本文 - J

Transactions of JSCES, Paper No.20100011
均質化法による複合材のクラッシュ解析*
(その1;大変位弾性問題への適用)
Crash Analysis of Composite Materials by Homogenization Method
Part 1; Applications for Large Displacement Elastic Problems
仲村岳 1,弓削康平 2
Gaku NAKAMURA and Kohei YUGE
1
2
成蹊大学大学院工学研究科(〒180-8633 東京都武蔵野市吉祥寺北町 3-3-1)
成蹊大学理工学部(〒180-8633 東京都武蔵野市吉祥寺北町 3-3-1)
The present paper reports an algorithm for crash analyses of composite materials by the homogenization method. According to geometrical properties of some composite materials such as honeycomb material, shell and solid elements are used to discretize the micro- and macrostructures respectively. Then the
updated-Lagrange formulation is employed for both the micro- and macrostructures to deal with large deformations. Microstructural bifurcations are efficiently handled by the branch-switching method with the
approximated bifurcation modes. In our algorithm, homogenized material constitutive equations are used to
update the macro stresses as reasonable alternatives to the microstructural analyses. This enables the algorithm to reduce the inherent cost of the multiscale computations. Numerical examples are presented to discuss the cost-effectiveness of the algorithm compared with those obtained by the direct method, which uses
very fine finite elements. As the results, our algorithm dramatically reduced the cost in particular situations.
Key Words: Homogenization Method, Explicit Time Integration, Crash Analysis, Post Buckling Analysis,
Composite Material, Honeycomb
いる例えば
1.
はじめに
(6, 7, 8, 9, 10, 11, 12)
.
ここでは,周期的で不均質な微視構造を有する複合材の
一例としてハニカム材を取り上げることにする.ハニカム
均質化法は複合材などの力学解析法として発展してき
材は安定したエネルギー吸収特性を有するだけでなく,そ
た.特に漸近展開法に基づく均質化法は微視的な周期性を
の特性を容易に制御できることから自動車の衝突安全性
有する微分方程式の初期値または境界値問題の解法とし
能評価試験で可変形バリアとして用いられている.近年,
て Bensoussan et al.(1)や Sanchez and Palencia(2)によって定式
衝突安全性能は新車アセスメントプログラムにより格付
化されている.このような数学的均質化法によって支配方
けされ,消費者に公表されている(13).そのため,ハニカ
程式をマクロスケールとミクロスケールに分離するマル
ム材のクラッシュ特性を精度良く評価する予測ツールが
チスケール解析法のアルゴリズムを構築できる.そして得
重要であると思われる.このような背景から汎用解析プロ
られた両スケールの支配方程式は有限要素法による解法
グラムの陽解法機能を利用したクラッシュ解析が行なわ
手続きに従って解くことができる.Guedes and Kikuchi(3)
れることがある.このときハニカム材のモデル化手法とし
や Devries et al.(4)は均質化法を工学的な問題へ適用し,有
て,直接要素分割を施す,または材料試験に基づく等価材
限要素法による均質化・局所化の例を示している.均質化
料モデル(14)を利用する,などが考えられる.しかし,前
法の線形弾性問題への適用や発展の歴史については寺田・
者では計算機負荷の高さが問題となる一方で,後者では複
菊池(5)に詳しい.さらに非線形弾性や弾塑性などの材料非
雑な変形を受ける場合の精度が問題となり得る.これら前
線形性,有限変形や接触などの幾何学的非線形性を考慮し
述の欠点を改善し得る方法として,均質化法による複合材
た均質化法の定式化も示され,複合材の非線形力学挙動を
のクラッシュ解析アルゴリズムを提案する.
モデル化する手法として数多くの研究成果が報告されて
ハニカム材やフォーム材などセル状材料の弾性特性や
圧潰特性は解析的または実験的に評価することができる
* 原稿受付 2010 年 06 月 10 日, 改訂年月日 2010 年 07 月 21
日, 発行年月日 2010 年 08 月 12 日, ©2010 年 日本計算工学会.
Manuscript received, June 10, 2010; final revision, July 21, 2010;
例えば (15)(16)
.一方で均質化法によってセル状材料の弾性特
性や座屈分岐挙動が解析され,そのメカニズムが明らかに
published, August 12, 2010. Copyright ©2010 by the Japan Society
なりつつある.斉木らは均質化法により弾性ハニカム材の
for Computational Engineering and Science.
面内微視座屈問題の単位周期構造依存性を検討し(17),群
論的分岐理論によって解析に必要な周期数を示した(18).
や 2 変数収束論(7)を利用する方法が提案されている.ここ
さらに,ミクロスケールを構造要素で離散化する定式化と
では弱形式に 2 変数収束論を適用する均質化法により動
解析アルゴリズムを示した(19).ミクロスケールの離散化
的弾性問題を定式化する.
