ITS Japanニュース№124(2005年6月号)

◆「ITS America年次総会の概要
◆「地域ITS推進団体連絡会」報告
◆産学連携特集:京都大学
◆ITS Japanが総務大臣表彰
◆(社)電波産業会とITS情報通信システム
推進会議のITSへの取り組み
◆ITS Japanが東京都から特定非営利
活動法人(NPO)設立の認証受ける
◆関西ITS推進協議会のITS取り組み
◆幹事会報告
※写真、図等の著作権はITS Japan及び寄稿者に存するので、利用されたい場合は必ず承諾をとるようにしてください。
◆ ITS America年次総会の概要
5月2∼4日にかけてアリゾナ州フェニックス市で行われた題記総会の概要を報告致します。
1. 2005年年次総会の概要
ITS Americaの年次総会は、毎年開催都市を変えながら行われており、今年はアリゾナ州のフェニッ
クスで開催された。(2004年:テキサス州サンアントニオ、2003年:ミネソタ州ミネアポリス)
今年のテーマは、「Connecting Ideas, Partners and Solutions」で、Keynote Speakerに高名な未来学者
のJames Canton博士を招いて開催された。
参加者総数(展示を含む)は、2700名で、その内日本からはゴールデンウィークと重なったにも関わ
らず20名程度が参加(登録者)した。
2. 開会式
開会式は特別なセレモニーやエンターテイメントは
設定されず、2005年の年次総会の後会長を辞任す
る(ITS America会長の任期は1年)Bair会長の司会
で始まった。
2005年ITS世界会議サンフランシスコ大会の組織
委員長のHarry Voccolaが世界会議の概要の紹介
を行い、引き続きアリゾナ州DOTのVictor Mendez
氏が歓迎の挨拶を述べた。
開会式でのBair ITS America会長
FHWA長官のMarry Peters(地元アリゾナ出身)が
中国出張後体調を崩したため、副長官のJeff
Paniati氏(VII推進者)が政府代表の挨拶を行った。
引き続きITS America awardの授賞式が行われ、
新会長のCapper氏が楯の贈呈を行った。
ITS America賞は9分野がありその内、New
product, Service, or Applicationの部でNissan
Technical Center North Americaの Lane Departure
Warning System が日本系企業で始めて受賞した。
Capper新会長
その後James Canton博士(注)によるkeynote Speech
が行われた。
(注)Canton博士はホワイトハウスの科学技術顧問の経験もある
高名な未来学者。CNNのFinancial NewsのコメンテータやMIT
のメデイアラボのAdvisory Boardメンバーも勤めた。
Keynote Speechは、約40分にわたって将来の技術の
ブレークスルーをどうやって見つけ出すのかをキーワ
ードを交えて紹介した。しかし話術の巧みさと比べれ
ば極当たり前の研究開発のアプローチについての話
がほとんどであった。もっともコンサルタントとして著名
な方なので、公の場で具体的な技術について無料で
話すはずはないと考えられる。
スピーチ中のCanton博士
冒頭部分のスピーチ:
「10年後の社会はどうなるであろうか。まず高齢化社会ではTelematics市場が必ず大きくなるだろう。
データ・顧客セキュリティへの重要性が高まることは確実であり、センサーネットワークが発達する
と、バイオテク、ナノテクを使った通信が可能となるだろう。
インテリジェントインフラ・コミュニケーションインフラが発達することでインターネットのコンテンツがよ
り豊富に、マルチメディア化が発達し、センサー技術が発達するともっとバーチャルな体験ができるに
違いない。」
Keynote Speechの骨子(新技術開発の鍵)
z What is your Vision? (何が重要か見通す)
z Define Innovation (目的、何に使えるのか)
新しい技術は多くの技術の融合により生み出される。(セキュリティ、エネルギー、健康、運輸、空
間、ナノテク、ライフスタイルを変えるもの)
これら技術開発の際に重要なのは、Speed(スピード), Growth(成長性), Efficiency (効率)and
Agility(敏捷性)である。
テレマティクス市場の将来の予想として、2007年にはE-Marketで10億ドル、2010年にはB2Bで20億ド
ルになるだろう。
3. 主なセッション
論文発表セッションは、下記9つのトピックスに大分類されており、64のセッションが設けられた。
z ATCE (Automotive, Telecommunication and Consumer Electronics Forum)
z BLC (Business Leadership Council)
z CVFM (Commercial Vehicle and Freight Mobility Forum)
z HSPS (Homeland Security & Public safety)
z INFO (Information Forum)
z PEA (Policy, Evaluation and Advocacy Forum)
z PT (Public Transportation Forum)
z RITE (Research, Integration, Training and Education Forum)
z TSOP (Transportation System Operations and Planning Forum)
