事 業 報 告 書 - 一般財団法人 大阪府結核予防会

平 成 24 年 度
事
業
一般財団法人
報
告
書
大阪府結核予防会
平成 24 年度事業報告
東日本大震災からの復興需要などにより、24年度夏場にかけて回復の兆し
がみられた我が国経済でありましたが、その後世界経済の減速等を背景として、
景気が弱い動きとなる状況下にありました。しかし、25年1月に政府により
策定された「緊急経済対策」による政策効果に加え、世界経済の緩やかな持ち
直しにより、長引く円高・デフレから脱却し、雇用の拡大を含んだ経済回復が
見込まれています。
当法 人は 企図 通 り、 平成 25 年4 月1日 付け で、 従来 の特例 法人 とし ての
財団法人結核予防会大阪府支部から、一般財団法人大阪府結核予防会として、
大阪府から認可を受け、設立登記を行いましたが、法人としての理念や目的は、
変わることなく「結核を主とし、その他の疾病の予防及び診断・治療に関する
事業を行い、府民の保健向上に寄与することを目的」とした、大阪府内唯一の
団体であるとの自覚を持ち、事業に邁進してまいります。
特例法人として最後の24年度の事業は、結核予防週間中の「結核予防推進
大会」を高槻市に於いて開催し、市内外の一般住民を対象として、レクチャー
や講演を行い、『結核のない大阪をめざして』結核予防の啓発広報活動としまし
た 。ま た、 専門 家であ るべ き医 療従 事者へ の教 育事 業と して、 大阪 府と 共に
「結核対策研修事業」を大阪市内及び堺市内で計約900名の方々に無料受講
いただきました。加えて、結核健診精度管理研修会として、実習を含むX線フィ
ルム評価会も行いました。
社会的に認知されだしましたCOPDにつきましても、結核同様に無料測定
会を兼ねました広報事業と厚生労働省の研究事業を例年通り実施いたしました。
複十字シール運動事業は、公益財団法人結核予防会を中心とした全国運動で
はありますが、大阪府内での活動は当法人のみに限局された事業であり、府民に
より身近に結核を考えていただく運動としてまいります。
病院事業につきましては、現状に則した方向で数々の方策を試みましたが、
患者数の減少には歯止めがきかず、25年度にはより一層の手当を行うことで
経営の安定化を図ってまいります。
一方、健診を主とする診療所事業は、デジタル化・ネットワーク化が進み、
順調な成績をあげていますが、一段のステップアップを計画し、次のステージ
に至りますよう努力してまいります所存でございます。
その他事業としての貸室事業も24年度中に満室となり、初期目的に再び到
達いたしました。
以下、各事業の報告は次の通りです。
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Ⅰ.結核等対策研修普及広報事業
1.結核予防週間の実施
(1) 結核予防推進大会(出席者 343 名)
「結核のない街、大阪をめざして」として、(社)大阪エイフボランタリー
ネットワークと共催で、大阪府内一般住民と大阪エイフ会員を対象に
次のとおり開催した。
・日
時
平成 24 年 9 月 24 日(月)13:30~15:20
・会
場
高槻市立生涯学習センター 2F 多目的ホール
・研修報告
・ミニ講話
「結核予防関係婦人団体中央講習会に出席して」
(社)大阪エイフボランタリーネットワーク役員が報告を行った。
「高槻市の結核の現状とこれから~地域で取り組む結核対策~」
高槻市保健所 保健予防課
主査 田渕 紗也香
結核の感染から発病までの基礎知識と、高槻市保健所管内の
結核の現状、なかでも高槻市において多い高齢者の結核に
・レクチャー
ついての講演を行った。
「結核って…?」
財団法人結核予防会大阪府支部
支部長 増田 國次
(現 一般財団法人大阪府結核予防会 理事長)
「結核」についての素朴な疑問を分かりやすく、感染から発病
までの仕組みや診断、治療、予防に至るまで詳しく説明を行っ
た。
結核という病気に対する誤解や認識の薄さを改善するため、
「結核のない大阪
をめざして」
、より一層結核予防の推進、啓発活動を行った。
(2) 無料健診
・施設内健診
9月24~30日
大阪市実施 21保健福祉センター