に構造要素を用いると,従来からのアルゴリズムでは特性
2.1
弱形式
動的弾性問題を Hu-Washizu の 3 変数
場弱形式(33)で定式化する:
変位関数を正しく評価できないことが知られており,これ
を解決するアルゴリズムが開発された.また,大野ら(20)
dP (v e , d e , s e ) = 0, "(d v e , dd e , ds e ),
ìïv e = v e
on G ve ,
ïï
ïï e
e
on G te ,
ít = t
ïï
ïïte = s e n e
on G e .
ïî
は有限変形の均質化法により周期セル状材料が一様なマ
クロひずみで微視的座屈する際に成立する条件を検討し
た.奥村ら(21)は弾性ハニカム材の面内二軸圧縮問題で,
六角形ハニカムの複雑な座屈モードが多重分岐により現
れることを示した.さらに奥村ら(11)は弾塑性ハニカム材
の座屈後解析を行ない,巨視的不安定条件と微視的分岐点
ここで独立な変数は,速度 v e ,変形速度テンソル d e ,応
の関係を数値的に検討し,長波長の微視的分岐点と巨視的
力テンソル s e で, s e = s eT とする.さらに,微視的な周
不安定の開始点が一致することを示した.これら既往の研
期性を有する領域を W e ,その境界を G e := G ve È G te かつ
究対象は面内座屈問題が中心で,ハニカム材の軸方向座屈
G ve Ç G te = Æ とする.ここで, Æ は空集合を示す.また,
を考慮した報告はみられない.
基本境界 G ve 上の既知速度 v ,自然境界 G te 上の既知表面
非線形問題のマルチスケール解析は,マクロ支配方程式
力 t e ,境界 G e 上の外向き法線 n e とする.ただし,d v e は
の残差収束計算毎にミクロ支配方程式の残差を収束させ
G ve 上で斉次とし, d d e , ds e はそれぞれ d d e = d d eT ,
なければならない(7).そのため,この解析手法はシングル
ds e = ds eT と対称な試験関数とする.いま,弱形式 dP を
スケール解析に比べより多くの計算資源を必要とする傾
dP e int, dP e ext, dM e で,
向にある.従って,マルチスケール解析法が実用に耐える
ツールとして普及するためには,計算コストの低減法が重
dP (ve , d e , s e ):= dP e int -dP e ext + dM e ,
要であると考えられる.このような手法として,マクロひ
dP
ずみに対するミクロスケールの応答をデータベース化し
て用いる方法(22),ミクロ問題を少ない自由度で解く方法
(23)
,ミクロ変数を近似的に更新する方法
(24)
e int
:=
dM e :=
利用する方法(25),サブストラクチャ法(26),特性変形モー
ドの重ね合わせにより均質化接線剛性を近似する方法
,
ミクロスケールとマクロスケールを非連成とする方法(28)
が提案されている.また,マクロスケールの要素積分点ご
とミクロスケールが定義される特徴を利用して,分散メモ
リ型の並列計算機を利用して効率的にマルチスケール問
題を解析する方法も検討されている(29).
òW
e
e
dP e ext :=
,感度解析を
(27)
(1)
òW
òW
e
e
d d : s(d )dW e
(2)
òW d [s :{d -d(v )}]dW,
r e b e ⋅ d v e dW +
e
e
e
e
òG
e
t
t e ⋅ d v e dG ,
r e v e ⋅ d v edW.
(3)
(4)
(5)
と定義する.ここに, r e は密度, d(v e ) は d(v e ):= xS v e と
速度 v e を, s(d e ) は変形速度テンソル d e をそれぞれ変数
⋅
とする.また, () は () の物質時間微分, x はベクトル
演算子で x v e := v e Äx ,xS は xS v e := sym(v e Äx ) ,Ä
はテンソル積,sym() は 2 階のテンソル () の対称部分,d
本報では大変位を updated-Lagrange 形式で扱い,時間積
は変分演算子をそれぞれ表す.なお,式(3)最右辺の被積
分を中心差分法で行う陽解法アルゴリズムを利用する.さ
分項は変分演算を施す前である.さらに,外力は全て物体
らに弾性ハニカム材の座屈後解析を行うために,Fujii and
の変形に依存しないものとする.各変数は特に断りがなけ
Noguchi (30)による LDLT モード法を用いることにする.ミ
れば現在時刻 t を参照する.
クロスケールの離散化には Belytschko et al.(31)による一点
2.2
均質化法
非均質領域 W e の微細な y 周期性
積分シェル要素を,マクロスケールの離散化には Flanagan
により, W は単位周期構造を抜き出したミクロ領域 y と
and Belytschko(32)による一点積分ソリッド要素を用いる.
均質なマクロ領域 W で表され,
e
これら一点積分要素を利用することで,計算時間と必要メ
モリを低減できるだけでなく,体積ロッキングやせん断ロ
W e := W´ey
(6)
ッキングを回避することができる.また,マクロ時間ステ
ップに対してミクロ平衡方程式を解く頻度を調節し計算
とすることができる(Fig.1).さらに,ミクロスケール y Î y
コストを軽減する方法を提案する.さらに,均質化法に対
をマクロスケール x Î W とスケール比 e で,
してハニカム材を直接要素分割する方法を参照解として,
アルゴリズムの精度や計算効率について議論する.
