総合地下水研究 Study of the Ground Water Management and Mathematical Model 蛯原雅之*1 久保田明博*2 小林滋*3 渡邉暁人*1 野村貢*4 古野貴史*5, 原隆史*6 伊藤一正*7 金子学*7 今西由美*7 Masayuki EBIHARA, Akihiro KUBOTA, Shigeru KOBAYASHI, Akito WATANABE, Mitugu NOMURA, Takashi FURUNO, Takashi HARA, Kazumasa ITO, Manabu KANEKO, Yumi IMANISHI 近年の都市問題、地球環境問題等の解決につながる水循環適正化の一側面として、地下水保全・利用等に関 する検討を行った。地下水利用による地盤沈下の収束傾向に関する統計データを用いた再評価の考え方、大 気・土壌環境の数値予測手法、帯水層利用による都市浸水対策・非常時用水確保等、地下水マネージメント 手法に関連する検討を行い、地下水保全・活用等の観点から新たな水循環管理について提案したものである。 Key word: Ground water, Management, Simulation model, Water resources Management 1.背景と目的 半世紀にわたり地盤沈下対策一辺倒であった地下水 政策が、水資源の有効利用ニーズや管理技術の向上に伴 い、 「健全な地下水の保全・利用に向けて、国土交通省、 H19.3」に象徴されるように、新たな局面を迎えている。 一方、大地の下を広く深く、絶えず緩やかに流れる地 下水は大きなポテンシャルを持つ水資源であり、これを 活用・管理すれば、より合理的で質の高い水循環管理が 可能になるものと考える。また、地下の帯水層は、それ 自体が、特に都市域において豪雨時、渇水時、地震災害 時等の水の危機管理上のクッションゾーンとなり得る。 本稿は、以下の 3 つのテーマを通して、地下水保全・ 活用や帯水層利用の観点から新たな水循環管理のあり 方や手法を提案したものである。 ①地下水利用に伴う地盤沈下現象の考察と今日の課題 ②湿地保全・再生における大気・土壌環境の数値予測 について ③都市の流域対策を主目的とした新しい一時貯留型浸 透システムの検討 2.地下水利用に伴う地盤沈下現象の考察と今日の課題 2.1 はじめに 広域地盤沈下対策を目的とした法律・条令・要綱を遵 守することにより、例えば要綱指定3地域においては、 濃尾および筑後・佐賀では定められた地下水の目標採取 量よりも少なく、また関東平野北部においては目標採取 量まで至らないまでも地下水揚水量が減少してきてい る。地盤沈下対策の施策の結果、地下水位は回復し、大 規模な地盤沈下は沈静化している。 しかし、近年以下に見られるような、地盤変動現象が みられる。 1) 地下水位が回復しているにもかかわらず、日本各地 において年間2cm以下程度の沈下が継続している *1 *3 *4 *5 *7 地域があり、また、同程度の地盤上昇が見られる地 域もある1)。 2) このような地盤沈下(または上昇)現象が発生して いる範囲が必ずしも一定の地域を示さず、経年的に 継続性がみられないこともある。 3) 大規模な渇水(例えば平成6年)の発生により、地 域的に一定傾向のみられない、広範囲の地盤沈下が 発生する。 広域地盤沈下の原因が地下水の利用に起因する限り、 近年の地盤変動(上述の3点)の状況を把握せずには、 施策としての地盤沈下対策や、地下水を水資源として利 用する位置づけが明確化できない。 このように新たにみられる地盤変動現象について、従 来とは異なる視点も加えた整理・表現が必要と考え、昨 年は次の2つの視点について検討を行った。 第一点は、水準測量に基づく地盤変動量の把握方法に ついて、1)測量法に規定される許容誤差、2)水準基 準点に含まれる誤差(不動点扱いとなっている) 、につ いて改めて整理し、水準測量結果に誤差が内在すること を再確認した。第二点は、地盤変動現象の全体像を俯瞰 できる新たな表現方法として、全水準測量結果の頻度分 布および基礎統計量による表示方法を示した。この表示 法は、同一地域(埼玉県全域)における水準測量結果(1 年間の変動量)について、全水準測量結果の統計値(頻 度分布・ヒストグラム)で表現する方法で、具体的に渇 水年(平成6年)と平常年(平成18年)の比較を行い、 それらの地盤変動の特徴を示した。 本検討では、昨年の第二点目の地盤変動を統計値で表 現する方法について、平常年における変動の特徴把握へ 展開し、具体的に過去5年間(平成14年~平成18年) について統計計算を行い、その特性について解釈を行っ た。 