生活クラブ事業連合生活協同組合連合会 御中 スマトラ島沖地震・津波支援活動 〜 第2回 活動報告 〜 国際協力 NGO センター(JANIC)寄付サイト 第2回活動内容のご報告について 先般は貴組合組合員の皆様より多大なるご寄付を賜り、誠にありがとうございました。 皆様のあたたかいお気持ちに、心より感謝申し上げますとともに、深く御礼申し上げます。 史上最大の自然災害と呼ばれたスマトラ島沖地震・津波災害より、約 1 年を迎えようとしています。 皆様のご支援により、お陰様で NGO はこの 11 ヶ月間、支援活動を継続してまいりました。 この度、第 2 回目の活動のご報告をさせていただきます。 災害から 1 年、見た目には復興がすすみ、傷跡は見えにくくなっているようにも見えますが、地域によっては まだまだ十分な支援が行き届かない村落も残されており、また社会的・政治的弱者の孤立や、子どもの心の傷 など、各所に大きな傷跡を残しています。タイでは身元の確認ができない遺体がまだ約 1,500 体あり、その大半 は、ミャンマーの不法労働者である社会的弱者であると見られています。 NGO では、土地や仕事を失った人々の職業支援や、水を怖がる、不眠・悪夢を見る、無気力、乱暴な行動等の 様々な心的ストレスを緩和するための各種プログラムを実施し、心のケア支援にあたるなど、生活環境の整備 とともに、幅の広い取り組みを行い、復興支援に努めています。 第2回活動報告 目次(ア〜オ順) 特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 3 特定非営利活動法人 ジェン(JEN) 5 社団法人 シャンティ国際ボランティア会 7 特定非営利活動法人 難民を助ける会 9 特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター 11 特定非営利活動法人 日本紛争予防センター 13 日本民際交流センター 15 特定非営利活動法人 ブリッジエーシア ジャパン 17 2 特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 【活動地域】 タイ国パンガ−県 【活動項目】 ミャンマー人移民対象参加型保健教育活動 【現地支援団体名】 Human Rights Education Institute of Burma(HREIB) ◆活動内容: 在タイミャンマー人移民対象参加型保健教育活動(8 月〜10 月) 《保健教育》 参加型手法を大いに活用して、マラリア予防とそれに連鎖する衛生・母子栄養(多くの子どもが栄養失調)・ 家族保健教育活動を実施する傍ら、蚊の駆除やトイレ、井戸建設等の実践活動を、既存の対象地区だけで なく、他NGOが移民へ開設している学習センター、法律相談所、保育園、職業安定所で実施し、受益者数は 1,392人(男性729人、女性437人、子供226人)に拡大した。その結果、あるゴム農園では月68件のマラリア 感染が10月には5件にまで減少した。 建設現場に建てられた仮設住宅に 住む女性たちが蚊帳を受け取った 保健教育チームの家庭訪問の一場面。 子どもたちを対象にした移動健康診断。 多くの子どもたちが栄養失調を被っている ゴム農園に住む住民たちに、マラリア 予防に関する保健教育を行なっている様子 井戸の建設 グループが一緒になって、自分たちの地域の 人々がどこに住んでいるかを確認する作業を している(コミュニティ・マッピング ―地域の地図作り) 散布剤を使って、地域に生息する 蚊の駆除を行なっている様子。 地域の保健活動の一環。 《人材育成》 活動におけるピア教育者となるボランティアを育成し、現在では、彼らが率先して保健教育チームと協働して、 情報提供、司会進行、ミャンマー語からモン語への通訳を担っている。10月からは、指導者研修を開催し、 技術の向上を促進している。 3 《保健医療相談、応急処置、医療へのアクセス支援》 移民にとって初めての保健教育活動なので、とても関心を持って学んでいる。また、保健教育チームへの 信頼が厚く、保健医療相談件数が増加している。それに応じて、病気の報告と診断数も増加の一途である。 一方、何らかの理由で病院に通えないけが人や病人の応急処置も行なっており、深刻なケースでは、医療 NGO の協力の下、公立病院への照会や医療機関にアクセスできるようにする。 《出生証明書獲得支援》 出生登録法や出生証明書を受け取る権利があるにも関わらず、全く浸透して いないので、これらの権利教育と、獲得に向けた取り組みを家族と共に熱心に 行ない、既に 27 新生児の出生証明書が発行された。 出生申請書を得るための 支援 ◆対象者からの声 ある女性は、「保健教育チームが来る前、マラリアについて何も知りませんでした。私たちは、夜でも働かな ければいけないのだけど、どうやって蚊に刺されずに済むか知らなかったから、いつも蚊に刺されていました。 でも、保健教育活動で皆と話し合うことで、感染について理解するようになり、一緒になって予防活動を始め ました。皆が一緒になって、地域のためにいいことを行なっていくのでとても楽しかったし、団結力が養えまし た。」と言う。 ある女性は、「以前、病気を罹った時、薬を買うために全財産をはたかなければならなかったけど、保健教育 に参加してから健康管理の方法を学ぶ事が出来ました。