2.
定式化
微視的周期性をもつ非線形力学問題の均質化法による
定式化は,漸近展開法例えば
(6)
,Hill による仮想仕事式(20)
y := x / e,
(7)
と定義する.このとき,次のように定義される 2 変数収束
論(34)を利用する:台が W のコンパクト集合である周期的
で滑らかな試験関数 j(x, x / e) が任意に定められ,
t G
W
òy s
e
y := x / e
òy [d
xi
Heterogeneous structure
(12)
t G v
y
0
-(xS v 0 +yS v1)]: ds 0dy = 0, "ds 0 (y),
(13)
òy [s
W
yi
: yd v1dy = 0, "d v1(y),
Homogenization
0
0
- s(d 0 )]: d d 0dy = 0, "d d 0 (y),
(14)
とミクロ領域で成立する変分方程式を得る.さらに,ミク
xi
ロ領域における実変位速度 w を,
w (x, y):= (x v 0 )y + v1,
Microstructure
Macrostructure
Fig.1 Schematics of homogenization method
(15)
と定義すれば,式(13)(14)よりミクロ領域における変形速
1
lim
v e (x)j(x, x/e)dW=
e0 W
W |y|
ò
ò
òy v (x, y)j(x, y)dy dW,
0
e
(8)
度テンソル d 0 および Cauchy 応力テンソル s 0 はそれぞれ,
d 0 (x, y) = yS w ,
0
が成立するとき,「関数列 v (x) は, v (x) に 2 変数収束
0
s (x, y) = s(d ),
する」という.このとき, xv e (x) は xv 0 (x)+yv 1(x, y)
に 2 変数収束する.ここに,v 1(x, y) は 1 階の微分までが 2
乗可積分なソボレフ空間に属する y 周期関数である.また,
(16)
0
(17)
となる.再び,式(9)(10)(11)に 2 変数収束を適用して,試
験関数を dv 0 (x) , dd(x) , ds(x) と適当に定めれば,
関数の台とは,関数値が 0 とならない変数値の集合を含む
最小の閉集合である.以下,各変数が属する適切な関数空
(7)
間については文献 に譲りここでは明示しない.
非線形均質化問題における 2 変数収束は,適当な汎関数
òW (s : xdv + r v ⋅dv )dW
= ò r b ⋅ d v 0 dW + ò
W
G
0
0
0
t ⋅ d v0 dG , "d v0 (x),
t
ò
(全ポテンシャル)の存在を仮定する G 収束論(または
éd -áyS w ñù : dsdW = 0, "ds(x),
û
Wë
適当な作用素の存在を仮定する H ,G 収束論)により示さ
òW éës -ás(d )ñùû : dd dW = 0,
0
れる(34).一般に亜弾性体はポテンシャルをもたないが,
(18)
(19)
"dd(x),
(20)
大変位微小ひずみの仮定が成立する場合にはポテンシャ
ルの存在が示唆されている(35).従って,本報ではミクロ
とマクロ領域で成立する変分方程式を得る.ここに,
領域において大変位微小ひずみの仮定が成立するものと
d :=ád0 ñ , s :=ás 0 ñ とおいた.式(19)(20)よりマクロ領域
して定式化を進めることにする.
における変形速度テンソル d と Cauchy 応力テンソル s は,
また,いくつかの条件を満たす非凸汎関数についても 2
変数収束(36)が示され,座屈分岐問題の均質化解析に利用
されている
(18)
.本報でもハニカム材の座屈分岐を扱うた
め,厳密にはこのような定式化に従うべきである.しかし,
d(x) = xS v 0 (x),
(21)
s(x) =ás(d 0 )ñ,
(22)
本アルゴリズムでは後節に示すように分岐点にある程度
となる.ただし式(21)では v1(x, y) の y 周期性を利用した.
近づいた段階で経路切り替えを実施するため,残差収束の
さらに r を密度の体積平均として,
得られた平衡経路上では接線剛性が正定値性を回復し,従
r (x):=ár(x, y)ñ,
って全ポテンシャルもまた凸性を回復していると考えら
れる.このような前提に基づき,ここではポテンシャルの
非凸性については論じないことにする.
とする.ここに, á·ñ:=|y |-1 òy ·dy とし, v 0 はマクロ加速
度, t は既知の表面力をそれぞれ表す.
