軽度上昇を認め、他のホルモンは正常反応であった。10 月 2 日、
脳神経外科にて径鼻孔的下垂体生検を施行。術中所見ではトルコ鞍
底の硬膜肥厚、下垂体組織の硬化を認め、病理所見では硬膜の肥厚
した線維性結合組織にリンパ球浸潤を認めた。術後にプレドニゾロ
ン 20mg/日内服を開始した所、頭痛は消失した。本症例では、リンパ
球性下垂体炎が周囲の硬膜に波及し肥厚性硬膜炎を生じ、これによ
り難治性頭痛と内頚動脈狭窄を生じた稀な例と思われた。一部考察
を加え報告する。
P-3-13-01 TSH 産生下垂体腺腫+原発性副甲状腺機能亢進症合併
症例における men1 遺伝子解析;ゲノム DNA および腫瘍組織 mRNA に
よる検討
1
金沢医科大学 内分泌・代謝科、2 金沢医科大学 脳神経外科、3 金
沢医科大学 耳鼻咽喉・頭頚科、4 黒部市民病院 内科
中川 淳 1、上原 啓吾 1、古屋 圭介 1、今泉 範子 1、伊藤 智彦 1、
西澤 誠 1、木越 俊和 1、古家 大祐 1、立花 修 2、下出 祐造 3、
吉澤 都 4
症例は 58 歳,男性。10 年以上前より頻脈傾向,暑がり,多汗であっ
た。左眼光視を契機に視野欠損を指摘され,MRI にて下垂体腫瘍が見
出された。家族歴に内分泌疾患なし。脈拍 104/分,皮膚湿潤,びま
ん性甲状腺腫I度,左眼耳側下四半盲。一般検査で血清 Ca 11.5
mg/dl,P 3.2 mg/dl,空腹時血糖 130 mg/dl,HbA1c 7.4%.内分泌
検査で fT3 11.2 pg/ml,fT4 3.4 ng/dl,TSH は 8.43 μU/ml で TRH
負荷に無反応,α-subunit 3.4 ng/ml.その他,PRL 24.3 ng/ml,
GH 1.49 ng/ml,IGF-I 290 ng/ml.高 Ca 血症に関し PTH-intact 140
pg/ml,甲状腺左葉下方背側に副甲状腺腫瘍が見出された。以上より
TSH 産生下垂体腺腫+原発性副甲状腺機能亢進症合併例,
多発性内分
泌腺腫(MEN)1型と診断した。膵島腫瘍については gastrin,VIP,
PP,glucagon に異常なく,画像診断で膵腫瘍を見出せなかった。
Octreotide 投与により下垂体腫瘍は縮小傾向を示し,甲状腺機能は
正常上限にコントロールされた。その後,経蝶形骨洞的下垂体腺腫
摘出術により甲状腺機能正常化,副甲状腺摘出術により血清 Ca 値は
低下した。免疫組織染色および培養より下垂体腫瘍は TSH・GH 同時
産生腺種と判明した。末梢白血球ゲノム DNA,下垂体および副甲状腺
腫瘍 mRNA を用い,men1 遺伝子全翻訳領域の塩基配列を解析したが,
変異は見出せなかった。MEN1型においても,膵島腫瘍を伴わない孤
発例では men1 遺伝子異常が見出されないことが報告されており,腫
瘍組織での体性遺伝子変異も存在していないことが確認された。
P-3-12-05 妊娠中に発症した LPH(リンパ球性汎下垂体炎)の一例
1
田附興風会 医学研究所 北野病院 糖尿病・内分泌センター、2
徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部 人体病理学
新井 康之 1、奈部 浩一郎 1、本庶 祥子 1、池田 弘毅 1、佐野 壽
昭 2、越山 裕行 1
【目的】妊娠中に頭痛,全身倦怠感,視野障害で発症し,下垂体生
検および内分泌学的検査により LPH と診断された一例を経験したの
で報告する.
【症例】37 歳女性,生来健康であった.妊娠 10 週頃から頭痛,妊娠
24 週頃からは全身倦怠感,両耳上側 1/4 半盲を自覚したため,近医
を受診,頭部 MRI にて下垂体腫瘍を認めた.下垂体腺腫またはリン
パ球性下垂体炎が疑われ,精査目的で妊娠 28 週に当センター入院と
なった.血液検査上,ACTH・コルチゾールおよび甲状腺ホルモンが
低下しており,下垂体機能低下症と診断,ホルモン補充療法(ヒド
ロコルチゾンおよび T4 製剤内服)開始後,全身倦怠感は改善した.
ステロイド内服後より多尿と尿浸透圧低下を認めたため,仮面尿崩
症と判断,酢酸デスモプレシン点鼻を行ない,尿量は減少した.そ
の後も下垂体腫瘍は縮小せず,視野欠損も徐々に拡大したため,妊
娠 31 週に経蝶形骨洞的下垂体腫瘍切除術を施行した.下垂体後葉の
生検は出来なかったが,下垂体前葉に炎症細胞浸潤を認め,臨床所
見より LPH と診断された.術後視野欠損は改善したが,術前と同様
のホルモン補充継続が必要であった.周産期にはステロイドを増量
し,妊娠 38 週に帝王切開にて出産,母児ともに著変なく経過した.
出産後の負荷試験では,TSH・PRL の反応低下を認めた.
【総括】妊娠中の女性に発症した下垂体腫瘍ではリンパ球性下垂体
炎を鑑別する必要がある.本症例は,下垂体前葉機能低下および後
葉機能低下を伴っており,我々が最初に提唱した LPH(Koshiyama et
al., 1995)に相当する症例と思われる.LPH はなお疾患概念として
は議論があるが,報告は増えている.
P-3-13-02 術前オクトレオチド投与が有効であった TSH 産生腫瘍
の1 例
1
天理よろづ相談所病院 内分泌内科、2 虎の門病院 内分泌センタ
ー 内科、3 虎の門病院 間脳下垂体外科
田中 正巳 1、奥山 さくら 1、飯降 直男 1、植田 玲 1、古家 美幸
1
、玉那覇 民子 1、辻井 悟 1、石井 均 1、竹内 靖博 2、山田 正
三3
【症例】23 歳女性。気管支喘息で近医に通院歴あり。平成 18 年 3
月頚部腫脹と動悸を自覚し近医受診。血液検査で SITSH(fT3 7.1
pg/ml、fT4 2.72 ng/dl、TSH 4.34μIU/ml)を、甲状腺エコーでび慢
性甲状腺腫を指摘された。MMI が投与されたが fT3、fT4 はさらに増加
した。経過中頚部の圧痛出現し、亜急性甲状腺炎と診断されてステ
ロイドが投与されたが圧痛は軽快しなかった。
4 月に甲状腺腫脹は軽
減したが、動悸、息切れ、振戦、発汗、頻脈などの甲状腺機能亢進
症状を認め、天理よろづ相談所病院を受診した。このときも SITSH
の状態は続いていた。抗サイログロブリン抗体、抗マイクロゾーム
抗体、TBII、TSAb はすべて陰性であった。TRH 負荷試験で TSH は反
応を認めたが、頭部 MRI で下垂体腫瘍を認め TSH 産生腫瘍と診断し
た。手術目的で 5 月虎ノ門病院に転院となったが、ことのきも TSH
3.081μIU/ml、fT3 8.10 pg/ml、fT4 2.43 ng/dl と SITSH は持続し
ていた。オクトレオチド負荷試験で TSH が抑制されたため、術前に
酢酸オクトレオチド持続皮下注射を行った。注射後頻脈は消失し、
TSH 0.086μIU/ml、fT3 3.21 pg/ml、fT4 1.35 ng/dl と甲状腺機能
改善した。更にオクトレオチド投与前は 25X15mm であった腫瘍が投
与後には 20X9 mm となり、明らかな縮小を認めた。Hardy 手術を行い
腫瘍を全摘した。腫瘍は腺腫であり、免疫組織染色で TSH、LH、FSH、
GH が陽性であった。
【結語】
強い甲状腺中毒症状を来たした TSH 産生
腫瘍の 1 例を経験した。酢酸オクトレオチドが甲状腺機能改善、腫
瘍縮小に効果があり、治療に有効であった。
P-3-13-03 TSH、GH、PRL の奇異性分泌を認めた TSH 産生下垂体腫
瘍の一例
1
東北大学 腎高血圧内分泌科、2 同臨床薬理学、3 同医学部保健学、4
大原医療センター
村上 治 1、森 弘毅 1、伊藤 貞嘉 1、戸恒 和人 2、曽根 正彦 3、
高橋 和広 3、池田 秀敏 4
【緒言】TSH 産生下垂体腫瘍は希な疾患であり、早期診断と充分な手
術治療が容易ではない。
【症例】15 歳、女性。一年半前より頭痛が出
現し、多汗傾向。頭痛が増強し、抑うつ傾向となり近医受診。甲状
腺腫を認め、血中 fT4 2.36ng/dl、fT3 7.26pg/ml と両者が高値であ
るのにかかわらず TSH(2.25μIU/ml)が抑制されていないので精査の
ため当科紹介。甲状腺ヨード摂取率は正常、TRAb 陰性。頭部 MRI で
はトルコ鞍内に T1WI でやや低信号の造影のされにくい径 10mm の腫
瘍が認められた。TRH 試験では、TSH に 1.75 から 6.69μIU/ml への
最大反応を認め、GH に奇異反応(0.8 から 2.6ng/ml)を認めた。
GRF+CRH+LH-RH 試験では、ACTH、LH、FSH の予備能低下は無かったが、
GH に Max11.4ng/ml(120 分)の遅延反応を認め、TSH と PRL に 2 倍以
上の奇異反応(各々、1.08 から 2.95μIU/ml、18.0 から 39.4ng/ml)
を認めた。オクトレオチド試験(100mg,s.c)では、TSH の 1.78 から
0.62μIU/ml(7hr 後)への低下反応を認めた。経蝶形骨下垂体腫瘍摘
出治療を行ったが、海綿静脈洞浸潤は無かった。組織所見は
basophilic であり、免疫染色にて TSHβ(3+)、PRL(2+)、GH(1+)、FSH
β(1+)陽性の腫瘍細胞増殖能が高い atypical adenoma であった。術
後、頭痛は消失し、TSH は基礎値が 0.05μIU/ml 以下となり TRH 試験
で無反応。fT4 が 0.49ng/dl、fT3 が 2.17pg/ml と両基礎値とも低値
であった。術後 TRH 試験で GH の奇異反応は無く、GRF+CRH+LH-RH 試
験は正常であり TSH と PRL の奇異反応も無かった。
【結論】TSH 産生
下垂体腫瘍例において、下垂体手術により良好な治療効果を得、術
前での TSH、GH、PRL の多種の奇異性分泌と摘出腫瘍組織での多種下
垂体ホルモン産生を明らかにした。
P-3-13-04 術前に Cushing 病の合併が疑われたラトケ嚢胞による
中枢性尿崩症の一例
1
広島市立広島市民病院 内科、2 広島大学 大学院医歯薬学総合研
究科 脳神経外科学
水木 一仁 1、志和 亜華 1、富永 篤 2、河村 智一 1
P-3-13-05 ラトケ嚢胞における頭痛の前向き調査
P-3-13-06 ラトケ嚢胞における内分泌学的特徴
1
1
東京女子医科大学 第二内科、2 東京女子医科大学 脳神経外科
大竹 啓之 1、三木 伸泰 1、小野 昌美 1、川俣 貴一 2、天野 耕作
、関 敏郎 1、大塚 忠典 1、牧野 玲奈 1、久保 長生 2、堀 智勝
2
、高野 加寿恵 1
【目的】ラトケ嚢胞は胎生期のラトケ嚢の遺残組織に由来する下垂
体の嚢胞性疾患であり、剖検例の約 20%に認められる病変である。
一般的に小型の嚢胞は無症状であると考えられてきたが、我々は相
当数の患者に頭痛や内分泌異常が存在することを報告して来た。し
かし、2004 年度の国際頭痛分類 2 版では二次性頭痛の原因疾患とし
て認知されていない。今回我々は頭痛の性状についての調査結果に
ついて報告する。
【材料と方法】
頭痛症状のあったラトケ嚢胞患者 14
例(手術症例は 12 例)に対して、以下のような項目につき同一医師
の直接面接による聞きとり調査を行った。すなわち、頻度、周期性、
場所、痛みの性質、痛みのスコア、日常生活に支障があるか、誘発
因子、随伴症状、家族歴、術後経過である。
【結果】頭痛の部位は、
50%が眼の奥、36%が後頭部に認めた。頭痛の性質は、71%が拍動
性、50%が頭重感であった。随伴症状は、57%に肩頸の凝り、57%
に嘔気を認めた。誘発因子は、ストレス(43%)
、月経(40%)が多
かった。家族歴は 50%に認めた。痛みのスコア(最大 10)は平均が
7.2 と高く、
頭痛により日常生活にかなりの支障があることが明らか
になった。手術をうけた患者は全例で頭痛は消失(67%)または改
善(33%)した。
【結論】今回の前向き調査から、ラトケ嚢胞の頭痛
は片頭痛や緊張型頭痛様の痛みが多く、ラトケ嚢胞に固有の頭痛は
ないようである。しかし、頭痛の程度、随伴症状は予想以上に患者
の QOL を低下していることが明らかになった。本症の頭痛は手術に
より消失または改善するので、慢性頭痛のある患者ではラトケ嚢胞
の存在も念頭おいて検査することが望まれる。
2
【症例】58 歳、女性。2006 年 4 月、口渇、多飲、多尿が急に始まり、
夜間排尿が 9 回程度みられるようになった。口腔内不快感から当院
耳鼻科を受診し、尿崩症が疑われて当科紹介となった。5 月、精査の
ため入院。尿量 8 l/日、血漿浸透圧 307 mOsm/kgH2O、血漿 ADH 1.1
pg/ml、5%高張食塩水負荷試験では負荷 2 時間後の血漿浸透圧 326
mOsm/kgH2O、尿浸透圧 332 mOsm/kgH2O、血漿 ADH 1.0 pg/ml であり、
ピトレシンにより尿浸透圧が血漿浸透圧を上回り、中枢性尿崩症と
診断した。下垂体 MRI にて鞍上部に充実成分と嚢胞状成分からなる
腫瘍を認め、尿崩症の原因と考えられた。また、Cortisol 日内変動
を認めず、血中 ACTH 61.6 pg/ml、Cortisol 26.4 μg/dl、尿中遊離
Cortisol 135 μg/日といずれも高値、Cortisol はデキサメサゾン
1mg にて 25.5 μg/dl と抑制されず、8mg にて 2.2 μg/dl と抑制さ
れ、Cushing 病が疑われた。経蝶形骨洞下垂体手術による下垂体腫瘍
の穿刺と生検からラトケ嚢胞と診断された。術後、Cortisol 日内変
動およびデキサメサゾン 1mg による Cortisol 1.9 μg/dl への抑制
を認めた。尿量は 3-4 l/日と減少した。その他、本症例は CRH 負荷
試験に対する ACTH の頂値 (頂値/基礎値) が、術前 ACTH 502 pg/ml
(13.5), 術後 ACTH 481 pg/ml (23.0) であり、preclinical Cushing
病で報告されている CRH 負荷試験における血中 ACTH の過大反応と
同様な反応を示した。
【結語】
これまでラトケ嚢胞に Cushing 病を合
併した症例は報告されていない。本症例も術後に Cushing 病が否定
されたが、術前にラトケ嚢胞による中枢性尿崩症に Cushing 病の合
併が疑われた興味ある症例を経験したので報告する。
共愛会 戸畑共立病院
久留米大学 脳神経外科
2
久留米大学 医学部 内分泌代謝内科
隈病院内科
3
4
三宅 育代 1,倉本 晃一 3,中山 ひとみ 2,高田 和奈 4,栗田 弥
生 2,加藤 智子 2,賀来 寛雄 2,重森 稔 3,古賀 寛久 2,迎 徳
範 2,真弓 文仁 1,下河辺 正行 1,広松 雄治 2
近年MRIの発達により無症候性のラトケ嚢胞が増加している一方で、
多彩な内分泌機能異常を示し臨床症状は一定ではない。今回内分泌
内科を初診し負荷試験を施行したラトケ嚢胞 10 例(M:F=4:6)の内
分泌学的特徴を検討した。年齢 12 歳∼69 歳(36.8±20.9)受診動
機は低身長、頭痛、失神、視野障害、全身倦怠感が各 1 例、低 Na 血
症 4 例。うち 1 例では先行する続発性無月経のため婦人科で加療。
内分泌異常は下垂体性副腎機能低下症が 3 例、SIADH 2 例、GH 低下 2
例、PRL 上昇 1 例、ゴナドトロピン低下 2 例、TSH 低下 1 例、SITSH 2
例(1 例は Reffetoff 症候群疑い)中枢性尿崩症 2 例(1 例は仮面尿崩
症)
、5 例で複数のホルモン異常を認めた。嚢胞の部位は鞍内型が 9
例、下垂体柄型が 1 例であった。手術例の 2 例中 1 例で両耳側半盲
と前葉機能の回復を認め、3 例は保存的治療で前葉機能が回復した。
10 例中特筆すべき症例を提示する<症例 1> 20 歳女性。18 歳時よ
り無月経にて婦人科で加療。著明な低 Na 血症にて受診するも一時他
院入院され Na 補正後に EPM を併発。ラトケ嚢胞と診断後も多彩な神
経精神症状を伴い精神疾患との鑑別を要した。高 PRL 血症はカベル
ゴリンにて加療中。<症例 2>低 Na 血症にて受診。抑うつ状態も認
めラトケ嚢胞に伴う急性副腎不全と診断しコートリルによる補充療
法を開始後に漸減中止が可能であり、嚢胞も徐々に縮小を認めてい
る。内科を受診するラトケ嚢胞の症例は内分泌異常を伴っている例
が大部分であり特に低 Na 血症が 40%を占め対称的に甲状腺機能障
害合併は少数であった。ラトケ嚢胞に伴う内分泌機能障害、経過は
多彩であり今後も詳細な検討が望まれる。
P-3-13-07 低ナトリウム血症を契機に発見された下垂体ラトケ嚢
胞でその後腫瘍の著明な縮小を認めた一例
1
国立病院機構 九州医療センター 代謝内分泌内科、2 国立病院機
構 京都医療センター 内分泌代謝性疾患臨床研究センター 内分
泌研究部
小河 淳 1、井手 千晴 1、平松 真祐 1、坂井 義之 1、木村 美嘉
子 1、渡邉 聴正 1、吉住 秀之 1、成瀬 光栄 2
症例は 82 才、男性。2005 年 9 月頃より四肢の脱力が出現し近医を受
診。低ナトリウム血症を指摘され、補液にて自覚症状および検査所
見は改善したが、原因は不明だった。12 月頃より症状の再発を認め、
2006 年 1 月精査加療のため当科入院。ACTH、コルチゾール、甲状腺
ホルモンの基礎値の低下を認めたが、CRH 負荷に対する ACTH の反応
は保たれていた。MRI でトルコ鞍に嚢胞様変化を伴う 18×15mm の腫
瘍を認め、正常下垂体の同定は困難だった。嚢胞壁は厚く、やや不
整に造影増強され、下垂体茎の軽度肥厚ならびに後葉の T1 高信号の
消失を伴い、嚢胞周囲への炎症の波及による二次性下垂体炎を併発
したラトケ嚢胞が疑われた。コートリル、チラージン S による補充
療法を行ない低ナトリウム血症は改善し、四肢の脱力も消失した。
しかしその後、多尿とともに高ナトリウム血症が出現。血清浸透圧
の上昇にもかかわらず ADH は低値であるため、
DDAVP の補充療法を開
始し、高ナトリウム血症は改善した。MRI で嚢胞性病変は三週間後に
は 13×9mm に、さらに 5 ヶ月後には 9×8mm に縮小し、下垂体茎の肥
厚も改善し嚢胞壁内側は円滑となった。嚢胞径ならびに嚢胞周囲の
炎症の経時的変化を捉えた興味深いラトケ嚢胞と考えられた一例で
あり内分泌学的経過も含めて報告する。
P-3-14-02 先端巨大症における治癒手術後の耐糖能障害を術前に
予測する因子の検討
1
虎の門病院 内分泌センター 内科、2 同 間脳下垂体外科、3 防衛
医科大学校 内科 3
藤井 博子 1,3、田口 学 1、竹下 章 1、大山 健一 2、山田 正三 2、
竹内 靖博 1
P-3-14-01 先端巨大症における治療前後での血管内皮機能異常の
変化
1
東京医科歯科大学大学院 分子内分泌内科学 (内分泌・代謝内
科)、2 東京都立府中病院 内科、3 虎の門病院 脳神経外科
酒井 春奈 1、中山 千里 1、関澤 直子 1、岩嶋 富美子 1、土屋 恭
一郎 1、神山 隆治 1、泉山 肇 1、土井 賢 1、吉本 貴宣 1、辻野 元
祥 2、山田 正三 3、平田 結喜緒 1
