Lecture5 04.5.13 4:58 PM 1998年5月19日 <<第5週,高校数学のまとめ2: 初等関数とグラフ,2項展開>> <記法上の注意> 以下の文中で,a^2はaの2乗を意味する.b_nやb_{n+1}はサブスクリプト(下付文字)がnやn + 1であることを意味する. <目次> 変数と定数 関数の概念 内挿と外挿 関数の解析的表現 座標とグラフ 関数と写像 陰関数 逆関数 関数の多価性 指数関数と対数関数 2項展開 <変数と定数> さて,これから微分(differentiation)と積分(integration)のテーマに入って行こう.その目的の ために,今回数学の基本に再び立ち返ろう. 数学(mathematics)の目的の1つは,この自然界のさまざまな現象を数式で表現することである. 1つの問題で,決まった値が与えられた数を定数(ていすう,constant)と呼ぶ.一方,その問題で, 変化を期待できる数のことを,変数(variable)と呼ぶ. しかし,現実の問題は,もっと複雑で,こんなに単純に定数と変数を区別することはできない.例え ば,ある温度Tで,バネ(spring)の長さ(length) x とそのバネにかかる力(force) F の間には,比例 (proportional)関係がある[フック(Hooke)の法則].つまり,F = k xと書ける.このとき,kをバネに 固有の比例定数,xはバネの伸びを表わす変数である.しかし,定数kも温度が変われば,変わりうる という意味では,変数である.にもかかわらず,1つの温度では,定数と考えられるので,多くの場合 そのような数を定数と呼ぶのである. <内挿と外挿> 我々が,自然科学で扱う法則--自然法則(natural law)は,実験によって初めて確かめられるもので ある.言い替えれば,だれ彼なく,だれでもやろうと思えば,確かめられるもの[ 検証可能 (testability)なもの]である.したがって,だれか1人しか確かめようのないもの,例えば,幽霊と か,死後の世界とかは,自然科学には成りえない.このように検証可能性は,科学の成り立ちの中で もっとも厳しい条件である. しかしながら,実際に自然現象を確かめるために我々が行う実験は,無限(infinite)に何度もするこ とはできない.常に,有限(finite)回しか検証は行えない.これは,実験のためにお金や設備がいるか らである. したがって,有限回しか行うことのできない実験結果の中から,意味ある情報(information)を導き出 さなくてはならない.この目的のために,基本的に2つの方法が良く用いられる. 第1は,内挿(ないそう,interpolation)と呼ばれる方法(method)である.これは,測定された2 つのデータの間を直線や曲線でうまく結び,実際には測定されていない中間の値を予測するという方法 である(下図). http://www.stannet.ne.jp/kazumoto/Lecture5.html ページ 1 / 15 Lecture5 04.5.13 4:58 PM 第2は,外挿(がいそう,extrapolation)と呼ばれる方法である.これは,測定されたデータの領域 (region)の外側を直線や曲線でうまく結び,実際には測定できなかった領域における値を予測すると いう方法である(下図). <関数の概念> 自然科学においてなぜ関数(function)の概念(concept)が必要かというと,それは実験の測定結果を 1つの関数で与えることができれば,上述の内挿と外挿をその1つの関数によって実行(carry out)で きるからである.つまり,測定されていない条件や領域における自然現象を予測する(predict)ことが できるからである.これが,もっとも大きな目的である. ここで,関数の定義は,以下のように与えられる: 独立変数(independent variable) xの値を[それ が取り得る値の集合(set)のうちから]任意に(arbitrarily)1つ定めると,それに対応してyの値が定ま るならば,yはxの関数(y is a function of x)と呼ばれる.独立変数は,変数であり,定数はある1つ の数である. <関数の解析的表現> 関数の関係(relation)を表現する(represent)するには,基本的に次の3つがある: (1) 解析的方法(analytic method); (2) 表(table)による方法; (3) グラフ(graph)による方法,つまり幾何学的方法(geometrical method). 