第8章 宿泊 - 日本政府観光局(JNTO)コンベンションの誘致・開催支援

第8章
宿泊
1. 宿泊施設の選定······························································································ 96
2. 仮予約················································································································ 97
3. 旅行会社(トラベルエージェント)································································· 98
第8章
宿泊
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宿泊施設の選定
国際会議で使用する宿泊施設に関しては、多様な考え方がある。また、会議の種類や参加者の種類によっても大き
な隔たりがある。料金、ロケーション、部屋タイプといった参加者にとっても最も関心の高い事項から、ホテル、旅館、公
的施設、ホームステイ等の施設の種類まで検討しなくてはならないことは多い。また、各施設には確保可能な部屋の制
限により、主催者の都合だけでは決められないこともある。
ここで考えなければならないことは、参加者にとって、安い宿泊施設が必ずしも最善ではないということである。開催
地や会議の特性により様々な条件や制限があり、主催者は、それらを十分踏まえた上で宿泊施設を検討する必要があ
る。
(1)
開催都市の状況
① 首都圏
東京・大阪等を始めとする大都市圏では、十分な数と種類の宿泊施設があり選択肢が広い。従って、大型会議
であれ中小の会議であれ特殊な時期でない限り、必要な数とランク別料金での部屋を確保することに大きな問題
はないと考えられる。
② 首都圏以外
都市によって様々な条件があり一概には言えないが、一定の条件で同一料金やランク別の料金設定で必要数
を確保するのには困難が伴う。また、特定時期(祭りやイベント)に会期が重なった場合には、確保に困難が伴
い、無理をすると参加者自身や主催者にとって大きなリスクとなることがある。主要アクセスへの連絡と確保も同様
である。
(2)
宿泊施設の要望(都合)
通常、「宿泊施設を確保」するということは、予約者が施設に対して確保した分だけの保証をすることである。これは、
施設側から言えば他の予約希望者を排除し、一定期間部屋を空けておき必ず国際会議参加者で埋まることを前提に
部屋の提供を行うからである。それによって主催者は参加者に対して施設を準備したことになる。都心の大型ホテルで
はある程度便宜を図れることもあるが、中小のホテル・旅館や公的施設では他の一般客を排除し続ける事は困難であ
る。民宿のような零細規模ではいつ来るとも知れない参加者を待ち続けることは不可能である。シーズンや地域によっ
ては、観光シーズンと重なり各施設には負えないリスクが発生し、主催者は取消料や予約保証費や、気がついたら参
加者用の部屋が既に無いといったリスクを負わないとも限らない。こういった場合に備えて、必ずトラベルエージェント
を活用すべきである。
(3) 宿泊施設の種類
①ホテル
会議出席者は一般的に相部屋ではなく、同伴者を除き一人部屋での宿泊を希望する。参加者にとっても、施設
側にとってもホテルは非常に利便性が高い。部屋の広さやシングル、ツインといった部屋タイプによって料金設定も
しやすく、宿泊のコンディションも朝食付き/なしの宿泊といった設定により、双方にとって明快な料金設定が可能
である。外国語での対応も可能な場合も多く、長期滞在での機能もあり便利である。禁煙室やLANケーブル設備
は、必須である。
②旅館
一部の日本びいきの外国人にとっては憧れかもしれないが、長期滞在の場合や施設的な課題も多いため、検討
の余地がある。料金設定についても、旅館側では一般的に一人部屋での利用に難色を示すこともあり、その場合の
料金設定についても課題がある。国際会議の場合、レセプションやバンケット等の社交行事も多く、朝食のみのコン
ディションにした場合の料金設定にも課題がある。主催者側と旅館側の双方に理解と協力が必要である。また、LA
Nケーブル設備が必要とされる。
