富山市臨時市長記者会見（平成 26 年 12 月 4 日） ■ 冒頭あいさつ市長皆さんお集まりいただいてありがとうございます。1 日に定例市長記者会見を行ったばかりですけれど、今から発表いたしますことがシンガポールで昨日発表がありましたので、それを踏まえてご報告いたします。 ■ロックフェラー財団の「１００のレジリエント・シティ」の選定について市長アメリカの慈善事業団体であるロックフェラー財団が公募しておりました「 100 のレジリエント・シティによる挑戦」事業にエントリーをしておりました。このたび、12 月 3 日付けで、同財団から富山市が「レジリエント・シティ」に選定されたとのご連絡をいただきました。日本の都市としては、初めて富山市が選定されたと伺っております。「レジリエント」という言葉は大変難しくていろんな概念を含んでいる言葉ですけれども、「レジリエント・シティ」ということについてとは、ロックフェラー財団が設立 100 周年を記念して、 3 年間で世界に 100 都市を選定しようということで取り組みがなされているものです。昨年 32 都市が選定され、今年追加的に 35 都市が選定されました。残りを来年にまた選定があって全体で 100 都市を選ぶというものです。災害や混乱など様々な危機、課題といったものに可能な限り早急に危機を回復する、回避する、あるいは乗り越える強靭さを持つ、そういうことを目指す都市というものを選ぼうとされているところであります。そのロックフェラー財団の事業が先ほど申し上げました「１００のレジリエント・シティ」という事業であります。 2013 年は、ニューヨークやローマ、バンコクなど、 32 都市が選定されたと伺っております。日本では、あまり知られていないと思っております。私たちがこの事業 1 の存在を知ったのもある意味偶然でして、昨年の 12 月 5 日にマルセイユ（フランス）で開催されました「第５回首長と閣僚によるＯＥＣＤ円卓会議」に私が出席いたしました。そこで富山市の取り組みについてプレゼンテーションさせていただいたわけですが、たまたま同じラウンドテーブルにロックフェラー財団の方が出席をされていまして、コーヒーブレイクの際に私のところへお出でになって、こういう取り組みをしているのだけれども応募をしないかという提案をいただきました。したがって、そのとき初めて知ったわけです。しかし、こちらのプレゼンを聞いたうえでお薦めいただいたことですから、それはかなり難しい作業になるだろうと思いましたけれど挑戦しようという思いで、今年に入りましてから準備をしてまいりました。特に今年度に入ってから、神田副市長をはじめ、企画管理部、建設部の皆さんがまとまって、内容の大きな柱は立山砂防ですので、国、県も含めてですが、特に国土交通省北陸地方整備局の富山河川国道事務所、立山砂防事務所の皆さんには一緒になっていろいろと検討してきました。さらに政策参与のランゾウ稲田ドクターにも英語での文書作成を含めてずいぶんとご協力をいただいてまいりました。まず、富山市の大きな危機というものは、一つには立山カルデラ砂防、そしてもう一つが世界でもトップリーダーとして進んでいる人口減少・超高齢社会です。その中で将来市民が安心して暮せるようなレジリエントな都市構造というものをどうつくるのかというようなことを謳ってまいりました。この柱を中心に申請書をまとめてきました。そこで、ジョセフ・ランゾウ政策参与にシンガポールまで出張していただいて昨日の会議に出席していただいたわけです。その結果今年度は、全体では 90 カ国を超える国から 331 都市の応募があった中で、ロンドンやパリなど 26 カ国の 35 都市が選ばれ、その中に富山市が入ることができたということであります。これにより、（昨年選定された 32 都市と）あわせて 6７都市が選定されたことになりますので、今後は、横連携と言いますかレジリエント・シテ 2 ィ同士の連携ですとか、ロックフェラー財団との協調・協力・連携ですとか、様々な形で今後の取り組みに支援をいただけると伺っています。今後財団のほうから詳しい内容を教えていただきながら、レジリエンス体制づくりや、レジリエンス計画策定などをしっかり進めてまいりたいと思っております。もう一つの大きな意義は、やはりシティプロモーションという観点で、富山市がこのような形で国際的に世界最大のＮＧＯにご評価をいただいたことは、大きなプロモーション効果があると思っておりますし、富山市民や富山市出身者を含めて多くの方々に、富山市に対する期待や評価、安心、将来展望と様々な意味で効果が生まれてくるだろうと思っております。