1 「東南アジア地域の気象災害 軽減国際共同研究」 でやること 気象研究所 予報一研 林 修吾 1. 気象庁メソモデルの精緻化と検証予報実験:サブ 2. メソモデル国際共同研究のための環境整備:メイン (3.~熱帯域同化実験は担当なし) 2007-Aug-17, 18 「東南アジア気象災害軽減」科振費キックオフ集会 2 2. メソモデル国際共同研究のための環境整備 • 気象庁メソモデルの汎用的な実行に必要なモデルデータ 処理ツール等を整備する – 前処理での対応データの増強 • 気象庁メソモデルの英文ドキュメントを整備する – チュートリアル,リファレンスマニュアルの整備 • (気象庁全球アンサンブル予報を熱帯域に適用するためのツールの整備) 2007-Aug-17, 18 「東南アジア気象災害軽減」科振費キックオフ集会 3 モデル本体の計算機対応状況 (前処理,後処理もほぼこれに準じる) • CUIでよければわりといろいろなOS・コンパイラに対応している – 外部ライブラリは必要ない(MPIをのぞく) – Fortranのみでも実行可能(nusdasの一部機能をのぞく) →このおかげで(先進的とはいえないが)可搬性は高い! Vendor Machine CPU OS compiler MPI HITACHI SR11000 POWER5+ AIX vendor vendor HITACHI SR8000 vendor HI-UX/MPP vendor vendor NEC SX6,7,8, Earth Simulator vendor SUPER-UX vendor vendor PC, WS x86_64(EM64T), IA64, IA32 Linux g95, gfortran, Intel Fortran 7,8,9 Fujitsu Linux Fortran, Lahey, PGI lam, MPICH, fake(no-MPI) PC, WS IA32 Solaris 10 Sun Studio 11 - 2007-Aug-17, 18 「東南アジア気象災害軽減」科振費キックオフ集会 4 JMANHM Flow-Chart Atmosphere and Surface data (from global / regional model or analysis data (nusdas format)) GTOPO30 or idealized topography Pre-Processes Initial/Boundary file (original format) Topography file (original format) 三つに大きく分けられる ・前処理:モデル実行のための初 期値・境界値・定数データの準備 ・モデル実行:namelistを設定し, モデルを実行 ・後処理:描画,データの変換など JMANHM Post-Processes (visualization) Execute Model GrADS format Visualization by GrADS (COLA) MRI original format Visualization by mplot (${NHM}/Tools/mplot) JMA original format (nusdas format) Visulization by pandah (${NHM}/Tools/pandah) Self-nesting output 2007-Aug-17, 18 「東南アジア気象災害軽減」科振費キックオフ集会 5 現状のツールと対応データ • 前処理 – nusdasフォーマットの気象庁モデル面データに対応(ツールは パッケージに含まれる) – nusdasフォーマットP面データにも最近対応 • ついでにgrib2nusもパッケージに同梱→次ページに利用サンプルを示す – もちろんJMANHM自体のアウトプットも利用可能(セルフネスト (ただし1-wayのみ)) – JRAに対応したツールが部内向けで利用中? • 後処理 – モデルアウトプットは,nusdas,MRI独自,GrADSに対応している – nusdas,MRI形式にはそれぞれの描画ツールが付属している (ツールはパッケージに含まれる) • ただしGrADAS出力は前処理ツールが対応していないため,セルフ ネストの初期値境界値としては使えない 2007-Aug-17, 18 「東南アジア気象災害軽減」科振費キックオフ集会 6 業務支援センター配布データで毎日予報! • 業務支援センターから配信 されているGSM_P面データ からモデルを実行 – • • • 京大の生存圏データベー スの気象庁データからイン ターネット経由で取得 いちおう全てのデータをイン ターネットから取得して世界 中の予報が行える これらを自動的に実行する シェルスクリプトがパッケー ジに同梱されている 問題点:地中・地表面温度 がない.