906名
(一部保健福祉センターは期間外にも実施)
9月11・21・25 日 東大阪市実施
(3) 各種資料の配布
3保健センター
89名
・ポスター等の配布
結核予防週間用ポスターを大阪府・大阪市・堺市・東大阪市・高槻市・豊中
市・大阪府医師会・教育委員会を通じて、保健所・役所・医院・学校等関係
先に配布した。また、結核予防啓発用ポケットティッシュやうちわを製作し、
関係先に配布するとともに、当法人施設内の数か所に設置コーナーを設け、
来所者への配布も行った。
(4) 講習会の開催
・大阪府では、吹田市、泉佐野市、富田林市、寝屋川市、和泉市、藤井寺市、
において、老健施設職員や高齢者、医療従事者等を対象に結核予防啓発に
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関する講習会を開催した。
・大阪市では、天王寺区において医務主幹による結核についての講演や、大阪
市による「あいりん結核予防学習会」を行った。
・堺市では、結核指定医療機関講習会や市内各保健センターの「自主グループ
研修」
「高齢者関係連絡会」
「基幹型居宅介護支援専門員連絡会」
「子育てフォ
ーラム」等において結核の早期発見等の講演及びチラシの配布を行った。
・東大阪市では、東大阪市保健所において障害福祉施設・老人福祉施設・児童
福祉施設の職員を対象に「東大阪市感染症等予防対策研修会」を行った。
また、枚岡地区の有志医師による勉強会を開催した。
・高槻市では高槻市医師会、薬剤師会による結核指定医療機関講習会において、
医師・看護師・薬剤師等を対象に講習会を開催した。
・豊中市では豊中市保健所において健康づくり推進員への啓発として結核予防
週間についての講話を行った。
(5) 全国一斉複十字シール運動キャンペーン
9月26日(水)大阪市中央区「大丸心斎橋店前」周辺において、大阪市地
域女性団体協議会との共催で全国一斉複十字シール運動キャンペーンを実
施した。シールぼうやとともに啓発グッズを配布し結核予防の普及啓発とシ
ール募金の協力を呼びかけた。
また、8月1日(水)
、22 日(水)
、9月5日(水)には当法人玄関前にて複
十字シール運動・結核予防週間キャンペーンを実施した。
(6) 各種広報活動の内容
・キャンペーンによる広報
大阪府では府内9保健所において、街頭キャンペーンや市民祭、
施設内等でのパネル展示及び啓発グッズの配布等結核予防啓発キャンペー
ンを実施した。
大阪市天王寺区他2区においての区民まつりや健康展、東成区老人福祉セン
ター文化祭にて、結核予防週間の啓発活動を行った。
・テレビ・ラジオ放送による広報
大阪府ではFM番組において結核予防週間について周知・啓発を呼びかけた。
また、大阪市では大正区他 1 区のツイッターより情報発信を行った。
・その他の広報活動
大阪府内広報誌(大阪市内 10 区・堺市・東大阪市・高槻市・豊中市・泉佐
野市)等定期機関紙に結核に関する資料や結核予防週間行事を掲載した。
更に公立小・中・高等学校及び関係機関にはパンフレット「結核の常識 2012」
を配布した。週間中、当法人建物、大阪府庁、府内各保健所、府立呼吸器・
アレルギー医療センター、堺市本庁舎、東大阪市保健所・各保健センター等
に大懸垂幕を掲げるとともに、当法人、大阪府、大阪市、堺市、高槻市で
はホームページ内で結核予防週間を広く府民・市民に呼びかけた。
2.大阪ヘルスジャンボリー2012(大阪市)
平成24年10月20日(土)長居公園にて開催された「大阪ヘルスジャン
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ボリー2012」に協賛団体として参加した。
『「体がだるい?」
「せきが治らない?」-絆・健診で予防を-』のコーナー
を設け、結核に関する正しい知識を深めていただくとともに、あわせて胸部
デジタル健診車による一般住民の無料胸部健診を行った。(結核健診受診者
166名)
また、エコバッグ・タオル・ティッシュペーパー・リーフレット等の普及
啓発資材を用いて、ジャンボリー参加者に配布し、普及啓発活動を行った。
3.西成区特区構想における結核健診
