RC4 の無線照明制御システムを支える高確度、高信頼

RC4 の無線照明制御システムを支える高確度、高信頼、
優れた操作性のテクトロニクスのソリューション
舞台照明の無線化
舞台照明は、演劇、ダンス、オペラ、その他あらゆるパフォーマンス・
アートにとって欠かすことのできないツールです。照明制御では、調
光指示をライティング・コンソールから照明装置に伝達する手段が問
題になります。現在では、照明装置の多くはセット全域に分散され、
配置されています。シルク・ドゥ・ソレイユのように、パフォーマー
自身が照明を装備している例もあります。照明デザイナーの間では、
柔軟で迅速なセットアップを可能にする最善の方法は、扱いにくい
データ・ケーブルの代わりに、無線リンクを活用するのが主流となり
つつあります。
ソリューションの概要
問題点
––
ライブ・シアターの照明制御に使用されている、
カスタム設計の無線調光モジュールやトランス
ミッタのハードウェアおよびソフトウェアを、
すばやく、正確にデバッグする必要があった。
ソリューション
––
テクトロニクスの MSO2024 型ミックスド・シ
グナル・オシロスコープおよびシリアル・バス・
トリガ / 解析用アプリケーション・モジュール
を導入。実績あるテクトロニクスの技術と優れ
たサービス体制に支えられたソリューションに
よって、使いやすさ、優れた精度と信頼性が確立。
成果
––
デコードされた信号パケットとアナログ信号
を同時に簡単に確認できる機能により、RC
Wireless では、わずか数分で問題点を特定するこ
とができた。特別なテスト環境を構築する必要
がなくなり、試行錯誤による時間の浪費もなく
なった。
こうした専門性の高い市場セグメントのリーダーである RC4 Wireless
Dimming(www.theatrewireless.com)では、既成品からカスタムメイ
ドまで、アート / エンターテイメント業界のあらゆるニーズに対応し
たさまざまな種類の無線調光 / 照明制御製品を開発しています。RC4
の代表的な製品の 1 つに、照明制御アプリケーションの RC4Magic
シリーズ 2 があります。これは、照明制御アプリケーションの DMX
ケーブルの代替となる製品です。DMX は EIA-485 ベースの通信プロ
トコルであり、舞台照明 / 効果の制御によく使用されています。
精度と性能
この市場の顧客に無線 DMX 調光システムを販売しようとするのは、
容易ではありません。大掛かりな興行には高いコストが伴うのが普通
であり、すべてのパフォーマンスを滞りなく演じられるようにするた
めに、多額の費用が投じられるからです。つまり、RC4 の無線製品
には、優れた精度を持ち、遅延が生じることなく動作し、ケーブルを
使用した DMX 接続と同等の信頼性と使いやすさを備えていることが
求められます。さらに、小型化、バッテリ駆動型へのニーズが高まっ
ていることも大きな課題です。
こうした、設計の根幹を揺るがしかねない課題に加えて、RC4 は多
くの独立系のエンジニアが抱えているのと同じ難問にも直面していま
す。つまり、時間があまりにも足りない、という悩みです。RC4 の
代表取締役兼製品デザイナーである James Smith 氏は、顧客からの
新しい注文の明細書の作成から、ハードウェアおよびソフトウェアの
設計、さらに顧客サポートに至るまで、あらゆる業務を一手にこなし
ています。
ビジネスは順調に成長し、シルク・ドゥ・ソレイユやディズニーなど
の顧客から次々に新しいカスタム・デザインの要求が寄せられるに連
れて、彼はもうこれ以上はとても無理だ、と感じるようになっていま
した。これらの顧客の多くは、これまで見たこともないような目新し
い、エキサイティングな小道具、つまりより凝った照明効果を表現し
たい、と考えていたからです。彼にとって最大の障害の 1 つは、い
くつかの組込み設計で「断続的に」発生していた問題をすばやく特定
する手段がなかったことです。彼には、手頃な価格でありながら、正
確な測定と詳細な解析が可能な、使いやすく、信頼性の高いソリュー
ションが必要でした。つまり、彼にはテクトロニクスのソリューショ
ンが必要だったのです。
測定を簡素化することで増大する複雑さ
に対応
「このビジネスで成功し続けることができる
のは、すばやい動きが可能だからです。新し
い設計の着想から、信頼性と耐久性を兼ね
備えた製品の完成まで、わずか 3 か月とい
うのも決して珍しいことではありません」
、
Smith 氏は述べています。
「私たちもまた、
小さな会社が必ず直面する問題に悩まされ
ています。つまり、たくさんのことを同時に
こなしながら、可能な限り時間を節約しなけ
ればなりません。トラブルシューティングだ
けにあまり多くの時間を費やすわけにはい
かない、というのが実情なのです」
。
しかしながら、実際のところは、テクトロ
ニクスのソリューションを導入する以前
は、トラブルシューティングに膨大な時間
が費やされていました。その原因の 1 つは、
Smith 氏が使用していた旧式のテスト装置に
ありました。10 年前のオシロスコープと簡
単なテスト装置を使用して、DMX データを
観測していたのです。問題の原因を特定す
る段階になると、さまざまな試行錯誤に時
間を費やさねばならない状況に陥っていま
した。最新技術や顧客のニーズを取り込む
