日皮会誌:118(10) ,1893―1923,2008(平20) 日本皮膚科学会ガイドライン 尋常性痤瘡治療ガイドライン 林 伸和1) 谷岡 未樹6) 赤松 日高 浩彦2) 良子4) 岩月 古川 啓氏3) 福実7) 有紀7) 宮地 良樹6) 川島 眞1) 山本 ガイドライン策定の背景 黒川 山崎 一郎4) 修3) 幸野 山崎 健5) 雙次8) 瘡治療の評価に欠かせない,本邦患者における痤瘡重 症度判定基準の策定もなされた. 痤瘡は,思春期以降に発症し,青年期以降には通常 このような状況を背景として,また欧米に比較する 自然に軽快する顔面,胸背部の毛包・脂腺系を場とす と本邦での治療手段が乏しいこと,患者の重症度の違 る脂質代謝異常(内分泌的因子) ,角化異常,細菌の増 いが存在すること,などを考慮すると欧米の治療ガイ 殖が複雑に関与する炎症性疾患である. ドラインをそのまま踏襲することはできず,本邦独自 アクネ,あるいはニキビとも呼称されるが,本邦で の治療ガイドラインを策定することが喫緊の要項と思 は 90% 以上の人が経験するものであり, 疾患としてよ われた.本治療ガイドラインにより,本邦における痤 りは生理的変化としてとらえられる傾向にあった.ま 瘡治療の今後の混乱を未然に防ぎ,現状での適切かつ た,症状の程度も欧米と比較し軽症例がほとんどを占 標準的な治療法の選択基準を提示することにより,本 めることから, 「ニキビは青春のシンボル」とされ,皮 邦における痤瘡治療のレベル向上に役立つものと考え 膚疾患として必ずしも積極的な治療を施す対象ではな る. かった.そのため,痤瘡を有しながら医療機関を受診 ガイドラインの位置付け する患者は 10% に過ぎず,受診した患者の治療に対す る満足度も十分とはいえなかった. 本ガイドライン策定委員会は日本皮膚科学会理事会 しかし,近年の本邦における美容への関心の高さか より委嘱された委員により構成され,2006 年 10 月よ ら,特に美容意識の高い思春期から青年期の顔面に好 り 5 回の委員会および書面審議を行い,日本皮膚科学 発する痤瘡に対する治療を積極的に求める患者も増加 会の学術委員会,理事会の意見を加味してガイドライ した.美容医療の一端を担うべき皮膚科医も対応を迫 ンを策定した.本ガイドラインは現時点における本邦 られ,またケミカルピーリングの痤瘡への応用により, での痤瘡治療の標準を示すものであるが,個々の痤瘡 これまで本邦ではほとんど対処方法のなかった面皰の 患者においては,各症状の程度の違い,合併症などの 治療が可能となったことも相まって,皮膚科医の痤瘡 背景の多様性が存在することから,診療に当たる医師 への関心が急速に高まった.また,美容医療への皮膚 が患者とともに決定すべきものであり,その診療内容 科医以外の医師の参入も増加し,皮膚科診療経験の乏 が本ガイドラインに完全に合致することを求めるもの しい医師により痤瘡治療が行われる現状も生じてき ではない. た.さらには,ようやく本邦においてもレチノイド外 資金提供者,利益相反 用薬が痤瘡治療に使用可能となった.また一方で,痤 本ガイドライン策定に要した費用はすべて日本皮膚 1) 東京女子医科大学皮膚科 2) 藤田保健衛生大学医学部皮膚科 3) 岡山大学医学部皮膚科 4) 三重大学医学部皮膚科 5) 関西労災病院皮膚科 6) 京都大学医学部皮膚科 7) 和歌山県立医科大学皮膚科 8) 獨協医科大学皮膚科 科学会が負担した.なお,上記の委員が関連特定薬剤 の開発などに関与していた場合は,当該治療の推奨度 判定に関与しないこととした.これ以外に各委員は, 本ガイドライン策定に当たって明らかにすべき利益相 反はない. 1894 林 エビデンスの収集 使用したデータベース:Medline,PubMed,医学中 央雑誌 Web, Cochrane database systematic reviews 検索期間:2007 年 8 月までに検索可能であった文 伸和ほか 公表前のレビュー 本ガイドラインの一般公開を前に,日本皮膚科学会 の学術委員会,理事会より意見を求めて,必要に応じ て変更を加えた. 献を検索した.重要な最新の文献は,適宜追加した. 更新計画 採択基準:ランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial:RCT)のシステマティック・レビュー, 本ガイドラインは 3 ないし 5 年を目途に更新する予 個々の RCT の論文を優先した.それが収集できない 定である.ただし,部分的更新が必要になった場合は, 場合は,コホート研究,症例対照研究などの論文を採 適宜,日本皮膚科学会ホームページ上に掲載する. 用した.さらに,症例集積研究の論文も一部参考とし 定 た.基礎的実験の文献は除外した. エビデンスレベルと推奨度決定基準 以下に示す,日本皮膚科学会編 皮膚悪性腫瘍診療 ガイドラインにて採用された基準を参照して作成し た. 義 痤瘡:毛包・脂腺系を反応の場とし,面皰(コメド) を初発疹とし,紅色丘疹,膿疱,さらには嚢腫! 結節の 形成も見られる慢性炎症性疾患で,炎症軽快後に瘢痕 を生じることがある. 面皰:脂腺性毛包において,脂腺の活動性の亢進か ら皮脂の分泌が増加し,毛包漏斗部の角化亢進により, エビデンスレベルの分類 皮脂の毛包内貯留をきたした状態で,閉鎖面皰と開放 I システマティック・レビュー! メタアナリシス 面皰に分けられる. II 1 つ以上のランダム化比較試験 III 非ランダム化比較試験(統計処理のある前後比 較試験を含む) IV 分析疫学的研究(コホート研究や症例対照研究) V 記述研究(症例報告や症例集積研究) 炎症性皮疹:痤瘡に見られる紅色丘疹と膿疱(およ び紅暈,紅斑)を包含する. 嚢腫! 結節:痤瘡の極めて重症な例で見られる強い 炎症を伴う嚢腫あるいは結節をいう. 炎症後の紅斑:炎症性皮疹が軽快し炎症所見が消失 VI 専門委員会や専門家個人の意見 した後に,一時的に残る紅斑をいう. 推奨度の分類 炎症を伴う痤瘡の皮疹が軽快し,炎症が消失した後に 炎症を伴わない嚢腫! 硬結:嚢腫や結節などの強い A 行うよう強く推奨する(少なくとも 1 つの有効 性を示すレベル I もしくは良質のレベル II のエビデ ンスがある) B 行うよう推奨する(少なくとも 1 つ以上の有効 性を示す質の劣るレベル II か良質のレベル III あるい は非常に良質の IV のエビデンスがある) 残る嚢腫あるいは線維化病変をいう. (痤瘡)瘢痕:炎症性皮疹,その他の皮疹が軽快したあ とに生じる,皮膚の陥凹(陥凹性瘢痕) ,隆起(肥厚性 瘢痕) ,色素沈着からなる症状をいう. 重症度:皮膚科専門医有志で構成されたアクネ研究 会が策定した,本邦痤瘡患者における痤瘡重症度判定 C1 良質な根拠は少ないが,選択肢の一つとして推 基 準(Hayashi N et al, Establishment of grading crite- 奨する(質の劣る III〜IV,良質な複数の V,あるいは ria for acne severity. J Dermatol 35 : 255―260, 2008)を 委員会が認める VI のエビデンスがある) いう.炎症性皮疹を主体とするものを対象とし,皮疹 C2 十分な根拠がないので(現時点では)推奨でき ない(有効のエビデンスがない,あるいは無効である エビデンスがある) D 行わないよう推奨する(無効あるいは有害であ ることを示す良質のエビデンスがある) 数による判定方法と写真によるグローバルな判定方法 がある.皮疹数による判定基準を下記に付す. 軽症:片顔に炎症性皮疹が 5 個以下 中等症:片顔に炎症性皮疹が 6 個以上 20 個以下 重症:片顔に炎症性皮疹が 21 個以上 50 個以下 最重症:片顔に炎症性皮疹が 51 個以上 RCT:Randomized control trial の略,本稿ではラン 尋常性痤瘡治療ガイドライン 1895 ダム化比較試験と訳す.データの偏りを軽減するため, 殖した場合に起因菌となり,痤瘡の炎症性皮疹の原因 被験者を無作為に処置群と比較対照群に割り付けて行 となる. う臨床試験.無作為割付比較試験,無作為化比較試験 と同義. コホート研究:ある要因を持つ人々と持たない人々 の情報を収集し,その後の病気の発生などを追跡,比 較検討する研究方法. 症例対照研究:ケースコントロール研究とも呼ぶ. 特定の疾患を持つ人(患者)と疾患を持たない人の過 去の曝露要因を比較して,病気の原因について調べる 研究方法. 症例集積研究:ケースシリーズ研究とも呼ぶ.同一 疾患の症例を数多く集積して報告したもの. P. acnes : Propionibacterium acnes の略.毛包を中心と する皮膚に常在する好脂性,嫌気性桿菌.面皰内で増 Clinical Question のまとめ 表 1 に Clinical Question を示し,それぞれの Clinical Question に対する推奨度と推奨文を付す. 治療アルゴリズム Clinical Question に対する推奨文及び推奨度をもと にして,作成した治療アルゴリズムを図 1 に示す. 痤瘡治療ガイドライン策定委員会の構成と役割分担 委員会の構成と役割を表 2 に,エビデンス収集の担 当範囲を表 3 に示す. 1896 林 伸和ほか 表 1 Cl i ni calQuest i onのまとめ Cl i ni c a lQue s t i o n 推奨度 推奨文 CQ 1 痤瘡(面皰)にアダパレン外用は有効か? A 痤瘡(面皰)に対して,アダパレン外用を強く推奨する. CQ 2 痤瘡(炎症性皮疹)にアダパレン外用は有効 か? A 痤瘡(炎症性皮疹:軽症から重症)に対して,アダパレン外 用を強く推奨する. CQ 3 痤瘡(炎症性皮疹:軽度から中等症)にアダパ レン外用と抗菌薬外用の併用は有効か? A 痤瘡(炎症性皮疹:軽症から中等症)に対して,アダパレン 外用と抗菌薬外用の併用を強く推奨する. CQ 4 痤瘡(炎症性皮疹:中等症から重症)にアダパ レン外用と抗菌薬内服の併用は有効か? A 痤瘡(炎症性皮疹:中等症から重症)に対して,アダパレン 外用と抗菌薬内服の併用を強く推奨する. CQ 5 痤瘡軽快後の寛解維持にアダパレン外用は有 効か? A 炎症性皮疹が軽快した痤瘡に対して,アダパレン外用の継続 を強く推奨する. CQ 6 痤瘡(面皰)にケミカルピーリングは有効か? C1 ないし C2 痤瘡(面皰)に対して,標準治療が無効あるいは実施できな い場合にグリコール酸あるいはサリチル酸マクロゴールに よるケミカルピーリングを選択肢の一つとして推奨する. 但し,保険適応外であることに配慮する必要がある. グリコール酸 C1 痤瘡(面皰)に対して,標準治療が無効あるいは実施できな い場合にグリコール酸を用いたケミカルピーリングを選択 肢の一つとして推奨する.但し,保険適応外であることに配 慮する必要がある. サリチル酸マクロゴール C1 痤瘡(面皰)に対して,標準治療が無効あるいは実施できな い場合にサリチル酸マクロゴールを用いたケミカルピーリ ングを選択肢の一つとして推奨する.但し,保険適応外であ ることに配慮する必要がある. サリチル酸エタノール C2 痤瘡(面皰)に対して,サリチル酸エタノールを用いたケミ カルピーリングを現時点では推奨しない.また,施術にあ たっては保険適応外であることに配慮する必要がある. C1 ないし C2 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,標準治療が無効あるいは実施 できない場合にグリコール酸あるいはサリチル酸マクロゴー ルによるケミカルピーリングを選択肢の一つとして推奨す る.但し,保険適応外であることに配慮する必要がある. グリコール酸 C1 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,標準治療が無効あるいは実施 できない場合にグリコール酸によるケミカルピーリングを 選択肢の一つとして推奨する.但し,保険適応外であること に配慮する必要がある. サリチル酸マクロゴール C1 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,標準治療が無効あるいは実施 できない場合にサリチル酸マクロゴールによるケミカル ピーリングを選択肢の一つとして推奨する.但し,保険適応 外であることに配慮する必要がある. サリチル酸エタノール C2 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,サリチル酸エタノールを用い たケミカルピーリングを現時点では推奨しない.また,施術 にあたっては保険適応外であることに配慮する必要がある. CQ 7 痤瘡(炎症性皮疹)にケミカルピーリングは有 効か? CQ 8 痤瘡(陥凹性瘢痕)にケミカルピーリングは有 効か? C2 痤瘡(陥凹性瘢痕)に対して,トリクロロ酢酸や高濃度グリ コール酸を用いたケミカルピーリングを行ってもよいが,推 奨はしない.また,施術にあたっては保険適応外であること に配慮する必要がある. CQ 9 痤瘡(面皰)に抗菌薬の外用は有効か? C2 痤瘡(面皰)に対して,抗菌薬外用を行ってもよいが,推奨 はしない. CQ 1 0 痤瘡(炎症性皮疹)に抗菌薬外用は有効か? A 痤瘡(炎症性皮疹)に対して抗菌薬(クリンダマイシン,ナ ジフロキサシン)の外用を強く推奨する. CQ 1 1 痤瘡(炎症性皮疹)に抗菌薬内服は有効か? A ないし B ないし C1 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,抗菌薬内服を強く推奨する. A 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,ミノサイクリン内服を強く推 奨する. ミノサイクリン 尋常性痤瘡治療ガイドライン 1897 ドキシサイクリン A 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,ドキシサイクリン内服を強く 推奨する. テトラサイクリン C1 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,テトラサイクリン内服を選択 肢の一つとして推奨する. エリスロマイシン C1 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,エリスロマイシン内服を選択 肢の一つとして推奨する. ロキシスロマイシン B 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,ロキシスロマイシン内服を推 奨する. クラリスロマイシン C1 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,クラリスロマイシン内服を選 択肢の一つとして推奨する. シプロフロキサシン C1 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,シプロフロキサシン内服を選 択肢の一つとして推奨する. ロメフロキサシン C1 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,ロメフロキサシン内服を選択 肢の一つとして推奨する. トスフロキサシン C1 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,トスフロキサシン内服を選択 肢の一つとして推奨する. レボフロキサシン C1 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,レボフロキサシン内服を選択 肢の一つとして推奨する. スパルフロキサシン C1 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,スパルフロキサシン内服を選 択肢の一つとして推奨する. ファロペネム C1 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,ファロペネム内服を選択肢の 一つとして推奨する. セフロキシム アキセチル C1 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,セフロキシム アキセチル内 服を選択肢の一つとして推奨する. CQ 1 2 痤瘡(炎症を伴わない嚢腫/ 硬結)に抗菌薬内 服は有効か? C2 痤瘡(炎症を伴わない嚢腫/ 硬結)に対して,抗菌薬内服は推 奨しない. CQ 1 3 痤瘡(面皰)に漢方療法は有効か? C1 ないし C2 痤瘡(面皰)に対して,他の治療が無効,あるいは他の治療 が実施できない状況では,荊芥連翹湯を選択肢の一つとして 推奨する.黄連解毒湯,十味敗毒湯,桂枝茯苓丸について は,行ってもよいが推奨はしない. 荊芥連翹湯 C1 黄連解毒湯,十味敗毒湯,桂 枝茯苓丸 C2 CQ 1 4 痤瘡(炎症性皮疹)に漢方療法は有効か? C1 ないし C2 荊芥連翹湯,清上防風湯,十 味敗毒湯 C1 黄連解毒湯,温清飲,温経湯, 桂枝茯苓丸 C2 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,他の治療が無効,あるいは他 の治療が実施できない状況では,荊芥連翹湯,清上防風湯, 十味敗毒湯を選択肢の一つとして推奨する.黄連解毒湯,温 清飲,温経湯,桂枝茯苓丸については,行ってもよいが推奨 はしない. CQ 1 5 痤瘡(炎症性皮疹)にステロイド外用は有効か? C2 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,ステロイド外用は推奨しない. CQ 1 6 痤瘡(最重症の炎症性皮疹)にステロイド内服 は有効か? C2 痤瘡(最重症の炎症性皮疹)に対して,ステロイド内服は推 奨しない. CQ 1 7 痤瘡(嚢腫/ 結節)にステロイド局所注射は有 効か? B 痤瘡(嚢腫/ 結節)に対して,ステロイド局所注射を推奨する. CQ 1 8 痤瘡(肥厚性瘢痕)にステロイド局所注射は有 効か? C1 痤瘡(肥厚性瘢痕)に対して,ステロイド局所注射を選択肢 の一つとして推奨する. CQ 1 9 痤瘡(炎症性皮疹)に DDS (di a mi no di phe nyl s ul f o ne , da ps o ne )は有効か? C2 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,DDS内服は推奨しない. CQ 2 0 痤瘡(炎症性皮疹)に非ステロイド系抗炎症薬 (NSAI D)外用は有効か? C1 痤瘡(炎症性皮疹:軽症から中等症)に対して,イブプロフェ ンピコノールクリーム外用を選択肢の一つとして推奨する. 1898 林 伸和ほか CQ 2 1 痤瘡(炎症性皮疹)に非ステロイド系抗炎症薬 (NSAI D)内服は有効か? C2 痤瘡(炎症性皮疹)に対して,NSAI D内服は推奨しない. CQ 2 2 痤瘡に経口避妊薬(ピル)は有効か? C2 他の治療で改善が不十分で,結果的に避妊につながることを 容認する成人女性の痤瘡に対して,経口避妊薬(ピル)を使 用してもよいが,推奨はしない.使用する場合には,痤瘡治 療に対して本邦では未承認の治療法であること,保険適応外 の治療法であること,血栓形成や不正性器出血などの副作用 があることに関する十分なインフォームドコンセントのも と使用する必要がある. CQ 2 3 痤瘡にプレグナンジオールは有効か? C1 他の治療で改善が不十分な成人女性の痤瘡に対して,プレグ ナンジオールを選択肢の一つとして推奨する. CQ 2 4 痤瘡(炎症性皮疹/ 面皰)患者にスピロノラク トンは有効か? C2 炎症性皮疹あるいは面皰のいずれを主体とする痤瘡に対し ても,スピロノラクトン内服は推奨しない. CQ 2 5 痤瘡(炎症性皮疹,炎症後の紅斑)にビタミン 薬外用は有効か? C2 痤瘡(炎症性皮疹,炎症後の紅斑)に対して,1 0 %アスコル ビン酸グリコシドのイオン導入やテトラヘキシルデカン酸 アスコルビルの外用を行ってもよいが,推奨はしない.ま た,保険適応外であることに配慮する必要がある. CQ 2 6 痤瘡にビタミン薬内服は有効か? C2 痤瘡に対して,ビタミン薬内服をしてもよいが,推奨はしない. CQ 2 7 痤瘡にイオウ製剤外用は有効か? C1 痤瘡に対してイオウ製剤外用を選択肢の一つとして推奨する. CQ 2 8 痤瘡(肥厚性瘢痕)にトラニラスト内服は有効 か? C2 痤瘡の肥厚性瘢痕に対して,トラニラスト内服を行ってもよ いが,推奨はしない. CQ 2 9 痤瘡(陥凹性瘢痕)に充填剤注射は有効か? C2 痤瘡の陥凹性瘢痕に対して,充填剤注射(コラーゲン)を行っ てもよいが,推奨はしない. CQ 3 0 痤瘡(炎症性皮疹)に光線療法は有効か? C2 軽症から中等症の炎症性痤瘡に対して青色光療法(bl ue l i ghtpho t o t he r a py) ,中等症から重症の炎症性痤瘡に対して 光 力 学 療 法(pho t o dynami ct he r a py)を 行 っ て も よ い が, 設備の問題,本邦での検討が不十分であり,保険適応もない ことから推奨はしない. CQ 3 1 痤瘡にレーザー治療は有効か? C2 各種レーザー治療器の特性を理解した上で,治療効果が期待 できる皮疹に対してレーザー治療を行ってもよいが,設備の 問題,本邦での検討が不十分であり,保険適応もないことか ら推奨はしない. CQ 3 2 痤瘡(面皰,炎症性皮疹)に面皰圧出は有効か? C1 痤瘡(面皰,炎症性皮疹)に対して,面皰圧出を選択肢の一 つとして推奨する. CQ 3 3 痤瘡(肥厚性瘢痕)に外科的処置は有効か? C2 痤瘡の肥厚性瘢痕に対して,外科的切除や液体窒素療法を 行ってもよいが,推奨はしない. CQ 3 4 痤瘡に化粧(メイクアップ)指導は有効か? C1 痤瘡患者に QOL改善を目的とした化粧(メイクアップ)指 導を行うことを選択肢の一つとして推奨する.但し,刺激性 の少ないノンコメドジェニックな化粧品を選択するなどの 配慮が必要である. CQ 3 5 痤瘡患者に特定の食べ物を一律に制限するこ とは有効か? C2 尋常性痤瘡患者に対して,特定の食べ物を一律に制限するこ とは推奨しない.個々の患者の食事指導においては,特定の 食物摂取と痤瘡の経過との関連性を十分に検討して対応す ることが望まれる. CQ 3 6 痤瘡に洗顔は有効か? C1 痤瘡患者に 1日 2回の洗顔を推奨する. 尋常性痤瘡治療ガイドライン 図 1 痤瘡治療アルゴリズム *集簇性痤瘡や劇症型痤瘡は,病態が異なるため,本アルゴリズムには含まない. 1899 1900 林 伸和ほか 表 2 痤瘡治療ガイドライン策定 委員会の構成 表 3 エビデンス収集の分担 Cl i ni c a lQue s i t o n 委員長 川島 眞 副委員長 宮地良樹 オブザーバー 山崎雙次 委員 赤松浩彦 岩月啓氏 黒川一郎 幸野 健 谷岡未樹 日高良子 古川福実 山崎 担当者 CQ1― 5 谷岡未樹 CQ6― 8 山本有紀,古川福実 CQ9― 1 0 日高良子,黒川一郎 CQ1 1― 1 2 山崎 修,岩月啓氏 CQ1 3― 1 4 幸野 健 CQ1 5― 1 7 林 CQ1 8 赤松浩彦 CQ1 9― 2 4 林 CQ2 5― 3 3 赤松浩彦 CQ3 4― 3 6 林 伸和 伸和 伸和 修 山本有紀 事務局・論文執筆担当 林 伸和 CQ1 痤瘡(面皰)にアダパレン外用は有効か? 推奨度:A 推奨文:痤瘡(面皰)に対して,アダパレン外用を強 く推奨する. 解説:アダパレンは面皰改善に効果の高い薬剤であ 【文 献】 1)Cunliffe WJ, Poncet M, Loesche C, Verschoore M : A comparison of the efficacy and tolerability of adapalene 0.1% gel versus tretinoin 0.025% gel in patients with acne vulgaris : a meta-analysis of five randomized trials, Br J Der ma tol, 139 Suppl (エビデンスレベル I) 52 : 48―56, 1998. り,毛包上皮の角化を正常化させ,新たな面皰の形成 2)Kawashima M, Harada S, Czernielewski J, Miyachi を阻害する.これにより面皰に引き続き生じてくる炎 Y : Adapalene gel 0.1% -topical retinoid-like 症性皮疹も予防することができる.海外での多数の molecule-for the treatment of Japanese patients RCT により,アダパレンの外用療法が面皰数を減少さ with acne vulgaris : a multicenter, randomized, せることが示されている.5 つの RCT をまとめたメタ investigator-blinded, dose-ranging study, Skin Re- アナリシス1)によると 12 週間のアダパレンゲル 0.1% (エビデンスレベル II) search, 6 : 494―503, 2007. 外用により面皰数が 58.1% 減少した.海外での副作用 3)Kawashima M, Harada S, Loesche C, Miyachi Y : は落屑,紅斑,乾燥が 80% 程度,灼熱感,かゆみが 20% Adapalene gel 0.1% is effective and safe for Japa- 程度の患者に認められるが,多くは軽微な症状であり, nese patients with acne vulgaris : a random- 使用中止に至ることはほとんどなかった.また,日本 ized, multicenter, investigator-blinded, controlled 人における RCT においてもアダパレンゲル 0.1% 外 (エビデン study, J Dermatol Sci, 49 : 241―248, 2008. 用の 効 果,副 作 用 は 海 外 の 報 告 と ほ ぼ 同 等 で あ っ スレベル II) 2) 3) た . 以上より,痤瘡(面皰)に対して,アダパレン外用 を強く推奨する. 尋常性痤瘡治療ガイドライン 1901 CQ2 CQ3 痤瘡(炎症性皮疹)にアダパレン外用は有効か? 痤瘡(炎症性皮疹:軽症から中等症)にアダパレン外 推奨度:A 用と抗菌薬外用の併用は有効か? 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹:軽症から重症) に対して, アダパレン外用を強く推奨する. 解説:アダパレンは面皰改善に効果の高い薬剤であ り,毛包上皮の角化を正常化させ,新たな面皰の形成 推奨度:A 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹:軽症から中等症)に対し て,アダパレン外用と抗菌薬外用の併用を強く推奨す る. を阻害する.これにより面皰に引き続き生じてくる炎 解説:レチノイドが面皰改善作用と抗炎症作用を,抗 症性皮疹も予防することができる.さらに,アダパレ 菌薬が抗菌作用と抗炎症作用を持っているため,両者 ンは直接的な抗炎症作用を持つことが知られている. の併用により面皰と炎症性皮疹のいずれも改善するこ 海外での多数の RCT により,アダパレンの外用療法 とから,より早くより高い効果が期待できる. が炎症性皮疹を減少させることが示されている.5 つ 軽症から中等症の炎症性皮疹を主体とする痤瘡患者 の RCT をまとめたメタアナリシス1)によると 12 週間 において,アダパレンゲル 0.1% 外用とクリンダマイ のアダパレンゲル 0.1% 外用により炎症性皮疹数が シンローション 0.1% 外用の併用群,クリンダマイシ 52.3% 減少した.海外での副作用は落屑,紅斑,乾燥が ンローション 0.1% 単剤外用群の 2 群間で比較した 80% 程度,灼熱感,かゆみが 20% 程度の患者に認めら RCT1)によると,外用開始後 4 週目には両群の効果発 れるが,多くは軽微な症状であり,使用中止に至るこ 現に差が認められ,12 週目の面皰および炎症性皮疹数 とはほとんどない.また,日本人における RCT2)3)にお の減少率は併用群で 42.5,55.0% であるのに対して単 いてもアダパレンゲル 0.1% 外用の効果,副作用は海 剤外用群ではそれぞれ 16.3%,44.2% であった. 外の報告とほぼ同等であった. 以上より,炎症性皮疹(軽症から重症)に対して, アダパレン外用を強く推奨する. 【文 献】 以上より,痤瘡(炎症性皮疹:軽症から中等症)に 対して,抗菌外用薬とアダパレンの併用を強く推奨す る. 【文 献】 1)Cunliffe WJ, Poncet M, Loesche C, Verschoore M : 1)Wolf JE, Kaplan D, Kraus SJ, et al : Efficacy and A comparison of the efficacy and tolerability of tolerability of combined topical treatment of acne adapalene 0.1% gel versus tretinoin 0.025% gel in vulgaris with adapalene and clindamycin : A mul- patients with acne vulgaris : a meta-analysis of ticenter, randomized, investigator-blinded study, five randomized trials, Br J Der ma tol, 139 Suppl (エビデンス J Am Acad Dermatol, 49: S211―217, 2003. (エビデンスレベル I) 52 : 48―56, 1998. レベル II) 2)Kawashima M, Harada S, Czernielewski J, Miyachi Y : Adapalene gel 0.1% -topical retinoid-like CQ4 molecule-for the treatment of Japanese patients 痤瘡(炎症性皮疹:中等症から重症)にアダパレン外 with acne vulgaris : a multicenter, randomized, 用と抗菌薬内服の併用は有効か? investigator-blinded, dose-ranging study, Skin Re- 推奨度:A (エビデンスレベル II) search, 6 : 494―503, 2007. 