海岸保全施設の維持管理のあり方について

海岸保全施設の維持管理のあり方について
国土交通省 水管理・国土保全局
海岸室
平成27年 10月
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
本日の講義内容
【機密性2】
・海岸保全施設の維持修繕について
海岸保全施設維持管理マニュアル
・水門・陸閘等の運用計画について
津波・高潮対策における水門・陸閘等
管理システムガイドライン
・その他
2
講義内容①
【機密性2】
・海岸保全施設の維持修繕について
海岸保全施設維持管理マニュアル
3
我が国の海岸線の概要
【機密性2】
 日本の海岸線の総延長は約35千kmと極めて長大であり、このうち防護工事の対象とな
る海岸として、約14千kmが海岸保全区域に指定されている。海岸線の概要は以下のとお
りである。
要保全海岸延長※ 14.5千km
※
一般公共海岸
区域延長
8.3千km
※
海岸保全区域延長※ 13.7千km
有施設延長 9.6千km
※
※
※
※
砂浜のある海岸線延長
約4.9千km
その他
12.6千km
・保安林
・鉄道護岸
・道路護岸
・飛行場 など
「要保全海岸延長」及び「海岸保全区域延長」は二線堤(0.5千km)を除く。
「一般公共海岸区域延長」は現在調査中の段階であり、数値は推計値である。
「砂浜のある海岸線延長」は図面及び航空写真等から計測された値である。
資料)平成24年度版 海岸統計(平成24年3月31日現在)
海岸線延長 約35千km
1,600km 3,200km
5,400km
4,100km
海岸法の適用範囲
200km
海岸及び海岸と連続性のある区域
農
村
振
興
局
水
産
庁
水
管
理
・国
土
保
全
局
港
湾
局
農水
振管
共理
管 ・国
土
保
全
局
海岸保全区域
海面利用・海洋環境
は海岸法の対象外
原則として50m
▽ 満潮位 ※
▽ 干潮位 ※
原則として50m
原則として
50m を 超 え る 陸 域 は
海岸法の対象外
※指定の日の属する年の春分の日における満潮位・干潮位
4
海岸省庁の役割分担
【機密性2】
港湾局所管
水産庁所管
港湾区域
漁港区域
水管理・国土保全局所管
農村振興局所管
港湾隣接地域
干拓地等
海岸保全区域
※ 海岸保全区域以外は一般公共海岸区域
海岸に隣接する農地
砂浜海岸
漁業を支える漁港
国際・国内物流を支える港湾
5
海岸保全施設
【機密性2】
護岸
堤防
胸壁
突堤
離岸堤
6
海岸保全施設の現状(老朽化)
【機密性2】
<海岸堤防等の老朽化の現状>
完成後
50年以下
の施設
(約6割)
完成後
50年以上
の施設
(約4割)
完成後
50年以下
の施設
(約3割)
完成後
50年以上
の施設
(約7割)
老朽化した海岸保全施設
2010年
2030年
20年後には
完成後50年以上
経過した施設の割合が
約7割に増加
※平成25年3月 国土交通省、農林水産省調べ(岩手県、宮城県、福島県を除く)
※完成後50年以上経過した施設には、施工年次不明の施設を含めている
老朽化した海岸保全施設
海岸保全施設の老朽化
7
海岸の管理について(維持管理の状況)
【機密性2】
 海岸の管理は、海岸保全施設の機能維持、海岸保全区域内の適正な利用等に関して、
巡視・点検等により「状況把握」を行い、適切な「維持管理」を実施することが基本。
状況把握の例
維持管理の例
■縦横断測量
■施設の補修
なめりかわし
水橋海岸(富山県滑川市)
明治新田海岸(熊本県八代市)
■施設の補修
■堤防点検
たかはぎし
みやうみ
赤浜海岸(茨城県高萩市)
宮海地区海岸(山形県酒田市)
■不法行為への対応
■海岸巡視
かいけい
皆生海岸(鳥取県米子市)
葉山海岸(神奈川県葉山町)
8
社会資本の老朽化対策に関する主な取組
平成24年
7月
【機密性2】
社整審・交政審に対し、国交大臣が「今後の維持管理・更新のあり方について」を諮問
技術部会の下に「社会資本メンテナンス戦略小委員会」を設置し、技術的な検討に着手
平成25年
平成26年
12月
中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故
1月
社会資本の老朽化対策会議 設置
3月
「社会資本の維持管理・更新について当面講ずべき措置」(工程表)決定
6月
日本再興戦略(閣議決定)「インフラ長寿命化基本計画」の秋頃までの策定を位置付け
10月
インフラ老朽化対策の推進に関する関係省庁連絡会議 設置
11月
「インフラ長寿命化基本計画」決定
12月
「今後の社会資本の維持管理・更新のあり方について」 答申
5月
社会資本の老朽化対策会議 「国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)」決定
【政府全体】
インフラ老朽化対策
の推進に関する
関係省庁連絡会議
・議長:内閣官房副長官補
・構成員:内閣官房、内閣府、
農水省、国交省 等
・「インフラ長寿命化基本計画」
【国土交通省】
社会資本の
老朽化
対策会議
連携
・議長:国土交通大臣
・「社会資本の維持管理・更新に
関し当面講ずべき措置」
・国土交通省インフラ長寿命化
計画(行動計画)策定
社会資本
メンテナンス
戦略小委員会
社会資本整備審議会・
部会 交通政策審議会
技術分科会
技術部会
・有識者委員会
・「今後の社会資本の維持管理・更新のあり方に
ついて」 答申
9
社会資本の老朽化と戦略的な維持管理・更新
出典: 第1回社会資本老朽化対策会議資料 (H25.1.21)
【機密性2】
10
インフラ長寿命化基本計画の概要
インフラ老朽化対策の推進に関する関係省庁連絡会議決定
【機密性2】
○ 個別施設毎の長寿命化計画を核として、メンテナンスサイクルを構築
○ メンテナンスサイクルの実行や体制の構築等により、トータルコストを縮減・平準化
○ 産学官の連携により、新技術を開発・メンテナンス産業を育成
1.目指すべき姿
3.計画の策定内容
○安全で強靱なインフラシステムの構築
○インフラ長寿命化計画(行動計画)
 メンテナンス技術の基盤強化、新技術の開発・導入を通じ、厳しい地形、
多様な気象条件、度重なる大規模災害等の脆弱性に対応