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③公的宿泊施設
一般的には一年以上前に仮予約をして確保することが難しい。公的施設である為、広く一般に利用可能な状態
が望ましいからである。予め大量な部屋を独占的に確保することが難しいため、安価な料金だが国際会議参加者用
の宿舎としては不向きな場合もある。国際会議の性格と状況を理解してもらうことが可能であれば利用したい施設で
ある。
④民宿
料金的に安価な点が特に、参加者にとっては魅力的であるが、外国語での対応や客室の質など懸念される点も
多い。また、長期に渡り仮予約だけで部屋を確保し続けることは困難であり、部屋のタイプ的にも相部屋の可能性も
あり、日本での体験的宿泊を望む参加者以外には不向きな場合もある。
⑤ホームステイ
一般参加が多い国際会議では見受けられるシステムで、各地のコンベンションビューローやボランティア団体の
斡旋で実施するケースがある。この場合は、国際会議の趣旨とも連動した形で会議参加と合わせて体験・交流を目
的として提供される場合が多いように見受けられる。
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仮予約
宿泊施設の予約は、本来契約当事者である宿泊者本人と、施設側が行う個別契約であり、主催者が予約の責任を
負うとすれば、予約保証・取消費用等のリスクが伴う。また、仮予約ということで施設側に対して確保をお願いしても、あ
る時期になれば申し込みの進捗状況に応じて、確保されている部屋数に対しての過不足を誰かが判断し、追加したり
取り消したりという段取りを踏まなければならない。
また、予約の締切りについては会議登録の締切り設定とある程度連動しながら設定することが望ましく、それには登
録委員会や広報委員会等と充分な打合わせを行うことが必要である。
(1) 予約のプロセス
【第一段階】
必要部屋数の割り出しと宿泊施設の選定
海外からの参加者の見込み数と国内からの参加者で宿泊を伴う数を想定し、総数を割り出す。会場周辺のホテ
ル等の施設を洗い出し、施設のタイプ、料金、ロケーション、アクセス等を比較検討し、参加者の利便性が高い施設
を選定する。
【第二段階】
仮予約と料金等のルール設定
必要部屋数の仮予約とタイプ別・コンディション別の料金設定を行い、並行して確保した部屋の変動調整を行う
時期を決定する。併せて取消料金や支払い方法等を決定する。
【第三段階】
部屋数の調整
予約希望のある参加者の宿泊名簿を提出し、確保した部屋数等との過不足の調整を行う。変更修正等の情報を
的確に宿泊施設に提供し、宿泊希望者に対しては希望通りのホテルかどうか等の情報提供を行う。
【第四段階】
最終宿泊リストの提供
最終宿泊リストを宿泊施設別に情報提供を行い、最後の部屋数調整を行う。参加者ごとに異なる部屋タイプ等の
情報を希望に沿った手配かどうか等の確認も併せて行う。
【第五段階】
チェックイン
空港やその他の案内所で確認した参加者が次々に希望ホテルへ到着し、チェックインを行う。到着後には滞在期
間や部屋タイプの変更も多く見受けられる。それぞれの対応をホテルやトラベルエージェントが行い、参加者は無事
部屋に入り安心して国際会議へと参加する。
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旅行会社(トラベルエージェント)
旅行会社は、事前準備段階に於いてはこういった宿泊施設の調査から仮予約、料金設定までを行い、主催者をサ
ポートする。また、宿泊申し込みが始まってからは参加者と個別に個々の様々なリクエストに応じて手配を行う。同時に
ホテル等と確保された部屋の総量調整や、追加等を行い、参加者の便宜をはかる。また、取消料等のリスクも主催者
に成り代わって一切をホテル側と行い、原則的に主催者はリスクを負う事はない。
安いと思って公的な宿泊施設に参加者用の部屋をお願いし準備に入ろうとしたら、宿泊施設から仮予約の場合、他のお客様(一般の
問合せ)から予約があった場合には予約を入れるので確保が難しい、確保するのであれば予約金をという話があった。最終的な参加人
数や誰が泊まるか分からない段階では予約金までと言われても困った。また旅館からは、シーズン中なので一人部屋のご利用はご勘
弁をと言われ困ったことがある。
―IPR2002国際防災学会―
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