東京本社・都市部 Urban Planning Division, Tokyo Office *2 東京本社・河川部 River and Water Resources Division, Tokyo Office 東京本社・地圏環境部 Geo-Environment Division, Tokyo Office 東京本社・道路・交通部 Road & Transportation Engineering Division, Tokyo Office 東京本社・水工部 Waterworks Engineering Division, Tokyo Office *6 東京本社・構造部 Structural Engineering Division, Tokyo Office 本社機構・国土文化研究所・企画室 Research Center for Sustainable Communities, Research Planning Section ,Head office - 63 - 条例による規制範囲 調査対象市町村数 9 12 17 12 8 8 65 ①東部地域 ②中央部地域 ③西部地域 ④北東部地域 ⑤比企地域 ⑥北部地域 計 -0.2 +3.6 神川町 群馬県 -1.4 熊谷市 -2.2 長野 県 N/D -2.3 -0.5 千葉県 -5.1 -5.2 -6.8 さいたま市 -1.9 -6.8 -4.4 -9.0 -4.8 -0.1 -8.0 -5.0 -3.0 -3.0 -3.6 -6.7 -4.0 -2.9 鳩ヶ谷市 所沢市 -3.7 -4.3 -3.4 -3.4 東京都 20km -2.7 N/D -2.0 山梨県 -12.8 -9.7 栗橋町 -5.3 -7.2 -8.1 -8.0 -5.9 -4.7 -7.0 -5.3 -7.0 -5.4 -5.8 -6.8 -0.7 N/D 茨城県 -10.7 -5.7 -2.9 -0.6 飯能市 -14.9 -5.6 -4.7 -7.1 -0.1 ◎ N/D 不動点: 「埼基-1」 -3.3 標高 99.3138m -1.6 秩父市 0 栃木県 -0.2 +2.3 -2.7 条例による規制範囲 図 1 平成 14 年(1月1日~15 年同月同日)の地盤変動量 (図中の数値は市町村に位置する全ての水準点の単純平均地盤 変動量(単位 mm)を示す。熊谷市には江南町を含む。また図 中の波線は、県条例により井戸の揚水量を報告する事となって いる範囲で、表-1 の揚水量の集計範囲を示す。 ) 調査対象市町村数 ①東部地域 ②中央部地域 ③西部地域 ④北東部地域 ⑤比企地域 ⑥北部地域 計 9 12 17 12 8 8 65 -8.4 群馬県 -5.2 -5.9 神川町 -3.7 -3.0 熊谷市 -0.2 -0.5 ◎ -2.3 不動点: 「埼基-1」 +1.3 標高 99.3138m -2.0 -2.3 -3.5 -1.0 -1.0 秩父市 -4.5 -0.7 茨城県 -2.4 -3.1栗橋町 +1.5 +0.8 +3.3 +1.3 -0.3 0.0 +0.4 +2.0 +0.8 +2.2 +3.5 +3.0 -2.7 -1.0 +5.8 -4.8 千葉県 -0.4 -2.0 +1.5 -0.6 さいたま市 -1.3 -2.5 +1.0 +4.2 +3.2 -2.6 +1.6 +3.0 +2.8 +5.7 +2.2 +0.2 +5.0 +2.5 -2.2 鳩ヶ谷市 +4.7 所沢市 山梨県 20km +0.4 +1.3 +0.4 +2.2 +1.0 0 栃木県 +0.7 -1.0 -0.8 飯能市 東京都 図 2 平成 15 年(1月1日~16 年同月同日)の地盤変動量 (図中の数値は市町村に位置する全ての水準点の単純平均地盤 変動量(単位 mm)を示す。熊谷市には江南町を含む。 ) 調査対象市町村数 ①東部地域 ②中央部地域 ③西部地域 ④北東部地域 ⑤比企地域 ⑥北部地域 計 9 12 17 12 8 8 65 +5.6 群馬県 +6.0 +5.0 神川町 +1.0 +0.6 熊谷市 +0.4 -0.8 +0.1 ◎ +3.0 不動点:「埼基-1」 +1.0 +3.0 標高 99.3138m +3.0 +3.3 -1.5 -9.1 -6.3 -1.6 0.0 千葉県 +3.0 +0.3 +0.4 飯能市 山梨県 20km 茨城県 -5.6 -10.1 -1.5 -6.8-10.0 -3.0-1.0 -2.8 -6.9 -4.4 -1.7 +2.8 -14.3 -19.1 栗橋町 -13.4 -14.2 -8.6 -3.1 -6.1 -8.3 さいたま市 -5.3 +0.8 -0.6 0.0 -4.5 -5.9 -5.7 -2.4 -3.7 -3.0 -7.0 -4.8 -0.6 -4.7 -2.8 -6.0 -4.2 鳩ヶ谷市 -3.7 所沢市 秩父市 0 栃木県 -11.4 -3.9 +3.3 長野県 東京都 図 3 平成 16 年(1月1日~17 年同月同日)の地盤変動量 (図中の数値は市町村に位置する全ての水準点の単純平均地盤 変動量(単位 mm)を示す。