消化の話

消化の話
2013 年 5 月 13 日
馬込第 3 小学校朝礼にて
突然ですが、みなさんは日曜日夜 7 時半にNHKテレビのダーウィンが来た、を見ていま
すか?
私の孫たちも大好きで、いつも一緒に観ています。地球上にはいろいろな動物たちがいて、
私達とは全く違う行動をしていて、いつも驚かされます。なかでも不思議に思うのは、動
物たちの食事の仕方です。私達は食事の時間がくると、テーブルの前に座って、お箸を持
って、お皿に乗った食べ物をいただきます。でも他の動物たちはそんな風にお行儀よくは
食べませんね。もっと、ワイルドだぜ!!猿やチンパンジーは手に持って食べますが、他
の動物たちは噛みついたり、丸飲みしたりしています。なかでもとっても驚かされる食事
の仕方がいっぱいありますね。大きなワニが子牛を丸呑みするのを見たことがあります
か?自分の体の大きさとたいして違わない動物をひと噛みで飲み込んでしまうのです。蛇
も同じですね。あんなに細い体なのに、ウサギやネズミをひと飲みにしてしまいます。さ
らに驚かされるは、鳥の赤ちゃんが親鳥の咥えてきた魚を口移しに丸呑みするシーンです。
私達は小さな魚は焼いたり煮たりしてよく噛んで食べますが、大きな魚は切り身にしたり、
骨を外して食べますね。赤ちゃんの時にはさらに身を細かくほぐしてから食べさせてもら
いますね。皆さんは固い葉っぱや草を食べたことがありますか?試してみなくていいです
が、おそらく、いくら噛んでも呑み込めないと思います。でも、牛ややぎ達は美味しそう
に草を食べ続けていますね。不思議だと思いませんか?
この謎の答えは消化管という体の仕組みにあります。消化管とは一般的には口があって、
そこから食べ物が入って、最後はお尻から便として出てくるまでの道のりを言います。私
達は食べ物を口から入れて、歯でよく噛んでから呑み込みます。食道という細い管を通っ
て、胃に達します。胃は大きな袋で、入ってきた食べ物をさらに細かく砕いたり、消化液
と混ぜ合わせたりして、食べ物を分解していきます。胃を出た食べ物は長い小腸に入りま
す。大人では 6m もある長い管です。食べ物はここを通過する間に、たくさんの消化酵素で
分解され、体の中に取り込まれます。最後に大腸で水分を抜かれて便となり、お尻から捨
てられます。
多くの動物たちも同じような消化管をもっていますが、食べ物、環境などによって人間と
は違う構造や働きをしています。ワニや蛇は爬虫類といって、体温を一定に保つ必要のな
い生き物です。実は私達が毎日 3 度 3 度食事をする理由の一つは、寒い日でも体温を一定
に保たなければならないからです。ワニや蛇はその必要がないため、たまに食事をすれば
十分なのです。水だけで 1 か月も生きることができるのです。ですから、一度に大量に食
べて、あとは何日もじっと寝て待っていればいいのです。私達のように、次の食事のため
に急いで消化する必要がないのです。あんなに大きな物を呑み込んでも、何日もかかって
ゆっくり消化すればいいのです。鳥が魚を丸呑みできるのは、食道が発達した砂嚢と呼ば
れる袋を持っており、そこで砂と食べ物をこすり合わせることによって分解できるからで
す。牛が草をいっぱい食べることができるのは、胃を 4 つ持っているからです。胃の中に
はたくさんの微生物がいて、草を消化してくれます。また反芻と言って、いったん胃に入
った食べ物を再び口に戻して噛み砕く動作を繰り返すことにより、固い草を消化できるの
です。このように、食べ物やおかれた環境などにより、消化管はそれに適応するように変
化するのです。
みなさんは登校途中に、カラスがゴミをあさっているのを何度も見たことがあると思いま
す。カラスはなぜ腐ったゴミを食べてもお腹を壊さないのでしょうか。不思議ですね。
私がエジプトを旅行した時のことです。カイロの街中を流れる大きな川、ナイルの渡し船
に乗りました。真夏の暑い日でした。一緒に乗っていた立派な紳士がやおら川に手を入れ
ると、水をすくって飲み始めました。私はびっくりしました。川の水は濁っていて、とて
もきれいとは言えませんでした。また、インドを旅した時のことです。ガイドさんから、
ペットボトルの飲料水以外は決して飲んではいけないと言われていました。でも私を除い
て皆がお腹を壊しました。原因は、どうもガイドさんの買ってきたペットボトルのようで
した。きっと偽物だったのです。ではどうして、カラスやカイロの紳士やインドの人たち
はお腹を壊さないのでしょうか。答えは昨年ここでお話した、腸のなかに無数にいる小さ
な生き物たちです。彼らは食べ物や水によって変化し対応するのです。毎日、腐ったもの
を食べていると、この小さな生き物たちはそれをちゃんと消化できるように対応してくれ
るのです。私達日本人はとても清潔な環境で暮らしています。水道水もとても美味しく飲
めますね。こんな国はとても珍しいのです。でも、きれいすぎると、あの小さな生き物た
ちは仕事がなくなりさぼってしまいます。突然、汚いものが入ってきても対応できずに、
下痢をしてしまいます。
皆さんに腐ったものや汚い物を食べろとは言いません。でも、魚は骨があるから嫌とか、
野菜は固いから嫌いなどと言って、食べないのはいけません。小さな生き物たちがますま
すサボって、抵抗力のない弱いお腹になってしまいます。なんでも好き嫌いなく食べるこ
とによって、丈夫なお腹ができるのです。