関数関係が1つの方程式で結びつけらるとき,その関係が「解析的に表現された(analytically expressed)」といい,最も威力を発揮するときである.これを,普通は,以下のように書く: y = f(x). (1) これは,yが独立変数xの関数,つまり従属変数(dependent variable)であることを示している. さらに,もし1つのuが,多変数(many variable)の関数である場合も,同様に解析的に表現できる: 例えば, u = f(x, y, z). (2) http://www.stannet.ne.jp/kazumoto/Lecture5.html ページ 2 / 15 Lecture5 04.5.13 4:58 PM <陰関数> さてここで,もし関数の関係が,(1)のような簡単な形に表わせない場合はどうだろうか?つまり, (1)では,関数関係はyに対して解けているが,そうでない場合はどうかということである.例えば,円 の方程式: x^2 + y^2 = r^2, (3) や楕円の方程式: a x^2 + b xy + cy^2 = 1, (4) さらには, y^3 - x^2 = 0, (5) 等がそうである. このように,関数の解析的表現が,1つの方程式: f(x, y) = 0 (6) で与えられる関数を,yはxの陰関数(implicit function)と呼ぶ.より一般に,多変数x, y, z, ...の陰関 数vは,以下のように与えられる: f(x, y, z, ..., v) = 0. (7) <座標とグラフ> さて今度は,関数をグラフに表わすことを考えて見よう.1つの関数関係(1)が与えられていると き,普通,横軸(horizontal axis)に独立変数xをとり,それに対応して,縦軸(vertical axis)に従属 変数yをとる.これをデカルト座標(cartesian coordinate)と呼ぶ.この場合は,x-y座標と呼ぶ.ま た.もし2変数の関数z = f(x, y)を考える場合は,水平面(x-y 平面)上の1点(x, y)に対して,zを1 つ与える.(下図). これが,以前学んだ,「デカルトの精神」の基本である.この方法により,図形(figure)を扱う幾何 学(geometry)と数式をあつかう解析学(analysis)あるいは代数学(algebra)が,初めて結び付けられ たのである.そして,図形の問題を扱うことが,数式を解析的に扱うことから解けるようになったので http://www.stannet.ne.jp/kazumoto/Lecture5.html ページ 3 / 15 Lecture5 04.5.13 4:58 PM ある.以後,自然科学が急速に発達するようになった.特にこれから学んで行く,微分積分学は,デカ ルトのこの本質的ブレイクスルー(breakthrough)によって初めて考えられるようになったのである. <関数と写像> 関数はその定義から分かるように,独立変数xのある領域に対して,従属変数yの領域が描かれる. このxの取る領域のことを,定義域(defined region)と呼ぶ.一方,それに応じて得られるyの領域を 値域(value region)と呼ぶ.ここで,普通は,定義域はx軸上にある1つの領域のことで,値域はそれ に応じて得られるy軸上にある1つの領域のことを意味する. つまり,関数とは,ある1つの独立変数xの領域から,別の独立変数yへの対応(correspondence) 関係を示している.このとき,もしその領域を単にx軸上にある1つの領域のことと考えず,より一般 的にxの取りうる1つの集合(set)と考えると,関数とは,ある1つの集合から,別の集合への対応関 係を示していると解釈することができる.この意味が分かるように,強調して関数を表現するしかたが 写像(mapping)という概念である.この考え方にしたがって関数を書くと,次のようになる: f : x ∈ X → y ∈ Y , (8) ここで,X は定義域の集合,Y は値域の集合を表わしている. (注)集合の概念は,カントール(Cantor, 1845-1918)によって初めて導入された.しかし,この集 合の概念をめぐって,クロネッカー(Kronecker, 1823-1891)との有名な論争(debate)により,彼は 自分の集合概念は何も言ってないのではないかと自信を失い,精神病にかかってしまった.そして,最 後に精神病院で,1918年1月6日に73歳で死んだ.(E.T. ベル,「数学をつくった人びと(下)」,東京図 書) この方法にしたがうと,例えば,多変数関数u = f(x, y, z)は,以下のように書ける: f : (x, y, z) ∈R ^3 → u ∈ R . (9) さらに,写像の概念のより分かりやすいところは,合成関数(composite function)をたやすく理解 できることである.