発表が遅れたことについては、昨日のグリニッジ標準時の午後 11 時 59 分（日本時間 12 月 4 日午前 8 時 59 分）までは発表をするなと言われておりました。シンガポールから連絡を受けていたのですが、そういう理由ですのでよろしくお願いします。と言いながら東京でロックフェラー財団が発表されていましたが、最初の一報はご自分のところから出したいというご意向だったのかもしれません。いずれにしても大変良いニュースをお伝えできて嬉しく思っています。できれば多くの方々にこのことの意義が伝わるように皆様方に報道をいただきたいと思って今日の記者会見となった次第です。なお、ロックフェラー財団のホームページには昨日もうアップされていますが、そこで富山市をクリックするとなぜか砺波市の写真が出てきました。今はもう直っているようです。 ■ 質疑応答記者ロックフェラー財団にどこを評価されたのでしょうか。市長評価をしたペーパーはいただいておりませんが、申請した書類はありますので、担当から提供します。書類はフォーム化されていて、ショックと 3 ストレスに分けて、あなたの都市にどういうショックがあるのか、どういうストレスが発生するのかあるいはしているのかということです。ですから都市によっては飢餓であったり、テロであったり、海面上昇だったり、台風だったり、様々なものがあります。その中で富山市として最も関係するショックとしては、洪水、土砂災害、地震、インフラの老朽化を出しています。最大級のショックは、発生した場合に何が起こるかということに関しては、 150 年に 1 度の豪雨ということになると立山カルデラの土砂が都市部を直撃する。そのために、立山カルデラの工事をもう 100 年以上やっているわけで、これを出しています。ショックに対して何をやっているかということに関しては、今言った対策を国と一緒にやっていると出しています。ストレスとして何を挙げたかと言うと、人口減少と高齢化、インフラの老朽化、交通システムなどを挙げています。これについて何をやっているかということに関しては、今日まで取組んできた公共交通のブラッシュアップですとか、コンパクトシティ政策などを出しています。いずれにしても、このまま人口減少と超高齢社会を放置していくと、将来の医療費の増大というのは、まさに将来市民には大きなストレスとなっていきますので、今から様々な手を打たなくてはいけないということで今まで取組んできました。そして今後のビジョンもこういうふうにぶれずに取り組んでいきますと出したわけです。それぞれ選ばれた都市毎にショックもストレスも違うわけで、審査員の方々（一次審査員二十数名）が一つ一つ審査されているわけです。レジリエント体制を維持するために、統括監のような専門的な人を位置づけたり採用するなど様々なことが必要であろうから、そういうことについて人件費相当分を補助するだとか、あるいは専門の外部のコンサルタントに相談を仰ぐだとかについてだと聞いています。詳細は政策参与のドクターランゾウさんが帰って来て、詳しく報告を聞きながらどういうふうに進めていけばいいのか検討したいと思っています。記者 4 シティプロモーションの観点から、限りある 100 の中の一つの都市に選ばれて、これからどう富山市を守っていったり強めていったりしたいという思いがあればお聞かせください。市長一昨年のＯＥＣＤの本部で、コンパクトシティ政策のモデルとして報告のありました際に、5 都市のうちの一つに選ばれたことが富山市として非常に名誉なことでした。また取り組みに対して外国からも評価されたことは大変良かったと思っております。それ以降様々な形で国際会議に招聘を受けてきておりまして、なるべく機会が上手く合えば、積極的に参加してきました。先般は神田副市長にもパリに行っていただいたり、先月末には職員 2 名がニカラグアへ行ったりなど様々なことをやってきました。それは全てどこかでつながっていて、富山市の仕事ぶりや職員の意識だとか様々なことに影響していると思います。もっと意欲を持って先進的な仕事をやっていこうということを職員が全体で共有できる。そしてそれを世界に発信していくことによって、また違う評価をいただけるということだと思っています。それが現れてきたのが 9 月の国連本部への招聘ですし、そして今回のロックフェラー財団による評価だろうと思っています。