株式会社 CRI・ミドルウェア(3698)

エイチ・エス銘柄レポート
エイチ・エス銘柄レポート
株式会社 CRI・ミドルウェア(3698)
2014 年 12 月 1 日
客員アナリスト 寺島 昇

主要ポイント

株式会社 CRI・ミドルウェア<3698>(以下、同社または CRIMW)は、(株)
CSK の子会社(
(株)CSK 総合研究所)として 1983 年に設立された。当初は主に
グループ企業である(株)セガ向けに音声・映像のミドルウェアを提供していた
が、
(株)セガがゲーム機事業から撤退したのに伴い、ミドルウェア部門が EBO
により独立し、2004 年に(株)CRI・ミドルウェアとして再スタートし、現在に
至っている。

現在の主力事業は音声・映像に特化したミドルウェアの主にライセンス(許諾)
方式での販売である。主たる提供先は家庭用ゲーム用や遊技機(パチンコ、パチ
スロ)用の映像コンテンツの開発元であるが、近年はスマホ用ゲーム向けが伸び
ており、今後の成長ドライバーとなりそうだ。さらにゲーム関連以外の新分野へ
の展開も図っており、中長期的にもその方向性は注目する必要があるだろう。

業績サマリー
-株式情報-
株価(12/1日:初値)
発行済株式数
13,500円
DPS(予)
1,439,400株
配当利回り(予)
20.0円
時価総額
EPS(予)
0.1%
19,432百万円
PER(予)
117.27円
ROE(実)
売買単位
4.1%
BPS(実)
121.45倍
100株
PBR(実)
894 円
15.10倍
(予)は2015年9月期HS証券予想ベース
- 連結業績推移-
項目決算期
(単位:百万円、円)
売上高
営業利益
経常利益
当期j純利益
EPS
配当
2012年9月(実)
1,002
7
10
1
0.83
-
2013年9月(実)
988
68
83
53
41.16
-
2014年9月(会推)
1,146
216
223
141
109.35
-
2015年9月(HS予)
1,300
275
255
160
117.27
20.0
2016年9月(HS予)
1,430
324
320
195
135.47
20.0
(会予):会社推定、 (HS予):HS証券予想


EPSは期中平均発行済み株式数ベース
会社概要
沿 革
同社の前身は、1983 年に株式会社CSK(現、SCSK株式会社)のソフトウェア技術の
研究所(子会社)として設立された株式会社CSK総合研究所である。設立当初は、
「人口
最後に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
1/13
知能(AI)
」の研究開発を行っていたが、第 2 のテーマである「音声・映像」の研究をす
すめる中で、当時グループ会社であった株式会社セガ・エンタープライゼス(現、株式会
社セガ)との関係が深まり、セガ製ゲーム機向けの基本ソフト(ミドルウェア)やアプリ
ケーションソフト(ゲーム)の開発を行うようになった。その後、2001 年に(株)セガが
ゲームハードからの撤退を発表したことに伴い、
(株)CSK総合研究所のミドルウェア部
門が独立する形で、同年 8 月に設立後、2004 年 5 月のEBO(Employee Buy Out)により資
本的に独立した。なおゲーム部門は後に(株)セガに吸収され、現在では(株)CSK総
合研究所は存在していない。
1983年10月
前身の株式会社CSK総合研究所設立
当初は「人口知能(AI)」の研究開発を、90年代に入り「音声・映像」の研究開発を行う
1996年よりセガ製ゲーム機のミドルウェア開発を担当
2001年 8月
(株)CSK総合研究所の100%子会社として、(株)シーアールアイ・ミドルウェア(当
社)を設立
2002年 5月
事業所を東京都港区南青山に設置(研究開発および営業拠点)
2004年 8月
当社役員・従業員によるMBOの形で親会社から資本独立
2005年 1月
商号を株式会社CRI・ミドルウェアに変更
2006年 2月
米国カリフォルニア州に100%出資の連結子会社CRI Middleware,Inc. を設立
2009年10月
本社を東京都渋谷区渋谷に移転

事業内容
同社グループは、同社および連結子会社である(株)CRI Middleware, Inc.(米国カリフォ
ルニア州)により構成されており、主たる業務は、各種のゲーム開発用ミドルウェアの研
究開発および許諾販売(ラインセンス)である。

