スーパーウェルポイント工法 (SWP工法)の原理

スーパーウェルポイント工法
(SWP工法)の原理
2008/2/25
基礎編
有限会社アサヒテクノ
本社 岩手県北上市和賀町
1
内 容
1.
2.
3.
4.
5.
SWP井戸構造
SWP工法の仕組み
地下水位低下工法の比較
解析
室内実験
2
空気吸引孔
▼
1.SWP井戸構造
井戸構造
1.
▼
真空ポンプ
真空ポンプ
主要装置
揚水管
・真空ポンプ
鋼管(
鋼管(井戸管)
井戸管)
・水中ポンプ
自然地下水面
主要構造部材
フィルター
フィルター材
フィルター材
・井戸管
・スクリーン(分離型)
・揚水管
ーーーー
ス
ク
リ
井戸管の特徴
ン
・閉じた円筒
水中
水中ポンプ
水中ポンプ
・2ヶ所に孔
(空気吸引孔、吸水孔)
吸水孔
吸水孔
砂溜り
砂溜り
3
掘削
2.SWP工法の仕組み
工法の仕組み
2.
・地下空気の井戸管への入り込みを防ぐ(構造)
地下空気の井戸管への入り込みを防ぐ(構造)
・井戸管を真空引きして地下水(飽和水)に負圧を与える(機能1;地下水を集水)
-井戸管内の地下水のピエゾ水頭(ポテンシャル)を下げる-
・井戸管に流入する地下水を水中ポンプで揚水する(機能2;地下水を揚水)
地下水
地下空気(真空ポンプ
地下空気(真空ポンプ)
真空ポンプ)
負圧空気
▽
地下水面の大きな低下
地下水の揚水(水中ポンプ
地下水の揚水(水中ポンプ)
水中ポンプ)
▽
直線的な水面形
▼
負圧地下水(飽和)
地下空気が入り込みにくい
P
地下水の流入
4
3.地下水低下工法の比較
A
A ディープウェル工法
地下水
水中ポンプにより井戸の水面を下げ、周辺の地下水面を低下させる
B ウェルポイント工法
大気圧 P0
真空引きして地下水を汲み上げ、周辺の地下水面を低下させる
C バキュームディープウェル工法
SWP工法と同様の仕組みにより周辺の地下水面を低下させる。しか
P 水中ポンプ
し、スクリーンが井戸管と一体であるため地下水面が低下すると地
下空気が井戸管に入り込み真空度が低下する。
D SWP工法
工法
B
D
C
地下水
真空ポンプ
地下水
地下水
空気
空気
P0
真空ポンプ
真空ポンプ
P0
分離型スクリーン
P<0(負圧)
負圧)
P<0(負圧)
負圧)
ウェルポイント
空気浸入
P0
一体型スクリーン
P 水中ポンプ
P 水中ポンプ
吸水孔
5
“DW工法とSWP工法の比較表
DW工法とSWP工法の比較表”
DW工法とSWP工法の比較表
ディープウェルポイント工法(DW工法)
スーパーウェルポイント工法(SWP工法)
概要
地中に井戸を設置して井戸に流れ込む地下水を水中ポンプで汲み 上げ 地 中 にSWP井 戸 を 設置 し、 井戸 内の 空気 を吸 引し て井 戸内 の地 下水
る工法である。その結果、周辺の地下水面が低下する。地下水面 は対 面に負圧を与える。これにより井戸管内に地下水を流入させ、水 中ポ
数曲線状を示す。
ン プ で 汲 み 上 げる 工法 であ る。 その 結果 、地 下水 面が 大き く低 下す
る。地下水面は井戸近傍では直線状を示す。
構造
井戸官の一部にスクリーンが設けられており、このスクリーン部 から 井戸管上蓋に空気を吸引する小さい孔と底部に吸水孔があるだけ の閉
地下水が井戸官に流入する。
じた構造をしており、吸水孔から自然地下水面のレベルまで分離 型の
スクリーンで取り囲まれる。スクリーンを通して吸水孔から地下 水が
井戸管に流入する。
仕組み
地下水を人工的に吸引しているものではなく、井戸内の地下水面 を低 真空ポンプが地下水面に負圧を与えて集水する役割を、水中ポン プが
下させるに過ぎない。井戸管内の水面に応じて(境界条件)周辺 の地 集まる地下水を汲み上げる役割を担う。井戸管内の地下水の負圧 のレ
下水面が低下する。
ベル等に応じて地下水面が低下する。
地下水面
地下水位低下工法による地下水面の形状は集水能力(揚水能力ではない。水中ポンプの能力は高く、通常揚 水能 力> 集水 能力 )と 浸透 量の
関係で定まり、集水量と浸透量がバランスするまで地下水面は低下する。鋼矢板で囲む場合も同様である。
1本の井戸の集水能力が小さく、鋼矢板内部の地下水面の低下は 小さ 1本の井戸の集水能力が高く 、内 部の 地下 水面 が大 きく 低下 する 。地
解析結果(鋼矢
い。すなわち井戸に入り込む水量は外部からの浸透によってたち まち 下水面の低下により浸透する地下水量は増加する。しかし、これ によ
板で囲む場合) バランスする。そのため外部の地下水面もほとんど低下しない。
対策
施工性
る外部の地下水面の低下はわずかである。
①釜場を設置して地下水を排除する方法がとられる。あるいは② 井戸 (特になし)
本数を増やし、揚水量を増やす対策がとられる。その結果、揚水 量は