さて,弱形式(1)は,
2.3
òW
e
e
e
e e
e
òW
e
r e b e ⋅ d v e dW +
òW [d
e
òW
e
e
òG
e
t
(9)
t e ⋅ d v e dG , " d v e ,
ミクロ平衡方
e
形化する.まず変形後の時刻 t > t においてミクロ平衡方
程式が成立しているものとし,式(12)左辺を,
- d(v e )]: ds e dW = 0, "ds e ,
e
ミクロ平衡方程式の線形化
程式(12)を Newton 法による反復計算で解くことを考え線
(s : x d v + r v ⋅ d v )dW
=
(23)
(10)
e
[ s - s(d )]: d d dW = 0, "d d ,
e
(11)
t
dR :=
òy
t
t
s 0 : t yd v1 t dy,
(24)
とする.ここでは各変数左肩の添字で時刻を表すことにす
とそれぞれの試験関数について表すことができる.これら
る.t dR を現在時刻 t の周りに 1 次の項まで Taylor 展開し,
1
式(9)(10)(11)に 2 変数収束を適用して,試験関数を dv (y) ,
dd 0 (y) , ds 0 (y) と適当に定めることで,
t
dR + DDw t dR = 0,
(25)
と Newton 法の反復基礎式を得る.ここに DDw (·) は,Dw
を定義することにする.まず,式(27)を体積平均してマク
に関する (·) の方向微分を表し, D(·) は時刻 t から t にお
ロ Cauchy 応力の Jaumann 速度 s J を,
ける (·) の増分を表す.従って,
t
DDw dR =
òy
t
[( t T
t
0
s J :=ás 0 ñ,
t
0
1
+ I  t ): Dd ]:( yd v )
t
dy
t
oJ
,
(26)
と仮定する.従って,式(32)に式(16)(27)(31)を代入し,
s J (x) =  J (x): d(x),
となる.ここに, I  t は直交座標系を参照した成分で
(I  t)ijkl = dik t jl と表される
.いま, otJ
(37)
0
0
0
0
t := J s は t (x, y) = t(d ) と d の関数として表される.
と均質化された亜弾性構成則を得る.ここに,均質化構成
テンソル  J を,
そこで,亜弾性体の構成則を用いてミクロ Kirchhoff 応力

の物質時間微分を表すことにする.ここでは,ミクロ
Kirchhoff 応力の Jaumann 速度 tJ 0 とミクロ変形速度テン
ソル d 0 の間に,
tJ 0 (x, y):=  J (x, y): d 0 (x, y),

J
(33)
をミクロ領域の
体 積 変 化 率 と し て , 式 (17) よ り ミ ク ロ Kirchhoff 応 力
0
(32)
(28)
と等方の亜弾性構成則を仮定する.ここに, k, m は Lame
の定数, ( sym )ijkl := (dik djl + dil djk )/2 である.以上より式
(26)の T は,
(x):=á J :(I  I -y c )ñ,
(34)
と定義した.
有限要素離散化
3.
(27)
:= kI Ä I + 2m sym ,
J
3.1
ソリッド要素によるマクロスケールの離散
化と陽的時間積分法
マクロスケールの離散化には
(32)
Flanagan and Belytschko
らによる 8 節点アイソパラメト
リック 6 面体要素を用いる.この要素はひずみを要素内の
体積平均値として評価する低減積分要素である.そのため,
T

0
J
0
=  - I  t - t  I,
(29)
計算効率が良いこと,せん断ロッキングや体積ロッキング
を起こしにくいこと,などの特徴から汎用陽解法コードの
と表すことができる.さらに線形化ミクロ平衡方程式(26)
デフォルト要素としても利用されている(14).ただし,剛
へ式(15)(16)を代入し, DDw t dR = 0 とおくと,
体変位モード以外の虚偽ゼロエネルギーモード(アワグラ
スモード)を有し,それを抑制する安定化剛性を付加して
ò y [( 
t T
t
+ I  t t): t c ]:( t yd v1)
=
ò y [( 
t T
t
+ I  t t)]:( t yd v1)
t
いる.
dy
t
oJ
t
dy
t
oJ
(30)
,
マクロ平衡方程式の解法には漸化式を繰返し解く陽的
時間積分法を採用する.まず,加速度を,
t
とマクロ変位増分の勾配 Du 0 Äx に関係なく上式(30)が
 I0 =
u
t +Dt
uI0 -2 t uI0 + t -Dt uI0
(Dt )2
,
(35)
成立する. c := cikl ei Ä ek Ä el は特性変位関数と呼ばれ,
と中心差分近似する.ここに, Dt は時間増分を表す.次
t 1
t
t
t 0
v (x, y) =- c (y):[ x v (x)],
(31)
と周期変位速度 v1 を表すことができる.
いま,ミクロ問題はシェル構造を考えているため,大変
位微小ひずみの仮定が成立する.従って,ミクロ領域で
に中心差分式(35)をマクロ平衡方程式(18)に代入して未知
のマクロ節点変位ベクトル t +Dt uI0 について解き,
t +Dt
uI0 =
Kirchhoff 応力テンソルと Cauchy 応力テンソルを t 0  s 0 ,
(Dt )2
MIlmp
( t f Iext - t f Iint )+ 2 t uI0 - t -Dt uI0 ,
(36)
それらの客観速度を s J 0  tJ 0 とすることができ,構成
と漸化式を得る.上式では I = 1, 2, , n について和をとら
T
テンソルの主対称性  ijkl
ない.ここに, n はマクロスケールの全節点数, MIlmp は
T
=  klij
(35)
ャルの存在を仮定できる
2.4
と J  1 より弾性ポテンシ
集中質量行列, fIext はマクロ節点外力, f Iint はマクロ節点
.
