インフラのストック効果について 国土交通省総合政策局公共事業企画調整課 藤 井 政 人 事業総括調整官 【機密性2】 インフラのストック効果 国土交通省 総合政策局 事業総括調整官 藤井政人 Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism インフラのストック効果とは 古事記と日本書紀 【機密性2】 インフラが本格的に整備され、ストック効果を生み出し始めたのは? 古事記 仁徳天皇 此天皇之御世、・・・・又伇秦人、作茨田堤及茨田三宅、又作丸邇池・依網池、 又掘難波之堀江而通海、又掘小椅江、又定墨江之津。 日本書紀 仁徳天皇 冬十月、掘宮北之郊原、引南水以入西海、因以號其水曰堀江。又將防北 河之澇、以築茨田堤、是時、有兩處之築而乃壤之難塞、時天皇夢、有神 誨之曰「武藏人强頸・河內人茨田連衫子、此云莒呂母能古二人、以祭於 河伯、必獲塞。」則覓二人而得之、因以、禱于河神。爰强頸、泣悲之沒水 而死、乃其堤成焉。 唯衫子、取全匏兩箇、臨于難塞水、乃取兩箇匏、投於水中、請之曰「河神、 崇之以吾爲幣。是以、今吾來也。必欲得我者、沈是匏而不令泛。則吾知 眞神、親入水中。若不得沈匏者、自知偽神。何徒亡吾身。」於是、飄風忽 起、引匏沒水、匏轉浪上而不沈、則潝々汎以遠流。是以衫子、雖不死而 其堤且成也。是、因衫子之幹、其身非亡耳。故時人、號其兩處曰强頸斷 間・衫子斷間也。是歲、新羅人朝貢、則勞於是役。 衫子の断間 堤根神社 强頸の断間 浪速の堀江 墨江之津 出典:地形からみた歴史 古代景観を復原する(講談社 学術文庫) インフラのストック効果とは 利根川の東遷と荒川の西遷 【機密性2】 利根川 江戸時代の利根川・荒川 現在の利根川・荒川 効果:武蔵国の石高: 67万石→117万石(+50万石(紀州藩の石高に相当) 津軽藩→江戸の廻船56日(うち36日が天候待ち)→銚子での天候待ちの解消 上流の木材を江戸への運搬路 インフラの効果 【機密性2】 インフラの効果 ○フロー効果:機動的な財政支出(景気を支える乗数効果) 公共投資である必要はない(減税、対人給付(生活保護等)、消費財購入) ※公共投資以外の場合はストック効果は存在しない ○ストック効果:インフラが社会資本として蓄積されることで発揮される効果 インフラ整備による効果 ・乗数効果分析 ・生産誘発効果分析 ・就業誘発効果分析 ・費用便益分析 資料)内閣府「日本の社会資本2012」 インフラのストック効果 生産性の向上(生産力効果) 民間企業の生産性を向上させる効果 輸送時間の短縮→1日2往復が3往復(名古屋港・名古屋環状2号線) 貨物取扱量の増加→仙台港・・・・ 生産基盤型インフラ(道路、港湾、工業用水・・・・) 生活の質の向上(対人サービス効果) 直接住民に便益を与える効果 生活環境の改善 教育インフラ等は、能力向上(人的資本形成)等の効果も 生活基盤型インフラ(公園、上下水道、文教施設、生活道路・・・・) 安全・安心効果(国土保全効果) 災害発生時にその影響を最小限に迎える効果 災害が発生しない限りその直接的な効果は発現しない →事前にその効果の測定が難しい 安全性が増した土地には、企業、住宅などが立地(生産力効果) 国土保全基盤型インフラ(河川・ダム、砂防、海岸・・・・) 【機密性2】 社会資本整備(公共投資)におけるフロー効果 【機密性2】 フロー効果(需要創出効果)について フロー効果とは、公共投資により、生産、雇用及び所得等の経 済活動が派生的に創出され、経済全体が拡大する効果(短期的効 果)のことである。 ①乗数効果(消費の連鎖効果) 公共投資により最終需要が1単位増加した場合に誘発される GDPの増加量を示す。 ②生産誘発効果(生産の連鎖効果) 公共投資により最終需要が1単位増加した場合に誘発される 各産業の生産の増加量を示す。 7 2.乗数効果と生産誘発効果の違い 乗数効果 消費10 =所得10 需要 100 (投資) ①1.11 ②1.17 ③1.22 【機密性2】 消費1=所得1 = 所得 100 消費性向0.1 消費性向0.1 貯蓄90 100 + 10 + 消費0.1 貯蓄9 1 +0.1 貯蓄0.9 .... = 111.1111 投資額(100)と比較 生産誘発効果 資材 70 需要100 ①1.11 ②2.22 ③3.33 木材 35 セメント 21 鋼材 17 ・・・ 乗数:1.11 資材 49 生産誘発額 100+70+49+...=333.333 投入量(100)と比較 付加価値・雇用 生産誘発係数:3.33 8 インフラ投資の乗数効果は減少しているのか? 【機密性2】 成長期の日本では、こうした効果(乗数効果)は小さくなっ ています。内閣府などの試算によると、公共投資の乗数効 果は1970年代には、1単位の公共投資の実行後、3年 目で4を上回っていましたが、90年代以降は実行3年目で 1をやや上回る水準です。 2015年4月10日付 日本経済新聞「やさしい経済学」 旧経済企画庁、内閣府の主なマクロ経済モデルにおける政府支出乗数 モデルの名称 パイロットモデル マスターモデル パイロットモデルSP-15 パイロットモデルSP-17 世界経済マクロモデル(第3次) 短期日本経済マクロ計量モデル 短期日本経済マクロ計量モデル 短期日本経済マクロ計量モデル 公表時期 1967 1970 1974 1976 1987 2008 2011 2015 1年目 2.17 2.02 2.27 1.85 1.16 1.00 1.07 1.14 2年目 4.27 4.14 4.77 3.34 1.56 1.10 1.14 1.02 3年目 5.01 4.51 4.42 1.65 0.94 1.02 0.97 出 典:内閣府経済社会総合研究所HP ※乗数は名目値のみ公表 モデルが同じとは限らない 【機密性2】 (1)70年代モデルとの比較 ○70年代前半以前のマクロ計量モデル(内閣府ヒアによると1976年以前のモデル)は、物 価上昇や金融面からの乗数抑制は全く生じないモデルであったため、大きな乗数となっ ている。 ・パイロットモデルSP-18(1977)までは、乗数効果を1/(1-限界消費性向)として計算。 →クラウディング・アウト効果を計測せず。 ・世界経済モデル(第2次版:1985)までは名目値。 →物価上昇による乗数効果が過大となっている可能性がある。 <内閣府による評価> 70 年代前半以前のマクロ計量モデルでは供給ブロックや金融ブロックの重要性は認識されておらず、物価上昇 や金融面からの乗数抑制は全く生じないモデル構築が行われていた。したがって、70 年代以前に考えられていた (またモデルで計測されていた) 乗数は今日的な意味で過大評価であった可能性が高く、そこからの低下は(事実 としての乗数の低下を意味するのではなく)我々の事実認識の変化を反映しているに過ぎないかもしれない。 出 典:内閣府経済社会総合研究所「経済分析第157号」「短期日本経済マクロ計量モデルの構造とマクロ経済政策の効果(1998)(堀、鈴木、萱園)」より抜粋 名目値とは、実際に市場で取り引きされている価格に基づいて推計された値。実質値とは、ある年 (参照年)からの物価の上昇・下落分を取り除いた値。 名目値では、インフレ・デフレによる物価変動の影響を受けるため、経済成長率を見るときは、これら 10 の要因を取り除いた実質値で見ることが多い。 内閣府HPより クラウディング・アウトとマンデル・フレミング効果 【機密性2】 ○ クラウディング・アウト(押し出し効果)とは 公共投資など、財政支出を行う場合、税収でまかなえない部分を公債発行でまかなう。 政府が公債で市中から資金を借り入れる需要が増大するので、借り手の資金供給に一定 の制約がある場合、利子率が増大する。 利子率が上昇すると、民間企業が設備投資をする場合の資金繰りが厳しくなる(銀行など からの借り入れ利子率が高くなる)ため、設備投資が減少する。 