JR東日本におけるIoTへの取組

東京大学 駒場リサーチキャンパス公開
スマートハウスからIoTワールドへ
JR東日本における
IoTへの取組
~2015年6月5日~
技術戦略PT
中川 剛志
東日本旅客鉄道株式会社
総合企画本部 技術企画部
アジェンダ
① JR東日本概要
② JR東日本研究開発センター
③ IoTの取組
③−1
③−2
③−3
③−4
メンテナンスの革新
顧客サービス
ビッグデータ
オープンデータ
④ おわりに
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2
①
JR東日本概要
3
JR東日本概要
駅
新幹線ネットワーク
東京圏ネットワーク
1日約1,710万人のお客さま
「69線区、1678駅、59,240人(社員数)」
地域に生きる。世界に伸びる。
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4
鉄道事業
鉄道利用そのものを、もっと安全に、安心してご利用いただけるように、
そして、快適に、便利にご利用いただけるようにするための取組み
新幹線ネットワーク
拡大
東京圏鉄道
ネットワーク拡充
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地域交通の
活性化
「鉄道の旅」
活性化
5
55
生活サービス事業
鉄道以外のさまざまな事業展開
広告事業
スポーツ・レジャー事業
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6
6
IT・Suica事業
●Suica電子マネー、エキナカからマチナカへ、そして全国へ
●電車にも乗れ、買い物もできる。ポイントもたまる。
市中展開
グループ内全体
Suicaサービス開始
2001.11.18
電子マネーサービス開始
2004.3.22
薬局チェーン
書店
コインロッカー
駅構内店舗
の拡大
食券券売機
飲料自販機
コンビニエンスストア
百貨店
NEWDAYS
Becker’s
BECK’S
駅ビル
その他構内店舗
駅売店
車内販売
大学構内
ファーストフード
アミューズメント
7
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9
②
JR東日本研究開発センター
8
JR東日本研究開発センター
2001.12 JR東日本研究開発センター発足
場所:JR川越線 日進駅(大宮駅のひとつ川越より)
フロンティアサービス研究所
先端鉄道システム開発センター
防災研究所
安全研究所
テクニカルセンター
環境技術研究所
無限の可能性を追求すべく、技術革新の「イノベーション」に挑戦
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JR東日本研究開発センター
【きわめる⇒究極の安全】
①大地震への対応 ②自然災害・異常気象への対応
③ホームドア整備 ④列車衝突・脱線事故対策
⑤安全を守る仕組み・体制の充実
【ひらく⇒技術革新】
①JR東日本グループとしてエネルギー・環境戦略を構築
②ICTの活用により、「鉄道の業務革新」を実現
③新幹線の時速360km/h運転に向け、研究開発を推進
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究極の安全への取組
・ヒューマンファクターに関する研究開発
→ 事象の再発・未然防止に活用できる仕組み・方法の開発
・自然災害に関する研究開発
→ 強風時運転手法の開発、ドップラーレーダーの活用
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エネルギー・環境への取組
蓄電技術の活用(省エネ)
太陽光発電の導入(創エネ)
ゼロエミッションステーション
非電化区間への蓄電池電車導入
昼間
蓄電池
余剰電力
昼間
余剰電力
蓄電池
非電化区間(20.4km)
70
東北本線
60
70 PV出力
(DC1500V)
kW
大金
宝積寺
負荷
50
烏山
60
PV出力
負荷
40
50
30
kW
駅で消費
40
20
30
駅で消費
夜間
10
蓄電池
夜間
晴天日の全電力をPV
発電とリチウムイオン電池
の充放電でまかなうシ
ステムを導入
蓄電池
駅で消費
0
宇都宮
20
1
10
3
0
5
7
9
11
13
15
17
19
21
23
時間
3 昼間の余剰発電分は蓄電
5
7
9
11
13
15
17
19
蓄えた電力は夜間利用
時間
2014年3月 烏山線にて営業運転開始
1
21
23
昼間の余剰発電分は蓄電
図1 ゼロエミッションステーションの概要
蓄えた電力は夜間利用
駅で消費
図1 ゼロエミッションステーションの概要
鉄道沿線用地を用いたメガソーラー
A地変
A地変
600
600
600
600
電気室
電気室
600
600
3,000
B地変
B地変
3,000
500
500
600
600
4500
太陽光パネル(PV)設置検討箇所(平地)4500
太陽光パネル(PV)設置検討箇所(平地)
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ICTの活用
乗務員・駅員のiPad利用
お客さまサービス
首都圏輸送システムの革新
CBTC
ATACS
Signal
メンテナンスの革新
Track Circuit
Trim down, higher reliability
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新幹線高速化
【現在】 2013年3月より、最高時速320km/h営業運転を開始
【目的】
・お客さまサービスの向上(到着時分短縮)
・競合企業対策
・鉄道技術の維持・向上
【360km/h営業運転に向けての課題】
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③
IoTの取組
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鉄道とIoT技術
もともと鉄道は列車運行のためにIoTを進めてきた。