今回は特に「安全」に関するセッションに的を絞って聴講した。今回聴講したセッションの概要は以下
の通りです。
3-1 ITS Safety Initiative
5月2日(月) 13:30-15:00
ISI(ITS Safety Initiative)は下記項目から構成されており、それぞれの概要紹介があった。
VII:VII連合(Coalition)の目的は07−08年にフィールドテストを行いその後の実展開に寄与するシ
ステムを完成させること。DSRCの標準化については2006年の3月までにまとめる。
CICAS(Cooperative Intersection Collision Avoidance System):2003年の米国での事故による金額
的損失は1,000億ドルにのぼる、この対策として特に信号違反や車間距離維持支援のシステムを考
えている。各種のシステムの優先度や警報の仕方などを05年に行い、その後06年にシステム開発
を行い09年にフィールドテストを開始する。
New Generation 911:テロ災害など大都市圏での市民の避難を円滑にするのを目的にしている。
NG911はワイヤレス社会の緊急時の通信サービスである。
避難ルートや緊急車両の出動支援システムから構成されている。
3-2 Driver Focus and Other legal and social issues
5月2日(月) 15:30-17:00
このセッションでは主にDriver Distractionについて論議された。NTSB(国家運輸安全局)からは全
事故の25-27%がDistraction(意識の脇見)によるもので、特に未熟な運転者は携帯電話など他のタ
スクが加わった時の影響が大きいとの指摘があった。これに対してCTIA(Cellular
Telecommunication and Internet Association)の方からは、運転中の携帯電話禁止法を採用する州
が増加しているが、事故データによるとこれによる要因は0.1∼0.3%に過ぎない。携帯電話による事
故が過大視されている、AAAのデータではその他の要因(同乗者との会話、ラジオの調整など)の
方がはるかに大きい。ハンズフリーシステムに関しても、不注意なドライバーには役立たないなどの
例が紹介された。
3-3 Safety and Collision Avoidance
5月2日(月) 15:30-17:00
このセッションでは衝突防止システムについての調査中間報告、各国での安全への取り組みの概
容が紹介された。
アメリカでの居眠り運転を警告するためのDrowsing Driver Warning Systemの実験映像が公開さ
れた。これはまだ実験段階であるものの他の衝突対策装置との連携によってより高い効果が期待
されるものと紹介された。また各国が取り組んでいる衝突安全の取り組みの概容が紹介された。
欧州(Electronic Stability Control)
豪州(Lane Departure System)
韓国(Low Speed Following)
日本(Adaptive Cruise Control, Lane Departure Prevention, Collision Mitigation Braking, Automated
Parallel Parking)
3-4 The Vehicle Side VII
5月4日(水) 8:00-9:30
VIIに参加しているカーメーカから現状の活動紹介が行われた。
BMW:欧州で行われているアクティブセーフティプロジェクト(INVENT)の概要の紹介の後、今後の
解決課題(プライバシーとロバスト性の確保、Car2Car通信)の提案。
Ford:VIIでの車車間通信やHMI関連の標準化の重要性を指摘すると共に、カーメーカ各社の商
品化やインフラの整備の整合性を政府が主導すべきと提案。
GM:デトロイト地域(山手線の中より広いエリア)で700台の車両を使って行ったプローブカーの実
験結果を紹介した。
3-5 Automatic Crash Notification
5月4日(水) 13:30-15:00
本セッションでは「事故ゼロ」の社会に近づくための取り組みとして、Automatic Crash Notification
(ACN) に関する問題が話し合われ、アラバマ州で行われた次世代型ACNのfield operation testにつ
いて報告がされた。事故に遭った乗員に関する情報が多いほど完璧な医療サポートに近づくことが
可能になるという医療現場サイドの助言から、より進化した次世代型ACNのデータを米国メディカル
スクールと共同で分析を進めている。
また事故後の状況(Post Crush Environment)をできるだけ良くするためACNについても話し合わ
れ、ACNによって衝撃時にセンサーから得たデータが直ちにコールセンターに転送されることで、事
故の発生場所・電話番号・乗員の安否がすぐに分る点がアピールされた。しかしnon-passenger car
は対象でないなどの問題がある。
3-6 Human Factors and Safety
5月4日(水) 15:30-17:00
年次総会最後のセッションのためか、参加者は極めて少なかった(10名)が、HMIについて民族・
性別・年代によっても変えなければならないと言うユニークな提案であった。日本製のオーディオメ
ニューの表示(一度に多くのメニューが出てきてそれをドライバーに選択させる:日本人は複雑な情
報系でも判断出来る)と欧州製(逐次ドライバーが選択し数ステップで最終モードに到達:一度に多