熊谷市には江南町を含む。 ) 調査対象市町村数 ①東部地域 ②中央部地域 ③西部地域 ④北東部地域 ⑤比企地域 ⑥北部地域 計 9 12 17 12 8 8 65 -4.4 +0.2 -5.1 神川町 -3.0 群馬県 -4.0 熊谷市 -4.0 -6.6 -3.7 +1.0 秩父市 飯能市 -3.7 -5.2 +1.1 -1.0 -1.2 山梨県 -3.4 20km 東京都 -1.9 -6.5 茨城県 -6.1 -4.3 栗橋町 -0.8 -2.1 +0.5 -1.2 0.0 -2.2 -1.0 +3.3 -2.6 -1.0 -1.3 -1.7 +0.2 -1.7 0 -4.0 -0.5 ◎ +1.0 不動点: 「埼基-1」 -3.5 -3.0 標高 99.3138m -0.7 栃木県 -6.2 -5.5 -3.3 長野県 - 64 - ここで示した統計的手法は、水準測量の効率化という 側面に対しても、有効な視点を提供するものと考える。 長野県 2.2 平成14年から18年の地盤変動量 本検討で用いた地盤変動量データは、昨年同様、埼玉 県の6百余点の水準測量成果2) (1月1日と前年の同 日との精密水準測量による標高差)であり、観測年は平 成14年から18年である。いずれの年も渇水はなく、 いわゆる平常時に相当する。 図1~図4に平成18年(昨年報告)を除く、4年間 の行政区域ごとの平均地盤変動量図(行政区域内にある 全ての水準点の1年間の変動量を単純平均し地図上に プロット)を示す。また図5に、平成14年~平成18 年の埼玉県の年間地盤変動量の頻度分布を、表1にその 統計値を示す。さらに算出した統計値である分散と、変 動量の最頻値・中央値・平均値の関係を図6に示す。 図1~図4の地盤変動の平面分布から読み取れるよ うに、平成14年は全体的に微量の沈下傾向を示すもの の、平成15年から17年は上昇地域がまばらに確認さ れる。この状況を地域個別の沈下/上昇量の把握ではなく、 県全体の地盤変動傾向の把握として、昨年検討した出現 頻度および統計による方法を用いて確認した。図5の出 現頻度分布図に示すように、5年間において多く観測さ れた変動量は、沈下/上昇(プラスマイナス)20mm の 範囲にあることがわかる。 また、表1に示すように、平成15年を除き、中央値・ 最頻値・平均値ともに沈下量5mm 以下を示す。平成1 5年は、中央値が0mm であり、最頻値・平均値ともに 地盤上昇を示す正の値となっている。 これらの特性値から、埼玉県の地盤変動の全体的な傾 向として、平成15年はやや上昇傾向が見られるものの、 依然として微量な沈下傾向が続いていることを読み取 ることができる。 さらに図6に示すように最頻値・中央値・平均値の変 動量が小さいほど、分散が少ない関係を読み取ることが できる。 2.3 まとめ 現在用いられている地盤沈下の特徴を示す方法(最大 沈下量地点や、面積の経年変化など)は、変動域が地域 的に同一傾向を示す場合で、かつ年間変動量が数cmを 超えるような大きい場合に有効である。 しかし近年のように、地盤変動量が年間数mmで、変 動地域が同じ地域傾向を示さない(分散している)場合 には、従来の表示・解析だけでは地盤変動の特徴をとら えにくい。 近年の地盤変動の特徴を捉える方法として、水準点の 変動量の統計的な解析による解釈が有効であることを 示した。さらに詳細な検討を加え、地盤変動の特徴をわ かりやすく示す手法を考えていきたい。 また財政難の折から水準測量点の削減について、各地 で検討され始めている。地盤沈下は回復の難しい公害問 題であり、かつ直ちに顕在化しにくい事象であることか ら、不断のモニタリングが大変重要である。 千葉県 +5.0 -2.2 -3.4 -1.3 さいたま市 -5.2 -4.5 -2.5 -6.9 -4.8 所沢市 +3.2 +7.4 +0.2 +3.5 +5.9 -2.0 +1.7 +3.2 -3.0 -2.3 鳩ヶ谷市 -1.3 図 4 平成 17 年(1月1日~18 年同月同日)の地盤変動量 (図中の数値は市町村に位置する全ての水準点の単純平均地盤 変動量(単位 mm)を示す。熊谷市には江南町を含む。 ) 3.湿地保全・再生における大気・土壌環境の数値予測 について 3.1 はじめに 近年、農業地の再編・整備や高度成長期に失われた湿 地や湿原を、自然再生の観点から回復、復元する試みが なされている。これまで、今後の自然再生における湿地 の保全・再生に資する観点から、湿地の微気候と土壌環 境の数値予測についてその方法と応用手法を示してき た。