3)Kawashima M, Harada S, Loesche C, Miyachi Y : Adapalene gel 0.1% is effective and safe for Japanese patients with acne vulgaris : a random- 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹:中等症から重症)に対し て,アダパレン外用と抗菌薬内服の併用を強く推奨す る. ized, multicenter, investigator-blinded, controlled 解説:レチノイドが面皰改善作用と抗炎症作用を,抗 (エビデン study, J Dermatol Sci, 49 : 241―248, 2008. 菌薬が抗菌作用と抗炎症作用を持っているため,併用 スレベル II) により面皰と炎症性皮疹の両者の改善が期待できる. 中等症から重症の炎症性皮疹を有する痤瘡患者におい 1902 林 伸和ほか て,アダパレンゲル 0.1% 外用とリメサイクリン 300 mg 内服単独療法による前治療を 12 週間行って症状 mg 内服の併用群,リメサイクリン 300mg 単剤内服群 の改善した症例を対象に,アダパレンゲル 0.1%,ゲル の 2 群間で比較した RCT1)によると,単剤内服で用い 基剤のみの 2 群に分けて 16 週間外用を継続して,アダ るよりも併用群において,より早く,より高い効果が パレンによる再発抑制効果を調査する RCT1)が行われ 認められた.12 週目の面皰および炎症性皮疹数の減少 ている.治療により減少した炎症性皮疹数を基準とし 率は併用群で 56.6%,60.3% であるのに対して単剤内 て,維持療法で再発した炎症性皮疹が基準の半数未満 服群ではそれぞれ 47.6%,45.6% であった.同様の結 であった場合に維持療法成功と判定した結果,16 週目 果がアダパレンゲル 0.1% 外用とドキシサイクリン でアダパレンゲル 0.1% 群での維持成功率は 75% で 100mg 内服の併用群,ドキシサイクリン 100mg 単剤 あったのに対して,ゲル基剤群では 54% であった.ま 内服群の 2 群で比較した RCT2)でも得られている. た,維持療法中に,かゆみ,紅斑,乾燥,落屑の副作 以上より,痤瘡(炎症性皮疹:中等症から重症)に 用を認めたが,両群間に差はなかった.日本人痤瘡患 対して,抗菌薬内服とアダパレン外用の併用を強く推 者においてアダパレン 0.1% ゲルを長期使用した際の 奨する. 副作用のほ 効果および安全性を調べた試験2)によると, とんどが使用開始後 2 週間までに出現し,使用中止に 【文 献】 1)Cunliffe WJ, Meynadier J, Alirezai M, et al : Is combined oral and topical therapy better than oral therapy alone in patients with moderate to moderately severe acne vulgaris? A comparison 至った症例は 1.8%(8 例! 446 例)であった.また,面 皰,炎症性皮疹数は使用開始後 1 週間で有意な減少が 認められ,試験期間である 1 年間その減少は持続した. 以上より,炎症症状が軽快した痤瘡に対して,アダ パレン外用の継続を強く推奨する. of the efficacy and safety of lymecycline plus adapalene gel 0.1%, versus lymecycline plus gel vehi(エ ビ cle, J Am Acad Dermatol, 49 : S218―226, 2003. デンスレベル II) 2)Thiboutot DM, Shalita AR, Yamauchi PS, et al : Combination therapy with adapalene gel 0.1%& 【文 献】 1)Thiboutot DM, Shalita AR, Yamauchi PS, et al : Adapalene gel 0.1%, as maintenance therapy for acne vulgaris : a randomized, controlled, investigator-blind follow-up of a recent combina- doxycycline for severe acne vulgaris, SKINmed, 4 : (エ tion study, Arch Dermatol 142 : 597―602, 2006. (エビデンスレベル II) 138―146, 2005. ビデンスレベル II) 2)Kawashima M, Harada S, Andres P, Miyachi Y : CQ5 One-year efficacy and safety of adapalene gel 痤瘡軽快後の寛解維持にアダパレン外用は有効か? 0.1% gel in Japanese patients with acne vulgaris, 推奨度:A (エ ビ デ ン ス レ ベ Skin Research 6 : 504―512, 2007. 推奨文:炎症性皮疹が軽快した痤瘡に対して,アダパ レン外用の継続を強く推奨する. ル III) CQ6 解説:レチノイド外用や抗菌薬の内服ないし外用によ 痤瘡(面皰)にケミカルピーリングは有効か? り炎症性皮疹が改善した痤瘡において,治療の中断に 推奨度:C1 (グリコール酸,サリチル酸マクロゴール) よりしばしば再発を認める.しかしながら再発予防の ないし C2(サリチル酸エタノール) ために抗菌薬の外用や内服を長期に継続することは耐 性菌を出現させる危険性もあり避けるべきである.炎 症性皮疹の軽快後の寛解維持にはアダパレン外用の継 続を推奨する. 中等症から重症の炎症性皮疹を有する患者におい て,アダパレンゲル 0.1% 外用とドキシサイクリン 100 mg 内服の併用療法,もしくはドキシサイクリン 100 推奨文:痤瘡(面皰)に対して,標準治療が無効ある いは実施できない場合にグリコール酸あるいはサリチ ル酸マクロゴールによるケミカルピーリングを選択肢 の一つとして推奨する.但し,保険適応外であること に配慮する必要がある. 解 説:グ リ コ ー ル 酸,乳 酸 な ど の α-hydroxy acids 尋常性痤瘡治療ガイドライン 1903 (AHA) は,角層を剥脱することにより毛漏斗部の角化 (エビデンスレベル III) 45 : 1743―1748, 2003. 異常を是正し,面皰を改善する.尋常性痤瘡に対する 2)岸岡亜紀子,山本有紀,宮崎孝夫ほか:痤瘡に対 本邦での左右比較の症例対照研究として,グリコール するケミカルピーリングの臨床効果および有効性 1) 〜5) 酸を用いた 5 試験 とマクロゴール基剤サリチル酸 (エ ビ 検 討,Aesthetic Dermatol 14 : 195―202, 2004. を用いた 1 試験6)で有効性が報告されている.副作用 デンスレベル III) は,何れの薬剤を用いた試験でも,刺激感,乾燥や痂 3)林 伸和,川島 眞:尋常性痤瘡に対する 30% グ 皮形成など一過性のものが報告されているのみで,長 リコール酸(pH1. 5)を用いたケミカルピーリング 期に及ぶものはない. (エ の有用性の検討,臨皮 57 : 1213―1216, 2003. ビデンスレベル III) 以上より,痤瘡(面皰)に対して,標準治療が無効 あるいは実施できない場合にケミカルピーリングを選 4)梶田尚美,田中 伸,玉田康彦,松本義也:20% 択肢の一つとして推奨する.但し保険適応外であるこ グリコール酸ピーリングの尋常性痤瘡に対する治 とを考慮し,十分なインフォームドコンセントを必要 (エビ 療効果について,臨皮 56 : 883―885, 2002. デンスレベル III) とする.また,実際の施術にあたっては,各々の患者 の症状や皮膚の状態に応じて適応の可否を判断し,適 5)米井 希,山本有紀,上中智香子ほか:尋常性痤 瘡,毛孔性苔癬,アトピー性皮膚炎の炎症後色素 切な濃度,pH の使用薬剤を選択しなければならない. 沈着に対するケイセイ jorbiGA ジェルの使用経 1.グリコール酸 (エビデン 験,Aesthet Dermatol 12 : 103―108, 2002. 推奨度:C1 スレベル IV) 推奨文:痤瘡(面皰)に対して,標準治療が無効ある いは実施できない場合にグリコール酸を用いたケミカ ルピーリングを選択肢の一つとして推奨する.但し, 保険適応外であることに配慮する必要がある. 解説:グリコール酸は,濃度や pH の違いが効果に大 きく影響する薬剤であり,施術の方法も各々の試験に より微妙に異なることから,単純に結果を比較検討す ることが難しい.本邦でのグリコール酸を用いた左右 2.サリチル酸マクロゴール 推奨度:C1 推奨文:痤瘡(面皰)に対して,標準治療が無効ある いは実施できない場合にサリチル酸マクロゴールを用 いたケミカルピーリングを選択肢の一つとして推奨す る.但し,保険適応外であることに配慮する必要があ る. 比較試験 5 件1)〜5)については,2 週間毎に合計 5〜6 回 解説:サリチル酸マクロゴールの報告は,本邦で行わ の治療を行った後に,皮疹数による効果判定を行って, れた片側のみに施術を行った左右比較試験 1 件6)のみ 同様の結果を得ていることから,信頼性は高い.特に, である.特別な製法で作成されたサリチル酸マクロ 2) 軽症の痤瘡での治療効果が高いとする報告 や,また, ゴールを用いて,16 例を対象として 2 週毎の計 5 回の 面皰では低濃度(20%)でも高い改善率が得られると 施術前後にロボスキンアナライザーによる客観的評価 の報告1)がある. を行い,面皰の数が 75% 減少したと報告している. 以上より,面皰が主体の痤瘡患者へのグリコール酸 以上より,推奨度は C1 と判断し,痤瘡(面皰)に対 によるケミカルピーリング治療を選択肢の一つとして してサリチル酸マクロゴールを用いたピーリングを選 推奨する.施術にあたっては,保険適応外であること 択肢の一つとして推奨する.施術にあたっては,保険 に関するインフォームドコンセントと,患者の皮膚の 適応外であることに配慮する必要がある. 状態に応じた濃度や pH の設定に留意する必要があ る. 【文 献】 6)Hashimoto Y, Suga Y, Mizuno Y, et al. : Salicylic 【文 献】 acid peels in polyethylene glycol vehicle for the 1)梶田尚美,伊東慶子,若山実佳,玉田康彦,松本 treatment of comedogenic acne in Japanese pa- 義也:20%・40% グリコール酸ピーリングによ (エビデン tients, Dermatol Surg 34 : 276―279, 2008. る尋常性痤瘡への臨床効果について,皮膚臨床 スレベル III) 1904 林 3.サリチル酸エタノール 推奨度:C2 推奨文:痤瘡(面皰)に対して,サリチル酸エタノー ルを用いたケミカルピーリングを現時点では推奨しな い.また,施術にあたっては保険適応外であることに 配慮する必要がある. 伸和ほか 解説:炎症性皮疹は,面皰に炎症が加わって生じるた め,グリコール酸,乳酸などの AHA (α-hydroxy acids) やサリチル酸を用いたケミカルピーリングで面皰を改 善することにより,結果的に炎症性皮疹が減少すると 考えられる.片側のみに薬剤を用いたケミカルピーリ ングをおこなった左右比較試験において,面皰のみな らず炎症性皮疹も有意な改善をみたとする報告が,本 解説:韓国で 30% サリチル酸エタノールを用いて 35 邦ではグリコール酸 5 件1)〜5),サリチル酸マクロゴー 例(Fitzpatrick skin type III・IV)の軽度から中等度の ル 1 件8)があり,何れも副作用は,刺激感,乾燥や痂皮 痤瘡患者を対象に行われた試験では,2 週毎に施術し 形成など一過性のもので,長期に及ぶものはない. た 12 週後の効果判定で,面皰数は治療前平均 43 個か 以上より,痤瘡(炎症性皮疹)に対して,グリコー ら治療後 28 個に,また炎症性皮疹の数は 25 個から 11 ル酸あるいはサリチル酸マクロゴールによるケミカル 個への減少が報告されているが,副作用として 3 人 ピーリングを選択肢の一つとして推奨する.但し,保 (8.8%)の患者で 2 日以上続く紅斑を認めている7).ま 険適応外であり,一過性の副作用があることに関して た,本邦では 30 例を対象に 20% サリチル酸エタノー インフォームドコンセントを要する. ルを用いて 2 週毎に計 5 回施術し,前後比較で面皰, 丘疹, 膿疱の有意な減少をみたとする臨床研究が 1 件8) 1.グリコール酸 ある.しかし,本邦で広く行われている治療ではなく, 推奨度:C1 また副作用としての紅斑や刺激感,かさつき,痂皮形 成などが見られることより,推奨度は C2 とした. 以上より,痤瘡(面皰)に対して,サリチル酸エタ ノールを用いたケミカルピーリングを現時点では推奨 しない.また,施術にあたっては保険適応外であるこ 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,標準治療が無 効あるいは実施できない場合にグリコール酸によるケ ミカルピーリングを選択肢の一つとして推奨する.但 し,保険適応外であることに配慮する必要がある. とや痂皮形成や紅斑などの副作用に関する十分なイン 解説:グリコール酸は,濃度や pH の違いが効果に大 フォームドコンセントを要する. きく影響をする試薬であり,施術者による方法も各々 の試験により微妙に異なることから,単純に結果を比 【文 献】 較検討することが難しい.本邦でのグリコール酸を用 7)Lee HS, Kim IH : Salicylic acid peels for the treat- いた左右比較試験 5 件1)〜5)については,2 週間毎に合計 ment of acne vulgaris in Asian patients, Dermatol 5〜6 回の治療を行った後に,皮疹数による効果判定を (エビデンスレベル III) Surg, 29 : 1196―1199, 2003. 行って,同様の結果を得ていることから,信頼性は高 8)梶田尚美:20% サリチル酸によるケミカルピー リングについて,Aesthet Dermatol 14 : 55―58, 2004. (エビデンスレベル III) い.特に,軽症の痤瘡での治療効果が高いとする報告2) や,面皰と比較して丘疹・膿疱では治療回数が多く必 要との報告6)7)があることから,少数の炎症性皮疹を有 し,非炎症性皮疹が主体の痤瘡患者へのグリコール酸 CQ7 によるケミカルピーリング治療を面皰と同様に推奨す 痤瘡(炎症性皮疹)にケミカルピーリングは有効か? る.施術にあたっては,保険診療外であることに関す 推奨度:C1 (グリコール酸,サリチル酸マクロゴール) るインフォームドコンセントと,患者の皮膚の状態に ないし C2(サリチル酸エタノール) 応じた濃度や pH の設定に留意する必要がある. 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,標準治療が無 効あるいは実施できない場合にグリコール酸あるいは サリチル酸マクロゴールによるケミカルピーリングを 選択肢の一つとして推奨する.但し,保険適応外であ ることに配慮する必要がある. 【文 献】 1)梶田尚美,伊東慶子,若山実佳,玉田康彦,松本 義也:20%・40% グリコール酸ピーリングによ る尋常性痤瘡への臨床効果について,皮膚臨床 (エビデンスレベル III) 45 : 1743―1748, 2003. 尋常性痤瘡治療ガイドライン 1905 2)岸岡亜紀子,山本有紀,宮崎孝夫ほか:痤瘡に対 以上より,サリチル酸マクロゴールによるケミカル するケミカルピーリングの臨床効果および有効性 ピーリングを痤瘡(炎症性皮疹)に対する選択肢のひ (エビデ 検討,Aesthet Dermatol 14 : 195―202, 2004. とつとして推奨する.施術にあたっては,保険適応外 ンスレベル III) であることに配慮する必要がある. 3)林 伸和,川島 眞:尋常性痤瘡に対する 30% グ リコール酸(pH1.5)を用いたケミカルピーリング (エ の有用性の検討,臨皮 57 : 1213―1216, 2003. 【文 献】 8)大日輝記,上田説子:サリチル酸マクロゴール ビデンスレベル III) ピーリングによる痤瘡の治療効果,Aesthet Derma(エビデンスレベル V) tol 17 : 59―67, 2007. 4)梶田尚美,田中 伸,玉田康彦,松本義也:20% グリコール酸ピーリングの尋常性痤瘡に対する治 (エビ 療効果について,臨皮 56 : 883―885, 2002. 3.サリチル酸エタノール デンスレベル III) 推奨度:C2 5)米井 希,山本有紀,上中智香子ほか:尋常性痤 瘡,毛孔性苔癬,アトピー性皮膚炎の炎症後色素 沈着に対するケイセイ jorbiGA ジェルの使用経 (エビデン 験,Aesthet Dermatol 12 : 103―108, 2002. スレベル IV) 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,サリチル酸エ タノールを用いたケミカルピーリングを現時点では推 奨しない.また,施術にあたっては保険適応外である ことに配慮する必要がある. 6)Atzori L, Brundu MA, Orru A, Biggio P : Glycolic 解説:韓国で 30% サリチル酸エタノールを用いて 35 acid peeling in the treatment of acne, J Eur Acad 例(Fitzpatrick skin type III・IV)の軽度から中等度の (エ ビ デ ン ス レ ベ ル Dermatol, 12 : 119―122, 1999. 痤瘡患者を対象に行われた試験では,2 週毎に施術し V) た 12 週後の効果判定で,面皰の数は治療前平均 43 個 7)Wang CM, Huang CL, Hu CT, Chan HL : The ef- から治療後 28 個に,また炎症性皮疹の数は 25 個から fect of glycolic acid on the treatment of acne in 11 個への減少が報告されているが,副作用として 3 人 ( エビ Asian skin, Dermatol Surg, 23 : 23―29, 1997. (8.8%)の患者で 2 日以上続く紅斑を認めている9).ま デンスレベル V) た,本邦では 30 例を対象に 20% サリチル酸エタノー ルを用いて 2 週毎に計 5 回施術し,前後比較で面皰, 2.サリチル酸マクロゴール 丘疹,膿疱の有意な減少をみたとする臨床研究が 1 推奨度:C1 件10)ある.本邦で広く行われている治療ではなく,また 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,標準治療が無 効あるいは実施できない場合にサリチル酸マクロゴー ルによるケミカルピーリングを選択肢の一つとして推 奨する.但し,保険適応外であることに配慮する必要 がある. 解説:痤瘡患者 436 人を対象とした特別な製法で作成 副作用としての紅斑や刺激感,かさつき,痂皮形成な どが見られることより,推奨度は C2 とした. 以上より,痤瘡に対してサリチル酸エタノールを用 いたケミカルピーリングを,現時点では推奨しない. また,施術にあたっては保険適応外であり,痂皮形成 や紅斑などの副作用に関する十分なインフォームドコ ンセントを要する. された 30% サリチル酸マクロゴールを用いた症例集 積研究8)では,平均 5.9 回の治療を行って副作用を認め 【文 献】 ず,高い安全性が示されている.また,対象患者の一 9)Lee HS, Kim IH : Salicylic acid peels for the treat- 部である 42 人に対してアンケート調査を行い,患者の ment of acne vulgaris in Asian patients, Dermatol 高い満足度を示している.エビデンスレベルは V であ (エビデンスレベル III) Surg 29 : 1196―1199, 2003. るが,副作用が少ない点や面皰が改善することにより 10)梶田尚美:20% サリチル酸によるケミカルピー 炎症性皮疹の改善が期待できることから,グリコール 酸と同等の作用があると判断して,推奨度を C1 とし た. リングについて,Aesthet Dermatol 14 : 55―58, 2004. (エビデンスレベル III) 1906 林 伸和ほか CQ8 高濃度部分的 TCA 法による治療経験,形成外科 痤瘡(陥凹性瘢痕)にケミカルピーリングは有効か? (エビデンスレベル V) 49 : 573―580, 2006. 推奨度:C2 推奨文:痤瘡(陥凹性瘢痕)に対して,トリクロロ酢 酸や高濃度グリコール酸を用いたケミカルピーリング を行ってもよいが,推奨はしない.また,施術にあたっ ては保険適応外であることに配慮する必要がある. 解説:本邦では,30% サリチル酸マクロゴール1)やグ CQ9 痤瘡(面皰)に抗菌薬の外用は有効か? 推奨度:C2 推奨文:痤瘡(面皰)に対して,抗菌薬外用を行って もよいが,推奨はしない. リコール酸2),50% トリクロロ酢酸3)を用いた治療経 解説:尋常性痤瘡において面皰に関する評価も行った 験の報告はなされているが,エビデンスレベルは低い. クリンダマイシン(CLDM)外用剤による良質なレベ 痤瘡瘢痕の程度を評価し,詳細に検討した報告はない. ル II の RCT が海外で 6 件報告されている.開放面皰, 特に 50% トリクロロ酢酸を用いた報告3)では,患者の 閉鎖面皰の両者について皮疹数の有意な減少がみられ 50.3% が肯定的評価を行っているものの 46.7% が 3 た報告1)〜3)が 3 件,開放面皰の数の有意な減少がみら 回以内に脱落していることから,客観的な治療効果の れ,閉鎖面皰数に変化がなかった結果が 2 件4)5),両者 判定方法の開発や施術方法の改善が望まれる.一方, の面皰ともに皮疹数に変化がなかった結果が 1 件6), 海外では,2 週間毎の高濃度グリコール酸(20〜70%) それぞれ報告されている. によるケミカルピーリング施術群と低濃度グリコール ナジフロキサシン外用については開放面皰および閉 酸配合クリーム(15%)によるホームケア群とプラセ 鎖面皰の皮疹数も 2% エリスロマイシン外用と比較し ボクリームによるホームケア群を比較した RCT が 1 て有意な減少がみられたとい う 良 質 な レ ベ ル II の 件報告され,ケミカルピーリング施術群での有意な効 RCT7)が 1 件報告されている.しかし,クリンダマイシ 果を報告しているが, 23 人中 7 人の脱落症例があり, ンについては一定の結果が得られておらず,ナジフロ 2) また 4 人に長期の紅斑・落屑が観察されている .海 キサシンについては未だ一つの報告しかないことや保 外ではエビデンスレベルの高い報告もあるが,本邦で 険適応外であること,抗菌薬が面皰に有効とする基礎 の治療評価が定まっていないことや色素沈着などの副 データが少なく,作用機序に関する根拠もないことか 作用が懸念されることから,推奨度を C2 とした. ら,現時点では痤瘡(面皰)に対するクリンダマイシ 現時点で陥凹性瘢痕に対して推奨できる治療法はな いことから,痤瘡の陥凹性瘢痕に対して,トリクロロ ン,ナジフロキサシン外用については根拠が不十分で あり,行ってもよいが,推奨はしない. 酢酸や高濃度グリコール酸を用いたケミカルピーリン グを行ってもよいが,推奨はしない.また,施術にあ 【文 献】 たっては保険適応外であることや,治療効果の評価が 1)Shalita A, Myers JA, Krochmal L, Yaroshinsky まだ十分ではないこと,副作用についての十分なイン A : The safety and efficacy of clindamycin pho- フォームドコンセントを要する. phate foam 1% versus clindamycin phosphate topical gel 1% for the treatment of acne vulgaris, 【文 献】 1)大日輝記,上田説子:サリチル酸マクロゴール ピーリングによる痤瘡の治療効果,Aesthet Derma(エビデンスレベル V) tol 17 : 59―67, 2007. (エビデンスレベ J Drugs Dermatol 4 : 48―56, 2006. ル II) 2)Petersen MJ, Krusinski PA, Krueger GG : Evaluation of 1% clindamycin phophate lotion in the 2)Erba!ci Z, Akcali C : Biweekly serial glycolic acid treatment of acne : comparison with 1% clinda- peels vs. long-term daily use of topical low- mycin phosphate solution and lotion placebo, Cur strength glycolic acid in the treatment of atrophic (エ ビ デ ン ス レ Therapeutic Res 40 : 232―238, 1986. (エ ビ acne scars, Int J Dermatol 39 : 789―794, 2000. ベル II) デンスレベル II) 3)北野幸恵,内田日奈子:痤瘡後陥凹瘢痕に対する 3)Lookingbill DP, Chalker DK, Lindholm JS, et al : Treatment of acne with a combination clindamy- 尋常性痤瘡治療ガイドライン 1907 cin!benzoyl peroxide gel compared with clinda- ボに比べ,炎症性皮疹(丘疹・膿疱)数の有意な減少 mycin gel, benzoyl peroxide gel and vehicle gel : が認められている.有害事象としては乾燥,剥離,灼 Combined results of two double-blind investiga- 熱感,そう痒がみられたが,いずれも軽微なものであ (エビ tions, J Am Acad Dermatol 37 : 590―595, 1997. り4),下痢についてクリンダマイシン外用との因果関 デンスレベル II) 係があったのは 1 件のみであった.以上より,痤瘡の 4)Kuhlman DS, Callen JP : A comparison of clindamycin phophate 1 percent topical lotion and placebo in the tratment of acne vulgaris, Cutis 38 : (エビデンスレベル II) 203―206, 1986. 炎症性皮疹に対してクリンダマイシン外用はきわめて 有用な治療であると考えられる. また,ナジフロキサシン外用について良質のレベル II の RCT が 2 件5)6)報告されている.対象は軽症〜中 5)Ellis CN, Gammon WR, Stone DZ, Heezen- 等症,ナジフロキサシンの濃度は 1% であり,基剤は Wehner JL : A comparison of cleocin T solution, クリームである.投与期間は 4 週間6),12 週間5)であ cleocin T gel, and placebo in the treatment of り,対象となる症例数は 22 例6),474 例5),外用回数は (エ ビ デ ン acne vulgaris, Cutis 42 : 245―247, 1988. 1 日 2 回となっている.また,効果判定基準は皮疹数5) スレベル II) あるいは全般改善度6)で評価されている. これら 2 件の 6)Sheehan-Dare RA, Papworth-Smith J, Cunliffe RCT では炎症性皮疹数に関して有意な減少がみられ WJ : A double-blind comparison of topical clinda- ている.有害事象としては 3〜15% の頻度でそう痒, mycin and oral minocycline in the treatment of 紅斑,乾燥,剥離,灼熱感,つっぱり感がみられたが, acne vulgaris, Acta Derm-Venereol 70 : 534 ― 537, いずれも軽微なものである5). 