第5週,高校数学のまとめ2: 初等関数とグラフ,2項展開>>

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1998年5月19日
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<記法上の注意>
以下の文中で,a^2はaの2乗を意味する.b_nやb_{n+1}はサブスクリプト(下付文字)がnやn +
1であることを意味する.
<目次>
変数と定数
関数の概念
内挿と外挿
関数の解析的表現
座標とグラフ
関数と写像
陰関数
逆関数
関数の多価性
指数関数と対数関数
2項展開
<変数と定数>
さて,これから微分(differentiation)と積分(integration)のテーマに入って行こう.その目的の
ために,今回数学の基本に再び立ち返ろう.
数学(mathematics)の目的の1つは,この自然界のさまざまな現象を数式で表現することである.
1つの問題で,決まった値が与えられた数を定数(ていすう,constant)と呼ぶ.一方,その問題で,
変化を期待できる数のことを,変数(variable)と呼ぶ.
しかし,現実の問題は,もっと複雑で,こんなに単純に定数と変数を区別することはできない.例え
ば,ある温度Tで,バネ(spring)の長さ(length) x とそのバネにかかる力(force) F の間には,比例
(proportional)関係がある[フック(Hooke)の法則].つまり,F = k xと書ける.このとき,kをバネに
固有の比例定数,xはバネの伸びを表わす変数である.しかし,定数kも温度が変われば,変わりうる
という意味では,変数である.にもかかわらず,1つの温度では,定数と考えられるので,多くの場合
そのような数を定数と呼ぶのである.
<内挿と外挿>
我々が,自然科学で扱う法則--自然法則(natural law)は,実験によって初めて確かめられるもので
ある.言い替えれば,だれ彼なく,だれでもやろうと思えば,確かめられるもの[ 検証可能
(testability)なもの]である.したがって,だれか1人しか確かめようのないもの,例えば,幽霊と
か,死後の世界とかは,自然科学には成りえない.このように検証可能性は,科学の成り立ちの中で
もっとも厳しい条件である.
しかしながら,実際に自然現象を確かめるために我々が行う実験は,無限(infinite)に何度もするこ
とはできない.常に,有限(finite)回しか検証は行えない.これは,実験のためにお金や設備がいるか
らである.
したがって,有限回しか行うことのできない実験結果の中から,意味ある情報(information)を導き出
さなくてはならない.この目的のために,基本的に2つの方法が良く用いられる.
第1は,内挿(ないそう,interpolation)と呼ばれる方法(method)である.これは,測定された2
つのデータの間を直線や曲線でうまく結び,実際には測定されていない中間の値を予測するという方法
である(下図).
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第2は,外挿(がいそう,extrapolation)と呼ばれる方法である.これは,測定されたデータの領域
(region)の外側を直線や曲線でうまく結び,実際には測定できなかった領域における値を予測すると
いう方法である(下図).
<関数の概念>
自然科学においてなぜ関数(function)の概念(concept)が必要かというと,それは実験の測定結果を
1つの関数で与えることができれば,上述の内挿と外挿をその1つの関数によって実行(carry out)で
きるからである.つまり,測定されていない条件や領域における自然現象を予測する(predict)ことが
できるからである.これが,もっとも大きな目的である.
ここで,関数の定義は,以下のように与えられる: 独立変数(independent variable) xの値を[それ
が取り得る値の集合(set)のうちから]任意に(arbitrarily)1つ定めると,それに対応してyの値が定ま
るならば,yはxの関数(y is a function of x)と呼ばれる.独立変数は,変数であり,定数はある1つ
の数である.
<関数の解析的表現>
関数の関係(relation)を表現する(represent)するには,基本的に次の3つがある:
(1) 解析的方法(analytic method);
(2) 表(table)による方法;
(3) グラフ(graph)による方法,つまり幾何学的方法(geometrical method).
関数関係が1つの方程式で結びつけらるとき,その関係が「解析的に表現された(analytically
expressed)」といい,最も威力を発揮するときである.これを,普通は,以下のように書く:
y = f(x). (1)
これは,yが独立変数xの関数,つまり従属変数(dependent variable)であることを示している.
さらに,もし1つのuが,多変数(many variable)の関数である場合も,同様に解析的に表現できる:
例えば,
u = f(x, y, z). (2)
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<陰関数>
さてここで,もし関数の関係が,(1)のような簡単な形に表わせない場合はどうだろうか?つまり,
(1)では,関数関係はyに対して解けているが,そうでない場合はどうかということである.例えば,円
の方程式:
x^2 + y^2 = r^2, (3)
や楕円の方程式:
a x^2 + b xy + cy^2 = 1, (4)
さらには,
y^3 - x^2 = 0, (5) 等がそうである.