大阪市による西成特区構想実現に向け、西成区の結核事情の改善を図るため
実施される、大阪社会医療センター(大阪市西成区)においての結核健診(読
影及び診察業務)に医師を派遣した。
日時:平成 25 年 2 月~ 毎月第1・第2金曜午後
4.COPD(慢性閉塞性肺疾患)啓発
(1) 「呼吸の日」
・
「肺の日」肺年齢無料測定会
近隣事業所や住民を始めとする府民に対し、COPD等呼吸器疾患の
普及啓発のため、呼吸機能検査を行い、検査結果の説明と肺年齢を
お知らせするとともに実年齢より高い方には禁煙指導、COPD予防
の方法などを説明した。
・日
時
平成 24 年 5 月 9 日(水)13:30~15:30
8 月 1 日(水)13:30~15:30
・場
所
・受診者数
財団法人結核予防会大阪府支部(淀屋橋)4階
38名(5/9)
・61名(8/1)
(2) 肺年齢測定体験会
結核予防週間行事の一環として、結核予防推進大会の会場にて
スパイロメーターを使って呼吸機能検査を行った。
肺年齢測定を行うことにより、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の予防普及
啓発を呼びかけた。
・日
・場
時
所
・受診者数
平成 24 年 9 月 24 日(月)12:30~14:30
高槻市立生涯学習センター
2F 多目的ホール前
62名
5.教育広報資料の製作・配布
・支部広報誌「健康!よぼうかい OSAKA」の配布
年3回(4・10・1 月)発行の広報誌「健康!よぼうかい OSAKA」を
府・市町村・学校・事業所等に発行毎約 1,800 部を配布した。
・広報教育誌「複十字」の配布
公益財団法人結核予防会隔月刊の結核に関する広報教育誌「複十字」を
府・市町村・関係団体に、発行毎 200 部を配布した。
・生活習慣病予防シリーズ
「タバコと健康に関するポスター」250 部を府内保健所・関係団体等に配布した。
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6.大阪府共催事業
(1)結核研修(医療従事者向け)
結核にかかる基礎知識の再確認、最新の知見の習得及び結核診療技術の向上を
図るため、医師・看護師・保健師等医療従事者を対象に24年度はさらに多く
の方に受講していただくため例年の会場を変更し、結核研修会を開催した。
第1回:平成 24 年 11 月 8 日(木)エル・おおさか エル・シアター
(出席者506名)
①「今の大阪が抱えている結核の問題とは?」
講師 大阪府健康医療部保健医療室地域保健感染症課
課長 永井 仁美
②「結核の基礎 ~診断と治療~」
講師 財団法人結核予防会大阪府支部
支部長 増田 國次
第2回:平成 24 年 11 月 30 日(金)サンスクエア堺 サンスクエアホール
(出席者378名)
①「保健所における結核対策 ~地域連携の構築に向けて~」
講師 堺市保健所 感染症対策課
医長 藤井 史敏
②「結核の院内感染予防対策の実際
~大阪の結核の現状から考える予防対策のポイント~」
講師 地方独立行政法人大阪府立病院機構
大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター
感染症内科 副部長 田村 嘉孝
(2)結核健診精度管理研修会
胸部エックス線検査による結核健診の精度向上を図ることを目的とし、大阪府
内の結核健診を実施する医療機関を対象に開催した。
日 時:平成25年1月31日(木)
場 所:財団法人結核予防会大阪府支部8階会議室
内 容:
「胸部直接及び間接撮影フィルム画像評価」
参加施設から提出されたフィルムを講師が事前に評価し、評価
基準の解説、改善点等の指導およびフィルム評価実習を行った。
講 師:財団法人結核予防会大阪府支部 研修部長
寺坂 邦広
技術参事
出口 博幸
出席者:12施設 25名
7.運営事業費一部補助
下記団体の運営事業費一部補助を行った。
(1) がん予防キャンペーン大阪 2012
(2)社団法人 大阪エイフボランタリーネットワーク
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Ⅱ.複十字シール運動事業