1990. (エビデンスレベル II) 7)Plewig G, Holland KT, Nenoff P : Clinical and bacteriological evaluation of nadifloxacin 1% cream 以上より痤瘡(炎症性皮疹)に対してクリンダマイ シン,ナジフロキサシンの抗菌薬外用を強く推奨する. その他の抗菌薬外用療法として,テトラサイクリン, in patients with acne vulgaris : a double-blind, エリスロマイシンが RCT で有効であるとの報告があ phase III study comparison study versus erythro- る.さらに,クロラムフェニコール,オキシテトラサ mycin 2% cream, Eur J Dermatol 16 : 48―55, 2006. イクリン,ゲンタマイシン,バラマイシン,フラジオ (エビデンスレベル II) マイシン,フシジン酸ナトリウムの抗菌外用薬がある が,いずれも痤瘡に関して保険適応は無く,本邦にお CQ10 いては使用できない状況であり,また剤型に関する検 痤瘡(炎症性皮疹)に抗菌薬外用は有効か? 討が十分なされていないことから,最終的にクリンダ 推奨度:A マイシンとナジフロキサシンの 2 剤のみを対象として 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,抗菌薬(クリ ンダマイシン,ナジフロキサシン)の外用を強く推奨 する. 推奨度を検討した. 【文 献】 1)Alirezai M, Gerlach B, Horvath A, Forsea D, Bri- 解説:痤瘡(炎症性皮疹)に対する有効性を評価した antais P, Guyomar M : Results of a randomised クリンダマイシン外用剤によ る 良 質 な レ ベ ル II の study comparing a new water-based gel of clinda- RCT が海外で 11 件報告されている.対象は炎症性皮 mycin 1% versus clindamycin 1% topical solution 1) ,投与期間は 8 週間〜12 週間であ 疹(中等度〜重度 ) る.多くは 1% 濃度のクリンダマイシン外用剤で基剤 in the treatment of acne vulgaris, Eur J Dermatol (エビデンスレベル II) 15 : 274―278, 2005. はゲル,またはローション製剤であり,外用回数はほ 2)Kuhlman DS, Kentucky L, Callen JP : A compari- ぼ 1 日 2 回 と な っ て い る.対 象 と な る 症 例 数 は 46 son of clindamycin phophate 1 percent topical lo- 例2)〜1,026 例3)にわた り,年 齢 分 布 は 12 歳〜35 歳 と tion and placebo in the tratment of acne vulgaris, なっている.また,効果判定基準は皮疹数(10 件! 11 (エビデンスレベル II) Cutis 38 : 203―206, 1986. 件) ,全般改善度(4 件! 11 件)で評価されている.す 3)Shalita A, Myers JA, Krochmal L, Yaroshinsky べての RCT はクリンダマイシン外用によってプラセ A : The safety and efficacy of clindamycin phos- 1908 林 伸和ほか phate foam 1% versus clindamycin phosphate 症性皮疹を伴う痤瘡であり, 15 歳〜35 歳の患者を主体 topical gel 1% for the treatment of acne vulgaris, としたものがほとんどである.対照薬剤はプラセボや (エビデンスレベ J Drugs Dermatol 4 : 48―56, 2006. 外用抗菌薬,既に有効性が示されているテトラサイク ル II) リン系抗菌薬など様々であり,皮疹数の減少率や全般 4)Lookingbill DP, Chalker DK, Lindholm JS et al : 改善度で判定している. Treatment of acne with a combination clindamy- テトラサイクリン系抗菌薬ではミノサイクリンに cin!benzoyl peroxide gel compared with clinda- systematic review があり, ドキシサイクリンは 4 件, mycin gel, benzoyl peroxide gel and vehicle gel : テトラサイクリンは 4 件の RCT が,マクロライド系 Combined results of two double-blind investiga- 抗菌薬ではアジスロマイシン 3 件,エリスロマイシン (エビ tions, J Am Acad Dermatol 37 : 590―595, 1997. 2 件,ロキシスロマイシン 2 件の RCT が報告されてい デンスレベル II) る.ニューキノロン系抗菌薬については本邦の前後比 5)Plewig G, Holland KT, Nenoff P : Clinical and bac- 較試験のみで RCT はない. teriological evaluation of nadifloxacin 1% cream アジスロマイシンの試験で行われているパルス療法 in patients with acne vulgaris : a double-blind, は,本邦では未承認であること,トリメトプリムは, phase III study comparison study versus erythro- 本邦では痤瘡に対する使用実態がないことから,今回 mycin 2% cream, Eur J Dermatol 16 : 48―55, 2006. の検討から除外した. (エビデンスレベル II) 多くの RCT で有効性が示され,痤瘡(炎症性皮疹) 6)Kurokawa I, Akamatsu H, Nishijima S, Asada Y, に内服抗菌薬を強く推奨するが,耐性菌の出現を防ぐ Kawabata S : Clinical and bacteriologic evaluation ため長期間の使用は控えた方がよい.個々の抗菌薬に of OPC-7251 in patients with acne : A double- ついてはエビデンスレベルと,本邦での使用状況や保 blind group comparison study versus cream base, 険適応を考慮して推奨度を決定した. (エ ビ デ ン J Am Acad Dermatol 25 : 674―678, 1991. スレベル II) 1.ミノサイクリン 推奨度:A CQ11 痤瘡(炎症性皮疹)に抗菌薬内服は有効か? 推奨度:A(ミノサイクリン,ドキシサイクリン)ない 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,ミノサイクリ ン内服を強く推奨する. し B(ロキシスロマイシン)ないし C1(テトラサイク 解説:ミノサイクリンは,抗菌作用のみならず, リパー リン,エリスロマイシン,クラリスロマイシン,シプ ゼ活性抑制作用,白血球遊走抑制作用,活性酸素抑制 ロフロキサシン,ロメフロキサシン,トスフロキサシ 作用などがあることが知られており,痤瘡に対して抗 ン,レボフロキサシン,スパルフロキサシン,ファロ 炎症作用を期待して処方されることも多い.ミノサイ ペネム,セフロキシム アキセチル) クリンは,27 件の RCT をもとにした systematic re- 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,抗菌薬内服を 強く推奨する. view1)において推奨されている.プラセボ,テトラサイ クリン,ドキシサイクリン,クリンダマイシン外用, エリスロマイシン外用,イソトレチノインなどとの比 解説:痤瘡の炎症には,Propionibacterium acnes が重要 較試験である.痤瘡に対して有効な治療法であると結 な役割を演じている.抗菌薬の選択にあたり一般の感 論付けているが,長期の継続使用についてのエビデン 染症では感受性が重要な要素であるが,痤瘡において スはないとされている.長期使用における皮膚粘膜・ は,感受性に加えて抗炎症効果を期待して処方するた 歯牙への色素沈着には留意する必要がある. め,テトラサイクリン系,あるいはマクロライド系の 抗菌薬が処方されることが多い.痤瘡に対する内服抗 以上より,痤瘡(炎症性皮疹)に対する塩酸ミノサ イクリン内服を強く推奨する. 菌薬の RCT はテトラサイクリン系,マクロライド系 において多数報告されている.ペニシリン系やセフェ ム系抗菌薬での報告はない.対象は軽症から重症の炎 【文 献】 1)Garner SE, Eady EA, Popescu C, Newton J, Li 尋常性痤瘡治療ガイドライン 1909 Wan Po A : Minocycline for acne vulgaris : effi- 炎症作用が期待される.テトラサイクリンの RCT は cacy and safety, Cochrane Database of Systematic 多いが主に外用剤や併用療法の有効性を示すための比 Reviews 2003, Issue 1. Art. No. : CD002086. DOI : 較試 験 で あ る.過 酸 化 ベ ン ゾ イ ル 外 用 と 比 較 し た 10. 1002! 14651858. CD002086. (エビデンスレベル RCT5),クリンダマイシン外用と比較した RCT6)〜8), I) テトラサイクリン外用と比較した RCT9)10)のすべてで テトラサイクリン単独内服はプラセボより有効もしく 2.ドキシサイクリン は前後比較として有効性は示している.しかしながら 推奨度:A その有効性は外用薬と同等,または外用剤より劣ると 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,ドキシサイク リン内服を強く推奨する. いう結果を得ている.また,母集団は小さいがプラセ ボと差がなかったとする RCT11)もある.本邦での保険 適応はない. 解説:ドキシサイクリンもテトラサイクリン系の薬剤 で,ミノサイクリンと同様の抗炎症作用が期待される. 以上より,痤瘡(炎症性皮疹)に対して,テトラサ イクリン内服を選択肢の一つとして推奨する. 塩酸ドキシサイクリン少量(20mg! 隔日)とプラセボを 比較した 6 カ月間の RCT2)や,ドキシサイクリン 100 【文 献】 mg とプラセボを 4 週間投与し,さらにクロスオー 5)Ozolins M, Eady EA, Avery AJ, et al : Compari- バーで投与して両者を比較した RCT3)で,ドキシサイ son of five antimicrobial regimens for treatment クリンの有効性が示されている.また,ドキシサイク of mild to moderate inflammatory facial acne vul- リン 50mg とミノサイクリン 100mg を比較した RCT garis in the community : randomized controlled 4) でミノサイクリンとの同等性も示されている .副作 (エ ビ デ ン ス レ trial, Lancet 364 : 2188―2195, 2004. 用は腹痛や頭痛などの軽微なものである. ベル II) 以上より,痤瘡(炎症性皮疹)に対する塩酸ドキシ サイクリン内服を強く推奨する. 6)Katsambas A, Towarky AA, Stratigos J : Topical clindamycin phosphate compared with oral tetracycline in the treatment of acne vulgaris, Br J Der- 【文 献】 (エビデンスレベル II) matol 116 : 387―391, 1987. 2)Skidmore R, Kovach R, Walker, et al : Effects of 7)Gratton D, Raymond GP, Guertin-Larochelle S, et subantimicrobial-dose doxycycline in the treat- al : Topical clindamycin versus systemic tetracy- ment of moderate acne, Arch Dermatol 139 : 459― cline in the treatment of acne, J Am Acad Dermatol 464, 2003. (エビデンスレベル II) 3)Plewig G, Petrozzi JW, Berendes U : Double- (エビデンスレベル II) 7 : 50―53, 1982. 8)Braathen LR : Topical clindamycin versus oral blinding study of doxycycline in acne vulgaris, tetracycline and placebo in acne vulgaris, Scan J (エビ デ ン ス レ Arch Dermatol 101 : 435―438, 1970. (エビデンスレベ Infect Dis Suppl 43 : 71―75, 1984. ベル II) ル II) 4)Harrison PV : A comparison of doxycycline and 9)Burton J : A placebo-controlled study to evaluate minocycline in the treatment of acne vulgaris, the efficacy of topical tetracycline in the treat- (エビ デ ン ス Clin Exp Dermatol 13 : 242―244, 1988. ment of mild to moderate acne. Dermatology Re- レベル II) (エ search Group, J Int Med Res 18 : 94―103, 1990. ビデンスレベル II) 3.テトラサイクリン 推奨度:C1 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,テトラサイク リン内服を選択肢の一つとして推奨する. 解説:テトラサイクリンはミノサイクリンと同様の抗 10)Blaney DJ, Cook CH : Topical use of tetracycline in the treatment of acne : a double-blind study comparing topical and oral tetracycline therapy and placebo, Arch Dermatol 112 : 971―973, 1976. (エビデンスレベル II) 11)Wong RC, Kang S, Heezen JL, Voorhees JJ, Ellis 1910 林 CN : Oral ibupurofen and tetracycline for the treatment of acne vulgaris, J Am Acad Der ma tol 伸和ほか 以上より,痤瘡(炎症性皮疹)に対してロキシスロ マイシン内服を推奨する. (エビデンスレベル II) 11 : 1076―1081, 1984. 【文 4.エリスロマイシン 献】 14)Ferahbas A, Utas S, Aykol D, Borlu M, Uksal U : 推奨度:C1 Clinical evaluation of roxithromycin : A doubleblind, placebo-controlled and crossover trial in pa- 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,エリスロマイ tients with acne vulgaris, J Dermatol 31 : 6 ― 9, シン内服を選択肢の一つとして推奨する. 2004. (エビデンスレベル II) 解説:エリスロマイシンは P. acnes に対する高い抗菌 15)橋本明彦,坪井廣美,平松正浩,関根敦子,米元 力とリパーゼや脂肪酸の減少させる作用から痤瘡に有 康蔵,西山茂夫:痤瘡に対する roxithromycin (ル 効性が期待される.しかし,これまで 200 例の中等症 リッド) の有用性 Minocycline との比較検討,西日 (エビデンスレベル II) 皮膚 58 : 135―137, 1996. から重症の炎症性皮疹に対してテトラサイクリンとの RCT12)で改善率がエリスロマイシン 77%,テトラサイ 16)RXM 痤瘡研究会:Roxithromycin の炎症性皮疹 クリン 89% と同等の効果が得られているのみで,エビ を伴う尋常性痤瘡(膿疱性痤瘡)における臨床的 デンスが十分とは言えない.エリスロマイシンの副作 (エビデンス 検討,西日皮膚 59 : 444―450, 1997. 用は 7% に嘔気,下痢などの胃腸障害がみられた.ま レベル IV) た海外のガイドラインでは治療中の耐性菌の増加につ 17)立花隆夫,松吉徳久,工藤比等志ほか:ルリッド いて明記している13). に よ る 炎 症 性 痤 瘡 の 治 療,皮 紀 要 88 : 87―94, 以上より,痤瘡(炎症性皮疹)に対してエリスロマ イシン内服を選択肢の一つとして推奨する. 1993. (エビデンスレベル IV) 18)中村健一,川名誠司,原田晴美,沈 国雄,荻野 倫子:痤瘡に対する roxithromycin(ルリッドⓇ) 【文 (エビデ の有用性,西日皮膚 6 : 1136―1140, 1993. 献】 ンスレベル IV) 12)Gammon WR, Meyer C, Latis S, Shenefelt P, Reizner G, Cripps DJ : Comparative efficacy of oral erythromycin versus oral tetracycline in the 6.クラリスロマイシン treatment of acne vulgaris, J Am Acad Der ma tol 推奨度:C1 (エビデンスレベル II) 14 : 183―186, 1986. 13)Strauss JS, Krowchuk DP, Leyden JJ, et al : Guideline of care for acne vulgaris management, J Am Acad Dermatol 56 : 651―663, 2007. 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,クラリスロマ イシン内服を選択肢の一つとして推奨する. 解説:クラリスロマイシンはロキシスロマイシンと同 様にエリスロマイシンの誘導体で胃酸に安定で消化管 5.ロキシスロマイシン からの吸収にすぐれ,血中半減期も長い.RCT はない 推奨度:B が,中等症以下の炎症性皮疹を有する痤瘡 45 例に対し 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,ロキシスロマ イシン内服を推奨する. 解説:ロキシスロマイシンは 14 員環の半合成マクロ ライドでエリスロマイシンと比較して吸収,体内動態 て,クラリスロマイシンを 4 週間投与して全般改善度 で 57.8%(200mg! 日群)と,79.2%(400mg! 日群)の 改善を見た報告19)がある. 以上より,痤瘡(炎症性皮疹)に対して,クラリス ロマイシン内服を選択肢の一つとして推奨する. が改善されている.ロキシスロマイシンとプラセボを 比較して有効性を示した RCT が 1 件14),ミノサイク 【文 献】 リンと比較して同等性を示した RCT が 1 件15)あり,後 19)石川 治,宮地良樹,工藤隆弘ほか:クラリスロ 者は本邦で行われている.その他の本邦報告16)〜18)を含 マイシン(クラリシッド錠)の炎症性痤瘡に対す めたいずれの報告でも副作用は軽微なものであった. る 臨 床 的 有 用 性 の 検 討,皮 紀 要 91 : 403―407, 尋常性痤瘡治療ガイドライン 1996. (エビデンスレベル IV) 7.シプロフロキサシン 推奨度:C1 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,シプロフロキ サシン内服を選択肢の一つとして推奨する. 解説:膿疱性痤瘡 54 例に対するミノマイシンとの比 較で,有効率はシプロフロキサシン群で 66%,ミノサ 1911 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,トスフロキサ シン内服を選択肢の一つとして推奨する. 解説:膿疱性痤瘡,嚢腫性痤瘡,集簇性痤瘡の 20 例に 対して投与し,菌消失率 93.1%,有効率が 75%,有用 率 70% で副作用はなかったとする本邦の報告22)が 1 件あり,痤瘡(炎症性皮疹) に保険適応を有している. 以上より,痤瘡(炎症性皮疹)に対してトスフロキ サシン内服を選択肢の一つとして推奨する. イクリン群では 68% であった20).副作用はシプロフ ロキサシン群で 40 例中の 3 例に嘔気 1 例と,下痢 2 【文 献】 例,ミノサイクリン群では 35 例中の 2 例に頭痛 1 例と 22)松本忠彦:トシル酸トスフロキサシン錠の膿疱性 白血球数減少及びヘマトクリット値低下の 1 例とが見 痤瘡,嚢腫性痤瘡および集簇性痤瘡に対する臨床 られた. (エビデンス 効果,西日皮膚 57 : 375―378, 1995. レベル IV) 以上より,痤瘡(炎症性皮疹)に対して,シプロフ ロキサシンを選択肢の一つとして推奨する. 10.レボフロキサシン 【文 献】 20)坪井良治,小池美佳,瀧本玲子,西村久美子,真 鍋 求,小川秀興:膿疱性痤瘡に対する ciprofloxacin 錠の臨床的検討 minocycline 錠との比較,化 推奨度:C1 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,レボフロキサ シン内服を選択肢の一つとして推奨する. (エビデンスレ 学療法の領域 15 : 909―916, 1999. 解説:レボフロキサシンは,痤瘡(炎症性皮疹)に対 ベル III) して保険適応を有している.エビデンスレベルは不十 分であるが,本邦において下記の前後比較による臨床 8.ロメフロキサシン 推奨度 C1 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,ロメフロキサ シン内服を選択肢の一つとして推奨する. 試験23)が行われている. 以上より,痤瘡(炎症性皮疹)に対してレボフロキ サシン内服を選択肢の一つとして推奨する. 【文 献】 解説:痤瘡(炎症性皮疹)20 例に対して投与し,皮疹 23)Kawada A, Aragane Y, Tezuka T : Levofloxacin 数が有意に減少し,副作用は観察されなかったとする is effective for inflammatory acne with high lev- 前後比較試験21)が本邦で 1 件報告されている. 以上より,痤瘡(炎症性皮疹)に対してロメフロキ els in the lesions : an open study, Dermatology 204, (エビデンスレベル IV) 301―302, 2002. サシンを選択肢の一つとして推奨する. 11.スパルフロキサシン 【文 献】 21)早川律子:丘疹・膿疱を主体とする尋常性痤瘡に 対する lomefloxacin(ロメバクトⓇ)の臨床試験成 (エビデ 績,化学療法の領域 8 : 1380―1387, 1992. ンスレベル IV) 推奨度:C1 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,スパルフロキ サシン内服を選択肢の一つとして推奨する. 解説:スパルフロキサシンは痤瘡(炎症性皮疹)に対 して保険適応を有している.エビデンスレベルは低い 9.トスフロキサシン が,本邦における膿疱性痤瘡を含む浅在性皮膚化膿性 推奨度:C1 疾患に対する臨床試験24)が行われている. 以上より,痤瘡(炎症性皮疹)に対してスパルフロ 1912 林 キサシン内服を選択肢の一つとして推奨する. 伸和ほか CQ12 痤瘡(炎症を伴わない嚢腫! 硬結)に抗菌薬内服は有効 【文 献】 か? 24)高橋 久,大西誉光,望月昭彦ほか:浅在性皮膚 化膿性疾患に対する sparfloxacin の臨床的検討, (エビデンスレベル 日化療誌 39 : 633―647, 1991. IV) 推奨度:C2 推奨文:痤瘡(炎症を伴わない嚢腫! 硬結)に対して, 抗菌薬内服は推奨しない. 解説:嚢腫性痤瘡に対してトスフロキサシンを用いて 12.ファロペネム 50〜91% の有効率, 57〜90% の臨床所見の改善が認め 推奨度:C1 られ,70% の有用率を示し副作用はなかったとする報 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,ファロペネム 内服を選択肢の一つとして推奨する. 解説:ペネム系抗菌薬であるファロペネムは,11 例を 25) 対象に全般改善度を評価した報告 が 1 件あり,痤瘡 (炎症性皮疹)に保険適応を有している. 告1)とテトラサイクリンを用いて 65.2% の皮疹の減少 いずれも炎症を伴う嚢腫を主 を示した報告2)はあるが, 体とする皮疹に対する投与であり,炎症後に残存する 嚢腫や硬結を対象としていない.炎症のある場合には, 炎症性皮疹の治療に準ずるものとし,炎症を伴わない 嚢腫や硬結に対して抗菌薬内服を推奨しない. 以上より,痤瘡(炎症性皮疹)に対してファロペネ ム内服を選択肢の一つとして推奨する. 【文 献】 1)松本忠彦:トシル酸トスフロキサシン錠の膿疱性 【文 献】 25)戸田憲一,下中美香,松島佐都子,西脇冬子,横 田日高:尋常性痤瘡に対するファロペネムナトリ ウム(ファロム錠)の治療効果,新薬と臨床 55 : (エビデンスレベル IV) 1439―1445, 2006. 痤瘡,嚢腫性痤瘡および集簇性痤瘡に対する臨床 (エビデンス 効果,西日皮膚 57 : 375―378, 1995. レベル IV) 2)Thappa DM, Dogra J : Nodulocystic acne : Oral gugulipid versus tetracycline, J Dermatol 21 : 729― 731, 1994. (エビデンスレベル II) 13.セフロキシム アキセチル 推奨度:C1 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,セフロキシム アキセチル内服を選択肢の一つとして推奨する. 解説:セフェム系抗菌薬であるセフロキシム アキセ チルは,膿疱を認める痤瘡患者を対象にして前後の皮 (炎症性皮 疹数を比較した試験26)が行われており,痤瘡 疹)に保険適応を有している. 以上より,痤瘡(炎症性皮疹)に対してセフロキシ ム アキセチル内服を選択肢の一つとして推奨する. CQ13 痤瘡(面皰)に漢方療法は有効か? 推奨度:C1(荊芥連翹湯) ,C2(黄連解毒湯,十味敗 毒湯,桂枝茯苓丸) 推奨文:痤瘡(面皰)に対して,他の治療が無効,あ るいは他の治療が実施できない状況では,荊芥連翹湯 を選択肢の一つとして推奨する.黄連解毒湯,十味敗 毒湯,桂枝茯苓丸については,行ってもよいが推奨は しない. 解説:痤瘡に対しては,黄連解毒湯,十味敗毒湯,荊 【文 献】 芥連翹湯,清上防風湯,桂枝茯苓丸など種々の漢方薬 26)早川律子,松永佳世子,鈴木真理,荻野泰子:経 が使用されてきた1)〜8).しかしながら臨床評価として 口抗製剤 cefuroxime axetil(CXM-AX)の膿疱性 は,漢方エキス剤の炎症性皮疹に対する効果を評価し 痤瘡に対する臨床試験成績,皮膚 31 : 591―600, たものが大多数であり,面皰について検討したものは 1989. (エビデンスレベル III) 非常に限られている1)2)8).黄連解毒湯,十味敗毒湯に ついてはクリンダマイシンローション,1% 硫酸ゲン タマイシン含有吉草酸ベタメサゾンローション,ある 尋常性痤瘡治療ガイドライン 1913 いはイオウカンフルローション外用と併用することで CQ14 面皰,丘疹,膿疱の減少と消失に有効とする報告1)があ 痤瘡(炎症性皮疹)に漢方療法は有効か? り,荊芥連翹湯及びテトラサイクリン系抗菌薬併用と 推奨度:C1 (荊芥連翹湯,清上防風湯,十味敗毒湯) , テトラサイクリン系抗菌薬のみの群を比較した時に荊 C2(黄連解毒湯,温清飲,温経湯,桂枝茯苓丸) 芥連翹湯併用群で有効性が高かったとする報告2)と桂 枝茯苓丸と茵!蒿湯を併用した使用経験の報告8)があ る.また煎薬に関してはエビデンスがあまりに不足し ていて評価できない.ただし,副作用が少ない点が考 慮され,他の治療に抵抗性,あるいは他の治療が実施 できない状況では,上記の漢方エキス剤も選択肢の一 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,他の治療が無 効,あるいは他の治療が実施できない状況では,荊芥 連翹湯,清上防風湯,十味敗毒湯を選択肢の一つとし て推奨する.