合成関数とは次のようなものである.仮に, y = f(x), (10) z = g(y) (11) の2つの関数があるとしよう.このとき,yを(11)のyに代入して得られる関数: z = g(f(x)) = (g°f)(x) (12) をxからzへの合成関数と呼ぶ.これを写像で表現すると, f : x ∈ X → y ∈ Y , (f : X → Y ) (13) g : y ∈ Y → z ∈ Z , (g : Y → Z ) (14) から,合成写像は次のようになる: g°f : x ∈ X → z ∈ Z , (g°f : X → Z ). (15) http://www.stannet.ne.jp/kazumoto/Lecture5.html ページ 4 / 15 Lecture5 04.5.13 4:58 PM これは基本的には,A → B, B → Cならば,A → Cという,三段論法と同じである.このような論理 (logic)を,推移的(あるいは遷移的, transitive)という.合成写像は,写像における三段論法のことで ある. 写像に関して,さらに基礎的知識として以下のようなものがある.(8)の写像に関して, f(X ) = Y (16) となる場合は,写像 f はX からY への「上へ(onto)」の写像あるいは投射的(surjective)と呼ぶ.ここ で,f(X )をX の像(image)と呼び,im fと書く.写像fが投射的であり,かつf(x) = y, f(x') = y'で,も しx ≠x'なら,y≠y'であるなら,写像fは「1対1対応(one-to-one correspondence)」である.こ れを注入的(injective)と呼ぶ. 一方, f(X ) ⊂ Y (17) となる場合は,写像 f はX からY への「中へ(into)」の写像と呼ぶ.さらに, f(X ) = 0 ∈ Y (18) となる場合は,これを満たすX をfの核(kernel)と呼び,ker fと書く. <逆関数> さて今度は,xからyへの写像fの逆(inverse)を考えよう.これをf^{-1}と書く.まず(13)のような 写像fがあるとしよう: f : x ∈X → y ∈ Y , f : X → Y . (19) http://www.stannet.ne.jp/kazumoto/Lecture5.html ページ 5 / 15 Lecture5 04.5.13 4:58 PM このとき,その逆写像f^{-1}は, f^{-1} : y ∈ Y → x ∈ X , f^{-1} : Y → X . (20) これは,関数の表現でいうと,逆関数を得るとは, y = f(x) (21) を逆にxについて以下のように解くことである: x = f^{-1}(y) . (22) そして,このグラフを同じx-y平面上に y = f^{-1}(x) . (23) このことをグラフ上で行うには,y = xに対称的(symmetric)にy = f(x) を180度回転すればいい. このようにして,逆関数は容易に求められる. <関数の多価性> しかし,このようにして逆関数を求めると,得られた逆関数はしばしば多価関数(many valued function)になる.例えば, y = x^2 (24) の逆関数は, y = ±x^{1/2} = ±√x (25) となる.したがって,1つのxに対して±√x の2つが対応する.このような場合は,この関数は,2 価(two-valued)関数と呼ばれる.そして,√xと-√xをそれぞれ,上の分岐(branch),下の分岐と呼 ぶ.(下図). 一般に,このような関数を多価関数と呼ぶ. http://www.stannet.ne.jp/kazumoto/Lecture5.html ページ 6 / 15 Lecture5 04.5.13 4:58 PM 通常,関数は1価関数(1対1対応の関数,つまり,逆関数の逆関数は元の関数に戻る関数)を扱うの で,逆関数を定義するときには,どの分岐にするか選んで定義しなくてはならない. <指数関数と対数関数> 以上の観点から,以前学んだ指数関数(exponential function)を考えて見よう.そのとき,指数関 数の逆関数は何だろうか?指数関数は以下のように定義される: y = e^x. (26) この指数関数の逆関数を,対数(logarithm)と呼び,次のように定義する: y = log x . (27) 対数には,次のような性質がある. 