鋼橋の耐震・制震設計ガイドライン講習会 第8章 (2007年5月21日 名古屋) 内容 減衰の考え方 宇都宮大学 宇都宮大学 中島章典 内容 165~172ページ 8.1 鋼橋の耐震挙動における減衰 8.2 比例減衰 8.3 非比例減衰 8.4 鋼橋の耐震解析時の減衰設定例 8.5 まとめ 鋼橋の耐震解析で考慮される各種減衰要因. 線形,非線形時刻歴応答解析で一般的に用 いられる比例減衰マトリックスの種類,構成 法およびその特徴. ひずみエネルギー比例減衰. Rayleigh型減衰の設定例と留意点. Rayleigh型減衰の設定例と留意点. 2 上部構造 比例減衰マトリックスの構成法 支承 粘性減衰を考慮した運動方程式 MD + CD + KD = F 摩擦減衰 履歴減衰 材料内部減衰 空力減衰 質量比例型減衰 橋脚 橋脚 杭 Rayleigh型減衰 杭,地盤の 材料内部減衰 杭と地盤間の 摩擦減衰 逸散減衰 4 –1 減衰定数 10 a1 4π f k 高次ほど減衰定数が小さい. 剛性比例型 α=4πfi fj (hi fjー hj fi )/(fj2-fi2) β=2(hj fjー hi fi )/(fj2-fi2) (8.2.1,8.2.2) 3 比例減衰を設定した場合の 各振動モードの減衰定数 hk = h CK = πfi K i a 2 a1 CR = α M+β K 杭 高架橋の減衰メカニズム 質量比例型 剛性比例型減衰 CM = 4πhi fi M フーチング フーチング h:減衰定数 f :固有振動数 10 Rayleigh型 –2 hk = π a2 f k 剛性比例型 質量比例型 高次ほど減衰定数が大きい. Rayleigh型 α hk = + π β fk 4π f k 10 (8.2.3) 極低次を除いて高次ほど減衰定数が大きい. –3 1 振動数 (Hz) 図8.2.1 比例減衰の性質 10 6 1 ひずみエネルギー比例減衰法 ひずみエネルギー比例減衰法 n 比例減衰マトリックスの対象モードの減衰 定数を決定するには? 構造物を構成する各構造要素ごとの減衰 定数を設定. 各振動モードの減衰定数をひずみエネル ギーに比例させた形で与える方法. h i= ∑h j ⋅ {φi } j T ⋅ [k ] j ⋅ {φi } j j =1 (8.2.4) {Φ i }T ⋅ [ K ] ⋅ {Φ i } h i : i次のモード減衰定数 h j : j要素の等価減衰定数 {φi }j : j要素の i次のモードベクトル [k ] j : j要素の剛性マトリック ス {Φ i }: 構造全体の i次のモードベクトル [K ] : 構造全体の剛性マトリ ックス 川島,長島,岩崎:エネルギー比例減衰法による免震橋の モード減衰定数の推定精度,土木技術資料,1993 7 hi = Ei / Wi 運動エネルギー比例減衰法 n ∑h h i= j Ei =φ K h φi ⋅ {φi } j T ⋅ [m ] j ⋅ {φi } j j =1 Wi =φTi Kφi (8.2.5) {Φ i }T ⋅ [ M ] ⋅ {Φ i } (8.2.7) hi : i 次振動モードの減衰定 数 鋼構造 コンクリート構造 上部構造 0.02~0.03 0.03~0.05 ゴム支承 (実験などにより検討して設定) 実験などにより検討して設定) 等価減衰定数( 等価減衰定数(-) 免震支承 -(等価減衰定数) 等価減衰定数) k 1, h 1 m2 m1 0 ⎡h1k1 + h2k 2 − h2k 2 ⎤ h2k 2 + h3k 3 − h3k 3 ⎥⎥ K h = ⎢− h2k 2 ⎢ ⎢⎣ 0 h3k 3 ⎥⎦ − h3k 3 (8.2.9) 10 鋼橋の耐震解析時の減衰設定例 上部構造 鋼製橋脚 免震支承 12m 10m 3×40=120m 要素減衰定数 鋼製橋脚 0.01 上部構造 0.02 免震支承 0 固有振動解析 免震支承のばね定数 等価ばね定数 0.05~0.1 0.03~0.05 (0.1~ 0.1~0.2) 0.2) 0.1~0.2) (0.1~ 0.1~0.3(0.2~ 0.2~0.4) 道路橋示方書,耐震設計編 k2, h2 m3 0 ⎤ ⎡ k1 + k 2 − k 2 ひずみエネルギー比例減 K = ⎢− k 2 k 2 + k3 − k3 ⎥ (8.2.8) 衰法における構造要素 ⎥ ⎢ の減衰定数の考え方 ⎢⎣ 0 k3 ⎥⎦ − k3 各構造要素の等価減衰定数の参考値 (弾性範囲, (弾性範囲,非線形範囲) 非線形範囲) 構造部材 