特に、本報では、具体的な湿原再生事業への適用方 針・手法とアウトプットイメージを示した。 3.2 国内の湿地の現状と取り組み 日本では、 北海道に湿原面積の約8 割が集中しており、 1928 年頃の泥炭地面積を現在のそれと比較した場合、 約 70 年間で 70.2%が消失したと報告されている 1)。 我が国では、 平成15年に自然再生推進法が施行され、 図7に示す自然再生のフローに基づき、日本各地で自然 再生の取り組みがなされている。 90 80 平成14年 平成15年 平成16年 60 平成17年 平成18年 出現頻度(地点数) 70 50 40 30 20 10 0 - 20 - 10 0 + 10 地盤変動量(mm) + 20 図 5 水準点の地盤変動量出現頻度分布図(変動量プラ スマイナス 20mm 間を表示) 表 1 水準点の地盤変動量の出現頻度の統計値 観測期間 自) 至) 地下水揚水量(千m3/日) 平均 mm 標準誤差 中央値 mm(メジアン) 最頻値 mm(モード) 標準偏差 分散 尖度 歪度 範囲 mm 最小 mm 最大 mm 合計 標本数 H14.1.1 H15.1.1 747.9 -5.13 0.178 -5 -5 4.07 16.59 3.35 -1.19 29 -24 5 -2700 526 H15.1.1 H16.1.1 726.4 0.026 0.142 0 2 3.33 11.06 6.85 -1.41 33 -25 8 14 547 H16.1.1 H17.1.1 727.8 -4.85 0.239 -5 -5 5.72 32.73 5.84 -1.26 54 -47 7 -2767 571 H17.1.1 H18.1.1 725.3 -1.53 0.165 -2 -1 4.09 16.70 0.51 0.11 27 -18 9 -943 615 H18.1.1 H19.1.1 690.7 -0.27 0.154 -1 -1 3.88 15.04 0.24 0.04 29 -19 10 -169 633 実施者が発意 政 府 は 自 然 再 生 基 本 方 針 変動量( -1.0 ) mm -2.0 -3.0 -4.0 -5.0 -6.0 10.0 15.0 20.0 25.0 分散 30.0 実施者は 送付 自然再生事業実施計画 を策定 意見 主務大臣および 関係都道府県知事は 実施計画に助言 助言 モニタリング、評価し、 結果を事業に反映 図 7 自然再生事業の実施フロー2)より引用 このような自然再生事業といえども現状の改変を行 う以上、将来的に変化する対象流域の環境条件を予測す る手法も必要であると考えられる。従来より、等温下の 地下水を含む水環境の予測は、既存の数値解析モデルで ある ModFlow、MIKE-SHE 等といった、地下水解析モ デル、水循環解析モデルで実施することができた。 しかし、湿地や湿原を対象とする場合は、大気接地層 の気象と地下土壌内の水・熱移動を連成し、より現実に 近 い 状 態 を 解 析 し 得 る SALSA モ デ ル (Soil-Atomosphere Linking Simulation Algorithm:土 壌―大気連成シミュレーションアルゴリズム)が有効と 考えられる。 3.3 SALSAモデルの概要 SALSA の数学モデルは、H.F.M.ten Berge により開 発され、土壌と大気における熱・水輸送過程をリンクさ せて同時に解くものである。詳細は H.F.M.ten Berge を 参照されたい 3)。 SALSA の計算は、地表面上の大気エネルギー収支を 解くことから始まり、大気ルーチンの計算、土壌ルーチ ン(土壌水分⇒土壌温度)の計算の順に進め、両者のモ 最頻値 (モード) 中央値 (メジアン) 平均 0.0 主務大臣は 意見を聴く 自然再生事業を実施 3.0 1.0 自然再生 専門家会議 自然再生全体構想 自然再生全体構想 を協議会が策定 を協議会が策定 を 策 定 (地下水揚水量は、埼玉県生活環境保全条例に定め られた規制地域内(図-2)において、揚水量の届 け出に基づき集計されたもの。実際の揚水量は、こ の値よりも多いと思われる。 ) 2.0 実施者は 自然再生協議会を組織 国または地方公共団体は支援 ・許認可などで適切な配慮 ・財政上の措置など ・活動に必要な情報の提供 35.0 図 6 分散と、最頻値・中央値・平均値の関係 (2章 参考文献) 1)例えば濃尾平野では次の資料がある:国土交通省中部地方整 備局(2008) :平成 19 年における濃尾平野の地盤沈下の状況 (Website より引用) 、 http://www.cbr.mlit.go.jp/kawatomizu/ground_sinkage/i ndex.htm 2) 埼玉県:埼玉県地盤沈下調査報告書 (平成 14 年度観測成果) 、 同(平成 15 年度観測成果) 、同(平成 16 年度観測成果) 、同 (平成 17 年度観測成果) 、同(平成 18 年度観測成果) - 65 - デルを地表面で連成して計算している。 