黄連解毒湯,温清飲,温経湯,桂枝茯苓 丸については,行ってもよいが推奨はしない. つとなりうる.なお,痤瘡に対して保険適応を有して 解説:痤瘡の炎症性皮疹に対し,黄連解毒湯1)4)5),十 いるのは,荊芥連翹湯,清上防風湯のみである. 味敗毒湯1)4)5),荊芥連翹湯2)4),清上防風湯2)4)にはエビ 以上より,他の治療が無効,あるいは他の治療が実 デンスレベル III と V,温清飲,温経湯5),桂枝茯苓 施できない状況では,痤瘡(面皰)に対して荊芥連翹 丸4)6〜8)にはエビデンスレベル V の有効性に関するエ 湯を選択肢の一つとして推奨する.黄連解毒湯,十味 .ただし, ビデンスが存在する (いずれもエキス剤1)〜8)) 敗毒湯,桂枝茯苓丸の投与は,行ってもよいが推奨は 抗菌薬を併用しているものもあり,現時点ではその評 しない. 価に問題なしとは言えない.また,煎薬に関してはエ ビデンスがあまりに不足していて評価できない.ただ 【文 献】 し,副作用が少ない点が考慮され,他の治療が無効, 1)大熊守也:尋常性痤瘡の漢方内服・外用剤併用療 あるいは他の治療が実施できない状況では,上記の漢 (エビデ 法,和漢医薬学会誌 10 : 131―134, 1993. 方エキス剤も選択肢の一つとなりうる.痤瘡に対して ンスレベル III) 保険適応を有しているのは,荊芥連翹湯,清上防風湯 2)橋本喜夫,松尾 忍,飯塚 一:痤瘡に対する荊 芥連翹湯の使用経験, 第 12 回皮膚科東洋医学研究 (エビデンスレベル III) 会記録,p46―53, 1994. であり,十味敗毒湯は化膿性皮膚疾患に対して適応を もつ. 以上より,他の治療が無効,あるいは他の治療が実 3)堀口裕治,松本いづみ,唐崎健一郎:尋常性痤瘡 施できない状況では,痤瘡(炎症性皮疹)に荊芥連翹 に対する清上防風湯エキス顆粒・多剤併用療法の 湯,清上防風湯,十味敗毒湯内服を選択肢の一つとし (エビデン 治療効果,皮紀要 92 : 407―412, 1997. て推奨する.黄連解毒湯,温清飲,温経湯,桂枝茯苓 スレベル III) 丸の投与は,行ってもよいが推奨しない. 4)武市牧子:痤瘡に対する漢方薬の実践的投与,漢 (エビデンスレベル V) 方医学 29 : 282―286, 2005. 【文 献】 5)林知恵子:婦人科における尋常性痤瘡の治療(第 1)大熊守也:尋常性痤瘡の漢方内服・外用剤併用療 1 報) ,産婦人科漢方研究のあゆみ 23 : 132―136, (エビデ 法,和漢医薬学会誌 10 : 131―134, 1993. 2006. (エビデンスレベル V) ンスレベル III) 6)手塚匡哉:気滞血瘀と弁証された尋常性痤瘡に対 2)橋本喜夫,松尾 忍,飯塚 一:痤瘡に対する荊 する桂枝 茯 苓 丸 の 使 用 経 験,新 薬 と 臨 床 54 : 芥連翹湯の使用経験, 第 12 回皮膚科東洋医学研究 (エビデンスレベル V) 907―914, 2005. (エビデンスレベル III) 会記録,p46―53, 1994. 7)手塚匡哉:気滞血瘀と弁証された尋常性痤瘡に対 3)堀口裕治,松本いづみ,唐崎健一郎:尋常性痤瘡 する桂枝茯苓丸の使用経験(第 2 報) ,新薬と臨床 に対する清上防風湯エキス顆粒・多剤併用療法の (エビデンスレベル V) 55 : 278―285, 2006. 8)手塚匡哉:気滞血瘀と弁証された尋常性痤瘡に対 する桂枝茯苓丸の使用経験(第 3 報) ,新薬と臨床 (エビデンスレベル V) 55 : 538―545, 2006. (エビデン 治療効果,皮紀要 92 : 407―412, 1997. スレベル III) 4)武市牧子:痤瘡に対する漢方薬の実践的投与,漢 (エビデンスレベル V) 方医学 29 : 282―286, 2005. 5)林知恵子:婦人科における尋常性痤瘡の治療(第 1914 林 伸和ほか 1 報) ,産婦人科漢方研究のあゆみ 23 : 132―136, (ʻActinacʼ)in the treatment of acne vulgaris, Curr (エ ビ デ ン ス レ ベ Med Res Opin 6 : 377―379, 1980. 2006. (エビデンスレベル V) ル II) 6)手塚匡哉:気滞血瘀と弁証された尋常性痤瘡に対 する桂枝 茯 苓 丸 の 使 用 経 験,新 薬 と 臨 床 54 : (エビデンスレベル V) 907―914, 2005. 7)手塚匡哉:気滞血瘀と弁証された尋常性痤瘡に対 CQ16 痤瘡(最重症の炎症性皮疹)にステロイド内服は有効 する桂枝茯苓丸の使用経験(第 2 報) ,新薬と臨床 か? (エビデンスレベル V) 55 : 278―285, 2006. 推奨度:C2 8)手塚匡哉:気滞血瘀と弁証された尋常性痤瘡に対 する桂枝茯苓丸の使用経験(第 3 報) ,新薬と臨床 (エビデンスレベル V) 55 : 538―545, 2006. 推奨文:痤瘡(最重症の炎症性皮疹)に対して,ステ ロイド内服は推奨しない. 解説:海外では,ステロイド内服について推奨してい CQ15 尋常性痤瘡に対するステロ るガイドライン1)もあるが, 痤瘡(炎症性皮疹)にステロイド外用は有効か? イド経口投与に関する臨床的有効性を示すエビデンス 推奨度:C2 はない.一方でステロイド内服の副作用としての痤瘡 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,ステロイド外 用は推奨しない. もよく知られている. 以上より,最重症の炎症性皮疹に対してもステロイ ド内服を推奨しない. 解説:痤瘡に対してステロイド外用を行った海外の RCT1)〜3)によると,ステロイド含有外用薬と基剤の比 【文 献】 較試験では,統計学的有意差はなく,ステロイド外用 1)Strauss JS, Krowchuk DP, Leyden JJ, et al : により皮疹が改善したとするエビデンスはない.した Guidelines of care for acne vulgaris management, がって,ステロイド外用は痤瘡に有用とする根拠はな J Am Acad Dermatol 56 : 651―663, 2007. い.ステロイド外用薬は,一時的に炎症を止める効果 が期待されるが,ステロイド外用薬が痤瘡を誘発する CQ17 ことはよく知られており,長期間のステロイド外用は, 痤瘡(嚢腫! 結節)にステロイド局所注射は有効か? その他の副作用の点から明らかに好ましくない.短期 推奨度:B 間の使用の可否についても十分なエビデンスの確立ま では推奨できない. 以上より,痤瘡の炎症性皮疹に対して,ステロイド 外用は推奨しない. 推奨文:痤瘡(嚢腫! 結節)に対して,ステロイド局所 注射を推奨する. 解説:痤瘡の嚢腫に対してステロイド局所注射の有効 性を調べた報告は,ベータメサゾンとトリアムシノロ 【文 献】 ンを用いたものがある1)2).Levine らの報告2)は,トリ 1)Hull SM, Cunliffe WJ : The use of a corticosteroid アムシノロンを用いたプラセボ対照の RCT で明らか cream for immediate reduction in the clinical な嚢腫! 結節の改善を示している.また Parish らの報 signs of acne vulgaris, Acta Derm-Venereol 69 : 告1)は RCT ではないが,プラセボと比較して明らかな (エビデンスレベル II) 452―453, 1989. 皮疹の大きさの改善をみている.ベータメサゾンとト 2)Wexler L : Two controlled studies of a topical リアムシノロンのいずれが良いかについては,2 つの steroid preparation in the treatment of acne vul- 試験結果のみからは明言できない.嚢腫は抗菌薬に反 (エ garis, Applied Therapeutics 10 : 455―457, 1968. 応しにくいため,海外ではレチノイド内服が勧められ ビデンスレベル II) ているが,本邦では使用できない. 3)Guerrier CJ, Thornton EJ : Double-blind compari- 以上より,レチノイド内服に代わる局所療法の一つ son of two similar lotion formulations, one with- としてステロイド局所注射を推奨する.なお,あくま out and the other with hydrocortisone acetate で嚢腫内への局所注射であり,全身投与 (筋肉内注射, 尋常性痤瘡治療ガイドライン 1915 皮下注射)の有効性に関するエビデンスはなく,推奨 解説:Kaminsky らは,痤瘡患者 484 人に投与し,丘 しない. 疹,膿疱と少数の嚢腫を認める痤瘡患者では,効果は なく,嚢腫性あるいは集簇性痤瘡で有効であったと報 【文 献】 告している1).痤瘡の症状について詳細な記載のない 1)Parish LC, Witkowski JA : The enigma of acne DDS を用いた古いプラセボ対照の RCT2)はあるもの therapy : the acne abscess, Am J Med Sci 254 : の,尋常性痤瘡に対して DDS の投与が有効であった (エビデンスレベル III) 769―776, 1967. 2)Levine RM, Rasmussen JE : Intralesional corti- とする報告はないことから,痤瘡 (炎症性皮疹) に DDS を投与することは推奨しない, costeroids in the treatment of nodulocystic acne, 一方で,DDS が抗菌薬投与に反応しない結節・嚢腫 (エビ デ ン ス レ Arch Dermatol 119 : 480―481, 1983. 型痤瘡,劇症型痤瘡,集簇性痤瘡に対して有効であっ ベル II) たとする症例報告は散見される.また,13-cis retinoic acid 内服は DDS 内服と比較して有効であることを示 CQ18 した試験結果のなかで,DDS 投与群では背部,前胸部 痤瘡(肥厚性瘢痕)にステロイド局所注射は有効か? の皮疹数は有意な減少はないものの,顔面の症状は前 推奨度:C1 後比較で有意に改善した3)とされている.また,本邦で 推奨文:痤瘡(肥厚性瘢痕)に対して,ステロイド局 所注射を選択肢の一つとして推奨する. も抗菌薬に反応しない集簇性痤瘡の 7 例中 5 例で有効 劇症型痤瘡でレチノイン であったとする報告4)がある. 酸が無効であった症例に DDS が有効であったとする 解説:ステロイド局所注射は,ケロイドや肥厚性瘢痕 本邦では痤瘡に対するレチノイン 報告5)もあることや, の治療法として確立しており,痤瘡の肥厚性瘢痕に対 酸の全身投与は行われていないことを加味すると,結 して行った臨床試験は液体窒素との比較をした試験が 節・嚢腫型痤瘡,劇症型痤瘡,集簇性痤瘡に対する選 瘢痕の大きさなどを評価して液 ある1).この試験では, 択肢の 1 つとしての位置づけは可能と考える.しかし, 体窒素とステロイド局所注射が同等の有効性を示して 痤瘡に対する DDS の使用は保険適応外であり,sul- いた.しかし,液体窒素療法については,ケロイドや fone syndrome や DDS syndrome , DIHS ( drug in- 肥厚性瘢痕の治療法として一般的ではなく,保険適応 duced hypersensitivity syndrome)などの名称で知ら はないことを考慮しなければならない. 貧血の副作用があることから慎重 れる重篤な薬疹6)や, 以上より,痤瘡の肥厚性瘢痕に対するステロイド局 所注射を選択肢の一つとして推奨する.なお,液体窒 素療法については行っても良いが,推奨はしない(CQ な投与が求められる. 以上より,痤瘡(炎症性皮疹)に対して DDS を投与 することは推奨しない. 33 参照) . 【文 【文 献】 献】 1)Kaminsky CA, de Kaminsky AR, Schicci C, de 1)Layton AM, Yip J, Cunliffe WJ : A comparison of Morini MV : Acne : treatment with diamino- intralesional triamcinolone and cryosurgery in (エ ビ デ diphenylsulfone, Cutis 13 : 869―871, 1974. the treatment of acne keloids, Br J Dermatol 130 : (エビデンスレベル III) 498―501, 1994. ンスレベル III) 2)Ross CM : The treatment of acne vulgaris with (エ ビ デ dapsone, Br J Dermatol 73 : 367―370, 1961. CQ19 痤瘡(炎症性皮疹)に DDS(diaminodiphenylsulfone, ンスレベル III) 3)Prendiville JS, Logan RA, Russell-Jones R : A dapsone)は有効か? comparison of dapsone with 13-cis retinoic acid in 推奨度:C2 the treatment of nodular cystic acne, Clin Exp 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,DDS 内服は推 奨しない. (エビデンスレベル II) Dermatol 13 : 67―71, 1988. 4)宮地良樹,吉岡 晃,尾口 基:集簇性痤瘡に対 する DDS 療法その作用機序の検討,皮紀要 80 : 1916 林 277―281, 1985. (エビデンスレベル V) 伸和ほか 2)早川律子,松永佳世子, 蜷川よしみ:イブプロフェ ンピコノール含有クリームの尋常性痤瘡における 5)Tan BB, Lear JT, Smith AG : Acne fulminans and 臨床効果の検討,西 日 皮 膚 47 : 899―908, 1985. erythema nodosum during isotoretinoin therapy (エビデンスレベル II) responding to dapsone, Clin Exp Dermatol 22 : 26― 27, 1977. (エビデンスレベル V) 3)出口英樹:顔面尋常性痤瘡患者に対する非ステロ 6)Agrawal S, Agarwalla A : Dapsone hypersensitiv- イド系消炎外用剤(イブプロフェンピコノールク ity syndrome : a clinico-epidemiological review, J リーム)と抗菌外用剤(ナジフロキサシンクリー (エ ビ デ ン ス レ ベ ル Dermatol 32 : 883―889, 2005. ム)との治療効果の比較,医薬の門 41 : 578―582, V) 2001. (エビデンスレベル VI) CQ20 CQ21 痤 瘡(炎 症 性 皮 疹)に 非 ス テ ロ イ ド 系 抗 炎 症 薬 (NSAID)外用は有効か? 痤 瘡(炎 症 性 皮 疹)に 非 ス テ ロ イ ド 系 抗 炎 症 薬 (NSAID)内服は有効か? 推奨度:C1 推奨度:C2 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹:軽症から中等症)に対し 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹)に対して,NSAID 内服は て,イブプロフェンピコノールクリーム外用を選択肢 推奨しない. の一つとして推奨する. 解説:痤瘡に対して,NSAID の単独内服により効果 解説:NSAID が痤瘡の炎症に対して有用とする仮説 を確認できたとする臨床試験はない.抗菌薬との併用 をもとに,炎症性皮疹に対する NSAID 外用薬の有用 の効果については,イブプロフェンとテトラサイクリ 性について,本邦で 2 件の RCT が行われている1)2). ン併用群とそれぞれのプラセボを組み合わせた 4 群を そのうちの一つ1)は 110 例と比較的大きな集団で二重 比較した RCT で,2 剤併用の有用性を示した海外報 盲検法によりおこなわれている RCT であり信頼性は 告1)がある.この報告では,テトラサイクリン 1,000mg! 高い.この試験では,イブプロフェンクリームと基剤 日単独やイブプロフェン 2,400mg! 日単独では,プラセ を比較し,3 週以降に全般改善度の有意差を認め,4 ボと有意差はなく,両者併用でプラセボと有意差が見 週後 の 有 用 率 は,イ ブ プ ロ フ ェ ン ク リ ー ム 群 で は られている.このことはイブプロフェン併用の付加的 66%, プラセボ群 33% と実薬群が優れていたと報告し 作用を示しているが,副作用による脱落例が多いこと, ている.外用抗菌薬であるナジフロキサシンクリーム 本邦のイブプロフェン使用量と比較して大量投与であ 3) 非ランダ とのオープン左右比較が報告されている が, ることを考慮すると,イブプロフェン内服を推奨する ム化,非盲検の試験で,抗菌薬内服を併用している症 だけのエビデンスがあるとは言えない. 例も含まれており,この報告からイブプロフェンピコ ノールとナジフロキサシンの優劣について論じること 以上より,痤瘡(炎症性皮疹)に対して,NSAID の内服は推奨しない. はできない.RCT が存在していることから,痤瘡に対 して使用は推奨されるものの,外用抗菌薬との比較が 行われていないことから,推奨度は C1 とした. 以上より,痤瘡(炎症性皮疹:軽症から中等症)に 【文 献】 1)Wong RC, Kang S, Heezen JL, Voorhees JJ, Ellis CN : Oral ibuprofen and tetracycline for the treat- 対して,イブプロフェンピコノールクリーム外用を選 ment of acne vulgaris, J Am Acad Der ma tol 11 : 択肢の一つとして推奨する. (エビデンスレベル II) 1076―1081, 1984. 【文 献】 1)アクネ研究班:非ステロイド外用剤イブプロフェ ンピコノールクリームの尋常性痤瘡に対する臨床 効果の検討 二重盲検法,基礎と臨床 19 : 1807― 1814, 1985. (エビデンスレベル II) CQ22 痤瘡に経口避妊薬(ピル)は有効か? 推奨度:C2 尋常性痤瘡治療ガイドライン 使用に関する ガ イ ド ラ イ ン(改 訂 版) ,http:! ! 推奨文:他の治療で改善が不十分で,結果的に避妊に www.jsog.or.jp!kaiin.html!announce̲01feb2006. つながることを容認する成人女性の痤瘡に対して,経 html 口避妊薬(ピル) を使用してもよいが,推奨はしない. 使用する場合には,痤瘡治療に対して本邦では未承認 の治療法であること,保険適応外の治療法であること, 血栓形成や不正性器出血などの副作用があることに関 する十分なインフォームドコンセントのもと使用する 必要がある. 1917 CQ23 痤瘡にプレグナンジオールは有効か? 推奨度:C1 推奨文:他の治療で改善が不十分な成人女性の痤瘡に 解説:経口避妊薬は,海外では多数の RCT が行われ ており,痤瘡の炎症性皮疹および面皰数,全般重症度, 対して,プレグナンジオールを選択肢の一つとして推 奨する. 患者自己評価の全てを改善する高いエビデンスを有し 解説:プレグナンジオールは,プロゲステロンの生体 他の治療との比較は十分には行われ ている1).しかし, 内代謝産物で,本邦において尋常性痤瘡のみに適応を ていない1).虚血性脳卒中,喫煙者での心筋梗塞,5 有している.卵胞ホルモン作用および黄体ホルモン作 年未満の使用は子宮頸癌のリスクの増加,時に合併す 用は示さない.同様の作用を期待してメサルモン F(プ る破綻出血(不正性器出血)などの副作用2)が知られて レグネノロン,アンドロステンジオン,アンドロステ いる.また,ホルモン依存性腫瘍である乳癌などの発 ンジオール,テストステロン,エストロン,乾燥甲状 2) 癌の問題 をはじめとする長期投与での安全性につい 腺の合剤) も使用されていたが,すでに製造中止となっ ては今後の課題である1).本邦では未承認の治療であ ており,平成 20 年 3 月末で薬価収載からも削除され 3) 4) り,症例報告や総説はあるものの ,大規模 RCT の 報告はなく,使用経験が十分とは言えない. た. 女性の痤瘡患者に対する抗アンドロゲン薬の有効性 以上より,他の治療で改善が不十分で,使用する結 は良く知られており,海外では女性の中等症以上の痤 果として避妊にもつながることを容認できる成人女性 瘡患者に対して,選択肢の一つとして経口避妊薬が用 の痤瘡の治療の場合には,日本産科婦人科学会編の 「低 いられている.しかし,本邦では痤瘡に対して経口避 用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」 (改訂 妊薬は適応を有していないことから,それに代わるも 2) 5) 版) に基づいて合併症や生活習慣などに関する情報 のとして保険適応のあるプレグナンジオールが用いら を得た上で,十分なインフォームドコンセントのもと れている. で経口避妊薬を使用してもよいが,推奨はしない. 臨床試験の報告は,昭和 30 年代の本邦における症例 集積研究1)2)のみであるが,他に保険適応を有する薬剤 【文 献】 がなく,最近でも使用実態があり有効例が記載されて 1)Arowojolu AO, Gallo MF, Grimes DA, Garner SE : いる3)ことにも考慮し,委員会の意見として,他の治療 Combined oral contraceptive pills for treatment で改善が不十分な成人女性の痤瘡に対して,プレグナ of acne, Cochrane Database of Sys tem atic Re views ンジオールを選択肢の一つとして推奨する. 2004, Issue 3. Art. No. : CD004425. DOI : 10. 1002! 14651858. CD004425. pub2, 2004. (エビデンスレベ ル I) 2)北村邦夫:低用量経口避妊薬,産婦の世界 59 : (エビデンスレベル VI) 405―412, 2007. 【文 献】 1)森田吉和,田口 毅:Pregnanediol(ジオール)に よる尋常性痤瘡の治験,皮膚 1 : 151―159, 1959. (エビデンスレベル V) 3)相 澤 浩:ホ ル モ ン 剤 を ど う 使 う の か,Visual 2)平山 芳,望月英彦,藤巻英和:尋常性痤瘡に対 (エ ビ デ ン ス レ ベ ル Dermatol 2 : 254―257, 2003. する pregnanediol(ジオール錠)の臨床効果,新 VI) (エビデンスレベル 薬と臨床 8 : 217―220, 1959. 4)相 澤 浩:ホ ル モ ン 剤 を 用 い た 治 療 例,Visual (エビデンスレベル V) Dermatol 5 : 126―127, 2006. 5)(社)日本産科婦人科学会:低用量経口避妊薬の V) 3)相 澤 浩:ホ ル モ ン 剤 を ど う 使 う の か,Visual (エビデンスレベル V) Dermatol, 2 : 254―257, 2003. 1918 林 CQ24 痤瘡(炎症性皮疹! 面皰)にスピロノラクトンは有効 か? 推奨度:C2 推奨文:炎症性皮疹あるいは面皰のいずれを主体とす る痤瘡に対しても,スピロノラクトン内服は推奨しな い. 伸和ほか 推奨文:痤瘡(炎症性皮疹,炎症後の紅斑) に対して, 10% アスコルビン酸グルコシドのイオン導入やテト ラヘキシルデカン酸アスコルビルの外用を行ってもよ いが,推奨はしない.また,保険適応外であることに 配慮する必要がある. 解説:アスコルビン酸には抗酸化作用があり,ビタミ ン C 誘導体外用が炎症性皮疹,痤瘡治癒後の紅斑の早 解説:海外では,小規模の RCT が存在し,エビデンス 期軽減に有効とされている.10% アスコルビン酸グル レベルはグレード B とされている.しかしながら,海 コシド配合ローションと基剤をイオン導入した二重盲 外でのシステマティックレビュー1)3)でも,大規模 RCT 検左右比較試験で,導入側で有意な赤色丘疹,膿疱の による明確なエビデンスが望まれている.男性では女 改善が認められている1).また,ビタミン C 誘導体の 性化乳房が見られることがあり,主として女性例での 一つであるテトラヘキシル デ カ ン 酸 ア ス コ ル ビ ル 投与を考慮する.本邦では,139 例に対して使用した報 (VC-IP)と基剤を外用した左右比較試験で有意に痤瘡 この試験では月経不順などの出現が 告2)があるものの, 治癒後の紅斑および赤色丘疹の数の軽減を認めてい 多数見られており,男性の全例が脱落し,女性でも最 今後の追試が る2).いずれの試験も追試の報告はなく, 終的には約半数が脱落している.スピロノラクトンは 望まれる.また,ビタミン C 誘導体には多くの種類が 浮腫や女性化乳房,月経不順などの副作用があること あるため,今後効果の違いなどについても検討が必要 に加えて,本邦では保険適応外であり,他の治療との である.治癒後の紅斑については,自然消退があるこ 比較がない. とから,炎症性皮疹の軽減に付随した効果である可能 以上より,本邦においては炎症性皮疹あるいは面皰 性があり,軽快までの時間的比較による効果の評価な のいずれを主体とする痤瘡に対しても,スピロノラク どの追試が必要である.また炎症性皮疹に対しては抗 トン内服は推奨しない. 菌薬の外用あるいは内服などの他の治療との比較が必 要である. 【文 献】 1)Farwuhar C, Lee O, Toomath R, Jepson R : Spiro- その他のビタミン A,B2, B6, E については,外用に よる試験はない. nolactone versus placebo or in combination with 以上より,ビタミン C についてはエビデンスレベル steroids for hirsutisum and !or acne, Cochrane III の臨床試験はあるものの,他の治療との比較評価が Database of Systematic Reviews 2003, Issue 4. Art. ないこと,追試が行われていないことを加味して,推 No. : CD 000194. DOI : 10. 1002 !14651858. CD 奨度 C2 とし,炎症性皮疹,痤瘡治癒後の紅斑に対し 000194, 2003. (エビデンスレベル I) て,10% アスコルビン酸グルコシドのイオン導入やテ 2)Sato K, Matsumoto D, Iizuka F, et al : Antiandrogenic therapy using oral spironolactone for トラヘキシルデカン酸アスコルビルの外用を行っても よいが,推奨しない. acne vulgaris in Asians, Aesthetic Plastic Surgery (エビデンスレベル V) 30 : 689―694, 2006. 3)Tan J : Hormonal treatment of acne : review of 【文 献】 1)橋本幸子,須賀 康,長谷川敏男ほか:10% アス current best evidence, J Cutan Med Surg, 8 Suppl コルビン酸グルコシド(グラファ C10 ローショ (エビデンスレベル I) 4 : 11―15, 2004. ン)の尋常性痤瘡,毛孔開大に対する治療効果に (エビ ついて,Aesthet Dermatol 13 : 107―114, 2003. CQ25 痤瘡(炎症性皮疹,炎症後の紅斑)にビタミン薬外用 は有効か? 推奨度:C2 デンスレベル V) 2)香西伸彦,赤松浩彦,大林 恵ほか:テトラヘキ シルデカン酸アスコルビル(VC-IP)の尋常性痤瘡 に対する有用性の検討,Aesthet Dermatol 15 : 234― 239, 2005. (エビデンスレベル III) 尋常性痤瘡治療ガイドライン CQ26 1919 内服を行ってもよいが,推奨はしない. 痤瘡にビタミン薬内服は有効か? 推奨度:C2 推奨文:痤瘡に対して,ビタミン薬内服を行ってもよ いが,推奨はしない. 解説:痤瘡治療の補助的内服療法としてビタミン A, ビタミン B2, ビタミン B6, ビタミン E が用いられる. CQ29 痤瘡(陥凹性瘢痕)に充填剤注射は有効か? 推奨度:C2 推奨文:痤瘡の陥凹性瘢痕に対して,充填剤注射(コ ラーゲン)を行ってもよいが,推奨はしない. その作用機序として,ビタミン A は毛包表皮の角化 解説:陥凹した痤瘡の瘢痕に牛由来のコラーゲンの充 を,ビタミン B2 とビタミン B6 は皮脂分泌を,ビタミ 填剤注射を行い, 陥凹の改善をみた報告はある1)が症例 ン E は過酸化脂質を抑制することが考えられている. 集積試験である.牛由来以外のコラーゲンを用いた報 しかし,各々のビタミン薬内服の痤瘡に対する有効性 告はなく,他に十分な根拠となる報告がないことから, を確立するための臨床試験は行われておらず,ビタミ 推奨度は C2 とした. ン薬内服を推奨する十分な根拠はない. 以上より,痤瘡に対してビタミン薬内服を行っても 以上より,瘢痕に対する充填剤注射(コラーゲン) に よる治療を行ってもよいが,推奨はしない. よいが,推奨はしない. 