専用ネットワーク
汎用技術を活用し、
さらなる技術革新と新しいサービスの創造へ 16
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JR東日本のIoTの取組
メンテナンスの革新
評価
顧客サービス
データ
取得
JR東日本
アプリ
データ
分析
施工
意思
決定
IoT
ビッグデータ
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オープンデータ
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③−1
メンテナンスの革新
評価
データ
取得
データ
分析
施工
意思
決定
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背 景
14 0,000
①人口予測
人口(千人)
12 0,000
10 0,000
8 0,000
今ここ
にいる
6 0,000
4 0,000
20,000
JR発足
(1987)
②当社の営業
費とメンテナン
ス経費の比率
金 額
西 暦
当社のメンテナンス経費は営業費の1/3 ~1/4を占める
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スマートメンテナンス
TBM⇨CBMへ
現 在
今 後
高頻度データの活用
・専用の軌道検測車が年4回運行
・目視による材料状態検査
・営業車による軌道検測と画像
データによる材料状態検査を毎日実施
個々の状態から意志決定
支援システムを活用して実施
画一的なルールに基づき実施
変
位
量
変
位
量
1月
4月
検査データ
1月
7月
技術者
規程
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4月
高頻度データ
7月
技術者
意思決定
支援システム
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CBMの実現に向けて
変化を捉えるため多くのデータを収集
結果をトレース
・施工後の劣化の推移から施工時期、施工方法、
検査頻度等から評価、次のサイクルに生かす
次回の検査時期
施工方法の評価は・・・
施工実績から賢く施工
・過去の施工実績から施工に必要
な情報を施工担当者に提示
評価
データ
取得
データ
分析
施工
意思
決定
設備の劣化を捉える
・取得データから劣化予測、変化、
原因を提案する
劣
化
度
測定時期
・メンテナンスにおける最適なマネジメントの実現(こわれる前に直す)
・事故の予兆を捉える。
・予測結果に加え、メンテナンスの制約条件(気象等部外条件も含む)、
及び過去の施工実績等から施工時期、施工方法別のメンテナンス効果、
コスト推移を提示、最適なメンテナンス時期、方法をマネジメントする
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営業車によるデータ取得
効率的なデータ収集
Mue-Trainに搭載し
ていた装置を
E233系京浜東北線
に搭載し、
慣性正矢軌道検測装置
&
軌道材料モニタリング装置
営業車に搭載可能なように、
搭載装置を小型化し、
一昨年5月よりモニターランを
実施した。
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モニタリングによるデータ取得
車両・地上設備を、営業列車でモニタリング
【線路設備モニタリング】
京浜東北線 大宮~大船間
(2013年5月~2015年3月)
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Smart Maintenance 4本柱
CBMの実現
アセットマネジメント導入
AIによる業務サポート
統合データベース
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③−2
顧客サービス
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JR東日本アプリとは?
2014年3月10日 サービス開始
JR東日本の駅・列車をより
便利に快適に使っていた
だくための情報提供アプリ
駅名
天気
運行
情報
2015年5月末現在
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120万DL(iOS, Android)
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既存データを活用
異常時案内用ディスプレイ
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駅構内LED発車標
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既存データを活用
駅構内LED発車標(列車の位置情報)
車内情報
現在位置
乗車率
室温
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トレインネット概要
音波ビーコンによる車内情報提供
<車内>
ビーコン
<地上>
列車ID
サーバ
列車ID
お客さまの
携帯端末
列車に合わせた
コンテンツ
3G・LTE
(携帯電話
回線)
現在お客さまがどの列車の何
号車に乗っているかを把握し
た上で情報提供が可能に
コンテキストに応じた情報提供
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Wi-Fi位置検知
Wi-Fiアクセスポイントによる位置検知
Wi-Fiアクセスポイ
ントの位置情報
Wi-Fiアクセスポイ
ントの電波強度
現在お客さまが、駅のどのク
セスポイントの一番近くにい
るかを把握
お客さまがいるおおまかな現
在位置を表記
(※)現在23駅にて利用可能。Android端末のみ。
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JR East Train Info.
