科目「課題研究」におけるホームページ作成

<ビジネスシステム>
科目「課題研究」におけるホームページ作成
県立名護商業高等学校教諭
Ⅰ
テーマ設定の理由
石
川
ゆかり
させることができるのではないか。また,教師があ
る程度方向づけをすることで,生徒自ら学び,自ら
考える環境をつくることができるのではないかと考
社会における急速なコンピュータの普及は学校現
場にも反映され「学校における情報教育の実態等に
えた。
関する調査結果」(文部省)によると,高等学校にお
けるコンピュータの設置率は 100%となっている。
本研究では,本校の現状を生かした授業として,
「課題研究」においてホームページ作成に取り組ま
生徒達にとってコンピュータは身近な存在になりつ
つあり,有効な活用方法の指導が必要であると考え
る。
せることとし,ホームページ作成に用いるアプリケ
商業高校では,科目「情報処理」においてコンピ
制作で用いる素材集の作成ならびに,その活用方法
についてを研究テーマとした。
ーションソフトの操作方法に関する手引書及び作品
ュータを利用した授業が行われ,毎年9月に実施さ
<研究仮説>
れている「コンピュータ利用技術検定試験」に向け
ての表計算ソフトの学習がその中心である。検定の
1
手引書を用いることでホームページにおける基
礎・基本を学習し,その後応用として,各自が必
要に応じた手法を取り入れた作品制作に取り組む
実技では,時間内にデータを入力・処理し,グラフ
まで作成できるかどうかで合否が判断されるため,
ことができるであろう。
検定問題に応じたアプリケーションソフトの操作方
法の指導に重点を置き,授業を実施している。生徒
2
は授業を通して,データ入力からグラフ作成までの
ホームページ作成を題材に取り上げることで,
自発的,創造的な学習態度を育てることができる
であろう。
一連の流れを理解し,入力の技術を身につけていく。
しかし,データを適切に処理する能力の育成を考え
研究内容
るとまだまだ厳しい状況であり,学習したことを更
Ⅱ
に応用に発展させるまでに至っておらず,基礎を発
1
Front Page Expressの学習
展させる場も決して多いとはいえないのが現状であ
る。
2
3
画像処理ソフトの学習
HTML言語の学習
本校では,コンピュータの更新が行われ,それと
4
ホームページ作成と応用
共にアプリケーションソフトも充実してきた。また
県のマルチメディアアイランド構想の一環として行
5
手引書の作成
われている「親子ネット 98」により,パソコン 80
Ⅲ
台がインターネットへの接続が可能な状況である。
1
「慰霊の日」に向けて取り組んだクラス対抗新聞コ
ンクールでは,情報収集の手段として多くの生徒が
(1) Front Page Express
インターネットを利用している様子を見ることがで
った。しかし,ホームページのレイアウトイメージ
で編集できる HTML エディタの普及によりワープロ
教材作成
使用したソフト
数年前のホームページ作成はタグ入力が中心であ
きた。
「課題研究」では「商業に関する課題を設定し,
その課題の解決を図る学習を通して,専門的な知識
ソフトを入力するのと同じ感覚で,比較的簡単にホ
と技術の深化,総合化を図るとともに問題解決の能
Windows98 に付属しているブラウザ(インターネ
ットを閲覧するソフト)Internet Explorer と HTML エ
ームページの作成ができるようになっている。
力や自発的,創造的な学習態度を育てる」ことを目
標に掲げている。
デ ィ タ ( ホ ー ム ペ ー ジ 作 成 ソ フ ト ) Front Page
本校では「課題研究」における作品制作の分野で
Express を利用し進めていくことにした。
(2) Paint Shop Pro 4.2j
コンピュータを利用した授業が実施されているが,
その中で,すでに学んでいる Windows 環境のアプリ
ケーションソフトの知識と技術を生かし,更に発展
画像や文字の加工を行うことのできるソフトであ
る。本校ではコンピュータの更新時に 40 台分が購入
-1-
され,「課題研究」では Paint Shop Pro を利用したポ
スター制作が行われた。ここでは,ホームページ作