1. 結核予防思想の普及を兼ねた結核予防事業を推進するための事業資金造成を
目的として複十字シール運動を行った。
郵送募金(大型シール)
組織募金(シール封筒組合せ)
(大型シール)
(小型シール)
募金総額
31,000 枚
13,345 組
234 枚
1,939 枚
18,090,157 円
Ⅲ.健診・検査事業(医療事業・健診事業)
1.大阪病院事業
汎用性疾患に対する一般急性期病院として地域での役割を確立する為、病院
の方針を模索・検討してきたが、平成 24 年度は 23 年末に一般病棟を 120 床に
替えることで経営改善を図り、ソフト・ハードの両面から病院棟建て替えの基
礎作りを目標とした。
外来診療は、外科・内科の患者数減に歯止めがかからず、整形外科・皮膚科・
泌尿器科・神経内科の患者数増にもかかわらず、全体としてはほぼ同数に留ま
った。新患は内科で減少が続いたが、他の診療科では昨年よりわずかに増加し
ており、シャトルバスの運行回数増加、駐車場の整備、診療科の増設など地域
の要請に応える努力の継続が必要と思われ、更なる努力の一環として土曜外来
を希望する地域の要請に応える為、10 月から内科・外科の土曜午前診を開始し
た。一方、医師の事務的作業を軽減し患者と向き合う時間を増加させる為、11
月よりオーダリングシステムを導入し、また、医局員の外来検査負担軽減を目
指して消化器内科医局からの派遣を依頼するなど、入院・外来患者の増加に結
びつくよう環境整備に努めた。
入院診療は、経営改善の柱として増床した一般病棟が、諸施策にもかかわら
ず、周辺医療機関からの紹介が伸び悩み、入院患者数は 60%前後の稼働率と低
迷した。なかでも7月と8月の内科、9 月以降の外科で患者数が大きく減少し、
費用対効果を勘案すべき時期に来ていると考え、25 年度は一般病棟を2病棟に
減床し、費用削減を図ることとした。経年的な内科患者数の減少が外科の手術
数減少に結びついており、経営改善のためには早急な対応が必要と考えている。
整形外科は、手術数・患者数共に増加しており、麻酔科非常勤医師の採用や理
学療法室の強化の効果が出ているものと思われる。呼吸器管理を必要とする重
症な患者などを受け入れている5階療養病棟の患者数は昨年よりは増加した。
結核病棟の患者数はほぼ横ばいの状況であったが、看護基準の変更で入院基本
料が増加し収益はやや改善した。
オーダリングシステムの導入と併せて、医療従事者に魅力ある病院作りの一
環としての寝屋川市感染症ネットワークの立ち上げに続いて、6月には河北循
環器呼吸ケア研究会、11 月には HOT(在宅酸素療法)患者会を始動し、病院の
活動性の向上を目指した。看護部を中心とした緩和ケアの院内勉強会も認定看
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護師の育成の段階まで進展した。一方で利用患者数の増加が認められなかった
RI 検査は閉鎖を余儀なくされたが、周辺に RI 検査や PET-CT 検査を行える施設
が複数あり、これらを利用することで、当院での診療機能の低下を防止したい。
健診部門は、当院で行っている種々の健診から病院での精密検査への流れを
作るため、受診勧奨パンフレットの作製や自治体への働きかけ等を行った。相
談診療所との画像診断ネットワークの構築、健診専従医の確保、病院施設内の
健診スペース確保など多くの課題が今後への持ち越しとなった。
管理部門は、保険審査機関のシステム変更により保険審査査定が厳しくなっ
たことについての対応が不十分となり査定による減額幅が膨らんだ。11 月にオ
ーダリングシステムを構築したことにより、今後、運用面で工夫をこらして経
営改善に寄与させたい。また、SPD(医療消耗品在庫管理)業務の委託業者を変
更したことで、管理費用と消耗品購入費用を削減し、ひいてはベンチマーキン
グの利用やコストパフォーマンスの改善等を行い、経営改善への情報提供手段
としていく。25 年度は診療科別原価計算や DPC(診断群別支払い方式)対応の
準備を継続事業としていく。
2.研究所事業
調査研究
(1)大阪府における結核発病の調査研究
(2)結核化学療法におけるDOTSの検討