[背景] 先端巨大症は危険因子の重複のため心血管疾患による死亡
率が高く、また GH/IGF-1 の直接作用による動脈硬化の進行も報告さ
れている。今回我々は早期動脈硬化の指標として血管内皮由来 NO を
機 能的 に評 価す る血 流依 存性 血管 拡張 反応 (flow-mediated
vasodilatation: FMD)を用い、先端巨大症患者の経蝶形骨洞手術
(TSS)前後における血管内皮機能を評価した。[対象と方法] 先端巨
大症の 15 例(48.1±3.4 歳, 男:女=8:7)のうち、TSS を施行した 8
症例について術前、術後 3 ヶ月の%FMD を測定し、内分泌、生化学パ
ラメーターとの関連性を検討した。[結果] 先端巨大症の 15 例全例
で、治療前の平均%FMD(4.7±0.6)は年齢を合致させた健常者(9.6
±0.7)より有意(p<0.0001)に低下していた。TSS を施行した 8 例
は術後 3 ヶ月で有意な%FMD(P=0.0003)、GH(P=0.024)、IGF-1(P<
0.0001)、TG(P=0.028)、IRI(P=0.004) 、HOMA-R(P=0.002)の低下と
HDL-C(P=0.040)の上昇を認めたが、血圧・BMI・TC・LDL-C・BMI・HbA1c・
FPG は有意な変化を認めなかった。しかし%FMD の改善とこれらパラ
メーターの間に有意な相関を認めなかった。[結語] 活動期の先端
巨大症患者では血管内皮機能が著明に低下しているが、GH/IGF-1 の
正常化により早期に改善する可能性がある。
P-3-14-03 先端巨大症における高分子量アディポネクチンとイン
スリン抵抗性
1
東京女子医科大学病院 内分泌センター 内科
盛田 順子 1、肥塚 直美 1、石川 夕記子 1、福田 いずみ 1、栗本 真
紀子 1、大久保 由美子 1、高野 加寿恵 1
【背景】先端巨大症では高頻度に糖代謝異常を認める。GH 産生腺腫
摘出後に耐糖能障害の改善が期待されるが、本症と 2 型糖尿病の合
併例も稀ではない。術前に治癒手術後の耐糖能障害の有無が予測で
きれば、術後早期からの糖代謝異常の管理の良い指針となる。
【目
的】先端巨大症における術後の耐糖能障害を術前に予測する因子を
明らかにする。
【対象・方法】当院で手術した先端巨大症のうち、術
後に治癒と判定された 51 名(男/女:23/28)を対象とした。術前検
査で糖代謝異常を認める症例は 72.5%であった。
術後の 75gOGTT をも
とに、正常群(NGT)36 例、糖尿病+耐糖能異常群(DM+IGT)15 例
の 2 群に分類した。術前の GH、IGF-1、HOMA-IR、75gOGTT 時のΣIRI
(0, 30, 60, 90, 120 分値の総和)を、NGT 群と DM+IGT 群の 2 群で
比較検討した。
【結果】血中 GH、IGF-1 および HOMA-IR は両群間で有
意差を認めなかった。ΣIRI は、NGT(371±169, mean±SD)に比べ
DM+IGT(205±119)で有意に低値であった(p<0.01)
。術前 NGT 症
例を除いても同様の結果であった(p<0.01)
。ΣIRI のカット・オフ
値を 260 に設定すると、術後 DM+IGT を感度 73%・特異度 72%で予測
できた。
【考案・結論】先端巨大症ではインスリン抵抗性が存在する
が、その指標と術後の糖代謝異常との相関は不良であった。術後に
糖代謝異常を認める症例は術前のインスリン分泌が低いこと、また、
本研究の成績から、術後の糖代謝異常存続のリスクの高い症例を術
前ΣIRI に基づいて予測できることが明らかとなった。
先端巨大症の
術前に、
75gOGTT 施行時の IRI により術後の糖代謝異常を予測するこ
とは、術後の治療に有益で、診療の質の向上に貢献する可能性があ
る。
【目的】脂肪細胞から分泌されるアディポネクチン(Ad)は血中で
は多量体として存在し,3 量体や 6 量体の低分子量 Ad のみならず,
12∼18 量体の高分子量(HMW)Ad として存在する。最近 HMW Ad の測
定が可能となり、インスリン感受性には総(Total)Ad よりも HMW Ad
が重要な因子であることが示唆されている。先端巨大症ではインス
リン抵抗性を呈するが,この病態における Ad の関与を検討するため
Total および HMW-Ad を測定する。
【対象および方法】
未治療の活動性
先端巨大症 45 例(男/女:15/30)
、健常者 68 例(男/女:31/37)を
対象とした。血中 Total および HMW Ad を測定し(各々、大塚アッセ
イ研究所および富士レビオ社製キット)、BMI、HOMA-R との関係を検
討した。また、経蝶形骨洞下垂体摘出術を施行し、術後寛解例の 19
例では術前術後で比較検討した。
【結果】先端巨大症の BMI および
HOMA-R の中央値は各々23.6kg/m²、2.2 であり、健常者(20.9、1.3)
と比較して有意に高値であった。HMW および Total-Ad 値は先端巨大
症では各々6.1µg/ml、8.9µg/ml であり、健常者(5.9、10.0)と差
を認めなかった。また、HMW/Total Ad 比は先端巨大症と健常者では
差を認めなかった(0.6 vs 0.58)
。健常者では HMW Ad は HOMA-R と
負の相関(Rs= -0.3)を認めたが、先端巨大症では Total、HMW-Ad
とも HOMA-R と相関を認めなかった。
術後に HOMA-R 値は 2.7 から 1.6
と有意に低下したが、HMW および Total Ad 値は変化しなかった(6.5
vs 7.1、12.6 vs 9.9)。
【考察】先端巨大症ではインスリン抵抗性を
認め、術後に改善を認めるが、このインスリン抵抗性にはアディポ
ネクチンの関与は少ないと考えられた。
P-3-14-04 先端巨大症における血中 GH,IGF-I 値の性差に関する
検討
1
東京女子医科大学 内分泌センター内科
P-3-14-05 下垂体巨人症をともなった McCune-Albright 症候群の
1 男子例
1
北海道大学病院小児科、2 北海道大学病院神経外科、3 旭川医科大学
小児科
田島 敏広 1、椿 淳子 1、石津 桂 1、藤原 ふみえ 1、石井 伸明 1、
藤枝 憲二 1
McCune-Albright 症候群は内分泌腺の機能亢進を起こす G 蛋白質の
体細胞変異によって発症する。なかでも GH 産生腺腫は約 20%に発症
するが,その治療は困難である。特に小児領域での MAS の GH 産生腺
腫の治療の経験は本邦ではまれである。今回下垂体性巨人症をとも
なった MAS の 1 男子例を経験したので報告する。
【症例】現在 16 歳
男子。8 歳の時点で顔面の変形,高身長,頭痛の精査のため,当院受
診した。この時点で GH, IGF-1,PRL の高値,MRI にて下垂体腺腫を
認めた。さらに頭部 CT にて著明な骨肥厚,破壊と線維性骨異形成症
を認め,下垂体性巨人症をともなった MAS と診断した。右視神経管
の圧迫があり全開頭にて腫瘍を部分切除,視神経管開放を行った。
この腫瘍組織 DNA より GNAS 変異 R201C を確認した。術後オクトレオ
チド,ブロモクリプチンを併用したが,GH-IGF-1 の抑制は不十分で
あり,視神経の圧迫などのため計 3 回の手術を行っている。12 歳よ
りオクトレオチド一日 2 回皮下注射からオクトレオチド-LAR 20mg
の投与を開始した。カベルゴリンを 16 歳より併用を行った。この治
療により血清 IGF-1 レベルは正常領域まで低下したが,GH の分泌は
完全に抑制することはできなかった。
【結語】小児ではまれな MAS に
よる下垂体性巨人症の 1 例を経験した。オクトレオチド-LAR とカベ
ルゴリンの併用は小児においても副作用なく行えたが,GH 分泌を完
全に抑制することはできなかった。
田中 聡 1、福田 いずみ 1、肥塚 直美 1、谷本 啓爾 1、高野 加寿
恵1
【目的】
GH の分泌動態および GH の反応性には性差があることが知ら
れ,成人 GH 分泌不全症では単位量あたりの GH に対する感受性は男
性の方が良いことが報告されている。先端巨大症についても GH 分泌
動態および反応性に関して性差があるとの報告はあるがその詳細は
明らかでない。そこで,本症において性差が GH 分泌動態と IGF-I 値
に及ぼす影響を検討した。
【対象および方法】未治療の活動性先端巨
大症 89 名(男/女:33/56,19∼82 歳)を対象とし,血中 GH,IGF-I
(実測値および SD 値)の性差について検討した。
【結果】血中 GH は
男性では 0.61∼42.6 ng/ml(中央値 6.8)
,
女性では 1.0∼139.9 ng/ml
(9.6)であった。血中 IGF-I は男性では 325∼1450 ng/ml(890)
,
2.0∼13.9 SD(7.2)
,女性では 130∼1500 ng/ml(684)
,0.5∼16.2 SD
(5.9)であった。血中 GH 値は明らかな性差を認めなかったが,血
中 IGF-I は実測値,SD 値とも女性の方が低値であった(P<0.004, P
<0.03)
。IGF-I/GH 比を算出すると中央値は男性で 118.5,女性では
61.4 であり,女性で低値を認めた(P<0.003)
。また 50 歳以下では
同様に有意な性差(124.1vs52.8,P<0.005)を認めたが,51 歳以上
では有意な性差を認めなかった(118.5vs79.6,P=0.14)
。
【考察】先
端巨大症では GH の基礎値は性差を認めないが,IGF-I 値は女性の方
が低く,GH に対する IGF-I 値は女性の方が低値であった。これらの
成績より先端巨大症においてGH に対するIGF-I の反応性は女性で低
いことが示唆された。また,有意な性差は 50 歳以下の群において認
められることより,これらの IGF-I/GH の性差には性ホルモンが関与
している可能性が推測された。
P-3-14-06 高分子量 ACTH を認めた先端巨大症の 1 例
P-3-15-01 脳梗塞を機に診断に至った、血清 PRL 値 約 9000 の巨
大 prolactinoma の高齢女性の一例。
1
広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 分子内科学、2 広島大学大 1 東京都保健医療公社多摩北部医療センタ―
学院 医歯薬学総合研究科 脳神経外科学、3 広島大学医学部 第二
病理、4 浜松医科大学 第二内科
沖 健司 1、坂下 有 1、小田 賀明 1、亀井 望 1、渡邉 浩 1、山根 藤田 寛子 1、友廣 圭太 1、中野 忠澄 1
公則 1、富永 篤 2、Vishwa J Amatya3、沖 隆 4、河野 修興 1
症例は 36 歳男性.耐糖能異常を指摘されたため近医を受診し,特異
的な顔貌より先端巨大症を疑われたため,当院を紹介された.身体
所見では,鼻弓部の膨隆,鼻翼の拡大,口唇肥大などを認めたが,
クッシング徴候は認めなかった.下垂体 MRI では,下垂体前葉左側
に 10mm 大の T2W1 で低信号,造影後相対的に低信号で描出される腫
瘍を認めた.内分泌学的検査で,75gOGTT による GH は抑制されず,
IGF-1 1361 ng/ml と高値であったため先端巨大症と診断した.さら
に,TRH 負荷,LH-RH 負荷,CRH 負荷で GH の奇異反応がみられ,
bromocriptin や octreotide の投与で GH は抑制された.一方,TSH,
FT3,FT4 に異常を認めず,コルチゾール基礎値で 15.4 μg/dl と正
常範囲内であったものの,ACTH 161.9 pg/ml と上昇していた.コル
チゾールと ACTH の日内変動は保たれていたものの,0.5mg デキサメ
サゾン抑制負荷試験で ACTH とコルチゾールの抑制は不十分であっ
た.Gel chromatography による ACTH 分子量の解析を行うと,そのほ
とんどが高分子量 ACTH であった.したがって,高分子量 ACTH を同
時産生する先端巨大症と診断し,経蝶形骨洞下垂体腺腫摘出術を行
った.病理学的所見では,好酸性細胞質を有した細胞が腫瘍性に増
殖しており,免疫学的染色法で抗 GH 抗体に強陽性,抗 TSH 抗体に局
所的に陽性であった.ACTH,LH,FSH,PRL には陰性であった.本症
例は,
先端巨大症に高分子量ACTHを認める極めてまれな症例であり,
若干の文献的考察をふまえて報告する.
【症例】73 歳女性。30 歳で出産。妊娠出産には特に問題なかったが、
産後、授乳終了しても 2−3 年乳汁分泌が続き、無月経のため、産婦
人科に通院。しかし、
「薬を飲むと出血は起こるがよくならない」た
め、通院中止。その後、乳汁分泌を自覚しなくなったが、頑固な頭
痛出現、持続していたが精査は行われなかった。糖尿病、高血圧に
て近医にて follow 中、2004 年 11 月 11 日、脳梗塞にて、当院神経内
科へ緊急入院。その際、CT・MRI にて巨大下垂体腫瘍を検出。脳梗塞
加療後、内分泌科へ紹介。PRL8960 にて PRL 産生腫瘍と診断した。腫
瘍は 3×3×2(センチメートル)で、視交叉を押し上げていたが、視
野障害や・視力低下はなく、内頚動脈を両外側に押していたものの、
内径を狭めるような所見は認めなかった。下垂体機能検査では
LHRH・GRH 試験には低反応であったが、CRH・TRH に対する ACTH・TSH
の反応性は保たれていた。2005 年 1 月 27 日より、ブロモクリプチン
にて加療開始。PRL は約 9 ヶ月で正常範囲となり、髄液漏を生じるこ
となく、腫瘍サイズも順調に縮小。同時に 長年の頭痛 は消失し
ADL は改善した。
【考察】 いわゆる incidentaloma として発見され
た、高齢女性の巨大 PRL 産生腫瘍を経験した。病歴から、CT・MRI
が導入される以前の医療のために診断に至らず約40年以上未治療の
まま経過したと推測され、
PRL 産生腫瘍の自然経過を考察する上で興
味深い。また、画像診断発達前の無月経・乳汁分泌症例は、本例の
ように放置されている可能性もあることから、特に長期に渡る頭痛
がある高齢女性においては、
(閉経後年齢であっても)
、妊娠・月経
歴について把握しておくことが診断上重要であると思われた。
P-3-15-02 早発閉経後、28 年経過し骨粗鬆症・プロラクチノーマ
を診断された 1 例
1
九州大学 大学院 医学研究院 病態制御内科学
P-3-15-03 「血痰」を契機に診断された異所性プロラクチノーマ
の1例
1
信州大学 医学部 加齢総合診療科、2 信州大学 医学部 耳鼻咽
喉科、3 信州大学 医学部 脳神経外科、4 信州大学 医学部 遺伝
子診療部
片井 みゆき 1,4、茂木 英明 2、田中 雄一郎 3、森 淳一郎 1、山下
浩 1、櫻井 晃洋 1,4、橋爪 潔志 1
今回、
「血痰」という非典型的な契機から発見された蝶形骨洞内異所
性プロラクチノーマの症例を経験したので報告する。症例は、43 歳
男性。生来、健康。家族歴で母親に高カルシウム血症があったとい
うが、既に死亡しており詳細不明。以前から毎朝の髭剃り後、洗面
台に唾を吐く習慣があった。その際、唾に糸状の血液が時々付着す
ることに 2005 年 6 月頃気づき、同年 9 月には血液塊が出た。血痰と
思い近医耳鼻科を受診。鼻腔内観察にて蝶形骨洞の小開口部から糸
状の出血が確認され、CT,MRI で蝶形骨洞内腫瘍と周囲の骨破壊を認
めた。下垂体はトルコ鞍内に正常の大きさで存在し、腫瘍との連続
性は確認されず、精査目的で当院耳鼻科を紹介された。PET では悪性
腫瘍との所見で、全身麻酔下で生検を施行。病理検査の結果、クロ
モグラニン A 陽性で悪性カルチノイドが鑑別に上がった。特殊染色
でプロラクチン(PRL)が陽性となり、血中 PRL 値を測定したところ
998.6 ng/ml と高値。他の下垂体ホルモンには異常を認めず、異所性
プロラクチノーマと診断。関連科間で治療方針を相談し 2005 年 11
月からカベルゴリンを 0.25mg/週より開始したところ、
血中 PRL 値は
速やかに低下し始めた。投与量を漸増し血中 PRL 濃度は継続的に低
下。2006 年 6 月からはカベルゴリン投与量を 3 mg/週とし、同年 9
月に血中 PRL 値が正常範囲内まで低下し、現在も正常値を維持して
いる。治療に伴い腫瘍内部に壊死巣が出現し拡大しており、正常下
垂体には変化がないことが MRI で確認されている。現在のところ治
療経過が良好で副作用もないため、他の治療法は併用していない。
今後も引き続き経過を追う。
坂本 竜一 1、野村 政壽 1、園田 浩一朗 1、渡邉 哲博 1、権藤 重
喜 1、大江 賢治 1、岡部 泰二郎 1、柳瀬 敏彦 1、高柳 涼一 1
症例は 65 歳女性。27 歳(1968 年)で未熟児(8ヶ月、1620g)を出
産。その後、月経は発来したが、不順となり、妊娠なく 37 歳(1978
年)で閉経。この間、乳汁漏出は認めなかった。2005 年初めより、
左眼の違和感、同年末より左眼の視力低下を自覚。2006 年 3 月、近
医受診し、視野障害、血中プロラクチン(PRL)高値、下垂体腫瘍を
指摘され、精査加療目的に当科紹介入院となった。入院時、視野検
査にて両上耳側に軽度の視野狭窄を認めた。PRL 3083ng/ml と著明高
値、頭部 MRI にてトルコ鞍内、鞍上部から左海綿静脈洞内へ進展す
る 2cm 大の腫瘍を認め、プロラクチノーマと診断した。また、骨塩
定量にて BMD 0.608g/cm2 と骨粗鬆症を認め、閉経後にもかかわら
ず、LH 0.2mIU/ml 以下、FSH 1.0mIU/ml と低値であった。これらの
所見、臨床経過より腫瘍性圧迫もしくは高 PRL 血症に伴う低ゴナド
トロピン血症が早発閉経、さらに骨粗鬆症に影響したと類推された。
プロラクチノーマに対しては、カベルゴリン内服による治療を開始、
現在、外来で加療継続中である。本症例はプロラクチノーマの長期
自然経過を考える上で興味ある症例と考えられたため、文献的考察
を加え報告する。また、臨床経過に関しても合わせて報告する。
P-3-15-04 非機能性下垂体腺腫 null cell type(NC)におけるソ P-3-15-05 下垂体腫大を伴った原発性甲状腺機能低下症の 2 例
マトスタチン(SRIF)産生と分泌
1
帝京大学ちば総合医療センター 内科 臨床研究部、2 虎ノ門病院 1 九州大学大学院 医学研究院 病態制御内科
間脳下垂体外科
岡部 泰二郎 1、園田 浩一朗 1、坂本 竜一 1、渡邉 哲博 1、権藤 重
片上 秀喜 1、山田 正三 2、奈須 和幸 1、大山 健一 2
喜 1、大江 賢治 1、野村 政壽 1、柳瀬 敏彦 1、高柳 涼一 1
【背景】ヒト視床下部機能を定量するため,蝶形骨洞的下垂体腺腫
摘除術中に術野あるいは海綿静脈洞血(Ce)と末梢血(Pe)中の視
床下部ホルモンを同時測定したところ,
Ce の SRIF 濃度が異常高値を
示す症例を経験し,免疫組織学的に NC と判明した.