成に必要な画像や素材集の準備に利用することにし
た。
保存されている内容を確認する場合は,マイコン
ピュータから保存されている場所までたどっていき
ファイルを 1 つずつ確認する方法が一般的である。
しかし,Paint Shop Pro には参照機能がついており
同じフォルダに入っている画像を一度に見ることが
できる。この機能を使うことで,素材集の中から必
要なものを選ぶ作業が容易となるため,授業の中で
図2
活用することにした。また,参照画面を印刷したも
(5) Animation GIF Maker
のをラミネートで加工し,カタログをイメージした
素材集を作るのに利用した。
学校にあるソフトではアニメーション GIF の作成
に対応できない。そのため,インターネット上にあ
森のオルゴールメーカー
るフリーソフトを利用することにした。このソフト
は,複数の GIF ファイルを比較的簡単にアニメーシ
ョン GIF に変換することができる。
図1
Paint Shop Pro 参照画面
(3) サウンドレコーダー
Windows98 に付属している機能である。パソコン
図3
にマイクを取り付け音声を録音し, Wave 形式で保
Animation GIF Maker
存すると,ホームページに挿入することができる。
音の素材作りに利用できる。
(6) Word 98
本校では,従来ワープロ専用機を使用し,全国商
(4) 森のオルゴールメーカー
業高等学校協会主催のワープロ検定に受験していた
サウンド(沖縄民謡)をインターネットで探して
が,機器の更新を迎え,パソコンが導入された。そ
みたが見つからなかったため,自分で作ってみるこ
とにした。
のため,今年から Word98 での受験に移行している。
そこで手引書の作成に Word98 を用いることにした。
本校にはサウンド作成用のソフトがなく,予算面
活字を読むのが苦手な生徒が多いため,操作画面の
を考えると,新しいソフトを購入するのは簡単なこ
画像を貼り付け,吹き出しを利用して,操作手順の
とではない。そこで,フリーソフトで対応すること
にした。
説明をする。
説明に必要な画像はクリップボードという機能を
名前の通りオルゴールと同じ動きで音が出るよう
用い,Front Page Express の操作画面を Windows98 に
になっている。画面横方向で一度に出したい音を指
定することができる。開始ボタンを押すと縦方向に
付属しているペイントに貼り付け,必要な大きさを
選択。それを Word98 の画面に貼り付ける作業を繰
移動し,メロディ流れるようになっている。楽譜を
り返した。
画像を多く使っているため容量が大きくなり,フ
読むことができないが,耳を頼りに「てぃんさぐぬ
ロッピーに保存することができない。また,画像を
花」の MIDI ファイルを作ることができた。
-2-
①
挿入後,文書内容の変更をすると,画像が動いてし
ホームページ(沖縄のやおやさん)の紹介
作成したページ名
まうため手引書を1つのファイル名で保存している
場合,訂正したときに全体に影響がでてしまう。
そのため,区切りのよいところでファイルを分け
沖縄のやおやさん(yaoya.index.html)
てパソコンのハードウエアに一度保存し,その後
商品一覧(shouhin.htm)
CD-R に保存し直した。CD-R は,容量が 650MB と
フロッピーの 600 枚分あり,ほとんどのパソコンで
注文書(order.htm)
沖縄料理に挑戦(cook.htm)
ファイルを開くことができ,価格も安価で便利なた
め利用した。
以上 4 ページの構成で,各ページともすべてのペ
2 教材について
(1) ホームページ作成
ージへのリンクの設定を行うことにした。
ア yaoya.index.html
作品制作の前に,ホームページの基礎知識と Front
沖縄のやおやさんという名前のインターネットシ
Page Express の基本操作に関する学習が必要となっ
てくる。そこで簡単な操作だけでできるホームペー
ョップの入り口である。
「沖縄の野菜・果物を販売し
ています」と,扱う商品に関する簡単な説明を入れ
ジを作成した。同じ内容のものを作る過程で基礎知