トイレや水、そして、私たちの住む地域を清潔に保 つ方法を勉強したので、健康維持と病気への予防ができ、これまでの無駄な出費をしなくて済む様になりま した。家族のために貯蓄が出来ます。」と、感想を語ってくれた。 4 特定非営利活動法人 ジェン(JEN) 【活動地域】 スリランカ 【活動項目】 心のケア ◆活動内容 JEN は津波で被災した人たちへの支援として、緊急物資配布から生活再建へと、その内容をシフトしてきました。 南部ハンバントタ県の 10 ヶ所の村で、職業訓練を通じた『心のケア』活動を行なっています。 『心のケア』事業は、スリランカのソーシャルワーカー協会と協力して実施しており、地域の人材を活用した新 しい手法が現地でも評価されています。 植えたマンゴの苗と参加者 現地では 40 家族が野菜菜園事業に参加しています。この野菜づ くりにより、食事のバランスも改善出来るだけでなく、育てるという 行為を通じて達成感や希望を取り戻していくことが期待されます。 また、ココナッツ・ロープ作りでは、各村でクラス毎に 30 の村人が 参加します。参加者は自分たちで作ったココナッツ・ロープからマ ットなどの製品を作っており、今後販路を拡大していくことも視野 に入れています。 漁村では、ロブスター漁の魚網支援をしており、この事業では魚網を直接支給するのではなく、魚網を作ること から始めています。 魚網づくり マットを編む笑顔の女性 ロープを紡ぐ女性 ココナッツロープ作りを行っている村の1つにモラカティヤーラ村があります。この村の受益者は、津波で家が 壊れ、混乱のさなか、出来たばかりの公共アパートに避難し、そのままそこに住みつくことになりました。正式に 登録した居住者でないため、政府や支援助団体からの支援が十分行き届いておらず、いわば「忘れられた」村 でした。 JEN が訪れた時も、「ある団体が、ボートと網を全員にくれると約束したのに、その後何の音沙汰もない」、「外 国の団体は来ても写真だけとって帰っていく」と支援団体や政府の支援へ強い不満、不信感をあらわにしてい ました。公共アパートといっても、4 畳半ほどの狭い部屋が2つに台所だけ。ここで一家 5 人が半年以上の避難 生活を続ければ、プライバシーのなさ、新しい家にいつ移れるのかわからない不安、ストレスでいらいらが募り 5 ます。 事業開始当初は、人々は険しい表情をしていて、黙々と作業を行っていました。日々の作業とグループカウン セリングを通して、少しずつ表情が生き生きし、あちこちから笑い声が聞こえるようになって来ました。不便な避 難生活のストレスを忘れ、仲間と共に作業するひと時が、前向きな力を取り戻すための確実な一歩となってい ます。 ◆受益者からのコメント 『魚網も何もかも津波で流されてしまい、気持ちが落ち込んでしまいました。政府から支給される 5,000 ルピー (日本円で約 5,500 円)の支援金以外何も支援はありませんでした。JENがこの村で活動してくれたおかげで、 それ以上のサポートを受けることができました。3 人 1 組となって魚網を作り、魚網を完成し、今はこの網を使っ て 4 人の仲間と漁に出ています。JENが私たちの村で支援してくれたことで、みな将来に希望を持つことができ るようになりました。』 (T.M.Premadasa さん) ◆エピソード ■ 村の連帯 津波被害により、被災者の人たちが失ったのは、家族、家、仕事、収入だけではありません。これまで村の中に あった連帯や結びつきまで失ってしまった村が少なくありません。 津波直後、被災者達は辛い気持ちを分かち合い、助け合いながら避難キャンプでの共同生活を送りました。し かし、その後、支援団体や政府からの支援物資の分配を巡り、被災者の間で不信感、妬みが生まれるようにな りました。数に限りがあるため、支援物資が村人全員に届くことはまれです。支援物資が届いても、一部の強い グループばかりがいつも物資を独占してしまい、弱いグループの人達が何ももらえないというケースも多くあり ます。 JENは、村の連帯や人間関係を損なうことがないよう配慮して支援活動を行っています。支援活動を実施する 際はまず村の中に委員会を立ち上げ、住民の話合いのもとで公平に参加者が選ばれるよう気を配っています。 JENの活動(共同作業とグループカウンセリング)により、被災者間にあった不信感が払拭され、失いかけてい た村の連帯を取り戻すことができたという声が届いています。 ■ 子どもたちの心のケア 津波被災者は、不便な避難生活、急激に落ち込んだ経済状態、今後の生活不安からストレスがたまり、いらい らや落ち込みがすすんでいます。 同様に、子どもたちも、津波のショックとそれに伴う生活の急激な変化に戸惑い、フラストレーションを抱えてい ます。子どもは自分の気持ちをうまく言葉で表現できない分、よりきめ細かいケアが必要となります。 津波で父親を亡くしたある少女は、「自分が父を思い出して泣くと母も泣き出して辛くなる。だから、夜寝るとき にだけこっそりとわからないように泣くようににしている」と、ソーシャル・ワーカーに打ち明けました。 ソーシャル・ワーカーは、家族や友達にいえない子どもの思いや悩みを引き出し、ケアを与える重要な役目を 果たしています。 6
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