「モデル化とシミュレーション」の教材

兵庫教育大学
2005.1.22
正司和彦
「モデル化とシミュレーション」の教材
[出典] 中野勝之 正司和彦 2001,教科情報「モデル化とシミュレーション」の教材開発,
日本教育工学会研究報告集,JET01-6,pp.35-42
参考文献
正司和彦 2000,教育におけるモデリングとシミュレーション;岡本敏雄編著,インター
ネット時代の情報工学2,森北出版
正司和彦,高橋参吉「モデル化とシミュレーション」
(専門教科情報教科書)
,実教出版
1 生徒の認識的視点からの教材
(1) 旅行計画を立てる[A1]
学校から千キロ前後離れた都市を一つ選び、その都市への旅行コースをシミュレーション
から計画しよう。
<行き先と目的を決める><モデルに含める構成要素と制約条件を決める>
<構成要素を比較しやすいモデル表現を選ぶ>
(
(
)
札幌
(
)
(
(
)
(
)
)
(
(
)
(
)
合計
札幌
鹿児島
金沢
鹿児島
萩
)
(
(
)
) (
)
(
新潟
東京
鹿児島
大阪
福岡
)
鹿児島
)
高知
鹿児島
鹿児島
図1 安価に行くモデル
図2 各地の観光を楽しむモデル
<シミュレーション>
作成されたモデル表現をもとに、いくつかの代替案を見つけ、比較検討する。
各自でルートを探しスケジュールを立てる。
<モデルの妥当性の検討>
スケジュールに無理、現実に合わない点はないか、検討する。
<意思決定> 最終的に一つの計画を選ぶ(意思決定する)
。
(2) 用意すべき釣銭の額と減り具合を予測する[A2]
自動販売機の設置に伴い,利用者の入金パターンを想定しながら,準備すべき釣銭の額
を予測し,釣銭切れによる販売機会の損失を防ぐ。
1000
890
390
400
3
2
30
860
360
200
4
2
30
830
330
0
5
3
0
830
330
6
1
80
750
250
日数 釣銭残金1
21
80
19
1
17
600
2
15
470
13
970
11
30
9
2
7
800
1
5
500
3
1000
釣銭残高
1200
1
購入者番号 金の出し方 釣銭 釣銭残金1 釣銭残金2
釣銭残金2
図3 自動販売機の中の釣銭残高
1
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2005.1.22
正司和彦
2 モデル化の科学的視点からの教材
(1) 機器の操作[C2]
①自動販売機でジュースを買うときの人の動作をフローチャートに表してみよう。
②身の回りにある機器,例えばビデオデッキの動作をブロックダイアグラムで表してみよう
巻き戻し
カセットの挿入
一時停止
再生
停止
カセットの取り出し
貯金金額
早送り
利息
図4 ビデオデッキの動作
(2) 貯金のモデル[C3]
利率
1: 貯金金額
1:
600.00
ある銀行に 300 万円預金している。
年初頭に2%の利息がつく。貯金金
額の変化をモデル化せよ。
1
「貯金金額」が蓄積量,
「利息」が変化量となる。
利息=0.02×現在の貯金金額
変化量=利息
数式モデルは次のようになる。時間間隔は
1(年)として計算する。
変化後の貯金金額=
現在の貯金金額+変化量×時間間隔
(3) 工場の製品の状態[C5]
1:
450.00
1
1
1
300.00
0.00
1:
7.50
15.00
グラフ 1 (名称未設定)
22.50
30.00
23:16
年
2001年10月8日
図5 預金金利の変化モデル
ある工場では,模型飛行機を製作している。製品の検査のために 100 個の標本を抽出して調べ
た結果,合格したものが 60 個,不合格であるが再加工することで合格となるものが 30 個,そし
て不合格のものが 10 個であった。模型飛行機の製作過程での製品の3つの状態を 10 日間シミュ
レーションしてみよう。ただし,工場では1日 500 個の模型飛行機を製作しているものとする。
1
1
合格
個数
再加工
不合格
400
0.6
300
0.4
200
0.3
100
0.1
0.1
合格
再加工
不合格
合格
再加工
不合格
相対度数分布
0
1
3
5
7
9
11
13
15
17
19
21
23
25
27
29
日
累積分布
図6 模型飛行機の製品管理
2
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正司和彦
兵庫教育大学
(4) インフルエンザの流行[D2]
インフルエンザは,感染者と非感染者が接近した機会を通して感染し発病する。そして,回復し
た後は免疫を得る事により再び感染することはない。このような伝染性のあるモデルを作りたい。
図7 インフルエンザの流行
(5) 部屋の暖房[E1]
ある暖房装置を設置した部屋には頻繁に人の出入りがある。人の出入りによって部屋の温度
がどのように変化するであろうか。様々な状況での温度変化の様子を調べるためにモデルを
作ってみよう。
1: 部屋の温度
部屋の温度
1:
温度流出量
温度上昇量
20.00
1
1
30.00
45.00
1
1
外気温度差
温度流出定数
熱効率
1:
10.00
1:
0.00
温度流出係数
温度差
外気温度
目標温度
ドア開閉
RND
0.00
15.00
グラフ 1 (名称未設定)
分
0:28
60.00
1999年10月2日
図8 人の出入りによる室温の変化
(6)水利用[E2]
水利用に関するデータをもとに,水使用量の予測モデルを作り,家庭で水節約活動をしたと
きに,地域全体の水使用にどのような効果を及ぼすかをシミュレーションで調べてみよう。
1: 節約分
1:
2: 節約分
1.00e+008
節約しない場合
1
1:
1
1
1
2
節約した場合
5.00e+007
2
2
1:
2
0.00
10.00
15.00
20.00
グラフ 1 (名称未設定)
図9
年
25.00
2:03 午後
30.00
200 0年 7月 21日 金
節水活動の効果
3