このように,関数の解析的表現が,1つの方程式:
f(x, y) = 0 (6)
で与えられる関数を,yはxの陰関数(implicit function)と呼ぶ.より一般に,多変数x, y, z, ...の陰関
数vは,以下のように与えられる:
f(x, y, z, ..., v) = 0. (7)
<座標とグラフ>
さて今度は,関数をグラフに表わすことを考えて見よう.1つの関数関係(1)が与えられていると
き,普通,横軸(horizontal axis)に独立変数xをとり,それに対応して,縦軸(vertical axis)に従属
変数yをとる.これをデカルト座標(cartesian coordinate)と呼ぶ.この場合は,x-y座標と呼ぶ.ま
た.もし2変数の関数z = f(x, y)を考える場合は,水平面(x-y 平面)上の1点(x, y)に対して,zを1
つ与える.(下図).
これが,以前学んだ,「デカルトの精神」の基本である.この方法により,図形(figure)を扱う幾何
学(geometry)と数式をあつかう解析学(analysis)あるいは代数学(algebra)が,初めて結び付けられ
たのである.そして,図形の問題を扱うことが,数式を解析的に扱うことから解けるようになったので
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ある.以後,自然科学が急速に発達するようになった.特にこれから学んで行く,微分積分学は,デカ
ルトのこの本質的ブレイクスルー(breakthrough)によって初めて考えられるようになったのである.
<関数と写像>
関数はその定義から分かるように,独立変数xのある領域に対して,従属変数yの領域が描かれる.
このxの取る領域のことを,定義域(defined region)と呼ぶ.一方,それに応じて得られるyの領域を
値域(value region)と呼ぶ.ここで,普通は,定義域はx軸上にある1つの領域のことで,値域はそれ
に応じて得られるy軸上にある1つの領域のことを意味する.
つまり,関数とは,ある1つの独立変数xの領域から,別の独立変数yへの対応(correspondence)
関係を示している.このとき,もしその領域を単にx軸上にある1つの領域のことと考えず,より一般
的にxの取りうる1つの集合(set)と考えると,関数とは,ある1つの集合から,別の集合への対応関
係を示していると解釈することができる.この意味が分かるように,強調して関数を表現するしかたが
写像(mapping)という概念である.この考え方にしたがって関数を書くと,次のようになる:
f : x ∈ X → y ∈ Y , (8)
ここで,X は定義域の集合,Y は値域の集合を表わしている.
(注)集合の概念は,カントール(Cantor, 1845-1918)によって初めて導入された.しかし,この集
合の概念をめぐって,クロネッカー(Kronecker, 1823-1891)との有名な論争(debate)により,彼は
自分の集合概念は何も言ってないのではないかと自信を失い,精神病にかかってしまった.そして,最
後に精神病院で,1918年1月6日に73歳で死んだ.(E.T. ベル,「数学をつくった人びと(下)」,東京図
書)
この方法にしたがうと,例えば,多変数関数u = f(x, y, z)は,以下のように書ける:
f : (x, y, z) ∈R ^3 → u ∈ R . (9)
さらに,写像の概念のより分かりやすいところは,合成関数(composite function)をたやすく理解
できることである.合成関数とは次のようなものである.仮に,
y = f(x), (10)
z = g(y) (11)
の2つの関数があるとしよう.このとき,yを(11)のyに代入して得られる関数:
z = g(f(x)) = (g°f)(x) (12)
をxからzへの合成関数と呼ぶ.これを写像で表現すると,
f : x ∈ X → y ∈ Y , (f : X → Y ) (13)
g : y ∈ Y → z ∈ Z , (g : Y → Z ) (14)
から,合成写像は次のようになる:
g°f : x ∈ X → z ∈ Z , (g°f : X → Z ). (15)
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これは基本的には,A → B, B → Cならば,A → Cという,三段論法と同じである.このような論理
(logic)を,推移的(あるいは遷移的, transitive)という.合成写像は,写像における三段論法のことで
ある.