1) y = e^x > 0であることから,y = log x は,x > 0で定義される. 2) また, y = e^x , y' = e^x' (28) と置いて, y y' = e^x e^x' = e^{x+x'} (29) が成り立つから, log(x y) = log x + log y (30) の性質を得る. 3) 逆関数の性質:f(f^{-1}(x)) = f^{-1}(f(x)) = xから, http://www.stannet.ne.jp/kazumoto/Lecture5.html ページ 7 / 15 Lecture5 04.5.13 4:58 PM e^{logx} = x, (31) log(e^x) = x. (32) この(32)は,ある数y>0があって,それを無理やり,自然定数eの累(べき)関数の形e^xで書くとき, その指数を取り出す演算(operation)を意味する.例えば,4を3の累乗(べきじょう)として,次のよう に書けるとしよう: 4 = 3^x. (33) このとき,x = 1なら,3^x = 3, x = 2なら,3^x = 9であるから,(33)を満たすxは,1 < x てはならない.(33)を満たすxを < 2でなく x = log_{3}4 (34) と書き,3を対数の底(base)と呼ぶ.特にこの底が自然定数eとなるとき,それを自然対数(natural logarithm)と呼び,以下のように書く: log_{e} = ln = log. (35) (33)の両辺のlnを取ると, log4 = log(3^x) = x log3. (36) したがって,(34)と(36)から, x = log_{3}4 = log4/log3 = 1.261859507.... (37) 近年,分数の次元--分数次元(fractional dimension)を持つさまざまな図形や幾何学が発見され た.図形の尺度(scale)を1/rにすると,それにしたがって図形を形ち作る要素の数がNとなるとき,そ の図形の相似次元(similarity dimension)Dは,次のように定義される: D = logN/log(1/r). (38) 図形の尺度を1/3にすると,要素の数が4倍になるコッホ(Koch)曲線の次元は, D = log4/log3 (39) となる.それゆえ,(37)はコッホ曲線のフラクタル次元(fractal dimension)と等しい例である.(下 図). http://www.stannet.ne.jp/kazumoto/Lecture5.html ページ 8 / 15 Lecture5 04.5.13 4:58 PM <2項展開> さて次に,微分積分学の準備として,2項展開(binomial expansion)を考えよう. まず,次のような2次式の展開を考えて見よう. (x + y)^2 = x^2 + 2x y + y^2. (40) 同様に,x+yの3乗は, (x + y)^3 = x^3 + 3x^2 y + 3x y^2 + y^3. (41) さらに, (x + y)^4 = x^4 + 4x^3 y + 6x^2 y^2 + 4x y^3 + y^4. (42) では,(x + y)^n の展開はどうなるだろうか?これは,次のように与えられる: (x + y)^n = x^n + nC1 x^{n-1} y^2 + nC2 x^{n-2} y + nC3 x^{n-3}y^3 + ... + nCn-1 xy^{n-1} + y^n, (43) ここで, nCr を2項係数(binomial coefficient)と呼び,以下のような性質を持つ: 1) nCr = n r = n! ---------, (44) (n-r)! r! 2) nCr = nCn-r , (45) 3) nCr = n-1Cr+1 + n-1Cr-1, (46) 4) nC0 = 1, (47) 5) nC1 = nCn-1 = n, (48) 6) nC2 = n(n-1)/2. (49) http://www.stannet.ne.jp/kazumoto/Lecture5.html ページ 9 / 15 Lecture5 04.5.13 4:58 PM 特に,(46)の関係は,パスカルの三角形(Pascal's triangle)と呼ばれ,以下のような三角形である. 1 11 121 1331 14641 1 5 10 10 5 1 ....... これは,「人間は考える葦(あし)である」という言葉で有名なパスカル(Pascal, 1623-1662)によっ て初めて考えられた.