【目的】NC の細
胞生物学的特性を明らかにするため,症例数を増やし,Ce・Pe 血中
ならびに摘出腫瘍組織中の SRIF 濃度ならびに遺伝子発現量を,それ
ぞれ定量し,免疫組織化学的に検討した.
【方法】対象は免疫組織化
学的に確定診断された下垂体腺腫 82 症例(年齢 13∼75 歳,男性 32
例,女性 50 例,先端巨大症 33 例,ゴナドトロピン産生腺腫 20 例,
クッシング病 13 例,NC10 例,プロラクチノーマ 3 例,TSH 産生腫瘍
2 例,くも膜嚢胞 1 例)
.血中ならびに組織抽出液中の SRIF 濃度は既
報の高感度 RlA で直接的に測定し,新鮮凍結腫瘍組織中の遺伝子発
現量は real time PCR (ABI 7500)を用いて,それぞれ定量した.免
疫組織化学は摘出腫瘍組織のパラフィン切片を用いて ABC 法にて検
討した.
【結果】NC7/10 例において,Ce 血中の SRIF 濃度が異常高値
を示した(Ce:19.4∼589.4pg/mL,Pe:3.3∼7.2pg/mL,健常者の Pe
あるいは他の腫瘍組織型の Cn・Pe 血中濃度:2∼8pg/ml で,NC 以外
の各下垂体腺腫間に有意差なし)
.Ce 血中の SRIF が高値を示した NC
全例において,腫瘍組織中の SRIF 組織含量(22.7∼163.5ng/g 質重
量)ならびに遺伝子発現量(1.1∼5.9x107 コピー/μg 全 RNA)はい
ずれも高値を示した.さらに,これら NC の腫瘍細胞内に SRIF 免疫
活性が強陽性を示した.
【総括】以上の成績から,NC の少なくとも一
部はソマトスタチノーマであると結論づけられる.
【症例】1 例目は 27 才女性。眩暈、倦怠感、嘔気を主訴に近医を受
診時、甲状腺機能低下症を指摘される。頭部 MRI にて径約 10mm の下
垂体腫大を認め、精査目的にて当科入院となった。FT4 0.30ng/dl、
TSH 304.4μIU/ml、マイクロゾームテスト 25600 倍。血中 PRL 値は
9.9 ng/ml と正常。レボチロキシン投与を開始したところ、甲状腺機
能の正常化に伴い、下垂体腫大の著明な縮小を認めた。同時に自覚
症状も消失し、その後の経過も良好である。2 例目は 29 才女性。27
才時第 2 子出産後、月経再開を認めなかった。2005 年 7 月近医にて
血中 PRL 値の高値を指摘される。下垂体 MRI にて腫瘍性病変を認め
プロラクチノーマを疑われ当院を紹介され、精査目的にて当科入院。
FT4 は 0.09ng/dl と低値、TSH は 786.5μIU/ml と高値を認め、原発
性甲状腺機能低下症と診断。
血中 PRL 値は 100.7ng/ml と高値。
抗 TPO
抗体、抗 Tg 抗体はともに陰性。エコー上、甲状腺は全体的に萎縮し
ていた。レボチロキシン投与を開始したところ、甲状腺機能の正常
化に伴い、下垂体腫大の縮小を認めた。
【考察】原発性甲状腺機能低
下症に下垂体腫大を合併し、甲状腺ホルモンの投与により下垂体腫
大の縮小を認めた 2 例を経験した。原発性甲状腺機能低下症に下垂
体腫瘍の合併が疑われた場合には、
TSH 高値による下垂体腫大の可能
性を常に念頭に置いて検査を進める必要がある。また、血中 PRL 値
が1例では高値、もう1例では正常値を示したが、これは視床下部
における TRH 産生亢進の有無を反映しているのかもしれない。
P-3-15-06 多彩な腫瘍の合併を認めた多発性内分泌腺腫症 1 型の
症例
1
愛知医科大学 医学部 内分泌・代謝・糖尿病内科
P-3-15-07 習慣性流産を呈した TSH 産生腫瘍の一例
橋詰 万里子 1、高木 潤子 1、稲垣 智里 1、本田 瑠璃 1、森川 亮
、仲宗根 裕子 1、岡林 直実 1、加藤 宏一 1、大竹 千生 1
62 歳より副甲状腺腫瘍,甲状腺腫瘍,副腎腫瘍,脂肪腫,卵巣腫瘍
を発症し,72 歳で下垂体腫瘍を認めた多発性内分泌腺腫症
(multiple endocrine neoplasia, MEN)1 型の症例について,考察を
含め報告する.症例は 72 歳女性,IGF-1 高値のため当院を紹介受診.
既往歴に甲状腺腫瘍,副甲状腺過形成および副腎腫瘍に対して切除
術を施行されている.又, 11 年前より糖尿病,高血圧症に対して薬
物療法を受けている.下垂体 MRI にて下垂体左側に microadenoma を
認めた.負荷検査では下垂体刺激試験において GH 奇異反応,また
75gOGTT 試験において GH 分泌抑制が認められず,GH 産生性下垂体腺
腫と診断した.膵および十二指腸に病変は認めなかった.以上より,
臨床的に MEN 1 型と診断した.本例は,MEN 1 型に多く認められる副
甲状腺過形成,下垂体腺腫,副腎腫瘍に加え,甲状腺腫瘍および脂
肪腫の他,卵巣腫瘍および子宮筋腫の合併を認めた.典型的内分泌
腺腫に加え多彩な腫瘍合併を認めた症例であるため,考察を加えて
報告する.
1
1
国立病院機構 京都医療センター 内分泌代謝科、2 高松内科クリ
ニック、3 虎ノ門病院 間脳下垂体外科
木村 崇 1、森 栄作 1、臼井 健 1、都留 常央 1、萩原 英恵 1、田
上 哲也 1、島津 章 1、成瀬 光栄 1、高松 順太 2、山田 正三 3
33 歳の女性。知人より甲状腺腫大を指摘され近医受診し SITSH を指
摘された。下垂体 MRI にて下垂体腫瘍が疑われ精査目的にて当科紹
介入院。29 歳時に右卵巣嚢腫にて切除術を受けている。また最近 2
年で 3 回の流産を経験している。家族歴に甲状腺疾患を認めていな
い。入院時身長 159.6cm、体重 48.5kg。血圧は 134/74mmHg で脈拍は
92/分、整であった。皮膚は湿潤しており発汗過多を認めた。甲状腺
はび漫性に腫大していた。入院時の甲状腺機能は FT3 13.3pg/ml、FT4
4.1ng/dl、TSH 3.58μU/ml と SITSH を認めた。TRH 負荷試験にて TSH
は 3.15μU/ml から 30 分後に 29.75μU/ml まで上昇した。αサブユ
ニット/TSH のモル比は 1.76 と高値を呈した。
下垂体 MRI では下垂体
右側から左側鞍上部へ伸展する 5×15mm の長円形の腫瘤を認め視神
経や海綿静脈洞への浸潤を認めなかった。オクトレオチド負荷試験
では TSH は前値 3.46μU/ml から 8 時間後に 1.97μU/ml と低下反応
を示した。術前にオクトレオチド治療を 8 週間投与し甲状腺機能は
ほぼ良好にコントロールされたが腫瘍の明らかな縮小を認めなかっ
た。径蝶形骨洞下垂体腺腫摘除術が行われ画像上全摘除が行われ、
術後の TSH は感度以下となった。本症例は習慣性流産を呈し、術前
の甲状腺機能がオクトレオチドで良好にコントロールされた TSH 産
生下垂体腫瘍であり、腫瘍組織を用いての RT-PCR による解析ではソ
マトスタチン受容体 type2 遺伝子が高発現していた。術後の病理所
見、術後経過および腫瘍組織における各種遺伝子発現プロファイル
を合わせて報告する。
P-3-16-01 下垂体ウロコルチン 2 の性腺刺激ホルモン産生細胞へ
の作用
1
日本医科大学 生理学第二
P-3-16-02 PI3 キナーゼによるゴナドトロピンαサブユニット制
御
1
島根大学 医学部 産科婦人科
根本 崇宏 1、山内 直子 1、芝崎 保 1
金崎 春彦 1、Sandra Mutiara1、折出 亜希 1、原田 崇 1、宮崎 康
二1
副腎皮質刺激ホルモン放出因子 (CRF) のファミリーペプチドである
ウロコルチン 2 (Ucn 2)は、視床下部のみならず種々の末梢組織にお
いてもその発現が認められている。我々はこれまでに Ucn 2 がラッ
ト下垂体前葉および中葉の POMC 細胞に発現し、CRF やドーパミンに
よってその発現および分泌が調節されていることを明らかにしてき
た。しかし、下垂体からの Ucn 2 分泌量は ACTH に比べ少なく、その
作用部位も未だに不明である。下垂体前葉における CRF 2 型受容体
発現は性腺刺激ホルモン産生細胞に多いとの報告があることから、
我々は下垂体 Ucn 2 は下垂体内で傍分泌的に作用していると考え、
下垂体における Ucn 2 の作用を明らかにすることを目的とし、ラッ
ト下垂体前葉の初代培養細胞系における Ucn 2 の性腺刺激ホルモン
の発現と分泌への影響について検討した。ウィスター系雄ラットか
ら摘出した下垂体前葉を単層培養し、Ucn 2 を培養液に添加し、FSH、
LH の分泌量と FSH β鎖、LH β鎖の mRNA 発現量についての検討を行
った。Ucn 2 は FSH 分泌を有意に抑制し、LH 分泌も抑制する傾向を
示したが、FSH β鎖および LH β鎖の mRNA 発現には有意な変化を示
さなかった。また、Ucn 2 の前処理は性腺刺激ホルモン放出ホルモン
(GnRH) 刺激下での FSH、LH 分泌を有意に抑制し、Ucn 2 前処理は GnRH
刺激下での FSH β鎖および LH β鎖の mRNA 発現を有意に抑制した。
以上の結果から、下垂体 POMC 細胞から分泌された Ucn 2 は性腺刺激
ホルモン産生細胞に抑制的に作用し、FSH や LH の分泌と発現を負に
調節することが示唆された。
Phosphatydilinositol 3-kinase (PI3 キナーゼ)はチロシンキナーゼ
により活性化され、
PKB/Akt を介して細胞増殖や細胞死回避に働くキ
ナーゼとして知られている。今回我々は PI3 キナーゼのゴナドトロ
ピン遺伝子発現への関与について検討した。
[方法]下垂体ゴナドト
ロピン産生細胞のモデル細胞として、αT3-1 細胞を用いた。ルシフ
ェラーゼベクターを用い、
αサブユニットのプロモーター活性を PI3
キナーゼ及び PKB/Akt 特異的阻害剤存在下で測定した。
[結果]α
T3-1 細胞において PI3 キナーゼ阻害剤である LY294002 及び
Wortmannin は単独で濃度依存的にαサブユニットプロモーターをコ
ントロールに比べて有意に増加させた。GnRH 刺激によるαサブユニ
ットプロモーターの活性化は、
PI3 キナーゼ阻害剤との同時投与で相
乗的に増加した。LY294002 及び Wortmannin はそれぞれ単独で ERK
活性を増加させた。
PKB/Akt 阻害剤ではαサブユニットの増加は生じ
なかった。
[結語]下垂体ゴナドトロピン産生細胞において PI3 キナ
ーゼ阻害剤は ERK を活性化することでαサブユニット発現を抑制し
ている可能性が示された。
P-3-16-03 下垂体ゴナドトロピン産生細胞におけるドーパミンア P-3-16-04 ゴナドトロピン産生細胞における PACAP の役割につい
ゴニストの直接作用について
て
1
1
島根大学 医学部 産科婦人科
島根大学 医学部 産科婦人科
Sandra Mutiara1、金崎 春彦 1、折出 亜希 1、原田 崇 1、宮崎 康
二1
[目的]ドーパミン D2 受容体はプロラクチン分泌に対して抑制的に
作用することは良く知られている。また下垂体ゴナドトロピン分泌
はドーパミンにより視床下部GnRHニューロンを介して抑制されると
言われている。今回下垂体ゴナドトロピン産生細胞におけるドーパ
ミン D2 受容体の直接作用について検討をおこなった。
[方法]GnRH
及び Pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide (PACAP)
刺激によるゴナドトロピンサブユニット発現に対するドーパミン D2
アゴニストの効果をルシフェラーゼベクターを用いたプロモーター
アッセイで検討した。
[結果]下垂体ゴナドトロピン産生細胞株であ
る LβT2 細胞にはドーパミン D2 受容体が存在した。
GnRH 刺激により
α、LHβ、FSHβサブユニットプロモーター活性は著明に増加したが、
D2 受容体アゴニストはゴナドトロピンプロモーターの活性化に影響
を与えなかった。
PACAP 刺激ではαサブユニットプロモーターのみ活
性化され、LHβ、FSHβサブユニットプロモーターの活性化は認めな
かった。PACAP によるαサブユニットプロモーター活性化は D2 受容
体アゴニストにてほぼ完全に抑制された。
PACAP は LβT2 細胞におい
て細胞内 cAMP 濃度を著名に増加させ、D2 受容体アゴニストはこの
cAMP の増加を抑制した。
[結論]
下垂体ゴナドトロピン産生細胞に存
在するドーパミン D2 受容体は GnRH 刺激によるサブユニット活性化
には影響を与えず、PACAP のような cAMP 上昇刺激に対し負の制御を
おこなっていると考えられた。
原田 崇 1、金崎 春彦 1、Sandra Mutiara1、折出 亜希 1、宮崎 康
二1
PACAP(Pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide)は
細胞内cAMPを上昇させる事で様々な生理的作用を持つと考えられて
いる。今回我々は単一下垂体ゴナドトロピン産生細胞である LβT2
細胞を用いて、
PACAP のゴナドトロピンサブユニット発現に対する役
割について検討した。
PACAP はゴナドトロピンαサブユニットプロモ
ーター活性を強く増加させたが、LHβ、FSHβプロモーターに対する
効果は極めて弱かった。細胞内情報伝達物質では PACAP 刺激で細胞
内 cAMP 葉が著明に増加し、同時に extracellular signal-regulated
kinase (ERK)の活性化も認めた。CPT-cAMP 刺激でも PACAP 同様にα
サブユニットのみが強く活性化された。また恒常活性化型 PKA の強
制発現ではαサブユニットプロモーターが LHβ、
FSHβに比べて強く
活性化されたが、恒常活性化型 MEK の強制発現では LHβサブユニッ
トプロモーター活性がα、FSHβに比べて強く上昇した。LHβ、FSH
βに対する PACAP の単独効果は弱かったが、GnRH との同時投与で
GnRH 単独刺激と比べて有意な増加をもたらした。CPTcAMP も LHβ、
FSHβに対し PACAP と同様の作用を示した。以上の結果より PACAP は
cAMP を介して主にゴナドトロピンαサブユニット発現に関与する
こと、また LHβ、FSHβに対しては GnRH の作用を増強させる効果が
あることが示唆された。
P-3-16-05 マウスアンジオテンシン・バソプレシンデュアル受容 P-3-16-06 プロラクチン放出ペプチド(PrRP)の心血管系への作用
体のクローニングと機能解析
1
1
高知大学 医学部 内分泌代謝・腎臓内科
埼玉大学大学院 理工学研究科 生命科学系専攻、2 東北大学 大
学院 情報科学研究科
岩崎 泰正 1、西山 充 1、次田 誠 1、谷口 義典 1、田口 崇文 1、 山田 倫 1、鈴木 好 1、望月
明和 1、足立 幸香 1、井樋 慶一 2、
何 静 1、岡崎 瑞穂 1、品原 正幸 1、丸山 博 1、橋本 浩三 1
井上 金治 1
【目的】アンジオテンシン・バソプレシンデュアル受容体 (AT/VPR)
は AII と AVP の両ペプチドをリガンドとするユニークな受容体で
あるが、その遺伝子構造や機能に関しては詳細は不明である。今回
我々はマウスの受容体遺伝子をクローニングし、その塩基配列およ
び発現臓器に関する検討を行った。
【方法および結果】遺伝子構造:
マウス AT/VPR 遺伝子(約 6.5 Kb)はラットと比較して翻訳開始部
位のメチオニンがロイシンに置換し、結果的に翻訳開始点がアミノ
酸192 個上流に存在していた。
またcDNA との比較検討により、
AT/VPR
遺伝子は少なくとも5個のエクソンから成ることが明らかとなっ
た。興味深いことに、遺伝子の一部は Pathogen-recognition
receptor 蛋白である NACTH/Nalp6 遺伝子と coding region を共有
していた。発現分布:マウスの各臓器より total RNA を抽出し、
RT-PCR により AT/VPR mRNA の発現を検討した。その結果、AT/VPR は
下垂体、視床、大脳皮質、海馬、小脳、肝臓、胆嚢、腎臓、副腎、
大腸、精巣、白色脂肪細胞など、諸臓器に広汎に発現していた。一
方、心臓での発現は弱く、骨格筋、皮膚、脾臓では発現を認めなか
った。
【考察】マウス AT/VPR 遺伝子は他の受容体蛋白遺伝子とゲノ
ムを共有するユニークな遺伝子であることが明らかとなった。
AVP お
よび AII の両者をリガンドとする許容性、ならびに広汎な発現分布
を考慮すると、本受容体は内分泌系としてのホルモンに対する特異
的な受容体というよりは、各種の細胞外情報を受容するセンサー蛋
白である可能性がある。
プロラクチン放出ペプチド(PrRP)は、1998 年オーファンレセプ
ターの内因性リガンドとして同定された。PrRP 神経細胞は間脳視床
下部背内側核、延髄 A1/A2 領域に存在し、その神経線維を間脳視床
下部の室傍核、橋の青斑核、延髄 A1/A2 領域など、脳内の多くの領
域に投射する。我々はこれまでの研究から、PrRP はストレスを仲介
する神経ペプチドであることを明らかにした。一方、PrRP を側脳室
へ投与すると血圧上昇が引き起こされることが報告された。しかし、
PrRP が中枢神経系のどのような経路を介して心血管系に作用してい
るかは解明されていない。そこで、Wistar 系成熟雄ラットを用いて、
無麻酔・無拘束下で PrRP を側脳室へ投与して血圧の変動を調べた。
さらに免疫組織化学法を用いて、神経活性マーカーである c-fos の
発現が中枢神経系のどの部位で誘発されるかを調べ、心血管系に対
する PrRP の作用機序を検討した。 PrRP の側脳室投与後すぐに血圧
が上昇し、
10 分程度続いた後、
元の値に回復した。
また、
PrRP と c-fos
の二重免疫組織化学を行った結果、青斑核と室傍核に PrRP 陽性神経
が投射することが確認され、これらの部位で c-fos の増加が見られ
た。以上より、PrRP の心血管系への作用は、青斑核や室傍核を介し、
血圧を調節している可能性が考えられた。青斑核へのノルアドレナ
リン(NA)の局所注入により、血圧の上昇が誘発されるという報告
がある。また、青斑核には NA 神経の細胞体が存在しており、その神
経線維は室傍核や延髄など、
脳の広範囲な領域に投射する。
今回 PrRP
投与後、青斑核での c-fos の発現が増加したことから、PrRP は青斑
核の NA 神経を活性化して血圧を上昇させた可能性が示唆された。
P-3-17-01 神経性食欲不振症患者における血中栄養マーカーの検 P -3-17-02
IGF-I stimulates neuronal cell survival by
討
activating Akt through IGF-IR present in caveolae.