「ミドルウェア」とは
通常のコンピューターシステムでは、各種の機器(いわゆるハードウェア)があり、それ
ぞれの機器に基本的な動作を行うための基本ソフトである OS(Operating System)が搭載
されている。さらにその OS に、ユーザーが実際の作業を行うための各種のアプリケーショ
ンソフト(ゲーム、音楽・映像視聴、表計算、ワープロ、Web ブラウザー等)が搭載され、
ユーザーはこれらのアプリを操作することで目的とする作業を行うことが出来る。
ミドルウェアとは、これらの OS やハードとアプリケーションソフトとの中間に位置付けら
れるソフトウェアをいう。通常のアプリ開発は、各 OS またはハード毎に行う必要があるが、
ミドルウェアを入れる(搭載する)ことによって、OS との連携(インターフェース)はミ
ドルウェアが吸収してくれるため、このミドルウェア上でアプリを開発すれば、そのアプ
リは各種の異なる OS 上で動作させることが出来るようになる。
(下図参照)
このため、
アプリ開発を行う企業や技術者はミドルウェアを利用することで開発工数の削減、開発期
間の短縮、開発難易度の低減を図ることが可能になる。
最後に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
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(ミドルウェアのイメージ図)
アプリケーション
( ゲーム、 エ ンターテ イメント)
ミドルウェア
ゲーム機
スマートフォン
組込み機器
(出所:同社 Web サイト等より HS 証券作成)

製品と各分野の主な提供先、料金体系
特に同社が得意としているのは、
「音声と映像」に特化したミドルウェアで、
「CRIWARE」
という言う製品ブランドで販売されている。現在は主にゲーム分野(家庭用ゲーム機向け、
スマートフォン向け)、遊技機分野(主にパチンコ、パチスロ向け)、新規分野(製薬会社
向け営業支援ツール、医療ヘルスケア周辺でのスマホアプリ向け、家電や事務機器向け等)
の3つの分野で事業展開を行っている。同社の製品を利用することで、ユーザーは音声・
映像に優れたリッチコンテンツ(ゲーム等)を容易に開発出来るだけでなく、同じ内容の
コンテンツを異なる仕様のハードウェア向けに簡単に開発することが可能になっている。
例えば某ゲームソフトメーカーがあるコンテンツを開発した場合、通常の方法では同じゲ
ームであっても利用するハードウェア(PS4、Wii、XboxOne、iPhone、Android 等)ごと
に別々にアプリ開発を行う必要がある。しかし同社のミドルウェア(CRIWARE)を使用す
れば、開発そのものが容易になるだけでなく、他の仕様のハードウェア向けへの転用が容
易に行えるため、ゲーム開発メーカーとしては大幅にコストを削減することが可能になる。
(下図参照)
(出所:同社資料等より HS 証券作成)
最後に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
3/13
各分野別の売上高(2014 年 9 月期実績)は、ゲーム分野が 49%(563 百万円)、遊技機分
野が 39%(440 百万円)
、新規分野が 12%(141 百万円)となっている。さらにゲーム分
野のうち、スマートフォン向けが 100 百万円(対売上高比率 8.7%)を占めた。また同期間
の主要顧客(売上比率 10%以上)は、サミー(株)
(売上比率 15.6%)、
(株)セガ(同 11.8%)
で、その他の主要顧客は SCSK(株)、(株)東芝セミコンダクター&ストレージ、アイレ
ムソフトウェアエンジニアリング(株)など。
同社製品はミドルウェアであるが、通常のミドルウェアのようにハード側に搭載される(あ
るいは組み込まれる)ものではなく、アプリケーション側に組み込まれて、OS とのインタ
ーフェースを吸収する。このため、機能的にはいわゆる API(Application Programing
Interface)やライブラリに近いものとなっている。また事業モデルとしては「売り切り」で
はなく、
「使用許諾」(ライセンス)方式を取っている。但しこのライセンスの料金体系は
分野等によって異なり、一律ではない。
(下記参照)
分野別売上高
(2014年9月期:1,145百万円)
新規
分野
12%
遊技機分
野
39%
ゲーム分野
49%
(ゲーム分野)
ゲーム分野は提供先および料金体系の違いから「家庭用ゲーム機向け」と「スマート
フォン(スマホ)向け」に分かれる。