【目標】老朽化に起因する重要インフラの重大事故ゼロ(2030年) 等
○総合的・一体的なインフラマネジメントの実現
 人材の確保も含めた包括的なインフラマネジメントにより、インフラ機能
を適正化・維持し、効率的に持続可能で活力ある未来を実現
【目標】適切な点検・修繕等により行動計画で対象とした全ての施設の
健全性を確保(2020年頃) 等
○メンテナンス産業によるインフラビジネスの競争力強化
 今後のインフラビジネスの柱となるメンテナンス産業で、世界のフロント
ランナーの地位を獲得
【目標】点検・補修等のセンサー・ロボット等の世界市場の3割を獲得(2030年)
2.基本的な考え方
○インフラ機能の確実かつ効率的な確保
 メンテナンスサイクルの構築や多段階の対策により、安全・安心を確保
 予防保全型維持管理の導入、必要性の低い施設の統廃合等によりトータル
コストを縮減・平準化し、インフラ投資の持続可能性を確保
○メンテナンス産業の育成
 産学官連携の下、新技術の開発・積極公開により民間開発を活性化させ、
世界の最先端へ誘導
○多様な施策・主体との連携
 防災・減災対策等との連携により、維持管理・更新を効率化
 政府・産学界・地域社会の相互連携を強化し、限られた予算や人材で安全
性や利便性を維持・向上
 計画的な点検や修繕等の取組を実施する必要性が認められる全てのインフラ
でメンテナンスサイクルを構築・継続・発展させるための取組の方針
(対象施設の現状と課題/維持管理・更新コストの見通し/
必要施策に係る取組の方向性 等)
○個別施設毎の長寿命化計画(個別施設計画)
 施設毎のメンテナンスサイクルの実施計画
(対策の優先順位の考え方/個別施設の状態等/対策内容と時期/対策費用 等)
4.必要施策の方向性
点検・診断
定期的な点検による劣化・損傷の程度や原因の把握 等
修繕・更新
優先順位に基づく効率的かつ効果的な修繕・更新の実施 等
基準類の整備
施設の特性を踏まえたマニュアル等の整備、新たな知見の反映 等
情報基盤の整備と活用 電子化された維持管理情報の収集・蓄積、予防的な対策等への利活用等
新技術の開発・導入
予算管理
体制の構築
法令等の整備
ICT、センサー、ロボット、非破壊検査、補修・補強、新材料等に
関する技術等の開発・積極的な活用 等
新技術の活用やインフラ機能の適正化による維持管理・更新コストの縮
減、平準化 等
[国]技術等の支援体制の構築、資格・研修制度の充実
[地方公共団体等]維持管理・更新部門への人員の適正配置、
国の支援制度等の積極的な活用
[民間企業]入札契約制度の改善 等
基準類の体系的な整備 等
5.その他
 戦略的なインフラの維持管理・更新に向けた産学官の役割の明示
 計画のフォローアップの実施
11
インフラ長寿命化基本計画 工程表(海岸事業抜粋)
【機密性2】
~平成25年度
(2013年度)
平成26年度
(2014年度)
平成27年度
(2015年度)
平成28年度
(2016年度)
平成29年度 平成30年度 平成31年度 平成32年度
(2017年度) (2018年度) (2019年度) (2020年度)
①点検・診断/維持更新等
東海・東南海・南海地震等の地震が想定される地域等で海岸管理者が実施する海岸堤防等(昭和45年以前に整備)の
老朽化調査を完了できるよう、技術的・財政的支援を継続
○相談窓口の機能の充実
海岸管理者を対象に、各地方整備局等の河川部・港湾空港部を窓口とし、国土技術政策総合研究所、土木研究所、港湾空港技術研究所と連携して、技術的支援を継続
○基準・マニュアル等の整備・提供
「Ⅵ.2.基準類の整備」の基準類について、引き続き、技術的助言として周知
○研修・講習の充実
海岸管理者等の職員を対象に、
各地方整備局等の河川部・港湾空
港部等において、説明会を実施
海岸管理者の職員を対象に、国土技術政策総合研究所において維持管理に関する講習を毎年開催
○交付金等による支援
海岸管理者が実施する「老朽化対策」について、防災・安全交付金等により支援
海岸管理者が実施する「個別施設計画の策定」について、防災・安全交付金等により支援
②基準類の整備
「海岸保全施設維持管理
マニュアル」の改定
(東日本大震災の被災地等の
一部は、平成32年度まで支
援)
・本文に記載した基準類を海岸管理者へ技術的助言として周知
・新しい知見の蓄積等を踏まえ、海岸保全施設維持管理マニュアルの改訂に向けた取組を推進
「海岸法の一部を改正する法律案(平成26年3月7日閣議決
定)」等により、海岸保全施設に関する維持・修繕の責務の明
確化、維持又は修繕の技術的基準を定める
「技術的基準」の運用を通じて得られる技術的知見を収集・蓄積し、適時・適切に改定
③情報基盤の整備と活用
海岸管理者の施設を対象に
データベースを構築
維持管理情報について、データベースの構築を推進
維持管理情報について、更新をできるよう、技術的な支援を継続
蓄積した情報を、国及び海岸管理者の中で共有
12
12
インフラ長寿命化基本計画 工程表(海岸事業抜粋)
~平成25年度
(2013年度)
平成26年度
(2014年度)
平成27年度
(2015年度)
平成28年度
(2016年度)
【機密性2】
平成29年度 平成30年度 平成31年度 平成32年度
(2017年度) (2018年度) (2019年度) (2020年度)
④個別施設計画の策定・推進
「海岸保全施設の維持管理マニュ
アル」を改定
海岸管理者に対し、「海岸保全施設維持管理マニュアル」について、技術的助言として周知
海岸管理者が実施する「個別施設計画の策定」につき、 「Ⅵ.1.点検・診断/修繕・更新等 ○交付金等による支援」のとおり、
防災・安全交付金等により支援
(東日本大震災の被災地等の
一部は、平成32年度まで支
援)
⑤新技術の開発・導入
・砂防設備等の点検合理化のための研究開発を推進
・新技術が導入されている各施設における取組を収集
・海岸管理者に対して参考に情報提供
⑥予算管理
「Ⅵ.1.点検・診断/修繕・更新等 ○交付金等による支援」及び「Ⅵ.4.個別施設計画の策定・推進」の取組を継続
⑦体制の構築
○技術者の確保・育成
点検・診断等に関する民間資格に
資格制度を検討・充実
ついて評価する資格制度を検討