1
東京女子医科大学 内分泌疾患総合医療センター 内科、2 政策研 1 名古屋大学 環境医学研究所 内分泌系分野
究大学院大学 保健管理センター
大和田 里奈 1、堀田 眞理 1,2、高野 加寿恵 1
芦 秀麗 1、神部 福司 1、曹 霞 1、妹尾 久雄 1
【目的】神経性食欲不振症(Anorexia nervosa: AN)患者の栄養ア
セ ス メ ン ト で は ,rapid turnover proteins(pre albumin (pre
ALB),retinol binding protein (RBP), transferring (Tf)),血糖,
血 清 脂 質 や , insulin-like growth factor-1 (IGF-1),
triiodothyronine (T3), leptin などが測定されている。いずれが体
重の変化に相関する鋭敏なマーカーかを検討した。
【方法】診断基準
を満たす AN 入院患者 190 名(女性 188 名,男性 2 名,年齢 24.5±0.5
歳,Body mass index (BMI)13.1±0.2 kg/m2)を対象とし,早朝空腹
時に採血を行った。
【結果】BMI と IGF-1, pre ALB, RBP,空腹時血糖
はそれぞれ有意な正の相関を示した(r=0.545, P<0.001; r=0.482,
P=0.001; r=0.430, P=0.004; r=0.306, P<0.001)
。Tf, leptin, 中
性脂肪,微量元素に関しては BMI とは有意な相関は認めなかった。こ
のうち90名で入院および退院時にそれぞれのマーカーを測定したと
ころ,体重の増加率と IGF-1 の増加率には有意な相関が認められた
(r=0.306, P=0.027)が,その他のマーカーの増加率と体重の増加率
には有意な相関は認められなかった。
【結語】血中 IGF-1 は,AN 患者
の体重増加に相関する最も鋭敏な栄養マーカーと考えられた。
IGF-I plays an important role in glucose utilization and survival
of neurons. Caveolae, cholesterol-rich microdomains of plasma
membrane, act as platforms for signal transduction of some
neurotrophic factors. In this study, we examined whether
caveolae structure is required for anti-apoptotic action of
IGF-I on PC12 cells derived from pheochromocytoma. Growth factor
deprivation by serum withdrawal induced apoptosis of PC12 cells,
which was attenuated by the treatment with IGF-I. This
anti-apoptotic action of IGF-I was suppressed by the treatment
with an Akt inhibitor, indicating the involvement of Akt
activation in the neuroprotective action of IGF-I. Also this
action was suppressed by the treatment with methyl
beta-cyclodextrin (CD) that removes cholesterol from plasma
membrane. Immunocytochemical and subcellular fractionation
analyses revealed that IGF-IR was colocalized with caveolin-1,
a major protein component in caveolae, and that the CD treatment
reduced the contents of IGF-IR in caveolae by disrupting caveolae
structure. Consistent with these findings, IGF-I-dependent
phosphorylation of IRS-1 and Akt was impaired in the CD-treated
PC12 cells. The supplementation of cholesterol restored the
IGF-I action. These results indicate that the presence of IGF-IR
in caveolae is required for the neuroprotective action of IGF-I
on PC12 cells.
P-3-17-03 慢性甲状腺炎を合併し下垂体機能前葉低下症と尿崩症 P-3-17-04 リチウム製剤による腎性尿崩症の一例
を認めた下垂体膿瘍の 1 例
1
1
中部労災病院 代謝内分泌内科
琉球大学医学部附属病院 内分泌代謝内科
中山 幹浩 1
中山 良朗 1、神谷 乗史 1、池間 朋己 1、幸喜 毅 1、小宮 一郎 1、
高須 信行 1
症例は74 歳男性。
平成18 年10 月下旬に食欲低下および脱力感出現。
数日後には歩行困難となり当院救急外来受診し、低 Na 血症を認めた
ため精査治療目的にて入院。視野,視力障害は認めなかった。入院時
意識清明、身体所見上特記なし。血清,尿 Na は 120m,58mEq/L、血清,
尿浸透圧は 255,267mOsm/kg。血清 ACTH 20pg/mL,cortisol 0.7μ
g/dL,TSH 5.30μIU/mL,FT4 0.12ng/dL。サイログロブリン,マイクロ
ゾーム抗体とも6400倍と陽性にて下垂体機能低下症と橋本病による
甲状腺機能低下症と診断した。下垂体 MR ではトルコ鞍に T1 強調で
低信号で Gd に ring 状に造影される SOL あり、下垂体茎は腫大し Gd
で造影された。
CRH,TRH,GnRH,GRH による 4 者負荷試験では、
ACTH,TSH
は過大に反応し、GH,FSH,LH は反応低下し、PRL は高値のままで視床
下部性下垂体機能低下症と思われた。経蝶形骨洞下垂体手術を施行
し、腫大した下垂体を認め皮膜を切開すると乳白色の膿汁流出あり。
術中標本で多数の白血球を伴う壊死組織であり下垂体膿瘍と診断。
脳培養は陰性であったが、Grcott 染色標本にて酵母様真菌を検出し
た。下垂体機能低下症に対し副腎皮質ホルモン投与開始後に、4L/日
以上の多尿を認め血清浸透圧 315mOsm/kg と上昇し、尿崩症と診断し
dDAVP 開始。5%高張食塩水負荷試験にて AVP 上昇反応なし。経過良好
で Hydrocortisone および dDAVP 補充にて全身状態良好である。下垂
体膿瘍はまれな疾患で下垂体前葉機能障害は約 50%、尿崩症は約 40%
に認め、約 1/3 の症例で本症例の様に感染症状を伴わず、術前での
確定診断が困難なことがある。症状、画像診断等を総合的に判断し
早期に手術を行うことが必要である。嚢胞性変化を伴う自己免疫性
リンパ球性下垂体炎の症例も報告されており、橋本病を合併してい
ることより今後注意深い経過観察が必要と思われた。
【はじめに】リチウム製剤を使用し腎性尿崩症を発症した症例を経
験したので報告する。
【症例】56 歳女性【現病歴】昭和 60 年不眠症
にて近医受診し,躁鬱病と診断。通院及び入院加療を受け平成 3 年
よりリチウム製剤が開始され, この頃より口渇, 多尿が認められて
いた。平成 17 年 6 月に口渇,多飲,多尿と高ナトリウム血症があり
尿崩症の精査が必要であることを指摘され,一般病棟での入院精査
が困難であることから,平成 17 年 7 月 14 日当院精神科へ入院とな
った。
【検査所見】尿検査:比重 1.004 生化学:BUN 18 mg/dL,Cre 0.67
mg/dL,Na 141 mEq/L, K 4.1 mEq/L, Cl111 mEq/L,ADH 2.0 pg/mL,血
漿浸透圧 305 mOsm/L, 尿浸透圧 139 mOsm/L,リチウム血中濃度 0.85
mEq/L【入院経過】24 時間尿量が 6900 ml,尿浸透圧が血漿浸透圧よ
り低値であること, ADH は 2.0 pg/mL と比較的低値ではあるが,リチ
ウム製剤内服中であることからリチウムによる腎性尿崩症と診断し
た。リチウム製剤を減量したが, 尿量の減少を認めず,トリクロル
メチアジド 0.5 mg/日より内服治療を開始。その後 2 mg/日まで増量
し,一日尿量が 3000∼3500 ml/日となり退院となった。
【考察】リチ
ウムによる尿濃縮力障害は,バソプレッシン(AVP)抵抗性の腎性尿崩
症が原因である。リチウムは adenyl cyclase 活性を阻害し, AVP に
よる cAMP 産生を抑制することにより多尿を来す。リチウム投与ラッ
トでは, 腎髄質の AQP2 の発現量が減少し, 外因性 AVP の投与や脱水
でも完全には回復しない。治療としては,サイアザイド系利尿薬によ
り尿量が減少することが知られており, 本症例でも口渇,多尿の改
善が認められた。
P-3-17-05 F344×Brown Norway ラットにおける腎の尿濃縮能とナ
トリウム保持能、およびバゾプレシン V2 受容体、AQP-2、ナトリウ
ム共輸送体、ナトリウムチャネルの発現に及ぼす加齢と性差の影響
1
名古屋大学大学院医学系研究科 糖尿病内分泌内科学、2Georgetown
University
椙村 益久 1、Tian Ying 2、Ecelbarger Carolyn A.2、Verbalis
Joseph G.2
【目的】加齢に伴い腎の尿濃縮能とナトリウム(Na)保持能は低下す
ることが知られている。今回、腎の尿濃縮能と Na 保持能および、そ
れらに関連する蛋白発現調節における加齢と性差の影響を、腎の加
齢の研究に適していると報告されている F344×Brown Norway ラッ
トを用いて検討した。
【方法と結果】雄と雌の各々3ヶ月齢(若年)と
30 ヶ月齢(高齢)の F344×Brown Norway ラットに普通食または Na 欠
乏食を投与した。高齢雌ラットでは高齢雄ラットに比べ、食種に関
わらず、尿量、尿中 Na 排泄量の増加および尿浸透圧の低下が認めら
れた。腎臓のバゾプレシン V2 受容体(V2R)と AQP-2 の蛋白発現は、
食種に関わらず、高齢雌ラットで高齢雄ラットに比べ著明な低下が
認められた。Na-Cl 共輸送体(NCC)、Na-K-2Cl 共輸送体(NKCC2)、お
よび 上皮性 Na チャネル(ENaC)のα-subunit とγ-subunit の 70kDa
の発現は、雌で雄より若年と高齢の両群で増加した。Na 欠乏食によ
って NCC と NKCC2 の発現は、若年群では増加傾向を示したのに対し
高齢群では低下傾向を示したが、その性差は認められなかった。ま
た Na 欠乏食によってγ-ENaC の 70kDa の発現は若年、高齢の両群で
増加したが、性差は認められなかった。
【結語】雌は雄より加齢に伴
う腎の尿濃縮能と Na 保持能の低下が著明であった。加齢に伴う雌で
の尿濃縮能の低下には V2R と AQP-2 の蛋白発現の低下が関与するこ
とが示唆された。一方、加齢による雌での Na 保持能の低下は、NCC、
NKCC2 および ENaC の蛋白発現の低下によるものではないと考えられ
た。
P-3-17-06 当帰芍薬散の女性生殖器・脳に与える影響の解析
【目的】当帰芍薬散の女性生殖器、視床下部、下垂体に与える影響
を卵巣摘出(OVX)ラット、または下垂体摘出(HPX)ラットを用いて検
討した。
【方法】当帰芍薬散は熱水抽出・凍結乾燥させたものを使用した。
成熟雌ラット(8 週齢)の両卵巣、または下垂体を摘出後、水、当帰芍
薬散(1000mg/kg、p.o.)、17β-estradiol(10μg/kg、s.c.)をそれぞ
れ 1 週間投与した。投与終了後、採血を行った。またさらに、投与
終了後、子宮重量を測定し、卵巣、視床下部、下垂体における女性
ホルモン関連因子発現量を RT/PCR 法により定量した。同様のモデル
において投与終了後に灌流固定し、免疫組織化学染色も行った。
【結果】OVX ラットにおいて、当帰芍薬散は減少した子宮重量を回復
させた。卵巣摘出により減少した血中エストラジオールとプロゲス
テロン量を当帰芍薬散は回復させた。また下垂体前葉において、減
少した StAR、LHβの mRNA 発現量を回復させたが LHαには変化が見
られなかった。視床下部における GnRH は卵巣摘出により mRNA 発現
量が減少したが、当帰芍薬散による優位な回復は見られなかった。
一方、HPX ラットにおいて、当帰芍薬散は視床下部の PACAP、PAC1mRNA
発現量を回復させた。また、組織学的観察により、遅延した卵胞の
発達を促進させたことが明らかとなった。
【結論】当帰芍薬散は視床
下部−下垂体−性腺に対してあらゆる臓器に影響を与え、更年期障
害、不妊症に対する治療薬となりうる可能性が基礎実験により示唆
された。
P-3-17-07 先天性下垂体ホルモン複合欠損症の男子同胞例1家系
での全ゲノム SNP 解析
1
大阪大学 大学院医学系研究科 臨床検査診断学、2 東京慈恵会医
科大学 小児科
巽 圭太 1、宮田 市郎 2
P-3-18-01 グルコキナーゼヘテロ欠損マウスにおける高脂肪食負
荷と妊娠に対する膵β細胞量調節機構の差異
1
横浜市立大学 大学院 医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学 、2
東京大学 大学院 医学系研究科 糖尿病・代謝内科
中村 昭伸 1、高本 偉碩 2、窪田 直人 2、門脇 孝 2、寺内 康夫 1
1
富山大学 和漢医薬学総合研究所 薬物代謝工学分野
鄭 美和 1、服部 征雄 1
【目的】男子同胞例の先天性下垂体ホルモン複合欠損症の病因遺伝
子の解明に向けて、病因遺伝子が存在する可能性のある染色体領域
を検索し、絞り込む。
【背景】我々はこれまで BodyMap 法や公開され
たMicroArrayデータベースを用いて下垂体でよく発現する遺伝子を
明らかにしてきた。これらの遺伝子を、本邦で報告された AVP を含
む先天性下垂体ホルモン複合欠損症の男子同胞例2家系を対象に、
病因候補遺伝子として検討してきたが、蛋白コード領域には患者に
特異的な塩基置換を認めなかった。
【方法】男子同胞例1家系の同胞
2例と両親とに対し MicroArray を用いてヒトゲノム上の SNP 解析
を行い、SNP の家系内連鎖を調べた。
【成績】X 染色体については、
同胞間で 3Mbp の狭い範囲にのみ同胞間で SNP の多型を認め、母の異
なるアリル由来の領域であることを明らかにした。
X 染色体の大部分
の残る領域では SNP の多型を認めず、母の同一のアリル由来であり、
伴性劣性遺伝の病因遺伝子が存在する可能性を否定出来ないことを
明らかにした。常染色体については、同胞間で親の染色体をどのよ
うに受け継いだかが明らかになり、常染色体劣性遺伝だった場合の
病因遺伝子が存在する可能性のある領域を絞り込むことが出来た。
【結論】ゲノム全体の SNP 解析により、男子同胞例1家系での病因
遺伝子が存在する可能性のある染色体領域を絞り込むことが出来
た。
【目的】膵β細胞量は高脂肪食、妊娠などの環境要因によってダイ
ナミックに変化する。普通食下では、グルコキナーゼヘテロ欠損マ
ウス(Gck+/−)は野生型マウス(WT)と同等の膵β細胞量である
のに対し、高脂肪食誘導性インスリン抵抗性状態では、Gck+/−は
WT と異なり膵β細胞の代償性過形成を欠き、耐糖能の悪化が認めら
れた。今回妊娠時における両マウスの膵β細胞量につき検討した。
【方法】WT および Gck+/−を妊娠群(妊娠 16.5∼19.5 日)と非妊
娠群に群別し、体重、随時血糖、膵β細胞量、膵β細胞サイズにつ
いて比較検討を行った。
【結果】妊娠群では非妊娠群に対し、WT、Gck
+/−とも同程度に体重が有意に増加した(WT:妊娠群 41.2±2.2 g
非妊娠群 23.0±0.6 g(p<0.01)
、Gck+/−:妊娠群 40.1±1.3 g 非
妊娠群 23.8±1.2 g(p<0.01)
)
。また WT、Gck+/−ともに、非妊娠
群に対する妊娠群での随時血糖の上昇を認めなかった。膵組織全体
に占めるβ細胞の割合を測定したところ、WT、Gck+/−とも同程度
に有意な増加を示した(WT:妊娠群 0.80±0.10 % 非妊娠群 0.47
±0.10 %(p<0.05)
、Gck+/−:妊娠群 0.72±0.07 % 非妊娠群 0.43
±0.01 %(p<0.05)
)
。β細胞の総面積をその中に含まれる核の数で
除して算出した 1 細胞あたりの面積は、各群で差を認めなかった。
【結論】WT、Gck+/−ともに妊娠に際してβ細胞の過形成を認めた。
妊娠においてはグルコキナーゼを介さない膵β細胞量の調節機構が
存在すると考えられた。
P-3-18-02 PI3キナーゼp85α欠損マウスにおける肝臓でのインス
リン作用と糖代謝の検討
1
横浜市立大学大学院 医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学、2 東
京大学大学院 医学系研究科 糖尿病 ・ 代謝内科、3 筑波大学大学院
人間総合科学研究科 スポーツ医学専攻
秀一 3、窪田 直人
青木 一孝 1、窪田 哲也 2、岩崎 知之 1、森
2
2
3
1
、高本 偉碩 、徳山 薫平 、寺内 康夫
【目的】PI3 キナーゼ p85α欠損マウスは末梢組織でのインスリン感
受性亢進と血糖低値を呈する。今回我々は、同マウスの肝臓でのイ
ンスリン作用と糖代謝を検討した。
【方法】p85α欠損マウスと野生
型マウスで以下の実験を行った。(1)肝臓でのインスリン作用伝達系
を評価した。(2)高インスリン正常血糖クランプ法にて、ブドウ糖注
入量(GIR)、末梢のインスリン感受性(Rd)、及び肝糖放出(HGP)を評
価した。(3)24 時間絶食後に NaH[14C] CO3 を尾静脈に注射し、20 分
後の血中 14C-glucose/Total count(糖産生)を定量した。(4)24 時間
絶食後と再摂食時の G6Pase、PEPCK、GK 遺伝子発現をリアルタイム
PCR にて比較検討した。
【成績】末梢組織同様 p85α欠損マウスの肝
臓では p50αがインスリン作用を伝達していた。
グルコースクランプ
法でGIRとRdは野生型に比しp85α欠損マウスでそれぞれ20%、
28%
上昇していたが、HGP は両群で有意差を認めなかった。また、血中
14C-glucose/Total count は両群で有意差を認めなかった。絶食時
で G6Pase と PEPCK は野生型に比し p85α欠損マウスで、それぞれ
99%、62%上昇していた。GK は絶食時に差を認めないが、再摂食後
は野生型より低下傾向にあった。
【結論】グルコースクランプ法にて
p85α欠損マウスの末梢組織でのインスリン感受性亢進が再確認さ
れたが、絶食時の肝臓での糖新生は抑制されていなかった。
P-3-18-03 Glut4のtranslocationを調節する新たなAkt結合分子
のクローニング
1
群馬大学大学院医学系研究科 病態制御内科学、2 群馬大学保健管
理センター
P-3-18-04 IGF-I は脂肪細胞において活性酸素種(ROS)の産生促進
を介し、インスリン依存性糖取り込みを抑制する
1
神戸大学大学院医学系研究科 内分泌・代謝、神経、血液・腫瘍内
科、2 神戸大学保健管理センター、3 神戸大学医学部保健学科、4 県立
兵庫大学生体機能学
福岡 秀規 1、高橋 裕 1、西澤 衡 1、今中 真理 1、竹野 亮子 1、
井口 元三 2、高橋 路子 1、高橋 健太郎 1、飯田 啓二 1、置村 康
彦 3、加治 秀介 4、千原 和夫 1
岡田 秀一 1、清水 弘行 1、上原 豊 1、土屋 天文 1、大井 晋介 1、
有山 泰代 1、久永 悦子 1、大島 喜八 2、森 昌朋 1
活性化された Akt2 に特異的に結合する分子を yeast two hybrid 法
にてクローニングした。Bait には、Akt2 の活性化に重要な二ヶ所の
残基を T308E、S473D と置換してリン酸化を疑似化した変異型 Akt2
を用いた。Prey にはヒトの骨格筋の cDNA ライブラリーを用いた。そ
の結果、Tctex-1 ファミリーに属する新規分子を得た。その発現は、
3T3L1 脂肪細胞から得た mRNA を RT-PCR にて確認した。Akt2 との結
合は免疫沈降法で確認した。インスリンシグナルへの影響に関して
は、インスリン受容体β鎖、IRS-1、Akt、Erk の燐酸化を western blot
で観察したところ、影響は見られなかった。Glut4 の translocation
への効果を colorimetric assay にて評価したところ、インスリン非
刺激下での Glut4 の translocation は有意に増加し、インスリン刺
激後の Glut4 の translocation は有意に減少した。以上の事実から、
我々はインスリン抵抗性を惹起する可能性のあるAkt2結合分子をク
ローニングしたと考えた。
P-3-18-05 糖質負荷による耐糖能悪化のメカニズム:肝における
性ホルモン代謝の影響
1
大阪大学大学院医学系研究科老年・腎臓内科学、2 近畿大学医学部
内分泌・代謝・糖尿病内科学
野嶋 孝次 1、藤澤 智巳 1、能宗 伸輔 1、池上 博司 2、荻原 俊男
1
【背景】
IGF-I は酸化ストレスを介して寿命の制御に深く関与してい
ることが示唆されているが、どのように酸化ストレスを調節してい
るのかについては不明な点が多い。また、脂肪組織はインスリンシ
グナルを介した寿命調節に重要な役割を果たしている。
【目的】脂肪
細胞における活性酸素種(ROS)産生およびインスリン感受性に及ぼ
す IGF-I の効果を調べた。
【方法】3T3-L1 脂肪細胞を用い、ROS の産
生を nitroblue tetrazolium (NBT)を用いて測定した。また各種阻害
剤を用いてROS産生に関する細胞内シグナルについて検討を行った。
さらに、2-deoxy-D-[1, 2-3H]glucose を用いて糖取り込みを測定し
た。
【結果】
IGF-I は 3T3-L1 脂肪細胞において有意に ROS の産生を促
進した。この ROS の産生は PI3-Kinase、MAPK 阻害剤では抑制されな
かった。また、NADPH 酸化酵素の阻害剤で処理すると、この ROS 産生
促進効果は部分的に抑制された。次に IGF-I による ROS の産生がイ
ンスリン感受性に影響するか否かについて検討を行った。
IGF-I 存在
下では糖取り込みの基礎値が有意に上昇したが、インスリン依存性
糖取り込みは抑制されていた。興味深いことに抗酸化剤で前処置す
ると IGF-I によるインスリン抵抗性が解除された。
【結論】IGF-I は
脂肪細胞において ROS 産生を促進するとともに、その ROS を介して
インスリン抵抗性を惹起していると考えられた。
【考察】IGF-I は脂
肪細胞において ROS 産生を介して寿命の制御に関わっている可能性
がある。
(目的)糖質負荷による耐糖能悪化のメカニズムを代謝の中心であ
る肝での遺伝子発現レベルの変化から検討。
(方法)4−16 週齢に
30 % 蔗糖飲水負荷した雄性2型糖尿病モデル NSY マウス(HS-NSY:
n=5)と対照の雄性 C3H マウス(HS-C3H: n=5)、および通常飼育の雄性
NSY(n=5)、C3H(n=5)の計4群を対象に、体重・耐糖能・脂肪肝を検
討、さらに肝の遺伝子発現を DNA chip (12,000 遺伝子)、RT-PCR に
て比較。
(結果)
蔗糖負荷によりC3Hでは軽度の体重増加(25.9→29.5
g)を認めたが、糖負荷後血糖 120 分値は増加しなかった(3.2→3.2
mmol/l)。一方 NSY では体重(34.4→50.4 g, p<0.001)、糖負荷後血
糖 120 分値(3.6→6.0 mmol/l, p<0.001)とも著明な増加を認めた。
HS-NSY は著明な脂肪肝を呈し、遺伝子発現プロフィール解析の結果
HS-C3H と大きな差を認める遺伝子の中にテストステロン代謝に関与
する3つの遺伝子を認めた。NSY は蔗糖負荷により血中 androgen 濃
度が増加しており、通常飼育の NSY・C3H に testosterone を投与し
たところ NSY でのみ耐糖能悪化を認めた。
(結論)2型糖尿病モデル
動物において、androgen により惹起される耐糖能障害が存在し、糖
質負荷はこの異常を促進することにより耐糖能を悪化させることが
示された。
P-3-18-06 GH,
IGF-I による膵β細胞におけるフォークヘッド転写 P-3-19-01 ショ糖摂取による血漿尿酸値上昇のメカニズムとアカ
因子 FOXO1 のリン酸化
ルボースによる抑制効果
1
東京大学 医学部 糖尿病・代謝内科、2 東京大学 医学部 腎臓・ 1 兵庫医科大学 内科 内分泌・代謝科
内分泌内科
関根 信夫 1、門脇 孝 1、藤田 敏郎 2
森脇 優司 1、井野口 卓 1、華 常祥 1、堤 善多 1、高橋 澄夫 1、
山本 徹也 1
【目的】我々は GH が膵β細胞の増殖刺激およびアポトーシス抑止作 【目的】ショ糖はαグルコシダーゼによってグルコースとフルクト
用を発揮すること,同作用には JAK2-STAT5 の活性化や,それに続く ースへと分解されるが,フルクトースの代謝による ATP の分解亢進
Bcl-XL の活性化が関与することを報告した.また IGF-I も膵β細胞 やインスリン,乳酸濃度の増加による尿酸排泄の抑制によって血漿
の増殖刺激/抗アポトーシス作用を有することが知られている.今 尿酸値の上昇をもたらすと推測される.そこで,1) ショ糖摂取によ
回,細胞の生存や種々の機能制御に重要な役割を果たすことが知ら る尿酸代謝の変動と,2)αグルコシダーゼ阻害の尿酸代謝への影響
【方法】1) 健常男性に 1.5g/kg のショ糖の投与
れているフォークヘッド転写因子 FOXO1 の膵β細胞における活性に について検討した.
