2010年研修レポート(フィンランド)

2010 年度イアエステ研修レポート
第一部:研修報告
1. 研修の概要を A4 判用紙 1 枚以内にまとめよ。
まず、はじめに、派遣先の Innomedica, Ltd(インノメディカ)の業務について説明させていただきます。
インノメディカはライフサイエンス業界の国際ビジネス展開をサポートさせており、日本とヨーロッパ間のビジネ
ス展開サポートと市場開拓を専門としています。
インノメディカが提供しているサービスには、ビジネス開発、ライセンス、パートネーリング、現地代理店アレン
ジメント、市場調査、国際事業戦略コンサルティングやプロジェクトマネージメントなどが含まれています。
このように、インノメディカは日本とフィンランドあるいはヨーロッパと架け橋となる数少ないコンサルティング
会社で、日本との結びつきが非常に強いです。
そのなかで、私が行った主な業務は、

日本のバイオサイエンス・製薬業界における現状のマーケットリサーチと 1 時間に渡るプレゼン

ヨーロッパあるいは日本でのバイオサイエンス関連のイベントに参加している企業の情報収集

現地大学が開発した新しい技術のマーケットでの価値の解析

ある現地企業の商品のアンケートの日本語への翻訳

ある企業から依頼されたマーケットリサーチ

インノメディカ Web ページの日本語版の作成

ライバル会社に関する情報収集

ある特定国における顧客となり得る企業の情報収集

電話対応

会議への参加とその補助

バイオサイエンス関連のイベントへの参加と補助

他の従業員が取りかかっているプロジェクトの補助
その他にも、簡単な雑用なども含まれています。
このように、日本に関わる仕事も多く関わったうえ、急遽顧客から依頼されたプロジェクトもありました。それぞ
れの仕事に目立った共通性はありませんが、適応性とその専門分野での理解を求める仕事がほとんどでし
た。
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2.まとめとして、研修内容・及び派遣国での生活全般について A4 判用紙 4 枚以内に具体的に記述せよ。
(研修日誌、テクニカルレポートや単位認定用のレポートの内容を含んだもの)
フィンランドについて