「Ⅵ.1.点検・診断/修繕・更新等 ○研修・講習の充実」の取組を推進し、技術者の育成を継続
○国民等の利用者の理解と協働の推進
海岸協力団体制度
の創設
海岸協力団体の
認定基準の検討
海岸管理者と海岸協力団体の連携を強化するための取組を推進
⑧法令等の整備
・海岸法、海岸法施行令、海岸法施行規則及び関連する告示・通達等の所管法令等を適切に運用
・本計画に基づく取組を進める中で必要となる制度や法令等について検討・整備
○海岸法
●H26年6月海岸法改正
・海岸管理者の海岸保全施設に関する維持・修繕の責務を明確化
・予防保全の観点から維持又は修繕に関する技術的基準を策定
・海岸協力団体の指定による地域の実情に応じた多岐にわたる
海岸管理の充実
13
海岸関係省庁における取組(スケジュール)
【機密性2】
 大規模地震の切迫性が懸念される中、点検や耐震調査等を通じて施設の機能や安全
性を的確に把握・評価しつつ、より一層計画的かつ効率的な維持管理を図り、必要に応
じて対策を講じるなど、予防保全の視点に立った管理の意識が求められている。
 戦略的なインフラの維持管理・更新を進めるため、海岸分野については施設の総点検、
基準マニュアルの改訂等、総合的な取り組みを始めている。
「社会資本の維持管理・更新に関し当面講ずべき措置」
現 場 管理上の対策
H25年 3月末
工程表[抜粋]
6月末
12月末
(H25.3.21公表)
H26年 3月末
H27年 3月末
○平成25年2月22日付通知により、点検実施を要請
○4月 30日に点検結果(速報版)を公表。
○総点検の実施
【海岸】 : 海岸堤防、護岸、水門等
(被災履歴や背後の人口・資産、利用頻度等から重要性の高い施設について点検を実施)
○平成25年8月8日に第1回検討会を開催
○基準・マニュアルの策定、見直し
【海岸】 海岸保全施設維持管理マニュアル(国土交通省・農林水産省策定)の改訂
運用
(点検方法の再検討、事例の追加)
○新規データベースの構築
【海岸】
○海岸保全区域台帳等の電子化に向けた検討に着手
用に
よ
(
一る
部一
開体
始的
) 運
台帳等の電子化に着手・推進
長 寿 命化計画の推進
○施設毎の長寿命化計画の策定推進
H25年 3月末
6月末
12月末
H26年 3月末
プ
ラ
ッ
ト
フ
ォ
ー
ム
H27年 3月末
○平成26年度概算要求で、長寿命化計画策定に必
要な経費を新たに要求
(交付金による地方公共団体における計画策定の支援)
【海岸】 長寿命化計画の策定に向けた老朽化調査経費について交付金により継続支援
総点検の結果等を
踏まえ、維持管理・
更新に係る内容の
充実と策定率の向
上を強力に推進
14
長
寿
命
化
計
画
等
を
核
と
し
た
本
格
的
な
P
D
C
A
サ
イ
ク
ル
へ
の
移
行
海岸法の一部を改正する法律の概要(平成26年6月11日公布)
【機密性2】
背景
○東日本大震災において、堤防を越えた津波により甚大な被害が発生
○高度成長期等に集中的に整備された海岸保全施設の老朽化が急速に進行
方向性
・切迫する南海トラフ地震等に備え、海岸における防災・減災対策を強化
・海岸保全施設の老朽化対策等、適切な維持管理の推進
法案の概要
海岸における防災・減災対策の強化
◆津波等が堤防を越えた場合の被害の軽減
「緑の防潮堤」など粘り強い海岸堤防等を海岸保全
施設に位置付け、その整備を推進
海岸の適切な維持管理
◆海岸保全施設の老朽化対策
海岸保全施設の維持・修繕に関する統一的な基準
の策定
【法律公布より2月以内施行】
関係者が海岸の防災・減災対策を協議するための協
議会の設置
【法律公布より6月以内施行】
◆座礁船舶の撤去
【法律公布より2月以内施行】
◆水門・陸閘等の安全かつ確実な操作
現場操作員の安全を確保しつつ、適切な操作を図る
ため、操作規則等の策定を義務付け
海岸保全施設を損傷するおそれがある座礁船舶に
対する撤去命令
【法律公布より2月以内施行】
◆海岸協力団体の指定
【法律公布より6月以内施行】
災害時の海岸管理者による障害物の処分等の緊急措
置及び操作従事者等に対する損害補償規定の整備
【法律公布より2月以内施行】
海岸管理者に協力する法人又は団体(NPO等)を
指定し、維持管理を充実
【法律公布より2月以内施行】
15
海岸保全施設維持管理マニュアル(平成26年3月改訂)の概要
【機密性2】
○全国の堤防・護岸等のうち、築後50年以上経過した施設(築後年数不明も含む)が2030年には約7割に達すると見込まれ、老朽化した施設が急増し
ているほか、建設年度や施設諸元、老朽化の状況等、維持管理に必要な情報が不明な施設も多く存在している。
○国や地方における施設に関する予算や人員の削減が進む中で、維持管理に係る体制づくりが困難な場合が見受けられるとともに、海岸管理者間の
ばらつきも存在している。
○以上の課題等を踏まえ、「海岸保全施設維持管理マニュアル改訂調査委員会(委員長:北海道大学大学院教授 横田 弘)(平成25年8月~平成26
年3月)」を4回開催し、巡視(パトロール)の導入等点検の効率化、長寿命化計画の策定方法の具体化等に係る検討を行い、マニュアルを改訂しまし
た。
堤防・護岸等の老朽化の見通し
海岸保全施設維持管理マニュアル(平成26年3月改訂)の概要
巡視(パトロール)の導入等点検の効率化
第1章 総論
第2章 点検
重点点検箇所の抽出
初回点検等の際に、地形等により変状が起こり
やすい箇所、一定区間のうち最も変状が進展し
ている箇所を抽出
第3章 巡視(パトロール)・
異常時点検
築後50年未満
の施設
異常時点検
地震、津波、高潮等の
発生後に実施
築後50年以上
の施設
7%
30%
第4章 定期点検
第5章 評価
定期点検
巡視(パトロール)
第6章 長寿命化計画の立案
第7章 対策工法等
*目次の赤字は前回マニュアルからの主な変更箇所
60%
巡視(パトロール)を行うことにより、定
期点検の頻度を「1回/3年程度」から
「1回/5年程度」に変更
数回/年の頻度で実施し、防護機
能に影響を及ぼすような大きな変
状等を把握
37%
2030年
2010年 33%
33%
H24農林水産省、国土交通省調べ
築年数不明
長寿命化計画の策定方法の具体化