及ぼす GH,
IGF-I の作用について,
INS-1 細胞を用いて検討した.
【方 を行い,投与前後の血漿および尿中のプリン塩基(ヒポキサンチン,
法】INS-1 細胞を無血清で調整した培地(SFM)内で GH(5,25nM)また キサンチン,尿酸)を測定した.またアロプリノール 300mg をショ糖
は IGF-I(0.1,1nM)により 15 分刺激し,Akt,FHKR,および Bcl-XL の の摂取前に投与し,同様の測定を行った.対照としてアロプリノー
リン酸化を,各々のリン酸化蛋白に特定的な抗体を用いてウェスタ ル 300mg のみを投与し,同様の測定を行った.2) 健常男性にショ糖
ンブロット法により検討した.また,SFM 内に GH または IGF-I を単 摂取前にアカルボース 100mg を投与し,投与前後の血漿および尿中
【成績】1) ショ糖の摂取により血漿尿酸値
独あるいは同時に添加して INS-1 細胞を 48 時間培養した後,細胞増 尿酸排泄量を測定した.
尿酸の尿中排泄およびクリアランスには有意の
殖を 3H-チミジンの取り込みで,アポトーシスをモノ(オリゴ)ヌク は約 11%増加したが,
レオソームを検出する ELISA 法で定量的に評価した.
【成績】GH は 変化はみられなかった.またヒポキサンチン,キサンチンの血漿濃
5,25nM いずれの用量においても Akt,FHKR,Bcl-XL のリン酸化を促 度および尿中排泄に変化はみられなかった.アロプリノール投与後
進した.一方,IGF-I は Akt のリン酸化を促進したものの,FHKR の にショ糖を摂取すると,尿中のヒポキサンチン排泄,血漿ヒポキサ
リン酸化は微弱であり,Bcl-XL のリン酸化刺激は明らかではなかっ ンチン,キサンチンの濃度は有意に増加した.アロプリノールの単
た.GH,IGF-I はともに INS-1 細胞の増殖を刺激する一方,アポトー 独投与ではプリン塩基の血漿濃度および尿中排泄に変化はみられな
シスを抑制したが,GH の作用はより顕著であり,GH による最大刺激 かった.2)アカルボースの投与によって,ショ糖による血漿尿酸値
【結論】1) ショ糖の摂取時には ATP の分解
下では IGF-I の相加作用は認められなかった.また,増殖刺激/抗 上昇の抑制がみられた.
アポトーシス作用の程度は上記のリン酸化作用とほぼ相関してい の亢進によって血漿尿酸値が上昇することを明らかにした.2) アカ
た.
【結論】膵β細胞における GH および IGF-I による FOXO1 のリン ルボースは,ショ糖の吸収阻害によってフルクトースへの分解を遅
酸化を示した.また GH,IGF-I による膵β細胞量の調節作用におけ 延させ,血漿尿酸値の上昇を緩和すると考えられた.
る Akt, FOXO1 および Bcl-XL の活性化の役割の重要性が示唆された.
P-3-19-02 日本人肥満女性における SUR1 AGG1273AGA 多型と P-3-19-03 ビール,焼酎の長期飲用による血漿尿酸値,尿中尿酸
Kir6.2 E23K 多型の耐糖能への影響
排泄量への影響
1
京都第二赤十字病院 代謝・内分泌・腎臓内科、2 京都府立医科大 1 兵庫医科大学 内分泌代謝科
学 内分泌機能制御学、3 京都市立病院 糖尿病・代謝内科、4 松下
記念病院 糖尿病・内分泌科、5 坂崎診療所 内科、6 京都府立医科
大学 生体機能制御学
高倉 康人 1、吉田 俊秀 2,3、吉岡 敬治 4、小暮 彰典 2、梅川 常
和 2、戸田 均 5、吉川 敏一 6
【目的】SUR1 と Kir6.2 は共に膵β細胞の KATP チャンネルを形成しイ
ンスリン分泌に関与する。最近 Sur1 AGG1273AGA 多型と Kie6.2 E23K
多型の研究で両方の minor Allele を持つ固体で境界型糖尿病から 2
型糖尿病を発症する危険が高いと報告された。糖尿病がない日本人
肥満女性で、2 つの遺伝子多型と耐糖能の関連を検討。
【方法】対象
は日本人肥満女性 120 名(平均 BMI32.6±5.9kg/m2)。fluorescent
allele-specific DNA primer assay system で SUR1 AGG1273AGA 多
型、Kir6.2 E23K 多型を測定。対象を HbA1c5.6%未満、5.6%以上の
2 群に分け比較検討。
【成績】SUR1AGG1273AGA 多型は、HbA1c5.6 未満
と 5.6 以上で各遺伝子型の出現頻度に有意差を認めず。Kir6.2 E23K
多型は HbA1c5.6 未満で E/E 型 37.9%、E/K 型 50.6%、K/K 型 11.5%、
5.6%以上で E/E 型 33.3%、E/K 型 36.4%、K/K 型 30.3%と有意に
K/K 型が 5.6%以上の群で多かった(p=0.043)。検体を SUR1 は AGA
群(AGG/AGG)と xGA 群(AGG/AGA+AGA/AGA)、Kir6.2 は E 群(E/E)と xK
群(E/K+K/K)にわけ、
4 つの組み合わせ(AGA/E、
AGA/xK、
xGA/E、
xGA/xK)
で同様に HbA1c との関連を調べたが、有意な関連は認めず。xGA/xK
群は他の 3 群と比較し空腹時血糖が高く HOMA-βが低い傾向にあっ
たが、有意差は認めず。
【結論】日本人肥満女性で、Kir6.2 E23K 遺
伝子多型の K/K 型を有する固体では、HbA1c5.6%以上の「糖尿病が否
定できない群」が多く糖尿病発症の危険が高い示唆された。両方の
minor Allele を有する群ではインスリン分泌能が低い傾向があっ
た。
華 常祥 1、井野口 卓 1、堤 善多 1、高橋 澄夫 1、森脇 優司 1、
山本 徹也 1
【目的】飲酒は高尿酸血症の一要因であるが,わが国では,アルコ
ール飲料を毎晩飲用する習慣がみられ,中でもビールと焼酎はよく
飲用されている.アルコール飲用後に血液中の尿酸値が上昇するこ
とは知られているが,ビールや焼酎を長期間飲用した場合の尿酸値
の変化については,あまり知られていない.そこで,われわれはビ
ール,焼酎を3ヶ月間毎日飲用した場合の尿酸代謝の変化について
検討した.
【方法】
5 名の健常な男性を対象にビール(5%アルコール含
有)を体重 1 kg あたり 20 ml 飲用させ,また,焼酎はビールのアル
コール度に相当する量を飲用させた.採血,採尿をそれぞれ実験前,
実験開始 1 ヶ月後,2ヶ月後,3ヶ月後に施行し,血清尿酸値,尿
中尿酸排泄量について検討した.
【成績】ビールでは,血清尿酸値が
開始前, 1 ヶ月後,2ヶ月後,3ヶ月後で,それぞれ 6.06±0.83,6.38
±1.08, 6.20±1.6, 6.29±1.08 mg/dl,尿中尿酸排泄量が 615.8±
114.9, 763.5±195.9, 729.2±224.1, 724.1±229.7 mg/day とそれ
ぞれ上昇傾向を示したが,有意差はみられなかった.同様に焼酎で
も,血清尿酸値がそれぞれ 5.86±1.12,6.31±1.13, 6.37±0.67,
6.13±0.97 mg/dl,尿中尿酸排泄量が 600.8±131.2, 648.6±73.8,
606.2±192.7, 602.2±164.8 mg/day と上昇傾向を認めたが,有意
差は見られなかった.
【結論】今回の結果では,ビール,焼酎による
血中尿酸値の上昇ならびに尿中排泄量の有意な増加はみられなかっ
た.現時点では,健常者でビール,焼酎を常習飲酒しても,尿酸代
謝に影響ないと考えられた.
P-3-19-04 腎結石保有痛風患者と非保有患者のメタボリックシン P-3-19-05 2型糖尿病患者の血糖値コントロール安定性の指標と
ドローム因子,尿 pH および尿酸代謝の比較検討
しての血中遊離脂肪酸
1
1
兵庫医科大学 内科 内分泌・代謝科
大津赤十字病院 内科
高橋 澄夫 1、森脇 優司 1、堤 善多 1、井野口 卓 1、華 常祥 1、
山本 徹也 1
【目的】痛風患者とメタボリックシンドローム(以下 MS)の関連が示
唆されている.我々は痛風患者では HOMA 指数と 24 時間尿の pH が逆
相関し,尿 pH の低下にインスリン抵抗性が一部関与している可能性
を示唆した.一方,尿 pH の低下は尿路結石を誘発する一因と考えら
れており,さらに,尿路結石と MS の関連が示唆されている.そこで
今回,腎結石保有痛風患者と非保有患者における MS の因子,尿酸代
謝および尿 pH について検討した.
【方法】腎結石保有痛風患者 32 名
と腎結石非保有痛風患者 121 名を対象として,尿 pH,腹囲,血圧,
中性脂肪及び HDL-C,空腹時血糖,IRI,内臓脂肪面積および尿酸代
謝の検討を行った.
【成績】1) 収縮期血圧は両群とも 130mmHg 以上
で,TG も 150mg/dL 以上を示したが,両群間で血圧,空腹時血糖,中
性脂肪(TG),HDL-C に有意差はなかった.2) 腎結石非保有者に比べ
て保有者で 24 時間尿 pH は有意に低下しており(p<0.01),逆に臍周
囲径,内臓脂肪面積,IRI は有意に増加していた(p<0.01).3) 尿酸
代謝には両群間で有意な差はみられなかった. 4) 腎結石保有痛風
患者のうち,MS の基準を満たす患者は 16 名/32 名,非保有者は 29
名/121 名で,腎結石保有者で高頻度であった(p<0.05).【結論】腎
結石保有者では,尿 pH の低下,腹囲および内臓脂肪面積の増加,血
圧の上昇,TG の増加が見られた.以上より内臓脂肪の増加に起因す
るインスリン抵抗性が一部関与している可能性が示唆され,特に MS
を伴う場合には,尿路結石を予防する面からも積極的に治療を行っ
た方が良いと考えられた.
浜崎 暁洋 1、谷口 孝夫 1、岡本 元純 1
【背景・目的】2型糖尿病の発症において血中遊離脂肪酸(FFA)の
上昇が重要な役割をはたしていることがよく知られ、2型糖尿病患
者あるいは非糖尿病肥満者においてみられる FFA の上昇を改善させ
ることによる耐糖能改善も報告されている。
FFA の持続的な上昇がイ
ンスリン抵抗性の原因となるとともに、膵β細胞からのインスリン
分泌を抑制することが知られている。また、脂肪酸代謝調節はイン
スリンの担う主要な代謝調節の一つであり、血中グルコースのほか、
FFA の動態もインスリン作用をよく反映している。
2型糖尿病患者に
対する治療効果の評価には血糖値のほか、インスリン抵抗性やイン
スリン分泌能の改善の評価に血中インスリン値や血中 C-ペプチド
値、あるいはこれらにより算出される諸指標が用いられているが、
FFA 値も上記のような観点から、
その低下がインスリン抵抗性やイン
スリン分泌能の改善に寄与していることに加え、各種治療によるイ
ンスリン作用の改善を反映する指標となりうることが考えられる。
2型糖尿病患者においてその検討を行った。
【方法】血糖値コントロ
ール目的に当院に入院した2型糖尿病患者の入院時および退院前に
おける早朝空腹時の血中 NEFA 値および朝食後2時間値を測定し、そ
の関連指標と退院後の HbA1C の改善状況との関係を評価した。
【結果】
入院加療中の血糖値の改善にあわせて、NEFA 値は食前値、食後2時
間値ともに有意に減少した。退院時における食前後 NEFA 値の変化率
が小さいほど退院後初期における HbA1c の改善の大きいことが示さ
れた。
【結語】血中遊離脂肪酸値はインスリン作用を反映し、糖尿病
患者の血糖値コントロールの安定性を予測する有用な指標となりう
ることが示唆された。
P -3-19-06 尿 酸 降 下 薬 投 与 前 後 の 動 脈 硬 化 危 険 因 子 と P-3-19-07 心臓足首血管指数(CAVI)を用いた 2 型糖尿病患者に
adiponectin の変化
おける動脈硬化の臨床的検討
1
1
兵庫医科大学 内科 内分泌代謝部門
済生会横浜市東部病院 糖尿病内分泌内科、2 東邦大学 糖尿病代
謝内分泌科
堤 善多 1、高橋 澄夫 1、華 常祥 1、井野口 卓 1、森脇 優司 1、
山本 徹也 1
【目的】痛風患者に尿酸降下薬を投与すると血清尿酸が低下し,痛
風発症が回避できるが,今日では痛風患者の生命予後は動脈硬化性
疾患で決定されることが多い.しかし動脈硬化に対する尿酸降下薬
の影響はいまだ検討が十分ではない.そこで動脈硬化の危険因子と,
動脈硬化抑制作用が報告されている adiponectin を痛風治療前後で
測定し比較した.
【方法】未治療男性痛風患者 100 名を尿酸降下剤投
薬前後で各種検査を行った.痛風病因の内訳は産生過剰型(over
群)50 名,排泄低下型(under 群)50 名で,over 群は allopurinol,
under 群は benzbromarone を投与し,
1年以上後に投与後検査を行っ
た.血清 adiponectin は早朝空腹時血清を材料としてキット:ヒト
アディポネクチン ERISA キット(大塚製薬)を用いて測定した.
【成
績】1)治療前後ともに adiponectin は体重,BMI,血清空腹時インス
リン濃度と強い逆相関関係にあった.2)治療後の尿酸は治療前と比
較して有意に低下(前: 9.2±1.4mg/dl,後 5.3±1.5mg/dl,p<
0.0001)し,治療前後の尿酸値は over 群・under 群間に有意差はな
かった.3)治療後の血清 adiponectin は治療前と比較して有意に上
昇し(前:5.3 μg/ml,後:5.8 μg/ml,p<0.05)
,特に under 群で
有意に上昇していた.4)しかし血清および尿中尿酸と adiponectin
とには相関はみられなかった.5)治療前後で体重,BMI,血圧,糖代
謝,脂質代謝に有意な変化は認めなかった.
【結論】痛風患者の薬剤
治療後で,明らかな体重変化を伴わない血清 adiponectin の増加が
観察された.