増加し内部の地下水面は低下するものの外部の地下水面も低下す るた
め、通常、③不透水層まで鋼矢板を貫入させ遮水する。
透水性の高い場所や河川近傍の地下水が豊富な場所では、地下水 面が 目的とする深度までの地下水面の低下が得られる。
低下しないことがある。また、井戸枯れ、地盤沈下等の問題がし ばし
ば発生する。
井戸本数がSWP工法に比べ多くなり、場合によっては高価となる。 井戸本数がDW工法に比べ少なく、全体として安価となる。
経済性
6
(A) ディープウェル工法
ディープウェル工法(
工法(DW工法
DW工法)
工法)
井戸1
井戸1本の場合
① 釜場設置
自然水位
自然水位
地下水面の低下はわずか
地下水面はわずかした低下しない
しない
釜場
③ 鋼矢板の
鋼矢板の根入れを
根入れを深
れを深くする
釜場
地下水面の低下が小さい
対策として
対策として
浸透量小
水位低下が大き
い
(B) スーパーウェルポイント工法
スーパーウェルポイント工法 工法 (SWP工法
SWP工法)
工法)
井戸1
井戸1本の場合
② 複数の
複数の井戸を
井戸を設置
自然水位
地下水面の低下が小さ
い
地下水面の低下が大きい(地下水面を下げ
ないと鋼矢板内部の地下水面は低下しない)
不透水
層
浸透量小
底盤
DW工法とSWP工法の比較図
浸透量やや増
SWP工法の浸透量(揚水量)はDW
工法の場合のおよそ1/5程となる
浸透量大
7
4.解析
1)中川啓、籾井和朗、神野健二、和田信一郎、朴埼鎬、中山比佐雄、高橋茂吉
(2006):スーパーウェルポイント工法(SWP工法)の地下水低下に関する数値計
算による検討、日本地下水学会、2006年春季講演会講演要旨、pp94~97
井戸内の地下水(飽和)に負圧を与え解析した結果、井戸周辺部の地下水
面形が直線状を示した。これは実験結果や現場での地下水面形をよく表している。
2)細川土佐男、高橋茂吉、神野健二、中山比佐雄、朴埼鎬(2006):飽和-不飽
和浸透解析による改良型バキュームディープウェル工法の水位低下に関する検討、
日本地下水学会、2006年秋季講演会講演要旨、pp84~87
鋼矢板で囲まれた場合について上記と同様の解析を行った結果、鋼矢板内
部の地下水面は大きく低下したが、周辺の地下水面はほとんど低下しなかった。こ
れは現場での地下水面の状況をよく表している。
8
1)中川らの解析結果
初期地下水面深度5cm、吸水孔深度
、吸水孔深度30.5cm、
、
初期地下水面深度
、吸水孔深度
‐
3
透水係数10cm
/sec、吸水孔での地下水圧力
、吸水孔での地下水圧力‐
透水係数
、吸水孔での地下水圧力‐225cm
30
25
head / cm
実験
20
15
10
解析
Cal.
Obs.
5
0
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
r / cm
9
2)細川らの解析結果
①DWの場合
初期深度5cm、ストレーナー下端深度
、ストレーナー下端深度26.4cm、
、
初期深度
、ストレーナー下端深度
‐
3
ストレーナーの長さ3cm、透水係数
、透水係数10cm
/sec、
、
ストレーナーの長さ
、透水係数
井戸内の地下水面;ストレーナーの天端
0
t=0s
-5
t=30s
-10
z(cm)
t=32400s
-15
-20
内部の地下水面は-10cmより低下しない
より低下しない
内部の地下水面は-
-25
外部の地下水面もほとんど低下しない
-30
0
5
10
15
20
25
r(cm)
30
35
40
45
10
②SWPの場合
初期深度5cm、ストレーナー下端深度
、ストレーナー下端深度26.4cm、
、
初期深度
、ストレーナー下端深度
‐
3
ストレーナーの長さ3cm、透水係数
、透水係数10cm
/sec、
、
ストレーナーの長さ
、透水係数
井戸内の地下水の圧力‐
井戸内の地下水の圧力‐20cm
0
t=0s
-5
t=5s
t=15s
t=30s
-10
z(cm)
t=50s
t=100s
-15
t=200s
t=600s
-20
-25
内部の地下水面は大きく低下する
外部の地下水位はやや低下する
-30
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
r(cm)
11
5.実験(九州産業大学細川研究室)
実験装置 扇形水槽
鋼矢板
SWP井戸
井戸
貯水層(ステンレス網)
12
実験装置 扇形水槽
平面図
正面図
13
実験状況
鋼矢板内、外の地下水位低下状況
14
実験結果の一部
実験ケース; ストレーナーの長さ 8.5cm
ストレーナー下端の深度29.5cm
ストレーナー下端の深度
井戸内の真空圧 -2KPa、-
、-4KPa、-
、-12KPa
、-
、-
15