基本データ
フィンランド共和国(Suomen tasavalta)
首都: ヘルシンキ(Helsinki)
人工: 532,6 万
面積: 338,2km2
公用語: フィンランド語
フィンランドは「フィン人の国」と
いう意味、スオミはフィン人の自称
とされている。スオミの語源につい
ては多くの説が提唱されており定
説はない。
「フィン」についてはタキトゥス
が残した「北方に住む貧しいフェン
ニ人」の記述が最古のものである。「
スオミ」については古くはフィンラ
ンド南西端、バルト海沿岸にある都
市トゥルクを中心とする限られた地域を指す単語であったのが、後に国土全体を指す
単語に変容し、そこに住んでいたスオミ族の名が後にフィンランド語の名称になった。
トゥルク周辺は現在では「本来のスオミ(Varsinais-Suomi)」と呼ばれている。
歴史的な背景を見ていくと、フィンランドは隣国スウェーデンやロシアからの統治を受け、20 世
紀になって、ようやくその独立を獲得した。スウェーデンによる長い統治時代(1155~1809 年)か
らスウェーデン語も公用語となっており、ロシアによる統治(1809~1917)では首都がスウェーデ
ン寄りのトゥルク(Turku)からヘルシンキに遷都した。ロシア革命に乗じて、フィンランドは 1917 年
首都であるヘルシンキから数十 km 離れていくと、針葉樹林および落葉樹林が多く分布し、大小
合わせて、国内で約 56000 もの湖が点在し、緑と水に溢れた国とも言える。そのため、公園や庭
で、リスや野ウサギなどの小動物を頻繁に見かけることがある。
真夏日における日照時間は非常に長く、朝の 2 時までは日が完全に沈まない。逆に、冬におい
ては、短く昼の 3 時には沈んでいる。
北極線以降からは、冬の間、オーロラを見かけることができ、北方の都市、ロヴァニエミ
(Rovaniemi)ではサンタ・クロースが北極点から引っ越して、住み着いたと言われるサンタ・クロー
ス村が存在する。
ヘルシンキも隣国との交通の要となっており、たった数時間で隣国のロシア・エストニアに到着
することができる。フェリーを用いて、スウェーデンにも簡単にアクセスすることができる。
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2010 年度イアエステ研修レポート
生活全般について
研修期間における日々あるいは平日のスケジュールは以下の通りで、
時間
行動内容
8:00
起床
9:00
12:00
出社
昼食
13:00
17:00
帰宅
(サウナ・スポーツイベント・バーベーキュー等)
就寝
23:00
滞在先は Aalto University(旧 TKK)キャンパス内の静かな場所で、キッチンン・リビング・トイレを
3 人でシェアするアパートで、それぞれ個人のベッドルームは与えられていました。基本的な調
理道具は全て整っており、週に一回ほど、家政婦さんが部屋を掃除しに来ていました。大学キ
ャンパス内のアパートであるため、海外出身者の学生がほとんどでした。ちなみに、私は二人の
トルコ人と一緒に住んでいました。
会社は、滞在先までバスで約 30 分あるいは自転車で 20 分の距離で、交通便の整ったところで
通勤には問題がありませんでした。少人数で構成されている会社であるため、オフィスは小さく、
大学病院内の一角にありました。部屋と自分専用のパソコン、そして、携帯電話も与えられ、受
け入れ態勢は基本的に整っていました。
会社の同僚達との食事会の風景
会議室
自分あるいは同じ立場にある若手の社員はいませんでしたが、部屋を共同で使っていた男性
社員とはあまり気遣うことなく難なくコミュニケーションとることもできたうえに、世代のギャップは
全く感じられませんでした。その方だけではなく、他の社員や社長もふくめ、ただのインターンと
してでなく、短期間ながらも、一員の社員として扱ってくださり、快適な職場を作ってもらいまし
た。皆さんは、非常に協力的で、なにか問題があるたびに助けてもらいました。
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副社長は日本語が堪能であるため、日本語でよく話すことがありましたが、他の社員とは基本
的に英語で話していました。
全体的に、社員たちも含めフィンランド人は英語が堪能で、コミュニケーションに問題が生じるこ
とは全くありませんでした。そのため、生活していくうえで、フィンランド語が絶対に必要になると
いうことはありませんでした。
会社以外での自由時間は、よく街に出かけたり、買い物することはありましたが、夏(6 月~9 月)
においては、現地イアエステ委員が企画してくれた数々のイベントに参加することがありました。
平日では、主にサウナ・バーベキュー・バーあるいはスポーツ・サッカー鑑賞会で、週末は小旅
行や別の都市のイアエステ研修生との交流会などがありました。現地のイアエステ委員は良い
働きぶりを見せてくれたと思います。
彼らが企画したイベント以外にも、仲間同士で市内への観光、あるいはタリンおよびストックホル
ムへの小旅行、去っていく仲間のための送別会など企画したり、友達と街へ出かけて、飲みに
行くことがありました。
その数々のイベントで得た友達はとても多く、かけがえのない友情を築くことができました。彼ら
が去った今でも、頻繁に連絡しあうことがあります。
イアエステ派遣生とのパーティーの一部
 ラップランド
そのなかでも忘れられない旅行が一つありました。それは、フィンランドの自然と伝統文化の素