土田 恭代 1,2、比嘉 眞理子 1、須江 麻里子 2、吉原 彩 2、廣井 直
樹 2、芳野 原 2
【目的】糖尿病患者において動脈硬化の合併は生命予後を決定する
因子として重要である。近年、簡便でかつ血圧変動の影響を受けに
く非侵襲的動脈硬化の指標として心臓足首血管指数(CAVI)が開発
され有用と報告されている。今回我々は 2 型糖尿病患者において、
CAVI を用いた動脈硬化評価に関与する臨床因子につき検討した。
【対象および方法】対象は当院通院中の 50 歳以上の 2 型糖尿病患者
100 例(63.1±11.3 歳、男 65 例、女 35 例)
。CAVI は VaSera VS-1000
(Fukuda Denshi)を用いて、左右の上腕と足首で収縮期および拡
張期血圧を測定し、上腕と足首間の血圧未補正 PWV を解析した。同
時に BMI も測定した。血圧、総コレステロール、中性脂肪、空腹時
血糖、HbA1C、血清クレアチニンは 1 年間の平均値を求めた。さらに
100 例中 40 例は、頚動脈内膜中膜複合体肥厚度(IMT)
、尿アルブミ
ン排泄率を測定した。統計上 p<0.05 をもって有意とした。
【結果】
100 例の CAVI は 10.18±2.47 であり、50 歳以上の健常人 50 例の
CAVI8.63±0.92 に比し有意に高値であった。2 型糖尿病患者 100 例
の年齢別比較では 69 歳以下に比較し、
70 歳以上で有意に高値であっ
た。HbA1C8%未満(9.5±2.2)と比較して、8%以上(10.6±2.5)で有意
に高値であった。また男性、BMI 高値、高血圧、高脂血症、脂肪肝の
合併により CAVI は有意に高値であった。しかし喫煙や網膜症、腎症、
IMT 肥厚の有無、とは有意差を認めなかった。
【結論】2 型糖尿病患
者の CAVI は健常人に比し有意に高値であった。2 型糖尿病での CAVI
は年齢、血糖コントロール、高血圧、高脂血症、肥満、脂肪肝で有
意に上昇したが、網膜症や腎症、頸動脈硬化症の有無では有意差を
認めなかった。
P-3-20-01 高血糖誘発高血圧高脂血症自然発症ラットの内蔵脂肪 P-3-20-02 グルココルチコイドは in vivo で血中アディポネクチ
ンを上昇させる
とアディポカインにおける蔗糖、高脂肪食長期間負荷の影響
1
1
聖マリアンナ医科大学 薬理学、2 同大学院実験動物
高知大学 医学部 内分泌代謝・腎臓内科
熊井 俊夫 1、田中 政巳 2、渡辺 実 1、小林 真一 1
品原 正幸 1、西山 充 1、岩崎 泰正 1、野口 徹 1、橋本 浩三 1
生活習慣病では高血圧、高脂血症ならびに高血糖を合併することに
より高頻度で心血管イベントを発症する。以前私どもは高血圧高脂
血症自然発症ラット(SHHR)を開発し、さらに高脂肪食と蔗糖を負
荷することにより高血糖、高脂血症、高血圧を合併したモデルを作
成した。今回私どもは、この高血糖誘発高血圧高脂血症自然発症ラ
ット(HGSHHR)を用いて、高脂肪高血糖負荷期間の内臓脂肪に与え
る影響について検討した。生後 4 ヶ月齢の雄性 SHHR に 1 ヶ月間
L-NAME(100 mg/L)を負荷後、5 ヶ月齢より高脂肪食と 15% 蔗糖含有
飲料水を 2 ヶ月間、
4 ヶ月間および 6 ヶ月間摂取させた。
インスリン、
アディポネクチン、レプチン、TNFαは ELISA で測定した。内蔵脂肪
量は SD では負荷による影響が見られなかったが、
SHHR では負荷期間
が長くなるにつれ有意に増大した。血中インスリンレベル、レプチ
ンレベルは SHHR 対照群に比し HGSHHR の負荷群でいずれの処置期間
でも有意高値を示し、負荷の期間が長くなるにつれ上昇した。一方、
血中アディポネクチンレベルは SHHR 対照群に比し HGSHHR 群 2 ヶ月
では有意高値を示したが、HGSHHR4、6 ヶ月群ではその上昇の程度が
抑制された。また、血中 TNFαは SHHR 対照群と HGSHHR2 ヶ月群の間
には差がなかったが、HGSHHR4、6 ヶ月群では有意高値を示した。以
上の結果、高脂肪食負荷 SHHR に高血糖を長期間負荷することにより
内蔵脂肪量が著明に増大し、短期では代償的に上昇したアディポネ
クチン分泌の促進が抑制され、さらに高血糖を長期間負荷すること
により TNFα分泌が上昇する可能性が示された。
【背景】アディポネクチン (AdN) は肥満者では血中濃度が低下する
ことが知られているが,グルココルチコイドによる分泌調節は明ら
かにされていない.今回我々は,グルココルチコイド投与により肥
満となるマウスモデルと,クッシング症候群の表現型を呈する
Corticotropin-releasing hormone (CRH) 過剰発現マウスを用いて,
血中 AdN 濃度および脂肪組織での AdN mRNA 発現量を検討した.
【方
法】(1) C57BL/6 マウスにプラセボまたはコルチコステロン (CORT)
ぺレットを留置して,3 日,7 日,14 日後に血液および精巣周囲脂肪
を採取した.(2) 6 週および 14 週齢の雄性 CRH 過剰発現マウス
(CRH-Tg) および野生型マウスより同様に組織を採取した.血中 AdN
濃度を ELISA キットにて測定,またリアルタイム PCR により脂肪
組織での AdN mRNA 発現量を検討した.
【結果】(1) CORT 投与 7 日
後に血中 AdN 濃度の有意な上昇が認められたが (placebo: 11.7±
0.8, CORT: 17.0±1.1 ng/ml),CORT 投与 3 日および 14 日後の脂
肪組織での AdN mRNA 発現は有意な減少が見られた (14-day;
placebo: 3.17±0.49, CORT: 1.26±0.32).(2) CRH-Tg ではいずれ
の週齢においても血中 AdN 濃度の有意な上昇が認められたが
(14w-old; wild: 7.9±1.0, CRH-Tg: 13.0±1.2 ng/ml),14 週齢の
CRH-Tg では脂肪組織の AdN mRNA 発現の有意な減少が見られた
(wild: 0.69±0.06, CRH-Tg: 0.30±0.03).
【考察】グルココルチコ
イドが過剰な状態では,脂肪組織では AdN mRNA 発現量は低下する
が,血中 AdN 濃度は上昇することが示された.この血中 AdN の上
昇は,グルココルチコイドによるインスリン抵抗性を軽減させてい
る可能性がある.
P-3-20-03 マウス膵発生過程における HNF-4α、HNF-1α、HNF-1
βの発現様式の検討
P-3-20-04 Hepatocyte Nuclear Factor 4α (HNF4α)と GATA との
協調作用による ATP-binding cassette G5 および G8 (ABCG5, ABCG8)
の発現調節機構
1
東京大学 先端科学技術研究センター システム生物医学ラボラ
トリー、2 日本バイオ・ラッド ラボラトリーズ
1
2
大阪大学大学院 医学系研究科 内分泌代謝内科学、
東京大学 先
端科学技術研究センター、3 兵庫医科大学 内科学 糖尿病科
南茂 隆生 1、山縣 和也 1、田中 十志也 2、児玉 龍彦 2、福井 健
司 1、宮川 潤一郎 3、下村 伊一郎 1
【目的】HNF-4α、HNF-1α、HNF-1βの遺伝子異常により MODY1,3,5
が発症する。膵発生過程におけるこれらの発現様式を明らかにする。
【方法】胎生期の C57BL/6 マウス膵を用い、免疫染色により検討し
た。
【結果】HNF-4αの発現は E9.5 より認められた。多くの細胞にお
ける染色強度はほぼ一様であったが、α細胞には強い発現が認めら
れた。E13.5 より、導管様構造において染色強度の低下傾向が認めら
れた。E15.5 において、Neurogenin3 (Ngn3)陽性細胞中 HNF-4αを共
発現する細胞の割合は 21.9%であったが、E14.5 以前には多数認めら
れた。これに対し、Isl1 陽性および Pdx1 強陽性細胞の 80%程度には、
発生過程を通じ HNF-4αの発現が認められた。HNF-1αの発現様式は
HNF-4αと類似していたが、α細胞に特に強い発現は認められなかっ
た。HNF-1βの発現は E9.5 より認められた。多くの細胞における染
色強度はほぼ一様であったが、
E12.5 より導管様構造に発現が限局す
る傾向が認められ、
E15.5 にはアミラーゼおよび膵ホルモン陽性細胞
に HNF-1β染色は観察されなかった。E15.5 には Ngn3 陽性細胞の
12.3%が HNF-1βを共発現していたが、E13.5 以前にはより多数認め
られた。
【結語】膵内分泌前駆細胞は種々の程度に HNF-4α、HNF-1
α、HNF-1βを発現していた。分化した内分泌細胞は HNF-4α、HNF-1
αを発現するが、HNF-1βの発現はほとんど認められなかった。
十志也 1、内田 あおい 1、馬郡 健太 1、
寿見 孝一 1,2、田中
1
児玉
龍彦 、酒井
寿郎 1
コレステロールは胆汁酸としてあるいは胆汁酸とミセルを形成して
体外へ排泄される。肝臓および腸管からのコレステロールの排泄は
ハーフトランポーターのATP-binding cassette G5 およびG8 (ABCG5,
ABCG8)により調節されている。これらの 2 つの遺伝子の発現は二方
向性のプロモーターにより発現制御を受けているが、その制御機構
については明らかでない。今回我々は、hepatocyte nuclear factor
4α (HNF4α)が GATA と協調的に働くことによって ABCG5 および
ABCG8 の発現を制御していること見出したので報告する。
アデノウィ
ルスによる過剰発現および siRNA によるノックダウンの結果より、
HNF4αの標的遺伝子として ABCG5/ABCG8 を抽出した。レポーターア
ッセイ,elecrophoretic mobility shift assay (EMSA)およびクロ
マチン免疫沈降法(ChIP)によるプロモーター解析より、
ABCG5 翻訳開
始点上流-176bp に HNF4α応答配列を同定した。また、この HNF4α応
答配列近傍には種間で高度に保存されたGATA応答配列が存在してお
り、この配列に GATA4 や GATA6 が結合すること、GATA と HNF4αとの
共発現によって二方向性プロモーターの転写が顕著に活性化され
た。以上のことから、HNF4αと GATA とが協調的に働くことによって
ABCG5/ABCG8 の発現を誘導し、
コレステロールの排泄を制御すること
が示唆された。
P-3-21-01 高脂血症、肝機能障害を呈したコレステロールエステ P-3-21-02 血清γ-GTP と内臓・皮下脂肪面積と肝脂肪含有量との
ル蓄積病の1例
関連
1
1
京都大学 医学部 小児科、2 日本赤十字社
横浜市立大学 内分泌・糖尿病内科、2 横浜市立大学附属市民総合
医療センター
依藤 亨 1、百井 亨 1,2
岩崎 知之 1、根津 潤 1、高橋 まゆみ 1、中村 昭伸 1、青木 一孝
1
、木村 真理 1、菊地 泰介 2、寺内 康夫 1
症例は初診時14歳女性。やせを主訴に受診した近医にて肝機能障 【目的】γ-GTP は BMI、ウエスト周囲径と相関するとの報告がある。
害、高脂血症を指摘され来院した。家族歴に特記すべきことなし。 しかし脂肪分布を反映する内臓・皮下脂肪、肝脂肪含有量とγ-GTP
初診時、BMI15.0 のやせを認め、弾性やや硬の肝を3cm季肋下 との関連を直接解析した報告はない。内臓・皮下脂肪、肝脂肪含有
【方法】アルコール摂取量 20g/日
に触知したほかは、理学的所見に異常なく、全身状態良好であった。 量とγ-GTP との関係を解析した。
γ-GTP、
HbA1c、
血液検査にて AST 142 IU/L, ALT 176 IU/L, TChol 502 mg/dl, 以下の2型糖尿病群171 人と非糖尿病群88 人に対し、
LDL-chol 387 mg/dl, HDL 35 mg/dl, TG 531mg/dl と IIb 型の高脂 血清脂質測定、腹部 CT を施行し、臍レベルの内臓脂肪・皮下脂肪面
肝脂肪含有量を測定した。
肝脂肪含有量は肝と脾のCT値比率
(L/S
血症、HDL-chol の低値、肝機能障害を認めた。肝生検では、肝細胞 積、
に PAS 陽性物質と脂肪滴の蓄積を認め、門脈域中心の線維化(F2) 比)にて評価した。内臓・皮下脂肪面積、肝脂肪含有量とγ-GTP の
【結果】2型糖尿病群と非糖
と軽度の炎症細胞浸潤を認めた。栄養指導による栄養状態の改善と 関連に対し単回帰、重回帰分析をした。
ともに AST, ALT, Tchol の低下を認めたため、フルバスタチン内服 尿病群との間ではγ-GTP、内臓脂肪、皮下脂肪に差を認めなかった。
にて外来で経過を観察していたところ、一旦改善していた肝機能障 2型糖尿病群と非糖尿病群を合せた群に対し解析を行うとγ-GTP は
害、高脂血症が、やせが再発しないにもかかわらず再度増悪傾向を 内臓脂肪面積、L/S 比、中性脂肪と強い相関を示したが、皮下脂肪面
認めるようになったため、さらなる原因精査を行った。骨髄検査、 積、HDL-C、LDL-C とは相関しなかった。多変量解析にて年齢、性、
甲状腺機能、グルカゴン負荷試験、OGTT に異常なし。CT上はCT HbA1c で補正しても内臓脂肪面積、L/S 比、中性脂肪に対してγ-GTP
【考察】
γ-GTP は2型糖尿病群と非糖尿
値の低下を認めたが、超音波上の脂肪肝はなし。症状と組織所見よ は有意な独立変数であった。
りコレステロールエステル蓄積病を疑い、末梢血 DNA を用いて酸性 病群に関らず内臓脂肪面積、肝脂肪含有量、中性脂肪に相関した。
リパーゼの遺伝子解析を行い診断確定した。現在アトルバスタチン、 γ-GTP は胆道系酵素であり胆汁を介した脂質の吸収に関与し、その
コレスチミド、低コレステロール食にて経過観察中である。本症は ため門脈を介した脂肪蓄積と関係していると想定すれば、皮下脂肪
極めてまれな疾患であるとされているが、軽症型では50歳代で始 蓄積とは相関せず内臓脂肪面積、肝脂肪含有量、中性脂肪と関係し
【結語】
γ-GTP は内臓脂肪蓄積の指標
めて診断された症例も報告されている。高脂血症、肝機能障害とも ている成績を説明可能である。
に他の一般的な原因によるものと誤認される可能性もあり、治療法 となりうる。
の確立のためにも今後注意を払っていくべき疾患ではないかと考え
られた。
P-3-21-03 睡眠時無呼吸症候群(SAS)における血中 RBP-4 レベル P-3-21-04 TNF-α値の上昇を認めた上顎洞乳頭腫合併 2 型糖尿病
についての検討
の1 例
1
大阪暁明館病院 内科、2 高知大学 医学部 内分泌代謝腎臓内科 1 琉球大学医学部内分泌代謝内科
牧野 晋也 1、丸山 博 2、橋本 浩三 2
【目的および方法】我々は、以前より、SAS 患者において、肥満のみ
ならず無呼吸も SAS でのインスリン抵抗性に関わっていることを報
告してきた。今回、154 名の SAS 患者(軽症 22 名、中等症 74 名、重
症 58 名)において、脂肪細胞で発現して血中に分泌され、肥満やイ
ンスリン抵抗性に関わっていることが報告された RBP-4 (retinol
binding protein-4) の血中レベルを AdipoGen 社の ELISA キットを
用いて測定し、種々の因子との関連について検討した。
【成績】RBP-4
の血中レベルは、軽症で 39.98 ± 2.89、中等症で 46.70 ± 1.88、
重症で 43.51 ± 2.49 μg/ml と SAS の重症度による差はなく、無呼
吸−低呼吸指数(AHI)や睡眠時最低酸素飽和度(min SpO2)とも相関
を認めなかった。血中 RBP-4 は、内臓脂肪面積(V)と正相関し
(p=0.0051)、血中 adiponectin と逆相関を示したが(p=0.0278)、BMI
や皮下脂肪面積(S)とは相関せず、血糖値、HbA1c やインスリン抵
抗性の指標である HOMA-IR とも相関を示さなかった。また、血中
RBP-4 は、血中中性脂肪と正相関を示したが(p=0.0064)、総コレステ
ロールやHDLコレステロールとは相関を示さなかった。
【結論】
RBP-4
と SAS との関連性は認められなかったが、
V や adiponectin と関連を
認め、
RBP-4 が内臓肥満の状態で何らかの役割を果たしているものと
推測されたが、
RBP-4 とインスリン抵抗性についての関連性は明らか
には認められず、さらなる検討が必要と考えられた。
崎原 みち代 1、金城 祥乃 1、伊波 多賀子 1、幸喜 毅 1、小宮 一
郎 1、高須 信行 1
【症例】56 歳、男性【現病歴】10 年前より高血糖を放置。平成 17
年に糖尿病と診断され、内服加療が開始されたが血糖コントロール
は不良であった。
平成17 年9 月に右上顎洞乳頭腫の手術が行われた。
その後、
12 月に乳頭腫の再発を認めたため平成 18 年 3 月に当院耳鼻
科に紹介となった。再手術を行うため術前血糖コントロール目的に
当科入院となった。
【検査所見】FBS 226 mg/ml、IRI 13.1 μU/ml、
HOMA-R 7.3、 HbA1c 8.6%、尿中 CPR 252.6 μg/day、TNF−α 58
pg/ml【経過】インスリン強化療法を開始し、最終的にはインスリン
総量48単位にて食前血糖値 100-150 mg/dl、食後血糖値 150-200
mg/dl とコントロール良好となった。4 月下旬に右上顎洞乳頭腫腫瘍
摘出術を施行された。術直後より血糖値の改善を認め、インスリン
量を漸減できた。術後に測定した尿中 CPR は、34.4 μg/day で、術
後 11 日目に測定した TNF−αも 測定感度以下(5pg/ml 以下)に低
下していた。インスリン注射は術後 2 週間で 44 単位を減量でき、毎
食前の速効型インスリン分泌促進薬の内服と眠前の中間型インスリ
ン 4 単位にて血糖コントロールは良好となった。
【まとめ】TNF−α
は、2 型糖尿病患者においては、インスリン抵抗性を惹起する1つの
物質として注目されている。Lindmark らの報告によれば、2 型糖尿
病患者での TNF−αは 2∼3 pg/ml であった。本症例はそれと比較し
てはるかに高値であった。本症例は術前尿中 CPR が高値でインスリ
ン抵抗性を認めていた。
腫瘍摘出術後に TNF−α値は測定感度以下に
減少しており、それとともに速やかに血糖コントロールが良好とな
った。
このことから TNF−αがインスリン抵抗性を惹起していた可能
性が考えられた。
P-3-21-05 Dual Impedance によるVF-BIA 法を用いた内臓脂肪計測 P-3-21-06 長期エストロゲン欠乏が糖・脂質代謝、肝機能に及ぼ
の誤差要因の検討
す影響-自験ターナー症候群 10 例及び先天性卵巣低形成1例の臨床
像のまとめ
1
オムロンヘルスケア株式会社 技術開発部、2 京都大学大学院 内 1 九州大学大学院医学研究院病態制御内科、2 九州大学大学院医学研
分泌代謝内科
究院
大島 秀武 1、志賀 利一 1、細田 公則 2、平田 雅一 2、中尾 一和 柳瀬 敏彦 1、岡部 泰二郎 1、大江 賢治 1、野村 政壽 1、名和田 新
2
2
、高柳 涼一 1
計測部位を変えた2種類のインピーダンス(Dual Impedance)を [目的]アロマターゼ KO マウスでは肥満、インスリン抵抗性、脂肪肝
用いて安全かつ簡便に内臓脂肪を測定する方法(VF-BIA 法)を開発 炎をきたし、エストロゲン補充による改善が報告されている。また
し、昨年度の日本内分泌学会学術総会にてその計測原理を発表した。 ヒトアロマターゼ欠損症でもインスリン抵抗性と内臓脂肪型肥満が
この計測原理に基づいた計測装置を開発し、ユーザビリティーおよ 報告されている。今回、比較的若年期の長期的な卵巣性エストロゲ
び計測精度の観点から日常での診療や健診への適応性について検討 ン欠乏病態がヒトの糖・脂質代謝、肝機能に及ぼす影響を検討する
した。
ため、当科で経験したターナー症候群 10 症例(16-44 歳、平均年齢
開発した計測装置を用いて、1)計測準備から測定終了までの必要 29 歳)及び先天性卵巣低形成症例1例(20 歳)の臨床像並びに検査
時間、2)複数の検者間の測定誤差、3)繰り返し測定における再現性、 値を検証した。[結果]ターナー症候群 10 症例のうち BMI 上の肥満は
4)装着する腹部の電極の位置ずれによる影響、5)測定値の日内変動、 1例のみであった。一方 10 症例中 6 例で軽-中程度の肝機能障害を
について評価した。1)、2)の評価については同一被験者に対して 5 認め、うちエコー施行例は1例のみで、脂肪肝の所見であった。2
名の検者が測定を実施し、3)、4)、5)の評価については、男女計 10 例で高中性脂肪血症を認めた。
また 10 例中 FBS 高値は1例のみ(140
名を対象として行った。
mg /dl)であったが、糖負荷試験が施行された 6 例中、2 例が糖尿病、
VF-BIA 法を用いた内臓脂肪の測定時間は、電極装着から装置の接 1例が IGT であった。正常耐糖能を示した1例のみで IRI 変動も検
続までの測定準備に平均 87 秒、
計測開始から結果表示までに平均 13 査され、基礎値、頂値とも高く、インスリン抵抗性を認めた。一方、
秒の計 100 秒であった。また、連続して5回実施した際の内臓脂肪 一例の先天性卵巣低形成症例は BMI19 であったが、肝障害、著明な
の計測再現性は、±3.0cm2(±5.5%)であり、測定検者間の誤差と 脂肪肝、高中性脂肪血症並びに著しいインスリン抵抗性(グルコー
同程度であった。一方、腹部に装着する電極に関して、上下方向の スクランプで証明)を伴う糖尿病(HbA1c8.8%)を認めた。エスト
1cm のずれに対して 10%程度の誤差が生じた。また、VF-BIA 法で求 ロゲン補充で顕著な耐糖能の改善は認めていないが、CT 上、脂肪肝
めた内臓脂肪面積の値は、昼食直後から 3 時間後まで有意に高値を の改善を認めた。[結語]ヒトにおいても若年期の長期的エストロゲ
ン欠乏状態は比較的高頻度に脂肪肝によると推定される肝機能障害
示した。
以上より、VF-BIA 法での内臓脂肪測定では、腹部電極の上下方向 をもたらし、また、インスリン抵抗性を基盤とする耐糖能障害の合
の位置ずれおよび食事摂取からの経過時間に注意する必要性が明ら 併も珍しくないことが判明した。これらの疾患では、代謝面での十
かとなった。また、VF-BIA 法は再現性に優れた方法であり、高い技 分な観察やケアも重要と言える。
術を必要とせずに、広く一般の臨床現場で利用可能な方法であるこ
とが示唆された。
P-3-21-07 高インスリン血症を認めた橋本病の一例
1
NHO 南横浜病院 診療部、2NHO 京都医療センター 内分泌代謝研究
部、3NHO 長崎医療センター
P-3-22-01 高血圧と低カリウム血症を呈した原発性アルドステロ
ン症と副腎外褐色細胞腫の同時合併例
1
大阪大学 大学院 医学系研究科 内分泌・代謝内科、2 大阪大学
大学院 医学系研究科 病理病態学、3 大阪大学 大学院 医学系研
究科 乳腺・内分泌外科
大谷 すみれ 1,2、山里 将也 1、篠澤 陽子 1、木村 博典 3、田中 公
貴 2、成瀬 光栄 2、宮入 守 1
今回我々は軽度の低血糖症状で発症し,高インスリン血症,高ガスト
リン血症と橋本病による甲状腺機能低下を認めた 1 例を経験したの
で報告する.【症例】90 歳女性.高脂血症,狭心症のため外来通院中で
あった.平成 15 年に意識障害精査中に空腹時の軽度低血糖症状を認
めた,発作時の血糖は 60mg/dlHbA1c 4.2%であった.75gOGTT で空腹
時血糖 83g/dl,2 時間値血糖 114g/dl,インスリンは空腹時 43μU/ml
(バイエルメディカル,IRMA ビーズ固相法)で高値,負荷後は 300μ
U/ml 以上であった.腹部 CT では膵に腫瘍性病変を示唆する所見を認
めず,補食などで低血糖症状は改善,高齢のため外来観察となった.
