ヨーロッパ諸国の医療制度、その特長と課題

メディカルウェーブ
2010 年 10 月 29 日(金)№3410
ヨーロッパ諸国の医療制度、その特長と課題
~パリ政治学院教授パリエ氏が講演
メディカル・マネジメント・プランニング・グループ(MMPG)はこのほど、創
設 25 周年記念特別医療経営セミナーを開き、パリ政治学院教授でフランス国立科
学研究センター研究ディレクターのブルーノ・パリエ氏が、「フランスとヨーロッ
パの医療制度の比較」をテーマに講演した。
パリエ氏はまず、ヨーロッパには大きく分けて 2 種類の医療制度があると指摘し
た。一つは、国家が制度全体の資金提供と調整を行っている「公共型」の制度で、
北ヨーロッパ諸国や英国などが採用。もう一つは、医療サービスの提供者と財源の
提供者が独立した関係の「医療保険型」の制度で、フランスやドイツなどがこれに
当たる。
「公共型」の医療制度を採用している国では、患者の移動を管理している。例え
ば英国では、専門医の診療を受けるためには、一般開業医からの紹介を必要とし、
国民が医療サービスを受ける際の「ゲートキーパー」の役割が担っている。
一方「医療保険型」を採用している国では、患者が医師や医療機関を自由に選択
できる場合が多い。従って、患者は最初からすぐに専門医に診てもらうことも可能
だ。しかし、これにより、医師の間に競争が生じる。結果的に、医師が大量の処方
せんを書き、患者を満足させて確保しようとする可能性を示唆。現実に、診察のた
びに検査を繰り返したり、矛盾した処方や処置が行われたりということが起きてい
るとした。
医師に対する報酬の支払いについて、フランスや米国、ドイツでは、最近まで、
外来部門ではほとんどが出来高払いだった。出来高払いは、患者の選択する自由を
重視していると言えよう。しかし、医師は自らの収入を増やそうとするために、通
院や診察を増やす傾向があり、医療費を増加させる原因となり得る。また、予防活
動は医師への報酬が低いので、促進されにくい。
一方英国では、NHS(National Health Service)と契約している外来部門の開業医
に対し、「登録患者」の人数や年齢、病状に応じて報酬が支払われる仕組みが導入
されている。この報酬制度では、患者の移動を制限することができる。しかし、医
師の収入が診察回数に関係しないため、医師は患者をすぐに病院へ送る傾向が見ら
れるという。
パリエ氏は、医療制度の評価基準は相互に矛盾しているものがあるので、最高の
パフォーマンスをあげる医療制度をデザインすることは難しいと指摘した上で、▽
医療のアクセスの平等性▽医療費の管理▽国民の健康状態▽国民、医師、患者の満
足度―の 4 つの指標を用いて評価することを提案した。
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