家庭用ゲーム機向け
現在の同社の中核事業で、いわゆるパッケージ型ゲームソフト(CD 等)の開発用
に使われる。このパッケージ型ゲームソフトの開発分野においての同社製品のシ
ェアは約 20%と推定されている。但し、この分野では大手企業(任天堂、スクウ
ェア・エニックス等)は自社内で開発を行う場合が多く、これらの自社内開発を
除いた「外部のツールを利用した開発市場」における同社のシェアは約 90%と推
最後に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
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定されており、殆どの開発会社やクリエイターが同社製品を利用していると言っ
ても過言ではない。現在までに、全世界で約 2,800 を超えるタイトルが同社製品
を使って開発された。
業務用ソフトの開発などに使われるミドルウェアなどのような通常のライセンス
(許諾)販売では、会社ごとに一定期間での利用に基づいた契約を行ったり、当
該ソフトを搭載する端末(CPU)の数に応じて月額料金が決められたりする場合
が多い。しかし同社のゲーム用製品の場合は、会社毎や端末数に応じてではなく、
「開発するタイトル毎」に契約を行う。例えば、ゲーム開発会社 X 社が、A、B、
C という 3 つのタイトルを開発しようとすれば、3 つの契約が必要であり、Y 社は
D というタイトル 1 つだけの開発を行うのであれば、契約は 1 つになる。一方で、
これらの同一タイトルの開発に何人の技術者が関わっても、あるいは何台の端末
で同社ソフトを使用しても料金は同じである。
契約当たりの料金は、同社製品を使って開発されたゲームソフトが販売された本
数に比例する。通常は 1 本当り 20~30 円で、販売本数 15 万本が上限となってい
る。例えば、A ソフトは 1 万本しか売れなければ料金は 20~30 万円であるが、10
万本売れれば 200~300 万円となる。但し上限があるため、例え 100 万本売れて
も同社への収入は 300~450 万円に止まる。しかしこのように、ソフトの販売本数
に比例して料金を後払いするため、開発会社にとっては使い易い料金体系になっ
ている。同社にとっては、まず開発されるタイトルが増えることが前提だが、結
果として同社製品を使って開発されたゲームソフトの販売本数が増えることが売
上増につながる。このようなビジネスモデルは、Disney 等の「キャラクタービジ
ネス」に類似しているとも言える。

スマートフォン向け
パッケージ用に加えて近年増加しつつあるのが、スマホ向け製品だ。近年のスマ
ホ向けゲームの多くはネイティブアプリ(*)であるためリッチコンテンツの開
発を可能にする同社製品のようなミドルウェアの需要が高まっている。
(*)ネイティブアプリ:ダウンロードして使用するアプリのこと。スマホ本体
で演算処理を行うためゲーム専用機に近いハイクォリティのゲーム制作が出来
るが、アプリ開発には高い技術力が必要になる。
この分野においては、ユニティ社(本社米国)が先行しており同社のシェアはま
だ低い。但し、ユニティ社は環境エンジンも提供しているので、その部分ではユ
ニティ社は同社にとって協業会社とも言える。また、スマホゲームの市場は一般
的に F2P(Free to Play)
、つまり当初無料、後日アイテム購入等で課金する方式
であるため、パッケージ型ゲームのように「販売本数」という概念がない。した
がって、利用されているゲームの本数や開発ツールの正式な統計がないので、現
時点では正確な市場シェアを計ることは出来ない。
最後に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
5/13
このようにスマホゲーム市場はパッケージゲーム市場とは市場の構造が大きく異
なるため、同社製品の料金体系も家庭用ゲーム機向けとは全く異なる。スマホ向
け市場では、各タイトルが一定期間運営される、つまり期間運営であるため、同
社の料金体系も、通常は初期料金が 35 万円、その後は 4 ヶ月目から月額 40 万円
を当該タイトルが運営されている期間にわたって課金するのが一般的だ。スマホ
(F2P)向けの平均的な売上は 1 タイトル当り 2 年間で 1 千万円ほどになる見込
みである。今後、F2P 型のゲームが増加する、あるいは同一ゲームの運営期間が
長くなれば同社の売上高は増加することになる。また法人契約が基本だが、イン
ディーズ的な個人開発者には無料で提供する場合もある。
(遊技機分野)
遊技機とはパチンコ・パチスロのことである。これらの遊技機も近年では高度な映像・
音声処理を必要とするリッチコンテンツが増えており、同社のようなミドルウェア(開
発ツール)への需要が高まっている。この市場では特殊半導体メーカーであるアクセ
ルが先行(推定市場シェア 50%)しており、同社のシェアは 20%ほどと推定されてい
る。
料金体系は、通常は遊技機に搭載される半導体チップに同社ソフトを組み込む(チッ
プバンドリングする)
ので、
これに対する許諾料として最低料金+チップ当り 200~300
円が半導体メーカーへ課せられる。それに加えて、半導体メーカーの依頼により同社
がカスタマイズや半導体チップへのポーティング(移植)を請け負う場合もある。こ
の場合には一括請求となり、おおよそ 2 年間で 3~5 千万円ほどの売上高となる。した
がって、同社ソフトを搭載した遊技機の製造台数が増えること、作業委託案件が増え
ることが同社の売上増となる。
(新規分野)
同社製品および技術の特色は、映像・音声処理、圧縮処理等であるため、ゲーム以外
の様々な分野で事業展開が可能であり、これらを新規分野と呼んでいる。具体的には、
家電向けとして某大手メーカーの電子レンジの音声解説や空気清浄機の動作状況の説
明(音声伝達)などに同社の音声処理技術が使われている。また iPad を使いゲームで
培った手法の導入によりユーザーインターフェイスを容易にした病院向けの予約シス
テムも開発されている。
その他では、受託開発として「製薬会社向け営業支援ツール」を開発している。これ
は製薬会社の営業担当者(MR)が医者に薬の効用などを説明するためのツールとして
使用するもので、新薬の効果を映像で表現することや高速でドキュメントを表示する
ことが可能になっている。
新規分野には多くの形態があるため、料金体系も一律ではなく、契約ごとに数量比例
であったり、一括契約であったり様々である。
最後に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
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以上のような現在の同社の事業内容を要約すると下図のようになる。
(出所:同社 Web サイト等より HS 証券作成)