た。生徒が飽きないように,アニメーション GIF と
識及び操作方法を学習できるようにする。授業では
マーキー(電光掲示板のように文字が移動する機
手引書を用いて説明を行うことにした。
最初に生徒がふれるホームページが,各自の作品
能)を取り入れ,ブラウザで見たときに動きが出る
ようにした。
作りに大きく影響するであろうと考え,慎重になり
イ
shouhin.htm
内容を決めるのにかなり時間を費やしてしまった。
販売する商品ニガウリ・パパイア・ヒラミレモン
そこで基本に戻り「課題研究」の趣旨を考え,商
業高校で学習した内容を深めるものとして,最近著
の3つの画像を挿入し,それぞれの野菜の特徴と販
売数量に応じた値段を表示している。
しく発展しているインターネットショップを取り上
ウ
げることに決めた。
生徒がより身近に感じられるよう地元を意識し,
販売している商品の注文を行うページである。名
前,住所,注文個数は直接入力できる 1 行テキスト
沖縄の野菜を販売するお店をイメージしたホームペ
ボックスを利用し,商品名はドロップダウンメニュ
ージを作成した。設計図は図4の通りである。
ーで選択できるようにした。また,送信ボタンとリ
order.htm
セットボタンを挿入し,実際のインターネットショ
ップに近いイメージにしている。
エ
沖縄のやおやさん
cook.htm
実際に販売を行っているホームページを参照する
と,商品に関連した豆知識を載せているのをよく見
yaoya.index.html
かける。(例フラワーギフトショップでは花言葉,紅
茶販売では紅茶の効能やおいしい入れ方など)そう
商品一覧
shouhin.htm
することで,お店の印象もよくなり,検索サイトに
登録する内容も増え,実際に検索される可能性が高
注文書
order.htm
くなるからだといえる。ここでは,販売する商品を
使った料理法についての情報を載せることにした。
②
沖縄料理に注文
画像について
商品として使用する画像としてニガウリ・パパイ
ア・ヒラミレモンの3つを準備した。これらはフリ
cook.htm
ー素材やデジタルカメラで撮影したものを更に画像
処理ソフトで加工したものである。
図4
また,書籍からスキャナーで読み込んで加工した
ホームページ設計図
沖縄料理(ゴーヤーチャンプルー・シークァサージ
ュース・パパイアイリチー)の画像を準備した。そ
-3-
の他にページを明るくするような素材を,インター
のため,サーバーへ保存した作品を参照したとき,
ネットにあるフリー素材のホームページから探し出
し,複写したものを準備した。
実行されたプログラムの位置には画像はないため表
示されないという問題が起こるからである。
画像の大きさや明るさ,解像度の調整など画像の
加工には Paint Shop Pro を利用した。
このホームページで利用する画像の全容量は
130KB でフロッピー 1 枚に充分収まるサイズである。
第2章
商品一覧のページを作成しよう
(2) 手引書の作成
教材用のホームページと同じものを生徒に作成さ
せるための手順を載せたものである。各ページの作
成を通して Front Page Express の基本操作,ホームペ
ージの基礎知識を習得できるように配慮した。操作
方法を憶えてもらうため,確認問題を挿入している。
内容は以下に示す通りである。
1.新しいページを作成する
第1章
2.水平線を挿入する
3.表のレイアウトを変更する(線を非表示)
TOPぺージを作成しよう
4.複数のページを同時に保存
第1章の応用として,実際は表が挿入されている
のに,Web 上で参照したときに表が見えないように
設定を変更する。また,複数のページを一度に保存
する機能やページの区切りとして用いる水平線につ
1.Front Page Express の起動
いて学習する。
2.保存する
3.Front Page Express の終了
4.背景に色をつける
第3章
5.フォントのサイズ・種類を変更する
6.文字色を変更する
7.画像を挿入する
8.マーキーを挿入する
9.表を挿入する
10.動作を確認する(ブラウザからの参照)
Front Page Express の基礎・基本を学習する。また
画像の挿入,マーキーの挿入を行い,実際にブラウ
