海外だより動きの取れないオバマ政権 D.C. 通信│連載36 古林秀峰（ＪＡ全中農政部WTO・EPA 対策課＜在ワシントン＞） ●近づく中間選挙∼民主党の危機感持率は 1 期目に比べて厳しくなる傾向にある 2 年ごとに行われる国政選挙では、全てのといわれているが、 3 月の世論調査注 3 では、下院議員と上院議員の約 3 分の 1 が改選され大統領の支持率は41%（不支持率54%）にまる。中間選挙注 1 は現政権側に厳しいといわれで落ち込んでおり、厳しい状況下にある。ているが、2008年に両院で多数派を握っていた民主党も、オバマ大統領当選後の中間選挙（2010年）で惨敗し、2011年以降共和党表 2 改選時期別の上院議席数と勢力上院議員民主党共和党 53 45 が下院の多数派を握り、深刻な政治停滞に 2014年改選対象 20 13 陥っている（表 1 ）。今年の中間選挙でも今 2016年改選対象 10 24 2018年改選対象 23 8 のところ民主党が下院の多数派に返り咲くと注：他に 2 名の独立系（民主党より）議員がいる。いう見込みは薄く、むしろ焦点は上院で民主党が多数派を維持できるか否かにある。 ●支持集めに必死のオバマ政権民主党が上院で過半数を維持するためには、表 1 オバマ政権下でのアメリカ議会の勢力議会リベラル色の強い州での議席維持はもちろん、民主党独立共和党 2 41 第111議会（'09-'11）上院 57 下院 257 第112議会（'11-'13）上院 51 下院 193 第113議会（'13-'15）上院 53 下院 201 2 178 れるかが鍵を握っている。このため労働組合 47 などから反発を受けている環太平洋連携協定 242 2 保守色・農業色の強い州で議席をどれほど守 45 （TPP）交渉に関しては、支持母体の要求に 234 応える形で通商政策諮問委員会の再編を発表しつようする一方、日本やカナダに対しては執拗に農上院で今年改選となるのは2008年に改選業市場開放を迫り必死に農業界へアピールをされた議席を中心とする36議席注 2 だが、うちしているようにも見える。だが、いずれにせ民主党が21議席、共和党が15議席となっておよ今次中間選挙後にアメリカの政治状況が改り、前回選挙で民主党が躍進した保守色の強善するとは見込まれない。わが国政府には冷い州を中心に共和党の巻き返しが予想されて静な見極めと対応が求められる。いる。現状から 6 議席失うと共和党が両院を主導することとなるため、政権にとって今秋の上院議員選挙は死活問題である。しかしオバマ大統領自身の支持率も低下の一途をたどっており、今年に入っても浮揚の兆しは見られていない。一般的に 2 期目の支 38 月刊 JA 2014/05 注 1： 4 年任期である大統領の選挙と重ならない年の選挙を中間選挙と呼ぶ。注 2：本来の2014年改選対象は33議席だが、任期途中の辞任等による特別選挙が 3 議席（民主党 1 議席、共和党 2 議席）ある。注 3：2014年 3 月11日付 The Wall Street Journal“WSJ/ NBC News Poll : Obama's Approval Rating Hits New Low"