【文 CQ27 献】 1)Varnavides CK, Forster RA, Cunliffe WJ : The 痤瘡にイオウ製剤外用は有効か? role of bovine collagen in the treatment of acne 推奨度:C1 (エビデン scars, Br J Dermatol 116 : 199―206, 1987. 推奨文:痤瘡に対して,イオウ製剤外用を選択肢の一 つとして推奨する. スレベル III) CQ30 解説:イオウ製剤は,脱脂作用と角層の剥脱作用があ 痤瘡(炎症性皮疹)に光線療法は有効か? るとされ,痤瘡に対して保険適応が認められている. 推奨度:C2 臨床試験は行われておらず,推奨する十分な根拠はな いが,委員会の意見として,痤瘡にイオウ製剤外用を 選択肢の一つとして推奨する. CQ28 痤瘡(肥厚性瘢痕)にトラニラスト内服は有効か? 推奨度:C2 推奨文:痤瘡の肥厚性瘢痕に対して,トラニラスト内 服を行ってもよいが,推奨はしない. 推奨文:軽症から中等症の炎症性痤瘡に対して青色光 療法 (blue light phototherapy) ,中等症から重症の炎症 性痤瘡に対して光力学療法(photodynamic therapy)を 行ってもよいが,設備の問題,本邦での検討が不十分 であり,保険適応もないことから推奨はしない. 解説:青色光療法(blue light therapy) (波長 407〜420 nm の光治療)は,P. acnes が産生するポルフィリンに 青色光を当てることにより発生する一重項酸素(活性 酸素) が,P. acnes を殺菌することにより痤瘡に効果を 解説:トラニラストは,肥満細胞からのヒスタミンを 発揮する.軽症から中等症の炎症性痤瘡に有効とする はじめとするケミカルメディエーターの産生,遊離を 症例集積研究1)があるが,エビデンスは不十分である. 抑制するのみならず,線維芽細胞や炎症細胞からの TGF-β1 の産生あるいは遊離抑制作用をもち,ケロイ 以上より,炎症性痤瘡(軽症から中等症)に対して 青色光療法を行ってもよいが,推奨はしない. ドや肥厚性瘢痕の治療に対して保険適応を有してい 2) 3) は,ポ 光力学療法 (photodynamic therapy:PDT) る.痤瘡の肥厚性瘢痕に対しても使用されているが, ルフィリンの前駆体であるアミノレブリン酸を外用し 臨床試験は行われていないため,推奨する十分な根拠 て,ポルフィリンの光吸収帯を狙った波長の光を当て はない. る治療法である.外用したアミノレブリン酸は選択的 以上より,痤瘡の肥厚性瘢痕に対してトラニラスト に毛包脂腺系に取り込まれ,ポルフィリンを励起する 1920 林 伸和ほか 赤色光を当てることにより一重項酸素が発生し,P. ac- Nd:YAG laser に関しては,痤瘡患者の半顔のみに nes を殺菌するとともに皮脂腺を破壊する.軽症から レーザー治療を行い,無治療の半顔と比較した試験で, 中等症の痤瘡患者の半顔のみにアミノレブリン酸の外 面皰に有効,赤色丘疹および膿疱には無効であること 用と光線療法を行い,無治療の半顔と比較した左右比 が3),また治療前後比較試験で痤瘡瘢痕の有意な改善 2) 較試験 や,中等症から重症の痤瘡患者に methyl ami- が認められている4).治療前後比 較 試 験 で 1,064 nm nolaevulinate とプラセボを半顔に塗り分けて光線を Nd:YAG laser が痤瘡瘢痕に有効であることが5),ま 3) 有意に炎症性皮疹の減少を 照射した二重盲検試験 で, た 1,320-nm Nd:YAG laser との二重盲検左右比較試 認めているが,副作用として一過性の刺激感,軽度疼 験で,痤瘡瘢痕に対してどちらのレーザーも有効であ 2) 3) 痛,紅斑,浮腫 ,約 7 割に一時的な疼痛,紅斑,浮腫 り,効果に有意な差は認められなかったことが報告さ が報告されている.未承認の治療法であり,保険適応 れている6).作用機序についてはレーザー治療機器に 外であること,他の治療法との比較は行われていない より相違があるが,P. acnes に対する殺菌作用,皮脂分 ことから,痤瘡(炎症性皮疹)に光力学療法を行って 泌抑制作用,真皮コラーゲンの再構築などが考えられ もよいが,推奨はしない. ている.レーザーによる痤瘡治療に関する報告は多数 あるが,治療プロトコールは一定ではなく,またレー 【文 献】 ザー治療器は機種により線源,波長,エネルギー密度, 1)Kawada A, Aragane Y, Kameyama H, Sangen Y, ホットスポット,スポットサイズが異なるため,種々 Tezuka T : Acne phototherapy with a high- の試験を結びつけて評価することは困難である.他の intensity, enhanced, narrow-band, blue light 治療法との比較も行われていない.また,本邦での検 source : an open study and in vitro investigation, J 討が不十分であり,保険適応もない.今後更なる検討 (エ ビ デ ン ス レ ベ Dermatol Sci 30 : 129―135, 2002. が必要である. ル IV) 2)Hong SB, Lee MH : Topical aminolevulinic acidphotodynamic therapy for the treatment of acne 以上より,各種レーザー治療器の特性を理解した上 で,治療効果が期待できる皮疹に対してレーザー治療 を行ってもよいが,推奨はしない. vulgaris, Photodermatol Photoimmu nol Photomed (エビデンスレベル III) 21 : 322―325, 2005. 【文 献】 3)Horfelt C, Funk J, Frohm-Nilsson M, Wiegleb Ed- 1)Wang SQ, Counters JT, Flor ME, Zelickson BD : strom D, Wennberg AM : Topical methyl amino- Treatment of inflammatory facial acne with the laevulinate photodynamic therapy for treatment 1, 450 nm diode laser alone versus microdermabrasion of facial acne vulgaris : results of a randomized, plus the 1,450 nm laser : a randomized, split-face controlled study, Br J Dermatol 155 : 608 ― 613, (エ ビ デ ン trial, Dermatol Surg 32 : 249―255, 2006. 2006. (エビデンスレベル II) スレベル III) 2)Jih MH, Friedman PM, Goldberg LH, Robles M, CQ31 Glaich AS, Kimyai-Asadi A : The 1,450-nm diode 痤瘡にレーザー治療は有効か? laser for facial inflammatory acne vulgaris : dose- 推奨度:C2 response and 12-month follow-up study, J Am 推奨文:各種レーザー治療器の特性を理解した上で, 治療効果が期待できる皮疹に対してレーザー治療を 行ってもよいが,設備の問題,本邦での検討が不十分 であり,保険適応もないことから推奨はしない. 解説:中等症から重症の痤瘡患者に対する 1,450nm diode laser による単独治療で皮疹の有意な減少が1), (エ ビ デ ン ス レ ベ Acad Dermatol 55 : 80―87, 2006. ル III) 3)Orringer JS, Kang S, Maier L, et al : A randomized, controlled, split-face clinical trial of 1,320-nm Nd : YAG laser therapy in the treatment of acne vulgaris, J Am Acad Dermatol 56 : 432―438, 2007. (エビデンスレベル II) また炎症性痤瘡患者に対しては,炎症性皮疹の有意な 4)Bellew SG, Lee C, Weiss MA, Weiss RA : Im- 減少と痤瘡瘢痕の改善が認められている2).1,320-nm provement of atrophic acne scars with a 1,320 nm 尋常性痤瘡治療ガイドライン 1921 Nd : YAG laser : retrospective study, Derma tol が,単純切除では再発の可能性が高いため,放射線療 (エビデンスレベル IV) Surg 31 : 1218―1221, 2005. 法や圧迫療法を併用する.痤瘡の肥厚性瘢痕に対する 5)Lipper GM, Perez M : Nonablative acne scar re- 外科的切除の有効性を確認した報告はないが,病変が duction after a series of treatments with a short- 高度で他の治療では軽快が期待できない場合には,再 pulsed 1,064-nm neodymium : YAG laser, Derma- 発に関する十分なインフォームドコンセントのもとで (エ ビ デ ン ス レ ベ ル tol Surg 32 : 998―1006, 2006. 再発予防のための併用療法を行いながら,検討する余 IV) 地がある. 6)Yaghmai D, Garden JM, Bakus AD, Massa MC : なお,その他にも痤瘡に対する外科的処置として脂 Comparison of a 1,064 nm laser and a 1,320 nm la- 腺電気焼却術2)があるが,痤瘡(肥厚性瘢痕)を対象と ser for the nonablative treatment of acne scars, はしていない.一般的な治療法ではなく,追試の報告 (エビデンスレベ Dermatol Surg 31 : 903―909, 2005. もないため,現時点では推奨しない. ル IV) 以上より,痤瘡の肥厚性瘢痕に対する液体窒素療法 と外科的切除については行ってもよいが,推奨はしな CQ32 い. 痤瘡(面皰,炎症性皮疹)に面皰圧出は有効か? 推奨度:C1 推奨文:痤瘡(面皰,炎症性皮疹)に対して,面皰圧 出を選択肢の一つとして推奨する. 解説:面皰圧出は,面皰においては毛包内に貯留する 皮脂,炎症性皮疹においては膿を排出することで,面 皰あるいは炎症性皮疹の炎症を軽快させる理学的治療 で保険適応も有している.有効性を示した臨床試験は 【文 献】 1)Layton AM, Yip J, Cunliffe WJ : A comparison of intralesional triamcinolone and cryosurgery in the treatment of acne keloids, Br J Dermatol 130 : (エビデンスレベル III) 498―501, 1994. 2)小林敏男:皮脂腺電気焼却術による痤瘡治療の長 期経過,日本美容外科学会会報 26 : 83―88, 2004. (エビデンスレベル IV) ないが,委員会の意見として有効性はすでに確立して いると考えた. 以上より,痤瘡に対して,面皰圧出を選択肢の一つ として推奨する. CQ33 痤瘡(肥厚性瘢痕)に外科的処置は有効か? 推奨度:C2(外科的切除,液体窒素療法) 推奨文:痤瘡の肥厚性瘢痕に対して,外科的切除や液 体窒素療法を行ってもよいが,推奨はしない. CQ34 痤瘡に化粧(メイクアップ)指導は有効か? 推奨度:C1 推奨文:痤瘡患者に QOL 改善を目的とした化粧(メ イクアップ)指導を行うことを選択肢の一つとして推 奨する.但し,刺激性の少ないノンコメドジェニック な化粧品を選択するなどの配慮が必要である. 解説:油性の面皰形成性のある化粧品による痤瘡の悪 化は事実であり,コメドジェニックな作用のある化粧 解説:ステロイド局所注射は,ケロイドや肥厚性瘢痕 品は避けるべきである.しかし,痤瘡患者に対する化 の治療法として確立しており,痤瘡の肥厚性瘢痕に対 粧(メイクアップ)について大規模な調査は行われて して行った臨床試験は液体窒素との比較をした試験が おらず,全ての化粧を禁止する明確なエビデンスはな 瘢痕の大きさなどを評価して液 ある1).この試験では, い.一方で,小規模ではあるものの化粧が治療を妨げ 体窒素とステロイド局所注射が同等の有効性を示して ない1)2),あるいは化粧は QOL を向上させる1)〜3)とい いる.しかし,液体窒素療法については,ケロイドや うデータがあることから,ノンコメドジェニックな化 肥厚性瘢痕の治療法として一般的ではなく,保険適応 粧品を用いたメイクアップについては,特に制限する もないことを考慮しなければならない. 理由はない.症例ごとにメイクアップの可否を判断す ケロイドや肥厚性瘢痕に対する外科的切除は,病変 が高度で機能障害を伴う場合に試みられることがある る必要はあるが,低刺激でノンコメドジェニックな化 粧品3)を選択しメイクアップをすることは容認できる. 1922 林 伸和ほか 以上より,痤瘡患者に QOL 改善を目的とした化粧 以上より,特定の食べ物を一律に制限することは推 (メイクアップ)指導を行うことを選択肢の一つとして 奨しない.極端な偏食は避け,バランスの良い食事を 推奨する.但し,刺激性の少ないノンコメドジェニッ 摂取することを推奨する.なお,個々の患者の食事指 クな化粧品を選択するなどの配慮が必要である. 導においては,食物摂取と痤瘡の経過との関連性を十 分に検討した上で対応することが望まれる. 【文 献】 1)Matsuoka Y, Yoneda K, Sadahira C, Katsuura J, 【文 献】 Moriue T, Kubota Y : Effects of skin care and 1)Magin P, Pond D, Smith W, Watson A : A system- makeup under instructions from dermatologists atic review of the evidence for ʻmyths and mis- on the quality of life of female patients with acne conceptionsʼ in acne management : diet, face- (エ ビ デ ン vulgaris, J Dermatol 33 : 745―752, 2006. washing and sunlight, Fam Pract 22 : 62―70, 2005. スレベル II) (エビデンスレベル I) 2)Hayashi N, Imori M, Yanagisawa M, Seto Y, 2)Fulton JE Jr, Plewig G, Kligman AM : Effect of Nagata O, Kawashima M : Make-up improves the chocolate on acne vulgaris, JAMA 210 : 2071―2074, quality of life of acne patients without aggravating acne eruptions during treatments, Eur J Der(エビデンスレベル IV) matol 15 : 284―287, 2005. 3)Boehncke WH, Ochsendorf F, Paeslack I, Kaufmann R, Zollner TM : Decorative cosmetics im- 1969. (エビデンスレベル II) 3)Bett DG, Morland J, Yudkin J : Sugar consumption in acne vulgaris and seborrhoeic dermatitis, (エ ビ デ ン ス レ ベ ル Bri Med J 3 : 153―155, 1967. III) prove the quality of life in patients with disfigur- 4)Adebamowo CA, Spiegelman D, Danby FW, Fra- ing skin diseases, Eur J Derma tol 12 : 577 ― 580, zier AL, Willett WC, Holmes MD : High school 2002. (エビデンスレベル V) dietary dairy intake and teenage acne, J Am Acad (エ ビ デ ン ス レ ベ ル Dermatol 52 : 207―214, 2005. IV) CQ35 痤瘡患者に特定の食べ物を一律に制限することは有効 か? CQ36 推奨度:C2 痤瘡に洗顔は有効か? 推奨文:痤瘡患者に対して,特定の食べ物を一律に制 限することは推奨しない.個々の患者の食事指導にお いては,特定の食物摂取と痤瘡の経過との関連性を十 分に検討して対応することが望まれる. 推奨度:C1 推奨文:痤瘡患者に 1 日 2 回の洗顔を推奨する 解説:洗顔の有効性について比較試験を行うことは困 難で,Magin らのシステマティックレビューでも,臨 解説:システマティックレビユーでは,特定の食物と 1) 床試験でのエビデンスは不十分であり,現時点で明確 痤瘡の関係は明確ではないと結論されている .痤瘡 な結論を出すことはできないと記載されている1).ま と食べ物の関係を調べた数少ない RCT では,チョコ た,Choi ら2)は,洗顔回数による皮疹数には統計学的な レートが痤瘡の悪化因子になることは否定されてい 有意差はないが,1 日 2 回の洗顔を 1 日 1 回にしたこ 2) る .また,痤瘡患者で砂糖の摂取量が,特に多いとい とで悪化した症例が見られたこと,1 日 4 回の洗顔を うことはなく,砂糖とも関係しないことが示されてい 行った群では脱落例がみられたことを報告している. 高校生の食生活と痤瘡症状の有無を統計学 る3).最近, 皮脂の除去による痤瘡予防効果は合理的な根拠がある 的に解析して,痤瘡の発症因子として牛乳について述 と考えられ,1 日 2 回の洗顔を推奨する. べたコホート研究4)があるが,反論が多く,追試や別の オイルクレンジングで痤瘡の個数は改善し,クレン 方法での検討が必要と考えられる.現時点では,特定 日本 ジング使用による悪化はなかったとする報告3)が, の食物が痤瘡の悪化因子であるとする明確な証拠はな から出されていることから,オイルクレンジングを悪 い. 化因子とする根拠はなく,むしろ安全に使用できるメ 尋常性痤瘡治療ガイドライン 1923 イク落しの一つの候補となる.洗浄剤の成分に角層を 2)Choi JM, Lew VK, Kimball AB : A single-blinded, 剥がす粒子(スクラブ)が入っていてもいなくても有 randomized, controlled clinical trial evaluating スクラブの有効性は確 意差はないとする報告4)があり, the effect of face washing on acne vulgaris, Pedi- 立されていない.消毒薬などの抗菌作用のあるものを (エ ビ デ ン ス レ ベ atr Dermatol 23 : 421―427, 2006. 感作 含有した洗浄剤の有効性を述べた報告5)もあるが, ル II) 性や刺激についての検討が十分になされているとはい 3)川島 眞,根本 治,森川玲子ほか:尋常性痤瘡 えない.個々の製品が含有する成分の詳細な有用性に を対象としたクレンジングオイルの使用経験,臨 関しては,刺激の問題を考慮した今後の十分な検討が (エビデンスレベル III) 皮 61 : 654―659, 2007. 必要である. 4)Fulghum DD, Catalano PM, Childers RC, Cullen SI, Engel MF : Abrasive cleansing in the manage- 【文 献】 1)Magin P, Pond D, Smith W, Watson A : A system- ment of acne vulgaris, Arch Dermatol 118 : 658 ― 659, 1982. (エビデンスレベル II) atic review of the evidence for ʻmyths and mis- 5)Stoughton RB, Leyden JJ : Efficacy of 4 percent conceptionsʼ in acne management : diet, face- chlorhexidine gluconate skin cleanser in the washing and sunlight, Fam Pract 22 : 62―70, 2005. treatment of acne vulgaris, Therapeutics for the Cli- (エビデンスレベル I) (エビデンスレベル II) nician 39 : 551―553, 1987. 文献 (1)筆頭報告 者 (2)報告 年(3)本邦報 告のみ日本と記 載。*重複は, 同一論文の2つ 以上の試験を別 に記載したこと を示す。 対象 (1)総数(2)年齢(3)エ ントリー時における重症度 (4)その他ベースラインの データ デザイン・介入 併用療法 (1)試験方法(メタアナリシス,RCT or 非RCT,前後比較,左 右比較,症例集積,症例報告など)(対照・比較群10例以上,計 20例以上のものを取上げる)(2)クロスオーバーor同時対照 (parallel)or記録対照(3)(研究により)前向きor 後向き (4)各群の例数(5)実際の方法(薬剤の名称・量・投与方法 など)(6)比較対照の内容(プラセボの名称・量・投与方法な ど)(7)追跡期間(導入期間+試験期間)など 評価項目 (1)主要アウト カム(2)副次的 アウトカム 脱落例数 可及的に詳 細を記載。 わからない 場合は“不 明”と記 載。 結果 報告者の結論をそのまま記載。 エビデンス 有害事象 レベル 可及的に詳細 を記載(結論 に影響するも の,報告者の サマリーを参 照)。わから 序文を参照。 ない場合は “不明”と記 載。 備考 CQ1-5:アダパレン (1)Cunliffe WJ (1)900(2)記載なし(3) (2)1998 mild-moderate (1)メタアナリシス(5つのRCT)(2)同時対照(3)前向き (4)900(450人:アダパレン0.1%ゲルvs450人:トレチノイン 0.025% ゲル)(7)intention-to-treat (ITT) analysis analysis of corariance,analysis of variance,CochranMantel-Haenszel test,5つのRCTの解析 2,4,6,8週にお ける炎症性痤 瘡の 数 副作用の頻度 記載なし (1)Kawashima M (1)238(2)16歳以上(3) (2)2007(3)日本 mild to severe (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)238(80人:アダパレン 0.1%ゲル vs 80人:アダパレン0.03%ゲル vs 80人:基剤のみ) (5)アダパレン0.1%ゲルあるいはアダパレン0.03%ゲルを1日1 回眠前に全顔に外用(6)基剤を1日1回眠前全顔に外用(7)12 週間 1,2,4,6,8, 10,12週における 非炎症性痤 瘡およ び炎症性痤 瘡の数 副作用の頻度 アダパレン 0.1%ゲル 9 人,0.03%ゲ ル 10人, 基剤のみ 11人 (1)Kawashima M (1)200(2)12歳以上(3) (2)2007(3)日本 mild to severe (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)200(100人:アダパレン 0.1%ゲル vs 100人: 基剤のみ)(5)アダパレン0.1%ゲルを1日 1回眠前に全顔に外用(6)基剤を1日1回眠前全顔に外用(7) 12週間 (1)Kawashima M (1)446(2)12歳以上(3) (2)2007(3)日本 mild to severe (4) (1)非RCT,長期観察前後比較試験(2)記録対象(3)前向き (4)446人:アダパレン0.1%ゲル (5)アダパレン0.1%ゲルを1 日1回眠前に全顔に外用(7)1年間 全員に同じ (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)249(125人:アダパレン 洗顔剤 0.1%ゲル,クリンダマイシン0.1%ローション併用 vs 124人: (Cetafil) クリンダマイシン0.1%ローション単剤)(5)アダパレン0.1%ゲ を配布し使 ルを1日1回夕方に顔面に外用(6)アダパレンの基剤を1日1 用してい 回夕方に顔面に外用(7)12週間 る。 全員に同じ 洗顔剤 (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)242(118人:アダパレン (Cetafil) 0.1%ゲル,リメサイクリン300mg内服併用 vs 124人:リメサイク および保湿 (1)Cunliffe WJ (1)242(F)(2)12-30(3) リン300mg内服)(5)アダパレン0.1%ゲルを眠前の洗顔後に顔面 剤 (2)2003 moderate to moderately severe に塗布(6)アダパレンの基剤を眠前の洗顔後に顔面に塗布(7) (Pfysiane 12週間 )を配布し 使用してい る。 (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)467(238人:アダパレ (1)Thiboutot (1)467(2)12-30(3)15-100 ン0.1%ゲル,ドキシサイクリン100mg内服 vs 229人:ドキシサイ DM non-inflammatory acne, 15< クリン100mg内服,ゲル基剤)(5)アダパレン0.1%ゲルを夕方に (2)2005 inflammatory acne 顔面に塗布(6)アダパレンの基剤を夕方に顔面に塗布(7)12週 間 (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)253(126人: アダパレン 全員に同じ 0.1%ゲル,ドキシサイクリン100mg内服 vs 127人: ドキシサイ (1)Thiboutot (1)253(2)12-30(3)15-100 洗顔剤およ クリン100mg内服,ゲル基剤). Thiboutot 2005 SkinMedで DM non-inflammatory acne, 15< び保湿剤を 50%以上の改善をみた症例.(5)アダパレン0.1%ゲルを夕方に (2)2006 inflammatory acne 配布し使用 顔面に塗布(6)アダパレンの基剤を夕方に顔面に塗布(7)12週 している。 間 (1)Wolf JE (2)2003 (1)249(2)12歳以上(3) mild to moderate 効果:アダパレン0.1%ゲルとトレチノイン0.025%ゲルは同等 アダパレンは1週間での早い効果発現がある。 アダパレンはトレチノインより刺激が少ない。アダパレンは非炎 局所刺激症状 症性痤 瘡あるいは炎症性痤 瘡に対して著明な減少効果を有してい 以外の全身的 副作用はない る。 アダパレン0.1%ゲルおよび0.03%ゲルは基剤のみに比べて有意に 炎症性痤 瘡および非炎症性痤 瘡の数を減少させる。0.1%ゲルは 0.03%ゲルに比べてより早く効果が出現し,より高い効果を発揮 局所刺激症状 以外の全身的 する。 副作用はない 1,2,4,6,8, アダパレン 10,12週における 0.1%ゲル 2 アダパレン0.1%ゲルは基剤のみに比べて有意に炎症性痤 瘡および 非炎症性痤 瘡およ 人,基剤の 非炎症性痤 瘡の数を減少させる。 び炎症性痤 瘡の数 み 5人 副作用の頻度 1,2週および 1,2,3,4,5,6,7,8,9 6ヶ月目 4 0人,1 アダパレン0.1%ゲルの副作用は1年間の長期使用においても許容 ,10,11,12ヶ月目に 2ヶ月目 範囲であり使用を中止するほどではない。また,1年間にわたり おける非炎症性痤 47人(合 持続的に炎症性痤 瘡および非炎症性痤 瘡の数を減少させる。 瘡および炎症性痤 計87名) 瘡の数 副作用の頻度 局所刺激症状 以外の全身的 副作用はない Ⅱ 副作用による脱落はアダ パレン0.1%群の1例のみ Ⅱ 副作用による脱落はアダ パレン0.1%群の1例のみ Ⅲ 副作用による脱落は4例 のみ Ⅱ 副作用による脱落はアダ パレン併用群の1例,非併 用群1例の合わせて2例 のみ Ⅱ 副作用による脱落はアダ パレン併用群の1例のみ Ⅱ 副作用による脱落はアダ パレン併用群の6例,非 併用群5例の合わせて11例 のみ Ⅱ 副作用による脱落はなし 局所刺激症状 以外の全身的 副作用はない 2,4,6,8,12週 における非炎症性 痤 瘡および炎症性 痤 瘡の数 副作用の頻度 アダパレン 併用群 1 アダパレン外用とクリンダマイシン外用の併用療法はクリンダマ 8人,非併 イシン外用単剤に比べてより早い効果発現と高い有効性を示す。 