クラウディング・アウトの図式 財政支出増 公債発行増 利子率上昇 設備投資減 11 インフラ投資の乗数効果は低下してきたのか 【機密性2】 (1)70年代モデルとの比較 ○乗数の変化はモデルの影響が大きく、必ずしも現実の乗数低下に対応しない。 ○同一のモデルで80年代と90年代を比較すると乗数は概ね変化なしという結果が得 られた。 内閣府経済社会総合研究所(1998)によると、モデルの理論構造の変化が乗数に 与える影響を排除するため、 『80年代と90年代 について同一構造モデルでの乗数比較を行い、乗数は概ね変化 無しという結果が得られた』としている。 <内閣府による評価> 実証面では、まず我が国の景気対策に関する歴史的分析から、イ)70 年以降の対策エピソードにおいて、金利 や為替を通じた間接的クラウディング・アウトが働いて乗数を変化させた形跡はないこと、及びロ)過去の対策は 景気の下支え効果を発揮こそすれ、その後の成長の原動力となるような大きな呼び水効果を持ったとは考え難い 点が示された。また、乗数とマクロ計量モデルの関係を扱った分析では、ハ)モデル乗数の変化自体にはモデルの 枠組み (背景理論) が大きく影響しており、モデル乗数の低下は必ずしも現実の乗数低下と一対一ではないこと、 ニ)80 年代と90 年代について同一構造モデルの乗数比較を行い、乗数は概ね変化無しという結果が得られたこと、 等が示された。 出 典:内閣府経済社会総合研究所「経済分析第157号」「短期日本経済マクロ計量モデルの構造とマクロ経済政策の効果(1998)(堀、鈴木、萱園)」より抜粋 12 経済モデルとは短期分析を意図している 【機密性2】 ○公共投資の乗数効果は、内閣府(旧経済企画庁)の過去のモデル(世界経済モデル)に 比して、2年目、3年目の数値が低下しているが、1年目の数値は、過去から概ね変化し ていない。 ○ただし、 2年目以降の数値については、内閣府自身も、モデルの解説において、「短期」 分析を意図したモデルの性格上、「参考程度に解されるべきもの」であるとしている。 公共投資(注1) 減税(注2) 2015 モデル 2011 モデル 2008 モデル 1987 モデル 2015 モデル 2011 モデル 2008 モデル 1987 モデル 1年目 1.14 1.07 1.00 1.16 0.30 0.22 0.23 0.63 2年目 1.02 1.14 1.10 1.56 0.37 0.64 0.60 1.10 3年目 0.97 0.95 0.94 1.65 0.45 0.65 0.60 1.27 (注1)公共投資:実質公的固定資本形成を実質GDPの1%相当額だけ追加的に3年間毎年継続して行った場合の実質GDPの変化率(%) (注2)減 税:個人所得税を名目GDPの1%相当額だけ継続的に減税した場合の実質GDPの変化率(%) 出 典:内閣府経済研究所「短期日本経済マクロ計量モデル」、旧経済企画庁経済研究所「第3次世界経済モデル」 13 財政支出・減税は、全て同じフロー効果を持つのか? 【機密性2】 ○米国議会による政策効果分析の例 ・2009年以降実施された景気対策に基づく政策のインパクトを議会予算局が算出し、議会報 告している。経済モデルと過去の研究を用いて、財政支出や減税の種類により異なる経済 効果を算出 ・経済モデルの機械的シミュレーションを公表 インフラ投資向けの連邦補助等は、 【米国景気対策によるマクロ経済効果(フロー効果)の推定(2009~2013年)】 減税に比して高い経済効果を有す 乗数 る。(※) 項目 低推定 高推定 連邦直接支出(調達): エネルギー関係投資、新技術関係投資、官庁営繕基金等 0.5 2.5 インフラ投資向けの州・地方政府への移転・補助 (水道事業、住宅建設、高速道路整備、その他交通関連) 0.4 2.2 インフラ投資以外の移転費:福祉、教育 等 0.4 1.8 個人への給付 0.4 2.1 退職者の短期雇用 0.2 1.0 低中所得者向け減税(2年) 0.3 1.5 高所得者向け減税(1年) 0.1 0.6 住宅購入者への支払猶予期間延長 0.2 0.8 0 0.4 法人税減税 出典: Congressional Budget Office (2013) “Estimated impact of the American recovery and reinvestment act on employment and economic output from October 2012 through December 2012” (※)米国では制度上、連邦政府によるインフラへ の直接支出がないが、これがあれば、さらにイン フラ投資による経済効果は高くなると考えられる。 (参考)減税の種別による効果の違い ・所得税減税 減税による可処分所得の増加は購買力の 上昇をもたらすが、その効果は高所得者 向けよりも低所得者向けの方が高い。 ・法人税減税 「法人税の変更は、主に過去の投資に対 する税引後利益へ影響を与えるものであ ることから、新規投資からの収益につい て変更を加えるような政策よりも、一般的 には産出量へ与える影響は小さい」 14 【機密性2】 ○ポイント ・公共投資のフロー効果は、経済モデルなどによって計算され、理論上 も実証上も減税より高い効果 ・モデルには、様々な抽象化や技術上の限界点があり、現実の経済現 象を必ずしも正しく再現できているとは限らない。 ・現実の経済政策を検討する上では、モデル上の数値も参考としつつ、 資金市場などを含めた実際のマーケットを意識する必要。 ・クラウディング・アウト、マンデル・フレミング効果など、財政支出のフ ロー効果を減殺し得る効果はあるが、「流動性の罠」と呼ばれ名目金利 がゼロ近傍にある現状では、それらの減殺効果が発現するのか疑問 ・一方で、そもそもこうしたフロー効果の議論には、社会資本整備の本来 のストック効果が一切現れておらず、いつ、どこに、何をつくるかという 投資戦略が全くない。 ・公共投資の経済効果を、乗数などのフロー効果だけで議論するのは、 正しいものの見方とは言えない。 15 第3の矢「成長戦略」を支えるインフラストック効果 第一の矢 大胆な 金融政策 実質金利 下落 予想インフ レ率上昇 第二の矢 資産価格 上昇 為替レート 減価 (円安化) 輸出増加 政府支出増加 第三の矢 経済成長を支える インフラ投資戦略 厳しい財政制約の下、経済再生 と財政健全化を両立させるため、 既存ストック活用、投資 最適化で生産性最大化 • • • 長期停滞する経済 投資増加 機動的な 財政政策 民間投資を喚起 する成長戦略 (規制改革、イ ノベーション) 消費増加 【機密性2】 民間投資誘発事業の重視 PPP/PFIを含めた民間参 入の促進、多機能化 官民連携での輸送能力強 化計画策定 総需要 増加 短期的 効果 民間投資 誘発 資本ストック 増、生産性 向上による 生産力拡大 中長期 的効果 GDPの持続的拡大 経済・財政諮問会議 骨太の方針2015(6/30閣議決定) 【機密性2】 第3章 「経済・財政一体改革」の取組- 「経済・財政再生計画」 ・計画期間当初3年間(2016~18年度)を集中改革期間と位置づけ ・2018年度のPB赤字対GDP比▲1%程度を目安(H27▲3.3%見込) ※実質GDP成長率2%、名目GDP成長率3%程度の実現を目指す ・KPI達成度等を評価、2020年度の財政健全化目標を実現 [2]社会資本整備等 中長期的な見通しの下、マネジメントを含めた効率化を図りながら 計画的に推進。社会資本の整備については、既存施設やソフト施策 の最大限の活用を図りつつ、人口減少等を踏まえ、選択と集中の下、 ストック効果が最大限発揮されるよう重点化した取組を進めるととも に、重点分野の優先度・時間軸を明確化。公共施設の管理・運営に ついては、ストック量を適正化。コンセッションなど多様なPPP/PFI を拡大。 (概要版より) 社会資本ストック量の推移 【機密性2】 ○2009年時点で約786兆円(粗資本ストック)投資額17.2兆円、除却額は7.6兆円 ○純資本ストックベースでは377兆円 日本の社会資本ストック額の推移 (兆円) 900 農林漁業(漁業) 1.7% 郵便 国有林 農林漁業(林 0.1% 0.6% 農林漁業(農業) 業) 工業用水道 9.4% 1.6% 0.3% 治山 海岸 1.6% 0.9% 粗資本ストック 800 786 768776 759 748 736 721 704 684 661 637 612 585 559 純資本ストック 700 文教施設(社会教育 施設・社会体育施設・ 文化施設) 2.2% 600 300 200 100 0 治水 8.3% 文教施設(学校 施設・学術施設) 9.2% 都市公園 1.3% 500 400 道路 32.3% 港湾 3.9% 水道 5.7% 531 503 476 航空 0.5% 448 423 402 廃棄物処理 385390392392390387384379377 382 1.9% 368377 362 357 344 342 332 322 318 303 302 287 286 271 269 258 251 248 238 233 228 218 214 207 198 196 180189 179 171 161 160 149 146 137 134 125 121 114 109 104 97 95 85 79 87 65 74 60 70 58 45 51 45 52 35 40 30 35 40 28 31 23 25 20 21 19 22 26 19 10 18 9 17 16 14 12 11 9 8 1955 1960 下水道 10.4% 鉄道(鉄道建設・運輸 施設整備 支援機構 鉄道(地下鉄等) 公共賃貸住宅 等) 1.3% 6.0% 0.8% 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 (年度) ※…粗資本ストック:過去の投資額の積み上げから除却額を差し引いたもの。 純資本ストック:粗資本ストックからさらに経年による価値低下分の額を差し引いたもの。(ここでは価値低下分を定率法にて推計したものを掲載。) なお、投資額についてはデフレータにより実質化(2005年基準)を行っている。 (出典)内閣府 「日本の社会資本2012」を元に作成。 インフラストックとGDPとの関係 【機密性2】 生産関数(コブ=ダグラス型) β α Y = A ・ L ・ K ・ G Y:生産(GDP) L:労働 K:民間資本 G:社会資本 γ A:技術水準 γとGの関係(G=377兆、γ=0.122からのGγ感度分析) γ・G -10% -5% 377兆 +5% +10% 0.15 1.17 1.17 1.18 1.19 1.20 0.122 0.99 0.99 1.00 1.00 1.01 0.100 0.87 0.87 0.88 0.88 0.89 【機密性2】 時間(t)で微分すると ΔY= ΔA +α ΔL +β ΔK +γ ΔG Y A L K G 経済成長率=技術進歩率 +α×就業者数増加率 +β×民間資本増加率 +γ×社会資本増加率 労働生産性上昇率 社会資本の生産拡大効果の研究(米国) 【機密性2】 ○社会資本ストックの生産拡大効果については、1970年代以降の米国における生産性増 加率低下の理由として、社会資本ストックの伸び率が低下していることを指摘した D. Aschauerの1989年の論文「政府支出は生産的か”Is Public Expenditure Productive”」 に端を発し、1990年以降、研究が活発化した。 ○特に注目されたのは、1950年以降の米国の生産性(全要素生産性(TFP))の推移が、社 会資本の純資産(資本減耗を除いた資産)の伸びと相関を持っているとの指摘であった。 出典: D. Aschauer (1989) “Is Public Expenditure Productive” 社会資本の生産拡大効果の研究(日本) 【機密性2】 ○我が国においても、1990年代後半より、社会資本ストックの生産力効果についての複数の 既往研究が存在し、社会資本整備がプラスに寄与するとの結果が多い。 ○林正義教授による最新の研究では、1986年~2008年までの期間について、社会資本5部 門(道路、港湾、空港、下水道、廃棄物処理)を対象に、コブ・ダグラス型生産関数を用いて 推定した結果、80年代の動向と比べ、2000年代に入って生産力効果が大きくなっている可 能性 研究者 岩本(1990) 竹中・石川(1991) 三井・井上(1995) 畑農(1998) 吉野・中島・中東 (1999a) 推計期間 1955~1984 1955~1970 1971~1984 1955~1985 1956~1989 1955~1995 1955~1989 1955~1984 1955~1970 1971~1993 1955~1993 1955~1970 1971~1993 社会資本の生産力効果 (弾性値) 0.238~0.408 0.055~0.416 0.314~0.396 0.2 0.248~0.316 0.296~0.328 0.317~0.324 0.316~0.318 0.203 0.079 0.4623 0.6487~0.8168 (限界生産性) 0.0842~0.2246 (限界生産性) 三井・竹澤・河内 (1995) 1966~1984 0.142~0.214 奥井(1995) 1965 1970 1975 1980 0.053~0.055 -0.116~0.018 -0.13~0.034 -0.049~-0.259 研究者 浅子・坂本(1993) 奥井(1995) 土居(1998) 塩路(2005) 1975~1985 1976~1985 1976~1984 1977~1985 1977~1984 1965~1980 1966~1993 1975~1993 1985~1993 1966~1974 1975~1984 社会資本の生産力効果 (弾性値) 0.159 0.065~0.144 0.116 0.055 0.177 0.072~0.243 -0.082 0.015 0.254 0.131 0.029 1980~1995 -0.37~0.122 推計期間 李紅梅,2010. 「日本における社会資本の生産力 効果に関する文献研究」より作成 社会資本の生産拡大効果 (H25国土交通白書) 【機密性2】 ■国土交通白書(H25)における算定の例 ○社会資本の限界生産性の推移を見ると、民間資本、社会資本ともに、資本の蓄積に 伴って、限界生産性は低下してきているが、2000年代に入ってからは安定している。 ○厳しい財政制約のなかで、B/C分析等を通じて、効率的なインフラ整備を進めたこ とが一定の効果を出しているものと考えられる。 社会資本の限界生産性の推移 <インフラの性質による差異> 社会資本の分野ごとの限界生産 性を比較すると、生産活動に直接 寄与することが想定される道路、 港湾、空港といった交通関連の社 会資本の限界生産性が高くなって おり、インフラの分野ごとの性質 によって生産に寄与する効果は異 なっていることを示している。 (注) 社会資本は、内閣府「日本の社会資本2012」に示されている17分野のうち、鉄道、公共賃貸住宅、水道、学校湿雪、 農林漁業、郵便、工業用水を除いたものを使用。国土交通省所管分野の社会資本は、道路、港湾、空港、下水道、都市 公園、治水、海岸の7分野。交通基盤関連社会資本は、道路、港湾、空港の3分野。いずれも、社会資本の効率性の低下 パターン(物理的減耗、陳腐化等)を設定し、それにより想定される将来の社会資本より得られる資本サービスの価値を 割引率を用いて現在価値化する手法を用いた試算3-2のデータを利用。 資料)IMD「IMD world competitiveness yearbook 2013」等より国土交通省作成 成長へのシナリオ 【機密性2】 GDP成長率・人口変化率・生産性変化率等の推移 年 1970~1990 1990~2000 2000~2010 2010~2030 GDP成長率 4.3% 1.1% 1.0% (2.0%) 人口変化率 0.8% 0.3% 0.1% -0.5% 生産年齢人口 生産性変化率 (全要素生産性) 変化率 0.9% 1.5% 0.0% 0.6% -0.6% 0.8% -0.9% ※GDPには、労働力、民間資本ストックのほか、公的資本ストック、知的資本ストック、規制改革等が影響。 