電池は世界を変える

FOCUS
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電池は世界を変える
電池そのものは昔からあり、私たちも日常的に使っているものだ。その電池が、電気自動車、再生可能エネ
ルギーなど、
「未来社会」に必要不可欠なものとして注目を集めている。ここでは、電池について概観した後、
研究を含めた現在の動向について解説する。
1 なぜ「電池」なのか
電気を創るには効率がいい電池ではあるが、
なぜ今ま
で電池がそれほど注目されなかったのだろうか。それは、
世の中には主に熱、力学、電気、光、化学の5つのエネ
電池が生み出すあるいは蓄えるエネルギーが低いことが
ルギーがある。これらのエネルギーは、例えば電気を利用
挙げられる。電池は日常的に使用されているが、多くはリ
して機械を動かしたり、
または機械を動かして電気を創る
モコンなどの小型家電であることから分かるとおりパワー
ことができるように、
それぞれ相互変換できる
(図表1)。
がない。そのため、電池のみで動く機械というのは限られ
さて、
ここで現在どのように電気が創られているか見
てくる。また、
現在は電力会社が電気の需給を調整してい
てみよう。石油火力発電所を例にすると、
まず、石油を燃
ることも挙げられよう。現在のような電力会社による大規模
やし熱に変える
( 化学エネルギーを熱エネルギーへと変
集中発電においては、電力会社が需給を調整してくれる
換 )。その後、
その熱で蒸気を創り、
タービンを回転させ
ため、非常用や独立した電気以外では電気を貯めるとい
電気を創る
(熱エネルギーを力学エネルギーへと変換し、
うニーズがそれほどなかったのである。なお、電気は貯め
その力学エネルギーを電気エネルギーへと変換 )
という
るのが難しいため、
どの電力会社もピーク需要+αの供給
プロセスを辿る。まとめると、発電に当たっては、化学→
能力を持っている。
熱→力学→電気というエネルギー変換の流れとなる。
このようなデメリットがある電池が、注目されるようになっ
エネルギー変換時にはどうしてもロスが出てしまうため、
たのは、以下の2つの理由が挙げられる。1つ目はリチウム
火力発電のエネルギー効率はそれほど良くないと言え
イオン電池など高性能な電池が開発されたことである。今
( 注1)
る
。その点、電池は化学エネルギーから直接電気エ
後電気自動車が徐々に普及していくと考えられるが、
それ
ネルギーへの変換であるため効率は良く、
また、規模に
には自動車という1トン以上もある物体を実用範囲内で動
左右されない。
かすことができる電池があるから可能ということだ。2つ目
は再生可能エネルギーの普及である。再生可能エネルギー
図表1 エネルギーの相互変換
の利用は、
エネルギー自給や環境の観点から注目され、
徐々
に普及していたが、再生可能エネルギーの固定価格買
取制度の開始を受け加速度的に普及が進んでいる。そ
熱
力学
の再生可能エネルギーのうち、主力の太陽光発電と風力
発電の最大のデメリットは、発電が自然まかせ、つまり、
い
つ発電するかしないかは予想が難しく、
また発電の変動
が激しいことである。現在は、
その変動を電力会社が受
け止めているものの、再生可能エネルギーの導入がます
電気
化学
ます普及していくと、
それも厳しい状況になってくる。その
ため、発電を平準化することが必要になり、
そこに電池が
登場するのである。
光
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動用など多用な用途で使用される。また、
酸化銀電池は時
2 電池の種類と概要
計やゲーム機等で使用されるボタン型の電池である。
二次電池では、
鉛蓄電池は自動車のバッテリーでお馴染
図表2から電池の種類とその概要について解説する。
みのもので、
それ以外にも非常用電源など幅広く使用され
まず、電池は化学反応で電気を創る化学電池と光など
ている。ニカド電池は、
大電流での放電にも対応できる等の
のエネルギーを利用して電気を創る物理電池の2種類
