FocusOn May 2011 Japan’s Hotel Market After The Quake 震災後の日本ホテルマーケット 2 FocusOn –Japan’s Hotel Market After The Quake – May 2011 著者 沢柳 知彦 ジョーンズ ラング ラサールホテルズ 東京オフィス マネージング ディレクター [email protected] 2000 年 6 月 ジョーンズ ラング ラサール ホテルズ 東京オフィスを開設、 シニア ヴァイス プレジデントに就任。マンダリン・オリエンタル東京プロジ ェクト、ロイヤルパーク汐留タワープロジェクト等でオーナー側アドバイザ ーを務める。 2003 年 7 月 エグゼクティブ ヴァイス プレジデント就任。以後、賃貸住 宅の運営契約を含むリッツカールトン東京プロジェクト、全日本空輸とイ ンターコンチネンタルホテルズとのホテル運営会社 JV 組成等の企業提 携支援業務に従事。アジア・パシフィック地域最大といわれる全日本空輸 ホテルポートフォリオ売却案件のプロジェクトリーダーを務める。 2007 年 7 月 マネージング ディレクター就任。以後、ニセコヴィレッジ他 複数案件において、日本に初めて投資を行なうアジア投資家向けの売却 案件のプロジェクトリーダーを務める。 用語解説 ADR Average Daily Rate 平均客室単価 BCP Business Continuity Plan 事業継続計画 GDP Gross Domestic Product 国内総生産 RevPAR Revenue Per Average Room 1 日当たり販売可能客室数当たり宿泊売上 FocusOn - Japan’s Hotel Market After The Quake – May 2011 要約 今般の東日本大震災による被害総額は 16~25 兆円と 推測され、2011 年度の GDP 成長率はほぼゼロとなる 見込み。さりながら、旺盛な復興需要に支えられ、2012 年度は経済成長が期待されている。 地震および福島における原発問題のため、3 月 12 日 から 30 日までの訪日外国人数は前年比 73%の落ち込 みを記録した。国内旅行・出張も一時見合わされ、2011 年3月単月の東京におけるシティホテルの販売可能客 室当り 1 日当り売上(RevPAR)は前年同月比 38%減と なった。 2001 年のニューヨークにおける同時多発テロ事件の際 には RevPAR が前年度並みに回復するために3年を要 した。原発リスクに絡む風評が適切にコントロールされ るのであれば、訪日外国人数の回復はこれより早い可 能性が高い。 ホテル資産評価は、ディスカウントレートやキャップレー トの変動というよりも、主に予測される収入の変化によ る影響を受けると目される。(ローンを証券化しない)バ ランスシートでローンを保有し続ける金融機関は当面様 子見をする可能性が高く、向こう半年の間に売却を強い られるホテル資産は少ないものと想定される。 3 4 FocusOn –Japan’s Hotel Market After The Quake – May 2011 はじめに 東日本大震災 2011 年 3 月 11 日 マグニチュード 9.0 の地震が東日 津波は福島県の海岸線に位置する福島原子力発電所 本を直撃し、28,000 人以上の死者/行方不明者を出し にも到達し、6 機の原子力発電機のうち 4 機の冷却装 た。この地震の規模は近代で最大のものの 1 つとなり、 置が失われ、結果、核燃料棒を正常に冷却できず放射 死者/行方不明者の多くは最初の地震直後に到達した 能が外部に漏れる事態となった。東京電力と日本政府 津波によるものである。震災後も余震が続いており、4 は事故を起こした原子炉の正常化に共同で取り組んで 月 13 日現在 18 の都道府県に避難している 14 万人の いる。 被災者に不安を与えている。 地図 : 3 月 11 日 東日本大震災 震度分布図 出典: 気象庁 FocusOn - Japan’s Hotel Market After The Quake – May 2011 レポートの目的 当レポートでは以下の問題を取り上げる。 i. 日本のツーリズム及びホテルビジネスに影響を 与える要因の特定 ii. ホテル運営業績の現在の状況と今後の見通し iii. ホテル投資マーケットへの影響 当レポートは 2011 年 4 月 25 日時点で公表されている データに基づき作成している。震災問題に関わる状況 は日々変化しているため、当社ではレポート内容の更 新が必要とされる場合にフォローアップレポートの発行 を予定している。 5 6 FocusOn –Japan’s Hotel Market After The Quake – May 2011 日本のツーリズム及び ホテルビジネスに影響を 与える要因 考慮すべき要因 1. 建物の構造的強度 3. 余震 今回の震災によって多くの死者・行方不明者が出てい 3 月 11 日から 4 月 21 日現在までの間、被災地では るが、その約 90%が津波によって流されたと報告されて M5.0 を超える地震が 503 回観測されている。また、4 月 いる。この事実は 1995 年 1 月 17 日に起きたマグニチ 7 日には震災以降最大の M 7.4 の余震が観測された。 ュード 7.3 の阪神淡路大震災の犠牲者 6,400 人の約 気象庁は今後 6-12 ヶ月の間は強い余震に警戒する 80%が建物の倒壊によることと対照的である。倒壊した よう呼びかけている。