(3)肺癌健診方策の検討
(4)COPD質問票によるCOPD健診の効率化
(5)臨床分離株の薬剤感受性の検討
学会・研究会 発表
(1)第1回河北循環器呼吸ケア研究会
「包括的呼吸管理をめざして~他職種チーム医療から学際的チーム医療へ~」
平成24年6月2日(大阪市)
(2)第104回病診連携懇談会
「大腸癌の手術と補助化学療法」
平成24年7月14日(寝屋川市)
(3)第4回登録医大会
「注意すべき消化管感染症」
平成24年7月14日(寝屋川市)
(4)寝屋川市教育委員会研修会
「学校におけるアレルギー疾患について~食物アレルギーによる
アナフィラキシーへの対応~」
平成24年8月23日(寝屋川市)
(5)第2回 Osaka Infection Forum
「希少な非結核性抗酸菌症の検討」
平成24年10月3日(大阪市)
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(6)第22回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会学術集会
「高齢COPD患者に対する呼息時低周波電気刺激の効果~安静および
運動時の換気機能に着目して~」
平成24年11月23・24日(福井市)
(7)第22回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会学術集会
「循環器科の参加した学際的呼吸ケアチーム医療を目指した研究会
立ち上げに先がけての意識調査」
平成24年11月23・24日(福井市)
(8)第22回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会学術集会
「蜂窩肺を呈した重症肺サルコイドーシスにおける慢性Ⅱ型呼吸不全の
急性増悪に対して様々な酸素機器の工夫をした一例」
平成24年11月23・24日(福井市)
(9)第105回病診連携懇談会
「不明熱で発症した男性SLEの1症例」
平成25年1月17日(寝屋川市)
(10)大阪呼吸ケア研究会 第4回呼吸ケア研修会
「人工呼吸療法、在宅酸素療法(NPPV/TIPPV/HOT)
」
平成25年2月16日(大阪市)
(11)守口保健所主催院内感染症対策研修会
「結核院内感染防止策のポイント」
平成25年2月28日(守口市)
(12)第2回寝屋川市在宅ケア研究会
「睡眠時無呼吸症候群について」
平成25年3月9日(寝屋川市)
(13)寝屋川市医師会結核指定医講習会
「結核の感染防止対策について」
平成25年3月21日(寝屋川市)
論文 他
(1) COPDスクリーニングにおける質問票による問診と肺年齢測定の意義
結核予防会COPD共同研究グループ
小倉 剛 谷藤一生 尾形英雄 南 貴博 瀬戸山史郎
荻野隆一 松村伸利 手島建夫 内村和宏 長田 功
(呼吸 別冊)2012 年 4 月 16 日
(2) 慢性閉塞性肺疾患(COPD)のスクリーニングについて
小倉 剛 (公衆衛生 第 76 巻第 11 号 別刷)2012 年 11 月 15 日
(3) Positive outcome of average volume-assured pressure support mode
of a Respironics V60Ventilator in acute exacerbation of chronic
obstructive pulmonary disease: a case report
Miyuki Okuda, Makoto Kashio, Nobuya Tanaka, Takashi Fujii and
Yoshinari Okuda Journal of Medical Case Reports 2012;6:284
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(4) Clinical and microbiological differences between Mycobacterium
abscessus and Mycobacterium massiliense lung diseases.