局所刺激症状 用群 14 以外の全身的 人 副作用はない 2,4,6,8,12週 における非炎症性 痤 瘡および炎症性 痤 瘡の数 副作用の頻度 アダパレン 併用群 1 アダパレン外用とリオマイシン内服の併用療法はリオマイシン内 2人,非併 服単剤に比べてより早い効果発現と高い有効性を示す。 用群 13 局所刺激症状 人 以外の全身的 副作用はない アダパレン 併用群 5 アダパレンとドキシサイクリンの併用はドキシサイクリン単独よ 局所刺激症状 2人,非併 り,早期に,かつ優れた改善効果を発揮する。 以外の全身的 用群 33 副作用はない 人 4,8,12週におけ る非炎症性痤 瘡お よび炎症性痤 瘡の 数 副作用の頻度 維持療法開始後, 4,8,12,1 6週後の非炎症性 痤 瘡および炎症性 痤 瘡の数 副作用の頻度 Ⅰ アダパレン 併用群 1 ドキシサイクリン内服を併用した維持療法においてアダパレンは 4人,非併 局所刺激症状 プラセボより臨床的効果が高い。 用群 20 以外の全身的 人 副作用はない 文献 対象 デザイン・介入 併用療法 評価項目 脱落例数 結果 有害事象 エビデンス レベル なし 面皰,紅色丘疹, 膿疱の数 なし 面皰:20(49.0%),40%GA(60.3% )ともに著明改善 (有意差有) 紅色丘疹・膿疱:20%GA(34.4%),40%GA(64.3%)改善(有意差 有) なし Ⅲ あり 面皰,紅色丘疹, 膿疱の数 なし 面皰・紅色丘疹・膿疱ともに,有意差有。 なし Ⅲ あり 皮疹の数 なし 軽症・中等度での改善率が重症度での改善率より良い。 併用薬剤の有無にかかわらず,炎症性丘疹の数は有意に減少する が,併用薬剤有の方が改善率は高い。 なし Ⅲ なし 面皰,紅色丘疹, 膿疱の数 なし 面皰・紅色丘疹・膿疱ともに,有意差有 なし Ⅲ 刺激感,4~5日続くかさ つき,痂皮形成あり 不明 面皰,丘疹膿疱の 全般改善度 なし 改善36%,不変55%,悪化9%。 なし Ⅳ 刺激感 不明 面皰,丘疹膿疱の 全般改善度 なし 改善以上64%(著明改善9%),不変27%,悪化9%。 なし Ⅴ 不明 痤 瘡,痤 瘡瘢痕の 全般改善度 なし 痤 瘡:有効以上93% 痤 瘡瘢痕:有効以上67% なし Ⅴ 刺激感 あり 面皰,丘疹,膿 疱,嚢腫,瘢痕の 全般改善度 なし excellent 23/good 24/fair 2/no change 1 ただし,瘢痕の評価なし。 刺激感 備考 CQ6-8:ケミカルピーリング グリコール酸 (1)梶田尚美 (1)40(M: 0,F: 40)(2)平均 (2)2003(3)日本 25.6(3)記載なし (1)林伸和 (1)30(M: 0,F: 30)(2)平均 (2)2003(3)日本 24(3)severe (1)40(M: 6,F: 34)(2)平均 (1)岸岡亜紀子 27.5±6(3)Pillusburyの分 (2)2004(3)日本 類:軽症~重症(4)軽症12,中 等症23,重症5 (1)梶田尚美 (1)20(F)(2)平均26.5(3) (2)2002(3)日本 記載なし (1)非RCT・左右比較(2)同時対照(parallel)(3)前向き (4)40(M: 0,F: 40)(5)20,40%GA(pH不明),2週毎に計5回 (6)精製水(7)12週間 (1)非RCT・左右比較(2)同時対照(parallel)(3)前向き (4)30(M: 0,F: 30)(5)30%GA(pH1.5),2週毎に計6回(6)無 治療(7)14週間 (1)非RCT・左右比較(2)同時対照(parallel)(3)前向き (4)40(M: 6,F: 34)(5)10%(pH. 1.7) GA,25%(pH. 1.4) , 35%(pH. 1.2) ,50%(pH. 0.9),70%(pH. 0.5),2ー4週毎に計5回 (6)GAが入っていない基剤(7)12-24週間 (1)非RCT・左右比較(2)同時対照(parallel)(3)前向き (4)20(F)(5)20%GA(pH不明),2週毎に計5回(6)精製水 (7)10週間 (1)米井希 (2)2002(*重 複)(3)日本 (1)22(M: 2,F: 20)その中で左 (1)非RCT・左右比較(2)同時対照(parallel)(3)前向き 右比較試験は11例(2)平均24.5 (4)22(M: 2,F: 20)その中で左右比較試験は11例(5)30% (3)記載なし GA(pH3.2),2週毎に計6回,(6)GAを含まない基剤(7)14週間 (1)米井希 (2)2002(*重 複)(3)日本 (1)症例集積研究(2)前後比較(3)前向き(4)22(M: 2,F: 20)左右比較を行った11例を含む(5)30%GA(pH3.2),2週毎に計 6回(6)GAを含まない基剤(7)14週間 (1)症例集積研究(2)前後比較(3)前向き(4)34(痤 瘡28, 痤 瘡瘢痕6)(5)20%(pH. 2.1-2.6) GA,30%(pH. 1.45-1.6) , 50%(pH. 0.71-0.9),1-4週間毎に5回以上(7)詳細不明 (1)22(M: 2,F: 20)左右比較を 行った11例を含む(2)平均24.5 (3)記載なし (1)34(痤 瘡28,痤 瘡瘢痕6) (1)宮本洋 (2)痤 瘡:14-39,痤 瘡瘢痕:25(2)2002(3)日本 44(3)記載なし (1)長濱通子 (1)50(2)平均27.8(3)記載 (1)症例集積研究(2)前後比較(3)前向き(4)50(5)1 (2)2000(3)日本 なし 0%GA,20%GA,35%GA(pH.不明),3-4週毎(7)不明 (1)渡辺幸恵 (1)199(2)記載なし(3)記 (2)2006(3)日本 載なし (1)症例集積研究(2)前後比較(3)前向き(4)199(5) 20%(pH.1.3-1.5) GA,30%(pH. 1.2-1.5) ,原則2週ごとに計6回 (間隔は患者の状態により異なる)(7)詳細不明 (1)鈴木かやの (1)38(M: 10,F: 28)(2)平均 (1)症例集積研究(2)前後比較(3)前向き(4)38(M: 10,F: (2)2001(3)日本 22.1(3)記載なし 28)(5)5,10,20%GA(pH不明),1週毎に計10回(7)11週間 内服はごく 一部に併用 面皰~難治性痤 瘡 までの全般改善度 なし 著効13.5%,有効52.7%,不変21.1%, 悪化・中止1.5% あり 丘疹,膿疱,結節 の数 なし 重症度別抗生剤の投与量はすべてで減少。 A:7 B:2 C:1 なし 面皰:最も早く改善 丘疹・膿疱:平均6回必要 嚢腫:8-10回必要 なし 面皰(n: 40):2週間で17.5%,11週間で32.5%が改善 丘疹(n: 40):2週間で50%がflare upsしたが,徐々に改善 膿疱(n: 34):2週間で23.5%が悪化したが,11週目には17.7% 改善 嚢腫(n: 11):11週間で45.5%がpoor 瘢痕(n: 29):11週間で10.4%がgood, 58.6%がfair 紅斑(n: 21):8週間で47.6%,11週間で52.4%が改善 skin tone/色素沈着:77.5% に皮膚が明るくなった (1)Erbağci Z (2)2000 (1)58(F)(2)18-41(3)記載 なし(4)痤 瘡瘢痕(肥厚性瘢 痕,ケロイド,陥凹性瘢痕を含 む) (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)58(F)(5)20,35, 50,70%GAピーリング vs 15%GAクリーム(ホームケア)/A:23 人;20,35,50,70%GAを2週間毎に施術,B:20人;15%GAク リームを24週間隔日,または毎日塗布,C:15人:プラセボクリー ムを24週間1日2回塗布(6)基剤(7)24週間 不明 痤 瘡瘢痕 10ポイン トスケールに分別/ 3段階(good response・partial response・ミノサ イクリンr response) (1)Atzori L (2)1999 (1)80(M:0, F: 80)(2)1340(平均22.7)(3)面皰32,丘 疹・膿疱40,嚢腫8 (1))症例集積研究(2)前後比較(3)前向き(4)80(M:0, F: 80)(5)70%GA/およそ10日毎:ただし,重症な痤 瘡では8- 15%GAローションを1日2回外用と抗生剤内服2週間前から前処 置。施術前後2日は除く(7)2年間 なし 臨床症状 (1)Wang CMl (2)1997 (1)40,type Ⅳ skin Taiwanese,(M: 8,F: 32)(2) 16-51(平均26)面皰40,膿疱 34,嚢腫11,瘢痕29,紅斑2 (1))症例集積研究(2)前後比較(3)前向き(4)Group A: 乾燥・普通肌,Group B・脂肌(5)全患者に前処置として,治療 前に15%GAクリームを2回/1日を1週間,グループA: 35%GA (1回/3週間)を12週間,グループB: 50%GA (1回/3週間)を12週 間(7)13週間 あり comedoes, pustules, cysts, scar の数 ( worsen, no change, poor, fair, goodの5段階 評価) グループAが一番効果があった(有意差あり)。 グループBはCより効果があった(有意差あり)。 なし Ⅴ 2例に痂皮形 成,5例に発 赤にてステロ イド外用 Ⅴ なし Ⅴ A:4人に長 期の紅斑・落 屑 B:3人に色 素沈着(遮光 不備のため) Ⅱ Ⅴ 5.6%に色素 沈着,単純ヘ ルペス悪化, 刺激感 Ⅴ 刺激感,4~5日続くかさ つき,痂皮形成あり 刺激感66.7%あるも5分で 消褪 痤 瘡瘢痕の程度の分類,効 果判定の方法が細かくされて いる。効果判定も統計処理さ れているため,信頼性は高い と考える。 文献 対象 サリチル酸マクロゴール (1)Yukiko (1)16(F)(2)平均32.4(3) Hashimoto 面皰 Mild-Moderate (2)2007 (1)大日輝記 (2)2007 (1)436(M: 26,F:410)(2)平 均30.8(3)記載なし デザイン・介入 (1)非RCT・左右比較(2)同時対照(parallel)(3)前向き (4)16(F)(5)30%SA-PEG(pH1.16),2週毎に計5回,左右比較試 験(6)無治療(7)12週間 (1)症例集積研究(2)前後比較(3)前向き(4)436(M: 26,F:410)(5)30%SA-PEG(pH1.16),4週またはそれ以上の間隔, 平均5.9回(7)不明 併用療法 なし 不明 評価項目 面皰の数(ロボス キンアナライ ザー) 436人のうち42人を アンケート方式で5 段階の効果判定 脱落例数 結果 有害事象 エビデンス レベル なし 面皰の数が75%減少。 なし Ⅲ なし 新生痤 瘡の改善,瘢痕の改善,オイリースキンの改善など,ほと んどが高い満足度,ほとんどに副作用なし。 なし Ⅴ なし 面皰・丘疹膿疱ともに,有意差有。 なし Ⅲ なし 1.効果/30%: 炎症性痤 瘡・面皰とも改善 2.安全性/紅斑8.8%に2日以上継続,乾燥:32.3%,落屑: 17.6%,24時間以上の熱感:8.8%,痂皮:11.7%,炎症後色素 沈着や瘢痕:0% 3.機器的測定/水分量,皮脂量,pH,TEWL 変化なし 4.自覚症状/37.1%著明改善,40%中等度改善,22.86%軽度改 善 3人(8.8%) に紅斑が2日 以上続いた。 11人 (17.6%)に 落屑 Ⅲ 発赤 Ⅱ 2%サリチル 酸で1人に発 赤 Ⅱ 備考 8.8%に刺激感 サリチル酸エタノール (1)梶田尚美 (1)30(F)(2)平均23(3)記 (2)2004(3)日本 載なし (1)症例集積研究(2)前後比較(3)前向き(4)30(F)(5) 20%サリチル酸エタノール,2週毎に計5回(7)12週間 なし 面皰,丘疹膿疱の 数 不明 1.Comedo, pustules, nodules, cysts, の数 ( "overall acne severity grade"の 0-10段階) 2.安全性の確認 (紅斑,落屑,乾 燥,痂皮,熱感, 刺激感,色素沈 着) 3.皮膚の水分 量,皮脂量,pH, TEWL (1)Lee HS (2)2003 (1)35,Korean(Fitspatrick skin Type Ⅲ・Ⅳ)(2)15-43 (3)軽度から中程度の痤 瘡 (Dr. Cunliffe's grading system 0.25-3.0) (1)Zander E (2)1992(*重 複) (1)49(25人:サリチル酸エタ ノール・24人:placebo)(2) (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)49(25人:サリチル酸エ teenagers(3)15以上の タノール使用・24人:placebo)(5)0.5%サリチル酸エタノール comedonesと10箇所以上の炎症部 (6)placebo: buffersd water(7)12週間 位のある患者対象 不明 comedoes, inflammatory lesions の数 なし (1)Zander E (2)1992(*重 複) (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)2%saliclic acids ・ (1)187人(2)12-22歳(3)軽 placebo・0.5%saliclic acids・各症例数不明(5)(6) 症~中等度 placebo:bufferd water(7)12週間 不明 comedoes, inflammatory lesions の数 なし (1)症例集積研究(2)前後比較(3)前向き(4)35, Korean(Fitspatrick skin Type Ⅲ・Ⅳ)(5)30%salicylic acid/2週毎に12週間(7)12週間 治療4週間後:炎症の改善した部位の数(29%減少;placeboは 21%) 治療8週間後:炎症の改善した部位の数(45%減少;placeboは 24%) 治療12週間後:炎症の改善した部位の数(54%減少;placeboは 29%) 治療12週間後:炎症の改善した部位の数(54%減少;placeboは 29%) 2%サリチル酸 :excellet(皮疹が75-100%減少):60% good(50-74%減少):38% placebo :excellet(皮疹が75-100%減少):2% good(50-74%減少):10% 0.5%サリチル酸:excellet(皮疹が75-100%減少):60% good(50-74%減少):31% 刺激感,4~5日続くかさ つき 瘢痕 (1)大日輝記 (2)2007 (1)436(M: 26,F:410)(2)平 均30.8(3)記載なし (1)症例集積研究(2)前後比較(3)前向き(4)436(M: 26,F:410)(5)30%SA-PEG(pH1.16)、4週またはそれ以上の間隔、 平均5.9回(7)不明 (1)北野幸恵 (2)2006 (1)痤 瘡瘢痕95(M: 40,F: 55) (2)不明(3)陥凹性瘢痕 (4)Jacob分類:Shallow boxcar type(sb)12、Deep boxcar type(db)35, Icepick type(ip)1, sb+db(33), db;ip(12), dp+Rolling type (1)症例集積研究(2)前後比較(3)前向き(4)痤 瘡瘢痕 95(M: 40,F: 55)(5)50%以上のTCA 、最低1ヵ月後に追加。施術 50%以上TCA 回数は患者の希望にて追加。(7)施術回数1回(36.8%)、2回 (24.2%)、3回(17.9%)、4回以上(21.1%) (1)58(F)(2)18-41(3)瘢痕 (肥厚性、陥凹性、ケロイドを 含む) (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)58(F)(5)20,35, 50,70%GAピーリング vs 15%GAクリーム(ホームケア)/A: 23人;20,35,50,70%GAを2週間毎に施術、B:20人;15%GAク リームを24週間隔日、または毎日塗布、C:15人;プラセボクリー ムを24週間1日2回塗布(6)基剤(7)24週間 (1)Erbağci Z (2)2000 不明 不明 Ⅴ ざ瘡患者436人を対象とし た特別な製法で作成され た30%サリチル酸マクロ ゴールを用いた症例集積 研究、平均5.9回の治療を 行って副作用を認めず、 高い安全性が示されてい る。 50.5%の患者が肯定的評価。 44(46.7%) (Shallow boxcar type(sb)3、Deep boxcar type(db)25, Icepick が3回以内で type(ip)0, sb+db(7), db+ip(11), dp+Rolling type(2))。 脱落 Ⅴ 潰瘍形成・不良肉芽形 成・肥厚性瘢痕はない A:4人に長 期の紅斑・落 屑 B:3人に色 素沈着(遮光 不備のため) Ⅱ 436人のうち42人の 患者の5段階評価 なし 「どの程度ニキビ後が目立たなくなったか」とのアンケートの内 容で、とても(31人)、かなり(7人)、まあまあ(4人)。 患者の4段階評価 なし 瘢痕の深さ・大き さを10ポイントス ケールに分別し 3段階評価(good response・partial response・ミノサ イクリンr response) A:7 B:2 C:1 グループAが一番効果があった(有意差あり)。 グループBはCより効果があった(有意差あり)。 なし 文献 対象 デザイン・介入 併用療法 評価項目 脱落例数 結果 有害事象 エビデンス レベル 備考 CQ9-10:抗菌剤外用 クリンダマイシン (1)592(M247, F345) (2)20.5±5.1(3)Leeds scale2-5(4)除外対象:妊婦。 慢性腸疾患。試験開始前30日 (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)592(M247, F345);ゲル (1)Alirezai M 以内に抗菌薬,ステロイドを内 (265),solution(261),プラセボ(66)(5)(6)クリンダマイシ (2)2005 服した患者。試験開始前6ヵ月 ン,1%solution,gel,プラセボ:夜1回/日(7)12週間 以内に全身療法(レチノイド, 抗アンドロゲン剤を内服した患 者,14日以内に痤 瘡の局所治 療をした患者 (1)Shalita A (2)2006 (1)1026(M476,F544)(2)記 載なし(3)中等度:ISGA score2以上(4)除外対象:試験 開始前4週間以内に局所,全身療 法を受けた患者。活動性のある 嚢腫・結節型痤 瘡の患者。 (1)66(M42;F24)(2)記載な し(3)中等度~重度(4)14- 35(4)除外対象:試験開始前30日 (1)Sheehan間以内に痤 瘡治療のために抗菌 Dare RA 薬,ステロイドの内服を受けた (2)1990 患者。妊婦,女性看護師,ミノ サイクリン・クリンダマイシン にアレルギーのある患者。 (1)46(2)12-30(3)中等度 ~重度 (4)除外対象:クリン ダマイシンにアレルギーのある 患者。妊婦。慢性腸疾患。試験 (1)Kuhlman DS 開始前30日以内に抗菌薬,ス (2)1986 テロイドを内服した患者。試験 開始前60日以内に経口避妊薬を 内服した患者。試験開始前14 日以内に痤 瘡の治療をした患 者。 (1)87(M43;F44)(2)20(3) 中等度~重度(4)除外対象:妊 婦。慢性腸疾患の患者。試験開 (1)Braathen LR 始前30日以内に抗菌薬の内 (2)1984 服,外用,ステロイド,抗アン ドロゲン剤を内服した患者。試 験開始前3ヵ月に経口避妊薬を 内服した患者。 (1)305(2)18-35(3)中等度 ~重度(4)除外対象:妊婦。胃 腸疾患の既往のある患者。試験 (1)Gratton D 開始前30日以内に抗菌薬・ス (2)1982 テロイドの内服,外用,抗アン ドロゲン剤を内服した患者。試 験開始前3ヵ月に経口避妊薬を 内服した患者。 (1)358(2)12-30(3)不明 (4)除外対象:妊婦。胃腸疾患 の既往のある患者。試験開始前 (1)Becker LEl 30日以内に抗菌薬・ステロイ (2)1981 ドの内服,外用,抗アンドロゲ ン剤を内服した患者。試験開始 前3ヵ月に経口避妊薬を内服し た患者。 なし (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)1026(M476,F544);ク リンダマイシン foam(386例);クリンダマイシン gel(385例); プラセボfoam(127例);プラセボgel(128例)(5)(6)1%クリンダ マイシン foam,1%クリンダマイシン gel, プラセボfoam,プラ セボgel: 1回/日(7)12週間 なし (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)66(M42;F24)群間の症 例数は不明(5)(6)1%クリンダマイシンゲル:2回/日とミノサ イクリン50mg×2/日内服をdouble -dummy techniqueで比較(7) 12週間 なし 皮疹数 62例が脱 落:32例 (ゲル), 21例 クリンダマイシン外用で炎症性皮疹で65%の改善。 (solution) ,9例(プラ セボ) 111例が脱 落:フォ ローアップ 不可(51 全般改善度 例),患者 (Investigator's の意志(42 クリンダマイシン外用で全般改善度で改善。 Static Global 例),患者 クリンダマイシン外用で炎症性皮疹,非炎症性皮疹も改善。 Assessment: ISGA) の外用不履 皮疹数 行(8例), 有害事象(3 例),疾患 の悪化(1 例) 全般改善度 皮疹数 ゲル:乾燥2 例,灼熱感2 例,湿疹1 例, solution:乾 燥3例,刺激 感2例,悪化2 例,日焼け1 例 軽微な副作用 (灼熱感:1 -6%,表皮 剥離0-1%, 乾燥0-3%, そう痒0- 4%,刺激感0 -1%, 1例のみ脱落 (年齢が適 クリンダマイシン外用で全般改善度,炎症性皮疹数で改善。 当でないた クリンダマイシン外用で非炎症性皮疹数は有意差なし。 め) Ⅱ Ⅱ Ⅱ クリンダマイシン外用で ミノサイクリン100m g内服は同等の効果。 下痢の症例は8例みられた が,クリンダマイシン外 用との因果関係はないと 判断されている。 不明 (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)46:クリンダマイシン (21例);プラセボ(14例)(5)1%クリンダマイシンローショ ン,プラセボ:2回/日(6)(7)12週間 (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)87(M43;F44)(5)(6)1% クリンダマイシン:2回/日(29),テトラサイクリン500mg/ 日内服(29),プラセボ(29)(7)8週間 (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)305(5)(6)1%クリンダ マイシンsolution群(105):2回/日,テトラサイクリン群 (103):250mg/日,プラセボ群(97)(7)8週間 (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)358(5)(6)1%リン酸クリンダマイ シン群(124),1%塩酸クリンダマイシン群(120),プラセボ (113):2回/日外用(7)8週間 (1)99(2)12-35(3)中等度 ~重度(4)除外対象:妊婦。慢 性腸疾患,下痢の既往のある患 者。試験開始前90日以内に抗菌 (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)99(5)(6)1%リン酸クリンダマイ (1)Petersen MJ 薬・ステロイドの内服,アンド シンローション群(33),1%クリンダマイシンソリューション群 (2)1986 ロゲン剤を内服した患者。試験 (34),プラセボ(32):2回/日外用(7)12週間 開始前60日以内に経口避妊薬を 内服した患者。試験開始前14日 以内に痤 瘡の治療を受けた患者 皮疹数 クリンダマイシン外用で膿疱の数が有意に減少,開放面皰も減 11例が脱落 少。 クリンダマイシン外用で閉鎖面皰の数は変化なし。 乾燥,剥離, 灼熱感,そう 痒があった が,有意差は なし Ⅱ なし 皮疹数 21例が脱落 (18例:不履 行,1例:併 炎症性皮疹についてクリンダマイシン外用で72%の減少,テトラ ごく軽度の剥 用薬使用,1 サイクリン内服で57%の減少,プラセボで12%の減少。面皰は評価 離,紅斑,そ 例:内服せ せず。 う痒 ず,1例:妊 婦) Ⅱ なし 皮疹数 全般改善度 52例は脱落 したが,安 クリンダマイシン外用で丘疹,膿疱の数の減少で有意差あり。 全性の評価 非炎症性皮疹は評価せず。 は可能で あった。 重篤な副作用 はなし Ⅱ テトラサイクリン内服で 炎症性皮疹でプラセボと 比べ,有意差あり。 Ⅱ リン酸クリンダマイシン 群と塩酸クリンダマイシ ン群では有効性について 有意な差はなし。 Ⅱ lotion.solutionで有効性 に有意な差はなし。 なし なし 皮疹数 55例が脱 落。 クリンダマイシン外用で炎症性皮疹に著効。 軽度の乾燥, 灼熱感 1例で下痢 (クリンダマ イシン外用と 関連) なし 皮疹数 記載なし クリンダマイシン外用で炎症性皮疹に著効。 クリンダマイシン外用で開放面皰,閉鎖面皰にも有効。 乾燥,灼熱感 はsolutionで 有意にみられ た。5例で下 痢。 文献 対象 (1)135(2)12-35(3)中等度 ~重度(4)除外対象:クリンダ マイシンにアレルギーのある患 者。妊婦。慢性腸疾患,下痢の ある患者。試験開始前30日以 (1)Ellis CN 内にに抗菌薬,ステロイド,抗 (2)1988 アンドロゲン剤を内服した患 者。試験開始前60日以内に経口 避妊薬を内服した患者。試験開 始前14日以内に痤 瘡の治療を した患者。 (1)84(2)記載なし(3)中等 度~重度(4)除外対象:慢性腸 疾患のある患者。小児。妊婦。 クリンダマイシンにアレルギー のある患者。妊婦。慢性腸疾 (1)McKenzie MW 患,下痢のある患者。試験開始 (2)1981 前30日以内にに抗菌薬,ステ ロイド,抗アンドロゲン剤を内 服した患者。試験開始前60日以 内に経口避妊薬を内服した患 者。試験開始前14日以内に痤 瘡の治療をした患者。 (1)334(2)13-30(3)中等度 ~重度(4)除外対象:妊婦。授 (1)Lookingbill 乳中の女性。試験開始前6ヶ月以 DP 内にisotretinoin,経口避妊薬 (2)1997 を内服した患者。試験開始前1ヵ 月以内に痤 瘡の治療をした患 者。 ナジフロキサシン (1)474(M:236;F240)(2)1635(3)軽症~中等度(4)除外 対象:妊婦。授乳中の女性。試 験開始前3週間以内に痤 瘡の治 療を受けた患者。試験開始前4週 (1)Plewig G 間以内に抗菌薬・ステロイドの (2)2006 内服を内服した患者。試験開始 前3ヵ月以内に経口避妊薬を内 服した患者。試験開始前12ヶ月 以内にレチノイドの全身投与を 受けた患者。アルコール,薬物 依存症の患者。 (1)22(M:1,F21)(2)18-30 (3)中等度(4)除外対象:妊 (1)Kurokawa 婦。試験開始前に抗菌薬,ステ (2)1991(3)日本 ロイドを30日以内に内服した 患者。試験開始前14日以内に 痤 瘡の治療をした患者 デザイン・介入 併用療法 評価項目 脱落例数 (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)128(5)(6)1%クリンダ マイシンゲル,1%クリンダマイシンsolution,プラセボ:2回/日 群間の症例数は不明(7)12週間 なし 皮疹数 Cookのscore 7例脱落 (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)84(5)(6)2%リン酸ク リンダマイシン,2%塩酸クリンダマイシン,プラセボ:2回/日: 群間の症例数は不明(7)12週間 なし 皮疹数 9例脱落。 (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)89(5)(6)1%クリン ダマイシンゲル群(89)夜1回/日;5%ベンゾイルパーオキサイド 群(92)夜1回/日;Clinドキシサイクリンl(1%クリンダマイシンゲ ル/5%ベンゾイルパーオキサイド)夜1回/日(95);プラセボ(58) (7)11週間 なし 皮疹数 全般改善度 記載なし 結果 有害事象 エビデンス レベル 備考 クリンダマイシン外用で丘疹,膿疱で有意に減少(solution,ゲ 灼熱感,2例 ル)。 で下痢 クリンダマイシン外用で開放面皰も減少。 Ⅱ solution,ゲルで有効性 に差はなし。 クリンダマイシン外用で炎症性皮疹で有意差(8週間)。 軽度の stinging,乾 燥,瘙 痒 Ⅱ 4週後,12週後はプラセボ と差はなかった。プラセ ボ効果を示している。 クリンダマイシン外用で炎症性皮疹,面皰で有意に減少。 紅斑 (6.9%),剥 離(7.8%) 乾燥(5.9%) Ⅱ Clinドキシサイクリンlが クリンダマイシン,過酸化 ベンゾイル外用単独群よ り有効性において有意な 差があった。 ナジフロキサ シン群で44 例:そう痒, 紅斑,灼熱 感,剥離,乾 燥,つっぱり 感(いずれも 重度はなし) Ⅱ ナジフロキサシン外用で 2%エリスロマイシンク リームと同等の効果。 なし Ⅱ (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)474(5)(6)ナジフロキ サシンクリーム群(234),2%エリスロマイシンクリーム (240),2回/日外用(7)12週間 なし 皮疹数 全般改善度 48例(ナジ フロキサシ ナジフロキサシン外用で66.7%(丘疹,膿疱)の減少。 