○予防保全型の考え方に基づき、適切な維持管理による施設の長寿命化を目指すための計画であり、点検に関する計画、修繕等に関する計画を含むものであることを明確化。
○計画策定単位の考え方、劣化予測を用いた修繕等の実施時期の検討方法、各年の修繕等に要する費用の平準化、ライフサイクルコストの縮減の考え方等を明示。
【劣化予測を用いた修繕時の実施時期の検討例】
経過年数 ※
0
b
c
d
c
b
スパン
(スパンごと)
健全度評価(一定区間ごと)
C
B
D
D
C
D
長寿命化計画(地区海岸ごと)
C
一定区間における変状ランクの代表値
変状ランク
変状ランク
c
d
10
20
30
t
40
50
60
70
80
90
100
【ライフサイクルコストの縮減イメージ】
【各年の修繕等に要する費用の平準化イメージ】
予防保全型維持管理を行い、点検・修繕毎に要する費用を合計した場合
設計供用期間毎に更新を行い単純に合計した場合
平準化後
点検費
修繕費
点検費
修繕費
一定区間 No.1
前倒し
5年 10年 15年 20年 25年 30年 35年 40年 45年 50年 55年 60年
点検費
修繕費
一定区間 No.2
急激に変状が進展する可能性
を考慮し、幅を持たせて評価
・・・
5年 10年 15年 20年 25年 30年 35年 40年 45年 50年 55年 60年
c
一定区間 No.○
前倒し
点検費
修繕費
合計
設計供用
期間
設計供用
期間
設計供用
期間
設計供用
期間
コストの縮減
5年 10年 15年 20年 25年 30年 35年 40年 45年 50年 55年 60年
合計
b
設計供用
期間
前倒し
費 用
【計画策定単位】
平準化
更新
a
この期間に予防保全
(修繕等)を行うことを検討。
※経過年数は、新設時
または修繕等の実施時点か
らの経過年数となる。
5年
10年
15年
20年
25年
30年
35年
40年
45年
50年
55年
60年
修繕
時 間
16
海岸保全施設維持管理マニュアル改訂のポイント
【機密性2】
【改訂の概要】
○全国の堤防・護岸等のうち、築後50年以上経過した施設や築後年数が不明な施設が2010年では 約4割であるが、2030年には約7割に達すると
見込まれ、老朽化した施設が急増しているほか、建設年度や施設諸元、老朽化の状況等、維持管理に必要な情報が不明な施設も多く存在している。
○また、国や地方における施設に関する予算や人員の削減が進む中で、維持管理に係る体制づくりが困難な場合が見受けられるとともに、海岸管理
者間のばらつきも存在している。
○一方、堤防、護岸等の延長は約8500km(岩手県、宮城県、福島県を除く)と膨大である。
○以上の課題等を踏まえ、海岸管理者による海岸保全施設の適切な維持管理を推進するため、事前調査による重点点検箇所の抽出、巡視(パトロー
ル)の導入等点検の効率化、長寿命化計画の策定方法の具体化等に係る検討を行い、海岸保全施設維持管理マニュアルの改訂を行った。
1-1.本マニュアルの目的
1-2.適用の範囲
1-3.用語の定義
1-1.本マニュアルの目的
1-2.適用の範囲
1-3.用語の定義
第2章 点検
第2章 海岸保全施設の点検
改
訂
前
(
平
成
20
年
2
月
)
2-1.点検の種類と目的
2-2.点検位置
2-3.点検結果の記録
第3章 一次点検
3-1.一次点検の項目
3-2.二次点検実施箇所の抽出
第4章 二次点検
4-1.二次点検の項目
第5章 健全度評価
第6章 維持管理計画の立案
6-1.維持管理計画立案の考え方
6-2.ライフサイクルコストの算出
第7章 対策工法
*赤字:前回マニュアルからの変更
第1章 総論
第1章 総論
改
訂
版
(平
成
26
年
3
月
)
【改訂のポイント】
(1)重点点検箇所の抽出
(2)防護機能の確保のために重要な点検の視点の明確化
(3)引継ぎ等を考慮した点検結果等の記録、保存
2-1.点検の種類と目的
2-2.点検位置
2-3.点検結果の記録・データベースの整備
第3章 巡視(パトロール)・異常時点検
3-1.巡視(パトロール)における確認項目
3-2.巡視(パトロール)において変状を確認した場合の対応
3-3.異常時点検
第4章 定期点検
4-1.定期点検の種類
4-2.一次点検の項目
4-3.二次点検実施箇所の抽出
4-4.二次点検の項目
第5章 評価
第6章 長寿命化計画の立案
6-1.長寿命化計画の概要
6-2.長寿命化計画の立案の考え方
6-3.海岸保全施設の防護機能の低下について
6-4.点検に関する計画
6-5.修繕等に関する計画
6-6.ライフサイクルコストの考え方
第7章 対策工法等
7-1.対策工法
7-2.応急措置等
【改訂のポイント】
(4) 「巡視(パトロール)」 と「定期点検」を組み合わせた効率的・ 効
果的な点検システムの構築
【改訂のポイント】
(5)予防保全の実施に対応した「健全度評価」の基準の見直し
【改訂のポイント】
(6) 「長寿命化計画」の定義づけ
(7) 「長寿命化計画」の 策定単位を明確化
(8)修繕等の実施時期の検討方法
(9)ライフサイクルコストの縮減及び各年の点検・修繕等に要する
費用の平準化
【改訂のポイント】
(10)利用者等の安全に配慮した対策として「応急措置等」を追加
17
海岸保全施設の点検
【機密性2】
※図の丸で囲んだ箇所に、「一定区間のうち、最も変状が進んでいるスパン」「背後地の状況等から、
特に重要であると考えられる箇所」等を加えたものが「重点点検箇所」
○○海岸 ○○地区海岸
一定区間 No.1
一定区間 No.2
波あたりが激しく波浪
による洗掘のおそれ
が懸念される箇所
一定区間 No.3
排水路等があり、堤防
・護岸等の堤体が吸出
しを受けやすい箇所
施設法線が変化し、
波浪が収斂する箇所
重点点検箇所のイメージ
【天端高】
天端高が不足した場合、
波浪等が堤内に侵入し、
背後地が浸水する。
【空洞化】
堤体の空洞化が進行した
場合、破堤し、背後地が浸
水するおそれがある。
※砂浜の侵食
前面に砂浜がある場合、
砂浜の侵食が進むと、吸
い出しによる空洞が生じる
おそれがある。
※差筋の腐食
波返工に差筋があり、差筋の
腐食が進んだ場合、波力によ