ザで動きを確認させる。
最終的に,制作した作品をサーバーへ保存させる
ことにする。そのため,新しいページを作成する際
はじめに保存しておかなければならないことを充分
説明する必要がある。
保存を行わず,画像を挿入すると,画像のあるド
ライブの位置までプログラムに書かれてしまう。そ
-4-
沖縄料理に挑戦のページを作成しよう
1.表の編集をする(セルの結合)
2.表題の挿入する
3.画像を枠の中央に表示する
第5章 リンクを設定しよう
1.ページ間でのリンクを設定する
4.サウンドを挿入する
2.設定したリンクを確認する
3.ブックマークでページ内のリンクを
設定する
ここでは,表の編集を中心に学習する。文字の入
力が多いため,飽きることのないようにバックグラ
作成したページ間のリンクの設定を行う。また長
ウンドサウンドの挿入の学習を加えた。サウンドに
文となっているページで,見る側がスクロールせず
は森のオルゴールメーカーで作った「てぃんさぐぬ
花」の MIDI ファイルを利用する。
に見たい内容にボタン1つで移動できるよう,ブッ
クマークを利用したリンクの設定について学習する。
第4章
最後に
1.HTML 言語について学習しよう
注文書のページを作成しよう
2.操作方法一覧
専用のソフトを利用すれば,タグで入力しなくて
も,ホームページを作成することが可能ではある。
しかし,細かい設定を行うにはどうしてもタグでの
入力が必要となってくる。また,ワープロに入力す
る感覚で簡単に作れるとはいっても実際にはタグで
作られているということを知識として教える必要が
あると考えた。ここでは作成したホームページの内
容をタグで確認してもらうことにする。
手引書の最後に操作方法の一覧を添付している。
1.名前・住所を入力するフォームを挿入する
これは,操作方法を忘れてたとき,該当するページ
(1行テキストボックスの挿入)
2.商品名を選択するフォームを挿入する
を開いて確認できればよいのだが,索引をつけてい
(ドロップダウンメニューの挿入)
3.送信ボタン・リセットボタンを挿入する
ないため,探すのに手間もかかり不便であろうと考
え,追加したページである。また,手引書で学習し
ていない内容もいくつか追加している。
(プッシュボタンの挿入)
(3) 素材集の作成
ホームページは Web 上で情報を発信するだけでな
作品制作に取りかかる場合,素材のすべてを各自
く,フォームを利用すればアンケートや注文書など
で準備させるには,時間と能力の面でかなり厳しい
に活用できることを学習する。いくつかのフォーム
フィールドの中からここでは3つを取り上げること
といえる。そこで,事前に準備した素材集から必要
な素材を各自で選択し,作品を制作してもらうこと
にした。入力の際に注意する点は,1つのページに
にする。素材集は次の7つのフォルダに分けて準備
いくつかのフォームフィールドを挿入する場合,同
した。
一の点線内に入力しなければならないことである。
それは注文するボタンもしくはリセットボタンをク
①
ア
商品
小物・雑貨
リックしたときにフォームフィールド全体を一度に
イ
和食器
45個
初期値に戻すためである。
利用者が入力したデータがどのように処理されて
ウ
エ
靴・バック
スニーカー
44個
23個
16個
4種類
計128個
当初は,沖縄に関する商品の販売をイメージした
いるかについてはふれないことにする。
作品制作に取り組ませたいと考えていた。しかしカ
タログの写真は小さすぎて,拡大したときに画像が
-5-
つぶれてしまい素材として使うことができず,また
(4) 作品制作導入時の授業の工夫
沖縄関連の本は多く出回っているものの商品になる
ような写真を載せた書籍を探せなかった。
①
プレゼンテーションソフトの活用
作品制作がスムーズに進むように Power Point とい
うプレゼンテーションソフトを利用し,説明を行う
デジタルカメラで撮影したものを使うことも考え
たが,撮影に使う物の調達ができなかったため断念
ことにした。
した。先に示した4種類の商品画像を選んだ理由は
スキャナーで読み込むのに適当な大きさの画像だっ
ア
たからである。
材集を見る前に自分がどの商品の画像を使いたいか
あなたは何屋さん?