こういうことを重ねるにつれ、職員全体のスキルアップにつながりますし、意識が高まっていくことは、今後の富山市の仕事ぶりに大変良い影響や効果をもたらすと思っています。併せて、外部の皆さんから見ると、富山市は良くやってるねとか、がんばってるねとか、みんなで知恵を出してアイデア溢れた仕事をしているね、というようなことが市民全体にある種の矜持や誇りになり、シビックプライドが醸成されると思っています。そして、シビックプライドが醸成されていくことが、外部の人から見て選ばれる都市となり、人を誘引できるのだろうと思っています。もっと卑近な例でいうと、富山市の出身者でいうと、このまちは高等教育全体のキャパシティが小さいので、多くの人が県外へ出ます。僕もそうでしたし、一旦離れます。ですが、帰ってきて地元で働く人が大変多いところなのです。そういう皆さんに対して、教育が済んだ時点で、あるいは一旦都会で 5 働いても、例えば富山へ帰って親と同居して暮していこうということなどに対して、後押しをする効果もあるだろうと思っています。さらには、新幹線ということも考えますと交流人口が増えますので、様々な形で国際的に評価を受けているということがうまく発信し伝わっていくとすれば、富山市のまちづくりを目の当たりにしてみたいとか、路面電車に乗ってみたいとか、立山連峰に足を運んでみたいとか、そういうことにもつながると思うので、効果は大変大きいと思っています。記者ロックフェラー財団の事業を見ると、総額 1 億ドル出資となっています。単純に１００億円と計算しますと１００都市で 1 億円くらい見込めるのかなと思うのですが、市長の見立てはどうですか。市長必ずしも１００都市だから１都市１億円というのではなくて、それぞれが当面している課題をどうやって財団としてフォローしていくのかということだと思いますので、取り組みがもっと高額なものが必要だというところもあるでしょうし、発展途上国と先進国でも違うでしょう。ニューヨークやロンドンにしてみると、事業規模からいえば１億円をもらってももらわなくてもということだと思うので、単純に報奨金のように賞金をあげますということではなくて、きちんと取り組みをしていくことのうち、人件費その他事務費の中で相当だと判断されるものについて応援をいただけるのだろうと受け止めています。海面上昇に直面しているマーシャル諸島では１億円もらっても解決どころの話ではないでしょう。記者支援の内容ですが、ロックフェラー財団のホームページを見る限り、推進する新しいポジションをつくることに、技術的な支援やファイナンシャル支援が受けられるようですが。市長その詳細を調べて、これから検討する必要があるだろうと思います。危 6 機管理統括監という者が富山市にいるわけです。そのような既存の人をもってそう読めるのか、新たなポストをつくらなくてはいけないのか、そういうことも含めてこれからランゾウさんが帰ってきた後一緒に検討していきたいと思います。記者「レジリエント（強くしなやかな）」の概念ですが、「サステーナブル（持続可能な）」に変わって出てきた概念のようなことが書いてありましたが。市長レジリエントはＯＥＣＤも使い始めていますので、流行なのですかね。エネルギーという領域ですとサステーナブルになってくるのかなと思いますが、都市全体の危機に対する備えや回復力、強靭さというとサステーナブルでは伝わらないのかなと思うので、そういう使い方になってきているのだろうと思います。この間、早稲田大学の後藤先生から教えていただきましたが、都市計画の世界でもタウンプランニングという表現よりもスペーシャルプランニングということを使うようにトレンドが変わってきた。「スペースをプランする」面的な意味でのタウンの構造ではなく、暮し方なども含めた広い意味でのプランニングに変わってきたとおっしゃっていました。そういうような要素もあるから、そういう意味では「サステーナブル」では表現しきれない部分も含めて「レジリエント」と言っているのではないかと思います。記者ロックフェラー財団はＮＧＯ組織化されていますよね。本部はどこにあるのですか。市長ニューヨークです。アメリカ最大のＮＧＯと言っています。私も知りませんでしたが、会長は女性の方です。必ずしもロックフェラーという名前の人ではなくて今の時代はそうではないんですね。 7 ※ 発言内容を一部整理して掲載しています。・・・富山市広報課 8