放射能漏洩問題(後述)を別として 建物のほとんどが木造家屋や新耐震基準施行(1981 も、この余震リスクによって海外からの需要、特にレジャ 年)前に建てられた古いビルであった。この意味で、新 ー分野の回復を遅らせる可能性がある。 耐震基準が今回のような巨大地震に対しても有効であ ることが立証された。 また、大きな余震が、インフラ復旧工事、特に事故を起 こした原子炉の復旧作業を妨げることも考えられる。 ホテル投資家は、建築基準法や、475 年に 1 度の割合 で起きるとされる強い地震によってどの程度経済損失 4.放射能漏洩 が見込まれるかを示す PML 値 (Probable Maximum 4 月 25 日現在、事故を起こした福島県の原子力発電 Loss ) に対し、これからも、そして今後も慎重に検討す 所から半径 30Km 圏内の住民は避難勧告もしくは避難 ると目される。 命令が出されている。また、周辺地域でとれた野菜や日 用品からは高濃度の放射性物質が検出されたため、販 2. 液状化現象 売を禁止された。4 月上旬には放射性物質が東京の水 埋立地の中には、強い揺れのために土壌が強度を失っ 道水からも検出されたが、安全基準値を上回ったのは て起きる液状化現象が見られたところがあった。例えば、 数日にとどまり、これ以降現在に至るまで安全基準を超 東京ディスニーリゾート(TDR)のある千葉県浦安市では、 える値が検出されたという報告はない。概して福島県沿 市内の約 75%の土地の表面が液状化し、ガス・ 上下水 岸部では依然として厳しい状況が続いているが、東京 道の地下配管設備が深刻な損傷を受けた。報告によれ はそこから 200Km 以上離れた場所にあり、都内では概 ば TDR そのものは土壌改良工事のおかげで大きな被 ね通常の生活環境が回復している。 害はなく、4 月 15 日に営業を再開することができた。 4 月 12 日、今回の放射能漏洩事故の国際的基準に基 多くの埋立地では液状化の問題は見られなかったが、 づく評価がレベル 5 から、史上最悪の原発事故となった 今後ホテル投資家が埋立地エリアでホテル買収を検討 1986 年のチェルノブイリ原発事故と同じレベル 7 まで引 するにあたり、液状化リスクを調査することになろう。 きあげられた。このレベル変更は状況がますます悪化し FocusOn - Japan’s Hotel Market After The Quake – May 2011 ているという印象を海外に与えた。一方、国内では政府 びかけている。この節電努力が経済復興を遅らせる要 による事態の深刻さへの理解が遅れた結果と受け止め 因となる生産性の低下を招く恐れはある。しかし、同時 られた。 同日、国際原子力機関(IAEA)は、福島原発の に、これが企業と家庭に LED や他の省電力製品を導入 事故は、原子炉そのものの爆発はなく、また放射能漏 する良い機会となり、ひいては経済復興の一助となる可 れによる死者も出ていないことから、チェルノブイリ原発 能性もある。 事故とは全く状況が異なることを強調した。 4 月 25 日時点においても、節電の努力は企業・家庭両 前述した通り、福島原発事故を終わらせるための戦い 部門で続けられている。例をあげると、鉄道会社各社は はまだ続いている。 4 月 17 日、東京電力は事故収拾 列車運行本数を削減、オフィスビルは共有部の照明の のための工程表を発表した。 それによると、7 月中旬ま 半分を消灯、コンビニエンスストアは電光看板の消灯、 での最初の 3 ヶ月間は放射能漏洩を減らすために冷却 などの対応を行っている。Yahoo! ジャパンはそのトップ 作業を継続し、次の 3~6 ヶ月間で原子炉容器内の温 ページに東京電力エリア内での電力使用量を 1 時間ご 度の正常化を終えるというものである。この 2 段階の後、 とに表示、更新している。 原子力発電所から半径 30Km 圏内の住民が自宅に戻 れるかどうかを政府が判断する。この工程表から、東京 6. レジャー消費の自粛 電力が、福島原発から半径 30Km 圏内の放射能漏洩 日本人は震災犠牲者に対して弔意を表すべく、高級レ 問題を今後 6~9 ヶ月の間に収拾させること、そして何 ストランやバー、とりわけ企業接待向け需要が厳しい事 より、半径 30Km を超える範囲に放射能が及ぶ可能性 態になっている。時間の経過とともに、こういった消費者 は低いと見ていることが伺える。 心理は通常に戻ると考えられる。 5. 電力不足 東京電力は福島の 4 機の原子力発電機の機能を失っ たが、同時に被災地の他の発電機の運転も停止してい る。火力発電所は復旧してきているが、夏に予想される 電力使用量に応じるのに十分ではない。電力発電所の 観光庁は、学生の春期休暇の時期にも関わらず、3 月 第 4 週目の国内旅行者数が同月第 1 週から 25~40% 減少したと発表した。発表によれば、4 月と 5 月の旅行 の予約は、4 月 7 日の時点で前年比 20~45%減少して いる。 電力供給能力は 3 月末時点で 4650 万 KW と算出され たが、4 月 15 日になって 5200 万 KW に修正された。こ うした努力にも関わらず、夏のピーク時の電力使用量 6000 万 KW にはまだ不足している。 大阪にある関西電力は東京電力にいくらかの電力を融 通する余裕はあるが、両電力会社では電気周波数が異 管直人首相は 4 月 8 日、レジャーや祝い事の過度の自 粛は経済復興のペースに良くない影響を及ぼすとし、震 災で家族を失った人や被災者に対する思いやりを持ち ながらも、通常通りに振舞うよう国民に呼びかける会見 を行った。 