平成18 年10 月,甲状腺機能低下を認め,精査のため再入院となった.
明らかな低血糖症状は認めず.fT3 2.0pg/ml,fT4 0.5ng/dl と低
値,TPO 抗体陽性で橋本病と診断した.空腹時血中インスリン 1190μ
U/ml (ヤマサショウユ IRMA)と著明な高値,血中 C ペプチドは
8.3ng/ml( 正 常 値 : 0.7-2.2ng/ml) と 上 昇 , 空 腹 時 血 糖 は
147mg/dl,HbA1c は9%と上昇を認めた.抗インスリン抗体は正常,空
腹時血中ガストリン 283pg/ml(正常値 37-172),抗核抗体 320 倍で
陽性であった.【考察】著明な高インスリン血症と耐糖能障害を合併
した橋本病の一例を経験した.現在,各種自己抗体の有無,測定系へ
の干渉物質,抗インスリンレセプター抗体など後天的なインスリン
受容体異常症の可能性などにつき検索中である.
夏川 知輝 1、小澤 純二 1、倉敷 有紀子 1、平田 歩 1、森田 真也
1
、西澤 均 1、大月 道夫 1、沖田 考平 1、岩橋 博見 1、冨田 裕
彦 2、玉木 康博 3、山縣 和也 1、中村 正 1、笠山 宗正 1、船橋 徹
1
、下村 伊一郎 1
症例は 57 歳女性。2000 年頃より脱力感自覚にて近医受診、低カリウ
ム血症指摘、カリウム製剤処方された。2006 年 5 月、高血圧と低カ
リウム血症(1.6mEq/l)認め、精査加療目的にて当院紹介受診。血
漿レニン活性(PRA)0.3ng/ml/hr と低値、血漿アルドステロン(PAC)
54.2ng/dl と高値、PAC/PRA 高値、血漿ノルアドレナリン 1.0ng/ml
と高値、左副腎に径 1cm 弱の結節 2 個と径 2.5cm の傍大動脈腫瘤を
認め、精査目的にて当科入院。立位フロセミド負荷試験にて PRA 低
値持続、カプトプリル負荷試験にて PAC/PRA 高値持続。デキサメサ
ゾン抑制アドステロール副腎シンチで左副腎に集積を認め左副腎腫
瘍による原発性アルドステロン症と診断。血清コルチゾールは日内
変動あり、デキサメサゾン 1mg 抑制試験で血清コルチゾール 2.1μ
g/dl と正常抑制を認めたが、尿中ノルアドレナリン 297μg/day、尿
中ノルメタネフリン 410μg /day と上昇していた。MIBG 副腎シンチ
で傍大動脈に集積を認め、傍大動脈腫瘤による副腎外褐色細胞腫と
診断。α-blocker、スピロノラクトン、カリウム製剤内服にて血圧、
血清カリウム値をコントロールし左副腎、傍大動脈腫瘤摘出術施行。
病理組織学的検査にて副腎腺腫と傍神経節腫と診断。術後血圧、血
清カリウム値良好にコントロールされた。原発性アルドステロン症
と褐色細胞腫の同時合併例は非常に稀であり貴重な症例と考え報告
する。
P-3-22-02 著しい高コルチゾール血症を呈し急速に進行した副腎 P-3-22-03 膵尾部インスリノーマ術後5年目に脾周囲の大網への
皮質癌の 1 例
播種を認めた一例
1
埼玉医科大学総合医療センター 内分泌糖尿病内科、2 埼玉医科大 1 国立病院機構災害医療センター内科、2 国立病院機構災害医療セン
学健康管理センター、3 東京女子医科大学 内分泌外科
ター外科、3 国立病院機構災害医療センター放射線科、4 筑波大学大
学院内分泌代謝糖尿病内科
石田 英則 1、徳永 貢 1、土田 温子 1、矢澤 麻佐子 1、松田 彰 1、 平嶺 辰英 1、伊藤 豊 2、荒木 潤子 3、倉本 憲明 3、山田 信博 4
大村 栄治 1、今井 康雄 1、河津 捷二 2、川真田 明子 3、飯原 雅
季 3、小原 孝男 3
【症例】55 歳 男性 【主訴】顔面の硬性浮腫【現病歴】2006 年 1 症例は 51 歳男性。2001 年に膵尾部のインスリノーマ(10.8x7.0mm・
月から顔貌の変化を指摘、2 月に下肢の浮腫、易疲労が出現。3 月に 単発)に対し腹腔鏡下膵腫瘍切除術を施行された。2006 年に入り低
近医を受診し、低蛋白血症、高 LDH 血症を指摘され 4 月 18 日当科初 血糖症状が再発し入院した。入院時空腹時血糖 37mg/dl 血中 IRI
診。
【身体所見】
身長 165cm、
体重 58.5kg、
肥満なし、
血圧 156/92mmHg、 4.6μU/ml 血中 CPR1.39ng/ml、ASVS は脾動脈で著明な反応を認め、
脈拍 72/分・整、顔面硬性浮腫と発赤を認めた。他のクッシング徴候 固有肝動脈・胃十二指腸動脈では低反応、上腸間膜動脈では無反応
は乏しかった。
【入院時検査所見】血液検査値;Alb 3.5g/dl、LDH であった。血管造影で脾動脈の造影にて膵実質と離れて脾臓に重な
575IU/l、K 2.5mEq/l 内分泌データ;ACTH<5pg/ml、コルチゾール る 3 個の腫瘍濃染像を認めた。腹部 CT にて脾周囲(横隔膜直下、膵
(F)47.0μg/dl、尿中フリーコルチゾール 1670μg/日、17-OHCS 尾部腹側、脾尾側端)に約5mm の enhanced nodule があり播種が疑
64.1mg/ 日、17-KS 79.1mg/ 日、レニン活性 2.6ng/ml/hr 、PAC われた。その後手術にて脾周囲の大網に赤色の5−8mm 大の腫瘤を
84.5pg/ml、F 日内変動;消失、CRH 負荷試験;ACTH 感度以下抑制、 3 個認め、大網切除術が施行された。患者の希望もあり拡大手術は行
Dex8mg 負荷試験;抑制なし、副腎 CT;左副腎 5.5cm 辺縁不整形腫瘤、 われなかった。病理はインスリン染色陽性であった。術後通常時の
傍大動脈リンパ節腫大、副腎 MR;T2 中等度信号 造影にて軽度濃染 低血糖は消失したが、絶食試験で 24 時間後に血糖 52mg/dl となり低
【経過】上記よりクッシング症候群、副腎皮質癌と診断し、5 月 31 血糖症状が出現した。再度 ASVS を施行し脾動脈での中等度の反応と
日左副腎、腎切除、傍大動脈リンパ節廓清施行。尿中フリーコルチ 胃十二指腸動脈で低反応を認め、脾動脈領域で腫瘍が残存している
ゾールは 1/10 以下に低下したが、低 K 血症は持続し K 製剤、ソルダ 可能性が強く示唆された。造影では 3 個の腫瘍濃染像は消失したが
クトンは継続。希望により化学療法は施行せず。全身状態の悪化に 右胃動脈に重なって腫瘍濃染像を新たに認めた。腹部CTで膵尾部
より 8 月 21 日に再入院。F 135.0μg/dl、多発リンパ節転移、多発 直上と脾動脈近位の背側上部に2つの点状enhacementがあり播種が
肝転移を認め 8 月 26 日永眠。
【結語】著明な F 高値を呈したが、典 疑われた。その後低血糖症状は出現せず、現在外来で厳重にフォロ
型的なクッシング所見を欠き、転移を伴い急速な転帰を辿った副腎 ー中である。インスリノーマにおいて播種性の再発は稀であり、本
症例は脾周囲・大網で多発性にみられた特に興味深い症例と考えら
皮質癌の 1 例を経験したので報告する。
れ報告する。
P-3-22-04 ガストリノーマでの各種組み合わせ検査による局在診 P-3-22-05 胸髄硬膜外転移を契機に発見された膵内分泌腫瘍を伴
断の有用性
う MEN1 型の一例
1
東京医科歯科大学大学院 分子内分泌内科学、2 東京医科歯科大学 1 群馬大学大学院医学系研究科 病態制御内科学、2 群馬大学大学院
大学院 画像診断・放射線治療学、3 東京医科歯科大学大学院 分子 医学系研究科 脳脊髄病態外科学、3 群馬大学医学部附属病院 病理
外科治療学
部
泉山 肇 1、土井 賢 1、村田 雄二 2、有井 滋樹 3、平田 結喜緒 1 石田 恵美 1、山田 正信 1、石塚 高広 1、渋沢 信行 1、橋本 貢士
1
、佐藤 哲郎 1、田中 良樹 1、柏原 賢治 3、登坂 雅彦 2、森 昌
朋1
ガストリノーマは 100%悪性腫瘍のため早期診断・治療が重要である 症例は 56 歳男性。既往歴:1999 年胸腺未分化癌にて手術、家族歴:
が、微小腫瘍のことが多くしばしば診断に苦慮する。我々は 3 例の 父に胃癌、弟に骨腫瘍、現病歴:2000 年プロラクチノーマにて経蝶
ガストリノーマ患者を対象にオクトレオチド(Oct)、ソマトスタチン 骨洞的下垂体摘出術を施行したが、悪性度が高く2度の追加手術と
2006 年 10 月腰痛およ
受容体シンチ(SRS)および選択的動脈内セクレチン刺激試験(SASI) 放射線療法を施行し外来で経過観察していた。
MRI にて胸髄を圧迫する硬
の有用性を検討した。
【症例 1】51 歳、女性。2002 年 9 月近医でガス び左下肢麻痺による歩行困難が急に出現。
トリン(IRG)の高値を指摘され、2003 年 1 月当科紹介入院。SASI で 膜外腫瘍を認め硬膜外腫瘍切除術を施行。摘出組織はクロモグラニ
上腸間膜動脈での IRG 増加(4.3 倍)。Oct(100μg)投与で IRG 抑制 ンA 並びにCD56 が陽性でプロラクチンは陰性の神経内分泌腫瘍と診
(93%)、SRS で膵頭部に異常集積(+)。以上より膵原発ガストリノーマ 断された。原発巣検索のため施行した腹部 CT で膵尾部に径約 5cm の
と診断。腫瘍摘出後、IRG は正常化。摘出標本はリンパ節(径 10mm) 腫瘍と胸腰椎と腹部の傍大動脈リンパ節にも転移巣を認めた。脊椎
で、免疫組織学的に chromogranin A(+)、gastrin(+)。
【症例 2】63 転移巣はインスリンやグルカゴン、ソマトスタチンなどの免疫組織
歳、女性。2004 年 2 月、高 Ca 血症、i-PTH 高値、IRG 高値を認め、 学的検討ではいずれも陰性であった。また、内分泌学的検査ではい
NSE は 73.9ng/ml と高
5 月当科紹介入院。副甲状腺摘出術で高 Ca 血症改善後、SASI で胃十 ずれの膵臓ホルモンも基礎値は正常だったが、
二指腸動脈の IRG 増加(3.7 倍)、Oct 投与で IRG 抑制(96%)、SRS で異 値を示した。腹部血管造影で軽度の腫瘍濃染像を認めたがカルチコ
常集積(-)。SASI の結果より腫瘍摘出術施行、十二指腸粘膜下より径 ール負荷にていずれのホルモンの分泌も認めなかった。また、
5mm の腫瘍摘出。術後 IRG は正常化。
【症例 3】29 歳、女性。2002 年 FDG-PET にて膵尾部と腹部リンパ節、骨の転移巣に強い集積を認め
頃より下痢と再発性胃潰瘍を近医で治療。2006 年 2 月 IRG 高値を指 た。以上より膵非機能性内分泌腫瘍の硬膜外転移と考えられた。診
摘され、他院で精査した結果、多発肝転移を伴うガストリノーマ(原 断後、胸椎に対する放射線療法(TD30Gy)を施行し麻痺症状などは軽
膵内分泌腫瘍と下垂体腺腫を合併した MEN1型と
発巣不明)と診断。SASI で IRG 増加(-)、Oct 投与で IRG 抑制(97%)。 快し退院となった。
Men1 遺伝子に変異は認めず、
CDKN1B
8 月当科紹介され Oct-LAR で治療中。SRS で異常集積(-)。
【結語】全 考えられ遺伝子検査を行ったが、
例で Oct により 90%以上の IRG 抑制を認めた。3 症例中 2 例で SASI 遺伝子についても変異は認めなかった。MEN1型の膵内分泌腫瘍で硬
が、3 例中 1 例で SRS が有効であった。ガストリノーマは微小腫瘍で 膜外転移を初発症状とした症例は報告がなく非常に稀な症例と考え
あっても転移性が多く、早期の存在および局在診断が重要で、単一 文献的考察を加え報告する。
よりも各種組み合わせ検査が診断に有用と考えられる。
P-3-22-06 FDG-PET が発見の契機となった異所性 ACTH 産生気管支
カルチノイドの 1 例
1
東京医科大学霞ヶ浦病院 内科学第五講座、2 大宮内科クリニック、
3
東京医科大学霞ヶ浦病院 呼吸器外科、4 東京医科大学霞ヶ浦病院
病理診断部
関根 傑紀 1、呉 昌彦 1、美輪 和浩 1、岩城 祥樹 1、永瀬 晃正
1
、桂 善也 1、根本 洋子 1、則武 昌之 1、足立 秀喜 1、中村 博
幸 1、松岡 健 1、渡部 俊哉 2、山口 学 3、石田 順造 3、古川 欣
也 3、齋藤 誠 3、洪 建偉 4、草間 博 4
症例は 69 歳の女性.全身倦怠感を主訴に近医受診.ACTH、コルチゾ
ール高値、デキサメサゾン抑制試験で無反応のため、異所性 ACTH 産
生腫瘍が疑われ当院転院となった.早朝血清 ACTH110pg/ml、コルチ
ゾール 45μg/dl と高値を示し、CRH に対し ACTH、コルチゾールは無
反応であった.頭部 MRI にて異常所見なく、選択的海綿静脈洞サン
プリングにて左右差なく末梢に比して ACTH の上昇も認めなかった.
FDG-PET を含めた画像検索を行ったが局在は不明であり、
メチラポン
内服にて経過観察となった.
4 年の経過後、メチラポン内服にも関わらず再度全身倦怠感が出現
し、2 回目の FDG-PET で右下肺野に集積が出現したため、精査加療目
的にて再入院となった.メチラポン 1g/日内服下にてコルチゾール
59.2μg/dl と上昇を認めた.胸部 CT 、FDG-PET にて右 S5 に径 7mm
大の腫瘤を確認した.経過が長くカルチノイドが疑われること、腫
瘤が増大傾向にあること、他に原因となるものが指摘できなかった
ことから S5 の腫瘤を責任病巣と判断し、胸腔鏡下右肺中葉部分切除
術施行した.切除標本は ACTH 染色陽性の定型的気管支カルチノイド
であった.術後より ACTH、コルチゾールの低下を認めた.異所性 ACTH
産生腫瘍の原発巣検索に FDG-PET は有用であると思われた.