数の情報が出ると欧州人は混乱するので、単純なステップアップ式が合理的)など分かりやすい例
を上げて説明していた。
4. 展示会
展示企業数は129社、総展示小間数で、ITS世界会議名古屋大会の1/3の規模である。世界会議に
出展する企業に比べ、小規模な会社が数多く出展していた。州やカウンティ−のITS関係者へのシス
テムの売り込みが主たる目的で、海外への展開はほとんど考えていないようである。
Big3や自動車関係のサプライヤーの姿は1社のみであった。
また、逆に防衛・航空分野の著名な企業が2社出展していた。軍需で培ったレーダ関連や交通制御
関連の展示を行っていた。
5. ITS America 年次総会の印象
平日でも人通りが少ないPhoenixのダウンタウンに
急遽2,700名の人が集まったが、それでも閑散として
いる感じを受けた。
ITS世界会議に北米からの参加者はいつも少ない
が、ITS関係者は展示も含め、これだけの人が携わ
っている。しかし、展示者(小規模事業)・発表者の
多くは北米でのビジネスだけを考えているようであ
り、海外への展開はあまり念頭にないようである。
会場のPhoenix Civic Plaza
期間中、ITS AmericaのNeil Schuster社長とも話し
たが、北米からのITS世界会議への参加者を拡大
することに頭を痛めているとの事だった。
しかし、北米は北米自体である程度盛り上がって
おり、昨年打ち出した「Zero Fatality」と「Zero
Congestion」実現に向け着実に動いている感じもす
る。
ITS Japanも近い将来このような形での年次総会を
開催し、ITS関係者が日本語で発表したり、世界会
議には展示しないような小規模の会員企業の展示
を行うなどの新しい取り組みの参考例となりえると
思われる。
セッション会場の一部
(担当:常務理事 菅)
◆ 産学連携特集
-ITSを活用した効率的で環境に優しい都市物流システムの構築-
京都大学大学院都市社会工学専攻
都市基盤システム工学講座
谷口栄一研究室
我々は、効率的で環境に優しい都市物流システムの構築を目指して、ITSを活用した確率論的配車
配送計画、e-コマースの都市交通への影響の軽減、都市物流施策のパーフォーマンス評価手法、都
市基盤施設構築のための技術開発等について研究を行なっている。本稿では、昨年のITS世界会議
愛知・名古屋2004で展示した4テーマについて概要を紹介する。
【プローブデータを用いた確率論的配車配送計画】
IT技術の発達によりプローブカーを用いた交通環境情報の取得が近年盛んに行なわれている。プ
ローブカーにより得られる情報は実際に走行した履歴であり、そのデータの精度は非常に高いと考え
られる。これにより以前は入手が困難であった精度の高い旅行時間等の交通情報を入手することが
可能となってきている。
本テーマでは都市内貨物車両にプローブ装置を設置し、得られた貨物車両の旅行時間情報を確率
論的配車配送計画(VRPTW-P)に適用し、得られた最適経路と実際の配送経路と比較することで物流
効率化と環境負荷低減の可能性について、阪神地区のネットワークを対象に分析した(2003年12月
8、9日)。図 1、図 2に2003年12月8日の実際の配送経路およびVRPTW-Pで求めた最適経路を示す。
VRPTW-Pにより求めた最適解の総費用は、実配送ルートで配送した場合に予想される費用に比較し
て、約43~59%削減している。同様に環境負荷についても、CO2、NOx、SPM、各々の排出量において
約4-10%、約4-11%、約3-9%の削減がなされている(図 3)。
図 1 実配送経路(12月8日)
図 2 最適配送経路(12月8日)
図 3 環境負荷の比較
【都市高速道路におけるAHSを用いた道路トンネル整備の検討】
AHS(Advanced Cruise-assist Highway Systems)を用いた道路トンネル整備を対象とし、整備効果を
費用便益分析によって評価する。通常のトンネルに比べて、乗用車専用道路トンネル、AHS専用道路
トンネルの断面積は各々約66%、57%と想定され、断面の縮小による建設コストの削減が期待でき
る。2本の環状道路、8本の放射道路から構成される仮想都市高速道路ネットワークを作成し、環状道
路のおよそ半円にあたる区間を整備対象区間として、通常の道路トンネルによる整備、乗用車道路
専用トンネルによる整備、AHS専用道路トンネルによる整備、各々について便益を算出した。図 4にト
ンネル種別の便益比、図5にAHS普及率別の費用便益比を示す。費用便益分析結果から、AHSを用
いた道路トンネルの整備が有効であることが分かる。また、交通流シミュレーションにより、ネットワー
ク全体における交通状態の改善と共に、激しい渋滞が発生していた区間における平均走行速度の大
幅な改善が確認された。
図 4 トンネル種別 費用便益比
図 5 AHS普及率別費用便益比
【eコマースが都市内道路交通・環境へ与える影響】
近年、商業分野におけるインターネットの急速な発展・普及に伴い、eコマース(電子商取引)が普及
している。eコマースには様々な種類が存在するが、特にB2C(企業と個人の間での電子商取引)で
は、消費者からのインターネットによる注文に基づき、商品が消費者へ直送される。従ってB2Cの普及
に伴い、宅配業者による商品の個別配送が増加し、その一方で乗用車による買い物トリップが減少す
ることが予想される。そこで、本テーマでは、eコマースが都市内道路交通・環境へ与える影響につい
ての検討を目的とし、「eコマースが都市内交通へ与える影響」、「eコマースによる影響の緩和を目的
とした各種シティロジスティクス施策の効果」について分析した。
eコマースが都市内道路交通へ与える影響