3.4 SALSA モデルによる水・熱・大気環境の解析 水域周辺の水辺地帯が裸地に近い状態の場合におい て、地下水位の変化による植物群落の形成の違いを考察 するため、地下水位の設定を GL-0.2~+2.0m で 5 ケー ス設定して、土壌水分及び温度状態の変化を予測した。 土壌含水率と植生との関係図を図8に、また計算結果 を図9及び図10に示す。 z 気温 T z 気温 T 森林 湿生植物が形成されると 考えられる水辺地帯 草地 地下水面 水域 土壌含水率 が低い区域 土壌含水率 の高い区間 土壌含水率 の高い区間 含水率θ 含水率θ 図 8 水域周辺の温度・含水率の鉛直分布イメージ Case-1(0.2m) Case-2(0.5m) Case-3(0.8m) 飽和度(%) 100 80 60 40 20 0 8月6日 8月7日 8月8日 Case-4(1.0m) 8月9日 8月10日 8月11日 8月10日 8月11日 れる。 地下水位が 0.2~0.5mの条件下では、土壌水分がほぼ 100%となるため、ヒメガマ群落等が形成され、また、 地下水位が 0.8mでは、計算上の土壌水分が十分安定し ていないが、約 80%程度であれば、マコモ群落やチゴザ サ群落の形成に適した土壌水分となろう。地下水位が 1 mになり、土壌水分が概ね 50%であれば、アゼスゲ群落 などが優占すると考えられる。 SALSA モデルは、土壌-地表面-大気の連成相互作 用を解析できるモデルであるため、植物群落が形成され る陸上と表面土壌の温度、水分、日射量といった低層・ 土壌環境状態が予測可能であり、今後、湿地状態等、自 然再生分野への活用が期待される。 3.5 今後の検討に向けて ここでは、入手可能なデータにより、実際に湿地再生 事業を実施している流域に本モデルを適用することで、 モデルの有用性の検証と解釈の事例を示した。 現在、釧路湿原では、湿原の保全と自然再生に向けて、 釧路湿原自然再生協議会が継続的に開催されており、そ の中で、湿原の再生を目的とした湿原再生小委員会 4)が 設置されている。図11に示すように、釧路湿原再生事 業の対象となるゾーンは 5 つあり、そのうち、本モデル を適用するのにふさわしい再生事業を実施しているの は幌呂地区である。そのため、SALSA モデルを用いた モデルケースとして、釧路湿原「幌呂地区」の自然再生 事業を対象とし、本予測モデルを適用する予定である。 Case-5(2.0m) 飽和度(%) 100 80 60 40 20 0 8月6日 8月7日 8月8日 8月9日 土壌温度(℃) 図 9 土壌水分予測結果(表層) Case-1(0.2m) 40 Case-3(0.8m) 30 20 10 0 8月6日 8月7日 Case-4(1.0m) 土壌温度(℃) Case-2(0.5m) 8月8日 8月9日 8月10日 8月11日 Case-5(2.0m) 40 30 図 11 釧路湿原再生事業ゾーン 3)より引用 開拓時に整備された農業排水路が湿原乾燥化の一要 因になっていることから、水循環モデル(MIKE-SHE) により、地下水位回復対策(排水路埋め戻し)を実施し た場合の地下水位の変化を予測し、これを SALSA モデ ルの土壌モデルの境界条件とすることで、表層土壌の地 温、土壌水分の変化を予測することができる。 対策実施による低層大気や土壌環境の物理環境条件 20 10 0 8月6日 8月7日 8月8日 8月9日 8月10日 8月11日 図 10 土壌温度予測結果(表層) 計算結果を対象地区の「植生タイプと土壌水分の関 係」と照合することにより、例えば、以下の解釈がなさ - 66 - ことに着眼し、その対策の一つとして、ビル事業者等を 対象に、防災・利水面のインセンティブを考慮した一時 貯留型浸透システムを提案するものである。 の変化を予測することで幌呂地区の植生群落の変化を 予測することが可能となる。 (3章 参考文献) 1)土原健雄,石田聡,今泉眞之:湿原水文学研究の現状と北海 道東部湿原の水文特性,農業土木学会誌,pp.587-590,2006. 2)亀山章,倉本宣,日置佳之:自然再生(生態工学的アプロー チ) ,264pp.,ソフトサイエンス社,2005. 3)H.F.M.ten Berge・九州地下水研究会:裸地表面と低大気層に おける熱と水分の輸送,246pp. ,森北出版株式会社,1996. 4)釧路湿原自然再生協議会運営事務局: 「釧路湿原自然再生協 議会」第 4 回湿原再生小委員会 資料 26pp.,2008. 