特徴があるものの、
電極に使用されるカドミウムが有毒物質
に大きく分けられる。
であること等から最近では使用量が減ってきている。このニ
化学電池は、一次電池、二次電池、燃料電池に分けら
カド電池に置き換わるように使用されてきたのが、
ニッケル水
れるが、
このうち一次電池は充電できない使い切りの電池、
素電池であり、
これはハイブリッドカーに搭載されていること
二次電池は充電可能で繰り返し使うことのできる電池の
でよく知られるようになった。
リチウムイオン電池はニッケル水
ことである。なお、
この一次、二次という呼び方は、最初に
素電池よりも高性能な電池であり、
現在では携帯電話やノー
電気を創って供給するという意味で一次、
そこから電気を
トパソコン等に使用されている。また、
最近では電気自動車
供給してもらうという意味で二次と呼ばれたようである。
用の電池としても使用され、
ハイブリッドカー用の電池として
さて、
これらの電池の概要は図表3の通りであるが、以
も使用されつつある。NAS電池は、
エネルギーを大量に蓄
下で簡単に説明する。一次電池でお馴染みなのはリモコ
えられる他、
価格もリチウムイオン電池よりはるかに安価なた
ン等に使われるマンガン乾電池とアルカリ乾電池である。
め、
自然エネルギーの出力安定化装置として注目されている。
ただし、最近ではマンガン乾電池を見ることはほとんどなく
なお、
NAS電池を製造できるのは日本ガイシのみである。
なった。アルカリ乾電池は性能がいいというイメージがある
が、実際、
マンガン乾電池の2倍のパワーを持つ。ニッケル
系電池はアルカリ電池よりコストパフォーマンスが優れてい
るものの、
あまり用途がないこと、
アルカリ乾電池の性能が
向上したということなどにより、現在ではほとんど生産され
3 日本の電池市場の動向
(1)販売数量の推移
電池の販売数量を見ると
(図表4)、最近では減少傾向
ていない。
リチウム電池は高性能、
高寿命等の特長があり、
が続いており、
2011年は約53.5億個となった。中身を見てみ
長期間交換をしなくてもよいことが好まれ、電子機器の駆
ると、一次電池の販売数量が約35億個と電池全体の6割
図表2 電池の種類
図表3 主な電池概要
マンガン乾電池
アルカリ乾電池
一次電池
ニッケル系電池
リチウム電池
酸化銀電池
化学電池
鉛蓄電池
ニカド電池
二次電池
ニッケル水素電池
リチウムイオン電池
NAS電池
燃料電池
物理電池
太陽電池
出所:三洋電機(株)監修「よくわかる電池」より共立総合研究所にて作成
電池名
プラス極材料
マイナス極材料
電解液
主な用途
マンガン乾電池
二酸化マンガン
亜鉛
塩化亜鉛
リモコン等
アルカリ乾電池
二酸化マンガン
亜鉛
水酸化カリウム
リモコン等
亜鉛
水酸化カリウム
デジカメ等
一
次
オキシ水酸化
電 ニッケル系電池 ニッケル
池
リチウム電池
黒鉛等
リチウム化合物
有機電解液
小型電子機器等
酸化銀電池
酸化銀
亜鉛
水酸化カリウム
腕時計等
鉛蓄電池
二酸化鉛
鉛
硫酸
自動車等
ニカド電池
二
次
電 ニッケル水素電池
池
リチウムイオン電池
NAS電池
ニッケル
カドミウム
水酸化カリウム
電動工具等
オキシ水酸化
ニッケル
水素吸蔵合金
+水素
水酸化カリウム
ハイブリッドカー等
リチウム化合物
黒鉛
有機電解液
ノートパソコン等
硫黄
ナトリウム
ベータアルミナ
電力貯蔵用等
出所:三洋電機(株)監修「よくわかる電池」より共立総合研究所にて作成
38
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程度を占めている。ただし、
販売数量は2000年をピークに
低下傾向にあり、
そのシェアも年々低下している。電化製
(2)販売金額の推移
販売金額を見ると
(図表5)、
年によって増減はあるものの、
品の普及に伴い、
乾電池需要は増えていると思われるが、
最近では約6,800億円程度で横ばいとなっている。中身を
電池の高性能化や二次電池の普及などにより、
頻繁に乾
見てみると、