仮想ネットワークを対象として、時間指定付き確率論的配車配送計画モデル(VRP-TW-Pモデル)と
交通流シミュレーションモデルを用いてeコマースが都市内貨物輸送へ与える影響について評価し
た。その結果、B2Cが利用されることにより配送コストは増加するが、eコマース普及率がより上昇した
場合、買い物目的の乗用車交通が削減し、ネットワーク内における総走行時間およびNOx排出量(乗
用車分も含む)が減少することが明らかになった。
シティロジスティクス施策の効果
宅配業者による共同配送や宅配企業側からの配送先に対する到着時間帯の指定、ピックアップポ
イントの利用などのシティロジスティクス施策について検討した結果、これらの施策は配送コストの削
減と共にネットワーク内総走行時間やNOx排出量の削減にも効果的であることが明らかになった。
図 6 総費用
図 7 NOx排出量
【プローブ情報分析システム】
GPS(Global Positioning System)を用いた車両の位置情報、速度情報を収集するプローブカーシステ
ムは、新しい道路交通情報収集源として注目されている。プローブ情報分析システムは、物流事業者
のトラックをプローブカーとして活用し、得られた情報から道路の混雑・渋滞状況を把握することを目
的に、京都大学と(株)日立製作所が共同開発したシステムである。本システムの特長を以下に示す。
情報回収方法
本システムでは、無線LAN (Local Area Network)とe-mailを用いることにより、安価なプローブデータ
の収集を実現している。車載機に蓄積された車両の位置情報及び速度情報は、車両基地に設置され
たデータ回収サーバに無線LANを介し転送され、その後e-mailを利用してデータ回収サーバからデー
タ分析サーバに転送される。
マップマッチング及び旅行時間算出
マップマッチングと経路推定を行うことにより、経路旅行時間を推定する。マップマッチングではGPS
から取得された車両の位置近傍に存在するデジタル道路地図のリンクを検索し、車両がどのリンクに
存在していたかを推定する。次にダイクストラ法を用いた最短経路探索により、車両位置2点間の走
行経路を特定し、旅行時間を算出する。
リンク速度の表示
経路の旅行時間をリンク単位に分割し、各リンクの旅行時間、旅行速度を算出する。算出したリンク
走行速度を地図上に重畳表示する。リンク速度は指定した時間帯ごとに集計可能で、時間帯ごとの
道路の混雑・渋滞状況の把握に有効である。
図 8 プローブ情報分析システム
(寄稿:京都大学大学院都市社会工学専攻 都市基盤システム工学講座 教授 谷口栄一)
◆ (社)電波産業会とITS情報通信システム推進会議のITSへの取り組み
1 はじめに
平成10年4月に「高度道路交通システム(ITS)にお
ける情報通信システムの在り方」が郵政大臣から諮
問され、平成11年2月に電気通信技術審議会は、「I
TS情報通信システムの将来像、社会・経済波及効
果、技術開発課題・標準化課題」を調査し、推進方
策の一環としてITS情報通信システム推進会議の設
置の必要性を郵政大臣に答申しました。これを受け
て平成11年7月21日、約200の企業・団体が集まって
ITS情報通信システム推進会議が設立され、以来、
同会議はITS情報通信の分野における業界横断的
な情報交換、研究開発・標準化の推進及びITSの普
及啓発のための活動を行っています。
お好みのチャンネルをクリックして、ご覧ください。
2 標準化
(社)電波産業会(ARIB)とITS情報通信システム推進会議はITSの実用化に不可欠な情報通信分野
の研究開発と標準化に取り組んでいます。
(社)電波産業会は国の技術基準(強制規格)を基に、機器の相互接続の確保やITS機器製造業者、
利用者等の利便を図る目的でARIB標準規格(任意規格)及びARIB技術資料を発行しています。ま
た、ITS情報通信システム推進会議では専門家による標準化の検討結果をいち早く公表してITS情報
通信システムの普及に資するために、推進会議独自のガイドラインを作成し、公開しています。
ITS情報通信システム推進会議の専門委員会やワーキンググループはこれら標準規格等の原案を
作成し、(社)電波産業会の規格会議や他のITS標準化団体へ入力すると共に、必要に応じてITS関連
団体と連携して規格等を策定します。
ITS情報通信システム推進会議はITS標準化委員会(事務局:自動車技術会)、情報通信審議会(総
務省)、(社)電波産業会技術委員会と連携してISOやITUなどの国際標準化活動に貢献しています。
3 DSRCシステムの標準化
(1) ETCシステム標準規格
平成9年のETCに関する電気通信技術審議会答申を受けて、同年5.8GHz帯の2対向の周波数
によるETCシステム標準規格ARIB STD-T55が策定されました。
ARIB STD-T55の物理層(第1層)は平成12年にCEN規格と共にITU-R M.1453勧告となりました。
(2) DSRCシステム標準規格
平成12年のDSRCに関する電気通信技術審議会答申を受けて平成13年にDSRCシステム標準
規格ARIB STD-T75が策定されました。ARIB STD-T55はASK変調のみでしたがARIB STD-T75
にはπ/4シフトQPSK変調が加えられ、7対向の周波数が使用可能となりました。
これにより、DSRCはETCを包含すると共に、入出門管理、料金決済、情報提供などの幅広いア
プリケーションに使用可能となりました。
ARIB STD-T75の物理層は平成14年にITU-R M.1453勧告の改訂に反映されました。
また、ISO/TC204/WG15ではETCシステムのアプリケーション層(第7層)のドラフトを日本主導で