写像に関して,さらに基礎的知識として以下のようなものがある.(8)の写像に関して,
f(X ) = Y (16)
となる場合は,写像 f はX からY への「上へ(onto)」の写像あるいは投射的(surjective)と呼ぶ.ここ
で,f(X )をX の像(image)と呼び,im fと書く.写像fが投射的であり,かつf(x) = y, f(x') = y'で,も
しx ≠x'なら,y≠y'であるなら,写像fは「1対1対応(one-to-one correspondence)」である.こ
れを注入的(injective)と呼ぶ. 一方,
f(X ) ⊂ Y (17)
となる場合は,写像 f はX からY への「中へ(into)」の写像と呼ぶ.さらに,
f(X ) = 0 ∈ Y (18)
となる場合は,これを満たすX をfの核(kernel)と呼び,ker fと書く.
<逆関数>
さて今度は,xからyへの写像fの逆(inverse)を考えよう.これをf^{-1}と書く.まず(13)のような
写像fがあるとしよう:
f : x ∈X → y ∈ Y ,
f : X → Y . (19)
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このとき,その逆写像f^{-1}は,
f^{-1} : y ∈ Y → x ∈ X ,
f^{-1} : Y → X . (20)
これは,関数の表現でいうと,逆関数を得るとは,
y = f(x) (21)
を逆にxについて以下のように解くことである:
x = f^{-1}(y) . (22)
そして,このグラフを同じx-y平面上に
y = f^{-1}(x) . (23)
このことをグラフ上で行うには,y = xに対称的(symmetric)にy = f(x) を180度回転すればいい.
このようにして,逆関数は容易に求められる.
<関数の多価性>
しかし,このようにして逆関数を求めると,得られた逆関数はしばしば多価関数(many valued
function)になる.例えば,
y = x^2 (24)
の逆関数は,
y = ±x^{1/2} = ±√x (25)
となる.したがって,1つのxに対して±√x の2つが対応する.このような場合は,この関数は,2
価(two-valued)関数と呼ばれる.そして,√xと-√xをそれぞれ,上の分岐(branch),下の分岐と呼
ぶ.(下図). 一般に,このような関数を多価関数と呼ぶ.
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通常,関数は1価関数(1対1対応の関数,つまり,逆関数の逆関数は元の関数に戻る関数)を扱うの
で,逆関数を定義するときには,どの分岐にするか選んで定義しなくてはならない.
<指数関数と対数関数>
以上の観点から,以前学んだ指数関数(exponential function)を考えて見よう.そのとき,指数関
数の逆関数は何だろうか?指数関数は以下のように定義される:
y = e^x. (26)
この指数関数の逆関数を,対数(logarithm)と呼び,次のように定義する:
y = log x . (27)
対数には,次のような性質がある.
1) y = e^x > 0であることから,y = log x は,x > 0で定義される.
2) また,
y = e^x , y' = e^x' (28)
と置いて,
y y' = e^x e^x' = e^{x+x'} (29)
が成り立つから,
log(x y) = log x + log y (30)
の性質を得る.
3) 逆関数の性質:f(f^{-1}(x)) = f^{-1}(f(x)) = xから,
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e^{logx} = x, (31)
log(e^x) = x. (32)
この(32)は,ある数y>0があって,それを無理やり,自然定数eの累(べき)関数の形e^xで書くとき,
その指数を取り出す演算(operation)を意味する.例えば,4を3の累乗(べきじょう)として,次のよう
に書けるとしよう:
4 = 3^x. (33)
このとき,x = 1なら,3^x = 3, x = 2なら,3^x = 9であるから,(33)を満たすxは,1 < x
てはならない.(33)を満たすxを
< 2でなく
x = log_{3}4 (34)
と書き,3を対数の底(base)と呼ぶ.特にこの底が自然定数eとなるとき,それを自然対数(natural
logarithm)と呼び,以下のように書く:
log_{e} = ln = log. (35)
(33)の両辺のlnを取ると,
log4 = log(3^x) = x log3. (36)
したがって,(34)と(36)から,
x = log_{3}4 = log4/log3
= 1.261859507.... (37)
近年,分数の次元--分数次元(fractional dimension)を持つさまざまな図形や幾何学が発見され
た.図形の尺度(scale)を1/rにすると,それにしたがって図形を形ち作る要素の数がNとなるとき,そ
の図形の相似次元(similarity dimension)Dは,次のように定義される:
D = logN/log(1/r). (38)
図形の尺度を1/3にすると,要素の数が4倍になるコッホ(Koch)曲線の次元は,
D = log4/log3 (39)
となる.それゆえ,(37)はコッホ曲線のフラクタル次元(fractal dimension)と等しい例である.(下
図).
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<2項展開>
さて次に,微分積分学の準備として,2項展開(binomial expansion)を考えよう.