準備した商品用の素材4種類について紹介し,素
をある程度決めてもらうことにした。
図5
②
キャラクター
商品画像の例
41 個
生徒の好むようなかわいい画像をアニメーション
GIFを中心に収集した。
③
タイトル 13 個
タイトルが入れられる素材を収集した。画像処理
図7
説明画面1
ソフトを利用するとフリー素材に比較的簡単に文字
イ
の入力をすることができる。
店名を考えよう
次に各自のインターネットショップの名前を考え
てもらうため,名前の付け方のヒントを与えること
にした。
図6
④
ボタン
フリー素材に文字を入力したもの
25 個
リンクを設定するときに使われるボタンの画像を
準備した。戻る,進むを示すものやタイトルと同様
画像処理ソフトで文字を入力して使うものを準備し
た。
⑤
小さいアイコン 28 個
画面のアクセントに使えるだろうと考え,容量の
図8
説明画面2
わずかな画像を準備した。
⑥
⑦
ウ
水平線 41 個
背景 85 個
設計図を書こう
ホームページの作成において設計図を書くことは
商品以外の素材についてはインターネット上にあ
とても大切なことだが,実際に書くとなるとなかな
るフリー素材,書籍についていた付録から収集した。
かむずかしいものである。そこで,いくつかの例に
素材集の容量は 3.61MB となった。
取り上げ,紹介することにした。
-6-
名と図9のように矢印でページ間のリンクの様子を
記入させることにする。
フリー素材を使ったホームページ作成
No.2
使用したい素材のファイル名を記入しよう
商品
背景
キャラクター
図9
②
説明画面3
水平線
ワークシートの活用
ボタン
作品制作がスムーズに進むようにワークシート2
枚と説明用のプリントを準備した。
ワークシートの1枚目には商店名と設計図を記入
図 11
ワークシート2
させる。設計図を書くことで生徒は自分の作りたい
作品のイメージを具体化させることができる。
フリー素材を使ったホームページ作成
2枚目には素材集の中から使用したい画像のファ
イル名を記入させる。サーバーに保存されている素
Ⅰ
作成するに当たっての最低条件
材集の中からネットワークを利用して必要な画像を
Ⅱ
実際の作業に移ろう
収集させるため,ファイル名をメモしておくことで
作業しやすくなると考えたからである。
1
2
完成予想図を書こう(No.1 に記入)
作成に必要な素材を集めよう
①ホームページを保存するフォルダの作成
フリー素材を使ったホームページ作成
②どんなフリー素材があるか見てみよう
No.1
完成予想図を書こう
使いたい素材を決めたらメモしよう
(No.2 に記入)
私の作る
③使いたい素材をフォルダにコピーしよう
インターネットショップの
店名は
です。
図 12
あなたの完成予想図
説明用プリント
説明用のプリントにはサーバーにある共有の画像
を自分のフォルダへ複写する方法と Paint Shop Pro
の参照機能を利用した素材選びの説明,作成するに
当たっての最低条件を載せている。
③
図 10
素材作成を支援するための手引書の活用
素材集以外から画像を準備したい生徒に対応する
ため素材作成の方法について次のような手引書の作
ワークシート1
図 10 の吹き出しの中に各自が考えた店名を記入さ
せ,下の空白に設計図を自由に書いてもらうことに
成を行った。
する。設計図には,あらかじめ各ページのファイル
-7-
ア
デジタルカメラで撮影した画像を加工する方法
イ
フリー素材のボタンやタイトルに文字を入力す
ウ
エ
Ⅳ
1
る方法
てられ,背景部分を透明にし,画像だけを貼り付け
ボタンを作る方法
タイトル用の文字を透過 GIF(透過色が割り当
られる)にする方法
授業設計
単元の指導計画と配当時間(案)
時間
学習活動
2
ホームページの紹介
留意点
・普段生徒が見ているホームページは各自の好みに偏っ