作成することとなり、ARIB STD-T75の第7層がISO/FDIS 15628に反映されています。
(3) DSRCアプリケーションサブレイヤ(ASL)標準規格
平成16年に標準規格ARIB STD-T88(ASL)が策定されました。
ASLは、インターネットプロトコル上で実行されるネットワーク系アプリケーション及びASL上で直
接動作する非ネットワーク系アプリケーションに対し、DSRCプロトコルスタックを意識させないプラ
ットフォームを提供します。ASLはITU-R M.1453勧告の改訂案に反映され、平成16年12月のITUR SG8会合で採択されました。本年、郵便投票により最終的に承認される見込みです。
(4) DSRC基本アプリケーションインタフェース
ETCの普及により、次の段階であるDSRC応用サービスへの期待が高まっています。
DSRC応用サービスは、複数のサービス事業者、複数の路側機の提供者、複数の車載器の提
供者が想定されるため、様々なサービス事業者がDSRC応用サービスを行うためには、サービス
を受けるDSRC車載器の標準化が必要です。(財)日本自動車研究所はDSRC車載器標準化の研
究を行い、DSRC車載器にDSRC基本アプリケーションインタフェースを装備し、DSRC車載器を
DSRC路側機から制御することを提案しました。
これを受けてITS情報通信システム推進会議はDSRC基本アプリケーションインタフェース仕様ガ
イドラインの策定を検討しています。
DSRC無線区間のセキュリティを確保するため、セキュリティプラットホーム(セキュリティPF)が検
討されています。
4 新たなDSRC応用サービス
DSRC基本アプリケーションインタフェースが提供する新たなDSRC応用サービスとして、車載器IDに
よる車両入出門管理、ICカードによる料金決済、情報提供を紹介します。
(1) 車載器IDによる車両入出門管理
車両入出門管理に利用可能な車載器IDとして、 無線局呼出符号WCN (Wireless Call
Number) 、 ETCサービス以外にも利用可能なETC車載器機器番号 及び DSRC基本アプリケーシ
ョンインタフェースが提供する車載器ID が検討されています。
車載器IDは駐車場入出門ゲートの開閉、工場の通門管理、店舗の顧客管理などへの利用が考え
られます。
(2) ICカードによる料金決済
ISO/IEC7816で規定された方法で路側機から車載器のICカードにアクセスします。クレジットカード
を接続できるよう検討中です。ICカードの利用により、店舗のポイントサービス、駐車場の割引サー
ビス等が可能となります。
(3) 情報提供
駐車場に停車する車両に対して、店舗のメニュー情報、道の駅、サービスエリア等で行う道路交通
情報の提供、観光情報の提供を行い、道路上を高速走行する車両に対しては、警報、運転支援情
報、道路交通情報等を提供することが検討されています。
5 あとがき
ETCの通信機能を拡張したDSRCの標準化は、標準規格ARIB STD-T75(DSRC)、ARIB STD-T88
(ASL)、ITS情報通信システム推進会議DSRC基本アプリケーションインタフェース仕様ガイドラインの
策定によって標準化の第1段階が完了すると考えます。DSRC基本アプリケーションインタフェースに
はメモリアクセスなど、将来拡張して利用可能な機能も検討されています。これらを使った新たな
DSRC応用サービスが提供されることを期待します。
<参考文献>
(社)電波産業会ホームページ http://www.arib.or.jp/
ITS情報通信システム推進会議ホームページ http://www.itsforum.gr.jp/
DSRC普及促進検討会ホームページ http://www.arib.or.jp/dsrc/oshirase/170309.htm
(寄稿:(社)電波産業会 研究開発本部移動通信グループ 中村 主任研究員)
◆関西ITS推進協議会(KIPA)のITS取り組み
1. 沿革・概要
現在、わが国はもとより世界各国において、最新の情報通信技術や制御技術を用いて『人・物』、
『移動手段』、『移動経路』を効果的・効率的に結びつける高度道路交通システム(ITS)の実用化に向
けた取り組みが積極的に行われており、交通事故、渋滞、環境問題の緩和をはじめ経済の活性化に
大きく貢献することが期待されている。
関西でも、平成11年2月に社団法人関西経済連合会が主催する「ITS研究会」において、地域ITSの
実現について検討が行われた。その結果、ITSの社会に与える影響が大きいことから、展開に当たっ
ては市民の受容性等を実証するための社会実験の必要性、及び民間、大学、行政が幅広くITSに関
係することから、これら関係者間の連携の必要性が認識され、社会実験、関係者間の連携、ITSの普
及啓発を推進するための機関の設置について提言が行われた。この提言を受け、平成11年12月20
日に関西ITS推進協議会が設立された。
2. 組織
関西ITS推進協議会は事業運営に関わる重要事項を審議するための総会および理事会、地域ITS
メニューの検討等具体的な事業検討を行う幹事会および部会、本組織を運営する事務局等で構成さ
れている。
〔平成17年3月31日現在〕
3. これまでの主な取り組み
(1) 飛鳥歩行者自転車ナビ試行運用(イベント関連検討部会)
地元自治体(橿原市・明日香村)及び国土交通省近畿地方整備局と連携し、「飛鳥歩行者自転車
ナビ試行運用」を実施、ITS活用による集客効果、地域活性化を図った。平成14年10月から約1
ヶ月、及び平成15年3月から2ヶ月、9月から3ヶ月の計6ヶ月間試行を実施した。PDAを活用して
経路・自己位置・誘導案内・観光施設等、情報提供を行う歩行者・自転車ナビゲーションシステ