流 域 外 都市化 流域の降雨 処 理 ・ 排 水 都市における人工系の水循環 海 洋 ・ 河 川 (雨水排水) (都市用水利用) (産業用水利用) (農業用水利用) (環境用水利用) 地下水 海 洋 ・ 河 川 都市における自然系の水循環 図 13 「人工系水循環」と「自然系水循環」の概要 2) 下水道整備 水質浄化(衛生面の向上) 速やかな雨水の排除(浸水被害の軽減) 集中豪雨増加 雨水浸透率の低下 局所的 浸水被害の増加 産業用水利用 農業用水利用 環境用水利用 (地下水) 4.都市の流域対策を主目的とした新しい一時貯留型浸 透システムの検討 4.1 はじめに 近年、ゲリラ豪雨とも呼ばれる集中豪雨による都市型 水害が頻発し、特定都市河川浸水被害対策法(平成 15 年 6 月策定)や、下水道総合浸水対策計画策定マニュア ル(案) (平成 18 年 4 月)等で雨水貯留・浸透施設等の 流出抑制型施設による流域対策の必要性が再認識され ている。 都市化前 導 水 都市用水利用 飲料用水 炊事用水 入浴用水 洗濯用水 トイレ用水 対策スペースの減少 必要対策規模の増大 対策コスト増大 従来の浸水対策のみでは限界 下水道以外の都市水収支との連携 貯留・浸透施設の適切な配置 流域全体及びスポット的浸水対策 将来 図 12 下水道による都市浸水対策等の経緯 1) 一方、 「第三次環境基本計画」 (2006 年 4 月)で重点 分野政策プログラム(10 分野)の一つに位置付けられた 「環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組」として、 水循環に関する議論が活発化する中、都市における「自 然系水循環」の大きな供給源である雨水が人工的に下水 道(雨水排水)により遮断・排水されて十分に都市用水 として活用されず、流域外からの大量の水の調達と消 費・廃棄が都市用水の大部分を占めている状況が課題と なっており、雨水を貯留して利活用したり、あるいは積 極的に浸透させ、浸水対策のみならず適正な地下水利用 等の枠組みに位置づける必要性が生じている。2) ここでは、特に従来の雨水排水計画で既に市街化が進 んだ地域で、用地的な制約から浸水対策レベル向上の余 地が小さく、流域対策を積み上げる必要が高まっている - 67 - 4.2 雨水貯留・浸透施設に関する既往研究の経緯 雨水浸透の促進により流出抑制効果を得る試みは 1970 年代から本格的に進められ 3)、1980 年代初頭には既 に「浸透型施設が整備されていない理由としては、①浸 透型施設の機能は、その特性上地盤条件に大きく左右さ れやすく的確に把握することが困難である。②貯留型施 設に比べて機能の安定性に問題がある」4)と、現在も懸 案となっている課題が示されるとともに、 「浸透型施設 は、地下水涵養及び河川流況の安定化等流出抑制以外の 効果についても期待」4)と、水循環上の多面的な効果も 示唆されていた。 その後、約 30 年にわたり、浸透のメカニズムや浸透 量評価に関する研究例えば 5)~10)、浸透による流出抑制効果 や水循環上の効果に関する研究例えば 11)~16)、地下水汚染へ の懸念に関する水質面の研究例えば 17)~19)、市街地ノンポイ ント対策としての浸透ます等の汚濁負荷削減効果に関 する研究例えば 20)~23)、目詰まりや維持管理に関する研究例え ば 24)~31) 等の多面的な研究が進められ、さらに近年は都市 水資源としての雨水・地下水利用の研究例えば 32)~33)といっ た新たな視点からの研究も進められている。 また、海外においても、地下水汚染やノンポイント対 策等の水質面の研究例えば 34)~44)、目詰まりや維持管理に関 する研究例えば 45)~50)、水循環や都市水管理に関する研究例え ば 51)~55) 等が進められている。 4.3 雨水貯留・浸透施設の導入における課題 長年の研究の成果として、雨水貯留・浸透施設の計 画・維持管理等に関する指針類例えば56)~64)が多く整備され、 全国で助成事業制度が展開 58)されている一方、地盤条件 や目詰まりによる浸透機能の不安定性が依然として課 題となっている点や、維持・点検管理の項目や必要十分 な頻度が一義に定義されないことから、その普及状況は 必ずしも良好とはいえない面がある。 特に、貯留容量が明確で、ある程度の確実性が担保さ れている貯留施設に比べて、浸透施設は浸水対策計画等 への位置づけに際して浸透能や安全率、耐用年数、維持 管理仕様等の設定が難しい面があり、また、管理瑕疵の 問題もある。 このため、浸水対策では貯留効果と浸透効果とが個別 に議論されて、浸透機能は付加的要素として余裕分とさ れる場合が多く、排水設備として宅内浸透ますが全国で 約70万基も設置されているのに対して、公共浸透ます は約3.5万基程度となっている。 