人口減少(生産年齢人口減少)下において、経済規模(GDP)のプラス成 長を維持するためには、生産性に影響を与える重要な要素の一つである 社会資本のストック効果の最大化を図り、生産性の向上に寄与する必要。 ※()内の数字は、「日本再興戦略改訂2014」で示された2013~2022年度平均の目標値。 ※2010年以降の人口、生産年齢人口は、国立社会保障・人口問題研究所による中位推計値。 出典:人口、生産年齢人口は「日本の統計2014(総務省)」。GDPは「国民経済計算確報(内閣府)」。民間資本ストックは「民間企業資本ストック(内閣府)」。 全要素生産性は、OECDstat Databese。 各国の一般政府Igの比較 【機密性2】 ○我が国の公共投資は、2000年代に入って大幅に削減され、対GDP比、財政支出に占める 割合で見て先進諸国と同レベル程度に低落 一般政府Ig/政府支出比の推移 一般政府Ig/GDP比の推移 7.00% 6.00% オーストラリア カナダ フランス ドイツ イタリア 日本 韓国 オランダ スウェーデン イギリス アメリカ 35.00% 30.00% 5.00% 25.00% 4.00% 20.00% 3.00% 15.00% 2.00% 10.00% 1.00% 5.00% 0.00% 0.00% オーストラリア カナダ フランス ドイツ イタリア 日本 韓国 オランダ スウェーデン イギリス アメリカ 日本の橋とフランスの橋 阪神高速道路の橋脚 【機密性2】 シャルル・ド・ゴール空港のアクセス道路の橋脚 H25国交白書 26 中国の高速道路の橋脚 2015年(平成27年)4月3日 大石久和講演資料 細いピア(八達嶺近く) 【機密性2】 佐藤浩氏 撮影 27 諸外国に比べ急勾配な日本の河川 【機密性2】 2015年(平成27年)4月3日 大石久和講演資料 出典:国土交通省資料 28 降った雨が一挙に流れる日本の河川 【機密性2】 ロワール川の流域面積:11万5000km2 日本の一級河川の流域面積平均:2300km2 日本 フランス 岩木川 渚 滑湧 川別 常 網 川 呂 走 川 川 天塩川 馬淵川 留萌川 雄物川 モーゼル川(Moselle) 尻別川 十 勝 川 釧 路 川 阿 賀 野 川 常 小 願 矢 寺 部 川 黒姫 関 川 部川 川 川 手 取 信 九 梯川 濃 頭川 川 竜 庄 神 円 由 川 千 天 川 通 日 山 良 川 天 富 野 神 代 北 川 川 竜 木 川 江 斐伊川 川 川 川 川 士 揖 高 の 曽 川 保 津 川 川 庄内川 吉 川 山 芦 淀川 川 加 国 田高 旭 井 狩 古 川 遠川 野 嘉 太 川梁 川 佐 矢 豊 川 松 瀬 賀 川 川 田 波 小 作 川 川 大和川 浦 川 川 川 瀬 土器川 川 川 川 重信川 菊大 安 筑後川 川井 倍 六角川 番匠川 那賀川 鈴鹿川 川川 新 本明川 大分川 雲出川 宮 仁物 紀の川 川 矢部川 大野川 櫛田川 淀 部 吉野川 五ヶ瀬 菊池川 緑川 宮川 渡 川川 川 白川 川 球磨川 肱 小丸川 川 大淀川 川内川 鵡沙 川流 川 肝属川 0 【仏:15,406km2、 全体:28,152km2 】 ムーズ川(Meuse) 北上川 【仏:10,420km2】 子吉川 石狩川 後 志 利 別 川 高瀬川 米代川 セーヌ川(Seine) 最上川 赤川 荒 川 ライン川(Rhein) 【78,919km2 】 鳴瀬川 名取川 【全体:198,735km2】 阿武隈川 ロワール川(Loire) 久慈川 【115,282km2 】 那珂川 利根川 荒川 相 多摩川 模 川 鶴見川 全国一級水系分布図 250 500㎞ ガロンヌ川(Garonne) ローヌ川(Rhône) 【53,540km2 】 【仏:90,000km2、全体:97,000 km2】 【 】内は流域面積 0 250 フランス:流域面積の出典 セーヌ川、ライン川、ロワール川、ガロンヌ川:World Conservation Union, Water Resources eAtlas(http://www.iucn.org/themes/wani/eatlas/html/download.html) ローヌ川:Le Rhône: Histoire d’une evolution, du developpment industriel au reamenagement durable ムーズ川:Geomorphological structure of the (French part) of the Meuse Valley(www.cipm-icbm.be/files/pubs/36/proceeding_10_12_2003.pdf) モーゼル川:Integrated testing of guidelines in pilot river basins (http://viso.ei.jrc.it/wfd_prb/sites.html) 500㎞ 2015年(平成27年)4月3日 大石久和講演資料 出典:国土交通省資料 29 投資なくして成長なし 【機密性2】 各国の名目GDPの推移 単位:100億ドル 2000 1800 1600 日本 1400 アジア 1200 アメリカ 1000 欧州 800 中国 その他 600 400 200 0 1985 1990 1995 2000 2005 出典:総務省統計局「世界の統計2012」 2010 成長なくして税収なし 【機密性2】 日米の名目GDPと税収の推移 GDP 税収 (10億ドル) (10億ドル) (兆円) 2,8502,850 100 (%) 300 日本のGDP(1990年を100とした割合)【左軸】 アメリカのGDP(1990年を100とした割合)【左軸】 250 日本政府の一般会計税収(兆円表示)【右軸】 2,3502,350 80 アメリカ政府の税収(10億円ドル表示)【右軸】 200 1,8501,850 60 150 1,3501,350 40 100 850 850 20 50 350 350 0 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990 1989 1988 1987 1986 1985 1984 1983 1982 1981 1980 0 出典:日本のGDP ― IMF - World Economic Outlook、アメリカのGDP ― U.S. Bureau of Economic Analysis (BEA) 日本政府の一般会計税収 ― 財務省「日本の財政関係資料」(平成26年2月版)、アメリカ政府の税収 ― ホワイトハウス(米国大統領府) 31 公共投資の推移 (兆円) 【機密性2】 国土交通省関係公共事業関係費(当初予算)の推移 8.0 7.5 7.3 7.4 7.0 7.0 6.3 6.1 6.0 5.5 地域自主戦略交付金を 加えた場合 6.5 6.3 6.0 7.3 7.3 7.3 6.9 6.7 6.5 社会資本整備事業特別会計 の廃止に伴う影響額 5.9 5.8 5.7 5.6 5.4 5.5 5.4 5.3 5.0 5.2 5.2 4.9 0.6 4.7 4.5 0.4 4.3 4.0 4.5 4.5 0.5 0.1 4.5 4.5 3.9 3.5 3.0 平成 元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 経理上の変動要因 を排除した数値 ※1 ※2 ※3 ※4 見かけ上の 公共事業関係費 平成21年度当初予算については、特別会計に直入されていた地方道路整備臨時交付金相当額(6,825億円)が一般会計計上に変更されたことによる影響額を含む。 