暫定処置として, – – SST,地表面温度は地上気 温T(←別途入手?) 地中温度最下層は285K固 定(←これは気候値ファイ ルを用意すれば解決可能) 2007-Aug-17, 18 「東南アジア気象災害軽減」科振費キックオフ集会 7 1日二回48hr予報をlinux_WSで実行 2007-Aug-17, 18 「東南アジア気象災害軽減」科振費キックオフ集会 8 参考:前ページの計算環境 CPU Intel Xeon Quad 2.0GHz x 2 (Total 8core, でも使ったのは4core) OS Linux(CentOS4.5) COMPILER Intel Fortran 9.1.045,gcc (for nusdas) MPI LAM 7.1.3 domain 235x165x40.dx30km step 48hr (1728step, dt=100sec) elapse time 5hr~6hr (18000sec~21000sec) memory 4GB(1GBx4, using Double Precision) output (2byte pack) Total 4.4GB (3D output every 1 hours) 2007-Aug-17, 18 「東南アジア気象災害軽減」科振費キックオフ集会 9 部内で使っているGUIツール(linuxへ移植予定?) • 気象庁内にある部内 のユーザー向け計算 機上でのみ利用可能 なGUIツール – モデルの設定の詳細な 知識がなくても実行が 可能 – とりあえずやってみると いうのには最適 – linux向け移植の話も出 ているが,進展度は? 2007-Aug-17, 18 「東南アジア気象災害軽減」科振費キックオフ集会 10 既存のJMANHMのドキュメント類 赤字は和文,青字が英文 • 刊行物(紙ベースのものも含む) – – – – – – – • モデル実行時設定など – – – – • モデル本体の NAMELIST パラメータの設定 (パッケージに含まれる) 入力データフォーマット (パッケージに含まれる) 境界値データ一時ファイル(mfbd)のフォーマット 放射定数ファイルフォーマット(xls) 前処理ツールのマニュアル – • 気象研究ノート第196号「非静力学モデル」(1999年) 気象研究所技術報告第28号(1991年、英文) 気象研究所技術報告第42号(2001年3月、英文) 数値予報課報告・別冊第49号「気象庁非静力学モデル」(2003年3月) 平成16年度数値予報研修テキスト「非静力学メソ数値予報モデルの現業化」(2004年10月) 平成17年度数値予報研修テキスト「第8世代数値解析予報システム」(2005年12月) The Operational JMA Nonhydrostatic Mesoscale Model(K.Saito et al., 2006)(Mon.Wea.Rev 134, 1266-1298) 前処理ツールの NAMELIST パラメータの設定 後処理ツールのマニュアル – – – – 2007-Aug-17, 18 プロットツールPANDAHの解説書 NuSDaS用のプロットツールの解説書です。 (英文あり) プロットツール mplotのマニュアル(by 加藤さん@MRI) プロットツール kplotのマニュアル(by 加藤さん@MRI) 数値予報標準データセットシステム(NuSDaS) 「東南アジア気象災害軽減」科振費キックオフ集会 11 1 原が現在執筆中のものをベースに configure, nwp make の仕組み、設定内容の説明 サンプルデータを使い、shell script を使わずに(自分でデータを 装置番号に接続して)モデルの実行をしてみる。出力には特に 準備が必要なく、可視化ツールとして幅広く使われている GrARDS でやってみる。 1.3 NuSDaS, MRI形式によ モデル面の可視化や様々な物理量の表示にはNuSDaSやMRI る出力と可視化ツール 形式の方が優れていることを紹介した上で、それを使うための (pandah, mplot, kplot) 準備・手順について紹介。