り損傷するおそれがある。
海岸保全施設の点検位置
18
変状の進展
【機密性2】
海岸保全施設の防護機能の確保に重要な視点は、住民等の人命の損失・重要資産の損失
を防ぐため、堤防・護岸等の「天端高の確保」、「空洞の発生の防止」である。「天端の沈下」
や「空洞化」を防ぐためには、変状連鎖の観点を踏まえたコンクリートのひび割れや砂浜の
侵食等をとらえることが重要である。
箇所についても実施するものとする。
【変状の進展の具体例】
Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ
コンクリートのひび割れ、砂浜の侵食等
Ⅲ 堤体内部
の空洞化
Ⅳ 天端や堤体の
一部が沈下
Ⅴ 堤体の破損
(機能喪失)
裏法被覆工の破壊、天端の沈下
堤体の倒壊
堤防の変状の進展
堤防前面地盤の洗堀
表法被覆工のひび割れ
堤体の陥没
天端被覆工(水叩き工)の陥没・空洞化
護岸の変状の進展
天端のずれと沈下
基礎部・根固工のずれ
表法被覆工のひび割れ
護岸の倒壊
天端被覆工(水叩き工)の沈下
19
海岸保全施設の健全度評価
【機密性2】
START
天端高が不足
天端高
の確認
天端高が満足
a
・ ・
材・
コ 空嵩 『
の ン 洞上 要
修クの げ事
後
繕リ修
ー
保
ト繕
全
部
防護機能に影響を及ぼす変状あり
・幅5mm以上のひび割れ
・前面洗堀
・背後の水叩き工に水たまり等が
生じている(空洞化の兆候) 等
コンクリート部材の大きな変状、
砂浜の侵食等
』
防護機能に影響を
及ぼす変状なし
変状なし
A
海設(
対
面計策
上津を
昇波講
等の じ
も見る
考直際
慮し の
し、
地留
、
検球意
討温事
暖項
化)
に
よ
る
a
定期点検
(一次点検、二次点検)
空洞の確認
変状あり
評価
d
b
c
『
問
題
な
し
』
D
C
a
b
c
d
・・・変状ランク
A
B
C
D
・・・健全度評価
健全度
『
要
監
視
』
『
の・
コ 要
修ン 予
ク
繕
リ防
ー保
ト全
部』
材*2
空洞
なし
B
*1
空洞あり
・
・
コ 空『
ン 洞要
クの 事
リ修後
ー繕 保
ト
全
部
』
材
*2
の
修
繕
A
*1:施設の状況等により、空洞の有無を判断できる場合には、必
ずしも空洞調査を実施する必要はない。
*2:修繕等の対策を講じる場合、その規模・範囲を把握するため
の点検が必要となることがある。
変状の程度
Aラン
ク
要事後
保全
施設に大きな変状が発生し、そのままでは天端高や安全性が確保
されないなど、施設の防護機能に対して直接的に影響が出るほど、
施設を構成する部位・部材の性能低下が生じており、改良等の実施
に関し適切に検討を行う必要がある。
Bラ
ンク
要予防
保全
沈下やひび割れが生じているなど、施設の防護機能に対する影響
につながる程度の変状が発生し、施設を構成する部位・部材の性能
低下が生じており、修繕等の実施に関し適切に検討を行う必要があ
る。
Cラ
ンク
要監視
施設の防護機能に影響を及ぼすほどの変状は生じていないが、変
状が進展する可能性があるため、監視が必要である。
Dラ
ンク
問題な
し
変状が発生しておらず、施設の防護機能は当面低下しない。
20
予防保全型の維持管理への転換
【機密性2】
予防保全型の維持管理を導入することにより、「防護機能を確保できること」、「大規模な対策等を実施する
必要が少なくなること」、「長期的にみるとライフサイクルコストが少なく済むこと」が効果として見込まれる。
予防保全型維持管理
防護機能
修繕
修繕
当初の防護機能
対策コスト大
維持すべき防護機能
被災リスク大
経過年数
予防保全型の維持管理をせず、維持すべき
防護機能を下回る状態となった場合、被災リ
スクが増大するとともに対策コストも増大する
21
点検結果と長寿命化計画の策定の考え方
天端被覆破損
【機密性2】
点検費
波返工破損
修繕費
c
b
d
c
d
c
b
変状ランク
合計
※スパンは構造目
地により区切られた
区間を基本とする。
スパン(10m程度)
施設の一定区間
代表箇所:最も変状が進
展している箇所を選定
5年
10年
15年
20年
25年
経過年数 ※
一定区間における変状ランクの代表値
0
d
10
20
30 t 40
50
60
70
80
90
30年
35年
40年
45年
50年
55年
60年
40年
45年
50年
55年
60年
平準化
100
急激に変状が進展する可能性
を考慮し、幅を持たせて評価
点検費
修繕費
合計
c
b
a
この期間に予防保全
(修繕等)を行うことを検討。
経過年数t年で変状ランクがbの場合の劣化予測線
5年
10年
15年
20年
25年
30年
35年
長寿命化計画における費用の平準化イメージ
22
海岸保全施設の長寿命化計画
【機密性2】
T海岸保全施設の長寿命化計画
T長寿命化計画の基本となる考え方
・ライフサイクルの延長(機能の確保)
・大規模な対策等(更新)の回避等によるライフサイクルコストの縮減
T点検に関する計画
・海岸保全施設の構造、維持・修繕の状況、周辺の状況、気象・海象等を勘案
して、適切な時期に巡視・点検を実施する計画を作成する。
健全度評価・将来予測
・点検結果を踏まえ、施設全体としての変状状態や機能の低下を把握するた
めの健全度評価を行うとともに、海岸侵食の状況等を視野に入れ将来の機能
低下予測を実施する。
修繕に関する計画
・予防保全の考えに基づいた最適な修繕時期、方法を立案し、背後地の重要
度等を勘案したうえで、優先順位を検討し費用の平準化を考慮した修繕計画
を作成する。
23
海岸保全施設の被災事例
な ば
り
1.高知県 奈半利港海岸における被災事例
【機密性2】
地形等により劣化・被災しやすい箇所の事例
○高知県奈半利港海岸においては、平成15年の台風10号により、海岸堤防が被災を受けた。
○この施設は設置から20年経過しており、比較的老朽化が進んでいたと想定される。
○被災を受けた箇所の平面的な位置を確認したところ、屈折回折などにより来襲する波浪が集中(収れん)する
箇所(離岸堤の切れ目)において、被災が起きたことが確認できた。
○また、隣接する区間においては、特に大きな被災がなかったことから、屈折回折などにより来襲する波浪が集