Toshiyuki Harada, Takashi Fujii, et.al
Journal of Clinical Microbiology 2012;50:3556-3561
3.健診事業
平成 24 年度は、相談診療所において大口集団の入札で他機関による落札と
本店、支店の健診機関の統一を図る名目で長年の得意先を失うなど減収はあっ
たが、複数年に渡る渉外活動により金融機関や製薬会社などの新規健診を獲得
し、23 年度健診収入を上回る結果となった。また、大阪病院の集団健診事業に
おいても北河内地区の地域での乳幼児のBCG接種の個別実施による減収はあ
ったが、地域住民健診の受診者数の増加や事業所健診での受託件数や受診者数
の増加により 23 年度実績を上回り、堺高島屋内診療所の集団健診事業において
も堺市国保ドックを中心に全国健康保険協会の生活習慣病予防健診、事業所健
診の伸びがあり、増収となった。さらに、インフルエンザワクチンの接種も 24
年度も好調で健康保険組合や企業側から例年以上の希望をいただき、23 年度を
超える接種者数となった。
集団健診事業においては収入の確保とともに健康保険組合や共済組合などの
保険者への福利厚生面で貢献、協力し、評価をいただいた。健診事業としては
新館建替え以来、出張健診から施設健診への移行は進んでおり、大阪病院や堺
高島屋内診療所においても施設健診へのシフトは年々顕著となっている。三事
業所とも主たる健診項目である定期健診、生活習慣予防健診は伸びており、特
に、全国健康保険協会の生活習慣病予防健診、国保ドック、ドック受診者の伸
びが収入の増加に繋がった。しかし、入札による増減、他の健診機関との競合
も厳しいものとなっており、新規獲得は勿論、得意先の管理も気を抜けない様
相を呈している。
高齢者医療確保法の特定健康診査・特定保健指導においては 25 年度に保険者
に対して中間状況調査がある予定で、特定健康診査の受診状況は市町国保や健
康保険組合などである程度、定着しているが、特定保健指導の実施状況は2回
目以降の指導対象者の意識付けや対象者の保健指導への導き方などの問題もあ
り、三事業所全体で、昨年秋に駆け込みの需要はあったものの受診者数は横ば
い傾向の状況となっている。
健診車の整備は公益財団法人JKAの補助金交付による胃部X線デジタル健
診車の製作と胸部X線健診車の 2 台をデジタル装置に載せ替え、健診車の更新
とフィルムからデジタル化への動きを進めた。
画像系のシステムについては画像サーバーの更新を行い、DICOM化を進
めるとともに三事業所のネットワーク整備の一環として医療機器の更新を行い、
着実に事業所間での健診データの共同保管もさらに進捗させた。この画像ネッ
トワークシステムの整備は今後も継続、発展させていく。
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4.相談診療所事業
平成 24 年度は、集団健診事業では入札により大口集団の契約を失い、長年の
得意先を健診機関の統一という理由で失うなど減収があったが、他方、入札で
復活実施できた集団があり、また新規健診を金融、製薬会社関連で獲得でき、
23 年度実績を上回ることが出来た。内訳では、定期健康診断、生活習慣病健診、
ドック健診、
住民健診といずれの項目も伸びがあり、
特にドック健診では 15,739
名の受診者数で前年比 312 名の増加、全国健康保険協会の生活習慣病予防健診
では 16,151 名で前年比 1,159 名の受診者の伸びがあった。さらに出張健診から
施設健診への移行も年々進んでおり、
受診者比率も 4 対 6 の状況となっている。
24 年度も他機関との入札による競合や新規健診獲得競争と厳しい状況は変
わらず、また、保険者や企業においても少子高齢化の影響や採用の手控えなど
保険料収入も上がらない中、財政逼迫も影響し、健診受診時の一部負担金の引
き上げ、健診契約機関の受診者選択制が 25 年度もさらに拍車がかかってくると
予想される。
外来保険診療部門では 23 年度とほぼ同じ収入実績となった。新規患者数は増
えたものの再来患者数は減少したことで、X線検査、生理検査が伸び悩み、前
年度比で約19万円の減収となった。初診患者数は年間 4,787 名(前年比 342
