【380】口腔原発扁平上皮癌の浸潤先進部におけるCytokeratin17の発現

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口腔原発扁平上皮癌の浸潤先進部における Cytokeratin17 の発現性の検討
◎尾崎 千明 1)、加藤 淳 1)、宮島 久 2)、川口 隆憲 1)
一般財団法人 温知会 会津中央病院 病理部 1)、同 歯科口腔外科 2)
【目的】Cytokeratin(CK)17 は細胞骨格を形成する中間型フィ
性に強陽性、CK13 は陰性、CK17 は細胞質にびまん性、また
ラメントの成分で、口腔扁平上皮癌において過剰に発現し、
は部分的に陽性~強陽性を示した。癌胞巣の細胞数により分
腫瘍性病変特異的分子マーカーとして期待されている。今回、
類した各群での CK17 強陽性率は、2~10 個群が平均値 65.9%、
癌胞巣の大きさと CK17 発現性の関係について検討した。
11~50 個群が 24.6%、51~100 個群が 9.8%で、小型癌胞巣に
【対象】当院の歯科口腔外科にて摘出された口腔扁平上皮癌
おいてより高い CK17 強陽性率を示し、各群間に有意差が認
11 症例を用いた。臨床型分類では外向型 6 例、内向型 5 例、
められた(p < 0.01)。
部位別では舌 6 例、上顎 3 例、頬粘膜 2 例であった。
【考察】口腔腫瘍におけるリンパ節転移予測因子としては組
【方法】重層扁平上皮細胞マーカーである CK14、正常扁平上
織学的悪性度、浸潤様式、分化度、脈管侵襲、神経浸潤など
皮の基底細胞層を除く上皮細胞に発現する CK13、腫瘍性扁平
の報告がある。また、T1、T2 症例での頸部リンパ節転移は、
上皮細胞に発現する CK17 を用いて免疫組織化学的に検討し
内向型は表在型や外向型に比べて有意に頸部リンパ節への
た。さらに浸潤先進部の癌胞巣を構成する細胞数を 2~10、
転移率が高いことが示されている。浸潤先端部に小型の癌
11~50、51~100 個の 3 群に分け、各群の胞巣数 10 か所の
胞巣が多く認められ、CK17 が有意に高発現することを示した
CK14、CK13、CK17 陽性細胞を算定した。染色性は、全く染
今回の結果は、CK17 を過剰に発現した遊離性の高い癌細胞が
色されないか殆ど染色されないものを陰性(-)、弱~中程
リンパ節転移の決定因子に関わっている可能性を示唆してい
度を陽性(+)、強いものを強陽性(2+)と評価した。
る。 連絡先―0242-25-1515
【結果】浸潤性に増殖する癌細胞は、CK14 が細胞質にびまん