販売数量とは違い一次電池の占めるシェアは
電池を買い換えることが少なくなったことなどが要因と考え
15∼20%程度と少ない。元々乾電池の値段はそれほど高
られる。なお一次電池は以前はマンガン乾電池が主力で
くなかったものの、最近では量販店や100円ショップなどで
あったものの、
1999年にはアルカリ乾電池が数量で逆転し、
も安く売られており、
価格低下を如実に実感する。
その後アルカリ乾電池は年間14億個程度の安定した販
売数量を維持しているのに対し、
マンガン乾電池はピーク
の6%程度にまで急激に減少している。
二次電池については、
リチウムイオン電池の伸びに牽
二次電池については、販売数量と同じくリチウムイオン
電池の伸びに牽引され、
増加傾向で推移している。
リチウムイオン電池は「高価」というイメージが強いが、
実際、
販売数量に対するシェアは約22.8%であるのに対し、
引され、増加傾向で推移し、2011年は約18.4億個となっ
販売金額に対するそれは約36.9%とやはり高価な電池で
た。この背景には、携帯電話やノートパソコン、
デジタルカ
あると言える。ただし、1個当たりの金額で見てみると、生
メラなどリチウムイオン電池を使用する電子機器の販売
産数の拡大等に伴い年々低下傾向にある
(図表6)。
もう
数が増加していることが挙げられる。ニッケル水素電池は、
一つの二次電池の主力であるニッケル水素電池は、近
高性能な二次電池ということで、2000年頃までは増加傾
年販売金額が拡大傾向にあるが、
これはハイブリッドカー
向にあったものの、その後はリチウムイオン電池に相反
などの自動車用が拡大していることがその背景にあると
する形で減少していき、最近では4億個強でほぼ横ばい
考えられる。
で推移している。
図表4 電池販売数量推移
(百万個)
8,000
図表5 電池販売金額推移
一次電池
ニッケル水素電池
リチウムイオン電池
他二次電池
(10億円)
1,000
一次電池
ニッケル水素電池
リチウムイオン電池
他二次電池
900
7,000
800
6,000
700
5,000
600
4,000
500
400
3,000
300
2,000
200
1,000
0
100
86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11
(年)
出所:一般社団法人 電池工業会統計データより共立総合研究所にて作成
39
0
86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11
(年)
出所:一般社団法人 電池工業会統計データより共立総合研究所にて作成
(3)生産拠点の動向
4ヶ所にとどまっており、全国的にも電池産業の層が薄い
経済産業省の工業統計より日本の蓄電池製造業を見
地域である。今後、電池がますます重要となり、特に電気
ると、全国105ヶ所ある事業所のうち、関西には46ヶ所と、
自動車のように東海三県が非常に強い自動車産業におい
関西に集中していることが分かる
(図表7)。日本で初めて
ても電池の重要性が高まっていく中、
いかに電池産業を
蓄電池(鉛蓄電池)
を製造したのは、二代目・島津源蔵で
取り込むか、
または関西の電池集積地といかに連携して
あるが、
これは、
京都帝国大学から注文を受けて製造した
いくかが必要となってくるであろう。
ものである。このように、
日本の蓄電池産業は京都から生
まれたものであり、
その流れもあって生産だけでなく研究
拠点も集積し、
現在のような電池の一大集積地となってい
るのである。
4 リチウムイオン電池
リチウムイオン電池は1990年にソニーによって発表され、
その一方、東海三県では、一昨年に電池ベンチャーの
エナックスが常滑へ進出してきたものの、全体ではわずか
翌1991年には市場投入された、
日本のお家芸電池である。
リチウムイオン電池は、
主に携帯電話やノートパソコンの電
池として利用されているが、最近では街中でもみかけるよ
図表6 リチウムイオン電池1個当たりの販売金額
うになった電気自動車用の電池としても使用されている。