特色、強み
同社製品や事業モデルの特色や強みは以下のように要約出来る。
(優れた音声・映像処理技術)
同社製品(ミドルウェア)の特色および強みは、前述のようにソフトウェアとして音
声や画像の各種処理等を迅速かつ容易に行えることで、以下のような点が優れている。

高品位の動画や音声を快適に再生出来る。(早い/軽い)

複数の動画や音声(BGM、台詞、効果音等)の非同期、同時再生を可能にする。
すなわち「マルチ再生」を簡単に行うことが出来る。

各種音声の再生や加工、動画の再生や特殊再生も容易に行うことが可能で、これ
最後に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
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らを行うための最適なツールも提供されている。

音声データ群、動画データ群と再生システムは複数のハード機器(スマホ/ゲーム
機等)で使用が可能になっている。
以上のように優れた特色があるため、同社の製品は多くのリッチコンテンツ・クリエ
ーター(制作者)から支持されている。
(優れた圧縮技術)
もう一つの同社の技術的な強みは「データの圧縮技術」にある。独自のコーディング
方法により大容量のデータを大幅に圧縮することが出来るため、トータルのデータ容
量を削減すると同時に、通信(伝送)速度を大幅に速めることが可能になっている。
この結果、ゲームのダウンロード時の利用者の不満やイライラが減少するメリットが
あり、双方向ゲームにおいては殆どリアルタイムでのレスポンスが可能になりゲーム
の臨場感が高まることになる。また記述の「製薬会社向け営業支援ツール」において
も、膨大な医薬品データを自動で更新する部分でこの技術が役に立っている。
(リスク分散された料金体系)
上記のように同社の料金(収入)体系は様々な形態になっているが、これも同社の特
色であり、強みの一つと言えるだろう。例えば、販売本数に比例する分野では、ソフ
トウェア製品の限界利益率は非常に高いため、販売本数が増加すれば同社の売上高(利
益)は大幅に増加する。但し、販売本数が伸び悩んだ場合には、売上高が取れないリ
スクもある。
また同社には月額課金の形態もあるが、これは一定額の売上高が定期的に入ってくる
ため収益を安定させる。さらに受託開発やカスタマイズなどの形態は、案件取得は容
易ではないが比較的大きな金額が一括で計上されるので、キャッシュフローの点では
財務的にプラスに作用する。このように同社の事業モデル(料金体系)は異なる形態
に分かれているため、収益面からはリスクが分散されており、これも同社の強みのひ
とつと言えるだろう。