なるため、周波数変換施設の能力の問題から、関西電 力からの大きな電力補給を受けることは期待できない。 7. 被災者及び救援活動員関連需要 被災地に近いホテルは救援隊員や被災者の宿泊場所 電力消費の大きいエアコンが使われる夏に向け、日本 として稼働率が高くなっている。例えば最も震災の被害 政府は、大企業だけでなく個人にも節電への協力を呼 の大きかった 3 県の 1 つ宮城県仙台市にあるホテルで 7 8 FocusOn –Japan’s Hotel Market After The Quake – May 2011 は、稼働率がほぼ 100%になっている。この状況はしば 多くの外国人観光客が訪日を控えたため、外国人旅行 らく続くものと予想される。 者に頼っていたホテルにとっては厳しい時期となった。 例えば、九州の長崎にあるオランダのテーマパーク ハ 首都圏でも被災者を受け入れている。例えばグランドプ ウステンボスは、福島から 1,000Km(ほぼ釜山への距離 リンスホテル赤坂は 3 月 31 日に再開発のため一旦ホ と同じ)離れているにも関わらず、3 月 11 日の後約 90% テルとしての営業を終了したが、その後、主に福島県か の予約がキャンセルされた。 ら 700 家族までを上限に、建物の解体工事が始まる 6 月末まで宿泊サービスを提供することを決めた。こうし 多くの海外の航空会社は東京(成田/羽田)へのフライト た被災地以外での需要は今後 3~6 ヶ月間の一時的な を削減し、乗務員は安全ではないとの理由で成田への ものと考えられる。 滞在を避けた。ルフトハンザ航空の例をあげると、3 月 14 日から同月 24 日までの間、フランクフルト/ミュンヘ 8. 在日外国人による国外避難 ンから成田へのフライトを関西空港や中部国際空港へ 日本政府と東京電力の放射能漏洩に関する不十分な と目的地変更した。そして 3 月 25 日から成田への便は 情報開示のため、フランス、ドイツといった多くの国が日 再開されたが、4 月 15 日までは乗務員が滞在するソウ 本にいる自国民に対して 3 月 11 日の震災直後から東 ルを経由する措置をとった。 4 月 25 日現在、ほとんど 京周辺から避難するように勧告が出された。例えば東 の海外の航空会社は小さめの機体を使用したり、便数 京にあるドイツ大使館は閉鎖され、4 月 11 日に部分的 を減らすなどしているが、ルートについては通常に戻っ な再開を果たすまではその業務拠点を大阪に移してい ている。 た。その一方で、米国とイギリス政府の対応は冷静であ った。米国では 1 万人を超える軍の部隊を被災地の孤 4 月 14 日、日本政府観光局は 2011 年 3 月の訪日外 立した地域に派遣した。4月 20 日までに、アンゴラ、コ 客数が前年同月と比べて 50.3%減の 35 万 2,800 人と発 ソボ、ドミニカ共和国そしてブルキナファソを除く全ての 表した。訪日外客数は 3 月 11 日までは前年比 4%増で 大使館は東京で業務を再開している。 推移していたが、同日以降月末までは 73%の減少が記 録された。 自国からの勧告とは別に、多くの在日外国人が国外へ と退去した。一旦退去した人々の多くはこれまでに日本 に戻ってきているが、これを機に日本には戻る意思のな い社員や留学生も存在する。 4 月 20 日には、香港の旅行会社が、旅行期間中にマ グニチュード 6 超の地震があった場合に旅行代金を返 金する保証を付け、福島から遠く離れた北海道、大阪、 沖縄行きの団体旅行を企画していると報道された。 9. 訪日外国人数の減少 原発事故が起きている福島からの距離に関係なく、海 外から日本各所への渡航のほとんどがキャンセルされ 訪日外客数を回復させるためには、日本は放射能漏洩 問題について、その安全性を世界に向けて発信するこ とが重要である。 た。ジョーンズ ラング ラサールを含む多くの多国籍企 業は渡航延期勧告を発動した。当社の場合、震災後 3 10. オフィス需要の東京から大阪/福岡へのシフト 週間は不要不急の日本への渡航が禁止された。 東京に本社機能を置いている多くの多国籍企業が、地 震と放射能漏洩問題に対し迅速な対応をとった。外資 FocusOn - Japan’s Hotel Market After The Quake – May 2011 系金融機関の中には、BCP(事業継続計画)を実行し、 本社機能の一部を東京から移転するためにグレードの 高いオフィスと住宅を大阪ないし福岡に確保しようとした ところもある。金融庁からの許認可の関係で、中核とな る部署は国外に置くことができないためだ。 オフィス需要が東京から大阪/福岡へシフトすることに 伴い、両都市内及び近辺にあるホテル多くが満室となっ た。西日本のホテルも海外客の相次ぐキャンセルに苦 しめられていたが、こうした企業オフィスの西日本移転 に伴うビジネスである程度相殺することができた。しかし、 こうした需要は一時的で、震災後 4~6 週間で減少して いくと見られている。 11. 被害と復興事業 日本政府の 3 月 23 日の発表によると、3 月 11 日の東 日本大震災の予想被害総額は 16 兆~25 兆円(1,900 億から 3,000 億米ドル)と試算された。これは 1995 年に 発生した阪神淡路大震災の被害額 10 兆円(1,200 億米 ドル)、及び米国の 9・11 同時多発テロの 600 億米ドル を大きく上回る。ニッセイ基礎研究所は、この政府の試 算に合わせて 2011 年度の日本の GDP 成長率予測を 1.7%から 0.1%に、2012 年度については 1.7%から 2.7%に それぞれ修正した。