k3, h3 ひずみエネルギー φi : i 次振動モードベクトル 9 基礎構造 (8.2.6) T i h i : i次のモード減衰定数 h j : j要素の等価減衰定数 {φi }j : j要素の i次のモードベクトル [m] j : j要素の質量マトリック ス {Φ i }: 構造全体の i次のモードベクトル [M ] : 構造全体の質量マトリ ックス 下部構造 8 11 12 2 表8.4.1 高架橋モデルの固有振動数,有効質量,モード減衰定数 表8.4.2 比例減衰マトリックスのモード減衰定数 モー ド 固有振 動数(Hz) 卓越モード モード ひずみエネルギー比例 質量比例 剛性比例 Rayleigh 1 0.525 2 2.736 3 橋軸方向 鉛直方向 有効質量 モード 減衰定数 刺激係数 有効質量 刺激係数 橋脚と支承変位 1.00E+00 1.48E+02 -4.11E-05 2.48E-07 0.0050 1 0.0050 0.00501 0.0050 0.0050 桁曲げ 2.76E-04 5.59E-06 4.34E-01 1.38E+01 0.0200 2 0.0200 0.00096 0.0261 0.0037 3.418 桁曲げ -1.62E-06 1.27E-10 2.68E-02 3.46E-02 0.0200 3 0.0200 0.00077 0.0326 0.0042 4 4.777 桁曲げ -3.44E-05 4.09E-08 1.73E+00 1.03E+02 0.0200 4 0.0200 0.00055 0.0456 0.0054 5 0.0200 0.00024 0.1027 0.0113 5 10.763 桁曲げ -2.00E-03 2.39E-04 1.20E-02 8.54E-03 0.0200 6 0.0200 0.00024 0.1062 0.0117 6 11.129 桁曲げ -5.91E-05 1.59E-07 2.61E-01 3.10E+00 0.0200 7 0.0200 0.00022 0.1152 0.0126 7 12.074 桁曲げ -7.61E-04 2.27E-05 4.78E-02 8.96E-02 0.0200 8 0.0125 0.00019 0.1330 0.0145 8 13.938 P2橋脚曲げ 1.15E+00 3.67E-01 1.41E-02 5.54E-05 0.0125 9 0.0199 0.00017 0.1440 0.0157 9 15.096 橋脚曲げ 7.16E-03 3.18E-03 7.51E-05 3.49E-07 0.0199 10 0.0176 0.00016 0.1616 0.0176 10 16.937 P1,P4橋脚曲げ 1.42E+00 9.07E-01 3.23E-03 4.69E-06 0.0176 13 減衰定数 10 –1 Rayleigh減衰設定の留意点 Rayleigh減衰設定の留意点 剛性比例 ひずみエネル ギー比例 10 –2 Rayleigh 10 –3 質量比例 10 14 –4 10 0 1 10 振動数 (Hz) 高架橋を対象とした比例減衰マトリックスのモード減衰定数 構造系の動的応答に及ぼす影響が大きい2 構造系の動的応答に及ぼす影響が大きい2つの振動モード を着目振動モードとする. アーチ橋などの複雑な橋梁では,低次振動モードの有効質 量が必ずしも大きくない場合もある. 低次振動モードの範囲で2 低次振動モードの範囲で2つの振動モードを選択した場合, それより高次振動モードの減衰定数は10 %程度の値になる. それより高次振動モードの減衰定数は10%程度の値になる. 通常は2 通常は2~3%程度の値である. 近接しない範囲で2 近接しない範囲で2つの着目振動モードを選択して,減衰定 数を設定すれば,その範囲の有意な振動モードの減衰定 数はあまり大きくならない(小さくならない). 免震支承あるいは機能分離型支承では,初期剛性を用い て固有振動解析を行うと,不適切な減衰が設定される場合 がある. 15 16 17 18 まとめ 線形,非線形時刻歴応答解析で一般的に用 いられる比例減衰マトリックスの種類,構成 法およびその特徴を説明した. 比例減衰を構成する場合に必要となるひず みエネルギー比例減衰法を説明した. Rayleigh型減衰の設定例と留意点を示した. Rayleigh型減衰の設定例と留意点を示した. 3
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