業績動向
2014 年 9 月期実績
2014 年 9 月期通期業績は、下表のようになった。売上高は 15.9%増となったが、各分野と
もに売上高は順調に増加した。営業利益、経常利益は前期の水準が低かったことから前期
比では大幅増となった。
同期末の従業員数(役員を除く)は 62 名で、前期(2013 年 9 月期)末の 59 名から 3 名増
加している。従業員の主な分布は、49 名が開発関連、5 名が営業、8 名が管理部門となって
いる。
最後に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
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(百万円、%)
1 3 年9 月期
( 実績)
1 4 年9 月期
( 構成比)
( 実績)
前期比増減
( 構成比)
( 金額)
( 率)
売上高
988
100.0
1,144
100.0
156
15.8
ゲーム分野
475
48.1
563
49.2
88
18.5
(パッケージ)
432
43.7
463
40.5
31
7.2
(スマホ)
43
4.4
100
8.7
57
132.6
遊技機分野
387
39.2
440
38.5
53
13.7
新規分野
125
12.7
141
12.3
16
12.8
売上総利益
575
58.2
712
62.2
137
23.8
販売管理費
506
51.2
496
43.4
▲ 10
▲ 2.0
営業利益
68
6.9
215
18.8
147
216.2
経常利益
83
8.4
222
19.4
139
167.5
当期純利益
53
5.4
141
12.3
88
166.0
また財政状況は下表のようであったが、当期純利益を計上したことなどから現預金が増加、
それ以外では前期末に比べて特に大きく変わっているところはない。
(百万円)
1 3 年9 月期
1 4 年9 月期
期末
期末
現預金
605
819
売掛金
284
261
その他
18
27
907
1,107
有形固定資産
8
7
無形固定資産
17
21
投資その他の資産
107
109
固定資産合計
133
137
資産の部合計
1,041
1,245
0
0
その他
122
182
流動負債合計
122
182
0
0
その他
94
91
固定負債合計
94
91
負債の部合計
217
273
純資産の部合計
823
971
1,041
1,245
流動資産合計
短期借入金
長期借入金
負債・純資産の部合計
最後に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
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
2015 年 9 月期および 2016 年 9 月期予想
会社側では現時点で今期(2015 年 9 月期)および来期(2016 年 9 月期)の予想を発表し
ていないが、HS 証券では下表のように今期、来期も増益が続くと予想している。この前提
(考え方)となるのは、

ゲーム分野ではパッケージ向けは全体の市場は縮小が予想されるが、反対に
開発競争が激しくなるため同社製品の売上高は市場が縮小するほどには落ち
込まず、少なくともシェアアップによって横ばいに止まると予想される。一
方でスマホ向けでは、F2P 型のタイトルは現在 5 タイトルだけであり、今後
は F2P 型が一段と増えると予想されることから、同社のスマホ向け売上高も
拡大が期待出来そうだ。

遊技機分野は今期増加が予想されるが、その先は不透明。但し急激に市場が
縮小することも考えられないため来期は横ばいと予想している。

一方で新規分野は下記で述べるように今後、拡大が見込まれる分野であり、
売上高は順調に拡大すると予想される。
(百万円、%)
1 4 年9 月期
( 実績)
売上高
前期比増減
( 金額)
1 5 年9 月期
( 率)
( HS予)
前期比増減
( 金額)
1 6 年9 月期
( 率)
( HS予)
前期比増減
( 金額)
( 率)
1,144
156
15.8
1,300
156
13.6
1,430
130
10.0
ゲーム分野
563
88
18.5
620
57
10.1
670
50
8.1
(パッケージ)
463
31
7.2
485
22
4.8
490
5
1.0
(スマホ)
100
57
132.6
135
35
35.0
180
45
33.3
遊技機分野
440
53
13.7
510
70
15.9
510
0
0.0
新規分野
141
16
12.8
170
29
20.6
250
80
47.1
売上総利益
712
137
23.8
845
133
18.7
950
105
12.4
販売管理費
496
▲ 10
▲ 2.0
570
74
14.9
626
56
9.8
営業利益
215
147
216.2
275
60
27.9
324
49
17.8
経常利益
222
139
167.5
255
33
14.9
320
65
25.5
当期純利益
141
88
166.0
160
19
13.5
195
35
21.9
(HS予)=HS証券予想