ムである。
〔PDA運用の様子〕
〔橿原神宮前駅構内〕
(2) 建設資材の共同配送社会実験(物流情報化検討部会)
国土交通省近畿地方整備局と連携して、ITS技術を活用した建設資材の共同配送社会実験を
運営、支援、物流の効率化と車両削減による総走行量の削減を図った。
平成15年2月10日から1ヶ月間実施した。 資材メーカから建設現場への資材搬入に際し、共同
配送センターを設置し、そこから複数の建設現場の資材を混載することにより、搬入車両の積載
率の向上と車両数の削減を図るものである。
〔運行管理システム〕
〔共同配送の実験〕
(3) 彩都カーシェアリングシステム(都市生活検討部会)
阪急彩都開発株式会社は当部会のWGメンバーであるダイハツ工業株式会社と共同でカーシ
ェアリングの事業を実現した。平成16年4月の彩都の街びらきに合わせてオープン、KIPAで検
討してきたテーマとしては事業化第1号である。
インターネットによる予約、ICカードによる無人貸渡しなどが特徴である。
〔阪急彩都開発殿資料より〕
(4)
融合型公共交通システム社会実験(けいはんな学研都市ITS検討部会)
けいはんな地区おける公共交通のITS展開の一つとして経済産業省の委託を受けたもので、
実験主体は〔財〕関西文化学術研究都市推進機構、京都大学等で構成されるコンソーシアムで
ある。平成13年から3年間の調査期間であった。低公害車の共同利用システム(愛称C−car)と
デマンドバス(愛称D−BUS)に既存の路線バスやタクシー等をITS技術で融合したものである。
〔D-BUSの運行〕
〔C-Carの実験〕
(5) 駅前総合交通情報システム社会実験(カーモバイルライフ検討部会)
駅前活性化と公共交通利用促進を目的として北大阪急行電鉄・大阪モノレールの千里中央駅
で、駅前総合交通情報システムの提案を実施した。期間は平成17年2月から平成18年2月の予
定である大型案内板ではバス等の乗継情報や周辺店舗情報を提供、また携帯電話画面ではバ
ス乗り場までのルート案内や駅前専門店街のナビゲーションを提供する。
〔オープニングイベント風景=2005.02.27 (日)〕
〔駅前総合交通情報システム〕
〔社会実験イメージ〕(クリックすると大きな画面で見られます)
〔駅前総合交通情報システム広報チラシ〕
4. これからの重点取り組み
(1) 観光
京都・奈良など国際集客エリアの魅力度向上による関西経済の活性化を図る。
z 公共交通利用促進による渋滞緩和を通じて観光地の魅力度を高め、集客力の向上を目
指すITSメニューの提案
z 観光情報提供等によるホスピタリティの向上で訪日旅行者数の増大を図るITSメニューの
提案
(2) 物流
関西空港・神戸港、大阪港を核としたロジスティクス拠点の形成を図る。
z 港湾物流の競争力強化で情報化による通関・輸送効率の向上、コスト削減を図るITSメニ
ューの提案
z 総合物流支援サービスによる関西圏の商業物流の効率アップを図るITSメニューの提案
(3) 都市再生
都市の魅力強化に向け、関西注目エリア等への活動強化を図る。
z 御堂筋:「御堂筋再生プラン」等の賑わい創出に向けたアクションプランに連携したITSメニ
ューの提案
z 梅田北ヤード:再開発プランと連動し、道路と駅の結節点の効率化等ITSを活用した「新し
い街」の提案
(寄稿:関西ITS推進協議会 河前事務局次長)
◆「地域ITS推進団体連絡会」報告
(1) 概要
ITSがセカンドステージを迎え、ITSの本格的な普及が望まれるところであり、官民、国と地域がよ
り一層の連携を図ることが必要であると考えられます。そのためには地域と地域、国と地域の間の
情報交換や連携が重要であり、今般、これを目的としてITS関係省庁の方、地域のITS推進団体の
方のご出席をいただき、「地域ITS推進団体連絡会」を開催しました。
連絡会の出席者は合計35名で、地域のITS推進事例や国の施策の発表、それに基づく活発な意
見交換が行われました。参加者からは、大変参考になった、有意義な会議であった、定例化を希望
する、など好評を得ました。
(2) 内容
■日 時 平成17年5月26日(木) 14:00∼19:00 会議、意見交換
■場 所 ソフィテルザサイプレス名古屋 ザサイプレスルーム
■参加者 地域の推進団体・組織から23名、ITS関連4省庁5局から6名、
ITS Japanから6名の合計35名
(地域) 北海道ITS推進フォーラム、青森ITSクラブ、岐阜県基盤整備部、
愛知県ITS推進協議会、三重県県土整備部、豊田市ITS推進会議、
関西ITS推進協議会、中国ITS研究会、高知県ITS推進協議会、
福岡県地域ITS推進協議会、九州・山口経済連合会
(省庁) 警察庁、総務省総合通信基盤局、経済産業省製造産業局、国土交通省道路局、
国土交通省自動車交通局 参事官・室長級
■会 議
① 各地域から推進組織の紹介、H16年度成果、H17年度の取組み方針などの発表。
② 4省庁5局から「ITSへの取り組み状況について」を説明。
③ ITS Japanより「ITS EXPO」について説明。
④ 意見交換
地域の報告に対する他地域から
の質問、国への要望、それに対す
る省庁からの回答など活発に意見
が出された。地域ITSでは、ITS技
術先行ではなく、地域住民の生活
向上や地域経済活性化のための
施策の中にITSを適用していくこと
が重要であることが確認された。
会議風景
(担当:事業促進部 高石)
◆『ITS 世界会議愛知・名古屋2004』日本組織委員会とITS Japanが「電波の日」
総務大臣表彰を受ける
総務省と情報通信月間推進協議会が主催し、電波協力会協賛の「平成17年度 電波の日・情報月間
記念中央式典」が、6月1日(水)東京都千代田区内幸町の帝国ホテル3階「富士の間」で行なわれ、