ン26,エリス ナジフロキサシン外用で面皰も有意に減少。 ロマイシン 22)が脱落。 (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)22(5)(6)1%ナジフロキサシンク リーム群(10),プラセボ(12):2回/日外用(7)4週間 なし 全般改善度 7例が脱落。 ナジフロキサシン外用で80%が著効以上の改善。 文献 対象 デザイン・介入 併用療法 評価項目 脱落例数 結果 有害事象 エビデンス レベル CQ11:抗菌薬内服(炎症性皮疹) ミノサイクリン (1)Garner Systematic reviews SE(2) 2006 ドキシサイクリン Systematic review (1)Skidmore R (1)51(2)18歳以上(3) (2) 2003 中等症(4)なし (1)RTC(2)同時対照(parallel)(3)前向き(4)26と 25(5)塩酸ドキシサイクリン20mg隔日投与(6)比較対照薬 はプラセボ(7)6ヶ月 (1)RTC (2)クロスオーバー(3)前向き(4)各群の例数 (1)Plewig G (1)62(2)14-27歳(3)中 (5)塩酸ドキシサイクリン100mg4週間→4週間休薬→プ (2)1970 等症(4)なし ラセボ4週間(6)プラセボ4週間→4週間休薬→塩酸ドキシサ イクリン100mg4週間(7)12週間 (1)RTC (2)同時対照(parallel)(3)前向き(4)21と (1)Harrison (1)43(2)16-35歳(3)中 22(5)塩酸ドキシサイクリン50mg連日投与(6)塩酸ミノサイ PV(2)1988 等症(4)なし クリン50mg隔日投与(7)12週間 テトラサイクリン (1)RTC (2)同時対照(parallel)(3)127-131(4)前向 き(5)① テトラサイクリン内服 +プラセボクリーム②ミノサ (1)Ozolins (1)649(2)11-42歳(3) イクリン内服 + プラセボクリーム ③プラセボ内服 +過酸化ベン M(2)2004 軽症~中等症(4)なし ゾイル外用④プラセボ内服 + 過酸化ベンゾイル+ エリスロマイ シン外用 (1)RTC (2)同時対照(parallel)(3)前向き(4)30 (1) (1)60(2)12-30歳(3)中 (5)塩酸テトラサイクリン1g連日投与3週間+500mg9 Katsambas A 等症(4)なし 週間+プラセボ外用(6)プラセボ内服+1%クリンダマイシン (2)1987 外用(7)12週間 (1)RTC (2)同時対照(parallel)(3)前向き(4)97- (1)Gratton (1)367(2)18-35歳(3) 105(5)塩酸テトラサイクリン250mg連日(6)1%クリン D(2)1982 中等症(4)なし ダマイシン外用,プラセボ(7)8週間 (1)RTC (2)同時対照(parallel)(3)前向き(4)不明 (1)Braathen (1)87(2)12-30歳(3)中 (5)塩酸テトラサイクリン500mg連日(6)1%クリンダマイ LR(2)1984 等症(4)なし シン外用,プラセボ(7)8週間 (1)RTC (2)同時対照(parallel)(3)前向き(4)30 (1)Blaney (1)75(2)11-25歳(3)中 (5)塩酸テトラサイクリン500連日投与+プラセボ外用(6) DJ(2)1976 等症(4)なし ①プラセボ内服+テトラサイクリン外用 ②プラセボ内服+プラ セボ外用(7)13週間 (1)RTC (2)同時対照(parallel)(3)前向き(4)不明 (1)Burton J (1)85(2)不明(3)軽症 (5)塩酸テトラサイクリン1g連日投与4週間+500mg4週 (2)1990 ~中等症(4)なし 間+プラセボ外用(6)塩酸テトラサイクリン1g連日投与4週 間+500mg4週間+テトラサイクリン外用(7)12週間 (1)RTC (2)同時対照(parallel)(3)前向き(4)不明 (1)Wong RC (1)68(2)15-35歳(3)中 (5)塩酸テトラサイクリン250g連日投与(6)①イブプロ (2)1984 等症(4)なし フェン+テトラサイクリン ② イブプロフェン+プラセボ ③ テ トラサイクリン+プラセボ ④プラセボ(7)8週間 エリスロマイシン (1)RTC(2)同時対照(3)前向き(4)100(5)エリスロ (1)Gammon (1)200(2)14-30歳(3) マイシン1g/日4週間+ 333mg/日 8週間内服 プラセボ WR(2)1986 中等症~重症(4)なし (6)テトラサイクリン 1g/日 4週間+ 500mg 8週間内服 プラセボ(7)12週間 ロキシスロマイシン (1)RTC (2)クロスオーバー(3)前向き(4)26と20 (1)Farahbas (1)46(2)13-44歳(3)中 (5)ロキシスロマイシン300mg/日4週間→プラセボ4週間(6) A(2)2004 等症(4)なし プラセボ4週間→ロキシスロマイシン300mg/日4週間(7)10週 間 (1)RXM痤 瘡 (1)53(2)20歳以上(3) 研究会(2) 中等症(4)なし 1997(3)日本 (1)橋本明彦 (1)45(2)不明(3)軽症 (2)1996 ~重症(4)なし (3)日本 (1)立花隆夫 (1)61(2)15-67歳(3)中 (2)1993 等症(4)なし (3)日本 (1)中村健一 (1)63(2)14-35歳(3)軽 (2)1993 症~重症(4)なし (3)日本 クラリスロマイシン (1)石川治 (1)45(2)不明(3)軽症 (2)1996 ~中等症(4)なし (3)日本 シプロフロキサシン (1)坪井良治 (1)54(2)不明(3)中等 (2)1999 症~重症(4)なし (3)日本 Ⅰ なし (1)皮疹数の減 少率(2)丘疹, 膿疱,結節の数の 変化と改善度評価 11 コメド,非炎症性皮疹,炎症性皮数が有意に減少。 3例(風邪様 症状),2例 皮疹 Ⅱ なし 皮疹減少率,全般 改善度 0 皮疹減少率①ドキシサイクリン なし Ⅱ 9 ①皮疹減少率 ドキシサイクリン66%,ミノサイクリン 68% 全般改善度 ドキシサイクリン 73%, ミノサイクリン 84% 1例(軽い腹 痛) Ⅱ なし ① 皮疹の数② 全般改善度 全般改善度 外用 外用 ① 皮疹の数② 重症度スコア ① 皮疹の数 ② 全般改善度 なし 皮疹数 外用 全般改善度 外用 全般改善度 イブプロ フェン 全般改善度 なし 各群25-40 ①55% ②70% ③78% ④66% 33% ②Placebo 22% ② Ⅱ ⑤63% 3例(皮疹, 下痢,胃腸症 状) Ⅱ 16 皮疹数の減少率,改善度ともに有意差なく同等の効果。 62 テトラサイクリン内服,クリンダマイシン外用ともにプラセボ群 なし よりも有意に減少,改善。 Ⅱ ①1%クリンダマイシン topical solution 72%減少 内服57%減少 ③プラセボ12%減少 Ⅱ ②TC なし テトラサイクリン内服,テトラサイクリン外用群はプラセボ群よ り有意に改善したが,両者に有意差なかった。 Ⅱ 4週後①Topicalテトラサイクリン + Oralテトラサイクリン 78% ②Placebo+Oralテトラサイクリン 50% 8週後①94% ②57% Ⅱ ① 56% ② 26% ③ 26% ④ 16% イブプロフェン+テトラ サイクリンはプラセボと比較して有意に併用効果ある。 Ⅱ (1)皮疹数,改 善度 22(9例 両群とも皮疹数の有意な減少。改善度エリスロマイシン77%, 7例嘔気,下 有害事象) テトラサイクリン89% 痢 Ⅱ なし (1)痤 瘡スコア 3(有害事 中間痤 瘡スコアは治療前後で両群に有意差あり。 象のため) (1)非RTC (2)記録対照(3)前向き(4)61(5)ロキシ スロマイシン300mg/日(6)比較対照なし(7)不明 なし (1)皮疹数,安 全性,有用性 6 (1)RTC (2)同時対照(3)前向き(4)21と24(5)ロキ シスロマイシン300mg/日(6)塩酸ミノサイクリン200mg/日 (7)4週間 なし (1)全般改善 度,有用度 (1)非RTC (2)記録対照(3)前向き(4)61(5)ロキシ スロマイシン300mg/日(6)比較対照なし(7)不明 なし (1)全般改善度 ,副作用,有用性 9 8 3例(倦怠 感,皮疹,下 痢) Ⅱ 有効以上74.5%, 有用性76.6% 手のしびれ1 例,頭痛1例 Ⅳ 不明 週間投与後の全般改善度では改善以上がRXM群66.6%,ミノサイク リン群58.3%と同程度の改善率 なし Ⅱ なし 最終全般改善度は,著明改善17例,改善22例,やや改善14例,不変8 例で改善率は86.9%であった。 軽度下痢,生 理不順 Ⅳ Ⅳ Ⅲ (1)非RTC (2)記録対照(3)前向き(4)61(5)ロキシ スロマイシン300mg/日(6)比較対照なし(7)4週間 なし (1)全般改善度 (2)副作用 1 全般改善度 66.1% 上腹部痛1 例,顔面のむ くみ1例 (1)非RTC (2)記録対照(3)前向き(4)19と24(5)ロ キシスロマイシン200mg/日(6)比較対照ロキシスロマイシン 400mg(7)4週間 なし (1)全般改善度 2 I群とII群の最終全般改善度は,改善以上では57.8%,79.2%であっ た。 なし (1)RTC(2)同時対照(3)前向き(4)30と24(5)シプ ロフロキサシン300mg(6)塩酸ミノサイクリン(7)4週間 なし 中等症 有効以上を示した症例は,CPFX群で30例中24例,ミノサイクリン群 嘔気1例,下 では24例中16例であった。 痢2例 Ⅲ 備考 文献 対象 トスフロキサシン (1)松本忠彦 (1)20(2)17-30歳(3)中 (2)1995 等症~重症(4)嚢腫性,集簇 (3)日本 性,膿疱性痤 瘡 ロメフロキサシン (1)早川律子 (1)20(2)不明(3)中等 (2)1992 症(4)なし (3)日本 スパルフロキサシン (1)高橋久(2) (1)30(2)不明(3)不明(4)なし 1991(3)28 (4)日本 レボフロキサシン (1)Kawada A (1)35(2)14-45歳(3)中等症 (2)2002(3)日 (4)なし 本 ファロペネム (1)戸田憲一 (1)11(2)16-46(3)中等 (2)2006 症(4)なし (3)日本 セフロキシム アキセチル (1)早川律子 (1)13(2)平均21.3(3) (2)1989 中等症以上(4)職業性痤 瘡, (3)日本 症候性痤 瘡 デザイン・介入 結果 有害事象 エビデンス レベル 併用療法 評価項目 脱落例数 (1)非RTC(2)記録対照(3)前向き(4)20(5)トシル 酸トシフロキサシン300mg(6)比較対照なし(7)4週間 なし 臨床効果,細菌学 的効果,安全性, 有用度 なし 有効率75% (50-91%),菌消失率93.1%,有用率70%,副作用なし。 なし Ⅳ (1)非RTC(2)記録対照(3)前向き(4)20(5)ロメフ ロキサシン600mg(6)比較対照なし(7)4週間 なし 皮疹数 不明 有意な減少。 なし Ⅳ (1)非RTC(2)記録対照(3)前向き(4)(5)スパルフロキサシン200mg(6)比較 対照なし(7)2週間 なし 有効率 0 毛嚢炎,膿疱性痤 瘡24/30例に有効。 胃部不快感,下 痢 Ⅳ (1)非RTC(2)記録対照(3)前向き(4)(5)レボフロキサシン400mg(6)比較対 照なし(7)4週間 なし (1)皮疹数(2)全般改 善度 0 (1)炎症性皮疹数(丘疹数と膿疱数の和)が,31.5個から2週後に18.4個,4週後 なし に11.7個に減少した。(2)全般改善度 2週後68.6%,4週後85.7%。 Ⅳ (1)非RTC(2)記録対照(3)前向き(4)11(5)ファロ ペネム600mg(6)比較対照なし(7)2週間 なし 全般改善度 0 1週後の改善は25%,2週後では77.8%。 なし Ⅳ (1)非RTC(2)記録対照(3)前向き(4)13(5)セフ ロキシム アキセチル(6)比較対照1500mg投与群(7)投与期 間原則4週間以上 なし 全般改善度 1 面皰,丘疹,膿疱の皮疹数が,有意に改善(P<0.01)。 なし Ⅲ 有効率50-91%,菌消失率93.1%,有用率70%,副作用なし。 なし Ⅳ CQ12:抗菌薬内服(炎症を伴わない嚢腫/硬結) (1)松本忠彦 (2)1995 (3)日本 (1)Thappa DM(2)1994 (1)20(2)17-30歳(3)中 等症~重症(4)なし (1)20(2)16-25歳(3) nodulocystic acne(4)なし (1)非RTC(2)記録対照(3)前向き(4)20(5)トシル 酸トシフロキサシン300mg(6)比較対照なし(7)4週間 (1)RTC(2)同時対照(3)前向き(4)10(5)テトラサ イクリン500mg(6)Gugulipid 25mg(7)3ヶ月 なし 臨床効果,細菌学 的効果,安全性, 有用度 なし 皮疹数の減少率 ①62.5% Ⅲ ②68% CQ13-14:漢方 (1)大熊守也 (2)1995 (3) 日本 (1)橋本喜夫 (2)1994(4) 日本 (1)堀口裕治 (2)1997(3) 日本 (1)武市牧子 (2)2005(3) 日本 クリンダマ イシンロー ション,1% 硫酸ゲンタ マイシン含 有吉草酸ベ タメサゾン ローショ (1)非RTC(2)同時対照(parallel)(3)前向き(4)各群 ン,あるい 例数不明 (5)(6)外用療法と黄連解毒湯・十味敗毒湯,外用なし はイオウカ (1)268(2)成人(3)尋常 で黄連解毒湯・十味敗毒湯,黄連解毒湯のみ,十味敗毒湯のみ,外 ンフルロー 性痤 瘡(4)不明 用療法のみの群を比較(7)4週間 ション外用 (1)皮疹消失度 なし (1)有用性(4段階 評価)と全般改善 度(5段階評価) (1)非RTC(2)同時対照(parallel)(3)前向き(4)各群 (2)発赤,脂漏,膿 (1)139(2)年齢(3)尋常 例数不明 (5)(6)荊芥連翹湯及びテトラサイクリン系抗菌薬併用 疱,丘疹,面皰の改 性痤 瘡(4)不明 とテトラサイクリン系抗菌薬のみの群を比較(7)8週間 不明 善度 なし (1)28(2)成人(3)尋常性痤 瘡 (4)不明 (1)非RCT(2)前後比較(3)前向き(5)(6)ニューキノロン 系抗菌外用薬と清上防風湯を併用して前後比較(7)8週間 なし (1)症例集積研究(5)(6)十味敗毒湯,荊芥連翹湯,黄連解毒湯, (1)121(2)成人(3)尋常性痤 瘡 清上防風湯,桂枝茯苓丸の5剤を単剤もしくは2剤併用で投与 (4)不明 (7)8週間以上 なし (1)139(2)成人女性(3)(4)尋 常性痤 瘡(炎症発赤著明で化膿を (1)林知恵子 伴う高度群,化膿なく炎症のみの (2)2006(3) 中等症群,月経前後にのみ痤 瘡を (1)症例集積研究(5)(6)高度群には温清飲を中心に時に十味敗 日本 認める軽症群) 毒湯を追加,中等度群と軽度群には温経湯(7)2-3年間 不明 症例2には (1)手塚匡哉 (1)2(2)25歳と17歳女性(3)尋 クラリスロ (2)2005(3) 常性痤 瘡(4)漢方的に気滞血瘀 の マイシン内 日本 特徴を有す (1)症例報告(5)(6)桂枝茯苓丸投与(7)4-6週間程度 服併用 (1)手塚匡哉 (1)2(2)20歳と35歳女性(3)尋 (2)2006(3) 常性痤 瘡(4)漢方的に気滞血瘀 と (1)症例報告(5)(6)桂枝茯苓丸と竜胆瀉肝湯併用(7)4-6週 日本 肝胆湿熱の特徴を有す 間程度 なし (1)2(2)24歳と31歳女性(3)尋 常性痤 瘡(4)漢方的に気滞血瘀 の (1)手塚匡哉 特徴(月経異常など)と脾胃湿 (2)2005(3) 熱の特徴(皮脂分泌増多や手掌多 (1)症例報告(5)(6)桂枝茯苓丸と茵蔯蒿湯併用(7)4-6週間 日本 汗症など) 程度 なし III 黄連解毒湯と十味敗毒湯を外用療法に併用すると他群に比較して 面皰,丘疹,膿疱の減少と消失に有効であった。 なし III 荊芥子連翹湯と抗菌薬併用群で有効性が高かった。特に膿疱,発 赤に対して有効性が高かった。 なし (1)全般改善度 なし (1)全般改善度 なし 有効率は軽症群で80%,中等症群で73.3%, 重症例群で62.5%であっ た。 なし 改善以上となった率は十味敗毒湯80.8%, 荊芥連翹湯75.0%, 黄連 解毒湯87.5%, 清上防風湯61.6%, 桂枝茯苓丸80%で,全処方合計で は76.8%。 なし (1)全般改善度 なし 著効あるいは有効のものは高度群で51%,中等度群で17.8%, 軽度 群で11.8%。やや有効以上であれば高度群で100%,中等度群で 97.3%, 軽度群で58.8%。 不明 (1)皮疹の程度 なし 皮疹は改善。 なし (1)皮疹の程度 なし 皮疹は改善。 なし (1)皮疹の程度 なし 皮疹は改善。 なし III V V V V V 備考 浅在性皮膚化膿性疾患157例 の臨床試験の一部 750mgと1500mgの比較試験 の通常投与量である750mh を採用した 文献 対象 デザイン・介入 併用療法 評価項目 脱落例数 結果 有害事象 エビデンス レベル 備考 CQ15:ステロイド外用 (1)Hull SM(2)1989. (1)Wexler L.(2)1968 (1)Wexler L.(2)1968 (1)11(4M, 7F)(2)15-25 (3)moderate acne 内服治療 が1ヶ月待てる重症度,Leeds分 類で1-2(5)4-6週間治療を受 けていない患者 (1)48(2)不明(3)不明 (1)左右比較試験RCT (2)同時対照(parallel)(3)前向 き(4)11例(左右比較)(5)Clobetasol propionate を毎晩 睡眠の2〜 3時間前に外用する。3週間。外用部位は頬,左右混じ らないように工夫している。(6)対照薬はプラセボ(基剤) (8)4から6週間無治療の患者を選んで,3週間の試験。 なし (1)24例ずつRTC(2)同時対照と変形クロスオーバーの組み 合わせ(3)前向き(4)24例ずつ(5)Neo-medorol acne lotion (methylpredonisolone acetate, 2.5mg; neomycin sulfate, 2.5mg; aluminium cholorhydraxide complex, 100mg, surfur 50mg), 11日1回4週間その後実薬の継続合計16週間 (6)基剤,1日1回4週間その後実薬に変更合計16週関で終了 (7)4週+12週(合計16週) なし (1)48(2)不明(3)不明 (1)24例ずつRTC(2)同時対照と変形クロスオーバーの組み 合わせ(3)前向き(4)24例ずつ(5)Neo-medorol acne lotion (methylpredonisolone acetate, 2.5mg; neomycin sulfate, 2.5mg; aluminium cholorhydraxide complex, 100mg, surfur 50mg), 1日1回4週間その後実薬の継続合計16週間 (6)partical formulation(2.5mg; aluminium cholorhydraxide complex, 100mg, surfur 50mg),1日1回4週 間その後実薬に変更合計16週関で終了(7)4週+12週(合計1 6週) なし (1)医師の評価 と患者の評価 (1)RTC (2)同時対照(parallel)(3)前向き(4)各群 の例数(5)hydrocortisone acetate含有"Actinac"4日間1日2 回,その後3ヶ月間1日1回(6)hydrocortisone acetateを除い た"Actinac"4日間1日2回,その後3ヶ月間1日1回(7)合計3ヶ 月 なし ステロイド非 含有群で1名 (1)スコアを面 に乾燥感とひ 皰1,丘疹2,膿疱 6名(5名 りひり感あ 3,嚢腫4として症 不来院:3名 り。脱落して 状の重症な3インチ ステロイド いる。人数不 平方の皮疹数を乗 含有群,2 明だが,最初 じた和をlesion 名ステロイ の受診の際に count scoreとし, ド非含有 butoxyethyl開始時からの減少 群,1名乾燥 lesion count scoreは1ヶ月後には実薬群で減少率は大きかった nicotinateに 率を比較した 感とひりひ が,統計学的有意差なし。3ヶ月後では差がなかった。3ヶ月で よると思われ (2)医師と患者 り感による はいずれの場合にも8割の皮疹が消失していることから,ステロ る刺激感を訴 による総合評価 脱落) イドではなくその他の成分が有効と考えられる。 えていた (1)50(29f,15m)(2)年齢 (1)Guerrier (3)軽度から中等度(4)1ヶ CJ. Thornton 月以上抗菌薬を内服していない EJ.(2)1980 患者 (1)炎症性皮疹 の数 (1)医師の評価 と患者の評価 なし Clobetasol使用でも基剤でも治療後の皮疹数に統計学的有意差は なかった。その内容は1例で両者改善,5例でclobetazsol使用側 で改善,2例でステロイド側で悪化,3例で左右とも軽度の変化 のみを示していた。結論として,moderate severity の痤 瘡で は,明らかな臨床的利益はなかった。 記載なし なし 実薬で,次の 試験と合わせ 実薬は4週の時点で,基剤よりも医師の評価も患者評価も優れて て3人に皮膚 いた。基剤投与患者の評価は実薬に変えることで改善した。 の乾燥あり Ⅱ 併用療法なし Ⅱ Ⅱ なし 実薬で,前の 実薬とステロイドとネオマイシンを取り除いたコントロールとの 試験と合わせ 間に差はなかった。コントロール群を全てを含む実薬に変更する て4人に皮膚 ことで,医師評価も患者評価は改善した。 の乾燥あり (参考)引用文献として 134人で有効(P=0.02)と するEreauxの論文や62人 のModified Placebo (aluminum chlorhydroxide complex とsulfurを含む)との比 較で有意差がないとする Woolasの文献を引いてい る Ⅱ CQ16:ステロイド内服(該当論文なし) CQ17:ステロイド局所注射(嚢腫,結節) (1)Parish LC(2)1967 (1)Levin RM (2)1983*重 複 (1)Levin RM (2)1983*重 複 (1) 非RTC(2)同時対照(parallel)(3)前向き(4)234 部位(5)背部,前胸部,上肢,顔面の皮疹にIndia inkで印を 付け大きさを測り,注射器で適量あるいはDermo-Jetで0.1ccの (1)25 (18m, 7f) 234 lesion triamcinolone diacetate 25mg/ml, or betamethasone acetate(2)16-25 (ave. 19)(3) alcohol 6mg/ml,これらの溶媒あるいは,蒸留水を注射し,3か (4) ら6週以上毎週大きさを測定した。 記載なし 試験開始前 (1)9(M8,F1)(2)16−35 (1)RTC (2)同時対照(parallel)(3)前向き(4)9人73 の治療方法 (3)cystic acne(4)過酸化 皮疹(各濃度21-22,生食9)(5)triamcinoloneを嚢腫径のcmの は変えてい ベンゾイルと内服テトラサイク 10分の1mlを局所に注射.濃度は0.63mg/ml, 1.25mg/ml, ない,詳細 リン8週間施術後 2.5mg/mlの3通り(6)生食(7)3,7days,4weeksで観察 不明 試験開始前 (1)8(2)16−35(3) (1)非RTC(2)同時対照(parallel)(3)前向き(4)7人 の治療方法 cystic acne(4)過酸化ベンゾ 57皮疹(5)嚢腫径のcmの10分の1mlを局所に注射.実際の方法 は変えてい イルと内服テトラサイクリン8週 (betamethasone 3.0mg/ml (24皮疹). 1.5mg/ml(16皮疹), ない,詳細 間施術後 0.75mg ml(8皮疹) (6)生食(9皮疹)(7)1週後と1ヶ月後 不明 (1)病変の大き さの変化 不明 蒸留水や基剤でも10%〜 29%の50%以上の部分的改善を見たが, 実薬では1週間でbetamethasone では81%の100%改善, triamcinoloneで69%の100%改善を認めた。Derma-jetを使わず 局所注射した方が有効率が高かった。 不明 (1)4段階評価 (悪化0,軽度改 善1,著明改善 2,治癒3 不明 3d,7dの時点で平均スコアは2.4-2.6に対し生食0.9-1.3であっ た。統計学的な処理については詳細が記載されておらず不明。 不明 (1)4段階評価 (悪化0,軽度改 善1,著明改善 2,治癒3 不明 1週間後,生食0.89,0.75mg/mlベタメサゾン0.75, 1.5mg/ml1.25,3.0mg/ml1.04であった。1ヶ月後ではいずれも治 癒していた。生食と統計学的有意差はない。 不明 Ⅲ Ⅱ Ⅳ CQ18:ステロイド局所注射(肥厚性瘢痕) (1)男性7名,女性4名 (1)Layton (2)男性:平均年齢20歳, AM 女性:平均年齢28歳 (3) (2)1994 痤 瘡ケロイド(4)既往歴にケ ロイド治療無し (1)比較試験(2)同時対照(3)前向き(4)11 (5)triamcinolone(1mg/1ml皮内注射)(6)cryosurgery (7)16週間 なし (1)他覚所見 (直径,深さな ど) なし 顔面,胸部より背部のケロイドに対してtriamcinolone, cryosurgeryともに有効。血管が多く,血流量が豊富なケロイド には特にcryosurgeryが有効。 なし Ⅲ RCTではないが,比較試験 の形態を取っている。評 価方法がわかりにくい。 統計処理はされていない が,平均スコアの明らか な改善が見られておりエ ビデンスレベルはⅡと判 断した。 多くの患者が triamcinoloneの局注を経 験しており,ベータメサ ゾンよりもtriamcinolone を評価していた。 文献 対象 デザイン・介入 併用療法 評価項目 脱落例数 結果 有害事象 エビデンス レベル 備考 CQ19:DDS (1)宮地良樹 (1)7(M6,F1)(2)14-33 (2)1985 (3)抗生剤が無効な集簇性痤 (4)日本 瘡 (1) Prendiville (1)40M(2)16-31(3)結 JS.(2)1988 節/嚢腫型の男性痤 瘡患者 (1)オープン試験(2)(3) 後向き(4)合計7(5)DDS 50-75mg, 6−8週間内服(6)なし(7)6−8週間 (1)全体の改善 度(評価基準な し) (1)RTC (2)single blind parallel study(3)前向き (4)各群20人(5)100mg/day dapsone(6)40mg 13-cis retinoic acid(7)16週間内服し,20週まで経過をみた。 (1)皮疹数(膿 疱,結節,嚢腫) (2)写真判定 (10段階スケー ル),患者自身の VAS, 皮脂分泌 量,表在細菌 (1)484(274M, 210F)(2) 10-28(3)Wand and Tisserand の分類でGrade II 269 (M142, (1)オープン試験(5)DDS 100mg 週3回3ヶ月間投与(7) (1)Kaminsky F127), III 184(M109, F75), その後およそ80%の改善が見られたら200mg/週,100mg/週に次第 CA(2)1974 IV 31 (M23, F8) に減量。 (1)不明,二重盲検試験(2)同時対照(parallel)(3)前 (1)Ross CM (1)46(2)12-26(3)記載 向き(4)23例づつ(5)DDS投与量,期間は不明(6)プラセ (2)1961 なし ボ(7)不明 (1)不明 併用療法に (1)主治医の主 制限なし 観的評価 1名(胃腸症 状のため) 各群3人が 脱落 DDS では1例で hypersensit ivity reaction , 1例で効果 不満足その 他は全て不 来院。 2名で著効,3名で有効,1名無効,1名脱落。 胃腸症状で1 例脱落 Ⅰ7人づつが試験を終了。顔面,頸部の皮疹数はいずれの場合に も減少したが,13-cis retinoic acidの方が有意に減少してい た。胸部,背部では13cis-retinoic acidのみで有意な改善を見 た。その他の項目でも,おおよそ同様の傾向が見られた。 DDS では1例 で hypersensiti vity reaction 484人中3人で 頭痛2人,そ う痒1人の副 484人中3人 作用で,脱 で頭痛2 grade Ⅱ(丘疹と少数の膿疱が主体)およびgrade Ⅲ(丘疹膿疱 落。貧血が2 人,そう痒1 主体で時に嚢腫を混じる)では改善は確認できなかった。grade 人あったが, 人の副作用 Ⅳ(嚢腫性痤 瘡もしくは集簇性痤 瘡)では,3から4ヶ月の内服 減量し継続で で,脱落。 で著明に改善。 きた。 DDS投与群で 23人の実薬群のうち9人で著効,3人で有効,9人は無効,2人 は6例に,プ は脱落,プラセボでは3人が著効,2人が有効,18人が無効。 ラセボで3例 統計学的に副作用の頻度も高かったが,有効性も認められた に副作用が 詳細不明 (P<0.05)。 あった。 Ⅴ Ⅲ レチノイン酸との比較で はエビデンスレベルⅡだ が,DDSの前後比較のみを 参照したのでエビデンス レベルⅢとした。 Ⅲ Ⅲ 盲検化の方法の記載有 り。併用療法制限せず。 CQ20:NSAID外用 (1)アクネ研究 班(2)1985(3)1 (1)110(2)10-49(3)記 (4)日本 載なし(4)なし (1)12(2)10-39(平均 25.7)(3)面皰と丘疹を主体と する軽症から中等症(4)抗生 (1)早川律子 物質,ホルモン剤の投与が不要 (2)1985(3)日本 な症例 (1)早川律子 (2)1985(3)日本 (1)RCT(2)同時対照(3)前向き(4)実薬53プラセボ57 ビタミン (5)1日2〜 3回石鹸洗顔後適量を塗布。