平成23・24年度予算については地域自主戦略交付金の影響(23年度:移行額3,760億円、24年度:公共事業関係費相当額5,282億円)を含まない。 平成25年度予算については、東日本大震災復興特別会計への繰入れ(324億円)を含む。 平成26年度予算については、消費税増税による影響額(1,002億円)及び、社会資本整備事業特別会計の廃止に伴う影響額(6,167億円)を含む。 (年度) インフラ整備の歴史的推移(内閣府資料) 【機密性2】 戦後14本の経済計画が策定され、計画的な社会資本のストック形成が図られてきた。公共事業関係費の推移 をみると、1980年代初期まで投資の規模の拡大が図られ、1980年代は安定的な投資が、また1990年代は 経済対策を含み追加的な投資が行われてきた。1998年の14.9兆円をピークに投資額の減少となっている。 当初予算の公共事業関係費は、1997年より減少し続け、2012年から実質的に横ばい。 1956~1960 1964~1968 経済自立5カ年計画 (1955.12) ひずみの是正 交通通信施設の復興整備 住宅・生活環境整備の充実、農林漁業 国土保全の開発と促進 基盤の強化、交通通信体系の整備、国 国民性格の安定のための住宅投資 土保全設備の整備、水資源開発 1958~1962 1995~2000 (1973.2) 1980年代経済社会の展望と指針 (1983.8) 構造改革のための経済社会計画 -活力ある経済・安心できる暮らし(1995.12) 国民福祉の充実と国際協調の推進の同時 達成 平和で安定的な国際関係の形成、活力ある経 済社会の形成、安心で豊かな国民生活の形成 社会開発(住宅、生活環境の整備、公害の 除去など) 安全基盤の整備、活力基盤の整備、快適基盤 の整備 自由で活力ある経済社会の創造、豊かで 安心できる経済社会の創造、地球社会へ の参画 1967~1971 新長期経済計画 (1957.12) 経済社会発展計画-40年代への挑戦- 極大成長、生活水準向上、完全雇用 均衡がとれた充実した経済社会への発展 道路の近代化を中軸とする輸送力の 増強、資源開発確保、国土保全、農 業生産基盤の強化、住宅建設 住宅・生活環境施設の総合的整備、農林 漁業基盤の強化、交通通信体系の整備、 国土保全設備の整備、水資源開発 (1967.3) 1961~1970 1983~1990 経済社会基本計画-活力ある福祉社会のために- 中期経済計画 (1965.1) 経済の自立、完全雇用 戦 後 の 経 済 計 画 1973~1977 1976~1980 住宅の確保、社会資本整備 1988~1992 1999~(10年間程度) 昭和50年代前期経済計画 -安定した社会を目指して(1976.5) 世界とともに生きる日本 -経済運営5ヵ年計画(1988.5) 経済社会のあるべき姿と経済新生の 政策方針(1999.7) 我が国経済の安定的発展と充実した国民生 活の実現 大幅な対外不均衡の税制と世界への貢献、豊かさを実感 できる国民生活の実現、地域経済社会の均衡ある発展 多様な知恵の社会の形成、少子高齢化への備え、グ ローバリゼーション化への対応、環境との調和 住宅の確保、交通通信体系の形成 高速交通ネットワークの整備、国民生活基盤の整備、産 業構造調整円滑化のための基盤整備 少子高齢化社会に対応した社会資本整備、環境に 配慮し、持続的発展を支える社会資本 1970~1975 1979~1985 1992~1996 国民所得倍増計画 (1955.12) 新経済社会発展計画 (1970.5) 新経済社会7ヵ年計画 (1979.8) 生活大国5ヵ年計画 (1992.6) 極大成長、生活水準向上、完全雇用 均衡がとれた経済発展を通した住み よい日本の建設 安定した成長軌道への移行、国民生活の 質的充実、国際経済社会発展への貢献 生活大国への変革、地域社会の共存、発展 基盤の整備 望ましい生活環境の整備(住宅、生 活環境の整備、公害の除去など) 生活環境施設の整備、国民生活の安定の ための施設整備(国土保全、水資源開発、 農林漁業)、交通通信施設の整備 環境保全、調和に対応した社会資本整備、 東京一極集中是正のための基盤整備 産業基盤の強化のための社会資本 整備、都市における生活環境施設の 改善、国土保全施設の強化 凡例 計画名 (成立年月) 計画の目的 公共投資関連 公共事業関係費の推移※1 (兆円) 14.0 12.0 10.0 8.0 公共事業関係費(当初予算) 6.0 公共事業関係費(補正予算) 4.0 2.0 1949 1950 1951 1952 1953 1954 1955 1956 1957 1958 1959 1960 1961 1962 1963 1964 1965 1966 1967 1968 1969 1970 1971 1972 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 0.0 当初予算は、 実質的に横ばい (※2) ※1 出典:財務省統計資料「主要経費別分類による一般会計歳出当初予算及び補正予算」より作成 ※2 地域自主戦略交付金の影響(2012年)、社会資本整備事業特別会計の廃止及び消費増税による影響(2014年)等の経理上の変動要因を除けば、当初予算は実質的に横ばい。 過去の構造改革における位置づけ(内閣府資料) 【機密性2】 【平成 9(1997)年度】 「財政構造改革の推進について」(閣議決定) ・公共投資予算は、平成10年度は対平成9年度比7%マイナスの額を上回らないこと とする。(集中改革期間(H12年までの3年間)は各年度その水準の引下げを図る) 「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」 ・平成9年度以降3年間で諸施策を実施し少なくとも10%以上の縮減を目指す。 【平成18(2006)年度:経済財政運営の構造改革と基本方針2006年】 (公共事業関係費) コスト縮減や入札改革などを進め、重点化・効率化を徹底することにより、これまでの改革努力(名目 対前年度比▲3%)を基本的に継続する。 現在実施中のコスト縮減努力(平成15年度から5年間で15%のコスト縮減)の継続や今後は廃止・終了 する事業の存在などを織り込んだ対応を行う必要がある。 公共事業関係費の推移(一般会計:当初予算) 150 20 公共事業関係費(一般会計:補正予算) 131 公共事業関係費(一般会計:当初予算) 122 公共事業関係費_対前年度比(一般会計:当初予算) 106 106 100 1.8 105 6.5 1.6 5.0 104 101 5.9 100 100 2.8 2.0 1.6 0.8 92 0.5 105 96 97 96 96 96 97 1.5 89 83 1.2 0.8 0.8 11.1 6.2 6.2 6.6 8.0 8.5 15 113 0.2 1.1 1.7 0.5 0.6 82 0.4 0.5 0.6 2.9 2.4 1.0 0.4 9.2 9.6 9.7 9.0 9.4 9.4 9.4 8.4 8.1 7.8 7.5 7.2 6.9 6.7 7.1 50 92 10 86 (兆円) (%) 116 102 100 【 コスト縮減実績】 ・ 政府全体 H11:9.6%(対H8年度)、H19:14.0%(対H14年度) ・「国土交通省公共事業コスト構造改善プログラム」(H15年度 からH19年度)による平成19年度のコスト縮減率は約14% 5 6.0 5.8 5.0 4.6 5.3 0 (年度) 出典:国交省:「公共事業コスト構造改革の成果」における H19年度工事コスト縮減の施策別内訳(基準年H14年度) 今はインフラプッシュの時か?(IMF) 【機密性2】 IMFは、2014年10月の世界経済見通しでインフラのストック効果を含めた経済分析を実施。 →インフラ投資の増大が民間投資を呼び込み(クラウディング・イン)、GDPを短期に増大させる ほか、供給拡大効果によりGDPを中長期に増大させ、債務対GDP比をむしろ減少させるとした。 (GDP比1%の公共投資増で4年後以降持続的に1.5%のGDP増、債務対GDP比は約4%減少) <主な指摘> ○インフラ投資の増大は、民間投資を「呼び込む」(クラウディング・イン) ・インフラ投資の増大は、短期的には、他の政府支出と同様の需要創出効果のほか、インフラが提供するサー ビスが民間投資と高度に補完的であるため、潜在的に民間投資をクラウディグ・イン(crowding in private investment)させ、総需要を増大させる。 IMFは、日本の内閣府モデル等と異なり、社会資本 ○インフラは経済における生産で不可欠な要素 ストックの生産拡大効果を分析できるモデルを導入 ・経済のあらゆるセクターにおいて、インフラに依存しない 生産プロセスは想像しがたい。 ■GDPへの影響 ○インフラ投資拡大によるGDP押し上げ効果 ・インフラ投資の拡大は、短期的には総需要を押し上げ、 長期的には総供給の増加によりGDPを押し上げる。 <先進国の平均的ケース> インフラ投資をGDPの1%ポイント上昇させた場合 → 初年度のGDPを約0.4% 4年後には、GDPを約1.5%上昇させ、効果が持続。 (年) ■債務残高対GDP比への影響 →公的債務の対GDP比はむしろ減少 (4年後に平均的に債務の対GDP比を4%減少させ、効果が持続。) ・インフラ投資拡大によるGDPの押し上げは、インフラ投 出所:IMFスタッフ算出 注:t=0、ショック年。点 線は90%信頼区間。シ ョックとは、公共投資支 出のGDP1パーセント ポイント幅の外生的要 因による拡大を示す。 資の効率性が高い場合、さらに強力となる (年) (出典)IMF World Economic Outlook (Oct. 2014) Chapter3 : Is It Time for an Infrastructure Push? t等に基づく (4) IMFレポートにおけるインフラ投資の効率性向上の重要性・インパクト ○インフラ投資拡大によるGDPの押し上げは、 特に以下の場合に強力となる GDPへの影響 (高効率ケース) 【機密性2】 GDPへの影響 (低効率ケース) ・経済に余剰能力があり金融政策が緩和的で ある場合(投資拡大による金利の上昇幅を抑制可) ・公共投資の効率性が高い(新たな公共投資支 出が無駄にならずリターン率の高いプロジェク トに割り振られた)場合 ・増税や他の支出の削減ではなく債券の発行で 賄う場合 債務対GDP比への影響 (高効率ケース) 債務対GDP比への影響 (低効率ケース) ・インフラ投資の増大とともに、それが効率的で あれば、債務残高対GDP比を大幅に減少させ る一方で、効率的でない場合は、債務残高対 GDP比を増大させる場合もあり得る。 出所:IMFスタッフ算出 注:t=0、ショック年。点線は90%信頼区間。ショックとは、公共投資支出のGDP1パーセントポイント幅の 外生的要因による拡大を示し、黄色はベースライン・ケースを著す。 ○公共投資の効率性の改善は、その成果を最大限に得る上で不可欠。 公共投資の効率性が低い国や地域では、公共投資のプロセスを改善することでインフラ投資 の質の改善を図るべき。(プロジェクトの評価、選定、実施の向上、厳密な費用効果分析を導入 すべき) 36 米国の公共投資政策の変遷 【機密性2】 連邦政府・州政府・地方政府によるインフラ投資額(2009年基準実質・百万ドル) 180,000 16,000,000 GDP(右軸) 160,000 14,000,000 ハイウェイ(左軸) 公共交通(左軸) 140,000 12,000,000 上下水道(左軸) MAP-21 120,000 (21世紀における 発展のための前進法) 2013~2014 10,000,000 100,000 8,000,000 荒廃するアメリカ(相次ぐ橋梁損傷事故) (‘73~’84) 80,000 SAFETEA-LU (次期道路整備事業法) 60,000 6,000,000 2004~2009 40,000 4,000,000 ISTEA TEA-21 (陸上交通効率化法) (21世紀に向けた交通最適化法) 1992~1997 1998~2003 2,000,000 レーガン政権:「小さな政府」のスローガンの下、新自由主 義による政策を進める一方、「荒廃するアメリカ」に対処す るため、1983年に陸上交通支援法を制定し財源を確保。 20,000 0 0 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 政党 共和 共和 民主 共和 共和 民主 共和 期間 ~73 ~77 ~81 ~89 ~93 ~01 ~09 R.ニクソン G.R.フォード J.カーター R.レーガン G.H.W.ブッシュ クリントン G.W.ブッシュ 民主 B.オバマ (資料)Congressional Budget Office [2010] 「A CBO Study - Public Spending on Transportation and Water Infrastructure」Detailed Data on Infrastructure Spending, by Level of Government and Type of Infrastructure, 1956 to 2009 「荒廃するアメリカ」以後の予算・税制の推移 【機密性2】 米国では「荒廃するアメリカ」以後、数次にわたる陸上交通法の制定により道路投資を大幅 に拡大。その財源は自動車燃料税(特定財源)の拡充により確保 州管理道路事業費と連邦ガソリン税率の推移 ( 事業費は2009年ベースの実質値) 105 ※一般財源も投入して投資財源を確保 公共交通整備に充当 財政赤字対策に充当 85 2013~2014 1,050億ドル 連邦ガソリン税率(右軸) その他に充当 MAP-21※ 1992~1997 1,553億ドル 75 55 SAFETEA-LU※ 2005~2009 2,441億ドル 1981年、“America in Ruins” (荒廃するアメリカ)が出版さ れ、インフラ老朽化について警 鐘 40 35 ISTEA 65 50 45 道路整備に充当 30 TEA-21 25 1998~2003 2,178億ドル 20 45 15 15.44セント 35 10 12セント (棒グラフ中の数値は道路整備充当分の税率) 25 15 8セント 10セント 5 4セント 3セント 0 1956 1957 1958 1959 1960 1961 1962 1963 1964 1965 1966 1967 1968 1969 1970 1971 1972 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 州管理道路関係事業費(2009年ベース実質値) 州道路管理事業費(10億ドル) 州管理道路関連事業費(左軸) 95 (セント/ガロン) (セント/ガロン) 州管理道路関係事業費と連邦ガソリン税率の推移 1956 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 連邦ガソリン税率(セント/ガロン) 連邦ガソリン税率 (10億ドル) (10億ドル) 陸上交通法 当初計画期間 計画投資規模 計画 期間 延長 期間 米国の橋梁事故 西暦年 【機密性2】 内 容 1940年 ワシントン州のタコマナローズ橋が崩落 1967年 ウェストバージニア州とオハイオ州を結ぶシルバー橋が崩落し、46名死亡 1978年 ニューヨーク市のクイーンズボロー橋に構造的な欠陥が発見され、使用停 止になる 1981年 ニューヨーク市のブルックリン橋のケーブルが破断し、1人死亡 1981年 ニューヨーク市のウエストサイドハイウェーで、高架橋の一部が崩落する事 故が発生。廃線が決定 1983年 コネチカット州のマイアナス橋が崩落し、3人死亡 2005年 ペンシルバニア州でPC桁橋が崩落 2007年 ミネソタ州ミネアポリス市州間高速道路35W号線の橋が崩落。