中(収れん)する箇所においては、大きな外力がきたときに被災しやすいと想定される。
隣接する区間の状況(被災無し)
斜路の被災
被災区間の状況
根固ブロックが飛散
24
海岸保全施設の被災事例
【機密性2】
2.福島県 中之作港海岸における被災事例
地形等により劣化・被災しやすい箇所の事例
○福島県いわき市中之作海岸においては、平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴う津波によ
り、海岸堤防が被災を受けた。
○被災を受けた箇所の平面的な位置を確認したところ、被災を受けた箇所は、海岸堤防の端部で施設法線
が変化し、波浪が収れんしそうな箇所であった。
(参考)被災無し
被災写真
海岸堤防の端部で波浪が収れんし被災した
海岸堤防の端部で施設法線
が変化し波浪が収れんしそう
な場所
25
海岸保全施設の被災事例
【機密性2】
しもにいかわ
3.富山県 下新川海岸における被災事例
地形等により劣化・被災しやすい箇所の事例
○平成20年2月24日、低気圧による激しい高波により、富山県黒部市、入善町及び朝日町の下新川海岸におい
て海岸堤防が倒壊するとともに、越波等による人家の損壊や浸水被害等が発生。
○観測された最大有義波高及び有義波周期は、下新川海岸の計画波浪を超過。
○富山県入善町吉原地先付近では、今から100年前の海岸線は現在の位置より150m程度沖側にあったと推測
されるが、海岸侵食の進行により砂浜は急激に減少し、現在では砂浜がまったく存在しない箇所が殆ど。
○前浜が無い状況の下で高波が来襲したため、海岸堤防の消波・根固ブロックが急激な洗掘により沈下・流出・散
乱。その後も、高波が継続的に来襲し、海岸堤防ののり先が激しく洗掘され、堤体内の土砂が吸い出され、空洞
化が急激に進行、海岸堤防の一部が倒壊した。
 直立堤の空洞化・倒壊メカニズム
 砂浜の消失(入善町下飯野地先)
 倒壊した海岸堤防の被災状況
(入善町下飯野地先)
海岸堤防
海岸堤防
昭和36年
平成15年
 堤防前面に砂浜又は、離岸堤等の消波施設があるという前提で設計・施工さ
れた堤防等は、波浪が直接堤防に来襲することを想定しておらず、放置してお
くと倒壊のおそれあり。
 背後に人家が迫っているような箇所では、堤防の倒壊が人命に直結する。
 そのような箇所では、定期的かつ高波来襲後に、巡視、点検を行い、施設機能
①高波の襲来
②空洞化した直立堤
26
海岸保全施設の被災事例
なばえ
4.高知県 菜生海岸における被災事例
【機密性2】
地形等により劣化・被災しやすい箇所の事例
○平成16年10月20日、台風23号による高波により、高知県室戸市の菜生海岸において海岸堤防が30mにわ
たって倒壊した。越波等により背後の家屋13戸が被災し、3名が亡くなる被害が発生。
○観測された波高は、既往最高値を大きく上回り全国のナウファス観測史上既往最大観測有義波であった。
○強大な波圧がパラペットに作用し、打継ぎ目に配置された鉄筋が伸び、コンクリートにコーン状のひび割れが発
生。波圧によりパラペットが滑動し、天端水叩きを押し出し、パラペットが民家前面まで飛散したと推測される。
 背後に人家が迫っている堤防の破堤、超過外力によ
る越波が生じると人命の損失に直結する。
 そのような箇所は、重点監視対象とする必要がある。
 設計超過の高波来襲が予想される場合には、自治体
に避難指示・勧告をだしてもらうよう措置しておくことが
重要。
 リスクが高いことについて事前に自治体・背後地住民
と情報共有しておくことも重要。
27
海岸保全施設の被災事例
【機密性2】
あなない
5.高知県 穴内漁港海岸における被災事例
地形等により劣化・被災しやすい箇所の事例
○高知県安芸市の穴内漁港海岸においては、平成23年の台風6号により、海岸堤防が被災を受けた。
○この施設は設置から30年程度経過しており、比較的老朽化が進んでいたと想定される。
○被災を受けた箇所の平面的な位置を確認したところ、局所的な越波が確認されている箇所において、被災が
起きたことが確認できた。
○また、隣接する区間においては、特に大きな被災がなかったことから、局所的な越波が確認されている箇所に
おいては、大きな外力がきたときに被災しやすいと想定される。
穴内漁港海岸
波あたりが激しく波浪による洗掘の
恐れがある場所
施設法線が変化し波浪が収斂しそうな場所
で海岸堤防が倒壊した。
28
海岸保全施設の被災事例
【機密性2】
29
海岸保全施設の被災事例
【機密性2】
30
海岸保全施設の被災事例
【機密性2】
31
海岸保全施設の被災事例
【機密性2】
D-D
GH=9.559
FH=
H26.8
D-①
ビニールハウス
ビニールハウス
D-③
1.6m
2.7m
D-②
TP=0.000
砂
三連ブロック
三連ブロック
砂
全景
損傷箇所
約60.0m
32
海岸保全施設の被災事例
【機密性2】
B-B
GH=9.600
FH=
H26.8
全景
As
約20m
4.1m
B-②
B-①
三連ブロック
三連ブロック
B-①
砂
B-①
B-②
B-B
4.1m
ブロック沈下
33
海岸保全施設の被災事例
【機密性2】
■被災箇所の航空写真において、近年被災箇所周辺の砂浜幅が減少していることが確認できる。
平成26年台風11号は、被災箇所前面の砂浜が侵食している状態で来襲した。
被災箇所(H26.1.15撮影、台風11号来襲前)
人工リーフ(H16設置)
⑤堤防被災箇所
L=200m
②50号離岸堤
③51号離岸堤
④52号離岸堤
沈下箇所 L=100m
沈下箇所
L=100m
沈下箇所 L=152m
砂浜侵食前の被災箇所の状況(H17.3.8撮影)
34
海岸保全施設の被災事例
(被災前)
【機密性2】
(被災後)
35
海岸保全施設の被災事例
【機密性2】
36
海岸保全施設の修繕事例
【機密性2】
37
海岸保全施設の修繕事例
【機密性2】
38
海岸保全施設の修繕事例
着工前
着工前
【機密性2】
完成
完成
39
海岸保全施設の修繕事例
【機密性2】
(修繕前)
(修繕後)
500
200
T.P +3.500
1000
200
標準横断図
2000
H.H.W.L +1.375
根固め工
1.