2011 年度は厳しい 1 年となるだろう が、2012 年度においてはインフラやその他の分野で大 規模な復興事業が必要なことから、GDP 成長率は大幅 な成長が見込まれている。 9 10 FocusOn –Japan’s Hotel Market After The Quake – May 2011 • 災害により、世界のマネーセンターのひとつが打撃を ニューヨーク同時多発テロ事件との対比 1997 年エジプト・ルクソールでの旅行者襲撃事件、2001 受けたこと。東京は地震そのものの大打撃は受けて 年ニューヨークでの同時多発テロ事件(9.11 事件)、 いないものの、放射能漏洩に関する風評被害や電力 2002 年および 2005 年のバリ島爆弾テロ事件、2003 年 不足は東京の、ひいては日本の観光産業に一定の アジア都市での SARS 流行、2004 年プーケット島での 影響を与えた。 津波被害、2005 年ロンドン爆弾テロなど、世界ではひと • 精神的な影響が大きいこと。9.11 事件直後、人々は つの事件によって現地ホテルビジネスの状況が一変す 米国主要都市への飛行は危険があると感じた。同様 ることが何度か起こっている。 に、外国人は日本のどこにいようとも潜在的な放射能 事故の状況や経過によって回復の歩調は様々だが、観 被ばくを心配している。 光産業の完全回復には 6 ヶ月から 3 年かかっている。 • 「目に見えない」敵との戦いであり、この戦いがいつ終 中でも、9.11 事件と東日本大震災には多くの共通点が わるかわからないこと。もし原因となる問題が自然災 ある為、今回の震災からの回復ペースを予測する上で、 良い参考となるかもしれない。 害だけであるなら、一度限りのものと考えられる。しか し「人々の不安」という副産物は問題を継続的に引き 起こす可能性がある。 2 つの災害の共通点は下記である。 グラフ 1: マンハッタンのシティホテル RevPAR 推移 (USD) 250 200 USD 150 100 2000 2001 2002 50 2003 2004 0 1月 2月 3月 4月 5月 出典: STR Global / ジョーンズ ラング ラサール ホテルズ 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 FocusOn - Japan’s Hotel Market After The Quake – May 2011 • 他国にも影響を与えた事件であること。9.11 事件によ り航空機での飛行の安全基準が見直しを余儀なくさ れたが、東日本大震災では原子力発電所の安全性 がそれに当たる。また東日本大震災では、人々は国 際的な供給網(サプライチェーン)の脆弱性も思い知 らされた。例えば、日本の東北地方の工場が製造して いた一部品が手に入らないことが、自動車の車両製 造行程全体に遅れが生じる原因となった。 9.11 事件の場合、ニューヨーク市の 2001 年 9 月の RevPAR(販売可能客室当り 1 日当り売上)は、2000 年 の同月に比べ 45%も低下し、また RevPAR が事件前年 の 2000 年レベルに回復するまで、3 年を費やした。 実のところ、事件の 7 ヶ月前の 2001 年 2 月から RevPAR の低下が始まっていたのだが、いずれにせよ 2001 年レベルまで RevPAR が回復したのは、2004 年 4 月だった。 回復が遅れた主な理由は、9.11 事件直後に始まった、 アフガニスタンでの戦争とその後続いたイラク戦争であ る可能性が高い。人々はそれらの戦争が終わるまでテ ロ攻撃のリスクが高いと考えた。この事件はニューヨー ク市の安全性に関する認識に長く影響を与え、時が解 決するのを待つ必要があった。かかる状況は、SARS 流 行の際に見られたような V 字回復というよりは、緩やか な回復となる要因になった。その為、もし日本が外国人 の視点から見て納得できる放射能漏洩問題の解決に 失敗するようだと、、東京と日本の RevPAR 回復シナリ オは 9.11 事件同様の最悪シナリオとなるかもしれない。 換言すれば、日本が放射能漏洩問題を速やかに収拾 できた場合、訪日外国人数は早急に回復をする見込み が十分ある。実際、1997 年のルクソール事件および 2002 年のバリ島爆弾テロでは、観光客数はわずか 1 年で回復した。 11 12 FocusOn –Japan’s Hotel Market After The Quake – May 2011 ホテル運営業績の現在の 状況と今後の見通し 3 月 11 日以降最初の 30 日間は日本の至る所で客室 しむ心持ちに至っていないためにレジャー旅行がキャン 稼働率の大幅低下を招く共通の問題が見られた。まず、 セルされた面も否定できない。 訪日外国人からの予約の大半がキャンセルされたこと であり、これは特にインバウンドビジネスに大きく依拠す 結果、3 月の東京シティホテル運営成績は、RevPAR る東京の高級ホテルに大きなインパクトを与えた。一方、 (販売可能客室当り1日当り売上)で前年同月比 38%の 国内客の宿泊予約も多数キャンセルされたが、これは 減少を記録した。 鉄道や高速道路といった交通機関が寸断されたことに よることが大きい。例えば、小田急電鉄が新宿発箱根 一方、大阪シティホテルは同様の評価基準で 13%の増 湯本行ロマンスカーを 4 月 15 日まで運行見合わせとし 加を記録した。大阪マーケットはこれまで震災の影響が ていたことで、箱根地区は訪日観光客だけでなく東京圏 大きかったレジャーとインバウンドへの依存率がもともと からの需要を取り込みにくい状況となっていた。