一方で、浸透施設と貯留施設を併用することによる効 果について、 「浸透施設だけで所定の洪水流出抑制効果 を得られない場合は、‥中略‥浸透施設により洪水流出 量を抑制したのちに貯留施設で洪水調節を行うと、調整 池の容量が軽減される」57)として図12のような試算例 が示されているが、既に市街化が進んだ地域では用地確 保の面からオフサイト貯留施設による整備レベル向上 の余地が極めて小さいという物理的課題がある。 図 15 浸透施設の流出抑制効果の概念 34) 図 16 ゲリラ豪雨の場合の貯留容量増加 図 14 浸透トレンチの併用による貯留施設容量の軽減 34) 4.4 気候変動下における浸透による流出抑制の限界 従来より浸水対策の事業においては、対策効果の確実 性の観点から、各戸貯留や浸透施設の有用性は認識しつ つも、計画上は大規模なオフサイト貯留施設への依存が 大きかったが、都市化に伴う地表面の不浸透化により雨 水流出量が増大する傾向を踏まえ、近年は雨水浸透によ り流出のピークカットを図る考え方が広まり、また、雨 水浸透阻害行為の許可に当たっては貯留・浸透施設によ る機能代替措置を義務として求める場合もある。 一般的な雨水貯留・浸透による浸水対策の概念図は図 15のとおりであるが、ここで、流出ピーク時に雨水浸 透による流出抑制で処理しきれない容量を貯留施設で 対応している点に留意する必要がある。 近年のゲリラ豪雨と呼ばれる集中豪雨では、ピーク時 の降雨強度が極端に大きく、単位時間当たりの雨水浸透 能力を大幅に超えるために下水道あるいは河道の雨水 排水能力を超えた分が浸水被害をもたらす場合が多い。 「雨の降り方の変化」が、地球温暖化等による亜熱帯 化に伴う現象として日常化するならば、図16に示すよ うに、雨水浸透施設により対応することは浸透能力の点 から困難となり、 「オフサイト貯留施設容量の拡大」あ るいは「オンサイト貯留容量の拡大」を図る必要が高ま ると考える。 - 68 - 現実的には、市街化が進んだ都市域でオフサイト貯留 施設の容量拡大や新設は用地取得の面から容易ではな く、各戸貯留や学校・公園貯留等のオンサイト貯留をこ れまで以上に重視し、さらに可能な限りオンサイト貯留 空間を見出すべき状況になると予想される。 4.5 貯留機能と浸透機能の役割分担による新しい一時 貯留型浸透 以上の背景を踏まえ、都市浸水に対する流域対策とし ての新たなオンサイト貯留・浸透として、商用ビルの地 下空間を利用した一時貯留型浸透システムを提案する。 提案システムの概念を以下に示す。カッコ内の番号は 図-6 中の番号と対応する。 <システムの概要> 商用ビル等の地下階の一部空間を、浸水対策の治水容 量のための貯水槽(①)として利用することにより、建物 敷地からの雨水流出(②)を所要のレベルまで低減する、 あるいは流出のピークを遅らせる。 また、貯水槽下部の利水容量(③)の雨水は中水利用し て都市水資源として有効活用する。このような雨水利用 施設としては両国国技館や東京ドーム等が著名である。 治水容量(①)に貯留した雨水はオリフィス等を通して 時間をかけて浸透(⑤)させ地下水を涵養することとし、 比較的汚濁されている初期雨水の排除設備(⑥)や受水槽 下部の泥溜め(⑦)、フィルター(⑧)等により地下水への汚 濁物の流出を防ぐ。 ここで、期待される流出抑制効果を定量的に評価し、 その程度に応じて容積率を緩和することにより、敷地空 間を高度利用(④)したり、浸透量(地下水涵養量)に応 じて利水容量(③)の補給水に地下水利用を認める等のイ ンセンティブを見出し、併せて地下水揚水施設の導入に より地震災害時等の非常時用水の面的な充実を図るも のである。 図 17 一時貯留型浸透施設の概念 4.6 提案システム実現のための今後の検討課題等 このような貯留・浸透システムを実際に計画に位置づ け、実施するためには多くの課題が予想されることから、 ここでは既往の知見を元に、今後検討すべき課題および 期待される波及効果等について抽出・整理する。 (1)立地箇所の地盤浸透能や治水計画(想定降雨)を考慮 した治水容量と流出抑制効果の検討 想定する降雨規模や求められる流出抑制効果、および 敷地面積や立地地区により必要とされる治水容量は異 なる。また、立地地盤の透水性により浸透効果が異なれ ば、これを考慮した場合の必要容量は変化する。ここで は、期待される流出抑制効果に応じて容積率緩和等のイ ンセンティブを検討することから、地盤浸透能や治水計 画等の多面的な分析により、治水容量と流出抑制効果の 対応を評価する必要がある。 (2)容積率緩和や下水道料金減免措置の有効性と位置づ けの検討 容積率の緩和が、都市計画上あるいは建築計画上、ど の程度の影響をもたらすのかを整理し、制度的な誘導が 効果的に行われる緩和率等を検討する必要がある。 例えば、 100m2 の敷地面積に対して 100mm の降雨を貯 留するには 10m3 の治水容量があれば可能であり、利水 容量として更に 10m3 を費やしたとしても地下フロアの 数割である。これに対し階数を増やせる規模まで容積率 が緩和されれば、長期的には有効なインセンティブにな り得ることから、関連制度との関わりや制約等も含めて 検討する必要がある。 なお、雨水の利活用に関しては下水道料金の減免除等 が望まれることから、下水道整備上の治水効果や合流改 善効果等の面からも本システムの費用対効果等を検討 する必要がある。 (3)屋上および敷地内から流出する汚濁負荷とその挙動 - 69 - 等の検討 屋上からの雨水流出にも汚濁物質が多く含まれる場 合があるとの報告があり、汚濁物質の流出挙動や成分、 要因についても検討する必要がある。近年の研究では、 初期流出雨水を1~2mm程度排除すれば汚濁物質削減に 有効 65)、との報告もある。仮に 2mm を排除する場合、 その容量は敷地面積 100m2 で 0.2m3 程度である。 排除した雨水の処理方法としては、下水道への直接排 水や簡易処理後の地下浸透等、幾つかの方法が考えられ るが、数 mm 規模の降雨であっても年間で累積すると数 百 mm となることから、水資源としての活用と水質上の 位置づけを整理する必要がある。 (4)維持管理の項目および頻度等の検討 インセンティブとのトレードオフとして、ビル事業者 等による泥溜めやフィルターの定期的なメンテナンス を前提とするが、これらの汚濁削減効果と維持管理頻度 との対応、浸透トレンチのメンテナンスフリーの可否等 についても確認する必要がある。 また、貯留水を利活用する場合に、用途に応じて求め られる水質・臭気の確認や貯留水の定期排水交換等の衛 生管理方法を整理する必要がある。 (5)導入地区の優先度検討 浸水対策上の重要地区(例えば浸水常襲地区) 、地盤 浸透能や地下水流動場・地下水位分布等からみた地形地 質上の適地区、長期的な視点による浸水対策計画やまち づくり計画等との補完・相乗効果、等を考慮して、導入 優先地区やインセンティブの設定内容、あるいは導入可 能性のポテンシャル分布を検討する必要がある。 (6)都市水資源への波及効果と将来的な雨水の位置づけ の検討 貯留水や地下水は渇水時や地震災害時等の非常時水 資源となる。特に多くの帰宅困難者が予想される地域で は、各事業者に対して、地震発生後のトイレ用水等確保 に関する自助努力が求められており、危機管理面の価値 を定量化することは費用対便益を検討する上で重要な 視点である。 また、日常時の水資源有効活用を進める観点からは、 将来的に、質と量の各々の消費(又は排水)を対象とす る課金制度により、敷地内への雨水を中水資源の受水と みなして雨水排水にも一定の課金するといった体系転 換の可能性、具体的課題や制約も検討すべきと考える。 (4章 参考文献) 1) 2) 3) 4) 5) 6) 蛯原雅之、石川美宏、渡邉暁人、吉田健(2007) :都市問題対策と しての水循環の適正化に関する検討、日本地下水学会 2007 年春季講 演会講演要旨、94~99 蛯原雅之、渡邉暁人、登坂博行(2007) :都市水循環の適正化に資 する地下水資源・管理のあり方について、日本地下水学会 2007 年秋 季講演会講演要旨、8-13 石崎勝義、寺川陽(1981) :地下水かん養技術とその応用 地下埋 管法による雨水等の浸透、土木技術資料、23-10、512-517 吉野文雄、金木誠、斉藤松美、小川良市(1981) :浸透型雨水貯留 施設による流出抑制効果に関する検討、土木技術資料、23-9、455-460 小川進、和泉清(1990) :流域の浸透パラメーターとその評価法、 土木学会論文集、423、121-129 吉本俊裕、海野仁、下家時洋、川上哲広、馬場隆司(1992) :ます・ トレンチ型浸透施設の雨水浸透機能調査、土木研究所資料 No.3080 岡泰道(1995) :雨水浸透と地下水かん養 3 雨水浸透、地下水学会 誌、37-4、309-316 8) 吉沢拓也、斎藤庸、忌部正博(1999) :現地浸透実験法の簡略化に 関する検討 簡易浸透実験法の提案、こうえいフォ-ラム、8、53-60 9) 岡泰道、松井準(2001) :簡易な現地浸透試験に基づく地盤の浸透 能力の評価方法について、水工学論文集、45、325-330 10) 村上道夫、古米弘明、中島典之、JINADASA Haltota K. 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