P-3-23-01 GnRH/LH 分泌に対するエストロジェンフィードバック
におけるメタスチン/キスペプチンの役割
1
埼玉大学大学院 理工学研究科、2 名古屋大学大学院 生命農学研
究科
P-3-23-02 子宮内膜症に対する血管新生を標的とした治療戦略
P-3-23-03 男性 2 型糖尿病患者における血中アンドロゲン値と尿
中 NTx との関係について
足立 幸香 1、上野山 賀久 2、束村 博子 2、前多 敬一郎 2、井上 金
治1
GPR54 の内因性リガンドとして発見されたメタスチンは、KiSS-1
により産生されるペプチドである。メタスチンは、性腺刺激ホルモ
ン放出ホルモン(GnRH)神経を活性化し、黄体形成ホルモン(LH)
分泌を強力に促進する。本研究は、エストロジェンが及ぼすメタス
チン神経への影響と GnRH/LH 分泌へのメタスチンの生理機能を解析
した。 メタスチン神経は、視床下部前腹側室周囲核(AVPV)と弓
状核(Arc)に存在し、エストロジェン受容体αを発現していた。エ
ストロジェン投与により、AVPV メタスチン神経数はメスで顕著に増
加したが、
Arc メタスチン神経数は雌雄共に減少した。
このため、
AVPV
メタスチン神経は性的二型性が示したが、Arc では示さなかった。ま
た、AVPV KiSS-1 mRNA はオスよりもメスで高発現し、発情前期の午
後に高いことが分かった。高濃度エストロジェン投与ラットの AVPV
KiSS-1 mRNA 発現神経は、LH サージの直前に活性化していた。さら
に、視索前野への抗メタスチン抗体投与による内因性メタスチンの
中和は、エストロジェンにより誘起される LH サージを有意に抑制し
た。 エストロジェンは、AVPV メタスチン神経を正に制御するのに
対し、Arc では負に制御していた。AVPV メタスチン神経は、エスト
ロジェンのポジティブフィードバックを仲介し、
GnRH/LH サージを誘
起することが示された。一方、Arc メタスチン神経は、エストロジェ
ンのネガティブフィードバックを仲介していると考えられた。
1
岐阜大学 医学部 女性生殖器学
佐藤 英理子 1、藤本 次良 1、坂口 英樹 1、豊木 廣 1、玉舎 輝彦
1
【目的】子宮内膜症の進展様式はおもに浸潤で、稀には転移をする、
腫瘍性性格を有している。また一方、エストロゲン依存性増殖性疾
患でもある。しかしながら、そのエストロゲン依存性は子宮内膜の
ように安定しておらず、反応性はやや低く不安定であり、この点が
ホルモン療法を困難にしていると考えられる。子宮内膜症における
血管新生は子宮内膜における血管新生とは著しく異なると考えら
れ、この分子機構を解明し、血管新生を標的とした治療戦略を開発
したい。
【方法】組織の採取、研究内容に関するインフォームド・コ
ンセントをすべての患者から得た。エストロゲン受容体(ER)、プロ
ゲステロン受容体(PR)、
血管新生因子 thymidine phosphorylase (TP)
および angiopoietin (Ang)、転写因子 ETS-1 の遺伝子やタンパク発
現様式を正常子宮内膜と比較しながら検討した。
【成績】子宮内膜に
おける TP, Ang2/Ang1 および ETS-1 は性周期変化がある。子宮内膜
症において、TP は上皮下の血管周囲間質に、Ang2/Ang1 や ETS-1 は
血管内皮細胞に、エストロゲン非依存性で性周期と関連なく発現し、
持続的血管新生に働くことがわかった。
【結論】子宮内膜症における
血管新生は、性周期に関係なく、エストロゲン非依存性に TP,
Ang2/Ang1 および ETS-1 などによって誘導されているので、
エストロ
ゲンの存在は必要であろうが、低い感受性に基づいて誘導されてい
ると考えられた。今までの子宮内膜症の治療戦略は何らかのかたち
でエストロゲンと関わってきたが、エストロゲンと関連なく、子宮
内膜症に特徴的な持続的血管新生を阻害し、更年期障害など副作用
はほとんどなく治癒できる可能性が示唆された。
P-3-23-04 妊娠高血圧症候群モデルラットにおける ANP 産生と胎
仔発育の関連についての検討
1
久留米大学 医学部 産婦人科、2 久留米大学 医学部 第一生理
学講座、3 久留米大学 動物実験センター
多久島 祥代 1、野々下 晃子 1、西 芳寛 2、大島 雅恵 1、御船 弘
治 3、田中 永一郎 2、堀 大蔵 1、嘉村 敏治 1
【目的】Dahl S ラットは,食塩感受性高血圧ラットである。一方,
心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は,主に心房筋から分泌され降
圧作用,Na 利尿作用を有するホルモンである。Dahl S ラットを用い
妊娠高血圧症モデル動物を作成し,ANP 動態を検索した。
【方法と材
料】9 週齢の Dahl S ラットに、妊娠確認後より 8%食塩添加飼料を開
始した。非妊時、妊娠 7 日目、14 日目、20 日目に血圧と体重測定を
行った。妊娠 20 日目に胎仔,胎盤,母獣心臓を摘出し、母獣血漿を
採取した。母獣血漿,心耳筋, 心室筋及び胎盤組織中の ANP と cGMP
濃度を RIA で定量し、胎盤組織中の ANP, NPR-A, NPR-C の mRNA を
RT-PCR を用いて半定量を行った。 0.24%食塩添加飼料を与えた同妊
娠ラットを対照群として,同様の方法で検索した。
【結果】食塩負荷
群の血圧は,妊娠末期になるに従い有意に上昇した。胎仔重量は食
塩負荷群において有意に低値を示した。母獣血漿 ANP 濃度は食塩負
荷群で有意に高かったが,心耳筋及び胎盤組織中の ANP 濃度は食塩
負荷群において有意に低値であった。母獣血漿 cGMP 濃度は食塩負荷
群において有意に高かったが、胎盤組織中の cGMP 濃度は食塩負荷群
において有意に低値だった。胎盤組織中の ANP mRNA は、両群間にお
いて有意差はなかったが、胎盤組織中の NPR-A mRNA は、食塩負荷群
で有意な低値を認め、NPR-C mRNA は、食塩負荷群で有意な高値を認
めた。
【考察】以上の結果より,本妊娠高血圧症候群モデル動物に認
められた子宮内胎仔発育遅延は,胎盤内での ANP 動態が関与してい
る可能性が示唆された。
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京都府立医科大学 大学院 医学研究科 内分泌機能制御学、2 京
都府立医科大学 大学院 医学研究科 生体機能制御学
浅野 麻衣 1、福井 道明 1、細田 寛子 1、中山 一子 1、門野 真由
子 1、最上 伸一 1、大瀬 裕之 1、長谷川 剛二 1、中村 直登 1、吉
川 敏一 2
【目的】多くの研究において、骨粗鬆症と心血管疾患には何らかの
共通する pathophysiologic mechanism が存在する可能性が示唆され
ているが、その機序は不明である。一方、男性性腺機能低下症患者
では骨塩量減少がみられ、男性における血清テストステロン(T)低
値は心血管危険因子であるとの報告もあることなどから、血清 T の
低下が骨吸収亢進と動脈硬化に関わっている可能性が示唆される。
今回、当院外来通院中の男性 2 型糖尿病患者 246 名について、血中
アンドロゲン値と骨吸収マーカーの一つである尿中 I 型コラーゲン
末端テロペプチド(NTx)の関係を中心に調査した。
【方法】血清遊
離 T(fT)および DHEA-S 値と尿中 NTx(uNTx)の関係、また uNTx と
HbA1c、喫煙状況等との関係を調査した。
【結果】uNTx と fT 値は有意
。uNTx と血清 DHEA-S 値
な負の相関を示した(r=-0.263,P<0.0001)
の間に有意な相関は認めなかった(r=-0.052,P=0.4611)
。低値群(<
10pg/ml)では、fT 高値群(>10pg/ml)と比べ uNTx は有意に高かっ
た(29.2±12.8vs.25.5±8.8nmol BCE/mmol Cr,P=0.013)
。重回帰分
析 を 行 う と 、 fT 値 ( β =-0.292,P < 0.0001 )、 HbA1c ( β
=0.144,P=0.0404)
、喫煙状況(β=0.143,P=0.0402)が uNTx を規定
する独立変数であった。
【結語】男性 2 型糖尿病患者において、血清
T の低値は骨吸収の亢進と関係し骨粗鬆症のリスクとなる可能性が
示唆された。男性 2 型糖尿病患者における血清 T の低値は骨粗鬆症
と心血管疾患の関係をつなぐ因子の一つである可能性がある。
P-3-23-05 先天性腎性尿崩症の成長障害に関する検討
1
兵庫県立こども病院 代謝内分泌科、2 神戸大学大学院医学研究科
小児科
細川 悠紀 1、尾崎 佳代 1、郷司 克己 1、松尾 雅文 2
先天性腎性尿崩症(NDI)における成長障害について検討した。
対象は兵庫県立こども病院で現在加療中である NDI の 6 症例
(男性 4
例、女性 2 例)で年齢は 8 歳から 33 歳。4 症例において AVPR2 遺伝
子変異(L43R、C82R、K116insT、gross del)を、2 例(姉妹例)に
おいて AQP2 遺伝子変異(T125M/G175R)を確認している。
診断時期は生後 2 週間から 1 歳 7 ヶ月で、新生児期、乳児期に診断
された 4 例は発熱をはじめとする脱水症状を主訴に、
1 歳以降で診断
された 2 例は体重増加不良を主訴としていた。治療開始前の血清 Na
は 150 から 163mEq/L であった。治療としては摂取ナトリウム制限を
行った上で、サイアザイド系利尿薬、カリウム保持性利尿薬、カリ
ウム製剤を投与した。治療開始後も 2-3 歳までは脱水のコントロー
ルが困難で身体発育は全症例とも緩徐であったが、その後正常範囲
内の身長増加率を示した。現在の身長は 1 例(+1.0SD)を除く 5 例
が平均身長を下回っており、最終身長に達した 2 例も-2.4SD、-0.7SD
と身長は低めの傾向にあったが、これは、その成長曲線から、主と
して治療前乳児期の発育不良が影響したものと推察された。AVPR2
遺伝子欠失を認めた例においてGH 分泌不全が存在し6 歳9 ヶ月から
GH 補充療法を併用している。なお、精神運動発達は全例において正
常範囲内である。
【結語】
NDI においては新生児、
乳児期に繰り返す脱水に起因する発育障害が
観察されるが、適切な治療により幼児期以降の成長の改善が期待で
きる。乳幼児期における早期からのナトリウム摂取制限、薬物療法
による多尿のコントロールが最終身長の改善に重要と考えられた。
P-3-23-06 卵の質の低下に関与する因子の解明と新たなる治療法 P-3-23-07 無月経により診断されたターナー女性の健康管理に関
の確立 ー酸化ストレスとメラトニンー
する検討
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山口大学 大学院 医学系研究科 産科婦人科学
1
横浜市立大学 産婦人科
谷口 憲 1、田村 博史 1、前川 亮 1、浅田 裕美 1、三輪 一知郎 1、 榊原 秀也 1、武居 麻紀 1、吉田 浩 1、勢多 真理子 1、三原 卓志
1
竹谷 俊明 1、松岡 亜希 1、山縣 芳明 1、杉野 法広 1
、永田 智子 1、勝畑 有紀子 1、小山 麻希子 1、石川 雅彦 1、平
原 史樹 1
ターナー女性の多くは小児期に低身長により診断され
【目的】松果体ホルモンのメラトニン(M)が抗酸化剤作用を介して卵 【目的】
の質の改善に寄与するかを検討した。
【方法】(1)IVF-ET を施行した ることが多い。一方、約 25%の症例は思春期以降に無月経を契機に産
56 症例で、卵胞液中の M 濃度と、酸化ストレスマーカーの 婦人科で診断されるが、その健康管理においては他科領域も含めた
Hexanoyl-lysine(HEL)、8-hydroxy-2 -deoxyguanosine(8-OHdG)濃 包括的な管理が重要となる。そこで、今回われわれは当科にて管理
度を測定した。(2)IVF-ET 患者に前周期の5日目より採卵前日まで M 中のターナー女性のうち、無月経により産婦人科で診断された症例
【方法】 当
錠(3mg/日)を投与し、卵胞液中 HEL、8-OHdG 濃度を測定した。(3)前 についてその健康管理上の問題点を臨床的に検討した。
回の IVF-ET 不成功で受精率が 50%未満であった 115 症例で、今回の 科女性健康外来に通院中のターナー女性 45 例中、無月経にて診断さ
IVF-ET 時に上記と同様に M を投与した 56 症例と M 投与しなかった れた 8 例について染色体核型、卵巣機能、合併症などを診療録に基
【成績】 受診時平均年齢は 23.8 歳
59 症例において変性卵率、受精率、妊娠率を検討した。(4)3週齢雌 づいて後方視的に検討した。
ICR マウスを用い過排卵刺激 48 時間後に卵を採取し、酸化ストレス (15-28 歳)であった。全 8 例中、原発性無月経が 6 例、続発性無月
として H2O2 (1∼1000nM)または H2O2 (100nM)+M (1、10ng/ml)を添 経が 2 例であった。8 例中他院からの紹介が 5 例、当科初診が 3 例で
加し、12 時間培養後の第一極体放出の割合を観察した。本研究は当 あった。染色体核型は 45,X が 3 例、モザイクが 2 例、転座などの構
施設の倫理委員会の承認、患者の同意を得た。
【成績】(1)変性卵率 造異常が 3 例であった。染色体を含めた患者への説明は 8 例中 6 例
30%以上の症例では、30%未満の症例より卵胞液中 8-OhdG 濃度は有意 が当科で行われていた。超音波計測による子宮長は平均 38mm と著し
に高値を示した。 (2)M 投与で卵胞液中 8-OHdG 濃度と HEL 濃度は有 い発育不全が認められた。DEXA 法による腰椎骨密度の平均は
意に低下した。卵胞液中の 8-OHdG 濃度と M 濃度には負の相関を認め 0.813g/cm2 と YAM に比して低下していた。包括的健康管理を目的に
た。(3)M 投与で変性卵率は低下し、受精率は有意に上昇した(20→ 合併症のスクリーニング検査を施行したところ、中耳炎 1 例、甲状
50%)。妊娠率は 19.6%(11/56 周期)であった。M 投与しなかった症例 腺機能異常 1 例、消化器疾患 2 例が認められた。また、当科での管
では受精率 (21→23%)に改善を認めず、妊娠率は 10.2%(6/59 周期) 理中に中耳炎 1 例および肝機能障害 1 例が発症し、それぞれ専門診
であった。
(4)H2O2(100nM 以上)は第一極体の放出を有意に抑制した。 療科での管理を依頼した。
【結論】 無月経を契機にターナー女性と
この H2O2 の障害作用は M 添加により改善した。
【結論】
M は酸化スト 診断された症例では、染色体検査やその説明を産婦人科で行う必要
レスによる卵の成熟障害を防御した。
M 投与は卵胞液中の酸化ストレ があることおよび婦人科領域における卵巣機能不全や骨粗鬆症の管
スを抑制し、受精率や妊娠率を向上させる有効な治療法と考える。 理のみならず他科領域にまたがる合併症の存在も念頭に置いて診
断・治療にあたる必要があると考えられた。
P-3-26-01 Cushing 症候群における血管内皮機能障害と危険因子 P-3-26-02 腎血管性高血圧の画像診断における狭窄部最小径の有
との関連性
用性
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東京医科歯科大学大学院・分子内分泌内科学(内分泌・代謝内科) 1 東北大学病院 腎高血圧内分泌科
土屋 恭一郎 1、中山 千里 1、岩嶋 富美子 1、酒井 春奈 1、泉山 肇
、土井 賢 1、吉本 貴宣 1、平田 結喜緒 1
【背景・目的】Cushing 症候群(CS)では肥満,高血圧,耐糖能異常,
高脂血症など複数の危険因子を合併することから,心血管イベント
の高リスク群と考えられる.しかし,コルチゾール(F)自身が血管内
皮機能に影響するかについては明らかでない.今回,CS における血
流依存性血管拡張反応(flow-mediated vasodilation: FMD)を測定
し,血管内皮機能と内分泌異常,ならびに危険因子との関連性を検
討した.
【対象・方法】17 名の CS 患者(ACTH 依存性 5 名,非依存性
12 名,57±15 歳,男:女=5:12)を対象に,FMD,内分泌および生化
学検査を測定し,それぞれの関連性について解析した.
【結果】CS
患者(6.4±1.8%)の%FMD は年齢を合致させた健常者 18 名(9.1±
2.6%)と比較して有意(p<0.001)に低下していた.%FMD と 8 時
(r=-0.580, p<0.05),16 時(r=-0.537, p<0.05)の血漿コルチゾー
ル値,UFC(r=-0.537, p<0.05),および HDL-C(r=0.501,p<0.05)
の間に有意な相関を認めた.%FMD と BMI,血圧,LDL-C,中性脂肪,
空腹時血糖,HOMA-IR の間には有意な相関を認めなかった.
【結語】
CS 患者では血管内皮機能が低下しており,その原因としてコルチゾ
ール過剰そのものが関与している可能性が示唆された.現在,過剰
コルチゾール是正後の内皮機能の変化を解析中である.
1
P-3-26-03 早朝高血圧治療におけるβ遮断薬の役割
種本 雅之 1、阿部 倫明 1、宇留野 晃 1、佐藤 文俊 1、阿部 高明
、伊藤 貞嘉 1
【目的】
腎動脈狭窄は Renin-Angiotensin-Aldosteron(RAA)系の刺激
を介し、腎血管性高血圧の原因となる。血行再建術は腎動脈狭窄に
よる腎血管性高血圧に対する有効な治療である。しかし、高血圧の
誘因とならない狭窄病変の存在も判明し、
RAA 系亢進の誘因となる狭
窄病変の適切な診断が必要である。本研究では、血行再建術の治療
効果が期待される狭窄病変の血管造影所見上の指標を検討した。
【方法】狭窄部における圧格差を病変部の血行動態への影響を反映
する指標として用いた。狭窄部圧格差を計測した 74 病変を対象とし
た。病変最狭窄部の変数(最小径、相対狭窄度)を計測し、これら
と狭窄部圧格差との関連を解析した。
【成績】最小径は相対狭窄度より高い圧格差との相関(収縮期;r2
=0.361 vs r2=0.256、拡張期;r2=0.354 vs r2=0.188)を示した。
収縮期圧格差>20mmHg、拡張期圧格差>15mmHg に対し、相対狭窄度
は ROC 曲線下面積 0.867、0.801 を示したのに対し、最小径は各々
0.921、0.872 を示し、収縮期圧格差>20mmHg に対し最大の ROC 曲線
下面積を有した。収縮期圧格差>20mmHg に対する最小径<3mm の感
度/特異度は 0.824/0.930 であった。
【結論】狭窄部最小径は狭窄部圧格差を有する狭窄病変を適切に選
別出来た。腎動脈狭窄病変の血行動態への影響の指標として、血管
造影所見上の指標としては、狭窄部最小径は相対狭窄度より有効で
ある可能性が示唆された。
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1
太田綜合病院附属太田西ノ内病院 総合診療科
太田 昌宏 1、栗山 千津子 1、佐藤 憲行 1、菅原 慎一 1、星野 智
祥 1、菊池 明夫 1
早朝高血圧治療におけるβ遮断薬の役割
太田綜合病院附属太田西ノ内病院 総合診療科
太田昌宏、栗山千津子、菅原慎一、佐藤憲行、星野智祥、菊池明夫
早朝高血圧は、心血管イベントのリスクが高く、早朝血圧を評価す
ることが非常に重要である。今回、我々は降圧薬を内服中にもかか
わらず家庭血圧で夜間血圧が 135/85mmH 未満、
早朝血圧が 135/85mmH
以上の症例 64 例を対象に、β遮断薬であるベタキソロールを追加投
与し、早朝血圧の変化および糖・脂質代謝へ及ぼす影響を検討した。
症例は男性 39 例、女性 25 例、平均年齢 52.7±13.6 才、糖尿病、高
脂血症のない高血圧のみで治療中の 64 症例。降圧薬としては CCB52
例、ARB39 例、ACE1 例、α遮断薬 19 例、β遮断薬 14 例、利尿剤 13
例で、平均併用薬数は 1.9 剤であった。全例、家庭血圧を起床時と
就寝前に測定した。ベタキソロール投与前の家庭血圧は早朝 SBP
146.4±12.9mmHg、DBP 87.8±10.7mmHg で早朝血圧のみ降圧目標に
達していなかった。かかる症例にベタキソロールを追加投与、β遮
断薬が投与されていた症例は同剤へ変更した。その結果早朝血圧は
SBP 146.4±12.9mmHg より 136.9±13.0mmHg へ、DBP 87.8±10.7mmHg
より 80.1±13.6mmHg へ低下。心拍数も 75.6±9.7bpm より 67.0±
10.3bpm へ有意に減少した。総コレステロール、LDL、HDL コレステ
ロール、中性脂肪、血糖値、HbA1c、尿酸値に有意な影響は認めなか
った。早朝高血圧は交感神経の亢進がその一つの原因と考えられて
おり、β遮断薬の投与有効であったと考えられた。また、糖、脂質
代謝異常を伴ったいわゆるメタボリックシンドロームにおける高血
圧治療において、血糖、脂質、尿酸に影響を与えないβ遮断薬の投
与は、早朝高血圧のコントロールに非常に有用と考えられた。