結果、3 低かったが、BCP を発動した多国籍企業が定価でもか 月から 6 月にかけての予約キャンセルは延べ 288,500 まわないので大阪に客室を確保したいという動きがあっ 名分に上ると報道されている。また、そもそも旅行を楽 たり、東京ディズニーリゾートへ行くはずだった修学旅行 グラフ 2 : 東京のシティホテル RevPAR 推移 (JPY) 30,000 25,000 JPY 20,000 15,000 2007 10,000 2008 2009 2010 5,000 2011 0 1月 2月 3月 4月 5月 6月 出典: Smith Travel Research / ジョーンズ ラング ラサール ホテルズ 7月 8月 9月 10月 11月 12月 FocusOn - Japan’s Hotel Market After The Quake – May 2011 が大阪のユニバーサルスタジオへ振り替えられたりす 完全な回復が期待できる。今年後半には海外法人需要 る需要があった。しかし、この特需は福島原発問題が収 の回復も期待されているが、インバウンドレジャーの需 束するにつれて減少し、多くの需要が東京に戻りつつあ 要回復は来年にずれ込む可能性がある。また、MICE る。また、大阪にオフィスを維持しなければならない (会議・コンベンション)需要や法人宴会については、日 人々はサービスアパートメントや賃貸住宅に移っている。 本企業の多くが今年度に震災関連特別損失を計上する 4 月 25 日現在、東日本のおかれている状況は改善し 可能性が高く、また予約のリードタイムが長いため、し つつある。多くの外国が(福島原発近隣を除く)日本へ ばらくは厳しい状況が続くと見込まれる。他方、婚礼宴 の渡航禁止勧告を解除しており、東北新幹線や東北自 会は震災の影響を受けにくく、予約ペースはほぼ予定 動車道等公共交通機関が復旧しつつある。また、日本 通りである。低稼働率では宿泊料を上げることが難しい 全体のムードが救助・弔意から復興・激励に変わりつつ ため、ADR(平均客室単価)の回復は客室稼働率回復 ある。4 月 15 日に再開した東京ディズニーランドのゲー を待ってからとなる。 トには朝 8 時に 1 万人が列を作った。 当社がヒアリングを行なったホテルオペレーターのうち のいくつかは、レジャー・法人とも国内需要の回復を見 つつあるとのことだった。特に国内法人需要は真っ先に グラフ 3 : 大阪府のシティホテル RevPAR 推移 (JPY) 20,000 17,500 15,000 JPY 12,500 10,000 7,500 2007 2008 2009 5,000 2010 2011 2,500 0 1月 2月 3月 4月 5月 出典: STR Global / ジョーンズ ラング ラサール ホテルズ 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13 14 FocusOn –Japan’s Hotel Market After The Quake – May 2011 前述の状況を踏まえ、以下に当社の個別マーケットへ の見解を述べる。 東京シティホテルマーケット らは良いニュースではあるが、4 月 29 日から始まるゴ ールデンウィーク期間中の宿泊需要を十分取り込むに は時間が足りないように見受けられる。 インバウンドとレジャー需要が欠乏しており、4 月 15 日 現在の稼働率は 10~40%程度である。在日外国人は東 京に戻りつつあり、海外法人需要も回復しつつある。ま た、関東圏からゴールデンウィーク中の新規予約が入り 始めている。インバウンドレジャーの改善はしばらく見込 めないが、高級ホテルが取り込んでいる一般個人客の 回復は団体客よりは早いと目される。向こう1年間の 入園者の心持ちと電力不足可能性が懸念点として残る が、人々はディズニーマジックを経験したがっており、ま たオリエンタルランドは 5 千キロワットのガス駆動発電 機を3基、30 億円で購入するとしており、節電施策も実 行中である。よって、宿泊需要は徐々に回復していくも のと考えられる。 RevPAR は、インバウンドレジャーと MICE ビジネスの回 復の遅れから、前年同期比で 20~30%減と予想される。 大阪シティホテルマーケット BCP 関連需要は一時的なもので、4 月の運営成績は 東京ビジネスホテルマーケット 東京シティホテルマーケットと同様、3 月は前年同期比 27%減の RevPAR を記録した。しかし、このセクターは回 復が早い国内法人需要を主に取り込んでおり、稼働率 2010 年レベルに戻ると予想される。また、インバウンド レジャー需要の緩やかな回復の影響も受ける。向こう1 年間の RevPAR は前年同月比 5~10%減程度と予想さ れる。 の回復は比較的早いと思われる。しかし、レジャー需要 欠乏の折、シティホテルとの競争が激化する結果、客室 料金に懸念が残る。向こう1年間の RevPAR は前年同 期比 10~15%減で推移すると思われる。 沖縄リゾートマーケット 震災直後には、様々な面で不確実性があるという理由 から、ゴールデンウィーク期間中の予約がかなりキャン セルされる局面があったが、状況が落ち着くにつれて直 東京ディスニーリゾートマーケット 東京ディズニーリゾート(”TDR”)が震災後5週間閉園し ていたために、TDR 関連需要は東京ディズニーランドが 4 月 15 日に再開するまでほぼ皆無であった。