均質化構成テンソル
マクロ平衡方程式
(18)を陽解法によって解く場合には,マクロ接線剛性行列
を作成する必要がない.従って均質化構成テンソルを求め
る必要もない.しかし,後述のようにミクロ平衡方程式を
解かずにマクロ応力を評価する場合,均質化構成テンソル
が必要となる.ここではミクロ応力の客観速度
s
0
:= s
J 0
t
J 0
を体積平均することでマクロ構成則
内力を表し,
d vI0 ⋅ t fIint :=
d vI0 ⋅ t fIext :=
òW
t
t
òW
t
t
s : t x d v 0 t dW,
(37)
òG
(38)
r t b ⋅ d v 0 t dW +
cst t 0
J :=
d vI0 ⋅ MIJ
u
òW
t
t
t
t
t ⋅ d v 0 t dG ,
t
r t v 0 ⋅ d v 0 t dW,
(39)
よりそれぞれを定義する.ただし集中質量行列 MIlmp を得
cst
るために,整合質量行列 MIJ
4
の行成分を足し合わせ対角
ŷ 3
項とする方法を採用する(38).即ち,
MIlmp :=
n
å
cst
MIJ
,
1
(40)
ê 3
ŷ2
q̂2
q̂1
ê2
ê1
ŷ1
2
J =1
Fig.2
とする.また,陽的時間積分法では時間増分 Dt に安定上
B.T. shell element
限,
æl
Dt £ a min ççç e
e =1 ç
èc
ne
が課される
(33)
ö÷
÷÷,
÷
eø
となる.従って,実変位増分 Dw に関する周期境界条件は,
(41)
式(15)(44)より,
Dw(x, y+ ) = Dw(x, y- )+[Du 0 (x)Äx ]y,
.ここに, le は要素代表長さ, ce は応力波
の伝播速度, ne はマクロスケールの全要素数, a は安全
(46)
となる.上式(46)を用いてミクロ平衡方程式を解く.ここに,
係数で 0.6  0.9 程度である.
y := y+ - y-,
3.2
シェル要素によるミクロスケールの離散化
ミクロスケールの離散化には Belytschko et al.(31)による 4
節点アイソパラメトリックフラットシェル要素(B.T.シェ
ル要素)を用いる.この要素も Flanagan and Belytschko の
ソリッド要素と同様の 1 点積分要素である.陰解法におけ
る定式化および解析例は都井ら(39)に詳しい.また,この
要素は Fig.2 に示すような要素座標系をもち,1 節点あた
りの自由度は並進 3 自由度と回転 2 自由度の計 5 自由度で
とした.
構造要素では応力もまた仮定した変位場の影響を受け
る.B.T.シェル要素では Mindlin-Reissner の仮定により面
外せん断応力はシェル厚み方向に一定となる.このような
連続体力学との不整合から,応力の体積平均に式(22)をそ
のまま用いると正しい結果を得られない.ここでも斉木ら
の方法(19)に従い応力の体積平均を,
ある.要素内の実変位増分 Dw は Mindlin-Reissner の仮定
s(x) =
に従い,
Dw := Dw -yˆ3 t ˆe3 ´Dq,
(42)
となる.ここに, ˆei は要素座標系の基底, Dw は要素中
心面での並進実変位増分,Dq は回転増分に関する軸ベク
トルをそれぞれ表す. Dw , Dq および要素中心面の形状
は双 1 次のアイソパラメトリック形状関数 N I (I = 1, , 4)
を用いて内挿される.また,全体座標基底 ei から要素座
標基底 ˆei への座標変換行列 Tij を,
t
Tij := t ˆei ⋅ e j ,
1
|y |
òG
y Ä t0 dG ,
(48)
y
とミクロ領域の周期境界 G y における表面力ベクトル t0
を面積積分して平均応力を評価する.このときミクロ平衡
方程式(12)が満たされているので y ⋅ s 0 = 0 を利用した.
また,均質化構成テンソル  J についても式(34)で評価す
るのではなく,式(33)より単位のマクロ変形速度テンソル
を与えたときに得られる応力増分を式(48)のように体積
平均して評価する.
4.
(43)
数値解析アルゴリズム
均質化法による複合材のクラッシュ解析アルゴリズム
と定義する.
変位増分の仮定式(42)は表現できる変位モードが限ら
れている.そのため周期境界条件の適用と応力の体積平均
の手続きは連続体要素を用いた離散化とは別の方法で実
装する必要がある.本研究では以下のように斉木らの方法
(19)
(47)
に従う.即ち,周期境界条件を実変位について表し,
線形化ミクロ平衡方程式(25)を解く.いま, x , y におけ
る要素中心面の周期変位増分と回転増分ベクトルをそれ
ぞれ, Du1(x, y) , Dq(x, y) とすると,ミクロスケールの
周期境界上 y+ , y- 間における周期境界条件は,
を Fig.3 に示す.まず,解析モデルのデータを入力し,均
質化構成テンソル o  J を計算する.さらに式(23)により平
均密度 o r を求め,式(40)で集中質量行列 MIlmp を計算する.
o J

, o r および le から式(41)により時間増分 Dt を推定す
る.次に漸化式(36)によりマクロ変位増分 DuI0 を求める.
