ブレード先端部の保全について ( 砂塵磨耗損傷 )

H25年8月7日
北条砂丘風力発電所
電気主任技術者
ブレード先端部の保全について
魚住
( 砂塵磨耗損傷 )
設備の概要
・受電電圧=66kV
・認可出力=13,500kW
・発電機出力=1,500kW
(定格風速12.5m/s)
・風車製作者=リパワー社(ドイツ)
・運転開始=H17年11月18日
×9機
・ブレード製作者=LM社(デンマーク)
要約
・ブレード先端部のリーデング・エッジ側は、砂塵等によって経年磨耗損傷している。
損傷の程度は設置場所によって変わり、海岸から100m程度に設置している基において大きい。
・損傷の大きい号機を対象とし、今回3基のブレード先端部のリーヂング・エッジ側をテープにて
補修した。
1.メンテナンスの経緯
・砂塵等による磨耗損傷の知見を予め私が有していたのではなく、それは偶然から知った。
・昨年5月に全機の全ブレード対象に補修を行ったが、この砂塵による磨耗損傷の補修は未実施とした。
「効果的でテープ補修の案がある」との技術者(デンマーク)との会話からである。
( 「ブレード先端部の保全について#1(雷撃損傷)」H24年11月10日
参照
)
・このテープ補修に関して「効果・耐用性・デメリット・etc」の種々の技術検討を行わずに実施した。
私自身の直観力や性癖、さらにはエンジニヤー(デンマーク国=日本)同志の信頼間で実施に踏み
切っている。
「実施することで技術情報を入手する。」
2.損傷の状況
(1/5)
Tipから5~8m程度の状況
3.補修工程
①グラインダーによる研磨(平坦化)
3.補修工程
②コーキング(ゲルコート)、ペイント
(2/5)
3.補修工程 ③保護テープ(3Mテープ)貼り
(保護テープ仕様=P5/5に)
保護テープ
幅=10Inch 厚=0.36mm
透明で伸縮・弾力性
*ブレード表面とテープ間は「水」、 外に水出しする
(3/5)
*ブレード表面とテープ間の「水」を外に水出し
テープは未だシワの状態
*テープ端部コーキング
3.補修完=New-Bladeに
<実績工程>
・強風(10m/s以上)、雨天にて
延べ5日/基要した。
・実質は3日/基であった。
4.その後
1)補修の効果
補修後「出力3%UP」とのユーザ側(英国)の見解を風の便りで聞いてはいるが、私的には検証する
意思はない。
2)長期的耐用性
補修テープの端部でのコーキング剥がれ(異音として判明)も予想される。
この場合部分的に
テープカットして再補修が出来る。
後年ブレード先端部の保全として行う「レセプターやピンホールの保全作業」時に今回実施した「保
護テープ」の状態を確認したい。
(4/5)
<参考>
3M製(USA)プロテクトテープのカタログ要約
【3M 製プロテクトテープについて】
3M 社は、航空宇宙用に応用される保護テープの業界リーダーです。
3M ウィンドテープ 8608 および 8609 は、ヘリコプターのブレードや
航空機レドームで活用されている技術に基づき作られた風力タービンブレードの
リーディングエッジの浸食を効果的に保護するためのテープです。
【製品の特徴】
・穴あき、摩耗、腐食の防止に効力がある
・ウェットまたはドライの環境に摘要出来る
・紫外線にも強い
・耐久性のある接着力
・取り付けが簡単で速い
・複雑な形状への適合
・ダイカット、プロッタカットまたは 3D 形状に成形することが出来る
【成分構成】
項目
色
内容
透明
特徴
最高の UV 安定性
厚さ
0.014in.(0.36mm)
標準ロール長
18 yd(16.5m)
標準ロール幅
8 in.(203mm)
材質
ポリエチレン
重量
0.18 lb/yd2(439g/m2)
引っ張り強さ
伸び
70 lb/in.(1228N/100mm)
500%
接着剤
アクリル
接着剤の成分
(oz/in.(N/100 mm)
ポリエステルゲルコート
75(82)
エポキシプライマー
90(98)
ポリウレタン塗装(光沢)
65(71)
(注) 今回は 8609 を使用
(5/5)