No.084 「大阪都市経済調査会の頭脳」 徳田が分析 数字で見る経済 大阪のポテンシャル その15 旺盛な起業家精神を発揮する大阪・関西人は今も健在 ∼自営業と企業とのバランスも絶妙で高い起業家率を誇る大阪!∼ よく「大阪人は起業家精神が旺盛」と言われていますが、 その 就業者数の多い25∼64歳のゾーンを対象として算出した起業 信憑性を統計データで立証することはできませんでした。 しかし、 者割合を自営業と企業(会社・法人) とに分けて分析した図を見 最新の就業構造基本調査では、初めて就業者に起業者かどう ると、大阪市の男性の起業者割合は自営では堺市、京都市に次 と かを調査していますので、今回はこの結果を分析・考察してみます。 ぐ第3位、企業としてでも東京都区部、横浜市に次ぐ第3位で、 徳田 裕平 (とくだ ゆうへい) 就業している人のなかで、 自分で事業を起こした人(起業者) もにトップクラスに位置しており、総起業者割合でも第3位となっ 建設コンサルタントを経て、都市銀行系シン クタンクに。そこで地域活性化や産業・経済 調査を手掛け、2005年4月に大阪都市経済 調査会へ。経済調査なら「なんでも来い!」の 頼れる存在。大阪ではマイナーな中日ドラゴ ンズファンである。 の割合を年齢階層別に見ると、高年齢になるにつれて高くなっ ています【図2】。他方、女性に関しても自営で第4位、企業では ていることがわかります【図1】。また、男女別では年齢を問わず男 第5位、総合で第3位につけており、男女共に旺盛な起業家精神 性の起業者割合が女性の約3倍となっています。次に、大阪市 があることが確認できます。 しかも、 この調査は起業者の現住所 に居住する人の起業者割合をみると、男性ではほぼ全階層につ での統計であり、事業所の所在地を尋ねていないことから、堺市 いて全国平均よりも高く、 かつ、起業者数の多い35∼59歳では 在住の起業家の事業所が大阪市内であるケースや、大阪から 4%前後も高くなっています。他方、女性では40∼49歳の階層で 東京への本社機能流出により、経営者が転居して東京在住となっ 大阪市の方が高い割合となっています。こうした結果からは大阪 ている大阪出身の起業家のケースなども少なからず含まれてい 人の起業家精神は依然として健在といえそうです。 ることを考えあわせると、起業家を多く輩出する都市・大阪の地 次に主要都市の状況を見てみます。全国の大都市について、 位は今も健在といえましょう。 【図2】主要大都市に関する自営/企業別起業者割合 【図1】起業者割合、 うち自営割合の年齢階層別、 男女別状況 70 (%) 100 (%) 50 80 40 70 30 60 20 50 10 0 年齢→ 15∼ 起業者割合(大阪) (左軸) 全体 男性 女性 うち自営割合(全国) (右軸) 全体 男性 女性 6 (%) 企業としての起業者割合 90 うち自営割合 起業者割合 60 起業者割合(全国) (左軸) 全体 男性 女性 1:1 30 ※詳しい統計データとバックナンバーはこちらから 資料:総務省 「平成19年就業構造基本調査」 自営vs企 業=2:1 大阪市 4 3:1 男性 全国 東京都区部 横浜市 川崎市 名古屋市 京都市 大阪市 堺市 神戸市 北九州市 福岡市 大阪府その他 2 40 20∼ 25∼ 30∼ 35∼ 40∼ 45∼ 50∼ 55∼ 60∼ 65∼ 70∼ 75∼ 1.5:1 0 女性 全体 総起業者 割合が低い 10% 5% 総起業者 割合が高い 起業者割合 15%rライン 5 10 自営としての起業者割合 資料:総務省 「平成19年就業構造基本調査」 注:25∼64歳の階級全体での起業者割合。 総起業者割合=自営としての起業者割合+ 15 (%) 企業としての起業者割合 本稿に対するご意見もお寄せ下さい。
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