(円)
1,400
また、太陽光発電、風力発電のような不安定な電源の平
1,200
準化装置としての期待は高い。今後、電気自動車は、普
1,000
及していく可能性が高く、
太陽光発電、
風力発電も急速に
800
拡大していく。そのため、
そこで使用されているリチウムイ
オン電池も注目を集めている。そこで、
リチウムイオン電池
600
について簡単にみていくこととする。
400
(1)生産拠点の動向
200
0
95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11
(年)
出所:一般社団法人 電池工業会統計データより共立総合研究所にて作成
図表7 蓄電池製造業事業所数(2010年) 先に蓄電池製造業では関西のシェアが高いと述べたが、
リチウムイオン電池で見るとさらに関西に集積している。
2009年の生産金額で見ると、
日本全体の2,708億円のうち
(単位:ヶ所)
その他 19
東海三県 4
関西 46
東北 10
関東 26
出所:経済産業省「工業統計」より共立総合研究所にて作成
リチウムイオン二次電池のバッテリーセル(筆者撮影)
40
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関西は2,200億円と日本国内のシェアは約81.2%となる。
されたこともあり、
日本企業が強い。図表9で2011年の企業
また、世界全体で見ても、世界の生産金額9,613億円の
シェアランキング推移を見ると、
1位がパナソニック
(2009年
うち関西のシェアは約22.9%となっており
(図表8)、関西
末に三洋電機を買収)、
2位が韓国のサムスンSDI、
3位が
は日本だけでなく世界的にもリチウムイオン電池の一大
韓国のLG化学、次いでソニー、中国のBYDとなった。
集積地と言える。
依然として日本企業がシェアトップを維持しているものの、
東海三県では、前述のように電池ベンチャーのエナッ
近年では、サムスンSDI、
LG化学という韓国勢が急激に
クスが常滑に工場を建設、昨年3月から量産を開始して
シェアを拡大してきており、
シェアトップを明け渡すのも時
いるが、
それ以外にはリチウムイオン電池工場はないの
間の問題という状況だ。実際、国単位で見ると、2011年に
が現状である。
韓国メーカーが日本メーカーを抜かしシェアトップとなって
いる。今後、
リチウムイオン電池の主戦場は電気自動車
(2)企業の動向
など車載用となることが予想されるが、半導体の二の舞と
リチウムイオン電池は、前述のようにソニーによって発表
ならないよう、
より一層の研究開発あるいは積極的な投資
など電池大国の持続に期待したいところである。
図表8 リチウムイオン電池生産金額
(単位:億円)
(3)課題
リチウムイオン電池の主な課題は①コスト、②安全性の
関西 2,200
2つである。
コストに関しては、車 載 用リチウムイオン電 池 価 格は
日本その他 508
世界その他 6,905
1kWh=10万円程度と言われている。三菱の電気自動車
i-MiEVのグレードMの場合、
総電力量は10.5kWhである
ため、電池だけで100万円以上することとなる。そのため、
電気自動車そのものの価格も当然高くなり、
普及の足枷の
図表10 電池のエネルギー密度の推移
出所:
I
BPC大阪 企業誘致センターHP
リチウムイオン電池
ニッケルカドミウム電池
図表9 リチウムイオン電池シェアランキング推移
2011年
2010年
2008年
ニッケル水素電池
700
2005年
2000年
620
600
順位 シェア(%)順位 シェア(%)順位 シェア(%)順位 シェア(%)順位 シェア(%)
580
サムソンSD
I
(韓)
LG化学(韓)
1
2
3
23.5
23.2
16.2
1
2
3
25.8
19.7
14.4
1
2
5
23.0
15.0
7.4
1
3
6
28.0
11.0
6.5
1
9
8
33.0
0.4
1.3
エネルギー密度(Wh/L)
537
パナソニック
(三洋電機)
倍
2
5.