可視化ツールそのものについては簡 単な使い方だけを示して、詳細は各マニュアルに譲る 1.4 shell による実行とその Nhm/Ss 以下のshellの構成の説明と、上記の説明をふまえた各 説明 scriptの解説。 2 出力データ 2.1 NuSDaS 2.1.1 基本的な使い方 出力に必要な定義ファイルの準備の方法と簡単なAPI・ツール の使い方にとどめ、詳細はNuSDaS1.3マニュアル(by 豊田 & 原) 2.1.2 NuSDaSによる出力変 定数、地上面、P面、モデル面、2次元物理モニタ、3次元物理モ 数一覧 ニタ 2.2 MRI形式 2.2.1 フォーマット 2.2.2 MRI形式による出力変 数一覧 3 入力データ・namelist 3.1 入力データフォーマット html 形式のものを LaTeX に変換するツールを作成。編集は htmlに対して行う。 3.2 namelist パラメータ一覧 html 形式のものを LaTeX に変換するツールを作成。編集は htmlに対して行う。 3.3 現業設定、その他の設 これも今のHTMLによる一覧を変換する形で活用できると望まし 定一覧 い。 3.4 実行例 3.4.1 理想実験 3.4.2 実データ実験 gtopo_tool, nhmgrd, make_uvptq, grib2nus などの使い方 4 開発者向け情報 4.1 主要変数一覧 4.1.1 予報変数 nhmvarにあるもの 4.1.2 診断変数 nhmvarにあるものを中心に 4.1.3 定数 congrid, conhm, mpimso などにある定数 4.2 座標の配置方法 原のメモ+荒波さんのpptをベースに 4.2.1 インデックスの命名法 ixstlc, ixenlc, …, のりしろについての説明も含む 4.2.2 水平の座標配置 コードに即した内挿、差分(v->s, s->v)を示す。 4.2.3 鉛直の座標配置 コードに即した内挿、差分(f->h, h->f)を示す。 4.3 サービスサブルーチン よく出てくるけど、いまいちわかりづらいsubroutineについての解 の解説 説 ltrlb, adj2d1, datmdfy とその仲間たち, nambcast, mtog, clearh, 4.4 各ソースコードの役割 4.5 モジュールの依存関係 ルーチンのジョブネットのように、モジュールの依存関係を可視 一覧 化するツールがあるとよい。 ただし、依存関係があまりにも汚く、役に立ちそうになかったら省 5 JMANHM パッケージ構 成一覧 「東南アジア気象災害軽減」科振費キックオフ集会 1.1 1.2 ユーザーズガイド 整備計画 • 前述の通り, – – – – いろいろ分散している 作成時期もバラバラ 和文が多い ユーザーズガイドは和文で すらほとんどない →ユーザーズガイド(和文) を作成する計画が数値予 報課で進行中 →これに乗っかって,本科 振費では英文ユーザーズ ガイドを作成予定 2007-Aug-17, 18 チュートリアル モデルのコンパイル サンプルデータによるモ デルの実行 12 参考:WRFの実行の流れは? 基本的にはJMANHMと同じ.異なる点とし ては, ・前処理がGUI化されている ・データ同化システムがパッケージに同梱 されている ・理想実験のテストケースが多く用意され ている ・NetCDFが別途必要 2007-Aug-17, 18 「東南アジア気象災害軽減」科振費キックオフ集会 13 WRFの前処理ツール(GUI版) • WPSをGUI操作するjavaで書かれたツールが用意されている – 「ドメイン指定→地形作成→大気データをドメイン・グリッドに合わせて切り出し」を ほぼマウス操作だけで行える.WPS本体は事前にWS上でコンパイルしておく必 要がある. – ちょっと残念な点:ここで作成した地形設定などは,実行時のnamelistには手動で 書き写さないとダメみたい(モデル本体は今までどおりコマンドラインから実行) 2007-Aug-17, 18 「東南アジア気象災害軽減」科振費キックオフ集会 14 WRFのドキュメント類 • http://www.mmm.ucar.edu/wrf/users/ にいけばとりあえずだいたいそろう. ドキュメント類はそのままダウンロード可能なものばかり – 特に登録などしなくてもダウンロード可能 (モデル本体のダウンロードは登録が必要) • ユーザーズガイド,チュートリアル,リファレンスマニュア ルそれぞれ用意されている – チュートリアルはかなり丁寧 • チュートリアルのためのWSも毎年?