名増加)
、再来患者数は年間 15,194 名(前年比 261 名減)で計 81 名の増加で
一日平均外来患者数は 84.0 名と前年と同数であった。
特定健康診査、特定保健指導においては、受診者数は横ばい傾向で、特定保
健指導の受診者数は動機付け支援が 99 名、
積極的支援が 124 名となっている。
25 年度の中間見直しに向けて受診者数の増加も予想されるが、保健指導ソフト
のバージョンアップ、予約人数の割り振りなどで対応する。
24 年度に製作した胃部X線デジタル健診車は年明けから稼働し、25 年度は
地域住民健診や事業所健診に本格的に稼働する予定で、機器更新としては 2 台
の胸部X線健診車のデジタル装置への載せ替えも行い、デジタル化への移行を
進め、健診や判定業務などで効果を発揮した。また、医療情報のデジタル化・
ネットワーク化は医療機器と画像サーバーの更新を行い、受診者サービスとし
て画像データのディスク作成化も行った。今後もこれらを基盤としてさらなる
ネットワーク化を進めていく。
第三者評価として 24 年度には日本人間ドック学会の認定も更新でき、既に
取得している日本総合健診医学会の認定とともに健診面や制度面での評価を前
面に出して顧客獲得に臨み、それにふさわしい職員マナー向上にも取り組んで
いく。
5.堺髙島屋内診療所事業
平成24年度年初時は、他機関に変更となる事業所が数ヵ所あったことや一
部の健保が助成制度を変更することが決まっており、受診者の減少が予測され
厳しい状況になるものと苦慮してのスタートであったが、幸い集健と外来とも
に増収となった。堺市国保ドック、大阪府歯科医師国保や新規実施の堺市及び
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大阪狭山市の総合がん健診の受診者が増えたことが大きな要因である。特定健
診は検査項目が少ないため、自己負担金が高くなるもののドック健診を希望す
る受診者が増えているものと考えている。
外来については予算達成とはならなかったものの、集健の受診者が増えたこ
とにより、外来の受診者が増え、各種検査の実施数が増える相乗効果があり増
収となった。
年度途中には眼底検査をデシタル化し、画像ネットワークシステムを一段と
構築できた。年間を通じて忙しい現状において、更なる画像ネットワークシス
テムの構築や全職員が業務改善に繋がる知恵を出し合い、効率良く仕事ができ
る環境をより整備していくことが今後の課題だと思っている。
6.各施設の運営
(1) 相談診療所の運営
外来診療
年間延患者数
19,981 名
新患者数
4,787 名
内
再来患者数
一日平均外来患者数
健診事業
15,194 名
84 名
ツベルクリン反応検査
261 名
BCG予防接種
2,755 名
間接撮影(定期健康診断等含)
直接撮影(定期健康診断等含)
結核問診調査
97,737 名
157,393 名
64,063 名
住民健診
定期健康診断
84,100 名
127,625 名
循環器健診
消化器健診
42,467 名
40,168 名
肺がん健診
有害業務健診
37,196 名
18,871 名
各種機能検査
238,119 名
ドック健診
生活習慣病健診
15,739 名
99,255 名
全国健康保険協会生活習慣病予防健診
骨粗鬆症健診
16,151 名
9,660 名
その他
115,058 名
- 11 -
(2) 大阪病院の運営
入院診療
年間延入院患者数
一日平均
(内新入院患者数)
外
入院患者数
科
3,867
(197)
10.6
整形外科
7,425
(378)
20.4
内科その他
14,452
(738)
39.6
医療療養
12,932
( 27)
35.4
9,096
(123)
24.9
結 核
合
計
47,772 (1,463)名
130.9 名
外来診療
年間延患者数
内新患者数
内再来患者数
一日平均
外来患者数
内 科
19,055
1,164
17,891
78.4
外 科
3,739
262
3,477
15.4
整形外科
8,855
808
8,047
36.4
リハビリ科
3,792
0
3,792
15.6
皮膚科
3,131
170
2,961
12.9
神経内科
606
38
568
2.5
泌尿器科