その他
プロジェクタ
ていると考えられる。そこで,様々な情報を扱うホームペ
ージを紹介し,いろいろな使われ方をしていることに気づ
インターネットショップ
かせる。
・作成を進めるに当たって,インターネットショップに
について
ついての説明をする 。(実際には,訪問販売等に関する法
律の規定に基づき営業が行われていることにふれる。)
次時からの実習の準備
・今後の授業日程の確認
・ネットワークなどを利用して,画像ファイルの配布を行
6
Front Page Express を
う。
・各自が作品制作に取りかかる前の段階として,ホームペ 手引書
使って初めての
ージの基礎知識,Front Page Express の基本操作の学習を プロジェクタ
ホームページ作成
2
ホームページを
作ってみよう
(導入)
行う。
・プレゼンテーションソフトを用いた説明
プロジェクタ
素材の紹介・店名の付け方・設計図の書き方について
説明を行う。
・作品制作を進める上での条件の確認をする。
例
ワークシート
作成するページの数
説明用の
商品の数
フォルダ・ファイルの名前の付け方
プリント
など
・配布したプリントには設計図と使用する素材のファイ
ル名を記入させる。
6∼
14
ホームページを
作ってみよう
(制作)
・フリー素材はネットワークを利用して各自のフォルダ
にコピーする。その他必要な素材は各自で収集する。
その他の収集方法
(1)インターネットからの収集
(著作権についての確認)
(2) 画像処理ソフトの利用
・デジタルカメラで撮影したものを加工する
・本や雑誌などからスキャナーで読み込み
加工する
・フリー素材の加工
-8-
など
手引書
2
3
授業の実際
授業の考察
名護商業高等学校3年生 24 名(商業科 14 名 情
報処理科 10 名)を対象に手引書を用いて Front Page
(1) 仮説1について
アンケートによる検証
Express の操作方法についての学習,また素材集を利
(1日目終了後)
授業の中で難しいと思う操作がありましたか。
用した作品制作と,2時間連続の授業を5日間行っ
はい
いいえ
た。作品制作では以下のような条件を示し,取り組
ませた。
3人
20人
(
(
13%)
87%)
手引書を使っての授業はどうでしたか。
・2ページ以上のページを作成し,ページ間にリン
クを設定すること
わかりやすい
・扱う商品は3点以上とすること
(商品の値段等については各自で決めること)
ふつう
むずかしい
18人
(78.3%)
5人
0人
(21.7%)
(
0%)
・容量が大きくなりすぎないように,画像の張りす
(最終日)
ぎに注意すること
・ファイル名は小文字のアルファベット8文字以内
Front Page Express の操作方法を忘れてしまった場
合,どうしましたか。
(複数回答)
全部憶えていた
とすること
1人
友達に聞いた
15人
先生に聞いた
手引書を見た
8人
13人
操作方法一覧を見た
6人
操作方法を忘れたときの対処の仕方は友達もしく
は先生に聞いたとだけ答えた生徒が2人。その他の
生徒は手引書や操作方法一覧のどちらか,もしくは
両方を利用したと答えている。
表1
写真1
授業の様子
作品に用いられた手法1
内
容
人
数
背景色の設定
5
マーキーの挿入
水平線の挿入
12
3
水平線(画像)の挿入
22
表の挿入
表の挿入(非表示)
5
19
フォームの挿入
24
ブックマークへの
図 13
生徒作品1
リンクの設定
4
表1は手引書の中から生徒が取り入れた手法を集
計したものである。
全員が注文書のページを設け,その中でフォーム
の挿入をしている。長文となったページではブック
マークへのリンクの設定が取り入れられている。ま
た表の挿入では,作品のイメージに合わせ,非表示
に設定の変更をしているものがあった。