晴らしさに触れることができたラップランド(7 月末)への旅行です。ヘルシンキからラップランドへ
は、約 10 時間以上のバスでの道のりでしたが、それにふさわしい価値を見せてくれました。他
の都市(タンペレ・トゥルク・オウルゥ)での派遣生と合流しながらの旅でした。
道中では、よく野生のトナカイが道を塞いだり、周りが緑ばかりでした。ラップランドにあるムステ
ィオに到着してからは、ハスキー牧場への見学そして、初体験であるラフティングも経験しました。
その後はイナリ湖(フィンランド最大)へと出発し、近くにあったサーミ人(先住民)を先祖に持つフ
ィンランド人女性が経営するトナカイ牧場へも訪れました。そこでは、サーミ人の暮らしぶりを一
部、見ることができました。その他に、伝統料理(トナカイ肉料理)サウナ、トレッキング、イナリ湖
のほとりでバーベーキューをしながら、湖にカヌーイングもすることがありました。
ここでも、新しい友情を築くとともに、伝統文化と自然の美しさを味わいながら、忘れることのでき
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ない貴重な時間を過ごすことができました。
イナリ湖での撮影:先頭が私です
この研修を通して、私自身にとって全く新しい分野であるビジネスから多くを学び、ヨーロッパで
の会社の仕組みそして、半年間もフィンランドで暮らすことによってヨーロッパの文化について
多くの理解を得ることができました。はじめは、不安が頭を埋め尽くすほどでしたが、コミュニケ
ーションも上手くとれた上に、以外にも簡単に多くの友達を作ることができました。その背景には、
きっと、長い間英語を勉強したおかげがあると感じています。英語が全く話せない状態であれ
ば、きっと状況は違っていた上に、この研修に応募していなかったかもしれません。
振り返ってみれば、得たものは数えられないほどあります。イアエステに参加して正解だったと
思います。
イアエステに参加しようか、迷っている人たちには、ぜひともお勧めしたい上に、最初は大変で
かもしれませんが、お金には変えられない価値はあります。
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2010 年度イアエステ研修レポート
第二部:アンケート
以下の質問にお答えください。
A. 研修内容について
1.
研修内容は、O-form に記載されていたとおりでしたか。(はい・いいえ)
「いいえ」と答えた場合、どこが違っていたか具体的に記述してください。
2.
就業時間は、O-form に記載されていたとおりでしたか。(はい・いいえ)
実際の就業時間:
3.
全(
8
)時間
週(
5
)日間;( 月 )曜日から( 金 )曜日
研修先から支払われた“滞在費”は、現地の通貨で週いくらでしたか。“滞在費”の内訳と日本円に換算し
た金額と併せて書いてください。
828.5€(90.709,5 円)
4.
研修先から支払われた“滞在費”は、生活するのに十分なものでしたか。(はい・いいえ)
「いいえ」と答えた場合、何にいくらぐらい足りませんでしたか。
物価が高いため、ぎりぎりである上に、節約することもしばしばありました。
5.
“滞在費”はどのように支払われましたか。(例:現金手渡し・銀行振込)
銀行振り込み
6.
研修中の滞在先について、宿舎の形態、周辺地域の環境や治安について詳しく記述してください。
自分も含めて 3 人で、ルームシェアする形で、トイレとキッチンが共同でした。
治安には問題が無く、特に夜は一人で出歩いても問題はありませんでした。
7.
研修中の滞在先(宿舎)から研修地までの通勤について書いてください。(交通の便・手段・費用等)
バスでは 30 分および、自転車では 20 分の距離でした。
8.
研修先での職場環境(人間関係)は良かったですか。(はい・いいえ)
「いいえ」と答えた場合、不満だった点を書いてください。
快適でした。
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9.
研修において、何か特別なプロジェクトに参加しましたか。(はい・いいえ)
「はい」と答えた場合、参加したプロジェクトの内容を詳しく記述してください。
会社が主催する展示会等のイベントへの参加
10. 研修において、あなたの語学力(O-form に記載されている Required Language)は客観的に見て十分だっ
たと思いますか。(はい・いいえ)
「いいえ」と答えた場合、反省点を書いてください。
B. 普段の生活について
1.
研修以外の時間(余暇)はどのように過ごしていましたか。なるべく簡潔に書いてください。
余暇は友達と過ごし、よく出かけることもありました。それに加え、現地の IAESTE 委員が数々のイベントを
平日・週末問わず、用意してくれました。
2.
研修地でイアエステ委員会主催の催しに参加しましたか。(はい・いいえ)
「はい」と答えた場合、参加したプログラムの内容と併せて感想も書いてください。
サウナ・バーベキュー・誕生日会・隣国もしくは国内での小旅行・ワールドカップ観賞会・映画鑑賞会・サ
ッカー・送別会・国内における別拠点の IAESTE メンバーとの交流
3.
研修国で、その国の伝統文化に触れるような機会はありましたか。(はい・いいえ)
「はい」と答えた場合、どのようなものに参加したか、感想も詳しく書いてください。