まず,次のような2次式の展開を考えて見よう.
(x + y)^2 = x^2 + 2x y + y^2. (40)
同様に,x+yの3乗は,
(x + y)^3 = x^3 + 3x^2 y + 3x y^2 + y^3. (41)
さらに,
(x + y)^4 = x^4 + 4x^3 y + 6x^2 y^2 + 4x y^3 + y^4. (42)
では,(x + y)^n の展開はどうなるだろうか?これは,次のように与えられる:
(x + y)^n = x^n + nC1 x^{n-1} y^2 + nC2 x^{n-2} y
+ nC3 x^{n-3}y^3 + ... + nCn-1 xy^{n-1} + y^n, (43)
ここで, nCr を2項係数(binomial coefficient)と呼び,以下のような性質を持つ:
1) nCr =
n
r
=
n!
---------, (44)
(n-r)! r!
2) nCr = nCn-r , (45)
3) nCr = n-1Cr+1 + n-1Cr-1, (46)
4) nC0 = 1, (47)
5) nC1 = nCn-1 = n, (48)
6) nC2 = n(n-1)/2. (49)
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特に,(46)の関係は,パスカルの三角形(Pascal's triangle)と呼ばれ,以下のような三角形である.
1
11
121
1331
14641
1 5 10 10 5 1
.......
これは,「人間は考える葦(あし)である」という言葉で有名なパスカル(Pascal, 1623-1662)によっ
て初めて考えられた.彼は,後に学ぶ予定である,確率や統計の数学概念や,気体の圧力(気圧)を初め
て測定することに成功した物理学者でもあった.そのため,気圧の単位に(ヘクト)パスカルとついてい
るのである.
<Home Work Set #5>
1) y = x^3 - x^2 - x -1のグラフを書け.(10点)
2) 陰関数y^3 - x^2 = 0のグラフを書け.(10点)
3) y = 2x^2 - 1の逆関数を求め,グラフを書け.(10点)
4) パスカルの三角形の関係式(46)を帰納法(induction method)で証明せよ.(10点)
<Home Work Set #4の解答>
1) 次の2つのベクトルx = (1, 1, 1 ), y = (1, 2, 3)がある.
a) これらの内積を求めよ.(5点)
b) それから,その2つのベクトルのcosineを求めよ. (5点)
答え)
a) x . y = 1×1+ 1×2+1×3 = 6.
b) |x | = √(12+12+12) = √(3).
|y | = √(12+22+32) = √(14).
cosθ= x . y /( |x | |y |) = 6/(√(3)√(14))
= √(3)√(14)/7.
2) 次の2つのベクトルの外積を求めよ. (5点)
x = (1, 1, 1 ), y = (1, 2, 3).
答え)
x ×y = e _1 e _2 e _3
1 1 1
1 2 3 =
1 1 e _1
23
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+
1
3
+
1
1
=
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1 e _2
1
1 e _3
2 e _1 - 2e _2 + e _3 = (1, -2, 1). 3) 次の3つのベクトル: x = (1, 0), y = (0, 1), z = (1, 1) は1次独立か?1次従属か? (5点)
答え)
z = (1, 1) = x + y となるので,1次従属である.
4) (33), (34)を(41)に代入して,(41)を確かめよ. (5点)
答え)
x'2 + y'2 = (x cos φ - y sinφ)^2
+ (x sin φ + y cosφ)^2
= x^2 cos 2φ+ y^2 sin2φ - 2x y cos φ sinφ
+ x^2 sin 2φ+ y^2 cos2φ + 2x y cos φ sinφ
= (x^2 + y^2)(cos 2φ+ sin2φ)
= x^2 + y^2.
5) x^2 + 2 x y + 4 y^2 = 1のグラフを描け. (5点)
答え)
左辺に合わせて,行列
11
1 4 を定義できる.これの固有値は,
1-λ 1 1 4-λ = (1-λ)(4-λ) - 1 = λ^2 -5λ + 3 = 0. から得られる.これを解くと,λ = (5±√13)/2.したがって,元の式は,1次変換により,
A x'^2 + B y'^2 = 1,
A = (5+√13)/2 = 4.302,
B = (5-√13)/2 = 0.697
の形に変換できる. これは,短軸の長さが,a = 1/√A = 0.482, 長軸の長さが,b = 1/√B = 1.198
(> a)である楕円を表わしている.したがって,グラフは以下のようになる.