2015年3月20日 サービス開始
Top Page
JR East
Major Stations
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Train
Information
Station Map
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東京駅構内ナビ
無線ビーコン
「東京駅構内ナビ」概要
案内サイン
・実験期間 : 2014年12月18日(木)
~ 2015年2月28日(土) (予定)
・案内対象 : JR東日本 東京駅1階、
地下1階 改札内コンコース
・対象端末 : iPhone (iOS 7.1.2以上)
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③−3
ビッグデータ
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JR東日本のデータの活用
鉄道は、大量のデータ保有
データ → 情報
知識化
→
列車運行
データ
メンテナンス
データ(設備)
メンテナンス
データ(車両)
DB
お客様の声
・お客さまの声
・運行管理
・メンテナンス
Suica
データ
切符等
販売データ
小売データ
分析・
利活用
売上情報
※データには従来型の構造データに加え、
非構造データ(静止画、音声、動画テキスト)も含む
外部のデータ
も活用する
気象・気候
データ
他交通機関
運行状況
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SNS
データ


現場把握の視点
経営支援の視点

オープン化による新
しい価値の創造
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データ活用イメージ
ゲリラ豪雨の予兆を把握
⇒ お客さまの駅での滞留、
列車の遅延を予見
列車が遅延
列車の遅延情報に基づき、
必要に応じて迂回ルートを
駅で案内
駅周辺のお客さま
が集中・混雑
本社・支社・指令
過去の事象と対応の
事例を出力
駅構内の流動
シミュレーション
監視カメラや改札機の
データを元にお客さまの
誘導・ホーム規制を提案、
駅の照明・温熱を制御
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デジタル広告も
異常時には活用
駅社員タブレット
に情報配信
復旧見込み、迂回ルート、
周辺の休憩施設を社員と
お客さまに情報提供
お客さまの端末
に情報配信
35
ASC発足へ
2015年4月1日
アナリシス・セキュリティセンター設立
Database
鉄道
Hotel
Data
分析
→ 経営に資するデータ分析を加速
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エキナカ
36
③−4
オープンデータ
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オープンデータとは?
総務省の定義より
機械判読に適したデータ形式
で、二次利用が可能な利用
ルールで公開されたデータ
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社会情勢
世界の動き
2009年頃~
・欧米の政府においてオープンデータへの取り組みが活性化
2012年7~8月
・ロンドンオリンピックにて鉄道在線情報等をオープン化
2013年8月
・オープンデータ憲章(G8)を首脳レベルで合意
日本の動き
2012年6月
・IT総合戦略本部にて公共データ活用促進の基本戦略を決定
2013年6月
・世界最先端IT国家創造宣言(閣議決定)にてオープンデータ
の推進を明記
オープンデータの取組みが世界的に加速
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オリンピックとオープンデータ
2012年ロンドンオリンピックでは
オープンデータを積極的に活用した
全競技をオープンデータ化
列車のリアルタイムな位置情報
出典:越塚教授 総務省「ICT新産業創出へオープンデータの期待資料」より 40
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情報流通連携基盤事業
総務省
<防災情報サービス> <公共交通情報サービス> <地盤情報サービス>
浸水危険エリア
国・県・市町村の
地盤情報を一覧表示
遅延情報
避難勧告エリア
リアルタイム
位置情報
様々な情報の組み合わせ
情報流通連携基盤共通API
気象情報
電車・バス
避難所情報
行政情報
被害情報
運行情報等
<国・地方公共団体が持つ情報>
情報ソース(例)
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地盤情報
観光・イベント
<民間が持つ情報>
出典:総務省Webサイトより
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実証実験フレームワーク
事業委託
アプリ開発
フィールド試験
YRPユビキタスネットワーキング研究所
・実験協力
・作業契約
・情報の提供
(運行、在線、地図、時刻表、構内)
・場所の提供
(東京・新宿駅、センサー、ICタグ設置)
JR東日本コンサルタンツ
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具体的な取組 2012年度
YRPユビキタスネットワーキング研究所によるアプリケーション開発
【ココシル東京駅】
【ドコシル】
位置情報提供(山手線と都営バスの在線位置)
/運行情報提供/時刻表情報提供
東京駅構内の場所情報(店舗、施設、駅構内、タグによる情報)
東京駅に関するリアルタイム情報(運行情報、センサー)
【公募によるアプリケーション】
Rail Mapping
RappinPedia
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駅待ちアプリ
トレバサ(ゲーム)
出典:総務省Webサイトより
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具体的な取組 2013年度
YRPユビキタスネットワーキング研究所によるアプリケーション開発
【ココシル東京駅/新宿駅】
【ドコシル】
【総務省によるオープンデータアプリコンテスト】
・全体の応募総数は92件
・交通関係の応募総数12件
・「3D 山手線時計」が公共交通実証賞
に選ばれた
出典:総務省Webサイトより
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④
おわりに
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オープンイノベーションとは?
「自社技術だけでなく
他社が持つ技術やアイデアを組み合わせて、
革新的な商品やサービスを生み出すこと。」
ヘンリー・チェスブロウ博士(元ハーバード・ビジネス・スクール助教授)が提唱
【背景】
1) 優秀な人材を抱えたベンチャー企業の増加
2) 開発期間を短縮する必要性の高まり
自前主義からの脱却
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オープンイノベーション
JR東日本の技術ニーズのオープン化
外部の研究開発力・知的財産を収集・活用
コア技術
ニーズ
シーズ
テーマ創出
技術開発の加速・効率化
研究開発
Copyright © 2015 East Japan Railway Company. All Rights Reserved.
実用化開発
新しい価値
の創造へ
実導入
47
ご清聴ありがとうございました。
2015/6/15