2004年6月30日,静岡で発生した豪雨のGPSデータ同化・予測実験 小司

5.まとめ
4.考察
3.結果(事例,統計スコア)
2.GPS可降水量の同化手法
1.大雨の概要
(1)気象研究所,(2)気象庁数値予報課
小司禎教(1)・國井勝(1)・小泉耕(2)・川畑拓矢(1)・瀬古弘(1)
2004年6月30日,静岡で発生した豪雨の
GPSデータ同化・予測実験
Precipitation
Warm and
humid
GMS: 水蒸気画像
PWV-PWVave
水蒸気分布:
GPSでは静岡県遠州灘地方の増加がわかる
GMSでは下層水蒸気は見えていない.
総観場:
台風から湿った暖かい空気が,近畿・東海沿岸
に流入
29日9時に対し,21時には800hPaより下層で比湿増加
潮岬(左)・浜松(右)の比湿プロファイル
・気象研究所再解析データ
精密暦使用の事後解析
5分間隔で天頂遅延量・視線遅延量・一次勾配
PWV精度:ゾンデとの比較でR.M.S差2.3mm
・国土地理院GPS連続観測網(GEONET)は全国1,200点以上
AMeDASと同等の空間密度
GPS
JMA AWS
AMeDas
・:4-elements
・:Rain gauge
・南よりの風とともに可降水量増加(約1日で20mm増)
・GPS(○)とゾンデ(▲)の可降水量は良くあっている.
潮岬(上)・浜松(中)・静岡(下)の時系列:
JMA Mesoscale Model (MSM)
• Hydrostatic spectral
model
• Horizontal
resolution is 10km
(361x289 grids), 40
layer up to 10hPa
• Operational since
March 2001
• 4D-VAR system
operational since 19
MAR. 2002
Model domain
PWV 同化実験
同化システム: MSM 4DVar
同化ウィンドウ: 3時間
連続同化: 2004/6/28/12utから連続同化
観測データ(衛星可降水量は入っていない)
(1)地上・高層観測:synop,upper,avia
(2)衛星風:satob
(3)レーダ・アメダス解析雨量
(4)GPS
同化要素:可降水量
観測誤差3mmに設定
• 境界値
mfboundary
•
•
•
•
同化実験
下記の条件にひとつでも合致したGPSPWVは除去.
(1)d-Heightの絶対値が600mより大きい
(2)GPS PWVが1mmより小さい,あるいは80mmより大きい
(3)高度補正後のdGPSの絶対値が15mmより大きい
(4)特定のGPS観測点のdGPSが周囲20kmのGPS点のdGPS平均値から10mm以
上異なっている.
・モデル地表面<実際の地表面高度
モデル地表面と実際の地形の間の水蒸気をモデルの
PWV から差し引く.
・モデル地表面>実際の地表面:
モデルと実際の地形の間の比湿はモデル最下層の比
湿と同じであると仮定して外挿.
(Nakamura, Koizumi, and Mannnoji, 2004)
QC
MSM
with
GPS
MSM
w/o
GPS
GPS
陸上はGPS観測に近づく.GPSの無い海上も増加.
30/09jst
29/21jst
同化結果 (1)可降水量
6月30日
06jst
Ft=09
・静岡の強雨を再現(ただし雨は停滞しない)
・能登半島,四国の雨の表現も改善
w/o GPS
6/29/21jst初期値
解析雨量
6月30日
Ft=06
03jst
同化結果 (2)降水量
Ft=09
Ft=06
with GPS
6/29/21jst初期値
7月13日
09jst
Ft=12
・山形県に予想された偽の強雨域を減衰(○)
・能登半島から新潟南部に線状の強雨域を予想(○)
w/o GPS
7/12/21jst初期値
解析雨量
7月13日
Ft=09
06jst
with GPS
7/12/21jst初期値
Ft=12
Ft=09
同化結果 (3)降水量 (新潟豪雨の場合)
7月18日
09jst
Ft=12
・新潟県に予想された偽の強雨域を減衰(○)
・福井ー岐阜南部の線状降水の表現を若干改善(○)
w/o GPS
7/17/21jst初期値
解析雨量
7月18日
Ft=09
06jst
with GPS
7/17/21jst初期値
Ft=12
Ft=09
同化結果 (4)降水量 (福井豪雨の場合)
10mm
1mm
ETS
BIAS
○:スレットスコアは若干改善
×:ただし,バイアス特性が変わった(予報前半で強い雨を出しにくい)
同化結果 (5)降水量スコア(6/29-7/17の76例)
陸から10km
以内の格子
で比較
比湿の平均的な変化
500-700hPaで増加,850-900hPaで減少
→大気の安定度を変化
同化結果 (6)水蒸気分布の変化(浜松:6/29-7/17の76例)
→PWVの高度補正方法を修正する必要有り
中部山岳でPWVを増加させている
中部山岳ではほとんどGPS高度はモデル高度
より低い
GPS高度がモデル高度より低いほどD値が正の
値となる傾向
GPS同化の有無によるPWV差の平均
GPS高度-モデル高度(m)
→GPS可降水量をモデルに同化する際の高度差の補正手法を再検討する必要
がある.
5.水蒸気の鉛直分布:
下層でやや減少,500-700hPaで増加させる傾向にある.
4.降水予想の統計スコア(19日間76事例):
GPSを入れることで,強い雨を予測しにくくなっている.
特に予報前半でその傾向が顕著.
3.新潟豪雨・福井豪雨:
わずかではあるが,強雨の予測に改善が見られた.
2.静岡の大雨:
GPS無しでは全く予想できなかった線状の降水域を,
形状・強度ともある程度予想.
1.初期値における可降水量の表現:
GPS解析による分布に近づくことを確認.
国土地理院GPS連続観測網データを用いた,GPS可降水量の連続同化実験を
行った.
まとめ