ミクロ解析を実施する場合には,得られた DuI0 からマク
ロスケールの積分点におけるミクロスケールの一様変位
増分を計算する.一様変位増分を初期値として,実変位増
分に関する周期境界条件式(46)により式(25)を繰り返し解
く.このときミクロ節点座標を更新し,残差力ノルムを評
Du1(x, y+ ) = Du1(x, y- ),
(44)
Dq(x, y+ ) = Dq(x, y- ),
(45)
価する.残差力ノルムが十分に小さくなったところで式
(48)によりマクロ Cauchy 応力 s を計算する.次に,マク
ロ節点座標を更新し,マクロ節点内力を計算する.このよ
うに,マクロ平衡方程式の解法に時間ステップ内での非線
Input model data
形性が小さいことを仮定する陽的時間積分法を採用する
Compute homogenized constitutive
tensor
と,均質化構成テンソルを必要としないアルゴリズムを構
築できる.
Compute lumped mass matrix
シェル構造では飛び移り座屈や分岐座屈により顕著な
剛性低下を呈することがしばしばある.このような平衡経
Compute time increment
路上の分岐点では接線剛性行列が特異となる.従って,連
立 1 次方程式を解く Newton 法では収束解を得られないこ
Compute displacement t +Dt uI0
とがある.このような問題を回避する方法として,初期不
No
正を与え分岐点を極限点に置き換える方法と,分岐点にお
Yes
Solve MICRO eq.?
ける分岐座屈モードを調べ安定な分岐経路へ解を誘導す
Compute increment of
0 t
t
uniform displacement (DuI Ä x) yI
る方法が考えられる.続報で解析する弾塑性問題が経路依
存であることを考慮すると,前者の方法は初期不正の与え
Solve tangent stiffness eq.
方に解が依存することになる.そこで,本報では後者の逐
Compute LDLT mode
次分岐座屈モードを調べる方法を採用することにする.分
T
岐解析には Fujii and Noguchi(30)による LDL モード法を用
Bifurcation
point ?
No
Yes
T
いて近似的に分岐座屈モード得ることにする.LDL モー
ド法は,接線剛性方程式の修正 Cholesky 法による求解過
程で得られる下三角行列 L および対角行列 D から分岐座
Compute macro deformation rate
& continuum spin tensor
Update MICRO stress t +Dt s0
Update nodal coordinate
屈モードを近似する手法である.そのため接線剛性行列の
固有値解析を必要とせず,分岐座屈モード抽出のための追
Residual norm
converge ?
加計算負荷も後退代入のみと少ない.分岐点の判定は,常
に対角行列 D の成分を監視することで行う.少なくとも 1
T
つの対角成分が Dii £ 0 となったところで,LDL モード法
Update MACRO stress with
homogenized constitutive tensor
t + Dt
s = s( t s,  J , DuI0 )
No
Yes
Compute homogenized stress
t +Dt
により固有モード fI を近似的に計算する.分岐点では座
屈モード fI とミクロ構造周期境界上の内力 fI0 は直交し
s = á t +Dt s 0 ñ
Compute homogenized
constitutive tensor t +Dt J
fI ⋅fI0  0 が満たされる(40).ただし,計算誤差や厳密な分
岐 点 か ら の ず れ に 対 す る 許 容 値 を 0.1 と し て ,
|fI ⋅ fI0 | £ 0.1 を分岐点の判定条件式として用いる.これら
Update nodal coordinate
2 つの条件式が満たされたならば,分岐点における経路切
Compute internal force
り替えを次のように実施する.まず,得られた LDLT モー
Update time
ドをそのノルムで正規化し,1/1000 程度にスケーリングす
る.これを変位増分として与え,分岐後の経路へ誘導する.
No
このように提案アルゴリズムでは,通常の平衡経路探索だ
Termination time ?
Yes
けでなく,分岐経路への移行にも変位制御法を用いている.
Terminate
陽解法における安定時間増分は式(41)からわかるよう
Fig.3
に非常に小さな値となり得る.そのため,マクロ解析の時
Algorithm for multiscale analysis
間ステップ毎にミクロ平衡方程式を解くことは,実用的な
立場からは現実的でない.そこで,マクロ時間ステップで
静的な問題で計算精度を検証する.5.2 節ではマクロ時間
適当な周期においてミクロ平衡方程式(12)を解くことを
ステップの N ステップに 1 回の頻度でミクロ平衡方程式
提案する.ミクロ平衡方程式を解かない間は Fig.3 に示し
を解く場合について,その計算精度と計算効率を検証する.