ことによって、設計の複雑さが増していく
なかで、無線システムのどこで発生してい
るのか、特定するのが困難なエラーに直面
するケースも増えています。レシーバ側な
のかトランスミッタ側なのか、ハードウェ
アの故障なのかソフトウェアの不具合なの
か、というように。
「スコープが到着すると、
すぐに開梱し、作業を開
始しました。マニュアル
はまったく必要ありませ
んでした。名前やラベル
が表記されていたので、
すぐに使い方がわかっ
たからです」
James Smith
4RC 代表取締役兼製品デザイナー
幸いにも、テクトロニクスのテスト / 計測
のエキスパートたちは、そうした最新動向
にも十分に注意を払っており、高度なデバッ
グ機能と優れた確度をお手頃な価格で実現
した、MSO2000 シリーズ・ミックスド・シ
グナル・オシロスコープなどのソリューショ
ンを提供しています。Smith 氏が選択したの
は、16 のデジタル・チャンネルと 4 つのア
ナログ・チャンネルによる高精度な信号の
取込みと詳細な解析機能を備えた MSO2024
型という機種でした。
優れたトリガ機能
Smith 氏のニーズを検討した結果、デコード
およびトリガを自動化するシリアル・トリ
ガ / 解析アプリケーション・モジュールで
ある、SPI バスに対応した DPO2EMBD 型お
よび RS-232 に対応した DPO2COMP 型を
導入したことで、状況が大きく好転しまし
た。トリガ機能により、特定のバスのトラ
フィックを分離しながら、デコード機能に
より、バス上を伝送されるあらゆるメッセー
ジの内容を 1 回のアクイジションで観測で
きるようになりました。
「それまでは、スコープを正しくセットアッ
プするだけでも何時間もの時間を費やした
後、スコープをトリガするために、適切な
タイミングで特定のイベントを強制する方
法を探すのにさらに数時間を費やす、とい
うこともありました」、Smith 氏は述べてい
ます。「今では、わずか数分で実際のデータ
のサンプルを取込んで、波形と数値の両方
を参照しながら、内容を検証することがで
きるようになりました。異常があれば、す
ぐに発見できます。しかも、わずかな時間で、
検証可能な形で修正できるのです。
もう 1 つの重要な要素として、直感的なメ
ニューとシンプルな操作体系が挙げられま
す。これにより、Smith 氏は実際に起きた問
題にすばやく対処することができました。
「スコープが到着すると、すぐに開梱し、作
業を開始しました。マニュアルはまったく
必要ありませんでした。名前やラベルが表
記されていたので、すぐに使い方がわかっ
たからです。「開発中の製品に発生していた
間欠的、断続的なパケット損失の問題に悩
まされていました。早速、新しいスコープ
を取り付けて、状況を調査したところ、画
面に表示された最初の 2 バイトがソフト
ウェアに正しく反映されていないことがわ
かりました。つまり、ソフトウェアの問題
であることが判明したのです。ソフトウェ
アに問題があるとは思っていなかったので、
何日も無駄になる可能性もありましたが、
幸い、素早くファームウェアのミスを発見
することができました」。
ベンチにこの新しい製品が加わったのが、
あまりに嬉しかったので、「オシロスコープ
の写真を撮って、仲間の技術者にメールで
送ったほどです。使い始めた最初の日から
これほどすばらしい思いをしたツールは初
めてです」、Smith 氏は付け加えました。
本格的に使い始めてみると、テクトロニク
スのオシロスコープが実際に有益な診断 /
開発ツールであることがわかりました。以
前使っていたオシロスコープとは異なり、
MSO2024 型ははるかに使いやすく、多くの
入力サンプルから、きわめて長いセグメン
トのデータを取込むことができました。機
器の Wave Inspector® のコントロールを使
用して取込んだデータを拡大できるため、
詳細かつ正確な解析を実施できます。
広視野角でとらえたシルク・ドゥ・ソレイユの
舞台。電気配線を排除したことで、すっきりと
した舞台を構築しながら、洗練された照明効果
を生み出している。パフォーマーの頭上など、
トラスに配置される照明には、通常の有線によ
る制御が使用されている。可動する小道具類に
取り付けられた無線照明も、デザイン全体に無
理なく統合されている。
© 2007 フジ・テレビ
オペラ・オーストラリアによる舞台には、数多
くの無線照明制御が使用されており、すばやい
場面転換を可能にしている。ケーブルを這わせ
る必要がないため、小道具類は常に場面のどの
方向にも移動できる。今日、演劇の世界では、
聴衆は映画やビデオに匹敵するすばやい場面転
換や視点の変化を求めている。無線は、そうし
た要求への円滑な対応を可能にする有力な技術
の 1 つである。
写真は『ホフマン物語』の一場面。写真はオペラ・オー
ストラリアの提供による。
RC4 にとってテクトロニクスの測定ソ
リューションは、従来のベンチの機能を大
幅に強化するだけでなく、過去の DMX プロ
トコルから、電力線をベースとした制御な
ど、さらに高度なプロトコルへと進歩を続
ける、舞台 / エンターテイメント照明技術
にも対応できる会社作りにも役立つツール
に違いありません。文字通り、明るい未来
が待っています。
–
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