320 康煕字典 中国清代 1716 年刊行,康煕帝の命令で張玉書が編纂全42巻 48,651 字が所収され画数分類の形式を完成,後世の字書の規範 ▼康煕字典とは しん 「康煕字典」は、中国の 清 の時代に編纂された漢字の字典である。清朝の第四代皇帝康煕帝の命に より、学者 30 人が 5 年の歳月をかけて歴代の辞書を元に集大成したものであり、1716 年に完成した。 オリジナルは木版によって印刷されており、全 40 巻からなる。親字として 47,035 字を収録している。こ れらの漢字は 214 の部首に分けられ、画数順に記載されている。現在我々が利用している漢和辞典 も、214 の部首分けや画数順の配列などの点で、この康煕字典の流れをくんでいる。 康煕字典は、明治以来の漢字の活字字体の典拠であるという意味で、国語学的には極めて重要なも のである。現在でも、日本の漢字のうちで常用漢字表に含まれないものは、基本的には康煕字典の字 体を拠り所とするように、2000 年 12 月の国語審議会などで答申されている (http://www.monbu.go.jp/singi/kokugo/00000040/ 参照)。 ▼「内府本」と「安永本」 「康煕字典」は、1716 年に発行されて以来、各種の版が制作されている。 ないふぼん ぶえいでんぽん まず、清朝宮廷内の内務府で発行されたオリジナルは「 内 府 本 」、あるいは「 武 英 殿 本 」と呼 ばれる。それ以降、清朝あるいは中国国内だけでも、道光本(1827 年)、湖北崇文書局本(1875 年)、上 海同文書局本(1884 年)、商務印書館本 (1933 年)、中華書局同文書局本(1958 年)などが発行されてい る。 いっぽう、康煕字典は日本でも翻刻され、江戸安永年間に「日本翻刻康煕字典」、いわゆる「 あんえいぼん 安 永 本 」(1780 年)が発行されている。これは「内府本」を元にカタカナによる漢字の読みを加え、 訓点と送り仮名を振って木版を起こし、いわゆる漢文の形にして日本人でも読みやすくしたもである。 日本ではこの後も、江戸から明治期にわたり各種の版が発行され利用されてきた。 「超漢字康煕字典」では、これらの数多くある各種の版本のうち、特に貴重なオリジナルの「内府本」(東 京大学東洋文化研究所蔵)、および日本翻刻の初版である「安永本」の 2 種類を収録している。このう ち「内府本」は日本に数冊しか存在しないもので、原本を見ることは困難な、極めて貴重なものである。 その他の字典 大漢和辞典 諸橋轍次 1960年 中華字海 中国 冷玉龍 1994年 49,964字 85,568字(簡体字を含めた字書)
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