たように,均質化構成テンソル  を利用した式(33)をマ
さらに,5.3 節では動的な問題で検証するため,前述のモ
クロ亜弾性構成則としてマクロ応力を更新する.このとき,
デルに衝撃荷重を与えた解析例を示す.
J
直前のミクロ解析で評価した均質化構成テンソルを利用
する.また,ミクロ問題を解く周期は実験的に決めること
にする.
5.1
毎ステップミクロ解析を実施する場合
解析例として Fig.4 に示すような,ヤング率 E = 70[GPa] ,
ポアソン比 n = 0.3 ,密度 r = 2680[kg/m 3 ] のハニカム材を
直接要素分割し,軸方向に圧縮する問題を考える.これを
5.
ハニカム材の軸圧縮解析例
LS-DYNA の陽解法機能を利用して解析した.本報ではこ
のような解析法を直接法(D.M.)と呼ぶことにする.モ
ここでは提示したアルゴリズムの有効性を検証するた
デルは 1 辺 le ,厚み te の正 六 角形ハ ニカ ム 構造を
めに,ハニカム材の軸圧縮解析を行う.まず,5.1 節では
t e /l e = 0.04 として W×W×H = 1[m] × 1[m] × 0.5[m] の
LS-DYNA の陽解法機能による解析結果を参照解とし,準
直方体領域に配置した.このハニカム構造をモデル化する
H
H
x3
W
Fig.4
W
W
W
x2
Fig.5 Macro model for
H.M.
x1
Model for D.M.
x3
x2
x3
x2
x1
(disp.) ´ 5
x1
Fig.7 Representative deformation mode by D.M.
l
y2
y3
t
y1
y3
h
y2
y1
Fig. 6 Micro model for H.M.
y3
y2
y3
ために,およそ 6´105 の B.T.シェル要素を用いた.境界条
y1
Fig.8
件は,底面を完全拘束し,上面は x 3 軸負方向に一定の強
y2
y1
(disp.) ´ 5
Representative deformation mode by H.M.
制速度 v を v / H = 0.2 [-/sec] と与え,それ以外の自由度
を全て拘束した.次に均質化法(H.M.)で解析されるマ
分岐点を通り過ぎてから,前述の低次モードで分岐経路へ
クロ構造を Fig.5 に示す.マクロ構造は一様な変形モード
飛び移ったと考えられる.一方で均質化法におけるミクロ
を仮定して 4 要素でモデル化した.マクロ構造の境界条件
平衡方程式は準静的に解かれている.このとき,現在の平
は直接法と同様に与えた.また,ミクロ構造は Fig.6 のよ
衡点近傍に特異点が現れ次第,経路切り替えを実施するた
うに,一辺の長さ l ,厚み t の正六角形ハニカム構造の周
め,分岐点を通り過ぎなかったと考えられる.
期領域を取り出すことにした.このとき, t /l = 0.04 ,
5.2
N ステップ毎にミクロ解析を実施する場合
h /l = 1.25 とし,h /l 直接法による座屈波長より推定した.
ここでは,マクロ時間ステップの N ステップに 1 回の頻
ミクロ領域の要素分割は y 3 方向に 6 分割し,正六角形の 1
度でミクロ平衡方程式を解いた例を示す.ミクロ解析を省
辺を 4 分割した計 72 要素とした.また,直接法と均質化
く間は均質化構成テンソルを利用し,マクロ Cauchy 応力
法のスケール比は l e /l = 0.025 とした.
テンソルの Jaumann 速度とマクロ変形速度テンソルの間
直接法と均質化法による変形モードを Fig.7,Fig.8 に示
に構成則を仮定することでマクロ応力を更新する. N を
す.それぞれの変形図は d / H = 0.002 における変位を 5 倍
1, 50, 100 と変化させ,計算精度と計算時間の低減効果に
に拡大して描かれている.直接法では Fig.7 に示したよう
ついて検証する.Fig.10 にそれぞれの N で計算された無
な変形モードがモデルのいたるところでみられた.このよ
次元化荷重変位曲線を示す. N が大きくなるに従い,荷
うな座屈変形モードは均質化法によるミクロ領域の変形
重をより過大に評価した.しかし,いずれの場合にもミク
モードと良く一致していることがわかる.
ロ解析を実施後に,同一の分岐経路へと引き戻された.即
Fig.9 に直接法と均質化法によって得られた無次元化荷
ち,ミクロ解析において経路切り替えと残差収束計算を行
重変位曲線をそれぞれ示す.横軸は無次元化軸方向変位で,
うことで,最終的には同じ応力状態が得られたと考えられ
軸方向変位 d をマクロ構造の高さ H で無次元化した.縦
る.Table 1 に準静的問題における均質化法と直接法の計
軸は無次元化荷重で,強制速度による x 3 方向の反力 f を
算時間を比較して示す.均質化構成則を用いたマクロ応力
ハニカム材のヤング率 E と断面積W 2 で無次元化した.直
の近似更新法を用いると, N = 1 で 12.60%, N = 50 で
接法では d / H = 0.0006 で,均質化法では d / H = 0.0004 で
0.25%, N = 100 で 0.12%と N に比例して計算時間が低減
それぞれ座屈が発生し接線剛性が変化している.直接法と
した.