彼は,後に学ぶ予定である,確率や統計の数学概念や,気体の圧力(気圧)を初め て測定することに成功した物理学者でもあった.そのため,気圧の単位に(ヘクト)パスカルとついてい るのである. <Home Work Set #5> 1) y = x^3 - x^2 - x -1のグラフを書け.(10点) 2) 陰関数y^3 - x^2 = 0のグラフを書け.(10点) 3) y = 2x^2 - 1の逆関数を求め,グラフを書け.(10点) 4) パスカルの三角形の関係式(46)を帰納法(induction method)で証明せよ.(10点) <Home Work Set #4の解答> 1) 次の2つのベクトルx = (1, 1, 1 ), y = (1, 2, 3)がある. a) これらの内積を求めよ.(5点) b) それから,その2つのベクトルのcosineを求めよ. (5点) 答え) a) x . y = 1×1+ 1×2+1×3 = 6. b) |x | = √(12+12+12) = √(3). |y | = √(12+22+32) = √(14). cosθ= x . y /( |x | |y |) = 6/(√(3)√(14)) = √(3)√(14)/7. 2) 次の2つのベクトルの外積を求めよ. (5点) x = (1, 1, 1 ), y = (1, 2, 3). 答え) x ×y = e _1 e _2 e _3 1 1 1 1 2 3 = 1 1 e _1 23 http://www.stannet.ne.jp/kazumoto/Lecture5.html ページ 10 / 15 Lecture5 + 1 3 + 1 1 = 04.5.13 4:58 PM 1 e _2 1 1 e _3 2 e _1 - 2e _2 + e _3 = (1, -2, 1). 3) 次の3つのベクトル: x = (1, 0), y = (0, 1), z = (1, 1) は1次独立か?1次従属か? (5点) 答え) z = (1, 1) = x + y となるので,1次従属である. 4) (33), (34)を(41)に代入して,(41)を確かめよ. (5点) 答え) x'2 + y'2 = (x cos φ - y sinφ)^2 + (x sin φ + y cosφ)^2 = x^2 cos 2φ+ y^2 sin2φ - 2x y cos φ sinφ + x^2 sin 2φ+ y^2 cos2φ + 2x y cos φ sinφ = (x^2 + y^2)(cos 2φ+ sin2φ) = x^2 + y^2. 5) x^2 + 2 x y + 4 y^2 = 1のグラフを描け. (5点) 答え) 左辺に合わせて,行列 11 1 4 を定義できる.これの固有値は, 1-λ 1 1 4-λ = (1-λ)(4-λ) - 1 = λ^2 -5λ + 3 = 0. から得られる.これを解くと,λ = (5±√13)/2.したがって,元の式は,1次変換により, A x'^2 + B y'^2 = 1, A = (5+√13)/2 = 4.302, B = (5-√13)/2 = 0.697 の形に変換できる. これは,短軸の長さが,a = 1/√A = 0.482, 長軸の長さが,b = 1/√B = 1.198 (> a)である楕円を表わしている.したがって,グラフは以下のようになる. http://www.stannet.ne.jp/kazumoto/Lecture5.html ページ 11 / 15 Lecture5 04.5.13 4:58 PM 6) 次の行列式の(22)成分の余因子を求めよ.(5点) 123 234 456 答え) 13 46 7) 次の行列の逆行列を求めよ. a) (5点) 11 10 b) (5点) 111 100 010 答え) a) A = 11 10 と置くと,det( A ) = -1. A ^{-1} = 0 -1 /(-1) -1 1 = 01. 1 -1 A A^{-1} = 1101 1 0 1 -1 = 10. 01 A ^{-1} A = 0111 1 -1 1 0 = 10. 01 これらから,確かにA ^{-1} が逆行列であることが分かる. b) A = 111 100 010 と置くと,det( A ) = 1. http://www.stannet.ne.jp/kazumoto/Lecture5.html ページ 12 / 15 Lecture5 04.5.13 4:58 PM まず小行列式は以下のように得られる: Δ_{11} = 0 0 = 0, 10 Δ_{12} = 1 0 = 0, 00 Δ_{13} = 1 0 = 1, 01 Δ_{21} = 1 1 = -1, 10 Δ_{22} = 1 1 = 0, 00 Δ_{23} = 1 1 = 1, 01 Δ_{31} = 1 1 = 0, 00 Δ_{32} = 1 1 = -1, 10 Δ_{33} = 1 1 = -1. 