開かれている 2007-Aug-17, 18 「東南アジア気象災害軽減」科振費キックオフ集会 15 WRFの使用感 • プログラムの入手,データの準備が簡単.ドキュメント類 もWRFのサイトからまとめて入手できる – 当たり前だがNCEPが部外に公開しているデータでモデルの実 行がすぐ出来るのもお試しにはいい (→JMANHMでは出来ない!) – ただし,コンパイル環境などは一部統一されてなくて悩む.サ ポートされてるはずのコンパイラでコンパイルが通らなかった り... • ユーザーズガイドが非常に丁寧 – 動かすためのガイドに200ページ! – 結果の可視化についてはちょっと寂しい. • 全くの気象モデル初心者でもなんとか一人で動かせそう. – 最初のconfigureでハマらなければ... – とりあえずログはたくさん出るので誰かに聞きやすい 2007-Aug-17, 18 「東南アジア気象災害軽減」科振費キックオフ集会 16 最終的に何をやって,どんなものが欲しい? • 英文ユーザーズガイド – 和文ユーザーズガイドを数値予報課で今年度中に作成するとい うことなので,粛々と英訳 • モデル実行環境整備 – さまざまな他機関データ対応(NCEP1d,ERA,JRA) – モデルドキュメント類のオンラインでの公開 – 前処理ツールのGUI? • モデル本体の実験環境 – 理想実験をするためにも,2Dが動かないのは何とかしましょう – PCユーザーのために短精度が動くことを確認しましょう(いちおう 動いてます) 2007-Aug-17, 18 「東南アジア気象災害軽減」科振費キックオフ集会 17 1. 気象庁メソモデルの精緻化と検証予報実験 • 雹まで含んだ4-iceスキーム雲物理過程を用いた予報実 験とその検証を行う • エアロゾルを予報変数化したスキームによる予報実験と その検証を行う • binモデルを組み込んだ雲物理過程による予報実験とそ の検証を行う • • (気象庁メソモデルを熱帯域に応用し台風発生実験を実施し,モデル特性の 把握を行う) (気象庁全球アンサンブル予報による摂動を用いたダウンスケールアンサン ブル実験を実施し,結果の検証を行う) 2007-Aug-17, 18 「東南アジア気象災害軽減」科振費キックオフ集会 18 JMANHM雲物理過程の改良 • 4-ICE 雲物理パラメタリゼーションの導入(Cohard-Pinty + Ferrier) – シビア現象の予測精度向上とメカニズム解明のため,雹(または凍結水 滴)生成過程を導入。 – ガンマ関数を用いた統一的な記述法により、可読性・拡張性をアップ。 – 組み込みは既に終了.高速化が必須(現状では遅すぎる.) 従来の記述法 新しい記述法 2007-Aug-17, 18 「東南アジア気象災害軽減」科振費キックオフ集会 19 JMANHM雲物理過程の改良 • エーロゾル(雲核・氷晶核)過程の導入 – 雲・降水過程やエーロゾル間接効果のメカニズム解明のため、 雲核・氷晶核の予報スキームを開発中 ビン法微物理モデルの結果 を利用した雲粒生成ルック アップテーブルスキーム (雲核数・上昇速度・温度等から 活性化数を決める) 初期CCN数濃度と活性化する粒子数 の割合の関係.青は1m/s、赤は0.1m/s の場合.実線は温度-5℃、破線は温 度15℃の場合. 火山灰や有害物質の移流拡散モデル 人工降雨モデル 2007-Aug-17, 18 としても応用可能 「東南アジア気象災害軽減」科振費キックオフ集会 20 JMANHM雲物理過程の改良 • ビン法雲物理過程の導入 – 雲粒生成や降水効率、エーロゾル-雲相互作用を詳細に調べる ために、ビン法雲物理スキームを開発中 雲粒子数 雲粒子数 小さな粒子は ゆっくり落下 ビン法による再現 バルク法による再現 天然の降水 全ての粒子が 平均的な速さ で落下 サイズ サイズ 小さな粒子は ゆっくり落下 時間 2007-Aug-17, 18 降水量 大きな粒子は 速く落下 降水量 降水量 大きな粒子は 速く落下 時間 時間 「東南アジア気象災害軽減」科振費キックオフ集会 詳細雲微物理パーセルモ デル(Chen, 1992)モデル をもとに、精度を保ちつつ 必要な簡略化を行い、3次 元モデルに組み込む。
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