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6) 次の行列式の(22)成分の余因子を求めよ.(5点)
123
234
456
答え)
13
46
7) 次の行列の逆行列を求めよ.
a) (5点)
11
10
b) (5点)
111
100
010
答え)
a) A =
11
10
と置くと,det( A ) = -1.
A ^{-1} = 0 -1 /(-1)
-1 1
=
01.
1 -1
A A^{-1} =
1101
1 0 1 -1
=
10.
01
A ^{-1} A =
0111
1 -1 1 0
=
10.
01
これらから,確かにA ^{-1} が逆行列であることが分かる.
b) A =
111
100
010
と置くと,det( A ) = 1.
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まず小行列式は以下のように得られる:
Δ_{11} =
0 0 = 0,
10
Δ_{12} =
1 0 = 0,
00
Δ_{13} =
1 0 = 1,
01
Δ_{21} =
1 1 = -1,
10
Δ_{22} =
1 1 = 0,
00
Δ_{23} =
1 1 = 1,
01
Δ_{31} =
1 1 = 0,
00
Δ_{32} =
1 1 = -1,
10
Δ_{33} =
1 1 = -1.
10
これらから,余因子(minor)は,
A_{ij} = (-1)^{i+j}Δ_{ij}
と定義されるので,以下のように得られる:
A_{11} = (-1)^{1+1}Δ_{11} = 0,
A_{12} = (-1)^{1+2}Δ_{12} = 0,
A_{13} = (-1)^{1+3}Δ_{13} = 1,
A_{21} = (-1)^{1+2}Δ_{21} = 1,
A_{22} = (-1)^{2+2}Δ_{22} = 0,
A_{23} = (-1)^{2+3}Δ_{23} = -1,
A_{31} = (-1)^{3+1}Δ_{31} = 0,
A_{32} = (-1)^{3+2}Δ_{32} = 1,
A_{33} = (-1)^{3+3}Δ_{33} = -1 .
A の逆行列は,
(A ^{-1})_{ij} = (A_{ji}/det(A ))
のように定義されるので,以下を得る:
A^{-1} =
010.
001
1 -1 -1
A A^{-1} =
111010.
100001
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0 1 0 1 -1 -1
=
100.
010
001
A ^{-1}A =
010111.
001100
1 -1 -1 0 1 0
=
100.
010
001
これらから,確かにA ^{-1} が逆行列であることが分かる.
8) 次の固有方程式の固有値と固有ベクトルを求めよ.(10点)
11x
10y
=λ
x
y
答え)
元の式から,
1-λ 1 x
1 -λ y =
0
0. (A) これが自明でない解を持つためには,
1-λ 1
1 -λ = 0 でなくてはならない.これは,2次方程式:
λ^2 - λ - 1 = 0
を解くことと等価であるから,固有値は,
λ= λ_{±} = (1±√ 5)/2
となる. (A)から,
(1-λ) x + y = 0,
x -λy = 0. (B)
これに,
λ= λ_{+} = (1+√ 5)/2 = τ
を代入すると,
y_{+}/x_{+} = λ_{+} -1 = 1/λ_{+} = 1/τ = (√ 5 - 1)/2.
これを
y_{+} = (1/τ)x_{+}
として,規格化条件,
x^2 + y^2 = 1
に代入すると,
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x_{+}^2 + (1/τ)2x_{+}^2 = [1+ (1/τ)2] x_{+}^2 = 1. それゆえ,
x_{+} = 1/√(1+ (1/τ)^2) = τ/√(1+ τ^2) ,
y_{+} = 1/√(1+ τ^2).
まったく同様にして,
λ= λ_{-} = (1-√ 5)/2
を代入すると,
y_{-}/x_{-} = λ_{-} -1 = 1/λ- = -(√ 5 + 1)/2 = -τ.
これを
y_{-} = -τx_{-}
として,規格化条件,
x^2 + y^2 = 1
に代入すると,x_{-}^2 + τ^2x_{-}^2 = (1+ τ^2)x_{-}^2 = 1. それゆえ,
x_{-} = 1/√(1+ τ^2),
y_{-} = -τ/√(1+ τ^2).
したがって,
λ= λ_{+} = τ
の固有値の固有ベクトル x _{+} は,
x _{+} =
τ/√(1+ τ^2)
1/√(1+ τ^2),
λ= λ_{-} = 1-τの固有値の固有ベクトル x _{-} は,
x _{-} =
1/√(1+ τ^2)
-τ/√(1+ τ^2).
これらは,当然直交している,すなわち,
(x _{+} , x _{-}) = 0.
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