ヒルトン 東京ベイ、シェラトン東京ベイ、東京ベイ舞浜ホテルとい った TDR オフィシャルホテルは液状化現象でインフラが 被災した浦安市民のためにレストランと浴室を運営し続 けたが、これは利益を目的としたものではなかった。 TDR を運営するオリエンタルランドは、4 月 23 日に東京 ディスニーランドの営業時間が通常通りとなり、4 月 28 日には東京ディズニーシーも再開すると発表した。これ 前の予約が入るようになってきている。但し、完全に取 り戻すには至らない。最盛期の 7-8 月は対前年比で 80%程度の予約が見込まれている。向こう1年間の RevPAR は客室料金低下のプレッシャーがあり、対前年 比 10~20%減程度と予想される。 FocusOn - Japan’s Hotel Market After The Quake – May 2011 ホテル投資マーケットへ の影響 震災後、以下のとおり3つのホテル買収案件が公表さ が解決し、2011 年の修正予算が整ってから、という姿 れた。 勢である。 • ジャパンホテルアンドリゾート投資法人による箱根の キャッシュフロー予測は慎重に吟味される必要があるも 雪月花買収(3,550 百万円) のの、当社としては震災が起きたことだけを捉えてディ スカウントレートおよびキャップレートが上昇するとは考 • 日本ホテルファンド投資法人によるコンフォートホテル 東日本橋買収(3,746 百万円) えていない。従って、ホテル資産評価は収益還元率の 変動というより、主に収入予測の変化に影響を受けると 見ている。 • 日本ホテルファンド投資法人によるドーミーイン熊本 買収(2,334 百万円) 信用力の高いオペレーターが固定賃料支払を約束して いるホテルを除き、オペレーターが作成する最新のキャ ッシュフロー予測がなければ、ホテル投資家はキャッシ これらの取引は、ホテルオペレーターを賃借人とした固 ュフローが変動するホテルの売買に関する意思決定が 定賃料収入をベースにしているという点、また日本ホテ できない。かかる点で、震災の影響が比較的小さい西 ルファンド投資法人の取引においては売主が買主のス 日本におけるキャッシュフロー予測は比較的容易で、従 ポンサーであるという点においてユニークなものである って今年後半に売買がなされる可能性がある。逆に震 ものの、震災後に売買取引が行なわれたという事実に 災の影響が大きい東日本のホテルではキャッシュフロ おいて、マーケットにとって良いニュースである。 ー予測が難しく、ホテル売買にかかるリードタイムの長 さを勘案すれば、大型ホテル売買は来年前半にならな 2008 年のリーマンショック以降、日本における 30 億円 いと成り立たない可能性が高い。 以上のホテル売買の多くにおいては、アジアの事業法 人もしくは個人富裕層、あるいは日本のオーナーオペレ ーターが買い手となっている。彼らは震災にも関わらず、 引き続き投資を検討している。ノンリコースローン調達 の難しさから、前述の3つの取引を除き J-REIT を含む 投資ファンドによる新規投資はあまり見られない。 財務基盤が磐石ではない地方のホテルオペレーターが 固定賃料の長期賃貸借契約の下でホテル運営を行な っている場合、契約上債務不履行に陥るケースも出てく る可能性がある。日本では天変地異の際に義務履行が 免責される条項が明示されている契約が少ない。実務 上は賃借人であるオペレーターが賃貸人に対し賃料の 当社はアジアの投資家の投資意欲を継続的にヒアリン 一時減免を要請し、これを受けて賃貸人であるホテルオ グしてきたが、韓国・中国の投資家が日本の観光産業 ーナーがレンダーに対して融資契約上の特別扱いを要 を否定的に見ている一方で、シンガポールや香港の投 請する可能性が高い。これらの要請がどういう結果に至 資家は引き続き意欲的である。但し、放射能漏洩問題 るのか、現段階では不透明な情勢である。 15 16 FocusOn –Japan’s Hotel Market After The Quake – May 2011 CMBS に組み込まれているホテルを担保とするローン の中には今年満期を迎えるものも多い。レンダーは現 在のホテル運営環境を鑑み、すぐさま抵当権実行や代 物弁済を迫ることは考えにくい。但し、アセットマネージ ャーが借入人関連会社の場合には交代させる可能性 がある。(ローンを証券化せずに保有し続ける)バランス シートレンダーも借入人に協力姿勢を見せ、数ヶ月間の 期間延長や数年間の折り返し融資を通じてキャッシュフ ロー、ひいては物件価値の回復を待つと思われる。従っ て、向こう半年間は強制的に売却されるホテルは少な いと見られる。 FocusOn - Japan’s Hotel Market After The Quake – May 2011 ジョーンズ ラング ラサール ホテルズ ジョーンズ ラング ラサール ホテルズは、グローバルなホテル投資サービスのパイオニアおよび第一人者として、深い専門知 識、幅広いサービススコープ、また比類のない豊富な実績を背景に付加価値の高いアドバイスをホテル投資家やオペレーター といった顧客に提供している。2010 年実績では、世界で 41 億米ドル相当以上の売買および資金調達にかかる支援サービスを 提供した。また世界で 1,000 件を超えるアドバイザリー業務を遂行した。ジョーンズ ラング ラサール ホテルズは、210 人のホテ ルスペシャリストを擁し、世界 19 カ国、37 事業所で業務を展開している。当社のアドバイスは専門のグローバルリサーチチーム によりサポートされており、同チームは、2010 年、顧客向けサービス提供に加え 70 に及ぶリサーチレポートを発刊した。