死者・行方 不明者13名、重軽傷者80名 (出典)根本祐二「朽ちるインフラ」日本経済新聞出版社, 2011年 39 1980年代の「荒廃するアメリカ」 【機密性2】 1982年9月の新学期には、全米で50万人もの学童が重量制限のある橋をバスで渡るこ とができず、迂回路を通るか、バスを降りて歩いて橋を渡らざるを得なかった ペンシルバニア州 ・全米では、50万人の学童が橋を迂回して通 学していた ・全米の5千~1万人の学童は、橋の手前で バスを降りて、歩いて橋を渡っていた スクールバスを降りて橋を渡る 生徒達(ペンシルバニア州) 出典:TIME(1981年4月27号) 40 荒廃するアメリカは過去の話か? 【機密性2】 Yomiuri online http://www.yomiuri.co.jp/world/20150810-OYT1T50021.html 英国の公共投資政策の変遷 【機密性2】 ○英国においては、1979年のM.サッチャー政権(保守党)により始まった新自由主義(Neoliberalism)政策により、 公共投資を抑制した緊縮財政が行われていたが、97年に誕生した労働党のT.ブレア政権により経済成長を志 向する投資路線へ転換。2010年の政権交代後のD.キャメロン政権においても、National Infrastructure Plan策定 等、経済成長へ向けてインフラ投資が重視されている。 英国一般政府Ig及びGDPの推移 350 (1996年を100とした場合の指数値) 322.14 300 英国一般政府Ig(OECD) 250 200 150 288.89 英国GDP 195.78 90~メージャー政権(保守党) ○歳出削減、増税等による財政健全化 を優先(=サッチャー政権以来の「新自 由主義」) 178.06 100 72.12 50 84.18 97~ブレア政権(労働党) ○財政健全化+積極的な公共投資による 公共サービスの充実(=「第3の道」) 07~ブラウン政権 (労働党) 10~キャメロン政権 (保守+自民連立) ○2010年10月に、将 来的に必要な経済 インフラ投資の方 針を示す「National Infrastructure Plan 2011」を公表。以 後、毎年改訂計画 を公表。 0 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 出典:OECD National Accounts 2005年の一般政府Igは、BNFLの債務承継額(15,600百万ポンド)の影響を除いている キャメロン政権での公共投資政策② 【機密性2】 ○「National Infrastructure Plan」策定の効果として、毎年のインフラ投資が約15%(※)増加。 ○「National Infrastructure Plan」は毎年改訂し、対象の分野が増加している。また、最新版 2014では、2020年までのインフラ投資の方向性や、主要プロジェクト毎の計画を示している。 (※)2005~2009年平均では年410億ポンドが、2010~2013平均では年470億ポンドに増加 ○ 「National Infrastructure Plan 2014」の概要 ・対象分野を①道路、②鉄道、③地域交通、④空港、⑤港湾、⑥エネルギー、⑦河川・海岸、 ⑧通信、⑨水資源、⑩廃棄物の10分野に細分化し、それぞれに投資計画を示す。 ・40の主要プロジェクトを定めて、それぞれのプロジェクト毎に、投資額、官民の役割分担、供 用開始時期等を明示 (1) (2) <主要プロジェクトの例:高速道路拡幅> (1)プロジェクト全体の投資額(5.6億ポンド) (2)投資手法(公共) (3)重要地区の供用開始時期 (3) (出典)“National Infrastructure Plan 2014” HM TREASURY Infrastructure UK 財政緊縮策の影響(ギリシャ) 【機密性2】 近年の欧州の中で、特に債務問題が顕在化したギリシャでは、急激な財政緊縮が進めら れたが、債務悪化に起因する急激な金利上昇やデフレ・経済の悪化が進行しており、PB が短期間に急激に改善することと、債務対GDP比の悪化が同時進行している状況 債務対GDP比悪化 ギリシャの財政状況 債務対GDP比悪化 ギリシャにおいて、財政支出の 削減が、経済悪化の主要因で あるかについては、さらなる調 査を要する。 PB改善 PB改善 ギリシャの経済状況 44 G7等におけるインフラ投資の取扱い 【機密性2】 国際金融経済分析会合(3/16~5/19) 国際金融の第一人者12名と総理との意見交換、うち2名がインフラ整備について言及 ジョセフ・スティグリッツ(コロンビア大学教授、ノーベル経済学賞(2001年)) 「必要なことは、インフラへテクノロジーへのより積極的な投資である。」 クリスティーナ・ローマー(カリフォルニア大学バークレー校教授) 「長期的に成長を促す財政刺激策 ・インフラ、基礎科学、教育、育児への公的投資」 G7 伊勢志摩首脳宣言(H28.5.27) G7 伊勢志摩経済イニシアティブ 「インフラ:我々は、世界の需給ギャップに対処するため、「質の高いインフラ投資の推進 のためのG7伊勢志摩原則」を支持し、我々自身のインフラ投資を同原則に沿ったものと するよう努める。我々は、さらに、国際金融開発機関(MDBs)を含む関連するステークホ ルダーに対し、それら機関のインフラ投資及び支援を同原則に沿ったものにすることを奨 励する。」 【機密性2】 ジョセフ・スティグリッツ(コロンビア大学教授、ノーベル経済学賞(2001年)) 資料 ※官邸HPより 事例3:高規格道路の沿道に世界的企業が進出・地元から大量雇用 【機密性2】 【日本海沿岸東北自動車道】 ○ 道路整備を見越し、新潟県村上市に航空機内装品の世界トップメーカーが進出 ○ 道路ネットワークを活かした「部品調達」→「組み立て」→「製品輸送」の効率化で事業規模を順次 拡大し、地元から大量雇用 沿道に世界的企業が進出(雇用の創出) (株)新潟ジャムコ :高速道路網 N 航空機内装品 製造メーカー 進出拠点 (新潟県村上市) 新潟進出の決め手は、 日沿道の計画 ①部品調達 日沿道基本計画告示(H3) 順次開通(H14,H21,H22,H23) (山形・秋田より) (H25~事業中) 【事業規模の拡大】 ②組み立て 現在は、操業当初の ・操業開始(H2) 約6倍の面積 ・増築(H3~) ・開通を機に、新規に倉庫を建設(H27) ③製品輸送 ボーイング社や エアバス社へ納入 横浜港 世界へ! 【社員を増員】 ・好調な業績、今後の需要見通しを踏まえ、H25~26年 で300名から 250名増員し、550名に 47 事例4:地方におけるネットワーク整備による企業立地促進、雇用増加 【機密性2】 【東九州自動車道】 【北勢バイパス】 道路ネットワークの整備により、東九州自動車道や北勢バイパス(三重県)の周辺において いなべ市 企業立地が加速。東九州自動車道沿線の佐伯市では新規雇用が発生。 東九州自動車道の延伸により、企業立地が加速。 東近江市 北勢バイパス整備と合わせて沿線企業が大胆な設備投資、 それによって新たな雇用を創出。 ※本年3月に開通した佐伯市では、過去5年間で約20件の企業立地、 新規雇用が約230人発生 ※ 2000年代の10年間で2兆円余りを東芝 四日市工場に投資 桑名市 ※ 東芝 四日市工場の従業員数は約1.6倍(H19⇒H25)に増加 東員町 佐伯市の企業立地の進展 津久見~佐伯 13.0km(H20) 臼杵IC 25 津久見IC 須美江~延岡JCT 18.4km(H24) 蒲江~北浦 14.2km(H24) 企 大分県 H20.6開通 佐伯IC H27.3開通 佐伯市 ) 0 蒲江波当津IC 80 70 19 東九州開通延長 日野町 40 40 40 60 50 14 40 30 20 7 2 H21 蒲江IC 宮崎県 79 73 10 4 0 H22 H23 H24 H25 ▲佐伯市の企業立地件数 区間④開通 東 九 州 道 東( ( 大 大 九分 分 州米 米 開良 良 通~ ~ 延延 延 長岡 岡 (J C T ) 開 )) 通 延 長 ( ㎞ ) 木 区間③開通 区間②開通 90 km 佐伯堅田IC 企業 20 業 立立 地地 15 類累 計計 件件 10 数 数 ( 社( 5 )社 (人) 6,000 北浦~須美江 6.4km(H25) H26 至 北九州市方面 東芝従業員数の推移と北勢バイパス整備経緯 5,000 区間①開通 4,359 4,000 5,203 5,319 菰野町 4,803 朝日町 区間① 4,394 3,618 四日市ハイテク工業団地 3,383 川越町 3,000 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 ※出典:(株)東芝 「有価証券報告書」より T社 資料:佐伯市資料 M社 H25.2開通 J社 北浦IC 須美江IC 北川IC H26.3開通 甲賀市 H24.12開通 約230人 延岡JCT・IC 至 宮崎市方面 新規雇用者数(H21~H25) :佐伯市内の立地企業(H21~H25) ▲佐伯市の企業立地分布状況 鈴鹿市 亀山市 資料:佐伯市資料 :10ha以上の工業用地 資料:佐伯市資料 48 事例5:円高是正効果と社会資本整備による民間設備投資と林業再生 【機密性2】 【細島港・東九州自動車道】 ○ 円高是正が進むなか港湾や高速道路の整備が進展 ○ 大手製材メーカーが進出。地域の木材が輸出産業化 地域の木材が輸出産業化 ■木材輸出量増加 ■木材価格の上昇 (宮崎県:スギ) 6 延岡~宮崎 H26.3開通 大分~宮崎 H27.3開通 北九州~宮崎 H28春開通見込 宮崎県の 民有林 (円/m3) (万m3) 5 東九州自動車道 15000 約2倍 3 11000 2 9000 1 7000 0 5000 2012 延岡市 13000 4 2014 木材を港湾から 海外へ 2012 2014 日向市 細島港 九州縦貫自動 車道宮崎線 宮崎市 国産材輸出により林業再生、 雇用増加(300人見込み) (地域の基幹産業 支援のため、 重要港湾細島港に 重点投資) 中国、台湾等に輸出 細島港周辺では、ここ10年間で 企業立地 設備投資 貿易額 39件 約740億円 約2倍増 :東九州道沿線で木材加工業者 が集積している地域 49 :周辺の木材供給基地(林産物流センター) 事例6:防災・減災対策による投資リスクの減少・産業立地等の促進 【機密性2】 【首都圏外郭放水路】 ○ 治水施設の整備により地域の安全度が向上。新たな企業立地が促進。 首都圏外郭放水路等の整備により水害 による浸水戸数が1/10以下に激減※1 約7,000戸 → (S50~59平均) 放水路整備前(H12年) 春日部市 首 都 圏 外 郭 放 水 路 約500戸 (H17~26平均) 春日部市は、部分通水後から企業の誘 致を推進する区域を指定 → 当該区域に28件の企業が新たに進出 整備後(H26年) 春日部市 首 首 都 都 圏 圏 外 郭 外 放 郭 水 放 路 水 企業立地件数※2 30 30 (企業立地件数) 首都圏外郭放水路 完全通水 20 20 首都圏外郭放水路 部分通水 首都圏外郭放水路整備後に立地した物流倉庫、ショッピングセンター等 産業指定区域 進出企業からの声 外郭放水路が通っているため、水害の発生の危険性がないと考え 災害にも強いまちであると実感しております。 (株)玉俊工業所 <流通> 10 10 00 路 産業指定区域を指定 2002 2004 2005 H18 2006 2007 H20 2008 2009 H22 2010 2011 H24 2012 2013 H14 2003 H16 H20 H14 H16 H18 H22 H24 ※1 中川・綾瀬川流域における浸水戸数 ※2 産業指定区域(春日部市が指定した、企業立地を推進するための区域)内 世界最大級の地下放水路である首都圏外郭放水路が通っている ため、水害で倉庫が水浸するのを防ぎ商品を守ることができる点 が良かったと思います。 (株)小原運輸倉庫 <運輸> 事例7:酪農王国 十勝を支える交通基盤 【機密性2】 【十勝港、帯広・広尾自動車道】 ○ 十勝港の整備により、物流の効率化、飼料工場等が立地、飼料取扱量が増加。十勝港での取扱 量はH25/H20比で約4倍に ○ 帯広・広尾自動車道により、沿線では乳製品などの工場立地、付加価値が高い加工食品が生産さ れ、食料品出荷額も増加 ○ 十勝の生乳生産量は、7年連続で増加。平成25年には過去最高の生産量を記録。 帯広圏及び南十勝における食料品製造業の立地 高規格道路 H13年度まで開通 主な食料品関係加工工場 H25年までに稼働・増設等 H26年度まで開通 一部H13年までに増設等 十勝の農業産出額(JA取扱高)の推移 (億円) 2,800 2,600 2,525 2,444 本別町 乳製品工場(H20稼働) 食品加工工場 (H12,H18新商品ライン稼働)芽室町 ② 帯広市 食料品製造業出荷額 伸び率(H14-H24) 1.1~2.0 2,200 浦幌町 2.1~ 幕別町 2,000 H21 H22 H23 H24 H25 資料:十勝総合振興局「2013十勝の農業」 ③ 穀物サイロ(H23稼働) 乳製品工場 (H21~H25新施設拡張) 1 400 中札内村 配合飼料工場(H23稼働) 乳製品工場(H25増設) 十勝食料品製造業出荷額の推移 (億円) 1 300 ② ① 帯広JCT帯広川西IC供用 H15.3.15 ③ 幸福IC供用 中札内IC供用 H18.3.12 H20.11.29 出荷額 1 200 1 100 十勝港 十勝港 飼料 飼料工場 資料:とかち飼料 2,380 2,400 ① 2,658 2,630 H25生産量約45万トン 1 000 海外から原料輸入 900 51 800 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 資料:経済産業省「工業統計調査(H14~H24)」 事例8:北海道産ホタテを活きたまま海外へ 【機密性2】 【旭川・紋別自動車道、幌富バイパス、美深道路】 ○ 旭川・紋別自動車道等の整備によるオホーツク・宗谷~新千歳空港間のアクセス性の向上もあり、 北海道からの活けホタテの輸出が実現 ○ 海外需要を確実の取り込み、輸出額は7年間で、約9倍の約310億円に成長 新千歳空港への輸送ルート 稚内市 新千歳空港へのアクセス時間の変化 高規格幹線道路 一般国道 ○旭川紋別自動車道未整備 4時間51分 幌富バイパス L=11.0km(H21) オホーツク海 美深道路 L=3.3km(H24) 旭川紋別自動車道 L=130km 新千歳空港 佐呂間町 ○現状(旭川紋別自動車道比布JCT~丸瀬布ICまで開通) 佐呂間町 4時間14分 新千歳空港 佐呂間町 ホタテ輸出額と輸出量(北海道) 上川天幕~浮島 白滝~旧白滝 L=9.8km(H21) L=6.0km (H21) 新千歳空港 ホタテ生産の道内地域シェア 渡島 19% オホーツク 39% 宗谷 31% 40,000 31,055 30,000 24,598 (18,024 t) 20,000 その他 5% (トン) (45,111 t) (45,545 t) 50,000 約9倍 約310億円 に増加 40,000 写真:札幌市経済局「北海道産生鮮魚介類等テスト輸出モデル構築事業に関する全体調整業務」(平成22年3月) 根室 6% (百万円) 50,000 10,000 6,798 3,849 (8,484 t) (7,532 t) 3,333 (3,133 t) (4,077 t) 4,012 9,613 0 H20 アメリカ H21 中国 H22 H23 H24 ベトナム フランス 30,000 20,000 10,000 0 H25 H26 その他 輸出量 資料:財務省貿易統計 資料:漁業・養殖業生産統計 52
© Copyright 2024 Paperzz