システムダイナミクス 第13回 減衰能と制振技術 1.工作機械における各要素の特性 主軸ー工具ー被削材 ⇒振動源(加振源) 送りねじ、支持ブラケット ⇒ばね要素 テーブル、被削材 ⇒質量(マス) 案内面(摺動面) ⇒減衰作用 被削材 工具 テーブル ボール ねじ Rθm Xt 案内面 Mt Mt Ct 2.工作機械の案内面 すべり案内(角ガイド、Vフラット) 減衰効果大、摩擦抵抗も大 転がり案内(ボール、コロ) 摩擦抵抗少ないが、減衰効果が小さい ボールよりコロの方が減衰効果がやや大 静圧案内(油圧、エア) 摩擦抵抗がほとんどない、減衰ゼロ すべり案内 摩擦力 減衰能 <案内面減衰能の特性> 大 UP や や 転がり 静圧 1000 送り速度 mm/min 抵抗 性 粘 摺動抵抗 送り速度 mm/min 3.減衰能 減衰能=振動を吸収する能力 ∴「減衰能が高い」=内部摩擦が高く、振動 エネルギーをよく吸収すること <参考> 工作機械の構造物鋳鉄(特にねずみ鋳鉄)⇒内部の黒鉛で 振動が吸収されるので減衰能が高い(鋼の5~10倍 ) 4.減衰能の測定 すべり案内面では減衰能が高いので、強制振動時の現 象から減衰比を求める (転がり案内では対数減衰率) ωU − ω L ς= 2ω 0 入力=NC位置指令 出力=テーブル変位 x max 0 dB c de B/ 0d ゲイン -2 角周波数 ω0 x max 2 ω L ω 0 ωU 5.制振技術 (1)振動を抑える必要性 ①機械自身が発生する振動 ⇒ 自分自身の加工精度への影響 近隣の機械への振動伝播 ②外部からの振動 ⇒ 基礎を伝わって入る振動 (2)振動対策方法 ① 振動源の振動を無くす。小さくする。 ② 振動の伝播経路を遮断する。 ③ 機械の振動特性を変化させる。 6.パッシブ制振 機械の剛性、減衰能などを向上させて機械の固有 振動特性を変化させて振動を抑える方法 (1)ダイナミックダンパ 機械システムの固有振動数と同じバネ-マス系を 付加して、連成系を構成し、共振周波数を変える M m M (2)除振 機械据付基礎(コンクリート)の例 地面の弾性係数を K とすると 全体の固有振動数は m ω0 = M K M +m 振動伝達率 ξ よって、M + m が大きいほど振 動数は小さくなる 1 ς大 機械固有振動数を下げる と相対的に振動伝達率が 低下する ς小 1 ω 工作機械は重い方が良い ω0 7.アクティブ(能動)制振 機械系の状態を計測し、それに応じた力を加える ことにより振動を抑える方法 (1)磁気軸受主軸 非接触で発熱なし 高速回転が可能 (2)磁性流体ダンパー ボールねじ端に磁性流体を含む回転円板を取り 付け、磁界をかける ことにより、密度変化 を与えてダンパ効果 を可変とする
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