『ITS 世界会議 愛知・名古屋2004』日本組織委員会およびITS Japanが電波の日総務大臣表彰を受け
ました。
受賞理由は、『ITS 世界会議 愛知・名古屋2004』を
開催し、わが国のITS情報通信の発展と道路、交通、
車両分野の情報化に向け多大な貢献をした、というも
の。授賞式には、坂内ITS Japan副会長が出席し、麻
生総務大臣から表彰を受けました(写真右)。
式典では、「電波の日」総務大臣表彰(個人4名、団
体4)の他に、「情報通信月間」総務大臣表彰(個人6
名、団体5)と情報通信月間推進協議会会長表彰「(情
報通信功績賞(個人3名、団体3)、情報通信サービ
ス・システム賞(2システム))も行なわれました。
式典の模様
麻生総務大臣は、我が国の情報通信の発展に対し、永年にわたる尽力をいただいた方がたの栄誉と
功績をたたえると共に、我が国の情報通信推進について次のように話しました。
「昭和25年に電波法が施行され電波利用が広く国民に開放されて以来、今回で55回目を迎えた。この
間、テレビが一般的に普及し、無線局も5千局から9千万局へと実に約2万倍に増えた。
我が国は世界最先端のIT国家を目指したe―Japan計画を2001年にスタートさせ、政府一体となって進
めた結果、日本のICTインフラに関する国際比較評価レポートによると、日本は総合評価ランキングで
第1位だ。11月にアフリカのチェニスで開かれる第2回世界情報社会サミットに貢献するため、今年5月
にユビキタスネット社会をテーマとした世界会合を東京で開催し、アジア全体を世界の情報拠点にする
アジア・ブロードバンド計画を推進している。
さらにユビキタスネット社会を2010年までにやり遂げようと思う。活力ある高齢者社会と活力ある情報
化社会は、情報通信の進歩が鍵を握っている。」
参考:
① 電波の日
昭和25年(1950年)に電波法、放送法及び電波監理委員会設置法が施行され、それまで政府専
掌であった電波利用が広く国民に開放されたことを記念して「電波の日」を設け、国民各層の電波
に対する科学知識の普及・向上を図るとともに、電波利用の発展に資することにしている。
② 情報通信月間
情報通信の普及・振興を図ることを目的として設けられたものであり、期間中、全国各地で情報
通信に関する様々な行事を実施する中で、豊かな生活を実現する情報通信について広く国民の
理解と協力を求めていくことにしている。今年度は5月15日から6月15日までの1ケ月間、全国各
地で、情報通信に関する展示会、デモンストレーション、セミナー及びシンポジウム等が企画され
ている。
(担当:広報・会員サービス部 下之薗)
◆東京都から特定非営利活動法人(NPO)設立の認証受ける
ITS Japanは、今年1月に東京都に対して特定非営利活動法人(NPO)設立の申請を行なっていました
が、5月9日に東京都から正式に認証を受けました。
これを受け、5月18日に、特定非営利活動法人(NPO)ITS Japan設立の登記を法務局へ行ないまし
た。
今後は、6月15日予定の任意団体 ITS Japanの解散総会や特定非営利活動法人(NPO)ITS Japanの
通常総会など所定の対応を経て、特定非営利活動法人(NPO)ITS Japanとしての実質的な活動開始は
7月1日からになる予定です。
(担当:法人設立準備室 横井)
◆人事異動
①5月31日付けで異動がありました。
・事務局次長 田中 浩二 →本田技研工業(株)へ帰任
・担当 林 裕子(総務部)→退職
②6月1日付けで着任されました。
・緑川 雅志(本田技研工業(株))→企画部担当
◆幹事会報告
5月度幹事会
■開催日時:5月25日(水)10:00∼12:00
■場
所:西新橋立川ビル ITS Japan大会議室
■出席会社・団体:理事会社18社、理事団体5団体
1.平成17年度理事会、年次総会、創立記念祝賀パーティーについて
ITS Japan 田中事務局次長から、平成17年度理事会、年次総会、創立記念祝賀パーティーについ
て、下記(日時・場所)や議事次第案など概括的内容が示されました。
1.日時・場所: 平成17年6月15日(水)
○霞が関東京會舘(霞が関ビル35階)
①特定非営利活動法人ITS Japan理事会
14時30分∼15時30分
エメラルドルーム(35階)
②任意団体ITS Japan年次総会
16時00分∼16時30分
ゴールドスタールーム(35階)
③特定非営利活動法人ITS Japan通常総会
16時40分∼17時40分
ゴールドスタールーム(35階)
○霞が関霞會舘(霞が関ビル34階)
④特定非営利活動法人ITS Japan創立記念祝賀パーティー
18時00分∼
ロイヤルルーム(34階)
2.NPO法人化の推進状況について
法人設立準備室からNPO法人化の推進状況について下記内容の報告がありました。
①東京都からNPO法人設立の認証を5月9日に受けた。
②法務局へ設立の登記を5月18日に行なった。
③法人設立に向けた今後の予定
・法人設立準備委員会 5/27
・NPO法人 ITS Japanの理事会 6/15
・任意団体 ITS Japanの解散総会 6/15
・NPO法人 ITS Japanの通常総会 6/15
④NPO法人 ITS Japanの実質的な活動開始 7/1∼
3.ITS Japanオフイス移転計画について
ITS Japan 田中事務局次長から、オフイス移転進捗状況報告が下記の通りありました。
①5月末までに、移転交渉完了予定
②6月15日の理事会・総会で新事務所移転を承認
③賃貸借契約の締結(6月下旬)
④新事務所の屋内工事、サーバー配線工事後、引越し
⑤新事務所の稼動開始(8月1日)
4.ITSアメリカ年次総会報告 他