フィンランド独特のサウナ文化を何度も経験し、IAESTE 委員および会社の同僚達によってその国、伝統
料理を味わうことができた。国内での小旅行で、ラップランドへ行った際に、原住民であるサーミ人の伝統
的な暮らしぶりを見ることができた。
4.
研修国の印象を詳しく書いてください。
湖が数えきれないほどあちらこちらに点在し、街のなかでさえ緑にあふれているほど自然が身近に感じら
れるほど、緑が豊かで美しい国。そして、フィンランド人と日本人の間には、共通点(人見知り、恥ずかしがり
屋等)がいくつかあり、親しみやすかった。他に、日照時間が夏の間はとても長く、朝の 2 時まで明るく、冬
にかけて、少しずつ暗くなり、昼の 3 時には日が沈み始めていた。
5.
研修国で、日本のことについて質問をされましたか。(はい・いいえ)
「はい」と答えた場合、特に印象に残った質問、面白かった質問、あなたが返答に困った質問などがあれ
ば、それにどう答えたかも含めて書いてください。
最近では、外国ではすでに親しまれているアニメや漫画について聞かれることがよくあった。面白い質問
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2010 年度イアエステ研修レポート
として、日本人はイタリアンあるいはソーセージを食べることがあるかどうか、聞かれた。
C. イアエステとの連絡
1.
研修出発前、手続き上何か問題はありましたか。(はい・いいえ)
「はい」と答えた場合、問題点を詳しく書いてください。
ビザの手続きで非常に時間がかかり、出発数日前になってようやく許可が下りた。
2.
研修国入国時に何か問題はありましたか。(はい・いいえ)
「はい」と答えた場合、問題点を詳しく書いてください。
3.
研修国到着後、研修地まで自分ひとりで行きましたか。(はい・いいえ)
「いいえ」と答えた場合、誰と行きましたか。
会社の従業員が空港で出迎えてくれました。
4.
3で「研修国のイアエステ委員会」と答えた場合、イアエステ委員会はどのように関与していましたか。
5.
研修初日、研修先の受入準備体制は万全でしたか。(はい・いいえ)
「いいえ」と答えた場合、何に不備があったか書いてください。
6.
研修期間中、研修国のイアエステ委員会のオフィスへ行く機会はありましたか。(はい・いいえ)
7.
研修先でのイアエステ委員会のオフィスについて書いてください。
① 委員会は何人体制でしたか。
② 研修期間中、委員会との連絡はスムーズに行われましたか。
③ 研修期間中、問題が起こったときに適切な対応もしくは助言をしてくれましたか。
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2010 年度イアエステ研修レポート
D. その他
1.
今回のイアエステ研修を通して、最も良かったと思うことを詳しく書いてください。
まず、会社に短期間ながらも、同じ従業員として扱われながら、フィンランドあるいはヨーロッパの会社の
仕組み、そして、文化について多くを学ぶことができた。それに加え、外国から来た自分と同じような立場の
人たちと交流し、かけがえのない友情を築くことができた点。
2.
研修に関して事前に勉強をして行きましたか。(はい・いいえ)
「はい」と答えた場合、何を勉強し、どう役立ったかを書いてください。
「いいえ」と答えた場合、事前に勉強をしなかった理由を記述してください。
フィンランド語とその文化について少し勉強しました。
3.
研修終了時に、受入企業に研修レポート(Technical Report, Training Diary を含む)を提出しましたか。(は
い・いいえ)
4.
日本出国前に準備しておいたほうが良いと思われることを書いてください。
派遣先の国だけでなく自分の国についても勉強することと、お金をたくさん貯めること。クレジットカードは
絶対に必要になるうえ、便利。語学力も絶対必要、英語のみに限らず、自分の日本語も見なおすことをお
勧めします。
5.
所持金やクレジットカード等、いくらぐらい・どのように持参されたか、また準備が十分であったかを書いて
ください。
給料が月末払いだったので、1 ヵ月分の生活費を現金で持っていきました。
6.
日本から持参した物の中で、特に役に立ったもの、あるいは必要なかったものがあれば書いてください。
日本食をある程度持参することをお勧めします。必ずしも、その国のものが身体に合うかは分からないう
え、食べたくなると思います。味噌は便利です。
7.
来年以降、あなたが派遣された国へ、研修生として派遣される候補生に向けての助言(研修のことだけで
なく、語学面や生活面など、気が付いたことはでくるだけ詳しく)を記述してください。
語学面ももちろん、国によっては治安等に気をつけるべきですが、あまりにも緊張せず、気楽に行って、
仕事も遊びも十分に楽しめればいいと思います。人生に一度しかできない経験なので、外国での生活の
時間を大切にしてください。
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2010 年度イアエステ研修レポート
8.
今後イアエステでの研修を考えている学生の方々へ、メッセージがあればお書きく ださい。
派遣先を決めるまでのプロセスには非常に時間とお金を費やすことがありますが、多くのものを得ること
ができるので、恐れずチャレンジしてみる価値はあります。
ご協力ありがとうございました!
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