1,260
41
1,219
5.2
合
計
40,438 名
2,483 名
健診事業
ツベルクリン反応検査
BCG予防接種
37,955 名
166.4 名
4名
1,330 名
間接撮影(定期健康診断等含)
直接撮影(定期健康診断等含)
8,649 名
3,840 名
結核問診調査
住民健診
31,520 名
23,292 名
定期健康診断
循環器健診
7,048 名
1,474 名
消化器健診
1,111 名
有害業務健診
各種機能検査
2,159 名
26,102 名
ドック健診
生活習慣病健診
255 名
1,556 名
全国健康保険協会生活習慣病予防健診
骨粗鬆症健診
その他
857 名
402 名
17,525 名
- 12 -
(3) 堺髙島屋内診療所の運営
外来診療
年間延患者数
11,715 名
新患者数
1,673 名
内
再来患者数
一日平均外来患者数
健診事業
10,042 名
40.4 名
間接撮影(定期健康診断等含)
直接撮影(定期健康診断等含)
18,850 名
16,476 名
住民健診
1,061 名
定期健康診断
循環器健診
19,797 名
867 名
消化器健診
有害業務健診
2,467 名
13,421 名
各種機能検査
ドック健診
27,213 名
1,715 名
生活習慣病健診
全国健康保険協会生活習慣病予防健診
骨粗鬆症健診
その他
8,189 名
3,300 名
680 名
21,931 名
Ⅳ.Bツ・図書販売事業
・ツベルクリン液とBCGワクチンの頒布
大阪府内全域に対して次のとおり頒布した。
ツベルクリン反応液
〃
2㏄
1人用
79箱
10箱
BCGワクチンセット
1人用
28,088箱
・結核等専門図書の頒布
結核?!でも心配しないで
1,052 冊
DOTSってなあに
103 冊
結核の統計2012
感染症法に基づく結核の接触者健康診断の手引きとその解説
34 冊
18 冊
保健師・看護師の結核展望 99 号
保健師・看護師の結核展望 100 号
24 冊
7冊
医師・看護職のための結核病学シリーズ(第1~6巻)
30 冊
現場で役に立つクォンティフェロンTBゴールド使用の手引き
- 13 -
3冊
Ⅴ.貸室事業
一部空室となっていた貸室も24年度当初に契約となり、満室状態となった。
25年度も継続の状況である。
1階貸し駐車場は、満車状態を継続しています。
Ⅵ.今村記念事業
下記団体に対し運営事業費一部補助を行った。
(1)財団法人 大阪から肺がんをなくす会
Ⅶ.施設整備資金
24年度の実施事業はありません。
Ⅷ.その他
1.講習会・研修会への参加
医師研修会
15 名
診療放射線技師研修・講習会
臨床検査技師研修・講習会
保健師研修・講習会
その他各種学会
2.大会会議への参加
25 名
18 名
9名
2名
(1) 近畿ブロック会議
平成 24 年 11 月 14 日
奈良県奈良市
出席者
3名
(2) 結核予防会全国支部事務局長研修会並びに事務連絡会議
平成 25 年 2 月 22 日
東京都千代田区
出席者
1名
(3) 第64回結核予防全国大会
平成 25 年 3 月 18~19 日
東京都文京区
出席者
6名
(内 大阪市地域女性団体協議会 2名含む)
(4) 御堂筋エコロード推進協議会「情報交換会」
平成 25 年 3 月 26 日
大阪市北区
出席者
1名
(5) 第 17 回結核予防関係婦人団体中央講習会
平成 25 年 2 月 12~13 日
東京都千代田区
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出席者
4名
(社)大阪エイフボランタリーネットワーク 2 名
大阪市地域女性団体協議会 2 名
3.天王寺動物園の団体サポーター登録
大阪市天王寺動物園団体サポーター登録をすることにより、府・市民の皆様
との交流を深めるとともに、園内2か所にネームプレートが掲示され、
「財団
法人結核予防会大阪府支部 大阪総合健診センター」の名称周知を行った。
4.大阪府による「おおさか交通エコチャレンジ推進運動」に登録し、環境に配慮
した自動車利用を実践するとともに常に安全運転を心掛けた。
以 上
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