4週間後に判定(6) B2,B6内服 基剤対照(7)追跡期間なし を可とした ビタミン B2,6,消 (1)非RCT(オープン試験)(2)非対照試験(3)前向き(4)1 化剤,緩下 2例(5)5%イブプロフェンピコノールクリームを全顔に1日 剤などは制 2回洗顔後に外用した(6)なし(7)なし 限せず (1)20(2)10−39(平均22,2) ビタミン (1)RCT(2)左右比較(同時対照)(3)前向き(4)20例 (3)面皰と丘疹を主体とする軽 B2,6,消 (5)5%イブプロフェンピコノールクリームと基剤を盲検下で 症から中等症(4)左右同程度 化剤,緩下 左右に塗り分けた。1日2回洗顔後適量を塗布,8週間を目標に の症状をもつ。抗生物質,ホル 剤などは制 最低4週間継続した(6)基剤対照(7)追跡期間なし モン剤の投与が不要な症例 限せず。 症状に応じ (1)非RCT(2)左右比較(同時対照)(3)前向き(4)39例 てミノサイ (1)39(2)10−33平均 (F31,M8)(5)5%イブプロフェンピコノールクリームと (1)出口英樹 クリン,十 18.7(3)記載なし(4)左右対称 ナジフロキサシンクリームを左右に塗り分けた。1日2回外用 (2)2001(3)日本 味敗毒湯, に皮疹を有する し,2から4週後に比較の判定をした。(6)ナジフロキサシン ビタミンC クリーム(7)追跡期間なし を併用 (1)有用性 (2)全般改善 度,各種皮膚所見 の改善度 22例(実 薬群治癒1 例,副作用 1例,不来 院2例,ビ ブラマイシ ン併用1 例,プラセ ボ群治癒3 例,無効5 例,不来院9 例)除外8 例(初診日 以降来院せ ず4例,対 照疾患外1 例,ハイチ オールの併 用3例) イブプロフェン群では有用率66%,プラセボ群33%で有意にイブ プロフェン群で優れていた。また,イブプロフェン群では,全般 改善度でwilcoxonの2標本検定により3週以降に有意差を持って 軽快が見られた。 (Ⅰ)皮疹数の変 化,全般改善度 (2)皮表脂質量 丘疹,膿疱は2週間で有意に減少,面皰は4週で有意に減少,全 般会全土は,かなり改善3例,やや改善2例。皮表脂質量に差は なかった。 かゆみ1例 Ⅴ 2例観察不 十分 1例で左右 両方にかゆ みが出現し たため1週 間後に外用 中止 イブプロフェンピコノール群では,基剤にくらべ有意な有用性を 1例にかゆみ 示した。皮表脂質量測定結果には差はなかった。 Ⅱ 記載なし イブプロフェ ンピコノール イブプロフェンクリームが20例で著効,ナジフロキサシンは9 著効例6例, 例で著効,差がないものが9例,両者無効が1例であった。 ナジフロキサ シン著効例5 例 Ⅵ (1)有用性 (2)全般改善 度,皮表脂質量 (1)膿疱,丘疹 の個数と炎症の程 度に基づく全般改 善度の左右比較 (皮疹の残存が2 倍程度になれば差 有りと判定) Ⅱ 刺激感が実薬 で2例,プラ セボで1例に 見られた。 ランダム化は無作為割り 付け。盲検化の方法は外 観での識別性不能とし た。 オープン試験 コントローラーによる割 り付け。盲検化は外観で の識別性不能とした。結 果としてビタミンB2, B5,C,スクラルファー ト,マレイン酸トリメプ チンを併用。 ミノサイクリン,十味敗 毒湯,ビタミンCを併用, 評価方法,盲検性など 様々な問題有り 文献 対象 デザイン・介入 併用療法 評価項目 脱落例数 結果 有害事象 エビデンス レベル 備考 CQ21:NSAID内服 (1)Wong RC. (2)1984 (1)68(2)15−35才 (3)10個から50個までの 炎症性皮疹を持ち硬結や嚢腫が 5個以下の痤 瘡患者 (1)RCT:600mgのIbuprofen と250mgのTetracyclineとそれぞれ のプラセボを取り混ぜて4群で比較(2)同時対照(3)前向き (4)合計68(各群14から16名)(5)600mgのIbuprofen と250mgのTetracyclineとそれぞれのプラセボを一日4回内服8 週間継続する。4群で比較。(Ⅵ)(6)600mgのIbuprofen と 250mgのTetracyclineとそれぞれのプラセボを取り混ぜて4群で 比較(7)8週間 (1)皮疹数 主として中等 度から軽度の 胃腸障害を4 1%(イブプ ロフェンとテ トラサイクリ ン群),2 3人が試験 0%(イブプ 以外の理由 ロフェン で脱落。副 群),38% 作用で全体 (テトラサイ で5人が脱落 クリン群), (プラセボ 12%プラセ Ⅰ,イブプ ボ群で見られ ロフェンの イブプロフェンとテトラサイクリン(56%),イブプロフェン た。副作用に みⅠ,テト (26%)テトラサイクリン(26%)プラセボ(11%)の改 よる脱落例は ラサイクリ 善を見た。前後比較では実薬の含まれている3つともに効果が 合計5人。検 ンのみ1, あったが,統計的にプラセボと有意差があったのは両者併用した 査値異常はな 両者2人) 群であった。 い。 II ランダム化は乱数表使 用。盲検化の方法は詳細 には不明。併用療法や化 粧品などは指定あり。数 人の患者がアスピリンを 3錠飲んだ。 CQ22:経口避妊薬 (1)Arowojolu AO et al (2)2004 (1)相澤浩 (2)2006 (1)相澤浩 (2)2003 Systematic review (1)1(2)19F(3)エント リー時における重症度(4)ミ ノサイクリン100mg,ジオール, メサルモンF無効 (1)症例報告(5)オーソ21,3ヶ月投与 (1)1(2)25F (1)症例報告(5)シンフェーズT28,6ヶ月投与 3種類の経口避妊薬で5つのプラセボ対照試験が行われ,9種類 の経口避妊薬で他の経口避妊薬と比較した14の試験が行われてい る。また,抗生物質との比較試験も1つある。経口避妊薬は,プ ラセボと比較して,痤 瘡の皮疹数,重症度,自己評価を改善し た。様々なプロゲスチンのタイプや用量を含む経口避妊薬を比較 した場合の差異はあまり明確ではない。Chlormadinone acetate やcyproterone acetateを含む経口避妊薬はlevonorgestrelより も有効であったが,この減少は限られた結果に基づいている。 Cyproterone acetateを含む経口避妊薬は desogrestrelを含むも のよりも良い可能性があるが,これらを比較した3つの研究は相 反する結果であった。同様にlevonorgesrrel はdesogestrelより も少し良いとする結果と変わらないとする結果がある。 (1)グローバル 評価 (1)グローバル 評価 Ⅰ Ⅴ 3ヶ月で丘疹,膿疱は改善し始めた。その後,多毛が改善しない ため婦人科を受診し,PCOSと診断された。 Ⅴ 丘疹膿疱の著明な消失。 CQ23:プレグナンジオール (1)吉田良 和,田口毅 (2)1959 (3) (1)65(F56,M9)(2) 日本 (3)不明 (1)平山芳 (2)1959 (3)日本 (1)24人(2)(3)不明 (1)症例集積(4,5)男女ともジオール1日2〜 6γを1日 Ⅰ〜 3回に分けて内服 (1)全般改善度 (1)症状の全般 的な改善。1ヶ月 以内に新生疹がな くなったものを著 効2ヶ月までに皮 疹数が半数以上減 少したものを有効 とし,多少軽快し 赤外線照 たものをやや有 射,1%イ 効,変化なきもの (1)症例集積(4,5)1日2γを10日間内服し,無効なも オウロー や増悪例を無効と のには4γを早朝空腹時に内服, ション する。 V 不明 35%に著効ないし有効,40%にやや有効。, なし V 不明 著効8.3%有効33,3%, やや有効25%, 無効33,3%。 記載なし 3種類の経口避妊薬で, プラセボと比較して顔面 の炎症性および非炎症性 皮疹の数を減らす効果が 見られた。経口避妊薬の 種類により多少の効果の 違いが見られた。他の治 療との比較はデータが少 ないため不明である。 文献 対象 デザイン・介入 併用療法 評価項目 脱落例数 結果 有害事象 エビデンス レベル CQ24:スピロノラクトン (1)Sato K et al(2) 2006 (4)日 (1)139(116F, 23M)(2)15- (1)症例集積(3)不明(5)spironolactone200mgより開 本 46(平均26)(3)尋常性痤 瘡 始,8週後から4週おきに50mgずつ減量(7)20w (1)総数(2)年齢(3)エ (1)Farwuhar ントリー時における重症度 C et al(2) (4)その他ベースラインの 2003 データ (1)systematic review (1)Tan J. (2)2004 (1)写真による 重症度評価,全般 改善度評価 75例脱落 (男性は全 て脱落) 34人(53.1%)で著効,30人(46.9%)で有効,その他は脱落。 生理不順116 例(無月経5 例。重度の月 経不順4例は 月経誘発のた めの注射)。 52例の女性 脱落例は生理 不順と通院困 難によるも の。頻度不明 の頻尿,女性 化乳房3例。 薬疹3例。下 腿の浮腫3 例。 Ⅴ I 著者の結論として,痤 瘡の治療に対する効果は小規模の試験しか ないため結論づけられない。 3つのプラセボ対照RCTがある。21人の女性を対象とした12 週間のプラセボ対照クロスオーバー DB-RCT試験での著明な主観 的評価の改善,炎症性皮疹数,写真評価の改善をみとめた。また 36人の男女を用いた12週間のプラセボ対照RCTでは100mg200mgが効果的。50mg12週間連日内服するプラセボ対照RCTで は,プラセボと比べ24/34(プラセボは2/31)の改善を みた。被験者数の少ない限られた試験から明確には言えないがレ ベルBのエビデンスと評価する。 (1)3つのプラセボ対照RCTを 解析 (2)systematic review I CQ25:ビタミン薬外用 (1)橋本幸子 (1)3 (2)2 (2)2003 1,24,32(3)軽症から (3)日本 中等症の痤 瘡 (1)二重盲検左右比較試験 (2)同時対象 (3)前向き (4)3 (5)10%アスコルビン酸グルコシド配合ローション,1回5分間 原則なし のイオントフォレーシスで導入,1週間に1回 (6)溶解液 (7)計5週間5回施行 (1)二重盲検左右比較試験 (2)同時対象(3)前向き (4)20(5)10%テトラヘ 原則なし キシルデカン酸アスコルビル配合ローション,1日2回朝夕,洗 顔後半顔使用 (6)溶解液(7)4週間 (1)皮疹数,大 きさ なし 10%アスコルビン酸グルコシド配合ローション導入側で紅色丘 疹,膿疱の数,大きさの有意な改善 なし Ⅴ (1)皮疹数,色 素沈着は重症度の スコア化 なし 10%テトラヘキシルデカン酸アスコルビル配合ローションを使用 した群では試験開始時と比較して試験終了時では皮疹数の減少 が,また色素沈着についてはスコアの有意な減少が認められた なし Ⅲ (1)治療前症 状,治療期間,症 状の変動などを勘 案して,著効,有 効,やや有効,無 効,悪化で評価 なし 著効1例,有効9例,無効4例。 1名(軽度の 皮膚乾燥と つっぱりり 感) Ⅴ なし (1)visual analogue scaleに よる自覚所見およ び写真などによる 他覚所見 なし soft and distensible scarsに対して有効。 なし Ⅲ (1)オープン,前後比較試験 (3)前向き(4)30 (5)メタルハライドランプ(Clear LightTM,407-420nm)照射 なし 率90mW/cm2,週2回,計10回照射(7)10回照射後 (1)面皰,丘 疹,膿疱の数,医 師による全般改善 度 なし 全般改善度で改善以上77%,軽度から中等度の炎症性痤 瘡に有 2例に乾燥 効。 なし (1)面皰,丘 疹,膿疱の数,医 師による全般改善 度 なし 治療1,3,6 ヶ月後,ALA-PDT 施行部位ではbaselineと比較して 炎症性皮疹の減少が各々27.6%,37.9%,41.9%認められた。一 方,無治療群では 8.0%,14.7%,15.4%であり,ALA-PDT施行群で 炎症性の皮疹の有意な減少が認められた。 治療中に刺激 感などが,ま た治療後に紅 斑,浮腫など が認められる が,様子観察 にていずれも 軽快 Ⅲ (1)RCT (2)同時対象 (3)前向き(4)30(5)半顔 (1)Horfelt (1)30 (2)15− にMAL (methyl aミノサイクリンlaevulinate)160 mg g-1,もう C 28 (3)中等症から重症の なし 一方にplacebo cream塗布3時間後に照射(6)placebo cream (2)2006 痤 瘡 (7)治療終了後4および10週後 (1)面皰,丘 疹,膿疱の数,医 師による全般改善 度(2)痛みを visual analogue scale 紅斑および 疼痛のため 3例 placebo cream塗布群と比較して,MAL 塗布群では炎症性皮疹の 有意な減少が認められた(median reduction 54% vs 20%, P = 0.0006)。 疼痛,紅斑, 浮腫 Ⅱ (1)香西伸彦 (1)20(2)21−23 (2)2005 (3)軽症の痤 瘡 (3)日本 CQ26:ビタミン薬内服(該当文献無し) CQ27:イオウ製剤外用 (1)前後比較試験 (1)中越皮膚 (3)前向き (4)14 科医会 (1)14 (2)13− (5)イオウ・カンフルローション(クンメルフェルド液)を1 なし (2)1989 34 (3)記載無し 日2回,朝は上清液,晩は良く振った後,懸濁液を塗布 (4)日本 (7)1−8週間 CQ28:トラニラスト(該当文献無し) CQ29:充填剤注射(コラーゲン,ヒアルロン酸など) (1)無処置部位との比較試験 (1) (1)18 (2)12− (2)同時対象 (3)前向き(4)18 Varnavides CK 37 (3)痤 瘡瘢痕(全ての (5)purified bovine dermal collagen (Zyderm I)の局所注 (2)1987 タイプ) 射,原則4週間に1回 (6)無治療 (7)24週間 CQ30:光線療法 (1)Kawada A (1)男性:3例,女性:27 (2)2002 例(2)平均年齢22歳(3) (3)日本 軽症から中等症の痤 瘡 (1)左右比較試験 (2)同時対象 (1)Hong SB (1)8 (2)18− (3)前向き (4)8 (2)2005 24 (3)軽症から中等症の (5) 半顔に20%ALA(aミノサイクリンlevulinic acid)塗 (3)韓国 痤 瘡 布4時間後にred light照射(630+/-63 nm, 18 J/cm2) (6)無治療 (7)6ヶ月 Ⅳ 備考 文献 対象 デザイン・介入 併用療法 評価項目 脱落例数 結果 有害事象 エビデンス レベル 備考 CQ31:レーザー治療 (1)RCT (2)同時対象 (3)前向き (4)20 (1)20 (2)19− (1)Wang SQ (5)半顔にmicrodermabrasion と 1,450 nm diode laserの併 59 (3)中等症から重症の (2)2006 用療法,もう一方に 1,450 nm ldiode laser 治療単独 痤 瘡 (6)1,450 nm ldiode laser (7)治療終了後6および12週後 (1)二重盲検左右比較試験 (2)同時対象 (3)前向き (4)20 (1)Jih MH (1)20 (2)18− (5)1,450 nm diode laserで3−4週間に1回,計3回治療, (2)2006 39 (3)炎症性痤 瘡 14 もしくは16 J/cm2を左半顔もしくは右半顔に照射 (7)治療終了後12ヶ月 (1)RCT (2)同時対象 (1)Orringer (3)前向き (4)46 (1)46 (2)平均 JS (2)20 (5)1320-nm novel Nd:YAG laser(CoolTouch II),半顔に 23.9(3)記載無し 06 経時的に3回照射,半顔は無治療コントロール (7)14週 間 (1)オープン,前後比較試験 (1)Bellew (3)前向き (4)29 (1)29 (2)21− SG (5)1320-nm novel Nd:YAG laser(CoolTouch II)を2−17 72 (3)瘢痕 (2)2005 回,平均5,5回照射 (7)治療終了 後1−27ヶ月,平均10.4ヶ月 (1)オープン,前後比較試験 (3)前向き (4)9 (1)Lipper (5) short-pulsed 1,064-nm Nd:YAG (laser parameters 14 GM(2)200 (1)10 (3)瘢痕 J/cm2, 0.3 milliseconds, 5-mm spot size, 7-Hz pulse rate, 6 2,000 pulses per side of face) (7)治療終了後 (1)Yaghmai D (2)2 (1)12 005 (3)瘢痕 なし (1)面皰,丘 疹,膿疱の数 1例 1,450 nm laser 治療単独では53.5%,microdermabrasion と 疼痛,紅斑, 1,450 nm laserの併用療法では55.6%の皮疹の改善が認めれた。 浮腫,色素沈 どちらの治療法も炎症性痤 瘡に対して有効であったが,両者で効 着 果に違いはなかった。 Ⅱ なし (1)炎症性皮疹 の数,医師による 瘢痕改善度(5段 階) なし 炎症性皮疹に対して有効であったが,14 と16 J/cm2で効果に違 いはなかった。計3回治療後,1年間皮疹の改善は持続してい た。また瘢痕にも効果を認めた。 疼痛,紅斑, 浮腫 Ⅲ なし (1)面皰,丘 疹,膿疱,膿腫の 数,医師による全 般改善度 9例 面皰に有効,赤色丘疹および膿疱には無効。 疼痛 Ⅱ なし (1)目視による 5段階評価(2) 患者による評価 なし 全ての症例で瘢痕の改善が認められた。 紅斑,浮腫 Ⅳ なし (1)目視による 評価(scar severity score) (2)患者による 評価 1例 全ての症例で瘢痕の改善が認められた。 なし Ⅳ (1)二重盲検左右比較試験 (2)同時対象 (3)前向き (4)12 (5)Lyra 1,064 nm Nd:YAG laserとCoolTouch II 1320-nm なし Nd:YAG laserを顔面または背部でハーフサイド,1ヶ月に1回, 計3回施行 (7)治療終了後6ヶ月後に判定 (1)目視による 評価 なし どちらのレーザーも瘢痕に有効であり,効果に有意な差は認めら 紅斑,浮腫 れなかった。 Ⅳ なし 単独治療42例中,著効が23例(54.8%),有効以上では 熱傷,色素沈 36例(85.7%)であり,赤色丘疹などの炎症性皮疹に有効 着,皮膚潰瘍 であった。また面皰にも効果を認めた。 Ⅳ なし 自己評価による有効率は83%,医師判定では82% なし Ⅳ (1)他覚所見 (直径,深さな ど) なし 顔面,胸部より背部のケロイドに対してtriamcinolone, cryosurgeryともに有効。血管が多く,血流量が豊富なケロイド には特にcryosurgeryが有効。 なし Ⅲ (1)既治療部か らの痤 瘡の再発の 有無,未治療部か らの新生の有無 なし 治療後,全例で面皰,赤色丘疹,膿疱,結節などが軽快・消失, 治療後1年の時点で,既治療部からの再発も極めて少なく,再治 なし 療を必要とした症例は24例中10例 Ⅳ (1)前後比較試験 (1)宮田成章 (3)前向き (4)59 (1)59 (2)18− (2)2004 (5)1450nm波長ダイオードレーザー(スムースビームTM),1 42 (3)難治性痤 瘡 (3)日本 1−13J/cm2,3−4週間に1回,2−7回実施 (7)治療終了時 (1)前後比較試験 (1)利根川均 (3)前向き (4)87 (1)87 (2)15− (2)2004 (5)810nm波長ダイオードレーザー(BuffLightTM),0. 36 (3)記載無し (4)日本 4−0.5J,1〜 2週間おきに8回まで照射 (7)治療終了後1−2週間後 一部の症例 で併用薬と (1)医師による してレチノ 全般改善度(4段 イン酸,ビ 階評価) タミンC誘 導体の使用 (1)医師による 全般改善度(5段 なし 階評価) (2)自己評価 (5段階評価) CQ32:面皰圧出(該当文献無し) CQ33:外科的処置 (1)男性7名,女性4名 (1)Layton (2)男性:平均年齢20歳, AM 女性:平均年齢28歳 (3) (2)1994 痤 瘡ケロイド(4)既往歴にケ ロイド治療無し (1)小林敏男 (1)24 (2)20 (2)2004 歳以上 (3)記載無し (3)日本 (1)比較試験 (2)同時対象 (3)前向き なし (4)11 (5)triamcinolone (1mg/1ml皮内注射) (6)cryosurgery (7)16週間 (1)オープン,前後比較試験 (3)前向き (4)24 なし (5)皮脂腺電気焼却術 (7)治療後1年間は経過観察のみとし,併用療法も含め治療を 行わない(1−3ヶ月ごとに写真撮影) CQ34:化粧 (1)50F(2)24ないし25 (1)Matsuoka 歳(3)エントリー時における (1)RTC (2)同時対照(parallel)(3)前向き(4)1群 Yl(2)2006 重症度(4)16歳以上の女性 25人(5)通常の治療を行いながら化粧指導をした。(6)通 (3)日本 痤 瘡患者 常の治療のみで化粧指導は行わなかった。(7)4週間 制限せず (1)Hayashi N(2)2005 (3)日本 (1) Boehncke WH. (2)2002 (1)18f(2)平均25才(3) (1) 非RTC(前後比較)(3)前向き(4)18例(5)化粧指 規程なし 導を行い,同じ化粧を1ヶ月間継続した 制限せず (1)DLQIとWHO QOL 26を用いたQOL 評価(2)重症度 (皮疹数) 不明 (1)STAI, VAS,WHO QOL26, Skindex16, POMS, (2)Leeds分類, 皮疹数 なし (1)8(2)年齢(3)acne pusutulosaとacne conglobata (1)DLQI(2) 副次的アウトカム (1)オープン試験(2)(3)前向き(4)8人(5)一定の 化粧を行って2週間でQOLを調べた 制限せず 皮疹数は化粧指導の有無により変化はなかった。QOLを前後で比 較すると,化粧指導群では多くの項目に有意な改善を認めたが, 非指導群では一部の項目だけであった。 なし Ⅲ IV 化粧指導では,治療を妨げなかった。QOLは上昇した。 なし 前後比較 Ⅴ 不明 皮疹の明らかな増悪はない,DLQIの改善をみた。 不明 前後比較 文献 対象 デザイン・介入 併用療法 評価項目 脱落例数 結果 有害事象 エビデンス レベル 備考 CQ35:食事 (1)71(3)軽度から中等度 の痤 瘡(4)終了まで継続した (1)Fulton もののうち14人の少女,16 JE Jr. (2) 人の少年,35人の若い成人し 1969 た男性のprisoner volunteer (1)7論文を引用(SBA2, SINGLE BLIND CROSS-OVER TRIAL (1)Magin P. 1, CROSS-SECTIONAL 2, COHORT (2)2005 1) (1)RTC(2)クロスオーバーの単盲検試験(3)前向き (4)65人をクロスオーバーで調べた(5)cocoa butterを含 むチョコレートバーを1日1回4週間その後3週間コントロール バーを食す。(6)同じカロリーのコントロールバーを1日1回4 週間食し,その後3週間チョコレートバーを食す(7)4週間+ 3週間 不明 (1)面皰と丘 疹,膿疱の数,3 0%以上皮疹数が 増えると悪化,3 0%以下に減ると 軽快ととる。 Ⅱ 6例脱落 不変が44/65,軽快は10/65,増悪は9/65。コント ロールでは不変53,軽快5,増悪7であった。 不明 サンプル数が少ないなど種々の問題点があり,明確な答えは出せ ない。十分なエビデンスはない。痤 瘡に関して一般医やその他の 臨床家が根拠とするにたる完全な証拠はない。 Ⅰ Ⅳ (1) (1)47355(2)高校生(3) Adebamowo CA. 重症痤 瘡患者と診断されたこと (2)2005 があるもの (1)質問用紙によるコフォート研究 (1)コフォート(2)記録対照(3)前向き(4)16, control(ウイルス性疣贅16人)と健常人16人(5)痤 瘡のあ (1)Bett DG (1)48(2)19.5-20.0(3) る9人の男性と7人の女性と砂糖摂取量とコントロール2群の砂 (2)1967 記載なし 糖摂取量を比較 日常摂取する食べ物と重症の思春期痤 瘡を関係を調べたところ, 乳製品,特にミルクや脱脂粉乳と相関がみられた。 (1)砂糖摂取量 (総合摂取量と飲 料からの摂取量) "盲検化の方法の記載有 り。ココアバターの影響 については,わかるが, トータルのカロリーや油 脂による影響は排除でき ていない。信頼度は高 い。 1)Comment in: J Am Acad Dermatol.53:1102;2005, author reply 1103; 2)Comment in: J Am Acad Dermatol. 2005;52:360-2 Ⅲ 痤 瘡患者の砂糖摂取量は,健常人や疣贅の患者と違いはなかっ た。 CQ36:洗顔 (1)Magin P. (2)2005 文献により効果があったとするものやなかったとするものがあ る。併用薬がある,サンプルサイズが小さい,盲検化されていな いなど,いずれも十分なエビデンスではないため,現時点で明確 な結論を出すことはできない。 systematic review.6RTC, 3SBA, 1 Paired design(左右比 較),1 Cross-over trialをもとにしている。 (1)37(2)年齢(3)軽症 (1)Choi JM. から中等症の男性痤 瘡患者 (2)2006 (4)2週間の1日2回洗顔 (1)RTC (2)同時対照(parallel)(3)前向きor 後向き (4)11~12(5)2週間1日2回洗顔,その後6週間1日1 回,2回,4回の洗顔を行う (1)二重盲検左右比較試験(2)同時対照(parallel)(3) (1)44 (35F,18M)(2)14-34 前向き(4)44(5)(6)polyethylene granules2%含有およ (1)Fulghum (19.6)(3)軽症から中等症の び非含有洗顔料を1日2回,左右の決められた方に使用した DD.(2)1982 痤 瘡 (7)8週間 外用薬のし ようは禁 止。従来の 治療は継続 (1)皮疹数 なし (1)50(2)12-35(3)10個 (1) 以上の丘疹と膿疱が顔面にある Stoughton RB. (4)重症のものは除外,全身 (1)RTC(2)同時対照(parallel)(3)前向き(4)全体で (2)1987*重 的な治療を1ヶ月以上行ってい 50 (5)4%クロルへキサミド.グルコネートを1日2回外用 複 ない症例を登録 (6)過酸化ベンゾイルを1日2回外用(7)12週間 なし (1) Stoughton RB. (2)1987*重 複 (1)川島眞 (2)2007 (3)日本 (1)110(2)12-35(3)10 個以上の丘疹と膿疱が顔面にあ る(4)重症のものは除外,全 身的な治療を1ヶ月以上行って いない症例を登録 (1)54(2)20才以上(平均 26.2才)(3)Klingmanの分類 で丘疹膿疱型のIまたはII(4) 日常生活でメーキャップ化粧品 とメイク落しを使用している女 性 (1)皮疹数 (2)重症度に関 するVAS (1)丘疹と膿疱 の合計数(2)面 皰数 (1)RTC(2)同時対照(parallel)(3)前向き(4)全体で 110(5)4%クロルへキサミド.グルコネートを1日2回外用 (6)基剤を1日2回外用(7)12週間 なし (1)丘疹と膿疱 の合計数(2)面 皰数 試験前まで の治療を継 (1)オープン試験(3)前向き(4)54(5)資生堂開発のク 続(詳細は レンジングオイル,6週間毎晩使用(7)6週間 不明) (1)面皰,丘 疹,膿疱の皮疹数 (2)被験者アン ケート 登録したが 割り付け前 に3例(辞退 と除外), 前段階で6 例が脱落, その後,洗 顔回数不適 切で2例, 辞退1例, 9(4人は初回 のみ,4人は 途中不来 院,1人は 両側の紅斑 と鱗屑) クロルへキ サミドで2 例悪化によ り4週で脱 落。,過酸 化ベンゾイ ルで1例4 週以降不来 院 17人脱落 (基剤で3 人,クロル ヘキサミド で4人がエ ントリー直 後に脱落, 基剤の6 人,実薬の Ⅰ人が悪化 で,基剤の 1人,実薬 の2人が1 2週に不来 院 不来院2名 Ⅰ 2週間1日2回の洗顔を行ったあと,1日1,2,4回の洗顔を6週間 続けた。どの群でも統計的有意差はなかった。1日1回では悪化し ていた。1日2回で改善は見られていた。洗い過ぎによる悪化は 見られなかった。1日4回洗顔するのは悪くはないが,2回が合理 的と考えられた。 不明 両者の間に,皮疹数VASともに差がなかった。 両者に差はな い。11人に乾 燥,一人は研 磨剤含有の方 に症状が強 かった。両側 の剥脱感5 人,そう痒2 人,色素沈着 1人 次の実験と合 わせてクロル ヘキサミド群 で2例の皮膚 4%クロルヘキサミド,過酸化ベンゾイルのいずれも前後の比較 の乾燥があっ で皮疹数の減少を認めた。両者の間には有意差はなかった。 た。 Ⅱ Ⅱ 盲検化の方法の記載有 り,併用療法なし Ⅱ *重複は,同一論文の2 つ以上の試験を別に記載 したことを示す Ⅱ 前の実験と合 わせてクロル ヘキサミド群 5%クロルヘキサミドでは,,前後の比較で有意な皮疹数の減少 で2例,基剤 を認めた。8週12週では,基剤に比較して有意な皮疹数の減少が 群で1例の皮 あった。12週では面皰数も前後比較で減少していた 膚の乾燥, 試験試料と因 試験開始時と終了時を比較すると面皰数,丘疹,膿疱のいずれも 果関係のある 有意に減少した。 ものはない *重複は,同一論文の2 つ以上の試験を別に記載 したことを示す Ⅲ
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