ジョー ンズ ラング ラサール ホテルズのサービススコープは高級ホテル(単体およびポートフォリオ)、中級ホテル、バジェットホテル、 リゾートおよびパブ、と幅広いホスピタリティーセグメントを網羅している。また当社の提供サービスは、売却支援、M&A、資金調 達、物件評価・鑑定、アセットマネジメント、投資戦略、オペレーター選定、契約交渉、コンサルティング、業界リサーチ及びプロジ ェクト・ディベロップメント、と広範に及ぶ。ジョーンズ ラング ラサールホテルズのクライアントは、当社グループ会社であるグロー バル大手不動産サービス及び投資マネジメント企業、ジョーンズラング ラサール(ニューヨーク証券取引所上場: JLL)のリソー スにもアクセスが可能である。 www.joneslanglasallehotels.com 免責事項 本レポートは、本レポートの受領者宛に対外秘で作成されており、ジョーンズ ラング ラサール ホテルズからの書面による事前承諾 なく、本レポートの全部若しくは一部を、資料、報告書、閲覧物、その他媒体を問わず、第三者に公表することを禁じる。 本レポートに記載される将来予測については、確実性を伴うものではなく、不確実な見込みに過ぎない。また、将来予測は多数の変 動要因についての想定に基づくものであり、その変動要因は状況に応じて変化するとともに、最終的な将来予測結果に多大な影響 をもたらす可能性もある旨、留意いただきたい。ジョーンズ ラング ラサール ホテルズは本レポートに伴って公表される資料の内容 について何ら表明・保証を行うものではなく、また、本レポートは投資家及びその他の第三者に対して取引の勧誘・奨励を目的として 作成されたものでもない。 本レポートはあくまで一般的な参考資料として作成されており、助言を目的として作成されたものではない。本レポートの利用者は、 本レポートの内容に依拠することなく、記載されている情報につき自ら確認・検証すべきである。なお、本レポート中の情報について は、信頼性の高いと思われる情報源から引用しているが、ジョーンズ ラング ラサール ホテルズは、これら情報の正確性について独 自に検証を行なったわけではない。 本レポートは誠実かつ細心の注意を以って作成されているが、本レポートの全部若しくは一部に関して、その正確性、通用期間、完 全性、適用性につき何ら表明・保証するものではない。ジョーンズ ラング ラサール ホテルズ、及びその取締役、従業員、外注業者、 並びに代理人は、本レポートに依拠したことに起因して直接的・間接的に生じた、損失、支払い義務、損害、支出につき、(法令で許 容される限度において)その責任を負うものではない。また、左記の記載に拘わらず、損害が是認された場合においても、当該損害 金額は、1,000 米ドルを超過しないものとする。 17 Jones Lang LaSalle Hotels’ Dedicated Offices Atlanta 3344 Peachtree Road, Suite 1200 Atlanta, GA 30326 United States tel: +1 404 995 2100 fax: +1 404 995 2109 Denver 1225 Seventeenth Street, Suite 1900 Denver, CO 80202 United States tel: +1 303 260 6500 fax: +1 303 260 6501 Madrid Paseo de la Castellana, 51 Planta 5, 28046 Madrid Spain tel: +34 91 789 1100 fax: +34 91 789 1200 Paris 40-42, rue La Boétie 75008 Paris France tel: +33 1 4055 1718 fax: +33 1 4055 1868 Auckland PricewaterhouseCoopers Tower Level 16, 188 Quay Street, Auckland New Zealand tel: +64 9 366 1666 fax: +64 9 358 5088 Dubai Burj Dubai Business Square Hub Building 1 Office 403, Sheikh Zayed Road PO Box 214029 Dubai, UAE tel +971 4 426 6999 fax +971 4 365 3260 Manchester Chancery Place, 50 Brown Street Manchester M2 2JT tel: +44 161 828 6440 fax: +44 161 828 6490 Perth Level 29, Central Park 152 - 158 St Georges Terrace Perth Western Australia 6000 tel: +61 8 9322 5111 fax: +61 8 9481 0107 Bangkok 19/F Sathorn City Tower 175 South Sathorn Road Tungmahamek, Sathorn Bangkok 10120 Thailand tel: +66 2 624 6400 fax: +66 2 679 6519 Barcelona Passeig de Gracia 11 4a Planta, Esc. 