0
差筋 D16
T.P +1.000
3000
H.W.L +0.675
1:
.5
1:1
M.S.L +0.235
スリップバー φ19 L=600mm
T.P ±0.000
40
1:0.
3
1000
L.W.L -0.216
止水板
W=200 t=5
L =40 0
海岸保全施設の修繕事例
【機密性2】
41
講義内容②
【機密性2】
・水門・陸閘等の運用計画について
津波・高潮対策における水門・陸閘
等管理システムガイドライン
42
【機密性2】
【機密性2】
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
海岸法(操作規則)、H26委員会における検討、ガイドライン見直しの関係
海岸法改正
海岸法(抄)
(操作規則)
第14条の2 海岸管理者は、その管理
する海岸保全施設のうち、操作施設
(中略)については、主務省令で定め
るところにより、操作規則を定めなけ
ればならない。
2 前項の操作規則は、津波、高潮等
の発生時における操作施設の操作に
従事する者の安全の確保が図られる
ように配慮されたものでなければなら
ない。
3~4 略
海岸法施行規則(抄)
(操作規則)
第5条の6 法第14条の2第1項の操作規
則には、次の各号に掲げる事項を定め
なければならない。
1 操作施設の操作の基準に関する事
項
2 操作施設の操作の方法に関する事
項
3 操作施設の操作の訓練に関する事
項
4 操作施設の操作に従事する者の安
全の確保に関する事項
5 操作施設及び操作施設を操作するた
め必要な機械、器具等の点検その他
の維持に関する事項
6 操作施設の操作の際にとるべき措置
に関する事項
7 その他操作施設の操作に関し必要
な事項
H26委員会
中
間
と
り
ま
と
め
(
平
成
26
年
11
月
)
Ⅰ.はじめに
○統廃合、常時閉鎖、自動化・遠隔操作化
により操作施設を減らす不断の取り組みを
基本とし、安全かつ確実な操作・退避活動
を推進。
Ⅱ.操作・退避ルール策定前に検討すべ
き事項
○操作施設の数を絞り込んだ上で、現場操
作員を介した操作体制を検討。
Ⅲ.操作委託契約等に基づく操作・退避
ルールの実効性確保
○管理者直営で対応できない施設(群) に
ついて契約等に基づく操作体制を確立。
Ⅳ.操作・退避ルール
○現場操作員の安全を最優先。退避しなけ
ればならない時刻が来たら、閉鎖が完了し
ていなくとも退避すべきであることを明確化。
Ⅴ.操作・退避ルールの実効性確保のた
めの平時の取り組み
○平時の点検や訓練の実施により、改善点
を発見。
○社会情勢の変化も踏まえ、施設の改善を
含め操作・退避ルールを継続的に改善。
ガイドライン見直し(V2.0→3.0)
はじめに
第1章
総則
第2章
設計・改善手順
第3章
現状把握・評価
第4章
総合的検討
第5章
設備設計
第6章
体制・運用
第1節 操作規則
1.1 操作規則の整備
1.2 操作・退避ルールの検討
1.3 管理又は操作の委託
1.4 操作・退避ルールの実効
性確保のための平時の
取り組み
第2節 体制表
第3節 運用マニュアル
第7章
高潮時の水門・陸閘等の操作手順等につ
いて(第4回委員会資料)
○操作手順の基本的な考え方、留意点
【機密性2】
点検・整備
高潮時の対応等に関する記載の充実
44
操作・退避ルールの概念図(地震・津波)
【機密性2】
地震発生
退避時刻
準備時間
①②③
操 安情出
作 全報動
者 確収準
保集備
の気
情象
報庁
等
操
情作
報者
入自
手ら
の
・津 予 ・津
波想波
高時到
さ刻達
出
操
作
動
(避難誘導など
その他の活動を含む)
指
示
予測情報の更新
結
( 果
報
告確
) 認
操
情作
報者
入自
手ら
の
報 た 更 ・出
の予新動
活測さ 後
用情れ に
安全時間
(予め設定)
退避段階
出動・操作段階
(
退
を避
前時
提刻
)の
認
識
時象 (
操
刻施 作
の設開
明)
、 始
示退 (
) 避対
退避時間
(予め設定)
操作時間
(その他の活動時間含む)
出動時間
初動段階
管
理
者
津波到達
し(
た自
場ら
合危
も険
退と
避判
)断
退避
前倒し
退
避
完
了
退
避
指
示
確実な
閉鎖操作
(退
避
)
予
測
の
前
倒
し
退避時刻の明示
予
測
の
後
ろ
倒
し
45
水門・陸閘等運用総合検討
【機密性2】
検討スタート
現状把握・評価(第3章)
現場操作員の安全確保の観点
から統廃合・常時閉鎖等を検討
災害の特性(想定津波到達時間等)と、水門・陸閘等の閉鎖に要する時間およ
び現場操作員の避難時間とを比較し、
○限られた時間内で水門・陸閘等を閉鎖することが可能か
○現場操作員の安全は確保されているか
を評価する。
統廃合可能か(第1節)
可能
統廃合
必要に応じ、代替機能の確保(スロープ、
階段の整備等)を実施
不可能
総
合
的
検
討
(
第
4
章
)
下記の観点を考慮し、統廃合の可否を検討する。なお、代替機能の確保により
統廃合可能かどうかについても検討する。
○利用状況、交通への影響
○背後地の人口・資産、重要な施設(避難所等)を勘案した閉鎖効果
○近辺の陸閘等の存在 等
常時閉鎖可能か(第1節)
不可能
可能
常時閉鎖
下記の観点を考慮し、常時閉鎖の可否を検討する。な
お、日中のみ現場操作員が確保できる場合は夜間のみ
常時閉鎖を行う等の対策についても検討する。
○利用状況、交通への影響
○背後地の人口・資産、重要な施設(避難所等)を勘案
した閉鎖効果
○施設の規模 等
体制・設備の改善検討(第2,3節)
必要に応じ、時間帯別の常時閉
鎖や、代替機能の確保(スロープ、
階段の整備等)を実施。
また、常時閉鎖をしている旨の
掲示等を行う。
特に、水産市場等の利用を前提
とした陸閘等については、利用者
が開け閉めを行うルール作りをす
ることが望ましい。
体制の改善 (システムレベル1~4)
(現場操作員を介した操作)
水門・陸閘等の数や設備の状況、場所、周辺環境等を踏まえ、
以下の条件を満たす運用体制を整備可能か検討する。
