「FX特別レポート」(9/14) 米大統領選挙と為替の関係 (株)マネー

「FX特別レポート」(9/14)
米大統領選挙と為替の関係
(株)マネー&マネー編集長・吉田
恒
冷戦崩壊後、「唯一の超大国」米国の政治指導者は、事実上、世界のトップリーダーとい
えるだろうが、その米大統領を決める 4 年に一度の大イベントがいよいよ 2 ヶ月後に迫っ
てきた。
今回は、そんな米大統領選挙の現状分析と、そして為替への影響といった観点で考察し
てみる。
◆大統領選挙の現状分析
ある調査によると、9 月時点で世論調査の支持率で優位に立っていた候補が、最終的に選
挙に勝利した確率は 7 割以上だという。しかもその支持率が 5 割を超えていた場合は、100%、
本番でも勝利となっていた。
じつは、ブッシュ大統領はケリー候補を支持率で上回り、しかも世論調査支持率の中で
は 5 割を超えているものもあることから、これまでの「法則」からすると選挙本番でも勝
利は間違いないということになる。
ただし、日本ではまだあまり話題になっていないが、9 日付けワシントンポスト紙が、ブ
ッシュ大統領の「軍歴詐称」疑惑で新たな資料が見つかったと一面で報じ、米国内では注
目されているようだ。
大統領選挙は、ケリー民主党候補のベトナム戦歴に関するネガティブ・キャンペーンに
よって、これまでの接戦から、ブッシュ有利の構図が目立つようになっていた。それが今
回のワシントンポスト報道で、どのように変化する可能性があるかは注目されるところだ。
◆前回選挙後の為替
ところで 4 年前、現在のブッシュ政権が誕生する前後、為替はどんな動きになったか覚
えているだろうか。じつはドル高・円安になったのである。
少しでも経済を理解しているほど、逆に意外に思うかもしれない。それは、この 1〜2 年、
まさにブッシュ政権の中で為替は円高・ドル安傾向が展開してきたのである。ところが、
ブッシュ政権誕生前後はしばらく円安・ドル高が展開し、そしてそれは今から考えると意
外に思えるかもしれないが、ブッシュ政権こそが円安・ドル高を志向しているからとの理
解によるものだった。
ブッシュ政権誕生直後の有力スタッフとして、大統領経済顧問の立場でL.リンゼーとい
う人物がいた。彼の考え方の一つとしてドル高・円安があった。米国は巨額の貿易赤字を
抱えており、それを埋め合わせるためには海外資本の流入が必要だ。海外資本が為替リス
クを懸念せず対米投資を拡大するにはドル高、最低でもドルの安定が必要だ。
そして、そんなドル高の裏返しは円安である。深刻なデフレに喘いでいる日本が苦境を
脱するために、その円安を一つのきっかけにすればいい。
ブッシュ政権が発足した 2001 年 1 月に、1 ドル=110 円台だったドル円は、その後一年
で 135 円まで円安・ドル高が展開した。この一因は、ブッシュ政権がドル高・円安を志向
していたことがあった。
しかもその中で、「日本経済が苦境から脱出するために、円安を一つのきっかけにしたら
いい」といった「親日派」の考え方があったということは重要だ。一概にはいえなが、基
本的な理解として、「共和党=親日」
、「民主党=反日」という分類は可能である。(Y)