で
間
500
4
8.5
4
11.4
3
14.0
2
13.0
2
400
5
5.1
5
5.6
4
8.3
5
(注)パナソニックは、2008年までは三洋電機のシェア
出所:新聞記事等各種資料より共立総合研究所にて作成
41
7.5
7
1.8倍
15年間で
21.0
2.9
0
390
360
350
315
330
280 300
240
300
100
BYD
(中)
450
年
15
200
ソニー
480
68
1975
81
1980
100
110
1985
230
200 210
180
180
160
120
1990
1995
出所:資源エネルギー庁「蓄電池技術の現状と取組みについて」
200
2000
2005
(年)
二次電池技術開発ロードマップでは、2030年頃に革新的
1つとなっている。
安全性に関しては、以前はノートパソコンが発火する事
二次電池の実用化が描かれており
(図表11)、
それを目指
(注2)
し現在大学、民間企業等で次世代電池の研究開発が積
(注3)
極的に進められている(注4)。その中でも「オールジャパン」
例、最近ではボーイングB787でのトラブル
れた。
リチウムイオン電池はエネルギー密度
などが見ら
が高いため、
ショートした場合急激に過熱する危険性がある。また、電
体制で進められているのが、
NEDOの「革新型蓄電池先
解質に有機溶剤を使用しているため、
発火する恐れもある。
端科学基礎研究事業」である。
もちろん、様々な安全対策がとられているが、今後は車載
この事 業は、国がNEDOを通じ行っているもので、
用など命に関わる分野での使用が増えてくるため、
さらな
2009年度に期間7年の予定でスタートした。事業規模は
る安全対策が求められる。
210億円である。この事業の共同研究実施先は、京都大
学を中心とした22機関が参画したコンソーシアムで、
その
メンバーは、大学では京都大学の他、東北大学や茨城大
5 次世代電池動向
学等、企業ではトヨタ自動車やGSユアサなどまさに「オー
リチウムイオン電池が登場して20年超、
着実にその性能
ルジャパン」体制である。この事業では、①リチウムイオン
は向上している
(図表10)。
また、
現在でもプラス極・マイナス
電池の「革新」への挑戦、②リチウムイオン電池をはるか
極の新素材の研究開発、改良など性能向上の研究開発
に凌ぐ「真に革新的な蓄電池」の開発、③分野横断的な
は鋭意進められている。
しかし、
リチウムイオン電池の性能
「新たな蓄電池コミュニティ」形成の支援の3つをミッション
向上の限界は近いとの見方が大半である。二次電池は、
様々
に定めており、
ミッションを達成するために、
大きく4つの研究、
な製品に利用されており、
それぞれの用途にあった性能向
①高度解析技術の開発、②電池反応メカニズムの解明、
上が求められるが、今後最も普及が期待される電気自動
③材料の革新、④革新型二次電池の基礎研究が進めら
車をガソリンエンジン車と同等の性能にするような高性能な
れている。2015年度を目処にリチウムイオン電池の性能を
電池には、
リチウムイオン電池の次の革新電池の開発が必
3倍以上に引き上げ、
また、従来の性能の5倍の出力を出
要だ。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
の
せる革新的二次電池の関連技術の確立を目指している。
今後も電池で世界を主導していくためにもこの事業に
図表11 二次電池技術開発ロードマップ
現状
容積エネルギー密度
250Wh/L
期待したい。
2015年頃
2020年頃
2030年頃 2030年以降
400Wh/L
600Wh/L
1,000Wh/L 1,500Wh/L
( 注1 )
もっとも、近年導入されている、天然ガスの燃焼でガスタービンを
回転させ、
そこから排出される高温の排気ガスから熱を回収し蒸気
重量エネルギー密度
100Wh/kg
150Wh/kg
250Wh/kg
500Wh/kg
700Wh/kg
タービンを回転させるという
「コンバインドサイクル発電」の熱効率は
50∼60%と高い。
出力密度
1,000W/kg 1,200W/kg 1,500W/kg 1,000W/kg 1,000W/kg
サイクル寿命
現状値
(注2)
ただし、
電池そのものの問題かシステムの問題かは現時点では不明。
(注3)電池のエネルギー貯蔵能力のことで、電池の重量当たりあるいは
現状値の
1.5倍
体積当たりのエネルギー(単位はWh/kg、
Wh/L)
で示される。
(注4)現在研究が進められている主な次世代二次電池には、
資源が豊富
カレンダー寿命
5∼8年
8∼10年
10∼15年
10∼15年
なナトリウムを用いた「ナトリウムイオン二次電池」、
リチウムイオン二
次電池の電解液を固体電解質に変換した「全固体リチウムイオン
100∼200円
コスト
30円/Wh
(ユーザー要求値ベース) /Wh
20円/Wh
10円/Wh
5円/Wh
二次電池」、
空気中の酸素と金属リチウムを反応させて充放電する
「リチウム空気電池」がある。
電池
リチウムイオン電池
出所:NEDO「二次電池技術開発ロードマップ」
革新的二次電池
(2013.1.31)
共立総合研究所 調査部 河村 宏明
42