○管理者や現場操作員の総人員が十分確保可能である
○各水門・陸閘等の設置状況に配慮した人員配置である
○指示・連絡系統や役割が明確である
閉鎖に要する時間、管理者・現場操作員への作業負荷、現場操作員の安全性等を
踏まえ設備改善を検討する。
なお、改善案の検討に当たっては、下記の観点を十分勘案すること
○整備規模
○整備費用
○閉鎖に要する時間
○管理者・現場操作員にかかる負担
○現場操作員の安全性
設備の改善 (システムレベル5~6)
(自動化・遠隔操作化等)
水門・陸閘等運用総合検討フロー
46
~津波・高潮対策における水門・陸閘等管理システムガイドライン(Ver.3.0)~
常時閉鎖・部分閉鎖の事例
【機密性2】
常時閉鎖の例(徳島県)
部分閉鎖の例(石川県)
47
フラップゲートの事例
【機密性2】
フラップゲート化の例(静岡県)
浮体式フラップゲート
48
水門・陸閘等の自動化・遠隔操作化
自動化前
【機密性2】
自動化後
陸閘の自動化の例(愛知県)
監視操作卓
水門の自動化・ 遠隔操作化の例(静岡県)
49
講義内容③
【機密性2】
・その他
海岸協力団体
座礁船対策
漂着ゴミ
50
海岸協力団体の創設
【機密性2】
✓海岸協力団体とは
海岸において活動する民間の法人・団体を海岸協力団体とし
て指定することにより、活動の支援を行うものです。
海岸協力団体の指定により、海岸管理のパートナーとして地
域に根ざした民間による活動が促進され、地域の実情に応じ
た多岐にわたる海岸管理の充実につながることを期待してい
ます。
海岸管理者(都道府県等)
指定
申請
法人または団体(NPO等)
自発的活動
海岸協力団体の活動のイメージ
海岸植生の保護
海岸環境の維持
(清掃活動)
環境教育活動
希少種保護
(ウミガメ卵の保護)
調査研究
51
座礁等した船舶の撤去
【機密性2】
現状と課題
○ 海岸保全区域内の海域において座礁した船舶が放置される事案が発生。
〇 現行法では、このような座礁船舶を強制的に撤去させることができない。
⇒ 海岸保全施設の損傷等を防止するため、沈没・座礁した船舶を撤去させる仕組みが必要。
改正内容
■ 海岸管理者は、海岸保全区域内で沈没・座礁した船舶が海岸保全施設を損傷し、海岸の保全に支障を及ぼすおそ
れがある場合等に、船舶所有者に対し、当該船舶の撤去等を命令(命令に従わない場合は行政代執行が可能)
座礁船舶の迅速な撤去を可能とすることにより、海岸保全施設の損傷や災害時の被害拡大を防止
<青森県深浦町における船舶の座礁事例>
河北新報
平成25年12月16日
○ 平成25年3月1日、 カンボジア船籍貨物船が青森県深浦町の海
岸(水管理・国土保全局所管)で座礁。
○ 青森県及び深浦町は再三にわたり船主に対して船体撤去を要請。
また、海上保安庁も船主及び船舶管理会社に対して撤去の働きか
けを行い、さらに外務省が外交ルートで中国当局に対し協力を要請し
てきたにも関わらず、未だ撤去に至っていない状況。
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座礁船舶の撤去(現行制度)
【機密性2】
公共海岸
国有地等
民有地等
海岸保全区域
現行法では撤去不可
現行法で撤去可能
原則50m
原則50m
一般公共海岸区域
海側
現行法で撤去可能
水面
低潮線
土地
干潮時(春分) 満潮時(春分)
の水際線
の水際線
陸側
高潮線
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放置座礁船の撤去等に対する補助
【機密性2】
○海域浄化対策事業
社会資本整備総合交付金
防災・安全交付金
1.目 的
海域浄化対策事業は、放置座礁船の処理、海域において異常に堆積しているヘドロ等の除去等を行い、
もって、海岸保全施設の機能の確保、海岸環境の保全と公衆の海岸の適正な利用を図ることを目的とする。
2.内 容
○交付対象
地方公共団体(海岸管理者)
○交付対象事業の要件
次の各号のいずれかの要件に該当するものとする。
① 海岸保全施設の機能の確保を図るために実施する
放置座礁船の撤去等。
ただし、総事業費が5千万円以上のものに限る。
ヘドロの堆積等による汚染状況
ヘドロ等が堆積し海域が汚染
ヘドロ除去等による海域浄化実施事例
② 海域において異常に堆積しているヘドロ等の除去等。
ただし、総事業費が1億円以上のものに限る。
○国費率
放置座礁船の撤去等については1/3
ヘドロ堆積箇所を浚渫
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漂着ゴミ対策について
【機密性2】
・災害関連緊急大規模漂着流木等処理対策事業
○ 目 的 :洪水、台風等により海岸に漂着した流木及びゴミ等並びに外国から海岸に漂着したものと思
われる流木及びゴミ等が異常に堆積し、これを放置することにより、海岸保全施設の機能を阻害す
ることとなる場合に、緊急的に流木等の処理を実施
○ 補 助 率 :1/2
D海 D海
岸 岸
B海
岸
B海
岸
C海 C海
岸 岸
1, 対象1, 対象
00 範
0
0m 0囲
0m 範囲
3
以 3以
上
上
岸
A海
○事業実施主体:
海岸管理者(都道府県、市町村)
(複数の海岸に堆積した漂着ゴミの処理)
拡充後
岸
本事業の対象となる流木及びゴミ等の
漂着範囲が複数の海岸であり、関係者
が協働して一体的・効率的に処理する場
合には、事業主体数にかかわらず漂着
量の合計が1,000m3以上であれば、補
助対象となる。
拡充後
A海
○採択基準:
堤防、突堤、護岸、胸壁、離岸堤等の海
岸保全施設の区域及びこれら施設から1
キロメートル以内の区域に漂着し、その
漂着量が1,000m3以上
※関係者が協働して一
体的・効率的に処理
※関係者が協働して一
体的・効率的に処理
複数の海岸を対象範囲とし、漂着量の
合計が1,000m3以上の漂着ゴミを対象
海岸漂着ゴミや流木等の状況と
処理状況
○災害関連事業として実施
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