中長期展望
同社の今後の事業展開を短期的(2~3 年)
、中長期的(3~5 年)な視点から考察すると、
以下のような展開が予想される。

短期:スマホ向けが牽引の可能性
現在の主力事業であるゲーム分野では、パッケージ向けはゲーム市場そのものが縮小
すると予想されるため、同社製品も高い伸びは期待出来ないだろう。但しヒットする
ゲームの開発競争は一段と激しくなる可能性があり、開発ツールへの需要が大きく落
ち込むことも考え難い。したがって同社製品の売上高は横ばいからやや低下する方向
と考えるのが妥当だろう。また遊技機向けは、遊技機の製造台数は下図のように近年
最後に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
10/13
伸び悩んでいるが、一方で急激に大きく落ち込むことも考え難い。この分野の売上高
は年度によって上下はあるものの、傾向としては横ばいとなる公算が強い。
遊技機器の設置台数推移
(単位:千台)
6,000
スロット
パチンコ
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
03年
04年
05年
06年
07年
08年
09年
10年
11年
12年
13年
(出所:日本遊技事業関連協会)
一方で今後 2~3 年の成長ドライバーとして期待されるのがスマホ向けだ。下図に見ら
れるようにスマホゲームの市場は拡大が見込まれることから、開発ツールである同社
製品の売上高も増加が期待出来るだろう。特にこの分野では同社のシェアがまだ低い
ため、市場拡大に加えてシェアアップによって売上拡大を目指すことは十分に可能だ。
スマートフォンゲーム市場規模
(ネイティブ/ブラウザー合算)
単位:億円
9,000
8,238
7,462
6,584
5,468
6,000
3,072
3,000
0
2012年
2013年
2014年(予)
2015年(予)
2016年(予)
(出所:CyberZ/シードプランニング)
最後に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
11/13

中長期:新規分野が拡大の可能性
現在の同社の事業の中心はゲーム向けおよび遊技機向けとなっている。しかしこれは、
同社の持っている技術的資産(ノウハウ)が、ゲーム向けから始まっており現時点で
はゲームや遊技機向けに適しているからであって、必ずしも同社が常に「ゲーム関連」
「スマホ関連」ということではない。何度も繰り返し述べているように、同社の強み
は「音声・映像の処理技術」「圧縮技術」等であり、これらを活かせる分野であれば、
どの分野でも事業拡大は可能だ。同社技術の特色(強み)の一つは、CPU への負荷が少
ないことであり、この特色を活かして既に一部家電向けや営業支援ツール向けなどの
新分野に展開を図っているが、それ以外の多くの新分野(特に家電や民生用製品等)
に展開が可能であろう。具体的には以下のような分野が考えられ、同社でも水面下で
事業化の可能性を探っており、いずれ実数字として具現化してくるものと期待される。

VOIP を利用したビジネス分野:電話会議、ボイスチャット、ビジネスホン、
語学研修など。

VOD(ビデオオンデマンド)
:通常のビデオ再生に加えて、映像の重ね合わせ
技術による動画広告など、新しいスタイルのビデオストリーミング再生ビジ
ネスの創造も可能。

自動販売機等でのデジタルサイネージ:自販機やその他の機器に表示装置が
組み込まれることで、動画配信による広告(デジタルサイネージ)が容易に
可能になり、同社技術の登場機会が増加する。
以上のように同社が持っている技術は様々な分野で活用することが可能であり、中長
期的な視点からは新規分野での事業展開に大いに注目する必要がある。

リスク要因
今後の同社の業績動向を見るうえで考えられるリスクは二つある。ひとつ目は、現在
の主たる提供先業界であるゲーム業界が抱えるリスクである。各ゲームは当たり外れ
が大きく、同社もその影響は受ける。また業界そのものが規制される場合もあり、そ
れによって同社の業績が落ち込むリスクは有り得る。このようなリスクを避けるため
にも、前述のようにゲーム機業界向け以外の新規分野向けを伸ばすことは急務であろ
う。
ふたつ目は、ソフトウェア会社としてのリスクである。特に同社のような月額課金型
では、開発が先行して後から売上として回収する場合が多い。そのため、先行開発し
た製品が思うように伸びなかった場合には、資金負担が増加することも有り得る。し
かし既に多くの顧客を抱え、業界でのシェアも高い同社が開発分野の見通しを見誤る
可能性は少ないだろう。
最後に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
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当社にてお取引をされる場合、店舗における国内の金融商品取引所に上場する株式(売買単
位未満を除く)の場合は約定代金に対して最大1.0476%(税抜き)(ただし約定代金の
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