均質化法の荷重変位曲線を比較することで,均質化法によ
5.3
クラッシュ解析例
前節で解析対象とした
る座屈荷重はやや低く評価されたが,座屈点の前後で接線
モデルに,より大きな強制速度 v / H = 19.4 [-/sec] を与え
剛性は直接法と良く一致していることが分かる.
て直接法と均質化法による解析を実施した.応力波の伝播
均質化法による座屈荷重が低く評価された原因として
を捕らえるため,マクロ構造を x 3 方向に 8 分割とし,ミ
は,(1) 直接法で解析するモデルの境界条件を完全に再現
クロ構造は前節と同じモデルとした.Fig.11 にそれぞれの
できない.(2) 時間増分の短い陽解法では物体内を伝播す
解析により得られた無次元化荷重変位曲線を示す.5.1 節
る応力波に低次から高次の振動モードが含まれている.そ
の準静的な解析例と同様に,直接法では一時的に分岐後経
のため自らの低次振動モードに励起されて分岐座屈や飛
路から逸れていることがわかる.無次元化変位
び移り座屈を生じ得る.従って,直接法では慣性力により
d / H > 0.01 では両者の時間平均荷重は良く一致している
Normalized Load f /(EW 2) [-]
1.6E-05
1.2E-05
8.0E-06
D.M.
H.M. (N
(N=1)
=1)
4.0E-06
Normalized Load f /(EW 2) [-]
2.0E-05
2.0E-05
0.0E+00
Comparison of computational time
Loading
Type
Quasi-static
H.M.
Dynamic
D.M.
Quasi-static
& Dynamic
N
Computational
time [%]
1
50
100
1
5
10
12.60
0.25
0.12
19.73
7.40
6.49
-
100.00
H.M. (N
(N=1)
=1)
H.M. (N
(N=50)
=50)
H.M. (N
(N=100)
=100)
4.0E-06
0.0E+00
2.0E-04
Normalized Load f /(EW 2) [-]
Analysis
Method
8.0E-06
0.001
0.002
0.003
Normalized Displacement d /H [-]
Fig.10 Comparison of normalized load displacement
curves for various “N” on quasi static loading
0.001
0.002
0.003
Normalized Displacement d /H [-]
Comparison of normalized load displacement
curves on quasi static problem
Table 1
1.2E-05
0.000
0.000
Fig.9
1.6E-05
1.6E-04
1.2E-04
8.0E-05
D.M.
H.M. (N
(N=1)
=1)
H.M. (N
(N=10)
10)
4.0E-05
0.0E+00
0.00
0.01
0.02
0.03
0.04
Normalized Displacement d /H [-]
Fig.11 Comparison of normalized load displacement
curves for various “N” on dynamic loading
が,異なる固有周期を持っていることがわかる.これはマ
クロモデルの自由度が直接解析モデルより少ないためと
考えられる.本小節における直接法の解析は,アワグラス
座屈や塑性変形など,ひずみが局所化しやすいことが予測
モードにより計算が続行不能となる B.T.シェル要素に代
される.従って,マクロ領域のひずみ勾配が大きな問題で
わり完全積分シェル要素を用いた.この完全積分シェル要
提案アルゴリズムの有効性を検証することが今後の課題
素は B.T.シェル要素の 2 倍程度の計算時間となることが
として残された.さらに,このような問題では計算精度が
数値実験で確かめられた.Table 1 に動的問題における均
ミクロ問題を解く頻度に依存することが考えられる.そこ
質化法と直接法の計算時間を比較して示す.均質化構成則
で,この頻度をマクロひずみ増分の大きさやミクロ問題の
を用いたマクロ応力の近似更新法により,N = 1 で 19.73%,
収束状況などから,マクロ積分点ごと自動的に決定する方
N = 5 で 7.40%, N = 10 で 6.49%と N を増やすことで計
法などが対策として考えられる.これらアルゴリズムの実
算時間が低減した.ただし, N = 10 のときミクロ実変位
装やその検証については今後の課題となる.
増分が過大になり Newton 法の反復回数が増加したことで,
計算時間の低減効果が飽和した.
6.
参考文献
まとめ
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化および解析アルゴリズムと解析例を示し,その有効性を
検証した.提案したアルゴリズムでは,マクロ時間ステッ
プに対してミクロ解析の頻度を抑え,ミクロ解析によるマ
クロ応力評価の代替として,マクロ構成則を均質化法の枠
組みで仮定した.その結果,弾性問題では直接法と比較し
て高い計算精度と計算効率を両立できることを確認した.
ここで示した数値例は領域内でほぼ一様なひずみ分布
となった.しかし,実際のクラッシュ解析では,局所的な
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