学習した手法の中から必要に応じて選択し,取り
入れたことがわかる。
図 14
生徒作品2
-9-
表2
考え,取り入れている生徒が見られた。
作品に用いられた手法2
内
容
背景色に画像を用いる
人 数
22
画像からのリンクの設定
4
サウンドの挿入
2
以上のことからホームページ作成に取り組ませる
中で自発的,創造的な学習態度を育てることが可能
であると考えられる。
完璧なお膳立てをするよりむしろ,ある程度方向
表2は授業では学習していないが,操作方法一覧
付けをすることで,生徒は持っている能力を十分発
揮していくのだという印象を受けた。
を参考に作品に取り入れられた手法の集計である。
(3) 生徒の感想
背景色に画像を用いたのは24人中22人( 91.7%)
・どうやるか,自分で考えるのが難しかったです。
だった。素材集の中に背景画像を準備していたもの
の,操作方法の説明は特にしていないにも関わらず
とりあえずホームページはできたのでよかったです。
・難しかったけど作り方がわかったので,また作る
取り入れている生徒が多くたいへん驚いた。
機会があれば作ってみたいです。
以上から手引書を用いることでホームページ作成
における基礎・基本を学習し,更に応用として各自
・今日で課題研究のホームページ作成は終了する。
放課後に残って仕上げたけど,楽しかったです。自
が必要に応じた手法を取り入れた作品制作に取り組
分でホームページが作れるようになると,もっと楽
むことができたと考えられる。
しいだろうなぁ・・と,思いました。
(2) 仮説2について
① 商品販売上の工夫
Ⅴ
以下に示すように,お店や商品のイメージアップ
になるようなコメント,思わず商品を買いたくなる
ような企画など,すぐにでもお店が開けそうな作品
が多く見られた。
・当店では,自然の素材を生かした小物・雑貨を販
まとめと今後の課題
検証授業では短期間であったのにも関わらず,ア
イディアの詰まった作品が多く提出され,ただ感心
するばかりであった。しかしその反面,ファイル名
の 付 け 方 ( 英 小 文 字 8 文 字 以 内 ,TOP ペ ー ジ に は
index.html もしくは index.htm と付ける)を誤ってい
売しております。
・みなさんに春夏秋冬のライフスタイルに合わせて
る生徒が多く,基礎知識を定着させるための工夫,
すてきなインテリアをご紹介します。
今後の課題として,作品の制作だけにとどまらず
生徒が発表を行う機会を設けること,またサウンド
・お星様と天使様とでメルヘンチックに仕上げた写
改善が必要であると考えている。
真立てです。あなたのお気に入りの1枚を飾ってみ
ては。
やアニメーション GIF 作成のための手引書を早急に
・今ならまとめてお買い上げの方
欲的にホームページ作成に取り組むことのできる環
境づくりがあげられる。
仕上げること,素材集の内容の検討など,生徒が意
¥1,000 割引
・次回の販売予定商品の紹介
・注意書きのページ
②
著しく発展する高度情報通信社会と生徒の内に秘
作品の工夫
めた能力を考えると,研修で得た知識が使えなくな
るのもあっという間かもしれない。今後も生徒に的
・Directer の学習で使用したサウンドを挿入
・Paint Shop Pro で作成した画像の挿入
以前学習したアプリケーションソフトでの内容を
確なアドバイスができるよう研究を継続していきた
いと考えている。
今回の作品制作で取り入れている生徒がいた。また,
手引書や操作一覧に載っていない手法(例えば,表
のプロパティから表内に色をつけるなど)を自分で
<主な参考文献>
林
外間
知波 著
ゆき・松本嘉代子
著
『Front Page Express・はじめてのホームページ』
『食品と料理 おきなわの味』
- 10 -
技術評論社
ニライ社
1997
1989
- 11 -