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Jend Sudirman Kav 52-53 Jakarta 12190, Indonesia tel: +62 21 515 5665 fax: +62 21 515 5666 Leeds St Paul’s House,Park Square Leeds LS1 2ND United Kingdom Tel: +44 113 244 6440 Fax: +44 113 245 4664 London 22 Hanover Square London W1A 2BN United Kingdom tel: +44 20 7493 6040 fax: +44 20 7399 5694 Los Angeles 515 South Flower Street, Suite 1300 Los Angeles, CA 90071 United States tel: +1 213 239 6000 fax: +1 213 239 6100 Melbourne Level 21, Bourke Place 600 Bourke Street, Melbourne VIC 3000 Australia tel: +61 3 9672 6666 fax: +61 3 9600 1715 Mexico City Monte Pelvoux 111, Piso 5 Lomas de Chapultepec México, DF 11000 tel: +52 55 5980 8091 fax: +52 55 5202 4377 Miami 2333 Ponce de Leon Blvd, Suite 1000 Coral Gables, Florida 33134 United States tel: +1 305 529 6345 fax: +1 305 529 6398 Milan Via Agnello 8 20121 Milan Italy tel: +39 02 8586 8672 fax +39 02 8586 8670 Moscow Kosmodamianskaya Nab. 52/3 Moscow 115054 Russia tel: +7 495 737 8000 fax: +7 495 737 8011 Munich HighLight Munich Business Towers Mies-van-der-Rohe-Strasse 6 80807 Munich Germany tel: +49 89 2900 8882 fax: +49 89 2900 8888 New Delhi Level 9 Tower A, Global Business Park, Mehrauli Gurgaon Road, Sector 26, Gurgaon 122002 Haryana, India tel: +91 124 4605000 fax: +91 124 4605001 New York 601 Lexington Avenue, 33rd Floor New York NY 10022 United States tel: +1 212 812 5700 fax: + 1 212 421 5640 Rome Via Bissolati 20 00187 Rome Italy tel: +39 06 4200 6710 fax: +39 06 4200 6720 São Paulo Rua Joaquim Floriano, 72 – cj. 97 04534-000 São Paulo, SP tel: +55 11 3043 6900 fax: +55 11 3043 6999 San Francisco One Front Street, Suite 300 San Francisco, CA 94111 United States tel: +1 415 395 4900 fax: +1 415 955 1150 Shanghai 25/F Tower 2 Plaza 66 1366 Nanjing Road (West) Jing An District Shanghai 200040 China (PRC) tel: +86 21 6393 3333 fax: +86 21 6288 2246 Singapore 9 Raffles Place, #38-01 Repulic Plaza Singapore 048619 tel: +65 6536 0606 fax: +65 6533 2107 Sydney Level 18, 400 George Street Sydney NSW 2000 Australia tel: +61 2 9220 8777 fax: +61 2 9220 8765 Tokyo 3rd Floor, Prudential Tower 2-13-10 Nagatacho, Chiyoda-ku Tokyo 100-0014 Japan tel: +81 3 5501 9240 fax: +81 3 5501 9211 Washington D.C. 1801 K Street NW , Suite 1000 Washington, DC 20006 United States tel: +1 202 719 5000 fax: +1 202 719 5001 www.joneslanglasallehotels.com COPYRIGHT © JONES LANG LASALLE IP, INC. 2011. 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