10 これらから,余因子(minor)は, A_{ij} = (-1)^{i+j}Δ_{ij} と定義されるので,以下のように得られる: A_{11} = (-1)^{1+1}Δ_{11} = 0, A_{12} = (-1)^{1+2}Δ_{12} = 0, A_{13} = (-1)^{1+3}Δ_{13} = 1, A_{21} = (-1)^{1+2}Δ_{21} = 1, A_{22} = (-1)^{2+2}Δ_{22} = 0, A_{23} = (-1)^{2+3}Δ_{23} = -1, A_{31} = (-1)^{3+1}Δ_{31} = 0, A_{32} = (-1)^{3+2}Δ_{32} = 1, A_{33} = (-1)^{3+3}Δ_{33} = -1 . A の逆行列は, (A ^{-1})_{ij} = (A_{ji}/det(A )) のように定義されるので,以下を得る: A^{-1} = 010. 001 1 -1 -1 A A^{-1} = 111010. 100001 http://www.stannet.ne.jp/kazumoto/Lecture5.html ページ 13 / 15 Lecture5 04.5.13 4:58 PM 0 1 0 1 -1 -1 = 100. 010 001 A ^{-1}A = 010111. 001100 1 -1 -1 0 1 0 = 100. 010 001 これらから,確かにA ^{-1} が逆行列であることが分かる. 8) 次の固有方程式の固有値と固有ベクトルを求めよ.(10点) 11x 10y =λ x y 答え) 元の式から, 1-λ 1 x 1 -λ y = 0 0. (A) これが自明でない解を持つためには, 1-λ 1 1 -λ = 0 でなくてはならない.これは,2次方程式: λ^2 - λ - 1 = 0 を解くことと等価であるから,固有値は, λ= λ_{±} = (1±√ 5)/2 となる. (A)から, (1-λ) x + y = 0, x -λy = 0. (B) これに, λ= λ_{+} = (1+√ 5)/2 = τ を代入すると, y_{+}/x_{+} = λ_{+} -1 = 1/λ_{+} = 1/τ = (√ 5 - 1)/2. これを y_{+} = (1/τ)x_{+} として,規格化条件, x^2 + y^2 = 1 に代入すると, http://www.stannet.ne.jp/kazumoto/Lecture5.html ページ 14 / 15 Lecture5 04.5.13 4:58 PM x_{+}^2 + (1/τ)2x_{+}^2 = [1+ (1/τ)2] x_{+}^2 = 1. それゆえ, x_{+} = 1/√(1+ (1/τ)^2) = τ/√(1+ τ^2) , y_{+} = 1/√(1+ τ^2). まったく同様にして, λ= λ_{-} = (1-√ 5)/2 を代入すると, y_{-}/x_{-} = λ_{-} -1 = 1/λ- = -(√ 5 + 1)/2 = -τ. これを y_{-} = -τx_{-} として,規格化条件, x^2 + y^2 = 1 に代入すると,x_{-}^2 + τ^2x_{-}^2 = (1+ τ^2)x_{-}^2 = 1. それゆえ, x_{-} = 1/√(1+ τ^2), y_{-} = -τ/√(1+ τ^2). したがって, λ= λ_{+} = τ の固有値の固有ベクトル x _{+} は, x _{+} = τ/√(1+ τ^2) 1/√(1+ τ^2), λ= λ_{-} = 1-τの固有値の固有ベクトル x _{-} は, x _{-} = 1/√(1+ τ^2) -τ/√(1+ τ^2). これらは,当然直交している,すなわち, (x _{+} , x _{-}) = 0. 前セクション 次セクション 目次 ホームページ 和基 和子 維作 条蒔 家族 Donation 「井口和基博士と家族のホームページ」 〒774-0003 徳島県阿南市畭町新はり70-3 井口和基 (C)2004 http://www.stannet.ne.jp/kazumoto/Lecture5.html ページ 15 / 15
© Copyright 2024 Paperzz