ITSアメリカ年次総会と日中ITS世界会議事務局会議に出張参加したITS Japan 菅常務理事から、
下記の報告がありました。
ITSアメリカ年次総会報告:
ITS Americaの年次総会は、今年はアリゾナ州のフェニックスで開催された。(2004年:テキサス
州サンアントニオ、2003年:ミネソタ州ミネアポリス)
今年のテーマは、「Connecting Ideas, Partners and Solutions」で、Keynote Speakerに高名な未来
学者のJames Canton博士を招いて開催された。
参加者総数(展示を含む)は2700名で、その内、日本からはゴールデンウィークと重なったにも
関わらず20名程度が参加(登録者)した。
※開会式、セッション、展示会の内容は、今号の1面トップ記事「ITS America 年次総会の概要」
を、参照下さい。
日中ITS世界会議事務局会議報告:
① 政府レベルの日中交流会を計画していたが、中国における半日感情の高まりもあり、事務局
レベルの打ち合わせを実施した。今後も連携を強化していき、2007年ITS北京大会の成功に繋
げていきたい。
② 中国側の動きとしては、世界会議の開催について国務院からは認可が降りたが、組織委員会
の設立には至っていない。高層組織(大臣や北京市長レベル)の常務副主任には、吉林北京
市副市長が就任する。
5.地域ITS推進団体連絡会の開催について
事務局から、5月26日の地域ITS推進団体連絡会について下記の報告がありました。
① 開催主旨:
セカンドステージを迎えたITSの展開フイールドは地域が重要となると考えられる。地域間、国
と地域の情報共有と連携強化を目的として「地域ITS推進団体連絡会」を開催し、ITSの普及促
進を図る。
② 場所:ソフィテルザサイプレス名古屋 ザサイプレスルーム(名古屋駅桜通口から徒歩5分)
③ 議題案:
z 各地域における平成17年度の取り組み(各団体)
z 4省庁5局推進施策について(参事官・室長)
z 「愛・地球博」におけるITS関連イベントについて(ITS Japan)
z 意見交換
④ 出席者:4省庁5局と11地域ITS推進組織
6. ITS EXPOの進捗状況について
ITS実用化促進プロジェクトから、ITS EXPO連絡会を中心としたITS EXPOの進捗状況について下
記の報告がありました。
1.ITS EXPO 連絡会
(1)ITS EXPO連絡会の開催状況
① 日 時:4月25日 15:00∼16:30
② 場 所:ロータリー館(万博会場内)
③ 出席者:森川委員長(名大)、ITS関係省庁室長(国交省道路局は、中部地整 高木道路情報
管理官が代理出席)、地域自治体 他
(2)結果
① ITS EXPOの全体企画
・ 全体構成(開催趣旨、スケジュール、イベント構成等)を承認。
・ 個別イベントについては、 ①セミナー、②シンポジウム、③展示会、④ITS視察・体験、
⑤連携イベント、⑥広報 を行うこととし、その趣旨と計画概要を承認。
② 予算計画
・ 産官学地域の連携協力でITS EXPOを開催する方針のもと、予算枠(3∼3.7千万円)の範
囲で、個別イベントの企画の具体化を進めることを承認いただいた。
・ 連絡会の後、ITS関係省庁、万博関係省庁に資金協力の額を確定していただいた。
2.新聞発表
ITS EXPO連絡会での承認を受けて、ITS EXPOの計画を4/27発表。4/28付けの日刊自動車と
日刊工業(以上、全国版)と日経(名古屋地域版)に掲載された。
3.民間企業へのお願い
ITS EXPOの開催について、下記2点のご協力をお願致します。企画が固まり次第、ご相談させ
ていただきます。
① ロータリー館で、民間企業での最新のITSの紹介する展示を計画中。ここへ出展する機器と紹
介ツール、必要に応じて説明員の派遣をお願致します。
② 広報企画の中で、万博で運用されるITSを紹介する「ITSハンドブック(旧名称:ITSマップ)」の
作成を計画中。ここでの広告スポンサーにご協力をお願致します(50万円/社を想定)。
4.今後の計画
① セミナーについては、既に全国の大学で実施中(7/10まで、約25大学・講座で開催予定)。
② 作業部会(5/27、6/21)での検討を経て、第3回連絡会(6/27)で実行計画を承認の後、7月11日
からのコアウィークでのイベント開催に臨む。
編集後記
・ 6月1日は電波の日。同日、総務省、情報通信月
間推進協議会が主催し、電波協力会の協賛で帝
国ホテルで行なわれた中央式典で『ITS世界会議
愛知・名古屋2004』日本組織委員会およびITS
Japanが、『ITS世界会議 愛知・名古屋2004』を開
催し、わが国のITS情報通信の発展と道路、交
通、車両分野の情報化に向け多大な貢献をした、
として、総務大臣表彰を受けました。
・ 麻生総務大臣は、受賞者の功績をたたえるととも
に、「世界最先端IT国家を目指した我が国のeJapan計画は2005年度末までには目標達成する
だろう。いつでも、どこでも、ネットワークにつなが
るユビキタス社会の実現(2010年)のためには、
情報通信技術の進歩が大事であり、今後は情報
通信技術を使って高齢者が住みよい社会作りを
目指す」と、話されました。
今月の風景
・ 任意団体ITS Japanは、実質的に7月からは特定非営利活動法人(NPO)ITS Japanとしての活動に
入ります。昨年10月の『ITS世界会議 愛知・名古屋2004』の成果を、今後のITS進展に着実に活かし
ていかなければなりません。
・ 今後とも、絶大なるご支援・ご鞭撻をお願い致します。(T.S)
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